説明

ハイブリッド車両

【課題】エンジンおよびモータを搭載したハイブリッド車両の冷却系構成を、主に消費パワーおよび省スペース化の面において効率化する。
【解決手段】エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305が一体的に統合された冷却系において、両冷却経路304,305に共通に設けられたウォータポンプ305は両冷却経路内に設けられず、ウォータポンプ305および両冷却経路304,305の間に、流量調整機構360が配置される。ECU380は、エンジン4およびモータジェネレータの運転状態に基づき、両冷却経路304,305での必要冷却水量の和に従ってウォータポンプ305の冷却水吐出量を設定する。流量調整機構360は、ウォータポンプ350から吐出された冷却水を、両冷却経路304,305での必要冷却水量の比率に従って分配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はハイブリッド車両に関し、より特定的には内燃機関(エンジン)および回転電機(モータ)を駆動力源として搭載したハイブリッド車両におけるエンジンおよびモータの冷却系構成に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンおよびモータを車両駆動力源として搭載したハイブリッド車両では、エンジンおよびモータを効率的に冷却するために両者の冷却装置を統合して冷却系を構成することが提案されている。
【0003】
たとえば、特開2002−276364号公報(特許文献1)には、エンジン冷却水路のうちメインラジエータの下流側水路に対し並列となるように分岐かつ合流する電動機冷却水路を設けたハイブリッド自動車の冷却装置が開示されている。この冷却装置では、電動機冷却水路にサブラジエータおよび電動機が冷却水の流れ方向に対して順に配設されている。さらに、上記下流側水路の分岐部にこの下流側水路および電動機冷却水路を流通する冷却水の流量配分を調節する流量調整弁と、エンジン冷却水路に冷却水を循環させる電動ポンプとを設ける構成として、エンジンおよび電動機の負荷状態に応じて制御手段により流量調整弁の弁開度および電動ポンプの送出量を制御する構成が開示されている。上記冷却装置によれば、エンジン冷却水路および電動機冷却水路による電動ポンプの共有を始め、両冷却水路の統合効果により冷却装置を簡素かつ安価に構成できる。
【0004】
また、ハイブリッド車両では、エンジンに加えて搭載されるモータの搭載スペースを抑制して、車内の乗員・収納スペースを確保することが要求される。この点について、現状のハイブリッド車では、インバータの大きな箱型ケースが別個に設けられてシャーシに固定され、その下にモータケース(トランスアクスル)が配置されている構成をとっているのに対して、モータとこのモータを駆動制御するインバータとを1つのケースに収めて一体化することによって小型化を達成したハイブリッド車両の駆動装置の構成が特開2004−343845号公報(特許文献2)に開示されている。
【特許文献1】特開2002−276364号公報
【特許文献2】特開2004−343845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2002−276364号公報(特許文献1)に開示されたハイブリッド車の冷却装置では、電動機冷却水路がエンジン冷却水路の下流で分岐する構成となっており、かつ、両冷却水路により共有される電動ポンプがエンジン冷却経路の中に組込まれている。このため、電動機冷却経路に冷媒を流すためには必ずエンジン冷却水路に冷媒を通さなければならない構成となっており、発進時や軽負荷走行時でのエンジンを停止したモータ走行等、エンジンに冷媒を流す必要がない場合においても冷却経路の共有化により電動ポンプに無駄な電力が消費されるという問題点が発生する。
【0006】
また、電動機冷却水路がエンジン冷却水路の下流に位置するため、エンジン作動中には電動機冷却水路へ供給される冷却水温(冷媒温度)を下げることに限界がある。このため、たとえばエンジンおよびモータの両者が高負荷運転される場合に、電動機系での冷却能力を確保するためには、電動機冷却水路に専用のラジエータ(特許文献1でのサブラジエータ)を設置する必要がある。
【0007】
一方、特開2004−343845号公報(特許文献2)に開示されるハイブリッド車両の駆動装置は、モータの上にインバータを載せただけの構造であり、高さ方向に関し車輪に搭載した場合の車両重心位置について改善の余地がある。さらに、ハイブリッド車両の駆動装置を搭載する際の省スペース化にも十分に考慮されていない。また、多くの車種に搭載可能とするためには、通常の車両でエンジンに隣接されている自動変速機とほぼ同等の輪郭内にインバータおよびモータを配置することが好ましい。
【0008】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、エンジンおよびモータを搭載したハイブリッド車両の冷却系構成を、主に消費パワーおよび省スペース化の面において効率化することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によるハイブリッド車両は、車両駆動力を発生するための内燃機関および回転電機を備えたハイブリッド車両であって、第1の冷却経路と、第2の冷却経路と、冷媒供給ポンプと、リターン経路と、流量調整機構と、制御装置とを備える。第1の冷却経路は、内燃機関を冷却するための冷媒が通過するように構成される。第2の冷却経路は、回転電機の駆動制御を行なうパワー制御ユニットを冷却するための冷媒が通過するように構成される。冷媒供給ポンプは、第1および第2の冷却経路に冷媒を供給する。リターン経路は、第1および第2の冷却経路を通過した冷媒を冷媒供給ポンプの吸入側へ導くように構成される。流量調整機構は、冷媒供給ポンプの吐出側と第1および第2の冷却経路との間に設けられ、冷媒供給ポンプから吐出された冷媒を第1および第2の冷却経路間で可変に分配するように構成される。制御装置は、ハイブリッド車両の運転状態に応じて、冷媒供給ポンプおよび流量調整機構の動作を制御する。
【0010】
上記ハイブリッド車両によれば、内燃機関を冷却するための第1の冷却経路(エンジン冷却経路)と回転電機駆動用のパワー制御ユニット(PCU)を冷却するための第2の冷却経路(HV冷却経路)とで冷媒供給ポンプを共有することにより小型化された冷却系の構成において、冷媒供給ポンプを第1および第2の冷却経路から独立に設けることにより、いずれの冷却経路へも流量調整機構を介して冷媒供給ポンプから冷媒を直接供給できる。これにより、第1および第2の冷却経路を直列に配列する構成と比較して、一方の冷却経路のみに冷却水の供給が必要な場合における冷媒供給ポンプでの消費エネルギを抑制できる。さらに、循環時における冷媒の受熱量を軽減できるので、冷却系全体での冷却能力の確保が容易となる。
【0011】
好ましくは、このこの発明によるハイブリッド車両では、冷媒供給ポンプから吐出される冷媒量は、制御手段からの指令に従って可変制御される。さらに、制御装置は、内燃機関の運転状態に応じて第1の冷却経路で必要な冷媒量を求める第1の算出手段と、回転電機の運転状態に応じて第2の冷却経路で必要な冷媒量を求める第2の算出手段と、第1および第2の算出手段によって求められた必要冷媒量の和に応じて冷媒供給ポンプからの冷媒吐出量を設定するポンプ制御手段と、第1および第2の算出手段によって求められた必要冷媒量の比に応じて流量調整機構の動作を制御する流量調整制御手段とを含む。
【0012】
上記ハイブリッド車両によれば、内燃機関および回転電機の運転状態に応じて各冷却経路に供給される冷媒量を適正化できるとともに、両冷却経路で必要な冷媒量の和に応じて冷媒供給ポンプからの冷媒吐出量を設定することにより、冷媒供給ポンプの消費エネルギを抑制することができる。
【0013】
さらに好ましくは、この発明によるハイブリッド車両では、第1の算出手段は、内燃機関の運転指令および第1の冷却経路における冷媒温度の少なくとも一方に応じて、第1の冷却経路で必要な冷媒量を求める。また、第2の算出手段は、回転電機の運転指令および第2の冷却経路における冷媒温度の少なくとも一方に応じて、第2の冷却経路で必要な冷媒量を求める。
【0014】
上記ハイブリッド車両では、内燃機関および回転電機への運転指令値(出力、回転数、トルク等)および/または冷却経路を流れる冷媒温度を用いて、各冷却経路に必要な冷媒量を簡易かつ適切に設定することができる。
