説明

ネットワーク試験装置、ネットワーク試験方法およびネットワーク試験プログラム

【課題】膨大な時間を必要とすることなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することを課題とする。
【解決手段】このG−PONネットワーク試験装置は、OLT、ONUまたはONTとの間を光ファイバで接続されてネットワークを構成する。この試験装置は、試験項目とコード番号とを対応付けて記憶部に記憶し、OLTなどからデータを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データをDelay bufferAに送信し、試験を実施する場合に、当該データにコード番号を付加した試験データを生成する。そして、この試験装置は、生成された試験データからコード番号を抽出して試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時刻を取得して、この時刻とデータを受信した時刻とから試験を実施するのに要する試験時間を算出し、算出された試験時間経過後に、Delay bufferAに送信されたデータを読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、前記ネットワーク内に発生する事象を試験するネットワーク試験装置、ネットワーク試験方法およびネットワーク試験プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、通信事業者などの収容局から送信される光信号を複数の加入者宅に伝送するFTTH(Fiber To The Home)を実現する技術の1つとして、1本の光ファイバを光スプリッターなどの分岐装置によって分岐して複数の加入者宅に伝送する「PON(Passive Optical Network)」が利用されている。また、PONでは、収容局内の光加入者終端装置(OLT:Optical Line Terminal)と、加入者宅側に設置された複数の光網終端装置(ONU:Optical Network Unit、ONT:Optical Network Termination)とが、ポイント−マルチポイント型に構成される。
【0003】
最近では、国際電気通信連合の電気通信標準化部門(ITU-T:International Telecommunication Union Telecommunication―Standardization Sector)によって標準化され、ギガビット(Gbps)の伝送速度を実現するG−PON(Gigabit-Passive Optical Networks)などが利用されるようになってきている。このG−PONは、伝送フレームを従来の電気通信サービスの基本時間単位と同じ周期である125マイクロ秒周期の固定長フレームとしたため、電話や専用線などの既存サービスを効率よく利用することができる。例えば、G−PONは、1本の光ファイバー・ケーブルに通信と放送を同居させて、多チャンネル放送と1Gbpsのアクセス回線を実現することができる。
【0004】
そして、図13に示したようなG−PON方式のネットワーク構成では、通信装置A(OLT/ONT)と通信装置B1〜Bn(ONU/ONT)との間の通信が1:nの関係となる。そして、通信装置Aから送信されたデータ(以下、Downstreamdata)と通信装置B1〜Bnから送信されたデータ(以下、Upstreamdata)が衝突するのを防ぐため、通信装置Aは、通信装置B1〜Bnに対して連続的にDownstreamdataを送信し、通信装置B1〜Bnは、通信装置Aに対して時分割でUpstreamdataを送信する。
【0005】
具体的には、通信装置Aは、通信装置B1〜Bnとの通信時間(Tb1〜Tbn)を測定し、通信装置B1〜Bnに対して測定した時間に応じて、通信装置Aに応答するように指示を出す。そして、指示を受信した通信装置B1〜Bnは、指示された時分割でUpstreamdataを送信する。なお、上記した一連の処理の流れをRangingと呼び、このRangingは、物理的に通信が確立すると、定期的にまたはネットワーク状態が変化したことを契機に、必ず一度以上実行される。
【0006】
このように、G−PON方式のネットワーク構成では、通信装置A(OLT/ONT)と通信装置B1〜Bn(ONU/ONT)との間の通信が1:nの関係となるため、通信装置B1〜Bnが時分割でUpstreamdataを送信することが重要となる。また、通信装置A(OLT/ONT)に対して多くの通信装置B(ONU/ONT)が接続された大規模なG−PONシステムにとっては、このようにデータの衝突が発生することは大きな障害となる。そこで、上記したRangingなどによって、通信装置Aと通信装置B1〜Bnとの間におけるデータの送受信が、衝突することなく正しく行うことができるか否かを試験(検証)する様々な技術が開示されている。
【0007】
例えば、特許文献1(特開2005−20420号公報)では、図14に示したように、正常な通信を試験する試験装置は、規範OLTと、被試験ONUと、擬似ONUと、フレームジェネレータ/テスタとから構成される。この擬似ONUは、複数のONUの動作を模擬して動作する擬似的な役割を果たすONUである。このような構成において、フレームジェネレータ/テスタから被試験ONUにデータが送信されると、被試験ONUは、自装置に割り当てられた(設定された)タイミングで当該データを規範OLTに送信する。そして、規範OLTは、受信したデータをフレームジェネレータ/テスタに送信して、フレームジェネレータ/テスタは、当該データが正常なタイミングで送信されているか否かを試験する。このような試験装置を用いることで、接続されるONU一つずつを試験していくことができ、G−PONシステムにおいて接続されているONU全てを同時に試験する場合に比べて、複雑なネットワークの試験を簡単に実施し、障害や問題を簡単に検出することができる。
【0008】
ところが、上記した特許文献1の試験装置は、あくまでOLTやONUなどの装置における動作のみを試験しているに過ぎず、ネットワーク内で発生する事象(例えば、入力データの遅延挿入、データ到達時間の揺らぎ(ジッタ)、送信データの一部または全部の欠落、データ順序逆転など)を試験することができない。例えば、このようなネットワーク内で発生する事象によって、ONU1へのデータ到達時間が遅れると、ONU1は、自装置に割り当てられたタイミング(時分割)でデータを送信することができず、結果として他のONUやOLTとの間でデータの衝突が発生するなどの問題が発生する。そのため、このようなネットワーク内で発生する事象を試験する必要がある。
【0009】
一般的には、図15に示すように、通信装置A(OLT/ONT)と通信装置B1〜Bn(ONU/ONT)とから構成されるG−PONシステム(G−PONネットワーク)の外部に試験装置0〜nと試験装置Aまたは通信モニタを接続した試験システムが用いられる。ここで用いられる試験装置0〜nは、上記した特許文献1と同じように、装置が正常に動作している否かを試験するためのものであり、試験装置Aは、ネットワーク内に発生する事象を試験するためのものである。また、試験装置Aの代わりに通信モニタを使用した場合、通信モニタは、G−PONシステム内に流れるデータを取得して解析することでネットワーク内に発生する事象を検出する。
【0010】
【特許文献1】特開2005−20420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記した従来の技術では、ネットワーク内に発生する事象を検証するために、通信装置A(OLT/ONT)と通信装置B1〜Bn(ONU/ONT)との間に試験装置Aを設置した場合、G−PONシステム内を流れるデータは、試験装置Aを通過することになり、システム内のデータ通信時間に誤差が生じる。そのため、正常に動作するOLTおよびONUの間においてもデータの衝突が発生してしまい、試験装置Aは、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することができないという課題があった。
【0012】
具体的には、G−PONシステム内の全データが、試験装置Aを通過することになり、通信装置Aと通信装置B1〜Bnとの間の通信時間(Tb1〜Tbn)が変動する。つまり、通信装置Aと通信装置B1との間で試験が実施されていた場合、通信装置Aと通信装置B1〜Bnとの間で正常に通信が行われているにも関わらず、通信装置Aと通信装置B1との間の通信時間が変動してしまい、通信装置B1から送信されたデータと通信装置B2から送信されたデータが衝突するなどの事象が発生する。そのため、試験装置Aは、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することができない。
【0013】
また、上記した従来の技術では、ネットワーク内に発生する事象を試験するのに際して、G−PONシステム内を流れる膨大なデータを取得して解析することで、試験内容や結果を取得していたため、膨大な時間が必要であるという課題があった。
【0014】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、膨大な時間を必要とすることなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することが可能であるネットワーク試験装置、ネットワーク試験方法およびネットワーク試験プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、前記ネットワーク内に発生する事象を試験するネットワーク試験装置であって、前記ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて記憶する試験項目記憶手段と、前記OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のデータバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成する試験データ生成手段と、前記試験データ生成手段により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時間を取得する試験実施手段と、前記試験データ生成手段により取得された時刻と、前記試験実施手段により取得された時刻とから前記試験を実施するのに要する試験時間を算出し、前記算出された試験時間経過後に、前記試験データ生成手段により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すデータ読み出し手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記OLT、ONUまたはONTに対して、特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを送信する特定データ送信手段と、前記特定データ送信手段により送信された特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを、前記試験データ生成手段に優先的に送信する特定データ選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、前記試験実施手段により試験が実施された試験データを一時的に保持する試験データ保持手段をさらに備え、前記特定データ送信手段は、前記試験実施手段により実施される試験において、最も処理に長い時間がかかる試験項目のコード番号を付加した特定データを送信するとともに、当該特定データを送信した時刻を取得し、前記試験データ生成手段は、前記特定データ送信手段から特定データを受信した場合に、前記特定データを前記試験データとして前記試験実施手段に出力し、前記試験実施手段は、前記試験データ生成手段により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施して、当該試験項目が終了した時刻を取得し、前記データ読み出し手段は、前記試験実施手段により取得された時刻と、前記特定