説明

ナビゲーションシステム

【課題】自動車を運転する際に自然雰囲気の認識に違和感を感させないナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーションシステム100において、ナビゲーション部14は車を目的地に誘導するための地図領域とそれ以外の天空領域を含む3次元地図画像を出力し、動き情報生成部12は撮像部11により生成された背景画像の動きを示す情報を生成する。画像クリップ部13は動き情報生成部により生成された情報に基づき撮像部11により生成された背景画像から天空を示す天空領域を抽出する。画像合成部15は画像クリップ部13により抽出された天空領域を、ナビゲーション部14により出力された3次元地図画像の天空領域にはめ込んだ画像を合成する。そして、表示部16は画像合成部15により合成された画像を表示する。撮像位置制御部17は動き情報生成部12により生成された背景画像から天空領域を特定する情報に基づき、撮像部11の撮影範囲を制御する制御信号を駆動部18に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体の現在位置を案内表示するナビゲーションシステムに関し、特に、3次元の地図画像とともに車の進行方向の天空画像を表示するナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、2次元的な地図または3次元的な地図ととともに、目的地までの経路や現在位置等を画面に表示し、ユーザに対する自動車走行の便宜を図るものである。
【0003】
このようなナビゲーション装置では、ユーザが地図を監視しながら自動車を運転している場合、昼間も夜間も表示部に表示される地図の色が同一であると、車外の自然雰囲気の色彩の変化が表示部に反映されず、自動車を運転する際に自然雰囲気の認識に違和感を感じるという問題点があった。この問題点を解決するため、自然雰囲気の色彩の時間的変化に対応した地図色と天空雰囲気とを表示部に表示するナビゲーション装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
上述したナビゲーション装置では、図10に示すように、現在位置・時刻測定部51が移動体の現在位置と時刻とに基づき、日の出時刻及び日の入り時刻を演算し、また、太陽関連方位・時刻演算部52が現在位置・時刻測定部51に算出された演算結果に基づき、日の出及び日の入りの太陽の方向を演算する。そして、表示カラー演算部54が現在位置・時刻測定部51より算出された日の出時刻及び日の入り時刻に基づいて、表示部55に表示される地図の表示色と天空背景の表示色とを段階的に変化させ、さらに、演算及び表示制御部56が表示部55に表示される背景表示色を、太陽方向を明るく太陽と反対方向を暗く表示する。
【0005】
【特許文献1】特開平11−271067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記提案されたナビゲーション装置にあっては、時刻だけに基づいて表示色を決めているので、現実の天候と一致せず、自動車を運転する際に自然雰囲気の認識に依然として違和感を感じるという事情があった。
【0007】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、自動車を運転する際に自然雰囲気の認識に違和感を感じさせないナビゲーションシステム及び当該ナビゲーションシステムに用いられる車載用撮影装置を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーションシステムは、車を目的地に誘導するための地図領域とそれ以外の天空領域を含む3次元地図画像を出力する3次元地図画像出力部と、車の進行方向の風景を撮像し背景画像を生成する撮像部と、前記撮像部により生成された背景画像から天空を示す天空領域を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された天空領域を、前記3次元地図画像出力部により出力された3次元地図画像の天空領域にはめ込んだ画像を合成する画像合成部と、前記画像合成部により合成された画像を表示する表示部とを備える構成を有する。
【0009】
この構成により、撮像部により生成された天空画像を3次元地図画像にはめ込んだ画像を表示部に表示するので、ユーザにとって走行中の天候等の自然雰囲を逐次認識することができる。従って、自動車を運転する際に自然雰囲気の認識に違和感を感させないようにすることができる。
【0010】