【0015】
また好ましくは、この発明によるハイブリッド車両は、冷媒放熱機構をさらに備える。冷媒放熱機構は、第1および第2の冷却通路に共通に設けられ、リターン経路上での第1および第2の冷却通路が統合される個所と冷媒供給ポンプの吸入側との間に設けられる。
【0016】
上記ハイブリッド車両によれば、冷媒放熱機構(代表的にはラジエータ)を両冷却経路で共有できるので、ハイブリッド車両の冷却系について、低コスト化および省スペース化を図ることができる。なお、上記のように冷却系全体での冷却能力を確保することにより、冷媒放熱機構の共有は容易化される。
【0017】
さらに好ましくは、この発明によるハイブリッド車両は、動力伝達機構と、ケースとをさらに備える。ダンパは、内燃機関のクランクシャフトと結合される。動力伝達機構は、内燃機関の発生した動力に回転電機の発生した動力を合成して駆動軸に伝達する。ケースは、回転電機、パワー制御ユニットおよび動力伝達機構を収容するように構成される。パワー制御ユニットは、回転電機に対応して設けられるインバータのパワー素子が搭載され、回転電機の車両搭載時における上方に配置された回路基板をさらに含む。ケースは、パワー制御ユニットを収容する第1の収容室と、回転電機を収容する第2の収容室と、第1および第2の収容室を仕切る隔壁とを含む。さらに、第2の冷却経路は、隔壁により形成された、回路基板を冷却するための冷媒流路を含む。
【0018】
上記ハイブリッド車両によれば、回転電機およびパワー制御ユニットを一体的にケース内に収容して小型化された駆動装置部分において、パワー制御ユニットを冷却する第2の冷却経路を上記ケース内に効率的に設けることができる。また、上記第2の冷却経路が熱容量の大きいケースと熱交換可能となるので、冷媒温度上昇を抑制してハイブリッド車両の冷却系での冷却能力向上を図ることができる。
【0019】
特にこのような構成においては、ハイブリッド車両は内燃機関のクランクシャフトが結合されるダンパをさらに備える。回転電機の回転軸は、ダンパの回転軸と重なるように配置され、ケースはダンパをさらに収容するように構成される。さらに、パワー制御ユニットは、回転軸方向から投影した場合に、ケースのダンパ、回転電機、および動力伝達機構を収容する部分の投影部の車両搭載時の水平方向および/または鉛直方向の寸法に収まるように、ケース内に配置される。
【0020】
上記ハイブリッド車両によれば、ハイブリッド車両の駆動装置部分の水平方向/鉛直方向の寸法を抑制することができるので、当該駆動装置部分の体格を小型化して車両搭載性を向上することができる。特に、このような駆動装置部分との組み合わせにより、冷却系の小型化の効果をより顕著に享受することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるハイブリッド車両によれば、エンジンおよびモータの冷却系について、両者の統合による省スペース化および冷媒供給ポンプの消費パワー抑制を両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0023】
なお、以下の説明で明らかとなるように、本発明は主にハイブリッド車両の冷却系構成に向けられており、特に、「回転電機」であるモータ(以下、モータジェネレータとも称する)と、当該モータジェネレータを駆動するインバータを含む電気回路系とが同一ケース内に収容されて一体化された駆動装置を備えたハイブリッド車両に好適である。したがって、以下では、ハイブリッド車両の駆動装置の好ましい構成についてまず説明する。ただし、本発明の適用は、以下に説明するような駆動装置を搭載したハイブリッド車両に限定されるものではなく、モータおよびエンジンの両者を駆動力源として搭載するハイブリッド車両に共通に本発明を適用可能である点について確認的に記載しておく。
【0024】
[車両の構成要素の説明]
図1は、本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両100のモータジェネレータ制御に関する構成を示す回路図である。
【0025】
図1を参照して、車両100は、駆動装置20と、制御装置30と、電池ユニット40と、図示しないエンジンおよび車輪とを含む。
【0026】
駆動装置20は、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構PSDと、減速機RDと、モータジェネレータMG1,MG2の制御を行なうパワー制御ユニット(PCU)21とを備える。
【0027】
動力分割機構PSDは、基本的には、後で図2で示すエンジン4とモータジェネレータMG1,MG2に結合されてこれらの間で動力を分配する機構である。たとえば動力分割機構としてはサンギヤ、プラネタリキャリヤ、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。
【0028】
動力分割機構PSDの2つの回転軸がエンジン4、モータジェネレータMG1の各回転軸にそれぞれ接続され、他の1つの回転軸は減速機RDに接続される。動力分割機構PSDと一体化された減速機RDによってモータジェネレータMG2の回転は減速されて動力分割機構PSDに伝達される。
【0029】
なお減速機の回転軸は、後に説明するように図示しない減速ギヤやディファレンシャルギヤによって車輪に結合されている。
【0030】
電池ユニット40には端子41,42が設けられている。また駆動装置20には端子43,44が設けられている。車両100は、さらに、端子41と端子43とを結ぶパワーケーブル6と、端子42と端子44とを結ぶパワーケーブル8とを含む。
【0031】
電池ユニット40は、バッテリBと、バッテリBの負極と端子42との間に接続されるシステムメインリレーSMR3と、バッテリBの正極と端子41との間に接続されるシステムメインリレーSMR2と、バッテリBの正極と端子41との間に直列に接続される、システムメインリレーSMR1および制限抵抗Rとを含む。システムメインリレーSMR1〜SMR3は、制御装置30から与えられる制御信号SEに応じて導通/非導通状態が制御される。
【0032】
電池ユニット40は、さらに、バッテリBの端子間の電圧VBを測定する電圧センサ10と、バッテリBに流れる電流IBを検知する電流センサ11とを含む。
【0033】
バッテリBとしては、ニッケル水素、リチウムイオン等の二次電池や燃料電池などを用いることができる。また、バッテリBに代わる蓄電装置として電気二重層コンデンサ等の大容量キャパシタを用いることもできる。
【0034】
パワー制御ユニット21は、モータジェネレータMG1,MG2にそれぞれ対応して設けられるインバータ22,14と、インバータ22,14に共通して設けられる昇圧コンバータ12とを含む。
【0035】
昇圧コンバータ12は、端子43,44間の電圧を昇圧する。インバータ14は、昇圧コンバータ12から与えられる直流電圧を三相交流に変換してモータジェネレータMG2に出力する。
【0036】
昇圧コンバータ12は、一方端が端子43に接続されるリアクトルL1と、昇圧後の電圧VHを出力する昇圧コンバータ12の出力端子間に直列に接続されるIGBT素子Q1,Q2と、IGBT素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2と、平滑用コンデンサC2とを含む。平滑用コンデンサC2は、昇圧コンバータ12によって昇圧された電圧を平滑化する。
【0037】
リアクトルL1の他方端はIGBT素子Q1のエミッタおよびIGBT素子Q2のコレクタに接続される。ダイオードD1のカソードはIGBT素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードはIGBT素子Q1のエミッタと接続される。ダイオードD2のカソードはIGBT素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードはIGBT素子Q2のエミッタと接続される。
【0038】
インバータ14は車輪を駆動するモータジェネレータMG2に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ14は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
【0039】
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。U相アーム15,V相アーム16,およびW相アーム17は、昇圧コンバータ12の出力ライン間に並列に接続される。
