説明

ニコチンの速やかな放出をもたらす安定なロゼンジ組成物

ニコチンの速やかな放出をもたらすニコチン含有組成物。ニコチンはニコチン−セルロース結合物の形態で存在する。該組成物は、口腔投与用に設計されており、ニコチンは口腔で速やかに組成物から放出され、口腔粘膜を通して吸収されて利用される。該組成物はロゼンジであり、優れた貯蔵安定性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はニコチンを含む組成物に関し、この組成物はニコチンの速やかな放出をもたらす。ニコチンはニコチン−セルロース結合物(combination)の形態で存在する。該組成物は口腔に投与するように設計されており、ここでニコチンは該組成物から速やかに放出され、口腔粘膜から吸収される。該組成物はロゼンジであり、優れた貯蔵安定性を有している。
【背景技術】
【0002】
喫煙行動は、喫煙者のみならず受動的喫煙に曝されるその周りの人々に対しても重大な健康リスクを伴っている。したがって、喫煙を止めることが、長年にわたって専門家の忠告であった。しかしながら、喫煙者はニコチン依存症になっており、大部分の喫煙者にとって、それを止めることを極めて困難にしている。
【0003】
ニコチンを投与する別の方法が、喫煙者が彼らの不健康な習慣を止めるのを助ける試みとして採用されている。チューインガム、吸入剤、パッチまたは口腔スプレーのような、ニコチンの口腔または経皮投与を採用したいくつかの製品が、喫煙を止めることを望んでいる喫煙者にとって入手可能である。
【0004】
たばこ自体は、ニコチン以外にいくつかの他の毒性化合物を含んでいるので、喫煙以外の方法でたばこを消費している人には、ニコチン代替製品も適切である。主にスカンジナビア、特にスウェーデンでは、たばこは噛みたばこまたは嗅ぎたばことして消費されている。ニコチン代替製品の使用は、噛みたばこまたは嗅ぎたばこの消費者だけでなく喫煙者をも、たばこに起因する発癌性リスクから救うであろう。
【0005】
上記のようないくつかのニコチン代替製品を利用できるにも拘わらず、ニコチン依存性の多くの人々が、依然としてたばこの消費を止めることが困難であると感じている。その理由は、多分複数の要因の組合せであり、それらのうちの2つは、血流中で達成されるニコチン濃度、およびさらに重要なことに、ニコチンが血流に到達し、それによって使用者に望ましい効果を与える割合に関連している。
【0006】
ニコチンが血流に到達する速度は、ニコチン代替製品からニコチンが放出されるインビトロ速度によって制限され得る。したがって、ニコチンを速やかに放出する、例えば速やかなインビトロおよび/またはインビボ放出性を有する、ニコチン含有医薬組成物の必要性が存在する。
【0007】
さらに、ニコチンの速やかな放出は、組成物における必要なニコチンの全含量を最小限にし、このことは使用者におけるこの潜在的な毒性化合物の全摂取量という点および製造上の経済性という点において利益となる。
【0008】
ニコチンを含むロゼンジ組成物は、以前にも記載されているが、本発明者らの知る限りにおいて、パッケージを強固にシールしないでも充分な貯蔵安定性を有する、速放性のニコチン含有ロゼンジ組成物を提供することはできていない。安定性の問題は、主として(遊離塩基が液体の形態にある)ニコチンの揮発性に関連している。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
本発明は、ニコチンの速やかな放出をもたらし、したがってインビボで使用するとニコチンの血清中濃度の速やかな増加をもたらす組成物を提供することにより、上記の問題を解決することを目指している。
【0010】
該組成物は、舌下吸収用の錠剤の形態(すなわち、ロゼンジの形態)にあり、24か月以上の貯蔵期間を有している。該組成物は医薬組成物および/またはたばこ代替組成物として用いることができる。
【0011】
かくして、本発明は、対象者の口腔へ組成物を適用した後、ニコチン作用の速やかな発現を達成するロゼンジ組成物を製造するための、ニコチン−セルロース結合物および一つ以上の医薬的に許容される賦形剤の使用に関する。
【0012】
本発明者らは、ニコチンの速やかな初期放出を達成するためには、インビボでの溶解時間が15分またはそれより短くなければならないことを見出した。インビボ溶解時間は、ロゼンジの投与からそれが完全に崩壊するまでの時間として決定される。
【0013】
さらに、本発明は、適切な貯蔵安定性を有し、組成物からのニコチンのいかなる消失をも避けるために、Barexシールされる必要のない、ロゼンジ組成物を提供する。以下の実施例に示されるように、室温で少なくとも2年間の貯蔵安定性が得られる。
【0014】
本明細書において、「ニコチン−セルロース結合物」という用語は、(遊離塩基または医薬的に許容される塩、複合体または溶媒和物のいずれかとして)特定量のニコチンを、例えばセルロース中の空洞または孔の内部および/またはその上に収着(吸着および/または吸収)しているセルロースからなる固形の物質を表すことを意図している。
【0015】
明細書中で用いられる「ニコチン−セルロース付加物」および「ニコチン−セルロース担体複合体」という用語は、「ニコチン−セルロース結合物」という用語と同じ意味を有することを意図している。ここで使用されているように、セルロースは担体の一例である。
【0016】
本発明の組成物は、ニコチンの速やかな初期放出性を有しており、したがって、−インビトロ放出試験に付されたとき−該組成物は試験の開始後、最初の2分以内に1分あたり組成物の全含量の10重量%以上に相当する放出割合でニコチンを放出する。
【0017】
ニコチン効果の速やかな発現は、消費者に受け入れられる製品であるためにきわめて重要である。したがって、本発明のロゼンジ組成物の場合、対象者の口腔へ組成物を適用した後、例えば2.5分以内または2分以内のように、3分以内に発現が生じる。
【0018】
したがって、もう一つの観点において、本発明は、ニコチンまたは医薬的に許容される塩、溶媒和物、複合体、付加物、またはそれらの誘導体、および一つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含む、固形または半固形の投与形態にある組成物、特にロゼンジ組成物に関する。
ここで−明細書中に記載されているインビトロ溶解試験に付されたとき−試験の開始後最初の2分以内に、1分あたり組成物の全含量の7.5重量%以上に相当する放出割合でニコチンを放出する。
【0019】
以下の実施例から明らかなように、本発明者らは、ロゼンジの形態にある組成物が、インビボで用いられたとき、ニコチンの速やかな放出およびそれに続く血清中への速やかな出現を達成するのに特に適していることを見出した。
【0020】
したがって、特定の態様において、本発明は以下のことに関する。
