説明

ノズル、塗布装置および塗布方法並びにディスプレイ用部材の製造方法

【課題】
複数の塗布液の吐出口を有してストライプ状塗布膜を形成するノズルで、いかなる特性の塗布液や塗布条件であっても、きわめて微細な幅のストライプ状塗布膜を形成できるノズルや塗布装置および塗布方法を実現させるとともに、低コストで高品質のディスプレイ用部材を製造できるディスプレイ用部材の製造方法を提供する
【解決手段】
吐出口から吐出される塗布液を塗布液吐出方向に案内する一対の対向平面を備え、この一対の対向平面はノズル長手方向と略直交する方向に平行となるように形成されているノズル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機ELやカラー液晶ディスプレイ用カラーフィルター等のディスプレイ用部材を製造する分野に主として使用されるものであり、詳しくはガラス基板などの被塗布部材表面にストライプ状に所定幅の塗布膜を多数形成できるノズル、塗布装置および塗布方法並びにディスプレイ用部材の製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られているように、有機EL、カラー液晶ディスプレイ用カラーフィルター、プラズマディスプレイパネルの背面板には、等ピッチに配置されたポリイミドやブラックマトリックス、ガラス等のバンク間に形成される直線状の溝に、塗布液を充填してストライプ状に塗布膜を形成する工程がある。このようなストライプ状の塗布膜をガラス基板等の被塗布部材上に塗布により形成する手段としては、スクリーン印刷やノズル法がよく知られているが、スクリーン等の副資材が不要で、必要な量だけ高価な塗布液を供給して塗布膜を形成できるノズル法の方が、コスト的に優れており、最近特に注目を集めている。
【0003】
ノズル法にも、ストライプの配置ピッチにあわせて設けられた複数の吐出口を有するノズルから、塗布液を間欠的に噴射するインクジェットノズル法や、塗布液を連続して吐出する連続吐出ノズル法がある。インクジェットノズル法は、個々の吐出口での塗布液の吐出を制御できるので、被塗布部材に形成されたいかなるパターン形状にも対応でき、フレキシビリティが高いが、均一性、吐出安定性に課題がある。一方連続吐出ノズル法は、すべての吐出口から同時に塗布液を吐出するので、ストライプ状にしか塗布できないが、逆に均一性、吐出安定性に優れているため、製造工程に広く利用されている。さらにまた連続吐出ノズル法にも、ノズルと被塗布部材間のすきま、すなわちクリアランスを比較的大きくして、ノズルから塗布液をおおよそストライプの幅を有する柱状流(直線棒状)にして吐出し、そのまま被塗布部材に塗布する柱状流法と(例えば特許文献1)、クリアランスを比較的小さくしてノズルの吐出口と被塗布部材間に液溜まりであるビードを形成し、ノズル長手方向のビード幅に相当する幅のストライプ状塗布膜を形成するビード法(例えば特許文献2)がある。ビード法は適用できる塗布液の粘度や塗布膜厚さの範囲が柱状流法よりもはるかに広く、使用しやすいという特長がある。
特許文献2で示されるビード法で使用するノズルは、図5(a)および図6(図5(a)の矢印E方向に見たノズル92の拡大斜視図が示されている)に示すノズル92のように、吐出口95を含む吐出口面94と被塗布部材である基板A間に所望の幅のビードBを容易に形成させるために、吐出口面94が他の部分よりも塗布液吐出方向に突出して、突出部93を形成している。このようなノズル92では図5(a)に示すように、吐出口95から吐出された塗布液は突出部93の吐出口面94のノズル92の長手方向の長さLIまで拡大するので、基板Aに塗布されるストライプ状塗布膜の幅LBは、最小でも長さLIとなる。また吐出口面94と基板A間のすきまであるクリアランスLCが大きくなると、ストライプ状塗布膜の幅LBは吐出口面94のノズル92の長手方向の長さLIよりも拡大することになる。すなわち、ストライプ状塗布膜の幅LBをより小さくしたければ、それに応じて、吐出口面94のノズル92の長手方向の長さLIをより小さくしなければならない。しかしながら、加工上の限界から吐出口面94のノズル92の長手方向の長さLIは100μm以下にするのは困難であるので、特許文献2の手段では、目標とする幅LBが100μm以下の微細なストライプ状塗布膜を形成することは困難である。
また50mPa・s以下の低粘度の塗布液をWet膜厚20μm以下の比較的薄い膜厚、かつ低速度で塗布しようとすると、吐出口95からの塗布液の吐出速度が低くなるので、図5(b)に示すように、吐出された塗布液は、突出部93の吐出口面94を経て、突出部93の傾斜部96の途中まではい上がり、そこから重力で垂れ下がって基板Aに塗布される。その結果、基板Aに塗布されたストライプ状塗布膜の幅LBは、吐出口面94のノズル長手方向長さLIよりも相当大きくなり、幅LBが100μm以下の微細なストライプ状塗布膜を形成することは全く望めない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−10755号公報
【特許文献2】特開2007−187948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたもので、複数の塗布液の吐出口を有してストライプ状塗布膜を形成するノズルにおいて、塗布液の特性や塗布条件に関わらず、きわめて微細な幅のストライプ状塗布膜を形成することができるノズル、塗布装置および塗布方法を実現させるとともに、低コストで高品質のディスプレイ用部材を製造できるディスプレイ用部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下に述べる手段によって達成される。
