説明

ニタゾキサニドの制御放出医薬配合物

制御放出部分及び即時放出部分を含む、ニタゾキサニド又はニタゾキサニドアナログの固体投薬配合物が提供される。本発明の医薬組成物は典型的には、(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の層と、(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の層とを含む二層固体経口剤形の形態である。本配合物をC型肝炎の治療において使用する方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮特許出願第61/202,285号(2009年2月13日出願)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ニタゾキサニド(2−(アセトリルオキシ)−N−(5−ニトロ−2−チアゾリル)ベンズアミド)は、下記の構造を有する化合物である:
【化1】

【0003】
この化合物の調製及び使用が、例えば、米国特許第3,950,351号(Rossignol)に開示される。
【0004】
ニタゾキサニド及びその代謝物(チゾキサニド)を含有する医薬組成物が当初は、腸の寄生虫感染症を治療するために開発され、上市された。
【0005】
ニタゾキサニド、又は、チゾキサニドを加えたニタゾキサニドの混合物がヒトに経口投与された後、これらの化合物は一部が腸管から吸収され、ニタゾキサニドは迅速に加水分解されて、チゾキサニドを血漿中に形成する。チゾキサニドはグルクロノ抱合化され、薬物はチゾキサニド又はチゾキサニドグルクロニドとして尿及び胆汁に排出される。血漿中のチゾキサニドの半減期はおよそ1.5時間にすぎない。
【0006】
腸の感染症を治療するために、ニタゾキサニド、又は、ニタゾキサニド及びチゾキサニドの混合物と、湿潤化剤と、必要な場合にはデンプン誘導体とを含有する医薬組成物が首尾良く使用されている。5μm〜200μmの間にわたる活性成分の粒子の使用が、安全性及び効力を達成することにとって重要であることが示された。医薬的に許容され得る酸の使用は、これらの医薬組成物の安定性を改善することが示されている。例えば、米国特許第5,387,598号、同第5,968,961号及び同第6,117,894号(Rossignol)を参照のこと。錠剤配合物及び懸濁物配合物は、それらの相対的な生物学的利用能にもかかわらず、腸の寄生虫感染症を治療するために同等に効果的であることが示されている。
【0007】
ニタゾキサニド及びニタゾキサニド−チゾキサニド混合物の腸管からの吸収が、医薬配合物に依存して著しく変化する。例えば、経口懸濁物の相対的な生物学的利用能は驚くべきことに、錠剤の生物学的利用能のほんの70%にすぎないことが示されている。しかしながら、これらの化合物は、腸管の内腔又は腸粘膜に存在する寄生虫を処置するためにほとんどもっぱら使用されているので、これらの化合物の全身的な生物学的利用能はこれまで、最も重要ではなかった。
【0008】
ニタゾキサニド及びチゾキサニドはまた、インビトロにおいてある種のDNAウイルスに対してインビトロで活性であることが示されている(例えば、米国特許第5,578,621号及び同第5,886,013号(Rossignol)を参照のこと)。近年には、それらが驚くべきことに、インビトロ及び臨床試験において、RNAウイルスであるC型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有することが示された(参考文献、係属中の米国特許出願「Viral Hepatitis Treatment」)。ウイルス複製を阻害することにおけるニタゾキサニド及びチゾキサニドの作用機構は不明であり、しかし、その広域スペクトルの抗ウイルス活性、及び、抵抗性を誘導することができないことのために、「細胞媒介」機構であることが仮定されている。
【0009】
慢性C型肝炎を治療することにおけるニタゾキサニド及びチゾキサニドの初期の臨床試験が、腸の寄生虫感染症を治療するために開発された錠剤配合物を使用して行われた。その錠剤は500mgの活性成分(99%ニタゾキサニド/1%チゾキサニド)を含有した。HCVの遺伝子型4に慢性的に感染する患者において、この錠剤が4週間〜12週間わたって1日に2回、1錠ずつ投与され、その後、リバビリン併用又はリバビリン非併用でのペグインターフェロンα−2aの標準的服用を加えたこの同じ療法が36週間にわたって続けられたとき、61%〜80%の持続性ウイルス学的著効(SVR)率が達成された。対照的に、標準的治療、すなわち、リバビリンを加えた48週間にわたるペグインターフェロンα−2aにより治療された患者は、ほんの50%のSVR率を受けたにすぎなかった。
【0010】
慢性C型肝炎の遺伝子型4を有する患者における初期の試験は、500mg錠剤を使用した場合、改善された効力を示したが、著しい数の患者が治癒しなかった。活性成分のより大きい用量は、効力を改善するために使用することができなかった。これは、以前の研究により、1日に2回の1000mgの服用は、腸管に主に関連づけられる副作用(例えば、腹痛、下痢及び悪心)における著しい増大を伴うことが示されているからである。これらの副作用は、処置療法に関する患者の服薬順守を低下させ、また、C型肝炎患者の長期間の治療のためには特に容認できない。
【0011】
慢性HCV感染を治療するためには、チゾキサニドが血流内及び感染した肝細胞に送達されなければならない。理想的には、薬物は、患者が処置療法に対して忠実であることを最大にするために、多くても1日に2回を超えることなく、また、著しい副作用を伴うことなく、経口経路によって投与されなければならない。
【0012】
種々の投薬配合物におけるニタゾキサニド及びチゾキサニドの一定でない吸収、血漿におけるチゾキサニドの非常に短い半減期、並びに、腸管における高用量のニタゾキサニド及びチゾキサニドに伴う副作用は、慢性C型肝炎を治療するための新しい最適化された投薬配合物を開発する際に克服しなければならない問題である。その上、HCVに対するニタゾキサニドの作用機構が不明であるので、感染部位でのピーク濃度及びトラフ濃度における変動が、効力を改善することに対して有益又は有害であるかを知ることが不可能である。
【0013】
従って、先行技術において記載される錠剤と比較して、慢性C型肝炎を治療することにおける改善された効力を有し、かつ、副作用における増大を何ら有しない、ニタゾキサニド及び/又はチゾキサニドの固体投薬配合物が求められている。
【発明の概要】
【0014】
概要
ニタゾキサニド及びニタゾキサニドアナログの制御放出配合物が記載され、同様にまた、この配合物をC型肝炎の治療において使用する方法が記載される。具体的には、制御放出部分及び即時放出部分を含む、ニタゾキサニド及びニタゾキサニドアナログの固体投薬配合物が記載される。
【0015】
従って、いくつかの態様において、(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分と、(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分とを含む、固体剤形の形態での医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態において、組成物は錠剤の形態での固体経口剤形であるか、又は、他の実施形態においては、カプセルの形態での固体経口剤形である。
