説明

ナビゲーション装置

【課題】 三次元表示された物体の全体を容易に把握することができる「ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】 ナビゲーション装置には、ディスプレイ装置6の表示画面に対応する最大描画領域よりも小さな区分描画領域に、物体の三次元画像を含む地図画像を描画するとともに、三次元画像の一部が区分描画領域から外れる場合には、この三次元画像の区分描画領域から外れる領域外部分を最大描画領域に対応させて描画する地図描画部14と、地図描画部14によって描画された三次元画像を含む地図画像をディスプレイ装置6に表示する表示処理部60とが備わっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の三次元表示を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の走行道路に沿って存在する建物を三次元表示することで、運転者に対して実際に目で見る状態に近い表示内容を提供するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このナビゲーション装置では、表示画面の一部の領域に三次元画像が表示される。
【特許文献1】特開平9−318380号公報(第4−5頁、図1−6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示されたナビゲーション装置では、表示画面の一部の領域に三次元画像を表示しており、三次元画像表示を行う領域が小さいため、三次元表示された建物の一部が表示領域から外れる場合にその建物の全体が把握しにくいという問題があった。特に、車両に搭載されるナビゲーション装置では表示画面全体が小さいため、三次元表示を行う領域はさらに小さくなり、この傾向は顕著となる。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、三次元表示された物体の全体を容易に把握することができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、表示画面に対応する最大描画領域よりも小さな区分描画領域に、物体の三次元画像を含む地図画像を描画するとともに、三次元画像の一部が区分描画領域から外れる場合には、この三次元画像の区分描画領域から外れる領域外部分を最大描画領域に対応させて描画する三次元地図画像描画手段と、三次元地図画像描画手段によって描画された三次元画像を含む地図画像を表示する表示処理手段とを備えている。これにより、建物等の物体の三次元画像の一部が通常の表示範囲(区分描画領域)から外れる場合であってもこの表示範囲を超えて表示されるため、三次元表示された物体の全体を容易に把握することができる。
【0006】
また、上述した三次元地図画像描画手段による領域外部分の描画の有無を切り替える指示を行う切替指示手段をさらに備えることが望ましい。これにより、通常の表示範囲を超えて表示する三次元画像の有無を適宜切り替えることができ、三次元表示された物体の全体把握を必要に応じて行うことが可能になる。
【0007】
また、上述した切替指示手段は、車両走行中は領域外部分を描画する旨の指示を行い、車両停車中は領域外部分を描画しない旨の指示を行うことが望ましい。これにより、車両走行中は三次元表示された物体の全体把握をしやすいように地図画像表示を行うことができ、適切な運転補助が可能になる。
【0008】
また、上述した領域外部分が描画される最大描画領域には、利用者による操作に関係する操作画像が表示されていることが望ましい。これにより、画面操作を行わない車両走行中においては、操作画像が表示された範囲に重なるように三次元画像を表示しても何ら不都合はなく、操作性を犠牲にすることなく拡大された範囲まで三次元画像を表示して物体の把握を容易にすることができる。
【0009】
また、上述した切替指示手段は、利用者による操作内容に基づいて指示を行うことが望ましい。これにより、利用者が表示を希望するときだけ区分描画領域を越えて三次元画像を表示したり、利用者が非表示を希望するときだけ区分描画領域を越えた領域外部分の表示を取り止めたりすることができ、利用者毎の好みを反映した表示が可能になる。
【0010】
また、上述した三次元地図画像描画手段は、領域外部分に対応する三次元画像を半透明で描画することが望ましい。これにより、区分描画領域を越えて三次元画像を表示する場合であっても、表示された領域外部分によってその下に表示される画像が完全に遮蔽されることを防止することができ、表示内容の視認性を向上させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した一実施形態の車載用のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置は、ナビゲーションコントローラ1、DVD2、ディスク読取装置3、車両位置検出部5、ディスプレイ装置6、オーディオ部7を含んで構成されている。