(1)本発明になるノズルは、塗布液が供給される塗布液供給口と、塗布液供給口から供給された塗布液をノズル長手方向に拡幅するマニホールドと、マニホールドに連通し塗布液が分配される複数の分岐部と、該分岐部が開口した一端にあって塗布液が外部に吐出される複数の吐出口と、を有するノズルであって、さらに吐出口から吐出される塗布液を塗布液吐出方向に案内する一対の対向平面を備え、該一対の対向平面はノズル長手方向と略直交する方向に平行となるように形成されることを特徴とする。ここで、吐出口から吐出される塗布液を塗布液吐出方向に案内し、前記一対の対向平面のそれぞれと交わる第3の平面を備えることが好ましい。
(2)本発明になる塗布装置は、(1)に記載のノズルと、該ノズルに定量の塗布液を供給する手段を含む塗布液供給手段と、被塗布部材を保持する載置台と、前記ノズルおよび載置台のうちの少なくとも一方を相対的に移動させる移動手段と、前記ノズルを被塗布部材に近接させる近接手段と、前記ノズルの吐出口を被塗布部材上の任意の場所に位置合わせをする位置合わせ手段と、を備えてストライプ状塗布膜を形成することを特徴とする。
(3)本発明になる塗布方法は、(1)に記載のノズルを被塗布部材に近接させ、塗布液供給装置から前記ノズルに塗布液を供給して前記ノズルの複数の吐出口から塗布液を吐出して、被塗布部材の前記ノズルに対する相対移動を行って、被塗布部材上にストライプ状塗布膜を形成することを特徴とする。
(4)本発明になるディスプレイ用部材の製造方法は、(3)に記載の塗布方法を用いて、ディスプレイ用部材を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明になるノズル、塗布装置および塗布方法を用いれば、ノズルの吐出口から吐出される塗布液を塗布液吐出方向に案内する一対の対向平面がノズル長手方向と略直交する方向に平行となるように形成されているので、塗布液はこの一対の対向平面で形成される空間から塗布液吐出方向と塗布方向に流れ出て被塗布部材にストライプ状に塗布される。この作用によって、塗布液の特性や塗布条件に関わらず、吐出口のノズル長手方向の長さにほぼ等しい一対の対向平面の対向間隔の幅にて、ストライプ状の塗布膜を形成することができる。その結果、幅が100μm以下のきわめて微細なストライプ状の塗布膜を、塗布液の特性や塗布条件に関わらず容易に形成することが可能となる。
【0008】
本発明になるディスプレイ用部材の製造方法によれば、上記の優れた塗布方法を用いてディスプレイ用部材を製造するのであるから、高精細かつ高品質のディスプレイ用部材を、低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明にかかるストライプ塗布装置の一実施態様を示す斜視図である。
【図2】図1のノズル30の拡大正面断面図である。
【図3】図2の矢印E方向から見たノズル30の拡大斜視図である。
【図4】本発明の別の実施態様例であるノズル100の拡大斜視図である。
【図5】従来のノズルの一例を示す拡大正面断面図である。
【図6】図5の矢印E方向から見たノズル92の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明にかかるノズル、塗布装置および塗布方法を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明にかかるストライプ塗布装置の一実施態様を示す斜視図、図2は、図1のノズル30の拡大正面断面図、図3は、図2の矢印E方向から見たノズル30の拡大斜視図、図4は、本発明の別の実施態様例であるノズル100の拡大斜視図である。
【0011】
図1を参照すると、塗布液をストライプ状に塗布可能なストライプ塗布装置1が示されている。
【0012】
このストライプ塗布装置1は、被塗布部材である基板Aに塗布液を塗布するノズル30と、ノズル30と基板Aが取り付けられて、これらを自在に移動させるXYZステージ10と、ノズル30に塗布液を供給する塗布液供給手段である塗布液供給装置50と、XYZステージ10と塗布液供給装置50の動作を統括的に制御する制御装置80と、より構成されている。
【0013】
XYZステージ10の吸着盤14には基板Aが載置され、Z軸リニア駆動装置12にはノズル30が固定保持されている。吸着盤14の上面には図示されていない吸着孔が多数配置されており、図示されていない真空源からの真空圧によって基板Aを吸着保持することができる。この吸着盤14はその中央部で図示しない回転軸を介してX−θ駆動装置16に取り付けられている。X−θ駆動装置16は、ベース26上に固定されており、吸着盤14のX−Y平面内での回転とX方向(基板A長手方向)の往復動を自在に行なうことができる。なおX、Y、Zの方向については、図1に示される通りで、XYZステージ10の左下隅にX、Y、Z各軸の原点Oが設けられているとともに、原点Oでの矢印の方向が正方向である。またX−Y平面内での回転方向がθ方向となっている。
