説明

ノズルアダプタの取り付け方法及びノズルアダプタ

【課題】作業性が良く、溶接による変形を防止して高い位置精度で取り付け可能なノズルアダプタの取り付け方法及びノズルアダプタの提供。
【解決手段】ノズル10に管形状のノズルアダプタ20を完全溶け込み溶接によって取り付けるノズルアダプタ20の取り付け方法であって、上記完全溶け込み溶接の際に内周面側の裏当てとなり、且つ、ノズル10の端部10aの内径d2よりも大きい外径d1を有する裏当て部23が、上記管形状の端部20aに一体で形成されているノズルアダプタ20を冷却し、裏当て部23をノズル10の端部10aに挿入して冷やしばめする冷やしばめ工程と、上記冷やしばめ工程の後、ノズル10の端部10aとノズルアダプタ20の端部20aとを外周面側から上記完全溶け込み溶接する溶接工程と、を有するという手法を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルアダプタの取り付け方法及びノズルアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、原子炉圧力容器は、胴部と称される円筒状の圧力容器本体と、蓋部と称されるドーム状の圧力容器蓋とをボルト等を用いて締結することで構成されている。この原子炉圧力容器の胴部あるいは蓋部には、制御棒駆動用の棒や測定器用の棒等を挿入するために、貫通孔としてのノズルが複数設けられている。
【0003】
下記特許文献1には、原子炉圧力容器のクロージャーヘッド(蓋部)に設けられた制御棒駆動用のノズルが開示されている。このノズルの端部には、管形状のノズルアダプタが完全溶け込み溶接継手によって接続されており、当該ノズルアダプタを介して制御棒駆動用の棒が挿入可能な構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−170413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ノズルアダプタは、高い精度で機械加工済みの部品(例えば測定器用の部品等)を設置するため、溶接される側の端部とは逆側の端部に、ねじ構造等を有する場合がある。この場合、ノズルアダプタの取り付けに際しては、部品の設置のために要求される公差を満足させるため、溶接による変形を防止する必要がある。しかしながら、ノズルアダプタを完全溶け込み溶接によって取り付ける場合、溶接の際にノズルアダプタの姿勢がノズルに対して不安定になり易く、当該溶接による変形を防止することが難しいという問題がある。
【0006】
この対策として、例えばバランス溶接等の検討や溶接変形ジグ等の使用が考えられる。しかし、バランス溶接の場合は、全体の変形の度合いを観察しつつ、周方向の溶接位置を変えていき、全体として変形のバランスをとる必要があり、作業が煩雑となる。また、溶接変形ジグを使用する場合は、先ず専用の溶接変形ジグを製作しなければならず、さらに、溶接変形ジグによってノズルとノズルアダプタとを固定する固定作業及び固定確認作業が別途必要となり工数が増え、作業が煩雑となる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、作業性が良く、溶接による変形を防止して高い位置精度で取り付け可能なノズルアダプタの取り付け方法及びノズルアダプタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、ノズルに管形状のノズルアダプタを完全溶け込み溶接によって取り付けるノズルアダプタの取り付け方法であって、上記完全溶け込み溶接の際に内周面側の裏当てとなり、且つ、上記ノズルの端部の内径よりも大きい外径を有する裏当て部が、上記管形状の端部に一体で形成されている上記ノズルアダプタを冷却し、上記裏当て部を上記ノズルの端部に挿入して冷やしばめする冷やしばめ工程と、上記冷やしばめ工程の後、上記ノズルの端部と上記ノズルアダプタの端部とを外周面側から上記完全溶け込み溶接する溶接工程と、を有するという手法を採用する。
この手法を採用することによって、本発明では、ノズルアダプタの溶接側の端部に一体で形成されている裏当て部を、冷やしばめによりノズルの端部に挿入する。ノズルアダプタの温度が常温に戻れば、もとの裏当て部の外径はノズルの端部の内径よりも大きいために、外側に突っ張る形となり、ノズルアダプタはノズルに対し強固に固定される。後の溶接工程において外周面側から片側溶接する際には、裏当て部によって内周面側に良好な裏ビードを形成させることができ、また、ノズルアダプタはノズルに対し強固に固定されているので、溶接による変形を防止して高い位置精度での取り付けが可能となる。