データ送信手段により取得された時刻とから、前記試験を実施した場合に最も長い処理時間である試験実施最長時間を算出したのち、前記試験データ生成手段によりデータが受信されて前記試験実施手段により試験が実施された場合に、前記試験実施最長時間と前記試験実施手段により算出された時間との差分時間を抽出して、前記試験データ保持手段に送信されたデータを前記差分時間経過後に読み出し、また、前記試験データ生成手段によりデータが受信されて、当該データが所定のデータバッファに送信された場合に、前記試験実施最長時間経過後に、前記試験データ生成手段により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すことを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に係る発明は、上記の発明において、前記データ読み出し手段により読み出されてONUに送信されたデータに対する応答をONUから受信した場合に、当該送信されたデータの時刻と受信した応答の時刻とからONU内での通信遅延時間を測定し、前記データ読み出し手段により読み出されたデータを、前記通信遅延時間を調整してONUに送信するONU遅延時間調整手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に係る発明は、上記の発明において、前記データ読み出し手段により読み出されたデータに前記コード番号が付加されている場合に、当該データから前記コード番号を取り除いて、前記OLT、ONUまたはONTに送信するコード番号削除手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項6に係る発明は、上記の発明において、前記試験データ生成手段により送信されるデータおよび試験データを、前記所定のデータバッファまたは前記試験実施手段に分岐する分岐手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項7に係る発明は、OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、前記ネットワーク内に発生する事象を試験することに適したネットワーク試験方法であって、前記ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて試験項目記憶手段に格納する試験項目記憶工程と、前記OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のデータバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成する試験データ生成工程と、前記試験データ生成工程により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時刻を取得する試験実施工程と、前記試験データ生成工程により取得された時刻と、前記試験実施工程により取得された時刻とから前記試験を実施するのに要する試験時間を算出し、前記算出された試験時間経過後に、前記試験データ生成工程により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すデータ読み出し工程と、を含んだことを特徴とする。
【0022】
また、請求項8に係る発明は、OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、前記ネットワーク内に発生する事象を試験することをコンピュータに実行させるネットワーク試験プログラムであって、前記ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて試験項目記憶手段に格納する試験項目記憶手順と、前記OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のデータバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成する試験データ生成手順と、前記試験データ生成手順により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時刻を取得する試験実施手順と、前記試験データ生成手順により取得された時刻と、前記試験実施手順により取得された時刻とから前記試験を実施するのに要する試験時間を算出し、前記算出された試験時間経過後に、前記試験データ生成手順により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すデータ読み出し手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、7、8の発明によれば、ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて記憶し、OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のデータバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成し、生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時刻を取得し、取得された当該データを受信した時刻と、試験が終了した時刻とから試験を実施するのに要する試験時間を算出し、算出された試験時間経過後に、所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すので、膨大な時間を必要とすることなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することが可能である。
【0024】
例えば、ONUまたはONTが割り当てられたタイミング(時分割)で正常にデータを送信している場合に、入力データの遅延挿入、データ到達時間の揺らぎ(ジッタ)、送信データの一部または全部の欠落、データ順序逆転などの事象についても試験することが可能であり、また、ネットワーク内に流れるデータを取得して解析する必要がなく、短時間で試験を実施することが可能である。
【0025】
さらに、試験装置をネットワークの内部に備えることで、試験を行う回線と試験を行わずにデータを送信する回線とを備えることができる結果、G−PONシステムなどを構築するコストを削減することが可能であるとともに、試験を行った際に発生する送信時間の誤差(通信遅延時間)を調整するができる結果、試験を行う場合と行わない場合との通信時間を統一することが可能である。
【0026】
また、請求項2の発明によれば、OLT、ONUまたはONTに対して、特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを送信し、送信された特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを、優先的に送信するので、特定のシーケンスやデータに対する検証を容易に行うことが可能である。
【0027】
例えば、「ITU-T G984」規格に記載された、OAM(Operations Administration and Maintenance)、OMCI(ONU Management Control Interface)などの特定のシーケンスやPLOAM(Physical Layer OAM)の一コードなどの特定のデータなどを送信して、ネットワーク内の事象における試験をすることができる結果、規格(例えば、応答コード列や応答時間など)に違反していないかどうかを試験することが可能である。さらに、これらのデータに対する試験結果を保持することで、特定のシーケンスやデータに対する検証を容易に行うことが可能である。
【0028】
また、請求項3の発明によれば、試験が実施された試験データを一時的に保持し、実施される試験において、最も処理に長い時間がかかる試験項目のコード番号を付加した特定データを送信するとともに、当該特定データを送信した時刻を取得し、特定データを受信した場合に、特定データを試験データとして出力し、生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を取得して当該試験項目を実施して、当該試験項目が終了した時刻を取得し、取得された当該データを受信した時刻と、試験項目が終了した時刻とから、試験を実施した場合に最も長い処理時間である試験実施最長時間を算出したのち、データが受信されて試験が実施された場合に、試験実施最長時間と算出された時間との差分時間を抽出して、送信されたデータを差分時間経過後に読み出し、また、データが受信されて、当該データが所定のデータバッファに送信された場合に、試験実施最長時間経過後に、所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すので、試験による通信遅延を常に統一して調整することができる結果、試験項目に依存することなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することが可能である。
【0029】
例えば、あらかじめ試験実施最長時間(2分)を算出しておき、その後にデータを受信して試験を実施した場合、試験実施最長時間(2分)と試験にかかった時間(1分)との差分時間(1分)を算出して、試験終了後に差分時間経過(1分)すると、データを読み出す。また、データを受信して試験を実施した場合に、試験実施最長時間(2分)と試験にかかった時間(30秒)との差分時間(30秒)を算出して、試験終了後に差分時間経過(30秒)すると、データを読み出す。また、受信したデータが試験を実施しなかった場合、データを受信してから試験実施最長時間(2分)経過後に、データを読み出す。このように、データを受信していずれの試験を実施したとしても、データ受信から試験実施最長時間(2分)経過後に、データを読み出すこととなり、試験による通信遅延を常に統一して調整することができる結果、試験項目に依存することなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することが可能である。
【0030】
また、請求項4の発明によれば、読み出されてONUに送信されたデータに対する応答をONUから受信した場合に、当該送信されたデータの時刻と受信した応答の時刻とからONU内での通信遅延時間を測定し、読み出されたデータを、通信遅延時間を調整してONUに送信するので、接続されるONU内で発生する通信遅延を調整することができる結果、さらに正確に試験することが可能である。
【0031】
例えば、ONUからの応答が毎回、1秒ずつ遅れている場合、そのままONUが応答を送信し続けると、ONUが送信したデータ同士が衝突する恐れがある。そのため、応答が1秒ずつ遅れていると検出すると、ONUにデータを送信するタイミングを早めたりすることで、接続されるONU内で発生する通信遅延を調整することができる結果、さらに正確に試験することが可能である。
【0032】
また、請求項5の発明によれば、読み出されたデータにコード番号が付加されている場合に、当該データからコード番号を取り除いて、OLT、ONUまたはONTに送信するので、ネットワークに流れるデータを有効的に利用することが可能である。
【0033】
例えば、本番運用時に試験する場合、G−PONシステムで送信されている本番データからコード番号を付加して試験データを生成し、当該試験データを用いて試験を実施して検証し、試験が終了すると、試験データからコード番号を取り除いて元のデータを生成することができる結果、試験データを別に用意する必要がなく、ネットワークに流れるデータを有効的に利用することが可能である。
【0034】
さらに、ネットワーク、回線、システムの負荷を軽減することが可能である。具体的には、本番運用時に試験データを用意して試験する場合には、ネットワーク上には、本番データと試験データとが流れることとなり、ネットワークや回線の負荷が増大する。また、試験装置は、本番データと試験データとを受信することとなり、システムの負荷が増大する。そこで、上記したようにネットワークに流れるデータを有効的に利用することで、このような負荷を軽減することが可能である。
