ハイブリッド無線/有線トランスポンダ及びそれを用いたハイブリッドRoF通信システム
ハイブリッドヘッドエンドと1または2以上のクライアント装置間の両無線及び有線通信を提供するように構成される光ファイバ無線(radio-over-fiber)(RoF)ハイブリッド有線/無線トランスポンダが開示される。ハイブリッドトランスポンダは、光から電気への変換能力(O/E)及び電気から光への変換能力(E/O)を含み、電気「有線」信号と電気「無線」信号を周波数マルチプレクス/デマルチプレクスするように構成される。電気無線信号は、セルラ受信可能範囲内の多入力/多出力(MIMO)アンテナシステムを介してクライアント装置に無線送信される。電気有線信号は、トランスポンダの有線ケーブルポートに接続された有線ケーブルを介してクライアント装置に送信される。ハイブリッドRoFシステムは、有線及び無線光信号を送受信可能なハイブリッドヘッドエンド、及びハイブリッドヘッドエンド及び少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダに光学的に結合された光ファイバケーブルを含む。クライアント装置とトランスポンダ間を容易に有線及び無線接続可能とするトランスポンダのドロップダウン構成も開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、無線及び有線通信システムに関し、詳細には、有線及び/又は無線技術を利用した光ファイバ無線(Radio-over-fiber)(RoF)通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
絶えず増大する高速移動データ通信の需要に伴って、無線通信が急速に成長している。例えば、いわゆる”wireless fidelity”又は”WiFi”システム及び無線LAN(wireless local area networks)が多種多様なエリア(コーヒーショップ、空港、図書館など)に配置されている。無線通信システムは、「クライアント」と呼ばれる無線装置と通信し、クライアントは、アクセスポイント装置と通信するために、無線範囲又は「セル受信可能領域」内に存在しなければならない。
【0003】
無線通信システムを配置する一つの手法は、無線周波数(RF)受信可能領域である「セル」の使用を必要とする。セルは、比較的大きい半径(例えば1000m)又は約数メートルから約20メートル程度までの比較的小さい半径(「ピコセル」)を有する。ピコセルは小さい領域に適用されるので、一つのピコセルには、典型的に数人のユーザ(クライアント)のみが存在する。また、ピコセルは、従来の基地局によって生成されるより大きなセルでカバーされると信号強度が弱くなる小さい領域で、選択的な無線受信を可能とする。
【0004】
RoF無線セルラシステムを構成する必須の構成部品は、ヘッドエンドコントローラ(「ヘッドエンド」)、1または2本以上の光ファイバケーブル、1または2以上のトランスポンダである。光ファイバケーブルは、ヘッドエンドコントローラの一端に接続する。トランスポンダは、光ファイバケーブルの長さに沿って光ファイバケーブルと光学的に結合する。光ファイバケーブルは、トランスポンダとヘッドエンド間のRoF光信号を伝送するダウンリンク光ファイバとアップリンク光ファイバを有する。トランスポンダは、RoF光信号を電気信号に変換し及びその逆変換も行い、対応する1または2以上のセルを生成する。トランスポンダは、対応するセル内で、RF自由空間電磁(EM)信号をクライアント装置と送受信する1つ以上のアンテナを含む。多数のトランスポンダを結合することで、「セルラ受信可能領域」と呼ばれる領域を受信可能とするセルの配列が生成される。近接して配置されたピコセルの配列は、1ユーザ当たり高いデータ処理量を提供するピコセルラ受信可能領域を形成する。
【0005】
RoF無線セルラ又はピコセルラシステムは頑健である一方、例えば、今日の技術用語において、ギガビット有線イーサネットを伴ったIEEE802.11a/b/g/n規格の無線RoFインフラストラクチャ、及びIEEE802.3/u./z(IEEE802.3は10Mbps、IEEE802.3uは100Mbps、IEEE802.3zは1Gbps)規格の有線インフラストラクチャのような最高水準の無線及び有線サービスをエンドユーザに提供することが望ましい。これを達成する伝統的な手法は、配置及び維持するのに高価で複雑な2つの異なる無線及び有線ネットワークインフラストラクチャを通じさせることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2つの異なる通信システムの配置が複雑且つ高価になることなく、エンドユーザに無線及び有線の両サービスを提供することができる手法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様は、ハイブリッドヘッドエンドから少なくとも一つのクライアント装置に無線及び有線信号を配信するためのハイブリッドトランスポンダである。ハイブリッドトランスポンダは、ヘッドエンドユニットからの無線及び有線光信号を、対応する有線及び無線電気信号への変換及びその逆変換を行うように構成されるハイブリッド変換器を含む。ハイブリッドトランスポンドは、さらに、電気的に変換器に接続し且つ有線及び無線電気信号をマルチプレクス及びデマルチプレクスする周波数マルチプレクサ/デマルチプレクサ(M/D)を含む。アンテナシステムは、そのアンテナシステムに、少なくとも一つのクライアント装置から無線信号を送受信させるように構成される信号指向要素を介して周波数M/Dと電気的に接続する。標準的なイーサネットポートのような有線ケーブルポートは、周波数M/Dと電気的に接続し、有線電気信号を少なくとも一つのクライアント装置に伝送し及び少なくとも一つのクライアント装置から伝送するために有線ケーブル(例えばイーサネットケーブル)と接続するように構成される。本発明の更なる実施の形態は、光信号を少なくとも一つのクライアント装置に伝送し及び少なくとも一つのクライアント装置から伝送する有線ケーブルとケーブルポートを備える。こうして、ハイブリッドトランスポンダは、1または2以上のクライアント装置とハイブリッドヘッドエンド間の有線及び無線の両通信を可能とする。実施形態において、一つのクライアント装置は、ハイブリッドトランスポンダを介して無線通信を行い、一方、別のクライアント装置は、ハイブリッドトランスポンダを介して有線通信を行う。別の実施形態において、同一のクライアント装置は、ハイブリッドトランスポンダを介して有線通信及び無線通信の両方を行う。
【0008】
本発明の別の態様は、ハイブリッドトランスポンダから少なくとも一つのクライアント装置への有線及び無線接続を提供する方法である。方法は、ヘッドエンドユニットに光学的に結合し且つハイブリッドヘッドエンドからの光学的な有線及び無線信号を、対応する電気的な有線及び無線信号に変換する少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダを配置することを含む。また、方法は、少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダにおいて、少なくとも一つのクライアント装置と無線通信するように多入力/多出力(MIMO)アンテナシステムに電気的な無線信号を送ることを含む。また、方法は、トランスポンダを少なくとも一つのクライアント装置に動作可能に接続する有線ケーブルを介して、電気的な有線信号を有線ケーブルポート及びクライアント装置に送ることを含む。
【0009】
本発明の別の態様は、少なくとも一つのクライアント装置への無線及び有線接続を提供することができるハイブリッドRoF通信システムである。システムは、光ファイバケーブルを伝送する有線及び無線光信号を送受信するように構成されるハイブリッドヘッドエンドを含む。少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダは、光ファイバケーブルと光学的に結合し、有線及び無線の光信号から対応する有線及び無線の電気信号への変換及びその逆変換するように構成されている。ハイブリッドトランスポンダは、少なくとも一つのクライアント装置にアンテナシステムを介して無線電気信号を無線送信し、及びハイブリッドトランスポンダ少なくとも一つのクライアント装置と動作可能に接続する有線ケーブルを介して有線信号を少なくとも一つのクライアント装置に有線送信するように構成される。実施形態において、システムは、一つのクライアント装置との有線接続及び別のクライアント装置との無線接続を提供する。両クライアント装置ともシステムの一つのセル内に存在する。
【0010】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明で述べられ、その記載から当業者にとって容易に明白であり、また、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、添付の図面を含むここに記載される発明を実施することにより理解される。
【0011】
前述の概略的な記載及び以下の詳細な記載は、本発明の実施の形態を示し、特許請求の範囲で規定される発明の本質及び性質を理解するための概要又は基礎を提供することを意図している。添付の図面は、発明の更なる理解を提供するために含められ、明細書の一部に援用され及び明細書の一部を構成する。図面は、発明のさまざまな実施の形態を示し、記載とともに、発明の原理及び動作を説明する。
【0012】
従って、さまざまな基本的な電気回路の要素、及びバイアスティ、RFフィルタ、増幅器、電力分岐器など信号を調整する部品は、説明及び図示を平易にするために示されない。このような基本的な電気回路の要素及び部品の本発明の装置及びシステムへの適用は、当業者にとって明白である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明におけるハイブリッドRoF無線/有線通信システム(ハイブリッドRoFシステム)の一般化された実施の形態の概略図であり、光ファイバケーブルを介して少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダに光学的に結合するハイブリッドヘッドエンドを示し、ハイブリッドトランスポンダの一つにより形成されるセル(ピコセル)とそのピコセル内の2つのクライアント装置を示す。
【0014】
【図2】図1のハイブリッドRoFシステムのハイブリッドヘッドエンドの実施形態の詳細図である。
【0015】
【図3】図2と同様の図であり、さまざまなダウンリンク及びアップリンクの有線及び無線信号を示す。
【図4】図2と同様の図であり、さまざまなダウンリンク及びアップリンクの有線及び無線信号を示す。
【0016】
【図5】図1のシステムのハイブリッドトランスポンダの実施形態の詳細図であり、ヘッドエンドに送信及びヘッドエンドから受信されるさまざまな光及び電気のダウンリンク無線及び有線信号を示し、クライアント装置との有線通信を提供する有線ケーブルを示す。
【0017】
【図6】ダウンリンク及びアップリンク光ファイバを有する光ファイバケーブルに組み込まれるハイブリッドトランスポンダを示す概略図であり、トランスポンダのイーサネットタイプの有線ケーブルポートを示す。
【0018】
【図7】図5と同様の図であり、さまざまなアップリンクの光及び電気並びに有線及び無線信号を示す。
【0019】
【図8】本発明のハイブリッドRoFシステムのトランスポンダ端部の概略図であり、2つのトランスポンダと、1つ又は2つのハイブリッドトランスポンダと無線通信中の多入力/多出力(MIMO)クライアント装置とそれぞれのハイブリッドトランスポンダと有線通信中の他の2つのクライアント装置を含む3つのクライアント装置を示す。
【0020】
【図9】MIMOハイブリッドトランスポンダの実施形態を示す詳細図である。
【0021】
【図10】図9のMIMOハイブリッドトランスポンダを含む本発明のハイブリッドRoFシステムのトランスポンダ端部の概略であり、一つのクライアント装置とのMIMO無線通信を提供し他の2つのクライアント装置との有線通信を提供するハイブリッドトランスポンダを示す。
【0022】
【図11】本発明のハイブリッドRoFシステムのトランスポンダ端部の概略図であり、上流のハイブリッドトランスポンダのいくつかが遠隔電力/データ拡大ユニットと接続する実施形態を示す。
【0023】
【図12A】本発明のハイブリッドRoFシステムのトランスポンダ端部の概略図であり、ハイブリッドトランスポンダが天井に設置された光ファイバケーブルから下がって部屋に置かれているドロップダウン構成の実施形態を示す。
【0024】
【図12B】図12Aと類似しており、一つのクライアント装置がハイブリッドトランスポンダを通じて無線通信し、他のクライアント装置がハイブリッドトランスポンダを通じて有線通信している実施形態を示す。
【0025】
【図13】図12A及び図12Bに類似しており、ハイブリッドトランスポンダが天井の上に置かれ、有線ケーブルがトランスポンダの有線ケーブルポートに接続し、さらにクライアント装置にも接続し、ヘッドエンドとクライアント装置間で有線及び/又は無線通信が確立しているドロップダウン構成の実施形態を示す。
【0026】
【図14A】図13に類似しており、2つのクライアント装置を示す点で図13と異なり、有線ケーブルがハイブリッドトランスポンダの有線ケーブルポートではなく、トランスポンダに直接接続している実施形態を示す。
【0027】
【図14B】図14Aに類似しており、第1の有線ケーブルが壁のコンセントを通じてトランスポンダと接続し、第2の有線ケーブルは壁のコンセントを通じてクライアント装置と接続する実施形態を示す。
【0028】
【図15】ハイブリッドトランスポンダ及び有線ケーブルの拡大図であり、増幅器/フィルタ電子機器ユニット(A/F電子機器)でトランスポンダと直接接続する有線ケーブルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好ましい実施の形態が詳細に参照され、実施形態が添付される図面に示される。可能な限り、全図面を通して、同一又は類似の部品については、同一又は類似の参照番号が使用される。
【0030】
本発明は、無線及び有線の両ネットワーク接続を提供するハイブリッド無線/有線RoF通信システム(以下、「ハイブリッドRoFシステム」と略する)に関するものである。システムは、有線イーサネット又はファイバ光有線ケーブルのような高速有線接続とともに、IEEE802.11nのようなMIMO技術による通信が可能な無線接続を提供するよう設計される。本発明におけるハイブリッドRoFシステムの例は、無線及び有線ネットワークインフラストラクチャを、ベースバンドギガビット有線イーサネット信号(例えばIEEE802.3z@1Gbps)とともに、IEEE802.11a/b/g/n及びウルトラワイドバンド(UWB)信号を伝送するマルチモード光ファイバを備える単一のハイブリッドRoFシステム(例えば、ネットワーク)に結合する。
