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ハイブリッド車両の制御装置
説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】燃料消費量の抑制を図りつつ、停車中のエンジン運転時の騒音を低減することのできるハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかるハイブリッド車両の制御装置であるパワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、バッテリ200の充電残量が少ないときには、停車中であってもエンジン110を運転させ、第1のモータジェネレータ120を駆動して発電を行い、発電された電力をバッテリ200に充電する。パワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、停車中にエンジン110を運転させるときには、エンジンパワーの上限値として、エンジン水温が基準値以上である場合に第1の上限値を設定する一方、エンジン水温が基準値未満である場合に第1の上限値よりも小さな第2の上限値を設定し、設定された上限値を上回らないようにエンジンパワーを制限しながらエンジン110を運転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリの充電量を確保するために、停車中にエンジンの動力によって発電機を駆動し、充電を行うハイブリッド車両が知られている。特許文献1には、こうした停車中のエンジンの運転音を抑制するために、停車中のエンジン運転時にはエンジン出力を低減させるハイブリッド車両の制御装置が記載されている。
【0003】
充電のために停車中にエンジンを運転させている場合には、風切り音やロードノイズが発生していないため、エンジンの運転音が特に乗員に聞こえやすい。これに対して上記のように停車中のエンジン運転時にエンジン出力を低減させるようにすれば、エンジンの運転音を抑制し、静粛性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7‐279702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、エンジンの出力を低減させた場合には、発電量も低減されてしまう。そのため、バッテリの充電残量を必要な量まで回復させるまでに時間がかかるようになり、エンジンを停止させて燃費消費量を抑制することのできる機会が少なくなってしまう。
【0006】
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は燃料消費量の抑制を図りつつ、停車中のエンジン運転時の騒音を低減することのできるハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、エンジンと、前記エンジンの動力によって発電を行う発電機と、前記発電機によって発電された電力を蓄えるバッテリとを備え、前記バッテリの充電残量が少ないときには、停車中であっても前記エンジンを運転させ、同エンジンの動力によって発電を行い前記バッテリに充電するハイブリッド車両の制御装置であり、停車中に前記エンジンを運転させるときには、エンジンパワーの上限値として、前記エンジンの冷却水温が基準値以上である場合に第1の上限値を設定する一方、前記エンジンの冷却水温が前記基準値未満である場合に前記第1の上限値よりも小さな第2の上限値を設定し、設定された上限値を上回らないようにエンジンパワーを制限しながら前記エンジンを運転させるハイブリッド車両の制御装置である。
【0008】
エンジンが暖まっていない冷間時には、燃料が霧化しにくいためエンジンにおける燃焼が不安定になりやすく、排気の脈動も不均一なものになりやすい。そのため、冷間時にはエンジンの排気音が乱れやすく、排気音が乗員に騒音として認識されやすい。そこで、騒音の発生を抑制するためには特に冷間時の排気音を低減することが望まれる。
【0009】
上記構成によれば、冷却水温が基準値未満の場合には、エンジンパワーの上限値として、より小さな上限値である第2の上限値が設定されるようになる。そのため、冷却水温が低く、エンジンが暖まっていない冷間時であることが推定されるときには、エンジンパワーが大幅に制限されて排気音が低減されるようになる。一方で、冷却水温が基準値以上の場合には、上限値として第2の上限値よりも大きな第1の上限値が設定されるようになる。そのため、冷却水温が高く、燃焼が安定していることが推定され、排気音の乱れが懸念されない場合には、エンジンパワーの制限の度合いが小さくされるようになる。したがって、耳障りな騒音を抑制する一方で、充電量を確保することができるようになり、早期に充電のためのエンジン運転を終了させてエンジンを停止させ、燃料消費量の抑制を図ることができるようになる。
【0010】
すなわち、上記請求項1に記載の発明によれば、燃料消費量の抑制を図りつつ、エンジン運転時の騒音を低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明にかかるハイブリッド車両の制御装置であるパワーマネジメントコントロールコンピュータと、その制御対象であるハイブリッドシステムとの関係を示す模式図。
