説明

ハンズフリー通話装置

【課題】移動電話機に記録されている電話帳データを、当該電話帳データの完全な形態での利用を担保しつつ、よりすみやかに利用可能とする「ハンズフリー通話装置」を提供する。
【解決手段】ハンズフリー通話装置10は、接続された移動電話機20が、GSM-ATに対応している場合には、まず、GSM-ATを用いて、移動電話機20の電話帳データに登録されている各連絡先の名前と電話番号部分を読み込む。そして、その後に、接続された移動電話機20がPBAPに対応している場合にはPBAPを用いて、接続された移動電話機20がPBAPに対応しておらずSyncMLに対応している場合にはSyncMLを用いて、移動電話機20の電話帳データに登録されている各連絡先の全ての項目の内容を読み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動電話機を用いてハンズフリー通話機能を提供するハンズフリー通話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動電話機を用いたユーザの通話形態としてハンズフリー通話と呼ばれる形態がある。
ハンズフリー通話とは、電話機を用いた通話を、送話音声の入力と受話音声の出力に電話機外部のマイクとスピーカを用いて行うものである。ここで、受話音声を放射するスピーカと、送話音声をピックアップするマイクを備え、以上のようなハンズフリー通話の機能を移動電話機(「携帯電話」とも呼称される)に付加する装置はハンズフリー通話装置と呼ばれており、主として、自動車内に設置され、運転中のユーザが、移動電話機を用いたハンズフリー通話を行えるようにするために用いられている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、無線PANの一種であるBluetooth(登録商標)によって移動電話機に接続するハンズフリー通話装置において、接続した移動電話機から、移動電話機に記録されている電話帳データにアクセスするための規格であるPBAP(Phone Book Access Profile)を用いて移動電話機に記録されている電話帳データを自動的に読み込んで、ハンズフリー通話装置において利用可能とする技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-52886号公報
【特許文献2】特開2008-98767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動電話機から、PBAPを用いて移動電話機に記録されている電話帳データを自動的にハンズフリー通話装置に読み込む技術によれば、電話帳データの自動読込を完了するまでに要する時間が比較的長く、ハンズフリー通話装置において移動電話機に記録されている電話帳データを利用可能となるまでに長期間を要してしまうという問題がある。
【0006】
一方で、移動電話機の電話機能にアクセスするための規格であるHFP(Hands-Free Profile)上で移動電話機に記録されている電話帳データを読み込める規格であるGSM-ATを利用すれば、移動電話機に記録されている電話帳データを速やかにハンズフリー通話装置に読み込むことができるが、GSM-ATを利用して読み込める電話帳データは、電話帳データに登録されている各人の名前と電話番号のみに限定されてしまうために、移動電話機に記録されている電話帳データを完全な形態で利用することができなくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、ハンズフリー通話装置において移動電話機に記録されている電話帳データを、当該電話帳データのより完全な形態での利用を担保しつつ、よりすみやかに利用可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、接続された移動電話機を音声通信に用いたハンズフリー通話機能をユーザに提供するハンズフリー通話装置に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みに用いることのできる第1の規格に従った手順による当該電話帳データの読み込みと、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みに用いることのできる第2の規格に従った手順による当該電話帳データの読み込みとを行える電話帳読込手段と、前記接続された移動電話機が、前記第1の規格と前記第2の規格のうちのいずれの規格に対応しているかを検出する対応規格検出手段と、前記対応規格検出手段が、前記接続された移動電話機が、前記第1の規格と前記第2の規格の双方に対応していることを検出した場合に、前記電話帳読込手段に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの前記第1の規格に従った手順による読み込みを行わせると共に、当該第1の規格に従った前記電話帳のデータの読み込みの完了後に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの前記第2の規格に従った手順による読み込みを行わせる電話帳読込制御手段とを備えたものである。