ハイブリッド糸により作製された保護スリーブ、ハイブリッド糸およびその構築方法
EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのハイブリッド糸フィラメントおよびそこから構築されたスリーブ、ならびにハイブリッド糸フィラメントおよびスリーブを構築する方法を提供する。ハイブリッド糸フィラメントは、非導電性フィラメントと、非導電性フィラメントの外面上に横たわる少なくとも1本の導電性ワイヤフィラメントとを有する。ハイブリッド糸フィラメントは、スリーブの構築中に、それ自体とまたは他のハイブリッド糸フィラメントと電気的に通じるように配置されて、EMI、RFIおよび/またはESDに対する均一な遮蔽を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2009年9月4日に出願された米国出願連続番号第12/554,454号の優先権を主張し、米国出願連続番号第12/554,454号は引用により全文が本明細書に援用される。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は一般に、細長い部材を保護するためのスリーブに関し、より特定的には、EMI/RFI/ESD遮蔽糸およびそれから構築されたスリーブに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
電磁干渉(electromagnetic interference)(EMI)、無線周波数干渉(radio frequency interference)(RFI)および静電放電(electrostatic discharge)(ESD)が、電子部品の適正な働きに対して、近傍の導体と伝搬電磁波との間の誘導結合に起因する干渉によって生じる潜在的な問題を招く恐れがあるということは公知である。電子システムは、回路内の電流の流れに起因して電磁エネルギを発生させる。この電磁エネルギは、周囲の電子部品が回路内で直接通じていようと、近傍に位置していようと、それらの性能に悪影響を及ぼす恐れがある。たとえば、自動車の電力システムに関連する導体中の電流は、電子モジュールなどのさまざまな電子部品においてスプリアス信号を生じさせ得る。このような干渉は、車両における電子モジュールまたは他の部品の性能を劣化させる恐れがあり、それによって車両は所望の動作以外の動作を行なうことになる。同様に、コンピュータネットワークまたは他の通信システムにおいてデータを搬送する線に比較的密接に関連した電気配線間の誘導結合は、ネットワークを介して伝達中のデータに対して悪影響を与え得る。
【0004】
EMI、RFIおよびESDの悪影響は、EMI、RFIおよびESDに敏感な部品を適正に遮蔽および接地することによって、効果的に排除できる。たとえば、内部または外部で発生したEMI、RFIおよびESDからの望ましくない干渉を受ける恐れがある制御信号を搬送するワイヤは、保護スリーブを用いて遮蔽されてもよい。保護スリーブは概して平坦または円筒形であり得る。スリーブは、導電性構成要素および非導電性構成要素から形成され、導電性構成要素は一般に、スリーブの製造中に糸と織り合せられたドレインワイヤによって接地される。公知の導電性構成要素は、銀などの導電性金属でコーティングされた、ナイロンなどの非導電性繊維またはフィラメントの形態をとっている。他の公知の導電性構成要素は、非導電性樹脂に、ステンレス鋼、銅もしくは銀などの金属からなる超極細繊維を、または、炭素、グラファイト、ニッケル、銅もしくは銀からなるミクロンサイズの導電性粉末を含浸させて、超極細繊維および/または粉末が導通して結合されるようにすることによって作製される。
【0005】
コーティングされた導電性の糸により作られたこのようなRFI、EMIおよびESDスリーブは一般に電気的干渉の排除に効果的であるが、このスリーブは、特に銀などの高価なコーティングが用いられるときには製造費用が比較的高価になり得る。また、導電性コーティングはすり減る可能性があり、これは導電性構成要素間の導電接続における効率低下に繋がり、それによって、最適なRFI、EMIおよび/またはESD保護を提供するスリーブの能力に影響を及ぼす。したがって、製造がより経済的であり、使用がより効率的であり、摩耗に対する信頼性が高く、耐用年数が増したRFI、EMI、ESD遮蔽が望ましい。
【0006】
本発明に従ってファブリックから製造されたスリーブは、少なくとも上述の先行技術の限界を克服するかまたは大幅に少なくし、それによって、互いに対して潜在的な悪影響を与える部品が、互いに近くにある場合でさえ適正に機能できるようになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面は、EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブを構築するための導電性ハイブリッド糸フィラメントを提供する。ハイブリッド糸フィラメントは、細長い非導電性モノフィラメントと、上記非導電性モノフィラメントの外面上に横たわる細長い連続的な導電性ワイヤフィラメントとを有する。したがって、ワイヤフィラメントは互いに電気的接触を確立できる。このように、ワイヤフィラメントが、互いに電気的に通じるように配置された連続的なワイヤフィラメントであるので、スリーブは最適な導電性を備える。したがって、スリーブ内に収容された細長い部材に対して、効果的かつ均一なEMI、RFIおよび/またはESD保護が提供される。
【0008】
本発明のさらに別の局面は、スリーブを形成するために用いられる導電性ハイブリッド糸を構築する方法であって、スリーブはEMI、RFIおよび/またはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護する、方法を含む。この方法は、細長い非導電性モノフィラメントと、細長い導電性ワイヤフィラメントとを提供するステップを含む。そして、この方法は、非導電性モノフィラメントの外面の上に導電性ワイヤフィラメントを被せるステップを含む。
【0009】
本発明のさらに別の局面は、EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブを提供する。ファブリックスリーブは、細長い非導電性モノフィラメントと、非導電性モノフィラメントの外面上に横たわる細長い連続的な導電性ワイヤフィラメントとを有する少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントを有する。ワイヤフィラメントは、スリーブの一部に沿ってワイヤフィラメント自体とまたはワイヤフィラメントのうちの他のワイヤフィラメントと電気的に通じるように織り合せられて、EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護する。
【0010】
本発明のさらに別の局面は、EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブを構築する方法を含む。この方法は、非導電性モノフィラメントと、非導電性フィラメントの外面上に横たわる少なくとも1本の連続的な導電性ワイヤフィラメントとを有する少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントを提供するステップを含む。この方法はさらに、ファブリックを形成するために、少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントをそれ自体とまたはハイブリッド糸フィラメントのうちの他のハイブリッド糸フィラメントと電気的に通じるように織り合せるステップを含む。そして、この方法は、ファブリックをスリーブに形成するステップを含む。
【0011】
したがって、本発明に従って少なくとも部分的にハイブリッド糸により生成されたスリーブは、EMI、RFIおよび/またはESDから細長い部材を遮蔽することに有用である。スリーブは、平坦な形状であろうと、円筒形であろうと、箱型であろうと、その他の形状であろうと、任意の所望の形状を有するように構築できる。また、スリーブは、製造する際に、作製された幅、高さおよび長さを調節することによって、事実上如何なるパッケージサイズにも対応するように作ることができ、さまざまな閉じ機構を備えることができる。さらに、スリーブは、それらの保護強度、導電性、したがって遮蔽能力に影響を及ぼすことなく三次元で少なくとも多少可撓性があり、それによって、スリーブが提供するEMI、RFIおよび/またはESD保護に影響を及ぼすことなく、スリーブが必要に応じて曲がって細長い部材を最良に経路付けることができる。
【0012】
これらのおよび他の特徴および利点は、以下の現状の好ましい実施例および最良の形態の詳細な説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面に鑑みて、当業者に容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1つの現状の好ましい実施例に係る糸により構築された自己巻付きスリーブの斜視図である。
【図2】図1のスリーブの概略的な断片的な部分切欠斜視図である。
【図3】別の現状の好ましい実施例に従って構築されたスリーブの概略部分斜視図である。
【図4】本発明のさらに別の現状の好ましい実施例に従って構築されたスリーブの概略部分斜視図である。
【図5】1つの現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図6】別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図7】別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図8】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図9】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図10】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図11】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図12】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図13】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図14】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図14A】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図15】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図16】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましい実施例の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、図1は、本発明に従って構築されたハイブリッド糸またはフィラメント(以下、ハイブリッド糸部材12と称する)を少なくとも部分的に含む糸から構築されたスリーブ10を示す。本明細書中のフィラメントという用語は、必要に応じてフィラメントの種類に特に言及して、モノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントを含むよう意図されている。ハイブリッド糸部材12(図5〜図16)は、特別の定めのない限り、非導電性モノフィラメント部材および/または非導電性マルチフィラメント部材(以下、単に非導電性部材14と称する)が、ミクロンサイズの連続的な導電性ワイヤフィラメントの撚り糸(以下、単にワイヤフィラメント16と称する)と撚り合せられる、および/または、ともに供されることにより形成される。個々のワイヤフィラメント16は、たとえば直径が約20〜100μmであり、スリーブ10内で束ねられた細長い部材13のための電磁干渉(EMI)、無線周波数干渉(RFI)および/または静電放電(ESD)保護のうちの少なくとも1つをスリーブ10に提供する。一旦封入されると、概して封入されたワイヤの束13は、誘導結合干渉または自己誘導内部反射干渉などの如何なる望ましくない干渉に対しても最適な保護を受け、それによって、ワイヤの束13に接続された如何なる電気部品にも所望の動作効率を提供する。したがって、スリーブ10は、束ねられたワイヤ13が、それらが接続された電気部品に対して、自己誘導された悪影響を与えることを防止し、また、束ねられたワイヤ13の、それらと直接電気的に通じていない近傍の電気部品との干渉も防止する。
