説明

ハニカムフィルタの製造方法及びハニカムフィルタ

【課題】外周コートの熱処理とPM捕集層の熱処理を同時に行え、製造コストを低減可能、且つ、PM捕集層の強度を十分に備え、PMの初期捕集効率が高く、初期圧力損失増加率が低く、PM堆積時の圧力損失が小さく、ヒステリシス特性が小さく、再生特性を十分備え、さらに、性能、製造コスト、耐久性を兼ね備えるハニカムフィルタの製造方法を提供するものである。
【解決手段】ハニカムセグメントを接合一体化して成形し集合体とした後(S1)、集合体の外周を研削して外周加工体を形成し(S7)、外周加工体の前記隔壁上にパティキュレート・マターを捕集する捕集層を形成し(S8)、捕集層を乾燥させて乾燥体を得(S9)、得られた乾燥体の外周に外周コートを塗布し(S10)、さらに、前記外周コートの熱処理と同時に、前記隔壁に捕集層を結合させる処理工程(S12)を有するハニカムフィルタの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス中の粒子状物質を捕集するハニカムフィルタの製造方法及び前記製造方法により製造されるハニカムフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
環境への影響を考慮して、自動車用エンジン、建設機械用エンジン、産業機械用定置エンジン等の内燃機関、その他の燃焼機器等から排出される排気ガスに含まれる粒子状物質を、排気ガスから除去する必要性が高まっている。特に、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(パティキュレート・マター、(PMともいう))の除去に関する規制は、世界的に強化される傾向にある。このような事情から、PMを捕集し除去するためのDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)が注目を集めている。
【0003】
DPFの一態様として、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備え、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止された所定のセルと、一方の端部が目封止され且つ他方の端部が開口された残余のセルと、が交互に配設され、所定のセルが開口する一方の端部から流入した流体(排気ガス)が、隔壁を透過し、残余のセル側へ透過流体として流出し、更に、残余のセルが開口する他方の端部から流出することによって、排気ガス中のPMが捕集除去されるハニカムフィルタを挙げることが出来る。このハニカムフィルタのような、排気ガスが多孔質の隔壁を透過する構造のフィルタ(ウォールフロー型のフィルタ)は、濾過面積を大きくとれることから、濾過流速(隔壁透過流速)を低くすることが出来、圧力損失が小さく、且つ、粒子状物質の捕集効率が比較的良好なものである。
【0004】
しかし、前述のようなハニカムフィルタを適用したDPFでは、以下のような改善すべき課題を抱えていた。
【0005】
(a)DPFは、クリーンな状態からPMの捕集を開始すると、先ず、多孔質の隔壁の細孔にPMが侵入して隔壁の内部でPMが捕集される深層濾過と、隔壁の表面でPMが捕集される表面濾過の状態となり、やがて隔壁の表面にPMが堆積されると、それ以降は、PMが層を形成して、その層自体がフィルタの役割を果たすケーク濾過に移行する。そして、このような濾過作用の進行において、初期の深層濾過の過程では、隔壁の内部(細孔)にPMが堆積していく。そのため、PM捕集開始直後に、隔壁の実質的な気孔率が低下し、隔壁を通過する排気ガスの流速が速くなって、急激に圧力損失が上昇する場合がある。このようなPM捕集開始直後の急激な圧力損失の上昇は、エンジン性能を低下させる要因となり、好ましくない。
【0006】
(b)DPFでは、一定のPMが捕集され堆積した時点で、PMを燃焼除去し、再生する必要がある。この場合において、一般的に、堆積したPMの量は、圧力損失から推定される。ところが、従来の隔壁細孔構造を有するDPFでは、再生時に隔壁の表面に堆積したPMが燃焼しやすく、一部隔壁の内部で捕集されたPMが燃え残り、圧力損失が初期の値に戻らず、PMの全体堆積量に対してヒステリシスを持つようになり、圧力損失から精度よくPMの量を推定することが出来ず、好ましくない。
【0007】
(c)DPFは、その隔壁の細孔径が小さく且つ隔壁の厚さが厚いほど、PMを効率よく捕集することが出来る。又、隔壁の内部(細孔)へのPMの侵入を防止し、早期にケーク濾過へ移行させるためにも、隔壁の細孔径は小さくする方が好ましい。しかしながら、隔壁の細孔径を小さくし、隔壁を厚くすれば、PM堆積以前の隔壁自体の圧力損失の増大を招来し、エンジン性能を低下させる要因となるため、望ましくない。
【0008】
このような問題を解決する方法として、多孔質の隔壁に表層を形成した多層構造を採るハニカムフィルタが提案されている。
【0009】
このような多層構造の隔壁を有するフィルタとして、以下の特許文献1〜3がある。
【0010】
特許文献1では、モノリス材料の平均孔寸法より小さい平均孔寸法を有するマイクロポーラス被膜を有する逆洗可能なフィルタであって、被膜の平均孔寸法が0.1〜5μm、セラミックの熱焼結又は反応性無機結合剤で結合されているフィルタを備えたろ過装置が開示されている。このフィルタを備えたろ過装置では、原材料の微粒子が多孔質材料の孔の中に侵入するのを、前述の被膜が実質的に阻止する構成が採用されている。
【0011】
特許文献2では、表面に微孔質膜を備え、送給原料をろ液と粒状物を含むフィルターケーキに分離するための触媒ろ過デバイス及び方法が開示されている。また、同文献2では、目封じ構造、供給原料ガス、触媒塗布が開示されており、さらに、微細質膜の細孔直径が0.1〜0.5μm(平均細孔直径が多孔質材料のそれよりも小さい)であることが開示されている。
【0012】
特許文献3では、耐火粒子と耐火粒子が焼結する第2の温度よりも低い第1の温度で反応する熱反応性無機結合剤の混合物を、多孔質支持体上に被覆し、第一の温度で向き結合剤を反応させ、無機分離膜を形成する方法が開示されている。また、耐火性粒子がセラミック、無機結合剤が、ガラスフリット、微細な反応性粒子、無機コロイドであることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表平6−506138号公報
【特許文献2】特表平7−505083号公報
【特許文献3】特公平6−67460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献1、2においては、被膜、又は微孔質膜を形成する際に、どのようにしてそれらを形成するかについては、いずれの文献にも何ら開示されていない。とりわけ、PM捕集層の形成工程等は、その強度性のみならず、圧力損失の制御や、エンジン性能の向上、さらには、製造コストの低減化へと繋がる重要な問題であるため、そのような諸所の点について記載がない特許文献2のフィルタを備えたろ過装置では、前述の課題を解消するのには不十分であるといわざるを得ない。また、特許文献3については、無機分離膜を形成するに際し、焼成を何度も行っていることから、コスト負担が増加し実現性の低いものであり、前述の課題を解消するのには不十分であるといわざるを得ない。
【0015】
本発明は、このような課題を解決すべく、研究が重ねられてなされたものであり、外周コートの熱処理と同時に、前記隔壁に捕集層を結合させる処理工程を有するハニカムフィルタの製造方法により、外周コートの熱処理とPM捕集層の熱処理を同時に行え、製造コストを低減可能、且つ、PM捕集層の強度を十分に備え、PMの初期捕集効率が高く、初期圧力損失増加率が低く、PM堆積時の圧力損失が小さく、ヒステリシス特性が小さく、再生特性を十分備え、さらに、性能、製造コスト、耐久性を兼ね備えるハニカムフィルタの製造方法を提供するものである。とりわけ、ハニカムフィルタにおける隔壁内へのPMの堆積を抑制するだけでなく圧損ヒステリシス回避でき、さらに圧損低減、圧損リニアから圧損からの堆積PM量予測精度を向上し得る。
【0016】
さらに、触媒担持付けを行うことによって、優れた浄化性能を有する触媒フィルタの製造方法を提供する。
【0017】
また、前述の製造方法によって製造されたハニカムフィルタによって、製造コストを低減可能、且つ、PM捕集層の強度を十分に備え、PMの初期捕集効率が高く、初期圧力損失増加率が低く、PM堆積時の圧力損失が小さく、ヒステリシス特性が小さく、再生特性を十分備え、さらに、性能、製造コスト、耐久性を兼ね備えるハニカムフィルタを提供できる。また、前述の製造方法によって製造された触媒担持付けフィルタによって、さらに優れた触媒浄化処理機能を備えた触媒担持フィルタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
[1] セラミック原料を含有する成形原料を成形して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備える複数のハニカムセグメントを作製し、さらに前記ハニカムセグメントを、接合材を介して接合一体化して成形した集合体としてハニカムフィルタを製造する方法であって、前記ハニカムセグメントを接合一体化して成形し集合体とした後、前記集合体の外周を研削して外周加工体を形成し、前記外周加工体の前記隔壁上にパティキュレート・マターを捕集する捕集層を形成し、前記捕集層を乾燥させて乾燥体を得、得られた前記乾燥体の外周に外周コートを塗布し、さらに、前記外周コートの熱処理と同時に、前記隔壁に捕集層を結合させる処理工程を有するハニカムフィルタの製造方法。
【0019】
[2] 前記セグメントを、接合材を介して接合一体化する前に、前記ハニカムセグメントの隔壁上に捕集層を形成し、前記捕集層を乾燥させて乾燥セグメント体を得、得られた乾燥セグメント体を接合し一体化した集合体とした後、前記集合体の外周を研削して外周加工体を形成し、その後、得られた前記外周加工体の外周に外周コートを塗布して、前記外周コートの熱処理と同時に、前記隔壁に捕集層を結合させる処理工程を有する[1]に記載のハニカムフィルタの製造方法。
【0020】
[3] 前記外周コートの熱処理温度が400〜800℃である[1]又は[2]に記載のハニカムフィルタの製造方法。
【0021】
[4] 前記セラミック原料が炭化珪素質からなる[1]〜[3]のいずれかに記載の前記ハニカムフィルタ。
【0022】
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のハニカムフィルタの製造方法によってハニカムフィルタを作製した後、得られたハニカムフィルタに触媒を担持して製造する触媒担持フィルタの製造方法。
【0023】
[6] [1]〜[4]のいずれかに記載のハニカムフィルタの製造方法によって作製したハニカムフィルタ。
【0024】
[7] [5]に記載の触媒担持フィルタの製造方法によって作製した触媒担持フィルタ。
【0025】
[8] [6]に記載のハニカムフィルタに触媒を担持させた触媒担持フィルタ。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るハニカムフィルタは、これをDPFとして適用することによって、以下の効果を奏する。
【0027】
外周コートの熱処理と同時に、前記隔壁に捕集層を結合させる処理工程を有するハニカムフィルタの製造方法により、外周コートの熱処理とPM捕集層の熱処理を同時に行え、製造コストを低減可能、且つ、PM捕集層の強度を十分に備え、PMの初期捕集効率が高く、初期圧力損失増加率が低く、PM堆積時の圧力損失が小さく、ヒステリシス特性が小さく、再生特性を十分備え、さらに、性能、製造コスト、耐久性を兼ね備えるハニカムフィルタの製造方法を提供できるといった優れた効果を奏することができる。とりわけ、ハニカムフィルタにおける隔壁内へのPMの堆積を抑制するだけでなく圧損ヒステリシス回避でき、さらに圧損低減、圧損リニアから圧損からの堆積PM量予測精度を向上し得る。
【0028】
さらに、触媒担持付けを行うことによって、優れた浄化性能を有する触媒フィルタの製造方法を提供する。
【0029】
また、前述の製造方法によって製造されたハニカムフィルタによって、製造コストを低減可能、且つ、PM捕集層の強度を十分に備え、PMの初期捕集効率が高く、初期圧力損失増加率が低く、PM堆積時の圧力損失が小さく、ヒステリシス特性が小さく、再生特性を十分備え、さらに、性能、製造コスト、耐久性を兼ね備えるハニカムフィルタを提供できる。また、前述の製造方法によって製造された触媒担持付けフィルタによって、さらに優れた触媒浄化処理機能を備えた触媒担持フィルタを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るハニカムフィルタの製造方法の一の実施形態であって、その処理工程を示すフロー図である。
【図2】本発明に係るハニカムフィルタの製造方法の別の実施形態であって、その処理工程を示すフロー図である。
【図3】従来のハニカムフィルタの製造方法であって、その処理工程を示すフロー図である。
【図4】従来のハニカムフィルタの製造方法であって、その処理工程を示すフロー図である。
【図5】本発明に係るハニカムフィルタの一実施形態を模式的に示す正面図である。
【図6】本発明に係るハニカムフィルタの一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図7】図6におけるP部分を拡大して示す部分断面図である。
【図8】本発明に係るハニカムフィルタの一実施形態を示す図であり、水銀圧入法によって求められる細孔分布を示すグラフである。
【図9】本発明に係るハニカムフィルタの一実施形態を示す図であり、隔壁の表面からの距離と、気孔率と、の関係を示すグラフである。
【図10】本発明に係るハニカムフィルタのヒステリシス特性を表した図であり、圧力損失と容積あたりのPM堆積量との関係を示すグラフである。
【図11A】本発明に係るハニカムフィルタにPM捕集層を製膜する状態を模式的に示した図であって、PM捕集層を製膜する前のハニカム構造体の断面を示したものである。
【図11B】本発明に係るハニカムフィルタにPM捕集層を製膜する状態を模式的に示した図であって、ハニカム構造体に治具を取り付けて、PM捕集層形成用のスラリーをハニカムフィルタの上端面から流入させた状態を示した断面図である。
【図11C】本発明に係るハニカムフィルタにPM捕集層を製膜する状態を模式的に示した図であって、PM捕集層形成用のスラリーをハニカムフィルタの下端面側から吸引した状態を模式的に示した断面図である。
【図11D】本発明に係るハニカムフィルタにPM捕集層を製膜する状態を模式的に示した図であって、PM捕集層形成用のスラリーをハニカムフィルタの隔壁上(排ガスの流入側に)製膜した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明のハニカムフィルタを実施するための形態について具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備えるハニカムフィルタを広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0032】
[1]本発明のハニカムフィルタ:
本発明のハニカムフィルタの製造方法は、セラミック原料を含有する成形原料を成形して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備える複数のハニカムセグメントを作製し、さらに前記ハニカムセグメントを、接合材を介して接合一体化して成形した集合体としてハニカムフィルタを製造する方法であって、前記ハニカムセグメントを接合一体化して成形し集合体とした後、前記集合体の外周を研削して外周加工体を形成し、前記外周加工体の前記隔壁上にパティキュレート・マターを捕集する捕集層を形成し、前記捕集層を乾燥させて乾燥体を得、得られた前記乾燥体の外周に外周コートを塗布し、さらに、前記外周コートの熱処理と同時に、前記隔壁に捕集層を結合させる処理工程を有するハニカムフィルタの製造方法として構成されている。
【0033】
すなわち、本発明のハニカムフィルタの製造方法では、図1に示されるように、(S1)セグメント成形、(S2)乾燥、(S3)目封じ、(S4)焼成、(S5)接合、(S6)乾燥、(S7)加工、(S8)捕集層コート、(S9)乾燥、(S10)外周コート、(S11)乾燥、(S12)熱処理を施すまでの((S1)〜(S12))の各工程を経て製造されるものである。
【0034】
[1−1]熱処理工程:
本発明のハニカムフィルタの製造方法で行われる熱処理工程は、セグメント成形をして乾燥させ、目封じを形成して焼成し、前述のセグメントを接合して集合体として乾燥させ、得られた集合体の外周を所望形状に加工するといった、各工程の処理を経た後に、さらに、(S8)捕集層コートをして(S9)乾燥させ、(S10)外周コートの熱処理と同時に、隔壁に捕集層を結合させる処理工程を有するものである。
【0035】
ここで、従来の製造方法では、図3に示されるように、(P1)セグメント成形をして(P2)乾燥させ、(P3)目封じをした後(P4)焼成し、得られたハニカムセグメントを(P5)接合して集合体として(P6)乾燥させ、得られた集合体の外周を所望形状に(P7)加工して、(P8)外周コートを塗布する。そして、塗布した集合体を(P9)乾燥させて(P10)熱処理をし、さらに(P11)捕集層コートをした後、再び(P12)乾燥させて、DPFを製造していた(以下、適宜、「従来の製造方法1」という)。また、別の従来の製造方法として、図4に示されるように、(Q1)セグメント成形をして(Q2)乾燥させ、(Q3)目封じをした後(Q4)焼成し、得られたハニカムセグメントを(Q5)接合して集合体として(Q6)乾燥させる。そして、得られた集合体の外周を所望形状に(Q7)加工して、(Q8)外周コートを塗布した後に(Q9)乾燥させて(Q10)熱処理をし、さらに(Q11)捕集層コートをした後、さらに(Q12)乾燥させて、再び(Q13)熱処理をするものであった(以下、適宜、「従来の製造方法2」という)。
【0036】
しかし、前述の従来の製造方法1では、要するに、DPF製作後捕集層をコートするものであって、捕集層をコート後には熱処理を施さないものであるから、熱処理工程は増加して製造負担を増すものではないが、捕集層の強度が弱く、使用中に形成した捕集層が剥離するなどヒステリシス特性や、再生特性も不十分なものであった。さらに、前述の従来の製造方法2では、要するに、DPF製作後、外周コートを塗布した後に乾燥させて(Q10)熱処理をし、さらに(Q11)捕集層コートをした後、さらに(Q12)乾燥させて、再び(Q13)熱処理をするものであったから、熱処理行程を実施することで捕集層の強度は付与されるものの、製造過程で熱処理工程増加するため、製造コストが上昇し、価格競争力の劣るものとなっていた。
【0037】
換言すれば、従来の製造方法1により製造されるハニカムフィルタでは、熱処理工程を経ないで形成するため、熱処理工程を経ないでPM捕集層を形成するものでは、熱処理工程が経ないが故に、PM捕集層の強度が脆弱となってしまい、圧力損失が上昇しやすくなり、結果的にエンジン性能を低下させる。また、従来の製造方法2により製造されるハニカムフィルタでは、DPFを作製後に再度熱処理をするため、PM捕集層の強度を維持できるものの、熱処理工程が増えるが故に、製造コストを増加させる。したがって、PM捕集層の強度を十分に有しながら、低コストで製造し得るものに至っていない。
【0038】
そこで、本実施形態のハニカムフィルタの製造方法では、前述のように構成されることにより、(S12)の熱処理工程で、外周コートの熱処理と同時に、PM捕集層を隔壁に結合させる熱処理を一度で処理できるため、PM捕集層の強度を維持、向上しながら、製造コストを低減して価格競争力を向上させるハニカムフィルタを製造するものである。とりわけ、(1)一体化してから捕集層を形成するため、セグメントに対して捕集層を形成する場合に比べ工数を少なくすることができ、(2)所定形状に加工してから捕集層を形成するため、加工等により利用されない部分に捕集層を形成することなく、捕集層材料を有効に使うことができる等の点で優れている。
【0039】
また、ハニカムフィルタの製造方法として、ハニカムセグメントを、接合材を介して接合一体化する前に、ハニカムセグメントの隔壁上に捕集層を形成し、捕集層を乾燥させて乾燥セグメント体を得、得られた乾燥セグメント体を接合し一体化した集合体とした後、集合体の外周を研削して外周加工体を形成し、その後、得られた前記外周加工体の外周に外周コートを塗布して、前記外周コートの熱処理と同時に、前記隔壁に捕集層を結合させる処理工程を有することも好ましい形態の一つである。このような製造方法によれば、図2に示されるように、(T1)セグメント成形、(T2)乾燥、(T3)目封じ、(T4)焼成、(T5)捕集層コート、(T6)乾燥、(T7)接合、(T8)乾燥、(T9)加工、(T10)外周コート、(T11)乾燥、(T12)熱処理を施すまでの((T1)〜(T12))の各工程を経て製造されるため、(T12)の熱処理工程で、外周コートの熱処理と同時に、PM捕集層を隔壁に結合させる熱処理を一度で処理できるため、PM捕集層の強度を維持、向上しながら、製造コストを低減して価格競争力を向上させるハニカムフィルタを製造するものである。とりわけ、セグメント形状で捕集層の製膜を行うため、加工形状に応じた捕集層形成用の製膜治具が不要で、同一の製膜治具で製膜可能な点で好ましい製造方法である。
【0040】
より好ましいのは、外周コートの熱処理温度が400〜800℃であることが好ましい。このように所望の熱処理を行うことで、ハニカムセグメントと接合材あるいはハニカムセグメントと外周コート材の接着強度が向上し、機械的強度や再生時(PM燃焼時)の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0041】
さらに、前述のようなハニカムフィルタの製造方法によってハニカムフィルタを作製した後、得られたハニカムフィルタに触媒を担持して製造することも好ましい形態の一つである。このように隔壁内に触媒を担持することで、捕集したPMの酸化を促進することができる。また排ガス中にはPM以外に未燃の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物等が含まれ、これらを浄化する触媒を担持することで、優れた浄化性能を有する触媒フィルタを製造することができる。
【0042】
[1−2]本発明に係るハニカムフィルタの製造方法の具体的成形工程:
次に、本発明に係るハニカムフィルタの製造方法について説明する。本発明に係るハニカムフィルタの製造方法としては、たとえば次のような方法が一例として挙げられる。ただし、このようなハニカム構造体の作製方法に限らず、本願の構成を採用しながら、本願の効果を奏するものであれば、公知のハニカム構造体の作製方法を適宜用いて製造することもできる。
【0043】
[1−2−1]ハニカムセグメントの成形:
図1に示されるS1のハニカムセグメントの成形工程(又は図2に示されるT1のハニカムセグメントの成形工程)では、先ず、ハニカムフィルタの基材の材料として挙げたものの原料を用い、その原料を混合、混練して坏土を形成する。ハニカム構造の基材の材料は特に限定されないが、セラミックを好適に用いることができ、強度、耐熱性、耐食性等の観点から、炭化珪素、珪素−炭化珪素複合材料、アルミナ、ムライト、コージェライト、アルミニウムチタネート又は窒化珪素のうちのいずれかであることが好ましい。
【0044】
たとえば、ハニカムセグメント原料として、珪素−炭化珪素複合材料を隔壁の材料とする場合には、SiC粉末及び金属Si粉末を80:20の質量割合で混合し、水等の分散媒、造孔材を加えて、更に、これに有機バインダ等を添加して混練し、可塑性の坏土を形成する。SiC粉末及び金属Si粉末原料(成形原料)を混練して坏土を調製する手段は、特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることが出来る。