【0016】
他の態様において、C型肝炎罹患患者を治療するための方法が提供され、この場合、この方法は、(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分と、(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分とを含む、固体剤形の形態での医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む。
【0017】
さらに他の態様において、C型肝炎罹患患者を治療するための方法が提供され、この場合、この方法は、(i)ニタゾキサニド又はそのアナログを第1の活性な薬剤として含む固体経口剤形の形態での第1の組成物を所定の期間にわたって患者に投与することによって患者を前処置すること(ここで、第1の組成物は、(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分と、(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分とを含む)、及び、(ii)(i)における期間の後で、治療有効量の第2の活性な薬剤を含む第2の組成物を患者に投与することを含む。
【0018】
いくつかの態様において、ニタゾキサニド又はチゾキサニドによる治療に関連する1つ又はそれ以上の副作用を患者において軽減するための方法が提供され、この場合、この方法は、(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分と、(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分とを含む、固体剤形の形態での医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む。
【0019】
他の態様において、ニタゾキサニド又はそのアナログの生物学的利用能を患者において増大させるための方法が提供され、この場合、この方法は、(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分と、(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分とを含む、固体剤形の形態での医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む。
【0020】
他の態様において、ニタゾキサニド又はそのアナログの吸収を患者において延ばすための方法が提供され、この場合、この方法は、(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分と、(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分とを含む、固体剤形の形態での医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む。
【0021】
さらに他の態様において、経口投与のための制御放出錠剤が提供され、この場合、この錠剤は、ニタゾキサニド又はそのアナログと、低粘度ポリマーとを含み、低粘度ポリマーにより、ニタゾキサニド又はそのアナログの放出が制御される。
【0022】
詳細な説明
本発明の組成物はニタゾキサニド又はニタゾキサニドアナログの制御放出固体配合物であり、具体的には、(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分と、(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分とを含む制御放出固体経口剤形である。配合物は典型的には、経口投与のための二層錠剤の形態である。組成物は、標準的なニタゾキサニド配合物において一般に認められる副作用をほとんど伴うことなく、慢性C型肝炎を効果的に治療するために、また、ニタゾキサニドの増大した生物学的利用能及びより良好な吸収を提供するために使用することができる。
【0023】
別途規定されない限り、「a」又は「an」は「one or more」(1つ又はそれ以上)を意味する。
【0024】
本明細書中で使用される用語「制御放出」は、医薬組成物における活性な薬剤の吸収及び生物学的利用能が、活性な薬剤の治療有効量が長期間にわたって生物学的に利用可能であるように維持される医薬組成物の性質を示す。
【0025】
本明細書中で使用される用語「即時放出」は、医薬組成物における活性な薬剤が、実質的な遅れを伴うことなく生物学的に利用可能になる医薬組成物の性質を示す。
【0026】
本明細書中で使用される用語「治療する」「処置する」(treating)及び用語「治療」「処置」(treatment)は、症状の重篤度及び/又は頻度における軽減、症状及び/又は根本原因の排除、症状及び/又はその根本原因の発生の防止(例えば、予防的治療)、損傷の改善又は治療、或いは、感染の強さにおける低下を示す。
【0027】
本発明の化合物の「有効量」及び「治療有効量」の用語によって、所望される効果を提供するための化合物の、非毒性であるが、十分な量が意味される。
【0028】
「医薬的に許容され得る」によって、生物学的又は他の場合に望ましくないことがない物質が意味される。すなわち、そのような物質は、望ましくない生物学的影響を何ら引き起こすことなく、又は、そのような物質が含有される組成物の他の成分のいずれとも有害な様式で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物に組み込むことができる。用語「医薬的に許容され得る」が、医薬用のキャリア又は賦形剤(excipient)を示すために使用されるとき、そのキャリア又は賦形剤が、毒物学的試験及び製造試験の要求される基準を満たしていること、又は、そのキャリア又は賦形剤が、米国医薬品局(U.S. and Drug administration)によって立案された不活性成分指針(Inactive Ingredient Guide)に基づいて含まれることが暗示される。
【0029】
「患者」によって、治療が望ましいいかなる動物が意味される。患者は哺乳動物であり得る。典型的には、本明細書中で使用される場合、患者はヒト個体である。
【0030】
本発明の固体組成物は、それぞれが所定量のニタゾキサニド又はニタゾキサニドアナログを含有する2つの部分を含むことができる。従って、いくつかの実施形態において、組成物は、ニタゾキサニド又はアナログを制御放出配合物において含有する第1の部分と、ニタゾキサニドアナログを即時放出配合物において含有する第2の部分とを含む。いくつかの実施形態において、固体組成物は錠剤の形態であり、この場合、即時放出部分が、制御放出部分の上に置かれる層の形態であり、かつ、錠剤を形成するために圧縮成形される。固体剤形はまた、制御放出顆粒及び即時放出顆粒の両方を含有するカプセルの形態であることが可能である。
【0031】
本発明の配合物はニタゾキサニド又はそのアナログを活性な薬剤として含有する。ニタゾキサニドを調製する様々な方法が当業者において公知である。例えば、米国特許第3,950,351号(Rossignol)を参照のこと。ニタゾキサニドアナログの様々な例及びそれらの調製方法が、米国特許第7,285,567号及び同第6,117,894号、並びに、米国特許出願公開第2007/0167504号、同第2007/0015803号、同第2008/0097106号、同第2008/0096941号及び同第2009/0036467号に開示される。これらの米国特許及び米国特許出願公開のそれぞれがそれらの全体において参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0032】
