説明

ハイブリット車両の制御装置

【課題】本発明は、車両としての最大トルクを発生することができ、車両の運動性能を向上することのできるハイブリット車両の制御装置を提供する。
【解決手段】切換車速判定部(21)では、運転者により操作される走行モードスイッチのスイッチ位置情報に基づき、運転者が要求する走行モードを判定し、ハイブリッド方式をシリーズモードからパラレルモードへの切換車速の設定を行う。そして、シリーズパラレル切換判定部(22)では、切換車速判定部(21)で判定された走行モードに対し設定された切換車速と車速センサにて検出される車速とに基づいて、シリーズモードとパラレルモードとの切り換えの判定を行う。そして、クラッチ制御部(23)では、シリーズパラレル切換判定部(22)での判定結果に基づいてクラッチの断接の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリット車両の制御装置に係り、詳しくは、内燃機関の動力を伝達するクラッチの作動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関と電動機との双方を設け、動力源とするハイブリッド車両が開発されている。ハイブリッド車両のハイブリッド方式として、大きく分けてシリーズモードとパラレルモードとがある。シリーズモードは、内燃機関の動力で発電機を駆動し、発電機により得られた電力にて駆動軸と結合された電動機を駆動し車両を走行させる方式である。また、パラレルモードは、内燃機関の動力で駆動軸を駆動し、蓄電池より得られた電力にて駆動軸に結合された電動機を駆動し、車両の運転状態に応じて内燃機関の動力と電動機の動力のどちらか一方或いは双方を用いて車両を走行させる方式である。
【0003】
このような、シリーズモードでは、内燃機関を発電機の駆動のみに用いており、車両の運転状態に関わらず内燃機関の最も効率のよい運転状態で内燃機関を運転することができるので、燃費を良くすることができる。そして、パラレルモードでは、内燃機関から出力される動力で駆動軸を駆動しており、内燃機関の動力を発電機にて電力に変換しておらず、発電機での電力への変換による損失がないため、シリーズモードよりも更に燃費を良くすることが可能である。
【0004】
しかしながら、シリーズモードでは、電動機のみで動力を発生させており、電動機の特性上高回転側での出力トルクが減少することが知られている。
このようなことから、車両の低車速時には電動機の動力のみで走行するシリーズモードとし、車速が上昇すると内燃機関と電動機の動力で走行するパラレルモードとすることで、車両の燃費を悪化させることなく、動力性能を確保する技術が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−237392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のハイブリッド車両では、シリーズモードとパラレルモードとを燃費と出力トルクから総合的に判定して、バランスの良くなる車速で切り換えるようにしている。
しかしながら、特許文献1のように燃費と出力とがバランスの良い車速でシリーズモードとパラレルモードとを切り換えるようにすると、切り換え車速よりも高い車速での走行時に運転者が大きなトルクを要求した場合には、車両として発生することのできる最大トルクを発生することができない問題がある。
【0007】
このように運転者の要求時に最大トルクの発生が不可であると車両の運動性能が悪化し好ましいことではない。
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両としての最大トルクを発生することができ、車両の運動性能を向上することのできるハイブリット車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1のハイブリット車両の制御装置では、車両に搭載された内燃機関及び電動機と、前記内燃機関及び前記電動機のうち少なくともいずれか一方により駆動される駆動輪と、前記内燃機関により駆動されて発電する発電機と、前記発電機にて発電した電力を蓄電し、更に蓄電した電力を前記電動機に供給する二次電池と、前記内燃機関と前記駆動輪との間に介装され、前記内燃機関から前記駆動輪に伝達される動力を断接するクラッチと、前記車両の車速を検出する車速検出手段と、前記クラッチを開放して前記二次電池又は前記発電機から供給される電力により前記電動機が発生した動力で前記駆動輪を駆動するシリーズモードと、前記クラッチを接続して前記内燃機関の動力と前記二次電池から供給される電力により前記電動機が発生した動力とで前記駆動輪を駆動するパラレルモードとの切り換えを行うモード切換制御手段と、を備え、前記モード切換制御手段は、前記シリーズモードで発生可能な最大トルクと前記パラレルモードで発生可能な最大トルクとが一致する車速にて前記シリーズモードと前記パラレルモードとを切り換えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2のハイブリット車両の制御装置では、請求項1において、前記車両の運転状態を第1の運転モードと前記第1の運転モードより前記二次電池の電力消費量を抑制した第2の運転モードとに切り換える運転状態切換手段を備え、前記モード切換制御手段は、前記運転状態切換手段が前記第1の運転モードである場合には、前記シリーズモードで発生可能な最大トルクと前記パラレルモードで発生可能な最大トルクとが一致する車速にて前記シリーズモードと前記パラレルモードとの切り換えを行い、前記運転状態切換手段が前記第2の運転モードである場合には、前記第1の運転モードでの切り換え車速より低い車速で前記シリーズモードと前記パラレルモードとを切り換えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3のハイブリット車両の制御装置では、請求項1或いは2において、前記二次電池の充電率を検出する二次電池残量検出手段と備え、前記モード切換制御手段は、前記充電率が所定値以上の場合には、前記シリーズモードで発生可能な最大トルクと前記パラレルモードで発生可能な最大トルクとが一致する車速にて前記シリーズモードと前記パラレルモードとの切り換えを行い、前記充電率が前記所定値未満となった場合には、前記二次電池残量検出手段の検出結果に基づき、前記二次電池の充電率が低下するにつれ、前記シリーズモードと前記パラレルモードとを切り換える車速を低下させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、シリーズモードからパラレルモードへのハイブリッド方式の切り換えをシリーズモードで発生可能な最大トルクとパラレルモードで発生可能な最大トルクとが一致する車速にて切り換えるようにしている。
したがって、ハイブリッド方式の切り換えをそれぞれのモードで発生可能な最大トルクが一致する車速としており、車両として最大の出力トルクを常に発生することのできるので、車両の運動性能を向上させることができる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、運転状態切換手段が第1の運転モードである場合には、シリーズモードで発生可能な最大トルクとパラレルモードで発生可能な最大トルクとが一致する車速にてシリーズモードとパラレルモードとの切り換えを行い、運転状態切換手段が第2の運転モードである場合には、第1の運転モードでのシリーズモードとパラレルモードとの切り換え車速より低い車速でシリーズモードとパラレルモードとを切り換えるようにしている。
【0013】
このように、第2の運転モードでのシリーズモードからパラレルモードへの切り換える車速を第1の運転モードの車速よりも低くして、例えば車両が低速で走行している時からシリーズモードからパラレルモードに切り換えることで、シリーズモードでの内燃機関で発電機を駆動し発電を行う期間を短くできる。
したがって、シリーズモードでの内燃機関で発電機を駆動し電力を得ることは発電機でのエネルギ変換効率が悪いことから、内燃機関で発電機の駆動する期間を短くすることにより、エネルギ変換による損失を低減でき、内燃機関の燃費を向上させることができる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、二次電池の充電率が低下するにつれ、シリーズモードとパラレルモードとを切り換える車速を低下させるようにし、内燃機関の動力により車両を走行させることができるので二次電池の充電率の低減を抑制することができ、二次電池による走行距離を伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るハイブリット車両の制御装置を搭載した車両の概略構成図である。
【図2】本発明に係るハイブリット車両の制御装置のECUのブロック図である。
【図3】本発明に係るハイブリッド方式切換制御の制御フローチャートである。
【図4】本発明に係るハイブリット車両の制御装置のトルクと車速の関係を示す図である。
【図5】本発明に係る高電圧バッテリの充電率と切替車速の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るハイブリット車両の制御装置を搭載した車両の概略構成図である。図2は、本発明に係るハイブリット車両の制御装置のHV−ECUのブロック図である。以下、ハイブリット車両の制御装置の構成を説明する。
本発明に係るハイブリット車両の制御装置が用いられる車両1は、当該車両1の走行装置として、燃料タンク2より燃料配管3を介して燃料が供給されるエンジン(内燃機関)4と高電圧バッテリ(二次電池)5及びジェネレータ(発電機)6より高電圧回路7を介して高電圧の電力が供給されインバータ8により作動を制御される走行用モータ(電動機)9とを備え、図示しない充電リッドに外部電源より延びる充電ケーブルを接続し、充電器にて高電圧バッテリ5を充電することができるハイブリッド自動車である。
【0017】