【図2】エンジンパワー上限値の設定処理の流れを示すフローチャート。
【図3】エンジン水温が基準値未満の場合におけるエアコン負荷と充電量との関係を示すグラフ。
【図4】エンジン水温が基準値以上の場合におけるエアコン負荷と充電量との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかるハイブリッド車両の制御装置をハイブリッドシステムの出力制御を行うパワーマネジメントコントロールコンピュータとして具体化した一実施形態について、図1〜4を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように本実施形態にかかるハイブリッドシステム100は、エンジン110と2つのモータジェネレータ120,150とを動力分割機構130並びにリダクションギア140を介して連結することによって構成されている。
【0014】
なお、第1のモータジェネレータ120及び第2のモータジェネレータ150は、いずれも内部に永久磁石が埋め込まれたロータと三相コイルが巻回されたステータとを備える周知の同期発電電動機である。
【0015】
動力分割機構130は、外歯歯車のサンギア131と、このサンギア131を取り囲む内場歯車を備えるリングギア132と、サンギア131及びリングギア132の双方に噛合する複数のプラネタリギア133とを備える遊星歯車機構である。それぞれのプラネタリギア133はプラネタリキャリア134によって連結され、自転自在且つ公転自在に支持されている。プラネタリキャリア134は図1の右下に示されるようにダンパ112を介してエンジン110のクランクシャフト111に連結されている。サンギア131は第1のモータジェネレータ120に連結されている。リングギア132にはカウンターギア160が噛合されており、リングギア132の動力はこのカウンターギア160とファイナルギア170を介してディファレンシャル180に伝達される。
【0016】
また、図1の左下に示されるようにリングギア132には、リダクションギア140を介して第2のモータジェネレータ150が接続されている。リダクションギア140は動力分割機構130と同様にサンギア141と、複数のプラネタリギア143を備える遊星歯車機構である。しかし、リダクションギア140にあってはプラネタリキャリア144が固定されている。そのため、リダクションギア140のプラネタリギア143は自転自在であるものの公転不能になっている。なお、第2のモータジェネレータ150はサンギア141に連結されている。
【0017】
このように構成されたハイブリッドシステム100にあっては、プラネタリキャリア134から入力されるエンジン110からの動力が動力分割機構130を通じてサンギア131側とリングギア132側に分配されることになる。なお、リングギア132の歯数に対するサンギア131の歯数の比であるプラネタリ比は「ρ」であり、動力はこのプラネタリ比に応じて分配される。
【0018】
リングギア132は、動力分割機構130を通じて入力されるエンジン110の動力と、リダクションギア140を通じて入力される第2のモータジェネレータ150の動力とを統合してディファレンシャル180に伝達する。これにより、ハイブリッドシステム100から出力された動力は、ディファレンシャル180を介して左右の駆動輪190L,190Rに分配される。
【0019】
第1のモータジェネレータ120及び第2のモータジェネレータ150はインバータ210及びコンバータ220を介してバッテリ200に接続されている。インバータ210は第1のモータジェネレータ120と第2のモータジェネレータ150のそれぞれに対して6個の絶縁ゲートバイポーラトランジスタにより3相ブリッジ回路を構成している。これにより、インバータ210では、半導体スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタをON・OFFすることにより、直流電流を三相交流電流に変換したり、三相交流電流を直流電流に変換したりすることができる。
【0020】
コンバータ220はリアクトルと2つの絶縁バイポーラトランジスタとにより構成されており、一方の絶縁バイポーラトランジスタをON・OFFすることにより、バッテリ200から供給される電力を昇圧してインバータ210に供給する。また、他方の絶縁バイポーラトランジスタをON・OFFすることにより、インバータ210から供給される電力を降圧してバッテリ200に供給することもできる。
【0021】
これにより、第1のモータジェネレータ120によって発電された交流電流は、インバータ210に伝達されるとともに同インバータ210によって直流電流に変換され、コンバータ220を通じて降圧された後にバッテリ200に充電される。
【0022】
また、エンジン110の始動時には、バッテリ200から供給される直流電流がコンバータ220を通じて昇圧された後にインバータ210によって交流電流に変換されて第1のモータジェネレータ120に供給される。
【0023】
第2のモータジェネレータ150も、第1のモータジェネレータ120と同じくインバータ210及びコンバータ220を介してバッテリ200に接続されている。そして、発進時や低速時、加速時にはバッテリ200から供給される直流電流がコンバータ220で昇圧された後にインバータ210によって交流電流に交換されて第2のモータジェネレータ150に供給される。
