説明

ネットワークスキャナ装置およびネットワークスキャン方法

【課題】着脱式の記憶媒体にスキャン動作条件、ファイル転送先等を記憶させ、ユーザは記憶媒体を接続してスタートボタンを押下するだけで、所望の動作条件で画像データを読み取って所望の転送先へ画像ファイルを転送するネットワークスキャンを可能とするネットワークスキャナ装置およびネットワークスキャン方法を提供する。
【解決手段】ネットワークスキャナ装置100において、外部記憶媒体150からスキャン動作条件とファイル転送先をファイル制御部が読み取り、ファイル制御部が読み取ったスキャナ動作条件に基づき原稿の画像データの読み取りを画像読取部107が行い、読み取った画像データに対応する画像ファイルはファイル制御部が読み取ったファイル転送先にネットワークIF101より転送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークスキャナ装置およびネットワークスキャン方法に関し、特に、着脱式の記憶媒体にスキャン動作条件、ファイル転送先等を記憶させ、ユーザは記憶媒体を接続してスタートボタンを押下するだけで、所望の動作条件で画像データを読み取って所望の転送先へ画像ファイルを転送するネットワークスキャンを可能とするネットワークスキャナ装置およびネットワークスキャン方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンピュータネットワークに接続されたスキャナ装置で読み取られた原稿の画像データを、同じくネットワークに接続された指定の端末に対して転送するネットワークスキャンと呼ばれる機能を備えるスキャナ装置が存在する。
【0003】
特許文献1には、ネットワークを介して接続されているホスト或いはスキャナ装置のコントロールパネル上からスキャン条件を入力し、入力されたスキャン条件をスキャナ装置の記憶部に記憶することで、ネットワークスキャンの操作毎に所望のスキャン条件を入力する煩雑なキー操作を行なわなくてもスキャン条件を選択するだけで所望のネットワークスキャンを実行することができるネットワークスキャナ装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、ネットワークに接続された端末から送られたスキャン条件をスキャン条件管理部に格納し、ネットワークスキャン実行時にはネットワークスキャナ装置の操作部でスキャン条件を選択する操作が行なわれることで、選択されたスキャン条件でネットワークスキャンが実行されるネットワークスキャナ装置が提案されている。
【特許文献1】特願平9−284448号公報
【特許文献2】特願平9−204515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなネットワークスキャナ装置だとスキャナ側にスキャン条件を記憶させる不揮発性メモリやスキャン条件を選択する操作パネルやスキャン条件選択の為の管理プログラムが必要になり製品コストが増大してしまい、また、ユーザはスキャナ側で所望のスキャン条件を選択する動作を行なわなくてはならず手間が掛かる。
【0006】
特許文献2には、ネットワークスキャン実行時に端末からスキャン条件を受信するネットワークスキャナ装置が提案されているが、この装置においても、ユーザはネットワークスキャン実行時にスタートボタンを押下するだけではなく所望のスキャン条件を選択する手間が生じてしまう。
【0007】
そこで、この発明は、スキャン条件を記憶するメモリはネットワークスキャナ装置本体に設けず、着脱式の記憶媒体にスキャン動作条件、ファイル転送先等を記憶させ、ユーザは記憶媒体をネットワークスキャナ装置に接続してスタートボタンを押下するだけで、所望の動作条件で画像データを読み取って所望の転送先へ画像ファイルを転送するネットワークスキャンを可能とするネットワークスキャナ装置およびネットワークスキャン方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する為に、請求項1の発明は、ネットワークスキャナ装置は、外部記憶媒体からスキャン動作条件とファイル転送先を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取った前記スキャン動作条件に基づき原稿の画像データの読み取りを行なうスキャン実行手段と、前記スキャン実行手段により読み取った画像データに対応する画像ファイルを前記読取手段で読み取ったファイル転送先へ転送する転送手段とを具備する。