図1に示すように、本発明に係るハイブリット車両の制御装置は、車両1に搭載されるエンジン4と、高電圧バッテリ5と、ジェネレータ6と、走行用モータ9と、クラッチ10と、車速センサ(車速検出手段)11と、走行モードスイッチ(運転状態切換手段)12と、車両の総合的な制御を行うための制御装置であって、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成される電子コントロールユニット(以下、HV−ECUという)(モード切換制御手段)20とで構成されている。
【0018】
エンジン4は、運転者の図示しないアクセルペダルの操作量に応じて動力を発生するものである。当該エンジン4で発生した動力は、変速比が固定されている減速機13を介して、ジェネレータ6とクラッチ10を介して駆動輪15を駆動する駆動軸14とに伝達される。
高電圧バッテリ5は、リチウムイオン電池等の二次電池で構成されるものである。また、高電圧バッテリ5は、電池セルを監視するセルモニタリングユニットを備える複数の電池セルを一つのモジュールとし更に複数のモジュールで構成される電池モジュールと、セルモニタリングユニットの出力に基づき電池モジュールの温度及び充電率(State Of Charge、以下、SOC)等を監視するバッテリモニタリングユニットとで構成されている。
【0019】
ジェネレータ6は、エンジン4により駆動されて発電し、インバータ8を介して高電圧バッテリ5或いは走行用モータ9に電力を供給するものである。また、ジェネレータ6の作動は、インバータ8により制御される。
インバータ8は、HV−ECU20からの制御信号に基づきジェネレータ6の発電及び走行用モータ9の駆動を制御するものである。
【0020】
クラッチ10は、エンジン4と駆動軸14との間に介装され、HV−ECU20からの制御信号に基づき、駆動軸14へのエンジン4の動力の伝達を断接するものである。
車速センサ11は、駆動軸14の端部のハブ部に設けられ、車両1の車速を検出するものである。
走行モードスイッチ12は、ダイヤル式のスイッチである。走行モードスイッチ12は、運転者によって操作され、走行モードスイッチ12を回転させて、運転者が任意に例えば、走行時の運動性能を重視するNormalモード(第1の運転モード)や、走行時の電力消費及び燃料消費を抑制するECOモード(第2の運転モード)等の走行モードを切り換えるものである。尚、本実施例では、第1の運転モードをNormalモードとし、第2の運転モードをECOモードとして説明するが、別の実施例として第1の運転モードがPowerモードであって第2の運転モードがNormalモードと考えることもできる。
【0021】
HV−ECU20は、車両1の総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成される。
HV−ECU20の入力側には、上記高電圧バッテリ5のバッテリモニタリングユニット、車速センサ11及び走行モードスイッチ12が接続されており、これらの機器からの検出情報が入力される。
【0022】
一方、HV−ECU20の出力側には、上記エンジン4、インバータ8及びクラッチ10が接続されている。
図2に示すように、HV−ECU20は、切換車速判定部21と、シリーズパラレル切換判定部22と、クラッチ制御部23とで構成されている。
切換車速判定部21は、運転者により操作される走行モードスイッチ12のスイッチ位置情報に基づき、運転者が要求する走行モードを判定し、ハイブリッド方式のシリーズモードとパラレルモードとを切り換える車速の設定を行う。
【0023】
シリーズパラレル切換判定部22は、切換車速判定部21で判定された走行モードに対し設定された切換車速と車速センサ11にて検出される車速とに基づいて、シリーズモードとパラレルモードとの切り換えの判定を行う。
クラッチ制御部23は、シリーズパラレル切換判定部22での判定結果に基づいてクラッチ10の断接の制御を行う。
【0024】
このように、構成されたHV−ECU20は、ハイブリッド方式を車速センサ11にて検出される車速に基づき、インバータ8とクラッチ10とを制御して、走行用モータ9の動力のみで車両1を走行させるシリーズモードと、エンジン4と走行用モータ9の動力で車両1を走行させるパラレルモードとを切り換えて走行する。詳しくは、シリーズモードでは、クラッチ10を開放してエンジン4から減速機13を介して駆動軸14への動力の伝達を不可とする。そして、インバータ8を制御してエンジン4の動力でジェネレータ6にて電力を発電し、ジェネレータ6にて発電した電力と高電圧バッテリ5に蓄電された電力とを走行用モータ9に供給する。そして、走行用モータ9にて動力を発生させ、走行用モータ9の動力で車両1を走行させる。また、パラレルモードでは、インバータ8を制御してエンジン4の動力によるジェネレータ6での発電を不可とする。そして、クラッチ10を接続しエンジン4から減速機13を介して駆動軸14への動力の伝達を可能とする。また、高電圧バッテリ5に蓄電された電力を走行用モータ9に供給する。そして、走行用モータ9にて動力を発生させる。減速機13を介して伝達されるエンジン4の動力と走行用モータにて発生する動力とで車両1を走行させる。
【0025】