i) ニコチンまたは医薬的に許容される塩、溶媒和物、複合体、付加物、またはそれらの誘導体、および一つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含み、−ここに記載されているインビトロ溶解試験に付されたとき−試験の開始後最初の2分以内に、1分あたり組成物の全含量の7.5重量%以上に相当する放出割合でニコチンを放出するロゼンジ。
【0021】
さらに、本発明は、ニコチンもしくは医薬的に許容される塩またはそれらの誘導体、および一つ以上の医薬的に許容される賦形剤を混合し、適切な固形の投与形態に成形することを含む、組成物の製造方法を提供する。
【0022】
本発明は、本発明による組成物の、ニコチン依存症および/またはニコチン禁断症候群の治療のための使用にも関する。
以上の記載は、以下の詳細な説明がよりよく理解されるように、本発明の特徴および技術的な利点を、どちらかと言えば大まかに記述している。
【0023】
本発明の追加的な特徴および利点は以下に記載されており、本発明の請求の範囲の対象となっている。開示されている構想および特定の態様が、本発明と同一の目的を実現するために、別の構造に変形されるか、あるいは設計されるのに基礎として容易に利用され得ることは、当業者に認められるべきである。
そのような同等の構造が、付記されている請求の範囲に示されている本発明の精神および範囲から逸脱したものでないことも、当業者に認識されるべきである。
【0024】
本発明の特徴であると信じられる新規な特性は、添付された図面とともに考慮されたとき、その構成および操作方法のいずれもが、さらなる対象物および利点と共に、以下の記載からよりよく理解されるであろう。
しかしながら、それぞれの図は例示あるいは説明のためにのみ提供されており、本発明を制限する定義として意図されたものでないことは、明確に理解されるべきである。
【0025】
発明の詳細な説明
長年の特許法の慣例に従って、「a」および「an」という言葉は、請求の範囲を含む本明細書中で、「含む」という言葉と一緒に用いられるとき、「一つ以上」を意味している。
【0026】
本発明のいくつかの態様は、一つ以上の要素、方法の工程および/または本発明の方法からなるか、もしくはそれらから実体的になっている。ここに記載されているいずれの方法または組成物も、ここに記載されている他のいずれかの方法または組成物に関して実施され得ることが意図されている。
【0027】
上記のように、本発明は、特に口腔粘膜に投与されたときに、血清中濃度のきわめて速やかな上昇を達成するように、ニコチンをきわめて速やかに放出する、ニコチン含有組成物に関する。特に、本発明は、ロゼンジのように口腔粘膜へのニコチンの送達に適した形態にある組成物に関する。
【0028】
第一の観点において、本発明は、ニコチンまたは医薬的に許容される塩、溶媒和物、複合体、付加物、またはそれらの誘導体、および一つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含み、−ここで記載されているようにインビトロ溶解試験に付されたとき−試験の開始から最初の2分以内に、1分あたり組成物の全含量の7.5重量%以上に相当する放出割合でニコチンを放出する、固形または半固形の投与形態のロゼンジ組成物に関する。
【0029】
以下の実施例で示されているように、そのような速やかな放出は、ニコレット(登録商標)のようなチューインガムの形態にある市販の組成物によっては得られない。この点に関して、本発明者らは、特に錠剤の形態にあるロゼンジ組成物がニコレット(登録商標)チューインガム組成物よりも有利であり、さらに特定の形態にあるニコチン含有化合物の使用ができるだけ速い放出を得るのに有利であることを見出した。
【0030】
より特定的には、試験の開始から最初の2分以内における上記の放出割合は、1分あたり組成物の全含量の、例えば11重量%以上、12重量%以上、13重量%以上、14重量%以上あるいは15重量%以上のように、10重量%以上である。
【0031】
特定の態様において、本発明による組成物は微結晶性セルロース(mcc)をさらに含む。ある特定の態様は、mccに加えて、あるいはmccを含んで、セルロース(ヘミセルロース、異なる結晶および構造を有するセルロース(例えば、固形繊維、および網状構造および/または他の構造のような種々の構造を有する繊維を含む種々の構造を含む)、Cladophora sp. Algaeセルロースなどを含む天然起源のセルロースを含む)、デキストラン、アガロース、寒天、ペクチン、アルギン酸塩、キサンタン、キトサン、澱粉(馬鈴薯澱粉、ウコン澱粉を含む)など、あるいはこれらの混合物を含む、繊維状物質または炭水化物を用いてもよい。
【0032】
ニコチンは、例えば、ニコチンの遊離塩基の形態またはその適切な塩あるいは複合体の形態のような、いずれかの適切な形態で存在し得る。さらに、ニコチンは担体複合体または担体付加物の形態で存在していてもよく、その場合ニコチンは担体化合物と共存している。
【0033】
特定の態様において、担体化合物は物質全体にわたって内部空間を含む粒子状物質であり、該空間は少なくとも部分的にニコチンを含んでいる。理論に制約されることを意図しているわけではないが、本特許出願の時点において、ニコチンは担体中への吸収および/または担体上への吸着によって、担体(例えば、mccまたは他のセルロース担体を含む他の適切な担体)と相互作用しているかも知れないと信じられている。そのような相互作用は、完全にまたはほとんど完全に可逆的である。
【0034】
内部空間を有する特に適切な物質は、例えば微結晶性セルロースのようなセルロースである。適切な微結晶性セルロースの特別の例は、グレードPH−100、PH−102、PH−103、PH−105、PH−112、PH−113、PH−200、PH−300、PH−302のアビセル(登録商標)、グレード101、102、12、20のビバセル(登録商標)およびグレード50Mおよび90Mのエモセル(登録商標)など、およびそれらの混合物からなる群から選択される微結晶性セルロースである。
【0035】
微結晶性セルロースは、合成または半合成セルロースであってよく、あるいは天然セルロースから誘導されてもよい。
適切な担体は、WO2004/064811に開示されているものであってもよく、それらはここに参照として組み込まれる、
【0036】
さらに特定的には、使用に適する担体としては、比較的大きい表面積が重要であると考えられている。したがって、適切な担体の比表面積は、通常、例えば1m2/gのように少なくとも0.7m2/gである。
【0037】
ある種の使用においては、表面積は、約0.7m2/g〜少なくとも約100m2/gの範囲でよく、そして/またはこの範囲の何れであってもよく、そして/またはこの範囲の大きさの混合物であってもよい。例えば、ある態様において、表面積は、約0.7m2/g、約1m2/g、約1.5m2/g、約2.0m2/g、約3.0m2/g、約5m2/g、約7m2/g、約10m2/g、約15m2/g、約20m2/g、約25m2/g、約35m2/g、約45m2/g、約50m2/g、約75m2/g、約100m2/g、および約100m2/gより大きい、あるいはこれらの組合せであってもよい。