ただし、前記第1の規格に従った手順による、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みは、当該移動電話機に記憶された電話帳に登録された各連絡先の名前と電話番号の項目のデータを読み込むものであり、前記第2の規格に従った手順による、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みは、当該移動電話機に記憶された電話帳に登録された各連絡先の名前と電話番号と画像とを含む項目のデータを読み込むものである。ここで、前記第1の規格は、たとえば、GSM-ATであり、前記第2の規格は、たとえば、PBAP(Phone Book Access Profile)またはSyncML(Synchronization Markup Language)である。
【0009】
なお、このようなハンズフリー通話装置は、前記電話帳読込手段を、さらに、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みに用いることのできる第3の規格に従った手順による当該電話帳データの読み込みを行うことができるものとし、前記対応規格検出手段において、前記接続された移動電話機が、前記第1の規格と前記第2の規格と前記第3の規格のうちのいずれの規格に対応しているかを検出し、前記電話帳読込制御手段において、前記対応規格検出手段が、前記接続された移動電話機が、前記第2の規格に対応しておらず、かつ、前記第1の規格と前記第3の規格の双方に対応していることを検出した場合に、前記電話帳読込手段に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの前記第1の規格に従った手順による読み込みを行わせると共に、当該第1の規格に従った前記電話帳のデータの読み込みの完了後に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの前記第3の規格に従った手順による読み込みを行わせるように構成してもよい。ただし、この場合には、前記第3の規格に従った手順による、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みは、当該移動電話機に記憶された電話帳に登録された各連絡先の名前と電話番号と画像とを含む項目のデータを読み込むものであって、当該第3の規格に従った手順による電話帳のデータの読み込みは、前記第2の規格に従った手順による電話帳のデータの読み込みよりも、電話帳のデータの読み込みに長時間を要するものとする。また、この場合には、前記第1の規格は、たとえば、GSM-ATとし、前記第2の規格は、たとえば、PBAP(Phone Book Access Profile)とし、前記第3の規格は、たとえば、SyncML(Synchronization Markup Language)とする。
【0010】
これらのようなハンズフリー通話装置によれば、ハンズフリー通話装置は、接続された移動電話機が、第1の規格に対応している場合には、まず、第1の規格を用いて移動電話機の電話帳に登録された各連絡先の名前と電話番号の項目のデータを読み込む。そして、その後に、接続された移動電話機が第2の規格や第3の規格に対応している場合には第2の規格や第3の規格を用いて、移動電話機の電話帳に登録された各連絡先の名前と電話番号と画像とを含む項目のデータを読み込む。
【0011】
ここで、第1の規格は、名前と電話番号の項目のデータのみを読み込むものであり、第2の規格や第3の規格に比べて、より高速に電話帳のデータを読み込むことができる。
よって、本実施形態によれば、ハンズフリー通話装置ににおいて、第1の規格を用いて速やかに、移動電話機の電話帳に登録されている各連絡先の名前と電話番号を取得してユーザの利用に供することができると共に、移動電話機の電話帳データに登録されている画像を含む残りの項目についても、ハンズフリー通話装置において第2の規格や第3の規格を用いて取得してユーザの利用に供することができるようになる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、ハンズフリー通話装置において移動電話機に記録されている電話帳データを、当該電話帳データのより完全な形態での利用を担保しつつ、よりすみやかに利用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るハンズフリー通話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電話帳とその表示例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電話帳自動読込処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る電話帳表示処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るハンズフリー通話システムについて説明する。
