説明

ニコチン依存性を低減するための代謝型グルタミン酸受容体ポテンシエータの使用

ニコチンの使用量を低減し、喫煙若しくはかみたばこ使用の衝動を低減し、又は禁煙を促すために、グルタミン酸受容体のポテンシエータを使用する方法が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルタミン酸受容体のポテンシエータ、及び治療におけるそれらの使用に関する。より具体的には、本発明は、ニコチン使用量を低減し、喫煙及びかみたばこ使用の衝動を低減し、そして禁煙を促すための、グルタミン酸受容体のポテンシエータの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸は中枢神経系における一次興奮性神経伝達物質であり、主要な2種類の受容体、イオンチャンネル型及び代謝型受容体に作用する。代謝型グルタミン酸受容体は、グルタミン酸へのシナプス後応答、並びにグルタミン酸、GABA及び5−HTのシナプス前放出を調節するGタンパク質共役受容体である。8つのサブタイプの代謝型グルタミン酸受容体が同定されており、グループI(mGluR1及びmGluR5)、グループII(mGluR2及びmGluR3)及びグループIII(mGluR4、mGluR6、mGluR7及びmGluR8)受容体に分類されている。
【0003】
グループIIのmGluR(mGluR2及びmGluR3)は、Gi/oを経てアデニル酸シクラーゼの阻害に共役して、グルタミン酸及びGABA放出のシナプス前阻害に主として関与している。mGlur2受容体は、前帯状及び前頭葉眼窩領域;前脳辺縁を含む扁桃核及び海馬;そしてより低い程度に腹側被蓋領域(VTA)及び側坐核(NAc)を含む、大脳皮質の不連続部位に発現する。mGluR3の発現は一般的により多様性であり、mGluR3は、また、グルタミン酸放出を調節する役割を担うと考えられる神経膠にも、並びにGABA作動性ニューロンにも発現する。mGlur2受容体は、それがグルタミン作動性状態下でグルタミン酸放出を抑制する自己受容器として作用する、神経末端のシナプシス外部位に位置している。
【0004】
グルタミン酸は、ニコチン報酬と喫煙再発を媒介するのに重要な役割を果たすと考えられる。ニコチンは脳報酬回路を通じてグルタミン酸媒介伝達を増加させる。例えば、ニコチンは、VTAにおいて脳幹(LDT/PPT)から中脳辺縁ドーパミン(DA)ニューロンに投射するグルタミン作動性ニューロンの末端で、興奮性nACh受容体を活性化する。DAニューロンは順次NAcのシェルに投射する。ラットでは、ニコチン自己投与はNAcのシェルにおいてDA放出を増加させ、そして非選択性mGlur2/3受容体アゴニストは、NAcのシェルにおいてDA放出を選択的に減少させることが示されており、一方で、mGlur2/3遮断は、NAcのシェルにおいてDAを増加させた。非選択性mGlur2/3受容体アゴニストは、また、ラットにおけるニコチン自己投与、ニコチン報酬、及びニコチン探求行動(再発)のきっかけ誘導回帰を、ニコチン離脱に関連する脳報酬欠如の顕著な悪化なしに減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
mGlur2(mGluR2 PAM)のポジティブ・アロステリック・モジュレータは、mGlur2受容体上のグルタミン酸結合部位から離れた部位で作用し、グルタミン酸結合部位の活性化を賦活化する。当該薬剤は、その結果シナプス外グルタミン酸レベル上昇の条件下でのみグルタミン酸効果を減少させる。従って、本発明者等は、本明細書に記載のmGlur2 PAMが、NAcのシェルにおけるドーパミン放出を低下させ、そしてニコチン自己投与を低減させるために、ニコチン離脱に関連する脳報酬欠如の顕著な悪化なしに、内因性グルタミン酸と協調して作用する可能性を考える。ヒトにおいてmGlur2 PAMは、ニコチンに対するグルタミン酸反応を弱め、たばこの使用を低減し、ニコチン報酬及びたばこ消費量を低減し、そして喫煙のきっかけ及び喫煙終止に対するグルタミン酸反応を低下させるように、正常なグルタミン酸作動性伝達を妨害し、又はニコチン離脱症状を悪化させることなしに作用する可能性が更に考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、治療的有効量のmGluR2 PAMをそれが必要とされる対象者に投与することを含む、ニコチンの使用を低減し又はニコチン離脱症状を軽減する方法が考えられる。
【0007】
より具体的には、mGluR2 PAMが以下の化合物:
7−メチル−5−(3−ピラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−5−[3−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−7−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[3−(3−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−(3−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[3−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[3−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
7−クロロ−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−クロロ−2−(4−クロロベンジル)−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロベンジル)−7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
5−[5−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−7−メチル−2−(4−トリフルオロメトキジベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−5−{5−[(1S,4S)−1−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)メチル]−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}−7−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(3−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−クロロ−5−[5−(3,3−ジメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;若しくは
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
又は前述の化合物のいずれかの薬学的に許容される塩、活性代謝物、中間体若しくは誘導体、水和物若しくは溶媒和物から選択される化合物である方法が考えられる。
【0008】
更により具体的には、喫煙を低減し、かみたばこの使用を低減し、そして一般的にたばこへの依存を低減することを試みる場合対象者によるニコチン離脱症状の経験を減少させるために、本明細書に記載の化合物を用いる方法が考えられる。
【0009】
本明細書に記載の方法に用いるための、本明細書に記載の化合物及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、医薬組成物が考えられる。
【0010】
また、本明細書に記載の化合物、又は当該化合物の薬学的に許容される塩、活性代謝物、中間体若しくは誘導体、水和物若しくは溶媒和物を薬剤として使用する可能性が考えられる。