【0015】
図1および図2に示されるように、スリーブ10は、非限定的な一例として、長手方向軸15の周りに自己巻付きするように示されており、この自己巻付きバイアスは、たとえば熱硬化によって、横糸方向のフィラメントが張力下に置かれることによって、または縦糸方向のフィラメントが軸15を中心としてバイアスをかけることによって付与でき、束ねられたワイヤ13を受けるための細長く封入された通路18を規定する。少なくとも1本以上のハイブリッド糸部材12(図5〜図16)は、好ましくは緯糸方向に互いに織り合せられ、非限定的な一例としてのポリエステルなどの熱可塑性物質から少なくとも部分的に構築することができ、それによって、スリーブ10を熱硬化するかまたはそうでなければスリーブ10にバイアスをかけて管状の形状にすることができる。糸部材12により構築されたスリーブ10が、自己閉鎖型であろうと、たとえば面ファスナ17などによって支援されたものであろうと、概して平坦な形状(図3、概して平坦になる前の状態が示されている)、または、たとえば織りプロセス、編みプロセス、編組みプロセスもしくはかぎ針編みプロセスによる継目のない円筒形状(図4)などの任意の所望の保護スリーブの形状に構築できる、ということが認識されるべきである。したがって、本発明は、スリーブの外形に限定されず、そのため、ワイヤハーネスなどの細長い部材13を構成し、細長い部材13をEMI、RFIおよび/またはESDから保護するための安全で耐久性および可撓性があるカバーを提供する如何なるスリーブの外形の製造および構築も意図している。
【0016】
望ましくない如何なる干渉の排除も容易にするために、スリーブ10は好ましくは、1本以上のハイブリッド糸部材12と少なくとも部分的に織り合せられた少なくとも1本、好ましくは1対のドレインワイヤ20,21(図2)により構築され、ドレインワイヤ20,21は、接地(図示せず)に好適に接続するように配置されている。ドレインワイヤ20,21は好ましくは、互いに電気的に通じるように配置され、導電性ワイヤフィラメント16と電気的に通じるように配置されている。ドレインワイヤ20,21は、任意の好適な直径を有して設けられることができ、一般に約18〜24ゲージで設けられ、たとえば錫もしくはニッケルめっきされた銅またはステンレス鋼からなる1本の撚り糸または撚り合せられた多数の撚り糸など、任意の好適な金属からなっている。ドレインワイヤ20,21は、スリーブ10の長手方向軸15に沿って長さ方向に延びるように向けられており、ドレインワイヤのうちの少なくとも一方20は好ましくは、接地と作動可能に電気的に通じるようにスリーブ10から離れて延びることができる。ドレインワイヤ20は、浮動セクション23を提供するように、軸方向に離間した複数の場所で織り合せられることが示されており、浮動セクション23は、所望の如くスリーブ10から横方向に延ばされる能力を有する。他方のドレインワイヤ21も、たとえばスリーブ10の長さに沿って浮動セクション25を提供するように、軸方向に離間した複数の場所で織り合せられることがここでは示されている。図2に示されるように、ドレインワイヤ20,21は、重なり合って織端(以下、スリーブ10の自由端縁27と称する)によって保護的に覆われることができるように、スリーブ10の一部に沿って位置決めされ得る。導電性ワイヤフィラメント16が非導電性部材14から外側に延びるように撚り合せられるまたは供されることにより、ドレインワイヤ20またはワイヤ20,21は導電性ワイヤフィラメント16と電気的に通じるように配置される、ということが認識されるべきである。
【0017】
1つの現状の好ましい実施例では、非導電性部材14は、マルチフィラメントとも称されるマルチフィラメント状糸として提供され、柔らかい質感、改良されたドレープ、および改良された騒音抑制特性をスリーブ10に提供する。用途によっては、非導電性部材14は、マルチフィラメントであろうとモノフィラメントであろうと、以下により詳細に説明するように、非限定的な一例としてのポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、綿、レーヨン、および非常に高い温度定格が必要でないときには上述のすべての材料の難燃性(fire retardant)(FR)バージョンから形成され得る。FR能力とともにより高い温度定格が望まれる場合には、非導電性部材14は、非限定的な一例としてのm−アラミド(たとえばノーメックス(Nomex)、コーネックス(Conex)、カーメル(Kermel)という名称で販売)、p−アラミド(たとえばケブラー(Kevlar)、トワロン(Twaron)、テクノラ(Technora)という名称で販売)、PEI(たとえばウルテム(Ultem)という名称で販売)、PPS、LCP、TPFEおよびPEEKを含む材料から構築できるであろう。FR能力とともにさらに高い温度定格が望まれる場合には、非導電性部材14は、たとえばガラス繊維、玄武岩、シリカおよびセラミックなどの鉱物糸を含み得る。
【0018】
上述のように、連続的な導電性ワイヤフィラメント16は、非導電性部材14が概して真直ぐな経路に沿って延びる一方、導電性ワイヤフィラメント16が非導電性部材14の周りで螺旋状の経路に沿って延びるように、たとえば図5に示されるように非導電性部材14とともに供されるか、または、互いに対して軸方向にオフセットされた螺旋状の経路を形成するように、たとえば図6に示されるように非導電性部材14と撚り合せられることができる。どのように構築されているかに関わらず、導電性ワイヤフィラメント16の少なくとも一部が非導電性部材14の外面24の径方向外側に留まるまたは延びることが好ましい。これは、ハイブリッド糸部材12から少なくとも部分的に構築されたスリーブ10の効果的なEMI、RFIおよび/またはESD遮蔽特性の維持を容易にする。導電性ワイヤフィラメント16は好ましくは、高い耐食特性を有する低炭素ステンレス鋼、たとえばSS316Lなどのステンレス鋼からなる連続的な撚り糸として提供されるが、たとえば銅、錫またはニッケルめっきされた銅、アルミニウムおよび他の導電性合金などの金属ワイヤからなる他の導電性の連続的な撚り糸を用いることができるであろう。
【0019】
連続的な導電性ワイヤフィラメント16は、非導電性部材14の周りに撚られるまたは供されることによって非導電性部材14上に横たわることができ、実質的にハイブリッド糸部材12の長さに沿って延びる、導電性ワイヤフィラメント16の1本の撚り糸を有するハイブリッド糸部材12(図5および図6、図9)、導電性ワイヤフィラメント16の2本の撚り糸を有するハイブリッド糸部材12(図7、図10〜図14)、導電性ワイヤフィラメント16の3本の撚り糸を有するハイブリッド糸部材12(図8)、または所望のごとくそれ以上の本数の撚り糸を有するハイブリッド糸部材12(図15および図16)を形成する。ハイブリッド糸部材12の長さに沿って導電性ワイヤの本数が増加することによって、一般にハイブリッド糸部材12の導電特性が増大するという考え方で、求められる導電性および遮蔽に応じて任意の所望の数の導電性ワイヤフィラメント16を用いることができる、ということが認識されるべきである。2本以上の導電性ワイヤフィラメント16が用いられる場合、導電性ワイヤフィラメント16は、非限定的な一例として、図7および図8に示されるように、異なる捻れ角を有することによって、および/または、逆の螺旋方向にワイヤフィラメント16を撚るもしくは供することなどによって、互いに重なり合うように配置できる。または、導電性ワイヤフィラメント16は、たとえば図11〜図14に示されるように、同様の捻れ角を有することによって、および、同じ螺旋方向に撚られるもしくは供されることによって、互いに重なり合わない関係で構成できる。何本の導電性ワイヤフィラメント16が用いられるかに関わらず、ハイブリッド糸部材12のEMI、RFIおよび/またはESD遮蔽特性を最大にするためには、導電性ワイヤフィラメント16が非導電性部材14の外面24から外側に少なくとも部分的に露出したままであることが好ましい。
【0020】
導電性ワイヤ16が1本であろうと、2本であろうと、3本であろうと、それ以上の本数であろうと、ハイブリッド糸部材12を構築する際に用いられるワイヤフィラメント16の配置およびそれらの具体的な構造は、所望の遮蔽ポテンシャルを最良に最大にするように選択される。本発明に係る織られたファブリックの1つの現状の好ましい局面によれば、非限定的な一例として、スリーブ10の縦糸方向を横切るハイブリッド糸部材12は2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を有し、スリーブ10の横糸または緯糸方向を横切るハイブリッド糸部材12は1本の導電性ワイヤ16を有する。この構造は、結果として生じるスリーブ10に最適なEMI、RFIおよびESD遮蔽能力を提供する一方、スリーブ10に長手方向軸15を中心とした最大のドレープも提供し、これは、平坦であろうと概して円筒形であろうと、スリーブ10を所望の形状に形成することを容易にし得る。導電性ワイヤフィラメント16が好ましくはそれ自体とまたはフィラメント16のうちの他のフィラメントと電気的に通じた状態に保たれる、ということが認識されるべきである。このように、たとえば、縦糸方向を横切るワイヤフィラメント16は、緯糸方向を横切る導電性ワイヤフィラメント16と電気的に接触した状態に保たれ、それによって、スリーブ10の外面の周りにEMI、RFIおよび/またはESD遮蔽の完全な格子または網を確立する。これは特に、上述のように導電性ワイヤフィラメント16が非導電性フィラメント14から径方向外側に延びることによって可能になる。
【0021】
ハイブリッド糸部材12の構築の際のさらなる考慮すべき事項は、緯糸方向および縦糸方向の両方の方向のハイブリッド糸12に概して同様のデニール(マルチフィラメントの文脈で使用)および/または直径(モノフィラメントの文脈で使用)を最良に提供することである。したがって、緯糸ハイブリッド糸部材12の各々が1本の導電性ワイヤフィラメント16を有する場合には、関連する下にある非導電性フィラメント14は、上述のように2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を有し得る縦糸ハイブリッド糸部材12において用いられる非導電性フィラメント14と比較して、より大きなデニールおよび/または直径を有する。緯糸および縦糸ハイブリッド糸12におよそまたは実質的に同じデニールおよび/または直径を提供することによって、結果として生じるスリーブファブリックは、より滑らかな外観および感触を有することになり、それによって、結果として生じるスリーブ10の耐摩耗性が向上する。
【0022】
たとえば、約1100デニールの非導電性PETマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、一例では直径が約50μm(このワイヤの直径は、我々の例では、約140デニールに相当する)であるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の1本の連続的な撚り糸を有する緯糸ハイブリッド糸部材12では、ハイブリッド糸部材12が約1240デニールになる。さらに、約970デニールの非導電性PETモノフィラメントまたはマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約50μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の2本の連続的な撚り糸を有する縦糸ハイブリッド糸部材12では、ハイブリッド縦糸部材12が約1250デニールになる。したがって、結果として生じる縦糸および緯糸ハイブリッド糸12のデニールは、互いに実質的にまたはおよそ等しい。
【0023】
別の例では、約1100デニールの非導電性PETモノフィラメントまたはマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約50μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の1本の連続的な撚り糸を有するハイブリッド緯糸部材12では、ハイブリッド糸部材12が約1240デニールになる。さらに、約830デニールのPET非導電性モノフィラメントまたはマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約50μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の3本の連続的な撚り糸を有するハイブリッド縦糸部材12では、ハイブリッド縦糸部材12が約1250デニールになる。したがって、ここでも、結果として生じる緯糸および縦糸方向のハイブリッド糸12は、実質的にまたはおよそ同じデニールである。
【0024】
さらに別の例では、約530デニールの非導電性m−アラミドマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約35μm(このワイヤの直径は、我々の例では、約70デニールに相当する)であるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の1本の連続的な撚り糸を有するハイブリッド緯糸部材12では、ハイブリッド糸部材12が約600デニールになる。さらに、約460デニールのm−アラミド非導電性マルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約35μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の2つの連続的な端部を有するハイブリッド縦糸部材12では、ハイブリッド縦糸部材12が約600デニールになる。したがって、結果として生じるハイブリッド緯糸および縦糸12はここでも、実質的にまたはおよそ同じデニールである。
【0025】
さらに他の例では、約530デニールの非導電性m−アラミドマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約35μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の1本の連続的な撚り糸を有するハイブリッド緯糸部材12では、ハイブリッド糸部材12が約600デニールになる。さらに、約390デニールのm−アラミド非導電性マルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約35μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の3本の連続的な撚り糸を有するハイブリッド縦糸部材12では、ハイブリッド縦糸部材12が約600デニールになる。ここでも、結果として生じるハイブリッド緯糸および縦糸12のデニールは、実質的にまたはおよそ同じである。
【0026】
したがって、上記の例が実証しているように、ハイブリッド緯糸および縦糸12の数多くの構造および配置が制限なしに可能である。さらに、上述のように、導電性ハイブリッド糸部材12の導電性を効果的に増大させるためにより多くの縦糸導電性ワイヤフィラメント16を用いることができ、それによって、EMI、RFIおよび/またはESD遮蔽効力を向上させ、結果として生じる縦糸および緯糸ハイブリッド糸部材12のデニールは好ましくは互いにおよそ等しいままである。
【0027】
図9に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、ここでは上述の材料のうちの1つから形成されたモノフィラメントであるように示されている単一の非導電性フィラメント14の周りに1本の導電性ワイヤフィラメント16を供する、または示されるように撚ることによって構築される。
【0028】
図10に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、まず、図9に関して上述したようにここではモノフィラメント14として示されている1本の非導電性フィラメントの周りに一方向(SまたはZ方向)に第1の導電性ワイヤフィラメント16を供しまたは撚り、次いで、第1のワイヤフィラメント16とは逆方向に第1のワイヤフィラメント16および非導電性フィラメント14の周りに第2の導電性ワイヤフィラメント16′を撚るまたは供することによって構築される。ワイヤフィラメント16,16′を互いにバランスのとれた逆の方向に撚るまたは供することによって、ハイブリッド糸部材12は実質的にバランスがとれ、したがって、如何なる著しいトルクもその周りに発生させない。
【0029】
図11に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、ここでは非導電性モノフィラメント14として示されている1本の非導電性フィラメントの周りに2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を供することによって構築される。示されるように、この実施例におけるワイヤフィラメント16は、互いに実質的に同じ螺旋角を有する状態で同じ方向に供され、そのため、互いに重なり合うことはない。
【0030】
図12に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、1本の非導電性フィラメント14の周りに2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を供することによって構築される。しかしながら、図11のようにモノフィラメントの周りにワイヤフィラメント16を供するのではなく、ワイヤフィラメント16はマルチフィラメント14の周りに供される。
【0031】
図13に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、ここでは非導電性モノフィラメント14として示されている1本の非導電性フィラメントの外面と当接して延びる2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を供することによって、上述の、図11および図12に示されたものと概して同じように構築される。しかしながら、非導電性フィラメント14の周りに導電性ワイヤフィラメント16を供する前に、非導電性モノフィラメント14は、まずその外面にコーティング材料CMを塗布して付着させることによって処理されるか、または、外面はテクスチャード加工プロセスにおいてその上にテクスチャ構造面TSを設けている。コーティング材料CMまたはテクスチャ構造面TSは、導電性ワイヤフィラメント16が、下にある非導電性モノフィラメント14に対して滑ることを抑制するように作用する。
【0032】
図14に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、1対の非導電性フィラメント14,14′の周りに2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を供することによって構築される。非導電性フィラメント14,14′は、ここでは上述の材料から設けられた非導電性マルチフィラメント14および非導電性モノフィラメント14′であるように示されている。非導電性マルチフィラメント14およびモノフィラメント14′は、それらの長さに沿って互いに実質的に当接している。さらに、図14Aに示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面に従って構築されたハイブリッド糸部材12は、図5に関して上述したように示されるようなハイブリッド糸部材として設けられる、ここではマルチフィラメント非導電性部材14として示される非導電性部材のうちの少なくとも1つを有し、別の導電性ワイヤフィラメント16′を周りに撚るかまたは供しているが、ハイブリッド糸部材12の先に記載し示した他の実施例のうちのいずれも用いることができるであろう。したがって、連続的な導電性ワイヤフィラメント16′のうちの少なくとも1本が単独で非導電性マルチフィラメント14の周りに延びている。
【0033】
図15に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、非導電性モノフィラメント14′の周りに、図7に関して上述したのと同様に1対の先に撚られたまたは供されたハイブリッド糸部材12′を供することによって構築される。しかしながら、示される実施例では、ハイブリッド糸部材12′は、同様の螺旋角で各々の非導電性マルチフィラメント14の周りに撚られた、または示されるように供された導電性ワイヤフィラメント16を有する。しかしながら、中心に延びる非導電性モノフィラメント糸部材14′の周りに供されると、一方のハイブリッド糸部材12′の導電性ワイヤフィラメント16は、他方のハイブリッド糸部材12′の導電性ワイヤフィラメント16と接触する。
【0034】
図16に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、まず、非導電性マルチフィラメント14であるように示されている1対の別個の非導電性フィラメントの周りに1対の導電性フィラメント16を撚るまたは供することによって構築される。次いで、撚られたまたは供された部材のうちの少なくとも1本には、非導電性モノフィラメント14′であるように示されている非導電性フィラメントが「S」方向などの方向に供されるまたは撚られる。次いで、1対の別個の部材が「Z」方向などの方向にともに撚り合せられて、一体型のハイブリッド糸部材12を形成する。
【0035】
本発明の別の局面は、EMI、RFIおよび/またはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するための上述のファブリックスリーブ10を構築する方法を含む。この方法は、各々が細長い非導電性フィラメント14と、非導電性フィラメント14の外面上に横たわる少なくとも1本の細長い連続的な導電性ワイヤフィラメント16とを有する少なくとも1本以上の上述のハイブリッド糸部材12を提供するステップを含む。次に、この方法は、たとえばファブリックを形成するために、縦糸および緯糸方向などの方向にハイブリッド糸部材12を互いに織り合せるステップを含み、縦糸方向に沿って延びるワイヤフィラメント16は、緯糸方向に沿って延びるワイヤフィラメント16と直接電気的に導通するようにされる。スリーブ10を構築するさまざまな方法によれば、ファブリックスリーブは、織りプロセス、編みプロセス、かぎ針編みプロセスまたは編組みプロセスによって構築できる。したがって、たとえばスリーブ10が編組みされたスリーブである場合、1本以上の上述のハイブリッド糸部材12との編組みプロセスを用いて、所望の如く上述の特定のスリーブ構造に想到するために、必要に応じてさらなるステップを含む、ということが認識されるべきである。結果として生じるスリーブが、編みの縦糸または横糸編みの形態以外の形態を用いて編組みされる、かぎ針編みされるまたは編まれる場合には、上記の縦糸および横糸方向の使用はこれらの構築方法から構築されたスリーブには適用できない、ということがさらに理解されるべきである。とにかく、事実上如何なる布地構築方法を用いてもハイブリッド糸部材12を織り合せて、保護スリーブを形成できる、ということが理解されるべきである。さらに、ハイブリッド糸部材12から構築されたスリーブ10は、さまざまな用途で用いられるように、多数の幅、高さおよび長さならびに構成に適合するように構築できる。
【0036】
明らかに、上記の教示に鑑みて、本発明の多くの変形および変更が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は具体的に説明したものとは異なる態様で実施してもよいということが理解される。
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2009年9月4日に出願された米国出願連続番号第12/554,454号の優先権を主張し、米国出願連続番号第12/554,454号は引用により全文が本明細書に援用される。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は一般に、細長い部材を保護するためのスリーブに関し、より特定的には、EMI/RFI/ESD遮蔽糸およびそれから構築されたスリーブに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