【0040】
U相アーム15は、直列接続されたIGBT素子Q3,Q4と、IGBT素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはIGBT素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはIGBT素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはIGBT素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはIGBT素子Q4のエミッタと接続される。
【0041】
V相アーム16は、直列接続されたIGBT素子Q5,Q6と、IGBT素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはIGBT素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはIGBT素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはIGBT素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはIGBT素子Q6のエミッタと接続される。
【0042】
W相アーム17は、直列接続されたIGBT素子Q7,Q8と、IGBT素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはIGBT素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはIGBT素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはIGBT素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードはIGBT素子Q8のエミッタと接続される。
【0043】
各相アームの中間点は、モータジェネレータMG2の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、モータジェネレータMG2は、三相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中性点に共に接続されている。そして、U相コイルの他方端がIGBT素子Q3,Q4の接続ノードに接続される。またV相コイルの他方端がIGBT素子Q5,Q6の接続ノードに接続される。またW相コイルの他方端がIGBT素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
【0044】
電流センサ24は、モータジェネレータMG2に流れる電流をモータ電流値MCRT2として検出し、モータ電流値MCRT2を制御装置30へ出力する。
【0045】
インバータ22は、昇圧コンバータ12に対してインバータ14と並列的に接続される。インバータ22は、モータジェネレータMG1に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。インバータ22は、昇圧コンバータ12から昇圧された電圧を受けてたとえばエンジンを始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。
【0046】
また、インバータ22は、エンジンのクランクシャフトから伝達される回転トルクによってモータジェネレータMG1で発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
【0047】
インバータ22の内部の構成は、図示しないがインバータ14と同様であり、詳細な説明は繰返さない。
【0048】
制御装置30は、トルク指令値TR1,TR2、モータ回転数MRN1,MRN2、電圧VB,VL,VH、電流IBの各値、モータ電流値MCRT1,MCRT2および起動信号IGONを受ける。
【0049】
ここで、トルク指令値TR1,モータ回転数MRN1およびモータ電流値MCRT1はモータジェネレータMG1に関するものであり、トルク指令値TR2,モータ回転数MRN2およびモータ電流値MCRT2はモータジェネレータMG2に関するものである。
【0050】
また、電圧VBはバッテリBの電圧であり、電流IBは、バッテリBに流れる電流である。電圧VLは昇圧コンバータ12の昇圧前電圧であり、電圧VHは昇圧コンバータ12の昇圧後電圧である。
【0051】
そして制御装置30は、昇圧コンバータ12に対して昇圧指示を行なう制御信号PWU,降圧指示を行なう制御信号PWDおよび動作禁止を指示する信号CSDNを出力する。
【0052】
さらに、制御装置30は、インバータ14に対して昇圧コンバータ12の出力である直流電圧をモータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI2と、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC2とを出力する。
【0053】
同様に制御装置30は、インバータ22に対して直流電圧をモータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI1と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC1とを出力する。
【0054】
図2は、図1における動力分割機構PSDおよび減速機RDの詳細を説明するための模式図である。
【0055】
図2を参照して、この車両駆動装置は、モータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG2の回転軸に接続される減速機RDと、減速機RDで減速された回転軸の回転に応じて回転する車軸と、エンジン4と、モータジェネレータMG1と、減速機RDとエンジン4とモータジェネレータMG1との間で動力分配を行なう動力分割機構PSDとを備える。減速機RDは、モータジェネレータMG2から動力分割機構PSDへの減速比が、たとえば2倍以上である。
【0056】
エンジン4のクランクシャフト50とモータジェネレータMG1のロータ32とモータジェネレータMG2のロータ37とは同じ軸を中心に回転する。
【0057】
動力分割機構PSDは、図2に示す例ではプラネタリギヤであり、クランクシャフト50に軸中心を貫通された中空のサンギヤ軸に結合されたサンギヤ51と、クランクシャフト50と同軸上を回転可能に支持されているリングギヤ52と、サンギヤ51とリングギヤ52との間に配置され、サンギヤ51の外周を自転しながら公転するピニオンギヤ53と、クランクシャフト50の端部に結合され各ピニオンギヤ53の回転軸を支持するプラネタリキャリヤ54とを含む。
【0058】
動力分割機構PSDは、サンギヤ51に結合されたサンギヤ軸と、リングギヤ52に結合されたリングギヤケースおよびプラネタリキャリヤ54に結合されたクランクシャフト50の3軸が動力の入出力軸とされる。そしてこの3軸のうちいずれか2軸へ入出力される動力が決定されると、残りの1軸に入出力される動力は他の2軸へ入出力される動力に基づいて定まる。
【0059】
動力の取出用のカウンタドライブギヤ70がリングギヤケースの外側に設けられ、リングギヤ52と一体的に回転する。カウンタドライブギヤ70は、動力伝達減速ギヤRGに接続されている。そしてカウンタドライブギヤ70と動力伝達減速ギヤRGとの間で動力の伝達がなされる。動力伝達減速ギヤRGはディファレンシャルギヤDEFを駆動する。また、下り坂等では車輪の回転がディファレンシャルギヤDEFに伝達され、動力伝達減速ギヤRGはディファレンシャルギヤDEFによって駆動される。
【0060】
モータジェネレータMG1は、回転磁界を形成するステータ31と、ステータ31内部に配置され複数個の永久磁石が埋め込まれているロータ32とを含む。ステータ31は、ステータコア33と、ステータコア33に巻回される三相コイル34とを含む。ロータ32は、動力分割機構PSDのサンギヤ51と一体的に回転するサンギヤ軸に結合されている。ステータコア33は、電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、図示しないケースに固定されている。
【0061】