【0031】
以下の記載において、「無線」信号は無線通信を提供することに関連し、「有線」信号は、ベースバンド有線通信を提供することに関する。「無線」及び「有線」の両信号は、電気信号又は光信号のいずれであってもよく、無線信号は、さらに、「無線」(すなわち、有線ではない)通信と通常関連するタイプの自由空間の電磁信号であってもよい。
【0032】
また、以下の記載において、頭字語LANは、「local area network」の略であり、頭字語WLANは、「wireless local area network」の略である。
【0033】
(一般化された光ファイバベースの無線システム)
本発明におけるハイブリッドRoFシステム10の一般化された実施の形態の概略図である。ハイブリッドRoFシステム10は、ハイブリッドヘッドエンド20、両無線及び有線信号を処理するように構成される少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダユニット(「トランスポンダ」)30、ハイブリッドヘッドエンドを少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダと光学的に結合する光ファイバケーブル36を含む。ハイブリッドヘッドエンド20は、光通信ネットワーク又はインターネットなどの他のネットワークアーキテクチャバックボーンのような外部ソース22と通信リンク21を介して動作可能に接続する。
【0034】
図1の詳細図に示されるように、実施形態において、光ファイバケーブル36は、1または2本以上の光ファイバを含み、特別な実施形態において、ダウンリンク光ファイバ36D及びアップリンク光ファイバ36Uを含む。実施形態において、本発明は、ダウンリンク及びアップリンク光ファイバ36D、36Uにマルチモード光ファイバを利用する。さらに特別な実施形態において、OM3 50μmマルチモード光ファイバがダウンリンク及びアップリンク光ファイバ36D及び36Uに使用される。別の実施形態において、ダウンリンク光ファイバ36D及び/又はアップリンク光ファイバ36Uは、それぞれ1または2本以上の光ファイバを備える。図1において、例示のため及び説明を容易にするために、ダウンリンク及びアップリンク光ファイバ36D及び36Uについて、それぞれの光ファイバが示される。
【0035】
実施形態において、36D及び/又は36Uにおける複数の光ファイバのうちの一つの光ファイバは、無線信号のために使用され、36D及び/又は36Uの光ファイバにおける別の一つの光ファイバは、有線信号のために使用される。同様に、別の実施形態において、複数の光ファイバのうちの一つの光ファイバは、信号の一方のタイプに使用され、他の光ファイバは、両信号タイプを伝送する。説明のため及び議論を容易にするために、36Dのダウンリンク光ファイバは、ハイブリッドヘッドエンド20からハイブリッドトランスポンダ30にダウンリンクの光無線及び有線信号を伝送し、36Uのアップリンク光ファイバは、ハイブリッドトランスポンダからハイブリッドヘッドエンドにアップリンクの光無線及び有線信号を伝送するものとする。
【0036】
ハイブリッドRoFシステム10は、各ハイブリッドトランスポンダ30の位置で、対応するハイブリッドトランスポンダのあたりを実質的に中心とするセル40を形成する。実施形態において、セル40は、比較的大きくてもよく(例えば半径1000m)、又は直径1mから約20mの任意の範囲のピコセルであってもよい。少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダに関連する1または2以上のセル40は、セルラ受信可能範囲44を形成する。以下の議論の残りにおいて、説明のために、セル40は、「ピコセル」であるものとし、受信可能範囲44は「ピコセル受信可能範囲」とする。
【0037】
ハイブリッドトランスポンダ30は、イーサネット有線ベースケーブル又は光ファイバケーブルのような有線ケーブル50を介して有線通信を提供するように構成される。ハイブリッドヘッドエンド20は、無線周波数識別(RFID)、無線LAN(WLAN)通信(イーサネット信号)及び/又は移動電話サービスのような多くのRoFアプリケーションのいずれか一つを実行又は促進するように構成される。
【0038】
図1の参照を続けると、ピコセル40内に、例としてコンピュータの形態で2つのクライアント装置45(45Aと45B)が示される。実施形態のクライアント装置45Aは、自由空間の電磁信号を受信及び/又は送信するように構成される2つのアンテナ46A及び46B(例えばマルチアンテナ無線カード)を含み、クライアント装置45Bは、有線ケーブル50を介してトランスポンダと有線接続する。従って、クライアント装置45Aは、ハイブリッドトランスポンダ30を介してハイブリッドヘッドエンド20と多入力/多出力(MIMO)通信を行うように構成される。
【0039】
実施形態において、ハイブリッドRoFシステム10は、電力信号71を生成する電源70をさらに含む。実施形態において、電源70は、ヘッドエンドユニット20の位置にあり、電力線72を介してヘッドエンドユニット20と電気的に結合しており、ヘッドエンドユニット20内の電力消費要素に電力を供給する。実施形態において、電力線74は、ハイブリッドヘッドエンド20を通り抜けて少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダ30に達し、ハイブリッドヘッドエンド20の電力消費要素のみならず、以下に説明する例えばO/E及びE/Oコンバータのような少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダの電力消費要素に電力を供給する。実施形態において、電力線74は、単一電圧を伝送し且つトランスポンダ30で直流電力変換器180に電気的に結合する2本の電線74A及び74Bを含む(直流電力変換器180については、図5に関連して以下で詳細に説明される)。
【0040】
実施形態において、電源70は、1または2以上のハイブリッドトランスポンダの近くに用意され、光ファイバケーブル36ではなく電力線72を介して、近くの1または2以上のハイブリッドトランスポンダに直接電力を提供する。実施形態において、電力線74(又はその支線)は有線ケーブル50内に含まれ、それにより、ハイブリッドRoFシステム10は、ハイブリッドトランスポンダ30を介したパワー・オーバ・イーサネット(Power-over-Ethernet)を提供することができる。
【0041】
実施形態において、ハイブリッドRoFシステム10は、850nm、1300nm、1550nmのような既知の遠距離通信用波長を利用する。別の実施形態において、ハイブリッドRoFシステム10は、980nmのような一般的ではないが適切な他の波長を利用する。
【0042】
(ハイブリッドヘッドエンド)
図2は、図1のハイブリッドヘッドエンド20の実施形態の詳細図である。ハイブリッドヘッドエンド20は、第一及び第二の入力/出力側(I/O)102及び104を有するスイッチ100を含む。I/O側102は、I/Oポート103で通信リンク21と動作可能に結合する。実施形態において、通信リンク21は、高速(例えば10Gbps)イーサネットリンクであるか又はそれを含む。I/O側104は、アプリケーション数のI/Oポート106を含む。実施形態において、I/Oポート106は、低速ポート(例えば、異なる電線から通信リンク21によって伝送される10Gbpsイーサネット信号を処理する10個の1Gbpsポート)である。
【0043】
I/Oポート106Aは、無線信号変換器120と電気的に接続し、I/Oポート106Aは、有線信号変換器130と電気的に接続する。実施形態において、無線信号変換器120は、以下に説明するように、無線信号を増幅及びフィルタリングする増幅器/フィルタ電子機器ユニット(「A/F電子機器」)122を含む。ハイブリッドヘッドエンドユニット20は、実施形態において、周波数結合器140及び周波数分割器150を含む周波数マルチプレクサ/デマルチプレクサ(M/D)138をさらに含む。周波数M/D138は、A/F電子機器122及び変換器130と電気的に接続する。
【0044】
ハイブリッドヘッドエンド20は、周波数M/D138の周波数結合器140と電気的に結合する電気−光(E/O)変換器160をさらに含む。E/O変換器160は、周波数結合器140から電気信号を受信し、それらを対応する光信号に変換するように構成される。実施形態において、E/O変換器160は、RoFアプリケーションに十分なダイナミックレンジを放出するのに適したレーザを含み、レーザに電気的に結合するレーザドライバ/増幅器(図示せず)を適宜含む。E/O変換器160に適切なレーザの例は、レーザダイオード、分布帰還型(DFB)レーザ、Fabry-Perot(FP)型レーザ、及び10Gbpsデータ転送に適用される市販の波長850nmの垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)のようなVCSELを含む。E/O変換器160は、光ファイバケーブル36及びそれに収容されるダウンリンク光ファイバ36Dに光学的に結合される。
【0045】
ハイブリッドヘッドエンド20は、周波数M/D138の周波数分割器150、光ファイバケーブル36及びそれに収容されるアップリンク光ファイバ36Uと光学的に結合する光−電気(O/E)変換器162をさらに含む。O/E変換器162は、光信号を受信し、それらを電気信号に変換するように構成される。実施形態において、O/E変換器162は、光検出器、又はリニア増幅器に電気的に結合された光検出器であるか、又は、それを含む。E/O変換器160及びO/E変換器162は、電気信号を光信号に変換し、またその逆変換を行う変換器ペアユニット(「変換器ユニット」)166を構成する。
【0046】
図3を参照すると、ハイブリッドヘッドエンド20の動作の実施形態において、通信リンク21は、ダウンリンク及びアップリンクデジタル信号SD21及びSU21を含む信号S21を伝送する。ダウンリンクデジタル信号SD21は、例えば外部ソース22から送信される。デジタル信号S21は、データ、音声、ビデオなどのようなさまざまな異なる信号タイプを含んでいてもよい。広帯域幅のビデオ信号のような信号のある種のタイプは、比較的高速であり、有線接続を介して最終ユーザに送信するのに最適である。一方、狭帯域幅の音声信号のような信号のある種のタイプは、比較的低速であり、無線信号を介して最終ユーザに送信することができる。
【0047】
ダウンリンク信号SD21は、ハイブリッドエンド20に入り、スイッチ100に入力される。スイッチ100は、無線送信に最適なある信号SD21を無線信号変換器120に送り、有線送信に適した他の信号SD21を有線信号変換器130に送るように構成される。無線信号変換器120は、それに送られた信号SD21を受信し、それらをダウンリンク「無線信号」S1Dに変換する。具体的には、無線信号変換器120は、例えば2.4GHz又は5GHzのRF搬送波信号に信号SD21を位相変調及び/又は振幅変調し、ダウンリンク無線信号S1Dを生成する。無線信号変換器120は、さらにA/F電子機器122を用いて無線信号S1Dを増幅し、フィルタリングする。実施形態において、無線信号120は、無線通信の伝送プロトコル(例えば、イーサネット無線プロトコル802.3から無線LANプロトコル802.11)に適合するように構成される。
【0048】
一方、有線信号変換器130は、それに送られた信号SD21を受信し、これらの信号にハイブリッドシステムでの伝送に互換性を持たせるための処理(例えばフィルタリング)を行う。例えば、ダウンリンク信号SD21は、ツイストペア送信イーサネットデータ信号であり、有線信号変換器130は、信号SD21を対応するシングルエンド信号バージョンと互換性を持たせるように調整し、存在しうるパワー・オーバ・イーサネットDC信号を廃棄する。こうして、ダウンリンク有線信号S2Dが生成される。
【0049】
一般的に、無線信号S1Dは、有線信号S2Dより高い周波数を有し、それによりこれら2つの信号タイプは、周波数マルチプレクス及びでマルチプレクスすることができる。従って、無線信号S1D及び有線信号S2Dは、周波数M/D138及びその中の周波数結合器140に進む。周波数結合器140は、変換器ペアユニット166内のE/O変換器160に接続する共通の電線路上に異なる周波数の信号S1DとS2Dを結合(マルチプレクス)する。E/O変換器160は、それから、ダウンリンク電気無線信号S1Dを対応する光信号S1D’に変換し、ダウンリンク電気有線信号S2Dを対応する光信号S2D’に変換する。実施形態において、E/O変換器160は、無線及び有線光信号を単一の光搬送波に変調するように構成される。両無線及び有線光信号S1D’及びS2D’は、ダウンリンク光ファイバ36Dによって伝送され、ハイブリッドトランスポンダ30に進む。
【0050】
図4を参照すると、ハイブリッドヘッドエンド20は、以下に記載するように、トランスポンダ30からアップリンク光無線信号S1U’及びアップリンク光有線信号S2U’を受信する。これらの信号は、ハイブリッドトランスポンダ30から進行してアップリンク光ファイバ36Uを通って変換器ユニット166内のO/E変換器162によって受信される。O/E変換器162は、これらの信号を対応するアップリンク電気無線及び有線信号S1U及びS2Uに変換する。周波数M/D138の周波数分割器150は、これらの信号を分割(すなわち、デマルチプレクス)し、その後2つの異なる電線路に進ませる。すなわち、無線信号S1Uは、無線信号変換器120に進み、有線信号S2Uは、有線信号変換器130に進む。それから、無線信号変換器120は、それが受信する無線信号S2Uに作用して、RF搬送波から信号SU21を抽出する。同様に、有線信号変換器130は、それが受信する有線信号S2Uを処理して、信号SU21を形成する。例えば、有線信号S2Uは、有線信号変換器130によって、ツイストペア受信イーサネットデータ信号に変換される。
【0051】
変換器120及び130からの信号SU21は、スイッチ100に進み、スイッチ100は、これらの信号を通信リンク21に送る。実施形態において、すべての信号SU21が通信リンク21に送られるわけではない。例えば、中継器−セルラ信号は、スイッチ100を通過する必要はなく、むしろ、別の処理ユニット(図示せず)に送られる。
【0052】
(ハイブリッドトランスポンダ)
図5は、本発明によるハイブリッドトランスポンダ30の実施形態の概略図である。図6は、光ファイバケーブルと結合して示されるハイブリッドトランスポンダ30の概略図である。
【0053】