本明細書中で使用される用語「ニタゾキサニド」は、ニタゾキサニド(2−(アセトリルオキシ)−N−(5−ニトロ−2−チアゾリル)ベンズアミド)及びニタゾキサニドアナログ(例えば、米国特許第7,285,567号又は米国特許出願公開第2007/0167504号に開示される化合物の1つ)の両方を示す。
【0033】
ニタゾキサニド、又は、ニタゾキサニドアナログのどれもが、化合物それ自体の形態で、及び/又は、適する場合には、塩、多形体、エステル、アミド、プロドラッグ若しくは誘導体が薬理学的に好適であるならば、塩、多形体、エステル、アミド、プロドラッグ若しくは誘導体などの形態で投与することができる。これらの活性な薬剤のそのような塩、エステル、アミド、プロドラッグ及び他の誘導体は、合成有機化学の当業者には公知である標準的な手順、及び、例えば、J.March、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structures、第4版(New York:Wiley-Interscience、1992)によって記載される標準的な手順を使用して調製することができる。エナンチオマー形態で存在し得るいずれかのニタゾキサニドアナログの活性な薬剤については、そのような活性な薬剤は、ラセミ体として、又は、エナンチオマー濃縮された形態で、そのどちらかで本発明の組成物に組み込むことができる。
【0034】
本発明の組成物におけるニタゾキサニドの総量は典型的には組成物の約60重量%〜75重量%である。制御放出部分及び即時放出部分を有するそのような実施形態において、制御放出部分におけるニタゾキサニドの量は典型的には、即時放出部分における量よりも大きく、制御放出部分におけるニタゾキサニドの量の、即時放出部分におけるニタゾキサニドの量に対する比率が、約2.5〜4.0:1である。例えば、いくつかの実施形態において、制御放出部分は約500mgのニタゾキサニドを含有し、即時放出部分は約175mgのニタゾキサニドを含有する。他の実施形態において、制御放出部分は約250mgのニタゾキサニドを含有し、即時放出部分は約87.5mgのニタゾキサニドを含有する。
【0035】
組成物は、1つ又はそれ以上のさらなる医薬的に許容され得る添加物又は賦形剤を含有することができる。制御放出部分及び即時放出部分を有するそのような実施形態において、制御放出部分及び即時放出部分はともに、1つ又はそれ以上のさらなる医薬的に許容され得る添加物又は賦形剤を含有することができる。これらの賦形剤は、当分野において周知であり、かつ、正しく理解される治療不活性な成分である。本明細書中で使用される用語「不活性な成分」は、単独又は様々な組合せで使用することができ、例えば、希釈剤(diluent)、崩壊剤(disintegrant)、結合剤(binder)、懸濁化剤(suspending agent)、流動促進剤(glidant)、滑剤(lubricant)、充填剤(filler)、被覆剤(coating agent)、可溶化剤(solubilizing agent)、甘味剤(sweetening agent)、着色剤(coloring agent)、矯味矯臭剤(flavoring agent)及び酸化防止剤(antioxidant)を含む、製薬科学の技術分野では周知であるそのような治療不活性な成分を示す。例えば、Remington; The Science and Practice of Pharmacy(1995年、編者:E.W.Martin、Mack Publishing Company、第19版、Easton、Pa)を参照のこと。
【0036】
希釈剤又は充填剤の例としては、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、粉砂糖、圧縮成形可能な糖、デキストラート(dextrate)、デキストリン、デキストロース、フルクトース、ラクチトール、マンニトール、スクロース、タルク、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、二塩基性又は三塩基性のリン酸カルシウム、リン酸二カルシウムデヒドラート(dicalcium phosphate dehydrate)及び硫酸カルシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
希釈剤又は充填剤は典型的には、制御放出部分又は即時放出部分の約10重量%〜15重量%、或いは、組成物全体の約2重量%〜約15重量%を表す。
【0038】
崩壊剤の例としては、アルギン酸、メタクリル酸DVB、架橋PVP、微結晶セルロース、ナトリウムクロスカルメロース、クロスポビドン、ポラクリリン(polacrilin)カリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン(トウモロコシ(corn又はmaize)デンプンを含む)及びアルファ化デンプン(pregelatinized starch)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
崩壊剤は典型的には、制御放出部分又は即時放出部分の約10重量%〜15重量%、或いは、組成物全体の約2重量%〜約15重量%を表す。
【0040】
結合剤の例としては、デンプン(例えば、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプンなど)、微結晶セルロース、セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなど)、天然ガム(例えば、アラビアゴム、アルギン酸、グアールガム)、液状グルコース、デキストリン、ポビドン、シロップ、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリ−N−ビニルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ポリプロピレングリコール及びトラガカントなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
結合剤は典型的には、制御放出部分又は即時放出部分の約2重量%〜15重量%、或いは、組成物全体の約0.2重量%〜約14重量%を表す。
【0042】
流動促進剤の例としては、二酸化ケイ素、コロイド状無水シリカ、三ケイ酸マグネシウム、三塩基性リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、粉末化セルロース、デンプン及びタルクなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
流動促進剤は典型的には、制御放出部分又は即時放出部分の約0.1重量%〜0.5重量%、或いは、組成物全体の約0.01重量%〜約0.3重量%を表す。
【0044】
滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、グリセリルベヘナート、鉱油、ナトリウムステアリルフマラート、タルク及び水素化植物油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