【0035】
また、請求項6の発明によれば、送信されるデータおよび試験データを、所定のデータバッファまたは試験実施手段に分岐するので、試験を実施しないデータと試験を実施するデータとをより確実に分岐することが可能である。
【0036】
例えば、分岐回路を設けることで、通信経路を確保することができる、試験を実施しないデータと試験を実施するデータとを間違って分岐するリスクを最小限にすることができる結果、確実に分岐することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るネットワーク試験装置、ネットワーク試験方法およびネットワーク試験プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本実施例で用いる主要な用語、本実施例に係るG−PONネットワーク試験装置の概要および特徴、G−PONネットワーク試験装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に本実施例に対する種々の変形例を説明する。
【実施例1】
【0038】
[用語の説明]
まず最初に、本実施例で用いる主要な用語を説明する。本実施例で用いる「PON(Passive Optical Network)」とは、通信事業者などの収容局から送信される光信号を複数の加入者宅に伝送するFTTH(Fiber To The Home)を実現する技術の1つとして、1本の光ファイバを光スプリッターなどの分岐装置によって分岐して複数の加入者宅に伝送するシステムのことである。また、このPONにおいて、伝送フレームを従来の電気通信サービスの基本時間単位と同じ周期である125マイクロ秒周期の固定長フレームとし、電話や専用線などの既存サービスを効率よく利用することができるPONを特に「G−PON(Gigabit-Passive Optical Networks)」と呼ぶ。また、G−PON(またはPON)では、収容局内の光加入者終端装置(OLT:Optical Line Terminal)と、加入者宅側に設置された複数の光網終端装置(ONU:Optical Network Unit、ONT:Optical Network Termination)とが、ポイント−マルチポイント型に構成される。なお、本実施例では、「G−PON」を採用した場合について説明する。また、本実施例で説明するG−PONネットワーク試験装置とは、特許請求の範囲に記載の「ネットワーク試験装置」に対応する。
【0039】
そして、このようなG−PONでは、「OLT」に接続される一本の光ファイバを複数の「ONU」に接続する必要がある。そのため、複数の「ONU」から「OLT」に対して送信されるデータ(信号)は、一本の光ファイバ上で衝突することがないように、排他的なタイミング(時分割されたタイミング)で送信される。このように複数の「ONU」や「OLT」が正常に動作しているか否かは、図14または図15に示した試験手法で実施することができる。
【0040】
ところが、G−PONシステムを構成するにあたり、一本の光ファイバ上で衝突することがないようにするには、複数の「ONU」が排他的なタイミング(時分割されたタイミング)で送信しているか否かのほかにも、ネットワーク上の事象(例えば、入力データの遅延挿入、データ到達時間の揺らぎ(ジッタ)、送信データの一部または全部の欠落、データ順序逆転など)などが影響することも多い。そのため、複数の「ONU」が排他的なタイミング(時分割されたタイミング)で送信しているか否かに加え、このようなネットワーク上の事象を検出することが重要となる。
【0041】
[G−PONネットワーク試験装置の概要および特徴]
次に、図1を用いて、実施例1に係るG−PONネットワーク試験装置の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係るG−PONネットワーク試験装置の概要と特徴を説明するための図である。なお、ここでは、OLTなどから出力されるデータ(Downstreamdata)に対して試験を実施する場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、ONUなどから出力されるデータ(Upstreamdata)に対しても同様に実施することができる。
【0042】
図1に示すように、このG−PONネットワーク試験装置は、OLTまたはONTと、複数のONUまたはONTとの間に接続されてG−PONシステムを構成している。そして、複数のONUは、一本の光ファイバ上で衝突することがないように、排他的なタイミング(時分割されたタイミング)で、このG−PONネットワーク試験装置を介してOLTに送信している。
【0043】
このような構成のもと、このG−PONネットワーク試験装置は、上記したようにG−PONシステムにおけるネットワーク内に発生する事象を試験することを概要とするものであり、特に、膨大な時間を必要とすることなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することが可能である点に主たる特徴がある。
【0044】
この主たる特徴を具体的に説明すると、このG−PONネットワーク試験装置は、ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて記憶する。具体的に例を挙げれば、G−PONネットワーク試験装置は、『試験項目を示す「コード番号(Flag)」、試験項目の内容を示す「試験内容」』として「01、入力データの遅延挿入」「02、データ到達時間の揺らぎ(ジッタ)」や「03、送信データの一部または全部の欠落」などと記憶部に記憶する。
【0045】
そして、G−PONネットワーク試験装置のデータ認識部は、OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得し、Data識別Flag挿入部は、受信したデータに対して試験を実施しない場合に、当該データを所定のバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成し、試験構成部は、コード番号に応じた試験項目を記憶部から取得して当該試験項目を実施する。また、DelaybufferAは、Data識別Flag挿入部により送信されたデータを一時的に記憶し、制御部は、上記した各機能部を制御する。また、Disは、Data識別Flag挿入部により送信されるデータおよび試験データを、DelaybufferAまたは試験構成部に分岐する回路であり、SELは、試験構成部またはDelaybufferAからデータを受信する(収集する)回路である。
【0046】
このような状態において、G−PONネットワーク試験装置は、OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成する(図1の(1)〜(4)参照)。具体的に例を挙げると、G−PONネットワーク試験装置のデータ認識部は、OLTまたはONTからデータを受信すると、当該データを受信した時刻(TLTS)を取得し、当該データをData識別Flag挿入部に出力する。続いて、制御部は、試験を実施するためにコード番号「01」を当該データに付加するように、Data識別Flag挿入部に指示する。そして、Data識別Flag挿入部は、当該データに試験項目を示すコード番号「01」を付加した試験データを生成し、当該試験データを試験構成部に出力する。なお、試験を実施する指示は、あらかじめ設定しておいてもよく、また、外部などから利用者の操作を受け付けてもよい。
【0047】
すると、G−PONネットワーク試験装置の試験構成部は、Data識別Flag挿入部により生成された試験データからコード番号を抽出して、当該コード番号に応じた試験項目を記憶部から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時間を取得する(図1の(5)と(6)参照)。上記した例で具体的に説明すると、G−PONネットワーク試験装置の試験構成部は、Data識別Flag挿入部により生成された試験データからコード番号「01」を抽出して、当該コード番号「01」に応じた試験項目「入力データの遅延挿入」を記憶部から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時間「TTOLT」を取得し、当該試験データをSELに出力する。
【0048】
その後、G−PONネットワーク試験装置の制御部は、SELに出力された試験データを選択して、外部装置に出力する(図1の(7)参照)。このようにして、試験データが外部に出力されて各種解析が行われ、試験が検証される。なお、上記した試験処理は、記憶部に記憶される試験項目ごとにあらかじめ実施して、試験に係る時間を算出していてもよく、システムを構築した後に実施してもよい。
【0049】
そして、再び、G−PONネットワーク試験装置のデータ認識部は、OLTまたはONTからデータを受信すると、当該データを受信した時刻(TLTS1)を取得し、当該データをData識別Flag挿入部に出力する(図1の(8)と(9)参照)。続いて、制御部は、当該データに対して試験を実施しない場合、試験を実施しないコード番号「―(空白)」を当該データに付加するように、Data識別Flag挿入部に指示する(図1の(10)参照)。そして、Data識別Flag挿入部は、当該データに試験項目を示すコード番号を空白にして、当該データをDelaybufferAに出力する(図1の(11)参照)。
【0050】
すると、G−PONネットワーク試験装置の制御部は、データ認識部により取得された時刻と、試験構成部により取得された時刻とから試験項目を実施するのに要する試験時間を算出し、算出された試験時間経過後に、データ認識部によりDelaybufferAに送信されたデータを読み出す(図1の(12)参照)。上記した例で具体的に説明すると、G−PONネットワーク試験装置の制御部は、先ほどの図1の(2)においてデータ認識部により取得された時刻(TLTS)と、図1の(6)において算出された時間「TTOLT」とから試験項目を実施するのに要する試験時間「ΔTTOLT=TTOLT−TLTS」算出し、データを受信した時刻「TLTS1」からこの算出された試験時間「ΔTTOLT」経過後に、DelaybufferAに送信されたデータを読み出す。
【0051】
そして、G−PONネットワーク試験装置の制御部は、SELに出力されたデータを選択して、外部装置に出力する(図1の(13)参照)。なお、ここでは、試験項目「01」において試験に要する時間「ΔTTOLT」を算出し、試験しない場合にでも、算出された時間「ΔTTOLT」分、データを一時的に記憶することで、試験する場合と試験しない場合の通信時間の差分を解消する場合について説明したが、他の試験項目についても同様に行うことができる。その場合、あらかじめ試験に要する時間を算出していてもよく、また、上記したように、システム構築時に一度試験を実施して試験に要する時間を算出するようにしてもよい。
【0052】
このように、実施例1に係るG−PONネットワーク試験装置は、ONUまたはONTが割り当てられたタイミング(時分割)で正常にデータを送信している場合に、入力データの遅延挿入、データ到達時間の揺らぎ(ジッタ)、送信データの一部または全部の欠落、データ順序逆転などの事象についても試験することができ、また、ネットワーク内に流れるデータを取得して解析する必要がなく、短時間で試験を実施することができる結果、膨大な時間を必要とすることなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することが可能である。
【0053】
[G−PONネットワーク試験装置の構成]
次に、図2と図3を用いて、図1に示したG−PONネットワーク試験装置の構成を説明する。図2は、実施例1に係るG−PONネットワーク試験装置の構成を示すブロック図であり、図3は、試験項目DBに記憶される情報の例を示す図である。
【0054】
