説明

ナビゲーションシステム

【課題】 車両にスペース効率高く搭載できると共に、車両に作用する加速度を検出する加速度センサの削減を図ることができるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】 車両には、各種システムの加速度センサ3〜5及びジャイロセンサ6が搭載されており、ナビゲーション装置7の制御回路8は、それらのセンサ3〜6からの検出信号に基づいて自律航法を行う。従って、ナビゲーション装置7は加速度センサを内蔵する必要がないので、加速度センサの検出方向に合わせてナビゲーション装置7の配置方向を合わせる必要がなくなり、ナビゲーション装置7の配置の自由度を高めることができると共に、加速度センサを削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に作用する加速度を検出する加速度センサの検出を利用して自律航法時における現在位置を演算するナビゲーション装置を備えたナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS利用ナビゲーションシステムにおいて、自律航法を実現するために、コンピュータ内に加速度センサ或いはジャイロセンサなどの車両に作用する加速度を検出するセンサを内蔵するようにしている。
【特許文献1】特開2000−264122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の加速度センサは、検出方向に異方性を有しており、検出方向が車両の所定方向となるように正しく車両に搭載することが求められている。つまり、ナビゲーション用コンピュータ内に搭載方向の制約がある加速度センサを内蔵する必要から、コンピュータ本体の車両への搭載姿勢に対する制限も同じように発生し、コンピュータそのものを検出したい方向に正しく搭載することが求められる。このため、車両意匠に合致しない搭載を強いられることとなり、搭載ブラケットの複雑化や姿勢の制限に伴うデッドスペースの発生を生じている。
【0004】
また、近年の車両装備の充実化により、多方向からの衝撃を検知して該当方向だけ作動するエアバッグシステム、サスペンションを制御して車両姿勢を制御する車両姿勢制御システム、車両姿勢を検知してヘッドライトの向きを制御するシステムなど、車両の動きを検出する加速度センサが次々と導入され、ナビゲーション用の加速度センサと重複している(特許文献1参照)。このことは、同じ機能の加速度センサをシステムが違うために1台の車両に複数の加速度センサを搭載することになり、無駄なコスト高を招来している。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、車両にスペース効率高く搭載できると共に、車両に作用する加速度を検出する加速度センサの削減を図ることができるナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、車両には、所定システムの構成要素として加速度センサが搭載されており、その加速度センサの検出に基づいて所定システムが動作する。
ここで、ナビゲーション装置は、所定システムの加速度センサの検出を利用し、その検出状態に基づいて自律航法による現在位置を演算するので、システムとして必要となる加速度センサを特別に設ける必要がなくなり、ナビゲーション装置の搭載形態を自由とすることができると共に、車両に搭載する加速度センサの削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施例について図1ないし図3を参照して説明する。
図2は、車両のフロアパネルを模式的に示す平面図である。この図2において、車両には、所定システムの構成要素として複数の加速度センサが搭載されている。所定システムとしては、多方向からの衝撃を検知して該当方向だけ作動するエアバッグシステム1、車両の上下動を検出してサスペンションを制御する車両姿勢制御システム2(図1参照)などがあり、これらのシステムとして車両の動きを検出する各種の加速度センサが車両のフロアパネル或いはインストルメントパネルなどの所定部位に搭載ブラケットにより搭載されている。これらの加速度センサは、その検出方向がシステムに対応して所定方向となるように車両に搭載されている。つまり、エアバッグシステム1の前後検出用加速度センサ3は車両の前後方向を検出するように設けられ、左右検出用加速度センサ4は車両の左右方向の加速度を検出するように設けられている。車両姿勢制御システム2の上下検出用加速度センサ5は、車両の上下方向の加速度を検出するように設けられている。加速度センサとしてのジャイロセンサ6は、車両の旋回時の角速度を検出するようにフロアパネルの中央に設けられている。
【0008】
ここで、これらの加速度センサを車両に搭載するための搭載ブラケットは、その形状が小さいことから、取付けスペースが狭い場合であっても、その設置方向を厳密に規定することができると共に、安全装備のためのセンサであることから、その検出方向は、性能上求められる方向に確実に搭載されている。
一方、例えば車両のトランクルームには、図3に示すようにナビゲーション装置7が図示しない搭載ブラケットにより搭載されている。この場合、ナビゲーション装置7の取付け方向は、後述する理由により任意でよく、図中に破線で示す従来のようにその方向に制約を受けるものではない。
【0009】
以下、ナビゲーション装置7について説明する。
ナビゲーション装置7は、図1のブロック図に示すように演算手段としての制御回路8に対して、位置検出器9、地図データ記憶部10、表示器11、音声出力装置12、記憶装置13、操作スイッチ群15、リモコン16からの操作信号を受信するリモコンセンサ17、外部の送受信装置と通信するための送受信機18などを接続して構成されている。
【0010】
ナビゲーション装置7の構成要素のうち、制御回路8、位置検出器9、記憶装置13などは、一つのケースに収納されて車両のトランクルームの所定位置に搭載ブラケットで固定されている。