【0045】
また、上記のような成形原料に添加する有機バインダとしては、たとえば、ヒドロキシプロポキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができ、これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。造孔材としては、グラファイト、澱粉、合成樹脂等を挙げることができ、焼成工程により飛散消失する性質のものであればよい。また、コークス等の無機物質や発泡樹脂等の高分子化合物、澱粉等の有機物質等を単独で用いるか組み合わせて用いてもよい。分散剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を挙げることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0046】
次に、得られた坏土を、所定の金型を用いて流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備える、所望形状のハニカムセグメントを成形する。ここで、ハニカムセグメントを作製する方法は、特に制限はなく、押出成形、射出成形、プレス成形等の従来公知の成形法を用いることが出来る。中でも、上述のように調製した坏土を、所望のセル形状、隔壁の厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形する方法等を好適例として挙げることが出来る。ここで、ハニカム構造の基材の材料は特に限定されないが、セラミックを好適に用いることができ、強度、耐熱性、耐食性等の観点から、炭化珪素、珪素−炭化珪素複合材料、アルミナ、ムライト、コージェライト、アルミニウムチタネート又は窒化珪素のうちのいずれかであることが好ましい。
【0047】
[1−2−2]乾燥:
図1に示されるS2の乾燥工程(又は図2に示されるT2の乾燥工程)では、得られたハニカムセグメント成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させて乾燥体を作製する。乾燥の手段は、特に制限はなく、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の、従来公知の乾燥法を用いることが出来る。中でも、成形体全体を迅速且つ均一に乾燥することが出来る点で、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥とを組み合わせた乾燥方法が好ましい。
【0048】
[1−2−3]目封じ部の形成:
図1に示されるS3の目封じ部の形成工程(又は図2に示されるT3の目封じ部の形成工程)では、以下のように目封止を形成する。まず目封止部の形成方法としては、目封止スラリーを、貯留容器に貯留しておく。そして、上記マスクを施した側の端部を、貯留容器中に浸漬して、マスクを施していないセルの開口部に目封止スラリーを充填して目封止部を形成する。他方の端部については、一方の端部において目封止されたセルについてマスクを施し、上記一方の端部に目封止部を形成したのと同様の方法で目封止部を形成する。これにより、上記一方の端部において目封止されていないセルについて、他方の端部において目封止され、他方の端部においても市松模様状にセルが交互に塞がれた構造となる。また、目封止は、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を形成した後に、施してもよい。
【0049】
なお、目封止材としては、ハニカムセグメント原料と同様な材料を用いると、ハニカムセグメントとの焼成時の膨張率を同じにでき、耐久性の向上につながるため好ましい。
【0050】
[1−2−4]焼成:
図1に示されるS4の焼成工程(又は図2に示されるT4の焼成工程)では、前述のように目封止部を形成したハニカムセグメントを、まず焼成(仮焼き)する。この仮焼きは、脱脂のためにおこなわれるものであって、たとえば、酸化雰囲気において550℃で、3時間程度で行うものが挙げられるが、これに限られるものではなく、ハニカム成形体中の有機物(有機バインダ、分散剤、造孔材等)に応じて行われることが好ましい。一般に、有機バインダの燃焼温度は100〜300℃程度、造孔材の燃焼温度は200〜800℃程度であるので、仮焼温度は200〜1000℃程度とすればよい。仮焼時間としては特に制限はないが、通常は、1〜10時間程度である。
【0051】
さらに、焼成(本焼成)を行う。この「本焼成」とは、仮焼体中の成形原料を焼結させて緻密化し、所定の強度を確保するための操作を意味する。焼成条件(温度・時間)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。たとえば珪素−炭化珪素複合材料の場合、Ar不活性雰囲気で焼成温度、1400℃〜1500℃程度の焼成を行うが、これに限られるものではない。
【0052】
[1−2−5]接合:
図1に示されるS5の接合工程では、前述までの各工程を経て所望寸法の複数のハニカムセグメント(焼結体)を得た後、そのハニカムセグメントの周面に、接合用スラリーを塗布し、必要数のハニカムセグメントを互いに組み付けて圧着して、(乾燥前の)ハニカムセグメント接合体を得る。接合用スラリーの材料としては、無機繊維、無機バインダ、有機バインダ、及び無機粒子から構成されてなるものを好適例として挙げることが出来る。具体的には、無機繊維としては、例えば、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート及びアルミナ等の酸化物繊維、その他の繊維(例えば、SiC繊維)等を挙げることが出来る。無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、粘土等を挙げることが出来る。有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等を挙げることが出来る。無機粒子としては、例えば、炭化珪素、窒化珪素、コージェライト、アルミナ、ムライト等のセラミックスを挙げることが出来る。これらの材料からなる接合用スラリーは、乾燥後更に400〜800℃の熱処理を行うことで、ハニカムセグメントと接合材の接着強度が向上し、機械的強度や再生時(PM燃焼時)の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0053】
[1−2−6]乾燥:
図1に示されるS6の乾燥工程では、前述のハニカムセグメント接合体を加熱乾燥によって硬化させて、全体形状が四角柱状の(乾燥後の)ハニカムセグメント接合体を得る。ここでの乾燥の手段は、前述と同様に、特に制限はなく、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の、従来公知の乾燥法を用いることが出来る。中でも、接合体全体を迅速且つ均一に乾燥することが出来る点で、熱風乾燥が乾燥方法として好ましい。
【0054】
[1−2−7]加工:
図1に示されるS7の加工工程では、前述の乾燥させたハニカムセグメント接合体を、円柱形状に研削加工し、セグメント構造を有する円柱形状のハニカム構造体を形成する。
【0055】
[1−2−8]PM捕集層コート:
図1に示されるS8のPM捕集層コート(処理)工程では、前述のハニカム構造体の隔壁の、排ガスの流入側セル(流入側の隔壁表層)に、PM捕集層を製膜する。この製膜するPM捕集層の材料としては、捕集層を形成する骨材粒子と、その粒子どうし、及び、その粒子と隔壁を構成する粒子を結合させる結合材からなることが好ましい。また、骨材となる粒子としては、たとえば、炭化珪素、窒化珪素、コージェライト、ムライト、アルミナ、ジルコニア、燐酸ジルコニウム、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材、珪素−炭化珪素複合材、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、チタニア、セリア、ジルコニア等のセラミックス、Fe−Cr−Al系金属、ニッケル系金属、又は金属Si等の無機粉体等を採用することができる。また、結合材としては、シリカゾル又はアルミナゾル等のコロイダルゾルや、膨潤して結合性を示す層状の粘土化合物等を含むものであることが好ましい。具体的には、コロイダルゾルとしてコロイダルシリカを、層状の粘土化合物としてモンモリロナイトを、それぞれ挙げることが出来る。これらを水に希釈してPM捕集層の製膜用のスラリーを形成して、ハニカム構造体の隔壁上にPM捕集層の前駆体を形成することができる。またPM捕集層の細孔構造を制御するために、熱処理で消失するような造孔材を加えて捕集層を形成しても良い。造孔材としては、特に限定はなく前述したハニカムセグメントの作製に用いられるもの等を好適に用いることが出来る。
【0056】
たとえば、PM捕集層を製膜するにあたり、まず炭化珪素粒子(平均粒子径12μm)100質量部、コロイダルシリカ(固形分濃度40%の溶液)40質量部、CMC(カルボキシメチルセルロース)溶液(2%固形分)100質量部、分散材1質量部、水800質量部を加え、よく撹拌して捕集層形成用のスラリーを調整する。次に、図11Aに示されるように、PM捕集層を形成したい側(流入側セル)を上にし、図11Bに示されるようにスラリーを溜める治具15a、15bをセットする。そして、(スラリー組成(固形分濃度)と重量で形成する捕集層の膜厚等が制御できるように)所定量のスラリーを計量し、PM捕集層を形成したい側(流入側セル)を上にした状態で、図11Bに示されるように、ハニカム端面(上端面)側からスラリー17を掛け流し、入口セルにスラリーを供給する。(なお、スラリー流入の際には、図11Bの符号15cに示される開閉弁は、スラリーが流れ出さないように閉めておく。)さらに、図11Cに示されるように、スラリー17を供給後、出口セル側(治具15bの開閉弁側)から吸引することで、ろ液を排出する。(ろ液を排出することで入口セル表層に捕集層の前駆体なる膜が形成する)。こうして、図11Dに示されるように、固形分(PM捕集層の、所謂膜骨材)がセル表面に堆積し、PM捕集層24が製膜された状態となる。PM捕集層を製膜する他の方法として、例えばポンプによる製膜スラリーの圧送による供給やスラリー中にハニカム構造体を浸漬する方法も用いることができる。
【0057】
また、本実施形態のハニカムフィルタの熱膨張係数は、使用するハニカムフィルタの材料、PM捕集層を構成する材料により決まる値で特に好ましい値はないが、両者の熱膨張係数の差が小さいことが好ましい。熱膨張係数の差が大きいと高温の排気ガスに晒された際の発生熱応力を許容範囲内に抑えることが出来ず、熱応力破壊が起きる可能性が考えられるからである。
【0058】
[1−2−9]乾燥:
図1に示されるS9の乾燥工程では、前述のようにPM捕集層を製膜したハニカム構造体を、前述した乾燥手段で同様に乾燥処理して硬化させる。具体的には、熱風乾燥で、120℃、3時間で乾燥させるなどの条件で乾燥することができる。
【0059】
[1−2−10]外周コート:
さらに、図1に示されるS10の外周工程では、乾燥させたPM捕集層を形成した後のハニカム構造体の周面を、外周コート用スラリーで被覆し、乾燥により硬化させることにより、外周コート層(外周壁、図5の外周コート層(外周壁)20参照)を備える円柱形状のハニカム構造体を形成する。また、外周コート用スラリーの材料は、接合用スラリーの材料と同様なものを好適に用いることができる。これらの材料からなる外周コート用スラリーは、乾燥後更に400〜800℃の熱処理を行うことで、ハニカムセグメントと外周コート材層の接着強度が向上し、機械的強度や再生時(PM燃焼時)の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0060】