ノズル30を保持するZ軸リニア駆動装置12は、ノズル30をZ方向すなわち上下方向に自在に昇降することができるもので、ブラケット18に固定されている。ブラケット18はさらにY軸リニア駆動装置20に保持されている。Y軸リニア駆動装置20は、ベース26上の一端に配置されている門型ベース28上に固定されており、ブラケット18をY方向に自在に往復動することができる。その結果ブラケット18に固定されているノズル30をY方向にも自在に往復動させることができる。さらに吸着盤14の上方のブラケット18に対応する位置には、CCDカメラ22と高さセンサー24も装着されている。CCDカメラ22は制御装置80に電気的に連結されており、基板Aのアライメントマークの位置を検知して、それを制御装置80に伝え、制御装置80がX−θ駆動装置16やY軸リニア駆動装置20を駆動することによって、ノズル30に対する基板Aの位置合わせやθ方向の相対回転角度設定を行うことができる。一方高さセンサー24は、基板Aの上面の位置を検知、すなわち基板Aの厚さを検知し、それを電気的に接続されている制御装置80に伝える。その信号に基づいて制御装置80がZ軸リニア駆動装置12等を駆動することによって、ノズル30の最下面と基板A上面とのすきま、すなわちクリアランスを所定値に設定することができる。
【0014】
再びノズル30を見ると、塗布液供給装置50に連なる供給ホース68とノズル30が常時接続されており、これによりノズル30へは塗布液供給装置50から塗布液を供給することができる。ノズル30へ供給された塗布液は、ノズル30の内部通路を経て基板Aに向かってノズル30より吐出される。
【0015】
なお、塗布液供給装置50は、供給ホース68の上流側に、フィルター56、供給バルブ52、シリンジポンプ60、吸引バルブ54、吸引ホース70、タンク72を備えている。タンク72には塗布液74が蓄えられており、圧空源76に連結されて任意の大きさの背圧を塗布液74に付加することができる。タンク72内の塗布液74は、吸引ホース70を通じてシリンジポンプ60に供給される。シリンジポンプ60では、シリンジ62、ピストン64が本体66に取り付けられている。ここでピストン64は図示しない駆動源によって上下方向に自在に往復動できる。シリンジポンプ60は、一定の内径を有するシリンジ62内に塗布液74を充填し、それをピストン64により押し出して、ノズル30に一定容量の塗布液を供給できる定容量間欠供給型のポンプである。シリンジ62内に塗布液74を充填するときは、吸引バルブ54を開、供給バルブ52を閉として、ピストン64を下方に移動させる。またシリンジ62内に充填された塗布液をノズル30に向かって供給するときは、吸引バルブ54を閉、供給バルブ52を開とし、ピストン64を上方に移動させることで、ピストン64でシリンジ62内部の塗布液74を押し上げ排出する。
【0016】
上記のように、制御信号にて動作するX−θ駆動装置16、Y軸リニア駆動装置20、Z軸リニア駆動装置12、塗布液供給装置50、等はすべて制御装置80に電気的に接続されている。そして、制御装置80に組み込まれた自動運転プログラムにしたがって制御指令信号が各機器に送信されて、あらかじめ定められた動作を行う。なお条件変更時は操作盤82に適宜変更パラメータを入力すれば、それが制御装置80に伝達されて、運転動作の変更が実現できる。特に塗布液供給装置50の中では、シリンジポンプ60、供給バルブ52、吸引バルブ54が電気的に接続されており、制御装置80にその電気的信号を取り込んだり、制御装置80からの指令により、塗布液74をノズル30に供給したりする等の任意の動作をさせることができる。制御装置80を用いれば、ストライプ塗布装置1の動作を自在に制御できるので、与えられた塗布条件下での塗布を自在に行うことができる。
【0017】
次に、ストライプ塗布装置1を構成する一要素であるノズル30については、図2、図3を用いて詳細に説明する。
【0018】
図2(a)は、図1にあるノズル30をY方向、すなわち基板Aの短辺方向ならびにノズル30の長手方向(X方向)に直交する方向、に見た中央部の断面を拡大して示しており、図2(b)は、斜線で示す塗布液74をノズル30でクリアランスLCだけ離れた基板Aにストライプ状に塗布している状況を示している。また、図3は、図2の矢印E方向から見てノズル30の吐出口42近傍を拡大して立体的に示している。ノズル30は、図2(a)で紙面に垂直な方向、すなわち図1のY方向に移動し、これが塗布方向となる。そしてノズル30を構成する本体32の中央部に、ノズル30の長手方向に伸びるマニホールド34が形成されている。このマニホールド34の中央部上方には、塗布液供給口36が設けられている。塗布液供給口36は、図1の供給ホース68と接続している。この塗布液供給口36を介して、塗布液供給装置50から塗布液74をマニホールド34に供給することができ、塗布液74をマニホールド34内に充満させることができる。マニホールド34の下方の下板部38には、複数の分岐部40が流路としてマニホールド34と連通して形成されている。この分岐部40のマニホールド34とは逆側の一端が吐出口面45でノズル30の外部に開口して吐出口42を形成する。したがって吐出口42は、塗布液供給装置50と流体的に連通しているので、塗布液供給装置50から塗布液74が供給されれば、吐出口42から塗布液74は図2(a)の下向き方向(Z方向)に吐出される。この方向が塗布液吐出方向となる。
【0019】