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記転送手段は、前記読取手段で読み取ったファイル転送先と接続ができなかった場合は、前記画像ファイルを前記外部記憶媒体に転送して記憶させる。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記スキャン動作条件は、カラーモード、読取解像度、読取サイズ、圧縮率、濃度、ファイル形式のいずれかが含まれる。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記外部記憶媒体の装着を検知する装着検知手段を具備し、前記装着検知手段による前記外部記憶媒体の装着の検知に対応して前記転送手段が使用する通信ポートを有効にする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、前記外部記憶媒体が取り外されたことを検知する取外検知手段を具備し、前記取外検知部による前記外部記憶媒体の取り外しの検知に対応して前記転送手段が使用する通信ポートを無効にする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの発明において、前記外部記憶媒体から前記スキャン実行手段が実行する動作プログラムをロードするプログラムロード手段を具備し、前記スキャン実行手段は、前記プログラムロード手段によりロードされた動作プログラムに基づき原稿の画像データの読み取りを行なう。
【0014】
また、請求項7の発明は、ネットワークスキャン方法は、外部記憶媒体からスキャン動作条件とファイル転送先を読取手段により読み取り、前記読取手段で読み取った前記スキャン動作条件に基づき原稿の画像データの読み取りをスキャン実行手段により行ない、前記スキャン実行手段により読み取った画像データに対応する画像ファイルを前記読取手段で読み取ったファイル転送先へ転送手段により転送する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、外部記憶媒体からスキャン動作条件とファイル転送先を読み取る読取手段と、読取手段で読み取ったスキャン動作条件に基づき原稿の画像データの読み取りを行なうスキャン実行手段と、スキャン実行手段により読み取った画像データに対応する画像ファイルを読取手段で読み取ったファイル転送先へ転送する転送手段とを具備するように構成したので、スキャナ装置にスキャナ動作条件等の設定を記憶する不揮発性メモリを不要とすることができ、また、ネットワークスキャナ装置にファイル転送先等の個人情報が記憶されないのでセキュリティを確保することができ、また、ユーザはスキャン動作条件等が記憶された記憶媒体をネットワークスキャナ装置に接続してスタートボタンを押下するだけで所望の動作条件で画像データを読み取って所望の転送先へ画像ファイルを転送するネットワークスキャンができるので操作性が向上しユーザが操作する部品をスタートボタンだけに簡略化することができる。
【0016】
また、この発明は、接続検知部が外部記憶媒体の接続を検知すると、転送部が使用する通信ポートを有効にし、更に、接続検知部が外部記憶媒体の取り外しを検知すると、転送部が使用するポートを無効にするように構成したので、ネットワークスキャナ装置において外部記憶媒体が接続されていないときに通信回線を通じた外部からの攻撃に対するセキュリティを高めることができる。
【0017】
また、この発明は、外部記憶媒体はネットワークスキャナ装置の動作プログラムを記憶し、接続検知部が外部記憶媒体の接続を検知すると、動作プログラムをロードするプログラムロード部を更に備えるように構成したので、ネットワークスキャナ装置において動作プログラムを記憶する分のメモリ使用量を減らすことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係わるネットワークスキャナ装置およびその方法の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係わるネットワークスキャナ装置100によって構成されるネットワークスキャナシステムのシステム構成を示す模式図である。
【0020】
図1に示すように、ネットワークスキャナシステムは、パーソナルコンピュータ10とネットワークスキャナ装置100とが通信回線20で接続されていて、パーソナルコンピュータ10で設定された所望のスキャン動作条件、ファイル転送先等が外部記憶媒体150に記憶され、その外部記憶媒体150がネットワークスキャナ装置100に接続されて、スタートボタン104の押下が行なわれるだけで、所望のスキャン動作条件で原稿の画像データを読み取り所望の転送先へ画像ファイルを転送するネットワークスキャンが実行される。