【0013】
ナビゲーションコントローラ1は、ナビゲーション装置の全体動作を制御するものである。このナビゲーションコントローラ1は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することによりその機能が実現される。ナビゲーションコントローラ1の詳細構成については後述する。
【0014】
DVD2は、地図表示、施設検索、経路探索などに必要な地図データが格納されている情報記録媒体である。このDVD2には、経度および緯度で適当な大きさに区切られた矩形形状の図葉を単位とした地図データが格納されている。各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。
【0015】
ディスク読取装置3は、1枚あるいは複数枚のDVD2が装填可能であり、ナビゲーションコントローラ1の制御によっていずれかのDVD2から地図データの読み出しを行う。なお、装填されるディスクは必ずしもDVDでなくてもよく、CDでもよい。DVDとCDの双方を選択的に装填可能としてもよい。また、本実施形態では、DVD2に記録された地図データを読み出すようにしたが、ディスク読取装置3の代わりにハードディスク装置を接続してハードディスク装置に記録された地図データを読み出したり、地図配信サーバからネットワーク経由で地図データを受信するなど、他の方法を用いて地図データを取得するようにしてもよい。
【0016】
車両位置検出部5は、例えば、GPS受信機、方位センサ、距離センサなどを備えており、所定のタイミングで車両位置(経度、緯度)の検出を行い、検出結果を出力する。
【0017】
ディスプレイ装置6は、ナビゲーションコントローラ1から出力される描画データに基づいて、車両位置周辺の地図画像や、周辺施設の検索結果などの各種画像を表示する。また、ディスプレイ装置6の表示画面にはタッチパネル61が備わっている。タッチパネル61は、ディスプレイ装置6の表示画面が利用者によって指し示されたときにその位置を検出するためのものであり、検出された位置をナビゲーションコントローラ1に出力する。なお、図1では、タッチパネル61とナビゲーションコントローラ1との間の接続配線は省略されている。オーディオ部7は、ナビゲーションコントローラ1から入力される音声信号に基づいて生成した案内音声等を車室内に出力する。
【0018】
次に、ナビゲーションコントローラ1の詳細構成について説明する。図1に示すナビゲーションコントローラ1は、地図バッファ10、地図読出制御部12、地図描画部14、車両位置計算部20、経路探索処理部22、誘導経路描画部26、音声案内部28、切替指示部30、入力処理部50、表示処理部60を含んで構成されている。
【0019】
地図バッファ10は、ディスク読取装置3によってDVD2から読み出された地図データを一時的に格納する。この地図データには、二次元あるいは三次元の地図画像の描画に必要なデータの他に、経路探索処理に必要なデータなども含まれている。地図読出制御部12は、車両位置計算部20により算出される車両位置や入力処理部50からの指示に応じて、所定範囲の地図データの読み出し要求をディスク読取装置3に出力する。地図描画部14は、地図バッファ10に格納された地図データに基づいて、二次元あるいは三次元の地図画像を表示するために必要な描画処理を行って地図画像描画データを作成する。本実施形態では、図4に示すように、表示画面の全体を最大描画領域D2としてその一部の領域(この一部の領域を「区分描画領域」と称する)D1に三次元の地図画像が描画され、表示されている。
【0020】
車両位置計算部20は、車両位置検出部5から出力される検出データに基づいて車両位置(自車位置)を計算するとともに、計算した車両位置が地図データの道路上にあるか否かを判定し、道路上にないと判定された場合には車両位置を修正するマップマッチング処理を行う。
【0021】
経路探索処理部22は、出発地と目的地(あるいは経由地)との間を所定の探索条件にしたがって結ぶ走行経路(誘導経路)を探索する。誘導経路描画部26は、経路探索処理部22による探索処理によって得られた誘導経路を地図上に重ねて表示するための誘導経路描画データを生成する。音声案内部28は、この誘導経路に沿って車両を誘導するために必要な交差点案内等の音声信号を生成する。
【0022】