さらに、吐出口42の両隣に連なって一対の対向平面44A、Bが、塗布液吐出方向に外面46から長さLAだけ伸びて形成されている。この一対の対向平面44A、Bは、ノズル30の長手方向(X方向)と直交する方向、すなわちY方向に略平行となっており、ギャップLSの間隔だけ離れて空間Sを形成している。一対の対向平面44A、Bのノズル長手方向側には、それぞれ最下端面49A、B、傾斜部47A、B、外面46が連なって形成されている。また一対の対向平面44A、Bと最下端面49A、Bをそれぞれ接続する稜線部分が最下端部48A、Bとなっている。最下端面49A、Bは、吐出口42を含む吐出口面45と略平行に構成されている。一対の対向平面44A、Bは、吐出口42から吐出される塗布液74を一旦は塗布液吐出方向に案内し、塗布液74が空間Sを満たすと、塗布液吐出方向に加えて、Y方向である塗布方向にも塗布液を流し出すという機能を備えている。吐出口42はノズル30の長手方向にピッチLRで複数個設けられているので、一対の対向平面44A、Bやそれに連なる最下端部48A、B、最下端面49A、B、傾斜部47A、Bも同じくノズル30の長手方向にピッチLRで複数組設けられることになる。
【0020】
以上の構成から、吐出口42から吐出された塗布液74は、一対の対向平面44A、Bに案内された後に、一対の対向平面44A、B間に形成される空間Sから塗布液吐出方向と塗布方向上流側および下流側の合計3方向に流れていくことができる。一対の対向平面44A、B間に形成される空間Sから流れ出てくる塗布液74が、ノズル30に対して相対移動する基板A上に塗布されると、基板A上にストライプ状塗布膜の形成が行われる。
【0021】
次に図2(b)を用いて、ノズル30でストライプ状の塗布膜が形成される状況をさらに詳しく説明する。まず静止している基板Aの上方に、最下端面49A、BがクリアランスLCだけ離れて位置するようにノズル30が近接して静置される。続いて吐出口42から塗布液74が吐出され、吐出された塗布液74は一対の対向平面44A、Bで塗布液吐出方向に案内される。案内された塗布液74が一対の対向平面44A、B間に形成される空間Sに充満すると、この空間Sから塗布液74が塗布液吐出方向と塗布方向上流側および下流側の合計3方向に流れ出た後、基板Aに向かってビードBを形成する。この時形成されるビードBはノズル30と基板Aが静止しているために、ノズル長手方向(X方向)には最下端面49A、B全面まで拡がり、ノズル30側では長さLE(最下端面49A、Bが占める領域のノズル30の長手方向の長さ)、基板A上では長さLEよりも少し大きな幅LBとなる。このようにビードBを形成した状態で、吐出口42から塗布液74を吐出し続け、さらにノズル30か基板Aのいずれか一方または両方を塗布方向に相対移動させる、たとえば図2(b)の基板Aを紙面に垂直方向で手前側に移動させると、基板A上に最初のほんのわずかだけ幅が長さLEよりも少し大きな幅LBのストライプ状の塗布膜が形成される。さらに塗布を続けると、一対の対向平面44A、B間に形成される空間Sに満たされている塗布液74は、基板Aがノズル30に対して相対的に移動しているため、塗布液吐出方向である下側よりも塗布方向下流側、すなわち基板Aの移動方向側(紙面に垂直方向で手前側)に多く空間Sから流れ出ていき、結果として塗布厚さに相当する量の塗布液74が基板A上に塗布される。この時、基板Aの移動方向から、塗布方向上流側(紙面に垂直方向で奥側)には空間Sからは塗布液は流れ出ていかない。
【0022】
さて、一対の対向平面44A、B間に形成される空間Sの塗布方向下流側から主に流れ出る塗布液74によって、ビードBは引っ張られる形になるためにビードB内部には負圧が発生し、そのためにビードBはノズル30の長手方向には、最下端面49A、Bと傾斜部47A、Bが交わる稜線のある両端の位置から最下端部48A、Bの位置まで縮小して、図2(b)に示すようにノズル30側では一対の対向平面44A、B間のギャップLSの幅となる。この時基板A上には、幅が一対の対向平面44A、B間のギャップLSよりも少し大きな幅LBのストライプ状の塗布膜が形成され、この状態が塗布終了まで続く。すなわち塗布開始直後の1mm以下のほんのわずかの区間だけ長さLEよりも少し大きな幅LBで、それ以降の塗布終了部までの区間では対向平面44A、B間のギャップLSよりも少し大きな幅LBで、ストライプ状の塗布膜が形成されることになる。この場合、クリアランスLCを小さくしていくと、ストライプ状塗布膜の幅LBはさらに一対の対向平面44A、B間のギャップLSに近づく。
【0023】
すなわち、図5、図6に示すような吐出口95からそのまま塗布液が吐出されて基板Aに塗布される従来型のノズル92では、吐出口95のノズル92の長手方向の長さLJよりも大きな吐出口面94のノズル92の長手方向の長さLI(図2、図3のノズル30では最下端面49A、Bのノズル30の長手方向(X方向)の長さLEに相当)が最小の塗布できるストライプ幅であったものが、本発明のノズル30では吐出口42から塗布液74を案内し、合計3方向に塗布液が流れ出る一対の対向平面44A、Bを設けているために、吐出口42のノズル30の長手方向の長さLDに等しい一対の対向平面44A、B間のギャップLSを塗布可能な最小のストライプ幅にすることができる。
【0024】