電磁干渉(electromagnetic interference)(EMI)、無線周波数干渉(radio frequency interference)(RFI)および静電放電(electrostatic discharge)(ESD)が、電子部品の適正な働きに対して、近傍の導体と伝搬電磁波との間の誘導結合に起因する干渉によって生じる潜在的な問題を招く恐れがあるということは公知である。電子システムは、回路内の電流の流れに起因して電磁エネルギを発生させる。この電磁エネルギは、周囲の電子部品が回路内で直接通じていようと、近傍に位置していようと、それらの性能に悪影響を及ぼす恐れがある。たとえば、自動車の電力システムに関連する導体中の電流は、電子モジュールなどのさまざまな電子部品においてスプリアス信号を生じさせ得る。このような干渉は、車両における電子モジュールまたは他の部品の性能を劣化させる恐れがあり、それによって車両は所望の動作以外の動作を行なうことになる。同様に、コンピュータネットワークまたは他の通信システムにおいてデータを搬送する線に比較的密接に関連した電気配線間の誘導結合は、ネットワークを介して伝達中のデータに対して悪影響を与え得る。
【0004】
EMI、RFIおよびESDの悪影響は、EMI、RFIおよびESDに敏感な部品を適正に遮蔽および接地することによって、効果的に排除できる。たとえば、内部または外部で発生したEMI、RFIおよびESDからの望ましくない干渉を受ける恐れがある制御信号を搬送するワイヤは、保護スリーブを用いて遮蔽されてもよい。保護スリーブは概して平坦または円筒形であり得る。スリーブは、導電性構成要素および非導電性構成要素から形成され、導電性構成要素は一般に、スリーブの製造中に糸と織り合せられたドレインワイヤによって接地される。公知の導電性構成要素は、銀などの導電性金属でコーティングされた、ナイロンなどの非導電性繊維またはフィラメントの形態をとっている。他の公知の導電性構成要素は、非導電性樹脂に、ステンレス鋼、銅もしくは銀などの金属からなる超極細繊維を、または、炭素、グラファイト、ニッケル、銅もしくは銀からなるミクロンサイズの導電性粉末を含浸させて、超極細繊維および/または粉末が導通して結合されるようにすることによって作製される。
【0005】
コーティングされた導電性の糸により作られたこのようなRFI、EMIおよびESDスリーブは一般に電気的干渉の排除に効果的であるが、このスリーブは、特に銀などの高価なコーティングが用いられるときには製造費用が比較的高価になり得る。また、導電性コーティングはすり減る可能性があり、これは導電性構成要素間の導電接続における効率低下に繋がり、それによって、最適なRFI、EMIおよび/またはESD保護を提供するスリーブの能力に影響を及ぼす。したがって、製造がより経済的であり、使用がより効率的であり、摩耗に対する信頼性が高く、耐用年数が増したRFI、EMI、ESD遮蔽が望ましい。
【0006】
本発明に従ってファブリックから製造されたスリーブは、少なくとも上述の先行技術の限界を克服するかまたは大幅に少なくし、それによって、互いに対して潜在的な悪影響を与える部品が、互いに近くにある場合でさえ適正に機能できるようになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面は、EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブを構築するための導電性ハイブリッド糸フィラメントを提供する。ハイブリッド糸フィラメントは、細長い非導電性モノフィラメントと、上記非導電性モノフィラメントの外面上に横たわる細長い連続的な導電性ワイヤフィラメントとを有する。したがって、ワイヤフィラメントは互いに電気的接触を確立できる。このように、ワイヤフィラメントが、互いに電気的に通じるように配置された連続的なワイヤフィラメントであるので、スリーブは最適な導電性を備える。したがって、スリーブ内に収容された細長い部材に対して、効果的かつ均一なEMI、RFIおよび/またはESD保護が提供される。
【0008】
本発明のさらに別の局面は、スリーブを形成するために用いられる導電性ハイブリッド糸を構築する方法であって、スリーブはEMI、RFIおよび/またはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護する、方法を含む。この方法は、細長い非導電性モノフィラメントと、細長い導電性ワイヤフィラメントとを提供するステップを含む。そして、この方法は、非導電性モノフィラメントの外面の上に導電性ワイヤフィラメントを被せるステップを含む。
【0009】
本発明のさらに別の局面は、EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブを提供する。ファブリックスリーブは、細長い非導電性モノフィラメントと、非導電性モノフィラメントの外面上に横たわる細長い連続的な導電性ワイヤフィラメントとを有する少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントを有する。ワイヤフィラメントは、スリーブの一部に沿ってワイヤフィラメント自体とまたはワイヤフィラメントのうちの他のワイヤフィラメントと電気的に通じるように織り合せられて、EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護する。
【0010】
本発明のさらに別の局面は、EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブを構築する方法を含む。この方法は、非導電性モノフィラメントと、非導電性フィラメントの外面上に横たわる少なくとも1本の連続的な導電性ワイヤフィラメントとを有する少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントを提供するステップを含む。この方法はさらに、ファブリックを形成するために、少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントをそれ自体とまたはハイブリッド糸フィラメントのうちの他のハイブリッド糸フィラメントと電気的に通じるように織り合せるステップを含む。そして、この方法は、ファブリックをスリーブに形成するステップを含む。
【0011】
したがって、本発明に従って少なくとも部分的にハイブリッド糸により生成されたスリーブは、EMI、RFIおよび/またはESDから細長い部材を遮蔽することに有用である。スリーブは、平坦な形状であろうと、円筒形であろうと、箱型であろうと、その他の形状であろうと、任意の所望の形状を有するように構築できる。また、スリーブは、製造する際に、作製された幅、高さおよび長さを調節することによって、事実上如何なるパッケージサイズにも対応するように作ることができ、さまざまな閉じ機構を備えることができる。さらに、スリーブは、それらの保護強度、導電性、したがって遮蔽能力に影響を及ぼすことなく三次元で少なくとも多少可撓性があり、それによって、スリーブが提供するEMI、RFIおよび/またはESD保護に影響を及ぼすことなく、スリーブが必要に応じて曲がって細長い部材を最良に経路付けることができる。
【0012】
これらのおよび他の特徴および利点は、以下の現状の好ましい実施例および最良の形態の詳細な説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面に鑑みて、当業者に容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1つの現状の好ましい実施例に係る糸により構築された自己巻付きスリーブの斜視図である。
【図2】図1のスリーブの概略的な断片的な部分切欠斜視図である。
【図3】別の現状の好ましい実施例に従って構築されたスリーブの概略部分斜視図である。
【図4】本発明のさらに別の現状の好ましい実施例に従って構築されたスリーブの概略部分斜視図である。
【図5】1つの現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図6】別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図7】別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図8】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図9】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図10】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図11】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図12】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図13】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図14】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図14A】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図15】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【図16】さらに別の現状の好ましい実施例に従って構築された糸の拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましい実施例の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、図1は、本発明に従って構築されたハイブリッド糸またはフィラメント(以下、ハイブリッド糸部材12と称する)を少なくとも部分的に含む糸から構築されたスリーブ10を示す。本明細書中のフィラメントという用語は、必要に応じてフィラメントの種類に特に言及して、モノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントを含むよう意図されている。ハイブリッド糸部材12(図5〜図16)は、特別の定めのない限り、非導電性モノフィラメント部材および/または非導電性マルチフィラメント部材(以下、単に非導電性部材14と称する)が、ミクロンサイズの連続的な導電性ワイヤフィラメントの撚り糸(以下、単にワイヤフィラメント16と称する)と撚り合せられる、および/または、ともに供されることにより形成される。個々のワイヤフィラメント16は、たとえば直径が約20〜100μmであり、スリーブ10内で束ねられた細長い部材13のための電磁干渉(EMI)、無線周波数干渉(RFI)および/または静電放電(ESD)保護のうちの少なくとも1つをスリーブ10に提供する。一旦封入されると、概して封入されたワイヤの束13は、誘導結合干渉または自己誘導内部反射干渉などの如何なる望ましくない干渉に対しても最適な保護を受け、それによって、ワイヤの束13に接続された如何なる電気部品にも所望の動作効率を提供する。したがって、スリーブ10は、束ねられたワイヤ13が、それらが接続された電気部品に対して、自己誘導された悪影響を与えることを防止し、また、束ねられたワイヤ13の、それらと直接電気的に通じていない近傍の電気部品との干渉も防止する。
【0015】
図1および図2に示されるように、スリーブ10は、非限定的な一例として、長手方向軸15の周りに自己巻付きするように示されており、この自己巻付きバイアスは、たとえば熱硬化によって、横糸方向のフィラメントが張力下に置かれることによって、または縦糸方向のフィラメントが軸15を中心としてバイアスをかけることによって付与でき、束ねられたワイヤ13を受けるための細長く封入された通路18を規定する。少なくとも1本以上のハイブリッド糸部材12(図5〜図16)は、好ましくは緯糸方向に互いに織り合せられ、非限定的な一例としてのポリエステルなどの熱可塑性物質から少なくとも部分的に構築することができ、それによって、スリーブ10を熱硬化するかまたはそうでなければスリーブ10にバイアスをかけて管状の形状にすることができる。糸部材12により構築されたスリーブ10が、自己閉鎖型であろうと、たとえば面ファスナ17などによって支援されたものであろうと、概して平坦な形状(図3、概して平坦になる前の状態が示されている)、または、たとえば織りプロセス、編みプロセス、編組みプロセスもしくはかぎ針編みプロセスによる継目のない円筒形状(図4)などの任意の所望の保護スリーブの形状に構築できる、ということが認識されるべきである。したがって、本発明は、スリーブの外形に限定されず、そのため、ワイヤハーネスなどの細長い部材13を構成し、細長い部材13をEMI、RFIおよび/またはESDから保護するための安全で耐久性および可撓性があるカバーを提供する如何なるスリーブの外形の製造および構築も意図している。
