説明

ハンドオーバー制御装置、無線リソース管理装置、ネットワークリソース管理装置、移動通信システム及びハンドオーバー制御方法

【課題】異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーにおいて、ハンドオーバー後もハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質を維持する。
【解決手段】ハンドオーバー制御装置20は、ハンドオーバー先決定部21と、ハンドオーバー制御部22と、無線リソース使用状況収集部23と、システム情報データベース24とを備える。ハンドオーバー先決定部21は、移動端末40が接続システムにおいて現在通信している通信種別で要求される通信品質を、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供可能か否か、現在通信している通信種別で要求される通信品質を維持するために必要な無線リソース量を確保できるか否かを判断して、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドオーバー制御装置、無線リソース管理装置、ネットワークリソース管理装置、移動通信システム及びハンドオーバー制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一つの無線アクセスシステム内において、移動端末が移動に伴い接続する基地局を切り替えるハンドオーバーが行われている。この一つの無線アクセスシステム内におけるハンドオーバーにおいて、その前後で通信品質を維持する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。一方、近年、モバイルIP(Mobile IP)を用いてIPレベルで移動端末の移動をサポートし、異なる無線アクセスシステムを跨るハンドオーバーを行う方法が提案されている。
【特許文献1】特開2003−32725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の一つの無線アクセスシステム内における切り替えだけを対象にしたハンドオーバーの方法では、そもそも異なる無線アクセスシステムを跨がるハンドオーバーを実現できなかった。又、モバイルIPを用いることにより異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーを実現できるものの、ハンドオーバー後にハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質を維持できない場合があった。
【0004】
そこで、本発明は、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーにおいて、ハンドオーバー後もハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るハンドオーバー制御装置は、移動端末が接続中の無線アクセスシステムにおいて通信中の通信種別の通信品質と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供する通信種別の通信品質とに基づいて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定するハンドオーバー先決定部と、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うよう制御するハンドオーバー制御部とを備えることを特徴とする。
【0006】
このようなハンドオーバー制御装置によれば、移動端末が接続中の無線アクセスシステムにおいて現在通信している通信種別で要求される通信品質を、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供可能か否か、現在通信している通信種別で要求される通信品質を維持するために必要な無線リソース量を確保できるか否かを判断して、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定し、ハンドオーバーを実行することができる。そのため、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーにおいて、ハンドオーバー後もハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質を維持することができる。尚、ハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質を維持するとは、ハンドオーバー前の通信品質以上を維持することをいい、通信品質が改善されることも含む。
【0007】
更に、ハンドオーバー制御装置は、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムに無線リソースの使用状況の提供を指示し、無線リソースの使用状況を収集する無線リソース使用状況収集部を備えることが好ましい。そして、ハンドオーバー先決定部は、収集された無線リソースの使用状況を用いて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定することが好ましい。これによれば、ハンドオーバー制御装置は、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況を収集し、その収集した使用状況を予め考慮して、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定できる。
【0008】
又、ハンドオーバー制御部は、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムに対して、通信中の通信種別の通信品質に必要な必要無線リソースの確保を指示し、必要無線リソースが確保された場合にはハンドオーバーを行うよう制御し、必要無線リソースが確保できない場合にはハンドオーバー先決定部に確保不可を通知し、ハンドオーバー先決定部は、確保不可の通知を受けた場合にハンドオーバー先を再度決定するようにしてもよい。
【0009】
これによれば、ハンドオーバー制御装置は、一度、ハンドオーバー先を決定して必要無線リソースの確保を指示し、必要無線リソースが確保できないという結果に基づいて、再度ハンドオーバー先を決定できる。しかも、ハンドオーバー制御装置は、必要無線リソースが確保された後にハンドオーバーを行うように制御できるため、より確実に通信品質を確保できる。
【0010】
尚、このようにハンドオーバー先決定部がハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定するために、無線リソースの使用状況を用いるタイミングはいつでもよく、その用い方も限定されない。即ち、ハンドオーバー先決定部は、収集した無線リソースの使用状況を最初から用いて決定してもよく、現在の無線リソースの使用状況では必要無線リソースが確保できないという結果を用いて決定してもよい。
【0011】
又、ハンドオーバー先決定部は、移動端末のユーザにより設定される通信種別毎の無線アクセスシステムの使用優先順位に基づいて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定することが好ましい。これによれば、ハンドオーバー制御装置は、移動端末のユーザが通信種別毎に希望する使用優先順位も考慮して、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定できる。
【0012】
更に、ハンドオーバー制御部は、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワークのネットワークリソースの確保を、そのネットワークリソースを管理するネットワークリソース管理装置に指示することが好ましい。これによれば、ハンドオーバーに伴って必要となる無線リソースだけでなく、コアネットワークのネットワークリソースも確保することができる。そのため、より確実にハンドオーバー後もハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質を維持することができる。
【0013】
本発明に係る無線リソース管理装置は、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーを制御するハンドオーバー制御装置による無線リソースの使用状況の提供の指示又は無線リソースの確保の指示の少なくとも1つに従って、無線リソースの使用状況のハンドオーバー制御装置への提供又は無線リソースの確保の少なくとも1つを行うことを特徴とする。
【0014】
このような無線リソース管理装置によれば、ハンドオーバー制御装置に無線リソースの使用状況を提供したり、ハンドオーバー制御装置の指示に従ってハンドオーバーに伴って必要となる無線リソースを確保したりできる。よって、無線リソース管理装置は、ハンドオーバー制御装置による通信品質を考慮した、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーの制御に寄与できる。よって、無線リソース管理装置は、ハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質の維持に寄与できる。
【0015】
本発明に係るネットワークリソース管理装置は、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーを制御するハンドオーバー制御装置によるコアネットワークのネットワークリソースの確保の指示に従って、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワークのネットワークリソースを確保することを特徴とする。
【0016】
このようなネットワークリソース管理装置によれば、ハンドオーバー制御装置の指示に従って、ハンドオーバーに伴って必要となるネットワークリソースを確保できる。よって、ネットワークリソース管理装置は、ハンドオーバー制御装置による通信品質を考慮した、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーの制御に寄与できる。よって、ネットワークリソース管理装置は、ハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質の維持に寄与できる。
【0017】
本発明に係る移動通信システムは、移動端末が接続中の無線アクセスシステムにおいて通信中の通信種別の通信品質と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供する通信種別の通信品質とに基づいて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定し、その決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うよう制御するハンドオーバー制御装置と、ハンドオーバー制御装置による無線リソースの使用状況の提供の指示又は無線リソースの確保の指示の少なくとも1つに従って、無線リソースの使用状況のハンドオーバー制御装置への提供又は無線リソースの確保の少なくとも1つを行う無線リソース管理装置とを備えることを特徴とする。
【0018】
更に、移動通信システムは、ハンドオーバー制御装置によるコアネットワークのネットワークリソースの確保の指示に従って、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワークのネットワークリソースを確保するネットワークリソース管理装置を備えることが好ましい。
【0019】
本発明に係るハンドオーバー制御方法は、移動端末が接続中の無線アクセスシステムにおいて通信中の通信種別の通信品質と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供する通信種別の通信品質とに基づいて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定し、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うよう制御することを特徴とする。
【0020】
