説明

バイアフィルおよび写真平版用途のための反射防止コーティングならびにその調製方法

【課題】a)紫外線スペクトル領域において強力かつ均一に吸収でき、b)レジスト材料を、「倒れ込み」および意図したレジストラインの外側への広がりまたは内側への接触から守ることができ、およびc)フォトレジスト現像剤に対して不浸透性であることのできる反射防止コーティングならびにスピンオンガラス反射防止コーティングの製造方法を提供。
【解決手段】吸収組成物は、少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物および少なくとも1つの材料変性剤を含む。更に、吸収組成物の製造方法は、a)少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの材料変性剤、および1つまたは複数の溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程であって、少なくとも1つの材料変性剤が、少なくとも1つの酸および水を含む工程、およびb)反応混合物を、吸収材料、コーティングまたはフィルムに形成する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、反射防止/吸収組成物およびコーティング材料に関し、更に詳しくは、写真平版およびバイアフィル用途における使用のための反射防止/吸収組成物およびコーティング材料ならびに該材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速作動要件に対処するため、集積回路装置の特徴的形状寸法は、減少され続けている。より小さな形状サイズを持つ装置の製造には、半導体製造において通常使用される多くの方法において新たな挑戦が持たらされる。これらの製造方法の最も重要なものの1つは、写真平版である。
【0003】
有機ポリマーフィルム、特に、フォトレジストを暴露するために通常使用されるi−線(365nm)およびg−線(436nm)波長ならびに最近使用される157nm、193nm、248nm波長において吸収するフィルムは、反射防止コーティングとして使用されまたはテストされている。然しながら、有機ARCが、有機フォトレジストと多くの化学的性質を共有する事実は、使用可能な処理手順を制限することになる。更に、有機および無機ARCを含めたARCは、フォトレジスト層と相互混合する可能性がある。有機および無機ARCは、それらが十分に焼成または硬化されない場合は、フォトレジスト層と混合してしまう。
【0004】
相互混合を避けるための1つの解決手段は、例えば、米国特許第5693691号(Flaim et al.)において記載されている様に、有機ARCの追加成分として熱硬化性結合剤を導入することである。染料もまた、有機ARCに導入されてもよく、同様に、場合によっては、米国特許第4910122号(Amold et al.)において記載されている様に、湿潤剤、接着促進剤、防腐剤および可塑剤等の追加の添加剤を導入してもよい。相互混合を避けるためのその他の試みは、米国特許第6268108号(Iguchi et al.に対して発行された)において見出される。然しながら、イグチ(Iguchi)において見出される反射防止コーティングを形成するための組成物は、化学線で照射して、架橋作用を活性化する酸を生成させねばならない。これらの先行特許は、相互混合を伴う問題の幾つかに取り組んでいるが、結合されるARC層の故のレジストエッジにおける86〜90度の均一性の欠如の問題は、従来技術においては注目されていない。
【0005】
フォトレジストおよび反射防止コーティングは、反射防止コーティングおよび/またはレジスト材料の化学的性質が、一度パターンがレジスト中に現像されると、レジストに、「倒れ込み」を引き起こす範囲にまで互いに影響する。換言すれば、パターン化されたレジスト側壁は、フォトレジスト現像後に、反射防止コーティングに関してほぼ90度の角度を維持することができない。代わって、レジストは、反射防止コーティングに関して120度または80度の角度を持つ。これらの不完全度は、フォトレジスト材料および反射防止コーティングが、必ずしも、化学的に、物理的にまたは機械的に相溶性ではないことの表れである。
【0006】
フォトレジストおよび反射防止コーティングは、基準以下または容認できないエッチング選択性またはストリッピング選択性を有することもある。貧弱なエッチング選択性および/またはストリッピング選択性は、フィルムに対して低いエッチング速度をもたらすことになる。貧弱なエッチング選択性はまた、エッチング工程を経る印刷工程からの臨界寸法の転送を貧弱なものとする。日本特許出願第2001−92122号(2001年4月6日公開)において見られる様に、シラン化合物を特定のシラン化合物に縮合させることのできる置換基を伴う、高度に吸収する物質を用意することによってエッチング速度を改善するための試みがなされている。然しながら、これらの反応性化合物で得られるエッチング選択性は、殆どのフォトレジストおよび反射防止コーティングにとって十分なものではなく、なくてもよい更なる化学的反応工程を必要とする。
【0007】
更に、フォトレジストおよび反射防止コーティングは、多くの場合、表面のいかなる平坦化も大幅に妥協させられる点に対して、バイア構造におけるフィルバイアスおよび空隙形成を伴う困難性を有する。多くの場合、エッチング選択性を増加させることならびにフィルバイアスおよび空隙形成を最小化することのこの2つの目標は互いに直接抵触し、これが、用途の各グループの目標を再検討し理解することが何故重要であるかの理由である。また、バイア配列を十分に充填しおよび平坦化するためには、比較的厚い反射防止コーティングが存在することが必要である。ARCコーティングが有機である場合、その様な厚いコーティングは、フィルムスタックを通して、パターン化された様な臨界寸法の正確な転送を更に危うくする。
【0008】
低誘電率(約3未満)材料または超低誘電率(約2未満)材料によるバイアファストトレンチラスト(VFTL)銅二重ダマシンパターン化は、極めて困難である。このタイプのパターン化の持つ問題の1つは、犠牲的充填材料の低誘電率材料からの選択的除去である。以前の研究は、Si−O充填材料(UV吸収または透過のいずれか)が、誘電層がSi−Oをベースとする場合には、最適な材料基盤であることを示している。
【0009】
犠牲的充填材料の除去選択性を改善するためには、これを誘電材料に関して化学的に弱体化することができる。ポロゲンまたは高沸点溶媒は、充填材料に添加してそれを弱体化することができる。然しながら、フォトレジスト現像剤抵抗性を達成するためには、Si−Oベースの充填材料は、十分に高い温度までまたは温度で焼成して架橋を確実にする必要があり、またはポロゲン含有量を低く抑える必要がある。フォトレジスト現像剤抵抗性を達成するために設計されたこれらの方法は共に、充填材料を強化することに関して機能するが、充填材料の除去選択性は著しく減少される。
【0010】
反射防止層として使用することのできる材料のクラスは、染料を含むスピンオンガラス(SOG)組成物である。ヤウ等(Yau et al.,米国特許第4587138号)は、約1重量%の量においてスピンオンガラスと混合した塩基性イエロー#11等の染料を開示している。アルマン等(Allman et al.)(米国特許第5100503号)は、TiO、Cr、MoO、MnO、またはScO等の無機染料および接着促進剤を含む架橋ポリ有機シロキサンを開示している。アルマンは、更に、スピンオンガラス組成物が、平坦化層として役立つことを教示している。然しながら、今日まで開示されているスピンオンガラス、染料の組合せは、小さな形状サイズを伴う装置を製造するために用いられることになる深度紫外線、特に、248および193nmの光源に暴露するのに最適ではない。更に、全ての染料が、不特定のスピンオンガラス組成物の中に容易に導入できるわけではない。また、これらのARCが、先に述べられた有機ARCよりも化学的に相違するとしても、結合されるレジスト層は、ARC層およびレジスト層の化学的、物理的および機械的非相溶性に基づいて、現像された後に、依然として、「倒れ込み」を受けることがあり、これは、レジスト材料および反射防止コーティングの結合を試みる時の一般的な問題である。
【0011】
a)紫外線スペクトル領域において強力におよび均一に吸収でき、b)レジスト材料を、「倒れ込み」および意図したレジストラインの外側への広がりまたは内側への接触から守ることができ、およびc)フォトレジスト現像剤に対して不浸透性であることのできる反射防止コーティングならびにスピンオンガラス反射防止コーティングの製造方法の開発に当って、バルドウイン等(Baldwin et al.)は、米国特許第6268457号(2001年7月31日発行);米国特許第6365765号(2002年4月2日発行);米国特許第6368400号(2002年4月9日発行);米国特許出願第09/491166号(2000年1月26日出願);第10/012651号(2001年11月5日出願);第10/012649号(2001年11月5日出願);第10/001143号(2001年11月15日出願);PCT出願第PCT/US00/15772号(2000年6月8日出願);国際公開第02/06402号(2001年7月12日出願);第PCT/US01/45306号(2001年11月15日出願);係属PCT出願(2002年10月31日出願)(出願番号未定);欧州特許出願第00941275.0号(2000年6月6日出願);および第01958953.0号(2001年7月17日)(これらは全て一般に譲渡されており、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)において見出される材料およびコーティングを含めて、通常の反射防止コーティングよりも優れる幾つかの反射防止コーティングを開発した。然しながら、これらの材料の全てを含めて、エッチング選択性および/またはストリッピング選択性を改善し、リソグラフィー機能を改善しおよびフィルバイアスを最小化するように、該明細書において記載される材料、コーティングおよびフィルムを変性することができることが有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5693691号
【特許文献2】米国特許第4910122号
【特許文献3】米国特許第6268108号
【特許文献4】特開2001−92122号公報
【特許文献5】米国特許第4587138号
【特許文献6】米国特許第5100503号
【特許文献7】米国特許第6268457号
【特許文献8】米国特許第6365765号
【特許文献9】米国特許第6368400号
【特許文献10】米国特許出願第09/491166号
【特許文献11】米国特許出願第10/012651号
【特許文献12】米国特許出願第10/012649号
【特許文献13】米国特許出願第10/001143号
【特許文献14】米国特許出願第00/15772号
【特許文献15】国際公開第02/06402号
【特許文献16】米国特許出願第01/45306号
【特許文献17】欧州特許出願第00941275.0号
【特許文献18】欧州特許出願第01958953.0号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、a)紫外線スペクトル領域において強力におよび均一に吸収し、b)レジスト材料を、「倒れ込み」および意図したレジストラインの外側への広がりまたは内側への接触から守ることができ、c)フォトレジスト現像剤に対して不浸透性である吸収/反射防止コーティングおよびリソグラフィー材料、ならびにそのSOG反射防止コーティングの製造方法が、d)エッチング選択性および/またはストリッピング選択性の増加のあらゆる目標を満足させることができ、e)バイア構造におけるフィルバイアスおよび空隙形成を最小化するあらゆる目標を満足させることができ、f)安定で良好な保存寿命を有する溶液を形成することができ、g)ArFを利用するものを含めて、様々なリソグラフパターン技術と互換性があり、h)スピンコーティングまたは化学蒸着(CVD)等のあらゆる適当な適用方法によって表面に適用ができ、i)バイアフィルおよび平坦化ができ、j)良好な湿潤エッチングおよび乾燥エッチング速度を有し、およびk)ロジック用途およびフラッシュ用途を含めて、多数の用途、成分および材料において利用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書において、少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物および少なくとも1つの材料変性剤を含む吸収組成物が記載される。