モータジェネレータMG1は、ロータ32に埋め込まれた永久磁石による磁界と三相コイル34によって形成される磁界との相互作用によりロータ32を回転駆動する電動機として動作する。またモータジェネレータMG1は、永久磁石による磁界とロータ32の回転との相互作用により三相コイル34の両端に起電力を生じさせる発電機としても動作する。
【0062】
モータジェネレータMG2は、回転磁界を形成するステータ36と、ステータ31内部に配置され複数個の永久磁石が埋め込まれたロータ37とを含む。ステータ36は、ステータコア38と、ステータコア38に巻回される三相コイル39とを含む。
【0063】
ロータ37は、動力分割機構PSDのリングギヤ52と一体的に回転するリングギヤケースに減速機RDによって結合されている。ステータコア38は、たとえば電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、図示しないケースに固定されている。
【0064】
モータジェネレータMG2は、永久磁石による磁界とロータ37の回転との相互作用により三相コイル39の両端に起電力を生じさせる発電機としても動作する。またモータジェネレータMG2は、永久磁石による磁界と三相コイル39によって形成される磁界との相互作用によりロータ37を回転駆動する電動機として動作する。
【0065】
減速機RDは、プラネタリギヤの回転要素の一つであるプラネタリキャリヤ66が車両駆動装置のケースに固定された構造により減速を行なう。すなわち、減速機RDは、ロータ37のシャフトに結合されたサンギヤ62と、リングギヤ52と一体的に回転するリングギヤ68と、リングギヤ68およびサンギヤ62に噛み合いサンギヤ62の回転をリングギヤ68に伝達するピニオンギヤ64とを含む。
【0066】
たとえば、サンギヤ62の歯数に対しリングギヤ68の歯数を2倍以上にすることにより、減速比を2倍以上にすることができる。
【0067】
[構成要素の配置説明]
図3は、本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動装置20の外観を示す斜視図である。図4は、駆動装置20の平面図である。
【0068】
図3、図4を参照して、駆動装置20のケースは、ケース104とケース102とに分割可能に構成されている。ケース104は主としてモータジェネレータMG1を収容する部分であり、ケース102は、主としてモータジェネレータMG2およびパワー制御ユニットを収容する部分である。
【0069】
ケース104にはフランジ106が形成され、ケース102にはフランジ105が形成され、フランジ106とフランジ105とがボルト等で固定されることにより、ケース104とケース102とが一体化される。
【0070】
ケース102にはパワー制御ユニットを組付けるための開口部108が設けられている。この開口部108の内部左側部分(車両進行方向側)にはコンデンサC2が収容され、中央部分にはパワー素子基板120と端子台116,118とが収容され、右側部分にはリアクトルL1が収容されている。なお、この開口部108は車両搭載状態においては蓋により閉じられている。また、コンデンサC2を右側に、リアクトルL1を左側に収容するように入れ換えても良い。
【0071】
つまり、リアクトルL1はモータジェネレータMG1およびMG2の回転軸の一方側に配置され、コンデンサC2は回転軸の他方側に配置されている。そしてコンデンサC2とリアクトルL1との間の領域にパワー素子基板120が配置されている。パワー素子基板120の下方にはモータジェネレータMG2が配置されている。
【0072】
パワー素子基板120にはモータジェネレータMG1を制御するインバータ22と、モータジェネレータMG2を制御するインバータ14と、昇圧コンバータのアーム部13とが搭載されている。
【0073】
インバータ14とインバータ22との間の領域には上下に重ねて配置された電源用バスバーが設けられている。インバータ14のU相アーム15、V相アーム16、W相アーム17からはそれぞれ1本ずつのバスバーがモータジェネレータMG2のステータコイルにつながる端子台116に向けて設けられている。同様にインバータ22からも3本のバスバーがモータジェネレータMG1のステータコイルにつながる端子台118に向けて設けられている。
【0074】
パワー素子基板120は高温になるためこれを冷却するためにパワー素子基板120の下には通水路が設けられており、通水路への冷却水入口114と冷却水出口112とがケース102に設けられている。なお、この入口や出口などは、たとえば、ケース102に対し、フランジ部106,105を貫通させてユニオンナット等を打ち込んで構成される。
【0075】
図1の電池ユニット40から端子43,44にパワーケーブルを介して与えられた電圧はリアクトルL1およびアーム部13を含む昇圧コンバータ12によって昇圧されコンデンサC2によって平滑化されてインバータ14および22に供給される。
【0076】
このように昇圧コンバータ12を用いて電池電圧を昇圧して用いることによりバッテリ電圧を200V程度に低減しつつ、かつモータジェネレータを500Vを超える高電圧で駆動することが可能となり、電力供給を小電流で行なうことにより電気損失を抑制しかつモータの高出力を実現することができる。
【0077】
駆動装置20として、インバータ14,22およびモータジェネレータMG1,MG2に加えて、昇圧コンバータ12も含めて一体化する場合には、比較的大きな部品であるリアクトルL1およびコンデンサC2の配置場所が問題となる。
【0078】
図5は、駆動装置20を図4のX1方向から見た側面図である。
図5を参照して、ケース102にはモータジェネレータ組付け用および保守用の開口部109が設けられており、この開口部109は車両搭載状態においては蓋により閉じられている。
【0079】
開口部109の内部にはモータジェネレータMG2が配置されている。U,V,W相のバスバーが接続されるステータ36の内部にロータ37が配置されている。ロータ37の中央部分には中空のシャフト60が見えている。
【0080】
図5に示すように、ケース102のパワー制御ユニット21を収容する収容室にはモータジェネレータMG2のステータ36が大きく食い込んでいるので、モータジェネレータMG2の一方側にはリアクトルL1が配置され他方側にはコンデンサC2が配置され、大型部品を効率よく収容している。このため、コンパクトなハイブリッド車両の駆動装置が実現できている。
【0081】
図6は、図4のVI−VI断面における断面図である。
図6を参照して、モータジェネレータMG2の断面およびパワー制御ユニット21を収容する収容室の断面が示されている。
【0082】
このハイブリッド車両の駆動装置は、同軸上に各ロータの回転中心軸が配置されるモータジェネレータMG2およびMG2の奥に配置されるモータジェネレータMG1と、クランクシャフトの回転中心軸と同軸上にかつモータジェネレータMG1およびMG2の間に配置される動力分割機構と、モータジェネレータMG1,MG2の制御を行なうパワー制御ユニット21とを備える。パワー制御ユニット21は、モータジェネレータMG2の回転中心軸に対し、少なくとも一方側にリアクトルL1が他方側に平滑用コンデンサC2が分割配置される。モータジェネレータMG1,MG2、動力分割機構、およびパワー制御ユニット21は、金属製のケースに収容されて一体化されている。
【0083】
モータジェネレータMG2の潤滑油がパワー素子基板120側に漏れ出ないようにケース102には2つの空間を仕切る仕切り壁部200が設けられている。この仕切り壁部200の上面部分にはパワー素子基板120を冷却するための水路122が設けられ、この水路122は先に説明した冷却水入口114および冷却水出口112と連通している。
【0084】
端子44からはバスバー128によってマイナス側の電源電位がパワー素子基板120に伝達される。また端子43からは図示しないが他のバスバーによってリアクトルL1に対して正の電源電位が伝達される。
【0085】
なおこのパワー制御ユニットを収容する収容室には減速ギヤの回転軸130を支持する部分が食い込んでいる。
【0086】
モータジェネレータMG2の断面部分について説明すると、ステータ36のコイル39の巻回部分がステータ内周側に見えており、さらにその内周にはロータ37、ケースの隔壁202およびロータの中空シャフト60が見えている。
【0087】
図7は、図4のX2方向から駆動装置20を見た側面図である。図7において、パワー素子基板の上部にパワー素子を制御する制御基板121が配置されている。
【0088】