【0011】
本明細書に記載の化合物、又は当該化合物の薬学的に許容される塩、活性代謝物、中間体若しくは誘導体、水和物若しくは溶媒和物は、ニコチン離脱症状の軽減又はたばこの使用の低減のための薬剤の製造に使用してよい。
【実施例】
【0012】
mGluR2 PAM
mGlur2 PAM及び活性代謝物、中間体又はその誘導体が、ニコチンに対するグルタミン酸反応を弱め、ニコチン報酬及びたばこ消費を減少させるために有用であると考えられることは、国際特許出願第2006020879号、同第2007021309号、同第2007095024号、同第2007115077号、同第2008100715号及び同第2008130853号、又は米国特許出願第20070021606(A1)号、同第20090069340(A1)号、同第20070032469(A1)号、同第20080227794(A1)号、同第20070275966(A1)号、同第20080125431(A1)号、同第20080306088(A1)号及び同第20080306077(A1)号に記載されており、それらの全文は、参照することにより本明細書に組み入れられている。
【0013】
前述の特許出願のいずれかに記載のmGlur2 PAMのいずれもが、正常なグルタミン酸作動性伝達を妨害し、又はニコチン離脱症状を悪化させることなしに、喫煙のきっかけ及び喫煙終止に対してグルタミン酸反応を低下させ、そして禁煙を促進することが考えられるものの、とりわけ以下の化合物:
7−メチル−5−(3−ピラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−5−[3−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−7−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[3−(3−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−(3−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[3−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[3−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
7−クロロ−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−クロロ−2−(4−クロロベンジル)−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロベンジル)−7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
5−[5−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−7−メチル−2−(4−トリフルオロメトキジベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−5−{5−[(1S,4S)−1−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)メチル]−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}−7−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(3−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(3−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−クロロ−5−[5−(3,3−ジメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;若しくは
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
又は米国特許出願第20080306088(A1)号又は同第20080306077(A1)号に記載の前記化合物のいずれかの薬学的に許容される塩、活性代謝物、中間体若しくは誘導体、水和物若しくは溶媒和物は、この目的のために特別な有用性を有することが考えられる。
【0014】
有効性
mGlur2 PAMの有効性は、例えば、健常な、治療探求中の男性及び女性の成人喫煙者で実施される、ランダム化、二重盲検、ダブルダミー、プラセボ対照及びアクティブ対照、並行群ヒト実験室研究によって評価することができる。有効性を評価する他の方法は、当業者に公知であろう。
【0015】
有効性は、例えば、喫煙の自制により、喫煙再発前の期間延長により、又は離脱症状及び欲求の主観的減少(例えば、ミネソタニコチン離脱尺度−改訂版及びQSU−喫煙衝動に関する簡易アンケート調査により評価のような)により示すことができる。
【0016】
他の効果は、例えば、ポジティブ及びネガティブ感情検査を用いて測定したポジティブ及びネガティブ感情;疫学的研究センター−抑欝尺度を用いて評価した抑欝症状;Speilberger状態−特性不安インベントリーを用いて評価した不安レベル、又は:1)顕著なきっかけへの注意バイアスを評価する視覚プローブ作業、及び;2)インビボ喫煙vs.中性刺激に応じた主観的欲求を測定するきっかけ反応性作業を活用するきっかけ反応性を、有効性を評価するために使用することができる。
【0017】
有効量
治療的有効量は治療中の対象者によって決まり、そして当該用量は実際には当業者によって決定され得ると考えられるものの、一般的には、約1μgから約40mgの用量の本明細書に記載のmGluR2 PAMが治療的有効量を含むと考えられる。
【0018】
より具体的には、約1mgから約20mgの本明細書に記載のmGluR2 PAMの用量が、治療的有効量を含むと考えられる。
【0019】
一般的に、適切な用量レジメン、投与したmGluR2 PAMの各投薬量、及び各活性薬剤の投与間の具体的な間隔は治療中の対象者、投与する特異的活性剤及びニコチン利用の特質及び重度又は治療状況によって決まる。より具体的には、本明細書に記載のmGluR2 PAMの用量は、1日1回投与するように考えられる。mGluR2 PAMの用量は、一般的に少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む組成物の形態で投与される。
【0020】
組成物
組成物は、mGluR2 PAM又は薬学的に許容される塩の、薬学的に許容される担体及び場合により他の成分との製剤を包含するように意図される。医薬組成物を製造するために、不活性な薬学的に許容される担体は固体か又は液体であってよい。例えば、組成物は、当技術分野で公知の方法により、例えば、錠剤、カプセル剤、水性又は油性溶液、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、鼻内スプレー、坐薬、吸入用微粉散剤又はエアロゾル剤又はネブライザーの形態に、及び非経口使用(静脈内、筋肉内又は点滴を含む)のための、無菌水性又は油性溶液又は懸濁液又は無菌乳剤の形態に製剤化することができる。
【0021】
液体形態の組成物は、溶液、懸濁液、及び乳濁液を含む。活性化合物の無菌水又は水−プロピレングリコール溶液が、非経口投与に好適な液剤の例として挙げられる。液体組成物も水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液に製剤化することができる。経口投与用の水溶液は、活性成分を水に溶解し、そして必要に応じて好適な着色剤、着香剤、安定剤、及び増粘剤を加えることにより製造することができる。経口用の水性懸濁剤は、天然及び合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び製剤処方技術分野で公知の他の懸濁化剤などの粘性物質と共に、微粉化活性成分を水中に分散することによって作製することができる。