【0015】
更に、a)少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの材料変性剤、酸/水混合物、および1つまたは複数の溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程、およびb)反応混合物を、室温において吸収組成物に形成する工程を含む吸収組成物の製造方法が記載される。
【0016】
その他の吸収組成物の製造方法は、a)少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの材料変性剤、酸/水混合物、および1つまたは複数の溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程、およびb)反応混合物を加熱して、吸収組成物を形成する工程を含む。
【0017】
なおその他の吸収組成物の製造方法は、a)少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの材料変性剤、および1つまたは複数の溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程であって、少なくとも1つの材料変性剤が少なくとも1つの酸および水を含む工程、およびb)反応混合物を加熱して、吸収材料、コーティングまたはフィルムを形成する工程を含むことが記載される。
【0018】
本明細書において記載されるその他の吸収組成物の製造方法は、a)少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの材料変性剤、および1つまたは複数の溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程であって、少なくとも1つの材料変性剤が、少なくとも1つの酸および水を含む工程、およびb)反応混合物を、吸収材料、コーティングまたはフィルムに形成する工程を含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】検討対象の吸収化合物の化学式を示す図である。
【図1B】検討対象の吸収化合物の化学式を示す図である。
【図1C】検討対象の吸収化合物の化学式を示す図である。
【図1D】検討対象の吸収化合物の化学式を示す図である。
【図1E】検討対象の吸収化合物の化学式を示す図である。
【図1F】検討対象の吸収化合物の化学式を示す図である。
【図2】検討対象の実施形態に対するTGA分析データを示す図である。
【図3】検討対象の実施形態に対するTGA分析データを示す図である。
【図4】検討対象の実施形態に対するTGA分析データを示す図である。
【図5】検討対象の実施形態に対するTGA分析データを示す図である。
【図6】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度についての効果を示す図である。
【図7】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度データおよびフィルム性データを示す図である。
【図8】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度データおよびフィルム性データを示す図である。
【図9】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度データおよびフィルム性データを示す図である。
【図10】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度データおよびフィルム性データを示す図である。
【図11】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度データおよびフィルム性データを示す図である。
【図12】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度データおよびフィルム性データを示す図である。
【図13】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度データおよびフィルム性データを示す図である。
【図14】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度データおよびフィルム性データを示す図である。
【図15】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度データおよびフィルム性データを示す図である。
【図16】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討を示す図である。
【図17】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討を示す図である。
【図18】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討を示す図である。
【図19】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討を示す図である。
【図20】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討を示す図である。
【図21】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討を示す図である。
【図22】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討を示す図である。
【図23】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討を示す図である。
【図24】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討を示す図である。
【図25】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討を示す図である。
【図26】検討対象の吸収組成物に対する、水接触角、n&kデータおよび分子量データを示す図である。
【図27】検討対象の吸収組成物に対する、FTIRデータを示す図である。
【図28】幾つかの検討対象の吸収組成物を使用して展開される温度マトリックスを示す、表3を示す図である。
【図29】幾つかの検討対象の吸収組成物を使用して展開される温度マトリックスを示す、表4を示す図である。
【図30】幾つかの検討対象の吸収組成物を使用して展開される温度マトリックスを示す、表5を示す図である。
【図31】幾つかの検討対象の吸収組成物を使用して展開される温度マトリックスを示す、表6を示す図である。
【図32】幾つかの検討対象の吸収組成物を使用して展開される温度マトリックスを示す、表7を示す図である。
【図33】幾つかの検討対象の吸収組成物を使用して展開される温度マトリックスを示す、表8を示す図である。
【図34】幾つかの検討対象の吸収組成物を使用して展開される温度マトリックスを示す、表9を示す図である。
【図35】検討対象の吸収組成物に対する湿潤エッチング速度の生データを示す、表10を示す図である。
【図36】検討対象の吸収組成物に対する湿潤エッチング速度の生データを示す、表11を示す図である。
【図37】検討対象の吸収組成物の窒素含有量を示す、表12を示す図である。
【図38】幾つかの検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度データおよびフィルム性状データを示す、表13を示す図である。
【図39】検討対象の吸収組成物に対する、溶液熟成検討結果を示す、表14を示す図である。
【図40】検討対象の吸収組成物に対する、フィルム熟成検討結果を示す、表15を示す図である。
【図41】検討対象の吸収組成物に対する、フィルム熟成検討結果を示す、表16を示す図である。
【図42】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度検討データを示す、表17を示す図である。
【図43】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度検討データを示す、表18を示す図である。
【図44】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度検討データを示す、表19を示す図である。
【図45】検討対象の吸収組成物に対する、分子量成長および熟成検討を示す、表20を示す図である。
【図46】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度検討データを示す、表21を示す図である。
【図47】検討対象の実施形態に対する、水接触角、n&kデータおよび分子量データを示す、表22を示す図である。
【図48】検討対象の実施形態に対する、水接触角、n&kデータおよび分子量データを示す、表23を示す図である。
【図49】検討対象の吸収組成物に対する、湿潤エッチング速度検討データを示す、表24を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
今やここに、a)紫外線スペクトル領域において強力におよび均一に吸収し、b)レジスト材料を、「倒れ込み」から防ぐことができ、意図したレジストラインの外側への広がりまたは内側への接触から守ることができ、c)フォトレジスト現像剤に対して不浸透性である吸収/反射防止コーティングおよびリソグラフィー材料が開発され、ならびに記載されたSOG反射防止コーティングの製造方法は、d)エッチング選択性および/またはストリッピング選択性を増加させる目標を満足させ、e)バイア構造におけるフィルバイアスおよび空隙形成を最小化する目標を満足させ、f)安定で良好な保存寿命を有する溶液を形成し、g)ArFを利用するものを含めて、様々なリソグラフパターン技術と互換性があり、h)スピンコーティングまたは化学蒸着(CVD)等のあらゆる適当な適用方法によって表面に適用ができ、i)バイアフィルおよび平坦化ができ、j)良好な湿潤エッチングおよび乾燥エッチング速度を有し、およびk)ロジック用途およびフラッシュ用途を含めて、多数の用途、成分および材料において利用することができる。
【0021】
本明細書における検討対象の吸収組成物および/またはコーティング材料は、少なくとも1つの無機化合物および/または材料、少なくとも1つの吸収化合物および/または材料、および少なくとも1つの材料変性剤を含む。少なくとも1つの材料変性剤は、コーティング材料を変性して、例えば、エッチング選択性および/またはストリッピング選択性の改善、フィルバイアスの最小化、除去の促進によりおよび/または材料/組成物の安定性または保存寿命の改善により、得られるフィルムまたは積層材料の写真平版の相溶性および/または物理的品質を改善することのできるあらゆる化合物または組成物を含んでもよい。少なくとも1つの材料変性剤は、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つのpH調節剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つのレベリング剤、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つのキャッピング剤および/またはそれらの組合せを含んでもよい。驚くべきことに、少なくとも幾つかの実施形態においては、材料変性剤(少なくとも1つの接着促進剤等)は、リトグラフィーにとっては害のある薬剤として通常みなされていて、従って、工業では敬遠される化合物または組成物を含むが、本明細書において記載される実施形態におけるその使用は、組成物を毒することなくリソグラフィー組成物の接着を改善する。