[1−2−11]乾燥:
その後、図1に示されるS11の乾燥工程では、前述と同様の乾燥手段によって、乾燥させる。
【0061】
[1−2−12]熱処理:
さらに、図1に示されるS12の熱処理工程では、前述のように外周コート層をコート、乾燥させたハニカム構造体を、700℃、30分間で熱処理して硬化させる。このようにすることによって、外周コートの熱処理と同時に、隔壁に捕集層を結合させる処理を行えることができ、新たな熱処理工程の増加を必要とせず、PM捕集層が排ガス流入側の隔壁上に製膜(形成)された所望のハニカムフィルタを得ることができる。
【0062】
[2]本発明の別の実施形態としてのハニカムフィルタの製造方法:
本発明の別の実施形態としてのハニカムフィルタの製造方法は、ハニカムセグメントを、接合材を介して接合一体化する前に、前記ハニカムセグメントの隔壁上に捕集層を形成し、前記捕集層を乾燥させて乾燥セグメント体を得、得られた乾燥セグメント体を接合し一体化した集合体とした後、前記集合体の外周を研削して外周加工体を形成し、その後、得られた前記外周加工体の外周に外周コートを塗布して、前記外周コートの熱処理と同時に、前記隔壁に捕集層を結合させる処理工程を有するハニカムフィルタの製造方法として構成されている。
【0063】
すなわち、本発明の別の実施形態としてのハニカムフィルタの製造方法では、図2に示されるように、(T1)セグメント成形、(T2)乾燥、(T3)目封じ、(T4)焼成、(T5)捕集層コート、(T6)乾燥、(T7)接合、(T8)乾燥、(T9)加工、(T10)外周コート、(T11)乾燥、(T12)熱処理の各工程を経て製造されるものである。このような方法によりハニカムフィルタが製造されることにより、ハニカムセグメントに捕集層コート後に熱処理を行うことで、捕集層強度の強度付与を施すことができ、外周コート後に熱処理工程を行うことで、新たな熱処理工程も増加することもなくコスト負担の軽減となる。
【0064】
以下、具体的に本発明の別の実施形態としてのハニカムフィルタの製造方法を説明するが、本発明の実施形態としてのハニカムフィルタの製造方法と、同様の処理工程は可能な限り説明を省略し、差異が生じている点について説明することにする。したがって、省略した処理工程については、前述した本発明の実施形態としてのハニカムフィルタの製造方法を参照されたい。
【0065】
なお、本発明の別の実施形態としてのハニカムフィルタの製造方法においても、(T1)セグメント成形、(T2)乾燥、(T3)目封じ、(T4)焼成までの各処理工程は、前述のように、本発明の実施形態としてのハニカムフィルタの製造方法1と同様であるため、ここでは、(T5)PM捕集層コート以下の処理工程について説明することとし、(T1)〜(T4)までの各処理工程については、本発明の実施形態としてのハニカムフィルタの製造方法1を参照されたい。
【0066】
[2−1]PM捕集層コート:
前述までの(T1)〜(T4)の、各工程を経て所望寸法の複数のハニカムセグメント(焼結体)を得た後、図2に示される(T5)のPM捕集層のコート処理工程では、PM捕集層を形成する。この点、ハニカムセグメントを接合した後にPM捕集層を形成する本発明実施形態のハニカムフィルタの製造方法1とは異なり、また、従来の製造方法とも異なる。具体的には、前述のハニカムセグメント(焼結体)であって接合前のハニカムセグメントの隔壁の、排ガスの流入側セル(流入側の隔壁表層)に、PM捕集層を製膜する。なお、PM捕集層形成用のスラリーの調整は本発明実施形態のハニカムフィルタの製造方法1と同様にして行われる。また、図示はしないが、ハニカムセグメントにPM捕集層を形成する場合には、前述のような接合体用の治具ではなく(図11B参照)、ハニカムセグメントのサイズに合った治具を用いて、接合体にPM捕集層を形成するのと同様に、ハニカムセグメントにPM捕集層を製膜するとよい。
【0067】
[2−2]乾燥:
図2に示される(T6)の乾燥工程では、PM捕集層を製膜したハニカムセグメント成形体を乾燥機で乾燥し、乾燥体を作製する。乾燥の手段は、特に制限はなく、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の、従来公知の乾燥法を用いることが出来る。中でも、PM捕集層を製膜したハニカムセグメント全体を迅速且つ均一に乾燥することが出来る点で、熱風乾燥が、乾燥方法として好ましい。
【0068】
[2−3]接合:
図2に示される(T7)の接合工程では、(T6)の乾燥工程で乾燥させたハニカムセグメントを、そのハニカムセグメントの周面に、接合用スラリーを塗布し、必要数のハニカムセグメントを互いに組み付けて圧着して、(乾燥前の)ハニカムセグメント接合体を得る。接合用スラリーの材料としては、無機繊維、無機バインダ、有機バインダ、及び無機粒子から構成されてなるものを好適例として挙げることが出来る。具体的には、無機繊維としては、例えば、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート及びアルミナ等の酸化物繊維、その他の繊維(例えば、SiC繊維)等を挙げることが出来る。無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、粘土等を挙げることが出来る。有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルローズ、メチルセルロース等を挙げることが出来る。無機粒子としては、例えば、炭化珪素、窒化珪素、コージェライト、アルミナ、ムライト等のセラミックスを挙げることが出来る。これらの材料からなる接合用スラリーは、乾燥後更に400〜800℃の熱処理を行うことで、ハニカムセグメントと接合材の接着強度が向上し、機械的強度や再生時(PM燃焼時)の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0069】
[2−4]乾燥:
図2に示される(T8)の接合工程では、前述の(乾燥前の)ハニカムセグメント接合体を、前述したような乾燥手段によって硬化させて、全体形状が四角柱状の(乾燥後の)ハニカムセグメント接合体を得る。
【0070】
[2−5]加工:
図2に示される(T9)の加工工程では、さらに、乾燥させたハニカムセグメント接合体を、円柱形状に研削加工し、セグメント構造を有する円柱形状のハニカム構造体を形成する。
【0071】
[2−6]外周コート:
さらに、図2に示される(T10)の外周コート工程では、円柱形状のハニカム構造体の周面を、外周コート用スラリーで被覆し、乾燥により硬化させることにより、外周コート層(外周壁、図5の外周コート層(外周壁)20参照)を備える円柱形状のハニカム構造体を形成する。また、外周コート用スラリーの材料は、接合用スラリーの材料と同様なものを好適に用いることができる。これらの材料からなる外周コート用スラリーは、乾燥後更に400〜800℃の熱処理を行うことで、ハニカムセグメントと外周コート材層の接着強度が向上し、機械的強度や再生時(PM燃焼時)の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0072】
[2−7]乾燥:
その後、図2に示される(T11)の乾燥工程では、前述と同様の乾燥手段によって、乾燥させる。
【0073】
[2−8]熱処理:
さらに、図2に示される(T12)の熱処理工程では、乾燥させたハニカム構造体を、700℃、30分間熱処理して硬化させる。このようにすることによって、外周コートの熱処理と同時に、隔壁に捕集層を結合させる処理を行えることができ、新たな熱処理工程の増加を必要とせず、ハニカムフィルタを得ることができる。
【0074】
[3]触媒担持方法:
さらに、前述のようなハニカムフィルタの製造方法によって成形されたハニカムフィルタに、触媒を担持させて、触媒フィルタを形成する場合には、例えば以下のような形成方法を例示できる。
【0075】
触媒成分の担持方法は特に限定されないが、公知の方法で担持することができる。例えば、ディッピング或いは吸引等の方法等が挙げられる。更に、例えば、ハニカム構造体の隔壁に対して、触媒成分を含む触媒液をウォッシュコートした後、乾燥、熱処理する方法等により、隔壁を構成する粒子の表面や隔壁の細孔内に触媒を担持することができる。触媒を担持したハニカム構造体の乾燥方法は特に限定されないが、公知の方法で乾燥することができる。例えば過剰な触媒スラリーをエアーブローで除去した後、熱風乾燥機内に触媒を担持したハニカム構造体を入れて乾燥しても良いし、熱風発生機により得られた熱風をハニカム構造体の各セルに通過させて乾燥しても良い。乾燥温度としては、80℃から200℃程度の温度で乾燥を行うことが好ましい。更に、触媒を担持し、乾燥を行ったハニカムセグメントを熱処理することで、担持した触媒成分をハニカムセグメントの隔壁表面や隔壁の細孔内に強固に固着することができる。熱処理をする温度としては、400℃から600℃が好ましい。また担持する触媒量やその形状は、触媒液の濃度やコートする時間等を制御することにより所望の値に調整することができる。なお、触媒成分を高分散状態で担持させるため、予めアルミナのような比表面積の大きな耐熱性無機酸化物に一旦担持させた後、ハニカム構造体の隔壁に担持させることが好ましい。
【0076】
[4]ハニカムフィルタ:
これまで説明したハニカムフィルタの製造方法によって、作製されたハニカムフィルタであることが好ましい。前述したハニカムフィルタの製造方法によって製造されることによって、コスト負担を軽減しながら本願の効果を奏することができるハニカムフィルタとなるため好ましい。具体的には、以下のような特徴を有するハニカムフィルタを製造できる。
【0077】
[4−1]本発明のハニカムフィルタ:
本発明のハニカムフィルタ1は、図5、図6、図7に示されるように、多数の細孔を有する多孔質のセラミックからなる隔壁4によって区画された、排ガスの流路となる複数のセル3を備えるハニカムフィルタであって、前記複数のセル3の一方の開口端部2aと他方の開口端部2bには互い違いに目封じされてなる目封止部10が形成されてなり、前記隔壁4上には、平均細孔径の小さいPM捕集層24が形成されているハニカムフィルタ1として構成されている。
【0078】
[4−1]PM捕集層:
本実施形態のハニカムフィルタでは、多数の細孔を有する多孔質のセラミックからなる隔壁上に、隔壁より平均細孔径の小さいPM捕集層が表層として形成されている。すなわち、PM捕集層として平均細孔径の小さい層を隔壁上に形成することにより、このPM捕集層で排ガスのスート(黒鉛)を主体とする粒子状物質(PM)を捕集し、スートの細孔内部への通過を阻止する役割を果たさせている。換言すれば、このPM捕集層に、スートの隔壁の細孔内部への通過を阻止する役割を果たさせているのは、隔壁の細孔内部へスートが通過すると、隔壁の細孔内にスートが堆積し、その堆積時に圧損するおそれが上昇するため、その圧損の上昇を抑制しながら、高いスートの燃焼速度を得るためである。
【0079】
また、本実施形態のハニカムフィルタでは、一方の端部が開口され且つ他方の端部が目封止された所定のセルと、一方の端部が目封止され且つ他方の端部が開口された残余のセルと、が交互に配設され、例えば、所定のセルが開口する一方の端部から流入した流体(排気ガス)が、PM捕集層として製膜される表層が備わる側から隔壁を透過し、残余のセル側へ透過流体として流出し、更に、残余のセルが開口する他方の端部から流出することによって、排気ガス中のPMが捕集除去されるウォールフロー型のフィルタである。
【0080】