図8は、図4のVIII−VIIIにおける断面図である。
図7、図8を参照して、エンジンのクランクシャフト50はダンパ124に接続され、ダンパ124の出力軸は動力分割機構PSDに接続される。
【0089】
エンジンが配置される側からはダンパ124、モータジェネレータMG1、動力分割機構PSD、減速機RDおよびモータジェネレータMG2の順で、同一の回転軸上に並んでこれらが配置されている。モータジェネレータMG1のロータ32のシャフトは中空であり、この中空部分にダンパ124からの出力軸が貫通している。
【0090】
モータジェネレータMG1のロータ32のシャフトは、動力分割機構PSD側にサンギヤ51とスプライン嵌合されている。ダンパ124のシャフトは、プラネタリキャリヤ54と結合されている。プラネタリキャリヤ54は、ピニオンギヤ53の回転軸をダンパ124のシャフトの周りに回転自在に支持する。ピニオンギヤ53は、サンギヤ51およびリングギヤケースの内周に形成された図2のリングギヤ52と噛み合う。
【0091】
またモータジェネレータMG2のロータシャフト60の減速機RD側は、サンギヤ62とスプライン嵌合されている。減速機RDのプラネタリキャリヤ66は、ケース102の隔壁202に固定されている。プラネタリキャリヤ66は、ピニオンギヤ64の回転軸を支持する。ピニオンギヤ64は、サンギヤ62およびリングギヤケースの内周に形成された図2のリングギヤ68と噛み合う。
【0092】
図8から理解されるように、モータジェネレータMG1およびダンパ124はケース104の図右方向の開口部111から組付けることができ、モータジェネレータMG2はケース102の左方向の開口部109から組付けることができ、減速機RDおよび動力分割機構PSDはフランジ105,106の合わせ面から組付けることができる。
【0093】
ケース102の開口109は、潤滑油が漏れないように蓋71および液状ガスケット等で密閉される。ケース104の開口111の奥には蓋72が設けられ、MG1を収容する空間は潤滑油が漏れないように液状ガスケット等やオイルシール81によって密閉される。
【0094】
モータジェネレータMG1のロータ32のシャフトは、蓋72との間に設けられたボールベアリング78および隔壁203との間に設けられたボールベアリング77によって回転自在に支持されている。ロータ32のシャフトは中空であり、ダンパ124のシャフトがその内部を貫通している。ロータ32のシャフトとダンパ124のシャフトの間にはニードルベアリング79,80が設けられている。
【0095】
モータジェネレータMG2のロータ37のシャフトは、蓋71との間に設けられたボールベアリング73および隔壁202との間に設けられたボールベアリング74によって回転自在に支持されている。
【0096】
減速機RDのリングギヤと動力分割機構PSDのリングギヤがともに内周に刻まれたリングギヤケースは、隔壁202との間に設けられたボールベアリング75および隔壁203との間に設けられたボールベアリング76によって、回転自在に支持されている。
【0097】
パワー制御ユニット21を収容する収容室とモータジェネレータMG2を収容する収容室とはケース102の隔壁202で隔てられているが、その一部は端子台116が挿入される貫通孔でつながっている。この端子台116にはモータジェネレータMG2のステータコイルのバスバーが一方側に接続され、インバータ14のバスバーが他方側に接続される。そしてこれらのバスバーを電気的に接続可能なように、端子台116の内部には導電性部材が通されている。つまり端子台116は、モータジェネレータMG2側からの潤滑油分を通さないでかつ電気を通すように構成されている。
【0098】
同様に、端子台118によって、パワー制御ユニットが収容される空間とモータジェネレータMG1が収容される空間とが、電気を通しかつ潤滑油分を通さない状態で接続されている。
【0099】
図9は、図4のIX−IXにおける断面を示した断面図である。
図9を参照して、パワー制御ユニット21を収容する収容室においてはリアクトルL1の断面が示されている。リアクトルL1は、たとえば電磁鋼板が積層されたコアにコイルが巻回された構造を有する。
【0100】
そしてリアクトルL1に近接して、図6で示された減速ギヤRGの回転軸130が配置され、減速ギヤRGのカウンタドリブンギヤ132が中央部に示される。このカウンタドリブンギヤ132は図2のカウンタドライブギヤ70と噛み合う。そしてこのカウンタドリブンギヤ132の同軸上にファイナルドライブギヤ133が設けられ、これに噛み合うファイナルドリブンギヤであるディファレンシャルギヤDEFがその下方に示されている。
【0101】
図10は、ケースを回転軸方向から投影した場合に、ケース輪郭と内部に収容される部品とを示した図である。
【0102】
図10において、車両の駆動装置のケース内部に、内燃機関のクランクシャフトが結合されるダンパ124と、ダンパ124の回転軸とその回転軸が重なるように配置されるロータおよびロータの周囲に配置されるステータを有するモータジェネレータMG2と、ダンパ124からのトルクおよびモータジェネレータMG2からのトルクを受ける動力分割機構PSDと、ダンパ124の回転軸と略平行にずれた回転軸を有し、動力分割機構PSDからのトルクが伝達される減速ギヤRGと、ダンパ124の回転軸と略平行にずれた回転軸を有し、減速ギヤRGと噛み合い車輪にトルクを伝達するディファレンシャルギヤDEFと、モータジェネレータMG2の制御を行なう基板120と、リアクトルL1およびコンデンサC2を含むパワー制御ユニット21とが示されている。ケースは、ダンパ124、モータジェネレータMG2、減速ギヤRG、ディファレンシャルギヤDEFおよびパワー制御ユニット21を収容する。
【0103】
図10に示されるケースを回転軸方向から投影した投影図において、車両駆動装置を車両に搭載したときの水平方向の寸法はX3である。そして、寸法X3は、ディファレンシャルギヤDEFを収容するケース部分の外縁とダンパ124を収容するケース104の外縁とで両端が定まっている。したがって、パワー制御ユニットを構成するコンデンサC2、基板120およびリアクトルL1は、寸法X3の内側にあることがわかる。
【0104】
また図10において、車両駆動装置を車両に搭載したときの鉛直方向(高さ方向)の寸法はY3である。この寸法Y3の下端は、ケースのディファレンシャルギヤDEFを収容する部分の外縁で定まっている。また、寸法Y3の上端は、ケースのダンパ124を収容する部分の外縁で定まっている。したがって、パワー制御ユニット21を構成するコンデンサC2、基板120およびリアクトルL1は、寸法Y3の内側に配置されていることがわかる。
【0105】
ケースを回転軸方向から投影した場合に、ケースのパワー制御ユニット21を収容する部分の投影部の車両搭載時の高さが、残りのケースの空間、すなわち、ダンパ124、モータジェネレータMG2、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFを収容する部分の投影部の車両搭載時の高さを少なくとも超えないように、ケースが構成されパワー制御ユニット21が配置される。これにより、車両の重心を低くすることができ、走行安定性を増すことができる。
【0106】
また、車両搭載時の水平方向において、ケースのパワー制御ユニット21を収容する部分の投影部の位置が残りのケースの空間の投影部の内側に位置するように、ケースが構成されパワー制御ユニット21が配置される。これにより、車両駆動装置の体格を小さくしている。
【0107】
図11は、ケースを回転軸方向と直交し、かつ鉛直方向に直交する方向から投影した場合に、ケース輪郭と内部に収容される部品とを示した図である。
【0108】
図11を参照して、車両搭載時の鉛直方向に直交する方向の寸法X3も両端が、ケースのモータジェネレータMG2を収容する部分の蓋の外縁とケースのダンパ124を収容する部分の外縁とで定まり、パワー制御ユニットを構成するコンデンサC2、基板120およびリアクトルL1は、寸法Z3の内側にあることがわかる。
【0109】
つまり、図10で説明したように鉛直方向(高さ方向)の寸法Y3がダンパ124、モータジェネレータMG2、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFを収容する部分によって定まる。また、図11において基板120、リアクトルL1およびコンデンサC2を含むパワー制御ユニット21を収容する部分は、回転軸方向と直交し、かつ車両搭載時の鉛直方向に直交する方向から投影した場合に、その投影部が残りのケースの空間、すなわち、ダンパ124、モータジェネレータMG2、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFを収容する部分の投影部に含まれるように設けられる。
