説明

ニトリル化合物の水素添加によるアミンの製造方法

本発明は、触媒の存在下におけるニトリル化合物の水素添加によるアミン化合物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、ラネー金属をベースとする触媒の存在下、アルコール性溶媒の不在下におけるジニトリル化合物の連続水素添加によるジアミンの製造方法に関する。この方法は、反応媒体中に存在する触媒の一部を取り出すことを含む。取り出された分の触媒は再生プロセスに付され、新たな触媒の触媒活性よりは低いがしかし高い触媒活性を有する触媒が得られる。再生された触媒は、所定の比に従って新たな触媒と一緒に反応媒体にリサイクルされる。本発明の方法は、特に、生産されるアミン1トン当たりの触媒の消費量を減らすことを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒の存在下におけるニトリル化合物の水素添加(即ち水素化)によるアミン化合物の製造方法に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、ラネー金属をベースとする触媒の存在下、アルコール性溶媒の不在下におけるジニトリル化合物の連続水素添加によるジアミンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
工業的に利用されているアミン化合物の製造方法の1つは、ニトリル化合物の接触水素添加である。
【0004】
例えば、数多くの化合物やポリマーの製造における重要な化学中間体であるヘキサメチレンジアミンは、主としてアジポニトリルの接触水素添加によって製造されている。
【0005】
例として、酸化鉄や酸化コバルトのような金属酸化物を触媒として存在させた下でのアジポニトリルの水素添加方法を挙げることができる。これらの方法は、一般的に高圧高温で、そしてしばしばアンモニアの存在下において、実施される。
【0006】
広く用いられている他の水素添加方法は、アルコール、又は水及び塩基性化合物(助触媒として)の存在下で、ラネー金属(より詳細にはラネーニッケル又はラネーコバルト)をベースとする系を触媒として用いることから成る。これらの方法においては、比較的低圧低温で、アンモニアの不在下において反応が実施される。後者のラネー金属をベースとする触媒を用いた水素添加方法は、所定のタイプの反応器中で実施することができる。実際、この触媒は自然発火性なので、用いられる反応器は、反応媒体中への触媒の連続導入の効率的な調節が可能なものでなければならない。また、反応媒体中に懸濁させる触媒の量を調節し、この懸濁液の制御/調節された循環を提供することも必要である。
【0007】
そして、これらの触媒は、ニトリル化合物の水素添加方法においてある種の条件下で用いられた時に、触媒活性に強い影響が及ぼされることがある。
【0008】
Chemical Engineering Science, Vol. 47, No. 9-11, 2289-94 (1992)に発表された論文には、ニトリル化合物がラネーニッケル又はラネーコバルトをベースとする触媒を失活させることが示されている。この失活を減らすために、Chemical Engineering Science, Vol. 35, 135-141 (1980)に発表された論文には、最適混合条件を得るための高い反応媒体循環率と、高いニトリル化合物濃度を示す領域ができるのを回避するための乱流とを採用した反応器を用いることが提唱されている。実際、高濃度のニトリル化合物は触媒の失活をもたらす。
【0009】
これらの方法はすべて、触媒の活性の低下を減らすための解決策として、反応媒体を効率的に混合して反応器中のどの箇所においても同じ反応成分濃度及び同じ触媒濃度にすることが可能な系を用いる。
【0010】
このような混合状況は達成するのが困難であり、国際公開WO00/37424号パンフレットに記載されたもののような複雑な装置を必要とする。この国際公開パンフレットに記載された発明は、混合状況を改善し且つ反応器の任意の箇所における濃度の均一性を改善するために静的ミキサーを使用することに関するものである。
【0011】
さらに、これらの解決策は、栓流(ピストン流れ)条件下で運転される反応器(例えば懸濁状の触媒床を循環させて運転される気泡塔類、気泡塔と気体を分離するためのサイクロンヘッドとを含む反応器)(以下、RTCタイプの反応器と称する)中で水素添加反応を連続的に実施する場合には、適用できる。
【0012】
これらの方法の別の特徴は、触媒上でアルミネートが生成して付着することによる触媒の急速な失活現象にある。
【0013】
この問題を防止し又は低減させるために、反応媒体にアルコールを添加してアルミネートを溶かし且つ触媒上へのその付着を減らすことが提案されている。しかしながら、結晶化して装置の部品上に付着したアルミネートを掃除して取り除くために、定期的にプラントを停止することが必要だった。