図1aに、本実施形態に係るハンズフリー通話システムの構成を示す。
図示するように、ハンズフリー通話システムは、ハンズフリー通話装置10と、ハンズフリー通話装置10に選択的に接続される移動電話機20とより構成される。
そして、ハンズフリー通話装置10は、通話処理装置1、入力装置2、表示装置3、マイクロフォン4、スピーカ5とを備えている。
また、通話処理装置1は、移動電話機20にBluetooth(登録商標)を介して接続するための移動電話機インタフェース11、通話音声処理部12、制御部13、記憶装置14を有している。
一方、移動電話機20は、移動電話網を介してデータ通信や音声通信を行う移動電話機能部21、ハンズフリー通話装置10にBluetooth(登録商標)を介して接続するためのホストインタフェース22、各部の制御を行う動作制御部23、メモリ24、操作部25、表示部26、内蔵マイク27、内蔵スピーカ28を備えている。
【0015】
ここで、移動電話機20のメモリ24と、ハンズフリー通話装置10の記憶装置14には各々電話帳データが記憶される。電話帳データは、図2aに示すように、ユーザが登録した各連絡先毎に、連絡先の名前や、連絡先の電話番号や、連絡先の写真などの画像や、その他のメールアドレスや住所など連絡先の情報が登録されている。
【0016】
次に、図1bに、ハンズフリー通話装置10の、移動電話機20からの電話帳データの読み込みに関する機能ブロックを示す。これらの機能ブロックは、ハンズフリー通話装置10の制御部13がハンズフリー通話装置10の各部の機能を統合的に制御して実現するものであり、図示するように、ハンズフリー通話装置10は、GSM-ATが組み込まれたHFP(Hands-Free Profile)、PBAP(Phone Book Access Profile)を形成する、Bluetooth(登録商標)に準拠したプロトコルスタックと、SyncML(Synchronization Markup Language)を備えている。
【0017】
また、図1bに、移動電話機20の、ハンズフリー通話装置10への電話帳データの提供に関する機能ブロックを示す。これらの機能ブロックは、移動電話機20の動作制御部23が、移動電話機20の各部の機能を統合的に制御して実現するものであり、図示するように、移動電話機20は、HFPを形成する、Bluetooth(登録商標)に準拠したプロトコルスタックを備えている。また、移動電話機20は、PBAPを形成する、Bluetooth(登録商標)に準拠したプロトコルスタックを備えている場合がある。また、移動電話機20は、SyncMLを備えている場合がある。また、移動電話機20のHFPには、GSM-ATが組み込まれている場合がある。すなわち、ハンズフリー通話装置10に接続される全ての移動電話機20は、HFPを備えているが、PBAP、SyncML、GSM-ATについては、これらのいずれを備えているか、または、これらの全てを備えていないかは、移動電話機20の機種毎に異なる。たとえば、ある機種の移動電話機20は、GSM-ATのみを備え、ある機種の移動電話機20はGSM-ATとPBAPとを備えているといった具合である。
【0018】
なお、移動電話機20のハンズフリー通話装置10のHFP、PBAP、SyncMLは、Bluetooth(登録商標)を介して接続し、相互に通信を行う。そして、移動電話機20とハンズフリー通話装置10のHFPは、ハンズフリー通話装置10からBluetooth(登録商標)を介して移動電話機20の電話機能を利用する機能を実現するものである。また、移動電話機20とハンズフリー通話装置10のGSM-AT、PBAP、SyncMLは、ハンズフリー通話装置10がBluetooth(登録商標)を介して移動電話機20から電話帳データを読み込む機能を実現するものである。
【0019】
ただし、PBAP、SyncMLは、ハンズフリー通話装置10から移動電話機20の電話帳データの全てを読み込むことができるのに対して、GSM-ATは、ハンズフリー通話装置10から読み込むことのできる移動電話機20の電話帳データは、各連絡先の名前と電話番号のみに限られる。
【0020】
ここで、GSM-AT、PBAP、SyncMLの各々を用いた、ハンズフリー通話装置10への移動電話機20の電話帳データの読み込みに要する時間は、各々異なり、本発明者らの調査によれば、一般的に、GSM-AT、PBAP、SyncMLの順に長くなる。