【0038】
そのような適切な表面積を有する担体は、mcc、繊維状物質またはセルロース(ヘミセルロース、異なる結晶性および構造を有するセルロース(例えば、固形繊維、および網状構造および/または他の構造のような種々の構造を有する繊維を含む種々の構造を含む)、Cladophora sp. Algaeセルロースなどを含む天然起源のセルロースを含む)、デキストラン、アガロース、寒天、ペクチン、アルギン酸塩、キサンタン、キトサン、澱粉(馬鈴薯澱粉、ウコン澱粉を含む)など、あるいはこれらの混合物を含む、繊維状物質または炭水化物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0039】
通常、担体化合物の平均粒径の範囲は、約15〜約250μmである。
本発明者らは、用いられるセルロースの小さい粒径が、投与後のざらざらしたあるいは砂のような舌触りを避けるのに有利であることを見出した。したがって、約20μmの平均粒径が適切であり、そのような材料の一例はアビセルPH−105である。
【0040】
さらに特定的には、本発明の態様において、ニコチンはニコチン−セルロース結合物として存在しており、その中でニコチンは微結晶性セルロース上に少なくとも部分的に収着しており、そして/または少なくとも部分的に担体中に吸収されており、そして/または担体(例えばmcc)上に吸着しているか、あるいはそれらの混合物である。そのような相互作用は完全にまたはほぼ完全に可逆的である。
【0041】
したがって、ある特定の態様において、ニコチンは微結晶性セルロース上に収着しており、mcc中に吸収されており、そして/またはmcc上に吸着しており、そして/またはこれらの組合せである。
【0042】
本発明の態様において、担体(例えば、mccおよび/または他の天然起源のセルロースに制限されない)は、少なくとも部分的に多孔性である。この多孔性は、例えば、限定されるわけではないが、担体の構造、例えば、分岐状、繊維状または網状構造が多孔を有していることに起因しているであろう。孔径の範囲は、限定されるわけではないが、約0.01cm3/gの孔容積を含んでおり、必らずしも限定されるわけではないが、約0.003cm3/g以下〜約0.025cm3/gまで、あるいは約0.60cm3/g以上までの範囲の孔容積を含んでいる。
【0043】
通常、ニコチン−セルロース結合物は、本発明の組成物中に、約2重量%〜約98重量%、約2重量%〜約96重量%、約重量2%〜約95重量%、約3重量%〜約90重量%、約4重量%〜約85重量%、約5重量%〜約80重量%、約5重量%〜約75重量%、約5重量%〜約70重量%、または約7.5重量%〜約65重量%の範囲のように、少なくとも約2重量%の濃度で存在する。
【0044】
ある態様において、収着、例えば担体中に吸収および/または担体上に吸着しているニコチンの量は、組成物の全重量の50%まで、あるいはそれ以上であることができる。本発明において担体上に収着しているニコチン量の範囲は、組成物の全重量の約1%未満〜組成物の約50%より多い量にわたっており、この範囲内の全ての量を含んでいる。
【0045】
本出願人は本発明が理論に制約されることを意図していないが、この出願時点において、担体上および/または担体中に収着され得るニコチンの最大量、それによって例えば全組成物に対するニコチンの百分率のような量(例えば最高百分率)に影響するニコチンの最大量は、限定されるわけではないが、担体の構造、担体の多孔度、および担体の表面積を含む担体の特性に影響されると信じられている。
【0046】
特定の態様において、本発明の組成物中におけるニコチン担体複合体またはニコチン担体付加物の濃度は、例えば(全組成物の)約2重量%〜約20重量%、約4重量%〜約19重量%、約5重量%〜約18重量%、約6重量%〜約17重量%、約7重量%〜約16重量%または約8重量%〜約15重量%のような濃度で存在する。特に、これは、ニコチンの要求量が、例えば10mgまでの範囲のように比較的少ない状況における場合である。
【0047】
その他の態様において、担体化合物は、例えば担体化合物がポラクリレックス(polacrilex)を含むイオン交換化合物である場合のように、ニコチンと複合体を形成することができる。
【0048】
ニコチンの濃度および量
上記のように、ニコチンは適切ないずれの形態においても存在することができる。通常、ニコチンは、ニコチン塩基、ニコチン塩酸塩、ニコチン2塩酸塩、ニコチンモノ酒石酸塩、ニコチンビ酒石酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン・塩化亜鉛1水和物のようなニコチン・塩化亜鉛およびニコチンサリチル酸塩からなる群から選択される。好ましい観点において、ニコチンは遊離塩基の形態であり、セルロース上に容易に収着されて、微結晶性セルロース−ニコチン担体複合体または担体付加物を形成する。
【0049】
ニコチンは通常、組成物中に、例えば約0.1〜約80重量%、約0.1〜約70重量%、約0.1〜約60重量%、約0.1〜約50重量%、約0.1〜約40重量%、約0.1〜約30重量%、約0.1〜約20重量%、約0.1〜約10重量%のような約0.1重量%〜約90重量%、通常は約0.1〜約5重量%の濃度で存在する。
【0050】
通常、ニコチン化合物は、(遊離塩基として計算して)例えば約0.5重量%〜約45重量%、約1.0重量%〜約40重量%、約1.5重量%〜約35重量%、約2重量%〜約30重量%、約2.5重量%〜約25重量%、約2.5重量%〜約20重量%、約3重量%〜約15重量%のような約0.1重量%〜約50重量%の範囲のように、少なくとも約0.1重量%の濃度で存在する。
【0051】
特に、比較的少量のニコチンを含む組成物(例えばチューインガム)において、ニコチン化合物の濃度は、遊離ニコチン塩基として計算して、通常、例えば約0.1重量%〜約14重量%、約0.1重量%〜約13重量%、約0.1重量%〜約12重量%、約0.1重量%〜約11重量%、約0.1重量%〜約10重量%のように、約0.1重量%〜約15重量%の範囲である。
【0052】
上記のように、ニコチンはニコチン−セルロース結合物の形態で存在する。通常、この結合物は、例えば約10〜約100%、約5%〜約50%または約45%〜約100%のように、約5%〜約100%の濃度で存在する。適切な濃度の選択は、ニコチン−セルロース結合物へのニコチンの充填量およびニコチンの投与量に依存する。充填量が比較的多い場合、結合物の濃度は充填量が比較的少ない場合より低く、逆の場合も同様である。
【0053】