【0022】
検討対象の実施形態において、材料変性剤の添加は、材料変性剤なしの同じ組成物のエッチング速度、保存寿命、平坦化および/またはバイアフィルに対する組成物の能力、あるいは適度なリソグラフィー性の少なくとも1つを、少なくとも25%改善する。その他の検討対象の実施形態において、材料変性剤の添加は、材料変性剤なしの同じ組成物のエッチング速度、保存寿命、平坦化および/またはバイアフィルに対する組成物の能力、あるいは適度なリソグラフィー性の少なくとも1つを、少なくとも50%改善する。なおその他の検討対象の実施形態において、材料変性剤の添加は、材料変性剤なしの同じ組成物のエッチング速度、保存寿命、平坦化および/またはバイアフィルに対する組成物の能力、あるいは適度なリソグラフィー性の少なくとも1つを、少なくとも75%超改善する。
【0023】
(無機ベース材料および無機化合物)
無機ベース化合物および/または材料および/または検討対象のスピンオン無機ベース化合物および/または材料、例えば、ケイ素ベース、ガリウムベース、ゲルマニウムベース、砒素ベース、ホウ素ベース化合物またはそれらの組合せ等が、本明細書において検討対象とされる。ケイ素ベース化合物の例は、シロキサン化合物、例えば、メチルシロキサン、メチルシルセスキオキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、シラザンポリマー、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、シリケートポリマー、ケイ酸誘導体、およびそれらの混合物等を含む。検討対象のシラザンポリマーは、ペルヒドロシラザンであり、これは、「透明な」ポリマーバックボーンを有する。
【0024】
本明細書において使用される無機ベース材料、無機化合物およびスピンオンガラス材料は、シロキサンポリマーおよびブロックポリマー、一般式(H0〜1.0SiO1.5〜2.0の水素シロキサンポリマー、式(HSiO1.5(式中、xは、約4より大きい)を有する水素シルセスキオキサンポリマーならびにケイ酸の誘導体を含む。また、水素シルセスキオキサンおよびアルコキシヒドリドシロキサンまたはヒドロキシヒドリドシロキサンとのコポリマーも含まれる。本明細書における検討対象の材料は、更に、有機シロキサンポリマー、アクリルシロキサンポリマー、シルセスキオキサンをベースとしたポリマー、ケイ酸の誘導体、一般式(H0〜1.0SiO1.5〜2.0(R0〜1.0SiO1.5〜2.0の有機ヒドリドシロキサンポリマーおよび一般式(HSiO1.5(RSiO1.5(式中、mは、ゼロより大きく、nおよびmの合計は、約4より大きく、Rは、アルキルまたはアリールである)の有機ヒドリドシルセスキオキサンポリマーを含む。幾つかの有用な有機ヒドリドシロキサンポリマーは、約4〜約5000のnおよびmの合計を有する(ここで、Rは、C〜C20アルキル基またはC〜C12アリール基である)。幾つかの特定の例としては、アルキルヒドリドシロキサン、例えば、メチルヒドリドシロキサン、エチルヒドリドシロキサン、プロピルヒドリドシロキサン、t−ブチルヒドリドシロキサン、フェニルヒドリドシロキサン等、およびアルキルヒドリドシルセスキオキサン、例えば、メチルヒドリドシルセスキオキサン、エチルヒドリドシルセスキオキサン、プロピルヒドリドシルセスキオキサン、t−ブチルヒドリドシルセスキオキサン、フェニルヒドリドシルセスキオキサン、およびそれらの組合せ等が挙げられる。
【0025】
本明細書において使用される「スピンオン材料」、「スピンオン組成物」および「スピンオン無機組成物」は、互換性を持って使用されてもよく、基体または表面にスピンオンすることのできる溶液および組成物を意味する。「スピンオンガラス材料」と言う用語は、「スピンオン無機材料」の一部を意味し、スピンオンガラス材料は、全体においてまたは部分的にケイ素ベース化合物および/またはポリマーを含むスピンオン材料を意味することが更に考慮される。然しながら、これらの検討対象の材料および組成物は、スピンオン堆積、蒸着、化学蒸着等を含めて、任意の適当な方法または装置により表面に適用されてもよい。
【0026】
幾つかの検討対象の実施形態において、本明細書において利用される特定の有機ヒドリドシロキサン樹脂は、以下の一般式を有する:
[H−Si1.5[R−SiO1.5 式(1)
[H0.5−Si1.5〜1.8[R0.5〜1.0−SiO1.5〜1.8 式(2)
[H0〜1.0−Si1.5[R−SiO1.5 式(3)
[H−Si1.5[R−SiO1.5[SiO 式(4)
(式中、nおよびmの合計、またはx、yおよびzの合計は、約8〜約5000であり、mまたはyは、炭素含有成分が、約40%未満の量(低有機含有量=LOSP)または約40%を超える量(高有機含有量=HOSP)で存在する様に選択され、Rは、置換および非置換直鎖および分岐アルキル(メチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル)、アルケニル基(ビニル、アリル、イソプロペニル)、シクロアルキル、シクロアルケニル基、アリール(フェニル基、ベンジル基、ナフタレニル基、アントラセニル基およびフェナントレニル基)、およびそれらの混合物であり、炭素含有置換基の特定のモル%は、出発物質の量の比の関数である)。幾つかのLOSP実施形態において、特に好ましい結果は、炭素含有置換基のモル%が、約15モル%〜約25モル%の範囲で得られる。幾つかのHOSP実施形態において、好ましい結果は、炭素含有置換基のモル%が、約55モル%〜約75モル%の範囲で得られる。
【0027】
幾つかの検討対象のポリマーは、交互に並ぶケイ素および酸素原子を包含するポリマーバックボーンを含む。以前に知られている有機シロキサン樹脂とは反対に、本明細書において利用されるポリマーおよび無機ベース組成物ならびに材料の幾つかは、バックボーンのケイ素原子に結合したヒドロキシルまたはアルコキシ基を本質的に有さない。むしろ、各ケイ素原子は、前述のバックボーンの酸素原子以外には、水素原子および/または式1、2、3および4において定義されたR基にのみ結合される。ポリマーにおいて、水素原子および/またはR基のみがバックボーンのケイ素原子に結合することによって、不必要な鎖の延長および架橋が回避される。その中でも、不必要な鎖の延長および架橋は、本発明の樹脂において回避され、これらの樹脂溶液の保存寿命は、以前に知られている有機シロキサン樹脂に比べて高められる。更に、ケイ素−炭素結合は、ケイ素−水素結合よりも反応性に乏しいので、本明細書において記載される有機ヒドリドシロキサン樹脂溶液の保存寿命は、以前に知られている有機シロキサン樹脂に比べて高められる。
【0028】
先に述べた、検討対象の化合物の幾つかおよびそれらの化合物を製造する方法は、その全体において本明細書に組み込まれる、本発明の譲受入に譲渡された米国特許第6143855号および係属中の米国特許出願第10/078919号(2002年2月19日出願);ハネウエル社(Honeywell International Inc.)の市販品HOSP(登録商標)製品;本発明の譲受入に譲渡された米国特許第6372666号により教示されるナノ多孔性シリカ;ハネウエル社の市販品NANOGLASS(登録商標)E製品;本発明の譲受入に譲渡された国際公開第01/29052号により教示される有機シルセスキオキサン;および本発明の譲受入に譲渡された米国特許第6440550号により教示されるフルオロシルセスキオキサンによって教示される。その他の検討対象の化合物は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、以下の発行特許および係属出願において記載されている:(PCT/US00/15772(2000年6月8日出願);米国特許出願第09/330248号(1999年6月10日出願);米国特許出願第09/491166号(1999年6月10日出願);米国特許第6365765号(2002年4月2日発行);米国特許第6268457号(2001年7月31日発行);米国特許出願第10/001143号(2001年11月10日出願);米国特許出願第09/491166号(2000年1月26日出願);PCT/US00/00523(1999年1月7日出願);米国特許第6177199号(2001年1月23日発行);米国特許第6358559号(2002年3月19日発行);米国特許第6218020号(2001年4月17日発行);米国特許第6361820号(2002年3月26日発行);米国特許第6218497号(2001年4月17日発行);米国特許第6359099号(2002年3月19日発行);米国特許第6143855号(2000年11月7日発行);米国特許出願第09/611528号(1998年3月20日出願);および米国特許出願第60/043261号)。本明細書において検討対象であるシリカ化合物は、発行済米国特許第6022812号、同第6037275号、同第6042994号、同第6048804号、同第6090448号、同第6126733号、同第6140254号、同第6204202号、同第6208041号、同第6318124号および同第6319855号に見出される化合物である。
【0029】
幾つかの検討対象の実施形態においては、ポリマーバックボーン構造は、かご構造である。従って、かご構造を与えるポリマー樹脂においては、極めて低い水準のまたは反応性の末端部分のみが存在する。ポリマーバックボーンのかご構造はまた、溶液において不必要な鎖延長重合を起こさず、延長された保存寿命をもたらすことを確実にする。ポリマーの各ケイ素原子は、少なくとも3つの酸素原子に結合される。ポリマーバックボーンに結合した部分は、水素および本明細書において記載される有機基を含む。本明細書において使用される「バックボーン」と言う用語は、原子の連続鎖またはポリマーストランドを形成する部分を意味し、任意の原子または部分の除去が、鎖の中断をもたらす様に共有結合されている。
【0030】
本明細書において使用される「モノマー」と言う用語は、繰り返し方法において、それ自身でまたは化学的に異なる化合物と共有結合を形成することのできる任意の化学的化合物を意味する。ラジカル重合、縮合重合、付加重合等によるモノマー間の繰り返し結合形成は、直鎖、分岐、超分岐、または三次元生成物をもたらしてもよい。更に、モノマーは、それ自身、繰り返し構築ブロックを含んでもよく、重合した時に、その様なモノマーから形成されたポリマーは、従って、「ブロックポリマー」と呼ばれる。モノマーは、有機、有機金属または無機分子を含む分子の様々な化学的クラスに属していてもよい。モノマーの分子量は、約40ダルトン〜20000ダルトンの間で大いに変動してもよい。然しながら、本質的に、モノマーが繰り返し構築ブロックを含む時は、モノマーは、更に高い分子量を有してもよい。モノマーはまた、架橋のために使用される基等の更なる基を含んでもよい。
【0031】
幾つかの検討対象の実施形態においては、無機ベース化合物の分子量(MまたはM)は、材料の溶解度を変えるために変更されてもよい。言い換えると、材料の溶解度を変更することは、空隙形成を防ぎ、材料の平坦化能力を増加させる助けとなる。
【0032】
(吸収化合物)