以下、このように構成された本発明に係るHV−ECU20でのハイブリッド方式切換制御について説明する。
図3は、ハイブリッド方式切換制御の制御フローチャートである。また、図4は、ハイブリット車両の制御装置のトルクと車速の関係を示す図であり、図中太実線はシリーズモードでの発生可能な最大トルクを示す。詳しくは、シリーズモードの最大トルクは、高電圧バッテリ5とジェネレータ6とから供給される電力により走行用モータ9で発生可能な最大トルクである。また、図中太破線はパラレルモードでの発生可能な最大トルクを示す。詳しくは、パラレルモードの最大トルクは、図中細一点鎖線で示されるエンジン4での発生可能な最大トルクと図中細二点鎖線で示される高電圧バッテリ5のみから供給される電力により走行用モータ9で発生可能な最大トルクとを合算したトルクである。また、図中の車速Vnは、走行モードがNormalモード(第1の運転モード)である時のハイブリット方式がシリーズモードからパラレルモードへ切り換わる車速である。そして、当該車速Vnは、シリーズモードでの当該車速に基づく最大トルクとパラレルモードでの当該車速に基づく最大トルクとが一致する車速に設定されている。また、図中の車速Veは、走行モードがECOモード(第2の運転モード)である時のハイブリッド方式がシリーズモードからパラレルモードへ切り換わる車速である。そして、当該車速Veは、車速Vnよりも低い車速に設定されている。
【0026】
図3に示すように、ステップS10では、ECOモードか、否かを判別する。詳しくは、切換車速判定部21にて、走行モードスイッチ12のスイッチ位置情報より走行モードがECOモードであるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で走行モードがECOモードであれば、ステップS12に進み、切換車速Vcを図4に示す車速Veとする。そして、ステップS16に進む。また、判別結果が否(No)で走行モードがNormalモードであれば、切換車速Vcを図4に示す車速Vnとする。そして、ステップS16に進む。
【0027】
ステップS16では、車速が切換車速Vc以上であるか、否かを判別する。詳しくは、シリーズパラレル切換判定部22にて、車速センサ11で検出される現在の車速がステップS12或いはステップS14で設定される切換車速Vc以上か、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で現在の車速が切換車速Vc以上であれば、ステップS18に進み、ハイブリッド方式をパラレルモードとする。そして、ステップS22に進む。また、判別結果が否(No)で現在の車速が切換車速Vcより低ければ、ハイブリッド方式をシリーズモードとする。そして、ステップS22に進む。
【0028】
ステップS22では、パラレルモードか、否かを判別する。詳しくは、ステップS18で、クラッチ制御部23にて、パラレルモードに設定されたか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でパラレルモードに設定されていれば、ステップS24に進む。また、判別結果が否(No)でシリーズモードに設定されていれば、ステップS26に進む。
ステップS24では、クラッチ制御部22より制御信号を出力してクラッチ10を接続するように作動を制御する。また、合わせてジェネレータ6で発電不能となるようにインバータ8を制御する。そして、本ルーチンを抜ける。
【0029】
ステップS26では、クラッチ制御部22より制御信号を出力してクラッチ10を開放するように作動を制御する。また、合わせてエンジン4の動力によりジェネレータ6で発電可能となるようにインバータ8を制御する。そして、本ルーチンを抜ける。
このように、本発明に係るハイブリット車両の制御装置では、シリーズモードからパラレルモードへのハイブリッド方式の切り換えをシリーズモードで発生可能な最大トルクとパラレルモードで発生可能な最大トルクとが交差する車速Vnにて切り換えるようにしている。
【0030】
したがって、ハイブリッド方式の切り換えをそれぞれのモードでの発生可能な最大トルクが交差する車速Vnとしており、車両として最大の出力トルクを常に発生することのできるので、車両の運動性能を向上させることができる。
また、走行モードがNormalモードである場合には、シリーズモードで発生可能な最大トルクとパラレルモードで発生可能な最大トルクとが交差する車速Vnにてシリーズモードとパラレルモードとを切り換え、走行モードがECOモードである場合には、Normalモードでのシリーズモードとパラレルモードとの切り換え車速Vnより低い車速Veでシリーズモードとパラレルモードとを切り換えるようにしている。
【0031】
このように、ECOモードでのシリーズモードからパラレルモードへの切り換える車速VeをNormalモードの車速Vnよりも低くして、車両が低速で走行している時からシリーズモードからパラレルモードに切り換えることは、シリーズモードでのエンジン4でジェネレータ6を駆動し発電を行う期間を短くできる。
