ハニカム構造体の製造方法
【課題】原料収率を向上させ、製造コストを低減させることが可能なハニカム構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の四角柱状のハニカム焼成体を形成し、その中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に2等分又は4等分になるように切断して、四角柱状の分割四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面において、長方形の4箇所の角部に分割四角セグメント3が配置されるか、又は、当該長方形から4箇所の角部が取り除かれるとともに、4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせ、加圧して、ハニカムブロック体21を作製し、外周部分を研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【解決手段】複数の四角柱状のハニカム焼成体を形成し、その中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に2等分又は4等分になるように切断して、四角柱状の分割四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面において、長方形の4箇所の角部に分割四角セグメント3が配置されるか、又は、当該長方形から4箇所の角部が取り除かれるとともに、4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせ、加圧して、ハニカムブロック体21を作製し、外周部分を研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関し、さらに詳しくは、原料収率を向上させ、製造コストを低減させることが可能なハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして、耐熱性、耐食性に優れるセラミック製のハニカム構造体が採用されている。特に、近時では、ハニカム構造体は、両端面のセル開口部を交互に目封止して目封止ハニカム構造体とし、ディーゼル機関等から排出される粒子状物質(PM:パティキュレートマター)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)として盛んに用いられている。そして、高温、腐食性ガス雰囲気下で使用されるハニカム構造体の材料として、耐熱性、化学的安定性に優れた、炭化珪素(SiC)、コージェライト、チタン酸アルミニウム(AT)等が好適に用いられている。
【0003】
これらの材料の中で、炭化珪素は、熱膨張率が比較的大きいため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体は、体積の大きなものを形成すると使用時に熱衝撃により欠陥が生じることがある。また、捕集した粒子状物質を燃焼除去する際の熱衝撃により欠陥が生じることがある。更に、上記体積が大きいハニカム構造体を作製する場合、焼成時に内外温度差によるクラックが生じることがあるため、通常の何倍もの時間をかけて、ゆっくりと脱脂、焼成しなければならないという問題があった。そのため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体については、所定の大きさ以上のものを製造する場合、通常、複数の小さな四角柱状の目封止ハニカムセグメント(ハニカム構造体)を作製し、それらハニカムセグメントを接合して、一つの大きい接合体を作製し、その外周を粗加工、研削して円筒状等の所望の形状の目封止ハニカム構造体としている(特許文献1参照)。また、四角柱状のハニカムセグメントを接合して、一つの大きい四角柱状の接合体を作製する場合に、接合体の中心軸に直交する断面において4箇所の「角」に相当する部分(角部)に、三角柱状のハニカムセグメントを配置した接合体が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291054号公報
【特許文献2】特開2000−7455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法で、所望の形状のハニカム構造体を作製する場合、通常、複数の四角柱状のハニカムセグメントを接合して、1つの大きな四角柱状の接合体(ハニカムブロック体)を作製した後に、略所望の形状にするために外周を研削し、更に、最終的に所望の形状になるように外周を研削してハニカム構造体を形成する必要があった。尚、本明細書において、ハニカムブロック体の外周を研削するというときは、ハニカムブロック体の外周を削って所望の形状のハニカム構造体を作製する工程全体を意味し、ハニカムブロック体の粗加工、高精度に仕上げる加工等を全て含むものとする。ここで、ハニカム構造体としては、中心軸に直交する断面の形状が円形や楕円形の柱状のものが多く作製されている。この場合、四角柱状の接合体の外周を研削して当該断面形状を円形等にするため、四角柱状の接合体の中心軸に直交する断面における「角(かど)」の位置(角部)に配置されたハニカムセグメントのほとんどを削って除去する必要があった。そのため、原料収率が低いという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載のような、接合体の中心軸に直交する断面において「角」に相当する部分に、三角柱状のハニカムセグメントを配置した接合体を作製しようとすると、ハニカムセグメントを組み立てて接合体を作製するときに、接合体の外周側から内側に向かって加圧してハニカムセグメント同士を押圧しながら接着させる必要があるが、三角柱状のハニカムセグメントの部分に対しては加圧することが容易では無く、ハニカムセグメント同士の接着を十分に行うことが難しいという問題があった。また、側面側の三角セグメントを積み上げ設置することも容易ではなかった。
【0007】
四角柱状のハニカムセグメントを切断して三角柱状のハニカムセグメントを作製するときには、四角柱状のハニカムセグメントを切断する際に、切断される部分が切断面に沿って削り落とされることになるため、削り落とされる分だけ、三角柱状のハニカムセグメントの「セルの延びる方向に直交する断面」における辺の長さが短くなる。そのため、上記特許文献2に記載のように、接合体の中心軸に直交する断面において「角」に相当する部分に、三角柱状のハニカムセグメントを配置した接合体を作製した場合、当該接合体から円筒状のハニカム構造体を削り出そうとしたときに、当該三角柱状のハニカムセグメントの大きさが小さいために所望の大きさの円筒状のハニカム構造体を得られないことがある、という問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、原料収率を向上させ、製造コストを低減させることが可能なハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体の製造方法を提供する。
【0010】
[1] 成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体を複数個形成し、複数の前記ハニカム成形体を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体を形成し、複数の前記ハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断して、切断された前記四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍又は4倍の個数の、四角柱状の分割四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面において、複数の前記ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部が取り除かれた形状が形成されるとともに、前記ハニカム焼成体が取り除かれた前記4箇所の角部の位置に前記分割四角セグメントが配置されるか、又は、中心軸に直交する断面において、複数の前記ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部と前記4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分とがそれぞれ取り除かれた形状が形成されるとともに、前記ハニカム焼成体が取り除かれた前記8箇所の最外周を構成する部分に前記分割四角セグメントが配置されるようにして、前記四角柱状のハニカム焼成体と前記分割四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製し、前記ハニカムブロック体の外周部分を、全ての前記分割四角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【0011】
[2] 前記分割四角セグメントに、前記分割四角セグメントに貼り付けたときに中心軸に直交する断面の全体形状が前記ハニカム焼成体と同じ形状となるような補助部材を、貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、前記四角柱状のハニカム焼成体と前記擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面における前記長方形の4箇所の角部の位置に前記分割四角セグメントが配置されるか、又は、中心軸に直交する断面における前記8箇所の最外周を構成する部分に前記分割四角セグメントが配置された状態とし、前記最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製し、前記補助部材付きハニカムブロック体から前記補助部材を取り外して、前記ハニカムブロック体を作製する[1]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0012】
[3] 1個の前記ハニカム焼成体を、4等分するように切断して、前記分割四角セグメントを4個作製し、前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4箇所の角部に、分割四角セグメントがそれぞれ配置された形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する[1]又は[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0013】
[4] 4個の前記ハニカム焼成体を、それぞれを2等分するように切断して、前記分割四角セグメントを8個作製し、前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4箇所の角部に前記ハニカム焼成体及び前記分割四角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、前記4箇所の角部に隣接する8箇所の位置に前記8個の分割四角セグメントがそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体と分割四角セグメントとを組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する[1]又は[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0014】
[5] 前記四角柱状のハニカム焼成体が切断されて形成された前記分割四角セグメントの全てを、前記ハニカムブロック体の構成要素とする[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部が取り除かれた形状が形成されるとともに、ハニカム焼成体が取り除かれた当該4箇所の角部の位置に分割四角セグメントが配置されるか、又は、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部と当該4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の「最外周を構成する部分」とがそれぞれ取り除かれた形状が形成されるとともに、ハニカム焼成体が取り除かれた当該8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメントが配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体と分割四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製し、ハニカムブロック体の外周部分を、全ての分割四角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るため、外周部分を研削するときに研削除去される部分を少なくすることができ、原料収率を向上させることができる。
【0016】
本発明のハニカム構造体の製造方法の好ましい態様によれば、分割四角セグメントに、分割四角セグメントに貼り付けたときに中心軸に直交する断面の全体形状が前記ハニカム焼成体と同じ形状となるような補助部材を、貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、当該四角柱状のハニカム焼成体と擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体が取り除かれた「長方形の4箇所の角部」の位置に分割四角セグメントが配置されるか、又は、ハニカム焼成体が取り除かれた「8箇所の最外周を構成する部分」に分割四角セグメントが配置された状態とし、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製するため、補助部材付きハニカムブロック体を構成するセグメント(ハニカム焼成体及び擬似四角セグメント)が全て四角柱状になり、そのため、補助部材付きハニカムブロック体全体の形状も四角柱状になる。そのため、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧するときに、補助部材付きハニカムブロック体全体を均等に強く加圧することができ、強く接合された補助部材付きハニカムブロック体を作製することができる。これにより、接合状態の良好なハニカム構造体を得ることができる。さらに、上記のように形成した補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外し、ハニカムブロック体の外周を研削してハニカム構造体を作製するため、研削除去する部分が小さくなり、原料収率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム成形体を模式的に示した斜視図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム焼成体を模式的に示した斜視図である。
【図3】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体が、中心軸に平行に切断されることにより、2つの分割四角セグメントが形成された状態を模式的に示した斜視図である。
【図4】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した斜視図である。
【図5】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。
【図6】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体と分割四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【図7A】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において製造されるハニカム構造体を模式的に示した平面図である。
【図7B】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体、及び楕円形の研削パターンを示す平面図である。
【図8】ハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面が正方形になるように積層した状態を模式的に示す平面図である。
【図9】中心軸に直交する断面が正方形になるようにハニカム焼成体を積層した状態から、角部と角部に隣接する部分を除いた、「残りのハニカム焼成体が組み合わせられた形状」を模式的に示す平面図である。
【図10A】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、分割四角セグメントと、四角柱状の補助部材とを貼り付けて擬似四角セグメントを形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【図10B】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメントと、四角柱状の補助部材とを貼り付けて擬似四角セグメントを形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【図11】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体を模式的に示した斜視図である。
【図12】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。
【図13A】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【図13B】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体、四角柱状の擬似四角セグメント及び補助セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【図13C】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体、四角柱状の擬似四角セグメント及び補助セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【図14】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【図15】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【図16】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【図17】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメントと、補助部材とを貼り付ける前の状態を模式的に示した斜視図である。
【図18】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメントと、補助部材とを貼り付けて擬似四角セグメントを形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【図19】比較例1のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図20】比較例2のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図21】比較例3のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0019】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態は、図1〜図7Aに示すように、成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面1aから他方の端面1bまで延びる複数のセル1cを区画形成する隔壁1dを有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体1を複数個形成し、複数のハニカム成形体1を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体2を形成し、複数のハニカム焼成体2の中の少なくとも1個のハニカム焼成体2を、中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体2の個数に対して2倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ四角柱状の分割四角セグメント3を作製し、そして、中心軸に直交する断面において、複数のハニカム焼成体2によって、「長方形から4箇所の角部と4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分とがそれぞれ取り除かれた形状」が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた上記8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3を、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体21を作製し、ハニカムブロック体21の外周部分を、全ての分割四角セグメント3の一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体100を得るものである。ここで、「四角柱状」というときは、底面(中心軸に直交する断面)が四角の筒状を含むものとする。尚、図2に示すハニカム焼成体2には、目封止部が形成されている。