先に述べた通り、検討対象の材料は、少なくとも1つの吸収化合物および/または材料を含む。多くのナフタレン−、フェナントレン−およびアントラセン−ベースの化合物が、248nm以下で顕著な吸収を有する。ベンゼンベース(本明細書においてはフェニルベースと同等の用語)の化合物は、200nmよりも短い波長において顕著な吸収を有する。これらのナフタレン−、アントラセン−、フェナントレン−およびフェニルベース化合物は、しばしば染料として参照されるが、これらの化合物の吸収は、スペクトルの可視範囲における波長に制限されないので、「吸収化合物」と言う用語が、本明細書においては使用される。然しながら、その様な吸収化合物の全てを、反射防止コーティング材料としての使用のために無機ベース材料に組み入れることはできない。使用に適した好ましい吸収化合物は、写真平版において使用されてもよい、248nm、193nm、157nm等の波長または365nm等のその他の紫外線波長近辺に中心を持つ、画定可能な吸収ピークを有する。適当な「画定可能な吸収ピーク」は、写真平版の分野において一般に知られている方法によって計算される幅において、少なくとも0.5nmであるものが検討対象とされる。更に好ましい実施形態においては、画定可能な吸収ピークは、幅において少なくとも1nmである。なお更に好ましい実施形態においては、画定可能な吸収ピークは、幅において少なくとも5nmである。最も好ましい実施形態においては、画定可能な吸収ピークは、幅において少なくとも10nmである。
【0033】
適当な吸収化合物の発色団は、一般に、少なくとも1つのベンゼン環を有し、2つ以上のベンゼン環が存在し、環は、縮合していてもしていなくてもよい。導入可能な吸収化合物は、発色団に結合した接近可能な反応性基を有し、反応性基としては、ヒドロキシル基、アミン基、カルボン酸基、およびアルコキシ基、アセトキシ基またはハロゲン原子等の、1つ、2つまたは3つの「離脱基」に結合されたケイ素を伴う置換シリル基が挙げられる。エトキシまたはメトキシ基または塩素原子は、しばしば脱離基として使用される。検討対象の反応性基は、シリコンエトキシ、シリコンジエトキシ、シリコントリエトキシ、シリコンメトキシ、シリコンジメトキシ、およびシリコントリメトキシ基等のシリコンアルコキシ、シリコンジアルコキシおよびシリコントリアルコキシ基およびクロロシリル、ジクロロシリル、およびトリクロロシリル基等のハロシリル基、ならびにメチルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシランの様なアセトキシ基を含む。
【0034】
反応性基は、例えば、フェニルトリエトキシシランにおける発色団に直接結合されてもよく、または反応性基は、エステル、ケトンおよび/または酸素結合または、例えば、9−アントラセンカルボキシ−アルキルトリアルコキシシランにおける炭化水素架橋により発色団に結合されてもよい。発色団におけるシリコントリアルコキシ基の包含は、有益であり、特に、吸収SOGフィルムの安定性を促進するのに有益である。その他の有用な吸収化合物は、特に、365nm近辺の吸収が特定の用途に対して望まれる場合は、アゾ基、−N=N−、および接近可能な反応性基を含む化合物、特に、ベンゼン環に結合するアゾ基を含む化合物である。アゾ基は、直鎖分子、環状分子またはハイブリッド直鎖/環状分子の一部として含まれてもよい。
【0035】
吸収化合物は、無機ベース材料マトリックにおいて、隙間に導入されてもよい。また、吸収化合物は、無機ベース材料またはポリマーに化学的に結合されてもよい。幾つかの検討対象の実施形態においては、導入可能な吸収化合物は、接近可能な反応性基を介して、無機ベース材料バックボーンまたはポリマーバックボーンとの結合を形成する。
【0036】
吸収化合物および材料はまた、ケイ素ベース化合物、および約375nm未満の波長で光を吸収する導入可能な吸収化合物を含んでもよい。更に、その他の実施形態においては、ケイ素ベース化合物または導入可能な吸収化合物の少なくとも1つは、少なくとも1つのアルキル基、アルコキシ基、ケトン基、アセトキシ基またはアゾ基を含むことが検討対象とされる。
【0037】
使用に適した吸収化合物の例としては、365nm、248nm、193nmおよび157nm等の約375nm未満の波長近辺の画定可能な吸収ピークを有する吸収化合物が挙げられ、これらは、アントラフラブ酸(1)、9−アントラセンカルボン酸(2)、9−アントラセンメタノール(3)、9−アントラセンエタノール(4)、9−アントラセンプロパノール(5)、9−アントラセンブタノール(6)、アリザリン(7)、キニザリン(8)、プリムリン(9)、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン(10)、2−ヒドロキシ−4−(3−トリメトキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン(11)、2−ヒドロキシ−4−(3−トリブトキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン(12)、2−ヒドロキシ−4−(3−トリプロポキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン(13)、ロソール酸(14)、トリエトキシシリルプロピル−1,8−ナフタルイミド(15)、トリメトキシシリルプロピル−1,8−ナフタルイミド(16)、トリプロポキシシリルプロピル−1,8−ナフタルイミド(17)、9−アントラセンカルボキシ−メチルトリエトキシシラン(18)、9−アントラセンカルボキシ−エチルトリエトキシシラン(19)、9−アントラセンカルボキシ−ブチルトリエトキシシラン(20)、9−アントラセンカルボキシ−プロピルトリエトキシシラン(21)、9−アントラセンカルボキシ−メチルトリメトキシシラン(22)、9−アントラセンカルボキシ−エチルトリブトキシシラン(23)、9−アントラセンカルボキシ−メチルトリプロポキシシラン(24)、9−アントラセンカルボキシ−プロピルトリメトキシシラン(25)、フェニルトリエトキシシラン(26)、フェニルトリメトキシシラン(27)、フェニルトリプロポキシシラン(28)、10−フェナントレンカルボキシ−メチルトリエトキシシラン(29)、10−フェナントレンカルボキシ−エチルトリエトキシシラン(30)、10−フェナントレンカルボキシ−メチルトリメトキシシラン(31)、10−フェナントレンカルボキシ−プロピルトリエトキシシラン(32)、4−フェニルアゾフェノール、(33)、4−エトキシフェニルアゾベンゼン−4−カルボキシ−メチルトリエトキシシラン(34)、4−メトキシフェニルアゾベンゼン−4−カルボキシ−エチルトリエトキシシラン(35)、4−エトキシフェニルアゾベンゼン−4−カルボキシ−プロピルトリエトキシシラン(36)、4−ブトキシフェニルアゾベンゼン−4−カルボキシ−プロピルトリエトキシシラン(37)、4−メトキシフェニルアゾベンゼン−4−カルボキシ−メチルトリエトキシシラン(38)、4−エトキシフェニルアゾベンゼン−4−カルボキシ−メチルトリエトキシシラン(39)、4−メトキシフェニルアゾベンゼン−4−カルボキシ−エチルトリエトキシシラン(40)、4−メトキシフェニルアゾベンゼン−4−カルボキシ−プロピルトリエトキシシラン(41)、およびそれらの組合せ等の化合物を含む。吸収化合物1〜41の化学式は、図1a〜1fにおいて例示される。例えば、9−アントラセンメタノール(3)、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン(10)およびロゾール酸(14)の組合せを伴う9−アントラセンカルボキシ−メチルトリエトキシシラン(18)、ならびにフェニルトリエトキシシラン(26)で、有利な結果が得られた。然しながら、特定化合物のこの列挙は、完全な列挙ではなく、検討対象の化合物は、これらの特定化合物を含む広範囲の化学的化合物クラスから選択できることが理解されるべきである。また、適当な吸収化合物は、有機ベースまたは無機ベース化合物であってもよいことが理解されるべきである。幾つかの検討対象の実施形態においては、吸収化合物は、ARCが、使用可能な処理手順を制限することができるフォトレジストとの同じ化学的性質を共有しない限り、有機ベースであってもよい。然しながら、フォトレジスト材料のクラスは、吸収化合物および/またはコーティング材料への材料変性剤、例えばpH調節剤等の添加が、任意の写真平版レジスト材料と吸収材料および/または吸収コーティング材料とを適合させ、それらを互いに相溶性にさせるので広いものであることができる。幾つかの検討対象の写真平版レジスト材料の例は、アクリレートベースのレジスト材料、エポキシベースの化学的に変性されたレジスト、フッ素ポリマーレジスト(157nm吸収波長を検討する時に特に有用である)、ポリ(ノルボルネン−無水マレイン酸)交互コポリマー、ポリスチレン系およびジアゾナフトキノン/ノボラック樹脂を含む。
【0038】
吸収化合物1〜25および29〜41は、例えば、アルドリッチ社(Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI))から市販されている。9−アントラセンカルボキシ−アルキルトリアルコキシシランは、PCT特許出願第PCT/US02/36327号(2002年11月12日出願)(自己所有されていて、全ての関連した、自己所有された外国および国内の発行済み特許および特許出願を含めて、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)において詳細に記載されているエステル化方法を使用して合成される。吸収化合物26〜28は、ゲレスト社(Gelest、Inc.(Tullytown、PA))から市販されている。吸収化合物(26〜28)に加えて、フェニルベース吸収化合物(その多くは、ゲレスト社から市販されている)の例としては、フェニル環または置換フェニル、例えば、メチルフェニル、クロロフェニルおよびクロロメチルフェニル等に結合したケイ素ベース反応性基を持つ構造が挙げられる。特定のフェニルベース吸収化合物としては、2〜3例だけを挙げるとすれば、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、クロロメチルフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリフルオロシランが挙げられる。再度、2〜3例だけを挙げるとして、ジフェニルメチルエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランおよびジフェニルジクロロシラン等の1つまたは2つの「離脱基」を含むジフェニルシランは、適当な導入可能な吸収化合物である。また、アルコキシ安息香酸も、メトキシ安息香酸を含めて、吸収化合物として使用されてもよい。
【0039】
9−アントラセンカルボキシ−アルキルトリアルコキシシラン化合物を合成する一般的方法は、反応体として、9−アントラセンカルボン酸およびクロロメチルトリアルコキシシラン化合物の使用を含む。特に、9−アントラセンカルボキシ−メチルトリエトキシシラン(18)の合成方法は、反応体として、9−アントラセンカルボン酸(2)およびクロロメチルトリエトキシシランを使用する。反応体は、前以て4Åのモレキュラーシーブで乾燥された、トリエチルアミンおよびメチルイソブチルケトン(MIBK)と組み合わされて反応混合物を形成し、還流するために加熱され、約6〜10時間還流される。還流後、反応混合物は、大量の固形沈殿物を生成するために一晩中冷却される。残留溶液は回転蒸発され、シリカゲルカラムにより濾過され、二度目の回転蒸発を受け、黒っぽい琥珀色の油状液体として、9−アントラセンカルボキシ−メチルトリエトキシシラン(18)を製造し、これは精製されてもよい。この方法は、9−アントラセンカルボキシ−エチルトリエトキシシラン、9−アントラセンカルボキシ−プロピルトリメトキシシランおよび9−アントラセンカルボキシ−プロピルトリエトキシシランを含む、9−アントラセンカルボキシ−アルキルトリアルコキシシランのクラスにおける任意の化合物を製造するために使用するのに適当であるので、有意義な方法である。
【0040】
(材料変性剤)
述べた通り、本明細書における検討対象の吸収組成物および/またはコーティング材料は、少なくとも1つの材料変性剤を含む。少なくとも1つの材料変性剤は、コーティング材料を変性して、例えば、エッチング選択性、組成物の安定性または保存寿命、接着性およびストリッピング選択性を改善することにより、またはフィルバイアスを最小化することによる等の、得られるフィルムまたは積層材料の写真平版性、相溶性および/または物理的品質を改善することのできるあらゆる化合物または組成物を含んでもよい。少なくとも1つの材料変性剤は、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つのpH調節剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つのキャッピング剤および/またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0041】