又、ハンドオーバー制御方法では、通信中の通信種別の通信品質に必要な必要無線リソースを、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにおいて確保することが好ましい。更に、ハンドオーバー制御方法では、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワークのネットワークリソースを確保することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーにおいて、ハンドオーバー後もハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〔第1の実施の形態〕
図1に示すように、移動通信システム100は、ハンドオーバー制御装置20と、複数の無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dと、移動端末40とを備える。
【0023】
移動端末40は移動に伴い、ハンドオーバー制御装置20の制御に従って、異なる無線アクセスシステムを跨がるハンドオーバーを行う。無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dは、移動端末40と無線により接続を確立し、コアネットワーク10と移動端末40とを接続する。無線アクセスシステムには、例えば、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)を用いる無線アクセスシステム、無線LANを用いる無線アクセスシステム、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いる無線アクセスシステム、PHS(Personal Handyphone System)を用いる無線アクセスシステム等がある。
【0024】
無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dはそれぞれ、無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dと、複数の基地局32a,32b,32c,32dを備える。このように無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dはそれぞれ、 無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dに設けられる。
【0025】
無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dはそれぞれ、ハンドオーバー制御装置20による無線リソースの使用状況の提供の指示又は無線リソースの確保の指示の少なくとも1つに従って、無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dが管理する無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dの無線リソースの使用状況のハンドオーバー制御装置20への提供又は無線リソースの確保の少なくとも1つを行う。
【0026】
無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dはそれぞれ、各基地局32a,32b,32c,32dから、各基地局32a,32b,32c,32dの無線リソースの使用状況を取得する。無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dは、空きリソース等の無線リソースの使用状況を定期的に取得しておいてもよく、ハンドオーバー制御装置20からの指示があったときに取得してもよい。無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dは、ハンドオーバー制御装置20から無線リソースの使用状況の提供の指示を取得すると、各基地局32a,32b,32c,32dから取得した無線リソースの使用状況をハンドオーバー制御装置20に提供する。
【0027】
無線リソースには、周波数帯域、タイムスロット、無線チャネル等がある。使用状況は、無線リソースの使用量で表してもよく、使用可能な無線リソース量(空き状況)で表してもよい。
【0028】
無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dはそれぞれ、ハンドオーバー制御装置20から必要無線リソースの確保の指示2を取得すると、各基地局32a,32b,32c,32dの無線リソースを確保する。無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dは、指示された無線リソースを確保できたか否かを、確保結果通知3としてハンドオーバー制御装置20に提供する。
【0029】
ハンドオーバー制御装置20は、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーを制御する。ハンドオーバー制御装置20は、コアネットワーク10に設けられる。ハンドオーバー制御装置20は、ハンドオーバー先決定部21と、ハンドオーバー制御部22と、無線リソース使用状況収集部23と、システム情報データベース24とを備える。
【0030】
システム情報データベース24は、無線アクセスシステムに関するシステム情報を保持する。システム情報には、無線アクセスシステムが提供可能な通信種別の通信品質と、その通信品質を確保するために必要な無線リソース量(以下「必要無線リソース」という)、料金等が含まれる。通信種別には、例えば、音声通話やパケット通信、動画通信等がある。通信品質には、伝送速度、誤り率、許容遅延、パケットロス率、遅延ゆらぎ等がある。
【0031】
システム情報データベース24は、無線アクセスシステム毎、通信種別毎に、通信品質と必要無線リソースを保持する。無線アクセスシステム毎、通信種別毎の通信品質は、例えば、各無線アクセスシステムにおいて設計した通信種別毎の通信品質の設計値(以下「品質設計値」という)で示すことができる。尚、通信種別毎に重視される通信品質の種類は異なっている。例えば、音声通話では許容遅延が重視され、パケット通信ではパケットロス率が重視される。そのため、システム情報データベース24が保持する通信品質の種類は、無線アクセスシステム毎、通信種別毎に異なっていてもよい。又、システム情報データベース24が保持する無線アクセスシステム毎、通信種別毎の通信品質の種類は複数であってもよく、1つであってもよい。
【0032】
図2に、システム情報データベース24の一例を示す。無線アクセスシステム名は、無線アクセスシステムの識別情報である。無線アクセスシステムの識別情報としては、無線アクセスシステムID等を用いてもよい。通信種別IDは、通信種別の識別情報である。本実施形態では、通信種別ID「#1」は音声通話を表し、通信種別ID「#2」はパケット通信を表す。「×」は、その無線アクセスシステムではその通信種別を提供していないことを示す。
【0033】
図2に示すシステム情報データベース24は、例えば、無線アクセスシステム(#A)30aにおける通信種別ID「#1」の音声通話の品質設計値は「X1〜X2」、必要無線リソースは「R11〜R12」であるというシステム情報や、無線アクセスシステム(#B)30bは通信種別ID「#2」のパケット通信を提供していないというシステム情報を保持する。図2に示したシステム情報データベース24の例では、無線アクセスシステム毎、通信種別毎に、1つの通信品質についての必要無線リソースを保持しているが、無線アクセスシステム毎、通信種別毎に、複数の通信品質について通信品質毎の必要無線リソースを保持するようにしてもよい。
【0034】
ハンドオーバー先決定部21は、移動端末40が接続中の無線アクセスシステム(以下「接続システム」という)において通信中の通信種別の通信品質と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供する通信種別の通信品質とに基づいて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定する。
【0035】
ハンドオーバー先決定部21は、移動端末40から、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムの通知(以下「ハンドオーバー先候補通知」という)を取得する。この移動端末40によるハンドオーバー先候補通知1が、ハンドオーバーのトリガとなり、ハンドオーバー先決定部21は、ハンドオーバー先候補通知1を取得することにより、移動端末40がハンドオーバーが必要な状況にあることを検出する。ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムとは、移動端末40が電波を受信可能であり、接続可能である基地局が存在する無線アクセスシステムである。そのため、接続システムもハンドオーバー先候補に含まれる場合がある。移動端末40は、各基地局32a,32b,32c,32dが送信する電波を受信し、接続可能な基地局を検出し、ハンドオーバー先候補通知1を送信する機能を備える。
【0036】
ハンドオーバー先候補通知1には、ハンドオーバー先候補を示す情報と、現在通信中の通信種別、移動端末40の識別情報等が含まれる。ハンドオーバー先候補を示す情報には、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムの識別情報と、移動端末40が接続可能な基地局の識別情報と、移動端末40が基地局から受信する電波の受信品質等とを対応付けた情報等がある。基地局の識別情報には、基地局番号等がある。移動端末40の識別情報には、ユーザIDや移動端末番号等がある。ハンドオーバー先決定部21は、例えば、図3に示すようなハンドオーバー先候補を示す情報を含むハンドオーバー先候補通知1を取得する。ハンドオーバー先候補を示す情報は、無線アクセスシステム名と、移動端末40が接続可能な基地局の基地局番号と、その基地局からの電波の受信品質とを対応付けたものとなっている。
【0037】
ハンドオーバー先決定部21は、ハンドオーバー先候補となるための受信品質の閾値を保持する。そして、ハンドオーバー先決定部21は、ハンドオーバー先候補通知1に含まれる受信品質と閾値とを比較する。ハンドオーバー先決定部21は、受信品質が閾値以上である無線アクセスシステムをハンドオーバー先候補と判断する。例えば、図3の場合、ハンドオーバー先決定部21は、受信品質の閾値と各受信品質P(A)、P(B)、P(C)、P(D)とを比較し、受信品質P(A)、P(B)、P(C)が閾値以上の場合、移動端末40のハンドオーバー先候補は、無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30cであると判断する。以下、ハンドオーバー先候補が、無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30cと判断された場合を例にとって説明する。
【0038】
ハンドオーバー先決定部21は、ハンドオーバー先候補通知1に基づいて、無線リソース使用状況収集部23に、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況を収集するよう指示する。そして、ハンドオーバー先決定部21は、無線リソース使用状況収集部23から、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況を取得する。更に、ハンドオーバー先決定部21は、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムに関するシステム情報を、システム情報データベース24から取得する。
【0039】
ハンドオーバー先決定部21は、まず、システム情報の品質設計値に基づいて、接続システムにおいて現在通信している通信種別で要求される通信品質を提供可能な無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムの中から選択する。以下、品質設計値に基づいてハンドオーバー先候補の中から選択される、接続システムにおいて現在通信している通信種別で要求される通信品質を提供可能な無線アクセスシステムを「提供可能システム」という。
【0040】
ハンドオーバー先決定部21は、各通信種別において最低限要求される通信品質の下限値(以下「最低品質」という)と、通信品質の目標値(以下「目標品質」という)を記憶する。目標品質は、例えば、移動端末40が快適に通信できる通信品質を設定できる。ハンドオーバー先決定部21は、提供可能システムとして、少なくとも最低品質を提供可能な無線アクセスシステムを選択してもよく、接続システムが提供する通信品質以上を提供可能な無線アクセスシステムを選択してもよい。