この作用は塗布速度が高くても小さくても、また塗布液の特性に関係なく働く。例えば、50mPa・s以下の低粘度の塗布液をWet膜厚20μm以下の比較的薄い膜厚、かつ低速度で塗布しようとすると、従来ノズル92では、吐出口95からの塗布液の吐出速度が低くなるので、図5(b)に示すように、吐出された塗布液は、突出部93の吐出口面94を経て、突出部93の傾斜部96の途中まではい上がり、その結果、ストライプ状塗布膜の幅LBは、吐出口面94のノズル92の長手方向長さLIよりも相当大きくなっていた。それに対し本発明のノズル30では、吐出口42からの塗布液74の吐出速度に関係なく、空間Sより塗布方向下流側にそのまま塗布液が流れ出て基板Aの方に向かうのであるから、吐出口42のノズル30の長手方向の長さLDに等しい一対の対向平面44A、B間のギャップLSの幅のストライプ状塗布膜を形成できる。
【0025】
従来ノズル92の吐出口面94のノズル92の長手方向の長さLIや本発明の最下端面49A、Bのノズル30の長手方向の長さLEは、吐出口面94や最下端面49A、Bを形成する部分の剛性を確保するために、吐出口のノズル長手方向長さよりも少なくとも20μm以上大きくする必要がある。したがって、本発明のノズル30は従来のノズルよりも少なくとも20μm以上小さな微細なストライプ幅の塗布膜を形成することができるといえる。
次に図4を見ると、本発明になるノズルの別の実施態様例であるノズル100が、吐出口42近傍を拡大して立体的に示されている。ノズル100は、一対の対向平面44A、Bのそれぞれと交わる第3の平面41を備えている他は、ノズル30と全く同じである。第3の平面41は吐出口42の直下になく、吐出口42よりも塗布方向(Y方向)上流側の吐出口面45上に連なってあることが好ましい。このような構成であれば、吐出口42から吐出された塗布液74が一対の対向平面44A、B間に形成される空間Sから、確実に塗布方向(Y方向)の下流側に流れ出て、塗布方向の上流側には絶対に流れ出ないので、より安定したビードBの縮小が行われる。その結果一対の対向平面44A、B間のギャップLSを最小とする微細な幅のストライプ状の塗布膜を、基板A上に容易にしかも安定して形成することができる。
【0026】
なおノズル30の吐出口42の形状については、塗布液74の吐出方向(図2の矢印E方向)から見て、円形、矩形、長穴形状等いかなるものであっても良い。吐出口42のノズル30のノズル長手方向(X方向)の長さLDと、一対の対向平面44A、B間のギャップLSは略同一であることが好ましいが、ギャップLSの方を大きくしても良い。また、ノズル30の最下端面49A、Bのノズル30の長手方向(X方向)の長さLEは、上記したように一対の対向平面44A、B間のギャップLSより20〜100μm長いことが好ましい。これによって一対の対向平面44A、Bの平行度を維持する剛性を得ることができる。吐出口42を含む吐出口面45からノズル30の最下端面49A、Bまでの長さLaは、10〜100μmであることが好ましい。この範囲未満であると上記したようなビードB内部に負圧を発生させてビードBを縮小させるのに必要な空間Sを充分に形成することができず、この範囲を越えると一対の対向平面44A、Bの平行度を維持する剛性を確保できない。長さLaが10〜100μmであるなら、吐出口面45と外面46は同一平面上に含まれていてもよいし、そうでなくてもよい。傾斜部47A、Bの塗布液74の吐出方向(Z方向)に対する角度φ1は、いかなる角度であってもよいが、好ましくは−10〜90度、より好ましくは0〜45度にする。角度φ1=90度は、換言するとノズル30の最下端面49A、Bが、下板部38の外面46と同一平面であることを表す。
【0027】
吐出口面45の塗布方向(Y方向)長さLHは、吐出口42の塗布方向(Y方向)長さLFより50〜500μm長いことが好ましい。この範囲未満であると吐出口面45を形成する加工難易度が高くなり、この範囲を越えるとビードBの容量が大きくなって内部に発生する負圧の大きさはほとんど向上しないので、ビードBの縮小効果が限定される。またノズル30の最下端面49A、Bの塗布方向(Y方向)長さLGは、吐出口面45の塗布方向(Y方向)長さLH以下であることが好ましい。この関係によって、吐出口面45の塗布方向(Y方向)両隣に連なる傾斜部43は塗布液吐出方向に対する角度φ2を有することになる。角度φ2は、0〜80度が好ましい。
【0028】
一対の対向平面44A、Bの長さLAは、好ましくは0〜2000μm、より好ましくは20〜500μmである。ここでLA=0とは、ノズル30の最下端面49A、Bと下板部38の外面46が同一平面内に存在することを表す。長さLAが上記の範囲であると、塗布開始直後からストライプ状塗布膜の形成が可能となるが、2000μmより大きいと、ノズル30の形状加工難度が増大する。最下端面49A、Bのノズル30の長手方向(X方向)の長さLEは好ましくは30〜300μm、より好ましくは40〜200μm、塗布方向(Y方向)の長さLGは好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜200μmである。また吐出口面45の塗布方向(Y方向)長さLHは好ましくは60〜700μm、より好ましくは70〜600μmである。吐出口42のノズル30の長手方向(X方向)の長さLDと塗布方向(Y方向)長さLFは好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。この範囲内であると、分岐部40から吐出口42間を塗布液74が通過する際に異物等による詰まり故障を回避しやすく、また塗布液74を安定して吐出させるための適度な流速を得ることが可能となる。一対の対向平面44A、B間のギャップLSは好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。