【0021】
なお、パーソナルコンピュータ10がファイル転送先に指定されている場合はパーソナルコンピュータ10とネットワークスキャナ装置100とは通信回線20で接続されているなど通信可能な状態である必要があるが、パーソナルコンピュータ10がファイル転送先に指定されていない限り、パーソナルコンピュータ10とネットワークスキャナ装置100とが特に同じ通信回線で接続されている必要はない。
【0022】
所望のスキャン動作条件等を設定することができるパーソナルコンピュータ10は、外部記憶媒体150のインタフェースとなるUSB(Universal Serial Bus)ホストインタフェース11(以下、インタフェースはIF(InterFace)と記す)を備える。
【0023】
パーソナルコンピュータ10は図示しないキーボード、マウスを備えるので、従来のネットワークスキャナ装置に備えられる小さな操作パネルによるスキャナ動作条件設定よりも格段に操作性が高い。
【0024】
また、ネットワークスキャナ装置100は、ネットワークIF101、ROM(Read Only Memory)/RAM(Random Access Memory)102、スキャナIF103、スタートボタン104、CPU(Central Processing Unit)105、USBホストIF106、画像読取部107を備える。
【0025】
外部記憶媒体150は、USB接続でパーソナルコンピュータ10、ネットワークスキャナ装置100と着脱可能であり、内部に不揮発性メモリを備える。
【0026】
内部の不揮発性メモリには、動作プログラムと設定ファイル等が記憶される。
【0027】
動作プログラムは、ネットワークスキャナ装置100を動作させるプログラムである。
【0028】
また、設定ファイルには、カラーモード、読取解像度、読取サイズ、圧縮率、濃度、ファイルフォーマット等のスキャン動作条件と、読み取った画像ファイルのファイル転送先と、ネットワークスキャナ装置100のネットワーク環境を設定するネットワーク環境設定情報とが記される。
【0029】
さらに、外部記憶媒体150には、デバイスアクセス許可証が含まれており、外部記憶媒体150が接続される装置内に登録されたものと照合が行なわれ、照合の結果外部記憶媒体150が動作可能とされる。
【0030】
ネットワークスキャナ装置100のネットワークIF101は、通信回線20と接続され、画像ファイルを指定の端末に転送する。
【0031】
ROM/RAM102は、メモリであり、ネットワークスキャナ装置100のファームウェアが記憶され、各種処理が行なわれる際にデータを一時記憶する。
【0032】
スキャナIF103は、画像読取部107と接続され、画像読取部107で読取られた画像データを受け付ける。
【0033】
スタートボタン104は、ネットワークスキャナ装置100に配置されたユーザによって操作される唯一のボタンであり、ユーザによって押下されることにより外部記憶媒体150に記憶されたスキャン動作条件で原稿の画像ファイルが作成されファイル転送先に転送されるネットワークスキャンが開始される。
【0034】
ネットワークスキャナ装置100におけるユーザの操作部は、このスタートボタン104だけであり、ユーザにとって操作が簡単であり、部品も少なくできてネットワークスキャナ装置100の製造コストを抑えることができる。
【0035】
CPU(Central Processing Unit)150は、ネットワークスキャナ装置100の統括的な制御を行う。
【0036】
USBホストIF106には、外部記憶媒体150が接続され、外部記憶媒体150とデータの授受が行なわれる。
【0037】
画像読取装置107は、ネットワークスキャナ装置100の外部に存在し、ネットワークスキャナ装置100のスキャナIF103と回線によって電気的に接続された状態である。
【0038】
そして、画像読取装置107は、ユーザによって配置される原稿を照射しながら走査し、反射光をCCD(Charge Couples Devices)により変換して、原稿の画像データを読み取る処理を行う。
【0039】
このように構成されるネットワークスキャナシステムでは、ユーザがパーソナルコンピュータ10を操作してスキャン動作条件、ファイル転送先が記載された設定ファイルが作成され、パーソナルコンピュータ10に接続された外部記憶媒体150に作成された設定ファイルが記憶される。