【0041】
例えば、図4に示すように、接続システムが無線アクセスシステム(#A)30aであり、ハンドオーバー先候補が無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dの場合を例にとって説明する。図4において、縦軸は通信品質を表し、目標品質、最低品質は、現在通信中の通信種別で要求されている目標品質と最低品質を表している。尚、この縦軸の通信品質は、例えば、誤り率、許容遅延、パケットロス率、遅延ゆらぎ等の1つであり、各無線アクセスシステムの品質設計値は通信種別によって異なる。
【0042】
ハンドオーバー先決定部21は、少なくとも最低品質を提供可能な無線アクセスシステムを選択する場合には、図4に示す最低品質以上の品質設計値を持つ無線アクセスシステム(#B)30bと無線アクセスシステム(#C)30cを選択する。又、ハンドオーバー先決定部21は、接続システムが提供する通信品質以上を提供可能な無線アクセスシステムを選択する場合には、無線アクセスシステム(#A)30aの品質設計値以上の品質設計値を持つ無線アクセスシステム(#B)30bを選択する。
【0043】
例えば、接続システムがW−CDMAによりパケット通信を提供している無線アクセスシステムである場合に、現在よりも伝送速度が高速なパケット通信を利用するために、ハンドオーバー先決定部21は、提供可能システムとして、無線LANによりパケット通信を提供している無線アクセスシステムを選択すること等が可能である。尚、少なくとも最低品質を提供可能な無線アクセスシステムを選択するか、接続システムが提供する通信品質以上を提供可能な無線アクセスシステムを選択するかは、移動端末40がいずれかを指定したハンドオーバー先候補通知を提供し、ハンドオーバー先決定部21がその指定に従ってもよく、ハンドオーバー先決定部21において予め設定しておいてもよい。
【0044】
次に、ハンドオーバー先決定部21は、収集したハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と必要無線リソースに基づいて、提供可能システムの中から、現在通信している通信種別で要求される通信品質を維持するために必要な無線リソース量を確保できる無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムに決定する。
【0045】
例えば、ハンドオーバー先決定部21が提供可能システムとして、無線アクセスシステム(#B)30bと無線アクセスシステム(#C)30cを選択した場合に、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30cそれぞれについて無線リソースの使用状況と必要無線リソースを比較する。ハンドオーバー先決定部21は、その比較結果に基づいて、例えば、無線アクセスシステム(#C)30cだけが必要無線リソースを確保できると判断した場合には、無線アクセスシステム(#C)30cをハンドオーバー先の無線アクセスシステムに決定する。ハンドオーバー先決定部21は、決定した無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先候補通知と対応付けてハンドオーバー制御部22に通知する。
【0046】
尚、ハンドオーバー先決定部21は、必要無線リソースを確保できる無線アクセスシステムが複数存在する場合には、その中から任意の無線アクセスシステムをハンドオーバー先に決定してもよく、その中で最も高い通信品質を提供可能な無線アクセスシステムをハンドオーバー先に決定してもよく、その中で最も無線リソースの使用状況に余裕のある無線アクセスシステムをハンドオーバー先に決定してもよい。反対に、ハンドオーバー先決定部21は、必要無線リソースを確保できる無線アクセスシステムが存在しない場合には、所定時間待機後、再度、ハンドオーバー先を決定してもよく、移動端末40に通信品質を維持できるハンドオーバー先が存在しないことを通知してもよい。
【0047】
更に、ハンドオーバー先決定部21は、複数の通信品質を考慮してハンドオーバー先を決定することもできる。例えば、通信種別が動画通信の場合に、品質設計値として許容遅延とパケットロス率の両方が設定されているとする。この場合には、ハンドオーバー先決定部21は、現在通信している動画通信で要求される許容遅延とパケットロス率の両方を提供可能な無線アクセスシステムを提供可能システムとして選択する。そして、ハンドオーバー先決定部21は、提供可能システムのうち、現在通信している動画通信における許容遅延を維持するために必要な無線リソース量と、パケットロス率を維持するために必要な無線リソース量のいずれか多い方の無線リソース量を確保できる無線アクセスシステムをハンドオーバー先の無線アクセスシステムに決定する。
【0048】
無線リソース使用状況収集部23は、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムに無線リソースの使用状況の提供を指示し、無線リソースの使用状況を収集する。無線リソース使用状況収集部23は、ハンドオーバー先決定部21から、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況の収集の指示を取得する。
【0049】
無線リソース使用状況収集部23は、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムの無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dに、無線リソースの使用状況の提供を、提供の指示を送信して指示する。そして、無線リソース使用状況収集部23は、無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dから、各基地局32a,32b,32c,32dの無線リソースの使用状況を各無線アクセスシステムの使用状況として取得する。無線リソース使用状況収集部23は、取得した無線リソースの使用状況をハンドオーバー先決定部21に入力する。
【0050】
ハンドオーバー制御部22は、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うよう制御する。ハンドオーバー制御部22は、ハンドオーバー先決定部21から、ハンドオーバー先候補通知と対応付けられた、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムの通知を取得する。まず、ハンドオーバー制御部22は、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムに対して、必要無線リソースの確保を指示する。
【0051】
ハンドオーバー制御部22は、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムの無線リソース管理装置に、必要無線リソースの確保の指示2を送信し、確保を指示する。そして、ハンドオーバー制御部22は、確保結果通知3を無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dから取得する。ハンドオーバー制御部22は、確保結果通知が無線リソースを確保できたことを示す場合には、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムへのハンドオーバーを、移動端末40、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムの基地局又は無線リソース管理装置の少なくとも1つに、切り替え指示4を送信して指示する。これにより、ハンドオーバー制御装置20は、必要無線リソースが確保された後にハンドオーバーを行うように制御できるため、より確実に通信品質を確保できる。
【0052】
具体的には、ハンドオーバー制御部22は、ハンドオーバー先候補通知から、接続可能な基地局の識別情報と、移動端末40の識別情報を取得する。ハンドオーバー制御部22は、移動端末40に指示する場合には、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムにおいて接続可能な基地局の識別情報を示し、その基地局へのハンドオーバーを指示する。ハンドオーバー制御部22は、基地局又は無線リソース管理装置に指示する場合には、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムにおいて接続可能な基地局に、移動端末40の識別情報を示し、移動端末40をその無線アクセスシステムにハンドオーバーさせるように指示する。このようにしてハンドオーバー制御部22は、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うよう制御できる。
【0053】
尚、ハンドオーバー先候補通知1、必要無線リソースの確保の指示2、確保結果通知3、切り替え指示4等は、図1中点線で示される制御データとしてやりとりされる。
【0054】
次に、移動通信システム100におけるハンドオーバー制御方法の手順を図5を用いて説明する。ハンドオーバー制御装置20は、移動端末40から送信されるハンドオーバー先候補通知1を取得する(S101)。ハンドオーバー制御装置20は、システム情報と無線リソースの使用状況を用い、移動端末40が接続システムにおいて通信中の通信種別の通信品質と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供する通信種別の通信品質とに基づいて、提供可能システムを選択する(S102)。
【0055】
ハンドオーバー制御装置20は、ハンドオーバー先候補通知に基づいて、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムの無線リソースの使用状況を収集する(S103)。ハンドオーバー制御装置20は、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況に基づいて、提供可能システムの中から、通信中の通信種別の必要無線リソースを確保できる無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムに決定する(S104)。
【0056】
ハンドオーバー制御装置20は、決定したハンドオーバー先の無線アクセスシステムの無線リソース管理装置に必要無線リソースの確保を指示する(S105)。そして、ハンドオーバー制御装置20は、無線アクセスシステムの無線リソース管理装置から無線リソースを確保できたことを示す確保結果通知を取得後、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムへのハンドオーバーを、移動端末40、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムの基地局又は無線リソース装置の少なくとも1つに指示する(S106)。尚、ステップ(S101)とステップ(S102)の順番は逆でもよい。
【0057】
このような移動通信システム100、ハンドオーバー制御装置20、複数の無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30d及びハンドオーバー制御方法によれば、移動端末40が接続システムにおいて現在通信している通信種別で要求される通信品質を、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供可能か否か、現在通信している通信種別で要求される通信品質を維持するために必要な無線リソース量を確保できるか否かを判断して、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定し、ハンドオーバーを実行することができる。
【0058】
そのため、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーにおいて、ハンドオーバー後もハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質を維持することができる。このように、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーにおいて、ハンドオーバー後の通信品質を考慮したハンドオーバーの制御を行うことにより、移動端末40に良好な通信状態を提供することが可能となる。
