説明

ネットワークシステム

【課題】 印刷物から情報検索を簡便に行なう事が出来ると共に、機密性を確保する事。
【解決手段】 ネットワーク・スキャナ、クライアント・コンピュータ群、ネットワーク・プリンタ群、ファイルサーバ群、データベース・サーバ群がネットワーク中継装置で接続されるネットワークシステムであって、二回のスキャンによって、手書き文字情報を検出・認識し、該情報からユーザを特定し、二回のスキャンの差分から、マーキング箇所を検出してキーワードを抽出する。そして、前記認識したユーザ情報から、前記キーワードによる検索範囲を設定するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上にネットワーク中継装置で接続された複数のネットワーク・データベースを有するシステムにて、ネットワーク・スキャナによる情報検索環境を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタによる印刷物が氾濫する中で原本の情報確認・再利用が求められた場合には、印刷物からキーワードを抽出してネットワーク上のデータベースあるいはファイル・サーバの登録情報から検索する必要があり、クライアント・コンピュータ上で稼動する情報検索アプリケーションを用いて、各データベースまたはファイル・サーバの登録情報から検索するという手順が一般的に行なわれていた。
【0003】
又、別の従来例としては、特許文献1及び特許文献2をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2003−271625号公報
【特許文献2】特開平05−244387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では次のような欠点があった。
クライアント・コンピュータにて各印刷物検索のためのアプリケーションを動作させる必要があり、更に印刷物からの抽出するキーワードをキーボードから一々入力しなければならないという欠点が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、ネットワーク上に接続されたスキャナにて、複数のネットワーク上のデータベースあるいはファイル・サーバから印刷物情報いわゆる原本情報を検索するための環境を最適化する。
【0006】
(1)ネットワーク・スキャナは、印刷物に対する2回の連続して行なうスキャン情報の差分から印刷物検索を行なうためのユーザ認証とキーワード抽出を行なう。
【0007】
(2)ネットワーク・スキャナは、登録されたユーザ情報からネットワーク上の検索範囲を設定してキーワード検索を行なう。
【0008】
(3)ネットワーク・スキャナは、登録されたユーザ情報により検索結果を指示されたクライアント・コンピュータやプリンタ等に通知(表示・印刷)する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、ネットワーク・スキャナによる2回のスキャンの差分情報からキーワードを抽出する事でスキャナ部以外のキーボードや操作パネルを必要としないで迅速なネットワーク情報検索システムが構築できる。同時にユーザの特定を行なう事でネットワーク上の検索範囲の設定が容易であるためセキュリティを保つのに有用である。またサーバやクライアント・コンピュータ上に特殊なアプリケーションを走らせる事もなくシステムの構築を図れる事によりシステムの導入・運用負荷を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本実施例においてスキャナによる検索動作を示すフローチャートである。ここで2回のスキャン、差分情報によるユーザ特定とキーワードの抽出、更にネットワーク上のファイル・サーバやデータベース・サーバに対する検索を一連の作業として行なう。
【0013】
まずS101においてスキャナで印刷物に対する1回目のスキャンを行なう。次のS102では当該印刷物上の余白に情報検索を依頼する本人の署名かあるいはユーザID、必要ならばパスワードを記載する。またS103では印刷物上にてキーワードとして抽出する語句などにマーク、例えば語句を囲む、アンダーラインをひく、カラーマーカで色を付ける等を行ない、2回目のスキャンを行なう(S104)。スキャナはS105でこの2回のスキャン情報から差分を検出して、更に手書き文字の有無を確認する(S106)。手書き文字が無ければ検索を依頼するユーザを特定しないと判断してS110の検索範囲設定では極限られた範囲が設定される事になる。手書き文字が自筆署名でありサイン適合(S107)が確認されるか、あるいはサイン適合ではなくOCR処理(S108)した結果でユーザIDとパスワードが確認(S109)された場合には、スキャナに登録されたユーザ情報に基づき検索範囲が設定される事になる(S110)。次に2パス目にマークされた個所からの位置情報を得て、その範囲のスキャン情報に対してOCR処理を行ない、キーワードを抽出する(S112)。このキーワードを基に、先のユーザ情報から設定済みのネットワーク上の範囲に対する原文検索(S113)を行ない、検索に成功すれば原文情報を表示あるいは印刷(S115)にて通知して、また検索に失敗した場合にも、その旨をやはり表示・印刷する(S116)。これら表示・印刷する端末情報は先のS110でユーザ情報から検索範囲を設定する際に、登録ユーザ情報から得ている。また、この動作は図3のネットワーク構造を示す図においてはネットワーク・スキャナ1の動作として行われている。
【0014】
次に図2で本実施例におけるスキャン対象物である印刷物に書き加える内容を説明する。
【0015】
本図では1回目のスキャン書類201とネットワーク検索に必要な情報を書き加えた2回目のスキャン書類205を示している。印刷物上のキーワードとして、カタログ類の記載例としては社名・ロゴ、製品名・型式(202)、社内文章の記載例として文章タイトル、日時、部署、担当者氏名(203)が示されており、それぞれを囲む形でマークした事を示すものが2回目のスキャン書類205上の206,207である。また余白部204には手書きサインあるいはIDとパスワードとして208を書き込む事も示している。
【0016】
図3は、本実施例において、スキャナの差分情報から抽出したキーワードによる検索をネットワーク上で行なう動作の一例を表現した図であり、まずネットワークの構成を説明する。クライアント・コンピュータ301、ファイル・サーバ302、ネットワーク・スキャナ1と2は(303、304)、更に305のネットワーク・プリンタ1は206のネットワーク1に同じネットワーク・セグメントとして接続されている。またネットワーク2(308)にはデータベース21、22(309、310)が、ネットワーク3(312)にはデータベース31、32(313、314)が接続され、各々のネットワークはルータ1、2(307、311)で接続される。更にネットワーク3(312)はゲートウェイ(315)を介してインターネットまたはイントラネット216の外部ネットワークに接続する。本実施例の一例であるネットワーク・スキャナ1(303)において、既に2回のスキャンによりユーザ認証と検索範囲の設定、およびキーワードの抽出が行なわれているものとする。例えばここでユーザ情報が確認されない場合には(1)の点線で示す同一のネットワーク・セグメントにあるファイル・サーバ302だけを検索対象としている。