【0020】
ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム成形体1を模式的に示した斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム焼成体2を模式的に示した斜視図である。図3は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体2が、中心軸に平行に切断されることにより、2つの分割四角セグメント3が形成された状態を模式的に示した斜視図である。図4は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体21を模式的に示した斜視図である。図5は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体21の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。図6は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具31を用いて最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。図7Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において製造されるハニカム構造体100を模式的に示した平面図である。
【0021】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態によれば、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって、長方形から4箇所の角部と当該4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の「最外周を構成する部分」とがそれぞれ取り除かれた形状が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた当該8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3がそれぞれ配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせ、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体21を作製し、ハニカムブロック体21の外周部分を、全ての分割四角セグメント3の一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体100を得るため、外周部分を研削するときに研削除去される部分を少なくすることができ、原料収率を向上させることができる。以下、本実施形のハニカム構造体の製造方法について工程毎に説明する。
【0022】
(1)ハニカム成形体の作製:
まず、セラミック原料にバインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料とする。セラミック原料としては、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト化原料、コージェライト、ムライト、アルミナ、チタニア、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料が好ましい。尚、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミックス原料であって、焼成されてコージェライトになるものである。珪素−炭化珪素系複合材料とする場合、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末を混合したものをセラミック原料とする。セラミック原料の含有量は、成形原料全体に対して40〜90質量%であることが好ましい。
【0023】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、成形原料全体に対して3〜15質量%であることが好ましい。
【0024】
水の含有量は、成形原料全体に対して7〜45質量%であることが好ましい。
【0025】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して5質量%以下であることが好ましい。
【0026】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル、炭素等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して15質量%以下であることが好ましい。
【0027】
次に、成形原料を成形して、中心軸に直交する断面の形状が長方形の、四角柱状のハニカム成形体1を形成する。ハニカム成形体の個数は、作製するハニカム構造体の形状、大きさに合わせて適宜決定することができる。複数のハニカム成形体は、いずれも同じ形状であることが好ましい。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、17個のハニカム成形体を作製する。成形原料を成形する際には、まず、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。そして、坏土を押出成形して、図1に示すような、四角柱状のハニカム成形体1を形成する。ハニカム成形体1は、流体の流路となる一方の端面1aから他方の端面1bまで延びる複数のセル1cを区画形成する隔壁1dを有するものであり、中心軸に直交する(セルの延びる方向に直交する)断面が長方形の四角柱状である。ハニカム成形体1の中心軸に直交する断面の形状は正方形であることが好ましい。坏土を成形してハニカム成形体を形成する方法は特に制限されず、押出成形等の従来公知の成形法を用いることができる。所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形してハニカム成形体を形成する方法等を好適例として挙げることができる。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
【0028】
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させることが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜95質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。乾燥温度は、90〜180℃が好ましい。乾燥時間は1〜10時間が好ましい。
【0029】
次に、ハニカム成形体の中心軸方向長さ(セルの延びる方向における長さ)が、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、両頭丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。また、複数のハニカム成形体は、全てが同じ形状、同じ大きさであることが好ましい。
【0030】
次に、ハニカム成形体について、一方の端面における所定のセルの開口部と、他方の端面における残余のセルの開口部に目封止部を形成することが好ましい。目封止部を形成したハニカム成形体は、一方の端面側に目封止部が形成された所定のセルと、他方の端面側に目封止部が形成された残余のセルとが、交互に並び、両端面に市松模様が形成されることが好ましい。ハニカム成形体に目封止部を形成した場合は、得られるハニカム構造体が目封止ハニカム構造体となる。
【0031】
ハニカム成形体に目封止を施す方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。ハニカム成形体の一方の端面にシートを貼り付けた後、当該シートの目封止部を形成しようとするセルに対応した位置に孔を開ける。そして、目封止部の構成材料をスラリー化した目封止用スラリーに、ハニカム成形体の当該シートを貼り付けた端面を浸漬し、シートに開けた孔を通じて、目封止しようとするセルの開口端部内に目封止用スラリーを充填する。そして、ハニカム成形体の他方の端面については、一方の端面において目封止部を形成しなかったセルについて、上記一方の端面に目封止を施した方法と同様の方法で目封止部を形成する(目封止スラリーを充填する)。目封止部の構成材料としては、ハニカム成形体の材料と同じものを用いることが好ましい。目封止は、ハニカム成形体を焼成した後のハニカム焼成体に施してもよい。目封止をハニカム焼成体に施す場合は、目封止部を固化させ、隔壁と密着させるため、目封止を施した後に、必要に応じて熱処理、焼成等を行うことが好ましい。
【0032】
(2)ハニカム焼成体の作製:
次に、各ハニカム成形体を焼成して、図2に示すハニカム焼成体2を複数個得る。複数のハニカム焼成体は、いずれも同じ形状であることが好ましい。焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂(仮焼成)を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃を最高温度として、0.5〜20時間温度を保持して行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料の場合、焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1300〜1500℃の最高温度で、1〜10時間加熱保持することが好ましい。
【0033】
ハニカム焼成体の隔壁は、多孔質であることが好ましい。ハニカム焼成体の隔壁の開気孔率の下限値は30%であることが好ましく、35%であることが更に好ましい。ハニカム焼成体の隔壁の開気孔率の上限値は80%であることが好ましく、65%であることが更に好ましい。開気孔率の上限値及び下限値をこのような値とすることにより、強度を維持しながら圧力損失を小さくすることができる。開気孔率が30%未満であると、圧力損失が上昇することがある。開気孔率が80%を超えると、強度が低下するとともに、熱伝導率が低下することがある。開気孔率は、アルキメデス法により測定した値である。
【0034】
ハニカム焼成体の隔壁は、平均細孔径の下限値が5μmであることが好ましく、7μmであることが更に好ましい。また、平均細孔径の上限値が50μmであることが好ましく、35μmであることが更に好ましい。平均細孔径の上限値及び下限値をこのような値とすることにより、作製されるハニカム構造体をフィルターとして使用した場合に、粒子状物質(PM)を効果的に捕集することができる。平均細孔径が5μm未満であると、粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすくなることがある。平均細孔径が50μmを超えると、粒子状物質(PM)がフィルターに捕集されず通過することがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。例えば、島津製作所社製、商品名:ポロシメータ 型式9810を使用して測定することが出来る。
【0035】
ハニカム焼成体の隔壁の材質が炭化珪素である場合、炭化珪素粒子の平均粒径が5〜100μmであることが好ましい。このような平均粒径とすることより、フィルターを、好適な気孔率、気孔径に制御しやすいという利点がある。平均粒径が5μmより小さいと、気孔径が小さくなり過ぎ、100μmより大きいと気孔率が小さくなることがある。気孔径が小さ過ぎると粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすく、気孔率が小さすぎると圧力損失が上昇することがある。平均粒径は、JIS R 1629に準拠して測定した値である。
【0036】
ハニカム焼成体のセル形状(ハニカム焼成体の中心軸(セルが延びる方向)に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。目封止を設ける場合は、八角形と四角形との組み合わせも好適な一例である。ハニカム焼成体の隔壁の厚さは、50〜2000μmであることが好ましい。隔壁の厚さが50μmより薄いと、得られるハニカム構造体の強度が低下することがあり、2000μmより厚いと、圧力損失が大きくなることがある。ハニカム焼成体のセル密度は、特に制限されないが、0.9〜311セル/cm2であることが好ましく、7.8〜62セル/cm2であることが更に好ましい。
【0037】
ハニカム焼成体の大きさ(縦×横×長さ(中心軸方向長さ))は、30mm×30mm×80mm〜50mm×50mm×400mmが好ましい。
【0038】
また、得られるハニカム焼成体の熱膨張係数が、1×10−6/℃以上であることが好ましく、2×10−6〜7×10−6/℃であることが更に好ましい。本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、このような熱膨張係数の大きなセグメントを有するハニカム構造体であっても、耐熱衝撃性の高いハニカム構造体とすることが可能である。
【0039】
(3)分割四角セグメントの作製:
次に、得られた複数のハニカム焼成体2の中の少なくとも1個のハニカム焼成体2を、中心軸に平行に切断して、図3に示すような、切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ四角柱状の分割四角セグメント3を作製する。ここで、「ハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断する」というときは、図3に示すように、ハニカム焼成体を切断するときの切断面が中心軸に平行である(中心軸を含む)ことを意味する。また、「切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ四角柱状の分割四角セグメントを作製する」というときは、四角柱状のハニカム焼成体を切断することにより、1つの四角柱状のハニカム焼成体から2つの四角柱状の分割四角セグメントを形成し、形成された2つの四角柱状の分割四角セグメントの、中心軸に直交する断面の面積が同じであることを意味する。すなわち、1つの四角柱状のハニカム焼成体を切断した場合には、2つの同じ形状の分割四角セグメントが形成され、2つの四角柱状のハニカム焼成体を切断した場合には、4つの同じ形状の分割四角セグメントが形成されるのである。尚、「切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して4倍の個数」の場合は、1つの四角柱状のハニカム焼成体から4つの四角柱状の分割四角セグメントを形成し、形成された2つの四角柱状の分割四角セグメントの、中心軸に直交する断面の面積が同じであることを意味する。図3に示すように、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、4個の四角柱状のハニカム焼成体を切断して、8個の四角柱状の分割四角セグメントを作製している。そして、分割四角セグメントの、中心軸に直交する断面の形状は、台形である。
【0040】
四角柱状のハニカム焼成体を切断して、1つのハニカム焼成体につき、2つの四角柱状の分割四角セグメントを形成するときには、ダイヤモンド等の砥粒を付着させた円形又は線状のカッター刃を有する切断機を用いて、ハニカム焼成体の切断を行うことが好ましい。
【0041】
(4)ハニカムブロック体の作製(ハニカムブロック体作製工程):
次に、図4〜図6に示すように、中心軸に直交する断面において、複数のハニカム焼成体2によって、「長方形(正方形)から4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状」が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた上記8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体21を作製する。このとき、四角柱状のハニカム焼成体が切断されて形成された分割四角セグメント3の全てを、ハニカムブロック体21の構成要素とすることが好ましい。これにより、形成された分割四角セグメント3の全てがハニカムブロック体21の作製に使用されることになるため、無駄な分割四角セグメントが発生することがなく、原料収率が向上する。
【0042】
ここで、「中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって、長方形(正方形)から4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状が形成される」における「長方形(正方形)」は、図8に示すように、中心軸に直交する断面が長方形(正方形)になるように、複数のハニカム焼成体を積層した積層体25を想定したときの、積層体25の断面形状である長方形(正方形)を意味する。また、「(ハニカム焼成体2によって形成された長方形(正方形)における)4箇所の角部」とは、図8に示すように、中心軸に直交する断面が長方形(正方形)になるように、ハニカム焼成体を積層した積層体25を想定したときの、中心軸に直交する断面における4つの頂点を構成する4つの角部2aを意味する。従って、ハニカムブロック体は、上記4つの角部2aに相当する位置にハニカム焼成体及び分割四角セグメントのいずれもが存在しないように形成されている。また、「(ハニカム焼成体2によって形成された長方形(正方形)における)4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の「最外周を構成する部分」」とは、図8に示すように、中心軸に直交する断面が長方形(正方形)になるように、ハニカム焼成体を積層した積層体25を想定したときの、角部2aに隣接するとともに最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)2bを意味する。従って、ハニカムブロック体は、上記8箇所の「角部に隣接する部分」2bに相当する位置にハニカム焼成体が存在しないように形成されている。また、「ハニカム焼成体2が取り除かれた8箇所の「最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」に分割四角セグメント3が配置される」とは、図8に示す、上記8箇所の「角部に隣接する部分」2bに相当する位置に分割四角セグメントが配置されることを意味する。また、「長方形(正方形)から4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状」とは、図8に示す積層体25から、4つの角部2a及び8箇所の「角部に隣接する部分」2bを取り除いて形成される、図9に示すような、「残りのハニカム焼成体」2cにより形成された形状を意味する。図8は、ハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面が正方形になるように積層した状態を模式的に示す平面図である。図9は、中心軸に直交する断面が正方形になるようにハニカム焼成体を積層した状態から、角部と角部に隣接する部分を除いた、「残りのハニカム焼成体が組み合わせられた形状」を模式的に示す平面図である。
【0043】
従って、本実施形態のハニカム構造体の製造方法において、ハニカム構造体の製造過程において作製されるハニカムブロック体の形状は、図9に示される「残りのハニカム焼成体」2cによって形成される形状の、図8に示される8箇所の「角部に隣接する部分」に相当する位置に、それぞれ8個の分割四角セグメントが配置された形状である。
【0044】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法において、ハニカムブロック体を構成する分割四角セグメントは、中心軸に直交する断面の形状が、上底と下底とを結ぶ2つの辺の中の一方の辺のみと、上底及び下底とが直交する台形である。そして、分割四角セグメントは、中心軸に直交する断面において、2つの直角に挟まれた辺(上記、一方の辺)がハニカム焼成体に接するとともに、平行な二辺(上底及び下底)の中の短い方の辺(上底)が角部2a(図8参照)に相当する位置側を向くようにしてハニカム焼成体に接合されている。
【0045】
図4、図5に示すハニカムブロック体21は、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって、「5個×5個の正方形から4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状」が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた上記8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とが組み合わされた構造である。このようなハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)を「5×5構造(8/4)」と称する。これは、分割四角セグメントを8個作製し、中心軸に直交する断面において、13個のハニカム焼成体と8個の分割四角セグメントとを、全ての分割四角セグメントが最外周を構成するように組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製したものである。「5×5構造(8/4)」の中の「(8/4)」は、「4個」のハニカム焼成体が分割されて形成された分割四角セグメント「8個」を含むことを意味する。本実施形態のハニカム構造体の製造方法において、ハニカムブロック体21の構造は、「5×5構造(8/4)」に限定されるものではなく、「n×n構造(8/4)」(n:4以上の整数)であることが好ましく、「m×l構造(8/4)」(m:4以上の整数、l:mとは異なる4以上の整数)であることも好ましい。nは5以上が更に好ましい。更に具体的には、「4×4構造(8/4)」、「6×6構造(8/4)」、「7×7構造(8/4)」、「8×8構造(8/4)」、「4×5構造(8/4)」、「5×6構造(8/4)」、「6×7構造(8/4)」等を挙げることができる。