【0029】
次に、ストライプ塗布装置1を用いた塗布液74の被塗布部材である基板Aへのストライプ塗布方法について、図1を用いて説明する。まず準備作業として、図1のタンク72からノズル30まで塗布液74はすでに充満されており、タンク72以降のノズル30までの残留空気を排出する作業も既に終了している。この時の塗布液供給装置50の状態は、シリンジ62に塗布液74が充填、吸引バルブ54は閉、供給バルブ52は開、そしてピストン64は最下端の位置にあり、いつでも塗布液74をノズル30に供給できるようになっている。また吸着盤14、ノズル30もそれぞれ初期位置で待機している。すなわち吸着盤14はX方向には原点位置、X−Y平面内の回転方向(θ方向)には吸着盤14の長手側端部がX方向と平行になるように配置されている。ノズル30はY方向には原点位置、Z方向には最も高い位置に配置されている。
【0030】
続いてストライプ塗布装置1の動作開始信号が操作盤82から制御装置80に伝えられると、吸着盤14の表面に図示しないリフトピンが上昇し、図示しない移載装置から被塗布部材である基板Aがリフトピン上部に載置される。そしてリフトピンを下降させて基板Aを吸着盤14上に載置し、同時に吸着保持する。次いで高さセンサー24によって基板Aの高さを検知するとともに、CCDカメラ22で2ヶ所設けられているアライメントマークを検知して、アライメントマークで定められた塗布方向とY方向が一致するようにX−θ駆動装置16を駆動して吸着盤14をθ方向に回転させる。次いで予め定めた基板Aの塗布開始位置直上にノズル30の吐出口42が位置するように、X−θ駆動装置16を駆動して吸着盤14をX方向に移動させるとともに、Y軸リニア装置20を駆動してノズル30をY方向に移動させる。ノズル30が基板A上の塗布開始位置直上に来たら停止させるとともに、測定した基板Aの高さに応じて基板Aとノズル30の最下端面49A、Bとの間のすきまが所定のクリアランスLCの値になるように、Z軸リニア駆動装置12を駆動してノズル30をZ方向に下降停止させる。基板Aとノズル30の間のすきまがクリアランスLCで静止している状態で、塗布液供給装置50のシリンジポンプ60を駆動してピストン64を上側に所定速度で上昇させて、塗布液74をノズル30に供給する。供給された塗布液74がノズル30の吐出口42から吐出され、ノズル30の最下端面49A、Bと基板Aとの間にビードBが形成されたら、Y軸リニア駆動装置20を駆動して一定速度でノズル30をY方向に移動開始し、塗布液74の基板Aへの塗布を始めて、ストライプ状塗布膜を形成する。基板Aの塗布終了位置がノズル30の吐出口42の位置に来たら、シリンジポンプ60のピストン64を停止させて塗布液74の供給を停止し、続いてZ軸リニア駆動装置12を駆動して、ノズル30を上昇させる。これによってノズル30と基板Aとの間に形成されたビードBが断ち切られ、ストライプ状の塗布が終了する。塗布終了後もY軸リニア駆動装置20は動き続け、終点位置に来たらノズル30は一旦停止し、今度は初期位置に向かって逆方向にY軸リニア駆動装置20を駆動してノズル30を移動させる。続いてX−θ駆動装置16を駆動して吸着盤14をX方向に移動させるとともに、Y軸リニア装置20を駆動してノズル30をY方向に移動させ、基板Aの次の塗布開始位置上にノズル30の吐出口42が来るようにする。これらの動作と並行して、供給バルブ52を閉、吸引バルブ54は開としてから、ピストン64を一定速度で下降させ、タンク72の塗布液74をシリンジ62に充填する。充填完了後、ピストン64を停止させ、吸引バルブ54を閉、供給バルブ52を開として、ノズル30が基板Aの塗布開始位置上に来るのを待ち、同じ動作を繰り返して次のストライプ状の塗布膜を形成する。
【0031】
なお塗布終了後にノズル30が初期位置に戻り、基板Aでの予定の塗布が完了している場合は、基板Aの吸着を解除し、リフトピンを上昇させて基板Aを持ち上げる。この時図示されない移載装置によって基板Aの下面が保持され、次の工程に基板Aを搬送する。これと並行して、供給バルブ52を閉、吸引バルブ54は開としてから、ピストン64を一定速度で下降させ、タンク72の塗布液74をシリンジ62に充填する。充填完了後、ピストン64を停止させ、吸引バルブ54を閉、供給バルブ52を開として、次の基板Aが来るのを待ち、同じ動作を繰り返す。なおシリンジポンプ60への塗布液74の充填については、随時行えばよく、1〜N(整数)回の塗布ごとに行ってもよいし、1〜N枚の基板への塗布が完了した時点で行ってもよい。
また上記の塗布方法では、基板Aは隔壁等のパターンが形成されていない基板Aでの実施態様例を示したが、基板Aがストライプ状に複数の隔壁が形成されたパターン基板であってもよい。
【0032】
なお、本発明はいかなる塗布液にも適用できるが、粘度が0.5〜100mPa・sの塗布液にその有効性が如実に現れるので、それに適用することがより好ましい。さらに塗布条件としては、塗布速度は1mm/s〜500mm/s、より好ましくは10mm/s〜350mm/sである。クリアランスLCは好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜150μmである。塗布厚さも特に限定されないが、より薄い方がその効力を一層発揮するので、Wet厚さで好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。