また、本発明のナビゲーションシステムは、前記撮像部により生成された背景画像の動きを示す動き情報を生成する動き情報生成部を更に備える。そしてこの動き情報生成部は、前記動き情報に基づき、前記撮像部により生成された背景画像から天空領域を特定する特定情報を生成する特定情報生成部を含み、前記抽出部は、前記特定情報生成部により生成された特定情報に基づき、前記撮像部により生成された背景画像から天空領域を抽出する構成を有している。
【0011】
この構成により、風景画像から天空領域を容易に特定することができる。
【0012】
また、本発明のナビゲーションシステムは、前記撮像部を駆動し、その撮影範囲を変更させる駆動部と、前記特定情報生成部により生成された前記特定情報に基づき、前記撮像部の撮影範囲を制御する制御信号を前記駆動部に出力する制御信号出力部とを更に備え、前記駆動部は、前記制御信号出力部より入力された制御信号に基づき、前記撮像部の撮像範囲を変更させる構成を有する。
【0013】
この構成により、例えば車が上り道や下り道にさしかかった場合でも、撮像部が生成する風景画像の天空部分を一定に保つことができる。
【0014】
また、前記動き情報生成部により生成される動き情報は、前記撮像部により生成された背景画像の所定箇所に割り当てられた複数のブロックの動きを示す動きベクトルから構成され得る。そして、前記動き情報生成部は、複数のブロックの動きベクトルからブロックの移動距離を算出する移動距離算出部と、前記移動距離算出部により算出されたブロックの移動距離と、前記撮像部により生成された背景画像から天空領域を決定するための基準値とを比較する比較部と、前記比較部により前記ブロックの移動距離と前記基準値とが比較された結果、該移動距離が該基準値未満である場合には、当該ブロックを天空領域の一部と判定し、一方、該移動距離が該基準値以上である場合には、当該ブロックを天空領域外の地上領域の一部と判定する判定部とを更に含み、前記特定情報生成部は、前記判定部がブロックを地上領域の一部と判定した場合には、判定対象となったブロックの一つ上のブロックを、背景画像の天空領域を指定する情報として前記抽出部及び前記撮像位置制御部に出力する構成を有する。
【0015】
この構成により、背景画像から天空領域をさらに容易に特定することができる。
【0016】
更に本発明の車載用撮影装置は、車の進行方向の背景を撮像し背景画像を生成する撮像部と、前記撮像部を駆動し、その撮影範囲を変更させる駆動部と、前記撮像部により生成された背景画像の動きを示す動き情報を生成する動き情報生成部と、前記動き情報生成部により生成された動き情報に基づき、前記撮像部により生成された背景画像から天空領域を特定する特定情報を生成する特定情報生成部と、前記特定情報生成部により生成された前記特定情報に基づき、前記撮像部の撮影範囲を制御する制御信号を前記駆動部に出力する制御信号出力部とを備え、前記駆動部は、前記制御信号出力部より入力された制御信号に基づき、前記撮像部の撮像範囲を変更させるものである。
【0017】
この構成により、背景画像の天空部分を一定に保った天空画像を生成することができる。
【0018】
また、本発明のナビゲーションシステム制御方法は、車を目的地に誘導するための地図領域とそれ以外の天空領域を含む3次元地図画像を出力するステップと、車の進行方向の風景を撮像し背景画像を生成するステップと、前記背景画像から天空を示す天空領域を抽出するステップと、前記天空領域を、前記3次元地図画像の天空領域にはめ込んだ画像を合成するステップと、前記合成された画像を表示するステップと、を備えるものである。これらの各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムを記録した記録媒体も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、自動車を運転する際に自然雰囲気の認識に違和感を感じさせないナビゲーションシステムを提供することを目的する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【0021】
この実施形態のナビゲーションシステム100は、図1に示すように、撮像部11と、動き情報生成部12と、画像クリップ部(抽出部)13と、ナビゲーション部(3次元地図画像出力部)14と、画像合成部15と、表示部16と、撮像位置制御部17、駆動部18とを備える。また、撮像部11と、動き情報生成部12と、撮像位置制御部(制御信号出力部)17と、駆動部18は、ナビゲーションシステム100用の車載用撮影装置200を構成する。撮影装置200は、ナビゲーションシステム100の一部を構成する。撮影装置200のみが、サブアッセンブリとして構成されてもよい。
【0022】
撮像部11は、レンズ及びCCDを備えたカメラであって、自動車の車体上方に取り付けられ、自動車の進行方向の風景を撮影し、図2に示すように、天空領域2aとそれ以外の地上領域2bからなる背景画像を生成させる映像信号を出力する。背景画像は複数の画面を連続的に表示することによる動画であり、動画を構成する各画面はフレームという。