【0110】
このようにモータジェネレータMG1,MG2、減速機RDおよび動力分割機構PSDに加えて、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFを配置した状態で、周辺の空きスペースを利用してパワー制御ユニットの構成要素であるパワー素子基板120、リアクトルL1およびコンデンサC2を配置している。これにより、高さを低く抑えつつコンパクトなハイブリッド車両の駆動装置を実現することができる。
【0111】
そして、図10に示すようにモータジェネレータMG2に対し、片側の空きスペースを使用するだけでなく、両側の空きスペースにリアクトルL1とコンデンサC2とをそれぞれ配置することにより、モータジェネレータMG2に対する重さのバランスが良くなるとともに、さらなる省スペース化を図ることができる。
【0112】
なお、動力分割機構PSDと、動力分割機構PSDからのトルクが伝達される減速ギヤRGと、減速ギヤRGと噛み合い車輪にトルクを伝達するディファレンシャルギヤDEFとは、全体として、エンジンの発生した動力にモータジェネレータMG1,MG2の発生した動力を合成して駆動軸に伝達する「動力伝達機構」に相当する。ただし、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFは必須ではなく、上述の駆動装置の構成は、減速ギヤRGの無い構成や、ディファレンシャルギヤDEFが駆動装置に一体化されない後輪駆動の構成の車両にも適用が可能である。
【0113】
さらに、上述の駆動装置の構成は、エンジンの加速時等にモータでアシストするようなパラレルハイブリッドにも適用が可能であり、またモータを駆動装置に1つしか一体化させていない構成にも適用が可能である。
【0114】
[ハイブリッド車両の冷却系構成]
図12は、本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の冷却系構成を説明するブロック図である。本実施の形態では、ハイブリッド車両の冷却系における「冷媒」として冷却水が例示される。
【0115】
図12を参照して、本実施の形態によるハイブリッド車両の冷却系は、エンジン4を冷却するための冷媒(冷却水)が通過するエンジン冷却経路304と、モータジェネレータMG1,MG2を駆動制御するパワー制御ユニット21(特に、パワー素子基板120)を冷却するための冷媒(冷却水)が通過するHV冷却経路305と、「冷媒放熱機構」を構成するラジエータ308と、「冷媒供給ポンプ」を構成するウォータポンプ350と、ウォータポンプ350とエンジン冷却経路304およびHV冷却経路305との間に設けられた流量調整機構360と、ウォータポンプ350および流量調整機構360を制御する電子制御ユニット(ECU)380とを含んで構成される。
【0116】
エンジン冷却経路304は、シリンダブロック302に設けられた冷却水路(図示せず)と、シリンダブロック302を通過した冷却水をシリンダヘッド300へ導く冷却水路324と、シリンダヘッド300を通過した冷却水をラジエータ308をバイパスさせてウォータポンプ350へ戻すためのバイパス流路326とを含む。
【0117】
さらに、シリンダヘッド300を通過した冷却水をラジエータ308へ導くためのリターン冷却水路320が、エンジン冷却経路304の下流に設けられる。
【0118】
サーモスタット弁306は、ラジエータ308を通過して放熱された冷却水が供給される冷却水路322および上記バイパス流路326と、ウォータポンプ350の吸入側との間に設けられる。
【0119】
エンジン4の暖機がまだ不十分である場合には、サーモスタット弁306は、ラジエータ308からの冷却水路322よりもバイパス流路326を選択する。これにより、ウォータポンプ350から吐出された冷却水は、シリンダブロック302、シリンダヘッド300を経由してバイパス流路326からウォータポンプ350の吸入側へ戻る。
【0120】
なお極寒時においては、スロットルボデー310に設けられた温水通路に、シリンダヘッド300からの温水通路328より温水が供給され、温水通路330を経由してウォータポンプ350の吸入側へこの温水が戻される。またシリンダヘッド300を通過して暖まった冷却水は温水通路328,330によってヒータ312にも導かれる。これにより車室内の暖房にもエンジンからの熱が使用される。
【0121】
一方エンジンの暖機が十分な状態では、サーモスタット弁306は、バイパス流路326に代えて、ラジエータ308からの冷却水路322を選択する。これにより、ウォータポンプ350から吐出された冷却水は、シリンダブロック302、シリンダヘッド300、リターン冷却水路320、ラジエータ308および冷却水路322の順番で流れ、ウォータポンプ350の吸入側に戻される。
【0122】
このようなエンジン冷却経路304での冷却水の循環によって、エンジン4のシリンダブロック302は適温に保たれている。
【0123】
HV冷却経路305は、インバータを含むパワー制御ユニット21を冷却するための冷却水路122(図6)を含む。すなわち、流量調整機構360を介してウォータポンプ350から供給された冷却水は、図3等に示された冷却水入口114へ導かれ、さらに、冷却水路122の通過後には図3等に示された冷却水出口112を介してリターン冷却水路320へ導かれる。すなわち、リターン冷却水路320は、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305をそれぞれ通過した冷却水がウォータポンプ350の吸入側へ導かれるように構成される。
【0124】
リターン冷却水路320でのエンジン冷却経路304およびHV冷却経路305の統合個所325よりも後段にラジエータ308を配置する構成とすることにより、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305でラジエータ308を共有することができる。ラジエータの共有化により、ハイブリッド車両の冷却系の小型化が可能となる。なお、ウォータポンプ350の吸入側での温度をより確実に下げるために、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305のそれぞれに独立にラジエータを設ける構成とすることも可能である。また、以下でも述べるように、本発明の実施の形態によるハイブリッド車両の冷却系では、冷却能力向上を図ることによりラジエータの共有化が容易化される。
【0125】
リターン冷却水路320の統合個所325よりも上流側には、エンジン冷却経路304の出側での冷却水温を測定するための水温センサ400および、HV冷却経路305の出側での冷却水温を測定するための水温センサ410が設けられる。水温センサ400,410によって検出された冷却水温は、ECU380へ送出される。
【0126】
ECU380は、ハイブリッド車両100の運転状態に応じて、ウォータポンプ350の動作(作動・停止および吐出流量)および流量調整機構360の動作を指示する。このハイブリッド車両100の運転状態には、エンジン4の運転状態(回転数の実績/指令値)やモータジェネレータMG1,MG2の運転状態(トルク指令値、電流指令値・電流検出値等の制御装置30と同等の情報)が含まれ、ECU380にはこれらの運転状態を示す情報が入力される。
【0127】
ウォータポンプ350は、吐出量を可変制御可能な電動機式ポンプで構成され、ECU380の指示に従った吐出量および吐出圧力で冷却水を吐出する。
【0128】
流量調整機構360は、ウォータポンプ350の吐出側と接続された配管355と、エンジン冷却経路304の上流側およびHV冷却経路305の上流側との間に設けられ、ウォータポンプ350から吐出された冷却水をエンジン冷却経路304およびHV冷却経路305の間で分配する。流量調整機構360による両冷却経路間での分配比率は、ECU380の指示に基づき、0%(全量エンジン冷却経路304へ供給)〜100%(全量HV冷却経路305へ供給)の間で可変に調整可能である。
【0129】
図13および図14には、流量調整機構360の構成例が示される。