【0014】
この方法にはまた、蒸留操作及びアルコール分離操作を含むという欠点もある。さらに、アルコールはヘキサメチレンジアミン(HMD)のような生成したアミンと反応して、N−エチルヘキサメチレンジアミンのイミンのような不純物を生成することがあり、これは生成したジアミンから分離するのが困難である。
【0015】
アルコールを用いずに水を用いる水素添加方法、例えば米国特許第3056837号明細書、米国特許第4429159号明細書又は米国特許第4491673号明細書に記載されたようなものも、提唱されている。
【0016】
しかしながら、反応媒体中で高い触媒活性を維持するためには、かなりの量の消費した触媒を取り出して新たな触媒と取り替えることが必要だった。従って触媒消費が多く、プロセスの経済性に影響が及んでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開WO00/37424号パンフレット
【特許文献2】米国特許第3056837号明細書
【特許文献3】米国特許第4429159号明細書
【特許文献4】米国特許第4491673号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Chemical Engineering Science, Vol. 47, No. 9-11, 2289-94 (1992)
【非特許文献2】Chemical Engineering Science, Vol. 35, 135-141 (1980)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の1つの目的は、アミン化合物を得るための水を含む媒体中でアルコールの不在下で且つラネー金属をベースとする触媒の存在下におけるニトリル化合物の連続式水素添加方法であって、生産されるアミン化合物1トン当たりの触媒消費量を減らしながら、反応器中の好適な触媒活性を維持することができる前記方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的で、本発明は、少なくとも1個のニトリル官能基を含む化合物の水素添加による少なくとも1個のアミン官能基を含む化合物の製造方法であって、
・ラネー金属をベースとする触媒の懸濁粒子と無機塩基と水とを含む反応媒体が循環する栓流タイプの反応器に、水素とニトリル官能基を少なくとも1個含む成分とを含む気体を供給し、
・前記栓流反応器の出口において、触媒を分離した後のアミン官能基を少なくとも1個含む化合物を含む反応媒体の一部分を取り出し、該反応媒体の残りの部分を前記栓流反応器にリサイクルし、
・前記の分離された触媒を前記栓流反応器にリサイクルし、
・新たな触媒流を前記栓流反応器に供給する
ことから成ること、並びに
前記の分離された触媒の一部を反応媒体にリサイクルする前に再生プロセスに付し、この再生プロセスが、触媒を水で洗浄して有機化合物の大部分を除去する工程を含み、この洗浄された触媒を塩基による処理に付して生成したアルミネートの大部分を溶解させ、次いでアルカリ金属水酸化物水溶液及び/又は水で洗浄すること
を特徴とする前記製造方法を提供する。
【0021】
用語「新たな触媒」とは、水素添加反応において用いられていない触媒を意味するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を実施するのに適した装置の一実施形態の概略図である。
【図2】本発明を実施するのに適した装置の別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の1つの特徴に従えば、リサイクルされる再生触媒の重量流量R及び供給される新たな触媒の重量流量Nは、次の式Iを満たすのが有利である。
【数1】

【0024】
好ましくは、これらの流量R及びNは、次の式IIを満たすのが有利である。
【数2】

【0025】
この再生触媒及び新たな触媒の流量R及びNの制御は、最適なプロセス運転条件(例えばニトリル転化度及びジアミン選択性)を維持しながら、反応媒体中の触媒の平均活性を制御することを可能にし、従って生産されるアミン1トン当たりの触媒の消費を最小限に抑えるために新たな触媒の流量を最適化することを可能にする。
【0026】
質量流量R及びNは、単位時間当たりの触媒の重量として表わされる。新たな触媒の重量による平均流量Nは、プラント又は水素添加プロセスに望まれる生産高によって決定され、より特定的にはプラントに供給されるニトリル化合物の流量に依存する。
【0027】
本発明にとって好適な触媒は、ラネーニッケルやラネーコバルトのようなラネー金属であり、ラネーニッケルが好ましい。
【0028】