【0023】
動き情報生成部12は、上述の背景画像からその動きを示す動き情報を生成する。具体的には、撮像部11から入力された背景画像中の現フレームの映像信号と前フレームの映像信号とを基にし、図3に示すように、背景画像のなかの左端に設けられた同一数の画素を有するブロック3aごとにパターンマッチングを行う。そして、前フレームにより生成されたブロックの背景画像に対する、現フレームにより生成されたブロックの背景画像の動きを示す動き情報を構成する動きベクトルR=(α、β)を算出する。
【0024】
ここで、動きベクトルRの要素αはブロックが水平方向に画素数α分移動した値であり、要素βはブロックが垂直方向に画素数β分移動した値である。また、上記ブロックにはそれぞれのブロックを識別するためのブロック番号が付与されている。また、上記パターンマッチング方式として特開昭55−162683号公報等に開示されている。
【0025】
なお、動きベクトルを算出する方式としてパターマッチング以外として反復勾配方式等があり、この方式として特開昭60−158786号公報等が開示されている。ブロックを背景画像のなかの左端に設けた理由は、図4に示すように、撮像中心から遠くてかつ撮像対象が近い程撮像対象の動きが大きくなり、その動きベクトルの向きが撮像中心より外向きになるからである。従って、天空領域の中にある撮像対象は、動きが小さい。
【0026】
尚、もちろんブロックは左端以外の場所から設けてもよい。例えば右端からでもよく、中央部分に設けるようにしてもよい。また背景画像全体にブロックを設定するようにしてもよい。
【0027】
また、動き情報生成部12に含まれる図示しない特定情報生成部は、算出した動きベクトルR=(α、β)から該当するブロックの移動距離X=MAX(|α|、|β|)を算出する。そして、動き情報生成部12は、算出したブロックの移動距離Xと、図2に示す天空領域2aを決定するための基準値Yとを比較する。そして、特定情報生成部は、移動距離Xが基準値Y以上になった場合には、当該ブロックは地上領域2bの一部と見なし、それ以後のブロックを含む画像領域を地上領域2bと認定し、この検査対象となったブロックのブロック番号の一つ前のブロック番号を画像クリップ部13及び撮像位置制御部17に出力する。
【0028】
言い換えると、動き情報生成部12は、上述した特定情報生成部に加え、構成上、移動距離算出部と、比較部と、判定部とを含む。移動距離算出部は、上述したように、複数のブロック3aの動きベクトルRからブロック3aの移動距離Xを算出する。比較部は、上述したように、移動距離算出部により算出されたブロック3aの移動距離Xと、撮像部11により生成された背景画像から天空領域2aを決定するための基準値Yとを比較する。判定部は、上述したように、比較部によりブロック3aの移動距離Xと基準値Yとが比較された結果、移動距離Xが基準値Y未満である場合には、当該ブロック3aを天空領域2aの一部と判定し、一方、移動距離Xが基準値Y以上である場合には、当該ブロック3aを天空領域2a外の地上領域2bの一部と判定する。
【0029】
なお、動き情報生成部12は、移動距離XがY未満の場合には、当該ブロックは天空領域2a一部と認定し、当該ブロックのブロック番号を画像クリップ部13及び撮像位置制御部17に出力しない。
【0030】
図5は動き情報生成部12が算出した各ブロック3aのブロックの移動距離を示す図の一例であり、全体として、背景画像のうち天空領域を特定する特定情報を構成する。図5では、ブロック番号4のブロックの移動距離Xが2であり、ブロック番号5のブロックの移動距離が3であり、上記基準値Yが3であることが示されている。また、ブロック番号5以上のブロックを含む画像領域5bが地上領域2bであり、ブロック番号1〜4のブロックを含む画像領域5aが天空領域2aであることが示されている。
【0031】
画像クリップ部13は、地上領域2bと認定されたブロックの一つ上のブロックである一つ前のブロック番号が出力されると、該当ブロック番号より前のすべてのブロック番号により示される領域の中から後述するナビゲーション画像の天空画像となる部分を取り出し、この部分を画像合成部15に出力する。画像クリップ部13は、撮像部11により生成された背景画像から天空を示す天空領域2aを抽出する抽出部を構成する。
【0032】
ナビゲーション部14は、自動車を目的地に誘導するための地図画像を記憶する光ディスク(CD−ROMやDVD−ROM等)やハードディスクの如き情報記録媒体又は装置と、その読取装置から構成される。ナビゲーション時に利用する地図情報等の各種情報を記憶するものである。光ディスクから読み出した現在位置近辺の地図画像にGPS航法方式及び自律航法方式により特定された現在位置を示す情報を表示した3D(3次元)地図画像を画像合成部13に出力する。地図画像は、図6に示すように、現時位置近辺の地図を表示する地図領域6bとそれ以外の天空を表示する天空領域6aとの領域を有している。ナビゲーション部14は、地図領域とそれ以外の天空領域を含む3次元地図画像を出力する3次元地図画像出力部を構成する。