【0024】
第1のモータジェネレータ120は、エンジン110の始動時にはエンジン110をクランキングするスタータモータとして機能する一方、エンジン110の運転中にはエンジン110の動力を利用して発電を行う発電機として機能する。
【0025】
また、定常走行時や加速時には、第1のモータジェネレータ120によって発電された交流電流がインバータ210を介して第2のモータジェネレータ150に供給される。こうして供給された電流によって第2のモータジェネレータ150が駆動されると、その動力はリダクションギア140に伝達される。そして、リダクションギア140に伝達された動力がディファレンシャル180を介して駆動輪190L,190Rに伝達される。
【0026】
また、減速時には、駆動輪190L,190Rから伝達される動力により第2のモータジェネレータ150が駆動される。このとき、第2のモータジェネレータ150が発電機として機能し、発電することで、駆動輪190L,190Rから第2のモータジェネレータ150に伝達された動力が電力に変換される。こうして変換された電力は、インバータ210によって交流電流から直流電流に変換され、コンバータ220を通じて降圧された後にバッテリ200に充電される。
【0027】
すなわち、減速時には、運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリ200に蓄えることにより、エネルギーを回収するようにしている。
こうしたハイブリッドシステム100の制御は、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500から出力される制御信号に基づいて実行される。パワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、ハイブリッドシステム100の各部を制御するための各種演算処理を実施する中央演算処理装置(CPU)、制御用のプログラムやデータが記憶された読み込み専用メモリ(ROM)、演算処理の結果などを一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)などを備えて構成されている。
【0028】
また、図1に示すように、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500には、バッテリ監視ユニット250、モータ制御ユニット300、エンジン制御ユニット400、電力を利用して駆動される補機である電動エアコン600などが接続されている。
【0029】
バッテリ監視ユニット250には、バッテリ200とコンバータ220との間の電力ラインに設けられた電流センサ230からの電流値信号、バッテリ温度センサ240からのバッテリ温度信号などが入力される。バッテリ監視ユニット250は、こうしたセンサから入力されたバッテリ200の状態に関するデータを必要に応じてパワーマネジメントコントロールコンピュータ500に送信する。なお、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、バッテリ監視ユニット250から送信される電流センサ230の検出値の積算値に基づいてバッテリ200の充電残量を演算する。
【0030】
モータ制御ユニット300は、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500からの出力要求に従い、インバータ210とコンバータ220を制御し、第1のモータジェネレータ120及び第2のモータジェネレータ150を制御する。また、モータ制御ユニット300には第1のモータジェネレータ120の回転数Nm1を検出する回転センサ320と第2のモータジェネレータ150の回転数Nm2を検出する回転センサ350が接続されている。モータ制御ユニット300は、これら回転センサ320,350によって検出された回転数Nm1,Nm2の情報など、車両制御に必要な情報をパワーマネジメントコントロールコンピュータ500に送信する。
【0031】
エンジン制御ユニット400は、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500からの出力要求に従い、エンジン110における燃料噴射制御や、点火時期制御、吸入空気量制御などを行う。エンジン制御ユニット400には、吸入空気量を検出するエアフロメータ410や、クランクシャフト111の回転数であるエンジン回転数Neを検出するクランクポジションセンサ420が接続されている。また、スロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサ430や、エンジンの冷却水温であるエンジン水温THWを検出する水温センサ440なども接続されている。エンジン制御ユニット400は、必要に応じてこれらのセンサによって検出された情報をパワーマネジメントコントロールコンピュータ500に送信する。
【0032】
バッテリ監視ユニット250、モータ制御ユニット300、エンジン制御ユニット400の他にも、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500には、アクセル操作量を検出するアクセルポジションセンサ510、シフトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサ520、車速を検出する車速センサ530などが接続されている。