また、GSM-ATは、HFP上で機能するため、ハンズフリー通話装置10と移動電話機20のHFPが接続している状態において、プロファイルを切り替えたり、新たなプロファイルの接続を確立することなくハンズフリー通話装置10が移動電話機20の電話帳データを読み込める点でも、すみやかな電話帳データの読み込みに有利である。
【0021】
さて、このような構成において、移動電話機20の動作制御部23は、ハンズフリー通話装置10に接続していないときには、操作部25のユーザ操作に応じて、移動電話機単体で、移動電話網を介したデータ通信や音声通信を移動電話機能部21によって行う動作を制御する。なお、このように移動電話機単体で行うデータ通信や音声通信で送受信する音声は内蔵マイク27や内蔵スピーカ28を用いてユーザとの間で入出力する。
【0022】
一方、移動電話機20とハンズフリー通話装置10とがBluetooth(登録商標)を介して接続しているときには、ハンズフリー通話装置10の制御部13と移動電話機20の動作制御部23とは、ハンズフリー通話装置10と移動電話機20のHFPを利用して以下の動作を行う。
【0023】
すなわち、ハンズフリー通話装置10の制御部13は、入力装置2から入力されるユーザ操作や、移動電話機20の移動電話機能部21の通信状態に応じて動作制御部23が制御部13に通知する着呼通知などの状態情報に応じて、移動電話機20の動作制御部23を制御し、移動電話機20の発呼動作や着呼応答動作などの呼制御動作やその他の各種通信動作の制御を行わせる。すなわち、移動電話機20の動作制御部23は、ハンズフリー通話装置10の制御部13からの制御に従って、移動電話機能部21に呼制御動作やその他の各種通信動作を実行させる。
【0024】
また、このような呼制御動作によって確立された呼による他の電話機との音声通話中、移動電話機20の移動電話機能部21とハンズフリー通話装置10の通話音声処理部12とは、移動電話機20とハンズフリー通話装置10のHFPを利用して以下の動作を行う。
すなわち、移動電話機20の移動電話機能部21は、通話相手の電話機から受信した音声を受信音声信号として、ハンズフリー通話装置10の通話音声処理部12に送る。また、通話音声処理部12は、受け取った受信音声信号に対して、音量調整やラウドネス補償処理を施し、スピーカ5から出力する。また、通話音声処理部12は、マイクロフォン4から入力した音声信号を、スピーカ5からマイクロフォン4への回り込んだ音声成分を除去するエコーキャンセル処理などを施した後、送信音声信号として移動電話機20の移動電話機能部21に送り、移動電話機能部21は、受け取った送信音声信号を、通話相手の電話機に送信する。
【0025】
次に、このようなハンズフリー通話装置10と移動電話機20における、ハンズフリー通話装置10の移動電話機20からの電話帳データの読込動作について説明する。
ハンズフリー通話装置10の制御部13は、移動電話機20からの電話帳データの読み込みのために、移動電話機20とのBluetooth(登録商標)による接続が確立したならば、図3に示す電話帳自動読込処理を実行する。
図示するように、この処理において制御部13は、まず、移動電話機20との接続確立時に移動電話機20から取得した移動電話機20が備えるサービス(機能)の情報に基づいて、移動電話機20が、GSM-ATに対応しているかどうかを調べ(ステップ302)、GSM-ATに対応していない場合には、そのままステップ306に進み、GSM-ATに対応している場合には、ハンズフリー通話装置10と移動電話機20のGSM-ATを利用して、移動電話機20の動作制御部23に電話帳データの転送を要求することにより、移動電話機20から電話帳データを読み込み、記憶装置14の電話帳データに反映し(ステップ304)、ステップ306に進む。ここで、移動電話機20の動作制御部23は、GSM-ATを利用して電話帳データの転送を要求されたならば、メモリ24に記憶されている電話帳データに登録された各連絡先の名前と電話番号を読み出して、ハンズフリー通話装置10と移動電話機20のGSM-ATを利用して、ハンズフリー通話装置10の制御部13に電話帳データとして転送する。
【0026】
次に、ステップ306に進んだならば、移動電話機20との接続確立時に移動電話機20から取得した移動電話機20が備えるサービス(機能)の情報に基づいて、移動電話機20が、PBAPに対応しているかどうかを調べ、PBAPに対応していない場合には、そのままステップ310に進み、PBAPに対応している場合には、ハンズフリー通話装置10と移動電話機20のPBAPを利用して、移動電話機20の動作制御部23に電話帳データの転送を要求することにより、移動電話機20から電話帳データを読み込み、記憶装置14の電話帳データに反映し(ステップ308)、電話帳自動読込処理を終了する。ここで、移動電話機20の動作制御部23は、PBAPを利用して電話帳データの転送を要求されたならば、メモリ24に記憶されている電話帳データに登録されている各連絡先の各項目を読み出して、ハンズフリー通話装置10と移動電話機20のPBAPを利用して、ハンズフリー通話装置10の制御部13に電話帳データとして転送する。