【0016】
望ましくない如何なる干渉の排除も容易にするために、スリーブ10は好ましくは、1本以上のハイブリッド糸部材12と少なくとも部分的に織り合せられた少なくとも1本、好ましくは1対のドレインワイヤ20,21(図2)により構築され、ドレインワイヤ20,21は、接地(図示せず)に好適に接続するように配置されている。ドレインワイヤ20,21は好ましくは、互いに電気的に通じるように配置され、導電性ワイヤフィラメント16と電気的に通じるように配置されている。ドレインワイヤ20,21は、任意の好適な直径を有して設けられることができ、一般に約18〜24ゲージで設けられ、たとえば錫もしくはニッケルめっきされた銅またはステンレス鋼からなる1本の撚り糸または撚り合せられた多数の撚り糸など、任意の好適な金属からなっている。ドレインワイヤ20,21は、スリーブ10の長手方向軸15に沿って長さ方向に延びるように向けられており、ドレインワイヤのうちの少なくとも一方20は好ましくは、接地と作動可能に電気的に通じるようにスリーブ10から離れて延びることができる。ドレインワイヤ20は、浮動セクション23を提供するように、軸方向に離間した複数の場所で織り合せられることが示されており、浮動セクション23は、所望の如くスリーブ10から横方向に延ばされる能力を有する。他方のドレインワイヤ21も、たとえばスリーブ10の長さに沿って浮動セクション25を提供するように、軸方向に離間した複数の場所で織り合せられることがここでは示されている。図2に示されるように、ドレインワイヤ20,21は、重なり合って織端(以下、スリーブ10の自由端縁27と称する)によって保護的に覆われることができるように、スリーブ10の一部に沿って位置決めされ得る。導電性ワイヤフィラメント16が非導電性部材14から外側に延びるように撚り合せられるまたは供されることにより、ドレインワイヤ20またはワイヤ20,21は導電性ワイヤフィラメント16と電気的に通じるように配置される、ということが認識されるべきである。
【0017】
1つの現状の好ましい実施例では、非導電性部材14は、マルチフィラメントとも称されるマルチフィラメント状糸として提供され、柔らかい質感、改良されたドレープ、および改良された騒音抑制特性をスリーブ10に提供する。用途によっては、非導電性部材14は、マルチフィラメントであろうとモノフィラメントであろうと、以下により詳細に説明するように、非限定的な一例としてのポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、綿、レーヨン、および非常に高い温度定格が必要でないときには上述のすべての材料の難燃性(fire retardant)(FR)バージョンから形成され得る。FR能力とともにより高い温度定格が望まれる場合には、非導電性部材14は、非限定的な一例としてのm−アラミド(たとえばノーメックス(Nomex)、コーネックス(Conex)、カーメル(Kermel)という名称で販売)、p−アラミド(たとえばケブラー(Kevlar)、トワロン(Twaron)、テクノラ(Technora)という名称で販売)、PEI(たとえばウルテム(Ultem)という名称で販売)、PPS、LCP、TPFEおよびPEEKを含む材料から構築できるであろう。FR能力とともにさらに高い温度定格が望まれる場合には、非導電性部材14は、たとえばガラス繊維、玄武岩、シリカおよびセラミックなどの鉱物糸を含み得る。
【0018】
上述のように、連続的な導電性ワイヤフィラメント16は、非導電性部材14が概して真直ぐな経路に沿って延びる一方、導電性ワイヤフィラメント16が非導電性部材14の周りで螺旋状の経路に沿って延びるように、たとえば図5に示されるように非導電性部材14とともに供されるか、または、互いに対して軸方向にオフセットされた螺旋状の経路を形成するように、たとえば図6に示されるように非導電性部材14と撚り合せられることができる。どのように構築されているかに関わらず、導電性ワイヤフィラメント16の少なくとも一部が非導電性部材14の外面24の径方向外側に留まるまたは延びることが好ましい。これは、ハイブリッド糸部材12から少なくとも部分的に構築されたスリーブ10の効果的なEMI、RFIおよび/またはESD遮蔽特性の維持を容易にする。導電性ワイヤフィラメント16は好ましくは、高い耐食特性を有する低炭素ステンレス鋼、たとえばSS316Lなどのステンレス鋼からなる連続的な撚り糸として提供されるが、たとえば銅、錫またはニッケルめっきされた銅、アルミニウムおよび他の導電性合金などの金属ワイヤからなる他の導電性の連続的な撚り糸を用いることができるであろう。
【0019】
連続的な導電性ワイヤフィラメント16は、非導電性部材14の周りに撚られるまたは供されることによって非導電性部材14上に横たわることができ、実質的にハイブリッド糸部材12の長さに沿って延びる、導電性ワイヤフィラメント16の1本の撚り糸を有するハイブリッド糸部材12(図5および図6、図9)、導電性ワイヤフィラメント16の2本の撚り糸を有するハイブリッド糸部材12(図7、図10〜図14)、導電性ワイヤフィラメント16の3本の撚り糸を有するハイブリッド糸部材12(図8)、または所望のごとくそれ以上の本数の撚り糸を有するハイブリッド糸部材12(図15および図16)を形成する。ハイブリッド糸部材12の長さに沿って導電性ワイヤの本数が増加することによって、一般にハイブリッド糸部材12の導電特性が増大するという考え方で、求められる導電性および遮蔽に応じて任意の所望の数の導電性ワイヤフィラメント16を用いることができる、ということが認識されるべきである。2本以上の導電性ワイヤフィラメント16が用いられる場合、導電性ワイヤフィラメント16は、非限定的な一例として、図7および図8に示されるように、異なる捻れ角を有することによって、および/または、逆の螺旋方向にワイヤフィラメント16を撚るもしくは供することなどによって、互いに重なり合うように配置できる。または、導電性ワイヤフィラメント16は、たとえば図11〜図14に示されるように、同様の捻れ角を有することによって、および、同じ螺旋方向に撚られるもしくは供されることによって、互いに重なり合わない関係で構成できる。何本の導電性ワイヤフィラメント16が用いられるかに関わらず、ハイブリッド糸部材12のEMI、RFIおよび/またはESD遮蔽特性を最大にするためには、導電性ワイヤフィラメント16が非導電性部材14の外面24から外側に少なくとも部分的に露出したままであることが好ましい。
【0020】
導電性ワイヤ16が1本であろうと、2本であろうと、3本であろうと、それ以上の本数であろうと、ハイブリッド糸部材12を構築する際に用いられるワイヤフィラメント16の配置およびそれらの具体的な構造は、所望の遮蔽ポテンシャルを最良に最大にするように選択される。本発明に係る織られたファブリックの1つの現状の好ましい局面によれば、非限定的な一例として、スリーブ10の縦糸方向を横切るハイブリッド糸部材12は2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を有し、スリーブ10の横糸または緯糸方向を横切るハイブリッド糸部材12は1本の導電性ワイヤ16を有する。この構造は、結果として生じるスリーブ10に最適なEMI、RFIおよびESD遮蔽能力を提供する一方、スリーブ10に長手方向軸15を中心とした最大のドレープも提供し、これは、平坦であろうと概して円筒形であろうと、スリーブ10を所望の形状に形成することを容易にし得る。導電性ワイヤフィラメント16が好ましくはそれ自体とまたはフィラメント16のうちの他のフィラメントと電気的に通じた状態に保たれる、ということが認識されるべきである。このように、たとえば、縦糸方向を横切るワイヤフィラメント16は、緯糸方向を横切る導電性ワイヤフィラメント16と電気的に接触した状態に保たれ、それによって、スリーブ10の外面の周りにEMI、RFIおよび/またはESD遮蔽の完全な格子または網を確立する。これは特に、上述のように導電性ワイヤフィラメント16が非導電性フィラメント14から径方向外側に延びることによって可能になる。
【0021】
ハイブリッド糸部材12の構築の際のさらなる考慮すべき事項は、緯糸方向および縦糸方向の両方の方向のハイブリッド糸12に概して同様のデニール(マルチフィラメントの文脈で使用)および/または直径(モノフィラメントの文脈で使用)を最良に提供することである。したがって、緯糸ハイブリッド糸部材12の各々が1本の導電性ワイヤフィラメント16を有する場合には、関連する下にある非導電性フィラメント14は、上述のように2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を有し得る縦糸ハイブリッド糸部材12において用いられる非導電性フィラメント14と比較して、より大きなデニールおよび/または直径を有する。緯糸および縦糸ハイブリッド糸12におよそまたは実質的に同じデニールおよび/または直径を提供することによって、結果として生じるスリーブファブリックは、より滑らかな外観および感触を有することになり、それによって、結果として生じるスリーブ10の耐摩耗性が向上する。
【0022】
たとえば、約1100デニールの非導電性PETマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、一例では直径が約50μm(このワイヤの直径は、我々の例では、約140デニールに相当する)であるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の1本の連続的な撚り糸を有する緯糸ハイブリッド糸部材12では、ハイブリッド糸部材12が約1240デニールになる。さらに、約970デニールの非導電性PETモノフィラメントまたはマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約50μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の2本の連続的な撚り糸を有する縦糸ハイブリッド糸部材12では、ハイブリッド縦糸部材12が約1250デニールになる。したがって、結果として生じる縦糸および緯糸ハイブリッド糸12のデニールは、互いに実質的にまたはおよそ等しい。
【0023】
別の例では、約1100デニールの非導電性PETモノフィラメントまたはマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約50μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の1本の連続的な撚り糸を有するハイブリッド緯糸部材12では、ハイブリッド糸部材12が約1240デニールになる。さらに、約830デニールのPET非導電性モノフィラメントまたはマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約50μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の3本の連続的な撚り糸を有するハイブリッド縦糸部材12では、ハイブリッド縦糸部材12が約1250デニールになる。したがって、ここでも、結果として生じる緯糸および縦糸方向のハイブリッド糸12は、実質的にまたはおよそ同じデニールである。
【0024】
さらに別の例では、約530デニールの非導電性m−アラミドマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約35μm(このワイヤの直径は、我々の例では、約70デニールに相当する)であるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の1本の連続的な撚り糸を有するハイブリッド緯糸部材12では、ハイブリッド糸部材12が約600デニールになる。さらに、約460デニールのm−アラミド非導電性マルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約35μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の2つの連続的な端部を有するハイブリッド縦糸部材12では、ハイブリッド縦糸部材12が約600デニールになる。したがって、結果として生じるハイブリッド緯糸および縦糸12はここでも、実質的にまたはおよそ同じデニールである。