【0033】
ちなみに、GPS航法方式は、高度約2万mにおいて所定の軌道上に複数配置されたGPS衛生から受信したGPS信号を利用して現在位置を特定する方式である。自律航法方式は、車速センサから出力された車速パルス及び磁気センサ等により、車の進行に基づいて現在位置を継続的に特定する方式である。なお、自律航法方式により特定された現在位置と、GPS航法方式により特定された現在位置との間に差違が発生した場合には、自律航法方式により特定された現在位置をGPSにより特定された現在位置に補正する。
【0034】
画像合成部15は、ナビゲーション部14からの3D地図画像の天空領域に、画像クリップ部13により取り出された天空画像をはめ込んで画像合成したナビゲーション画像を表示部16に出力する。表示部16は、例えばTFT方式のカラー液晶モニタ等が使用され、画像合成部15から入力されたナビゲーション画像を表示する。
【0035】
撮像位置制御部17は、地上領域2bと認定されたブロックのブロック番号の一つ前のブロック番号が入力されると、そのブロック番号と基準値Z(天空領域を常に一定に表示部16に表示させるための基準値)との差T(T=ブロック番号K−Z)を算出する。そして、その差Tに基づき表示部16に表示されるナビゲーション画像のうち天空領域が常に一定となるように駆動部18にカメラの方向を制御する位置制御信号を駆動部18に出力する。撮像位置制御部17は、撮像部11の撮影範囲を制御する制御信号を駆動部18に出力する制御信号出力部を構成する。
【0036】
駆動部18は、サーボモータ等で構成され、撮像位置制御部17より入力された位置制御信号に従った量だけ正方向または逆方向に回転し、撮像部15の撮像方向を変更させる。
【0037】
そして、ナビゲーションシステム100内において、撮像部11と、動き情報生成部12と、撮像位置制御部17と、駆動部18は、撮影装置200を構成する。撮影装置200は独立したサブアッセンブリとして機能し得るものである。
【0038】
次に、この実施形態に係るナビゲーションシステム100の動作を、(1)ナビゲーション画像を表示部に表示するまでの動作と、(2)撮像部の撮像方向の制御を行う動作(主に撮像装置200の動作)とに分けて説明する。
【0039】
(1)ナビゲーション画像を表示部に表示するまでの動作を図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0040】
利用者により操作部(図示せず)に設けられている電源スイッチをONにすると、撮像部11は、車の進行方向の風景を撮影し始め、撮影した背景画像を生成させる映像信号を動き情報生成部12と画像クリップ部13に出力するとともに、ナビゲーション部14は、光ディスクから読み出した現在位置近辺の地図画像に現在位置を示す情報を表示した図6に示す3D地図画像を画像合成部15に出力する(ステップ101)。
【0041】
動き情報生成部12は、撮像部11から入力された現フレームの映像信号と前フレームの映像信号とを基にし、図3に示すように、背景画像のなかの左端に設けられた同一数の画素を有する複数のブロックごとに順次動きベクトルRを算出する(図3参照)。その後、動き情報生成部12は、算出した動きベクトルRから該当するブロックの移動距離Xを算出する(ステップ102)(図5参照)。
【0042】
次に、動き情報生成部12は、算出したブロックの移動距離Xと、図2に示す天空領域2aを決定するための基準値Yとしての3とを比較し、移動距離XがY以上になった場合には、当該ブロックは地上領域2bの一部と見なし、それ以後のブロックを含む画像領域を地上領域2bと認定し、地上領域2bと認定されたブロックのブロック番号の一つ前のブロック番号を画像クリップ部13及び撮像位置制御部17に出力する(ステップ103)。
【0043】
画像クリップ部13は、動き情報生成部12から上記ブロック番号が入力されると、そのブロック番号より前のすべてのブロック番号により示される天空領域2aの中から、3D地図画像の天空領域6aにはめ込むための天空画像7aを取り出し、この画像7aを画像合成部15に出力する(ステップ104)。
【0044】
画像合成部15は、図7に示すように、ナビゲーション部14から入力された3D地図画像の天空領域6aに、画像クリップ部13から入力された天空画像7aをはめ込んで画像合成したナビゲーション画像7を表示部16に出力する(ステップ105)。