本発明のハイブリッドトランスポンダ30は、無線通信システムに関連する代表的なアクセスポイント装置と異なる。この代表的なアクセスポイント装置であるトランスポンダの好ましい実施の形態は、少数の信号調整要素を有するのみで、送信/受信される有線及び無線信号に関して、デジタル情報処理能力を有さない。ハイブリッドトランスポンダ30は、非常に小型であり、実質的にメンテナンスフリーとなることを可能とする。加えて、ハイブリッドトランスポンダ30の好ましい実施形態は、ほとんど電力を消費せず、信号に対して透過的であり、ローカルな電源を必要としない。ハイブリッドトランスポンダは、特定のハイブリッドトランスポンダのピコセル40内又はこのピコセルの外側のいずれかにあるクライアント装置45と有線接続するように構成される。
【0054】
ハイブリッドトランスポンダ30は変換器ユニット166を含み、変換器ユニット166のO/E変換器162はダウンリンク光ファイバ36Dに光学的に結合し、変換器ユニット166のE/O変換器160はアップリンク光ファイバ36Uに光学的に結合する。O/E変換器162は、周波数M/D138、具体的にはその中の周波数分割器150と電気的に接続する。E/O変換器160は、周波数M/D138、具体的にはその中の周波数結合器140と電気的に接続する。両周波数分割器150及び周波数結合器140は、A/F電子機器122と電気的に接続する。周波数M/D138の周波数分割器150は、3ポート信号方向性要素200のポートP1と電気的に接続し、3ポート信号方向性要素200は、追加のポートP2及びP3を有する。実施形態において、信号方向性要素200はサーキュレータである。
【0055】
アンテナシステム210は、信号方向性要素200の入力/出力ポートP2と電気的に接続し、周波数M/D138の周波数結合器140は出力ポートP3と電気的に接続する。実施形態において、アンテナシステム210は、現在の譲受人に譲渡された2006年8月16日出願の米国特許出願第11/504、999号に開示されるような1または2以上のパッチアンテナを含む。実施形態において、アンテナシステム210は、ピコセル40(又は、より一般的には、1または2以上のトランスポンダによって形成されるピコセル受信可能範囲44)内の1または2以上のクライアント装置とMIMO受信可能に構成される。アンテナシステム210は、以下において、詳細に説明される。
【0056】
A/F電子機器122は、有線ケーブルポート220と電気的に結合し、有線ケーブルポート220は、実施形態においては、イーサネットケーブルポートであるか、それを含む。ケーブルポート220は、イーサネットケーブルコネクタ(プラグ)と有線接続するクライアント装置45まで延びるイーサネットケーブル(図1参照)のように、有線ケーブル50のケーブルコネクタ230を受け入れるように構成される。実施形態において、ケーブルポート220はギガビットイーサネット有線ポートであり、有線ケーブル50はイーサネットケーブルである。実施形態において、電源線74はケーブルポート220で使用可能にアクセス可能であり、有線ケーブル50は、電源線74の一部分を含み、有線ケーブルポートでトランスポンダ30を介してパワー・オーバ・イーサネット(Power-over-Ethernet)を提供する。
【0057】
実施形態において、前述のDC電力変換器160は変換器ユニット166と電気的に結合し、トランスポンダ30内の電力消費要素により必要とされる電力レベルに電力信号71の電圧又はレベルを変化させる。実施形態において、DC電力変換器180は、電力線74により伝送される電力信号71のタイプに応じて、DC/DC電力変換器又はAC/DC電力変換器のいずれかである。実施形態において、電力線74は、標準的な電気通信分野及び他の分野で使用される標準的な電力伝送用電線、例えば、18-26AWG(American Wire Gauge)を含む。
【0058】
再度図1を参照すると、別の実施形態において、電力線72(鎖線)は、ローカルな電源70からハイブリッドトランスポンダ30(例えば、光通信リンク36の一部を通じて、又は、直接ハイブリッドトランスポンダ)に延びており、電源線74のような光ファイバケーブル36を介してヘッドエンド20から、又はヘッドエンド20を通じて延びているのではない。別の実施形態において、電力線72又は74は、2本以上の電線を含み、複数の電圧を伝送する。
【0059】
(ハイブリッドトランスポンダの動作)
ハイブリッドトランスポンダ30は、少なくとも一つのクライアント装置45に両無線及び有線接続を提供するように構成される。これにより、図5を参照すると、ハイブリッドトランスポンダ30の動作において、ダウンリンク光無線及び有線信号S1D’及びS2D’はヘッドエンドユニット20から出力され、ダウンリンク光ファイバ36Dを通じてハイブリッドトランスポンダ166の変換器ユニット166内のO/E変換器162に達する。O/E変換器162は光信号S1D’及びS2D’を対応する電気信号S1D及びS2Dに復元する。電気信号S1D及びS2Dは、周波数M/D138、及び周波数M/D138内の周波数分割器150に送られ、周波数分割器150は、これらの信号をデマルチプレクスし、無線信号S1Dは信号方向性要素200に送られ、有線信号S2DはA/F電子機器122、それから有線ケーブルポート220に送られる。
【0060】
信号方向性要素200は、信号S1Dをアンテナシステム210に送り、アンテナシステム210は、対応するダウンリンク自由空間電磁無線信号S1D”を送信する。クライアント装置45Aはピコセル40内にあるので、信号S1D”はクライアントデバイスのアンテナ46A又は46B(アンテナ46Aと称す)によって受信され、このアンテナは例えば無線カードの一部、又は携帯電話機のアンテナのどちらであってもよい。アンテナ46Aはクライアント装置内で電磁信号S1D”を対応する電気信号S1Dに変換する(クライアント装置内の信号S1Dは図示されず)。それから、クライアント装置45Aは、例えば信号情報をメモリに格納し、Eメール又は文字メッセージのような情報を画面に表示するなど電気信号S1Dを処理する。一方、有線信号S2Dは有線ケーブル50を伝送してクライアント装置45Bに到達し(図1参照)、そこで処理される。
【0061】
図7を参照すると、実施形態において、クライアント装置45A(図1)は、アップリンク電気無線信号S1U(クライアント装置内では示されず)を生成し、この信号S1Uはアンテナ46Aにより、対応する自由空間電磁信号S1U”に変換される。クライアント装置45Aはピコセル40内に位置しているので、電磁信号S1U”はトランスポンダアンテナシステム210によって検出され、トランスポンダアンテナシステム210は、この信号を電気信号S1Uに復元する。一方、クライアント装置45Bは、有線アップリンク信号S2Uを有線ケーブル50を介してハイブリッドトランスポンダ30に送信する。
【0062】
その後、信号S1Uは、信号方向性要素200によってポートP3から周波数M/D138及びその中の周波数結合器140に送られる。一方、信号S2Uは、A/F電子機器122によって増幅及びフィルタリングされ、周波数M/D138及びその中の周波数結合器140に供給される。周波数結合器140は、信号S1U及びS2Uを結合(マルチプレクス)し、それらをE/O変換器160に供給する。E/O変換器160は、これらの電気信号を対応する光信号S1U’及びS2U’に変換する。それから、これらの光信号は、アップリンク光ファイバ36Uを通じてハイブリッドヘッドエンドユニット20に送られ、ハイブリッドヘッドエンドユニット20で上述した方法で受信及び処理される。
【0063】
(MIMOの動作)
好ましい実施の形態において、ハイブリッドRoFシステム10は、MIMO動作を利用可能に構成される。図8は、システムの実施形態を説明するハイブリッドRoFシステム10のトランスポンダ端部の概略図であり、クライアント装置45Aは2つのアンテナ46A及び46Bを含んでいる。この構成は、クライアント45Aとの無線通信と同時に、ダウンリンク及びアップリンク電気有線信号S2D及びS2Uを用いてクライアント45B及び45Cとの有線通信を提供する2x2MIMO無線通信を可能とする。
【0064】
ハイブリッドRoFシステム10は、特定のアンテナシステム210の構成及び特定のクライアント装置で利用可能なアンテナの数に応じて、例えば1x2、2x1、2x3、3x2、3x3、3x4、4x3、4x4などの多種多様なMIMO構成を設定することができる。
複数アンテナ及びMIMO能力を有するクライアント装置の実施形態は、複数アンテナMIMO無線カードを搭載したラップトップコンピュータである。
【0065】
一般的に言って、MIMOの適用において、電気無線信号S1D及び対応するアップリンク信号S1Uは、ビット系列の形態である。MIMOを適用するために、各トランスポンダアンテナシステム及び各クライアントアンテナシステムは、ビットストリームのセグメントを送信及び受信する両送信及び受信アンテナとして機能する。代わりに、送信用及び受信用のアンテナが別々であってよい。アップリンクMIMO通信について、各トランスポンダアンテナシステム210は、各送信アンテナ46A及び46BAにより送信されるアップリンク電磁自由空間無線信号S1U”(すなわち、ビットストリームセグメント)のさまざまな部分を受信し、混在したビットストリームが各受信アンテナで受信される。同様に、ダウンリンクMIMO通信について、各アンテナ46A及び46BAは、各送信アンテナシステム210から送信される対応するダウンリンク信号S1D”(すなわちビットストリームセグメント)のさまざまな部分を受信する。こうして、ハイブリッドヘッドエンドステーション20は、異なるハイブリッドトランスポンダ30に同時にダウンリンク信号S1Dを供給するが、ダウンリンク信号ビットストリームはMIMO信号処理に応じて、ハイブリッドトランスポンダの間で分配される。同様に、クライアント装置は、アップリンク信号ビットストリームを異なるアンテナシステム210に同時に送信するが、アップリンク信号ビットストリームは、MIMO信号処理に応じて、クライアント装置アンテナ間で分配される。
【0066】
実施形態において、ハイブリッドヘッドエンド20は、MIMOゲインを得るために、与えられたダウンリンクビットストリーム信号を各トランスポンダアンテナシステム210あての別々のダウンリンクビットストリームに適切に分割する数学的アルゴリズムを実行することによって、信号電気ダウンリンク及びアップリンク信号のMIMO信号処理を実行するように構成される。同様に、ハイブリッドヘッドエンド20は、各アンテナシステム210によって受信された別の混在したアップリンク信号ビットストリームを適切に再結合するように構成される。クライアント装置45Aは、好ましくは、MIMO技術を用いてアンテナシステム210と通信可能とするためにMIMO信号処理能力を有する。
【0067】
本発明での使用に適したMIMO信号処理の手法例は、例えば、Arogyaswami et alによる”An overview of MIMO communications a key to gigabit wireless”というタイトルの論文(Proceedings of the IEEE、 Vol. 92、 No.2 February 2004)に詳述されており、この論文は、ここに引用して援用される。実施形態において、無線信号変換器120は、上述のMIMO信号処理を実行するように構成されるMIMOチップ124を含む。MIMO能力を提供するためにヘッドエンドユニット20での使用に適したMIMOチップの例は、カリフォルニア州アーバイン(Irvine)のBroadcom Inc.から入手可能な802.11n互換MIMOチップである。
【0068】
MIMO通信方法を使用することによって、独立したダウンリンク及びアップリンク信号(ビットストリーム)は2つ以上のトランスポンダアンテナシステム210から送信され、ビットレートをN倍に向上させることができる。ここで、Nは、使用されるトランスポンダアンテナシステム210の数又は使用されるクライアントアンテナ45の数のいずれか小さい方の数である。MIMO方法は、単一アンテナトランスポンダを利用するピコセルラ無線システムを可能とし、IEEE無線通信規格(例えば、IEEE802.11n)のような将来の無線通信規格によって期待されるより高速なデータ転送レートを満足する。
【0069】
図9は、2xNのMIMO能力を提供するように構成された本発明におけるハイブリッドトランスポンダ30の実施形態の概略図である。トランスポンダ30は2つのアンテナシステム210を含む。図10は、図9のハイブリッドトランスポンダ30がクライアント装置45AとMIMO無線通信を実行するとともに近隣のクライアント装置45B及び45Cと有線通信する使用状態の概略図である。MIMO無線通信は、ダウンリンク自由空間電磁信号S1D”とその対応するアップリンク自由空間電磁信号S1U”を含む。これらの信号は上述した方法により処理される。
【0070】
図10において、実施形態において、光ファイバケーブル36は、2組のダウンリンク及びアップリンク光ファイバ36D及び36Uを含み、2つの異なる無線信号(例えば異なる周波数を有する無線信号)を処理する。別の実施形態において、図9のハイブリッドトランスポンダ30及びハイブリッドヘッドエンド(図3)は、異なる周波数のダウンリンク及びアップリンク無線信号を同じダウンリンク及びアップリンク光ファイバに周波数マルチプレクスするように構成される。
【0071】
(データ及び電力の到達範囲の拡大)
ハイブリッドRoFシステム10の例は、従来の「ピコセル」ケーブルの次のセクションに代わって、電力供給される壁ソケットへの接続を可能とし且つ有線信号を無線信号に変換することによって、従来のセルラ(例えばピコセルラ)ネットワークの最大電力及びデータ到達範囲を拡大する。図11は、RoFネットワークシステム10のトランスポンダ端部の概略図であり、全電力がヘッドエンド20から光ファイバーケーブル36(図1)により伝送される電力線74を介して供給されるのではなく、電力はローカルに供給され、有線信号(例えば、イーサネット有線信号)が上流のハイブリッドヘッドエンド20への無線信号に変換される実施形態を示す。
【0072】
図11のRoFシステム10の実施形態は、(複数線の)ローカルな電力線72により伝送される電力信号を介して電力を供給する電源70を含む電力/データ拡大ユニット260を含む。ローカルな電力線72は、ハイブリッドヘッドエンド20から最も遠い上位ケーブル区間上のハイブリッドトランスポンダ30に電力を伝送し、ハイブリッドヘッド20により近い下位ケーブル区間301上のハイブリッドトランスポンダ30は、リンク36により伝送される電力線74により電力供給される。電力拡大の実施形態において、電源70は、電気コード310及びプラグ320を介して電気コンセント308(又は自己発電)により電力供給される。
【0073】