図2に示すように、このG−PONネットワーク試験装置10は、通信制御I/F部11、12と、外部IOインタフェース13と、記憶部14と、Clock抽出部16と、データ認識部17、18と、Data識別Flag挿入部19、20と、Dis21、22と、試験構成部23、24と、DelaybufferA25、26と、SEL27、28と、制御部30とから構成される。
【0055】
通信制御I/F部11、12は、OLT、ONUまたはONTとの間でやり取りする各種情報に関する通信を制御する。具体的に例を挙げれば、通信制御I/F部11は、OLTから連続的に送信されるデータ(Downstreamdata)を受信して、後述するデータ認識部17に出力し、後述するSEL28から出力されたデータ(Upstreamdata)をOLTまたはONTに出力する。また、通信制御I/F部12は、ONUから時分割で送信されるUpstreamdataを受信して後述するデータ認識部18に出力し、後述するSEL27から出力されたDownstreamdataをONUまたはONTに送信する。
【0056】
外部IOインタフェース13は、利用者がG−PONネットワーク試験装置10を操作するための各種機器を接続する。具体的には、外部IOインタフェース13は、キーボード、マウス、マイク、モニタ(若しくはディスプレイ、タッチパネル)、スピーカなどのIO機器や試験結果を閲覧・検証するためのPC(Personal Computer)を接続する。
【0057】
記憶部14は、制御部30による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納するとともに、特に本発明に密接に関連するものとしては、試験項目DB15を備える。試験項目DB15は、ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて記憶する。具体的に例を挙げると、試験項目DB15は、図3に示すように、『試験項目を示す「コード番号(Flag)」、試験項目の内容を示す「試験内容」』として「01、入力データの遅延挿入」「02、データ到達時間の揺らぎ(ジッタ)」や「03、送信データの一部または全部の欠落」などと記憶部に記憶する。なお、この試験項目DB15は、G−PONネットワーク試験装置10の内部にある必要はなく、外部に接続されていてもよい。また、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、試験項目DB15は、特許請求の範囲に記載の「試験項目記憶手段」に対応する。
【0058】
Clock抽出部16は、G−PONネットワーク試験装置10内の内部タイマーの基準クロックを生成する回路である。このClock抽出部16により生成された基準クロックを「0」として、後述するデータ認識部17、18や試験構成部23、24などにより時間が算出される場合に、基準クロック「0」からのタイマーをカウントすることで、時間誤差を最小限にすることができる。
【0059】
データ認識部17、18は、通信制御I/F部11、12によりOLT、ONUまたはONTから受信された当該データの時刻を取得し、受信したデータをデスクランブルして後述するData識別Flag挿入部19、20に出力する。具体的に例を挙げれば、データ認識部17は、通信制御I/F部11により受信されたOLTなどから出力されたDownstreamdata(例えば、Downstreamdataは、「Delimiter、ヘッダ情報、送信先情報、データ」などから構成される)が入力されると、当該入力された(受信した)時刻(TLTS)をヘッダ情報やDelimiterの位置などから取得して記憶部などに一時的に格納し、受信したデータをデスクランブルして後述するData識別Flag挿入部19に出力する。また、データ認識部18は、通信制御I/F部12により受信されたONUなどから出力されたUpstreamdata(例えば、Upstreamdataは、「Delimiter、ヘッダ情報、送信先情報、データ」などから構成される)が入力されると、当該入力された(受信した)時刻を取得して記憶部などに一時的に格納し、受信したデータをデスクランブルして後述するData識別Flag挿入部20に出力する。
【0060】
Data識別Flag挿入部19、20は、データ認識部17、18により入力されたデータに対して、試験を実施しない場合に、当該データをDelaybufferA25、26に送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号(例えば、Flag=01など)をヘッダ情報などに付加した試験データを生成する。上記した例で具体的に説明すると、Data識別Flag挿入部19は、データ認識部17により入力されたデータに対して、試験を実施しない場合に、当該データをDelaybufferA25に送信し、試験を実施する場合に、利用者により指示されたまたはあらかじめ定めた試験項目を示すコード番号を試験項目DB15から取得して付加した試験データを生成し、当該試験データを後述する試験構成部23に出力する。
【0061】
また、Data識別Flag挿入部20も同様に、データ認識部18により入力されたデータに対して、試験を実施しない場合に、当該データをDelaybufferA26に送信し、試験を実施する場合に、利用者により指示されたまたはあらかじめ定めた試験項目を示すコード番号(例えば、Flag=01など)を試験項目DB15から取得してヘッダ情報などに付加した試験データを生成し、当該試験データを後述する試験構成部24に出力する。なお、データ認識部17、18とData識別Flag挿入部19、20とは、特許請求の範囲に記載の「試験データ生成手段」に対応する。
【0062】
Dis21、22は、Data識別Flag挿入部19、20により送信されたデータを試験構成部23、24またはDelaybufferA25、26に分岐する回路である。上記した例で具体的に説明すると、Dis21は、Data識別Flag挿入部19により試験項目が付加されていないデータを受信した場合、当該データをDelaybufferA25に出力し、試験項目が付加された試験データを受信した場合に、当該試験データを試験構成部23に出力する。同様に、Dis22は、Data識別Flag挿入部20により試験項目が付加されていないデータを受信した場合、当該データをDelaybufferA26に出力し、試験項目が付加された試験データを受信した場合に、当該試験データを試験構成部24に出力する。なお、Dis21、22は、特許請求の範囲に記載の「分岐手段」に対応する。
【0063】
試験構成部23、24は、Data識別Flag挿入部19、20により生成された試験データからコード番号を抽出して、当該コード番号に応じた試験項目を試験項目DB15から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時間を取得する。上記した例で具体的に説明すると、試験構成部23は、Data識別Flag挿入部19により生成された試験データをDis22から受信すると、当該試験データからFlag=01などのコード番号を抽出して、当該コード番号「01」に応じた試験項目「入力データの遅延挿入」を試験項目DB15から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時間「TTOLT」を取得して記憶部14などに一時的に格納し、当該試験データを後述するSEL27に出力する。同様に、試験構成部24は、Data識別Flag挿入部20により生成された試験データをDis21から受信すると、当該試験データからFlag=03などのコード番号を抽出して、当該コード番号「03」に応じた試験項目「送信データの一部または全部の欠落」を試験項目DB15から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時間「TTOLT2」を取得して記憶部14などに一時的に格納し、当該試験データを後述するSEL28に出力する。なお、試験構成部23、24は、特許請求の範囲に記載の「試験実施手段」に対応する。
【0064】
DelaybufferA25、26は、Data識別Flag挿入部19、20により送信されたデータを一時的に格納し、後述するデータ読み出し部32の指示に応じて、格納するデータを出力する。上記した例で具体的に説明すると、DelaybufferA25は、Data識別Flag挿入部19により出力されたデータをDis21を介して受信した場合に、後述するデータ読み出し部32から出力指示を受信するまで、当該データを格納する。同様に、DelaybufferA26は、Data識別Flag挿入部20により出力されたデータをDis22を介して受信した場合に、後述するデータ読み出し部32から出力指示を受信するまで、当該データを格納する。なお、DelaybufferA25、26は、特許請求の範囲に記載の「所定のデータバッファ」に対応する。
【0065】
SEL27、28は、試験構成部23、24またはDelaybufferA25、26により出力されたデータから、後述するデータ選択部33の指示に応じて選択し、選択したデータをOLT、ONUまたはONTに送信する回路である。上記した例で具体的に説明すると、SEL27は、試験構成部23から試験データを受信し、DelaybufferA25からデータを受信する。そして、SEL27は、後述するデータ選択部33の指示に応じてどちらかのデータを選択して、選択したデータをONUまたはONTに送信する。同様に、SEL28は、試験構成部24から試験データを受信し、DelaybufferA26からデータを受信する。そして、SEL28は、後述するデータ選択部33の指示に応じてどちらかのデータを選択して、選択したデータをONUまたはONTに送信する。
【0066】
制御部30は、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有するとともに、特に本発明に密接に関連するものとしては、試験項目指示部31と、データ読み出し部32と、データ選択部33とを備える。これらによって種々の処理を実行する。
【0067】
試験項目指示部31は、Data識別Flag挿入部19、20に対して、データに付加する試験項目またはコード番号を指示する。具体的には、試験項目指示部31は、あらかじめ指定されたまたは外部IOインタフェースにより受け付けた利用者の指示に従って、試験項目またはコード番号を受信したデータに付加するようにData識別Flag挿入部19、20に指示する。例えば、「入力データの遅延挿入」試験を実施する場合、試験項目DB15に「01、入力データの遅延挿入」が対応付けられて記憶されていることより、試験項目指示部31は、コード番号(Flag=01)を受信したデータに付加するようにData識別Flag挿入部19、20に指示する。また、試験を実施しない場合、試験項目指示部31は、何も付加しないように指示したり、コード番号(Flag=00)を付加するように指示する。
【0068】
データ読み出し部32は、Data識別Flag挿入部19、20により取得された時刻と、試験構成部23、24により取得された時刻とから試験項目を実施するのに要する試験時間を算出し、算出された試験時間経過後に、Data識別Flag挿入部19、20によりDelaybufferA25、26に送信されたデータを読み出す。上記した例で具体的に説明すると、データ読み出し部32は、Data識別Flag挿入部19により取得された時刻(TLTS)と、試験構成部23により取得された時刻(TTOLT)とから試験項目を実施するのに要する試験時間(ΔTTOLT=TTOLT−TLTS)を算出し、データを受信した時刻「TLTS1」から算出された試験時間経過後(ΔTTOLT)に、Data識別Flag挿入部19によりDelaybufferA25に送信されたデータを読み出すように指示する。なお、データ読み出し部32は、特許請求の範囲に記載の「データ読み出し手段」に対応する。
【0069】
データ選択部33は、SEL27、28に出力されたデータから必要なデータを選択して、OLT、ONUまたはONTに送信するようにSEL27、28に指示する。具体的には、例えば、試験を実施した場合、データ選択部33は、SEL27、28に対して、受信したデータのうち、試験構成部23、24から受信したデータを選択してOLT、ONUまたはONTに送信するように指示する。また、試験を実施していない場合、SEL27、28に対して、受信したデータのうち、DelaybufferA25、26から受信したデータを選択してOLT、ONUまたはONTに送信するように指示する。