【0033】
また上記実施態様例では間欠型の定容量ポンプとしてシリンジポンプ60を使用したが、定容量の塗布液の供給が行われるのならこれに限定されることはなく、ベロフラム型ポンプ(商品名CTポンプ)、ダイヤフラムポンプ、チュービングポンプ、ギアポンプ等が好適に用いられる。
【0034】
なおストライプ塗布装置1については、構成を変えて、ノズル30を固定、基板AをY方向に移動させてストライプ状に塗布できるようにしてもよい。
【実施例】
【0035】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
370×470mmで厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板に、厚さ2μmで幅が30μm、基板短辺方向の長さ350mmのポリイミド膜がバンクとして基板長辺方向にピッチ100μmで4609本配置されている有機ELのパターン基板を用意した。なおポリイミド膜は基板中央にあり、基板短辺方向の両側10mm、基板長手方向の両側5mmがストライプ状のポリイミド膜のない非製品領域であった。さらに隔壁としてのポリイミド膜の間にはITO透明電極が陽極としてガラス基板上に0.1μm、その上に正孔注入輸送層が0.2μm形成されていた。正孔注入輸送層はポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸が混合されたものを主成分とするものであった。
【0036】
次に隔壁間の正孔注入輸送層の上にR、G、Bの発光材をストライプ状に塗布すべく、RGB発光材を準備した。RGB発光材はいずれもポリフェニレンビニレン系高分子であり、R発光材は固形分濃度1%で粘度が2mPa・s、G発光材は固形分濃度0.5%で粘度が1.5mPa・s、B発光材は固形分濃度1%で粘度が1mPa・sであった。図1に示すストライプ塗布装置1でストライプ状の塗布を行うべく、専用のノズル30を準備した。
【0037】
このノズル30には、ノズル30の長手方向の長さLD=60μmで、塗布方向長さLF=80μmの矩形状の吐出口42が、ピッチLR=300μmで512個配置されていた。さらにノズル30の最下端面49A、Bのノズル30の長手方向長さLE=100μm、塗布方向長さLG=180μm、吐出口面45の塗布方向長さLH=380μm、一対の対向平面44A、Bの長さLA=300μm、吐出口面45から最下端面49A、Bまでの長さLa=100μm、φ1=20度、φ2=45度であった。なお、一対の対向平面44A、B間のギャップLSは、吐出口42のノズル30の長手方向の長さLDと同じ60μmであった。このノズル30をストライプ塗布装置1に取り付け、上記のR発光材をタンク72からノズル30まで充填した。上記のポリイミドのストライプ膜が形成された基板を吸着盤14に吸着後、基板上のアライメントマークをCCDカメラ22で検知して、ノズル30を基板の塗布開始位置の直上に配置した。
【0038】
なお塗布開始位置は、X方向には、原点に一番近い基板のバンク間の溝が、ノズル30の一番原点に近い吐出口と一致する位置、Y方向には原点に一番近い基板端部から5mmの位置であった。また吐出口42が直線状に連なる方向と、ポリイミド膜がストライプとなって伸びる方向が直交するように基板AのX−Y平面内の回転角度をX−θ駆動装置16により調整をした。高さセンサー24で測定した基板Aの高さに基づいて、最下端面49A、Bと基板Aとの間のすきまであるクリアランスLC=30μmとなるように、Z軸リニア駆動装置12を駆動してノズル30を下降させた。
【0039】
続いてシリンジポンプ60のピストン64を、供給速度0.95μl/sとなるように一定速度で上昇させてノズル30よりR発光材の吐出を開始し、この吐出開始より0.2秒後にY軸リニア駆動装置20を駆動開始して、ノズル30をY方向に66mm/sで移動開始した。そして基板短辺方向の塗布開始位置から360mmの位置でシリンジポンプ60のピストン64を停止させるとともに、塗布開始位置から365mmの位置でZ軸リニア駆動装置12を駆動して、ノズル30を上昇させた。これらの動作によって基板A端部から5mmの塗布開始位置から70μm幅でWet厚さ0.4μmの360mm長のストライプ状塗布膜が512本形成され、ポリイミド膜のバンク間にすべてR発光材が充填され、バンク上に乗り上げる物や、充填されていない部分もなかった。
【0040】
なお塗布方向にはバンクの前後に5mmずつ、バンクパターンのない基板上にも幅が65μmのストライプ状の塗布膜が形成された。次にノズル30の塗布開始位置を負のX方向に153.6mmだけ移動させて、同様の塗布を行い、さらにノズル30の塗布開始位置を正のX方向に153.6mmだけ移動させて同様の塗布を繰り返し、合計1536本のストライプ状塗布膜を形成し、予定していたポリイミド膜のバンク間にR発光材を全て充填した。R発光材の塗布が完了した基板を取り出し、ホットプレートで120℃、10分の乾燥を行った。
【0041】