したがって、シリーズモードでのエンジン4でジェネレータ6を駆動し電力を得ることはジェネレータ6でのエネルギ変換効率が悪いことから、エンジン4でジェネレータ6の駆動する期間を短くすることにより、エネルギ変換による損失を低減でき、エンジン4の燃費を向上させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、運転者のトルク要求としてアクセル操作によってシリーズモードとパラレルモードとを切り換えるような車両と比較して、モード切換えの頻度を抑えることができるので、クラッチ10の寿命を延ばすことができるとともに、モード切換え時におけるトルク変動を抑制することができる。
以上で発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の形態は実施形態に限定されるものではない。
【0033】
例えば、本実施形態は、ECOモードでのハイブリッド方式を切り換える車速Veを固定としているが、これに限定するものではなく、例えば、図5に示すようなマップを用いて、高電圧バッテリ5のSOCに基づいて車速Veを補正するようにしても良い。このことにより、高電圧バッテリ5のSOCが低下するにつれ、シリーズモードとパラレルモードとを切り換える車速Veを低下させるようにし、エンジン4の動力により車両1を走行させることができるので高電圧バッテリ5のSOCの低減を抑制することができ、高電圧バッテリ5による走行距離を伸ばすことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 車両
4 エンジン(内燃機関)
5 高電圧バッテリ(二次電池)
6 ジェネレータ(発電機)
9 走行用モータ(電動機)
10 クラッチ
11 車速センサ(車速検出手段)
12 走行モードスイッチ(運転状態切換手段)
15 駆動輪
20 HV−ECU(モード切換制御手段)
21 切換車速判定部
22 シリーズパラレル切換判定部
23 クラッチ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された内燃機関及び電動機と、
前記内燃機関及び前記電動機のうち少なくともいずれか一方により駆動される駆動輪と、
前記内燃機関により駆動されて発電する発電機と、
前記発電機にて発電した電力を蓄電し、更に蓄電した電力を前記電動機に供給する二次電池と、
前記内燃機関と前記駆動輪との間に介装され、前記内燃機関から前記駆動輪に伝達される動力を断接するクラッチと、
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記クラッチを開放して前記二次電池又は前記発電機から供給される電力により前記電動機が発生した動力で前記駆動輪を駆動するシリーズモードと、前記クラッチを接続して前記内燃機関の動力と前記二次電池から供給される電力により前記電動機が発生した動力とで前記駆動輪を駆動するパラレルモードとの切り換えを行うモード切換制御手段と、を備え、
前記モード切換制御手段は、前記シリーズモードで発生可能な最大トルクと前記パラレルモードで発生可能な最大トルクとが一致する車速にて前記シリーズモードと前記パラレルモードとを切り換えることを特徴とするハイブリット車両の制御装置。
【請求項2】
前記車両の運転状態を第1の運転モードと前記第1の運転モードより前記二次電池の電力消費量を抑制した第2の運転モードとに切り換える運転状態切換手段を備え、
前記モード切換制御手段は、前記運転状態切換手段が前記第1の運転モードである場合には、前記シリーズモードで発生可能な最大トルクと前記パラレルモードで発生可能な最大トルクとが一致する車速にて前記シリーズモードと前記パラレルモードとの切り換えを行い、前記運転状態切換手段が前記第2の運転モードである場合には、前記第1の運転モードでの切り換え車速より低い車速で前記シリーズモードと前記パラレルモードとを切り換えることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリット車両の制御装置。
【請求項3】
前記二次電池の充電率を検出する二次電池残量検出手段と備え、
前記モード切換制御手段は、前記充電率が所定値以上の場合には、前記シリーズモードで発生可能な最大トルクと前記パラレルモードで発生可能な最大トルクとが一致する車速にて前記シリーズモードと前記パラレルモードとの切り換えを行い、前記充電率が前記所定値未満となった場合には、前記二次電池残量検出手段の検出結果に基づき、前記二次電池の充電率が低下するにつれ、前記シリーズモードと前記パラレルモードとを切り換える車速を低下させることを特徴とする、請求項1或いは2に記載のハイブリット車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−52710(P2013−52710A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190667(P2011−190667)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】