【0033】
パワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、アクセルの操作量や車速などに基づいてリングギア132に出力すべき要求パワーP*や要求トルクTr*を算出する。そして、この要求パワーP*や要求トルクTr*に対応する要求動力がリングギア132に出力されるように、エンジン110、第1のモータジェネレータ120、第2のモータジェネレータ150を制御する。
【0034】
具体的には、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、アクセル操作量や車速、各モータジェネレータ120,150の回転数、バッテリ200の充電残量などを読み込み、まず、バッテリ200の充電残量に基づいて充電の必要度合いに応じて充電要求パワーPb*を算出する。なお、充電要求パワーPb*は充電を行うために必要なパワーである。
【0035】
そして、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500はアクセル操作量と車速に基づいて駆動輪190L,190Rに連結されたリングギア132に出力すべき要求トルクTr*と要求パワーP*とを設定する。なお、要求トルクTr*はアクセル操作量と車速と要求トルクTr*との関係が予め定められた演算マップを参照することにより算出され、要求パワーP*は要求トルクTr*にリングギア132の回転数Nrを乗じたものに充電要求パワーPb*を加算することによって設定される。
【0036】
パワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、こうして設定した要求パワーP*をエンジン110から出力すべき要求エンジンパワーPe*として設定してこの要求エンジンパワーPe*に基づいてエンジン110の目標エンジントルクTe*と目標エンジン回転数Ne*を設定する。なお、目標エンジン回転数Ne*と目標エンジントルクTe*は、周知のように最適燃費ラインと等パワー曲線との交点から算出される。
【0037】
更に、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、こうして算出した目標エンジン回転数Ne*とリングギア132の回転数Nrとプラネタリ比とを用いて、第1のモータジェネレータ120の目標回転数Nm1*を算出する。そして、第1のモータジェネレータ120の回転数Nm1をこの目標回転数Nm1*に一致させるために必要な第1のモータジェネレータ120のトルクTm1を算出し、これを第1のモータジェネレータ120のトルク指令値Tm1*とする。その上で、このトルク指令値Tm1*とプラネタリ比に基づいて第2のモータジェネレータ150のトルク指令値Tm2*を算出する。
【0038】
こうして目標エンジントルクTe*や、トルク指令値Tm1*,Tm2*を算出すると、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500はこれらを出力し、エンジン110や各モータジェネレータ120,150を駆動する。
【0039】
これにより、要求エンジンパワーPe*に見合うエンジンパワーPeがエンジン110から出力されるとともに、エンジン110から出力されるエンジンパワーPeが各モータジェネレータ120,150によりトルク変換されてリングギア132に要求トルクTr*に見合ったトルクTrが出力されるようになる。
【0040】
こうした制御を行うことにより、エンジン110が出力する動力の一部を利用して第1のモータジェネレータ120を駆動し、そこで発電された電力を利用して第2のモータジェネレータ150を駆動することによってエンジン110の動力に第2のモータジェネレータ150の動力を加えて駆動輪190L,190Rを駆動することになる。こうしてエンジン110が出力する動力の一部を第1のモータジェネレータ120に分配するととともに、第2のモータジェネレータ150の動力によって駆動をアシストすることにより、エンジン回転数Neを調整し、エンジン110を効率のよい運転領域で運転させつつ、要求の動力が得られるようになる。
【0041】
また、要求される動力が大きい加速時などには、バッテリ200から第2のモータジェネレータ150に電力を供給し、第2のモータジェネレータ150によるアシスト量を増大させてより大きな動力を出力する。
【0042】
更に、バッテリ200の充電残量が少ないときには、エンジン110の運転量を増大させ、第1のモータジェネレータ120における発電量を増大させることにより、バッテリ200に電力を供給する。
【0043】
一方で、バッテリ200の充電残量が十分に確保されている場合には、エンジン110の運転を停止して要求される動力に見合う動力を第2のモータジェネレータ150のみからリングギア132に出力するモータ運転も可能である。例えば、エンジン110の効率が悪い低負荷の領域ではエンジン110の運転を停止し、第2のモータジェネレータ150の動力のみによって走行する。また、車両停止中にもエンジン110を停止し、燃料消費量の低減を図る。
【0044】