例えばアビセル(登録商標)または同様な品質のセルロースを用いる特定の態様において、結合物の濃度は、通常、例えば約85重量%〜約98重量%、約90重量%〜約98重量%、約92重量%〜約98重量%、約93重量%〜約97重量%または約94重量%〜約96重量%のように、約80重量%〜約98重量%である。
【0054】
ニコチン(またはその医薬的に許容される塩、複合体またはそれらの溶媒和物)の組成物中の濃度は、例えば多くて60重量%、多くて50重量%、多くて45重量%のように、多くても70重量%である。
【0055】
ニコチンの含量は、(粉末形態にある)結合物が湿って、その結果、ニコチンが結合物から脱着し、蒸発し、あるいは消滅するために、あまり高くするべきではない。したがって、結合物へのニコチンの充填量は用いられる個々のセルロースに依存する。
【0056】
セルロース材料の表面積が比較的大きければ、適切な期間、より多くの量のニコチンが安定に含まれ得る。一方、通常、セルロースの表面積が小さければ小さいほど、安定性に関して適切な状態でニコチンを充填する能力がより低くなる。
【0057】
大部分のセルロースの品質において、ニコチン−セルロース結合物中のニコチンの濃度は、ニコチン塩基として計算して、例えば多くて約40重量%、多くて約35重量%、多くて約30重量%、多くて約25重量%、多くて約20重量%、多くて約15重量%、多くて約12.5重量%、多くて約10重量%、多くて約9.5重量%、多くて約9重量%、多くて約8.5重量%または多くて約8重量%のように、多くても約45重量%である。
【0058】
本発明の組成物中のニコチン化合物の量は、通常、遊離ニコチン塩基として計算して、例えば約1mg〜約8mg、約1.5mg〜約7.5mg、約2mg〜約5mg、約2.5mg〜約5mg、約3mg〜約10mg、約3mg〜約7.5mg、約3mg〜約5mgのように、例えば約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約5mgまたは約6mgのように、約0.5mg〜約10mgである。特に、2mg、3mg、4mgおよび6mgの用量が、商業的に関心のある量である。錠剤の重量は、約50mg〜600−650mgのように、約700mgまでの範囲である。
【0059】
緩衝剤
本発明による組成物は、一つ以上の緩衝剤を含んでいてもよい。口腔における弱アルカリ性(7〜8)の反応がニコチンの吸収を増強することが一般に知られている。したがって、組成物中に弱アルカリ性反応をもたらすために、緩衝物質を含ませるのが有利であろう。特に、口腔へニコチンを放出する組成物、すなわちチューインガム、ロゼンジ、および嗅ぎ組成物のような組成物は、緩衝物質を含むのが有利である。
【0060】
適切な緩衝剤は、典型的には、酢酸塩、グリシン塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、アルカリ金属のクエン酸塩のようなクエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩およびホウ酸塩、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されるものである。
【0061】
緩衝剤が存在する場合、一つ以上の緩衝剤が例えば約0.75重量%〜約4重量%、約0.75重量%〜約3重量%または約1重量%〜約2重量%のように、約0.5重量%〜約5重量%の濃度で存在する。
【0062】
甘味剤
本発明による組成物の味覚を向上させるために、キシリトール、ソルビトールおよび/またはイソマルトを含む糖アルコール、あるいは例えばアスパルテーム、アセスルフェームもしくはサッカリンのような人工甘味剤のような一つ以上の甘味剤を加えてもよい、
【0063】
甘味剤が存在する場合、一つ以上の甘味剤の濃度は、通常、例えば約0.075重量%〜約5重量%、または例えば約10重量%〜約35重量%、約15重量%〜約35重量%または約20重量%〜約30重量%のような約5重量%〜約35重量%のように、少なくとも約0.05重量%である。
【0064】
抗酸化剤
ニコチンが酸化の対象であることは周知であり、したがって、例えばアスコルビルパルミテートおよび/またはアスコルビン酸ナトリウムのような一つ以上の抗酸化剤を、本発明の組成物中に含ませるのが有利であるだろう。
【0065】
一つ以上の抗酸化剤は、例えば約0.1重量%〜約0.25重量%または約0.15重量%〜約0.2重量%のように、約0.05重量%〜約0.3重量%の濃度で存在してもよい。
【0066】
芳香剤
本発明による組成物の感覚刺激性を改善するために、該組成物は、例えばメントールフレーバー、ユーカリ、ミントフレーバーおよび/またはL−メントールのような一つ以上の芳香剤を含んでいてもよい。通常、(芳香剤の全濃度として)約0.5重量%〜約12重量%、約1重量%〜約10重量%、約1.5重量%〜約9重量%または約2重量%〜約8重量%の濃度で存在する。
【0067】
その他の医薬的に許容される賦形剤
上記のように、本発明による組成物は、例えば充填剤、結合剤、滑沢剤、緩衝剤、安定化剤、pH調整剤、保存剤、着色剤、芳香剤、味遮蔽剤、甘味剤などのような医薬的に許容される賦形剤をさらに含んでいてもよい。
【0068】
賦形剤は、錠剤を製造するために製薬産業で通常用いられている賦形剤、すなわち充填剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などの群から選択される。このために、直接打錠を可能ならしめる賦形剤が好ましい。ガイダンスは、Rowe, R. C.らが編集した医薬賦形剤のハンドブック、第4版、Pharmaceutical Press, London 2003に見られ、ここに参照として組み込まれる。
【0069】
適切な充填剤は、セルロースおよび微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを含むセルロース誘導体、乳糖、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉などを含む澱粉を含む。
適切な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムを含むステアリン酸塩、タルク、コロイド状の2酸化珪素などを含む。
【0070】
上記のように、適切な緩衝剤は、炭酸水素アルカリ金属を含む炭酸水素塩、または炭酸アルカリ土類金属を含む炭酸塩などを含み得る。緩衝剤は、例えば組成物の高いpHからニコチンを保護するために、本発明の組成物に用いられる前に被覆されていてもよい。高いpHはニコチンの安定性に負の効果を与える。後記の実施例3において、緩衝剤は他の成分との混合前にオイドラギット(登録商標)で被覆されている。
【0071】
存在する場合、例えばソルビトールおよび/またはイソマルトのような糖アルコールは、例えば約10重量%〜約35重量%、約15重量%〜約35重量%または約20重量%〜約30重量%のように、約5重量%〜約35重量%の濃度で用いられる。