接着促進剤
幾つかの検討対象の実施形態においては、少なくとも1つの接着促進剤は、次の特徴の少なくとも1つを含む:a)は、電子および半導体部品製造のために一般的に使用される温度での加熱処理、例えば焼成後に熱安定性であること(実施例2および図2〜5を参照);b)は、相対的に低い触媒能力を有すること(ドナーは、それが添加される組成物において顕著な架橋活性を起こさない);c)は、組成物が低いpHを保持する様に、比較的中性であること;d)は、組成物のpHを低下させるために酸性であること;e)は、それが添加される組成物における種の分子量を増加する反応を起こさせないまたは伝播しないこと;f)は、普通に理解されているファンデルワールス相互反応とは対照的に、材料の層間の静電気およびクーロン相互反応を促進することにより接着促進剤として驚くほど作用することができること。
【0042】
UVにおける低い吸収性のために設計されている有機レジストポリマーに対する接着は、その様なレジストが、低い極性と、それによって接着的に相互作用する僅かな官能基とを伴って設計されているので本質的に困難である。シリカベース組成物の接着メカニズム、特に、これらの有機レジストポリマーへの接着メカニズムは、次の2つの経路の1つに従う:a)シラノール含有量における減少およびファンデルワールス相互反応における増加による接着促進、およびb)静電気およびクーロン相互反応等のイオン寄与における増加による接着促進。
【0043】
驚くべきことに、両方とも一定の役割を果たすけれども、後者のメカニズムが支配的であることが分かった。検討対象の実施形態においては、少なくとも1つの弱酸/弱塩基、少なくとも1つの弱酸/強塩基、少なくとも1つの強酸/強塩基、少なくとも1つの強酸/弱塩基、少なくとも1つのアミン塩基、少なくとも1つのアミン塩またはそれらの組合せ等の少なくとも1つの接着促進剤の添加は、静電気およびクーロン相互反応を増加する。モデルおよび実験的結果は共に、アミンの塩で中性ではない(非イオン性)形態が、リソグラフ的に画定されたレジスト線の倒れ込みを避けるためにレジストとの接着を十分に高めることを示す。この接着強化は、高pHアミン組成物(例えば、pH5.5組成物)(そこでは、APTEOSナイトレートが形成されている)の成功使用において証明される。また、このメカニズムは、その他のアミン塩、例えば、APTEOSアセテート、APTEOSスルホネート、APTEOSメタンスルホネート、APTEOSトリフレート、APTEOSトシレート、APTEOSノナフルオロブタン−1−スルホネート(nfbs)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムナイトレート、テトラメチルアンモニウムサルフェート、テトラメチルアンモニウムメタンスルホネート、テトラメチルアンモニウムトリフレート、トラメチルアンモニウムトシレート、テトラメチルアンモニウムnfbs、テトラメチルアンモニウムトリフレート、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アンモニウムトリフレート、アンモニムトシレート、アンモニウムスルホネート、アンモニウムメタンスルホネート、または任意のその他のアミン塩あるいはアミン塩の組合せ等を使用する時にも見出される。適当なアミン塩基は、アンモニウム、ピリジン、アニリン、TMAH、CTAH、TBAH、APTEOSまたはそれらの組合せを含む。モデル化接着エネルギーは、高イオン性塩(高帯電中心)が、帯電が、大きなR基を伴うアンモニウム中心における様に、より多く分布されてもよいものよりも良好に接着を増加することを示す(以下の表1参照)。モデル実験のために使用されるメカニズムおよび装置は、米国特許第6544650号(Nancy Iwamotoに対して発行された)、および米国特許出願第09/543628号、同第10/113461号、同第10/326233号およびPCT/US03/07607等の関連PCT出願ならびに外国出願(その全ては、ハネウエル社によって所有されており、その全体において本明細書に組み込まれる)において見出される。
【0044】
【表1】

【0045】
本明細書において使用される「接着促進剤」と言う用語は、目標組成物と一緒に使用される時に、目標組成物単独での使用と比較して、基体および/または表面への組成物の接着を改善する任意の成分を意味する。好ましくは、少なくとも1つの接着促進剤は、本明細書に記載されるコーティング材料または組成物と一緒に使用され、そこにおいて、少なくとも1つの接着促進剤は材料変性剤として作用する。ターゲット組成物は、吸収組成物、コーティング材料および/または熱分解性ポリマーを含めて、基体、表面、積層表面、電子または半導体部品に適用できるまたは適用される任意の組成物を含んでもよい。接着促進剤は、熱分解性ポリマー前駆体または熱分解性ポリマー前駆体への添加剤と反応するコモノマーであってもよい。幾つかの有用な接着促進剤の例は、その全体において本明細書に組み込まれる、本発明の譲受入に譲渡された係属中の米国特許出願第10/158513号(2002年5月30日出願)において開示されている。
【0046】
更に、接着の強化は、シリカ−レジストの界面にアミン塩を濃縮することを助ける任意の前駆体が接着を助ける様に、濃度制御される。単純な解決法は、組成物に導入される塩種の量を増加させることである。その他の解決法は、レジストの堆積前の、濃縮塩溶液の「予備湿潤」である。解決のその他の方法としては、溶媒の制御による塩の溶媒和調節;スピンコートまたは焼成中の溶媒の蒸発調節;塩の溶解度を調節する溶解度調節剤の添加、およびレジストへのアンモニウム種の添加が挙げられる。
【0047】
モデル化は、塩混合物が、単独成分と同じ有効性を伴って使用できることを示す。これらの混合塩接着促進剤スキームは、有機アミンにおける増加が、溶媒相溶性にとって必要とされる時に使用することができる。この場合、置換されたアンモニウム中心における大きなR基は使用されてもよいが、接着における損失は、アンモニウム等のより帯電した中心の付加によって補償することができる。
【0048】
述べられた通り、検討対象の接着促進剤は、窒素、リンまたは任意のその他の同様に特徴付けられる原子を含んでもよい。検討対象の接着促進剤は、アミン塩、メチルアンモニウムナイトレート、テトラメチルアンモニウムアセテート(TMAA)、テトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)、セチルトリメチルアンモニウムアセテート(CTAA)およびテトラメチルアンモニウムナイトレート(TMAN)等の中性または酸性化合物または分子を含んでもよい。TMANは、TMANを水に溶解することによって、または、硝酸を使用することによって、TMAAまたはTMAHをTMANに転換することによって得ることができる。検討対象の塩は、強酸および第一級、第二級、第三級またはテトラアミンからの塩を含む。
【0049】
幾つかの実施形態においては、窒素含有吸収組成物および/またはコーティング材料における「窒素のモル/Si−化合物重量(ppm)」の比は、約0.01を超える。その他の実施形態においては、窒素含有吸収組成物および/またはコーティング材料における「窒素のモル/Si−化合物重量(ppm)」の比は、約3を超える。なおその他の実施形態においては、窒素含有吸収組成物および/またはコーティング材料における「窒素のモル/Si−化合物重量(ppm)」の比は、約4を超える。最適比は、コーティング材料/組成物における当業者による、幾つかの性質、例えば、材料/組成物において存在する有機部分の量、材料/組成物において存在する架橋の程度および材料/組成物のpH等の評価に依存する;然しながら、比は、窒素含有組成物に関わる任意のその他の以前に述べた材料/組成物の性質よりも尚一層、リソグラフィー性およびバイアフィル性に影響を及ぼすことが理解されるべきである。また、存在する有機部分の量、存在する架橋の程度および/または材料/組成物のpHに依存することにより、適当なモル/重量比が認識でき、本明細書における検討対象の吸収組成物および/またはコーティング材料を製造するために使用することができることが理解されるべきである。これらの性質は、以下の表2において示される:
【0050】
【表2】

【0051】
材料変性剤としての少なくとも1つの接着促進剤の添加は、表2から明らかな様に、リソグラフィー、湿潤エッチングおよびバイアフィルを改善することができる。後に続く実施例の項はまた、これらの検討対象の実施形態に関連した更なるデータを示す。述べられた通り、少なくとも1つの接着促進剤はまた、架橋剤または触媒として機能することができることが理解されるべきである。
【0052】
本明細書における検討対象の接着促進剤は、少なくとも二官能性を有する化合物を含み、二官能性は、同じであっても異なっていてもよく、第一官能性および第二官能性の少なくとも1つは、Si−含有基;N−含有基;O−含有基に結合したC;ヒドロキシル基;およびC−含有基に二重結合したCから成る群から選択される。本明細書において使用される「少なくとも二官能性を有する化合物」と言う用語は、相互作用または反応することのできる、あるいはそれに従って結合を形成することのできる少なくとも2つの官能基を有する任意の化合物を意味する。官能基は、付加反応、求核および求電子置換または脱離、ラジカル反応等を含む多数の方法において反応してもよい。更に別の反応としては、ファンデルワールス等の非共有結合、静電結合、イオン結合および水素結合の形成を挙げることもできる。
【0053】
少なくとも1つの接着促進剤の幾つかの実施形態においては、好ましくは、第一官能性および第二官能性の少なくとも1つは、Si−含有基;N−含有基;O−含有基に結合したC;ヒドロキシル基;およびC−含有基に二重結合したCから選択される。好ましくは、Si−含有基は、Si−H、Si−O、およびSi−Nから選択される;N−含有基は、C−NHまたはその他の第二級および第三級アミン、イミン、アミドおよびイミド等から選択される;O−含有基に結合したCは、=CO、ケトンおよびアルデヒド等のカルボニル基、エステル、−COOH、1〜5個の炭素原子を有するアルコキシル、エーテル、グリシジルエーテル、およびエポキシから選択される;ヒドロキシル基はフェノールである;およびC−含有基に二重結合したCは、アリルおよびビニル基から選択される。半導体用途にとって更に好ましい官能基としては、Si−含有基;O−含有基に結合したC;ヒドロキシル基;およびビニル基が挙げられる。
【0054】
検討対象の接着促進剤はまた、フェノール含有樹脂、ノボラック樹脂、例えば、CRJ−406またはHRJ−11040(共に、シェネクタディ社(Schenectady International、Inc.)製)、有機アクリレートおよび/またはスチレン樹脂を更に含んでもよい有機樹脂ベース材料を含んでもよい。その他の接着促進剤は、ポリジメチルシロキサン材料、エトキシまたはヒドロキシ含有シランモノマー、ビニル含有シランモノマー、アクリレート化シランモノマー、またはシリルヒドリドを含んでもよい。
【0055】