また、本実施形態のハニカムフィルタでは、その好ましい態様において、PM捕集層として製膜される表層の、ピーク細孔径が、2μm以上8μm未満、気孔率が40%以上80%未満であることが好ましい。このように形成されることにより、良好なPM捕集効率の維持、PM捕集開始直後の急激な圧力損失上昇防止、PM堆積時の圧力損失低減、捕集層の耐久性を実現できる。他方、ピーク細孔径が、2μm未満ではPMが堆積していない初期の圧力損失が過大になるおそれがあり、8μm以上を超えると捕集効率が悪化するおそれや捕集層を通り抜け細孔内部に到達するスートが増え、PM堆積時の圧力損失低減効果が低下する場合がある。また、気孔率が40%未満であると、PMが堆積していない初期の圧力損失が過大になるおそれがあり、さらに、80%以上になると耐久性のあるPM捕集層としての表層を製造することが困難である。
【0081】
図6に示されるように、本実施形態のハニカムフィルタ1では、その使用時においては、排気ガス(流体)は、一方の端面2a側から(所定のセル3が開口する一方の端部(端面2a側の端部)から)、セル3内に流入し、PM捕集層24が設けられた側から、隔壁4を通過し、透過流体として、他方の端面2b側が開口したセル3(残余のセル3)へ流出させ、他方の端面2b側(残余のセル3の他方の端部(端面2b側の端部))から外部へと流出する。この隔壁4を通過する際に、排気ガスに含まれるPMの大部分が隔壁4の表層に形成されたPM捕集層24で捕集される。PM捕集層24で排気ガスに含まれるPMを捕集することで、隔壁4の細孔内部へのPMの通過を阻止し、PM堆積時の圧損上昇を抑制する。
【0082】
なお、図6は本実施形態のハニカムフィルタに排ガスを流入させた際の模式図であって、ハニカムフィルタの長さ方向(軸方向)に断面した状態を示している。
【0083】
また、図5に示されるように、本実施形態のハニカムフィルタ1は、複数のハニカムセグメント40を、接合材層21を介して接合し、得られた接合体の外周部分を研削し所定形状に加工したハニカムセグメント接合体30の外周部を外周コートスラリーで被覆した外周コート層20を有するものである。また、ハニカムフィルタ1では、目封止部10が、端面2a,2bにおいてセル3を目封止するように配置された状態である。
【0084】
また、本実施形態のハニカムフィルタのセルの密度(セル密度)は、15個/cm以上65個/cm未満であることが好ましく、且つ、隔壁4の厚さは、200μm以上600μm未満であることが好ましい。PM堆積時の圧力損失は、濾過面積が大きいほどに低減されるから、セル密度は大きい方が、PM堆積時の圧力損失は低下する。一方、初期の圧力損失は、セルの水力直径を小さくすることによって増加する。よって、PM堆積時の圧力損失低減の観点からはセル密度は大きい方がよいが、初期圧損低減の観点からはセル密度を小さくした方がよい。隔壁4の厚さは、厚くすれば捕集効率が向上するが、初期の圧力損失は増加する。初期の圧力損失、PM堆積時の圧力損失、及び捕集効率のトレードオフを考慮して、全てを満足するセル密度及び隔壁の厚さの範囲が、上記した範囲である。
【0085】
また、本実施形態のハニカムフィルタでは、PM捕集層として製膜されるPM捕集層における、ピーク細孔径が、隔壁4の平均細孔径と同等か又は小さいことが好ましい。ここで、ピーク細孔径とは、細孔分布のピークを構成する細孔径をいう。本明細書において、隔壁の細孔径分布は、水銀圧入法により測定した値で表される。細孔径分布と、後述する平均細孔径は、例えば、島津製作所社製、商品名:ポロシメータ 型式9810を使用して測定することが出来る。図8は、水銀圧入法によって求められる細孔径分布を示すグラフであり、細孔容積と細孔径の関係を表している。本明細書において、PM捕集層のピーク細孔径は、(PM捕集層をつけたまま(PM捕集層あり)の)隔壁の細孔径分布の測定結果と、遷移層(PM捕集層と隔壁との境界)を含まないPM捕集層を除去したもの(隔壁に相当、PM捕集層なし)における細孔径分布の測定結果と、の差を、PM捕集層の細孔径分布とみなし、そのピークにより定義される(図8参照)。
【0086】
また、本実施形態のハニカムフィルタでは、PM捕集層24の厚さは、PM捕集層24の気孔率、細孔径により好適な厚さに設定することが必要である。PM捕集層24の細孔径が大きい場合や、気孔率が大きい場合では、PMがPM捕集層24を通過し易くなるので、捕集層の厚みを大きめにする必要がある。またPM捕集層24の細孔径が小さい場合や、気孔率が小さい場合は、PMがPM捕集層24を通過し難くなるので、捕集層の厚みが小さくてもPM捕集層24で十分PMを捕集することができる。また何れの場合も過度にPM捕集層の膜厚を大きくすると、捕集層自身の透過抵抗が増加し、ハニカム構造体としての圧力損失が増加する恐れがあるので、その捕集層構造により、適宜必要膜厚を見極めることが必要である。
【0087】
このPM捕集層として製膜される表層の厚さは、たとえば、画像解析装置(株式会社ニコン製、商品名「NEXIV、VMR−1515」)を用いて、PM捕集層形成後のハニカムセグメントの断面を計測し、PM捕集層が形成されているセルの径を算出し、PM捕集層形成前のハニカムセグメントのセル径との差の1/2をPM捕集層の厚さとして求めることができる。また、隔壁の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)を通じた画像解析を行うことによって求めることもできる。たとえば、図9は、ハニカムフィルタの隔壁の表面からの距離と、気孔率との関係を示すグラフである。PM捕集層として製膜される表層の厚さを求めるに際しては、先ず、PM捕集層を形成した側を含む隔壁の厚さの半分の厚さの領域につき、厚さ方向に1000又はそれ以上に分割し、分割した各領域における正方形内の気孔率を、表面に近い領域から、画像上の空間/固体面積比として測定していき、表面からの距離に対してプロットする。尚、各距離において20視野の平均値をプロットするものとする。そして、最も表面に近い1点を除く表面に近い3点の平均を求め、これをPM捕集層の気孔率とする(気孔率xとよぶ)。一方、表面から充分に離れた位置(隔壁の厚さ方向の中央部分)において、正方形20視野(正方形の一辺は隔壁の厚さの1/1000)の平均の空間/固体面積比を測定し、これを隔壁の気孔率とする(気孔率yとよぶ)。そして、気孔率xと気孔率yの算術平均による直線と、上記プロットを結ぶ直線と、が交差する位置(表面からの距離)を、PM捕集層の厚さ(深さ)として求めることができる。
【0088】
また、本実施形態のハニカムフィルタでは、隔壁の平均細孔径が、10μm以上60μm未満であることが好ましい。この隔壁の平均細孔径は、水銀圧入法により測定した値である。隔壁の平均細孔径では、隔壁1枚を切り出した後、PM捕集層を研削により除去し、残りの部分(隔壁に相当)について測定することにより得られる。またこの細孔径はPM捕集層形成前のハニカムセグメントから、隔壁を切り出して測定しても良い。
【0089】
また、本実施形態のハニカムフィルタでは、図7に示されるように、PM捕集層24の気孔率が、隔壁4の気孔率より大きいことが好ましい。本明細書において、気孔率は、隔壁の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)を通じた画像解析を行うことによって測定した値である。PM捕集層、隔壁とも得られた画像内における任意の正方形状の20視野(正方形の1片は隔壁の厚さの1/1000)の空間/固体面積比を測定し、その平均値を算出し、気孔率とした。
【0090】
なお、PM捕集層が、「隔壁上に」形成されるとは、ガスの流入側に形成される隔壁上に形成されることをいう。すなわち、ハニカムフィルタに備えられるガス流入側の隔壁であって、その隔壁上にスートの侵入を防ぐために平均細孔径を小さく形成したPM捕集層としての領域が形成されることをいう。換言すれば、このPM捕集層が、ガスの流入側となる入口として形成されていることを意味する。具体的には、図6、7に示されるように、セル3が有する隔壁4上に、PM捕集層24が、ガスの流入路の入口として形成されている。
【0091】
(本実施形態のハニカムフィルタのその他の構成)
本実施形態におけるハニカムフィルタでは、図5,6に示されるように、多数の細孔を有する多孔質のセラミックからなる隔壁4によって区画された、排ガスの流路となる複数のセル3を備えている。複数のセル3の一方の開口端部2aと他方の開口端部2bには互い違いに目封じされてなる目封止部10が形成されている。ただし、ハニカム構造の全体形状については特に限定されるものではなく、例えば、図5に示されるような円筒状の他、楕円柱状、長円柱状、四角柱状、三角柱状、その他の多角柱状等の形状を挙げることができる。
【0092】
また、ハニカムフィルタが備えるセル形状(セルの形成方向に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、特に制限はないが、例えば、図5に示されるような四角形セルの他に、三角形、及び六角形等の多角形、八角形と四角形の組み合わせ、円形、楕円形、又はレーシングトラック形、若しくはそれらが一部変形した形状等を挙げることができる。ただし、このような形状に限られるものではなく、公知のセルの形状を広く包含することができる。作製容易という観点から、セルの断面の形状は、三角形、四角形、六角形、あるいは八角形と四角形との組み合わせが好ましい。特に八角形と四角形とを組み合わせた場合、八角形のセルを流体入口側にすることによって、流体入口側の表面積を大きくすることが可能となり、捕集する粒子状物質の量を多くすることが出来る。また、流体入口側のセルの表層にPM捕集層を形成することから、流体入口側の表面積を大きくすることで、PM捕集層形成後でも十分な水力直径を維持できるので、ハニカムフィルタの圧損低減の面で有利である。また円形セル又は四角形以上の多角形セルでは、セル断面において、コーナー部のPM捕集層の厚付きを軽減し、PM捕集層の厚さを均一にできる点で好ましい。
【0093】
[5]触媒担持ハニカムフィルタ:
これまで説明した触媒担持フィルタの製造方法によって、或いは、これまで説明したハニカムフィルタの製造方法によって作製された、触媒担持フィルタであることが好ましい。前述したハニカムフィルタの製造方法或いは触媒担持フィルタの製造方法によって製造されることによって、コスト負担を軽減しながら本願の効果を奏することができる触媒担持フィルタとなるため好ましい。具体的には、以下のような特徴を有する触媒フィルタを製造できる。
【0094】
本実施形態のように、PM捕集層を隔壁上に形成し、隔壁に触媒をコートさせることによって、高負荷、高速走行でエンジンを回転させても、圧損を低減させながらPM捕集層でスート及びAshを確実に捕集し、さらに担持させた触媒の浄化作用によって、スートを確実に燃焼処理できるため好ましい。更に、このPM捕集層でスート及びAshが捕集されるため、隔壁に担持した触媒の被毒の防止や耐久性の向上を実現でき、低温での燃焼性を改善や触媒担持量の削減ができる。
【0095】
[5−1]触媒:
前述の隔壁にコートする触媒としては、酸化触媒等が挙げられる。ただし、このようなものに限定されず、本願の効果を奏することができるものであって、公知のものであれば、本実施形態に適用できる。
【0096】
[5−1−1]酸化触媒:
酸化触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属が好適に用いられる。
【0097】
また、本発明の触媒担持フィルタにおいては、他の触媒や浄化材が担持されていてもよい。例えば、アルカリ金属(Li、Na、K、Cs等)やアルカリ土類金属(Ca、Ba、Sr等)からなるNO吸蔵触媒、三元触媒、セリウム(Ce)及び/又はジルコニウム(Zr)の酸化物に代表される助触媒、HC(Hydro Carbon)吸着材等が担持されていてもよい。
【0098】
たとえば、触媒にはCeとそれ以外の少なくとも1種の希土類金属、アルカリ土類金属、または遷移金属を含んでもよい。
【0099】
ここで、希土類金属としては、たとえば、Sm,Gd,Nd,Y,La,Pr等から選択することができる。
【0100】
また、触媒に含まれるアルカリ土類金属としては、たとえば、Mg,Ca,Sr,Ba等から選択することができる。
【0101】