【0070】
[G−PONネットワーク試験装置による処理]
次に、図4を用いて、G−PONネットワーク試験装置による処理を説明する。図4は、実施例1に係るG−PONネットワーク試験装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【0071】
図4に示すように、通信制御I/F部11を介してOLTまたはONTからデータを受信すると(ステップS401肯定)、G−PONネットワーク試験装置10のデータ認識部17は、当該データの時刻を取得し、受信したデータをデスクランブルして後述するData識別Flag挿入部19に出力する(ステップS402)。
【0072】
続いて、Data識別Flag挿入部19は、試験項目指示部31から当該データに対して試験を実施するか否かを受け付ける(ステップS403)。そして、試験を実施する場合(ステップS403肯定)、Data識別Flag挿入部19は、当該データに試験内容を示すコード番号を付加して試験データを生成し、試験構成部23に出力する(ステップS404)。
【0073】
すると、試験構成部23は、当該試験データからコード番号を抽出して、当該コード番号に応じた試験項目を試験項目DB15から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時間を取得する(ステップS405〜ステップS407)。
【0074】
その後、試験構成部23は、当該試験データをSEL27に出力し、SEL27は、データ選択部33の指示に応じてデータを選択して(ステップS408)、OLT、ONUまたはONTに送信する(ステップS409)。
【0075】
一方、試験を実施しない場合(ステップS403否定)、Data識別Flag挿入部19は、当該データをDelaybufferA25に送信して、バッファに保存する(ステップS410)。
【0076】
その後、データ読み出し部32は、Data識別Flag挿入部19により取得された時刻と、試験構成部23より取得された時刻とから試験項目を実施するのに要する試験時間を算出し、算出された試験時間経過後に、Data識別Flag挿入部19によりDelaybufferA25に送信されたデータを読み出す(ステップS411)。
【0077】
そして、試験構成部23は、当該試験データをSEL27に出力し、SEL27は、データ選択部33の指示に応じてデータを選択して(ステップS408)、OLT、ONUまたはONTに送信する(ステップS409)。
【0078】
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて記憶し、OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データをDelaybufferA25、26に送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成し、生成された試験データからコード番号を抽出して、当該コード番号に応じた試験項目を試験項目DB15から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時間を取得し、取得された時刻と、試験実施により取得された時刻とから試験項目を実施するのに要する試験時間を算出し、算出された試験時間経過後に、DelaybufferA25、26に送信されたデータを読み出すので、膨大な時間を必要とすることなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することが可能である。
【0079】
例えば、ONUまたはONTが割り当てられたタイミング(時分割)で正常にデータを送信している場合に、入力データの遅延挿入、データ到達時間の揺らぎ(ジッタ)、送信データの一部または全部の欠落、データ順序逆転などの事象についても試験することが可能であり、また、ネットワーク内に流れるデータを取得して解析する必要がなく、短時間で試験を実施することが可能である。
【0080】
さらに、試験装置をネットワークの内部に備えることで、試験を行う回線と試験を行わずにデータを送信する回線とを備えることができる結果、G−PONシステムなどを構築するコストを削減することが可能であるとともに、試験を行った際に発生する送信時間の誤差(通信遅延時間)を調整するができる結果、試験を行う場合と行わない場合との通信時間を統一することが可能である。
【0081】
ネットワーク内の遅延時間について具体的に説明すると、図5に示すように、OLTからG−PONネットワーク試験装置にデータ送信されて、G−PONネットワーク試験装置により試験が実施されて、ONUに当該データが送信される。この間に試験により通信時間に遅延が発生する(ΔTLT−S)。そして、試験により通信時間に遅延が発生することで、G−PONネットワーク試験装置とONUとの間にも通信に遅延が発生する(ΔTS−NU)。
【0082】
そして、このように通信に遅延が発生することで、ONU内部においても通常よりも通信に遅延が発生する(ΔTLT−S)。さらに、上記したように、OLTがデータを送信した場合に、OLTとG−PONネットワーク試験装置との間に通信の遅延(ΔTS−NU)が発生し、また、当該データに対して応答を送信したONUとG−PONネットワーク試験装置との間に通信の遅延(ΔTNU−S)が発生するため、当該応答を転送するG−PONネットワーク試験装置とOLTとの間にも通信に遅延(ΔTS−LT)が発生することとなる。つまり、OLTがデータをG−PONネットワーク試験装置を介してONUに送信し、ONUが当該データに対する応答をG−PONネットワーク試験装置を介してOLTに送信する一連の処理の流れにおいて、通常の通信時間に対して「(ΔTLT−S)+(ΔTS−NU)+(ΔTNU−S)+(ΔTS−LT)」の遅延が発生する。その結果、通常に通信が行われているにも関わらず、データの衝突が発生する。なお、図5は、ネットワーク内の通信遅延を説明するための図である。
【0083】
また、実施例1によれば、送信されるデータおよび試験データを、DelaybufferA25、26または試験構成部に分岐するので、試験を実施しないデータと試験を実施するデータとをより確実に分岐することが可能である。例えば、分岐回路を設けることで、通信経路を確保することができ、また、試験を実施しないデータと試験を実施するデータとを間違って分岐するリスクを最小限にすることができる結果、確実に分岐することが可能である。
【実施例2】
【0084】
ところで、実施例1では、試験項目ごとに試験に必要な時間を算出して、通信遅延時間を調整する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、最も処理時間が長い試験を実施して最長試験実施時間を算出し、この最長試験実施時間を利用して通信遅延時間を調整してもよい。
【0085】
そこで、図6を用いて最長試験実施時間を利用して通信遅延時間を調整する場合について説明する。なお、実施例2では、実施例2に係るG−PONネットワーク試験装置の構成と実施例2による効果について説明する。
【0086】
[G−PONネットワーク試験装置の構成(実施例2)]
図6を用いて、実施例2に係るG−PONネットワーク試験装置の構成を説明する。図6は、実施例2に係るG−PONネットワーク試験装置の構成を示すブロック図である。
【0087】
図6に示すように、このG−PONネットワーク試験装置10は、通信制御I/F部11、12と、外部IOインタフェース13と、記憶部14と、Clock抽出部16と、データ認識部17、18と、Data識別Flag挿入部19、20と、Dis21、22と、試験構成部23、24と、DelaybufferA25、26と、SEL27、28と、制御部30と、データジェネレータ部40、41と、SEL42、43と、TEST Delay bufferA44、45とから構成される。
【0088】
このうち、通信制御I/F部11、12と、外部IOインタフェース13と、記憶部14と、Clock抽出部16と、データ認識部17、18と、Data識別Flag挿入部19、20と、Dis21、22と、試験構成部23、24と、DelaybufferA25、26と、SEL27、28と、制御部30の試験項目指示部31と、データ選択部33とは、実施例1で説明した図2と同様の機能を有するので、その詳細な説明は省略する。ここでは、実施例1とは異なる機能を有するデータジェネレータ部40、41と、SEL42、43と、TEST Delay bufferA44、45と、制御部30のデータ読み出し部32とについて説明する。
【0089】
データジェネレータ部40、41は、接続されるOLT、ONUまたはONTに対して、特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータ、また、試験構成部23、24により実施される試験において、最も処理に長い時間がかかる試験項目のコード番号を付加した特定データを送信するとともに、当該特定データを送信した時刻を取得する。具体的に例を挙げると、データジェネレータ部40、41は、接続されるOLT、ONUまたはONTに対して、「ITU-T G984」規格に記載された、OAM(Operations Administration and Maintenance)、OMCI(ONU Management Control Interface)などの特定のシーケンスやPLOAM(Physical Layer OAM)の一コードなどの特定のデータなどを、後述するSEL42、43に送信する。また、データジェネレータ部40、41は、試験構成部23、24により実施される試験において、最も処理に長い時間がかかる試験項目のコード番号(例えば、03)を付加した特定データを、後述するSEL42、43に送信するとともに、送信した時刻「TOD」を取得する。なお、データジェネレータ部40、41は、特許請求の範囲に記載の「特定データ送信手段」に対応する。
【0090】
SEL42、43は、データジェネレータ部40、41により送信された特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを、Data識別Flag挿入部19、20に優先的に送信する。上記した例で具体的に例を挙げると、SEL42、43は、データジェネレータ部40、41から「ITU-T G984」規格に準拠したデータを受信した場合、当該データを優先的にData識別Flag挿入部19、20に送信し、また、データジェネレータ部40、41からコード番号(例えば、03)を付加した特定データを受信した場合、同様に、当該データを優先的にData識別Flag挿入部19、20に送信する。なお、SEL42、43は、特許請求の範囲に記載の「特定データ選択手段」に対応する。
【0091】
TEST Delay bufferA44、45は、試験構成部23、24により試験が実施された試験データを一時的に保持する。上記した例で具体的に説明すると、Data識別Flag挿入部19、20は、データジェネレータ部40、41によりコード番号(例えば、03)を付加した特定データを受信すると、当該データを試験データとして試験構成部23、24に出力する。そして、試験構成部23、24は、当該試験データから試験番号を抽出して、当該試験番号に対応した試験項目を取得して実施し、試験が終了した時間(TTTD)を算出して、TEST Delay bufferA44、45に当該データを出力する。そして、TEST Delay bufferA44、45は、後述するデータ読み出し部32からの指示を受け付けるまで入力されたデータを保持する。
【0092】