上記のように、本発明によるロゼンジ組成物は、一つ以上の抗粘着剤、滑沢剤および/または流動化促進剤をさらに含んでいてもよい。
【0072】
特定の態様において、一つ以上の抗粘着剤、滑沢剤および/または流動化促進剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムを含むステアリン酸塩およびシリカならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0073】
特定の態様において、タルクは例えば約1重量%〜約8重量%、約1.25重量%〜約6重量%または約1.5重量%〜約4重量%のように約0.5重量%〜約10重量%の濃度で存在し、そして/またはステアリン酸マグネシウムは例えば約0.2重量%〜約4重量%、約0.3重量%〜約3.5重量%または約0.5重量%〜約3重量%のように約0.1重量%〜約5重量%の濃度で存在し、そして/またはシリカは例えば約0.2重量%〜約3重量%、約0.3重量%〜約2重量%または約0.4重量%〜約1.5重量%のように約0.1重量%〜約4重量%の濃度で存在する。
【0074】
ロゼンジ組成物に関する上記の全ての記述は、本発明の他の態様にも適用される。このため、ロゼンジ組成物は、チューインガム組成物(ガムベースのものを除く)について上で記載されたもののような、一つ以上の医薬的に許容される賦形剤、ならびに例えば炭酸水素塩のような緩衝剤および抗酸化剤のような添加物を含んでいてもよい。
【0075】
これらが存在する場合、ロゼンジ組成物中の一つ以上の抗酸化剤の濃度は、例えば約0.075重量%〜約0.1重量%のように、約0.025重量%〜約0.15重量%である。
【0076】
特定の態様において、本発明は次のものに関する:
次のものを含むニコチン含有ロゼンジ
i)担体;
ii)ニコチン、または医薬的に許容される塩、溶媒和物、複合体、またはそれらの誘導体。
【0077】
ここで、ニコチン含有ガムは、ヨーロッパ薬局方またはアメリカ薬局方(パドル)に記載されたインビトロ試験法により、pH7.4のリン酸緩衝液を溶解剤として用い、50または100rpmで、最初の2分以内に全組成物の少なくとも7.5重量%のニコチンを放出する。
【0078】
次のものを含むニコチン含有ロゼンジ
i)担体;
ii)ニコチン、または医薬的に許容される塩、溶媒和物、複合体、またはそれらの誘導体
ここでヒトの血清中のニコチン量で測定したとき、ヒトによるニコチンのインビボ摂取は速やかである。
【0079】
次のものを含むニコチン含有ロゼンジ
i)ニコチン−セルロース結合物(濃度範囲:0.5〜50重量%)
ii)緩衝剤(濃度範囲:2〜6重量%のような0〜10重量%)
iii)一つ以上の人工甘味料(濃度範囲:0.1〜1重量%のような0〜2重量%)
iv)一つ以上の芳香剤(濃度範囲:2〜8重量%のような0〜10重量%)
v)一つ以上の医薬的に許容される賦形剤(例えば、糖アルコールのような甘味性能を有する充填剤のような充填剤)(濃度範囲:20〜95重量%、30〜90重量%、40〜85重量%または50〜80重量%のような10〜99.5重量%)。
【0080】
ここに記載されたニコチン含有ロゼンジを個々のヒトに投与する工程を含む個々の人へのニコチンの投与方法。
次の工程を含むニコチン含有ロゼンジの製造方法:
i)担体およびニコチンまたは医薬的に許容される塩、溶媒和物、複合体もしくはそれらの誘導体を含むニコチン含有組成物を製造する。ここでヒトの血清中のニコチン量で測定したとき、ヒトによるニコチンのインビボ摂取は速やかである、
ii)ニコチン含有組成物を、任意に一つ以上の医薬的に許容される賦形剤とともに圧縮してロゼンジとする。
【0081】
ニコチン−セルロース結合物を含むロゼンジ組成物は、ニコレット(登録商標)に比べて改良された生物利用性を有しており、AUC0-infinity (試験組成物)/AUC 0-infinity (ニコレット)×100 %で計算される相対的生物利用性で表現される改善は、例えば少なくとも約130%、少なくとも約140%または少なくとも約150%のように、少なくとも約120%である−ただし、該組成物およびニコレットは遊離塩基として計算して同量のニコチンを含む。
ロゼンジに関して一般的に記述された上記の全ての事項および詳細は、上記の特定の態様に準用される。
【0082】
その他の態様
本発明は、本発明による組成物の製造方法にも関する。個々の詳細は、本明細書の実施例中に見られ、例えば適切な賦形剤をどのように選択するか、およびそのような組成物をどのようにして製造するかについてのガイダンスを、医薬ハンドブックからどのようにして見つけるかということを、当業者は知っている。
【0083】
さらなる観点において、本発明は、本発明による組成物の、たばこ代替物としての、またはニコチン禁断症候群緩和のための使用に関する。
本発明のもう一つの観点において、本発明の組成物は医薬的に使用されるためのものである。
本発明は、以下の図面および非制限的な実施例によって、より詳細に記載される。
【0084】
方法
インビトロ溶解試験
本発明による組成物は、ニコチンのインビトロ放出に関して特定の要求を満たさなければならない。適切なインビトロ試験法は、試験対象となる特定の組成物に依存している。
一般に、当業者は、特定の組成物に関する溶解試験法をどのように選択するかについてのガイダンスを、例えばヨーロッパ薬局方のような公式のモノグラフに見出すだろう。ロゼンジ組成物のための好適な溶解試験法を以下に記載する。
採用された方法と装置は、ヨーロッパ薬局方(パドル法)に従っている。
【0085】
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を示すために含まれている。本発明者により見出された代表的な技術に従う、実施例中に開示された技術は、本発明の実施に良く機能しており、したがってその実施のための好ましい様式を構成していると考えられることは、当業者により理解されるべきである。
しかしながら、当業者は、この開示に照らして、開示されている特定の態様において多くの変更が可能であり、なお本発明の精神および範囲を逸脱することなく同様のまたは類似の結果が得られるということを、理解すべきである。
【実施例】
【0086】
実施例1
ニコチン−セルロース結合物の製造
WO2004/056363に記載されたようにして、微結晶性セルロース(MCC)上にニコチンを吸着させた。したがって、この実施例において、2.40mlのニコチンを25mlのエタノール(99.5%)に溶解した。PH−102タイプのMCC(47.6g)を高速混合機に充填し、ニコチンをゆっくりと加えた。得られた湿った塊を真空乾燥して、ニコチン−セルロース結合物の微細な白色粉末を得た。
【0087】
実施例2
ロゼンジ組成物 K、L、MおよびN