【0040】
そして、ユーザは、設定ファイルが記憶された外部記憶媒体150と原稿とをネットワークスキャナ装置100に持って行き、外部記憶媒体150をUSBホストIF106に接続して原稿を原稿読取部107に配置した後にスタートボタン104を押下する。
【0041】
ネットワークスキャナ装置100では、USBホストIF106に外部記憶媒体150が接続されると自動的に外部記憶媒体150内の設定ファイルなどが読み込まれ、スタートボタン104の押下が検知されると読み込まれた設定ファイルに記載されたスキャン動作条件によって画像データが読み取られて画像ファイルが作成され、読み込まれたファイル転送先へ画像ファイルが転送される。
【0042】
次に、ネットワークスキャナ装置100の機能的な構成について図2を参照して説明を行なう。
【0043】
図2は、ネットワークスキャナ装置100の機能的な構成について示したブロック図である。
【0044】
ネットワークスキャナ装置100は、その機能的な構成において、スタート検知部201、プログラムロード部202、ファイル制御部203、USB IF制御部204、Network制御部205、スキャン条件管理部206、画像記憶部207、ファイル変換部208、画像圧縮部209、画像処理部210、スキャナ制御部211、画像読取部212を備える。
【0045】
スタート検知部201は、スタートボタン104が押下されたことを検知して、スキャン条件管理部206にスタートボタン104が押下されたことを伝える。
【0046】
プログラムロード部202は、外部記憶媒体150がUSBホストIF106に接続されると、外部記憶媒体150に記憶されている動作プログラムをロードしてネットワークスキャナ装置100を動作させる動作プログラムをROM/RAM102に一時記憶する。
【0047】
ファイル制御部203は、外部記憶媒体150がUSBホストIF106に接続されると、外部記憶媒体150内の設定ファイルを検索し、検索した設定ファイルを読み出してスキャン条件管理部206に送る。
【0048】
ファイル制御部203が外部記憶媒体150内の設定ファイルが検索される際には、設定ファイルは予め決められたファイル名か拡張子で作成されているので、ファイル制御部150が外部記憶媒体150内の設定ファイルを検索する際には設定ファイルのファイル名か拡張子を検索して設定ファイルが見つけられる。
【0049】
ファイル制御部203は、画像ファイル転送時にNetwork制御部205がファイル転送先と接続できない場合に、転送する画像ファイルを外部記憶媒体150に書き込む処理を行なう。
【0050】
USB IF制御部204は、USBホストIF106への外部記憶媒体150の着脱を検知して外部記憶媒体150とデータの授受を行なう。
【0051】
Network制御部205は、読み込んだ画像データを通信回線20を通して指定の宛先へ転送する。
【0052】
ファイル転送先がメールアドレスである場合は、USB IF制御部204より転送される画像ファイルが添付されたメールが指定のメールアドレスに転送される。
【0053】
スキャン条件管理部206は、外部記憶媒体150内に記憶される設定ファイルをファイル制御部203より受け付け、設定ファイル内のネットワーク環境設定情報を読み込んで、Network制御部205で制御される通信用のSMB(Server Message Block)ポートを有効にする。
【0054】
そして、スタート検知部201でスタートボタン104の押下が検知されると、スキャン条件管理部206は、設定ファイル内のスキャン動作条件とファイル転送先の情報を元にNetwork制御部205、ファイル変換部208、画像圧縮部209、画像処理部210、スキャナ制御部211に所定のパラメータを設定する。
【0055】
また、スキャン条件管理部206は、外部記憶媒体150がUSBホストIF106から取り去られたときには、外部記憶媒体150が接続されたときに開けたSMBポートを無効にし、Network制御部205、ファイル変換部208、画像圧縮部209、画像処理部210、スキャナ制御部211に設定された所定のパラメータは削除される。
【0056】
このように所定のパラメータが削除されることによって、他の人がファイル転送先等の情報を入手することができなくなり、セキュリティの確保ができる。
【0057】
画像記憶部207は、画像読取部212で読み取られて画像圧縮部209によって圧縮された画像データを一時記憶し、ファイル変換部208に送る。
【0058】