滑剤は典型的には、制御放出部分又は即時放出部分の約0.5重量%〜1.5重量%、或いは、組成物全体の約0.2重量%〜約1.0重量%を表す。
【0046】
例えば、いくつかの実施形態において、制御放出部分又は即時放出部分又は両方が、希釈剤としてのデンプン(例えば、トウモロコシデンプンなど)、崩壊剤としてのナトリウムクロスカルメロース、結合剤としてのヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロース、充填剤としてのリン酸二カルシウムデヒドラート、流動促進剤としてのコロイド状無水シリカ、並びに、滑剤としてのステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0047】
本発明の制御放出組成物はまた、低粘度ポリマーである結合剤を含有する。低粘度ポリマーの例としては、低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー、例えば、Dow Chemicalによって「Methocel(登録商標)」の商品名で販売されるヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー(例えば、Methocel E50LV(登録商標)、Methocel K100LV(登録商標)、及び、Methocel F50LV(登録商標))など、及び、低粘度のヒドロキシエチルセルロースポリマーが含まれるが、これらに限定されない。低粘度ポリマーは、配合物におけるニタゾキサニド又はそのアナログの放出を制御する。
【0048】
低粘度ポリマーは典型的には、組成物全体の総重量の約10%〜約20%、又は、約10%〜約15%、又は、好ましくは約12%で存在し、或いは、制御放出部分及び即時放出部分を有するそのような実施形態では、制御放出部分における低粘度ポリマーが典型的には、制御放出部分の重量の約15%〜約20%で存在し、好ましくは約18%で存在する。
【0049】
本発明の組成物はさらに、被覆材を含むことができる。被覆材は典型的には、配合物を完全に覆う、剤形における外側層として存在する。例えば、いくつかの実施形態において、剤形は、制御放出部分が錠剤の第1の層を形成し、即時放出部分が、第1の層の上に置かれる第2の層(a second layer that is deposited on top of the first layer)を形成し、コア錠剤を形成する経口錠剤である。そのような実施形態において、例えば、被覆材は、コア錠剤の上に置かれる外側被覆層の形態であり得る。
【0050】
被覆材は典型的には、組成物の約1重量%〜約5重量%である。
【0051】
被覆材はヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はポリエチレングリコールを含むことができ、また、被覆剤、乳白剤、味覚遮蔽剤、充填剤、つや出し剤、着色剤及び粘着防止剤などからなる群より選択される1つ又はそれ以上の賦形剤を含むことができる。例えば、被覆材は二酸化チタンを不透明化剤として含有することができる。フィルム被覆用物質の例、及び、そのような被覆用物質を使用するための方法が当業者には周知である。
【0052】
例えば、本発明の組成物において使用される被覆材は、下記の実施例の場合のように、OPADRY AMB 80W91416、又は、OPADRY FX 63F97546が可能である。
【0053】
固体の医薬配合物を作製する様々な方法が医薬配合物の当業者には公知であり、これらは、本発明の組成物を調製するために用いることができる。例えば、Remington; The Science and Practice of Pharmacy(1995)(編者:E.W.Martin、Mack Publishing Company、第19版、Easton、Pa)を参照のこと。
【0054】
本発明の組成物は、標準的なニタゾキサニド配合物において一般に認められる副作用をほとんど伴うことなく、慢性C型肝炎を効果的に治療するために、また、ニタゾキサニドの増大した生物学的利用能及びより良好な吸収を提供するために使用することができる。
【0055】
組成物は、C型肝炎の効果的な治療のために好適な任意の長さの時間にわたって投与することができる。適切な投薬量及び療法はどれも、組成物のために使用することができる。投与は典型的には、約3日から約104週までの期間にわたって行うことができ、しかし、104週よりも長い期間にわたって行われてもよく、また、それどころか、無期限にわたって行われてもよい。例えば、本発明の配合物を使用するC型肝炎の治療では典型的には、12週間、24週間又は48週間の期間にわたる配合物の投与が伴う。適切な療法が医師によって決定され得る。
【0056】
1つ又はそれ以上のさらなる活性な薬剤を本発明の医薬組成物及び本発明の治療方法において含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は、C型肝炎を治療することにおいて有用な1つ又はそれ以上のさらなる治療剤(例えば、リバビリンなど)、及び、免疫刺激剤(これには、各種インターフェロン、例えば、インターフェロンα−2b、インターフェロンα−2bの誘導体(例えば、インターフェロンα−2bのポリエチレングリコールコンジュゲート化形態など)、インターフェロンα−2a又はインターフェロンalfacon−1など)などが含まれるが、これらに限定されない)を含むことができる。
【0057】
組成物及びさらなる活性な薬剤(例えば、インターフェロン)は、同時に、又は、別々に、すなわち、同じ時間において、又は、(剤形及び放出プロフィルなどにおいて異なる別個の組成物に含む)異なる組成物において投与することができる。
【0058】
例えば、いくつかの実施形態において、C型肝炎罹患患者は最初に、本明細書中に記載されるニタゾキサニド組成物の1つで前処置される。前処置期間の継続期間は、約3日〜約6ヶ月の間、例えば、約1週間〜約12週間の間、及び、さらなる一例として、約1週間〜約4週間の間であり得る。前処置期間の後には、続いて、前処置された患者が、インターフェロン単独、又は、ニタゾキサニドを加えたインターフェロンのどちらかと、必要な場合には1つ又はそれ以上のさらなる薬剤(例えば、抗ウイルス剤(例えば、リバビリン)など)とにより治療される治療期間を続けることができる。本明細書中に記載されるインターフェロンはどれも、治療期間の期間中に使用することができる。治療期間の継続期間は、所望される応答を得るために要求されるどのような継続期間も可能であり、典型的には、約1日〜約12ヶ月又はそれ以上の間である。例えば、治療期間はインターフェロンの毎週の注入を含むことができ、また、1週間だけの治療、2週間〜4週間の治療、4週間〜12週間の治療、又は、それ以上(例えば、6ヶ月、1年、2年又は無期限)を伴うことができる。
【0059】
上記の説明、並びに、下記の実施例は、本発明の範囲を限定するためではなく、本発明を例示するために意図されることを理解しなければならない。本発明の範囲に含まれる他の態様、利点及び改変が、本発明が関連する技術分野における当業者には明らかである。
【実施例】
【0060】
実施例1
ニタゾキサニドの生物学的利用能に影響を及ぼす要因