ニコチン−微結晶性担体の複合体を実施例1に記載のようにして製造し、以下の表に記載の残りの成分(ステアリン酸マグネシウムを除く)と、Turbula混合機中で10分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを0.5重量%になるように加え、さらに3分間、混合を続けた。バッチサイズは250gであり、目的の錠剤重量は625mgであった。
【0088】
【表1】

【0089】
得られた粉末混合物から、直径12mmの凸状の杵を装着した単一パンチ圧縮機(Diaf TM20)で、錠剤を製造した。打錠機が力変換器を装備していなかったため、傍心設定(excenter setting)を採用した圧縮力のインジケータとして用いた。カルボマーを含まないロゼンジ組成物KおよびLについては、6.1(組成物K)および6.15(組成物L)の傍心設定を採用した。カルボマーを含むロゼンジ組成物MおよびNにつては、7.0の傍心設定を採用した。
得られた錠剤の特性は、次の表に示すとおりである。
【0090】
【表2】

【0091】
上の表から、カルボポールが錠剤の破砕強度および崩壊時間を増すことが分かる。
ニコチン濃度は、HPLCで測定した。
【0092】
実施例3
ニコチン−セルロース結合物中に2.5mgのニコチンを含むロゼンジ組成物の安定性
医薬製品は、全重量が約625mgの単位当たり2.5mgのニコチンを含む、白色、円形(直径12mm)、凸状の錠剤である。
【0093】
ロゼンジは、ニコチン−セルロース結合物の形態でニコチンを含んでいる。この実施例では、ニコチンビ酒石酸塩を用いた。セルロースへのニコチンビ酒石酸塩の充填方法は、ニコチン遊離塩基の代わりにニコチンビ酒石酸塩を用い、実施例1に記載の方法と同様である。
【0094】
表1. 2.5mgニコチンロゼンジの最終組成物
【表3】

【0095】
1 製造工程中のロスを補償するために10 % 過量
ニコチンビ酒石酸塩2水和物8.32 mgはニコチン2.75 mg に相当する、
すなわち、10 %過量はニコチン2.5 mgに相当する。
2 製造工程中に蒸発。
エタノール32.3 mg はニコチン塩を水に溶解するために用いられ、11.9 mgはオイドラ ギットL100を溶解するするために用いられる。
【0096】
ポリエチレンの2重プラスチック袋にロゼンジを封入した。最終包装は
− Transofoil(商標) LL-OPET/ポリエチレン;ポリエステル12μm/アルミニウム9μm/ポリエチレン60μm製のアルミニウム・バッグ
それぞれ20個のロゼンジを含む
および
【0097】
−PVC/PVDC−フォイル250μm/40g/m2−20μm標準アルミニウム・フォイル(保護ラッカー層およびヒートシールラッカーを含む)製のアルミニウム・ブリスター
それぞれ10個のロゼンジを含む
ロゼンジ組成物を促進安定性試験に供し、次の結果が得られた。
【0098】
アルミニウム・バッグに40℃/75%RHで保管された2.5mgニコチンロゼンジ Zonnic(商標)の安定性データ 200ユニット、バッチNo.90905−0603−26
【0099】
【表4】

【0100】
さらに、10人の対象者を含む消費者試験において組成物を試験した。本発明によるロゼンジ組成物を、市販品として入手可能な製品「Commit」と比較した。2.5/5は、2.5mgのニコチンを含み、約5分の崩壊時間を有する本発明の組成物を示している。3.5/15は、3.5mgのニコチンを含み、約15分の崩壊時間を有する本発明の組成物を示している。「効果が現れるまでの時間」として、次のコメントが与えられた。
【0101】
【表5】

【0102】
その結果、15分の崩壊時間は「効果が現れるまでの時間」が長すぎる製品であるとされ、5分の崩壊時間を有する製品が受け入れられた。
【0103】
参照
明細書中で記述した全ての特許と文献は、本発明の属する分野の当業者のレベルについて指示的である。全ての特許と文献は、それぞれの刊行物が特別にかつ個々に参照により取り込まれると指示されているのと同様の程度に、参照としてこの明細書に取り込まれる。
【0104】
本発明およびその利点は、詳細に記載されてはいるけれども、種々の変更、置換および変換が、付記される請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲を逸脱することなく、なされることができることが理解されるべきである。
【0105】
さらに、本出願の範囲は、明細書中に記載されている製法、機械、製造法、組成物、手段、方法および工程の特定の態様に制限されることを意図していない。
当業者が本発明の開示から容易に理解できるように、同じ機能を実質的に発揮し、または明細書に記載された対応する態様と同じ結果を実質的に達成する、現在存在するまたは後に開発される製法、機械、製造法、組成物、手段、方法および工程が、本発明により利用され得る。
【0106】
したがって、付記された請求の範囲は、その範囲の中にそのような製法、機械、製造法、組成物、手段、方法または工程を含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形の投与形態を対象者の口腔へ適用した後、ニコチン作用の速やかな発現を達成するロゼンジ組成物を製造するための、ニコチン−セルロース結合物および一つ以上の医薬的に許容される賦形剤の使用。
【請求項2】
組成物が、暗所で、25℃以下で貯蔵されたときに、24か月以上の貯蔵期間を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ロゼンジ組成物が、インビボで15分以下の溶解時間を有する、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
組成物が−明細書中に記載のインビトロ溶解試験に付されたとき−試験開始から2分以内に、1分当たり組成物中の総含量の7.5重量%以上に相当する放出割合でニコチンを放出する、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
試験開始から2分以内の放出割合が、1分当たり組成物中の総含量の、例えば11重量%以上、12重量%以上、13重量%以上、14重量%以上または15重量%以上のように、10重量%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
試験開始から2分以内の放出割合が、1分当たり組成物中のニコチンの総含量の、例えば18重量%以上、19重量%以上、20重量%以上、21重量%以上、22重量%以上、23重量%以上、24重量%以上または25重量%以上のように、17重量%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
組成物をインビトロ放出試験に付したとき、組成物中のニコチンの総含量の、例えば少なくとも70重量%のように、少なくとも65重量%が5分以内に放出される、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