【0017】
またユーザ情報によっては(2)の点線のようにルータ1を介してネットワーク2上のデータベースの検索、あるいはルータ2を介してネットワーク3上のデータベース検索(点線(3))、更にはゲートウェイを介しての外部ネットワークに及ぶ検索(点線(4))といった検索範囲の設定が行なわる。本図ではこのように階層的なネットワークの構造を物理的な接続関係で示して説明しているが、ネットワークは当然ながら論理的な階層構造も有しており、ユーザのアクセス権限は論理的に設定され、検索範囲や情報使用に対する制限を受ける事もありうる。最後に検索結果は登録ユーザ情報によりクライアント・コンピュータへの表示(点線(5))、あるいはプリンタ1への印刷(点線(6))でユーザに対して通知される。
【0018】
図4は、クライアント・コンピュータの表示画面の一例である。
【0019】
図3のネットワーク・システム図にて、ネットワーク・スキャナ1から情報検索を行った結果、印刷物の原本が確認された事を示したものである。本例では登録ユーザ情報として指示されたクライアント・コンピュータのモニタ401に検索結果表示画面405が表示される。またユーザ権限から原本をネットワーク・プリンタ1あるいはプリンタ2に印刷するかを選択する事も可能である。言い換えればユーザ権限がない場合は原本からの印刷はもちろん原本情報の開示も拒否されうる。また、ユーザ登録情報に検索結果をクライアント・コンピュータではなく直接印刷するプリンタが指示されている場合は、同じようにユーザ権限が認められれば原本を印刷物として得る事ができる。更にファイルとして再利用可能な権限を持つ場合には自分の書庫に原本ファイルを格納する事もできる。このようにネットワーク上の情報に対するユーザ権限は種々の要素があり得るので本例はあくまでも一例である。
【0020】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のCPUやMPUが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0021】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現する事になり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0022】
また、CPUやMPUが読み出したプログラムコードを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムコードの指示に基づき、OSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0023】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体から、通信ラインを介して要求者にそのプログラムを配信する場合にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施例のネットワーク検索スキャナの動作を示すフローチャート。
【図2】本実施例においてスキャン・検索を行なう書類の一例を示した図。
【図3】本実施例におけるネットワーク検索範囲の一例を示した図。
【図4】本実施例におけるクライアント・コンピュータのモニタ画面の一例。
【符号の説明】
【0025】
201 スキャン1パス目の書類
205 スキャン2パス目の書類
202、203 検索キーワード
206、207 手書きマーキング
208 余白部記載
301 クライアント・コンピュータ
303、304 ネットワーク・スキャナ1、2
305 ネットワーク・プリンタ1
307、311 ネットワーク中継装置(ルータ1、2)
309、310 ネットワーク2上のデータベース
313、314 ネットワーク3上のデータベース
315 ネットワーク中継装置(ゲートウェイ)
401 クライアント・コンピュータ・モニタ
405 検索結果表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク・スキャナとクライアント・コンピュータ群とネットワーク・プリンタ群およびファイル・サーバ群、データベース・サーバ群がネットワーク中継装置で接続されたネットワークシステムにおいて、
連続して行なわれる2回のスキャン情報の差分を検出する手段と、
上記差分情報から手書き文字情報を検出・認識する手段と、
上記手書き文字情報からユーザを特定する手段と、
前記差分情報からマーキング個所を検出してキーワードを抽出する手段と、
前記認識ユーザの登録情報から前記キーワードによる検索範囲を設定する手段と
を設けた事を特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
手書き文字情報からユーザを特定する手段として手書き署名の適合を判定する手段
を設けたことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
手書き文字情報からユーザを特定する手段として、ユーザIDとパスワードを判定する手段
を設けたことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記ネットワーク・システムに対するユーザ情報と許可される検索範囲を登録する手段
を設けたことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
差分情報のマーキング個所にて、キーワードとして文書題名、日時、部署、氏名、会社名、ロゴ、製品名、型式などを抽出する手段
を設けたことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
連続する2回のスキャンにより、ユーザの特定とキーワードが抽出された場合には、
ネットワーク情報検索を開始する手段
を設けたことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
検索結果を前記登録ユーザ情報で指示のクライアント・コンピュータに転送・表示する
手段を設けたことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
検索結果を前記登録ユーザ情報で支持のネットワーク・プリンタに転送・印刷する手段
を設けたことを特徴とするネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−34924(P2007−34924A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220795(P2005−220795)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】