【0059】
更に、ハンドオーバー制御装置20は、無線リソースの使用状況を収集する無線リソース使用状況収集部23を備える。そして、ハンドオーバー先決定部21は、収集された無線リソースの使用状況を用いて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定する。そのため、ハンドオーバー制御装置20は、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況を収集し、その収集した使用状況を最初から用い、予め考慮してハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定できる。即ち、ハンドオーバー制御装置20は、複数のハンドオーバー先候補の無線リソースの使用状況を確認して、ハンドオーバー先を決定できる。
【0060】
又、複数の無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dにそれぞれ設けられた無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dによれば、ハンドオーバー制御装置20に無線リソースの使用状況を提供したり、ハンドオーバー制御装置20の指示に従ってハンドオーバーに伴って必要となる無線リソースを確保したりできる。よって、無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dは、ハンドオーバー制御装置20による通信品質を考慮した、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーの制御に寄与できる。そのため、無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dは、ハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質の維持に寄与できる。
【0061】
〔第2の実施の形態〕
図6に示すように、移動通信システム200は、ハンドオーバー制御装置220と、複数の無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dと、移動端末40とを備える。ハンドオーバー制御装置220は、ハンドオーバー先決定部221と、ハンドオーバー制御部222と、システム情報データベース24とを備える。図6において、図1に示した移動通信システム100と実質的に同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
ハンドオーバー先決定部221は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と同様にして、提供可能システムを選択する。そして、ハンドオーバー先決定部221は、提供可能システムが1つの場合には、その無線アクセスシステムをハンドオーバー先に決定する。ハンドオーバー先決定部221は、提供可能システムが複数存在する場合には、その中から任意の無線アクセスシステムをハンドオーバー先に決定してもよく、その中で最も高い通信品質を提供可能な無線アクセスシステムをハンドオーバー先に決定してもよい。以下、ハンドオーバー先決定部221が最初に決定したハンドオーバー先の無線アクセスシステムを「第1ハンドオーバー先」という。ハンドオーバー先決定部221は、第1ハンドオーバー先をハンドオーバー先候補通知と対応付けてハンドオーバー制御部222に通知する。
【0063】
ハンドオーバー制御部222は、ハンドオーバー先決定部221から、ハンドオーバー先候補通知と対応付けられた、第1ハンドオーバー先の通知を取得する。まず、ハンドオーバー制御部222は、図1に示したハンドオーバー制御部22と同様にして、第1ハンドオーバー先に対して必要無線リソースの確保を指示する。そして、ハンドオーバー制御部222は、確保結果通知を無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dから取得する。
【0064】
ハンドオーバー制御部222は、確保結果通知が必要無線リソースを確保できたことを示す場合には、移動端末40又は第1ハンドオーバー先の基地局に指示することにより、第1ハンドオーバー先にハンドオーバーを行うよう制御する。一方、ハンドオーバー制御部222は、確保結果通知が必要無線リソースが確保できなかったことを示す場合にはハンドオーバー先決定部221に確保不可を通知する。
【0065】
ハンドオーバー先決定部221は、確保不可の通知を受けた場合には、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを再度決定する。ハンドオーバー先決定部221は、提供可能システムが複数存在した場合には、第1ハンドオーバー先に決定しなかった提供可能システムの中から新たなハンドオーバー先を決定する。この場合も、その中から任意の無線アクセスシステムをハンドオーバー先に決定してもよく、その中で最も高い通信品質を提供可能な無線アクセスシステムをハンドオーバー先に決定してもよい。
【0066】
一方、ハンドオーバー先決定部221は、提供可能システムが一つだけだった場合には、移動端末40に通信品質を維持できるハンドオーバー先が存在しないことを通知してもよく、所定時間待機後、再度、第1ハンドオーバー先をハンドオーバー先の無線アクセスシステムとして決定してもよい。以下、ハンドオーバー先決定部221が再度決定したハンドオーバー先の無線アクセスシステムを「第2ハンドオーバー先」という。ハンドオーバー先決定部221は、第2ハンドオーバー先をハンドオーバー先候補通知と対応付けてハンドオーバー制御部222に通知する。
【0067】
ハンドオーバー制御部222は、第2ハンドオーバー先に対して必要無線リソースの確保を指示し、確保結果通知を無線リソース管理装置31a,31b,31c,31dから取得する。このように、ハンドオーバー制御部222も、必要無線リソースの確保を再度行う。ハンドオーバー制御部222は、確保結果通知が必要無線リソースを確保できたことを示す場合には、第2ハンドオーバー先にハンドオーバーを行うよう制御する。
【0068】
一方、ハンドオーバー制御部222は、必要無線リソースが確保できなかった場合には、ハンドオーバー先決定部221に確保不可を再度通知する。ハンドオーバー先決定部221は、例えば、所定回数又は所定時間、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムの決定を行い、所定回数又は所定時間に達しても、必要無線リソースを確保できない場合には、移動端末40に通信品質を維持できるハンドオーバー先が存在しないことを通知できる。あるいは、ハンドオーバー先決定部221は、提供可能システムがなくなった時点で、移動端末40に通信品質を維持できるハンドオーバー先が存在しないことを通知してもよい。尚、ハンドオーバー先決定部221、ハンドオーバー制御部222は、これらの点以外は、図1に示したハンドオーバー先決定部21、ハンドオーバー制御部22と実質的に同様である。
【0069】
次に、移動通信システム200におけるハンドオーバー制御方法の手順を図7を用いて説明する。ハンドオーバー制御装置220は、図5に示したステップ(S101)、(S102)と同様のステップ(S201)、(S202)を行う。ハンドオーバー制御装置220は、提供可能システムの中から、ハンドオーバー先の無線アクセスシステム、即ち、第1ハンドオーバ先を決定する(S203)。
【0070】
ハンドオーバー制御装置220は、決定した第1ハンドオーバー先の無線リソースを管理する無線リソース管理装置に必要無線リソースの確保を指示する。そして、ハンドオーバー制御装置220は、第1ハンドオーバー先の無線リソース管理装置から確保結果通知を取得し、必要無線リソースを確保できたか否かを判断する(S204)。ステップ(S204)において、必要無線リソースが確保できた場合には、ハンドオーバー制御装置220は、第1ハンドオーバー先へのハンドオーバーを移動端末40又は第1ハンドオーバー先の基地局に指示する(S205)。
【0071】
一方、ステップ(S204)において、必要無線リソースが確保できなかった場合には、ハンドオーバー制御装置220は、ステップ(S203)に戻り、再度、ハンドオーバー先の無線アクセスシステム、即ち、第2ハンドオーバー先を決定する。ハンドオーバー制御装置220は、現在の無線リソースの使用状況では、第1ハンドオーバ先では必要無線リソースが確保できないという結果に基づいて、提供可能システムの中から第2ハンドオーバー先を決定する。そして、ハンドオーバー制御装置220は、再度、ステップ(S204)に進み、第2ハンドオーバー先の必要無線リソースの確保を試みる。
【0072】
このような移動通信システム200、ハンドオーバー制御装置220及びハンドオーバー制御方法によれば、図1、5に示した移動通信システム100、ハンドオーバー制御装置20及びハンドオーバー制御方法によって得られる効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
【0073】
ハンドオーバー制御部222は、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムの無線リソース管理装置に対して、通信中の通信種別の通信品質に必要な必要無線リソースの確保を指示し、必要無線リソースが確保された場合にはハンドオーバーを行うよう制御し、必要無線リソースが確保できなかった場合にはハンドオーバー先決定部221に確保不可を通知する。そして、ハンドオーバー先決定部221は、確保不可の通知を受けた場合にハンドオーバー先を再度決定する。
【0074】
そのため、ハンドオーバー制御装置220は、一度、ハンドオーバー先を決定して必要無線リソースの確保を指示し、必要無線リソースが確保できなかったという結果に基づいて、再度ハンドオーバー先を決定できる。即ち、ハンドオーバー制御装置220は、現在の無線リソースの使用状況では必要無線リソースが確保できないという結果を用いて、ハンドオーバー先を決定することができる。しかも、ハンドオーバー制御装置220は、必要無線リソースが確保された後にハンドオーバーを行うように制御できるため、より確実に通信品質を確保できる。
【0075】
〔第3の実施の形態〕
図8に示すように、移動通信システム300は、ハンドオーバー制御装置320と、複数の無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dと、移動端末40とを備える。ハンドオーバー制御装置320は、ハンドオーバー先決定部321と、ハンドオーバー制御部222と、システム情報データベース24と、優先順位データベース25と、優先順位取得部26とを備える。図8において、図1、図6に示した移動通信システム100,200と実質的に同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
優先順位データベース25は、移動端末40のユーザにより設定される通信種別毎の無線アクセスシステムの使用優先順位を保持する。優先順位データベース25は、移動端末40のユーザ毎、通信種別毎に、使用優先順位を保持する。又、優先順位データベース25は、ユーザが使用優先順位の設定に用いた設定基準も保持するようにしてもよい。図9に、優先順位データベース25の一例を示す。優先順位データベース25は、ユーザID等の移動端末40の識別情報に対応付けて、通信種別毎の使用優先順位とその設定基準を保持する。具体的には、優先順位データベース25は、ユーザIDに対応付けられたユーザ毎の優先順位テーブル25a,25b〜25nを複数保持する。
【0077】
各優先順位テーブル25a〜25nは、通信種別毎の使用優先順位を保持する。尚、「×」は、その無線アクセスシステムではその通信種別を提供していないことを示す。図9に示す優先順位データベース25は、例えば、ユーザIDが「#a」の移動端末40の通信種別ID「#1」についての使用優先順位として、無線アクセスシステム(#B)が一位、無線アクセスシステム(#A)が二位、無線アクセスシステム(#D)が三位を保持する。又、優先順位データベース25は、ユーザIDが「#a」の移動端末40のユーザが用いた設定基準として、通信種別ID「#1」については「許容遅延」、通信種別ID「#2」については「パケットロス率」を保持する。