ファイル変換部208は、画像記憶部207から渡された画像データをスキャン条件管理部206で設定された指定のファイル形式(PDF(Portable Document Format)やTIFF(Tagged Image File Format))に変換してNetwork制御部205に送る。
【0059】
画像圧縮部209は、画像読取部212で読み取られて画像処理部210より送られた画像データを、スキャン条件管理部206で設定された指定の圧縮率で圧縮する。
【0060】
画像処理部210は、画像読取部212で読み取られた画像データをスキャン条件管理部206で設定された指定の画質となるように処理する。
【0061】
スキャナ制御部211は、スキャン条件管理部206で設定されたスキャン動作条件によって画像読取部212の制御を行なう。
【0062】
画像読取部212は、画像読取部107に配置された原稿の画像データの読み取りを行なう。
【0063】
次に、ネットワークスキャナ装置100で行なわれる処理フローについて図3を参照して説明を行う。
【0064】
図3は、ネットワークスキャナ装置100で行われる処理フローについて示したフローチャートである。
【0065】
まず、ユーザは、パーソナルコンピュータ10より設定ファイルの内容を設定し、接続された外部記憶媒体150に設定ファイルを記憶させる。
【0066】
そして、ユーザは、パーソナルコンピュータ10から外部記憶媒体150を取外し、外部記憶媒体150と原稿を持ってネットワークスキャナ装置100に行き、外部記憶媒体150をUSBホストIF106に接続し、原稿をネットワークスキャナ装置100の画像読取部107に配置する。
【0067】
外部記憶媒体150がUSBホストIF106に接続されたことがUSB IF制御部204によって検知されると(ステップ301でYES)、プログラムロード部202が外部記憶媒体150に記憶されている動作プログラムをロードしてROM/RAM102に一時記憶させる(ステップ302)。
【0068】
そして、ファイル制御部203が外部記憶媒体150内の設定ファイルを検索して、設定ファイルが見つかった場合には(ステップ303でYES)、設定ファイルがファイル制御部203によってスキャン条件管理部206に送られて(ステップ304)、設定ファイルが送られたスキャン条件管理部206は、設定ファイル内のネットワーク環境設定情報に基づいてSMBポートを有効にする(ステップ305)。
【0069】
そして、ユーザがスタートボタン104を押下し、スタートボタン104の押下がスタート検知部201によって検知されると(ステップ306でYES)、スキャン条件管理部206がファイル制御部203より送られた設定ファイルに記されたスキャン動作条件(カラーモード、読取解像度、読取サイズ、圧縮率、濃度、ファイルフォーマット)とファイル転送先とに基づいて所定のパラメータをNetwork制御部205、ファイル変換部208、画像圧縮部209、画像処理部210、スキャン制御部211に設定し、画像読取部213によって原稿の画像データの読み取りが開始される(ステップ307)。
【0070】
例えば、Network制御部205にはIPアドレス192.168.0.4の端末に転送するように設定され、ファイル変換部208には画像データをPDFファイルに変換するように設定され、画像圧縮部209には圧縮率が低となるように設定され、画像処理部210には濃度を高で画像処理するように設定され、スキャン制御部211にはカラーモード、読取解像度720、読取サイズA4で読み取るように設定される。
【0071】
読み取られた画像データは画像処理部210で濃度が高となるように画像処理が施され、画像処理が施された画像データは画像圧縮部209で低圧縮率によって圧縮が行なわれて(ステップ308)、そのように処理された画像データが画像記憶部207に記憶される。
【0072】
画像記憶部207に記憶された画像データは、ファイル変換部208によって、PDF形式の画像ファイルに変換される(ステップ309)。
【0073】
そして、Network制御部205が、所定のファイル転送先であるIPアドレス192.168.0.4の端末と通信回線20を通して接続を試み(ステップ310)、端末より応答がある場合は(ステップ311でYES)、PDF形式の画像ファイルがNetwork制御部205により所定の端末に送られる(ステップ312)。
【0074】
また、ファイル転送先と接続を試み(ステップ310)、ファイル転送先である端末より応答がなかった場合には(ステップ311でNO)、ファイル変換部208で変換された画像ファイルは、ファイル制御部203によってUSBホストIF106に接続されている外部記憶媒体150に記憶される(ステップ313)。