図13には、特開2002−276364号公報(特許文献1)と同様のロータリ式の流量調整弁を用いた構成例が示され、図14には、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305の入側にそれぞれ独立して流量調整弁を設けた構成例が示される。
【0130】
図13を参照して、流量調整機構360は、モータ362によってそれぞれが回動可能に構成された第1ロータリ弁364および第2ロータリ弁365を含む。
【0131】
電動式のウォータポンプ350は、ECU380からの吐出量指令値FLに従って冷却水を配管355に出力する。図13に示した流量調整機構360では、ECU380からの流量比率指示Fk1,Fk2に従って、第1ロータリ弁364および第2ロータリ弁365の位置調整が行なわれる。これにより、ウォータポンプ350から配管355に吐出された冷却水が、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305に分配される比率を可変制御することができる。
【0132】
図14を参照して、流量調整機構360は、エンジン冷却経路304に設けられた流量調整弁366と、HV冷却経路305に設けられた流量調整弁367とを含む。ウォータポンプ350は、図13に示したのと同様に、ECU380からの吐出量指令値FLに従って冷却水を配管355に出力する。これにより、ウォータポンプ350から配管355に吐出された冷却水が、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305に分配される比率を可変制御することができる。
【0133】
なお、ECU380からの指示に従って、ウォータポンプ350から吐出された冷却水をエンジン冷却経路304およびHV冷却経路305の間で可変比率で分配可能であれば、流量調整機構360は任意に構成可能であり、図13および図14に示した構成例に限定されるものではない。
【0134】
図15は、ECU380によるウォータポンプおよび流量調整機構の制御例を説明するフローチャートである。
【0135】
図15を参照して、ECU380は、ステップS100により、モータジェネレータMG1,MG2の運転状態(たとえば、回転数、出力トルク、モータ電流等)および/または水温センサ410による冷却水温実績に応じて、パワー制御ユニットPCUで必要な冷却水量すなわちHV冷却経路305で必要な冷却水量FLpを算出する。具体的には、パワー制御ユニットPCUでの発熱量が増大するようなモータジェネレータMG1,MG2の運転状態(たとえば、高回転数、高出力トルク、大モータ電流等)のときに冷却水量FLpは相対的に多く設定され、かつ、水温センサ410による冷却水温実績が高いときにも冷却水量FLpは増加される。
【0136】
なお、モータジェネレータMG1,MG2の運転状態としては、その指令値(回転数指令値、トルク指令値、モータ電流指令値等)を用いて、必要冷却水量FLpの算出を簡易に行なうことが可能である。
【0137】
ECU380は、ステップS110により、エンジン4の運転状態(たとえば、回転数等)および/または水温センサ400による冷却水温実績に応じて、エンジン4で必要な冷却水量すなわちエンジン冷却経路304で必要な冷却水量FLeを算出する。具体的には、エンジン4での発熱量が増大するような運転状態(たとえば、高回転数等)のときに冷却水量FLeは相対的に多く設定され、かつ、水温センサ400による冷却水温実績が高いときにも冷却水量FLeは増加される。
【0138】
なお、エンジン4の運転状態としても、その指令値(回転数指令値等)を用いて、必要冷却水量FLeの算出を簡易に行なうことが可能である。
【0139】
さらに、ECU380は、ステップS120では、ステップS100で求められたHV冷却経路305での必要冷却水量FLpおよびエンジン冷却経路304での必要冷却水量FLeの和として、トータル必要冷却水量FLtを算出する。そして、このトータル必要冷却水量FLtに応じて、ウォータポンプ350の吐出量指令値FLが生成される。
【0140】
さらにECU350は、ステップS130により、必要冷却水量FLpおよびFLeの比に応じて、流量比率指示Fk1:Fk2(Fk1+Fk2=1.0)を設定する。そして、設定した流量比率指示Fk1:Fk2に従って、流量調整機構360における調整弁指令が作成される。
【0141】
このような冷却系制御を行なうことにより、図16に示すように、ハイブリッド車両の運転状態に応じて、各冷却経路への供給冷却水量およびウォータポンプ350の吐出量が適正に設定される。図16にはケースI〜IIIが一例として示される。なお、図中の冷却水量は例示である。
【0142】
たとえばケースIは、エンジン4およびモータジェネレータMG2がほぼフルパワーを出力する高出力走行時に相当する。この場合には、エンジン必要冷却水量FLeはほぼ最大値の100(L/min)に設定され、HV系必要冷却水量FLpもほぼ最大値の10(L/min)に設定される。これに伴い、ウォータポンプ350の冷却水吐出量FLtは110(L/min)となり、流量調整機構360での冷却経路304,305間の分配比率が10:1となるように調整弁の開度制御が行なわれる。
【0143】
ケースIIは低負荷高回転数運転が行なわれる高速走行時に相当する。この場合には、ケースIよりも必要な冷却水量は少なく、たとえば、エンジン必要冷却水量FLe=20(L/min)に設定され、HV系必要冷却水量FLp=5(L/min)に設定される。これに伴い、ウォータポンプ350の必要吐出量は25(L/min)に設定され、流量調整機構360での冷却経路304,305間の分配比率が4:1となるように調整弁の開度制御が行なわれる。
【0144】
ケースIIIは、車両発進時等の低速走行時におけるモータジェネレータの出力のみで走行する場合の冷却水設定が示される。この場合には、エンジンは停止状態とされているため、エンジンの必要冷却水量FLe=0(L/min)と設定される。これに対して、モータは、車両の全駆動力を発生させるため高負荷状態となり、HV系必要冷却水量FLp=10(L/min)に設定される。これに伴い、流量調整機構360では、エンジン冷却経路304に設けられた調整弁は全閉状態とされ、ウォータポンプ350によって供給された冷却水を全量HV冷却経路305へ導く。このように、エンジン停止時に代表される、エンジンを冷却する必要がなく、かつ、モータジェネレータ系を冷却する必要がある場合において、ウォータポンプ350からはHV冷却経路305のみに冷却水が供給されるので、両冷却経路の共有化によりウォータポンプに無駄な電力を消費させることがない。
【0145】
以上説明したように、本発明の実施の形態に従うハイブリッド車両の冷却系構成によれば、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305を一体的に統合することによって冷却系をコンパクト化するとともに、両冷却経路304,305に共通に設けられたウォータポンプ350を両冷却経路内に設けずに独立に設けることにより、いずれの冷却経路へもウォータポンプ350から冷却水(冷媒)を直接供給可能である。このため、冷却経路304,305を直列に配列する構成と比較して、一方の冷却経路のみに冷却水の供給が必要な場合におけるウォータポンプ350の電力消費を抑制でき、かつ、循環時における冷却水の受熱量を軽減できるので、ラジエータ308の能力を抑えることができ、ラジエータ308を両冷却経路で共有することが容易となる。
【0146】
また、上記ハイブリッド車両の冷却系構成は、図3〜図11に示した、モータジェネレータおよびパワー制御ユニットを一体的にケース内に収容した駆動装置と組み合わせることにより、省スペース化の効果をより顕著に享受することができる。特に、上記駆動装置では、図6に示されるように、エンジン冷却経路と一体化されたパワー制御ユニットの冷却経路(冷却水路122)を効率的に設けることができる。さらに、パワー制御ユニットの冷却経路(HV冷却経路305)が熱容量の大きいケース102と熱交換可能となるので、HV冷却経路305での冷却水温上昇を抑制して、ハイブリッド車両の冷却系での冷却能力向上を図ることができる。また、冷却能力の向上により、上述したラジエータ308の共有化についても、さらに容易となる。
【0147】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両100のモータジェネレータ制御に関する構成を示す回路図である。