データ拡大の実施形態において、電力/データ拡大ユニット260は、下位ケーブル区間301で伝送されるダウンリンク有線信号S2D(例えばイーサネットコード化有線信号)を上位ケーブル区間302の複数のダウンリンク無線信号S1Dに変換するのに適合する有線−無線変換器ユニット(例えばWLANルータ)322を含む。同様に、電力/データ拡大ユニット260は、上位ケーブル区間302で伝送されるアップリンク無線信号S1Uを下位ケーブル区間301を介してハイブリッドヘッドエンド20に戻るアップリンク有線信号S2Uに変換するように構成される。
【0074】
(ドロップダウン構成)
本発明のハイブリッドRoFシステム10の利点は、有線イーサネット接続へのアクセスを容易にするために、トランスポンダを部屋の角の卓上の高さに掛けた状態で、無線ピコセルラシステムが設置されるのと同じ方法でハイブリッドRoFシステム10を設置することができることである。このようなオフィス環境において、ユーザは、単一のハイブリッドトランスポンダから、オフィスのどの場所でも、「心配のない」高速有線接続とともに、ブロードバンド無線接続の両方を得る。
【0075】
図12Aは、ハイブリッドRoFシステム10のトランスポンダ端の概略図であり、ハイブリッドトランスポンダ30は、天井402から部屋(オフィス、図書館空間など)400内に光ファイバ36を介して下げられている。クライアント装置45は、部屋400内のテーブル406上に置かれている状態で示される。このドロップダウン構成により、クライアント装置45は、有線ケーブル50を介した便利な有線通信だけはなく、無線通信が可能となる。図12Aに示されるMIMOアンテナシステム210は、例示のためにパッチアンテナを含む。図12Aのドロップダウン構成により、システムユーザは、有線接続を得るためにトランスポンダ30のポート220に有線ケーブル50を接続できるだけでなく、有線ケーブル50をクライアント装置45に容易に接続することができる。
【0076】
図12Bは図12Aと類似しており、一つのクライアント装置45がハイブリッドトランスポンダ30と無線通信し、別のクライアント装置45は有線ケーブル50を介してハイブリッドトランスポンダと有線通信する実施形態を示す。
【0077】
図13は、図12に類似する概略図であり、ハイブリッドトランスポンダが天井402の上にあり、有線ケーブルが有線ケーブルポート220と接続している実施形態を示す。有線ケーブル50は、それがクライアント装置45と接続可能となるために、天井402(例えばそれに形成された項10)を貫通して下げられている。この構成は、トランスポンダ30を隠し、トランスポンダへのアクセスができる限りにおいて、又は、ユーザが有線ケーブル50をハイブリッドトランスポンダに接続しなければならない必要がないように有線ケーブル50がハイブリッドトランスポンダに接続され、天井から下げられているならば、便利である。
【0078】
図14Aは、図13に類似した概略図であり、有線ケーブルポート220がない点で異なっている。有線ケーブル50は、図15に示されるハイブリッドトランスポンダの拡大部分図で示されるように、ハイブリッドトランスポンダ30、例えば増幅器/フィルタユニット122に直接接続される。図14Aは、一つのクライアント装置45はハイブリッドトランスポンダ30とむせ得通信し、別のクライアント装置45はハイブリッドトランスポンダと有線通信する実施形態を示す。
【0079】
図14Bは、図14Aと類似する概略図であり、第一の有線ケーブル50は、トランスポンダ30を壁403の壁コンセント420に接続し、第二の有線ケーブル50は、クライアント装置45を壁コンセントに接続する。実施形態において、壁コンセント420は、多数のクライアント装置がトランスポンダ30と有線接続可能とするために、2つ以上のソケット(例えばRJタイプソケット)422を含む。
【0080】
(利点)
ハイブリッドトランスポンダ30及び少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダを含むハイブリッドRoFシステムは、無線及び有線接続を別々に提供するトランスポンダ及びRoF通信システムに有用である。例えば、ハイブリッドRoFシステム10は、別々の有線及び無線ネットワークの必要性をなくし、代わって、単一の統合されたアーキテクチャで無線及び有線接続を提供する。加えて、一つのファイバケーブルネットワークで新しいネットワークの配置が実現可能となる。さらに、システムのハイブリッド性は、別々の有線及び無線インフラストラクチャを配置するのと比較してより設置費用を安くする。また、本発明のハイブリッドRoFシステム10システムは、新しく回線を敷く必要性なしに、ユーザ単位で有線接続から無線接続への移行を容易にする。
【0081】
ハイブリッドRoFシステム10は、所望の位置での有線接続を保証することで、接続信頼性を改善する。ハイブリッドRoFシステム10は、従来のRoFケーブルの次のセクションに代わって、無線データストリームに変換される追加の有線データを使用することで、従来のセルラネットワークの最大データ到達範囲を拡大する。ハイブリッドRoFシステムは、ドロップダウン有線イーサネットケーブルでローカルに電力供給することで、従来のセルラネットワークの最大電力到達範囲を拡大する。
【0082】
本発明の両有線及び無線の特徴は、技術の進歩に応じて容易にアップグレードできることである。2006年2月17日出願の米国特許出願第11/357、640号(この出願は、本願に引用して援用される)に記載されるセル結合を用いて、例えば、MIMO能力は、1x2MIMOから2x3MIMO又は4x6MIMOなどに、必要に応じて更新できる。
【0083】
ハイブリッドRoFシステム10は、既存の建物のインフラストラクチャに配置するのが比較的容易である。例えば、ハイブリッドRoFシステムは、例えば建物の壁内ではなく、光ファイバケーブルを天井タイルの上に配置するのと同じ方法で配置することができる。
【0084】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に対する改変が可能であることは当業者にとって明らかである。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある本発明の改変を含む。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、無線及び有線通信システムに関し、詳細には、有線及び/又は無線技術を利用した光ファイバ無線(Radio-over-fiber)(RoF)通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
絶えず増大する高速移動データ通信の需要に伴って、無線通信が急速に成長している。例えば、いわゆる”wireless fidelity”又は”WiFi”システム及び無線LAN(wireless local area networks)が多種多様なエリア(コーヒーショップ、空港、図書館など)に配置されている。無線通信システムは、「クライアント」と呼ばれる無線装置と通信し、クライアントは、アクセスポイント装置と通信するために、無線範囲又は「セル受信可能領域」内に存在しなければならない。
【0003】
無線通信システムを配置する一つの手法は、無線周波数(RF)受信可能領域である「セル」の使用を必要とする。セルは、比較的大きい半径(例えば1000m)又は約数メートルから約20メートル程度までの比較的小さい半径(「ピコセル」)を有する。ピコセルは小さい領域に適用されるので、一つのピコセルには、典型的に数人のユーザ(クライアント)のみが存在する。また、ピコセルは、従来の基地局によって生成されるより大きなセルでカバーされると信号強度が弱くなる小さい領域で、選択的な無線受信を可能とする。
【0004】
RoF無線セルラシステムを構成する必須の構成部品は、ヘッドエンドコントローラ(「ヘッドエンド」)、1または2本以上の光ファイバケーブル、1または2以上のトランスポンダである。光ファイバケーブルは、ヘッドエンドコントローラの一端に接続する。トランスポンダは、光ファイバケーブルの長さに沿って光ファイバケーブルと光学的に結合する。光ファイバケーブルは、トランスポンダとヘッドエンド間のRoF光信号を伝送するダウンリンク光ファイバとアップリンク光ファイバを有する。トランスポンダは、RoF光信号を電気信号に変換し及びその逆変換も行い、対応する1または2以上のセルを生成する。トランスポンダは、対応するセル内で、RF自由空間電磁(EM)信号をクライアント装置と送受信する1つ以上のアンテナを含む。多数のトランスポンダを結合することで、「セルラ受信可能領域」と呼ばれる領域を受信可能とするセルの配列が生成される。近接して配置されたピコセルの配列は、1ユーザ当たり高いデータ処理量を提供するピコセルラ受信可能領域を形成する。
【0005】
RoF無線セルラ又はピコセルラシステムは頑健である一方、例えば、今日の技術用語において、ギガビット有線イーサネットを伴ったIEEE802.11a/b/g/n規格の無線RoFインフラストラクチャ、及びIEEE802.3/u./z(IEEE802.3は10Mbps、IEEE802.3uは100Mbps、IEEE802.3zは1Gbps)規格の有線インフラストラクチャのような最高水準の無線及び有線サービスをエンドユーザに提供することが望ましい。これを達成する伝統的な手法は、配置及び維持するのに高価で複雑な2つの異なる無線及び有線ネットワークインフラストラクチャを通じさせることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2つの異なる通信システムの配置が複雑且つ高価になることなく、エンドユーザに無線及び有線の両サービスを提供することができる手法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様は、ハイブリッドヘッドエンドから少なくとも一つのクライアント装置に無線及び有線信号を配信するためのハイブリッドトランスポンダである。ハイブリッドトランスポンダは、ヘッドエンドユニットからの無線及び有線光信号を、対応する有線及び無線電気信号への変換及びその逆変換を行うように構成されるハイブリッド変換器を含む。ハイブリッドトランスポンドは、さらに、電気的に変換器に接続し且つ有線及び無線電気信号をマルチプレクス及びデマルチプレクスする周波数マルチプレクサ/デマルチプレクサ(M/D)を含む。アンテナシステムは、そのアンテナシステムに、少なくとも一つのクライアント装置から無線信号を送受信させるように構成される信号指向要素を介して周波数M/Dと電気的に接続する。標準的なイーサネットポートのような有線ケーブルポートは、周波数M/Dと電気的に接続し、有線電気信号を少なくとも一つのクライアント装置に伝送し及び少なくとも一つのクライアント装置から伝送するために有線ケーブル(例えばイーサネットケーブル)と接続するように構成される。本発明の更なる実施の形態は、光信号を少なくとも一つのクライアント装置に伝送し及び少なくとも一つのクライアント装置から伝送する有線ケーブルとケーブルポートを備える。こうして、ハイブリッドトランスポンダは、1または2以上のクライアント装置とハイブリッドヘッドエンド間の有線及び無線の両通信を可能とする。実施形態において、一つのクライアント装置は、ハイブリッドトランスポンダを介して無線通信を行い、一方、別のクライアント装置は、ハイブリッドトランスポンダを介して有線通信を行う。別の実施形態において、同一のクライアント装置は、ハイブリッドトランスポンダを介して有線通信及び無線通信の両方を行う。
【0008】
本発明の別の態様は、ハイブリッドトランスポンダから少なくとも一つのクライアント装置への有線及び無線接続を提供する方法である。方法は、ヘッドエンドユニットに光学的に結合し且つハイブリッドヘッドエンドからの光学的な有線及び無線信号を、対応する電気的な有線及び無線信号に変換する少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダを配置することを含む。また、方法は、少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダにおいて、少なくとも一つのクライアント装置と無線通信するように多入力/多出力(MIMO)アンテナシステムに電気的な無線信号を送ることを含む。また、方法は、トランスポンダを少なくとも一つのクライアント装置に動作可能に接続する有線ケーブルを介して、電気的な有線信号を有線ケーブルポート及びクライアント装置に送ることを含む。
【0009】
本発明の別の態様は、少なくとも一つのクライアント装置への無線及び有線接続を提供することができるハイブリッドRoF通信システムである。システムは、光ファイバケーブルを伝送する有線及び無線光信号を送受信するように構成されるハイブリッドヘッドエンドを含む。少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダは、光ファイバケーブルと光学的に結合し、有線及び無線の光信号から対応する有線及び無線の電気信号への変換及びその逆変換するように構成されている。ハイブリッドトランスポンダは、少なくとも一つのクライアント装置にアンテナシステムを介して無線電気信号を無線送信し、及びハイブリッドトランスポンダ少なくとも一つのクライアント装置と動作可能に接続する有線ケーブルを介して有線信号を少なくとも一つのクライアント装置に有線送信するように構成される。実施形態において、システムは、一つのクライアント装置との有線接続及び別のクライアント装置との無線接続を提供する。両クライアント装置ともシステムの一つのセル内に存在する。
【0010】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明で述べられ、その記載から当業者にとって容易に明白であり、また、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、添付の図面を含むここに記載される発明を実施することにより理解される。
【0011】
前述の概略的な記載及び以下の詳細な記載は、本発明の実施の形態を示し、特許請求の範囲で規定される発明の本質及び性質を理解するための概要又は基礎を提供することを意図している。添付の図面は、発明の更なる理解を提供するために含められ、明細書の一部に援用され及び明細書の一部を構成する。図面は、発明のさまざまな実施の形態を示し、記載とともに、発明の原理及び動作を説明する。
【0012】