【0046】
また、分割四角セグメントの中心軸に直交する断面の形状は、「上底と下底とを結ぶ2つの辺の中の一方の辺のみと、上底及び下底とが直交する台形」に限定されず、例えば、図15に示されるハニカムブロック体22を構成する分割四角セグメント3aように「長方形」であってもよい。分割四角セグメントの中心軸に直交する断面の形状が長方形の場合、当該分割四角セグメントは、中心軸に直交する断面において、長方形の短辺が角部2a(図8参照)に相当する位置側を向くようにしてハニカム焼成体に接合されている。図15において、ハニカムブロック体22内に示される円形A(研削パターン)は、作製される円筒状のハニカム構造体の、中心軸に直交する断面における外周を示す。図15は、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。尚、図15においては、接合材は省略されている。
【0047】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においは、ハニカム構造体の製造過程において、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって「長方形(正方形)から、4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状」が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた上記8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3を組み合わせてハニカムブロック体を形成するが、本発明のハニカム構造体の製造方法におけるハニカムブロック体の作製方法は、これには限定されない。具体的には、図16に示すように、複数のハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して4倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ四角柱状の分割四角セグメント3bを作製し、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって、「長方形から4箇所の角部が取り除かれた形状」が形成されるとともに、ハニカム焼成体が取り除かれた4箇所の角部の位置に分割四角セグメント3bが配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3bとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製してもよい。図16において、ハニカムブロック体23内に示される円形B(研削パターン)は、作製される円筒状のハニカム構造体の外周を示す。図16は、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。尚、図16においては、接合材は省略されている。
【0048】
図16に示されるハニカムブロック体23は、1個のハニカム焼成体を分割して4個の分割四角セグメントを作製し、5個×5個積層された、中心軸に直交する断面形状が正方形のハニカム焼成体による積層体の4つの角部(正方形の頂点を構成する部分)が、それぞれ分割四角セグメントに置き換わった構造である。このようなハニカムブロック体23の構造(ブロック体構造)を「5×5構造(4/1)」と称する。「5×5構造(4/1)」の中の「(4/1)」は、「1個」のハニカム焼成体から形成された分割四角セグメント「4個」を含むことを意味する。この場合、分割四角セグメントの形状は、中心軸に直交する断面が正方形であることが好ましい。また、中心軸に直交する断面の形状が長方形(正方形)になるようにして複数のハニカム焼成体を積層した構造において、角部を分割四角セグメントに置き換えた構造のハニカムブロック体は、「5×5構造(4/1)」に限定されず、他の構造であってもよい。具体的には、「N×N構造(4/1)」(N:3以上の整数)であることが好ましく、「M×L構造(4/1)」(M:3以上の整数、L:Mとは異なる3以上の整数)であることも好ましい。いずれの構造も、中心軸に直交する断面において、長方形の4つの角部に分割四角セグメントがそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体と分割四角セグメントとを組み合わせた構造である。更に具体的には、「3×3構造(4/1)」、「4×4構造(4/1)」、「6×6構造(4/1)」、「7×7構造(4/1)」、「3×4構造(4/1)」、「4×5構造(4/1)」、「5×6構造(4/1)」、「6×7構造(4/1)」、「5×7構造(4/1)」等を挙げることができる。
【0049】
また、ハニカム焼成体と分割四角セグメントとを組み合わせてハニカムブロック体を形成する際には、ハニカム焼成体及び分割四角セグメントの、端面等の、接合材を塗布したくない部位に、予めマスキングテープを貼付することが好ましい。そして、マスキングテープを貼付したハニカム焼成体及び分割四角セグメントを接合材で接合しながら組み合わせて、加圧した後に、端面と側面に「はみ出した」スラリー状の接合材を、かき取り除去することが好ましい。ここで、「ハニカム焼成体及び分割四角セグメントを接合材で接合しながら組み合わせる」ときの「接合しながら」は、スラリー状の接合材の粘性により、ゆるく接合された状態を意味し、この段階ではまだ強固には接合されていない。
【0050】
接合材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子等の充填材に、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤、水等を加えて混練したスラリー等を挙げることができる。接合材を乾燥させたものが緩衝部14(図7A参照)となる。
【0051】
緩衝部14(図7A参照)の厚さは、下限値が0.3mmであることが好ましく、0.7mmであることが更に好ましい。上限値は、2.0mmであることが好ましく、1.5mmであることが更に好ましい。0.3mmより薄いと、ハニカム構造体に外部から力が加わったときに、セグメント15(はにかむ焼成体及び分割四角セグメントに由来する各部分を「セグメント」と称する)同士が接触することがある。2.0mmより厚いと、排ガス処理用のフィルター等として用いた時に圧力損失が大きくなることがある。
【0052】
図6に示すように、ハニカムブロック体21は、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせて、加圧治具31を用いて最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して作製することが好ましい。最外周を構成する全てのハニカム焼成体及び分割四角セグメントを加圧治具によって加圧することが好ましい。加圧するときの圧力は、0.1〜0.6Paが好ましい。加圧治具31としては、油圧、・空気圧又は電動シリンダにより、0.1〜0.6MPaの加圧力を各セグメントへ伝達できる鋼製ブロックを用いることが好ましい。
【0053】
ハニカムブロック体21を、上記加圧操作を行うことにより作製した後、80〜170℃で0.5〜2時間乾燥させて、接合材を硬化させて緩衝部とし、各セグメントが強固に接合された状態のハニカムブロック体とすることが好ましい。
【0054】
(5)ハニカム構造体の作製:
次に、図4に示されるようなハニカムブロック体21の外周部分を研削して、図7Aに示すようなハニカム構造体100を得る。ハニカムブロック体21の外周部分を研削する場合、全ての分割四角セグメント3の一部を研削するようにする。「全ての分割四角セグメントの一部を研削する」とは、ハニカムブロック体を構成する分割四角セグメントは、全てその一部が研削されていることを意味し、ハニカムブロック体を構成する分割四角セグメントの中で、全く研削されない分割四角セグメントはなく、且つ、研削されてなくなってしまう分割四角セグメントもないということを意味する。また、ハニカムブロック体を研削する場合におけるハニカムブロック体21の外周部分とは、ハニカムブロック体21の最外周を構成するハニカム焼成体及び分割四角セグメントのことであり、これには、「中心軸に直交する断面において1つの頂点のみが最外周に位置し、その他の部分は、ハニカムブロック体の内部に位置している」ハニカム焼成体が含まれる。
【0055】
また、ハニカムブロック体21を研削する際には、図7Bに示すような、楕円形の研削パターンXで、外周部分を研削してもよく、これにより、底面が楕円形の筒状のハニカム構造体を得ることができる。図7Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体、及び楕円形の研削パターンを示す平面図である。
【0056】
ハニカムブロック体21の外周部分を研削する方法は、特に限定されないが、ダイヤモンド砥粒等が埋め込まれた線状切断具を備えた切断機、切削機、研磨機等を用いて研削する方法が好ましい。
【0057】
作製されるハニカム構造体の形状は、特に限定されず、円筒形、中心軸に直交する断面の形状が楕円形の筒状体、中心軸に直交する断面の形状がレーストラック形状の筒状体、その他の形状等を挙げることができる。また、ハニカム構造体の大きさは、例えば、円筒形状の場合、底面の直径は、下限値が80mmであることが好ましく、140mmであることが更に好ましい。上限値は、400mmであることが好ましく、300mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造体の中心軸方向の長さは、下限値が80mmであることが好ましく、150mmであることが更に好ましい。上限値が400mmであることが好ましく、300mmであることが更に好ましい。
【0058】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態について説明する。
【0059】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、上記本発明のハニカム構造体の一の実施形態において、「(6)ハニカムブロック体作製工程」を以下に示すように変更したものである。つまり、「(6)ハニカムブロック体作製工程」を、図10A〜図14に示すように、分割四角セグメント3に、分割四角セグメント3に貼り付けたときに中心軸に直交する断面の全体形状がハニカム焼成体と同じ形状となるような補助部材4を、貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製し、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面における8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置された状態とし、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製し、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外して、ハニカムブロック体21を作製するようにしたものである。
【0060】
図10Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、分割四角セグメント3と、四角柱状の補助部材4とを貼り付けて擬似四角セグメント5を形成した状態を模式的に示した斜視図である。図11は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体11を模式的に示した斜視図である。図12は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体11の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。図13Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体2と四角柱状の擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具31を用いて最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。図14は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体21を模式的に示した平面図である。
【0061】
また、四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を組み合わせて加圧治具で加圧するときに、図13Bに示すように、四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を組み合わせ、更に、中心軸方向に直交する断面における4箇所の角部に相当する位置に四角柱状の補助セグメント6を配置することも好ましい態様である。これにより、より強固に四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を貼り付けることができる。補助セグメント6は、四角柱状のハニカム焼成体2と略同じ形状及び大きさであることが好ましい。また、補助セグメント6は、補助部材4と同じ材質であることが好ましい。図13Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体2、四角柱状の擬似四角セグメント5及び補助セグメント6を、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具31を用いて最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【0062】
また、この場合、四角柱状の補助セグメントは、接着剤等を用いずに配置してもよいし、取り外し容易な接着剤を用いて、擬似四角セグメントに貼り付けた状態で、配置してもよい。また、この場合の加圧方法としては、図13Cに示すような、2枚の板状部材が「L字状に」接合された(又は、1枚の板状部材が「L字状に」折り曲げられた)加圧治具32aと、「四角柱状のハニカム焼成体2、擬似四角セグメント5、及び四角柱状の補助セグメント6」を個別に押圧する加圧治具32とを併用して加圧する方法であってもよい。加圧治具32aは、2枚の板状部材の接合部分(1枚の板状部材の折り曲げ部分)に直交する断面が「L字状」であり、内側の面(擬似四角セグメント5等に当接する2つの面)がL字状に形成されている。加圧治具32aは、直交する内側の2つの面が、「四角柱状のハニカム焼成体2、四角柱状の擬似四角セグメント5、及び四角柱状の補助セグメント6」が組み合わされて形成された四角柱状の構造体の2つの側面に、当接するように配置される。そして、当該四角柱状の構造体の残りの2つの側面に加圧治具32を押し付けることにより、四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を貼り付ける。尚、加圧治具32aは、擬似四角セグメント5等に当接する2つの面(内側の面)が直交するように形成(L字状に形成)されていればよく、全体形状がL字状である必要はない。図13Cは、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体、四角柱状の擬似四角セグメント及び補助セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【0063】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法によれば、分割四角セグメント3に、分割四角セグメント3に貼り付けたときに中心軸に直交する断面の全体形状がハニカム焼成体と同じ形状となるような補助部材4を、貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製し、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面における8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置された状態とし、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製するため、補助部材付きハニカムブロック体11が、「四角柱状のハニカム焼成体2及び擬似四角セグメント5」によって構成されるようになる。そのため、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧するときに、補助部材付きハニカムブロック体11全体を均等に強く加圧することができ、より強く接合された補助部材付きハニカムブロック体11を作製することができる。これにより、接合状態の良好なハニカム構造体100を得ることができる。以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法における、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態とは異なる点について説明する。
【0064】
(ハニカムブロック体作製工程)
(I)擬似四角セグメントの作製:
分割四角セグメント3に、中心軸に直交する断面の形状が、分割四角セグメント3の中心軸に直交する断面の形状と同形状の四角柱状の補助部材4を、それぞれの中心軸に直交する断面における斜辺が対向するようにして貼り付けて、図10Aに示すような、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製する。尚、図15に示すような、中心軸に直交する断面の形状が長方形の分割四角セグメントを用いる場合、図10Bに示すような、四角柱状の擬似四角セグメント51を作製する。図10Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメントと、四角柱状の補助部材とを貼り付けて擬似四角セグメント51を形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【0065】
分割四角セグメント3と補助部材4との貼り付け方法は、特に限定されないが、製造工程において、分割四角セグメント3と補助部材4とが外れることがなく、且つ、擬似四角セグメントを、分割四角セグメント3と補助部材4とに分割するときには、容易に分割できることが好ましい。例えば、図10Aに示すような紐5aで結ぶ方法が好ましい。また、製造工程において、分割四角セグメント3と補助部材4とが外れることがなく、且つ、擬似四角セグメントを、分割四角セグメント3と補助部材4とに分割するときには、容易に分割できることができるような接着材によって貼り付けることが好ましい。また、磁力によって貼り付けたり、バネによって貼り付けたりすることもできる。また、紐5aで結ぶことによる貼り付けを行う場合、貼り付ける面に上記のような接着材を付けてもよい。紐5aによる貼り付けを行う場合、使用する「紐」としては、ゴム紐、木綿紐、合成紐、糸等を挙げることができる。図10Aに示すように、紐5aは、分割四角セグメント3と補助部材4とを接触させた状態で、2箇所配置することが好ましいが、3箇所又は4箇所であってもよい。紐5aの位置は、当該紐5aで結ぶことによって、分割四角セグメント3と補助部材4とが全体的に均等に押圧される位置であることが好ましい。紐5aは、太さが0.5〜1.5mmであることが好ましい。また、上記のような接着材としては、速乾性及び取り外しが容易なホットメルト系接着剤、合成ゴム製粘着材等を挙げることができる。
【0066】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、複数のハニカム焼成体を作製した後、これらのハニカム焼成体を組み立ててハニカムブロック体を形成するときに、通常、ハニカム焼成体を作製した場所から、ハニカムブロック体を形成する場所にハニカム焼成体を搬送(移動)させることになる。このようなハニカム焼成体の搬送は、コンベア等を用いて自動化されていることが好ましい。そして、四角柱状のハニカム焼成体をコンベア等で移動させる場合、底面(中心軸に直交する断面)が長方形(正方形)の柱状というハニカム焼成体の形状に合った「搬送用の部材」に、ハニカム焼成体を載置した状態で移動させるのが、移動途中で落下したりすることを防止できる点で好ましい。また、複数のハニカム焼成体が、いずれも同一形状の「底面が長方形(正方形)の柱状」であることにより、搬送した後、ハニカム焼成体を組み立てるときに効率的に作業を行うことができる。また、組み立ての作業を自動化する場合にも、ハニカム焼成体が同一形状であると、ハニカム焼成体を組み立て装置により把持して組み立てることが、より容易になる。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、複数の四角柱状のハニカム焼成体の一部を分割四角セグメントに加工し、四角柱状のハニカム焼成体とは異なる形状とするが、補助部材を貼り付けて擬似四角セグメントにして使用するため、搬送、組み立て時に、四角柱状のハニカム焼成体と同様に扱うことができ、効率的に、搬送及び組み立てを行うことができる。