位置検出器9は、絶対方位を検出するための地磁気センサ19、車両の走行距離を検出する距離センサ20、GPSにより現在位置を検出するためのGPS受信機21から構成されている。この位置検出器9は、各センサ19〜21が性質の異なる検出誤差を有するため、互いの検出誤差を補完しながら精度の高い位置検出を行うようになっている。そして、制御回路8は、位置検出器9の各センサ19〜21の検出結果に基づき、車両の現在位置を確定する。なお、位置検出器9は、要求される精度で現在位置を算出可能であれば、上記の全てを備える必要は無い。
【0011】
地図データ記憶部10は、例えばDVD−ROMなどの情報記録媒体と、この情報記録媒体から地図データを読み取る読取装置とから構成されており、読取装置によって地図データ、マップマッチング用データ、経路を音声で案内するためのデータを制御回路8に与えるようになっている。
表示器11は、例えば液晶ディスプレイなどの表示画面を備えて構成されており、その表示画面に地図データや文字或は記号などを表示できるようにしている。ここで、制御回路8は、マイクロコンピュータを主体にして構成されており、各種の機能を果たす。即ち、制御回路8は、位置検出器9から現在位置情報を取得し、地図データ記憶部10から取得した地図データに基づいてその現在位置周辺の地図を表示器11の表示画面に表示すると共に、その表示画面の道路地図に重ねて車両の現在位置および進行方向を示すポインタを表示する。
【0012】
また、制御回路8は、出発地と目的地が設定されると、地図データ記憶部10の地図データに基づいて出発地から目的地までの案内経路、或は途中の経由地が設定された場合には、出発地から経由地を通って目的地までの案内経路を探索する。なお、案内経路はダイクストラ法などによって探索される。
そして、制御回路8は、探索した案内経路を表示器11の表示画面に表示されている道路地図上に表示し、車両が進路変更すべき交差点に近づくと、表示器11の表示画面に交差点名やその交差点までの距離などを表示する。また、制御回路8は、交差点での進路案内を音声で行うために音声出力装置12に指示を発する。音声出力装置12は、スピーカを有し、制御回路8からの指示に基づいて進路方向を音声にて案内する。
【0013】
なお、位置検出器9の距離センサ20は、車軸の回転を検出する回転センサからパルス信号を受け、そのパルスにタイヤ径を乗ずることにより走行距離を算出するようになっている。
即ち、制御回路8は、GPS受信機21によって測位された車両の現在位置を取得し、その座標位置を地図データ記憶部10より読み出した地図データの画像に合わせて表示器11に表示する。また、GPS受信機21が必要なGPS信号を受信できない場合には、以前に得た絶対位置座標に、距離センサ20に加えて他のシステムの構成要素として車両に搭載されている各種システムの加速度センサ3〜5及びジャイロセンサ6により与えられるセンサ信号に基づいて車両の移動状態(相対位置)を演算することで、現在位置を推測する自律航法も行うようになっている。
【0014】
ここで、制御回路8が自律航法を行う場合は、他のシステムの構成要素として車両に搭載されている加速度センサ3〜5及びジャイロセンサ6を利用して車両の所定方向に作用する加速度を検出し、自律航法時における車両の現在位置を周知のように演算するようになっている。
【0015】
このような実施例によれば、自律航法時に現在位置を推測する加速度センサとして、他のシステムの構成要素として搭載されている各加速度センサ3〜5及びジャイロセンサ6を利用するようにしたので、ナビゲーション装置7に加速度センサを内蔵する必要がなくなる。従って、ナビゲーション装置の配置を、内蔵した加速度センサの検出方向を配慮しなければならない従来例のものと違って、ナビゲーション装置7を搭載ブラケットにより車両に搭載する際の形態が自由となるので、ナビゲーション装置7の配置形態が自由となると共に、車両に作用する加速度を検出する加速度センサが重複して車両に搭載するという不具合を防止することができる。
【0016】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
図4に示すようにナビゲーション装置7をインパネ内に配置した場合、従来のようにナビゲーション装置7を車両の左右方向を指向するように配置(図中に破線で示す)する必要はなく、自由配置とすることができる。この場合、ナビゲーション装置7を自由配置とすることにより、例えばワイヤハーネス通過用の孔の拡大或いは位置の変更を図ることができる。
車両姿勢を検知してヘッドライトの向きを制御するヘッドライト制御システムに使用されている加速度センサを利用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例を示す全体のシステム構成を示すブロック図
【図2】各加速度センサの配置を示す車両のフロアパネルの模式図
【図3】ナビゲーション装置の配置を示す図
【図4】本発明のその他の実施例を示す図3相当図
【符号の説明】
【0018】
図面中、1はエアバッグシステム(所定システム)、2は車両姿勢制御システム(所定システム)、3〜5は加速度センサ、6はジャイロセンサ(加速度センサ)、7はナビゲーション装置、8は制御回路である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定システムの構成要素として車両に搭載され、車両に作用する加速度を検出する加速度センサと、
車両に搭載ブラケットにより搭載され、GPS衛星からの信号に基づいて現在位置を求めるナビゲーション装置とを備え、
前記ナビゲーション装置は、前記加速度センサの検出に基づいて自律航法時における現在位置を演算することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記所定システムは、車両姿勢制御システムであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記所定システムは、エアバックシステムであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−64505(P2006−64505A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246644(P2004−246644)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】