従って、さまざまな基本的な電気回路の要素、及びバイアスティ、RFフィルタ、増幅器、電力分岐器など信号を調整する部品は、説明及び図示を平易にするために示されない。このような基本的な電気回路の要素及び部品の本発明の装置及びシステムへの適用は、当業者にとって明白である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明におけるハイブリッドRoF無線/有線通信システム(ハイブリッドRoFシステム)の一般化された実施の形態の概略図であり、光ファイバケーブルを介して少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダに光学的に結合するハイブリッドヘッドエンドを示し、ハイブリッドトランスポンダの一つにより形成されるセル(ピコセル)とそのピコセル内の2つのクライアント装置を示す。
【0014】
【図2】図1のハイブリッドRoFシステムのハイブリッドヘッドエンドの実施形態の詳細図である。
【0015】
【図3】図2と同様の図であり、さまざまなダウンリンク及びアップリンクの有線及び無線信号を示す。
【図4】図2と同様の図であり、さまざまなダウンリンク及びアップリンクの有線及び無線信号を示す。
【0016】
【図5】図1のシステムのハイブリッドトランスポンダの実施形態の詳細図であり、ヘッドエンドに送信及びヘッドエンドから受信されるさまざまな光及び電気のダウンリンク無線及び有線信号を示し、クライアント装置との有線通信を提供する有線ケーブルを示す。
【0017】
【図6】ダウンリンク及びアップリンク光ファイバを有する光ファイバケーブルに組み込まれるハイブリッドトランスポンダを示す概略図であり、トランスポンダのイーサネットタイプの有線ケーブルポートを示す。
【0018】
【図7】図5と同様の図であり、さまざまなアップリンクの光及び電気並びに有線及び無線信号を示す。
【0019】
【図8】本発明のハイブリッドRoFシステムのトランスポンダ端部の概略図であり、2つのトランスポンダと、1つ又は2つのハイブリッドトランスポンダと無線通信中の多入力/多出力(MIMO)クライアント装置とそれぞれのハイブリッドトランスポンダと有線通信中の他の2つのクライアント装置を含む3つのクライアント装置を示す。
【0020】
【図9】MIMOハイブリッドトランスポンダの実施形態を示す詳細図である。
【0021】
【図10】図9のMIMOハイブリッドトランスポンダを含む本発明のハイブリッドRoFシステムのトランスポンダ端部の概略であり、一つのクライアント装置とのMIMO無線通信を提供し他の2つのクライアント装置との有線通信を提供するハイブリッドトランスポンダを示す。
【0022】
【図11】本発明のハイブリッドRoFシステムのトランスポンダ端部の概略図であり、上流のハイブリッドトランスポンダのいくつかが遠隔電力/データ拡大ユニットと接続する実施形態を示す。
【0023】
【図12A】本発明のハイブリッドRoFシステムのトランスポンダ端部の概略図であり、ハイブリッドトランスポンダが天井に設置された光ファイバケーブルから下がって部屋に置かれているドロップダウン構成の実施形態を示す。
【0024】
【図12B】図12Aと類似しており、一つのクライアント装置がハイブリッドトランスポンダを通じて無線通信し、他のクライアント装置がハイブリッドトランスポンダを通じて有線通信している実施形態を示す。
【0025】
【図13】図12A及び図12Bに類似しており、ハイブリッドトランスポンダが天井の上に置かれ、有線ケーブルがトランスポンダの有線ケーブルポートに接続し、さらにクライアント装置にも接続し、ヘッドエンドとクライアント装置間で有線及び/又は無線通信が確立しているドロップダウン構成の実施形態を示す。
【0026】
【図14A】図13に類似しており、2つのクライアント装置を示す点で図13と異なり、有線ケーブルがハイブリッドトランスポンダの有線ケーブルポートではなく、トランスポンダに直接接続している実施形態を示す。
【0027】
【図14B】図14Aに類似しており、第1の有線ケーブルが壁のコンセントを通じてトランスポンダと接続し、第2の有線ケーブルは壁のコンセントを通じてクライアント装置と接続する実施形態を示す。
【0028】
【図15】ハイブリッドトランスポンダ及び有線ケーブルの拡大図であり、増幅器/フィルタ電子機器ユニット(A/F電子機器)でトランスポンダと直接接続する有線ケーブルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好ましい実施の形態が詳細に参照され、実施形態が添付される図面に示される。可能な限り、全図面を通して、同一又は類似の部品については、同一又は類似の参照番号が使用される。
【0030】
本発明は、無線及び有線の両ネットワーク接続を提供するハイブリッド無線/有線RoF通信システム(以下、「ハイブリッドRoFシステム」と略する)に関するものである。システムは、有線イーサネット又はファイバ光有線ケーブルのような高速有線接続とともに、IEEE802.11nのようなMIMO技術による通信が可能な無線接続を提供するよう設計される。本発明におけるハイブリッドRoFシステムの例は、無線及び有線ネットワークインフラストラクチャを、ベースバンドギガビット有線イーサネット信号(例えばIEEE802.3z@1Gbps)とともに、IEEE802.11a/b/g/n及びウルトラワイドバンド(UWB)信号を伝送するマルチモード光ファイバを備える単一のハイブリッドRoFシステム(例えば、ネットワーク)に結合する。
【0031】
以下の記載において、「無線」信号は無線通信を提供することに関連し、「有線」信号は、ベースバンド有線通信を提供することに関する。「無線」及び「有線」の両信号は、電気信号又は光信号のいずれであってもよく、無線信号は、さらに、「無線」(すなわち、有線ではない)通信と通常関連するタイプの自由空間の電磁信号であってもよい。
【0032】
また、以下の記載において、頭字語LANは、「local area network」の略であり、頭字語WLANは、「wireless local area network」の略である。
【0033】
(一般化された光ファイバベースの無線システム)
本発明におけるハイブリッドRoFシステム10の一般化された実施の形態の概略図である。ハイブリッドRoFシステム10は、ハイブリッドヘッドエンド20、両無線及び有線信号を処理するように構成される少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダユニット(「トランスポンダ」)30、ハイブリッドヘッドエンドを少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダと光学的に結合する光ファイバケーブル36を含む。ハイブリッドヘッドエンド20は、光通信ネットワーク又はインターネットなどの他のネットワークアーキテクチャバックボーンのような外部ソース22と通信リンク21を介して動作可能に接続する。
【0034】
図1の詳細図に示されるように、実施形態において、光ファイバケーブル36は、1または2本以上の光ファイバを含み、特別な実施形態において、ダウンリンク光ファイバ36D及びアップリンク光ファイバ36Uを含む。実施形態において、本発明は、ダウンリンク及びアップリンク光ファイバ36D、36Uにマルチモード光ファイバを利用する。さらに特別な実施形態において、OM3 50μmマルチモード光ファイバがダウンリンク及びアップリンク光ファイバ36D及び36Uに使用される。別の実施形態において、ダウンリンク光ファイバ36D及び/又はアップリンク光ファイバ36Uは、それぞれ1または2本以上の光ファイバを備える。図1において、例示のため及び説明を容易にするために、ダウンリンク及びアップリンク光ファイバ36D及び36Uについて、それぞれの光ファイバが示される。
【0035】
実施形態において、36D及び/又は36Uにおける複数の光ファイバのうちの一つの光ファイバは、無線信号のために使用され、36D及び/又は36Uの光ファイバにおける別の一つの光ファイバは、有線信号のために使用される。同様に、別の実施形態において、複数の光ファイバのうちの一つの光ファイバは、信号の一方のタイプに使用され、他の光ファイバは、両信号タイプを伝送する。説明のため及び議論を容易にするために、36Dのダウンリンク光ファイバは、ハイブリッドヘッドエンド20からハイブリッドトランスポンダ30にダウンリンクの光無線及び有線信号を伝送し、36Uのアップリンク光ファイバは、ハイブリッドトランスポンダからハイブリッドヘッドエンドにアップリンクの光無線及び有線信号を伝送するものとする。
【0036】
ハイブリッドRoFシステム10は、各ハイブリッドトランスポンダ30の位置で、対応するハイブリッドトランスポンダのあたりを実質的に中心とするセル40を形成する。実施形態において、セル40は、比較的大きくてもよく(例えば半径1000m)、又は直径1mから約20mの任意の範囲のピコセルであってもよい。少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダに関連する1または2以上のセル40は、セルラ受信可能範囲44を形成する。以下の議論の残りにおいて、説明のために、セル40は、「ピコセル」であるものとし、受信可能範囲44は「ピコセル受信可能範囲」とする。
【0037】
ハイブリッドトランスポンダ30は、イーサネット有線ベースケーブル又は光ファイバケーブルのような有線ケーブル50を介して有線通信を提供するように構成される。ハイブリッドヘッドエンド20は、無線周波数識別(RFID)、無線LAN(WLAN)通信(イーサネット信号)及び/又は移動電話サービスのような多くのRoFアプリケーションのいずれか一つを実行又は促進するように構成される。
【0038】
図1の参照を続けると、ピコセル40内に、例としてコンピュータの形態で2つのクライアント装置45(45Aと45B)が示される。実施形態のクライアント装置45Aは、自由空間の電磁信号を受信及び/又は送信するように構成される2つのアンテナ46A及び46B(例えばマルチアンテナ無線カード)を含み、クライアント装置45Bは、有線ケーブル50を介してトランスポンダと有線接続する。従って、クライアント装置45Aは、ハイブリッドトランスポンダ30を介してハイブリッドヘッドエンド20と多入力/多出力(MIMO)通信を行うように構成される。
【0039】
実施形態において、ハイブリッドRoFシステム10は、電力信号71を生成する電源70をさらに含む。実施形態において、電源70は、ヘッドエンドユニット20の位置にあり、電力線72を介してヘッドエンドユニット20と電気的に結合しており、ヘッドエンドユニット20内の電力消費要素に電力を供給する。実施形態において、電力線74は、ハイブリッドヘッドエンド20を通り抜けて少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダ30に達し、ハイブリッドヘッドエンド20の電力消費要素のみならず、以下に説明する例えばO/E及びE/Oコンバータのような少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダの電力消費要素に電力を供給する。実施形態において、電力線74は、単一電圧を伝送し且つトランスポンダ30で直流電力変換器180に電気的に結合する2本の電線74A及び74Bを含む(直流電力変換器180については、図5に関連して以下で詳細に説明される)。
【0040】
実施形態において、電源70は、1または2以上のハイブリッドトランスポンダの近くに用意され、光ファイバケーブル36ではなく電力線72を介して、近くの1または2以上のハイブリッドトランスポンダに直接電力を提供する。実施形態において、電力線74(又はその支線)は有線ケーブル50内に含まれ、それにより、ハイブリッドRoFシステム10は、ハイブリッドトランスポンダ30を介したパワー・オーバ・イーサネット(Power-over-Ethernet)を提供することができる。
【0041】
実施形態において、ハイブリッドRoFシステム10は、850nm、1300nm、1550nmのような既知の遠距離通信用波長を利用する。別の実施形態において、ハイブリッドRoFシステム10は、980nmのような一般的ではないが適切な他の波長を利用する。
【0042】
(ハイブリッドヘッドエンド)
図2は、図1のハイブリッドヘッドエンド20の実施形態の詳細図である。ハイブリッドヘッドエンド20は、第一及び第二の入力/出力側(I/O)102及び104を有するスイッチ100を含む。I/O側102は、I/Oポート103で通信リンク21と動作可能に結合する。実施形態において、通信リンク21は、高速(例えば10Gbps)イーサネットリンクであるか又はそれを含む。I/O側104は、アプリケーション数のI/Oポート106を含む。実施形態において、I/Oポート106は、低速ポート(例えば、異なる電線から通信リンク21によって伝送される10Gbpsイーサネット信号を処理する10個の1Gbpsポート)である。
【0043】
I/Oポート106Aは、無線信号変換器120と電気的に接続し、I/Oポート106Aは、有線信号変換器130と電気的に接続する。実施形態において、無線信号変換器120は、以下に説明するように、無線信号を増幅及びフィルタリングする増幅器/フィルタ電子機器ユニット(「A/F電子機器」)122を含む。ハイブリッドヘッドエンドユニット20は、実施形態において、周波数結合器140及び周波数分割器150を含む周波数マルチプレクサ/デマルチプレクサ(M/D)138をさらに含む。周波数M/D138は、A/F電子機器122及び変換器130と電気的に接続する。
【0044】
ハイブリッドヘッドエンド20は、周波数M/D138の周波数結合器140と電気的に結合する電気−光(E/O)変換器160をさらに含む。E/O変換器160は、周波数結合器140から電気信号を受信し、それらを対応する光信号に変換するように構成される。実施形態において、E/O変換器160は、RoFアプリケーションに十分なダイナミックレンジを放出するのに適したレーザを含み、レーザに電気的に結合するレーザドライバ/増幅器(図示せず)を適宜含む。E/O変換器160に適切なレーザの例は、レーザダイオード、分布帰還型(DFB)レーザ、Fabry-Perot(FP)型レーザ、及び10Gbpsデータ転送に適用される市販の波長850nmの垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)のようなVCSELを含む。E/O変換器160は、光ファイバケーブル36及びそれに収容されるダウンリンク光ファイバ36Dに光学的に結合される。
【0045】
ハイブリッドヘッドエンド20は、周波数M/D138の周波数分割器150、光ファイバケーブル36及びそれに収容されるアップリンク光ファイバ36Uと光学的に結合する光−電気(O/E)変換器162をさらに含む。O/E変換器162は、光信号を受信し、それらを電気信号に変換するように構成される。実施形態において、O/E変換器162は、光検出器、又はリニア増幅器に電気的に結合された光検出器であるか、又は、それを含む。E/O変換器160及びO/E変換器162は、電気信号を光信号に変換し、またその逆変換を行う変換器ペアユニット(「変換器ユニット」)166を構成する。