制御部30のデータ読み出し部32は、試験構成部23、24により取得された時刻と、データジェネレータ部40、41により取得された時刻とから、試験を実施した場合に最も長い処理時間である試験実施最長時間を算出したのち、Data識別Flag挿入部19、20によりデータが受信されて試験構成部23、24により試験が実施された場合に、試験実施最長時間と試験構成部23、24により算出された時間との差分時間を抽出して、TEST Delay bufferA44、45に送信されたデータを差分時間経過後に読み出し、また、Data識別Flag挿入部19、20によりデータが受信されて、当該データがDelaybufferA25、26に送信された場合に、試験実施最長時間経過後に、Data識別Flag挿入部19、20によりDelaybufferA25、26に送信されたデータを読み出す。
【0093】
上記した例で具体的に説明すると、試験構成部23、24により取得された時刻(TTOD)と、データジェネレータ部40、41により取得された時刻(TOD)とから、試験を実施した場合に最も長い処理時間である試験実施最長時間(TTMAX=TTTD−TOD)を算出する。その後、Data識別Flag挿入部19、20によりデータが受信されて試験構成部23、24により試験が実施された場合に、データ読み出し部32は、試験実施最長時間(TTMAX)と試験構成部23、24により算出された時間(TTTD2)との差分時間(ΔTTCH)を抽出する。そして、データ読み出し部32は、TEST Delay bufferA44、45に送信されたデータを、受信した時刻から差分時間経過後(ΔTTCH)に読み出す。
【0094】
また、Data識別Flag挿入部19、20によりデータが受信されて、当該データがDelaybufferA25、26に送信された場合に、データ読み出し部32は、Data識別Flag挿入部19、20によりDelaybufferA25、26に送信されたデータを、受信した時刻から試験実施最長時間経過後(TTMAX)に読み出す。
【0095】
[実施例2による効果]
このように、実施例2によれば、OLT、ONUまたはONTに対して、特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを送信し、送信された特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを、優先的に送信するので、特定のシーケンスやデータに対する検証を容易に行うことが可能である。
【0096】
例えば、「ITU-T G984」規格に記載された、OAM(Operations Administration and Maintenance)、OMCI(ONU Management Control Interface)などの特定のシーケンスやPLOAM(Physical Layer OAM)の一コードなどの特定のデータなどを送信して、ネットワーク内の事象における試験をすることができる結果、規格(例えば、応答コード列や応答時間など)に違反していないかどうかを試験することが可能である。さらに、これらのデータに対する試験結果を保持することで、特定のシーケンスやデータに対する検証を容易に行うことが可能である。
【0097】
また、実施例2によれば、試験が実施された試験データを一時的に保持し、実施される試験において、最も処理に長い時間がかかる試験項目のコード番号を付加した特定データを送信するとともに、当該特定データを送信した時刻を取得し、特定データを受信した場合に、特定データを試験データとして試験構成部23、24に出力し、生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を取得して当該試験項目を実施して、当該試験が終了した時刻を取得し、試験構成部23、24により取得された時刻と、データジェネレータ部40、41により取得された時刻とから、試験を実施した場合に最も長い処理時間である試験実施最長時間を算出したのち、Data識別Flag挿入部19、20によりデータが受信されて試験構成部23、24により試験が実施された場合に、試験実施最長時間と試験構成部23、24により算出された時刻との差分時間を抽出して、TEST Delay bufferA44、45に送信されたデータを差分時間経過後に読み出し、また、Data識別Flag挿入部19、20によりデータが受信されて、当該データがDelaybufferA25、26に送信された場合に、試験実施最長時間経過後に、Data識別Flag挿入部19、20によりDelaybufferA25、26に送信されたデータを読み出すので、試験による通信遅延を常に統一して調整することができる結果、試験項目に依存することなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することが可能である。
【0098】
例えば、あらかじめ試験実施最長時間(2分)を算出しておき、その後にデータを受信して試験を実施した場合、試験実施最長時間(2分)と試験にかかった時間(1分)との差分時間(1分)を算出して、試験終了後に差分時間経過(1分)すると、データを読み出す。また、データを受信して試験を実施した場合に、試験実施最長時間(2分)と試験にかかった時間(30秒)との差分時間(30秒)を算出して、試験終了後に差分時間経過(30秒)すると、データを読み出す。また、受信したデータが試験を実施しなかった場合、データを受信してから試験実施最長時間(2分)経過後に、データを読み出す。このように、データを受信していずれの試験を実施したとしても、データ受信から試験実施最長時間(2分)経過後に、データを読み出すこととなり、試験による通信遅延を常に統一して調整することができる結果、試験項目に依存することなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することが可能である。
【実施例3】
【0099】
ところで、実施例1と2では、接続されるONU内の通信遅延を考慮せずに、データを送信する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、接続されるONU内の通信遅延を考慮して、データを送信するようにしてもよい。
【0100】
そこで、図7を用い接続されるONU内の通信遅延を考慮して、データを送信する場合について説明する。なお、実施例3では、実施例3に係るG−PONネットワーク試験装置の構成と実施例3による効果について説明する。
【0101】
[G−PONネットワーク試験装置の構成(実施例3)]
図7を用いて、実施例3に係るG−PONネットワーク試験装置の構成を説明する。図7は、実施例3に係るG−PONネットワーク試験装置の構成を示すブロック図である。
【0102】
図7に示すように、このG−PONネットワーク試験装置10は、通信制御I/F部11、12と、外部IOインタフェース13と、記憶部14と、Clock抽出部16と、データ認識部17、18と、Data識別Flag挿入部19、20と、Dis21、22と、試験構成部23、24と、DelaybufferA25、26と、SEL27、28と、制御部30と、データジェネレータ部40、41と、SEL42、43と、TEST Delay bufferA44、45と、ONU固定遅延時間設定データ変換部46とから構成される。
【0103】
このうち、通信制御I/F部11、12と、外部IOインタフェース13と、記憶部14と、Clock抽出部16と、データ認識部17、18と、Data識別Flag挿入部19、20と、Dis21、22と、試験構成部23、24と、DelaybufferA25、26と、SEL27、28と、制御部30と、データジェネレータ部40、41と、SEL42、43と、TEST Delay bufferA44、45とは、実施例1または実施例2で説明した機能を同様の機能を有するので、その詳細な説明は省略する。ここでは、実施例1と2とでは異なる機能を有するONU固定遅延時間設定データ変換部46について説明する。
【0104】
ONU固定遅延時間設定データ変換部46は、制御部30のデータ読み出し部32により読み出されてONUに送信されたデータに対する応答をONUから受信した場合に、当該送信されたデータの時刻と受信した応答の時刻とからONU内での通信遅延時間を測定し、データ読み出し部32により読み出されたデータを、通信遅延時間を調整してONUに送信する。具体的に説明すると、ONU固定遅延時間設定データ変換部46は、制御部30のデータ読み出し部32により読み出されてONUに送信されたデータに対する応答が、毎回、1秒ずつ遅れているなどと検出する。その場合、ONU固定遅延時間設定データ変換部46は、ONUにデータを送信するタイミングを早めたりすることで、接続されるONU内で発生する通信遅延を解消するように調整する。また、通信遅延を調整するタイミングは、応答が遅れていると検出した場合だけでなく、定期的に実施するようにしてもよい。なお、ONU固定遅延時間設定データ変換部46は、特許請求の範囲に記載の「ONU遅延時間調整手段」に対応する。
【0105】
[実施例3による効果]
このように、実施例3によれば、データ読み出し部32により読み出されてONUに送信されたデータに対する応答をONUから受信した場合に、当該送信されたデータの時刻と受信した応答の時刻とからONU内での通信遅延時間を測定し、データ読み出し部32により読み出されたデータを、通信遅延時間を調整してONUに送信するので、接続されるONU内で発生する通信遅延を調整することができる結果、さらに正確に試験することが可能である。
【0106】
例えば、ONUからの応答が毎回、1秒ずつ遅れている場合、そのままONUが応答を送信し続けると、ONUが送信したデータ同士が衝突する恐れがある。そのため、応答が1秒ずつ遅れていると検出すると、ONUにデータを送信するタイミングを早めたりすることで、接続されるONU内で発生する通信遅延を調整することができる結果、さらに正確に試験することが可能である。
【実施例4】
【0107】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)試験結果の検証、(2)試験データの有効利用、(3)ネットワーク構成例、(4)システム構成等、(5)プログラム、にそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0108】
(1)試験結果の検証
例えば、実施例1〜3では、試験結果の検証手法について説明していないが、図6や図7などで示した制御部と、試験構成部と、TEST Delay bufferとを用いて試験結果を検証するようにしてもよい。
【0109】
具体的に、図8を用いて説明すると、データを受信した試験構成部の試験データ比較部は、制御部を介して記憶部などに記憶されたデータ受信前の試験結果などを受信する。そして、試験データ比較部は、試験開始情報をTEST Pattarn挿入部に出力するとともに、Flag情報(コード番号)や比較結果を制御部に送信する。また、試験終了時刻は、時刻情報検出部によって制御部に出力される。
【0110】
そして、試験開始情報を受信したTEST Pattarn挿入部は、TEST Patarn Tableから試験内容を取得して、受信したデータの試験を実施し、その結果をTEST Pattarn挿入部に出力するとともに、当該データをTEST Delay bufferに出力し、また、試験終了時間を時刻情報検出部に出力する。そして、制御部は、TEST Pattarn Tableから試験結果を取得し、また、時刻情報検出部は、試験終了時間を制御部に出力する。
【0111】
そして、TEST Delay bufferは、Write Enable Contorol部から指示された指示内容に応じて、受信したデータを読み出す。このようにして、比較された受信データの情報(例えば、受信データ、試験内容、試験結果、試験時間、比較結果など)は、制御部に送信され、記憶部などに記憶される。そして、このように記憶された受信データの情報を検証処理に役立てることが可能である。
【0112】
(2)試験データの有効利用
また、本番運用時においても、本番データから試験データを生成し、試験が終了すると、試験データを本番データに戻して利用するようにしてもよい。具体的には、バッファから読み出されたデータにコード番号が付加されている場合に、当該データからコード番号を取り除いて、OLT、ONUまたはONTに送信する。このようにするとこで、ネットワークに流れるデータを有効的に利用することが可能である。