研究を、ニタゾキサニドの生物学的利用能に対する下記要因のそれぞれの影響を調べるために行った:(1)チゾキサニド対ニタゾキサニドの吸収、(2)GI管における放出部位を変更すること、(3)種々のポリマーの影響、及び、(4)アルコール対水における造粒の影響。
【0061】
ニタゾキサニド及び/又はチゾキサニドの6つの異なる配合物が、それぞれの要因を調べるために4名の健康な成人男性志願者に食事と一緒に経口投与された。志願者のそれぞれが6つの配合物のそれぞれを6つの異なる治療期間で服用した。それぞれの治療期間は少なくとも1週間の間隔が設けられた。配合物が食事と一緒に経口投与された。血液サンプルが11の時点で採取された:服用直前、並びに、服用後1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、10時間及び12時間。下記の配合物が投与された:
(1)500mgの99%ニタゾキサニド/1%チゾキサニドを活性成分として含有する即時放出(「IR」)ニタゾキサニド/チゾキサニド錠剤;
(2)500mgのチゾキサニドを活性成分として含有する即時放出チゾキサニド錠剤;
(3)ACRYL−EZE(登録商標)の70mg(10%の重量増大)により被覆される腸溶性被覆IRニタゾキサニド/チゾキサニド錠剤;
(4)500mgの99%ニタゾキサニド、1%チゾキサニドを活性成分として含有し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Metolose 90SH)100.000SRを結合剤として、リン酸二カルシウム二水和物を充填剤としてアルコールにおいて造粒されるニタゾキサニド/チゾキサニド錠剤;
(5)500mgの99%ニタゾキサニド、1%チゾキサニドを活性成分として含有し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Metolose 90SH)100.000SRを結合剤として、リン酸二カルシウム二水和物を充填剤として水において造粒されるニタゾキサニド/チゾキサニド錠剤;及び
(6)450mgの99%ニタゾキサニド、1%チゾキサニドを活性成分として含有し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel K100LV)(100cP)を結合剤として、リン酸二カルシウム二水和物を充填剤として水において造粒されるニタゾキサニド/チゾキサニド錠剤(2錠が患者に投与された)。
【0062】
血清の薬物動態学(PK)パラメーターを、志願者から採取された血液サンプルから計算した。AUC(μg・hr/mL)、Cmax(μg/mL)、Cmin(μg/mL)及びTmax(hr)についてのメジアン値が表1に示される。
【表1】

【0063】
驚くべきことに、生物学的利用能が、ニタゾキサニド(配合物1)と比較して、チゾキサニド(配合物2)の経口投与の後でははるかにより低かった。
【0064】
ニタゾキサニド/チゾキサニドのIR錠剤の腸溶性被覆(配合物3)は、3時間から8時間へのTmaxにおける増大によって立証されるように、2名の患者において吸収を遅らせた。しかし、この配合物はまた、それ以外の2名の患者において吸収を妨げた。
【0065】
配合物4及び配合物5における高粘度ポリマー(HPMC 100,000cP)は本質的には吸収を妨げた。
【0066】
高粘度ポリマーを使用する水における造粒(配合物5)は、アルコールにおける造粒(配合物4)と比較して、吸収を改善させた。
【0067】
HPMCの粘度を100cPに低下させること(配合物6)により、吸収(AUC)における著しい改善がもたらされたが、吸収は依然として、IR錠剤の吸収よりも劣っていた。その上、遅れた吸収、及び、より大きい900mg用量の使用による場合でさえ、チゾキサニドが血清から迅速に排出され、その結果、服用後12時間における血清中のチゾキサニド濃度が4名すべての患者において2μg/mL未満であった(メジアン、1.28μg/mL)。
【0068】
実施例2
二層錠剤配合物
合計で650mgのニタゾキサニドを含有する二層錠剤を、上記で記載されるように、標準的な配合技術を使用して作製した。二層錠剤の組成が表2に示される。
【表2】

【0069】
実施例3
二層錠剤のバッチ配合
1バッチが100,000錠である実施例2のニタゾキサニド二層錠剤(650mg)を、表3に示されるように調製した。
【表3】

【0070】
錠剤を、下記に概要が示される製造プロトコルに従って製造した。
A.機器
Frewittふるい
Collette遊星式(Planetary)ブレンダー
乾燥オーブン
打錠機−Manesty BBプレス
錠剤デダスター
被覆装置−Accelacota
【0071】
すべての製造機器を使用前に清浄化する。
B.即時放出顆粒(顆粒A)の調製
1.原料を密封プラスチックバッグに計り取る。
2.装置の完全性を使用の前後で調べる。
3.必要ならば、ニタゾキサニド及びトウモロコシデンプンを、Frewitt装置を使用して1.25mmメッシュのふるいに通してふるい分けする。
4.これらの成分をCollette遊星式ブレンダーのボウルに移し、低速度で15分間ブレンドする。
5.ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を水に溶解し、一晩放置する。
6.このHPC溶液を混合とともにゆっくり加え、内容物を低速度で5分間〜10分間混合する。
7.必要ならば、さらに水を加える。
8.顆粒を、Frewitt装置を使用して4mmメッシュのふるいに通してふるい分けし、トレーに置き、50℃で12時間〜16時間乾燥する。
9.トレーをオーブンから取り出し、サンプルを、乾燥時の減少について試験するために採取する。
10.乾燥した顆粒を、Frewitt装置を使用して1.25mmメッシュのふるいに通して再びふるい分けし、ブレンダーのドラムに移す。
11.エアロゾル、ナトリウムクロスカルメロース及び微結晶セルロースを、Frewitt装置を使用して1.25mmメッシュのふるいに通してふるい分けし、上記に加え、低速度で15分間混合する。
12.ステアリン酸マグネシウムを、Frewitt装置を使用して1.25mmメッシュのふるいに通してふるい分けし、上記に加え、低速度で4分間混合する。
C.即時放出顆粒(顆粒B)の調製
1.原料を密封プラスチックバッグに計り取る。
2.装置の完全性を使用の前後で調べる。
3.ニタゾキサニドをCollette遊星式ブレンダーのボウルに移す。
4.HPCを水に溶解し、一晩放置する。
5.HPC溶液を混合とともにゆっくり加え、内容物を低速度で5分間〜10分間混合する。
6.必要ならば、さらに水を加える。
7.顆粒を、Frewitt装置を使用して4mmメッシュのふるいに通してふるい分けし、トレーに置き、50℃で12時間〜16時間乾燥する。
8.トレーをオーブンから取り出し、サンプルを、乾燥時の減少について試験するために採取する。
9.乾燥した顆粒を、Frewitt装置を使用して1.25mmメッシュのふるいに通して再びふるい分けし、ブレンダーのドラムに移す。
10.ヒドロキシプロピルメチルセルロース、リン酸二カルシウム二水和物及びエアロゾルを、Frewitt装置を使用して1.25mmメッシュのふるいに通してふるい分けする。
11.これらの成分をCollette遊星式ブレンダーのボウルに移し、低速度で15分間ブレンドする。