【0067】
補助部材は、中心軸に直交する断面の形状が、分割四角セグメントの中心軸に直交する断面の形状と同形状の四角柱状である。補助部材は、一つの分割四角セグメントに1本だけ貼り付けてもよいし、短く形成して、長手方向に間隔を開けて複数本貼り付けてもよい。補助部材を一つの分割四角セグメントに1本だけ貼り付ける場合、補助部材の中心軸方向の長さは、分割四角セグメントの中心軸方向の長さの90〜100%であることが好ましく、100%であることが更に好ましい。また、補助部材を一つの分割四角セグメントに複数本貼り付ける場合、2〜3本貼り付けることが好ましく、2本貼り付けることが更に好ましい。一つの分割四角セグメントに補助部材を2本貼り付ける場合、各補助部材の中心軸方向の長さは、分割四角セグメントの中心軸方向の長さの20〜40%であることが好ましい。また、補助部材を一つの分割四角セグメントに複数本貼り付ける場合、擬似四角セグメントを搬送用の部材を用いて搬送する際に、搬送用の部材で支持される部分に補助部材が配置されていることが好ましく、また、ハニカムブロック体を作製する際に、押圧される位置に補助部材が配置されていることが好ましい。1本の補助部材は、一体的に形成されたものであってもよいし、複数の四角柱状の部材を着脱可能に繋いで1本の補助部材としたものであってもよい。
【0068】
補助部材の材質としては、金属、合成樹脂、ゴム、木材等を挙げることができる。金属としては、アルミニウム、ステンレス、又は真鍮が好ましい。これらの中でも、軽量であり、耐腐食性及び経済性に優れる点で、アルミニウムが好ましい。また、補助部材は、中心軸に直交する断面が中空となる構造でもよい。
【0069】
(II)補助部材付きハニカムブロック体の作製:
次に、図11〜図14に示すように、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面における「8箇所の最外周を構成する部分」に分割四角セグメント3が配置された状態とし、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製し、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外して、ハニカムブロック体21を作製する。補助部材付きハニカムブロック体は、補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成したときに、「中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって、長方形(正方形)から、4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた上記8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて形成したハニカムブロック体」と同じ形状となるように形成する。
【0070】
図13Aに示すように、補助部材付きハニカムブロック体11は、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせて、加圧治具32を用いて最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して作製することが好ましい。最外周を構成する全てのハニカム焼成体及び擬似四角セグメントを加圧治具32によって加圧することが好ましい。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とがいずれも底面が長方形(正方形)の四角柱状であるため、通常の、ハニカムセグメントを接合してハニカム構造体を製造する方法において使用される加圧治具を用いて、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを接合することができる。そのため、従来の、ハニカムセグメントを接合してハニカム構造体を製造する方法に使用する製造設備を用いて、補助部材付きハニカムブロック体11を作製することができるため、新しい設備を必要としない点で好ましい。加圧治具32としては、油圧、空圧又は電動シリンダにより、0.1〜0.6MPaの圧力を各セグメントへ伝達できる鋼製ブロックを用いることが好ましい。また、四角柱状のハニカム焼成体又は三角セグメントと接触する部位にはゴム等の弾性体を用いることが好ましい。
【0071】
(III)ハニカムブロック体の作製:
次に、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外して、図14に示すような、ハニカムブロック体21を作製する。分割四角セグメントと補助部材とを紐で接合している場合には、当該紐を切断して、抜き取ってから、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外すことが好ましい。
【0072】
ハニカムブロック体21は、80〜170℃で0.5〜2時間乾燥させて、接合材を硬化させて緩衝部とし、各セグメントが強固に接合された状態のハニカムブロック体とすることが好ましい。
【0073】
尚、本実施形態のハニカム構造体の製造方法における「ハニカムブロック体作製工程」は、上記(I)擬似四角セグメントの作製、(II)補助部材付きハニカムブロック体の作製及び(III)ハニカムブロック体の作製、において記載した内容以外については、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態における「(6)ハニカムブロック体作製工程」と同様であることが好ましい。
【0074】
また、「複数のハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して4倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ四角柱状の分割四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部が取り除かれた形状が形成されるとともに、ハニカム焼成体が取り除かれた4箇所の角部の位置に分割四角セグメントが配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体と分割四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製する」場合、上記分割四角セグメントに補助部材を貼り付けて擬似四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面における「4箇所の角部」の位置に分割四角セグメントが配置されるようにして、ハニカム焼成体と擬似四角セグメントとを組み合わせて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して補助部材付きハニカムブロック体を作製し、補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外してハニカムブロック体を作製してもよい。
【0075】
1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断して、中心軸に直交する断面において面積が等しい4個の分割四角セグメントを作製する場合、図17、図18に示すように、中心軸に直交する断面の形状が「L」字状の補助部材4aを、分割四角セグメント3bに貼り付けて、ハニカム焼成体と同じ形状の擬似四角セグメント6を作製することが好ましい。これにより、ハニカム焼成体とは異なる形状の分割四角セグメントを、ハニカム焼成体と同じ形状の擬似四角セグメントとして取り扱うことができるため、搬送、組み立て時に、四角柱状のハニカム焼成体と同様に扱うことができ、効率的に、搬送及び組み立てを行うことができる。図17は、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメント3bと、補助部材4aとを貼り付ける前の状態を模式的に示した斜視図である。図18は、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメント3bと、補助部材4aとを貼り付けて擬似四角セグメント6を形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0077】
(実施例1)
セラミックス原料として、SiC粉、金属Si粉を80:20の質量割合で混合し、これに、成形助材としてメチルセルロース及びヒドロキシプロポキシメチルセルロース、造孔材として澱粉と吸水性樹脂をそれぞれ混合し、界面活性剤及び水を添加して混練し、真空土練機により円柱状の坏土を作製した。
【0078】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いてハニカム形状に成形し、高周波誘電加熱乾燥をした後、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥し、両端面を所定量切断して、隔壁の厚さが310μm、セル密度が46.5セル/cm2(300セル/平方インチ)、底面が36mm×36mmの正方形で、長さが300mmの四角柱状のハニカム成形体を得た。ハニカム成形体は17本(個)作製した。
【0079】
得られたハニカム成形体について、隣接するセルが互いに反対側の端部で封じられ、両端面が市松模様状を呈するように、各セルの端部に目封止部を形成した。目封止用の充填材には、ハニカム成形体と同様の材料を用いた。目封止部の深さ(セルの延びる方向における深さ)は、6mmとした。目封止後、目封止ハニカム成形体を、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥した。
【0080】
その後、ハニカム成形体を、大気雰囲気にて脱臭装置付き大気炉に入れて、450℃まで約20時間かけて昇温し(特に、有機成分が分解する200〜300℃の範囲をゆっくりと昇温した)、その後450℃で5時間保持し、その後炉内で自然に5時間かけて100℃まで冷却して脱脂を行った(30時間脱脂)。その後、アルゴン不活性雰囲気にて約1450℃で24時間焼成(本焼成)して(昇温10時間、保持4時間、降温10時間)、SiC結晶粒子がSiで結合された、底面正方形の四角柱状のハニカム焼成体を得た。得られたハニカム焼成体は、底面が36mm×36mmの正方形で、長さが300mmであった。また、得られたハニカム焼成体は隔壁が多孔質であった。ハニカム焼成体の平均細孔径は13μmであり、気孔率は41%であった。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値であり、気孔率は、アルキメデス法により測定した値である。
【0081】
次に、17本のハニカム焼成体の中の4本(個)のハニカム焼成体を、それぞれ中心軸に平行に切断して、4個のハニカム焼成体から、面積が同じ8個の四角柱状の分割四角セグメントを作製した。ハニカム焼成体の切断は、ダイヤモンド砥粒付き円形刃の切断機を用いて行った。得られた分割四角セグメントは、いずれも、中心軸に直交する断面の形状が、上底の長さ11mm、下底の長さ25mmの台形であった。
【0082】
次に、13個のハニカム焼成体と8個の分割四角セグメントとを接合材で接合しながら組み合わせて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、図4に示すような「5×5構造(8/4)」のハニカムブロック体を作製した。
【0083】
接合材としては、SiC系モルタル接着材を用いた。また、四角柱状のハニカム焼成体と分割四角セグメントとを組み合わせて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧するときには、図6に示すような加圧治具31を用いて加圧した。加圧治具31としては、具体的には、炭素鋼のブロック体であって、セグメント接触部に合成ゴムが取り付けられたものを用いた。
【0084】
次に、ハニカムブロック体の外周部分を研削して、図7Aに示すような、円筒状のハニカム構造体100を作製した。得られたハニカム構造体は、8個の分割四角セグメントそれぞれの一部が含まれている。得られたハニカム構造体の底面の直径は、155mmであった。
【0085】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。
【0086】
【表1】
【0087】
(実施例2,3)
ブロック体構造及び成形体本数を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、ハニカム構造体を作製した。実施例2において作製されたハニカム構造体の底面の直径は、180mmであり、実施例3において作製されたハニカム構造体の底面の直径は205mmであった。
【0088】
(比較例1)
分割四角セグメントを作製せず、図19に示すハニカムブロック体41のように、実施例1において分割四角セグメントが配置されていた位置に四角柱状のハニカム焼成体41aを配置してハニカムブロック体を形成した以外は実施例1の場合と同様にして、ハニカム構造体を作製した。ハニカムブロック体の外周部分の研削は、研削パターンCに沿って行った。得られたハニカム構造体の底面の直径は、実施例1で得られたハニカム構造体の底面の直径と同じであった。図19は、比較例1のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体41を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0089】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。尚、分割四角セグメントを有さない状態のハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)は、「X×Y構造」(X,Yは整数)と示し、図19に示すハニカムブロック体41のように4箇所の角部にハニカム焼成体が配置されていない場合には、「X×Y構造(角部無し)」と示す。例えば、ブロック体構造「5×5構造」は、四角柱状のハニカム焼成体が「5×5個」並んだ、中心軸に直交する断面の形状が正方形のハニカムブロック体(図20参照)を示す。
【0090】
(比較例2,3)
比較例2,3においては、分割四角セグメントを作製せず、分割四角セグメントが配置されていた位置に四角柱状のハニカム焼成体を配置してハニカムブロック体を形成した以外は、それぞれ、実施例2,3の場合と同様にして、ハニカム構造体を作製した。例えば、比較例2では、図20に示すように、四角柱状のハニカム焼成体42aから構成された、中心軸に直交する断面の形状が正方形のハニカムブロック体42を形成した。そして、研削パターンDに沿ってハニカムブロック体の外周部分を研削してハニカム構造体を得た。得られたハニカム構造体の底面の直径は、実施例2で得られたハニカム構造体の底面の直径と同じであった。また、比較例3では、図21に示すように、四角柱状のハニカム焼成体43aから構成された、中心軸に直交する断面の形状が「正方形から四つの角部が取り除かれた形状」であるハニカムブロック体43を形成した。そして、研削パターンEに沿ってハニカムブロック体の外周部分を研削してハニカム構造体を得た。得られたハニカム構造体の底面の直径は、実施例3で得られたハニカム構造体の底面の直径と同じであった。図20は、比較例2のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体42を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。図21は、比較例3のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体43を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0091】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。
【0092】
表1より、実施例1〜3のハニカム構造体の製造方法は、分割四角セグメントを用いて、ハニカム構造体を作製しているため、ハニカム成形体の作製本数を少なくすることができ、原料収率を向上させることができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、自動車、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルターとして好適に利用することができるハニカム構造体を、製造するために利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1:ハニカム成形体、1a:一方の端面、1b:他方の端面、1c:セル、1d:隔壁、2:ハニカム焼成体、2a:角部、2b:角部に隣接する部分、2c:残りのハニカム焼成体、3,3a,3b:分割四角セグメント、4,4a:補助部材、5,6,51:擬似四角セグメント、5a:紐、6:補助セグメント、11:補助部材付きハニカムブロック体、12:最外周、13:接合材、14:緩衝部、15:セグメント、21,22,23:ハニカムブロック体、25:積層体、31,32,32a:加圧治具、41,42,43:ハニカムブロック体、41a,43a:ハニカム焼成体、100:ハニカム構造体、A,B,C,D,E,X:研削パターン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関し、さらに詳しくは、原料収率を向上させ、製造コストを低減させることが可能なハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルタとして、耐熱性、耐食性に優れるセラミック製のハニカム構造体が採用されている。特に、近時では、ハニカム構造体は、両端面のセル開口部を交互に目封止して目封止ハニカム構造体とし、ディーゼル機関等から排出される粒子状物質(PM:パティキュレートマター)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)として盛んに用いられている。そして、高温、腐食性ガス雰囲気下で使用されるハニカム構造体の材料として、耐熱性、化学的安定性に優れた、炭化珪素(SiC)、コージェライト、チタン酸アルミニウム(AT)等が好適に用いられている。
【0003】
これらの材料の中で、炭化珪素は、熱膨張率が比較的大きいため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体は、体積の大きなものを形成すると使用時に熱衝撃により欠陥が生じることがある。また、捕集した粒子状物質を燃焼除去する際の熱衝撃により欠陥が生じることがある。更に、上記体積が大きいハニカム構造体を作製する場合、焼成時に内外温度差によるクラックが生じることがあるため、通常の何倍もの時間をかけて、ゆっくりと脱脂、焼成しなければならないという問題があった。そのため、炭化珪素を骨材として形成されるハニカム構造体については、所定の大きさ以上のものを製造する場合、通常、複数の小さな四角柱状の目封止ハニカムセグメント(ハニカム構造体)を作製し、それらハニカムセグメントを接合して、一つの大きい接合体を作製し、その外周を粗加工、研削して円筒状等の所望の形状の目封止ハニカム構造体としている(特許文献1参照)。また、四角柱状のハニカムセグメントを接合して、一つの大きい四角柱状の接合体を作製する場合に、接合体の中心軸に直交する断面において4箇所の「角」に相当する部分(角部)に、三角柱状のハニカムセグメントを配置した接合体が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291054号公報
【特許文献2】特開2000−7455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法で、所望の形状のハニカム構造体を作製する場合、通常、複数の四角柱状のハニカムセグメントを接合して、1つの大きな四角柱状の接合体(ハニカムブロック体)を作製した後に、略所望の形状にするために外周を研削し、更に、最終的に所望の形状になるように外周を研削してハニカム構造体を形成する必要があった。尚、本明細書において、ハニカムブロック体の外周を研削するというときは、ハニカムブロック体の外周を削って所望の形状のハニカム構造体を作製する工程全体を意味し、ハニカムブロック体の粗加工、高精度に仕上げる加工等を全て含むものとする。ここで、ハニカム構造体としては、中心軸に直交する断面の形状が円形や楕円形の柱状のものが多く作製されている。この場合、四角柱状の接合体の外周を研削して当該断面形状を円形等にするため、四角柱状の接合体の中心軸に直交する断面における「角(かど)」の位置(角部)に配置されたハニカムセグメントのほとんどを削って除去する必要があった。そのため、原料収率が低いという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載のような、接合体の中心軸に直交する断面において「角」に相当する部分に、三角柱状のハニカムセグメントを配置した接合体を作製しようとすると、ハニカムセグメントを組み立てて接合体を作製するときに、接合体の外周側から内側に向かって加圧してハニカムセグメント同士を押圧しながら接着させる必要があるが、三角柱状のハニカムセグメントの部分に対しては加圧することが容易では無く、ハニカムセグメント同士の接着を十分に行うことが難しいという問題があった。また、側面側の三角セグメントを積み上げ設置することも容易ではなかった。
