説明

ハウジングカバーを備えたコネクタハウジング

【課題】コネクタハウジングのハウジングカバーが、一方ではコネクタハウジングの閉鎖を可能にし、他方では対応コネクタとのロック結合を可能にする回転・ロック機構を有するようにする。
【解決手段】コネクタハウジング10が、ハウジングカバー20に結合されており、それぞれの側面15,25に、対応コネクタ40と協働する回転・ロック機構を有しており、前記回転機構が、結合部材30,30′ならびにストラット31,38から形成されており、結合部材ならびにストラットが、ピン12,14でコネクタハウジングの側面にかつピン22,24でハウジングカバーの側面に回転可能に支承されており、かつ前記ロック機構が、結合部材に一体成形された係止ノーズ36から形成されており、係止ノーズに切欠き37が設けられており、切欠きが対応コネクタハウジングのピン42に係止可能であるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングであって、コネクタハウジングを閉鎖するか、またはコネクタハウジングに差込み可能な適合する対応コネクタをロックするための、コネクタハウジングに添えられる旋回可能なハウジングカバーが設けられている形式のものに関する。
【0002】
このように形成されたコネクタハウジングは、常時使用されるわけではない差込み接続部においてコネクタハウジング内の電気的なコンタクトを保護キャップにより環境影響から保護するか、または対応コネクタの載置時に差込み接続部をこの保護キャップにより係止するために必要とされる。
【背景技術】
【0003】
ドイツ連邦共和国特許第19508605号明細書から、その都度の狭幅面に対向して配置されたロックU字部材を備えた電気的な差込みコネクタが公知である。その際、両差込みコネクタハウジングのロックのために、一方のコネクタ半部には、他方のコネクタ半部に設けられた傾倒レバー状のロック部材により係止されるロックピンが設けられている。ロックU字部材を備えたその他のバリエーションもそうであるが、この種のロック機構は、一方のコネクタハウジングと相応の対応コネクタとのロックのためだけに設けられており、コネクタハウジングの閉鎖のためには別個の保護キャップが必要である。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第19508605号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ本発明の課題は、冒頭で述べた形式のコネクタハウジングを改良して、コネクタハウジングのハウジングカバーが、一方ではコネクタハウジングの閉鎖を可能にし、他方では対応コネクタとのロック結合を可能にする回転・ロック機構を有するようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決した本発明の構成によれば、コネクタハウジングが、ハウジングカバーに結合されており、それぞれの側面に、対応コネクタと協働する回転・ロック機構を有しており、前記回転機構が、結合部材ならびにストラットから形成されており、結合部材ならびにストラットが、ピンでコネクタハウジングの側面にかつピンでハウジングカバーの側面に回転可能に支承されており、かつ前記ロック機構が、結合部材に一体成形された係止ノーズから形成されており、係止ノーズに切欠きが設けられており、切欠きが対応コネクタハウジングのピンに係止可能であるようにした。
【0006】
本発明の有利な構成は請求項2乃至6に記載されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明により得られる利点は特に、コネクタハウジングが、敏感な差込みコンタクトを環境から密に閉鎖するための堅固なハウジングカバーを有していると共に、対応コネクタとの差込み接続のためにハウジングカバーが両コネクタハウジングのロックのために使用され得るという点にある。そのために、狭幅の側壁にそれぞれ相応に形成された結合部材が設けられており、結合部材はピンに案内されて、有利に組み合わされた回転・ロック機構を生ぜしめる。その際、ハウジングカバーはコネクタハウジングの長手方向軸線に関して回転させられる。回転点の位置および結合部材の長さは、ハウジングカバーの、予め決められた最適な旋回曲線が、コネクタハウジングの閉鎖のための保護キャップとしての機能と、相応の対応コネクタとのロックのための機能とを適当に充足するように互いに調整されている。その際、一般に、コネクタハウジングと対応コネクタとのロックのために、別のロックピンが対応コネクタに必要であり、ロックピンはその際、結合部材に設けられた係止凹部に係入する。
【0008】
本発明の一実施例を図面に示し、以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1には、電気的な装置に取り付けるための差込みコネクタハウジングの、主要な特徴だけを有する側面図が示されている。差込みコネクタハウジング10は閉鎖されたハウジングカバー20と共に示されている。その際、ハウジングとカバーとは結合部材30により互いに結合されている。結合部材30は各側壁に配置されている。その際、側壁15,25は、差込みコネクタインサートがポジショニングされ得る本来の枠を超えて、ハウジングの背面から延長されている。その際、ハウジングカバー20はその背面でさらに差込みコネクタハウジング10を超えて張り出している。ハウジング背面にはハウジングおよびカバーの側壁間にストラット31が配置されている。ストラット31は、コネクタハウジング10およびハウジングカバー20に設けられ、この視点からは覆い隠されたピン12,22により、結合部の本来の回転機構を成している。さらに、その都度1つの結合部材30は側壁15,25にピン14,24により配置されている。結合部材30は3辺から成る平面的な部材として構成されており、湾入部35により成形された係止ノーズ36を有している。結合部材30はピン14と係止ノーズ36との間に湾入部35を有している一方、ピン14とピン24との間の辺34ならびにピン24と係止ノーズ36との間の辺32はまっすぐに構成されている。ハウジングカバーの前面に一体成形された把手28により、ここに示すロックされた状態は解除可能であり、その際、ハウジングカバーは約120°跳ね上げ式に開放可能である。その際、ハウジングとのロック部は前面にハウジングとカバーとの間に配置されているが、ここでは図示しない。