【0075】
また、ステップ303でファイル制御部203が外部記憶媒体150内に設定ファイルを検索して設定ファイルが見つからなかった場合(ステップ303でNO)には、ネットワークスキャン100での処理は終了してネットワークスキャンは行なわれない。
【0076】
なお、設定ファイルに設定されたファイル転送先がEメールアドレスとなっていた場合には、ファイル変換部208で変換された画像ファイルがメールに添付されてNetwork制御部205により転送先に転送され、控えの転送ファイルがファイル制御部203によって作成されて外部記憶媒体150に書き込まれる。
【0077】
このように、ネットワークスキャナ装置100を動作させる動作プログラムは外部記憶媒体150に記憶された状態で処理が行われるので、ネットワークスキャナ装置100のメモリ使用量が削減される。
【0078】
また、画像ファイルの転送先を外部記憶媒体150に記憶することで、ネットワークスキャナ装置100には画像ファイル転送先のデータが残らないので、他のユーザが転送先のデータを取り出すことができず、セキュリティの確保ができる。
【0079】
そして、ユーザがネットワークスキャナ装置100で行なう操作は、外部記憶媒体150の接続と原稿の配置とスタートボタンの押下だけなので、操作が簡単明瞭で操作ミスがなくて業務効率化が可能となる。
【0080】
また、スキャン動作条件などの詳細設定はネットワークスキャナ装置100では行われる必要がないのでユーザによって操作される操作ボタン等は複雑な操作パネルは必要なくてスタートボタン104だけでいいため操作ボタンに関する部品のコスト削減ができ、また、ネットワークスキャナ装置100にスキャナ動作条件等の設定を記憶する必要がないため不揮発性メモリが不要となり、ネットワークスキャナ装置100のコスト削減が行なえる。
【0081】
また、外部記憶媒体150に記憶される設定ファイルの設定はキーボードやマウスを備えたパーソナルコンピュータ10で行われる為、従来のネットワークスキャナ装置に備えられた小さな操作パネルを使用する場合と比べて操作性が高い。
【0082】
なお、本発明に係わるネットワークスキャナ装置が複数配置された場合には、スキャナ動作条件やファイル転送先等を設定する設定ファイルを個々のネットワークスキャナ装置毎に区別して個別に設定することもできる。
【0083】
次に、外部記憶媒体150に記憶される設定ファイルのデータ内容について図4を参照して説明を行なう。
【0084】
図4は、外部記憶媒体150に記憶される設定ファイルのデータ内容の一部を示した表であり、図4(a)はネットワークスキャナ装置毎に区別されない設定ファイルのデータ内容の一部を示した表であり、図4(b)は複数のネットワークスキャナ装置について個々の装置毎に区別して個別に設定された設定ファイルのデータ内容の一部を示した表である。
【0085】
図4(a)に示すように、外部記憶媒体150に記憶される設定ファイルのデータ内容は、カラーモード、読取解像度、読取サイズ、圧縮率、濃度、ファイル形式、ファイル転送先がある。
【0086】
なお、ファイル転送先は、図4(a)に示すようにIP(Internet Protocol)アドレスではなく、EメールアドレスやMAC(Media Access Control)アドレスで記録されてもよい。
【0087】
また、図4(b)に示すように、個々のネットワークスキャナ装置毎に区別されて設定される設定ファイルのデータ内容の一部は、スキャナ装置Aが使用された場合の設定ファイルのデータ内容の一部はカラーモード、読取解像度、読取サイズ、圧縮率、濃度、ファイル形式、ファイル転送先があり、また、スキャナ装置Bが使用された場合の設定ファイルのデータ内容の一部はカラーモード、読取解像度、読取サイズ、圧縮率、濃度、ファイル形式、ファイル転送先があり、また、スキャナ装置Cが使用された場合の設定ファイルのデータ内容の一部はカラーモード、読取解像度、読取サイズ、圧縮率、濃度、ファイル形式、ファイル転送先がある。
【0088】
図4(b)に示すように、予め個々のネットワークスキャナ装置毎に異なる設定ファイルを設定することができるので、複数のネットワークスキャナ装置の設定ファイルを設定して外部記憶媒体150に一端記憶させれば、図4(b)に示す設定ファイルの内容では、ファイル転送先が192.168.0.5の時にはユーザはネットワークスキャナ装置Aに外部記憶媒体150を接続してネットワークスキャンが行なわれ、また、ファイル転送先が192.168.0.4の時にはネットワークスキャナ装置Bに外部記憶媒体150を接続してネットワークスキャンを行なうようにして、ファイル転送先が異なっても設定ファイルを再度設定することなくネットワークスキャナ装置の選択をするだけで所望の転送先にネットワークスキャンが実行される。