【0045】
表示部16は、画像合成部15から入力されたナビゲーション画像7を表示し(ステップ106)、電源スイッチがOFFになるまで表示し続ける。
【0046】
(2)撮像部の撮像方向の制御を行う動作を図9に示すフローチャートを参照して説明する。この動作は撮影装置200の撮影動作でもある。
【0047】
撮像位置制御部17は、地上領域2bと認定されたブロックのブロック番号の一つ前のブロック番号が動き情報生成部12から入力されると、そのブロック番号と基準値Z(天空領域を常に一定に表示部16に表示させるための基準値)との差T(T=ブロック番号K−Z)を算出する(ステップ201)。
【0048】
その後、撮像位置制御部17は、その差Tに基づき表示部16に表示されるナビゲーション画像のうち天空領域が常に一定となるように駆動部18にカメラの方向を制御する位置制御信号を駆動部18に出力する(ステップ202)。
【0049】
駆動部18は、撮像位置制御部13より入力された位置制御信号に従った方向の回転数だけ回転し、撮像部11の撮像方向を変更させる(ステップ203)、動作を終了する。
【0050】
この実施形態に係るナビゲーションシステム100によれば、撮像部11により生成された天空画像を3次元地図画像にはめ込んだ画像を表示部16に表示するので、ユーザにとって走行中の天候等の自然雰囲を逐次認識することができる。従って、自動車を運転する際に自然雰囲気の認識に違和感を感させないようにすることができる。
【0051】
また、このナビゲーションシステム100によれば、画像クリップ部13が、動き情報生成部12により生成された情報に基づき、撮像部11により生成された背景画像から天空領域を特定するので、背景画像から天空画像を容易に生成することができる。
【0052】
また、このナビゲーションシステム100、特にナビゲーションシステム100中の車載用撮影装置200によれば、撮像位置制御部17が動き情報生成部12により生成された、地上領域2bと認定されたブロックのブロック番号の一つ前のブロック番号に基づき、撮像部11の撮影範囲を制御する制御信号を駆動部18に出力し、駆動部18が入力された制御信号に基づき撮像部11の撮像範囲を変更させるので、例えば車が上り道や下り道にさしかかった場合でも、撮像部11が撮像する天空画像を一定に保つことができる。
【0053】
上述の実施形態では、撮像部11を自動車の車体上方に取り付けたが、撮像部11の取り付け位置は任意であることは言うまでもない。また、撮像部11の構成自体も特定のものに限られず、動画を撮影できるあらゆる仕様のものを採用することができる。
【0054】
更に本発明は、ナビゲーションシステムの制御方法をも含むものであり、車を目的地に誘導するための地図領域とそれ以外の天空領域を含む3次元地図画像を出力するステップと、車の進行方向の風景を撮像し背景画像を生成するステップと、背景画像から天空を示す天空領域を抽出するステップと、天空領域を、3次元地図画像の天空領域にはめ込んだ画像を合成するステップと、合成された画像を表示するステップとを備える。
【0055】
また、上述の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムも本発明に含まれる。このプログラムは種々の形式でシステム内又はシステム外に組み込まれる。例えば動き情報生成部12内の所定のメモリにプログラムを記録することができる。また、ハードディスクのような情報記録装置や、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカードのような情報記録媒体にプログラムを記録してもよい。
【0056】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、自動車を運転する際に自然雰囲気の認識に違和感を感じさせないナビゲーションシステム及びこれに用いられる車載用撮影装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図
【図2】背景画像の一例を示す図
【図3】背景画像の中に割り当てられたブロックを示す図
【図4】背景画像の中の動きの状態を説明する図
【図5】ブロックの移動距離の一例を示す図
【図6】ナビゲーション部から出力される3D地図画像の一例を示す図
【図7】ナビゲーション画像を生成するまでを説明する図
【図8】ナビゲーション画像を表示するまでの動作を示すフローチャート
【図9】撮像方向の制御を行う動作を示すフローチャート
【図10】従来のナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0059】
11 撮像部
12 動き情報生成部
13 画像クリップ部(抽出部)
14 ナビゲーション部(3次元地図画像出力部)