【0009】
また、本発明においては、上記溶接工程の後、上記裏当て部を機械加工により除去する裏当て部除去工程を有するという手法を採用する。
この手法を採用することによって、本発明では、溶接工程の後、不要となった裏当て部を機械加工により除去する。
【0010】
また、本発明においては、上記冷やしばめ工程は、上記冷却した上記ノズルアダプタを、上記ノズルの端部に向けて移送する移送工程を含み、上記移送工程では、上記冷却した上記ノズルアダプタを、冷媒と共に移送するという手法を採用する。
この手法を採用することによって、本発明では、冷却したノズルアダプタを冷媒と共にノズルの端部に向けて移送することにより、移送に時間がかかる場合であっても、外気等の影響による温度の上昇を抑制することができるため、裏当て部のノズルの端部への挿入を、時間的に余裕を持って落ち着いて行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明においては、上記ノズルアダプタは、上記冷媒を上記裏当て部に支持させる支持部を有するという手法を採用する。
この手法を採用することによって、本発明では、冷媒を裏当て部に支持させて、ノズルアダプタを冷媒と共にノズルの端部に向けて移送することができる。裏当て部は、溶接工程の後不要となり最終的には除去される部位であるので、支持部を追加して設けてもノズルアダプタに要求される公差への影響は少ない。
【0012】
また、本発明においては、上記ノズルは、原子炉圧力容器の蓋部に突出して設けられているという手法を採用する。
この手法を採用することによって、本発明では、原子炉圧力容器の蓋部に突出して設けられたノズルに対し、作業性が良く、溶接による変形を防止して高い位置精度でノズルアダプタを取り付けることが可能となる。
【0013】
また、本発明においては、ノズルに完全溶け込み溶接によって取り付けられる管形状のノズルアダプタであって、その管形状の端部に、上記完全溶け込み溶接の際に内周面側の裏当てとなり、且つ、上記ノズルの端部の内径よりも大きい外径を有する裏当て部が、一体で形成されているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、ノズルに対し、作業性が良く、溶接による変形を防止して高い位置精度での取り付けが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業性が良く、溶接による変形を防止して高い位置精度で取り付け可能なノズルアダプタの取り付け方法及びノズルアダプタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態における原子炉圧力容器の蓋部の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における原子炉圧力容器の蓋部に設けられたノズルの継手構造の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態における完全溶け込み溶接する前のノズルアダプタの端部及びノズルの端部の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるノズルアダプタの取り付け方法を説明する図である。
【図5】本発明の一別実施形態における裏当て部の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の一別実施形態における裏当て部の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の一別実施形態における裏当て部の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態における原子炉圧力容器の蓋部100の構成を示す図である。図2は、本発明の実施形態における原子炉圧力容器の蓋部100に設けられたノズル10の継手構造の構成を示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、原子炉圧力容器の蓋部100は、略半球屋根形状を有する。蓋部100の下部には、フランジ101が全周に亘って設けられている。フランジ101には、蓋部100が圧力容器本体(胴部)104の上に載置されたときに、当該胴部とボルト等によって締結固定可能な複数の貫通孔102が形成されている。