【0025】
さらに他の例では、約530デニールの非導電性m−アラミドマルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約35μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の1本の連続的な撚り糸を有するハイブリッド緯糸部材12では、ハイブリッド糸部材12が約600デニールになる。さらに、約390デニールのm−アラミド非導電性マルチフィラメント14の周りに撚られたまたは供された、直径が約20〜100μmであり、この例では直径が約35μmであるステンレス鋼ワイヤフィラメント16の3本の連続的な撚り糸を有するハイブリッド縦糸部材12では、ハイブリッド縦糸部材12が約600デニールになる。ここでも、結果として生じるハイブリッド緯糸および縦糸12のデニールは、実質的にまたはおよそ同じである。
【0026】
したがって、上記の例が実証しているように、ハイブリッド緯糸および縦糸12の数多くの構造および配置が制限なしに可能である。さらに、上述のように、導電性ハイブリッド糸部材12の導電性を効果的に増大させるためにより多くの縦糸導電性ワイヤフィラメント16を用いることができ、それによって、EMI、RFIおよび/またはESD遮蔽効力を向上させ、結果として生じる縦糸および緯糸ハイブリッド糸部材12のデニールは好ましくは互いにおよそ等しいままである。
【0027】
図9に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、ここでは上述の材料のうちの1つから形成されたモノフィラメントであるように示されている単一の非導電性フィラメント14の周りに1本の導電性ワイヤフィラメント16を供する、または示されるように撚ることによって構築される。
【0028】
図10に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、まず、図9に関して上述したようにここではモノフィラメント14として示されている1本の非導電性フィラメントの周りに一方向(SまたはZ方向)に第1の導電性ワイヤフィラメント16を供しまたは撚り、次いで、第1のワイヤフィラメント16とは逆方向に第1のワイヤフィラメント16および非導電性フィラメント14の周りに第2の導電性ワイヤフィラメント16′を撚るまたは供することによって構築される。ワイヤフィラメント16,16′を互いにバランスのとれた逆の方向に撚るまたは供することによって、ハイブリッド糸部材12は実質的にバランスがとれ、したがって、如何なる著しいトルクもその周りに発生させない。
【0029】
図11に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、ここでは非導電性モノフィラメント14として示されている1本の非導電性フィラメントの周りに2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を供することによって構築される。示されるように、この実施例におけるワイヤフィラメント16は、互いに実質的に同じ螺旋角を有する状態で同じ方向に供され、そのため、互いに重なり合うことはない。
【0030】
図12に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、1本の非導電性フィラメント14の周りに2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を供することによって構築される。しかしながら、図11のようにモノフィラメントの周りにワイヤフィラメント16を供するのではなく、ワイヤフィラメント16はマルチフィラメント14の周りに供される。
【0031】
図13に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、ここでは非導電性モノフィラメント14として示されている1本の非導電性フィラメントの外面と当接して延びる2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を供することによって、上述の、図11および図12に示されたものと概して同じように構築される。しかしながら、非導電性フィラメント14の周りに導電性ワイヤフィラメント16を供する前に、非導電性モノフィラメント14は、まずその外面にコーティング材料CMを塗布して付着させることによって処理されるか、または、外面はテクスチャード加工プロセスにおいてその上にテクスチャ構造面TSを設けている。コーティング材料CMまたはテクスチャ構造面TSは、導電性ワイヤフィラメント16が、下にある非導電性モノフィラメント14に対して滑ることを抑制するように作用する。
【0032】
図14に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、1対の非導電性フィラメント14,14′の周りに2本以上の導電性ワイヤフィラメント16を供することによって構築される。非導電性フィラメント14,14′は、ここでは上述の材料から設けられた非導電性マルチフィラメント14および非導電性モノフィラメント14′であるように示されている。非導電性マルチフィラメント14およびモノフィラメント14′は、それらの長さに沿って互いに実質的に当接している。さらに、図14Aに示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面に従って構築されたハイブリッド糸部材12は、図5に関して上述したように示されるようなハイブリッド糸部材として設けられる、ここではマルチフィラメント非導電性部材14として示される非導電性部材のうちの少なくとも1つを有し、別の導電性ワイヤフィラメント16′を周りに撚るかまたは供しているが、ハイブリッド糸部材12の先に記載し示した他の実施例のうちのいずれも用いることができるであろう。したがって、連続的な導電性ワイヤフィラメント16′のうちの少なくとも1本が単独で非導電性マルチフィラメント14の周りに延びている。
【0033】
図15に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、非導電性モノフィラメント14′の周りに、図7に関して上述したのと同様に1対の先に撚られたまたは供されたハイブリッド糸部材12′を供することによって構築される。しかしながら、示される実施例では、ハイブリッド糸部材12′は、同様の螺旋角で各々の非導電性マルチフィラメント14の周りに撚られた、または示されるように供された導電性ワイヤフィラメント16を有する。しかしながら、中心に延びる非導電性モノフィラメント糸部材14′の周りに供されると、一方のハイブリッド糸部材12′の導電性ワイヤフィラメント16は、他方のハイブリッド糸部材12′の導電性ワイヤフィラメント16と接触する。
【0034】
図16に示されるように、本発明のさらに別の現状の好ましい局面によれば、ハイブリッド糸部材12は、まず、非導電性マルチフィラメント14であるように示されている1対の別個の非導電性フィラメントの周りに1対の導電性フィラメント16を撚るまたは供することによって構築される。次いで、撚られたまたは供された部材のうちの少なくとも1本には、非導電性モノフィラメント14′であるように示されている非導電性フィラメントが「S」方向などの方向に供されるまたは撚られる。次いで、1対の別個の部材が「Z」方向などの方向にともに撚り合せられて、一体型のハイブリッド糸部材12を形成する。
【0035】
本発明の別の局面は、EMI、RFIおよび/またはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するための上述のファブリックスリーブ10を構築する方法を含む。この方法は、各々が細長い非導電性フィラメント14と、非導電性フィラメント14の外面上に横たわる少なくとも1本の細長い連続的な導電性ワイヤフィラメント16とを有する少なくとも1本以上の上述のハイブリッド糸部材12を提供するステップを含む。次に、この方法は、たとえばファブリックを形成するために、縦糸および緯糸方向などの方向にハイブリッド糸部材12を互いに織り合せるステップを含み、縦糸方向に沿って延びるワイヤフィラメント16は、緯糸方向に沿って延びるワイヤフィラメント16と直接電気的に導通するようにされる。スリーブ10を構築するさまざまな方法によれば、ファブリックスリーブは、織りプロセス、編みプロセス、かぎ針編みプロセスまたは編組みプロセスによって構築できる。したがって、たとえばスリーブ10が編組みされたスリーブである場合、1本以上の上述のハイブリッド糸部材12との編組みプロセスを用いて、所望の如く上述の特定のスリーブ構造に想到するために、必要に応じてさらなるステップを含む、ということが認識されるべきである。結果として生じるスリーブが、編みの縦糸または横糸編みの形態以外の形態を用いて編組みされる、かぎ針編みされるまたは編まれる場合には、上記の縦糸および横糸方向の使用はこれらの構築方法から構築されたスリーブには適用できない、ということがさらに理解されるべきである。とにかく、事実上如何なる布地構築方法を用いてもハイブリッド糸部材12を織り合せて、保護スリーブを形成できる、ということが理解されるべきである。さらに、ハイブリッド糸部材12から構築されたスリーブ10は、さまざまな用途で用いられるように、多数の幅、高さおよび長さならびに構成に適合するように構築できる。
【0036】
明らかに、上記の教示に鑑みて、本発明の多くの変形および変更が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は具体的に説明したものとは異なる態様で実施してもよいということが理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブを構築するための導電性ハイブリッド糸フィラメントであって、
細長い非導電性モノフィラメントと、
前記非導電性モノフィラメントの外面上に横たわる細長い連続的な導電性ワイヤフィラメントとを備える、導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項2】
前記非導電性モノフィラメントの前記外面上に横たわる少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントをさらに備える、請求項1に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項3】
前記少なくとも2本の連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも2本は、互いに逆の螺旋方向に延びている、請求項2に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項4】
前記少なくとも2本の連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも2本は、互いに同じ螺旋方向に延びている、請求項2に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項5】
前記少なくとも2本の連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの前記少なくとも2本は、互いに接触しない、請求項4に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項6】
前記非導電性モノフィラメントは、テクスチャ構造外面を有する、請求項1に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項7】
前記非導電性モノフィラメントの前記外面上に付着したコーティング材料をさらに含む、請求項1に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項8】
少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントをさらに含み、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントは、前記少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントの外面上に横たわっている、請求項1に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項9】