有利には、ラネー金属と共に促進剤元素を用いることができる。これらの促進剤元素は、元素周期表の第IIB族及び第IVB〜VIIB族の元素から選択される。該促進剤元素は、チタン、クロム、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛、鉄及びそれらの組合せより成る群から選択されるのが有利である。
【0029】
本発明の方法に従えば、反応媒体から分離された触媒の一部は、新たな触媒の触媒活性の35%〜80%、好ましくは40%〜70%に相当する触媒活性を得ることを可能にする再生プロセスに付される。
【0030】
この触媒活性は、測定方法について決定される温度及び圧力及びKOH/触媒重量比の条件下において、所定量のラネーニッケル触媒について単位時間当たりにアジポニトリルを還元してヘキサメチレンジアミンを得る際に消費される水素のモル量によって表わされる。
【0031】
触媒の初期活性は、下記の手順を実施することによって決定される:
【0032】
アルゴンで脱気した脱塩水50ミリリットルを、250ミリリットルのビーカー中に注ぐ。スパチュラを用いて、分析されるべき触媒から成るスラリー約2gを取り出す。この試験サンプルを前記ビーカー中に導入し、脱気した脱塩水約100ミリリットルを加える。
【0033】
この混合物を撹拌して、分析すべき触媒を懸濁させる。ビーカーの底部にマグネットプレートを置くことによって水を触媒から分離する。脱気した脱塩水を取り除く。このビーカー中に、脱気した脱塩水150ミリリットルを注ぐ。
【0034】
このビーカーをマグネット上に置く:洗浄水(水性洗浄液)を取り除き、次いで脱気した脱塩水50〜100ミリリットルを加える。脱気した脱塩水で触媒を洗浄する。これらの洗浄操作の終わりに、水のpHが7付近でなければならない。
【0035】
比重瓶(ピクノメーター)を前記触媒の上澄み液で満たす。この比重瓶を計量して秤の零点を規定する。この比重瓶を秤から取り除く。ピペットによってこの比重瓶から少量の水を取り除く。同じピペットによって前記ビーカーから触媒を取り出す。比重瓶に所定量の触媒を導入し、この比重瓶を前記上澄み液で調整する。
【0036】
この比重瓶を計量し、水+触媒で満たされた比重瓶と水で満たされた比重瓶との間の重量差(W)を読み取る。触媒の重量wcatalystは、1.15×Wに等しい。上記の計量操作を所望の量が得られるまで繰り返すことによって、比重瓶中の触媒の量を調整する:取り出される触媒の量は、有利には以下に等しい:
ほぼ正確に0.4000gの、消費され、再生され又は新たに洗浄された触媒
(0.3960g≦wcatalyst≦0.4040g)
【0037】
比重瓶中に導入された触媒の量wcatalystを記録する(精度:0.0001g)。きれいな乾いた反応器及びその支持台を秤の上に置く。秤の目盛りを0に合わせる。比重瓶の内容物をきれいな乾いた反応器中に移し替える。比重瓶中に導入された触媒を全部集めるために、必要量の脱塩水で比重瓶をすすぐ。反応器の底にマグネットプレートを用いて、できるだけ多くの水を取り除く。
【0038】
前記触媒に好適なマイクロシリンジを用いて6.8N水酸化カリウムKOHを添加する(即ち47マイクロリットル)。この溶液に、反応器中の溶液の重量が4.66gになるように脱塩水を補充する。この反応器に純粋なHMD37.8gを添加する。
【0039】
この反応器をパイロットスケールの装置中に入れ、加熱を開始する(設定温度80℃)。反応器のヘッドスペースを窒素で3回パージする。水素を50バールの圧力で供給する。反応器のヘッドスペースを、水素を入れて排出させることによって、水素パージする。水素供給源における圧力を維持し又は再確立しながら、この操作を3回繰り返す。水素による反応器の3回のパージの終わりに、反応器を水素で加圧して20バールにする。
【0040】
撹拌を開始する(設定温度80℃、撹拌速度2000回転/分)。長い針を備えたガラスシリンジにより、ほぼ正確に6.00gのアジポニトリル(AdN)を取り出す。針を備えた装填されたシリンジによって秤を0調整する。アジポニトリルを滴下漏斗中に導入する。針を備えた空のシリンジを計量する。滴下漏斗中に導入されたアジポニトリルの重量WADNを記録する(これは5.70〜6.30gの範囲でなければならない)。
【0041】
反応器を水素供給源からの水素で加圧し、50バールの供給源圧力を再確立する。供給源及び反応器の圧力が一定であることを確認する。温度及び撹拌が達成されたら、反応器中にAdNを導入するために、最初に僅かに、次いで1回の操作で完全に、滴下漏斗の弁を開く。反応器内の圧力は25バールに上昇させる。
【0042】
供給源からの反応器への水素の供給は、水素圧力曲線が安定になるまで開いておく。反応期間を通じて、供給源の水素圧力を時間の関数として記録しておく。反応器中の水素圧力が安定化したら、反応器への水素供給を閉じる。反応器の加熱を停止し、反応媒体を45℃の温度まで冷ます。反応器をゆっくり圧抜きし、撹拌を停止する。反応器のヘッドスペースを窒素で3回パージする。反応器の内容物を脱塩水ですすぎながら容器中に取り出す。