なお、エンジン110の効率が悪い低負荷の領域や車両停止中であってもバッテリ200の充電残量が少ない場合にはエンジン110を運転させ、エンジン110の動力で第1のモータジェネレータ120を駆動することによって発電を行い、発電によって生じた電力をバッテリ200に充電する。なお、この場合には要求エンジンパワーPe*として充電要求パワーPb*が設定されることになる。
【0045】
ところで、充電のために停車中にエンジン110を運転させている場合には、風切り音やロードノイズが発生していないため、エンジン110の運転音が特に乗員に聞こえやすい。そのため、本実施形態のパワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、停車中のエンジン運転時にはエンジンパワーPeに上限値を設け、エンジンパワーPeを低減させるようにしている。
【0046】
こうしてエンジンパワーPeを低減させれば、エンジン110の運転音を抑制し、静粛性を向上させることができる。
以下、本実施形態にかかるエンジンパワー上限値の設定処理について図2〜4を参照して説明する。
【0047】
図2に示される処理は、車両停止中に充電のためにエンジン110が運転されているときにパワーマネジメントコントロールコンピュータ500によって所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0048】
この処理が開始されるとパワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、図2に示されるようにまずステップS100においてエンジン水温THWが基準値THWst以上であるか否かを判定する。なお、基準値THWstはエンジン110が十分に暖まっているか否かを判定するための閾値である。そのため、この基準値THWstは、エンジン水温THWがこの基準値THWst以上まで上昇していることに基づいて、エンジン110における燃料が良好に霧化されて安定した燃焼が得られるようになっていることを推定することができるようにその値の大きさが設定されている。
【0049】
ステップS100において、エンジン水温THWが基準値THWst以上である旨の判定がなされた場合(ステップS100:YES)には、ステップS110へと進み、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500はエンジンパワー上限値Pelimとして第1の上限値PeHを設定する。
【0050】
一方、ステップS100において、エンジン水温THWが基準値THWst未満である旨の判定がなされた場合(ステップS100:NO)には、ステップS120へと進み、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500はエンジンパワー上限値Pelimとして第2の上限値PeLを設定する。なお、第2の上限値PeLは第1の上限値PeHよりも小さな値である。
【0051】
こうしてエンジンパワー上限値Pelimを設定するとパワーマネジメントコントロールコンピュータ500はこの処理を一旦終了する。
パワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、停車中のエンジン運転時にこの設定処理を繰り返し実行することにより、エンジン水温THWに応じてエンジンパワー上限値Pelimを設定するようにしている。
【0052】
そして、パワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、要求エンジンパワーPe*がこうして設定されたエンジンパワー上限値Pelimを超えている場合には、要求エンジンパワーPe*をエンジンパワー上限値Pelimと等しい値に制限し、停車中のエンジン運転時のエンジンパワーPeを制限するようにしている。
【0053】
(作用)
以下、こうしたエンジンパワー上限値Pelimの設定処理の作用について説明する。
エンジン110が暖まっていない冷間時には、燃料が霧化しにくいためエンジン110における燃焼が不安定になりやすく、排気の脈動も不均一なものになりやすい。そのため、冷間時にはエンジン110の排気音が乱れやすく、排気音が乗員に騒音として認識されやすい。そこで、騒音の発生を抑制するためには特に冷間時の排気音を低減することが望まれる。
【0054】
これに対してパワーマネジメントコントロールコンピュータ500は、エンジン水温THWが基準値THWst未満であり、エンジン110が暖まっていないと推定されるときには、より小さな上限値である第2の上限値PeLをエンジンパワー上限値Pelimとして設定する。そのため、エンジン110が暖まっておらず、排気音が乱れやすく騒音として認識されやすいときにはエンジンパワーPeが大幅に制限されて排気音が低減されるようになる。
【0055】
例えば、電動エアコン600の負荷が高くなるとそれに伴って電力の消費量は多くなる。そのため、電力の消費を補って充電量を確保するために必要なエンジンパワーPeは、図3に示されるように電動エアコン600の負荷が高くなるほど、高くなる。しかし、排気音が乱れやすく、騒音として認識されやすい冷間時に、エンジンパワーPeを増大させた場合には、エンジンパワーPeの増大に伴って排気音が大きくなり、静粛性が損なわれてしまうおそれがある。
【0056】