【0027】
一方、ステップ310に進んだ場合には、移動電話機20との接続確立時に移動電話機20から取得した移動電話機20が備えるサービス(機能)の情報に基づいて、移動電話機20が、SyncMLに対応しているかどうかを調べ、SyncMLに対応していない場合には、そのまま電話帳自動読込処理を終了し、SyncMLに対応している場合には、ハンズフリー通話装置10と移動電話機20のSyncMLを利用して、移動電話機20の動作制御部23に電話帳データの転送を要求することにより、移動電話機20から電話帳データを読み込み、記憶装置14の電話帳データに反映し(ステップ312)、電話帳自動読込処理を終了する。ここで、移動電話機20の動作制御部23は、SyncMLを利用して電話帳データの転送を要求されたならば、メモリ24に記憶されている電話帳データに登録されている各連絡先の各項目を読み出して、ハンズフリー通話装置10と移動電話機20のSyncMLを利用して、ハンズフリー通話装置10の制御部13に電話帳データとして転送する。
【0028】
以上、電話帳自動読込処理について説明した。
以下、このような電話帳自動読込処理によって、移動電話機20の電話帳データを反映した記憶装置14の電話帳データの、ハンズフリー通話装置10における利用例を示す。
図4に、ハンズフリー通話装置10の制御部13が記憶装置14の電話帳データを利用して行う電話帳表示処理を示す。ここで、この電話帳表示処理は、入力装置2を介してユーザから電話帳表示を指示された場合に実行されるものである。
図示するように、この処理では、まず、上述した電話帳自動読込処理によって、接続されている移動電話機20の電話帳データが、GSM-ATが組み込まれたHFP、PBAP、SyncMLのいずれかを用いて記憶装置14の電話帳データに反映済かどうかを調べ(ステップ402)、反映済でなければ、電話帳データを取得中である旨を表示装置3に表示した上で(ステップ418)、電話帳自動読込処理によって、HFP、PBAP、SyncMLのいずれかを用いて移動電話機20の電話帳データが記憶装置14の電話帳データに反映されるのを待つ。
【0029】
一方、接続されている移動電話機20の電話帳データが、HFP、PBAP、SyncMLのいずれかを用いて記憶装置14の電話帳データに反映済であれば(ステップ402)、接続されている移動電話機20の電話帳データがPBAP、SyncMLのいずれかを用いて記憶装置14の電話帳データに反映済かどうかを調べ(ステップ404)、PBAP、SyncMLのいずれかを用いて反映済でなければ、記憶装置14の電話帳データに登録されている各連絡先の名前と電話番号の一覧を表した一覧画面を、たとえば、図2bのように表示装置3に表示し(ステップ406)、ステップ408に進む。一方、接続されている移動電話機20の電話帳データがPBAP、SyncMLのいずれかを用いて記憶装置14の電話帳データに反映済であれば(ステップ404)、記憶装置14の電話帳データに登録されている各連絡先の画像と名前と電話番号の一覧を表した一覧画面を、たとえば、図2cのように表示装置3に表示し(ステップ420)、ステップ408に進む。
【0030】
そして、このようにして、ステップ408に進んだならば、図2bまたはcのように表示した一覧画面上で、連絡先の選択と(ステップ408)、図2bまたはcの一覧画面上に設けた詳細ボタン202の操作による詳細表示指示と(ステップ410)、図2b、cの一覧画面上に設けた発呼ボタン201の操作による発呼指示と(ステップ412)を受け付ける。但し、図2bの一覧画面を表示している場合には、詳細ボタン202の表示及び詳細表示指示の受け付けは、接続されている移動電話機20がPBAP、SyncMLのいずれかに対応している場合にのみ行う。
【0031】
そして、発呼指示を受け付けた場合には(ステップ412)、一覧画面の表示を消去し(ステップ414)、発呼指示を受け付けた時点で選択されている連絡先の電話番号への発呼処理を起動し(ステップ416)、電話帳表示処理を終了する。ここで、起動された発呼処理では、前述のようにHFPを利用して、移動電話機20の動作制御部23を制御し、連絡先の電話番号への発呼や通話を制御する。
【0032】
一方、詳細表示指示を受け付けた場合には(ステップ410)、接続されている移動電話機20の電話帳データがPBAP、SyncMLのいずれかを用いて記憶装置14の電話帳データに反映済かどうかを調べ(ステップ422)、反映済みでなければ、詳細データを取得中である旨を表示装置3に表示し(ステップ434)、ステップ408からの処理に戻る。
一方、接続されている移動電話機20の電話帳データがPBAP、SyncMLのいずれかを用いて記憶装置14の電話帳データに反映済であれば(ステップ422)、一覧画面の表示を消去し(ステップ424)、詳細表示指示を受け付けた時点で選択されている連絡先の、記憶装置14の電話帳データに登録されている各項目を表した詳細画面を、たとえば、図2dに示すように表示装置3に表示する(ステップ426)。