【0043】
触媒の活性は、下記の式で与えられる反応の初期速度によって決定される。
【数1】

Δtinitialは、もしも反応の間に触媒が絶えず置き換えられていたならば水素添加に要したであろう時間(分)である。これは、反応開始時の圧力を記録する曲線の勾配と反応終了時の勾配(一般的に0)との間の交点の横座標によって決定される。この曲線は、時間の関数としての供給源における水素圧力の変化を表わす。水素添加の初期速度は、モルH2/g触媒/秒で表わされる。
【0044】
本発明に従えば、前記再生プロセスは、再生されるべき触媒を洗浄して、有機化合物、特に生成するアミン(例えばヘキサメチレンジアミン等)の大部分を除去する第1段階を含む。
【0045】
この洗浄は水を用いて実施され、最終洗浄水中の有機化合物の重量濃度が1重量%以下となるように複数回連続で実施するのが有利である。好ましくは、この有機化合物の濃度は、洗浄水中に存在するアミンの量を測定することによって決定される。
【0046】
この洗浄はまた、1以上の向流カラム中で又は洗浄すべき触媒を固定床の形で含むカラム中で連続的に実施することもできる。
【0047】
有利には、前記洗浄は、カラムや洗浄装置に水垢がつくのを防ぐために、10℃〜50℃の範囲の温度の水、好ましくは周囲温度(20〜25℃)の水を用いて実施する。
【0048】
洗浄された触媒は次いで、特に生成したアルミネートを溶解させるために、強塩基による処理に付される。好適な塩基としては、アルカリ金属水酸化物を用いることができ、水酸化ナトリウムが好ましい水酸化物である。
【0049】
用いられる塩基溶液は、10〜25重量%の水酸化ナトリウムを含む。
【0050】
この処理は、80℃超の温度、有利には水酸化ナトリウム溶液の沸点において、実施するのが好ましい。
【0051】
この処理は、バッチ式プロセスで又は連続式プロセスで実施することができる。
【0052】
水酸化ナトリウムによる処理時間は、新たな触媒の触媒活性の少なくとも35%、有利には少なくとも39%に相当する触媒活性での再生を可能にするのに充分なものでなければならない。
【0053】
さらに、塩基性化合物による処理は、アルミニウム金属上を攻撃することによって水素を発生させることができる。この水素は、触媒を状態調節することを可能にする。
【0054】
こうして処理された触媒は、可溶性アルミネートを除去するために、さらなる洗浄工程に付される。
【0055】
この洗浄は、複数回の連続的な洗浄操作を含むこともでき、また、例えば向流洗浄カラム中で連続的に実施することもできる。
【0056】
この洗浄は、アルミネートの除去を促進するために、40℃〜90℃の範囲の温度の水で実施するのが有利である。また、洗浄液としてアルカリ金属水酸化物水溶液、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液を、0.012g/リットルの最小水酸化ナトリウム濃度、有利には0.012重量%〜0.040重量%の範囲の濃度において用いることも可能である。この洗浄用溶液は、最後の洗浄工程を実施するため又は洗浄プロセス全体で、有利に用いることができる。
【0057】
洗浄は、0.012重量%以上の最終洗浄水中のアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム)の重量濃度が得られるまで、実施する。アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム) の濃度がこの値より低いと、アルミネートが沈殿する恐れがある。
【0058】
洗浄後に、再生された触媒は、反応媒体に直接リサイクルしてもよいし、反応媒体に供給される前に新たな触媒と混合してもよい。
【0059】
再生プロセスは、空気雰囲気下で実施するのが有利である。しかしながら、不活性雰囲気下又は酸素を含まない雰囲気下で実施することもできる。
【0060】
また、洗浄用の水及び水酸化ナトリウム溶液として、脱酸素された水及び溶液を用いるのも有利である。
【0061】
本発明の方法は、アミン又はジアミンを得るためのニトリル又はジニトリルの水素添加に適用される。この方法は特に、プロピレンジアミン、ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンより成る群から選択されるジアミンの製造に適用される。より特定的には、この方法は、ヘキサメチレンジアミンを得るためのアジポニトリルの水素添加に適用される。
【0062】
本発明に従えば、水素添加反応は、溶媒(有利には水素添加によって得られるアミンから成る溶媒)の存在下で実施される。従って、アジポニトリルの水素添加の場合には、ヘキサメチレンジアミンが反応媒体の主成分として有利に用いられる。反応媒体中のアミンの濃度は、水素添加反応媒体の液相の50〜99重量%の範囲であるのが有利であり、60〜99重量%の範囲であるのが好ましい。