切替指示部30は、地図描画部14によって三次元の地図画像を描画するときに、この地図画像に含まれる建物等の物体の一部が区分描画領域から外れる(はみ出す)場合に、この外れる領域外部分の有無を変更した表示態様を切り替える指示を行う。なお、領域外部分は、区分描画領域内に収めて描画することはできないため、区分領域の周囲に存在する最大描画領域を利用して描画が行われる。
【0023】
入力処理部50は、ディスプレイ装置6に操作内容を示す各種の操作ボタンが含まれる操作画面を表示するとともに、利用者によって指し示された操作ボタンをタッチパネル61による検出結果に基づいて判定し、指し示された操作ボタンに対応する命令をナビゲーションコントローラ1内の各部に向けて出力する。表示処理部60は、地図描画部14によって生成される地図画像描画データが入力されており、この描画データに基づいて所定範囲の地図画像をディスプレイ装置6の画面に表示する。また、誘導経路描画部26によって生成される誘導経路描画データが入力されると、表示処理部60は、この描画データを地図画像に重ねてディスプレイ装置6の画面に表示する。
【0024】
上述した地図描画部14が三次元地図画像描画手段に、表示処理部60が表示処理手段に、切替指示部30が切替指示手段にそれぞれ対応する。
【0025】
本実施形態のナビゲーション装置はこのような構成を有しており、次に、三次元の地図画像の表示態様を切り替える動作について説明する。
【0026】
図2は、三次元の地図画像を表示する際に表示態様を切り替える動作手順を示す流れ図である。切替指示部30は、三次元の地図画像表示が指示されているか否かを判定し(ステップ100)、指示されていない場合(二次元の地図画像表示が指示されている場合や地図画像以外の画像表示が指示されている場合)には否定判断を行ってこの判定を繰り返す。また、三次元の地図画像が指示されている場合にはステップ100の判定において肯定判断が行われ、次に、切替指示部30は、車両が停車中か否かを判定する(ステップ101)。この判定は、車両位置計算部20によって計算される車両位置に基づいて行われる。あるいは、車両位置検出部5に含まれる距離センサから一定距離毎に出力されるパルスの有無を調べることにより判定を行うようにしてもよい。走行中の場合にはステップ101の判定において否定判断が行われ、次に、地図描画部14は、区分描画領域とともにその周囲の最大描画領域を含めた領域を用いて三次元の地図画像(拡張三次元画像と称する)を描画する(ステップ102)。一方、停車中の場合にはステップ101の判定において肯定判断が行われ、次に、地図描画部14は、区分描画領域のみを用いて三次元の地図画像(通常三次元画像と称する)を描画する(ステップ103)。このようにして拡張三次元画像あるいは通常三次元画像が描画されると、表示処理部60は、これらの描画データをディスプレイ装置6に表示する(ステップ104)。
【0027】
図3は、拡張三次元画像の表示例を示す図である。図3に示す例では、表示画面の全体が最大描画領域D2であり、その一部に区分描画領域D1が設けられている。また、区分描画領域D1の左側には、利用者が各種の操作指示を行う操作画像としての操作ボタンA、B、Cが表示されている。利用者がいずれかの操作ボタンを指し示したことがタッチパネル61によって検出されるようになっている。走行中は操作ボタンA、B、Cが指し示されることがない、あるいはその頻度が低いため、区分描画領域D1から外れる建物の一部としての領域外部分Pを操作ボタンと重複するように表示しても不都合はあまりなく、操作性を犠牲にすることはほとんどない。
【0028】
図4は、通常三次元画像の表示例を示す図であり、図3に示した表示例と同じ内容で表示態様のみを切り替えた場合が示されている。停車中は操作ボタンA、B、Cを操作する頻度が高いと考えられるため、三次元の地図画像は通常描画領域D1内に収まるように描画され、表示される。
【0029】
このように、本実施形態のナビゲーション装置では、建物等の物体の三次元画像の一部が通常の表示範囲(区分描画領域D1)から外れる場合であってもこの表示範囲を超えて表示されるため、三次元表示された物体の全体を容易に把握することができる。
【0030】
また、区分描画領域D1から外れる領域外部分Pの描画の有無を切り替える指示を切替指示部30によって行うことにより、通常の表示範囲を超えて表示する三次元画像の有無を適宜切り替えることができ、三次元表示された物体の全体把握を必要に応じて行うことが可能になる。特に、車両走行中は領域外部分Pを描画する旨の指示を行い、車両停車中は領域外部分Pを描画しない旨の指示を行うことにより、車両走行中は三次元表示された物体の全体把握をしやすいように地図画像表示を行うことができ、適切な運転補助が可能になる。
【0031】