【0018】
蓋部100には、ノズル10が鉛直方向に突出して設けられている。本実施形態のノズル10は、原子炉圧力容器内の状態を測定する棒状の測定器を、蓋部100を貫通して挿入するためのものであり、一つ以外は不図示であるが当該蓋部100において複数設けられている。このノズル10には、測定器を着脱できるノズルアダプタ20が接続されている。なお、蓋部100には、当該測定器用のノズル10の他に、制御棒駆動用の棒を挿入するための制御棒駆動用のノズル105も複数設けられている。
【0019】
図2に示すように、ノズル10は、蓋部100の外表面に溶接等によって一体的に設けられている。ノズル10は、管形状を有し、蓋部100に形成された貫通孔103に連通する貫通孔11を有する。このノズル10の上方に突出する端部10aには、完全溶け込み溶接継手30を介し、ノズルアダプタ20が取り付けられている。
【0020】
ノズルアダプタ20は、管形状を有し、ノズル10の貫通孔11に連通する貫通孔21を有する。ノズルアダプタ20の溶接側の端部20aに対して逆側となる非溶接側の端部20bには、高い精度で測定器に関する部品を設置可能なネジ部22が設けられている。このノズルアダプタ20は、ネジ部22において測定器に関する部品の設置のために要求される公差を満足させるため、ノズル10に対して高い位置精度で取り付けられている。
【0021】
続いて、ノズル10に対して高い位置精度で取り付けることが可能な本実施形態に係るノズルアダプタ20の構成及びそのノズルアダプタ20を用いた取り付け方法について説明する。
【0022】
(ノズルアダプタの構成)
図3は、本発明の実施形態における完全溶け込み溶接する前のノズルアダプタ20の端部20a及びノズル10の端部10aの構成を示す断面図である。
【0023】
図3に示すように、ノズル10の端部10a及びノズルアダプタ20の端部20aは、完全溶け込み溶接の際に突き合わせられ、V形の開先形状を形成する端面10a1,20a1を有する。なお、ノズル10の端部10aの内径は、後述する裏当て部23のための削り代を確保するべく、最終的な貫通孔11の径よりも縮径している。
【0024】
ノズルアダプタ20の端部20aには、完全溶け込み溶接の際に内周面側(貫通孔11,21の内周面側)の裏当てとなる裏当て部23が一体で形成されている。裏当て部23は、ノズルアダプタ20の端部20aから突出している。また、裏当て部23は、ノズルアダプタ20の端部20aの外径よりも縮径した外径d1を有する円筒形状を有する。
【0025】
裏当て部23の外径d1は、ノズル10の端部10aの内径d2よりも大きく形成されている。外径d1と内径d2の差は、当該裏当て部23を一体で備えるノズルアダプタ20の材質(熱膨張率)に応じて設計されている。本実施形態のノズルアダプタ20は、所定の金属材、例えば、SUS304等のステンレス鋼から形成されている。この場合に、ノズル10の端部10aの内径d2が、仮に120mmであるとき、当該裏当て部23の外径d1は、それよりも例えば0.1mm程度大きく形成される。
【0026】
(ノズルアダプタの取り付け方法)
図4は、本発明の実施形態におけるノズルアダプタ20の取り付け方法を説明する図である。
【0027】
先ず、図4(a)に示すように、裏当て部23が溶接側の端部20aに一体で形成されているノズルアダプタ20を冷却し、裏当て部23をノズル10の端部10aに挿入して冷やしばめする(冷やしばめ工程)。
当該工程では、先ず、ノズルアダプタ20を、例えば液体窒素等の冷媒を貯溜する冷却槽内に浸漬させ、冷媒の沸点(−196℃)以下の温度まで冷却する。この冷却により、裏当て部23の外径d1をノズル10の端部10aの内径d2よりも小さく熱収縮させる。
【0028】
次に、冷却したノズルアダプタ20を冷却槽内から取り出し、ノズル10の端部10aに向けて移送する。当該移送は、移動ジグ等を用いてトロリーやクレーン等で機械的に行なってもよいし、作業者が把持して人的に行なってもよい。当該移送の間に、ノズルアダプタ20は、外気等から熱を受けるため、当該熱の影響を考慮して冷却しておくことが好ましい。なお、ノズルアダプタ20の材質が熱収縮し難いニッケル基合金等の場合には、熱収縮量が小さく当該熱の影響でもとの大きさに戻りやすいが、本実施形態のようにノズルアダプタ20の材質がステンレス鋼であれば熱収縮量が比較的大きいので、時間的な余裕をもって移送することができる。
【0029】