前記非導電性モノフィラメントの前記外面および前記非導電性マルチフィラメントの前記外面上に横たわる少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントをさらに含む、請求項8に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項10】
前記非導電性モノフィラメントおよび前記非導電性マルチフィラメントは、それらの長さに沿って互いに実質的に当接する、請求項8に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項11】
少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントをさらに含み、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも1本は、前記非導電性モノフィラメントおよび前記非導電性マルチフィラメントの周りに延びており、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも1本は、単独で前記非導電性マルチフィラメントの周りに延びている、請求項8に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項12】
前記少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントは、前記非導電性モノフィラメントの周りに供されるまたは撚られる、請求項8に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項13】
前記非導電性モノフィラメントの周りに供されたまたは撚られた1対の前記非導電性マルチフィラメントをさらに含む、請求項12に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項14】
別個の導電性ワイヤフィラメントが、前記非導電性マルチフィラメントの各々の周りに供されるまたは撚られる、請求項13に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項15】
1対の導電性ワイヤフィラメントが、前記非導電性マルチフィラメントの各々の周りに供されるまたは撚られる、請求項14に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項16】
前記1対の導電性ワイヤフィラメントは、互いの周りに撚られる、請求項15に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項17】
前記非導電性モノフィラメントは、前記1対の導電性ワイヤフィラメントのうちの1本の周りに撚られる、請求項16に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項18】
EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブであって、
細長い非導電性モノフィラメントと、前記非導電性モノフィラメントの外面上に横たわる細長い連続的な導電性ワイヤフィラメントとを有する少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントを備え、
前記ワイヤフィラメントは、前記スリーブの一部に沿って前記ワイヤフィラメント自体とまたは前記ワイヤフィラメントのうちの他のワイヤフィラメントと電気的に通じるように織り合せられて、EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護する、ファブリックスリーブ。
【請求項19】
複数の前記ハイブリッド糸フィラメントをさらに備え、前記ハイブリッド糸フィラメントのうちの少なくとも数本は、前記非導電性モノフィラメントの前記外面上に横たわる少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントを有する、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項20】
前記少なくとも2本の連続的な導電性ワイヤフィラメントは、互いに逆の螺旋方向に延びている、請求項19に記載のファブリックスリーブ。
【請求項21】
前記少なくとも2本の連続的な導電性ワイヤフィラメントは、互いに同じ螺旋方向に延びている、請求項19に記載のファブリックスリーブ。
【請求項22】
前記非導電性モノフィラメントは、テクスチャ構造外面を有する、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項23】
前記非導電性モノフィラメントの前記外面上に付着したコーティング材料をさらに含む、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項24】
少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントをさらに含み、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントは、前記少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントの外面上に横たわっている、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項25】
前記非導電性モノフィラメントの前記外面および前記非導電性マルチフィラメントの前記外面上に横たわる少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントをさらに含む、請求項24に記載のファブリックスリーブ。
【請求項26】
前記非導電性モノフィラメントおよび前記非導電性マルチフィラメントは、それらの長さに沿って互いに実質的に当接する、請求項24に記載のファブリックスリーブ。
【請求項27】
少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントをさらに含み、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも1本は、前記非導電性モノフィラメントおよび前記非導電性マルチフィラメントの周りに延びており、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも1本は、単独で前記非導電性マルチフィラメントの周りに延びている、請求項24に記載のファブリックスリーブ。
【請求項28】
前記少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントは、前記非導電性モノフィラメントの周りに供されるまたは撚られる、請求項24に記載のファブリックスリーブ。
【請求項29】
前記非導電性モノフィラメントの周りに供されたまたは撚られた1対の前記非導電性マルチフィラメントをさらに含む、請求項28に記載のファブリックスリーブ。
【請求項30】
別個の導電性ワイヤフィラメントが、前記非導電性マルチフィラメントの各々の周りに供されるまたは撚られる、請求項29に記載のファブリックスリーブ。
【請求項31】
1対の導電性ワイヤフィラメントが、前記非導電性マルチフィラメントの各々の周りに供されるまたは撚られる、請求項30に記載のファブリックスリーブ。
【請求項32】
前記ハイブリッド糸は織られている、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項33】
前記ハイブリッド糸は編まれている、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項34】
前記ハイブリッド糸は編組みされている、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項35】
前記ハイブリッド糸はかぎ針編みされている、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項36】
EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブを構築する方法であって、
非導電性モノフィラメントと、前記非導電性フィラメントの外面上に横たわる少なくとも1本の連続的な導電性ワイヤフィラメントとを有する少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントを提供するステップと、
ファブリックを形成するために、前記少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントをそれ自体とまたは前記ハイブリッド糸フィラメントのうちの他のハイブリッド糸フィラメントと電気的に通じるように織り合せるステップと、
前記ファブリックを前記スリーブに形成するステップとを備える、方法。
【請求項37】
織り合せるステップは、織りプロセスにおいて行なわれる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
織り合せるステップは、編組みプロセスにおいて行なわれる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
織り合せるステップは、編みプロセスにおいて行なわれる、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
織り合せるステップは、かぎ針編みプロセスにおいて行なわれる、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
ファブリックスリーブを形成するために可撓性のある導電性ハイブリッド糸フィラメントを構築する方法であって、
細長い非導電性モノフィラメントを提供するステップと、
細長い導電性ワイヤフィラメントを提供するステップと、
非導電性モノフィラメントの外面の上に導電性ワイヤフィラメントを被せるステップとを備える、方法。
【請求項1】
EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブを構築するための導電性ハイブリッド糸フィラメントであって、
細長い非導電性モノフィラメントと、
前記非導電性モノフィラメントの外面上に横たわる細長い連続的な導電性ワイヤフィラメントとを備える、導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項2】
前記非導電性モノフィラメントの前記外面上に横たわる少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントをさらに備える、請求項1に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項3】
前記少なくとも2本の連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも2本は、互いに逆の螺旋方向に延びている、請求項2に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項4】
前記少なくとも2本の連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも2本は、互いに同じ螺旋方向に延びている、請求項2に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項5】
前記少なくとも2本の連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの前記少なくとも2本は、互いに接触しない、請求項4に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項6】
前記非導電性モノフィラメントは、テクスチャ構造外面を有する、請求項1に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項7】
前記非導電性モノフィラメントの前記外面上に付着したコーティング材料をさらに含む、請求項1に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項8】