【0113】
例えば、本番運用時に試験する場合、G−PONシステムで送信されている本番データからコード番号を付加して試験データを生成し、当該試験データを用いて試験を実施して検証し、試験が終了すると、試験データからコード番号を取り除いて元のデータを生成することができる結果、試験データを別に用意する必要がなく、ネットワークに流れるデータを有効的に利用することが可能である。
【0114】
さらに、ネットワーク、回線、システムの負荷を軽減することが可能である。具体的には、本番運用時に試験データを用意して試験する場合には、ネットワーク上には、本番データと試験データとが流れることとなり、ネットワークや回線の負荷が増大する。また、試験装置は、本番データと試験データとを受信することとなり、システムの負荷が増大する。そこで、上記したようにネットワークに流れるデータを有効的に利用することで、このような負荷を軽減することが可能である。
【0115】
(3)ネットワーク構成例
また、実施例1〜3で説明したG−PONネットワーク試験装置が、OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な形態で接続されていてもよい。例えば、図9に示すように、装置A(OLT/ONT)と、複数の装置B1〜Bn(ONU/ONT)が接続される光スプリッターとの間に接続されていてもよく、また、図10に示すように、光スプリッターと複数の装置B1〜Bn(ONU/ONT)との間に接続されていてもよく、また、図11に示すように、一つの装置A(OLT/ONT)と一つの装置B1(ONU/ONT)との間に接続されていてもよい。なお、図9〜11は、G−PONネットワーク試験装置が接続される形態の例を示す図である。
【0116】
(4)システム構成等
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合(例えば、データ認識部とData識別Flag挿入部とを統合するなど)して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0117】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理(例えば、試験項目に応じた試験処理など)の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理(例えば、試験項目の指示など)の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、図3など)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0118】
(5)プログラム
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータシステムを他の実施例として説明する。
【0119】
図12は、ネットワーク試験プログラムを実行するコンピュータシステムの例を示す図である。図12に示すように、コンピュータシステム100は、RAM101と、HDD102と、ROM103と、CPU104とから構成される。ここで、ROM103には、上記の実施例と同様の機能を発揮するプログラム、つまり、図12に示すように、データ認識プログラム103aと、Data識別Flag挿入プログラム103bと、試験項目指示プログラム103cと、データ読み出しプログラム103dと、データ選択プログラム103eとがあらかじめ記憶されている。
【0120】
そして、CPU104には、これらのプログラム103a〜103eを読み出して実行することで、図12に示すように、データ認識プロセス104aと、Data識別Flag挿入プロセス104bと、試験項目指示プロセス104cと、データ読み出しプロセス104dと、データ選択プロセス104eとなる。なお、データ認識プロセス104aは、図2に示した、データ認識部17、18に対応し、同様に、Data識別Flag挿入プロセス104bは、Data識別Flag挿入部19、20に対応し、試験項目指示プロセス104cは、試験項目指示部31に対応し、データ読み出しプロセス104dは、データ読み出し部32に対応し、データ選択プロセス104eは、データ選択部33に対応する。
【0121】
また、HDD102には、ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて記憶する試験項目テーブル102aが設けられる。なお、試験項目テーブル102aは、図2に示した、試験項目DB15に対応する。
【0122】
ところで、上記したプログラム103a〜103eは、必ずしもROM103に記憶させておく必要はなく、例えば、コンピュータシステム100に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステム100の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」、さらに、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータシステム100に接続される「他のコンピュータシステム」に記憶させておき、コンピュータシステム100がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0123】
(付記1)OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、前記ネットワーク内に発生する事象を試験するネットワーク試験装置であって、
前記ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて記憶する試験項目記憶手段と、
前記OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のデータバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成する試験データ生成手段と、
前記試験データ生成手段により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時刻を取得する試験実施手段と、
前記試験データ生成手段により取得された時刻と、前記試験実施手段により取得された時刻とから前記試験を実施するのに要する試験時間を算出し、前記算出された試験時間経過後に、前記試験データ生成手段により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すデータ読み出し手段と、
を備えたことを特徴とするネットワーク試験装置。
【0124】
(付記2)前記OLT、ONUまたはONTに対して、特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを送信する特定データ送信手段と、
前記特定データ送信手段により送信された特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを、前記試験データ生成手段に優先的に送信する特定データ選択手段とを備えたことを特徴とする付記1に記載のネットワーク試験装置。
【0125】
(付記3)前記試験実施手段により試験が実施された試験データを一時的に保持する試験データ保持手段をさらに備え、
前記特定データ送信手段は、前記試験実施手段により実施される試験において、最も処理に長い時間がかかる試験項目のコード番号を付加した特定データを送信するとともに、当該特定データを送信した時刻を取得し、
前記試験データ生成手段は、前記特定データ送信手段から特定データを受信した場合に、前記特定データを前記試験データとして前記試験実施手段に出力し、
前記試験実施手段は、前記試験データ生成手段により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施して、当該試験項目が終了した時刻を取得し、
前記データ読み出し手段は、前記試験実施手段により取得された時刻と、前記特定データ送信手段により取得された時刻とから、前記試験を実施した場合に最も長い処理時間である試験実施最長時間を算出したのち、前記試験データ生成手段によりデータが受信されて前記試験実施手段により試験が実施された場合に、前記試験実施最長時間と前記試験実施手段により算出された時間との差分時間を抽出して、前記試験データ保持手段に送信されたデータを前記差分時間経過後に読み出し、また、前記試験データ生成手段によりデータが受信されて、当該データが所定のデータバッファに送信された場合に、前記試験実施最長時間経過後に、前記試験データ生成手段により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すことを特徴とする付記2に記載のネットワーク試験装置。
【0126】
(付記4)前記データ読み出し手段により読み出されてONUに送信されたデータに対する応答をONUから受信した場合に、当該送信されたデータの時刻と受信した応答の時刻とからONU内での通信遅延時間を測定し、前記データ読み出し手段により読み出されたデータを、前記通信遅延時間を調整してONUに送信するONU遅延時間調整手段をさらに備えたことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載のネットワーク試験装置。
【0127】
(付記5)前記データ読み出し手段により読み出されたデータに前記コード番号が付加されている場合に、当該データから前記コード番号を取り除いて、前記OLT、ONUまたはONTに送信するコード番号削除手段をさらに備えたことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載のネットワーク試験装置。
【0128】
(付記6)前記試験データ生成手段により送信されるデータおよび試験データを、前記所定のデータバッファまたは前記試験実施手段に分岐する分岐手段をさらに備えたことを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載のネットワーク試験装置。
【0129】
(付記7)OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、前記ネットワーク内に発生する事象を試験することに適したネットワーク試験方法であって、
前記ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて試験項目記憶手段に格納する試験項目記憶工程と、
前記OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のデータバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成する試験データ生成工程と、
前記試験データ生成工程により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時刻を取得する試験実施工程と、
前記試験データ生成工程により取得された時刻と、前記試験実施工程により取得された時刻とから前記試験を実施するのに要する試験時間を算出し、前記算出された試験時間経過後に、前記試験データ生成工程により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すデータ読み出し工程と、
を含んだことを特徴とするネットワーク試験方法。
【0130】
(付記8)OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、前記ネットワーク内に発生する事象を試験することをコンピュータに実行させるネットワーク試験プログラムであって、
前記ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて試験項目記憶手段に格納する試験項目記憶手順と、
前記OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のデータバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成する試験データ生成手順と、