次いで、冷却したノズルアダプタ20を縦にし、ノズル10の端部10aに対して裏当て部23を鉛直方向に挿入する。裏当て部23の挿入により、ノズルアダプタ20の端部20aとノズル10の端部10aとが突き合わされ、V形の開先形状が形成される。そして、外気等から熱を受けたノズルアダプタ20が常温(例えば20℃)に戻れば、もとの裏当て部23の外径d1は、ノズル10の端部10aの内径d2よりも大きいために、外側に突っ張る形となり、ノズルアダプタ20はノズル10に対し強固に固定される。
【0030】
上記冷やしばめ工程の後、図4(b)に示すように、ノズル10の端部10aとノズルアダプタ20の端部20aとを外周面側から完全溶け込み溶接する(溶接工程)。
当該工程において外周面側から片側溶接する際には、裏当て部23が内周面側に沿って配置されているため、内周面側に良好な裏ビードを有する完全溶け込み溶接継手30が形成される。また、裏当て部23によってノズルアダプタ20はノズル10に対し強固に固定されているので、開先形状に沿って周方向に溶接していっても、当該溶接の際にノズルアダプタ20の姿勢がノズル10に対して不安定になることはない。
【0031】
したがって、溶接熱による収縮等の影響により、ノズルアダプタ20の姿勢が傾くといったことを防止でき、ノズル10に対してノズルアダプタ20を高い位置精度で取り付けることができる。これにより、非溶接側の端部20bに設けたネジ部22において測定器に関する部品の設置のために要求される公差を満足させることができる。また、作業性の面においては、全体の変形の度合いを観察してバランスをとりつつ溶接する作業や、専用の溶接変形ジグを製作して固定作業及び固定確認作業を行う、といったことをする必要がなく、作業の煩わしさを解消することができる。
【0032】
上記溶接工程の後、図4(c)に示すように、裏当て部23を機械加工により除去する(裏当て部除去工程)。
すなわち、溶接工程の後においては、裏当て部23は不要となるので、当該裏当て部23を機械加工により除去する。裏当て部23の除去は、管内に機械工具を挿入して行うが、ノズルアダプタ20の非溶接側の端部20bには公差が要求されるネジ部22があるため、原子炉圧力容器の蓋部100の内側から貫通孔103を介してノズル10側から挿入して行うことが好ましい(図2参照)。
【0033】
本実施形態の裏当て部23は、例えば切削により除去される。また、予め削り代を考慮して形成されているノズル10の端部10aの内径側の一部も、裏当て部23と共に除去される。その後、さらに切削や研磨等の機械加工を経て、貫通孔11と貫通孔21とを略同径で滑らかに連通させる。これにより、図2に示すように、ノズル10に対してノズルアダプタ20が高い位置精度で完全溶け込み溶接継手30によって取り付けられた継手構造が得られる。
【0034】
したがって、上述の本実施形態によれば、ノズル10に管形状のノズルアダプタ20を完全溶け込み溶接によって取り付けるノズルアダプタ20の取り付け方法であって、上記完全溶け込み溶接の際に内周面側の裏当てとなり、且つ、ノズル10の端部10aの内径d2よりも大きい外径d1を有する裏当て部23が、上記管形状の端部20aに一体で形成されているノズルアダプタ20を冷却し、裏当て部23をノズル10の端部10aに挿入して冷やしばめする冷やしばめ工程と、上記冷やしばめ工程の後、ノズル10の端部10aとノズルアダプタ20の端部20aとを外周面側から上記完全溶け込み溶接する溶接工程と、を有するという手法を採用することによって、ノズルアダプタ20の溶接側の端部20aに一体で形成されている裏当て部23を、冷やしばめによりノズル10の端部10aに挿入することで、ノズルアダプタ20の温度が常温に戻れば、もとの裏当て部23の外径d1はノズル10の端部10aの内径d2よりも大きいために、外側に突っ張る形となり、ノズルアダプタ20はノズル10に対し強固に固定される。後の溶接工程において外周面側から片側溶接する際には、裏当て部23によって内周面側に良好な裏ビードを形成させることができ、また、ノズルアダプタ20はノズル10に対し強固に固定されているので、溶接による変形を防止して高い位置精度での取り付けが可能となる。
したがって、本実施形態によれば、作業性が良く、溶接による変形を防止して高い位置精度で取り付け可能なノズルアダプタ20の取り付け方法及びノズルアダプタ20が得られる。
【0035】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0036】