【0063】
前記水素添加反応は、反応媒体の他の成分として水が存在する下で実施される。この水は、一般的に反応媒体全体の液相中の50重量%以下、有利には20重量%以下、より一層好ましくは0.1〜15重量%の範囲の量で存在させる。
【0064】
水素添加反応は、塩基性化合物の存在下、好ましくはLiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH及びそれらの混合物のような無機塩基の存在下で実施される。NaOH及びKOHを用いるのが好ましい。
【0065】
塩基の添加量は、触媒1kg当たり塩基少なくとも0.1モル、好ましくは触媒1kg当たり塩基0.1〜2モルの範囲、より一層有利には触媒1kg当たり塩基0.3〜1.5モルの範囲になるように決定される。
【0066】
水素添加反応は、150℃以下、好ましくは120℃以下、より一層好ましくは100℃以下の温度において実施される。この反応温度は、50℃〜100℃の範囲にするのが一般的である。
【0067】
反応器中の水素圧力は、概ね0.10〜10MPaの範囲とする。
【0068】
本発明の好ましい実施形態に従えば、本発明の水素添加反応は、添付した図1及び図2を参照した下記の装置中で連続式で実施される。これらの図面は、本発明を実施するのに適した装置の実施形態の概略図を表す。
【0069】
本発明の方法を実施するのに適した装置は、優れた気体/液体接触、接触後のこれら2つの相の迅速且つ効率的な分離、水素添加生成物と触媒との連続的な分離、及び触媒のリサイクルを、触媒の失活をできるだけ少なくするのに適した時間で、可能にするものである。
【0070】
前記の装置は、次の3つの主要区画を有する:懸濁した触媒床を循環させながら気泡塔の原理に従って運転される栓流反応区画、気体/液体分離区画、並びに前記触媒のリサイクル及び液体(水素添加生成物)の取り出しを伴う触媒/液体分離区画。
【0071】
従って、本方法を実施することを可能にする装置は、栓流反応器出口に触媒粒子デカンテーション用領域(触媒/液体分離区画)を有するものであって、その上澄み相がアミンを含む媒体の取出し口を含む第1の外部ループを介して栓流反応器にリサイクルされ、沈降した相が第2の外部ループを介して栓流反応器にリサイクルされるものである。
【0072】
前記反応区画は一般的に1個以上のU字形の管を含み、その枝は垂直であり又は僅かに傾いており、各U字の枝の一方は気体/液体/固体触媒分散体の上昇をもたらし、もう一方は少なくとも部分的に脱ガスされた液体の戻りをもたらす。この反応区画はまた、上昇用の枝の下部に複数の入口:水素の入口、ジニトリルの入口、助触媒の入口、触媒の入口及びリサイクルされる触媒の入口:を含む。触媒の入口は、新たな触媒と再生された触媒との混合物を導入するための単一の供給口から成ることもでき、新たな触媒用及び再生された触媒用の2つの別個の供給口から成ることもできる。
【0073】
気体/液体分離区画は、縦型円筒部に、1個以上の接線方向の入口(反応器の上昇用枝から入って来る)、1個以上の接線方向出口(反応器の下降用枝に向かう)、気体出口及び反応混合物出口(液体/固体分離に向かう)を含ませて成る。気体/液体/固体触媒分散体用の入口は、脱ガスされた液体が出て行く箇所より上に位置する箇所に挿入される。この部分がサイクロンヘッドを形成する。
【0074】
液体/固体分離区画は、触媒から水素添加生成物を分離し且つこの触媒をリサイクルすることが可能なデカンターから成る。前記水素添加生成物は連続的に取り出され、一方、デカンターで分離された触媒懸濁液は、反応区画の水素導入箇所の上流に戻される。この触媒懸濁液の一部は、本発明に従って再生処理に付すために、取り出される。
【0075】
本発明の方法に好適な装置は、例として図1に図示したものであることができる。この装置においては、縦型円筒管(1)が湾曲管(2)によって水平管(3)に連結され、この水平管(3)は、管(1)より直径が大きい縦型円筒体から成る気体/液体分離器(4)中に、接線方向で入る。
【0076】
前記分離器(4)は、気体又は蒸気排出用配管(5)を含む。前記の管(3)の入口箇所より下に位置する箇所において分離器に対して接線方向で出て行く水平管(6)は、湾曲管(7)を介して第2の縦型管(8)に連結され、この縦型管(8)は湾曲部(9)を介して前記の管(1)に連通する。管(1)及び(8)と湾曲部(9)との組合せがU字を形成する。管(1)はその下部に水素導入用配管(10)及びジニトリル導入用配管(13)を含む。管(1)及び(8)は、図1に示されるように、冷却用又は加熱用流体の循環が可能なジャケット(11)及び(12)を含むことができる。湾曲部(9)は触媒用の入口(30)及びリサイクル触媒用の入口(21)を含む。
【0077】
管(1)及び(8)は、垂直であっても僅かに傾いていてもよい(後者の場合、それらの軸が下向きに収束するようなものであるのが好ましい)。