また、触媒に含まれる遷移金属としては、たとえば、Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Sc,Ti,V,Cr等から選択することきる。
【0102】
また、酸化触媒、NO吸蔵触媒等の触媒成分の担持方法は特に限定されないが、例えば、ハニカム構造体の隔壁に対して、触媒成分を含む触媒液をウォッシュコートした後、高温で熱処理して焼き付ける方法等が挙げられる。また、例えば、ディッピング法等の従来公知のセラミック膜形成方法を利用して、セラミックスラリーをハニカム構造の基材の隔壁に付着させ、乾燥、焼成する方法等により、触媒担持層を形成すればよい。この際、触媒担持層の厚みは触媒コートスラリーの濃度や触媒担持に要する時間等を制御することにより所望の値に調整することができる。
【0103】
なお、酸化触媒、NO吸蔵触媒等の触媒成分は、高分散状態で担持させるため、予めアルミナのような比表面積の大きな耐熱性無機酸化物に一旦担持させた後、ハニカム構造体の隔壁等に担持させてもよい。
【0104】
また、上記触媒は、例えば、吸引法等の従来公知の触媒担持方法を応用して、触媒スラリーを隔壁及び/又はPM捕集層の細孔内に担持させ、乾燥、焼成する方法等により形成してもよい。
【0105】
このPM捕集層の平均細孔径は、パティキュレートを捕集するという目的を果たすために、適度な大きさに形成されることが好ましい。すなわち、隔壁のPM捕集層の平均細孔径が小さ過ぎると、PM捕集層でAshが捕集される際に、AshがPM捕集層の細孔上部(Ashの流入側入口又は入口付近)で、いわば蓋となって目詰まりし易くなり、隔壁の出口側へのガスの流入を遮るおそれがある。ガスの流入が遮られると、隔壁に担持された触媒の浄化処理を妨げることになり、触媒浄化性能を低減させることになるから、好ましくない。他方、PM捕集層の平均細孔径が大き過ぎると、PMを捕集しづらくなり、その結果、隔壁に向けて、いわば筒抜けとなって、ガス浄化を十分に出来なくなるおそれがある。したがって、触媒浄化性能を低減させることになるから、好ましくない。
【0106】
換言すれば、隔壁に触媒が適量に担持(コート)されることが好ましい。隔壁に触媒が適量に担持(コート)されることより、PMを十分に捕集でき、担持される触媒も十分に機能するからである。
【実施例】
【0107】
以下、本発明を実施例により、更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0108】
[1−1]隔壁の厚さ、セル密度、セルの大きさ:
画像解析装置(株式会社ニコン製、商品名「NEXIV、VMR−1515」)を用いて、ハニカムセグメントの断面を計測することで算出した。具体的には、ハニカムセグメントの隔壁に相当する座標を自動で認識し、隔壁の厚さを計測した。さらに、前述の装置を使用して、隔壁間の距離を測定し、セル密度、及び入口セルの大きさ(出口セルの大きさ)を算出した。
【0109】
[1−2]隔壁の平均細孔径:
島津製作所社製、商品名:ポロシメータ 型式9810を使用して測定した。具体的には、ハニカムフィルタから隔壁を切り出し、PM捕集層を研削により除去し、残りの部分(隔壁に相当)について水銀圧入法によって平均細孔径を測定し、これを隔壁の平均細孔径とした。
【0110】
[1−3]隔壁の気孔率:
SEM(走査型電子顕微鏡)を通じて、ハニカムセグメントの断面の画像を撮り、画像解析ソフトで二極化し、セグメント部分と空孔部分の面積を計測し、気孔率を算出した。具体的には、隔壁の表面から充分に離れた位置(隔壁の厚さ方向の中央部分)において、正方形20視野(正方形の一辺は隔壁の厚さの1/1000)の平均の空間/固体面積比を測定し、これを隔壁の気孔率とした。
【0111】
[1−4]PM捕集層の厚さ:
画像解析装置(株式会社ニコン製、商品名「NEXIV、VMR−1515」)を用いて、PM捕集層形成後のハニカムセグメントの断面を計測し、PM捕集層が形成されているセルの径を算出し、PM捕集層形成前のハニカムセグメントのセル径との差の1/2をPM捕集層の厚さとした。
【0112】
[1−5]PM捕集層のピーク細孔径:
島津製作所社製、商品名:ポロシメータ 型式9810を使用して測定した。具体的には、ハニカムフィルタから隔壁を切り出し、前述のポロシメータにより、PM捕集層が形成されているハニカムセグメントの細孔分布を測定し、PM捕集層以外の基材である隔壁の細孔分布との差分を計算し、増加した部分の細孔径の最大値を、PM捕集層のピーク細孔径とした。
【0113】
[1−6]PM捕集層の気孔率:
SEM(走査型電子顕微鏡)を通じて、ハニカムセグメントの断面の画像を撮り、画像解析ソフトで二極化し、PM捕集層部分と空孔部分の面積を計測し、PM捕集層の気孔率を算出した。具体的には、PM捕集層内で、正方形20視野(正方形の一辺は隔壁の厚さの1/1000)の空間/固体面積比を測定し、これらの平均をPM捕集層の気孔率とした。
【0114】
[1−7]PM捕集層の重量:
重量が熱容量に強い相関関係を有し、再生特性に寄与するため、天秤にて完成体の重量を測定した。セグメントの外径は同一であるため、ハニカムフィルタが同一形状であれば、接合材重量、コート材重量も同一となるため、完成体の重量からPM捕集層の重量に置き換えることができる。
【0115】
[2−1]PM捕集層強度:
触媒を担持する前のハニカムフィルタにおける、PM捕集層の強度を下記のように評価した。まず、0.3MPaのエアーでDPF出口側からブローし、入口側から排出されたPM捕集層材料の重量を測定した。エアブロー前後の重量差によって剥離したPM捕集層材料の重量を算出した。また、PM捕集層材料の重量は、[DPF重量]−[同じハニカムセグメントで作製したDPF(参考例のDPF)]から算出し、さらに、剥離重量割合を以下の式(A)により算出した。
剥離重量割合=[剥離したPM捕集層材料の重量割合]/[PM捕集層材料の重量]×100・・・(A)
【0116】
さらに前述の(A)式によって算出された数値が、10%以下を○、10%より大きい数値を×とした。なお、剥離重量割合が10%を基準にして評価したのは、10%を超えると、実使用条件下でも同様な剥離が起きる可能性が高く、PM捕集層が強度不足となり、PM捕集層の機能が発現しなくなるため、実際の使用に耐えられないためである。また同様に、PM捕集層の強度が不十分であると、触媒担持工程中に、PM捕集層が剥離する場合もあり、目的とするPM捕集層の機能が発現しない場合もある。
【0117】
[2−2]初期捕集効率:
PM濃度が1mg/m、温度が200℃、流量が2.4Nm/minの条件で、軽油バーナーからの排気ガスを、ハニカムフィルタに流入させ、PMがハニカムフィルタに堆積する前の初期状態において、上流(ハニカムフィルタに流入する前)及び下流(ハニカムフィルタから流出した後)のPM粒子数を測定した。そして、((上流のPM粒子数)−(下流のPM粒子数))/(上流のPM粒子数)×100の式により、捕集効率を算出した。PM粒子数の測定は、TSI社製のSMPS(Scanning Mobility Particle Sizer)を使用して、PM粒子をカウントすることにより行った。初期捕集効率は、80%以上であれば評価を○とし、80%未満であれば×とした。
【0118】
[2−3]初期圧力損失:
PMが堆積していないハニカムフィルタに、8Nm/minの流量で常温の空気を流入させ、ハニカムフィルタの上流(排ガスがハニカムフィルタに流入する、ハニカムフィルタの入口端面側)と下流(排ガスがハニカムフィルタから流出する、ハニカムフィルタの出口端面側)との圧力差を、差圧計で測定し、初期圧力損失を求めた。
【0119】
[2−3−1]初期圧力損失増加率:
((初期圧力損失)−(同じハニカムセグメントで作製したDPF(参考例のDPF)の圧力損失))/(同じハニカムセグメントで作製したDPF(参考例のDPF)の圧力損失))×100の式により、初期圧力損失増加率を算出した。初期圧力損失増加率は、20%未満であれば評価を○とし、20%以上40%未満を△、40%以上であれば×とした。
【0120】
[2−4]PM堆積時の圧力損失:
PMが堆積していないハニカムフィルタに対して、PMを容積あたりの質量として4g/L堆積させ、そのPMを堆積させたハニカムフィルタに、2.4Nm/minの流量で200℃の空気を流入させ、ハニカムフィルタの上流と下流との圧力差を、差圧計で測定し、PM堆積時の圧力損失(圧力損失Aと呼ぶ、後述する図10を参照)を求めた。
【0121】
また、PM圧力損失減少率(以下、適宜「PM圧損減少率」という)は、前述の圧力損失Aを用いて以下の式により算出した。
PM圧損減少率=((同じハニカムセグメントで作製したDPF(参考例のDPF)のPM圧力損失A)−(PM圧力損失A))÷(同じハニカムセグメントで作製したDPF(参考例のDPF)のPM圧力損失A)×100
【0122】
このようにしてPM圧損減少率の値を求め、20%以上を○、10%以上20%未満を△、10%未満を×として評価した。
【0123】
[2−5]ヒステリシス特性:
図10は、ハニカムフィルタのヒステリシス特性を表したグラフであり、圧力損失と容積あたりのPM堆積量との関係を示すものである。本実施例では、ハニカムフィルタに、200℃の温度で、PMを容積あたりの質量として6g/L堆積させた後、400℃の温度で一部のPMを燃焼させ、PMが2g/Lに減少したときの圧力損失(圧力損失Cと呼ぶ)を求めた。そして、上記圧力損失Aと圧力損失Cとの差である圧力損失差Bの算出し、圧力損失Aに対する圧力損失差Bの比を%表示し、これをヒステリシス特性として評価した。具体的には、10%以下を○、10%以上20%未満を△、20%以上を×として評価した。
【0124】
[2−6]再生特性:
ディーゼル燃料軽油の燃焼により発生させたスート(スス)を含む燃焼ガスを、ハニカムフィルタに流入させ、PM量8g/Lをハニカムフィルタに捕集させた。その後、ポストインジェクションにより排気ガス温度を上昇させ、ハニカムフィルタの入口ガス温度を650℃で10分間保持し、ハニカムフィルタ中のスートを燃焼除去した。燃焼除去中の最高温度を測定した。具体的には、最高温度が1250℃未満を○、最高温度が1250℃以上を×として評価した。
【0125】
[3]総合評価:
以下のような、性能評価、製造コスト評価、耐久性の評価を行った。
【0126】
[3−1]性能:
参考例として成形したハニカムフィルタに対しての優位性で、DPFの性能評価をした。具体的には、優位性は、前述のPM捕集層強度、初期捕集効率、初期圧力損失、PM堆積時の圧力損失、ヒステリシス特性、及び再生特性の各評価を総合して検討し、○:全ての項目で優位性有り、△:一部の項目で優位性有り、×:優位性なし、の点から評価した。
【0127】
[3−2]製造コスト:
接合後、PM捕集層形成後、及び外周コート後の熱処理回数により評価した。具体的には、○:700℃以上の熱処理回数1回、×:700℃以上の熱処理回数2回とした。なお、結合材であるコロイダルシリカが十分な強度発現しないため200℃以下の乾燥工程は回数に含めないこととした。
【0128】
[3−3]耐久性:
触媒を担持する前のハニカムフィルタにおけるPM捕集層の剥離の有無で評価した。具体的には、前述の剥離重量割合の評価を用い、前述の(A)式によって算出された数値が、10%以下を○、10%より大きい数値を×とした。
【0129】
[3−4]総合評価:
総合評価は、○:性能評価、製造コスト評価、耐久性の全ての項目が○、△:性能評価、製造コスト評価、耐久性の一部が△、×:性能評価、製造コスト評価、耐久性の一部が×として行った。
【0130】
[4−1]ハニカムセグメントの作製:
ハニカムセグメント原料として、SiC粉80質量%及び金属Si粉20質量%の混合粉末を使用し、この混合粉末100質量部に、造孔材を13質量部、分散媒を35質量部、有機バインダを6質量部、分散剤を0.5質量部、それぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製した。分散媒として水を使用し、造孔材としては平均粒子径10μmのでんぷんとアクリル酸系高分子樹脂の混合物を使用し、有機バインダとしてはヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用し、分散剤としてはエチレングリコールを使用した。次いで、セル形状が八角形セル−四角形セルが交互に形成される所定スリット幅の金型を用いて坏土を押出成形し、セル形状が八角形セル−四角形セルの所望寸法のハニカムセグメント形状を得た。
【0131】
[4−2]目封止ハニカムセグメントの作製:
ハニカムセグメントをマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させた後、ハニカムセグメントの一方の端面のセル開口部に、市松模様状(千鳥模様状)に交互にマスクを施し、マスクを施した側の端部を、前述のハニカムセグメン原料を含有する目封止スラリーに浸漬し、市松模様状に交互に配列された目封止部を形成した。その後、目封止部を形成したハニカム成形体を熱風乾燥機で乾燥し、更に、酸化雰囲気において550℃で、3時間程度で焼成(仮焼き)した。さらに、Ar不活性雰囲気で、焼成温度として1450℃の焼成温度にて2時間の焼成を行った。このようにして、セル密度46.5(個/cm)、隔壁の厚さ0.25mm、入口セルの形状が八角形で、その大きさが1.41mm、出口セルの形状が四角形で、その大きさが1.01mm、平均細孔径が14μm、気孔率41%からなる長さ152mm、一辺が36mmの四角柱状のハニカムセグメントAを用意した。このセグメント特性を表1に示す。
【0132】
また、同様に、セル密度46.5(個/cm)、隔壁の厚さ0.31mm、入口セルの形状が八角形で、その大きさが1.36mm、出口セルの形状が四角形で、その大きさが0.96mm、平均細孔径が14μm、気孔率41%からなるハニカムセグメントB、セル密度46.5(個/cm)、隔壁の厚さ0.25mm、入口セルの形状が八角形で、その大きさが1.41mm、出口セルの形状が四角形で、その大きさが1.01mm、平均細孔径が23μm、気孔率58%からなるハニカムセグメントC、セル密度46.5(個/cm)、隔壁の厚さ0.31mm、入口セルの形状が八角形で、その大きさが1.36mm、出口セルの形状が四角形で、その大きさが0.96mm、平均細孔径が23μm、気孔率58%からなるハニカムセグメントDを夫々予め用意した。ハニカムセグメントのセル形状は押出成形時の金型を変更することで、気孔率、細孔径は使用するSiC粒子の大きさや添加する造孔材の大きさ、添加量を適宜調整することにより、これらのハニカムセグメントを得た。これらのハニカムセグメント特性を表1に示す。
【0133】
なお、前述の「セル密度」、「入口セルの大きさ」、及び「出口セルの大きさ」については、画像解析装置(株式会社ニコン製、商品名「NEXIV VMR1515」)で、ハニカムセグメント断面を計測することで算出した。
【0134】
【表1】

【0135】
[5]PM捕集層のスラリーの調整:
PM捕集層を形成するスラリーの調整を行った。まず所定量の水に、骨材としてSiC(平均粒子径12μm)を0.65質量%、結合材としてコロイダルシリカ(固形分濃度40%の溶液)4.5質量%を加え、よく撹拌して捕集層形成用のスラリーIを調整する。同様に、骨材としてSiC(平均粒子径12μm)を1.30質量%、結合材としてコロイダルシリカ(固形分濃度40%の溶液)4.5質量%を加えて調整した捕集層形成用のスラリーII、骨材としてSiC(平均粒子径12μm)を2.60質量%、結合材としてコロイダルシリカ(固形分濃度40%の溶液)4.5質量%を加えて調整した捕集層形成用のスラリーIII、骨材としてSiC(平均粒子径15μm)を1.30質量%、結合材としてコロイダルシリカ(固形分濃度40%の溶液)5.1質量%を加えて調整した捕集層形成用のスラリーIV、骨材としてSiC(平均粒子径15μm)を1.30質量%、結合材としてコロイダルシリカ(固形分濃度40%の溶液)6.2質量%を加え、更にポリメタクリル酸メチル粒子(PMMA、平均粒子径5μm)を0.5質量%を加えて調整した捕集層形成用のスラリーIV、を夫々用意した。これらのPM捕集層を形成するために使用するスラリーI〜Vの調合割合を表2に示す。
【0136】
【表2】

【0137】
次に、前述のように予め容易したハニカムセグメントA〜Dと、PM捕集層を形成するためのスラリーI〜Vを用いて、以下のように実施例1〜12、比較例1〜4、参考例1〜4のハニカムフィルタを作製した。
【0138】
(実施例1)
まず、前述の(焼成後の)ハニカムセグメントAを4×4本使用して、そのハニカムセグメントの周面に、接合用スラリーを塗布し、互いに組み付けて圧着して、(乾燥前の)ハニカムセグメント接合体を得、熱風乾燥機で乾燥しハニカムセグメント接合体を硬化させて、全体形状が四角柱状の(乾燥後の)ハニカムセグメント接合体を得た。接合用スラリーは、無機粒子としてSiC粉末、酸化物繊維としてアルミノシリケート質繊維、コロイド状酸化物としてシリカゾル水溶液及び粘土を、それぞれ混合し、更に水を加えてミキサーにより30分間混合し、接合材層用スラリーを調製した。さらに、乾燥させたハニカムセグメント接合体を、所望の円柱形状に研削加工し、セグメント構造を有する円柱形状のハニカム構造体を形成した。その後、前述のハニカム構造体の隔壁の、排ガスの流入側セル(流入側の隔壁表層)に、前述のように予め用意したスラリーIIを用いて、入口セルの表層にPM捕集層の前駆体なる膜を形成した。その後、PM捕集層を形成したハニカム構造体を前述した乾燥手段で、同様に乾燥により硬化させた。さらに、乾燥させたPM捕集層を形成後のハニカム構造体の周面を、外周コート用スラリーで被覆し、乾燥により硬化させて、外周コート層を備えるφ144mm×152mmの円柱形状のハニカム構造体を形成し、前述と同様の乾燥手段によって、120℃、2時間で乾燥させた。外周コート用スラリーは、接合材層用スラリーと同じものを用いた。
【0139】
そして、乾燥させたハニカム構造体を、700℃、30分間の熱処理により硬化させて、φ144mm×152mmの円柱形状のハニカムフィルタを得た。
【0140】
そして、得られたハニカムフィルタに触媒を担持した。触媒スラリーは、Ptを担持したγ−Al触媒とCeO粉末(助触媒)にAlゾルと水を添加して調製した。次いで、触媒スラリーを、ウォッシュコートにより、白金成分がハニカムフィルタに対し1.06g/L、全触媒成分が30g/Lとなるように担持した。触媒の担持は、ハニカムフィルタの排ガス流出側の端面から触媒スラリーをセル(排ガス流出側のセル)内に流入させ、隔壁に多くの触媒が存在するよう担持した。そして、120℃の温度で乾燥後、更に500℃、3時間の熱処理を行うことにより、触媒を担持した実施例1のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが49μm、PM捕集層のピーク細孔径3.1μm、PM捕集層の気孔率48%、DPF質量1905gであり、各特性を表3に示した。
【0141】
(実施例2)
まず、前述の(焼成後の)ハニカムセグメントAの、排ガスの流入側セル(流入側の隔壁表層)に、前述のように予め用意したスラリーIIを用いて、入口セルの表層にPM捕集層の前駆体なる膜を形成した。その後、PM捕集層を形成したハニカム構造体を前述した乾燥手段で、同様に乾燥により硬化させた。さらに、乾燥させたPM捕集層を形成後のハニカムセグメントを、4×4本使用して、そのハニカムセグメントの周面に、接合用スラリーを塗布し、互いに組み付けて圧着して、(乾燥前の)ハニカムセグメント接合体を得、熱風乾燥機で乾燥しハニカムセグメント接合体を硬化させて、全体形状が四角柱状の(乾燥後の)ハニカムセグメント接合体を得る以外は実施例1と同様な方法にてハニカムフィルタを得た。
【0142】
得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが50μm、PM捕集層のピーク細孔径3.1μm、PM捕集層の気孔率48%、DPF質量1910gであり、各特性は表3に示した。
【0143】
(実施例3)
PM捕集層を形成するスラリー量を実施例1の1.5倍量とした以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例3のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが74μm、PM捕集層のピーク細孔径3.1μm、PM捕集層の気孔率48%、DPF質量1970gであり、各特性は表3に示した。
【0144】
(実施例4)
PM捕集層を形成するスラリーとしてスラリーIを使用する以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例4のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが25μm、PM捕集層のピーク細孔径3.1μm、PM捕集層の気孔率48%、DPF質量1850gであり、各特性は表3に示した。
【0145】
(実施例5)
PM捕集層を形成するスラリーとしてスラリーIIIを使用する以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例5のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが75μm、PM捕集層のピーク細孔径3.1μm、PM捕集層の気孔率48%、DPF質量1970gであり、各特性は表3に示した。
【0146】
(実施例6)
PM捕集層を形成するスラリーとしてスラリーIVを使用する以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例6のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが50μm、PM捕集層のピーク細孔径4.5μm、PM捕集層の気孔率60%、DPF質量1900gであり、各特性は表3に示した。
【0147】
(実施例7)
前述の(焼成後の)ハニカムセグメントBを使用する以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例7のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが50μm、PM捕集層のピーク細孔径3.1μm、PM捕集層の気孔率48%、DPF質量1910gであり、各特性は表3に示した。
【0148】
(実施例8)
前述の(焼成後の)ハニカムセグメントCを使用する以外は、実施例6と同様の方法によって、実施例8のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが49μm、PM捕集層のピーク細孔径4.6μm、PM捕集層の気孔率61%、DPF質量1625gであり、各特性は表3に示した。
【0149】
(実施例9)
前述の(焼成後の)ハニカムセグメントCを使用し、PM捕集層を形成するスラリーとしてスラリーIVを使用する以外する以外は、実施例2と同様の方法によって、実施例9のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが50μm、PM捕集層のピーク細孔径4.6μm、PM捕集層の気孔率61%、DPF質量1630gであり、各特性は表3に示した。
【0150】
(実施例10)
PM捕集層を形成するスラリー量を実施例8の1.5倍量とした以外は、実施例8と同様の方法によって、実施例10のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが75μm、PM捕集層のピーク細孔径4.6μm、PM捕集層の気孔率61%、DPF質量1675gであり、各特性は表3に示した。
【0151】
(実施例11)