これに対して本実施形態にあっては、エンジンパワー上限値Pelimとして第2の上限値PeLを設定し、エンジンパワーPeを制限するようにしている。そのため、図3に示されるように電動エアコン600の負荷が「AC1」以上になる場合でも、エンジンパワーPeはエンジンパワー上限値Pelimとして設定されている第2の上限値PeLと等しい値になり、第2の上限値PeL以上に増大しないようになっている。
【0057】
これにより、排気音が騒音として認識されやすい冷間時にはエンジンパワーPeを制限して排気音を低減させ、静粛性を確保することができる。
ところで、車両停止中のエンジン運転時に、冷間時の排気音を抑制するために必要な水準まで一律にエンジンパワーPeを制限するようにした場合には、発電量も制限されるため、図3に示されるように電動エアコン600の負荷が「AC1」を超えるときに充電量が減少してしまう。
【0058】
その結果、バッテリ200の充電残量を必要な量に回復させるまでに時間がかかるようになり、エンジン110を停止させて燃費消費量を抑制することのできる機会が少なくなってしまう。
【0059】
これに対して本実施形態では、エンジン水温THWが基準値THWst以上の場合には、図4に示されるようにエンジンパワー上限値Pelimとして第2の上限値PeLよりも大きな第1の上限値PeHを設定するようにしている。そのため、エンジン水温THWが高く、燃焼が安定していることが推定され、排気音の乱れが懸念されない場合には、エンジンパワー上限値Pelimが引き上げられてより大きなエンジンパワーPeが出力できるようになる。その結果、図4に示されるように電動エアコン600の負荷が「AC1」を超えるような場合であっても充電量を確保することができるようになり、必要な充電を早期に完了させて停車中のエンジン運転を終了させることができる。
【0060】
すなわち、排気音の乱れが特に生じやすい冷間時には排気音の低減を優先させるためにエンジンパワーPeが大幅に制限される一方、排気音の乱れが生じにくくなる暖機後にあっては充電量を確保するためにエンジンパワーPeの制限が緩められるようになる。
【0061】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)上記構成によれば、エンジン水温THWが低く、エンジン110が暖まっていない冷間時であることが推定されるときには、エンジンパワーPeが大幅に制限されて排気音が低減されるようになる。一方で、エンジン水温THWが高く、燃焼が安定していることが推定され、排気音の乱れが懸念されない場合には、エンジンパワーPeの制限の度合いが小さくされ、より大きなエンジンパワーPeが出力可能になる。したがって、耳障りな騒音を抑制する一方で、充電量を確保することができるようになり、早期に充電のためのエンジン運転を終了させてエンジン110を停止させ、燃料消費量の抑制を図ることができるようになる。すなわち、燃料消費量の抑制を図りつつ、エンジン運転時の騒音を低減することができる。
【符号の説明】
【0062】
100…ハイブリッドシステム、110…エンジン、111…クランクシャフト、112…ダンパ、120…第1のモータジェネレータ、130…動力分割機構、131…サンギア、132…リングギア、133…プラネタリギア、134…プラネタリキャリア、140…リダクションギア、141…サンギア、143…プラネタリギア、144…プラネタリキャリア、150…第2のモータジェネレータ、160…カウンターギア、170…ファイナルギア、180…ディファレンシャル、190L,190R…駆動輪、200…バッテリ、210…インバータ、220…コンバータ、230…バッテリ電流センサ、240…バッテリ温度センサ、250…バッテリ監視ユニット、300…モータ制御ユニット、320,350…回転センサ、400…エンジン制御ユニット、410…エアフロメータ、420…クランクポジションセンサ、430…スロットルポジションセンサ、440…水温センサ、500…パワーマネジメントコントロールコンピュータ、510…アクセルポジションセンサ、520…シフトポジションセンサ、530…車速センサ、600…電動エアコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンの動力によって発電を行う発電機と、前記発電機によって発電された電力を蓄えるバッテリとを備え、前記バッテリの充電残量が少ないときには、停車中であっても前記エンジンを運転させ、同エンジンの動力によって発電を行い前記バッテリに充電するハイブリッド車両の制御装置であり、
停車中に前記エンジンを運転させるときには、エンジンパワーの上限値として、前記エンジンの冷却水温が基準値以上である場合に第1の上限値を設定する一方、前記エンジンの冷却水温が前記基準値未満である場合に前記第1の上限値よりも小さな第2の上限値を設定し、設定された上限値を上回らないようにエンジンパワーを制限しながら前記エンジンを運転させるハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−255406(P2012−255406A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129530(P2011−129530)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】