Si−含有基を有する検討対象の接着促進剤の一例は、式I:(R14(R15Si(R16(R17(式中、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、不飽和または飽和アルキル、置換または非置換アルキル(置換基は、アミノまたはエポキシである)、飽和または不飽和アルコキシル、不飽和または飽和カルボン酸基、またはアリールを表し、R14、R15、R16およびR17の少なくとも2つは、水素、ヒドロキシル、飽和または不飽和アルコキシル、不飽和アルキル、または不飽和カルボン酸基を表し、k+l+m+nは<4である)のシランである。例としては、HC=CHSi(CHHおよびHC=CHSi(R18(ここで、R18は、CHO、CO、AcO、HC=CH、またはHC=C(CH)O−である)等のビニルシラン、またはビニルフェニルメチルシラン;式HC=CHCH−Si(OCおよびHC=CHCH−Si(H)(OCHのアリルシラン;(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシランおよび(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン等のグリシドキシプロピルシラン;式HC=(CH)COO(CH−Si(OR19(式中、R19は、アルキル、好ましくはメチルまたはエチルである)のメタクリロキシプロピルシラン;HN(CHSi(OCHCH、HN(CHSi(OH)またはHN(CHOC(CHCH=CHSi(OCHを含むアミノプロピルシラン誘導体が挙げられる。前述のシランは、ゲレスト社から市販されている。
【0056】
O−含有基に結合したCを有する好ましい接着促進剤のとしては、これらに限らないが、1,1,1−トリス−(ヒドロキシフェニル)エタントリグリシジルエーテル(トリクエスト社(TriQuest)から市販されている)を含むグリシジルエーテルが挙げられる。O−含有基に結合したCを有する好ましい接着促進剤の例は、少なくとも1つのカルボン酸基を含む不飽和カルボン酸のエステルである。例としては、三官能メタクリレートエステル、三官能アクリレートエステル、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、およびグリシジルメタクリレートが挙げられる。前述の接着促進剤は、サートマー社(Sartomer)から市販されている。
【0057】
ビニル基を有する好ましい接着促進剤の例は、ビニル環状ピリジンオリゴマーまたはポリマー(環状基は、ピリジン、芳香族、または複素環式芳香族である)である。有用な例としては、これらに限らないが、ライリー社(Reilly)から市販されている、2−ビニルピリジンおよび4−ビニルピリジン;ビニル芳香族;およびビニルキノリン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾールおよびこれらに限らないが、ビニルオキサゾールを含むビニル複素環式芳香族が挙げられる。
【0058】
Si−含有基を有する好ましい接着促進剤の例は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、本発明の譲受入に譲渡された係属中の許可された米国特許出願第09/471299号(1999年12月23日出願)において開示されているポリカーボシランである。ポリカーボシランは、式IIにおいて示されるものである:
【0059】
【化1】

(式中、R20、R26およびR29は、それぞれ独立に、置換または非置換アルキレン、シクロアルキレン、ビニレン、アリレンまたはアリーレンを表し;R21、R22、R23、R24、R27およびR28は、それぞれ独立に、水素原子または、アルキル、アルキレン、ビニル、シクロアルキル、アリルまたはアリールを含む有機基を表し、直鎖または分岐されていてもよく;R25は、有機ケイ素、シラニル、シロキシル、または有機基を表し;p、q、rおよびsは、[4≦p+q+r+s≦100,000]の条件を満たし、qおよびrならびにsは、合計でまたは独立にゼロであってもよい)。有機基は、18個までの炭素原子を含んでもよいが、一般には、約1〜約10個の炭素原子を含む。有用なアルキル基としては、−CH−および−(CH)t(ここで、t>1)が挙げられる。
【0060】
検討対象のポリカーボシランとしては、R20が、置換または非置換アルキレンまたはフェニルであり、R21基が、水素原子であり、ポリカーボシラン鎖において付加基が存在しない、即ち、q、r、およびsが全てゼロであるジヒドリドポリカーボシランが挙げられる。ポリカーボシランのその他の好ましい基は、式IIのR21、R22、R23、R24、R25およびR28基が、2〜10個の炭素原子を有する置換または非置換アルケニル基であるものである。アルケニル基は、エテニル、プロペニル、アリル、ブテニルまたは10個までの炭素原子を有する任意のその他の不飽和有機バックボーン基であってもよい。アルケニル基は、本質的にジエニルであってもよく、さもなければ、アルキルまたは不飽和有機ポリマーバックボーンに付加または置換した不飽和アルケニル基を含んでもよい。これらの好ましいポリカーボシランの例としては、ポリジヒドリドカーボシラン、ポリアリルヒドリドカーボシランならびにポリジヒドリドカーボシランおよびポリアリルヒドリドカーボシランとのランダムコポリマー等のジヒドリドまたはアルケニル置換ポリカーボシランが挙げられる。
【0061】
更に好ましいポリカーボシランにおいては、式IIのR21基が、水素原子であり、R21がメチレンであり、付加基q、rおよびsがゼロである。本発明のその他の好ましいポリカーボシラン化合物は、式II(式中、R21およびR27は、水素であり、R20およびR29は、メチレンであり、R28は、アルケニルであり、付加基qおよびrはゼロである)のポリカーボシランである。ポリカーボシランは、良く知られている従来方法から調製されてもよく、またはポリカーボシラン組成物の製造業者によって提供されてもよい。最も好ましいポリカーボシランにおいては、式IIのR21基は、水素原子であり;R24基は、−CH−であり;q、rおよびsはゼロであり、pは5〜25である。これらの最も好ましいポリカーボシランは、スターファイヤー社(Starfire Systems、Inc.)から得てもよい。これらの最も好ましいポリカーボシランの特定の例は、次の通りである:
【0062】
【表3】

【0063】
式IIにおいて観察することができる様に、利用されるポリカーボシランは、シロキシル基(r>0の場合)の形態において酸化された基を含んでもよい。従って、R25は、有機ケイ素、シラニル、シロキシル、または有機基(r>0の場合)を表す。ポリカーボシランの酸化形態(r>0)は、本発明において極めて効果的に作用し、十分に本発明の範囲内のものであることが理解されるべきである。同じく明らかな様に、rは、p、qおよびsとは独立にゼロであることができ、唯一の条件は、式IIのポリカーボシランのp、q、rおよびsが、[4<p+q+r+s<100,000]の条件を満足させねばならないことならびにqおよびrが、合計でまたは独立にゼロであることである。
【0064】
ポリカーボシランは、多くの製造業者から現に市販されている出発物質から、通常の重合方法を使用して製造されてもよい。ポリカーボシランの合成の一例として、出発物質は、出発物質として通常のオルガノシラン化合物からまたはポリシランから、ポリシランとポリボロシロキサンの混合物を、不活性雰囲気において加熱して、相当するポリマーを製造することにより、または、ポリシランと低分子量カーボシランを、不活性雰囲気において加熱して、相当するポリマーを製造することにより、または、ポリシランと低分子量カーボシランを、不活性雰囲気においておよびポリボロジフェニルシロキサン等の触媒の存在下で加熱して、相当するポリマーを製造することにより製造されてもよい。また、ポリカーボシランは、その全体が参照として本明細書に組み込まれる米国特許第5153295号において報告されているグリニヤール反応によって合成されてもよい。
【0065】
ヒドロキシル基を有する好ましい接着促進剤の例は、式III:−[R30(OH)(R31)]−(式中、R30は、置換または非置換アルキレン、シクロアルキレン、ビニル、アリル、またはアリールであり;R31は、アルキル、アルキレン、ビニレン、シクロアルキレン、アリレン、またはアリールであり;u=3〜100)のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはオリゴマーである。有用なアルキル基の例としては、−CH−および−(CH−(v>1)が挙げられる。特に有用なフェノール−ホルムアルデヒド樹脂オリゴマーは、1500の分子量を有し、シェネクタディ社から市販されている。
【0066】
本明細書における検討対象のその他の適当な接着促進剤は、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(nfbs)またはドデシルベンゼンスルホン酸(dbs)等の、長尾部または嵩高基を伴う少なくとも1つの酸を使用して合成される、本明細書において既に開示されたもの等のアミン塩を利用すること、または、酸−TEOS等の反応性官能基を有するシランに結合した酸を利用することである。これらの検討対象の実施形態は、吸収組成物/フォトレジスト積層組成物における吸収組成物からフォトレジストへの酸の拡散を防ぐ。酸のこの拡散を防ぐことによって、2層間の接着が大いに改善される。
【0067】
少なくとも1つの接着促進剤はまた、二重の目的または複数段階の目的に役立ってもよい。接着促進剤は、吸収組成物において接着を促進するために接着促進剤によって必要とされる特徴以外に、極性および/または官能基に基づいて特定の吸収組成物のために特に選択されてもよい。接着促進剤が組成物に導入されると、接着促進剤間の極性における相違を利用して、または接着促進剤における官能基を利用して、ストリッピングおよび/またはエッチング溶液を接着促進剤へ引き付ける「磁石」として効果的に作用する。接着促進剤によるこの引き付け効果は、幾つかの方法で起こすことができる。例えば、それは、接着促進剤が、室温において吸収組成物に導入される時に生起する発熱反応であってもよく、接着促進剤を「活性化」するために加えられるべき必要な外部エネルギーおよび/または熱であってもよく、接着促進剤の化学組成により、組成物に加えられるエネルギーが必要ない場合であってもよく、または、接着促進剤を「活性化」する、吸収組成物に適用される差圧であってもよい。然しながら、エネルギーが付加されてもされなくても、接着促進剤が添加されると、この実施形態においては、接着促進剤は、リソグラフィー工程が完了するまで、化学的に変性または破壊される点まで加熱または活性化されない。リソグラフィー工程が完了したら、接着促進剤を含む吸収組成物は未加熱のままであってもよく、または、接着促進剤の化学組成が変化して、組成物と更に相溶性になる様に更に加熱されてもよい。この時点で、コーティングまたはフィルムは、先の実施形態において記載された様に、更に処理を受けることができる。
【0068】
触媒
その他の検討対象の実施形態においては、少なくとも1つの触媒が、架橋マトリックスを確立することによりエッチング選択性および/またはストリッピング選択性を改善するために、無機材料に添加されてもよい。触媒はまた、細孔形成を促進するために、ポロゲンと一緒に添加されてもよい。本明細書において使用される「触媒」と言う用語は、化学反応のための活性化エネルギーを低下させることによって化学反応速度に影響を及ぼす任意の物質を意味する。幾つかの場合においては、触媒は、それ自身が消費されることなくまたは化学変化を受けることなく化学反応の活性エネルギーを低下させる。ポロゲンの添加とは関係なく添加するために検討される触媒は、酸、例えば、HNO、HCl、乳酸、酢酸、シュウ酸、琥珀酸、マレイン酸等を含んでもよい。検討対象のポロゲン解重合触媒としては、上述の単一酸、トリアリールスルホニウム、トリアリールオキソニウム、またはジアリールヨードニウム塩等の超酸感光性分子、ビニルベース、アクリルベース(およびその他の複数結合モノマーベースポリマー)の重合のために一般に使用される遊離基発生剤およびその他の遊離基ベース化学物質(例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等)が挙げられる。
【0069】
架橋剤
少なくとも1つの架橋剤は、材料変性剤として、コーティング材料/組成物に添加されてもよい。本明細書において使用される「架橋」と言う用語は、少なくとも2つの分子、または長い分子の2つの部分が、化学的相互作用によって一緒に結合される過程を意味する。その様な相互作用は、共有結合の形成、水素結合の形成、疎水性、親水性、イオン性または静電気的相互作用を含めた多くの異なる方法において起ってもよい。更に、分子相互作用はまた、分子およびそれ自身との間、または2以上の分子間の少なくとも一時的な物理的結合によって特徴付けられてもよい。