【0089】
また、ネットワークスキャナ装置AはA4サイズ対応、ネットワークスキャナ装置CはA0サイズ対応などと、原稿の最大読み取りサイズが個々の装置で異なり、スキャン動作条件も内容が異なる場合には、図4(b)に示す設定ファイルのように複数のネットワークスキャナ装置の設定ファイルを区別して個別に設定すると、異なるサイズの原稿のネットワークスキャンを行なう度に設定ファイルを設定する必要がないので便利である。
【0090】
次に、複数のネットワークスキャナ装置についての設定ファイルがそれぞれ区別されて設定されて外部記憶媒体150に記憶された状態で、ネットワークスキャンスキャンが行なわれる様子について図5を参照して説明を行なう。
【0091】
図5は、複数のネットワークスキャナ装置についての設定ファイルの内容が図4(b)を参照して説明したように個々に区別されて設定されて、ネットワークスキャンが行なわれる様子を示した模式図である。
【0092】
図5に示すように、通信回線20にパーソナルコンピュータ10とネットワークスキャナ装置A501とネットワークスキャナ装置B502とネットワークスキャナ装置C503とが接続されている。
【0093】
パーソナルコンピュータ10により外部記憶媒体150にさせる設定ファイルの設定が可能である。
【0094】
ネットワークスキャナ装置A501はネットワーク装置100と同じ機能と構成を備え原稿の最大読取サイズがA4であり、ネットワークスキャナ装置B502はネットワーク装置100と同じ機能と構成を備え原稿の最大読取サイズがA3であり、ネットワークスキャナ装置C503はネットワーク装置100と同じ機能と構成を備え原稿の最大読取サイズがA0である。
【0095】
なお、パーソナルコンピュータ10が画像ファイルの転送先に指定されていなければ、パーソナルコンピュータ10は複数のネットワークスキャナ装置が接続される通信回線20と接続される必要はない。
【0096】
パーソナルコンピュータ10では、図4(b)を参照して説明したように、複数のネットワークスキャナ装置A501、B502、C503毎に区別して個別に設定ファイルを設定して外部記憶媒体150に記憶させることができる。
【0097】
ネットワークスキャナ装置A501の原稿の最大読取サイズはA4であり、ネットワークスキャナ装置B502の原稿の最大読取サイズはA3である、ネットワークスキャナ装置C503の原稿の最大読取サイズはA0である。
【0098】
ユーザは、パーソナルコンピュータ10で図4(b)に示すように設定ファイルを設定して外部記憶媒体150に記憶させる(参照番号504)。
【0099】
そして、ユーザは、外部記憶媒体150をA4サイズ対応のネットワークスキャナ装置A501に接続してA4サイズの原稿のネットワークスキャンを行い(参照番号505)、次に、外部記憶媒体150をA0サイズ対応のネットワークスキャナ装置C503に接続してA0サイズの原稿のネットワークスキャンを行なう(参照番号506)。
【0100】
このように、図4(b)を参照して説明したような複数のネットワークスキャナ装置についての設定ファイルが個々に設定されて外部記憶媒体150に記憶されていれば、A4原稿のネットワークスキャンのあとにA0原稿のネットワークスキャンを行なう場合などには、ネットワークスキャナ装置A501でネットワークスキャンが行なわれた後に、A0原稿の画像データを読み取るネットワークスキャナ装置C503の設定ファイルを外部記憶媒体150に新たに設定する必要なく、ネットワークスキャナ装置A501を使用した後に外部記憶媒体150をネットワークスキャナ装置C503に接続してA0原稿のネットワークスキャンが行なえるので便利である。
【産業上の利用可能性】
【0101】
この発明は、原稿の画像データをスキャナ装置で読み取って作成した画像ファイルを所望の端末に転送するネットワークスキャナ装置において利用可能である。
【0102】
この発明によれば、着脱式の記憶媒体にスキャン動作条件、ファイル転送先などを記憶し、ユーザは、該記憶媒体をネットワークスキャナ装置に接続してスタートボタンを押下するだけで所望の動作条件で画像データを読み取って所望の転送先へ画像ファイルを転送するネットワークスキャンが実行される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】ネットワークスキャナ装置100によって構成されるネットワークスキャナシステムのシステム構成を示す模式図。