例えば、図5に示すように、裏当て部23の先端部の厚みt1を基端部の厚みt2より相対的に小さくする構成であっても良い。
この構成によれば、厚みの小さい裏当て部23の先端部は、熱容量が小さく、時間的に速やかに所定の温度まで冷却することができ、厚みの大きい裏当て部23の基端部は、熱容量が大きく、溶接の際の熱に耐え得ることができる。
【0037】
また、例えば、冷やしばめ工程では、冷却したノズルアダプタ20を、ノズル10の端部10aに向けて移送する移送工程を含み、上記移送工程では、上記冷却したノズルアダプタ20を、冷媒と共に移送するという手法を採用しても良い。
この手法によれば、通常、原子炉圧力容器の蓋部100に設けられたノズル10は地上数m上方に位置しているため、移送に時間がかかる場合であっても、冷却したノズルアダプタ20を冷媒と共にノズル10の端部10aに向けて移送することにより、外気等の影響による温度の上昇を抑制することができ、裏当て部23のノズル10の端部10aへの挿入を、時間的に余裕を持って落ち着いて行うことが可能となる。
【0038】
具体的には、図6及び図7に示すように、ノズルアダプタ20の裏当て部23に冷媒Cを支持させる支持部24を形成することにより行うことが好ましい。支持部24は、図6及び図7に示すように、裏当て部23の先端部において内径側に突出している。図6において支持部24は、落し蓋25を介して冷媒Cを支持する手法を採用している。また、図7において支持部24は、缶等の容器に入れた冷媒Cを支持する手法を採用している。
これらの手法によれば、冷媒Cを裏当て部23に支持させて、ノズルアダプタ20を冷媒Cと共にノズル10の端部10aに向けて移送することができる。裏当て部23は、溶接工程の後不要となり最終的には除去される部位であるので、支持部24を追加して設けてもノズルアダプタ20に要求される公差への影響は少ないという利点がある。なお、当然に、冷やしばめする前までには、当該冷媒Cをノズルアダプタ20から除去する。
【符号の説明】
【0039】
10…ノズル、10a…端部、20…ノズルアダプタ、20a…端部、23…裏当て部、24…支持部、30…完全溶け込み溶接継手、100…蓋部、d1…外径、d2…内径、C…冷媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルに管形状のノズルアダプタを完全溶け込み溶接によって取り付けるノズルアダプタの取り付け方法であって、
前記完全溶け込み溶接の際に内周面側の裏当てとなり、且つ、前記ノズルの端部の内径よりも大きい外径を有する裏当て部が、前記管形状の端部に一体で形成されている前記ノズルアダプタを冷却し、前記裏当て部を前記ノズルの端部に挿入して冷やしばめする冷やしばめ工程と、
前記冷やしばめ工程の後、前記ノズルの端部と前記ノズルアダプタの端部とを外周面側から前記完全溶け込み溶接する溶接工程と、を有することを特徴とするノズルアダプタの取り付け方法。
【請求項2】
前記溶接工程の後、前記裏当て部を機械加工により除去する裏当て部除去工程を有することを特徴とする請求項1に記載のノズルアダプタの取り付け方法。
【請求項3】
前記冷やしばめ工程は、前記冷却した前記ノズルアダプタを、前記ノズルの端部に向けて移送する移送工程を含み、
前記移送工程では、前記冷却した前記ノズルアダプタを、冷媒と共に移送することを特徴とする請求項1または2に記載のノズルアダプタの取り付け方法。
【請求項4】
前記ノズルアダプタは、前記冷媒を前記裏当て部に支持させる支持部を有することを特徴とする請求項3に記載のノズルアダプタの取り付け方法。
【請求項5】
前記ノズルは、原子炉圧力容器の蓋部に突出して設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のノズルアダプタの取り付け方法。
【請求項6】
ノズルに完全溶け込み溶接によって取り付けられる管形状のノズルアダプタであって、
その管形状の端部に、前記完全溶け込み溶接の際に内周面側の裏当てとなり、且つ、前記ノズルの端部の内径よりも大きい外径を有する裏当て部が、一体で形成されていることを特徴とするノズルアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−43201(P2013−43201A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182824(P2011−182824)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】