【0078】
優先順位取得部26は、移動端末40のユーザが設定した通信種別毎の無線アクセスシステムの使用優先順位やその設定基準を、移動端末40から取得する。優先順位取得部26は、取得した使用優先順位を優先順位データベース25に格納する。移動端末40のユーザは、通信種別毎に、その品質設計値や料金等の観点から無線アクセスシステムの使用優先順位を設定することができる。尚、優先順位取得部26は、例えば、移動端末40のユーザが契約時等に設定した使用優先順位を、通信事業者による外部入力等により取得してもよい。
【0079】
優先順位取得部26は、システム情報データベース24を参照し、無線アクセスシステムが提供していない通信種別には、移動端末40のユーザが優先順位を設定した場合であっても優先順位を優先順位データベース25に格納しないようにする。これにより優先順位に空きが生じる場合には、優先順位取得部26は優先順位を繰り上げる。例えば、図9に示す優先順位データベース25の場合には、優先順位取得部26は、無線アクセスシステムが提供していない通信種別には「×」を格納し、優先順位を繰り上げる。又、優先順位取得部26は、システム情報データベース24からシステム情報を取得し、移動端末40のユーザが使用優先順位を設定する際の参考として、移動端末40に提供してもよい。
【0080】
ハンドオーバー先決定部321は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と同様にして、提供可能システムを選択する。そして、ハンドオーバー先決定部321は、提供可能システムの中から、使用優先順位に基づいてハンドオーバー先の無線アクセスシステム、即ち、第1ハンドオーバー先を決定する。ハンドオーバー先決定部321は、提供可能システムの中から、接続システムにおいて現在通信している通信種別の使用優先順位が最も高い無線アクセスシステムを第1ハンドオーバー先に決定する。ハンドオーバー先決定部321は、ハンドオーバー先候補通知から移動端末40の識別情報を取得する。ハンドオーバー先決定部321は、移動端末40の識別情報に基づいて、優先順位データベース25からその移動端末40のユーザの優先順位を取得し、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムの決定に用いる。
【0081】
例えば、ハンドオーバー先候補通知が図3に示した情報と、ユーザID「#a」と、通信中の通信種別を示す通信種別ID「#1」を含み、システム情報データベース24が図2に示すシステム情報を、優先順位データベース25が図9に示す使用優先順位を保持する場合、ハンドオーバー先決定部321は、図10に示すように、提供可能システムとして無線アクセスシステム(#A)30aと無線アクセスシステム(#B)30bを選択する。更に、ハンドオーバー先決定部321は、ユーザID「#a」の移動端末40のユーザが設定する通信種別ID「#1」の使用優先順位が一位の無線アクセスシステム(#B)30bを、第1ハンドオーバー先に決定する。
【0082】
尚、提供可能システムが1つの場合には、ハンドオーバー先決定部321は、その無線アクセスシステムを第1ハンドオーバー先に決定する。ハンドオーバー先決定部321は、第1ハンドオーバー先をハンドオーバー先候補通知と対応付けてハンドオーバー制御部222に通知する。
【0083】
ハンドオーバー先決定部321は、ハンドオーバー制御部222から確保不可の通知を受けた場合には、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを再度決定する。ハンドオーバー先決定部321は、提供可能システムの中から、通信中の通信種別において、第1ハンドオーバー先の次に使用優先順位が高い無線アクセスシステムを、第2ハンドオーバー先に決定する。例えば、図10の場合、ハンドオーバー先決定部321は、ユーザID「#a」の移動端末40のユーザが設定する通信種別ID「#1」の使用優先順位が二位の無線アクセスシステム(#A)30aを、第2ハンドオーバー先に決定する。ハンドオーバー先決定部321は、第2ハンドオーバー先をハンドオーバー先候補通知と対応付けてハンドオーバー制御部222に通知する。
【0084】
尚、ハンドオーバー先決定部321は、提供可能システムが一つだけだった場合には、図6に示したハンドオーバー先決定部221と同様の処理を行うことができる。又、ハンドオーバー先決定部321は、ハンドオーバー制御部222から確保不可の通知を再度受けた場合にも、図6に示したハンドオーバー先決定部221と同様の処理を行うことができる。又、ハンドオーバー先決定部321は、これらの点以外は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と実質的に同様である。
【0085】
次に、移動通信システム300におけるハンドオーバー制御方法の手順を図11を用いて説明する。ハンドオーバー制御装置320は、図5に示したステップ(S101)、(S102)と同様のステップ(S301)、(S302)を行う。ハンドオーバー制御装置320は、提供可能システムの中から、接続システムにおいて現在通信している通信種別の使用優先順位が最も高い無線アクセスシステムを第1ハンドオーバー先に決定する(S303)。
【0086】
ハンドオーバー制御装置320は、図7に示したステップ(S204)、(S205)と同様のステップ(S304)、(S305)を行う。ステップ(S304)において、必要無線リソースが確保できなかった場合には、ハンドオーバー制御装置320は、ステップ(S303)に戻り、現在の無線リソースの使用状況では、第1ハンドオーバ先では必要無線リソースが確保できないという結果に基づいて、提供可能システムの中から、通信中の通信種別において、第1ハンドオーバー先の次に使用優先順位が高い無線アクセスシステムを、第2ハンドオーバー先に決定する。そして、ハンドオーバー制御装置320は、再度、ステップ(S304)に進み、第2ハンドオーバー先の必要無線リソースの確保を試みる。
【0087】
このような移動通信システム300、ハンドオーバー制御装置320及びハンドオーバー制御方法によれば、図1、5〜7に示した移動通信システム100,200、ハンドオーバー制御装置20,220及びハンドオーバー制御方法によって得られる効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。ハンドオーバー制御装置320は、移動端末40のユーザが通信種別毎に希望する使用優先順位も考慮して、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定できる。よって、移動端末40のユーザが希望する無線アクセスシステムを用いて、移動端末40に良好な通信状態を提供することが可能となる。
【0088】
〔第4の実施の形態〕
図12に示すように、移動通信システム400は、ハンドオーバー制御装置420と、複数の無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dと、移動端末40とを備える。ハンドオーバー制御装置420は、ハンドオーバー先決定部421と、ハンドオーバー制御部222と、無線リソース使用状況収集部23と、システム情報データベース24とを備える。図12において、図1、図6に示した移動通信システム100,200と実質的に同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0089】
ハンドオーバー先決定部421は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と同様にして、提供可能システムを選択する。次に、ハンドオーバー先決定部421は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と同様にして、収集したハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と必要無線リソースに基づいて、提供可能システムの中から、必要無線リソースを確保できる無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムに決定する。ハンドオーバー先決定部421は、決定した無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先候補通知と対応付けてハンドオーバー制御部222に通知する。
【0090】
その後、ハンドオーバー先決定部421は、ハンドオーバー制御部222から確保不可の通知を受ける場合がある。例えば、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定した時点では、必要無線リソースを確保可能であったものの、実際に必要無線リソースを確保する時点で、他の移動端末によりその無線アクセスシステムの無線リソースが使用され、必要無線リソースが確保できなくなってしまう場合等である。
【0091】
この場合には、ハンドオーバー先決定部421は、無線リソース使用状況収集部23に、再度、無線リソースの使用状況を収集するように指示をする。そして、ハンドオーバー先決定部421は、再度収集された無線リソースの使用状況に基づいて、提供可能システムの中から、必要無線リソースを確保できる無線アクセスシステムをハンドオーバー先の無線アクセスシステムとして、再度決定する。そして、ハンドオーバー先決定部421は、再度決定した無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先候補通知と対応付けてハンドオーバー制御部222に通知する。ハンドオーバー先決定部421は、これらの点以外は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と実質的に同様である。
【0092】
次に、移動通信システム400におけるハンドオーバー制御方法の手順を図13を用いて説明する。ハンドオーバー制御装置420は、図5に示したステップ(S101)〜(S104)と同様のステップ(S401)〜(S404)を行う。ハンドオーバー制御装置420は、図7に示したステップ(S204)、(S205)と同様のステップ(S405)、(S406)を行う。ステップ(S405)において、必要無線リソースが確保できなかった場合には、ハンドオーバー制御装置420は、ステップ(S403)、(S404)に戻り、再度、無線リソースの使用状況を収集し、再度、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定する。そして、ハンドオーバー制御装置420は、再度、ステップ(S405)に進み、ハンドオーバー先の必要無線リソースの確保を試みる。
【0093】
このような移動通信システム400、ハンドオーバー制御装置420及びハンドオーバー制御方法によれば、図1、5〜7に示した移動通信システム100,200、ハンドオーバー制御装置20,220及びハンドオーバー制御方法によって得られる効果に加え、無線リソースの使用状況の変化に追従してハンドオーバーを制御でき、より確実に通信品質を確保できるという効果を得ることができる。
【0094】
〔第5の実施の形態〕
図14に示すように、移動通信システム500は、ハンドオーバー制御装置520と、複数の無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dと、移動端末40とを備える。ハンドオーバー制御装置520は、ハンドオーバー先決定部521と、ハンドオーバー制御部222と、無線リソース使用状況収集部23と、システム情報データベース24と、優先順位データベース25と、優先順位取得部26とを備える。図14において、図1、図6、図8に示した移動通信システム100,200,300と実質的に同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
ハンドオーバー先決定部521は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と同様にして、提供可能システムを選択する。次に、ハンドオーバー先決定部521は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と同様にして、収集したハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と必要無線リソースに基づいて、提供可能システムの中から、必要無線リソースを確保できる無線アクセスシステムを選択する。