【0078】
湾曲部(2、7、9)の曲率半径は、循環路全体を循環する物質の圧力低下ができるだけ小さくなるように、化学工学の慣用のルールに従って計算される。それらの湾曲角度は45°〜135°の範囲であることができ、60°〜120°の範囲であるのが好ましい。
【0079】
図1において、水素は配管(10)から導入される。この配管には、任意の標準的な分散装置を備え付けることができるが、しかし単純に壁と同一平面にある管を管(1)の内側に配置させるだけで充分である。この配管(10)は、水素源に連結され、この水素は大気圧又はそれより高い圧力において導入することができる。
【0080】
気体排出用配管(5)は、水素添加生成物から分離された気体を処理するための任意の装置に連結することができる。図1には、(5)からの気体を凝縮器(14)に通す装置が示されている。この凝縮器(14)中で、分離器(4)において同伴された蒸気が水素から分離される。得られた凝縮液は、配管(31)から装置にリサイクルされる。過剰分の水素は次いでパージ(ガス抜き)装置(15)を含む管路を経由してコンプレッサー(16)中に通され、次いで、水素添加の際に消費された水素及びパージされた水素を補填することが意図される量の水素を(17)において導入した後に、(10)においてリサイクルされる。
【0081】
脱ガスして触媒を取り除いた水素添加生成物を取り出すことが必要である。きれいな(即ち何ら触媒を含まない)水素添加生成物を取り出せるようにするためには、デカンター(18)を分離器(4)のすぐ下に配置させる。分離器(4)において気相が分離された液体/触媒懸濁液が、デカンター(18)に入る。このデカンター(18)は、円筒部(19)の末端に円錐形部(20)が設けられて成る。
【0082】
管路(21)は、濃縮された触媒スラリーを湾曲部(9)に連続的に戻す働きをする。触媒を含まない水素添加生成物は、管路(22)から出て行く。この管路(22)はトラップ(23)に連結され、このトラップ(23)にはオーバーフロー(24)が連結され、これがきれいな水素添加生成物を連続的に取り出すことを可能にする。この装置全体の液位は、ジニトリル、溶剤及び触媒の混合物の等容量を連続的に導入することによって一定に保たれる。円錐形部(20)でデカンテーションされた触媒は、配管(21)を経由して管(9)にリサイクルされる。
【0083】
図2に、本発明の範囲内に入るデカンテーションの特定的な形をより詳細に示す。一方で触媒塊及び水素添加生成物の過剰に迅速な移動がデカンター(18)中に広がらないようにするため、他方で水素がデカンター内に入らないようにするために、2つの領域(気体/液体分離区画及び液体/固体分離区画)の分離が必要である。しかしながら、いずれにしても触媒の付着の原因となってはならない。このような結果は分離器(4)とデカンター(18)との間に隔壁(26)を設置し、気体/液体分離器とデカンターとの間の循環が、液体速度を有意に(例えば0.5m/秒未満の値に)低下させるために計算された直径を有する管路(27)によってもたらされるようにすることによって、達成される。この管路(27)は、管路(27)の直径以上の直径を有する管によってデカンター内に入り込んでいる。
【0084】
ヘキサメチレンジアミンを得るためのアジポニトリルの水素添加方法を実施するために上記の装置を使用することにより、液状反応混合物中の水素の良好な分散を達成することができる。この分散は、U字管全体で安定であり且つ均一である。この装置は、前記のように、触媒が有意に失活することなく、取り出されるべき水素添加生成物をリサイクルされるべき触媒から連続的に分離することを可能にし、再生させることが予定される部分の触媒を容易に取り出すことを可能にする。
【0085】
本発明に従えば、管21を経由してリサイクルされる触媒スラリーの一部は、弁(32)から取り出される。
【0086】
こうして分離された触媒スラリー流は、略図で表わした水で洗浄するための装置(33)に供給される。この洗浄装置は、撹拌式洗浄機又は1個以上の洗浄カラム、特に連続運転用、向流カラムを含むことができる。
【0087】
上記の条件に従って洗浄された後に、触媒は、塩基処理装置(34)に供給される。この装置は1個以上の撹拌式反応器を含むことができる。強塩基による処理は、バッチ式で又は連続式で実施することができる。
【0088】
塩基処理の後に、再生された触媒は、装置(33)と同様のさらなる洗浄装置(35)に供給される。
【0089】
再生されて洗浄された触媒は、実施例におけるように、管(30)から反応器箇所(9)に供給される新たな触媒の流れと混合される。別の実施形態において、再生された触媒は、反応器(9)に直接供給される。
【実施例】
【0090】
以下、純粋に指標として与えた実施例に、本発明の詳細及び利点を示す。
【0091】
例1:
【0092】