少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントをさらに含み、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントは、前記少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントの外面上に横たわっている、請求項1に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項9】
前記非導電性モノフィラメントの前記外面および前記非導電性マルチフィラメントの前記外面上に横たわる少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントをさらに含む、請求項8に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項10】
前記非導電性モノフィラメントおよび前記非導電性マルチフィラメントは、それらの長さに沿って互いに実質的に当接する、請求項8に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項11】
少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントをさらに含み、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも1本は、前記非導電性モノフィラメントおよび前記非導電性マルチフィラメントの周りに延びており、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも1本は、単独で前記非導電性マルチフィラメントの周りに延びている、請求項8に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項12】
前記少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントは、前記非導電性モノフィラメントの周りに供されるまたは撚られる、請求項8に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項13】
前記非導電性モノフィラメントの周りに供されたまたは撚られた1対の前記非導電性マルチフィラメントをさらに含む、請求項12に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項14】
別個の導電性ワイヤフィラメントが、前記非導電性マルチフィラメントの各々の周りに供されるまたは撚られる、請求項13に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項15】
1対の導電性ワイヤフィラメントが、前記非導電性マルチフィラメントの各々の周りに供されるまたは撚られる、請求項14に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項16】
前記1対の導電性ワイヤフィラメントは、互いの周りに撚られる、請求項15に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項17】
前記非導電性モノフィラメントは、前記1対の導電性ワイヤフィラメントのうちの1本の周りに撚られる、請求項16に記載の導電性ハイブリッド糸フィラメント。
【請求項18】
EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブであって、
細長い非導電性モノフィラメントと、前記非導電性モノフィラメントの外面上に横たわる細長い連続的な導電性ワイヤフィラメントとを有する少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントを備え、
前記ワイヤフィラメントは、前記スリーブの一部に沿って前記ワイヤフィラメント自体とまたは前記ワイヤフィラメントのうちの他のワイヤフィラメントと電気的に通じるように織り合せられて、EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護する、ファブリックスリーブ。
【請求項19】
複数の前記ハイブリッド糸フィラメントをさらに備え、前記ハイブリッド糸フィラメントのうちの少なくとも数本は、前記非導電性モノフィラメントの前記外面上に横たわる少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントを有する、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項20】
前記少なくとも2本の連続的な導電性ワイヤフィラメントは、互いに逆の螺旋方向に延びている、請求項19に記載のファブリックスリーブ。
【請求項21】
前記少なくとも2本の連続的な導電性ワイヤフィラメントは、互いに同じ螺旋方向に延びている、請求項19に記載のファブリックスリーブ。
【請求項22】
前記非導電性モノフィラメントは、テクスチャ構造外面を有する、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項23】
前記非導電性モノフィラメントの前記外面上に付着したコーティング材料をさらに含む、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項24】
少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントをさらに含み、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントは、前記少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントの外面上に横たわっている、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項25】
前記非導電性モノフィラメントの前記外面および前記非導電性マルチフィラメントの前記外面上に横たわる少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントをさらに含む、請求項24に記載のファブリックスリーブ。
【請求項26】
前記非導電性モノフィラメントおよび前記非導電性マルチフィラメントは、それらの長さに沿って互いに実質的に当接する、請求項24に記載のファブリックスリーブ。
【請求項27】
少なくとも2本の前記連続的な導電性ワイヤフィラメントをさらに含み、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも1本は、前記非導電性モノフィラメントおよび前記非導電性マルチフィラメントの周りに延びており、前記連続的な導電性ワイヤフィラメントのうちの少なくとも1本は、単独で前記非導電性マルチフィラメントの周りに延びている、請求項24に記載のファブリックスリーブ。
【請求項28】
前記少なくとも1本の非導電性マルチフィラメントは、前記非導電性モノフィラメントの周りに供されるまたは撚られる、請求項24に記載のファブリックスリーブ。
【請求項29】
前記非導電性モノフィラメントの周りに供されたまたは撚られた1対の前記非導電性マルチフィラメントをさらに含む、請求項28に記載のファブリックスリーブ。
【請求項30】
別個の導電性ワイヤフィラメントが、前記非導電性マルチフィラメントの各々の周りに供されるまたは撚られる、請求項29に記載のファブリックスリーブ。
【請求項31】
1対の導電性ワイヤフィラメントが、前記非導電性マルチフィラメントの各々の周りに供されるまたは撚られる、請求項30に記載のファブリックスリーブ。
【請求項32】
前記ハイブリッド糸は織られている、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項33】
前記ハイブリッド糸は編まれている、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項34】
前記ハイブリッド糸は編組みされている、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項35】
前記ハイブリッド糸はかぎ針編みされている、請求項18に記載のファブリックスリーブ。
【請求項36】
EMI、RFIまたはESDのうちの少なくとも1つから細長い部材を保護するためのファブリックスリーブを構築する方法であって、
非導電性モノフィラメントと、前記非導電性フィラメントの外面上に横たわる少なくとも1本の連続的な導電性ワイヤフィラメントとを有する少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントを提供するステップと、
ファブリックを形成するために、前記少なくとも1本のハイブリッド糸フィラメントをそれ自体とまたは前記ハイブリッド糸フィラメントのうちの他のハイブリッド糸フィラメントと電気的に通じるように織り合せるステップと、
前記ファブリックを前記スリーブに形成するステップとを備える、方法。
【請求項37】
織り合せるステップは、織りプロセスにおいて行なわれる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
織り合せるステップは、編組みプロセスにおいて行なわれる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
織り合せるステップは、編みプロセスにおいて行なわれる、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
織り合せるステップは、かぎ針編みプロセスにおいて行なわれる、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
ファブリックスリーブを形成するために可撓性のある導電性ハイブリッド糸フィラメントを構築する方法であって、
細長い非導電性モノフィラメントを提供するステップと、
細長い導電性ワイヤフィラメントを提供するステップと、
非導電性モノフィラメントの外面の上に導電性ワイヤフィラメントを被せるステップとを備える、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14A】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14A】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2013−515331(P2013−515331A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527902(P2012−527902)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/046282
【国際公開番号】WO2011/028460
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(503170721)フェデラル−モーグル パワートレイン インコーポレイテッド (32)
【氏名又は名称原語表記】Federal−Mogul Powertrain, Inc.
【住所又は居所原語表記】26555 Northwestern Highway, Southfield, Michigan 48034, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/046282
【国際公開番号】WO2011/028460
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(503170721)フェデラル−モーグル パワートレイン インコーポレイテッド (32)
【氏名又は名称原語表記】Federal−Mogul Powertrain, Inc.
【住所又は居所原語表記】26555 Northwestern Highway, Southfield, Michigan 48034, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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