12.ステアリン酸マグネシウムを、Frewitt装置を使用して1.25mmメッシュのふるいに通してふるい分けし、上記に加え、低速度で4分間混合する。
D.錠剤化
1.錠剤化を、Manesty BBプレス打錠機(19mmの楕円形の両凸パンチ)を使用して行う。
2.顆粒Bの充填及び予備圧縮:目標重量=750mg、
顆粒Aによる2回目の充填:目標重量=250mg、
及び最後の圧縮:最終重量=1000mg
【0072】
圧力を目視検査後に調節する。
1.錠剤から粉塵を除く。
2.錠剤を、重量管理、破砕性、アッセイ、厚さ及び硬さのために採取する。
3.製造された錠剤の総重量及び正味重量を記録する。これらが限界の±5%以内でないならば、損失理由を記録しなければならない。
E.被覆
1.製造のために使用される材料の正体、及び、ラインクリアランスを確認する。
2.錠剤を被覆装置(Accelacota)に移す。
3.被覆用懸濁物を下記のように調製する:
精製水を好適な容器に移す。
OPADRY AMB 80W91416,GREENを、急速撹拌によって分散させる。
OPADRYのすべてを加えた後、撹拌をさらに45分間続ける。
4.被覆用懸濁物を被覆装置(Accelacota)に注入する。
5.被覆用懸濁物を噴霧し続けている間、穏やかに混合する。
6.工程32〜34を、OPADRY FX 63F97546,Glossを用いて繰り返す。
7.その後、100個の錠剤の重量増大を確認する。増大は少なくとも35mg/錠剤でなければならない。
8.サンプリング、並びに、単位重量及び崩壊の管理。
9.品質保証による承認の後、錠剤を、2つのポリエチレンバッグにより覆われる清浄な容器に移す。
【0073】
実施例4
最終二層錠剤の試験
実施例2及び実施例3に記載される675mgのニタゾキサニド二層錠剤(「NTZの675mg錠剤」)を下記の2つの臨床研究において試験した。
【0074】
1.研究RM06−1001(675mgの制御放出錠剤を使用する、健康な志願者における薬物動態学及び許容性研究)
12名の健康な成人志願者を二重盲検様式でランダム化して、1錠のNTZの675mg錠剤及び1錠のプラセボ錠剤を1日に2回(b.i.d.)、又は、2錠のNTZの675mg錠剤を1日に2回、7日間にわたって服用させた。7日のウォッシュアウト期間の後、それぞれの被験者が他方の治療に振り向けられて、最初の7日間の治療期間の期間中に受けなかった用量による7日間の治療を受けた。血漿サンプルが、1日目の最初の服用の後12時間にわたって、5日目及び6日目での午前の服用の前に、並びに、7日目での午前の服用(最後の服用)の後24時間にわたって、NTZ代謝産物のチゾキサニド(T)及びチゾキサニドグルクロニド(TG)のアッセイのために採取された。
【0075】
下記の表は、制御放出錠剤の7日間の投与の後で得られたチゾキサニドについての重要な薬物動態学パラメーターを、ニタゾキサニドの500mg即時放出(「IR」)錠剤を使用する類似研究(研究198.637)から得られた結果と比較して示す。総暴露濃度(AUC)及び最小血漿濃度(Cmin)が制御放出錠剤についてはIR錠剤よりも著しく大きく、しかし、最大血漿濃度は類似していた。
【表4】

【0076】
表4に示される値は算術平均である。CR錠剤についてのデータが研究RM06−1001から取られた。IR錠剤についてのデータが研究198.637から取られた。両方の研究において、錠剤が、健康な成人男性志願者において、1日に2回、7日間にわたって食事と一緒に投与された。示される薬物動態学パラメーターは、1日に2回の服用の7日目についてである。
【0077】
ほんの軽度から中程度の有害事象が研究RM06−1001において認められ、この場合、最も一般的なものが、着色尿、疲労、下痢、結膜の変色、腹痛及び悪心であった。高用量治療の期間中により大きい頻度で生じた有害事象が、下痢(8名[73%]対4名[33%])、悪心(7名[64%]対3名[25%])、腹痛(6名[55%]対2名[17%])及び食欲低下(4名[36%]対1名[8%])であった。すべての他の有害事象の発生率がこれら2つの治療療法について類似していた。臨床検査値、生命徴候又はECGパラメーターには、有意な変化が何ら認められなかった。
【0078】
歴史的には、ニタゾキサニドの経口投与に伴うこれらの最も一般的な有害事象は胃腸管に関連づけられている。下記の表は、500mg即時放出(IR)錠剤を使用する研究198.637において報告される最も一般的な胃腸の有害事象と一緒に、研究RM06−1001から報告される最も一般的な胃腸の有害事象を示す。表5におけるデータは、制御放出錠剤が即時放出錠剤よりも良好に許容されることを示している。
【表5】

【0079】
CR錠剤についてのデータが研究RM06−1001から取られた(調製における最終報告)。IR錠剤及びプラセボ錠剤についてのデータが研究198.637から取られた。両方の研究において、錠剤が、健康な成人男性志願者において、1日に2回、7日間にわたって食事と一緒に投与された。両方の研究が、SGS Biopharm(CRO)によって同じ臨床センターで行われた。両方の研究が二重盲検化され、その結果、患者又は医師のどちらも治療群の割り当てを知らなかった。IR錠剤の研究が1998年に行われ、CR錠剤の研究が2008年に行われた。
【0080】
2.研究RM06−1002(675mgの制御放出錠剤を使用する、慢性C型肝炎の遺伝子型4を有する患者におけるウイルス速度論研究)
慢性C型肝炎の遺伝子型4を有する40名のインターフェロン未処置患者を二重盲検様式でランダム化して(2:2:1)、NTZ(675mg)を4週間にわたって1日に2回、その後、1日に2回のNTZ(675mg)+PegIFN+RBVを48週間にわたって、又は、NTZ(1350mg)を4週間にわたって1日に2回、その後、1日に2回のNTZ(1350mg)+PegIFN+RBVを48週間にわたって、又は、プラセボを4週間にわたって1日に2回、その後、プラセボ+PegIFN+RBVを48週間にわたって服用させた。PegIFN(ペグインターフェロンα−2a、Pegasys(登録商標)、Roche、バーゼル、スイス(Basel,Switzerland))の服用は180μg/週であり、RBV(Viracure(登録商標);October Pharm、カイロ、エジプト(Cairo,Egypt))の服用は1000mg/日(75kg未満の体重)又は1200mg/日(75kg以上の体重)であった。HCVのRNAを、ベースラインにおいて、また、単独療法導入期の期間中の3日目、7日目、14日目及び28日目に、並びに、併用療法期の3日目、7日目、14日目及び28日目に定量した。プライマリーエンドポイントが、ベースラインから併用療法の第4週までの量的なHCV RNAにおける変化であった。セカンダリーエンドポイントには、RVR(4週間の併用療法の後における12IU/mL未満のHCV RNA)、cEVR(12週間の併用療法の後における12IU/mL未満のHCV RNA)及びEVR(12週間の併用療法の後におけるlog10[HCV RNAにおける低下]が2以下(≧2log10 drop in HCV RNA))が含まれた。HCV RNAを、Abbott Realtime HCV RT−PCRアッセイを使用して定量した(LOD=12IU/mL)。
【0081】
研究第16週までのウイルス学的応答が下記の表に記載される。
【表6】

【0082】
重大な有害事象が何ら報告されず、また、患者は誰一人、有害事象のために治療を中断しなかった。