また、領域外部分Pが描画される最大描画領域D2に利用者による操作に関係する操作画像が表示されている場合には、画面操作を行わない車両走行中においては、操作画像が表示された範囲に重なるように三次元画像を表示しても何ら不都合はなく、操作性を犠牲にすることなく拡大された範囲まで三次元画像を表示して物体の把握を容易にすることができる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、三次元の地図画像が表示される区分描画領域の外部に操作ボタンA、B、Cからなる操作画像を表示したが、区分描画領域の外部には操作画面以外の画像、例えば二次元の地図画像や施設情報を示す画像を表示するようにしてもよい。
【0033】
また、上述した実施形態では、車両が走行中か停車中かによって拡張三次元画像を表示するか通常三次元画像を表示するかを切替指示部30によって切り替えたが、利用者の操作内容に基づいてこの切り替えを行うようにしてもよい。例えば、通常三次元表示を行っているときに最大描画領域の一部に「拡張」ボタンを表示し、利用者がこのボタンを指し示したときに拡張三次元画像に切り替えるようにする。また、拡張三次元表示を行っているときに最大描画領域の一部に「通常」ボタンを表示し、利用者がこのボタンを指し示したときに通常三次元画像に切り替えるようにする。これにより、利用者が表示を希望するときだけ区分描画領域D1を越えて三次元画像を表示したり、利用者が非表示を希望するときだけ区分描画領域D1を越えた領域外部分Pの表示を取り止めたりすることができ、利用者毎の好みを反映した表示が可能になる。
【0034】
また、上述した実施形態では、区分描画領域D1から外れる建物の一部としての領域外部分Pの表示方法については特に説明しなかったが、この領域外部分Pの表示方法に特徴を持たせるようにしてもよい。例えば、領域外部分Pを半透明で描画することにより、区分描画領域D1を越えて三次元画像を表示する場合であっても、表示された領域外部分によってその下に表示される画像(操作ボタンA等)が完全に遮蔽されることを防止することができ、表示内容の視認性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】三次元の地図画像を表示する際に表示態様を切り替える動作手順を示す流れ図である。
【図3】拡張三次元画像の表示例を示す図である。
【図4】通常三次元画像の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ナビゲーションコントローラ
5 車両位置検出部
6 ディスプレイ装置
10 地図バッファ
12 地図読出制御部
14 地図描画部
20 車両位置計算部
22 経路探索処理部
26 誘導経路描画部
30 切替指示部
50 入力処理部
60 表示処理部
61 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に対応する最大描画領域よりも小さな区分描画領域に、物体の三次元画像を含む地図画像を描画するとともに、前記三次元画像の一部が前記区分描画領域から外れる場合には、この三次元画像の前記区分描画領域から外れる領域外部分を前記最大描画領域に対応させて描画する三次元地図画像描画手段と、
前記三次元地図画像描画手段によって描画された前記三次元画像を含む前記地図画像を表示する表示処理手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記三次元地図画像描画手段による前記領域外部分の描画の有無を切り替える指示を行う切替指示手段をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記切替指示手段は、車両走行中は前記領域外部分を描画する旨の指示を行い、車両停車中は前記領域外部分を描画しない旨の指示を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記領域外部分が描画される前記最大描画領域には、利用者による操作に関係する操作画像が表示されていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記切替指示手段は、利用者による操作内容に基づいて前記指示を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記三次元地図画像描画手段は、前記領域外部分に対応する前記三次元画像を半透明で描画することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−29782(P2006−29782A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204038(P2004−204038)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】