【0046】
図3を参照すると、ハイブリッドヘッドエンド20の動作の実施形態において、通信リンク21は、ダウンリンク及びアップリンクデジタル信号SD21及びSU21を含む信号S21を伝送する。ダウンリンクデジタル信号SD21は、例えば外部ソース22から送信される。デジタル信号S21は、データ、音声、ビデオなどのようなさまざまな異なる信号タイプを含んでいてもよい。広帯域幅のビデオ信号のような信号のある種のタイプは、比較的高速であり、有線接続を介して最終ユーザに送信するのに最適である。一方、狭帯域幅の音声信号のような信号のある種のタイプは、比較的低速であり、無線信号を介して最終ユーザに送信することができる。
【0047】
ダウンリンク信号SD21は、ハイブリッドエンド20に入り、スイッチ100に入力される。スイッチ100は、無線送信に最適なある信号SD21を無線信号変換器120に送り、有線送信に適した他の信号SD21を有線信号変換器130に送るように構成される。無線信号変換器120は、それに送られた信号SD21を受信し、それらをダウンリンク「無線信号」S1Dに変換する。具体的には、無線信号変換器120は、例えば2.4GHz又は5GHzのRF搬送波信号に信号SD21を位相変調及び/又は振幅変調し、ダウンリンク無線信号S1Dを生成する。無線信号変換器120は、さらにA/F電子機器122を用いて無線信号S1Dを増幅し、フィルタリングする。実施形態において、無線信号120は、無線通信の伝送プロトコル(例えば、イーサネット無線プロトコル802.3から無線LANプロトコル802.11)に適合するように構成される。
【0048】
一方、有線信号変換器130は、それに送られた信号SD21を受信し、これらの信号にハイブリッドシステムでの伝送に互換性を持たせるための処理(例えばフィルタリング)を行う。例えば、ダウンリンク信号SD21は、ツイストペア送信イーサネットデータ信号であり、有線信号変換器130は、信号SD21を対応するシングルエンド信号バージョンと互換性を持たせるように調整し、存在しうるパワー・オーバ・イーサネットDC信号を廃棄する。こうして、ダウンリンク有線信号S2Dが生成される。
【0049】
一般的に、無線信号S1Dは、有線信号S2Dより高い周波数を有し、それによりこれら2つの信号タイプは、周波数マルチプレクス及びでマルチプレクスすることができる。従って、無線信号S1D及び有線信号S2Dは、周波数M/D138及びその中の周波数結合器140に進む。周波数結合器140は、変換器ペアユニット166内のE/O変換器160に接続する共通の電線路上に異なる周波数の信号S1DとS2Dを結合(マルチプレクス)する。E/O変換器160は、それから、ダウンリンク電気無線信号S1Dを対応する光信号S1D’に変換し、ダウンリンク電気有線信号S2Dを対応する光信号S2D’に変換する。実施形態において、E/O変換器160は、無線及び有線光信号を単一の光搬送波に変調するように構成される。両無線及び有線光信号S1D’及びS2D’は、ダウンリンク光ファイバ36Dによって伝送され、ハイブリッドトランスポンダ30に進む。
【0050】
図4を参照すると、ハイブリッドヘッドエンド20は、以下に記載するように、トランスポンダ30からアップリンク光無線信号S1U’及びアップリンク光有線信号S2U’を受信する。これらの信号は、ハイブリッドトランスポンダ30から進行してアップリンク光ファイバ36Uを通って変換器ユニット166内のO/E変換器162によって受信される。O/E変換器162は、これらの信号を対応するアップリンク電気無線及び有線信号S1U及びS2Uに変換する。周波数M/D138の周波数分割器150は、これらの信号を分割(すなわち、デマルチプレクス)し、その後2つの異なる電線路に進ませる。すなわち、無線信号S1Uは、無線信号変換器120に進み、有線信号S2Uは、有線信号変換器130に進む。それから、無線信号変換器120は、それが受信する無線信号S2Uに作用して、RF搬送波から信号SU21を抽出する。同様に、有線信号変換器130は、それが受信する有線信号S2Uを処理して、信号SU21を形成する。例えば、有線信号S2Uは、有線信号変換器130によって、ツイストペア受信イーサネットデータ信号に変換される。
【0051】
変換器120及び130からの信号SU21は、スイッチ100に進み、スイッチ100は、これらの信号を通信リンク21に送る。実施形態において、すべての信号SU21が通信リンク21に送られるわけではない。例えば、中継器−セルラ信号は、スイッチ100を通過する必要はなく、むしろ、別の処理ユニット(図示せず)に送られる。
【0052】
(ハイブリッドトランスポンダ)
図5は、本発明によるハイブリッドトランスポンダ30の実施形態の概略図である。図6は、光ファイバケーブルと結合して示されるハイブリッドトランスポンダ30の概略図である。
【0053】
本発明のハイブリッドトランスポンダ30は、無線通信システムに関連する代表的なアクセスポイント装置と異なる。この代表的なアクセスポイント装置であるトランスポンダの好ましい実施の形態は、少数の信号調整要素を有するのみで、送信/受信される有線及び無線信号に関して、デジタル情報処理能力を有さない。ハイブリッドトランスポンダ30は、非常に小型であり、実質的にメンテナンスフリーとなることを可能とする。加えて、ハイブリッドトランスポンダ30の好ましい実施形態は、ほとんど電力を消費せず、信号に対して透過的であり、ローカルな電源を必要としない。ハイブリッドトランスポンダは、特定のハイブリッドトランスポンダのピコセル40内又はこのピコセルの外側のいずれかにあるクライアント装置45と有線接続するように構成される。
【0054】
ハイブリッドトランスポンダ30は変換器ユニット166を含み、変換器ユニット166のO/E変換器162はダウンリンク光ファイバ36Dに光学的に結合し、変換器ユニット166のE/O変換器160はアップリンク光ファイバ36Uに光学的に結合する。O/E変換器162は、周波数M/D138、具体的にはその中の周波数分割器150と電気的に接続する。E/O変換器160は、周波数M/D138、具体的にはその中の周波数結合器140と電気的に接続する。両周波数分割器150及び周波数結合器140は、A/F電子機器122と電気的に接続する。周波数M/D138の周波数分割器150は、3ポート信号方向性要素200のポートP1と電気的に接続し、3ポート信号方向性要素200は、追加のポートP2及びP3を有する。実施形態において、信号方向性要素200はサーキュレータである。
【0055】
アンテナシステム210は、信号方向性要素200の入力/出力ポートP2と電気的に接続し、周波数M/D138の周波数結合器140は出力ポートP3と電気的に接続する。実施形態において、アンテナシステム210は、現在の譲受人に譲渡された2006年8月16日出願の米国特許出願第11/504、999号に開示されるような1または2以上のパッチアンテナを含む。実施形態において、アンテナシステム210は、ピコセル40(又は、より一般的には、1または2以上のトランスポンダによって形成されるピコセル受信可能範囲44)内の1または2以上のクライアント装置とMIMO受信可能に構成される。アンテナシステム210は、以下において、詳細に説明される。
【0056】
A/F電子機器122は、有線ケーブルポート220と電気的に結合し、有線ケーブルポート220は、実施形態においては、イーサネットケーブルポートであるか、それを含む。ケーブルポート220は、イーサネットケーブルコネクタ(プラグ)と有線接続するクライアント装置45まで延びるイーサネットケーブル(図1参照)のように、有線ケーブル50のケーブルコネクタ230を受け入れるように構成される。実施形態において、ケーブルポート220はギガビットイーサネット有線ポートであり、有線ケーブル50はイーサネットケーブルである。実施形態において、電源線74はケーブルポート220で使用可能にアクセス可能であり、有線ケーブル50は、電源線74の一部分を含み、有線ケーブルポートでトランスポンダ30を介してパワー・オーバ・イーサネット(Power-over-Ethernet)を提供する。
【0057】
実施形態において、前述のDC電力変換器160は変換器ユニット166と電気的に結合し、トランスポンダ30内の電力消費要素により必要とされる電力レベルに電力信号71の電圧又はレベルを変化させる。実施形態において、DC電力変換器180は、電力線74により伝送される電力信号71のタイプに応じて、DC/DC電力変換器又はAC/DC電力変換器のいずれかである。実施形態において、電力線74は、標準的な電気通信分野及び他の分野で使用される標準的な電力伝送用電線、例えば、18-26AWG(American Wire Gauge)を含む。
【0058】
再度図1を参照すると、別の実施形態において、電力線72(鎖線)は、ローカルな電源70からハイブリッドトランスポンダ30(例えば、光通信リンク36の一部を通じて、又は、直接ハイブリッドトランスポンダ)に延びており、電源線74のような光ファイバケーブル36を介してヘッドエンド20から、又はヘッドエンド20を通じて延びているのではない。別の実施形態において、電力線72又は74は、2本以上の電線を含み、複数の電圧を伝送する。
【0059】
(ハイブリッドトランスポンダの動作)
ハイブリッドトランスポンダ30は、少なくとも一つのクライアント装置45に両無線及び有線接続を提供するように構成される。これにより、図5を参照すると、ハイブリッドトランスポンダ30の動作において、ダウンリンク光無線及び有線信号S1D’及びS2D’はヘッドエンドユニット20から出力され、ダウンリンク光ファイバ36Dを通じてハイブリッドトランスポンダ166の変換器ユニット166内のO/E変換器162に達する。O/E変換器162は光信号S1D’及びS2D’を対応する電気信号S1D及びS2Dに復元する。電気信号S1D及びS2Dは、周波数M/D138、及び周波数M/D138内の周波数分割器150に送られ、周波数分割器150は、これらの信号をデマルチプレクスし、無線信号S1Dは信号方向性要素200に送られ、有線信号S2DはA/F電子機器122、それから有線ケーブルポート220に送られる。
【0060】
信号方向性要素200は、信号S1Dをアンテナシステム210に送り、アンテナシステム210は、対応するダウンリンク自由空間電磁無線信号S1D”を送信する。クライアント装置45Aはピコセル40内にあるので、信号S1D”はクライアントデバイスのアンテナ46A又は46B(アンテナ46Aと称す)によって受信され、このアンテナは例えば無線カードの一部、又は携帯電話機のアンテナのどちらであってもよい。アンテナ46Aはクライアント装置内で電磁信号S1D”を対応する電気信号S1Dに変換する(クライアント装置内の信号S1Dは図示されず)。それから、クライアント装置45Aは、例えば信号情報をメモリに格納し、Eメール又は文字メッセージのような情報を画面に表示するなど電気信号S1Dを処理する。一方、有線信号S2Dは有線ケーブル50を伝送してクライアント装置45Bに到達し(図1参照)、そこで処理される。
【0061】
図7を参照すると、実施形態において、クライアント装置45A(図1)は、アップリンク電気無線信号S1U(クライアント装置内では示されず)を生成し、この信号S1Uはアンテナ46Aにより、対応する自由空間電磁信号S1U”に変換される。クライアント装置45Aはピコセル40内に位置しているので、電磁信号S1U”はトランスポンダアンテナシステム210によって検出され、トランスポンダアンテナシステム210は、この信号を電気信号S1Uに復元する。一方、クライアント装置45Bは、有線アップリンク信号S2Uを有線ケーブル50を介してハイブリッドトランスポンダ30に送信する。
【0062】
その後、信号S1Uは、信号方向性要素200によってポートP3から周波数M/D138及びその中の周波数結合器140に送られる。一方、信号S2Uは、A/F電子機器122によって増幅及びフィルタリングされ、周波数M/D138及びその中の周波数結合器140に供給される。周波数結合器140は、信号S1U及びS2Uを結合(マルチプレクス)し、それらをE/O変換器160に供給する。E/O変換器160は、これらの電気信号を対応する光信号S1U’及びS2U’に変換する。それから、これらの光信号は、アップリンク光ファイバ36Uを通じてハイブリッドヘッドエンドユニット20に送られ、ハイブリッドヘッドエンドユニット20で上述した方法で受信及び処理される。
【0063】
(MIMOの動作)
好ましい実施の形態において、ハイブリッドRoFシステム10は、MIMO動作を利用可能に構成される。図8は、システムの実施形態を説明するハイブリッドRoFシステム10のトランスポンダ端部の概略図であり、クライアント装置45Aは2つのアンテナ46A及び46Bを含んでいる。この構成は、クライアント45Aとの無線通信と同時に、ダウンリンク及びアップリンク電気有線信号S2D及びS2Uを用いてクライアント45B及び45Cとの有線通信を提供する2x2MIMO無線通信を可能とする。
【0064】
ハイブリッドRoFシステム10は、特定のアンテナシステム210の構成及び特定のクライアント装置で利用可能なアンテナの数に応じて、例えば1x2、2x1、2x3、3x2、3x3、3x4、4x3、4x4などの多種多様なMIMO構成を設定することができる。
複数アンテナ及びMIMO能力を有するクライアント装置の実施形態は、複数アンテナMIMO無線カードを搭載したラップトップコンピュータである。
【0065】
一般的に言って、MIMOの適用において、電気無線信号S1D及び対応するアップリンク信号S1Uは、ビット系列の形態である。MIMOを適用するために、各トランスポンダアンテナシステム及び各クライアントアンテナシステムは、ビットストリームのセグメントを送信及び受信する両送信及び受信アンテナとして機能する。代わりに、送信用及び受信用のアンテナが別々であってよい。アップリンクMIMO通信について、各トランスポンダアンテナシステム210は、各送信アンテナ46A及び46BAにより送信されるアップリンク電磁自由空間無線信号S1U”(すなわち、ビットストリームセグメント)のさまざまな部分を受信し、混在したビットストリームが各受信アンテナで受信される。同様に、ダウンリンクMIMO通信について、各アンテナ46A及び46BAは、各送信アンテナシステム210から送信される対応するダウンリンク信号S1D”(すなわちビットストリームセグメント)のさまざまな部分を受信する。こうして、ハイブリッドヘッドエンドステーション20は、異なるハイブリッドトランスポンダ30に同時にダウンリンク信号S1Dを供給するが、ダウンリンク信号ビットストリームはMIMO信号処理に応じて、ハイブリッドトランスポンダの間で分配される。同様に、クライアント装置は、アップリンク信号ビットストリームを異なるアンテナシステム210に同時に送信するが、アップリンク信号ビットストリームは、MIMO信号処理に応じて、クライアント装置アンテナ間で分配される。