【0083】
本研究は、治療に対するウイルス学的応答における改善が用量に関連づけられることを明らかにした。ペグインターフェロンα−2a及びリバビリンに加えた1日に2回のIR錠剤により処置された、慢性C型肝炎の遺伝子型4を有する患者における以前の研究では、HCV RNAの検出不能なレベルを12週間の併用療法の後で達成する患者の割合(cEVR)が86%(24/28)であった。副作用がより少ないこの新しい制御放出錠剤配合物の使用は、活性成分の用量を1日に2回の1350mgにまで増大することを可能にし、これにより、血漿中のチゾキサニドの濃度を改善し、かつ、cEVRを達成する患者の割合を改善した。
【0084】
前記は特定の好ましい実施形態を示すが、本発明はそのように限定されないことが理解される。様々な改変が、開示された実施形態に対して行われ得ること、及び、そのような改変は本発明の範囲内であることが意図されることが当業者には想起される。
【0085】
本明細書において引用される刊行物、特許出願及び特許のすべてが、それらの全体において参照によって本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分;及び
(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分
を含む、固体経口剤形の形態での医薬組成物。
【請求項2】
前記固体経口剤形が錠剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1の部分(a)が前記錠剤の第1の層を形成し、かつ、前記第2の部分(b)が、前記第1の層(a)の上に置かれる第2の層を形成する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の部分(a)が前記錠剤の第1の層を形成し、前記第2の部分(b)が、前記第1の層(a)の上に置かれる第2の層を形成して、前記第1の層及び前記第2の層を含むコア錠剤を形成し、かつ、(c)外側被覆層が前記コア錠剤の上に置かれる、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記固体経口剤形がカプセルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1の部分(a)が、前記第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを含有する制御放出顆粒の形態であり、かつ、前記第2の部分(b)が、前記第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを含有する即時放出顆粒の形態である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の部分がさらに、1つ又はそれ以上の希釈剤、崩壊剤、結合剤、懸濁化剤、流動促進剤、滑剤、充填剤又はさらなる賦形剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1の部分がさらに、前記結合剤としてのヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、前記充填剤としてのリン酸二カルシウムデヒドラート(dehydrate)、前記流動促進剤としてのコロイド状無水シリカ、並びに、前記滑剤としてのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記第2の部分がさらに、1つ又はそれ以上の希釈剤、崩壊剤、結合剤、懸濁化剤、流動促進剤、滑剤、充填剤又はさらなる賦形剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記第2の部分がさらに、前記結合剤としてのヒドロキシプロピルセルロース及び微結晶セルロース、前記希釈剤としてのトウモロコシデンプン、前記崩壊剤としてのナトリウムクロスカルメロース、前記流動促進剤としてのコロイド状無水シリカ、並びに、前記滑剤としてのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1の部分がさらに、低粘度ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記低粘度ポリマーが低粘度のヒドロキシプロピル−メチルセルロースである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
(a)約500mgのニタゾキサニドを制御放出配合物において含む第1の層;及び
(b)約175mgのニタゾキサニドを即時放出配合物において含む第2の層であって、コア錠剤を形成するために、前記第1の層の上に置かれ、かつ、前記第1の層とともに圧縮成形される第2の層;及び
(c)前記コア錠剤に加えられる外側被覆
を含み、
ここで、前記第1の層がさらに、低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、経口投与のための二層錠剤。
【請求項14】
C型肝炎罹患患者を治療する方法であって、
(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分;及び
(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分
を含む、固体剤形の形態での医薬組成物の治療有効量を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
前記固体剤形が錠剤である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の部分(a)が前記錠剤の第1の層を形成し、かつ、前記第2の部分(b)が、前記第1の層(a)の上に置かれる第2の層を形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の層がさらに、1つ又はそれ以上の希釈剤、崩壊剤、結合剤、懸濁化剤、流動促進剤、滑剤、充填剤又はさらなる賦形剤を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の層がさらに、前記結合剤としてのヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、前記充填剤としてのリン酸二カルシウムデヒドラート(dehydrate)、前記流動促進剤としてのコロイド状無水シリカ、並びに、前記滑剤としてのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の層がさらに、1つ又はそれ以上の希釈剤、崩壊剤、結合剤、懸濁化剤、流動促進剤、滑剤、充填剤又はさらなる賦形剤を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の層がさらに、前記結合剤としてのヒドロキシプロピルセルロース及び微結晶セルロース、前記希釈剤としてのトウモロコシデンプン、前記崩壊剤としてのナトリウムクロスカルメロース、前記流動促進剤としてのコロイド状無水シリカ、並びに、前記滑剤としてのステアリン酸マグネシウムを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の層がさらに、低粘度のヒドロキシプロピル−メチルセルロースを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