組成物をインビトロ放出試験に付したとき、組成物中のニコチンの総含量の、例えば少なくとも85重量%のように、少なくとも75重量%が10分以内に放出される、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
ニコチンの効果の発現が、組成物を対象者に投与してから長くて2.5分のように、長くても5分で生じる、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
ニコチン−セルロース結合物が、内部の空所および/または孔を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
上記の空所および/または孔が、少なくとも部分的にニコチンを含む、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
セルロースが、植物、藻類、細菌、キノコ類、またはそれらの組合せに由来する、請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
セルロースが、少なくとも0.7 m2/gの表面積を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
セルロースが、微結晶性セルロースを含む結晶性のセルロースである、請求項1〜13のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
セルロースが微結晶性セルロースであり、それがアビセル(商標)グレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、 PH-302、ビバセル(商標)グレード101、102、12、20およびエモセル(商標)グレード50Mおよび90Mなど、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
上記の微結晶性セルロースが、合成もしくは半合成セルロースであるか、または天然セルロース由来である、請求項14または15に記載の使用。
【請求項17】
セルロースの平均粒子径が約15〜約250μmの範囲にある、請求項1〜16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
ニコチンが、少なくとも部分的にセルロース上に吸着している、請求項1〜17のいずれかに記載の使用。
【請求項19】
組成物中のニコチン−セルロース結合物の濃度が、約2重量%〜約98重量%、約2重量%〜約96重量%、約2重量%〜約95重量%、約3重量%〜約90重量%、約4重量%〜約85重量%、約5重量%〜約80重量%、約5重量%〜約75重量%、約5重量%〜約70重量%または約7.5重量%〜約65重量%の範囲のように、少なくとも約2重量%である、請求項1〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
組成物中のニコチン−セルロース結合物の濃度が、例えば約4重量%〜約19重量%、約5重量%〜約18重量%、約6重量%〜約17重量%、約7重量%〜約16重量%または約8重量%〜約約15重量%のように、約2重量%〜約20重量%である、請求項1〜19のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
組成物中のニコチンの濃度が、約0.05〜75重量%、約0.1〜約70重量%、約0.3〜70重量%、約0.4〜約50重量%、約0.1重量%〜約50重量%、約0.5重量%〜約45重量%、約1.0重量%〜約40重量%、約1.5重量%〜約35重量%、約2重量%〜約30重量%、約2.5重量%〜約25重量%、約2.5重量%〜約20重量%、約3重量%〜約15重量%の範囲のように、少なくとも約0.01重量%である、請求項1〜20のいずれかに記載の使用。
【請求項22】
組成物中のニコチンの濃度が、遊離のニコチン塩基として計算して、例えば約0.1重量%〜約14重量%、約0.1重量%〜約13重量%、約0.1重量%〜約12重量%、約0.1重量%〜約11重量%、約0.1重量%〜約10重量%のように、約0.1重量%〜約15重量%である、請求項1〜21のいずれかに記載の使用。
【請求項23】
上記のニコチンが、約0.1重量%〜約90重量%の濃度で存在する、請求項1〜22のいずれかに記載の使用。
【請求項24】
組成物が、遊離のニコチン塩基として計算して、例えば約1 mg 〜約8 mg、約1.5 mg〜約7.5 mg、約2 mg〜約5 mg、約2.5 mg〜約5 mg、約3 〜約10 mg、約〜3〜約7.5 mgまたは約3 mg〜約5 mgのように約0.5 mg〜約10 mg、例えば約1.5 mg、約2 mg、約2.5 mg、約3 mg、約3.5 mg、約4 mg、約5 mgまたは約6 mgのニコチン含量を有する、請求項1〜23のいずれかに記載の使用。
【請求項25】
組成物が、遊離のニコチン塩基として計算して、1.25 mgのニコチンを含む、請求項1〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
組成物が、遊離のニコチン塩基として計算して、2.5 mg のニコチンを含む、請求項1〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項27】
組成物が、遊離のニコチン塩基として計算して、5 mg のニコチンを含む、請求項1〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項28】
上記のニコチンが、ニコチン塩基、ニコチン塩酸塩、ニコチン2塩酸塩、ニコチンモノ酒石酸塩、ニコチンビ酒石酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン・塩化亜鉛1水和物のようなニコチン・塩化亜鉛およびニコチンサリチル酸塩からなる群から選択される、請求項1〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項29】
ニコチン−セルロース結合物中のニコチンが、その遊離塩基の形態にある、請求項1〜28のいずれかに記載の使用。
【請求項30】
組成物がさらに一つ以上の緩衝剤を含む、請求項1〜29のいずれかに記載の使用。
【請求項31】
一つ以上の緩衝剤が、酢酸塩、グリシン塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、アルカリ金属のクエン酸塩のようなクエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩およびホウ酸塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