【0066】
実施形態において、ハイブリッドヘッドエンド20は、MIMOゲインを得るために、与えられたダウンリンクビットストリーム信号を各トランスポンダアンテナシステム210あての別々のダウンリンクビットストリームに適切に分割する数学的アルゴリズムを実行することによって、信号電気ダウンリンク及びアップリンク信号のMIMO信号処理を実行するように構成される。同様に、ハイブリッドヘッドエンド20は、各アンテナシステム210によって受信された別の混在したアップリンク信号ビットストリームを適切に再結合するように構成される。クライアント装置45Aは、好ましくは、MIMO技術を用いてアンテナシステム210と通信可能とするためにMIMO信号処理能力を有する。
【0067】
本発明での使用に適したMIMO信号処理の手法例は、例えば、Arogyaswami et alによる”An overview of MIMO communications a key to gigabit wireless”というタイトルの論文(Proceedings of the IEEE、 Vol. 92、 No.2 February 2004)に詳述されており、この論文は、ここに引用して援用される。実施形態において、無線信号変換器120は、上述のMIMO信号処理を実行するように構成されるMIMOチップ124を含む。MIMO能力を提供するためにヘッドエンドユニット20での使用に適したMIMOチップの例は、カリフォルニア州アーバイン(Irvine)のBroadcom Inc.から入手可能な802.11n互換MIMOチップである。
【0068】
MIMO通信方法を使用することによって、独立したダウンリンク及びアップリンク信号(ビットストリーム)は2つ以上のトランスポンダアンテナシステム210から送信され、ビットレートをN倍に向上させることができる。ここで、Nは、使用されるトランスポンダアンテナシステム210の数又は使用されるクライアントアンテナ45の数のいずれか小さい方の数である。MIMO方法は、単一アンテナトランスポンダを利用するピコセルラ無線システムを可能とし、IEEE無線通信規格(例えば、IEEE802.11n)のような将来の無線通信規格によって期待されるより高速なデータ転送レートを満足する。
【0069】
図9は、2xNのMIMO能力を提供するように構成された本発明におけるハイブリッドトランスポンダ30の実施形態の概略図である。トランスポンダ30は2つのアンテナシステム210を含む。図10は、図9のハイブリッドトランスポンダ30がクライアント装置45AとMIMO無線通信を実行するとともに近隣のクライアント装置45B及び45Cと有線通信する使用状態の概略図である。MIMO無線通信は、ダウンリンク自由空間電磁信号S1D”とその対応するアップリンク自由空間電磁信号S1U”を含む。これらの信号は上述した方法により処理される。
【0070】
図10において、実施形態において、光ファイバケーブル36は、2組のダウンリンク及びアップリンク光ファイバ36D及び36Uを含み、2つの異なる無線信号(例えば異なる周波数を有する無線信号)を処理する。別の実施形態において、図9のハイブリッドトランスポンダ30及びハイブリッドヘッドエンド(図3)は、異なる周波数のダウンリンク及びアップリンク無線信号を同じダウンリンク及びアップリンク光ファイバに周波数マルチプレクスするように構成される。
【0071】
(データ及び電力の到達範囲の拡大)
ハイブリッドRoFシステム10の例は、従来の「ピコセル」ケーブルの次のセクションに代わって、電力供給される壁ソケットへの接続を可能とし且つ有線信号を無線信号に変換することによって、従来のセルラ(例えばピコセルラ)ネットワークの最大電力及びデータ到達範囲を拡大する。図11は、RoFネットワークシステム10のトランスポンダ端部の概略図であり、全電力がヘッドエンド20から光ファイバーケーブル36(図1)により伝送される電力線74を介して供給されるのではなく、電力はローカルに供給され、有線信号(例えば、イーサネット有線信号)が上流のハイブリッドヘッドエンド20への無線信号に変換される実施形態を示す。
【0072】
図11のRoFシステム10の実施形態は、(複数線の)ローカルな電力線72により伝送される電力信号を介して電力を供給する電源70を含む電力/データ拡大ユニット260を含む。ローカルな電力線72は、ハイブリッドヘッドエンド20から最も遠い上位ケーブル区間上のハイブリッドトランスポンダ30に電力を伝送し、ハイブリッドヘッド20により近い下位ケーブル区間301上のハイブリッドトランスポンダ30は、リンク36により伝送される電力線74により電力供給される。電力拡大の実施形態において、電源70は、電気コード310及びプラグ320を介して電気コンセント308(又は自己発電)により電力供給される。
【0073】
データ拡大の実施形態において、電力/データ拡大ユニット260は、下位ケーブル区間301で伝送されるダウンリンク有線信号S2D(例えばイーサネットコード化有線信号)を上位ケーブル区間302の複数のダウンリンク無線信号S1Dに変換するのに適合する有線−無線変換器ユニット(例えばWLANルータ)322を含む。同様に、電力/データ拡大ユニット260は、上位ケーブル区間302で伝送されるアップリンク無線信号S1Uを下位ケーブル区間301を介してハイブリッドヘッドエンド20に戻るアップリンク有線信号S2Uに変換するように構成される。
【0074】
(ドロップダウン構成)
本発明のハイブリッドRoFシステム10の利点は、有線イーサネット接続へのアクセスを容易にするために、トランスポンダを部屋の角の卓上の高さに掛けた状態で、無線ピコセルラシステムが設置されるのと同じ方法でハイブリッドRoFシステム10を設置することができることである。このようなオフィス環境において、ユーザは、単一のハイブリッドトランスポンダから、オフィスのどの場所でも、「心配のない」高速有線接続とともに、ブロードバンド無線接続の両方を得る。
【0075】
図12Aは、ハイブリッドRoFシステム10のトランスポンダ端の概略図であり、ハイブリッドトランスポンダ30は、天井402から部屋(オフィス、図書館空間など)400内に光ファイバ36を介して下げられている。クライアント装置45は、部屋400内のテーブル406上に置かれている状態で示される。このドロップダウン構成により、クライアント装置45は、有線ケーブル50を介した便利な有線通信だけはなく、無線通信が可能となる。図12Aに示されるMIMOアンテナシステム210は、例示のためにパッチアンテナを含む。図12Aのドロップダウン構成により、システムユーザは、有線接続を得るためにトランスポンダ30のポート220に有線ケーブル50を接続できるだけでなく、有線ケーブル50をクライアント装置45に容易に接続することができる。
【0076】
図12Bは図12Aと類似しており、一つのクライアント装置45がハイブリッドトランスポンダ30と無線通信し、別のクライアント装置45は有線ケーブル50を介してハイブリッドトランスポンダと有線通信する実施形態を示す。
【0077】
図13は、図12に類似する概略図であり、ハイブリッドトランスポンダが天井402の上にあり、有線ケーブルが有線ケーブルポート220と接続している実施形態を示す。有線ケーブル50は、それがクライアント装置45と接続可能となるために、天井402(例えばそれに形成された項10)を貫通して下げられている。この構成は、トランスポンダ30を隠し、トランスポンダへのアクセスができる限りにおいて、又は、ユーザが有線ケーブル50をハイブリッドトランスポンダに接続しなければならない必要がないように有線ケーブル50がハイブリッドトランスポンダに接続され、天井から下げられているならば、便利である。
【0078】
図14Aは、図13に類似した概略図であり、有線ケーブルポート220がない点で異なっている。有線ケーブル50は、図15に示されるハイブリッドトランスポンダの拡大部分図で示されるように、ハイブリッドトランスポンダ30、例えば増幅器/フィルタユニット122に直接接続される。図14Aは、一つのクライアント装置45はハイブリッドトランスポンダ30とむせ得通信し、別のクライアント装置45はハイブリッドトランスポンダと有線通信する実施形態を示す。
【0079】
図14Bは、図14Aと類似する概略図であり、第一の有線ケーブル50は、トランスポンダ30を壁403の壁コンセント420に接続し、第二の有線ケーブル50は、クライアント装置45を壁コンセントに接続する。実施形態において、壁コンセント420は、多数のクライアント装置がトランスポンダ30と有線接続可能とするために、2つ以上のソケット(例えばRJタイプソケット)422を含む。
【0080】
(利点)
ハイブリッドトランスポンダ30及び少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダを含むハイブリッドRoFシステムは、無線及び有線接続を別々に提供するトランスポンダ及びRoF通信システムに有用である。例えば、ハイブリッドRoFシステム10は、別々の有線及び無線ネットワークの必要性をなくし、代わって、単一の統合されたアーキテクチャで無線及び有線接続を提供する。加えて、一つのファイバケーブルネットワークで新しいネットワークの配置が実現可能となる。さらに、システムのハイブリッド性は、別々の有線及び無線インフラストラクチャを配置するのと比較してより設置費用を安くする。また、本発明のハイブリッドRoFシステム10システムは、新しく回線を敷く必要性なしに、ユーザ単位で有線接続から無線接続への移行を容易にする。
【0081】
ハイブリッドRoFシステム10は、所望の位置での有線接続を保証することで、接続信頼性を改善する。ハイブリッドRoFシステム10は、従来のRoFケーブルの次のセクションに代わって、無線データストリームに変換される追加の有線データを使用することで、従来のセルラネットワークの最大データ到達範囲を拡大する。ハイブリッドRoFシステムは、ドロップダウン有線イーサネットケーブルでローカルに電力供給することで、従来のセルラネットワークの最大電力到達範囲を拡大する。
【0082】
本発明の両有線及び無線の特徴は、技術の進歩に応じて容易にアップグレードできることである。2006年2月17日出願の米国特許出願第11/357、640号(この出願は、本願に引用して援用される)に記載されるセル結合を用いて、例えば、MIMO能力は、1x2MIMOから2x3MIMO又は4x6MIMOなどに、必要に応じて更新できる。
【0083】
ハイブリッドRoFシステム10は、既存の建物のインフラストラクチャに配置するのが比較的容易である。例えば、ハイブリッドRoFシステムは、例えば建物の壁内ではなく、光ファイバケーブルを天井タイルの上に配置するのと同じ方法で配置することができる。
【0084】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に対する改変が可能であることは当業者にとって明らかである。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある本発明の改変を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドヘッドエンドから少なくとも一つのクライアント装置に無線及び有線信号を配信するためのハイブリッドトランスポンダにおいて、
前記ヘッドエンドユニットからの無線および有線光信号を有線及び無線電気信号に変換し、またはその逆変換を行うように構成されるハイブリッド変換器と、
前記変換器に電気的に接続し、前記有線及び無線電気信号をマルチプレクス及びデマルチプレクスするように構成される周波数マルチプレクサ/デマルチプレクサ(M/D)と、
前記少なくとも一つのクライアント装置からの無線信号の送受信を可能とする信号方向性要素を介して前記周波数M/Dと電気的に接続するアンテナシステムと、
前記周波数M/Dと電気的に接続し、前記少なくとも一つのクライアント装置へ及び前記少なくとも一つのクライアント装置から信号を伝送する有線ケーブルと接続するように構成される有線ケーブルポートとを備えている、
ことを特徴とするハイブリッドトランスポンダ。
【請求項2】
前記有線ケーブルポートと前記周波数M/Dとの間に配置される増幅器/フィルタ(A/F)電気機器ユニットをさらに含む、
請求項1に記載のハイブリッドトランスポンダ。
【請求項3】
前記トランスポンダは、前記有線ケーブルポートに接続する前記有線ケーブルを含む、
請求項1又は2に記載のハイブリッドトランスポンダ。
【請求項4】
前記アンテナシステムは、多入力/多出力(MIMO)通信を用いて、前記少なくとも一つのクライアント装置と通信するように構成される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハイブリッドトランスポンダ。
【請求項5】
前記アンテナシステムは、少なくとも一つのパッチアンテナを含む、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハイブリッドトランスポンダ。
【請求項6】
請求項1乃至5にいずれか1項に記載の少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダと、
前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダと光学的に結合し、前記無線及び有線光信号を伝送するように構成される光ファイバケーブルとを備えることを特徴とするハイブリッドRoF通信システム。
【請求項7】
前記光ファイバケーブルは、ダウンリンク及びアップリンク光ファイバを含む、
請求項6に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項8】
前記光ファイバケーブルと光学的に結合する前記ハイブリッドヘッドエンドをさらに含む、
請求項6又は7に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項9】
前記アンテナシステムは、多入力/多出力(MIMO)通信を用いて、前記少なくとも一つのクライアント装置と通信するように構成される、
請求項6乃至8のいずれか1項に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項10】
前記少なくとも一つのクライアント装置の一つは、前記有線ケーブルポートに接続されるイーサネットケーブルを介して、前記少なくとも一つのトランスポンダと有線接続する、
請求項6乃至9のいずれか1項に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項11】