【0070】
幾つかの実施形態においては、加熱−活性化縮合触媒は、組成物の平坦化能力を改善するために、材料変性剤として、または材料変性剤に加えて、無機材料および/または組成物に添加されてもよい。これらの実施形態においては、縮合触媒は、コーティング材料に導入される。これらの縮合触媒は、一般に、特定の温度、例えば高温でのみ活性化される。従って、或る温度(例えば、室温)では、無機溶液/系は、低分子量を維持し、従って、ウエハーおよび/または基体地形にわたって良好な平坦化能力を発揮することができる。温度が高められると(例えば、50℃を超える)、縮合触媒は、Si−OH縮合反応を触媒して、更に密度の高い構造をもたらし、幾つかの場合においては、全体に改善された写真平版性能をもたらす。検討対象の縮合触媒は、安定なシリケート溶液を維持する助けとなり得る触媒を含む。金属イオンを含まない触媒は、オニウム化合物および求核試薬から成る群から選択される。触媒は、例えば、アンモニウム化合物、アミン、ホスホニウム化合物またはホスフィン化合物であってもよい。その非排他的例としては、テトラメチルアンモニウムアセテート(TMAA)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)、セチルトリメチルアンモニウムアセテート(CTAA)、テトラメチルアンモニウムナイトレート(TMAN)、トリフェニルアミン、トリオクチルアミン、トリドデシルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルホスホニウムアセテート、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、およびそれらの組合せを含む、テトラオルガノアンモニウム化合物およびテトラオルガノホスホニウム化合物が挙げられる。好ましい実施形態においては、TMANが使用され、TMANは、TMANを水に溶解するか、硝酸を使用して、TMAAまたはTMAHをTMANに転換することによって得ることができる。組成物は、組成物の架橋を促進する非金属性求核添加剤を更に含んでもよい。これらは、ジメチルスルホン、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPT)、アミンおよびそれらの組合せを含む。幾つかの有用な架橋剤の例は、その全体において本明細書に組み込まれる、自己所有されている、係属中のPCT出願第PCT/US02/15256号(国際公開第03/088344号)において開示されている。
【0071】
pH調節剤
pH調節剤は、365nm、248nm、193nmおよび157mm近辺の吸収ピークを伴うものを含めて、任意の選択されたレジスト材料と相溶性または更に相溶性である様に、最終材料のpHを「調節」または調整するために、吸収組成物および/またはコーティング材料に添加される化合物、物質または溶液である。本明細書における検討対象のpH調節剤はまた、その全体において本明細書に組み込まれる、本発明の譲受入に譲渡されたPCT出願第PCT/US01/45306号(2001年11月15日出願)において見出される。
【0072】
然しながら、pH調節剤は、吸収材料、コーティングおよび/またはフィルムのpHを調整するだけではなく、吸収材料、コーティングおよび/またはフィルムが、それと結合されるレジスト材料と更に相溶性となる様に、積層材料、電子部品または半導体部品の一部である、吸収材料、コーティングおよび/またはフィルムの化学的機能および特徴、機械的機能ならびに構造的構成に影響を及ぼす。更に詳しく言えば、pH調節剤は、ポリマー特性、構造的構成、および最適なレジスト機能のための反射防止コーティングの表面特性を増加させることによって、最適化されたフィルム構造をもたらす空間的配向に強力に影響する。換言すれば、吸収材料、コーティングおよび/またはフィルムまたは結合レジスト材料の機械的性質および構造的構成に影響せずに、スピンオン材料のpHを単に調整するに過ぎないpH調節剤は、本明細書においては検討対象とはされない。また、幾つかのpH調節剤は、高密度化剤、触媒またはその両方として適当であってもよいことが理解されるべきである。本明細書における検討対象のそれぞれの材料変性剤は、1つより多い範疇において分類されてもよい。
【0073】
検討対象のpH調節剤は、2つの別々の、時には関連した機能を発揮しなければならない:a)pH調節剤が添加される組成物のpHに影響を及ぼすこと;b)無機材料、コーティングおよび/またはフィルムの機械的性能、化学的性質および/または構造的構成に影響を及ぼすこと、これはまた、最適な性能のために無機コーティングの表面特性を高めることをもたらす、ポリマー特性、構造的構成および空間的配向に強力に影響すると言うこともできる。
【0074】
検討対象のpH調節剤は、それが添加される組成物のpHに影響を及ぼすように部分的に設計されている。可能性のあるpH調節剤のクラスは、a)任意の適当な酸性または塩基性溶液、化合物、および/または成分および/またはb)任意の適当な強いまたは濃い酸性または塩基性溶液、化合物および/または成分を含む。適当なpH「影響剤」のこの編成は、化合物の大きな集合であり、pH「影響剤」は、無機材料、コーティングおよび/またはフィルムの機械的性能および/または構造的構成に影響を及ぼす一方で、また、吸収組成物、コーティングおよび/またはフィルムを、結合される層と相溶性または更に相溶性にしなければならないので、それから最終的なpH調節剤が選択される。このことは、例えば、選択されるpH調節剤はまた、材料の溶解度パラメーター、分子量、融点または幾つかのその他の物理的特性を合わせるように設計されていることを意味する。換言すれば、pH調節剤および吸収組成物および/またはコーティング材料は、たとえpH調節剤が、混合物のpHに影響を及ぼすその第一官能を機能させたとしても、望ましい物理的特性によって、物理的に非相溶性ではあり得ない。好ましい実施形態においては、望ましい物理的特性は、溶解度パラメーターまたは分子量である。更に好ましい実施形態においては、望ましい物理的特性は、溶解度パラメーターである。
【0075】
幾つかの適当なpH調節剤の例は、様々なモル濃度のアミンのクラス、例えば、γ−アミノアルキルトリアルコキシシラン、特に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTEOS);水;酸化物およびアルコキシド、例えば、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カリウム;ハロゲン化水素、例えば、臭化水素、塩化水素酸;酢酸;硫酸、乳酸、硝酸;TMAH;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA);ケイ素等の無機原子を伴うオリゴマーを含めたアミンベースのオリゴマー、およびそれらの組合せを含む。pH調節剤の検討されるモル濃度は、レジスト材料に対して選択されるpH調節剤によって、純物質、10モル、1.0モル、0.1モルおよび0.01モル濃度を含む。
【0076】
pH調節剤の更なる例としては、上で検討された接着促進剤、即ち、テトラメチルアンモニウムアセテート((TMAA)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラブチルアンモニウムアセテート(TBAA)、セチルトリメチルアンモニウムアセテート(CTAA)およびテトラメチルアンモニウムナイトレート(TMAN)が挙げられる。
【0077】
pH調節剤はまた、二重の目的または複数段階の目的に役立ってもよい。pH調節剤は、無機組成物を「調節」するためにpH調節剤によって必要とされる特徴以外に、極性および/または官能基に基づいて特定の吸収組成物またはコーティング材料のために特に選択されてもよい。pH調節剤が組成物に導入されると、pH調節剤は、pH調節剤間の極性における相違を利用して、またはpH調節剤における官能基を利用して、ストリッピングおよび/またはエッチング溶液をpH調節剤へ引き付ける「磁石」として効果的に作用する。pH調節剤によるこの引き付け効果は、幾つかの方法で起こすことができる。例えば、それは、pH調節剤が、室温において吸収組成物に導入される時に生起する発熱反応であってもよく、pH調節剤を「活性化」するために加えられるべき必要な外部エネルギーおよび/または熱であってもよく、pH調節剤の化学組成により、組成物に加えられるエネルギーが必要ない場合であってもよく、または、pH調節剤を「活性化」する、無機組成物に適用される差圧であってもよい。然しながら、エネルギーが付加されてもされなくても、pH調節剤が添加されると、この実施形態においては、pH調節剤は、リソグラフィー工程が完了するまで、化学的に変性または破壊される点まで加熱または活性化されない。リソグラフィー工程が完了したら、pH調節剤を含む吸収組成物は未加熱のままであってもよく、または、pH調節剤の化学組成が変化して、組成物と更に相溶性になる様に更に加熱されてもよい。この時点で、コーティングまたはフィルムは、先の実施形態において記載された様に、更に処理を受けることができる。
【0078】
高密度化剤
少なくとも1つの高密度化剤は、本明細書において開示される吸収組成物に添加されてもよい。高密度化剤または化合物は、その他の材料変性の項で既に述べたものと同様である。この項およびその他の項において述べられる化合物の多くは、これらの化合物の幾つかが、高密度化剤および触媒または高密度化剤およびpH調節剤であってもよい点で重複することが理解されるべきである。高密度化剤は、最終材料の密度またはその他の関連特性が参照材料に関して増加される様に、最終組成物の密度を「調節」または調整するために、本明細書において記載される吸収組成物に添加される、少なくとも1つの化合物、材料または溶液を含む。本明細書において使用される「参照材料」とは、高密度化剤を除く、本明細書において記載される検討対象の組成物の各成分を含むその材料である。「参照材料」は、検討対象の組成物が比較されてもよい基準組成物であることを意味する。
【0079】
然しながら、高密度化剤は、吸収組成物の密度を調整するだけではなく、また、最終組成物が、それに結合されるレジスト材料と更に相溶性である様に、積層材料、電子部品または半導体部品の一部である最終組成物の化学的性能および特性、機械的性能ならびに構造的構成に影響を及ぼす。更に詳しく言えば、高密度化剤は、最適なレジスト機能のための反射防止コーティングだけではなく、その他の層および積層材料を含めて、下地コーティングの表面特性の増加をもたらす、ポリマー特性、構造的構成および空間的配向に強力に影響する。
【0080】
本明細書において開示されるその他の材料変性剤と同様に、検討対象の高密度化剤は、2つの別々の、時には関連した機能を発揮しなければならない:a)高密度化剤が添加される組成物の物性に影響を及ぼすこと;b)組成物の機械的性能および/または構造的構成に影響を及ぼすこと、これはまた、最適なレジストおよび/または成分の性能のために、反射防止コーティング等の層、コーティングおよび/または材料の表面特性の増加をもたらす、ポリマー特性、構造的構成および空間的配向に強力に影響すると言うこともできる。
【0081】
検討対象の高密度化剤は、それが添加される組成物の密度に影響を及ぼすように部分的に設計されている。可能性のある高密度化剤のクラスは、a)任意の適当な酸性または塩基性溶液、化合物、および/または成分、および/またはb)任意の適当な強いまたは濃い酸性または塩基性溶液、化合物および/または成分を含む。適当な密度「影響剤」(influencer)のこの編成は、化合物の大きな集合であり、密度「影響剤」は、最終組成物の機械的性能および/または構造的構成に影響を及ぼす一方で、また、最終組成物を、相溶性または更に相溶性にしなければならないので、それから最終的な高密度化剤が選択される。このことは、例えば、選択される高密度化剤はまた、無機材料、スピンオン無機材料および/またはスピンオンガラス材料の溶解度パラメーター、分子量、融点または幾つかのその他の物理的特性を合わせるように設計されていることを意味する。換言すれば、高密度化剤および無機材料、スピンオン無機材料および/またはスピンオンガラス材料は、望ましい物理的特性によって、物理的に非相溶性ではあり得ない。好ましい実施形態においては、望ましい物理的特性は、溶解度パラメーターまたは分子量である。更に好ましい実施形態においては、望ましい物理的特性は、溶解度パラメーターである。