前記試験データ生成手順により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時刻を取得する試験実施手順と、
前記試験データ生成手順により取得された時刻と、前記試験実施手順により取得された時刻とから前記試験を実施するのに要する試験時間を算出し、前記算出された試験時間経過後に、前記試験データ生成手順により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すデータ読み出し手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするネットワーク試験プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0131】
以上のように、本発明に係るネットワーク試験装置、ネットワーク試験方法およびネットワーク試験プログラムは、OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、ネットワーク内に発生する事象を試験することに有用であり、特に、膨大な時間を必要とすることなく、正常な通信においてネットワーク内で発生する事象を試験することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】実施例1に係るG−PONネットワーク試験装置の概要と特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1に係るG−PONネットワーク試験装置の構成を示すブロック図である。
【図3】試験項目DBに記憶される情報の例を示す図である。
【図4】実施例1に係るG−PONネットワーク試験装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ネットワーク内の通信遅延を説明するための図である。
【図6】実施例2に係るG−PONネットワーク試験装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施例3に係るG−PONネットワーク試験装置の構成を示すブロック図である。
【図8】試験結果の検証手法の例を示す図である。
【図9】G−PONネットワーク試験装置が接続される形態の例を示す図である。
【図10】G−PONネットワーク試験装置が接続される形態の例を示す図である。
【図11】G−PONネットワーク試験装置が接続される形態の例を示す図である。
【図12】ネットワーク試験プログラムを実行するコンピュータシステムの例を示す図である。
【図13】従来技術を説明するための図である。
【図14】従来技術を説明するための図である。
【図15】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
【0133】
10 G−PONネットワーク試験装置
11 通信制御I/F部
12 通信制御I/F部
13 外部IOインタフェース
14 記憶部
15 試験項目DB
16 Clock抽出部
17 データ認識部
18 データ認識部
19 Data識別Flag挿入部
20 Data識別Flag挿入部
21 Dis
22 Dis
23 試験構成部
24 試験構成部
25 DelaybufferA
26 DelaybufferA
27 SEL
28 SEL
30 制御部
31 試験項目指示部
32 データ読み出し部
33 データ選択部
40 データジェネレータ部
41 データジェネレータ部
42 SEL
43 SEL
44 TEST Delay bufferA
45 TEST Delay bufferA
46 ONU固定遅延時間設定データ変換部
100 コンピュータシステム
101 RAM
102 HDD
102a 試験項目テーブル
103 ROM
103a データ認識プログラム
103b Data識別Flag挿入プログラム
103c 試験項目指示プログラム
103d データ読み出しプログラム
103e データ選択プログラム
104 CPU
104a データ認識プロセス
104b Data識別Flag挿入プロセス
104c 試験項目指示プロセス
104d データ読み出しプロセス
104e データ選択プロセス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、前記ネットワーク内に発生する事象を試験するネットワーク試験装置であって、
前記ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて記憶する試験項目記憶手段と、
前記OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のデータバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成する試験データ生成手段と、
前記試験データ生成手段により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時刻を取得する試験実施手段と、
前記試験データ生成手段により取得された時刻と、前記試験実施手段により取得された時刻とから前記試験項目を実施するのに要する試験時間を算出し、前記算出された試験時間経過後に、前記試験データ生成手段により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すデータ読み出し手段と、
を備えたことを特徴とするネットワーク試験装置。
【請求項2】
前記OLT、ONUまたはONTに対して、特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを送信する特定データ送信手段と、
前記特定データ送信手段により送信された特定のシーケンスまたは特定のコードを含むデータを、前記試験データ生成手段に優先的に送信する特定データ選択手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク試験装置。
【請求項3】
前記試験実施手段により試験が実施された試験データを一時的に保持する試験データ保持手段をさらに備え、
前記特定データ送信手段は、前記試験実施手段により実施される試験において、最も処理に長い時間がかかる試験項目のコード番号を付加した特定データを送信するとともに、当該特定データを送信した時刻を取得し、
前記試験データ生成手段は、前記特定データ送信手段から特定データを受信した場合に、前記特定データを前記試験データとして前記試験実施手段に出力し、
前記試験実施手段は、前記試験データ生成手段により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施して、当該試験項目が終了した時刻を取得し、
前記データ読み出し手段は、前記試験実施手段により取得された時刻と、前記特定データ送信手段により取得された時刻とから、前記試験項目を実施した場合に最も長い処理時間である試験実施最長時間を算出したのち、前記試験データ生成手段によりデータが受信されて前記試験実施手段により試験が実施された場合に、前記試験実施最長時間と前記試験実施手段により算出された時間との差分時間を抽出して、前記試験データ保持手段に送信されたデータを前記差分時間経過後に読み出し、また、前記試験データ生成手段によりデータが受信されて、当該データが所定のデータバッファに送信された場合に、前記試験実施最長時間経過後に、前記試験データ生成手段により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すことを特徴とする請求項2に記載のネットワーク試験装置。
【請求項4】
前記データ読み出し手段により読み出されてONUに送信されたデータに対する応答をONUから受信した場合に、当該送信されたデータの時刻と受信した応答の時刻とからONU内での通信遅延時間を測定し、前記データ読み出し手段により読み出されたデータを、前記通信遅延時間を調整してONUに送信するONU遅延時間調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のネットワーク試験装置。
【請求項5】
前記データ読み出し手段により読み出されたデータに前記コード番号が付加されている場合に、当該データから前記コード番号を取り除いて、前記OLT、ONUまたはONTに送信するコード番号削除手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のネットワーク試験装置。
【請求項6】
前記試験データ生成手段により送信されるデータおよび試験データを、前記所定のデータバッファまたは前記試験実施手段に分岐する分岐手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のネットワーク試験装置。
【請求項7】
OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、前記ネットワーク内に発生する事象を試験することに適したネットワーク試験方法であって、
前記ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて試験項目記憶手段に格納する試験項目記憶工程と、
前記OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のデータバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成する試験データ生成工程と、
前記試験データ生成工程により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時刻を取得する試験実施工程と、
前記試験データ生成工程により取得された時刻と、前記試験実施工程により取得された時刻とから前記試験項目を実施するのに要する試験時間を算出し、前記算出された試験時間経過後に、前記試験データ生成工程により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すデータ読み出し工程と、
を含んだことを特徴とするネットワーク試験方法。
【請求項8】
OLTまたはONTとONUまたはONTとの間に設置され、前記OLTまたはONTとONUまたはONTと一本の光ファイバで接続されてネットワークを構成し、前記ネットワーク内に発生する事象を試験することをコンピュータに実行させるネットワーク試験プログラムであって、
前記ネットワーク内に発生する事象に関する試験項目と当該試験項目を識別するコード番号とを対応付けて試験項目記憶手段に格納する試験項目記憶手順と、
前記OLT、ONUまたはONTからデータを受信して、当該データを受信した時刻を取得するとともに、試験を実施しない場合に、当該データを所定のデータバッファに送信し、試験を実施する場合に、当該データに試験項目を示すコード番号を付加した試験データを生成する試験データ生成手順と、
前記試験データ生成手順により生成された試験データからコード番号を抽出し、当該コード番号に応じた試験項目を前記試験項目記憶手段から取得して当該試験項目を実施し、当該試験項目が終了した時刻を取得する試験実施手順と、
前記試験データ生成手順により取得された時刻と、前記試験実施手順により取得された時刻とから前記試験項目を実施するのに要する試験時間を算出し、前記算出された試験時間経過後に、前記試験データ生成手順により所定のデータバッファに送信されたデータを読み出すデータ読み出し手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするネットワーク試験プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−193432(P2008−193432A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26105(P2007−26105)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】