前記少なくとも一つのクライアント装置は天井を有する部屋に置かれ、前記少なくとも一つのトランスポンダは前記天井の下又は上のいずれかに配置される、
請求項6乃至10のいずれか1項に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項12】
前記光ファイバケーブルは、前記ヘッドエンドユニットから前記少なくとも一つのトランスポンダに電力を伝送するように構成される電力線を含む、
請求項6乃至11のいずれか1項に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項13】
前記光ファイバケーブルに動作可能に結合され、前記少なくとも一つのトランスポンダの1または2以上に電力を供給し且つ下流方向への光有線信号を上流方向への光無線信号に変換するように構成される電力/データ拡大ユニットをさらに含む、
請求項12に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項14】
ハイブリッドヘッドエンドから少なくとも一つのクライアント装置への有線及び無線接続を提供する方法において、
前記ヘッドエンドユニットに光学的に結合し且つ前記ハイブリッドヘッドエンドからの光有線及び無線信号を電気有線及び無線信号に変換する少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダを配置し、
前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダにおいて、
前記少なくとも一つのクライアント装置と無線受信可能とするように、前記電気無線信号を多入力/多出力(MIMO)アンテナシステムに送信し、
前記電気有線信号を、有線ケーブルポート、及び前記トランスポンダを前記少なくとも一つのクライアント装置に動作可能に接続する有線ケーブルを介して前記クライアント装置に送信する、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記有線信号は、ギガビットイーサネット信号である、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ハイブリッドヘッドエンドからの前記有線及び無線光信号を単一の光搬送波で送信する、
請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも一つのクライアント装置に無線及び有線接続を提供可能とするハイブリッドRoF通信システムにおいて、
光ファイバケーブルを通じて、有線及び無線光信号を送信及び受信するように構成されるハイブリッドヘッドエンドと、
前記光ファイバケーブルと光学的に結合され、有線及び無線光信号を対応する有線及び無線電気信号に変換し及びその逆変換を行うように構成され、さらに、前記ハイブリッドトランスポンダは、前記無線電気信号を前記少なくとも一つのクライアント装置にアンテナシステムを介して無線送信し且つ前記有線信号を前記少なくとも一つのクライアント装置に前記ハイブリッドトランスポンダを前記少なくとも一つのクライアント装置に動作可能に接続する有線ケーブルを介して有線送信するように構成される少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダとを備える、
ことを特徴とするハイブリッドRoF通信システム。
【請求項18】
前記アンテナシステム及び前記少なくとも一つのクライアント装置は、前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダによって形成されるピコセル受信可能範囲内で多入力/多出力(MIMO)通信するように構成される、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記光ファイバケーブルは、
前記ハイブリッドヘッドエンドから前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダにダウンリンク有線及び無線光信号を伝送するダウンリンク光ファイバと、
前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダから前記ハイブリッドヘッドエンドにアップリンク有線及び無線光信号を伝送するアップリンク光ファイバとを含む、
請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記光ファイバケーブルは、電源から1または2以上の前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダに電力を伝送する電力線を含み、前記電源は、前記ヘッドエンドステーションを介して前記電力線に電気的に接続するか、又は、前記光ファイバ通信リンクを通じて直接前記電力線に電気的に接続するかのどちらかである、
請求項17乃至19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項1】
ハイブリッドヘッドエンドから少なくとも一つのクライアント装置に無線及び有線信号を配信するためのハイブリッドトランスポンダにおいて、
前記ヘッドエンドユニットからの無線および有線光信号を有線及び無線電気信号に変換し、またはその逆変換を行うように構成されるハイブリッド変換器と、
前記変換器に電気的に接続し、前記有線及び無線電気信号をマルチプレクス及びデマルチプレクスするように構成される周波数マルチプレクサ/デマルチプレクサ(M/D)と、
前記少なくとも一つのクライアント装置からの無線信号の送受信を可能とする信号方向性要素を介して前記周波数M/Dと電気的に接続するアンテナシステムと、
前記周波数M/Dと電気的に接続し、前記少なくとも一つのクライアント装置へ及び前記少なくとも一つのクライアント装置から信号を伝送する有線ケーブルと接続するように構成される有線ケーブルポートとを備えている、
ことを特徴とするハイブリッドトランスポンダ。
【請求項2】
前記有線ケーブルポートと前記周波数M/Dとの間に配置される増幅器/フィルタ(A/F)電気機器ユニットをさらに含む、
請求項1に記載のハイブリッドトランスポンダ。
【請求項3】
前記トランスポンダは、前記有線ケーブルポートに接続する前記有線ケーブルを含む、
請求項1又は2に記載のハイブリッドトランスポンダ。
【請求項4】
前記アンテナシステムは、多入力/多出力(MIMO)通信を用いて、前記少なくとも一つのクライアント装置と通信するように構成される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハイブリッドトランスポンダ。
【請求項5】
前記アンテナシステムは、少なくとも一つのパッチアンテナを含む、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハイブリッドトランスポンダ。
【請求項6】
請求項1乃至5にいずれか1項に記載の少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダと、
前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダと光学的に結合し、前記無線及び有線光信号を伝送するように構成される光ファイバケーブルとを備えることを特徴とするハイブリッドRoF通信システム。
【請求項7】
前記光ファイバケーブルは、ダウンリンク及びアップリンク光ファイバを含む、
請求項6に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項8】
前記光ファイバケーブルと光学的に結合する前記ハイブリッドヘッドエンドをさらに含む、
請求項6又は7に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項9】
前記アンテナシステムは、多入力/多出力(MIMO)通信を用いて、前記少なくとも一つのクライアント装置と通信するように構成される、
請求項6乃至8のいずれか1項に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項10】
前記少なくとも一つのクライアント装置の一つは、前記有線ケーブルポートに接続されるイーサネットケーブルを介して、前記少なくとも一つのトランスポンダと有線接続する、
請求項6乃至9のいずれか1項に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項11】
前記少なくとも一つのクライアント装置は天井を有する部屋に置かれ、前記少なくとも一つのトランスポンダは前記天井の下又は上のいずれかに配置される、
請求項6乃至10のいずれか1項に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項12】
前記光ファイバケーブルは、前記ヘッドエンドユニットから前記少なくとも一つのトランスポンダに電力を伝送するように構成される電力線を含む、
請求項6乃至11のいずれか1項に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項13】
前記光ファイバケーブルに動作可能に結合され、前記少なくとも一つのトランスポンダの1または2以上に電力を供給し且つ下流方向への光有線信号を上流方向への光無線信号に変換するように構成される電力/データ拡大ユニットをさらに含む、
請求項12に記載のハイブリッドRoF通信システム。
【請求項14】
ハイブリッドヘッドエンドから少なくとも一つのクライアント装置への有線及び無線接続を提供する方法において、
前記ヘッドエンドユニットに光学的に結合し且つ前記ハイブリッドヘッドエンドからの光有線及び無線信号を電気有線及び無線信号に変換する少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダを配置し、
前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダにおいて、
前記少なくとも一つのクライアント装置と無線受信可能とするように、前記電気無線信号を多入力/多出力(MIMO)アンテナシステムに送信し、
前記電気有線信号を、有線ケーブルポート、及び前記トランスポンダを前記少なくとも一つのクライアント装置に動作可能に接続する有線ケーブルを介して前記クライアント装置に送信する、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記有線信号は、ギガビットイーサネット信号である、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ハイブリッドヘッドエンドからの前記有線及び無線光信号を単一の光搬送波で送信する、
請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも一つのクライアント装置に無線及び有線接続を提供可能とするハイブリッドRoF通信システムにおいて、
光ファイバケーブルを通じて、有線及び無線光信号を送信及び受信するように構成されるハイブリッドヘッドエンドと、
前記光ファイバケーブルと光学的に結合され、有線及び無線光信号を対応する有線及び無線電気信号に変換し及びその逆変換を行うように構成され、さらに、前記ハイブリッドトランスポンダは、前記無線電気信号を前記少なくとも一つのクライアント装置にアンテナシステムを介して無線送信し且つ前記有線信号を前記少なくとも一つのクライアント装置に前記ハイブリッドトランスポンダを前記少なくとも一つのクライアント装置に動作可能に接続する有線ケーブルを介して有線送信するように構成される少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダとを備える、
ことを特徴とするハイブリッドRoF通信システム。
【請求項18】
前記アンテナシステム及び前記少なくとも一つのクライアント装置は、前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダによって形成されるピコセル受信可能範囲内で多入力/多出力(MIMO)通信するように構成される、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記光ファイバケーブルは、
前記ハイブリッドヘッドエンドから前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダにダウンリンク有線及び無線光信号を伝送するダウンリンク光ファイバと、
前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダから前記ハイブリッドヘッドエンドにアップリンク有線及び無線光信号を伝送するアップリンク光ファイバとを含む、
請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記光ファイバケーブルは、電源から1または2以上の前記少なくとも一つのハイブリッドトランスポンダに電力を伝送する電力線を含み、前記電源は、前記ヘッドエンドステーションを介して前記電力線に電気的に接続するか、又は、前記光ファイバ通信リンクを通じて直接前記電力線に電気的に接続するかのどちらかである、
請求項17乃至19のいずれか1項に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【公表番号】特表2011−503930(P2011−503930A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528859(P2010−528859)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/010878
【国際公開番号】WO2009/048506
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.ETHERNET
【出願人】(509300522)コーニング ケーブル システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (23)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/010878
【国際公開番号】WO2009/048506
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.ETHERNET
【出願人】(509300522)コーニング ケーブル システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (23)
【Fターム(参考)】
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