図1に示した装置中でヘキサメチレンジアミンを得るために82℃の温度及び23バールの圧力においてアジポニトリルを連続的に水素添加する。反応媒体は、管(13)から供給されるアジポニトリル、管(17)から供給される水素、水酸化カリウム、ヘキサメチレンジアミン、水、及びラネーニッケルを含む触媒を含む。消費された触媒の内の供給される新たな触媒の量に相当する部分は、取り除かれる。
【0093】
アジポニトリル及び新たな触媒の流量は、98.5%以上の選択性でヘキサメチレンジアミンが製造されるように決定される。
【0094】
本発明に従えば、管路(21)からリサイクルされる触媒スラリーの一部が、弁(32)から分離されて再生プロセスに供給される。こうして分離される触媒の重量流量は、値Rによって表わされる。
【0095】
この触媒スラリーは、第1段階において、40℃の温度の水で洗浄される。数回連続で洗浄操作を実施する。ガスクロマトグラフィー分析によって測定した最終洗浄水中のヘキサメチレンジアミンの濃度は、3000ppmである。
【0096】
洗浄された触媒は、第2段階において、20重量%水酸化ナトリウム溶液と共に撹拌式反応器中に導入される。この混合物を、媒体の沸点に3時間保つ。
【0097】
処理された触媒は次いで、第1段階において、80℃の水で洗浄される。数回連続で洗浄操作を実施する。最終洗浄水は、0.03重量%の水酸化ナトリウムを含む。
【0098】
こうして得られた触媒は、新たな触媒の触媒活性の60%に等しい触媒活性を示した。
【0099】
再生された触媒(重量流量R)と新たな触媒(重量流量N)とを、0.8の再生触媒比R/(R+N)が維持されるように混合する。
【0100】
これらの条件下で、反応器の最適運転について、生産されるHMD1トン当たりの新たな触媒の消費量は0.50kgだった。
【0101】
比較例:
【0102】
分離された触媒全部を管路(21)から反応器にリサイクルしたことを除いて、例1を繰り返した。
【0103】
例1におけるように、アジポニトリル及び新たな触媒の流量は、98.5%以上の選択性でヘキサメチレンジアミンが製造されるように決定する。
【0104】
これらの条件下で、反応器の最適運転について、生産されるHMD1トン当たりの新たな触媒の消費量は1.35kgだった。
【符号の説明】
【0105】
1・・・縦型円筒管(栓流反応器)
4・・・気体/液体分離区画
8・・・第2の縦型管(反応媒体リサイクル用管路)
10・・・水素導入用配管
13・・・ジニトリル導入用配管
14・・・凝縮器
15・・・パージ(ガス抜き)装置
16・・・コンプレッサー
17・・・水素導入用配管
18・・・デカンター(液体/固体分離区画)
21・・・触媒リサイクル用管路
22・・・水素添加生成物用管路
23・・・トラップ
24・・・オーバーフロー(水素添加生成物)
26・・・隔壁
30・・・触媒用の入口
32・・・弁
33・・・水による洗浄装置
34・・・塩基処理装置
35・・・水による洗浄装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のニトリル官能基を含む化合物の水素添加による少なくとも1個のアミン官能基を含む化合物の連続式製造方法であって、
・ラネー金属をベースとする触媒の懸濁粒子と無機塩基と水とを含む反応媒体が循環する栓流タイプの反応器に、水素とニトリル官能基を少なくとも1個含む化合物とを含む気体を供給し、
・前記栓流反応器の出口において、触媒を分離した後のアミン官能基を少なくとも1個含む化合物を含む反応媒体の一部分を取り出し、該反応媒体の残りの部分を前記栓流反応器にリサイクルし、
・前記の分離された触媒を前記栓流反応器にリサイクルし、
・新たな触媒流を前記栓流反応器に供給する
ことから成ること、並びに
前記の分離された触媒の一部を、有機化合物を除去するために水で洗浄する第1段階、強塩基で処理する第2段階、並びにアルカリ金属水酸化物水溶液及び/又は水で洗浄する第3段階を含む再生プロセスに付すこと、
を特徴とする、前記製造方法。
【請求項2】
リサイクルされる再生触媒の重量流量R及び供給される新たな触媒の重量流量Nが次の式I:
【数1】

を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リサイクルされる再生触媒の重量流量R及び供給される新たな触媒の重量流量Nが次の式II:
【数2】