PM捕集層を形成するスラリーとしてスラリーIIを使用する以外は、実施例8と同様の方法によって、実施例11のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが49μm、PM捕集層のピーク細孔径3.1μm、PM捕集層の気孔率48%、DPF質量1595gであり、各特性は表3に示した。
【0152】
(実施例12)
PM捕集層を形成するスラリーとしてスラリーVを使用する以外は、実施例8と同様の方法によって、実施例12のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが49μm、PM捕集層のピーク細孔径5.1μm、PM捕集層の気孔率68%、DPF質量1615gであり、各特性は表3に示した。
【0153】
(比較例1)
実施例1と同様に、前述の(焼成後の)ハニカムセグメントAを4×4本使用して、そのハニカムセグメントの周面に、接合用スラリーを塗布し、互いに組み付けて圧着して、(乾燥前の)ハニカムセグメント接合体を得、熱風乾燥機で乾燥しハニカムセグメント接合体を硬化させて、全体形状が四角柱状の(乾燥後の)ハニカムセグメント接合体を得た。接合用スラリーは、無機粒子としてSiC粉末、酸化物繊維としてアルミノシリケート質繊維、コロイド状酸化物としてシリカゾル水溶液及び粘土を、それぞれ混合し、更に水を加えてミキサーにより30分間混合し、接合材層用スラリーを調製した。さらに、乾燥させたハニカムセグメント接合体を、所望の円柱形状に研削加工し、セグメント構造を有する円柱形状のハニカム構造体を形成した。次に、加工後のハニカム構造体の周面を、外周コート用スラリーで被覆し、乾燥により硬化させて、外周コート層を備えるφ144mm×152mmの円柱形状のハニカム構造体を形成し、前述と同様の乾燥手段によって、120℃、2時間で乾燥させ、さらに、乾燥させたハニカム構造体を、700℃、30分間の熱処理により硬化させた。その後、前述のハニカム構造体の隔壁の、排ガスの流入側セル(流入側の隔壁表層)に、前述のように予め用意したスラリーIIを用いて、入口セルの表層にPM捕集層の前駆体なる膜を形成し、前述と同様の乾燥手段によって、120℃、2時間で乾燥させて、φ144mm×152mmの円柱形状のハニカムフィルタを得た。そして、得られたハニカムフィルタに実施例1と同様な方法で触媒を担持し、比較例1のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが49μm、PM捕集層のピーク細孔径5.1μm、PM捕集層の気孔率48%、DPF質量1905gであり、各特性を表3に示した。
【0154】
(比較例2)
PM捕集層を形成したφ144mm×152mmの円柱形状のハニカムフィルタを得た後、700℃、30分間の熱処理によりPM捕集層を硬化させる以外は、比較例1と同様の方法によって、比較例2のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが48μm、PM捕集層のピーク細孔径3.1μm、PM捕集層の気孔率48%、DPF質量1910gであり、各特性は表3に示した。
【0155】
(比較例3)
前述の(焼成後の)ハニカムセグメントCを使用し、PM捕集層を形成するスラリーとしてスラリーIVを使用する以外する以外は、比較例1と同様の方法によって、比較例3のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが51μm、PM捕集層のピーク細孔径4.6μm、PM捕集層の気孔率61%、DPF質量1630gであり、各特性は表3に示した。
【0156】
(比較例4)
PM捕集層を形成したφ144mm×152mmの円柱形状のハニカムフィルタを得た後、700℃、30分間の熱処理によりPM捕集層を硬化させる以外は、比較例3と同様の方法によって、比較例4のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、PM捕集層の厚さが48μm、PM捕集層のピーク細孔径4.5μm、PM捕集層の気孔率60%、DPF質量1625gであり、各特性は表3に示した。
【0157】
(参考例1)
実施例1と同様に、前述の(焼成後の)ハニカムセグメントBを4×4本使用して、そのハニカムセグメントの周面に、接合用スラリーを塗布し、互いに組み付けて圧着して、(乾燥前の)ハニカムセグメント接合体を得、熱風乾燥機で乾燥しハニカムセグメント接合体を硬化させて、全体形状が四角柱状の(乾燥後の)ハニカムセグメント接合体を得た。接合用スラリーは、無機粒子としてSiC粉末、酸化物繊維としてアルミノシリケート質繊維、コロイド状酸化物としてシリカゾル水溶液及び粘土を、それぞれ混合し、更に水を加えてミキサーにより30分間混合し、接合材層用スラリーを調製した。さらに、乾燥させたハニカムセグメント接合体を、所望の円柱形状に研削加工し、セグメント構造を有する円柱形状のハニカム構造体を形成した。次に、加工後のハニカム構造体の周面を、外周コート用スラリーで被覆し、乾燥により硬化させて、外周コート層を備えるφ144mm×152mmの円柱形状のハニカム構造体を形成し、前述と同様の乾燥手段によって、120℃、2時間で乾燥させ、さらに、乾燥させたハニカム構造体を、700℃、30分間の熱処理により硬化させφ144mm×152mmの円柱形状のハニカムフィルタを得た。このようにして、PM捕集層を形成せずに、DPF質量1910gからなる、参考例1のハニカムフィルタを得た。
【0158】
(参考例2)
前述の(焼成後の)ハニカムセグメントAを使用する以外は、参考例1と同様の方法によって、参考例2のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、DPF質量1625gであった。
【0159】
(参考例3)
前述の(焼成後の)ハニカムセグメントDを使用する以外は、参考例1と同様の方法によって、参考例3のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、DPF質量1630gであった。
【0160】
(参考例4)
前述の(焼成後の)ハニカムセグメントCを使用する以外は、参考例1と同様の方法によって、参考例4のハニカムフィルタを得た。得られたハニカムフィルタは、DPF質量1540gであった。
【0161】
以上のような工程により作製した、実施例1〜12、比較例1〜4、及び参考例1〜4のハニカムフィルタの特性を表3に示すとともに、前述の評価試験を行った結果を、表3に示す。
【0162】
【表3】

【0163】
(考察)
表3に示される結果より、実施例1〜10のハニカムフィルタは、捕集層強度を十分備え、PMの初期捕集効率が高く、初期圧力損失増加率が低く、PM堆積時の圧力損失が小さく、ヒステリシス特性が小さく、再生特性を十分備えるハニカムフィルタを実現でき、総合評価としても、性能、製造コスト、耐久性を備えるハニカムフィルタを実現でき、より優れたものであった。また、実施例11では、初期圧力損失増加率が若干高く、実施例1〜10と比較すれば性能面で劣るものではあるが、PM捕集層の強度を十分に備えながら製造コストの低減化を図れるハニカムフィルタを実現でき、優れたものであった。さらに、実施例12では、PM堆積時の圧力損失における、PM圧力損失低減率が低く、実施例1〜10と比較すれば性能面で劣るものではあるが、PM捕集層の強度等を十分に備えながら製造コストの低減化等を図れるハニカムフィルタを実現でき、優れたものであった。
【0164】
他方、比較例1、3では、PM捕集層を製膜した後に、乾燥工程のみで熱処理を施さなかったため、PM捕集層が強度不足となり、ヒステリシス特性及び、再生特性も共に悪いものであった。さらに、性能、耐久性の点でも十分でなく、実用性が難しいことが実証された。また、比較例2、4では、PM捕集層を製膜して乾燥させた後に、再び熱処理工程を行ったため、製造コストが増加し、価格競争力という点で実用性が乏しいことが裏づけられた。
【0165】
さらに、参考例1〜4では、PM捕集層を形成しないため、初期捕集効率、PM堆積時の圧力損失、ヒステリシス特性、及び再生特性が悪く、性能が劣ることが裏づけられた。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明に係るハニカムフィルタの製造方法は、本発明に係るハニカムフィルタを作製する手段として利用することが出来る。
【0167】
本発明に係るハニカムフィルタは、自動車用エンジン、建設機械用エンジン、産業機械用定置エンジン等の内燃機関、その他の燃焼機器等から排出される排気ガス中の粒子状物質を排気ガス中から除去するために利用することが出来る。
【符号の説明】
【0168】
1:ハニカムフィルタ、2a,2b:端面、3:セル、4:隔壁、10:目封止部、15a、15b:治具、15c:開閉弁、17:(PM捕集層用)スラリー、20:外周コート層(外周壁)、21:接合材層、24:PM捕集層(表層)、30:ハニカムセグメント接合材(加工後)、40:ハニカムセグメント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック原料を含有する成形原料を成形して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を備える複数のハニカムセグメントを作製し、さらに前記ハニカムセグメントを、接合材を介して接合一体化して成形した集合体としてハニカムフィルタを製造する方法であって、
前記ハニカムセグメントを接合一体化して成形し集合体とした後、前記集合体の外周を研削して外周加工体を形成し、
前記外周加工体の前記隔壁上にパティキュレート・マターを捕集する捕集層を形成し、
前記捕集層を乾燥させて乾燥体を得、
得られた前記乾燥体の外周に外周コートを塗布し、
さらに、前記外周コートの熱処理と同時に、前記隔壁に捕集層を結合させる処理工程を有するハニカムフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記セグメントを、接合材を介して接合一体化する前に、前記ハニカムセグメントの隔壁上に捕集層を形成し、前記捕集層を乾燥させて乾燥セグメント体を得、得られた乾燥セグメント体を接合し一体化した集合体とした後、前記集合体の外周を研削して外周加工体を形成し、その後、得られた前記外周加工体の外周に外周コートを塗布して、前記外周コートの熱処理と同時に、前記隔壁に捕集層を結合させる処理工程を有する請求項1に記載のハニカムフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記外周コートの熱処理温度が400〜800℃である請求項1又は2に記載のハニカムフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記セラミック原料が炭化珪素質からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の前記ハニカムフィルタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のハニカムフィルタの製造方法によってハニカムフィルタを作製した後、得られたハニカムフィルタに触媒を担持して製造する触媒担持フィルタの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のハニカムフィルタの製造方法によって作製したハニカムフィルタ。
【請求項7】
請求項5に記載の触媒担持フィルタの製造方法によって作製した触媒担持フィルタ。
【請求項8】
請求項6に記載のハニカムフィルタに触媒を担持させた触媒担持フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【公開番号】特開2010−214335(P2010−214335A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66617(P2009−66617)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】