【0007】
四角柱状のハニカムセグメントを切断して三角柱状のハニカムセグメントを作製するときには、四角柱状のハニカムセグメントを切断する際に、切断される部分が切断面に沿って削り落とされることになるため、削り落とされる分だけ、三角柱状のハニカムセグメントの「セルの延びる方向に直交する断面」における辺の長さが短くなる。そのため、上記特許文献2に記載のように、接合体の中心軸に直交する断面において「角」に相当する部分に、三角柱状のハニカムセグメントを配置した接合体を作製した場合、当該接合体から円筒状のハニカム構造体を削り出そうとしたときに、当該三角柱状のハニカムセグメントの大きさが小さいために所望の大きさの円筒状のハニカム構造体を得られないことがある、という問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、原料収率を向上させ、製造コストを低減させることが可能なハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体の製造方法を提供する。
【0010】
[1] 成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体を複数個形成し、複数の前記ハニカム成形体を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体を形成し、複数の前記ハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断して、切断された前記四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍又は4倍の個数の、四角柱状の分割四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面において、複数の前記ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部が取り除かれた形状が形成されるとともに、前記ハニカム焼成体が取り除かれた前記4箇所の角部の位置に前記分割四角セグメントが配置されるか、又は、中心軸に直交する断面において、複数の前記ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部と前記4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分とがそれぞれ取り除かれた形状が形成されるとともに、前記ハニカム焼成体が取り除かれた前記8箇所の最外周を構成する部分に前記分割四角セグメントが配置されるようにして、前記四角柱状のハニカム焼成体と前記分割四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製し、前記ハニカムブロック体の外周部分を、全ての前記分割四角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【0011】
[2] 前記分割四角セグメントに、前記分割四角セグメントに貼り付けたときに中心軸に直交する断面の全体形状が前記ハニカム焼成体と同じ形状となるような補助部材を、貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、前記四角柱状のハニカム焼成体と前記擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面における前記長方形の4箇所の角部の位置に前記分割四角セグメントが配置されるか、又は、中心軸に直交する断面における前記8箇所の最外周を構成する部分に前記分割四角セグメントが配置された状態とし、前記最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製し、前記補助部材付きハニカムブロック体から前記補助部材を取り外して、前記ハニカムブロック体を作製する[1]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0012】
[3] 1個の前記ハニカム焼成体を、4等分するように切断して、前記分割四角セグメントを4個作製し、前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4箇所の角部に、分割四角セグメントがそれぞれ配置された形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する[1]又は[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0013】
[4] 4個の前記ハニカム焼成体を、それぞれを2等分するように切断して、前記分割四角セグメントを8個作製し、前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4箇所の角部に前記ハニカム焼成体及び前記分割四角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、前記4箇所の角部に隣接する8箇所の位置に前記8個の分割四角セグメントがそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体と分割四角セグメントとを組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する[1]又は[2]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0014】
[5] 前記四角柱状のハニカム焼成体が切断されて形成された前記分割四角セグメントの全てを、前記ハニカムブロック体の構成要素とする[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部が取り除かれた形状が形成されるとともに、ハニカム焼成体が取り除かれた当該4箇所の角部の位置に分割四角セグメントが配置されるか、又は、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部と当該4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の「最外周を構成する部分」とがそれぞれ取り除かれた形状が形成されるとともに、ハニカム焼成体が取り除かれた当該8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメントが配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体と分割四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製し、ハニカムブロック体の外周部分を、全ての分割四角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るため、外周部分を研削するときに研削除去される部分を少なくすることができ、原料収率を向上させることができる。
【0016】
本発明のハニカム構造体の製造方法の好ましい態様によれば、分割四角セグメントに、分割四角セグメントに貼り付けたときに中心軸に直交する断面の全体形状が前記ハニカム焼成体と同じ形状となるような補助部材を、貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、当該四角柱状のハニカム焼成体と擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体が取り除かれた「長方形の4箇所の角部」の位置に分割四角セグメントが配置されるか、又は、ハニカム焼成体が取り除かれた「8箇所の最外周を構成する部分」に分割四角セグメントが配置された状態とし、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製するため、補助部材付きハニカムブロック体を構成するセグメント(ハニカム焼成体及び擬似四角セグメント)が全て四角柱状になり、そのため、補助部材付きハニカムブロック体全体の形状も四角柱状になる。そのため、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧するときに、補助部材付きハニカムブロック体全体を均等に強く加圧することができ、強く接合された補助部材付きハニカムブロック体を作製することができる。これにより、接合状態の良好なハニカム構造体を得ることができる。さらに、上記のように形成した補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外し、ハニカムブロック体の外周を研削してハニカム構造体を作製するため、研削除去する部分が小さくなり、原料収率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム成形体を模式的に示した斜視図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム焼成体を模式的に示した斜視図である。
【図3】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体が、中心軸に平行に切断されることにより、2つの分割四角セグメントが形成された状態を模式的に示した斜視図である。
【図4】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した斜視図である。
【図5】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。
【図6】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体と分割四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【図7A】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において製造されるハニカム構造体を模式的に示した平面図である。
【図7B】本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体、及び楕円形の研削パターンを示す平面図である。
【図8】ハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面が正方形になるように積層した状態を模式的に示す平面図である。
【図9】中心軸に直交する断面が正方形になるようにハニカム焼成体を積層した状態から、角部と角部に隣接する部分を除いた、「残りのハニカム焼成体が組み合わせられた形状」を模式的に示す平面図である。
【図10A】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、分割四角セグメントと、四角柱状の補助部材とを貼り付けて擬似四角セグメントを形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【図10B】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメントと、四角柱状の補助部材とを貼り付けて擬似四角セグメントを形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【図11】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体を模式的に示した斜視図である。
【図12】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。
【図13A】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体と四角柱状の擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【図13B】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体、四角柱状の擬似四角セグメント及び補助セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【図13C】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体、四角柱状の擬似四角セグメント及び補助セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【図14】本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【図15】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【図16】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。
【図17】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメントと、補助部材とを貼り付ける前の状態を模式的に示した斜視図である。
【図18】本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメントと、補助部材とを貼り付けて擬似四角セグメントを形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【図19】比較例1のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図20】比較例2のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【図21】比較例3のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0019】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態は、図1〜図7Aに示すように、成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面1aから他方の端面1bまで延びる複数のセル1cを区画形成する隔壁1dを有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体1を複数個形成し、複数のハニカム成形体1を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体2を形成し、複数のハニカム焼成体2の中の少なくとも1個のハニカム焼成体2を、中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体2の個数に対して2倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ四角柱状の分割四角セグメント3を作製し、そして、中心軸に直交する断面において、複数のハニカム焼成体2によって、「長方形から4箇所の角部と4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分とがそれぞれ取り除かれた形状」が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた上記8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3を、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体21を作製し、ハニカムブロック体21の外周部分を、全ての分割四角セグメント3の一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体100を得るものである。ここで、「四角柱状」というときは、底面(中心軸に直交する断面)が四角の筒状を含むものとする。尚、図2に示すハニカム焼成体2には、目封止部が形成されている。
【0020】
ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム成形体1を模式的に示した斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される四角柱状のハニカム焼成体2を模式的に示した斜視図である。図3は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体2が、中心軸に平行に切断されることにより、2つの分割四角セグメント3が形成された状態を模式的に示した斜視図である。図4は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体21を模式的に示した斜視図である。図5は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体21の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。図6は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具31を用いて最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。図7Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において製造されるハニカム構造体100を模式的に示した平面図である。
【0021】
本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態によれば、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって、長方形から4箇所の角部と当該4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の「最外周を構成する部分」とがそれぞれ取り除かれた形状が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた当該8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3がそれぞれ配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせ、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体21を作製し、ハニカムブロック体21の外周部分を、全ての分割四角セグメント3の一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体100を得るため、外周部分を研削するときに研削除去される部分を少なくすることができ、原料収率を向上させることができる。以下、本実施形のハニカム構造体の製造方法について工程毎に説明する。
【0022】
(1)ハニカム成形体の作製:
まず、セラミック原料にバインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料とする。セラミック原料としては、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト化原料、コージェライト、ムライト、アルミナ、チタニア、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、鉄−クロム−アルミニウム系合金からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料が好ましい。尚、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミックス原料であって、焼成されてコージェライトになるものである。珪素−炭化珪素系複合材料とする場合、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末を混合したものをセラミック原料とする。セラミック原料の含有量は、成形原料全体に対して40〜90質量%であることが好ましい。
【0023】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、成形原料全体に対して3〜15質量%であることが好ましい。
【0024】
水の含有量は、成形原料全体に対して7〜45質量%であることが好ましい。
【0025】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、成形原料全体に対して5質量%以下であることが好ましい。
【0026】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル、炭素等を挙げることができる。造孔材の含有量は、成形原料全体に対して15質量%以下であることが好ましい。
【0027】