【0010】
図2は、ハウジングとカバーとから成るコンビネーションの背面を、特に、背面全体にわたって延びるストラット31と、既に図1で述べた符号とを伴って示す。
【0011】
図3には、図1に示した、ハウジングカバーによりロックされた差込みコネクタハウジングの別のバリエーションが示されている。ここでは回転機構が、それぞれ側壁15,25の外側に配置されたストラット38により形成されており、ストラット38はここでは可視のピン12,22に支承されている。外側に配置されたストラット38に基づいて、結合部材30′の形状付与は変更を要する。結合部材30′はピン14,24におけるその回転点で、図1に示した結合部材30と同一である。湾入部35ならびにこの湾入部35から展開され、係止ピン26を超えて張り出す係止ノーズ36を備えた係止切欠き37も同一である。そのために別の湾入部33がピン14とピン24との間の線上に必要であり、湾入部33はハウジングカバー20の開放時に、図4に示すように、ストラット38に跨るような係合およびピン22を中心とした回転を可能にする。それにより、強く曲げられた辺32,34が生じる。
【0012】
図4は、係止ピン42を備えた、コネクタハウジング10に載置された対応コネクタ40を示す。その際、ハウジングカバー20はほぼ120°跳ね上げ式に開放されている。
【0013】
ハウジングカバー20が対応コネクタ40に、図5に示すように押し当てられると、結合部材30′に設けられた係止ノーズ36は係止ピン42に回り込むように滑動し、そこに係止され、両コネクタハウジング10,40を互いにロックする。それによりハウジングカバー20は、コネクタハウジング10内のコネクタインサートの、係止可能で環境に対して密な遮蔽のために使用され得ると共に、コネクタハウジングと、そのために設けられた対応コネクタ40との係止のためにも使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ロックされたカバーを備えた差込みコネクタハウジングの側面図である。
【図2】差込みコネクタハウジングの背面図である。
【図3】ハウジングカバーにより閉鎖されている差込みコネクタハウジングの別のバリエーションを示す図である。
【図4】差し込まれた対応コネクタを備えた開放された差込みコネクタハウジングを示す図である。
【図5】ロックされた対応コネクタを備えた差込みコネクタハウジングを示す図である。
【符号の説明】
【0015】
10 差込みコネクタハウジング
12 ピン
14 ピン
15 側壁
20 ハウジングカバー
22 ピン
24 ピン
25 側壁
28 把手
30,30′ 結合部材
31 ストラット
32 辺
33 湾入部
34 辺
35 湾入部
36 係止ノーズ
37 係止切欠き
38 ストラット
40 対応コネクタ
42 係止ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジング(10)であって、コネクタハウジングを閉鎖するか、またはコネクタハウジングに差込み可能な適合する対応コネクタ(40)をロックするための、コネクタハウジング(10)に添えられる旋回可能なハウジングカバー(20)が設けられている形式のものにおいて、
コネクタハウジング(10)が、ハウジングカバー(20)に結合されており、それぞれの側面(15,25)に、対応コネクタ(40)と協働する回転・ロック機構を有しており、
前記回転機構が、結合部材(30,30′)ならびにストラット(31,38)から形成されており、結合部材(30,30′)ならびにストラット(31,38)が、ピン(12,14)でコネクタハウジング(10)の側面にかつピン(22,24)でハウジングカバー(20)の側面に回転可能に支承されており、かつ
前記ロック機構が、結合部材(30,30′)に一体成形された係止ノーズ(36)から形成されており、係止ノーズ(36)に切欠き(37)が設けられており、切欠き(37)が対応コネクタハウジング(40)のピン(42)に係止可能である
ことを特徴とする、ハウジングカバーを備えたコネクタハウジング。
【請求項2】
結合部材(30)が、実質的に3辺から成る平板状の形状を有しており、辺(34)と、辺(34)に配置された孔とにより、コネクタハウジング(10)に設けられたピン(14)に保持され、さらに別の角隅で、ハウジングカバー(20)に設けられたピン(24)に保持されている、請求項1記載のコネクタハウジング。
【請求項3】
ストラット(31)が、ハウジングカバー(20)の背面の下方に、結合部材(30)の中間に配置されており、ピン(12,22)によりコネクタハウジング(10)およびハウジングカバー(20)に保持されている、請求項1記載のコネクタハウジング。
【請求項4】
別の結合部材(30′)が2つの辺(32,34)と1つの係止ノーズ(36)とから形成されている、請求項1記載のコネクタハウジング。
【請求項5】
ストラット(38)がコネクタハウジング(10)およびハウジングカバー(20)の側面(15,25)の外側に配置されており、ピン(12,22)に保持されている、請求項1記載のコネクタハウジング。
【請求項6】
結合部材(30′)が辺(32)と辺(34)との間に湾入部(33)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のコネクタハウジング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−234602(P2007−234602A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53314(P2007−53314)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(502435786)ハルティング エレクトリック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (24)
【氏名又は名称原語表記】HARTING Electric GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Wilhelm−Harting−Str. 1, D−32339 Espelkamp, Germany
【Fターム(参考)】