一つ以上の緩衝剤が、例えば約0.5重量%〜約5重量%のように、例えば約0.75重量%〜約4重量%、約0.75重量%〜約3重量%または約1重量%〜約2重量%のように、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で存在する、請求項30または31に記載の使用。
【請求項33】
一つ以上の緩衝剤が、例えばフィルムコーティングで被覆されている、請求項31または32に記載の使用。
【請求項34】
組成物が、キシリトール、ソルビトール、マルチトールおよび/またはイソマルトを含む糖アルコール、あるいは例えばアスパルテーム、アセスルフェームもしくはサッカリンのような人工甘味剤のような、一つ以上の甘味剤をさらに含む、請求項1〜33のいずれかに記載の使用。
【請求項35】
一つ以上の甘味剤の濃度が、例えば約0.075重量%〜約5重量%のように少なくとも約0.05重量%、または例えば約10重量%〜約35重量%、約15重量%〜約35重量%または約20重量%〜約30重量%のように約5重量%〜約35重量%である、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
組成物が、例えばアスコルビルパルミテート、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ブチル化されたヒドロキシアニソール、ブチル化されたヒドロキシトルエン、ベータカロテン、トコフェロール、プロピルガレートのような一つ以上の抗酸化剤をさらに含む、請求項1〜35のいずれかに記載の使用。
【請求項37】
一つ以上の抗酸化剤が、例えば約0.1重量%〜約0.25重量%または約0.15重量%〜約0.2重量%のように、約0.05重量%〜約0.3重量%の濃度で存在する、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
組成物中の一つ以上の抗酸化剤の濃度が、例えば約0.075重量%〜約0.1重量%のように、約0.025重量%〜約0.15重量%である、請求項36または37に記載の使用。
【請求項39】
組成物が、例えばメントールフレーバー、ユーカリ、ミントフレーバーおよび/またはL−メントールのような一つ以上の芳香剤を含む、請求項1〜38のいずれかに記載の使用。
【請求項40】
チューインガム組成物中の芳香剤の総濃度が、約0.5重量%〜約12重量%、約1重量%〜約10重量%、約1.5重量%〜約9重量%または約2重量%〜約8重量%である、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
ニコチン−セルロース結合物中のニコチンまたはその医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくは複合体の濃度が、ニコチン塩基として計算して、例えば多くて60重量%、多くて50重量%、多くて45重量%、多くて約40重量%、多くて約35重量%、多くて約30重量%、多くて約25重量%、多くて約20重量%、多くて約15重量%、多くて約12.5重量%、多くて約10重量%、多くて約9.5重量%、多くて約9重量%、多くて約8.5重量%または多くて約8重量%のように、多くても70重量%である、請求項1〜40のいずれかに記載の使用。
【請求項42】
ニコチン−セルロース結合物中のニコチンの濃度が、例えば約4重量%〜約19重量%、約5重量%〜約18重量%、約6重量%〜約17重量%、約7重量%〜約16重量%または約8重量%〜約15重量%のように、約3 重量%〜約20重量%である、請求項1〜41のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
組成物が、例えば充填剤、結合剤、滑沢剤、滑剤、抗粘着剤、緩衝剤、安定化剤、pH調整剤、保存剤、着色剤、芳香剤、味遮蔽剤、甘味剤などのような医薬的に許容される賦形剤を含む、請求項1〜42のいずれかに記載の使用。
【請求項44】
一つ以上の抗粘着剤、滑沢剤および/または滑剤が、タルク、ステアリン酸マグネシウムを含むステアリン酸塩、およびシリカ、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
組成物が、タルクを例えば約1重量%〜約8重量%、約1.25重量%〜約6重量%または約1.5重量%〜約4重量%のように、約0.5重量%〜約10重量%の濃度で含む、請求項43または44に記載の使用。
【請求項46】
組成物が、ステアリン酸マグネシウムを例えば約0.2重量%〜約4重量%、約0.3重量%〜約3.5重量%または約0.5重量%〜約3重量%のように、約0.1重量%〜約5重量%の濃度で含む、請求項43〜45のいずれかに記載の使用。
【請求項47】
組成物が、シリカを例えば約0.2重量%〜約3重量%、約0.3重量%〜約2重量%または約0.4重量%〜約1.5重量%のように、約0.1重量%〜約4重量%の濃度で含む、請求項43〜46のいずれかに記載の使用。
【請求項48】
組成物が、対象者に投与された後、AUC0-infinity (試験組成物)/AUC 0-infinity (ニコレット、商標) × 100 %で計算して、例えば少なくとも約130%、少なくとも約140%または約150%のように、少なくとも約120%の相対的生物利用性を有する−ただし、該組成物およびニコレット(商標)は遊離塩基として計算して同量のニコチンを含む−請求項1〜47のいずれかに記載の使用。
【請求項49】
ニコチン依存症を治療および/または予防するための、請求項1〜48のいずれかに記載の使用。
【請求項50】
請求項1〜49のいずれかに記載の、ニコチン−セルロース結合物および一つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含む組成物。
【請求項51】
ニコチン−セルロース結合物を一つ以上の医薬的に許容される賦形剤と混合し、得られる混合物を圧縮により錠剤に成形することを含む、請求項1〜50のいずれかに記載の組成物を製造する方法。

【公表番号】特表2009−529561(P2009−529561A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558730(P2008−558730)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002345
【国際公開番号】WO2007/104575
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(505231420)ニコノヴァム エービー (4)
【氏名又は名称原語表記】NICONOVUM AB
【住所又は居所原語表記】Jarnvagsgatan 13,SE−252 24 Helsingborg,SWEDEN
【Fターム(参考)】