【0022】
固形の形態の組成物は、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、及び坐薬を含む。固体担体は、賦形剤、着香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、又は錠剤崩壊剤としても機能する1つ又はそれ以上の物質であってよく;それは、また、カプセル化材料であってもよい。
【0023】
散剤においては、担体は、微粉化した活性成分との混合物の形態の微粉化した固体であってよい。錠剤においては、活性成分は好適な割合で必要な結合特性を有する担体と混合され、所望の形状とサイズに圧縮される。
【0024】
坐薬組成物を製造するために、脂肪酸グリセリド及びココアバターの混合物などの低融点ワックスを最初に融解し、そして有効成分を、例えば、攪拌によってその中に分散させる。次いで、融解した均一な混合物を手頃なサイズのモールドへ流し込み、冷却し固化させる。
【0025】
好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖、蔗糖、ペクチン、デキストリン、澱粉、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバター等である。
【0026】
組成物という用語は、また、活性成分(他の担体と共に又は無しで)が、従ってそれを伴う担体に囲まれているカプセル剤を与える、mGluR2 PAM有効成分と担体としてのカプセル化材の製剤を含むことも意図している。
【0027】
医薬組成物は単位用量形態であってよい。当該形態においては、組成物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に分けられる。単位用量形態は包装した製剤であって、その包装は、不連続量の製剤、例えば、バイアル又はアンプル中に小分け包装した錠剤、カプセル剤、及び散剤であってよい。単位用量形態は、カプセル剤、カシェ剤、若しくは錠剤それ自体であってもよく、又は適切な数のこれら包装形態のいずれかであってよい。剤形を製造する方法は、例えば、Remington, Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania,15版,1975に開示されている。
【0028】
組成物は、いずれの好適な経路及び投与手段のために製剤化されてもよい。薬学的に許容される担体又は希釈剤としては、経口、直腸内、鼻内、局所(口腔内及び舌下を含む)、膣内又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内、硬膜外、腹腔内、胸腔内、脳室内、及び関節内注射を含む)投与に好適な製剤で使用されるものが挙げられる。製剤は、都合よく単位用量形態で提供してよく、そして薬剤学の技術分野で周知のいずれの方法によって製造してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的有効量のmGluR2 PAMをそれが必要とされる対象者に投与することを含む、ニコチンの使用を低減し、又はニコチン離脱症状を軽減する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、該mGluR2 PAMが以下の化合物:
7−メチル−5−(3−ピラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−5−[3−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−7−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[3−(3−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−(3−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[3−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[3−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
7−クロロ−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−クロロ−2−(4−クロロベンジル)−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロベンジル)−7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
5−[5−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−7−メチル−2−(4−トリフルオロメトキジベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−5−{5−[(1S,4S)−1−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)メチル]−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}−7−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(3−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(3−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−クロロ−5−[5−(3,3−ジメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;若しくは
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
から選択される化合物、又は前述の化合物のいずれかの薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物である方法。
【請求項3】
喫煙を低減するための、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
かみたばこの使用を低減するための、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の、ニコチン離脱症状を軽減するための方法。
【請求項6】
請求項2に記載の化合物及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、医薬品組成物。
【請求項7】
薬剤として用いるための、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
ニコチン離脱症状の軽減又はたばこ使用の低減のための薬剤の製造における、請求項2に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−530710(P2012−530710A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516235(P2012−516235)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/038802
【国際公開番号】WO2010/148074
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】