【図2】図1における動力分割機構および減速機の詳細を説明するための模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動装置の外観を示す斜視図である。
【図4】駆動装置の平面図である。
【図5】駆動装置を図4のX1方向から見た側面図である。
【図6】図4のVI−VI断面における断面図である。
【図7】図4のX2方向から駆動装置を見た側面図である。
【図8】図4のVIII−VIIIにおける断面図である。
【図9】図4のIX−IXにおける断面を示した断面図である。
【図10】ケースを回転軸方向から投影した場合に、ケース輪郭と内部に収容される部品とを示した図である。
【図11】ケースを回転軸方向と直交し、かつ鉛直方向に直交する方向から投影した場合に、ケース輪郭と内部に収容される部品とを示した図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の冷却系構成を説明するブロック図である。
【図13】図12に示した流量調整機構の第1の構成例を説明する図である。
【図14】図12に示した流量調整機構の第2の構成例を説明する図である。
【図15】電子制御ユニット(ECU)によるウォータポンプおよび流量調整機構の制御例を説明するフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の冷却系制御に従う動作例を説明する図である。
【符号の説明】
【0149】
4 エンジン、6,8 パワーケーブル、10 電圧センサ、11 電流センサ、12 昇圧コンバータ、13 アーム部、14,22 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、20 駆動装置、21 パワー制御ユニット、24 電流センサ、30 制御装置、31,36 ステータ、32,37 ロータ、33,38 ステータコア、34,39 コイル、40 電池ユニット、41〜44 端子、50 クランクシャフト、51,62 サンギヤ、52,68 リングギヤ、53,64 ピニオンギヤ、54,66 プラネタリキャリヤ、60 シャフト、70 カウンタドライブギヤ、71,72 蓋、73〜78 ボールベアリング、79,80 ニードルベアリング、81 オイルシール、100 ハイブリッド車両、102,104 ケース、104,106 フランジ、108,109,111 開口部、112 冷却水出口、114 冷却水入口、116,118 端子台、120 パワー素子基板、122 水路、124 ダンパ、128 バスバー、130 回転軸、132 カウンタドリブンギヤ、133 ファイナルドライブギヤ、200 壁部、202 隔壁、300 シリンダヘッド、302 シリンダブロック、304 エンジン冷却経路、305 HV冷却経路、306 サーモスタット弁、308 ラジエータ、310 スロットルボデー、312 ヒータ、320 リターン冷却水路、322,324 冷却水路、325 統合個所、326 バイパス流路、328,330 温水通路、350 ウォータポンプ、355 配管、360 流量調整機構、362 モータ、364,365 ロータリ弁、366,367 流量調整弁、400,410 水温センサ、B バッテリ、C2 コンデンサ、D1〜D8 ダイオード、DEF ディファレンシャルギヤ、Fk1,Fk2 流量比率指示、FLe エンジン必要冷却水量、FLp HV系必要冷却水量、FLt トータル必要冷却水量、FL ポンプ吐出量指令値、L1 リアクトル、MG1,MG2 モータジェネレータ、PSD 動力分割機構、Q1〜Q8 IGBT素子、R 制限抵抗、RD 減速機、RG 減速ギヤ、SMR1〜SMR3 システムメインリレー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両駆動力を発生するための内燃機関および回転電機を備えたハイブリッド車両であって、
前記内燃機関を冷却するための冷媒が通過する第1の冷却経路と、
前記回転電機の駆動制御を行なうパワー制御ユニットを冷却するための冷媒が通過する第2の冷却経路と、
前記第1および第2の冷却経路に前記冷媒を供給するための冷媒供給ポンプと、
前記第1および第2の冷却経路を通過した前記冷媒を前記冷媒供給ポンプの吸入側へ導くように構成されたリターン経路と、
前記冷媒供給ポンプの吐出側と前記第1および第2の冷却経路との間に設けられ、前記冷媒供給ポンプから吐出された冷媒を前記第1および第2の冷却経路間で可変に分配するための流量調整機構と、
前記ハイブリッド車両の運転状態に応じて、前記冷媒供給ポンプおよび前記流量調整機構の動作を制御する制御装置とを備える、ハイブリッド車両。
【請求項2】
前記冷媒供給ポンプから吐出される冷媒量は、前記制御手段からの指令に従って可変制御され、
前記制御装置は、
前記内燃機関の運転状態に応じて、前記第1の冷却経路で必要な冷媒量を求める第1の算出手段と、
前記回転電機の運転状態に応じて、前記第2の冷却経路で必要な冷媒量を求める第2の算出手段と、
前記第1および第2の算出手段によって求められた必要冷媒量の和に応じて、前記冷媒供給ポンプからの冷媒吐出量を設定するポンプ制御手段と、
前記第1および第2の算出手段によって求められた必要冷媒量の比に応じて、前記流量調整機構の動作を制御する流量調整制御手段とを含む、請求項1記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
前記第1の算出手段は、前記内燃機関の運転指令および前記第1の冷却経路における冷媒温度の少なくとも一方に応じて、前記第1の冷却経路で必要な冷媒量を求め、
前記第2の算出手段は、前記回転電機の運転指令および前記第2の冷却経路における冷媒温度の少なくとも一方に応じて、前記第2の冷却経路で必要な冷媒量を求める、請求項2記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記第1および第2の冷却通路に共通に設けられ、前記リターン経路上での第1および第2の冷却通路が統合される個所と前記冷媒供給ポンプの吸入側との間に設けられる冷媒放熱機構をさらに備える、請求項1記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
前記内燃機関の発生した動力に前記回転電機の発生した動力を合成して駆動軸に伝達する動力伝達機構と、
前記回転電機、前記パワー制御ユニットおよび前記動力伝達機構を収容するケースとをさらに備え、
前記パワー制御ユニットは、前記回転電機に対応して設けられるインバータのパワー素子が搭載され、前記回転電機の車両搭載時における上方に配置された回路基板をさらに含み、
前記ケースは、
前記パワー制御ユニットを収容する第1の収容室と、
前記回転電機を収容する第2の収容室と、
前記第1および第2の収容室を仕切る隔壁とを含み、
前記第2の冷却経路は、前記隔壁により形成された、前記回路基板を冷却するための冷媒流路を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【請求項6】
前記内燃機関のクランクシャフトが結合されるダンパをさらに備え、
前記回転電機の回転軸は、前記ダンパの回転軸と重なるように配置され、
前記ケースは、前記ダンパをさらに収容するように構成され、
前記パワー制御ユニットは、前記回転軸方向から投影した場合に、前記ケースの前記ダンパ、前記回転電機、および前記動力伝達機構を収容する部分の投影部の車両搭載時の水平方向の寸法に収まるように、前記ケース内に配置される、請求項5記載のハイブリッド車両。
【請求項7】
前記内燃機関のクランクシャフトが結合されるダンパをさらに備え、
前記回転電機の回転軸は、前記ダンパの回転軸と重なるように配置され、
前記ケースは、前記ダンパをさらに収容するように構成され、
前記パワー制御ユニットは、前記回転軸方向から投影した場合に、前記ケースの前記ダンパ、前記回転電機、および前記動力伝達機構を収容する部分の投影部の車両搭載時の鉛直方向の寸法に収まるように、前記ケース内に配置される、請求項5記載のハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−118809(P2007−118809A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314753(P2005−314753)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】