C型肝炎罹患患者を治療する方法であって、
(a)約500mgのニタゾキサニドを制御放出配合物において含む第1の層;及び
(b)約175mgのニタゾキサニドを即時放出配合物において含む第2の層であって、コア錠剤を形成するために、前記第1の層の上に置かれ、かつ、前記第1の層とともに圧縮成形される第2の層;及び
(c)前記コア錠剤に加えられる外側被覆
を含む二層錠剤であり、
前記第1の層がさらに、低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む前記二層錠剤の治療有効量を前記患者に経口投与することを含む、前記方法。
【請求項23】
C型肝炎罹患患者を治療する方法であって、
(i)ニタゾキサニド又はそのアナログを第1の活性な薬剤として含む固体経口剤形の形態での第1の組成物を所定の期間にわたって前記患者に投与することによって前記患者を前処置すること、ここで、前記第1の組成物は、(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分と、(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分とを含む;及び
(ii)(i)における期間の後で、治療有効量の第2の活性な薬剤を含む第2の組成物を前記患者に投与すること
を含む、前記方法。
【請求項24】
前記第2の活性な薬剤がインターフェロン又はインターフェロンのポリエチレングリコール誘導体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の組成物がさらに、1つ又はそれ以上の抗ウイルス剤を含む第3の活性な薬剤を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の組成物がさらに、リバビリンを前記抗ウイルス剤として含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ニタゾキサニド又はチゾキサニドによる治療に関連する1つ又はそれ以上の副作用を患者において軽減する方法であって、
(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分、及び
(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分
を含む、固体剤形の形態での医薬組成物の治療有効量を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項28】
前記固体剤形が二層錠剤であり、
ここで、
第1の部分(a)が、約500mgのニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含み、かつ、低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースをさらに含む第1の層を形成する;
第2の部分(b)が、約175mgのニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の層を形成し、ここで、前記第2の層は、コア錠剤を形成するために前記第1の層の上に置かれ、かつ、前記第1の層とともに圧縮成形され;かつ、
前記錠剤がさらに、前記コア錠剤に加えられる外側被覆(c)を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ニタゾキサニド又はそのアナログの生物学的利用能を患者において増大させる方法であって、
(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分、及び
(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分
を含む、二層固体剤形の形態での医薬組成物の治療有効量を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項30】
前記固体剤形が二層錠剤であり、
ここで、
第1の部分(a)が、約500mgのニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含み、かつ、低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースをさらに含む第1の層を形成し;
第2の部分(b)が、約175mgのニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の層を形成し、ここで、前記第2の層は、コア錠剤を形成するために前記第1の層の上に置かれ、かつ、前記第1の層とともに圧縮成形され;かつ、
前記錠剤がさらに、前記コア錠剤に加えられる外側被覆(c)を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ニタゾキサニド又はそのアナログの吸収を患者において延ばす方法であって、
(a)第1の量のニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含む第1の部分、及び
(b)第2の量のニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の部分
を含む、二層固体剤形の形態での医薬組成物の治療有効量を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項32】
前記固体剤形が二層錠剤であり、
ここで、
第1の部分(a)が、約500mgのニタゾキサニド又はそのアナログを制御放出配合物において含み、かつ、低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースをさらに含む第1の層を形成し;
第2の部分(b)が、約175mgのニタゾキサニド又はそのアナログを即時放出配合物において含む第2の層を形成し、ここで、前記第2の層は、コア錠剤を形成するために前記第1の層の上に置かれ、かつ、前記第1の層とともに圧縮成形され;かつ、
前記錠剤がさらに、前記コア錠剤に加えられる外側被覆(c)を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ニタゾキサニド又はそのアナログと、低粘度ポリマーとを含み、前記低粘度ポリマーが、前記ニタゾキサニド又はそのアナログの放出を制御する、経口投与のための制御放出錠剤。
【請求項34】
前記低粘度ポリマーが低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項33に記載の制御放出錠剤。

【公表番号】特表2012−518002(P2012−518002A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550246(P2011−550246)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/024000
【国際公開番号】WO2010/093854
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(507337865)ロマーク ラボラトリーズ エル.シー. (6)
【Fターム(参考)】