【0096】
そして、ハンドオーバー先決定部521は、図8に示したハンドオーバー先決定部321と同様にして、必要無線リソースを確保できる無線アクセスシステムの中から、使用優先順位に基づいてハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定する。ハンドオーバー先決定部521は、必要無線リソースを確保できる無線アクセスシステムの中から、接続システムにおいて現在通信している通信種別の使用優先順位が最も高い無線アクセスシステムをハンドオーバー先に決定する。ハンドオーバー先決定部521は、決定した無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先候補通知と対応付けてハンドオーバー制御部222に通知する。
【0097】
その後、ハンドオーバー先決定部521は、ハンドオーバー制御部222から確保不可の通知を受ける場合がある。この場合には、ハンドオーバー先決定部521は、図12に示したハンドオーバー先決定部421と同様にして、無線リソース使用状況収集部23に、再度無線リソースの使用状況を収集するよう指示する。そして、ハンドオーバー先決定部521は、再度収集された無線リソースの使用状況に基づいて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを再度決定し、再度決定した無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先候補通知と対応付けてハンドオーバー制御部222に通知する。ハンドオーバー先決定部521は、これらの点以外は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と実質的に同様である。
【0098】
次に、移動通信システム500におけるハンドオーバー制御方法の手順を図15を用いて説明する。ハンドオーバー制御装置520は、図5に示したステップ(S101)〜(S103)と同様のステップ(S501)〜(S503)を行う。次に、ハンドオーバー制御装置520は、無線リソースの使用状況と必要無線リソースに基づいて、提供可能システムの中から、通信中の通信種別の必要無線リソースを確保できる無線アクセスシステムを選択する(S504)。
【0099】
そして、ハンドオーバー制御装置520は、図11に示したステップ(S303)〜(S305)と同様のステップ(S505)〜(S507)を行う。ステップ(S506)において、必要無線リソースが確保できなかった場合には、ハンドオーバー制御装置420は、ステップ(S503)〜(S505)に戻り、無線リソースの使用状況を再度収集し、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを再度決定する。そして、ハンドオーバー制御装置420は、再度、ステップ(S506)に進み、ハンドオーバー先の必要無線リソースの確保を試みる。
【0100】
このような移動通信システム500、ハンドオーバー制御装置520及びハンドオーバー制御方法によれば、図8、図11に示した移動通信システム300、ハンドオーバー制御装置320及びハンドオーバー制御方法によって得られる効果と、図12、13に示した移動通信システム400、ハンドオーバー制御装置420及びハンドオーバー制御方法によって得られる効果を同時に得ることができる。
【0101】
〔第6の実施の形態〕
図16に示すように、移動通信システム600は、ハンドオーバー制御装置620と、複数の無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dと、移動端末40とを備える。ハンドオーバー制御装置620は、ハンドオーバー先決定部621と、ハンドオーバー制御部22と、無線リソース使用状況収集部23と、システム情報データベース24と、契約情報データベース27と、契約情報取得部28とを備える。図16において、図1に示した移動通信システム100と実質的に同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0102】
契約情報データベース27は、移動端末40が利用可能な無線アクセスシステムや、利用可能な通信種別等の契約情報を保持する。移動端末40のユーザは、事前に無線アクセスシステムを提供する通信事業者と契約を結び、無線アクセスシステムの利用許可を得る。ユーザは通信種別毎に利用許可を得てもよく、無線アクセスシステム毎に利用許可を得てもよい。契約情報には、このような契約により、移動端末40が利用可能な無線アクセスシステムや、利用可能な通信種別等が含まれる。契約情報データベース27は、移動端末40毎に契約情報を保持する。例えば、契約情報データベース27は、ユーザID等の移動端末40の識別情報に対応付けて契約情報を保持する。契約情報取得部28は、通信事業者による外部入力等により、契約情報を取得する。契約情報取得部28は、取得した契約情報を契約情報データベース27に格納する。
【0103】
ハンドオーバー先決定部621は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と同様にして、提供可能システムを選択する。ハンドオーバー先決定部621は、ハンドオーバー先候補通知に含まれる移動端末40の識別情報に基づいて、契約情報データベース27から契約情報を取得する。ハンドオーバー先決定部621は、取得した契約情報に基づいて、提供可能システムの中から移動端末40が利用可能な無線アクセスシステムを選択する。
【0104】
そして、ハンドオーバー先決定部621は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と同様にして、収集したハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と必要無線リソースに基づいて、移動端末40が利用可能な提供可能システムの中から、必要無線リソースを確保できる無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムに決定する。ハンドオーバー先決定部621は、決定した無線アクセスシステムを、ハンドオーバー先候補通知と対応付けてハンドオーバー制御部22に通知する。ハンドオーバー先決定部621は、これらの点以外は、図1に示したハンドオーバー先決定部21と実質的に同様である。
【0105】
このように、ハンドオーバー制御装置620が、契約情報データベース27、契約情報取得部28を備えることにより、移動端末40がアクセスし、利用可能な無線アクセスシステムを予めコアネットワーク10側で管理することができる。そして、ハンドオーバー先決定部621が、契約情報に基づいてハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定することにより、ハンドオーバー制御装置620は、契約情報を考慮して適切にハンドオーバーを制御できる。
【0106】
尚、図6、図12に示したハンドオーバー制御装置220,420も、契約情報データベース27、契約情報取得部28を備えることができ、ハンドオーバー先決定部221,421は、契約情報に基づいてハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定することができる。
【0107】
〔第7の実施の形態〕
図17に示すように、移動通信システム700は、ハンドオーバー制御装置720と、複数の無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30dと、移動端末40とを備える。ハンドオーバー制御装置720は、ハンドオーバー先決定部321と、ハンドオーバー制御部22と、システム情報データベース24と、優先順位データベース25と、優先順位取得部726と、契約情報データベース27と、契約情報取得部28とを備える。図17において、図1、図8、図16に示した移動通信システム100,300,600と実質的に同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0108】
優先順位取得部726は、移動端末40から使用優先順位を取得すると、その移動端末40の識別情報に基づいて、契約情報データベース27から契約情報を取得する。優先順位取得部726は、契約情報に基づいて、移動端末40が使用優先順位を設定する無線アクセスシステムや通信種別の中に、移動端末40が利用できない無線アクセスシステムが含まれていないか否かを判断する。
【0109】
優先順位取得部726は、移動端末40が利用できない無線アクセスシステムや通信種別には、移動端末40が優先順位を設定した場合であっても、優先順位データベース25に優先順位を格納しないようにする。これにより優先順位に空きが生じる場合には、優先順位取得部726は優先順位を繰り上げる。例えば、図9に示す優先順位データベース25の場合には、優先順位取得部726は、移動端末40が利用できない無線アクセスシステムや通信種別に「×」を格納し、優先順位を繰り上げる。又、優先順位取得部726は、契約情報データベース27から契約情報を取得し、移動端末40が使用優先順位を設定する際の参考として、移動端末40に提供してもよい。
【0110】
このようにハンドオーバー制御装置720では、優先順位取得部726が契約情報を考慮して優先順位データベース25を構築できる。そのため、ハンドオーバー先決定部321は、優先順位データベース25に保持される使用優先順位を用いるだけで、契約情報を考慮したハンドオーバーの制御を容易に行うことができる。尚、図14に示したハンドオーバー制御装置520も、契約情報データベース27、契約情報取得部28、優先順位取得部726を備えることができる。
【0111】
〔第8の実施の形態〕
図18に示すように、移動通信システム800は、ハンドオーバー制御装置820と、複数のネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50bと、複数の無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30c、無線アクセスシステム(#D)30d、無線アクセスシステム(#E)30e、無線アクセスシステム(#F)30fと、移動端末40とを備える。
【0112】
ハンドオーバー制御装置820は、ハンドオーバー先決定部21と、ハンドオーバー制御部822と、無線リソース使用状況収集部23と、システム情報データベース24とを備える。
【0113】
無線アクセスシステム(#E)30e、無線アクセスシステム(#F)30fはそれぞれ無線リソース管理装置31e,31fと、基地局32e,32fを備える。図18において、図1に示した移動通信システム100と実質的に同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0114】
ネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50bは、コアネットワーク810に設けられる。コアネットワーク810は、複数のMSC(Mobile Switching Center)60a,60bと、複数のSGSN(Serving GPRS Support Node)70a,70bと、GMSC(Gateway MSC)80aと、GGSN(Gateway GPRS Support Node)80bと、ATM(Asynchronous Transfer Mode)網90とを備える。
【0115】
MSC60aは、無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30cに接続する移動端末40の回線交換方式による通信を制御する、無線アクセスシステム側の回線交換機である。MSC60bは、無線アクセスシステム(#D)30d、無線アクセスシステム(#E)30e、無線アクセスシステム(#F)30fに接続する移動端末40の回線交換方式による通信を制御する、無線アクセスシステム側の回線交換機である。GMSC80aは、他のネットワークと接続する、他ネットワーク側の回線交換機である。
【0116】