引き続いてG発光材、B発光材についても同様のストライプ塗布を行った。G発光材についてはR発光材のすぐ隣のバンク間に塗布できるように位置決めをし、シリンジポンプ60のストライプ塗布時の吐出速度が1.9μl/sである他は、すべてR発光材と同じ条件にて塗布と乾燥を行った。B発光材については、R発光材とG発光材の間のバンク間に塗布できるように位置決めをし、R発光材とすべて同じ条件に塗布と乾燥を行った。以上の塗布と乾燥を行った結果、R、G、B発光材ともに、基板端部から5mmの塗布開始位置から、4nm厚さ、70μm幅で360mm長のストライプ状塗布膜が、それぞれ1536本形成され、すべてのポリイミド膜のバンク間がR、G、B発光材が規則正しく充填された。なお、厚さむらは、R、G、B発光材ともに、塗布開始部および終了部から5mm除外した製品領域で、±5%以下で、非常に良好であった。
【0042】
そして最後に塗布したRGB発光材と隔壁の上を覆うように陰電極を蒸着して有機EL素子を作成した。この有機EL素子をさらに後工程で所定の処理をして表示装置に形成したところ、RGBの色が基板全面にわたって均一で、品質的に申し分ないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、有機EL、カラーフィルター、プラズマディスプレイ等の基板上に面にストライプ状の塗布膜を形成する各種ディスプレイ用部材の製造に利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ストライプ塗布装置
10 XYZステージ
12 Z軸リニア駆動装置
14 吸着盤
16 X−θ駆動装置
18 ブラケット
20 Y軸リニア駆動装置
22 CCDカメラ
24 高さセンサー
26 ベース
28 門型ベース
30 ノズル
32 本体
34 マニホールド
36 塗布液供給口
38 下板部
40 分岐部
41 第3の平面
42 吐出口
43 傾斜部
44A、B 一対の対向平面
45 吐出口面
46 外面
47A、B 傾斜部
48A、B 最下端部
49A、B 最下端面
50 塗布液供給装置
52 供給バルブ
54 吸引バルブ
56 フィルター
60 シリンジポンプ
62 シリンジ
64 ピストン
66 本体
68 供給ホース
70 吸引ホース
72 タンク
74 塗布液
76 圧空源
80 制御装置
82 操作盤
92 ノズル
93 突出部
94 吐出口面
95 吐出口
96 傾斜部
100 ノズル
A 基板
B ビード
LA 一対の対向平面44A、Bの長さ
La 吐出口面45から最下端面49までの長さ
LB ストライプ状塗布膜の幅
LC クリアランス
LD 吐出口42のノズル30の長手方向(X方向)の長さ
LE 最下端面49A、Bのノズル30の長手方向(X方向)の長さ
LF 吐出口42の塗布方向(Y方向)長さ
LG 最下端面49A、Bの塗布方向(Y方向)長さ
LH 吐出口面45の塗布方向(Y方向)長さ
LI 吐出口面94のノズル92の長手方向の長さ
LJ 吐出口95のノズル92の長手方向の長さ
LR ピッチ
LS 一対の対向平面44A、B間のギャップ
S 一対の対向平面44A、B間に形成される空間
θ X−Y平面内の回転方向
φ1 傾斜部47A、Bの塗布液吐出方向に対する角度
φ2 傾斜部43の塗布液吐出方向に対する角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液が供給される塗布液供給口と、塗布液供給口から供給された塗布液をノズル長手方向に拡幅するマニホールドと、マニホールドに連通し塗布液が分配される複数の分岐部と、該分岐部が開口した一端にあって塗布液が外部に吐出される複数の吐出口と、を有するノズルであって、さらに吐出口から吐出される塗布液を塗布液吐出方向に案内する一対の対向平面を備え、該一対の対向平面はノズル長手方向と略直交する方向に平行となるように形成されることを特徴とするノズル。
【請求項2】
吐出口から吐出される塗布液を塗布液吐出方向に案内し、前記一対の対向平面のそれぞれと交わる第3の平面を備えたことを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のノズルと、該ノズルに定量の塗布液を供給する手段を含む塗布液供給手段と、被塗布部材を保持する載置台と、前記ノズルおよび載置台のうちの少なくとも一方を相対的に移動させる移動手段と、前記ノズルを被塗布部材に近接させる近接手段と、前記ノズルの吐出口を被塗布部材上の任意の場所に位置合わせをする位置合わせ手段と、を備えてストライプ状塗布膜を形成することを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のノズルを被塗布部材に近接させ、塗布液供給装置から前記ノズルに塗布液を供給して前記ノズルの複数の吐出口から塗布液を吐出して、被塗布部材の前記ノズルに対する相対移動を行って、被塗布部材上にストライプ状塗布膜を形成することを特徴とする塗布方法。
【請求項5】
請求項4に記載の塗布方法を用いて、ディスプレイ用部材を製造することを特徴とするディスプレイ用部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−183291(P2011−183291A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50344(P2010−50344)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】