次に、成形原料を成形して、中心軸に直交する断面の形状が長方形の、四角柱状のハニカム成形体1を形成する。ハニカム成形体の個数は、作製するハニカム構造体の形状、大きさに合わせて適宜決定することができる。複数のハニカム成形体は、いずれも同じ形状であることが好ましい。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、17個のハニカム成形体を作製する。成形原料を成形する際には、まず、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。そして、坏土を押出成形して、図1に示すような、四角柱状のハニカム成形体1を形成する。ハニカム成形体1は、流体の流路となる一方の端面1aから他方の端面1bまで延びる複数のセル1cを区画形成する隔壁1dを有するものであり、中心軸に直交する(セルの延びる方向に直交する)断面が長方形の四角柱状である。ハニカム成形体1の中心軸に直交する断面の形状は正方形であることが好ましい。坏土を成形してハニカム成形体を形成する方法は特に制限されず、押出成形等の従来公知の成形法を用いることができる。所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形してハニカム成形体を形成する方法等を好適例として挙げることができる。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
【0028】
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させることが好ましい。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜95質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。乾燥温度は、90〜180℃が好ましい。乾燥時間は1〜10時間が好ましい。
【0029】
次に、ハニカム成形体の中心軸方向長さ(セルの延びる方向における長さ)が、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、両頭丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。また、複数のハニカム成形体は、全てが同じ形状、同じ大きさであることが好ましい。
【0030】
次に、ハニカム成形体について、一方の端面における所定のセルの開口部と、他方の端面における残余のセルの開口部に目封止部を形成することが好ましい。目封止部を形成したハニカム成形体は、一方の端面側に目封止部が形成された所定のセルと、他方の端面側に目封止部が形成された残余のセルとが、交互に並び、両端面に市松模様が形成されることが好ましい。ハニカム成形体に目封止部を形成した場合は、得られるハニカム構造体が目封止ハニカム構造体となる。
【0031】
ハニカム成形体に目封止を施す方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。ハニカム成形体の一方の端面にシートを貼り付けた後、当該シートの目封止部を形成しようとするセルに対応した位置に孔を開ける。そして、目封止部の構成材料をスラリー化した目封止用スラリーに、ハニカム成形体の当該シートを貼り付けた端面を浸漬し、シートに開けた孔を通じて、目封止しようとするセルの開口端部内に目封止用スラリーを充填する。そして、ハニカム成形体の他方の端面については、一方の端面において目封止部を形成しなかったセルについて、上記一方の端面に目封止を施した方法と同様の方法で目封止部を形成する(目封止スラリーを充填する)。目封止部の構成材料としては、ハニカム成形体の材料と同じものを用いることが好ましい。目封止は、ハニカム成形体を焼成した後のハニカム焼成体に施してもよい。目封止をハニカム焼成体に施す場合は、目封止部を固化させ、隔壁と密着させるため、目封止を施した後に、必要に応じて熱処理、焼成等を行うことが好ましい。
【0032】
(2)ハニカム焼成体の作製:
次に、各ハニカム成形体を焼成して、図2に示すハニカム焼成体2を複数個得る。複数のハニカム焼成体は、いずれも同じ形状であることが好ましい。焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂(仮焼成)を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃を最高温度として、0.5〜20時間温度を保持して行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。炭化珪素又は珪素−炭化珪素系複合材料の場合、焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1300〜1500℃の最高温度で、1〜10時間加熱保持することが好ましい。
【0033】
ハニカム焼成体の隔壁は、多孔質であることが好ましい。ハニカム焼成体の隔壁の開気孔率の下限値は30%であることが好ましく、35%であることが更に好ましい。ハニカム焼成体の隔壁の開気孔率の上限値は80%であることが好ましく、65%であることが更に好ましい。開気孔率の上限値及び下限値をこのような値とすることにより、強度を維持しながら圧力損失を小さくすることができる。開気孔率が30%未満であると、圧力損失が上昇することがある。開気孔率が80%を超えると、強度が低下するとともに、熱伝導率が低下することがある。開気孔率は、アルキメデス法により測定した値である。
【0034】
ハニカム焼成体の隔壁は、平均細孔径の下限値が5μmであることが好ましく、7μmであることが更に好ましい。また、平均細孔径の上限値が50μmであることが好ましく、35μmであることが更に好ましい。平均細孔径の上限値及び下限値をこのような値とすることにより、作製されるハニカム構造体をフィルターとして使用した場合に、粒子状物質(PM)を効果的に捕集することができる。平均細孔径が5μm未満であると、粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすくなることがある。平均細孔径が50μmを超えると、粒子状物質(PM)がフィルターに捕集されず通過することがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。例えば、島津製作所社製、商品名:ポロシメータ 型式9810を使用して測定することが出来る。
【0035】
ハニカム焼成体の隔壁の材質が炭化珪素である場合、炭化珪素粒子の平均粒径が5〜100μmであることが好ましい。このような平均粒径とすることより、フィルターを、好適な気孔率、気孔径に制御しやすいという利点がある。平均粒径が5μmより小さいと、気孔径が小さくなり過ぎ、100μmより大きいと気孔率が小さくなることがある。気孔径が小さ過ぎると粒子状物質(PM)により目詰まりを起こしやすく、気孔率が小さすぎると圧力損失が上昇することがある。平均粒径は、JIS R 1629に準拠して測定した値である。
【0036】
ハニカム焼成体のセル形状(ハニカム焼成体の中心軸(セルが延びる方向)に対して垂直な断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。目封止を設ける場合は、八角形と四角形との組み合わせも好適な一例である。ハニカム焼成体の隔壁の厚さは、50〜2000μmであることが好ましい。隔壁の厚さが50μmより薄いと、得られるハニカム構造体の強度が低下することがあり、2000μmより厚いと、圧力損失が大きくなることがある。ハニカム焼成体のセル密度は、特に制限されないが、0.9〜311セル/cm2であることが好ましく、7.8〜62セル/cm2であることが更に好ましい。
【0037】
ハニカム焼成体の大きさ(縦×横×長さ(中心軸方向長さ))は、30mm×30mm×80mm〜50mm×50mm×400mmが好ましい。
【0038】
また、得られるハニカム焼成体の熱膨張係数が、1×10−6/℃以上であることが好ましく、2×10−6〜7×10−6/℃であることが更に好ましい。本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、このような熱膨張係数の大きなセグメントを有するハニカム構造体であっても、耐熱衝撃性の高いハニカム構造体とすることが可能である。
【0039】
(3)分割四角セグメントの作製:
次に、得られた複数のハニカム焼成体2の中の少なくとも1個のハニカム焼成体2を、中心軸に平行に切断して、図3に示すような、切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ四角柱状の分割四角セグメント3を作製する。ここで、「ハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断する」というときは、図3に示すように、ハニカム焼成体を切断するときの切断面が中心軸に平行である(中心軸を含む)ことを意味する。また、「切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ四角柱状の分割四角セグメントを作製する」というときは、四角柱状のハニカム焼成体を切断することにより、1つの四角柱状のハニカム焼成体から2つの四角柱状の分割四角セグメントを形成し、形成された2つの四角柱状の分割四角セグメントの、中心軸に直交する断面の面積が同じであることを意味する。すなわち、1つの四角柱状のハニカム焼成体を切断した場合には、2つの同じ形状の分割四角セグメントが形成され、2つの四角柱状のハニカム焼成体を切断した場合には、4つの同じ形状の分割四角セグメントが形成されるのである。尚、「切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して4倍の個数」の場合は、1つの四角柱状のハニカム焼成体から4つの四角柱状の分割四角セグメントを形成し、形成された2つの四角柱状の分割四角セグメントの、中心軸に直交する断面の面積が同じであることを意味する。図3に示すように、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、4個の四角柱状のハニカム焼成体を切断して、8個の四角柱状の分割四角セグメントを作製している。そして、分割四角セグメントの、中心軸に直交する断面の形状は、台形である。
【0040】
四角柱状のハニカム焼成体を切断して、1つのハニカム焼成体につき、2つの四角柱状の分割四角セグメントを形成するときには、ダイヤモンド等の砥粒を付着させた円形又は線状のカッター刃を有する切断機を用いて、ハニカム焼成体の切断を行うことが好ましい。
【0041】
(4)ハニカムブロック体の作製(ハニカムブロック体作製工程):
次に、図4〜図6に示すように、中心軸に直交する断面において、複数のハニカム焼成体2によって、「長方形(正方形)から4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状」が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた上記8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体21を作製する。このとき、四角柱状のハニカム焼成体が切断されて形成された分割四角セグメント3の全てを、ハニカムブロック体21の構成要素とすることが好ましい。これにより、形成された分割四角セグメント3の全てがハニカムブロック体21の作製に使用されることになるため、無駄な分割四角セグメントが発生することがなく、原料収率が向上する。
【0042】
ここで、「中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって、長方形(正方形)から4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状が形成される」における「長方形(正方形)」は、図8に示すように、中心軸に直交する断面が長方形(正方形)になるように、複数のハニカム焼成体を積層した積層体25を想定したときの、積層体25の断面形状である長方形(正方形)を意味する。また、「(ハニカム焼成体2によって形成された長方形(正方形)における)4箇所の角部」とは、図8に示すように、中心軸に直交する断面が長方形(正方形)になるように、ハニカム焼成体を積層した積層体25を想定したときの、中心軸に直交する断面における4つの頂点を構成する4つの角部2aを意味する。従って、ハニカムブロック体は、上記4つの角部2aに相当する位置にハニカム焼成体及び分割四角セグメントのいずれもが存在しないように形成されている。また、「(ハニカム焼成体2によって形成された長方形(正方形)における)4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の「最外周を構成する部分」」とは、図8に示すように、中心軸に直交する断面が長方形(正方形)になるように、ハニカム焼成体を積層した積層体25を想定したときの、角部2aに隣接するとともに最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)2bを意味する。従って、ハニカムブロック体は、上記8箇所の「角部に隣接する部分」2bに相当する位置にハニカム焼成体が存在しないように形成されている。また、「ハニカム焼成体2が取り除かれた8箇所の「最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」に分割四角セグメント3が配置される」とは、図8に示す、上記8箇所の「角部に隣接する部分」2bに相当する位置に分割四角セグメントが配置されることを意味する。また、「長方形(正方形)から4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状」とは、図8に示す積層体25から、4つの角部2a及び8箇所の「角部に隣接する部分」2bを取り除いて形成される、図9に示すような、「残りのハニカム焼成体」2cにより形成された形状を意味する。図8は、ハニカム焼成体を、中心軸に直交する断面が正方形になるように積層した状態を模式的に示す平面図である。図9は、中心軸に直交する断面が正方形になるようにハニカム焼成体を積層した状態から、角部と角部に隣接する部分を除いた、「残りのハニカム焼成体が組み合わせられた形状」を模式的に示す平面図である。
【0043】
従って、本実施形態のハニカム構造体の製造方法において、ハニカム構造体の製造過程において作製されるハニカムブロック体の形状は、図9に示される「残りのハニカム焼成体」2cによって形成される形状の、図8に示される8箇所の「角部に隣接する部分」に相当する位置に、それぞれ8個の分割四角セグメントが配置された形状である。
【0044】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法において、ハニカムブロック体を構成する分割四角セグメントは、中心軸に直交する断面の形状が、上底と下底とを結ぶ2つの辺の中の一方の辺のみと、上底及び下底とが直交する台形である。そして、分割四角セグメントは、中心軸に直交する断面において、2つの直角に挟まれた辺(上記、一方の辺)がハニカム焼成体に接するとともに、平行な二辺(上底及び下底)の中の短い方の辺(上底)が角部2a(図8参照)に相当する位置側を向くようにしてハニカム焼成体に接合されている。
【0045】
図4、図5に示すハニカムブロック体21は、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって、「5個×5個の正方形から4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状」が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた上記8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とが組み合わされた構造である。このようなハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)を「5×5構造(8/4)」と称する。これは、分割四角セグメントを8個作製し、中心軸に直交する断面において、13個のハニカム焼成体と8個の分割四角セグメントとを、全ての分割四角セグメントが最外周を構成するように組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製したものである。「5×5構造(8/4)」の中の「(8/4)」は、「4個」のハニカム焼成体が分割されて形成された分割四角セグメント「8個」を含むことを意味する。本実施形態のハニカム構造体の製造方法において、ハニカムブロック体21の構造は、「5×5構造(8/4)」に限定されるものではなく、「n×n構造(8/4)」(n:4以上の整数)であることが好ましく、「m×l構造(8/4)」(m:4以上の整数、l:mとは異なる4以上の整数)であることも好ましい。nは5以上が更に好ましい。更に具体的には、「4×4構造(8/4)」、「6×6構造(8/4)」、「7×7構造(8/4)」、「8×8構造(8/4)」、「4×5構造(8/4)」、「5×6構造(8/4)」、「6×7構造(8/4)」等を挙げることができる。
【0046】
また、分割四角セグメントの中心軸に直交する断面の形状は、「上底と下底とを結ぶ2つの辺の中の一方の辺のみと、上底及び下底とが直交する台形」に限定されず、例えば、図15に示されるハニカムブロック体22を構成する分割四角セグメント3aように「長方形」であってもよい。分割四角セグメントの中心軸に直交する断面の形状が長方形の場合、当該分割四角セグメントは、中心軸に直交する断面において、長方形の短辺が角部2a(図8参照)に相当する位置側を向くようにしてハニカム焼成体に接合されている。図15において、ハニカムブロック体22内に示される円形A(研削パターン)は、作製される円筒状のハニカム構造体の、中心軸に直交する断面における外周を示す。図15は、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。尚、図15においては、接合材は省略されている。
【0047】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においは、ハニカム構造体の製造過程において、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって「長方形(正方形)から、4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状」が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた上記8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3を組み合わせてハニカムブロック体を形成するが、本発明のハニカム構造体の製造方法におけるハニカムブロック体の作製方法は、これには限定されない。具体的には、図16に示すように、複数のハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して4倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ四角柱状の分割四角セグメント3bを作製し、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって、「長方形から4箇所の角部が取り除かれた形状」が形成されるとともに、ハニカム焼成体が取り除かれた4箇所の角部の位置に分割四角セグメント3bが配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3bとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製してもよい。図16において、ハニカムブロック体23内に示される円形B(研削パターン)は、作製される円筒状のハニカム構造体の外周を示す。図16は、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体を模式的に示した平面図である。尚、図16においては、接合材は省略されている。
【0048】
図16に示されるハニカムブロック体23は、1個のハニカム焼成体を分割して4個の分割四角セグメントを作製し、5個×5個積層された、中心軸に直交する断面形状が正方形のハニカム焼成体による積層体の4つの角部(正方形の頂点を構成する部分)が、それぞれ分割四角セグメントに置き換わった構造である。このようなハニカムブロック体23の構造(ブロック体構造)を「5×5構造(4/1)」と称する。「5×5構造(4/1)」の中の「(4/1)」は、「1個」のハニカム焼成体から形成された分割四角セグメント「4個」を含むことを意味する。この場合、分割四角セグメントの形状は、中心軸に直交する断面が正方形であることが好ましい。また、中心軸に直交する断面の形状が長方形(正方形)になるようにして複数のハニカム焼成体を積層した構造において、角部を分割四角セグメントに置き換えた構造のハニカムブロック体は、「5×5構造(4/1)」に限定されず、他の構造であってもよい。具体的には、「N×N構造(4/1)」(N:3以上の整数)であることが好ましく、「M×L構造(4/1)」(M:3以上の整数、L:Mとは異なる3以上の整数)であることも好ましい。いずれの構造も、中心軸に直交する断面において、長方形の4つの角部に分割四角セグメントがそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体と分割四角セグメントとを組み合わせた構造である。更に具体的には、「3×3構造(4/1)」、「4×4構造(4/1)」、「6×6構造(4/1)」、「7×7構造(4/1)」、「3×4構造(4/1)」、「4×5構造(4/1)」、「5×6構造(4/1)」、「6×7構造(4/1)」、「5×7構造(4/1)」等を挙げることができる。