SGSN70aは、無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30cに接続する移動端末40のパケット交換方式による通信を制御する、無線アクセスシステム側のパケット交換機である。SGSN70bは、無線アクセスシステム(#D)30d、無線アクセスシステム(#E)30e、無線アクセスシステム(#F)30fに接続する移動端末40のパケット交換方式による通信を制御する、無線アクセスシステム側のパケット交換機である。GGSN80bは、他のネットワークと接続する、他ネットワーク側のパケット交換機である。
【0117】
ATM網90は、無線アクセスシステム側のMSC60a,60bと他ネットワーク側のGMSC80aとの間、無線アクセスシステム側のSGSN70a,70bと他ネットワーク側のGGSN80bとの間で、転送を行う転送網である。ATM網90は、複数のルータ91を備える。
【0118】
ネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50bは、コアネットワーク810のネットワークリソースを管理する。ネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50bは、ハンドオーバー制御装置820によるネットワークリソースの確保の指示に従って、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワーク810のネットワークリソースを確保する。
【0119】
ネットワークリソース管理装置(#A)50aは、無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30cに接続する移動端末40が利用するネットワークリソースを管理する。具体的には、無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30cに接続する移動端末40が利用するMSC60a及びSGSN70aのリソースや、MSC60aからGMSC80a、SGSN70aからGGSN80bにデータを転送するためのATM網90のリソースを管理する。
【0120】
ネットワークリソース管理装置(#B)50bは、無線アクセスシステム(#D)30d、無線アクセスシステム(#E)30e、無線アクセスシステム(#F)30fに接続する移動端末40が利用するネットワークリソースを管理する。具体的には、無線アクセスシステム(#D)30d、無線アクセスシステム(#E)30e、無線アクセスシステム(#F)30fに接続する移動端末40が利用するMSC60b及びSGSN70bのリソースや、MSC60bからGMSC80a、SGSN70bからGGSN80bにデータを転送するためのATM網90のリソースを管理する。
【0121】
このように、無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30cは、ネットワークリソース管理装置(#A)50aに収容されている。無線アクセスシステム(#D)30d、無線アクセスシステム(#E)30e、無線アクセスシステム(#F)30fは、ネットワークリソース管理装置(#B)50bに収容されている。又、ネットワークリソースには、例えば、MSC60a,60b、SGSN70a,70b、ATM網90の処理能力やデータ蓄積容量等がある。
【0122】
ネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50bはそれぞれ、ハンドオーバー制御装置820からネットワークリソースの確保の指示5を取得すると、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワーク810のリソースを確保する。
【0123】
具体的には、ネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50bは、ハンドオーバ先と、通信中の通信種別やその通信品質を指定したネットワークリソースの確保の指示を取得する。そして、例えば、ハンドオーバー先として無線アクセスシステム(#C)30c、通信中の通信種別として回線交換方式による音声通話を指定された場合、ネットワークリソース管理装置(#A)50aは、MSC60aのリソースと、MSC60aからGMSC80aまでの転送経路上のルータ91のリソースを確保し、コアネットワーク810内に移動端末40のユーザデータ(音声データ)を転送する経路7a(ネットワークベアラ)を設定する。
【0124】
又、例えば、ハンドオーバー先として無線アクセスシステム(#D)30d、通信中の通信種別としてパケット通信及びその許容遅延を指定された場合、ネットワークリソース管理装置(#B)50bは、SGSN70bのリソースと、SGSN70bからGGSN80bまでの転送経路上のルータ91のリソースを、許容遅延を満たすことができるように確保し、コアネットワーク810内に移動端末40のユーザデータを転送する経路7b(ネットワークベアラ)を設定する。
【0125】
ネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50bは、指示されたネットワークリソースの確保が終了すると、確保終了通知6をハンドオーバー制御装置820に提供する。
【0126】
ハンドオーバー制御部822は、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワーク810のネットワークリソースの確保を、ネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50bに指示する。
【0127】
具体的には、ハンドオーバー制御部822は、予め、ネットワークリソース管理装置と、ネットワークリソース管理装置が管理するネットワークリソースがいずれの無線アクセスシステムと関係するものであるかを保持しておく。即ち、ハンドオーバー制御部822は、ネットワークリソース管理装置と、ネットワークリソース管理装置に収容されている無線アクセスシステムとの対応関係(以下「対応関係情報」という)を保持する。
【0128】
図18の場合、ハンドオーバー制御部822は、ネットワークリソース管理装置(#A)50aと、無線アクセスシステム(#A)30a、無線アクセスシステム(#B)30b、無線アクセスシステム(#C)30cとを対応付け、ネットワークリソース管理装置(#B)50bと、無線アクセスシステム(#D)30d、無線アクセスシステム(#E)30e、無線アクセスシステム(#F)30fとを対応付けて、対応関係情報として保持する。
【0129】
そして、ハンドオーバー制御部822は、現在接続している無線アクセスシステムと、決定したハンドオーバー先と、対応関係情報に基づいて、移動端末40が利用するネットワークリソースを管理するネットワークリソース管理装置が、ハンドオーバーにより変更されるか否かを判断する。即ち、ハンドオーバー制御部822は、ハンドオーバーに伴ってコアネットワーク810内を転送されるユーザデータの経路(ネットワークベアラ)が変更され、そのためのネットワークリソースを確保するネットワークリソース管理装置が変更されるか否かを判断する。
【0130】
例えば、移動端末40が、現在、無線アクセスシステム(#C)30cに接続しており、ハンドオーバー先が無線アクセスシステム(#D)30dの場合には、無線アクセスシステムが収容されているネットワークリソース管理装置が、ハンドオーバーによりネットワークリソース管理装置(#A)50aからネットワークリソース管理装置(#B)50bに変更されると判断する。
【0131】
一方、移動端末40が、現在、無線アクセスシステム(#C)30cに接続しており、ハンドオーバー先が無線アクセスシステム(#B)30bの場合には、無線アクセスシステムが収容されているネットワークリソース管理装置が、ハンドオーバーにより変更されず、ネットワークリソース管理装置(#A)50aのままであると判断する。
【0132】
ハンドオーバー制御部822は、ネットワークリソース管理装置が変更されると判断した場合には、変更先のネットワークリソース管理装置にネットワークリソースの確保の指示5を送信し、確保を指示する。具体的には、ハンドオーバー制御部822は、ハンドオーバー先と、通信中の通信種別やその通信品質を指定して指示を行う。
【0133】
ハンドオーバー制御部822は、確保終了通知6をネットワークリソース管理装置50a,50bから取得する。ハンドオーバー制御部822は、無線リソース管理装置からの確保結果通知3が無線リソースを確保できたことを示し、確保終了通知6を取得した場合には、無線リソース及びネットワークリソースが確保できたことを確認できる。そして、ハンドオーバー制御部822は、決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムへのハンドオーバーを指示する。
【0134】
尚、これらの点以外は、ハンドオーバー制御部822は、図1に示したハンドオーバー制御部22と実質的に同様である。又、ネットワークリソース確保の指示5、確保終了通知6等は、図18中点線で示される制御データとしてやりとりされる。
【0135】
次に、移動通信システム800におけるハンドオーバー制御方法の手順を図19を用いて説明する。移動端末40は、ハンドオーバー制御装置820にハンドオーバー先候補通知1を送信する(S601)。ハンドオーバー制御装置820は、図5に示すステップ(S102)〜(S104)等と同様にして、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定する(S602)。ここでは、ハンドオーバー先が無線アクセスシステム(#D)30dに決定された場合を例にとって説明する。
【0136】
ハンドオーバー制御装置820は、決定したハンドオーバー先の無線アクセスシステム(#D)30の無線リソース管理装置31dに必要無線リソースの確保の指示2を送信する(S603)。更に、ハンドオーバー制御装置820は、ハンドオーバーにより、ネットワークリソース管理装置が変更されるか否かを判断する(S604)。
【0137】
ハンドオーバー制御装置802は、例えば、現在、移動端末40が無線アクセスシステム(#C)30cに接続している場合には、ハンドオーバーによりネットワークリソース管理装置(#A)50aからネットワークリソース管理装置(#B)50bに変更されると判断する。そして、ハンドオーバー制御装置820は、ネットワークリソース管理装置(#B)50bにネットワークリソース確保の指示5を送信する(S605)。
【0138】
指示を受けた無線リソース管理装置31dは、必要無線リソースを確保し(S606)、確保結果通知3をハンドオーバー制御装置820に送信する(S607)。更に、ネットワークリソース管理装置(#B)50bも、ネットワークリソースを確保して、コアネットワーク810内に移動端末40のユーザデータを転送する経路7b(ネットワークベアラ)を設定する(S608)。ネットワークリソース管理装置(#B)50bは、確保終了通知6をハンドオーバー制御装置820に送信する(S609)。
【0139】
ハンドオーバー制御装置820は、確保結果通知3及び確保終了通知6により、無線リソースとネットワークリソースの両者が確保されたことを確認すると、例えば、移動端末40に切り替え指示4を送信し、ハンドオーバーを指示する(S610)。そして、移動端末40が、ハンドオーバーを実行する(S611)。
【0140】
尚、ステップ(S604)において、ハンドオーバー制御装置820は、例えば、現在、移動端末40が無線アクセスシステム(#E)30eに接続している場合には、ハンドオーバーによりネットワークリソース管理装置が変更されないと判断する。この場合、ハンドオーバー制御装置820は、ネットワークリソース管理装置(#B)50bへの指示は行わず、無線リソース管理装置31dから確保結果通知3を取得し、無線リソースの確保を確認すると、ハンドオーバーを指示する(S610)。
【0141】
このような移動通信システム800、ハンドオーバー制御装置820、ネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50b、ハンドオーバー制御方法によれば、ハンドオーバーに伴って必要となる無線リソースだけでなく、コアネットワーク810のネットワークリソースも確保することができる。そのため、より確実にハンドオーバー後もハンドオーバー前に行っていた通信種別で要求される通信品質を維持することができる。又、ネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50bは、ハンドオーバー制御装置820による通信品質を考慮した、異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーの制御に寄与できる。