【0033】
また、図2dの詳細画面上に設けた一覧ボタン203の操作による一覧表示指示と(ステップ428)と、図2dの詳細画面上に設けた発呼ボタン201の操作による発呼指示と(ステップ430)を受け付ける。
そして、一覧表示指示を受け付けたならば(ステップ428)、詳細画面の表示を消去し(ステップ436)、ステップ404からの処理に戻る。一方、発呼指示を受け付けた場合には(ステップ430)、詳細画面の表示を消去し(ステップ432)、発呼指示を受け付けた時点で選択されている連絡先(詳細画面を表示していた連絡先)の電話番号への発呼処理を起動し(ステップ416)、電話帳表示処理を終了する。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の実施形態において、図3に示した電話帳自動読込処理は、入力装置2を介してユーザから電話帳表示を指示された場合に実行するものとしてよい。
以上のように、本実施形態によれば、ハンズフリー通話装置10は、接続された移動電話機20が、GSM-ATに対応している場合には、まず、GSM-ATを用いて電話帳データの名前と電話番号部分を読み込む。そして、その後に、接続された移動電話機20がPBAPに対応している場合にはPBAPを用いて、接続された移動電話機20がPBAPに対応しておらずSyncMLに対応している場合にはSyncMLを用いて、完全な電話帳データを読み込む。
【0035】
ここで、前述のように、GSM-ATを用いた場合には、PBAPやSyncMLに比べて、より高速に電話帳データを読み込むことができる。
よって、本実施形態によれば、PBAPとSyncMLとのうちの少なくとも一方と、GSM-ATとに対応する移動電話機20から、GSM-ATを用いて、速やかに、移動電話機20の電話帳データに登録されている各連絡先の名前と電話番号を取得してユーザの利用に供することができると共に、移動電話機20の電話帳データに登録されている全ての項目についても、PBAPまたはSyncMLを用いて、ハンズフリー通話装置10において取得してユーザの利用に供することができるようになる。
【符号の説明】
【0036】
1…通話処理装置、2…入力装置、3…表示装置、4…マイクロフォン、5…スピーカ、10…ハンズフリー通話装置、11…移動電話機インタフェース、12…通話音声処理部、13…制御部、14…記憶装置、20…移動電話機、21…移動電話機能部、22…ホストインタフェース、23…動作制御部、24…メモリ、25…操作部、26…表示部、27…内蔵マイク、28…内蔵スピーカ、201…発呼ボタン、202…詳細ボタン、203…一覧ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された移動電話機を音声通信に用いたハンズフリー通話機能をユーザに提供するハンズフリー通話装置であって、
前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みに用いることのできる第1の規格に従った手順による当該電話帳データの読み込みと、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みに用いることのできる第2の規格に従った手順による当該電話帳データの読み込みとを行える電話帳読込手段と、
前記接続された移動電話機が、前記第1の規格と前記第2の規格のうちのいずれの規格に対応しているかを検出する対応規格検出手段と、
前記対応規格検出手段が、前記接続された移動電話機が、前記第1の規格と前記第2の規格の双方に対応していることを検出した場合に、前記電話帳読込手段に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの前記第1の規格に従った手順による読み込みを行わせると共に、当該第1の規格に従った前記電話帳のデータの読み込みの完了後に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの前記第2の規格に従った手順による読み込みを行わせる電話帳読込制御手段とを有し、
前記第1の規格に従った手順による、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みは、当該移動電話機に記憶された電話帳に登録された各連絡先の名前と電話番号の項目のデータを読み込むものであり、
前記第2の規格に従った手順による、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みは、当該移動電話機に記憶された電話帳に登録された各連絡先の名前と電話番号と画像とを含む項目のデータを読み込むものであることを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項2】