を満たすことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の水で洗浄する第1段階を10℃〜50℃の範囲の温度の水で実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記の第1段階の水による洗浄を、最終洗浄水中の有機化合物の濃度が1重量%以下となるように実施することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記の塩基による処理をアルカリ金属水酸化物を含む水溶液を用いて実施することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶液中のアルカリ金属水酸化物の濃度が10〜25重量%の範囲であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記の塩基による処理を80℃超の温度において実施することを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記の第3段階の水による洗浄を、水及び/又はアルカリ金属水酸化物水溶液を用い、40℃〜90℃の範囲の温度において、0.012重量%の最小アルカリ金属水酸化物濃度で実施することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記の第3段階の洗浄を、0.012重量%以上の最終洗浄水中のアルカリ金属水酸化物の濃度が得られるように実施することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記再生プロセスを空気雰囲気下で実施することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
触媒再生プロセスを酸素を含まない雰囲気下又は不活性雰囲気下で実施することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
洗浄段階用に用いられる水及びアルカリ金属水酸化物溶液が脱酸素されたものであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
再生された触媒が新たな触媒の触媒活性の35%〜80%に相当する触媒活性を有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
再生された触媒が新たな触媒の触媒活性の40%〜70%に相当する触媒活性を有することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ニトリル化合物がアジポニトリルであり、合成されるアミンがヘキサメチレンジアミンであることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記反応媒体が水素添加反応によって製造されるアミンから成る溶媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
栓流反応器の出口において触媒粒子デカンテーション用領域を有し、その上澄み相がアミンを含む媒体の取出し口を含む第1の外部ループを介して栓流反応器にリサイクルされ、沈降した相が第2の外部ループを介して栓流反応器にリサイクルされることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記触媒がラネーニッケル又はラネーコバルトをベースとすることを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記触媒が元素周期表の第IIB族及び第IVB〜VIIB族の元素並びにそれらの組合せから選択される促進剤を含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記無機塩基がLiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH及びそれらの混合物より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記無機塩基がKOH、NaOH及びそれらの混合物より成る群から選択されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記反応媒体中の塩基の量が、触媒1kg当たり塩基0.1モル〜触媒1kg当たり塩基2モルの範囲であることを特徴とする、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
反応温度が50℃〜150℃の範囲であり且つ水素圧力が0.1MPa〜10MPaの範囲であることを特徴とする、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−540594(P2010−540594A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527456(P2010−527456)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063233
【国際公開番号】WO2009/043906
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】