【0142】
尚、図6、図8、図12、図14、図16、図17に示した移動通信システム200,300,400,500,600,700も、コアネットワーク810に設けられるネットワークリソース管理装置(#A)50a、ネットワークリソース管理装置(#B)50bを備えることができる。そして、ハンドオーバー制御装置220,320,420,520,620,720も、ハンドオーバー制御部822のネットワークリソースの確保を指示する機能を備えることができる。又、ネットワークリソース管理装置が管理するネットワークリソースの種類は限定されず、例えば、コアネットワークに設けられたルータのリソース等も管理できる。
【0143】
〔変更例〕
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、ハンドオーバー制御装置20,220,320,420,520,620,720,820は、移動端末40のユーザの希望料金を保持する希望料金データベースを備えるようにようにしてもよい。この場合、図2に示したシステム情報データベース24は、無線アクセスシステム毎、通信種別毎の料金を保持するようにする。そして、ハンドオーバー先決定部21,221,321,421,521,621は、システム情報データベース24と希望料金データベースを参照することにより、料金も考慮してハンドオーバー先を決定してもよい。
【0144】
又、上記実施の形態では、ハンドオーバー先候補通知に現在通信中の通信種別が含まれている場合を例にとって説明したが、ハンドオーバー制御装置20,220,320,420,520,620,720,820は、現在通信中の通信種別を保持する通信種別データベースを備えてもよい。通信種別データベースは、移動端末40の識別情報と、その通信中の通信種別を対応付けて保持する。例えば、ハンドオーバー制御部22,222が、移動端末40の通信開始時や通信種別変更時に無線アクセスシステム又は移動端末40から、移動端末40の識別情報と対応付けて現在通信中の通信種別を取得し、通信種別データベースに登録、更新できる。
【0145】
この場合、移動端末40は、ハンドオーバー先候補通知に現在通信中の通信種別を含める必要はない。又、ハンドオーバー先決定部21,221,321,421,521,621は、現在通信中の通信種別をハンドオーバー先候補通知から取得するのではなく、通信種別データベースから取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るシステム情報データベースを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るハンドオーバー先候補通知を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る無線アクセスシステムの選択方法を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るハンドオーバー制御方法の手順を示すフロー図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るハンドオーバー制御方法の手順を示すフロー図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る優先順位データベースを示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るハンドオーバー先の無線アクセスシステムの決定方法を説明する図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るハンドオーバー制御方法の手順を示すフロー図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係るハンドオーバー制御方法の手順を示すフロー図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係るハンドオーバー制御方法の手順を示すフロー図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図17】本発明の第7の実施の形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図18】本発明の第8の実施の形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図19】本発明の第8の実施の形態に係るハンドオーバー制御方法の手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0147】
10,810 コアネットワーク
20,220,320,420,520,620,720,820 ハンドオーバー制御装置
21,221,321,421,521,621 ハンドオーバー先決定部
22,222,822 ハンドオーバー制御部
23 無線リソース使用状況収集部
24 システム情報データベース
25 優先順位データベース
26,726 優先順位取得部
27 契約情報データベース
28 契約情報取得部
30a 無線アクセスシステム(#A)
30b 無線アクセスシステム(#B)
30c 無線アクセスシステム(#C)
30d 無線アクセスシステム(#D)
30e 無線アクセスシステム(#E)
30f 無線アクセスシステム(#F)
31a,31b,31c,31d,31e,31f 無線リソース管理装置
32a,32b,32c,32d,32e,32f 基地局
40 移動端末
100,200,300,400,500,600,700,800 移動通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末が接続中の無線アクセスシステムにおいて通信中の通信種別の通信品質と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と、前記ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供する通信種別の通信品質とに基づいて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定するハンドオーバー先決定部と、
該決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うよう制御するハンドオーバー制御部と
を備えることを特徴とするハンドオーバー制御装置。
【請求項2】
前記ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムに前記無線リソースの使用状況の提供を指示し、前記無線リソースの使用状況を収集する無線リソース使用状況収集部を備え、
前記ハンドオーバー先決定部は、前記収集された無線リソースの使用状況を用いて、前記ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定することを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバー制御装置。
【請求項3】
前記ハンドオーバー制御部は、前記ハンドオーバー先の無線アクセスシステムに対して、前記通信中の通信種別の通信品質に必要な必要無線リソースの確保を指示し、前記必要無線リソースが確保された場合にはハンドオーバーを行うよう制御し、前記必要無線リソースが確保できない場合には前記ハンドオーバー先決定部に確保不可を通知し、
前記ハンドオーバー先決定部は、前記確保不可の通知を受けた場合に前記ハンドオーバー先を再度決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のハンドオーバー制御装置。
【請求項4】
前記ハンドオーバー先決定部は、前記移動端末のユーザにより設定される前記通信種別毎の無線アクセスシステムの使用優先順位に基づいて、前記ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のハンドオーバー制御装置。
【請求項5】
前記ハンドオーバー制御部は、前記ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワークのネットワークリソースの確保を、該ネットワークリソースを管理するネットワークリソース管理装置に指示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハンドオーバー制御装置。
【請求項6】
異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーを制御するハンドオーバー制御装置による無線リソースの使用状況の提供の指示又は前記無線リソースの確保の指示の少なくとも1つに従って、前記無線リソースの使用状況の前記ハンドオーバー制御装置への提供又は前記無線リソースの確保の少なくとも1つを行うことを特徴とする無線リソース管理装置。
【請求項7】
異なる無線アクセスシステム間のハンドオーバーを制御するハンドオーバー制御装置によるコアネットワークのネットワークリソースの確保の指示に従って、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワークのネットワークリソースを確保することを特徴とするネットワークリソース管理装置。
【請求項8】
移動端末が接続中の無線アクセスシステムにおいて通信中の通信種別の通信品質と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と、前記ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供する通信種別の通信品質とに基づいて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定し、該決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うよう制御するハンドオーバー制御装置と、
該ハンドオーバー制御装置による無線リソースの使用状況の提供の指示又は前記無線リソースの確保の指示の少なくとも1つに従って、前記無線リソースの使用状況の前記ハンドオーバー制御装置への提供又は前記無線リソースの確保の少なくとも1つを行う無線リソース管理装置と
を備えることを特徴とする移動通信システム。
【請求項9】
前記ハンドオーバー制御装置によるコアネットワークのネットワークリソースの確保の指示に従って、前記ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワークのネットワークリソースを確保するネットワークリソース管理装置を備えることを特徴とする請求項8に記載の移動通信システム。
【請求項10】
移動端末が接続中の無線アクセスシステムにおいて通信中の通信種別の通信品質と、ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムにおける無線リソースの使用状況と、前記ハンドオーバー先候補の無線アクセスシステムが提供する通信種別の通信品質とに基づいて、ハンドオーバー先の無線アクセスシステムを決定し、
該決定されたハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うよう制御することを特徴とするハンドオーバー制御方法。
【請求項11】
前記通信中の通信種別の通信品質に必要な必要無線リソースを、前記ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにおいて確保することを特徴とする請求項10に記載のハンドオーバー制御方法。
【請求項12】
前記ハンドオーバー先の無線アクセスシステムにハンドオーバーを行うことにより必要となるコアネットワークのネットワークリソースを確保することを特徴とする請求項10又は11に記載のハンドオーバー制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−20270(P2006−20270A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306146(P2004−306146)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】