請求項1記載のハンズフリー通話装置であって、
前記第1の規格は、GSM-ATであり、前記第2の規格は、PBAP(Phone Book Access Profile)またはSyncML(Synchronization Markup Language)であることを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項3】
請求項1記載のハンズフリー通話装置であって、
前記電話帳読込手段は、さらに、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みに用いることのできる第3の規格に従った手順による当該電話帳データの読み込みを行うことができ、
前記対応規格検出手段は、前記接続された移動電話機が、前記第1の規格と前記第2の規格と前記第3の規格のうちのいずれの規格に対応しているかを検出し、
前記電話帳読込制御手段は、前記対応規格検出手段が、前記接続された移動電話機が、前記第2の規格に対応しておらず、かつ、前記第1の規格と前記第3の規格の双方に対応していることを検出した場合に、前記電話帳読込手段に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの前記第1の規格に従った手順による読み込みを行わせると共に、当該第1の規格に従った前記電話帳のデータの読み込みの完了後に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの前記第3の規格に従った手順による読み込みを行わせ、
前記第3の規格に従った手順による、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みは、当該移動電話機に記憶された電話帳に登録された各連絡先の名前と電話番号と画像とを含む項目のデータを読み込むものであって、当該第3の規格に従った手順による電話帳のデータの読み込みは、前記第2の規格に従った手順による電話帳のデータの読み込みよりも、電話帳のデータの読み込みに長時間を要するものであることを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項4】
請求項3記載のハンズフリー通話装置であって、
前記第1の規格は、GSM-ATであり、前記第2の規格は、PBAP(Phone Book Access Profile)であり、前記第3の規格は、SyncML(Synchronization Markup Language)であることを特徴とするハンズフリー通話装置。
【請求項5】
接続された移動電話機を音声通信に用いたハンズフリー通話機能をユーザに提供するハンズフリー通話装置において、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みを行う電話帳読込方法であって、
前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みに用いることのできる第1の規格と、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みに用いることのできる第2の規格とのうちのいずれの規格に対応しているかを検出するステップと、
前記接続された移動電話機が、前記第1の規格と前記第2の規格の双方に対応していることを検出した場合に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの前記第1の規格に従った手順による読み込みを行うと共に、当該第1の規格に従った前記電話帳のデータの読み込みの完了後に、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの前記第2の規格に従った手順による読み込みを行うステップとを有し、
前記第1の規格に従った手順による、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みは、当該移動電話機に記憶された電話帳に登録された各連絡先の名前と電話番号の項目のデータを読み込むものであり、
前記第2の規格に従った手順による、前記接続された移動電話機からの、当該移動電話機に記憶された電話帳のデータの読み込みは、当該移動電話機に記憶された電話帳に登録された各連絡先の名前と電話番号と画像とを含む項目のデータを読み込むものであることを特徴とするハンズフリー通話装置における電話帳読込方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−171742(P2010−171742A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12441(P2009−12441)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】