【0049】
また、ハニカム焼成体と分割四角セグメントとを組み合わせてハニカムブロック体を形成する際には、ハニカム焼成体及び分割四角セグメントの、端面等の、接合材を塗布したくない部位に、予めマスキングテープを貼付することが好ましい。そして、マスキングテープを貼付したハニカム焼成体及び分割四角セグメントを接合材で接合しながら組み合わせて、加圧した後に、端面と側面に「はみ出した」スラリー状の接合材を、かき取り除去することが好ましい。ここで、「ハニカム焼成体及び分割四角セグメントを接合材で接合しながら組み合わせる」ときの「接合しながら」は、スラリー状の接合材の粘性により、ゆるく接合された状態を意味し、この段階ではまだ強固には接合されていない。
【0050】
接合材としては、無機繊維、コロイダルシリカ、粘土、SiC粒子等の充填材に、有機バインダ、発泡樹脂、分散剤、水等を加えて混練したスラリー等を挙げることができる。接合材を乾燥させたものが緩衝部14(図7A参照)となる。
【0051】
緩衝部14(図7A参照)の厚さは、下限値が0.3mmであることが好ましく、0.7mmであることが更に好ましい。上限値は、2.0mmであることが好ましく、1.5mmであることが更に好ましい。0.3mmより薄いと、ハニカム構造体に外部から力が加わったときに、セグメント15(はにかむ焼成体及び分割四角セグメントに由来する各部分を「セグメント」と称する)同士が接触することがある。2.0mmより厚いと、排ガス処理用のフィルター等として用いた時に圧力損失が大きくなることがある。
【0052】
図6に示すように、ハニカムブロック体21は、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせて、加圧治具31を用いて最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して作製することが好ましい。最外周を構成する全てのハニカム焼成体及び分割四角セグメントを加圧治具によって加圧することが好ましい。加圧するときの圧力は、0.1〜0.6Paが好ましい。加圧治具31としては、油圧、・空気圧又は電動シリンダにより、0.1〜0.6MPaの加圧力を各セグメントへ伝達できる鋼製ブロックを用いることが好ましい。
【0053】
ハニカムブロック体21を、上記加圧操作を行うことにより作製した後、80〜170℃で0.5〜2時間乾燥させて、接合材を硬化させて緩衝部とし、各セグメントが強固に接合された状態のハニカムブロック体とすることが好ましい。
【0054】
(5)ハニカム構造体の作製:
次に、図4に示されるようなハニカムブロック体21の外周部分を研削して、図7Aに示すようなハニカム構造体100を得る。ハニカムブロック体21の外周部分を研削する場合、全ての分割四角セグメント3の一部を研削するようにする。「全ての分割四角セグメントの一部を研削する」とは、ハニカムブロック体を構成する分割四角セグメントは、全てその一部が研削されていることを意味し、ハニカムブロック体を構成する分割四角セグメントの中で、全く研削されない分割四角セグメントはなく、且つ、研削されてなくなってしまう分割四角セグメントもないということを意味する。また、ハニカムブロック体を研削する場合におけるハニカムブロック体21の外周部分とは、ハニカムブロック体21の最外周を構成するハニカム焼成体及び分割四角セグメントのことであり、これには、「中心軸に直交する断面において1つの頂点のみが最外周に位置し、その他の部分は、ハニカムブロック体の内部に位置している」ハニカム焼成体が含まれる。
【0055】
また、ハニカムブロック体21を研削する際には、図7Bに示すような、楕円形の研削パターンXで、外周部分を研削してもよく、これにより、底面が楕円形の筒状のハニカム構造体を得ることができる。図7Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体、及び楕円形の研削パターンを示す平面図である。
【0056】
ハニカムブロック体21の外周部分を研削する方法は、特に限定されないが、ダイヤモンド砥粒等が埋め込まれた線状切断具を備えた切断機、切削機、研磨機等を用いて研削する方法が好ましい。
【0057】
作製されるハニカム構造体の形状は、特に限定されず、円筒形、中心軸に直交する断面の形状が楕円形の筒状体、中心軸に直交する断面の形状がレーストラック形状の筒状体、その他の形状等を挙げることができる。また、ハニカム構造体の大きさは、例えば、円筒形状の場合、底面の直径は、下限値が80mmであることが好ましく、140mmであることが更に好ましい。上限値は、400mmであることが好ましく、300mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造体の中心軸方向の長さは、下限値が80mmであることが好ましく、150mmであることが更に好ましい。上限値が400mmであることが好ましく、300mmであることが更に好ましい。
【0058】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法の他の実施形態について説明する。
【0059】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、上記本発明のハニカム構造体の一の実施形態において、「(6)ハニカムブロック体作製工程」を以下に示すように変更したものである。つまり、「(6)ハニカムブロック体作製工程」を、図10A〜図14に示すように、分割四角セグメント3に、分割四角セグメント3に貼り付けたときに中心軸に直交する断面の全体形状がハニカム焼成体と同じ形状となるような補助部材4を、貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製し、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面における8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置された状態とし、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製し、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外して、ハニカムブロック体21を作製するようにしたものである。
【0060】
図10Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、分割四角セグメント3と、四角柱状の補助部材4とを貼り付けて擬似四角セグメント5を形成した状態を模式的に示した斜視図である。図11は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体11を模式的に示した斜視図である。図12は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成される補助部材付きハニカムブロック体11の、中心軸に直交する断面を示した模式図である。図13Aは、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体2と四角柱状の擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具31を用いて最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。図14は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態において、ハニカム構造体の製造過程で形成されるハニカムブロック体21を模式的に示した平面図である。
【0061】
また、四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を組み合わせて加圧治具で加圧するときに、図13Bに示すように、四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を組み合わせ、更に、中心軸方向に直交する断面における4箇所の角部に相当する位置に四角柱状の補助セグメント6を配置することも好ましい態様である。これにより、より強固に四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を貼り付けることができる。補助セグメント6は、四角柱状のハニカム焼成体2と略同じ形状及び大きさであることが好ましい。また、補助セグメント6は、補助部材4と同じ材質であることが好ましい。図13Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体2、四角柱状の擬似四角セグメント5及び補助セグメント6を、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具31を用いて最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【0062】
また、この場合、四角柱状の補助セグメントは、接着剤等を用いずに配置してもよいし、取り外し容易な接着剤を用いて、擬似四角セグメントに貼り付けた状態で、配置してもよい。また、この場合の加圧方法としては、図13Cに示すような、2枚の板状部材が「L字状に」接合された(又は、1枚の板状部材が「L字状に」折り曲げられた)加圧治具32aと、「四角柱状のハニカム焼成体2、擬似四角セグメント5、及び四角柱状の補助セグメント6」を個別に押圧する加圧治具32とを併用して加圧する方法であってもよい。加圧治具32aは、2枚の板状部材の接合部分(1枚の板状部材の折り曲げ部分)に直交する断面が「L字状」であり、内側の面(擬似四角セグメント5等に当接する2つの面)がL字状に形成されている。加圧治具32aは、直交する内側の2つの面が、「四角柱状のハニカム焼成体2、四角柱状の擬似四角セグメント5、及び四角柱状の補助セグメント6」が組み合わされて形成された四角柱状の構造体の2つの側面に、当接するように配置される。そして、当該四角柱状の構造体の残りの2つの側面に加圧治具32を押し付けることにより、四角柱状のハニカム焼成体2及び四角柱状の擬似四角セグメント5を貼り付ける。尚、加圧治具32aは、擬似四角セグメント5等に当接する2つの面(内側の面)が直交するように形成(L字状に形成)されていればよく、全体形状がL字状である必要はない。図13Cは、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、四角柱状のハニカム焼成体、四角柱状の擬似四角セグメント及び補助セグメントを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて、加圧治具を用いて最外周から内側に向かって締め付けるように加圧する状態を模式的に示した平面図である。
【0063】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法によれば、分割四角セグメント3に、分割四角セグメント3に貼り付けたときに中心軸に直交する断面の全体形状がハニカム焼成体と同じ形状となるような補助部材4を、貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製し、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面における8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置された状態とし、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製するため、補助部材付きハニカムブロック体11が、「四角柱状のハニカム焼成体2及び擬似四角セグメント5」によって構成されるようになる。そのため、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧するときに、補助部材付きハニカムブロック体11全体を均等に強く加圧することができ、より強く接合された補助部材付きハニカムブロック体11を作製することができる。これにより、接合状態の良好なハニカム構造体100を得ることができる。以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法における、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態とは異なる点について説明する。
【0064】
(ハニカムブロック体作製工程)
(I)擬似四角セグメントの作製:
分割四角セグメント3に、中心軸に直交する断面の形状が、分割四角セグメント3の中心軸に直交する断面の形状と同形状の四角柱状の補助部材4を、それぞれの中心軸に直交する断面における斜辺が対向するようにして貼り付けて、図10Aに示すような、四角柱状の擬似四角セグメント5を作製する。尚、図15に示すような、中心軸に直交する断面の形状が長方形の分割四角セグメントを用いる場合、図10Bに示すような、四角柱状の擬似四角セグメント51を作製する。図10Bは、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメントと、四角柱状の補助部材とを貼り付けて擬似四角セグメント51を形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【0065】
分割四角セグメント3と補助部材4との貼り付け方法は、特に限定されないが、製造工程において、分割四角セグメント3と補助部材4とが外れることがなく、且つ、擬似四角セグメントを、分割四角セグメント3と補助部材4とに分割するときには、容易に分割できることが好ましい。例えば、図10Aに示すような紐5aで結ぶ方法が好ましい。また、製造工程において、分割四角セグメント3と補助部材4とが外れることがなく、且つ、擬似四角セグメントを、分割四角セグメント3と補助部材4とに分割するときには、容易に分割できることができるような接着材によって貼り付けることが好ましい。また、磁力によって貼り付けたり、バネによって貼り付けたりすることもできる。また、紐5aで結ぶことによる貼り付けを行う場合、貼り付ける面に上記のような接着材を付けてもよい。紐5aによる貼り付けを行う場合、使用する「紐」としては、ゴム紐、木綿紐、合成紐、糸等を挙げることができる。図10Aに示すように、紐5aは、分割四角セグメント3と補助部材4とを接触させた状態で、2箇所配置することが好ましいが、3箇所又は4箇所であってもよい。紐5aの位置は、当該紐5aで結ぶことによって、分割四角セグメント3と補助部材4とが全体的に均等に押圧される位置であることが好ましい。紐5aは、太さが0.5〜1.5mmであることが好ましい。また、上記のような接着材としては、速乾性及び取り外しが容易なホットメルト系接着剤、合成ゴム製粘着材等を挙げることができる。
【0066】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、複数のハニカム焼成体を作製した後、これらのハニカム焼成体を組み立ててハニカムブロック体を形成するときに、通常、ハニカム焼成体を作製した場所から、ハニカムブロック体を形成する場所にハニカム焼成体を搬送(移動)させることになる。このようなハニカム焼成体の搬送は、コンベア等を用いて自動化されていることが好ましい。そして、四角柱状のハニカム焼成体をコンベア等で移動させる場合、底面(中心軸に直交する断面)が長方形(正方形)の柱状というハニカム焼成体の形状に合った「搬送用の部材」に、ハニカム焼成体を載置した状態で移動させるのが、移動途中で落下したりすることを防止できる点で好ましい。また、複数のハニカム焼成体が、いずれも同一形状の「底面が長方形(正方形)の柱状」であることにより、搬送した後、ハニカム焼成体を組み立てるときに効率的に作業を行うことができる。また、組み立ての作業を自動化する場合にも、ハニカム焼成体が同一形状であると、ハニカム焼成体を組み立て装置により把持して組み立てることが、より容易になる。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、複数の四角柱状のハニカム焼成体の一部を分割四角セグメントに加工し、四角柱状のハニカム焼成体とは異なる形状とするが、補助部材を貼り付けて擬似四角セグメントにして使用するため、搬送、組み立て時に、四角柱状のハニカム焼成体と同様に扱うことができ、効率的に、搬送及び組み立てを行うことができる。
【0067】
補助部材は、中心軸に直交する断面の形状が、分割四角セグメントの中心軸に直交する断面の形状と同形状の四角柱状である。補助部材は、一つの分割四角セグメントに1本だけ貼り付けてもよいし、短く形成して、長手方向に間隔を開けて複数本貼り付けてもよい。補助部材を一つの分割四角セグメントに1本だけ貼り付ける場合、補助部材の中心軸方向の長さは、分割四角セグメントの中心軸方向の長さの90〜100%であることが好ましく、100%であることが更に好ましい。また、補助部材を一つの分割四角セグメントに複数本貼り付ける場合、2〜3本貼り付けることが好ましく、2本貼り付けることが更に好ましい。一つの分割四角セグメントに補助部材を2本貼り付ける場合、各補助部材の中心軸方向の長さは、分割四角セグメントの中心軸方向の長さの20〜40%であることが好ましい。また、補助部材を一つの分割四角セグメントに複数本貼り付ける場合、擬似四角セグメントを搬送用の部材を用いて搬送する際に、搬送用の部材で支持される部分に補助部材が配置されていることが好ましく、また、ハニカムブロック体を作製する際に、押圧される位置に補助部材が配置されていることが好ましい。1本の補助部材は、一体的に形成されたものであってもよいし、複数の四角柱状の部材を着脱可能に繋いで1本の補助部材としたものであってもよい。
【0068】
補助部材の材質としては、金属、合成樹脂、ゴム、木材等を挙げることができる。金属としては、アルミニウム、ステンレス、又は真鍮が好ましい。これらの中でも、軽量であり、耐腐食性及び経済性に優れる点で、アルミニウムが好ましい。また、補助部材は、中心軸に直交する断面が中空となる構造でもよい。
【0069】
(II)補助部材付きハニカムブロック体の作製:
次に、図11〜図14に示すように、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面における「8箇所の最外周を構成する部分」に分割四角セグメント3が配置された状態とし、最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体11を作製し、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外して、ハニカムブロック体21を作製する。補助部材付きハニカムブロック体は、補助部材を取り外してハニカムブロック体を形成したときに、「中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体2によって、長方形(正方形)から、4箇所の角部と「4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分(角部に隣接する部分)」とがそれぞれ取り除かれた形状が形成されるとともに、ハニカム焼成体2が取り除かれた上記8箇所の最外周を構成する部分に分割四角セグメント3が配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体2と分割四角セグメント3とを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせて形成したハニカムブロック体」と同じ形状となるように形成する。
【0070】
図13Aに示すように、補助部材付きハニカムブロック体11は、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを、それぞれの側面同士を接合材13で接合しながら組み合わせて、加圧治具32を用いて最外周12から内側に向かって締め付けるように加圧して作製することが好ましい。最外周を構成する全てのハニカム焼成体及び擬似四角セグメントを加圧治具32によって加圧することが好ましい。本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とがいずれも底面が長方形(正方形)の四角柱状であるため、通常の、ハニカムセグメントを接合してハニカム構造体を製造する方法において使用される加圧治具を用いて、四角柱状のハニカム焼成体2と擬似四角セグメント5とを接合することができる。そのため、従来の、ハニカムセグメントを接合してハニカム構造体を製造する方法に使用する製造設備を用いて、補助部材付きハニカムブロック体11を作製することができるため、新しい設備を必要としない点で好ましい。加圧治具32としては、油圧、空圧又は電動シリンダにより、0.1〜0.6MPaの圧力を各セグメントへ伝達できる鋼製ブロックを用いることが好ましい。また、四角柱状のハニカム焼成体又は三角セグメントと接触する部位にはゴム等の弾性体を用いることが好ましい。
【0071】
(III)ハニカムブロック体の作製:
次に、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外して、図14に示すような、ハニカムブロック体21を作製する。分割四角セグメントと補助部材とを紐で接合している場合には、当該紐を切断して、抜き取ってから、補助部材付きハニカムブロック体11から補助部材4を取り外すことが好ましい。
【0072】
ハニカムブロック体21は、80〜170℃で0.5〜2時間乾燥させて、接合材を硬化させて緩衝部とし、各セグメントが強固に接合された状態のハニカムブロック体とすることが好ましい。
【0073】
尚、本実施形態のハニカム構造体の製造方法における「ハニカムブロック体作製工程」は、上記(I)擬似四角セグメントの作製、(II)補助部材付きハニカムブロック体の作製及び(III)ハニカムブロック体の作製、において記載した内容以外については、上記本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態における「(6)ハニカムブロック体作製工程」と同様であることが好ましい。
【0074】
また、「複数のハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断して、切断された四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して4倍の個数の、中心軸に直交する断面の面積が同じ四角柱状の分割四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面において、ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部が取り除かれた形状が形成されるとともに、ハニカム焼成体が取り除かれた4箇所の角部の位置に分割四角セグメントが配置されるようにして、四角柱状のハニカム焼成体と分割四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製する」場合、上記分割四角セグメントに補助部材を貼り付けて擬似四角セグメントを作製し、中心軸に直交する断面における「4箇所の角部」の位置に分割四角セグメントが配置されるようにして、ハニカム焼成体と擬似四角セグメントとを組み合わせて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して補助部材付きハニカムブロック体を作製し、補助部材付きハニカムブロック体から補助部材を取り外してハニカムブロック体を作製してもよい。
【0075】
1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断して、中心軸に直交する断面において面積が等しい4個の分割四角セグメントを作製する場合、図17、図18に示すように、中心軸に直交する断面の形状が「L」字状の補助部材4aを、分割四角セグメント3bに貼り付けて、ハニカム焼成体と同じ形状の擬似四角セグメント6を作製することが好ましい。これにより、ハニカム焼成体とは異なる形状の分割四角セグメントを、ハニカム焼成体と同じ形状の擬似四角セグメントとして取り扱うことができるため、搬送、組み立て時に、四角柱状のハニカム焼成体と同様に扱うことができ、効率的に、搬送及び組み立てを行うことができる。図17は、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメント3bと、補助部材4aとを貼り付ける前の状態を模式的に示した斜視図である。図18は、本発明のハニカム構造体の製造方法の更に他の実施形態において、分割四角セグメント3bと、補助部材4aとを貼り付けて擬似四角セグメント6を形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0077】
(実施例1)
セラミックス原料として、SiC粉、金属Si粉を80:20の質量割合で混合し、これに、成形助材としてメチルセルロース及びヒドロキシプロポキシメチルセルロース、造孔材として澱粉と吸水性樹脂をそれぞれ混合し、界面活性剤及び水を添加して混練し、真空土練機により円柱状の坏土を作製した。
【0078】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いてハニカム形状に成形し、高周波誘電加熱乾燥をした後、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥し、両端面を所定量切断して、隔壁の厚さが310μm、セル密度が46.5セル/cm2(300セル/平方インチ)、底面が36mm×36mmの正方形で、長さが300mmの四角柱状のハニカム成形体を得た。ハニカム成形体は17本(個)作製した。
【0079】
得られたハニカム成形体について、隣接するセルが互いに反対側の端部で封じられ、両端面が市松模様状を呈するように、各セルの端部に目封止部を形成した。目封止用の充填材には、ハニカム成形体と同様の材料を用いた。目封止部の深さ(セルの延びる方向における深さ)は、6mmとした。目封止後、目封止ハニカム成形体を、熱風乾燥機を用いて120℃で5時間乾燥した。
【0080】
その後、ハニカム成形体を、大気雰囲気にて脱臭装置付き大気炉に入れて、450℃まで約20時間かけて昇温し(特に、有機成分が分解する200〜300℃の範囲をゆっくりと昇温した)、その後450℃で5時間保持し、その後炉内で自然に5時間かけて100℃まで冷却して脱脂を行った(30時間脱脂)。その後、アルゴン不活性雰囲気にて約1450℃で24時間焼成(本焼成)して(昇温10時間、保持4時間、降温10時間)、SiC結晶粒子がSiで結合された、底面正方形の四角柱状のハニカム焼成体を得た。得られたハニカム焼成体は、底面が36mm×36mmの正方形で、長さが300mmであった。また、得られたハニカム焼成体は隔壁が多孔質であった。ハニカム焼成体の平均細孔径は13μmであり、気孔率は41%であった。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値であり、気孔率は、アルキメデス法により測定した値である。
【0081】
次に、17本のハニカム焼成体の中の4本(個)のハニカム焼成体を、それぞれ中心軸に平行に切断して、4個のハニカム焼成体から、面積が同じ8個の四角柱状の分割四角セグメントを作製した。ハニカム焼成体の切断は、ダイヤモンド砥粒付き円形刃の切断機を用いて行った。得られた分割四角セグメントは、いずれも、中心軸に直交する断面の形状が、上底の長さ11mm、下底の長さ25mmの台形であった。
【0082】
次に、13個のハニカム焼成体と8個の分割四角セグメントとを接合材で接合しながら組み合わせて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、図4に示すような「5×5構造(8/4)」のハニカムブロック体を作製した。
【0083】
接合材としては、SiC系モルタル接着材を用いた。また、四角柱状のハニカム焼成体と分割四角セグメントとを組み合わせて、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧するときには、図6に示すような加圧治具31を用いて加圧した。加圧治具31としては、具体的には、炭素鋼のブロック体であって、セグメント接触部に合成ゴムが取り付けられたものを用いた。
【0084】
次に、ハニカムブロック体の外周部分を研削して、図7Aに示すような、円筒状のハニカム構造体100を作製した。得られたハニカム構造体は、8個の分割四角セグメントそれぞれの一部が含まれている。得られたハニカム構造体の底面の直径は、155mmであった。
【0085】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。
【0086】
【表1】
【0087】
(実施例2,3)
ブロック体構造及び成形体本数を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、ハニカム構造体を作製した。実施例2において作製されたハニカム構造体の底面の直径は、180mmであり、実施例3において作製されたハニカム構造体の底面の直径は205mmであった。
【0088】
(比較例1)
分割四角セグメントを作製せず、図19に示すハニカムブロック体41のように、実施例1において分割四角セグメントが配置されていた位置に四角柱状のハニカム焼成体41aを配置してハニカムブロック体を形成した以外は実施例1の場合と同様にして、ハニカム構造体を作製した。ハニカムブロック体の外周部分の研削は、研削パターンCに沿って行った。得られたハニカム構造体の底面の直径は、実施例1で得られたハニカム構造体の底面の直径と同じであった。図19は、比較例1のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体41を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0089】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。尚、分割四角セグメントを有さない状態のハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)は、「X×Y構造」(X,Yは整数)と示し、図19に示すハニカムブロック体41のように4箇所の角部にハニカム焼成体が配置されていない場合には、「X×Y構造(角部無し)」と示す。例えば、ブロック体構造「5×5構造」は、四角柱状のハニカム焼成体が「5×5個」並んだ、中心軸に直交する断面の形状が正方形のハニカムブロック体(図20参照)を示す。
【0090】
(比較例2,3)
比較例2,3においては、分割四角セグメントを作製せず、分割四角セグメントが配置されていた位置に四角柱状のハニカム焼成体を配置してハニカムブロック体を形成した以外は、それぞれ、実施例2,3の場合と同様にして、ハニカム構造体を作製した。例えば、比較例2では、図20に示すように、四角柱状のハニカム焼成体42aから構成された、中心軸に直交する断面の形状が正方形のハニカムブロック体42を形成した。そして、研削パターンDに沿ってハニカムブロック体の外周部分を研削してハニカム構造体を得た。得られたハニカム構造体の底面の直径は、実施例2で得られたハニカム構造体の底面の直径と同じであった。また、比較例3では、図21に示すように、四角柱状のハニカム焼成体43aから構成された、中心軸に直交する断面の形状が「正方形から四つの角部が取り除かれた形状」であるハニカムブロック体43を形成した。そして、研削パターンEに沿ってハニカムブロック体の外周部分を研削してハニカム構造体を得た。得られたハニカム構造体の底面の直径は、実施例3で得られたハニカム構造体の底面の直径と同じであった。図20は、比較例2のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体42を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。図21は、比較例3のハニカム構造体の製造方法においてハニカム構造体の製造過程で作製されたハニカムブロック体43を示す、中心軸に直交する断面を示す模式図である。
【0091】
ハニカムブロック体の構造(ブロック体構造)及び作製したハニカム成形体の本数(成形体本数)を表1に示した。
【0092】
表1より、実施例1〜3のハニカム構造体の製造方法は、分割四角セグメントを用いて、ハニカム構造体を作製しているため、ハニカム成形体の作製本数を少なくすることができ、原料収率を向上させることができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、自動車、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、環境対策や特定物資の回収等のために使用される触媒装置用の担体、又はフィルターとして好適に利用することができるハニカム構造体を、製造するために利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1:ハニカム成形体、1a:一方の端面、1b:他方の端面、1c:セル、1d:隔壁、2:ハニカム焼成体、2a:角部、2b:角部に隣接する部分、2c:残りのハニカム焼成体、3,3a,3b:分割四角セグメント、4,4a:補助部材、5,6,51:擬似四角セグメント、5a:紐、6:補助セグメント、11:補助部材付きハニカムブロック体、12:最外周、13:接合材、14:緩衝部、15:セグメント、21,22,23:ハニカムブロック体、25:積層体、31,32,32a:加圧治具、41,42,43:ハニカムブロック体、41a,43a:ハニカム焼成体、100:ハニカム構造体、A,B,C,D,E,X:研削パターン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体を複数個形成し、
複数の前記ハニカム成形体を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体を形成し、
複数の前記ハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断して、切断された前記四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍又は4倍の個数の、四角柱状の分割四角セグメントを作製し、
中心軸に直交する断面において、複数の前記ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部が取り除かれた形状が形成されるとともに、前記ハニカム焼成体が取り除かれた前記4箇所の角部の位置に前記分割四角セグメントが配置されるか、又は、中心軸に直交する断面において、複数の前記ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部と前記4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分とがそれぞれ取り除かれた形状が形成されるとともに、前記ハニカム焼成体が取り除かれた前記8箇所の最外周を構成する部分に前記分割四角セグメントが配置されるようにして、前記四角柱状のハニカム焼成体と前記分割四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製し、
前記ハニカムブロック体の外周部分を、全ての前記分割四角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記分割四角セグメントに、前記分割四角セグメントに貼り付けたときに中心軸に直交する断面の全体形状が前記ハニカム焼成体と同じ形状となるような補助部材を、貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、
前記四角柱状のハニカム焼成体と前記擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面における前記長方形の4箇所の角部の位置に前記分割四角セグメントが配置されるか、又は、中心軸に直交する断面における前記8箇所の最外周を構成する部分に前記分割四角セグメントが配置された状態とし、前記最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製し、
前記補助部材付きハニカムブロック体から前記補助部材を取り外して、前記ハニカムブロック体を作製する請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
1個の前記ハニカム焼成体を、4等分するように切断して、前記分割四角セグメントを4個作製し、
前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4箇所の角部に、分割四角セグメントがそれぞれ配置された形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
4個の前記ハニカム焼成体を、それぞれを2等分するように切断して、前記分割四角セグメントを8個作製し、
前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4箇所の角部に前記ハニカム焼成体及び前記分割四角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、前記4箇所の角部に隣接する8箇所の位置に前記8個の分割四角セグメントがそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体と分割四角セグメントとを組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記四角柱状のハニカム焼成体が切断されて形成された前記分割四角セグメントの全てを、前記ハニカムブロック体の構成要素とする請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項1】
成形原料を成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する、中心軸に直交する断面が長方形の四角柱状のハニカム成形体を複数個形成し、
複数の前記ハニカム成形体を焼成して、複数の四角柱状のハニカム焼成体を形成し、
複数の前記ハニカム焼成体の中の少なくとも1個のハニカム焼成体を、中心軸に平行に切断して、切断された前記四角柱状のハニカム焼成体の個数に対して2倍又は4倍の個数の、四角柱状の分割四角セグメントを作製し、
中心軸に直交する断面において、複数の前記ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部が取り除かれた形状が形成されるとともに、前記ハニカム焼成体が取り除かれた前記4箇所の角部の位置に前記分割四角セグメントが配置されるか、又は、中心軸に直交する断面において、複数の前記ハニカム焼成体によって、長方形から4箇所の角部と前記4箇所の角部にそれぞれ隣接する8箇所の最外周を構成する部分とがそれぞれ取り除かれた形状が形成されるとともに、前記ハニカム焼成体が取り除かれた前記8箇所の最外周を構成する部分に前記分割四角セグメントが配置されるようにして、前記四角柱状のハニカム焼成体と前記分割四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせ、最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、ハニカムブロック体を作製し、
前記ハニカムブロック体の外周部分を、全ての前記分割四角セグメントの一部を研削するようにして、研削してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記分割四角セグメントに、前記分割四角セグメントに貼り付けたときに中心軸に直交する断面の全体形状が前記ハニカム焼成体と同じ形状となるような補助部材を、貼り付けて、四角柱状の擬似四角セグメントを作製し、
前記四角柱状のハニカム焼成体と前記擬似四角セグメントとを、それぞれの側面同士を接合材で接合しながら組み合わせることにより、中心軸に直交する断面における前記長方形の4箇所の角部の位置に前記分割四角セグメントが配置されるか、又は、中心軸に直交する断面における前記8箇所の最外周を構成する部分に前記分割四角セグメントが配置された状態とし、前記最外周から内側に向かって締め付けるように加圧して、補助部材付きハニカムブロック体を作製し、
前記補助部材付きハニカムブロック体から前記補助部材を取り外して、前記ハニカムブロック体を作製する請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
1個の前記ハニカム焼成体を、4等分するように切断して、前記分割四角セグメントを4個作製し、
前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4箇所の角部に、分割四角セグメントがそれぞれ配置された形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
4個の前記ハニカム焼成体を、それぞれを2等分するように切断して、前記分割四角セグメントを8個作製し、
前記ハニカムブロック体の全体形状が、中心軸に直交する断面において、長方形の4箇所の角部に前記ハニカム焼成体及び前記分割四角セグメントのいずれもが配置されておらず、且つ、前記4箇所の角部に隣接する8箇所の位置に前記8個の分割四角セグメントがそれぞれ配置されるように、ハニカム焼成体と分割四角セグメントとを組み合わせた形状になるようにして、ハニカムブロック体を作製する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記四角柱状のハニカム焼成体が切断されて形成された前記分割四角セグメントの全てを、前記ハニカムブロック体の構成要素とする請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−212512(P2011−212512A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80365(P2010−80365)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
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