15 画像合成部
16 表示部
17 撮像位置制御部(制御信号出力部)
18 駆動部
100 ナビゲーションシステム
200 車載用撮影装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車を目的地に誘導するための地図領域とそれ以外の天空領域を含む3次元地図画像を出力する3次元地図画像出力部と、
車の進行方向の風景を撮像し背景画像を生成する撮像部と、
前記撮像部により生成された背景画像から天空を示す天空領域を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された天空領域を、前記3次元地図画像出力部により出力された3次元地図画像の天空領域にはめ込んだ画像を合成する画像合成部と、
前記画像合成部により合成された画像を表示する表示部と、
を備えるナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーションシステムであって、
前記撮像部により生成された背景画像の動きを示す動き情報を生成する動き情報生成部を更に備え、
当該動き情報生成部は、前記動き情報に基づき、前記撮像部により生成された背景画像から天空領域を特定する特定情報を生成する特定情報生成部を含み、
前記抽出部は、前記特定情報生成部により生成された特定情報に基づき、前記撮像部により生成された背景画像から天空領域を抽出する、ナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項2記載のナビゲーションシステムであって、
前記撮像部を駆動し、その撮影範囲を変更させる駆動部と、
前記特定情報生成部により生成された前記特定情報に基づき、前記撮像部の撮影範囲を制御する制御信号を前記駆動部に出力する制御信号出力部とを更に備え、
前記駆動部は、前記制御信号出力部より入力された制御信号に基づき、前記撮像部の撮像範囲を変更させる、ナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項2又は3記載のナビゲーションシステムであって、
前記動き情報生成部により生成される動き情報は、前記撮像部により生成された背景画像の所定箇所に割り当てられた複数のブロックの動きを示す動きベクトルであり、
前記動き情報生成部は、
前記複数のブロックの動きベクトルからブロックの移動距離を算出する移動距離算出部と、
前記移動距離算出部により算出されたブロックの移動距離と、前記撮像部により生成された背景画像から天空領域を決定するための基準値とを比較する比較部と、
前記比較部により前記ブロックの移動距離と前記基準値とが比較された結果、該移動距離が該基準値未満である場合には、当該ブロックを天空領域の一部と判定し、一方、該移動距離が該基準値以上である場合には、当該ブロックを天空領域外の地上領域の一部と判定する判定部とを更に含み、
前記特定情報生成部は、
前記判定部がブロックを地上領域の一部と判定した場合には、判定対象となったブロックの一つ上のブロックを、背景画像の天空領域を指定する情報として前記抽出部及び前記撮像位置制御部に出力する、ナビゲーションシステム。
【請求項5】
車の進行方向の風景を撮像し背景画像を生成する撮像部と、
前記撮像部を駆動し、その撮影範囲を変更させる駆動部と、
前記撮像部により生成された背景画像の動きを示す動き情報を生成する動き情報生成部と、
前記動き情報生成部により生成された動き情報に基づき、前記撮像部により生成された背景画像から天空領域を特定する特定情報を生成する特定情報生成部と、
前記特定情報生成部により生成された前記特定情報に基づき、前記撮像部の撮影範囲を制御する制御信号を前記駆動部に出力する制御信号出力部とを備え、
前記駆動部は、前記制御信号出力部より入力された制御信号に基づき、前記撮像部の撮像範囲を変更させる、車載用撮影装置。
【請求項6】
車を目的地に誘導するための地図領域とそれ以外の天空領域を含む3次元地図画像を出力するステップと、
車の進行方向の風景を撮像し背景画像を生成するステップと、
前記背景画像から天空を示す天空領域を抽出するステップと、
前記天空領域を、前記3次元地図画像の天空領域にはめ込んだ画像を合成するステップと、
前記合成された画像を表示するステップと、を備えるナビゲーションシステム制御方法。
【請求項7】
請求項6記載の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−125974(P2006−125974A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313853(P2004−313853)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】