【図2】ネットワークスキャナ装置100の機能的な構成について示したブロック図。
【図3】ネットワークスキャナ装置100で行われる処理フローについて示したフローチャート。
【図4】スキャナ動作条件やファイル転送先が設定される設定ファイルの内容の一部を示した表。
【図5】複数のネットワークスキャナ装置毎に設定ファイルが区別して個別に設定された状態で、ネットワークスキャンが行なわれる様子について示した模式図。
【符号の説明】
【0104】
10 パーソナルコンピュータ
11 USBホストIF
20 通信回線
100 ネットワークスキャナ装置
101 ネットワークIF
102 ROM/RAM
103 スキャナIF
104 スタートボタン
105 CPU
106 USBホストIF
107 画像読取部
150 外部記憶媒体
201 スタート検知部
202 プログラムロード部
203 ファイル制御部
204 USB IF制御部
205 Network制御部
206 スキャン条件管理部
207 画像記憶部
208 ファイル変換部
209 画像圧縮部
210 画像処理部
211 スキャナ制御部
212 画像読取部
501 ネットワークスキャナ装置A
502 ネットワークスキャナ装置B
503 ネットワークスキャナ装置C

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部記憶媒体からスキャン動作条件とファイル転送先を読み取る読取手段と、
前記読取手段で読み取った前記スキャン動作条件に基づき原稿の画像データの読み取りを行なうスキャン実行手段と、
前記スキャン実行手段により読み取った画像データに対応する画像ファイルを前記読取手段で読み取ったファイル転送先へ転送する転送手段と
を具備するネットワークスキャナ装置。
【請求項2】
前記転送手段は、
前記読取手段で読み取ったファイル転送先と接続ができなかった場合は、前記画像ファイルを前記外部記憶媒体に転送して記憶させる請求項1記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項3】
前記スキャン動作条件は、
カラーモード、読取解像度、読取サイズ、圧縮率、濃度、ファイル形式のいずれかが含まれる請求項1または2に記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項4】
前記外部記憶媒体の装着を検知する装着検知手段
を具備し、
前記装着検知手段による前記外部記憶媒体の装着の検知に対応して前記転送手段が使用する通信ポートを有効にする請求項1乃至3のいずれかに記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項5】
前記外部記憶媒体が取り外されたことを検知する取外検知手段
を具備し、
前記取外検知部による前記外部記憶媒体の取り外しの検知に対応して前記転送手段が使用する通信ポートを無効にする請求項1乃至4のいずれかに記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項6】
前記外部記憶媒体から前記スキャン実行手段が実行する動作プログラムをロードするプログラムロード手段
を具備し、
前記スキャン実行手段は、
前記プログラムロード手段によりロードされた動作プログラムに基づき原稿の画像データの読み取りを行なう請求項1乃至5のいずれかに記載のネットワークスキャナ装置。
【請求項7】
外部記憶媒体からスキャン動作条件とファイル転送先を読取手段により読み取り、
前記読取手段で読み取った前記スキャン動作条件に基づき原稿の画像データの読み取りをスキャン実行手段により行ない、
前記スキャン実行手段により読み取った画像データに対応する画像ファイルを前記読取手段で読み取ったファイル転送先へ転送手段により転送するネットワークスキャン方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−11354(P2008−11354A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181536(P2006−181536)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】