【0082】
幾つかの高密度化剤または密度調節剤の例は、様々なモル濃度のアミンのクラス、例えば、γ−アミノアルキルトリアルコキシシランおよびそれらのシラン化合物の窒素ベースの塩、特に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTEOS)およびAPTEOS−N;水;酸化物およびアルコキシド、例えば、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カリウム;ハロゲン化水素、例えば、臭化水素、塩化水素酸;酢酸;硫酸、乳酸、硝酸;TMAH;アセテートベースの化合物、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート(TMAA)、APTEOS−アセテートおよび酢酸アンモニウム;ナイトレートベースの化合物、例えば、テトラメチルアンモニウムナイトレート(TMAN−TMAAの硝酸安定化形態)および硝酸アンモニウム;ケイ素等の無機原子を伴うオリゴマーを含めたアミンベースのオリゴマー、およびそれらの組合せを含む。高密度化剤の検討されるモル濃度は、レジスト材料に対して選択される高密度化剤によって、純物質、10モル、1.0モル、0.1モルおよび0.01モル濃度を含む。
【0083】
検討対象の組成物を製造する1つの検討対象の方法は、少なくとも1つの吸収組成物、少なくとも1つの高密度化剤(材料変性剤)、硝酸/水混合物等の酸/水混合物、および少なくとも1つの溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程、および反応混合物を還流して、検討対象の組成物を形成する工程を含む。形成された組成物は、次いで、様々な厚さのフィルムを生成するコーティング溶液を用意するために、少なくとも1つの溶媒で希釈される。また、高密度化剤は添加されてもよく、あるいは還流工程中または還流工程後に添加されてもよい。また、高密度化剤は、フィルムの厚さが決定される希釈段階中に添加されてもよい。述べられる様なその他の適当な実施形態においては、導入可能な吸収化合物は、反応混合物を形成するために使用される工程中に添加されてもよい。
【0084】
検討対象の組成物を製造するその他の検討対象の方法においては、少なくとも1つの吸収組成物、少なくとも1つの高密度化剤および少なくとも1つの溶媒が、反応混合物を形成するために組み合わせることができる。反応混合物は、次いで、検討対象の組成物を形成するために還流される。形成された組成物は、様々な厚さのフィルムを生成するコーティング溶液を用意するために、少なくとも1つの溶媒で希釈される。この方法における高密度化剤は、異なる酸が添加されてもよい、少ない酸が添加されてもよい、または更に水が添加されてもよい、通常の酸/水混合物の変体であってもよい。高密度化剤はまた、希釈工程中に添加されてもよい。
【0085】
更に詳しく言えば、シラン反応体、例えば、HTEOS、またはTEOSおよびMTEOS、またはTMOSおよびMTMOS;または、選択的に、テトラクロロシランおよびメチルトリクロロシラン、少なくとも1つの高密度化剤、例えば、APTEOS−NまたはAPTEOS;溶媒または溶媒の組合せ;および酸/水混合物を含む反応混合物は、反応容器において形成される。適当な溶媒としては、アセトン、2−プロパノール、およびその他の単純なアルコール、ケトンおよびエステル、例えば、1−プロパノール、MIBK、プロポキシプロパノール、およびプロピルアセテートが挙げられる。酸/水混合物は、例えば、硝酸および水である。その他のプロトン性酸または酸無水物、例えば、酢酸、フマール酸、リン酸、塩酸または無水酢酸等は、酸混合物において選択的に使用される。得られた混合物は、吸収組成物を製造するために、約1〜24時間還流される。先に述べた通り、高密度化剤は、選択されるレジスト材料によって、還流工程の途中または後に添加されてもよい。また、先に述べた通り、酸/水混合物における酸濃度および/または強度ならびに水濃度は、特定の積層材料、電子部品または半導体部品用途のために選択されるレジスト材料によって、高密度化剤になる様に変動されてもよい。
【0086】
密度調節されたコーティング溶液(吸収コーティング溶液であってもなくてもよい)は、特定の製造方法によって、一般には、通常のスピンオン堆積方法によって、積層材料、半導体処理において使用される層または電子部品において使用される層を形成するために様々な基体に適用される。これらの方法としては、適当なコーティングを生成するための、分配スピン、膜厚スピンおよび熱焼成工程が挙げられる。一般的な方法は、それぞれ、約20秒間の1000〜4000rpmの膜厚スピンおよび約1分間、80℃〜300℃の温度での2つまたは3つの焼成工程を含む。本発明による密度調節されたコーティングは、約1.3〜約2.0の屈折率および約0.07を超える減衰係数を示す。また、本明細書における検討対象の密度調節されたコーティングは、その密度調節されていない対照物に関して、増加した屈折率測定値を有する点が注目されるべきである。
【0087】
ポロゲン
少なくとも1つのポロゲンは、吸収組成物および/またはコーティング材料または組成物のエッチング選択性および/またはストリッピング選択性を増加させるために無機ベース組成物または無機材料に添加されてもよい。如何なる特定の理論にも捕らわれることなく、本明細書における主題の態様において、少なくとも1つのポロゲンの、吸収組成物および/またはコーティング材料への添加は、材料、コーティングおよび/またはフィルムにおいて形成される細孔または空隙をもたらす。細孔または空隙は、細孔または空隙あるいは自由容積の増加が残される様な、材料の構造的再配置または損失の結果として形成されてもよい。材料、コーティングおよび/またはフィルムにおける細孔または空隙は、コーティングまたはフィルムにおいて更なる表面積を創り出し、これは、材料、コーティングおよび/またはフィルムのエッチング選択性および/またはストリッピング選択性を増加させる。充填材料の空隙率は、一般に、誘電材料の空隙率とほぼ同じであり、両方の例において、空隙率は、フォトレジスト材料の空隙率よりも大きい。これらの乾燥エッチング選択性は、時に、エッチングによるフォトレジストパターンからの臨界寸法の適当な移動を維持するのに必要である。ポロゲンの分子量はまた、ポロゲンが、吸収組成物および/または材料におけるコーティング化合物のマトリックスと相溶性であるか否かを決定するために使用することができる。この相溶性指数は、吸収組成物および/またはコーティング化合物のマトリックスの溶解度パラメーターに関連する。理想的な場合においては、ポロゲンは、組成物の分子量が知られている時は、ポロゲンの適当な分子量が、溶解度パラメーターをマトリックスに一致させることによって決定できる様に、焼成前のマトリックスコーティング組成物の溶解度パラメーターに一致するべきである。溶解度パラメーターは、フィルム欠陥、誘電定数、湿潤エッチングテスト、顕微鏡または走査電子顕微鏡による欠陥検査に対する関連により、またはグループ寄与法を使用する計算によりあるいは凝集エネルギーの分子モデルにより、実験的に決定されてもよい。(Physical Properties of Polymers Handbook、Chapter 16“Solubility Paramaters”Y.Du、Y.Xue、H.L.Frisch pp 227−239;James E.Mark Ed.、1996、American Institute of Physics、Woodbury、NYを参照)。
【0088】
本明細書において使用される「細孔」と言う用語は、材料における空隙および気泡および材料において気体により占められる空間を意味するその他の用語を含む。また、「細孔」と言う用語は、空隙率が増加した(「多孔性」が導入されている)材料密度における差を含む。適当な気体としては、比較的に純粋な気体およびそれらの混合物が挙げられる。主に、NおよびOの混合物である空気は、一般に、細孔において分配されるが、窒素、ヘリウム、アルゴン、COまたはCO等の純粋な気体も検討対象とされる。細孔は、一般に球状であるが、それに代わってまたは別に、管状、層状、板状、その他の形状を有する空隙、または先の形状の組合せを含んでもよく、開放または密閉されていてもよい。本明細書において使用される用語「ポロゲン」は、細孔を形成するために利用できる様々なメカニズムを有していてもよいが、一般には、除去に基づいて、「細孔」または「空隙」を残す材料あるいは「細孔」または「空隙」を創り出すために再配置のできる材料である。一実施形態においては、ポロゲンは、放射線、熱的に、化学的にまたは水分分解性、劣化性、脱重合性あるいは破壊できる、又はそれ以外の分解性材料であり、固体、液体または気体材料を含む。
【0089】
本明細書において考えられる主題のその他の態様においては、ポロゲンは、二重の目的または複数の目的に役立ってもよい。ポロゲンは、極性および/または官能基に基づいて、特定のコーティング組成物に対して特別に選択されてもよい。前焼成(顕著な細孔/空隙なし)または後焼成(材料において細孔/空隙が存在する)ポロゲンが組成物に導入されると、ポロゲンは、ポロゲン間の極性における相違を利用して、またはポロゲンにおける官能基を利用して、ストリッピングおよび/またはエッチング溶液をポロゲンへ引き付ける「磁石」として効果的に作用する。ポロゲンによるこの引き付け効果は、幾つかの方法で起こすことができる。例えば、それは、ポロゲンが、室温において吸収組成物および/またはコーティング材料に導入される時に生起する発熱反応であってもよく、ポロゲンを「活性化」するために加えられるべき必要な外部エネルギーおよび/または熱であってもよく、または、ポロゲンを「活性化」する、吸収組成物および/またはコーティング材料に適用される差圧であってもよい。ポロゲンは、細孔および/または空隙を創り出すためのポロゲンを意図することなく、材料変性剤として吸収組成物に添加されてもよい。然しながら、リソグラフィー工程が完了したら、ポロゲンを含む吸収組成物および/またはコーティング材料は、ポロゲンが細孔または空隙を形成することができる様に更に加熱されてもよく、またはポロゲンは、細孔または空隙を創り出すことなしに吸収組成物に残されてもよい。この時点で、細孔または空隙が材料、コーティングおよび/またはフィルムにおいて形成されれば、細孔/空隙は、コーティングまたはフィルムにおいて更なる表面積を創り出して、最終的には、先の実施形態において記載された様に、材料、コーティングおよび/またはフィルムのエッチング選択性および/またはストリッピング選択性を増加させる。
【0090】
幾つかの検討対象の実施形態においては、分解されたポロゲンは、その後に完全に硬化されるマトリックスにおいて細孔を創り出すために、部分的にまたは完全に架橋されたマトリックスから除去することができ、あるいはマトリックスを通して揮発または拡散することができ、従って、マトリックスの誘電定数を下げ、犠牲的な性質を高めることができる。その他の実施形態においては、ポロゲンは、分解しないで、マトリックスの外に解け出て「細孔」を残す材料であってもよい。第三の実施形態においては、ポロゲンは、分解しないで、例えば250〜350℃の特定の高温において分散するのに十分に揮発性である材料であってもよい。超臨界材料、例えばCOは、ポロゲンおよび分解したポロゲン断片を除去するために使用されてもよい。好ましくは、熱的に分解可能なポロゲンに対しては、ポロゲンは、材料の最少架橋温度を超える分解温度を有する材料を含む。好ましくは、本発明の新規なポロゲンは、約300℃まで、および幾つかの場合には約300℃を超える劣化または分解温度を有する。好ましくは、劣化または分解したポロゲンは、ポロゲンと組み合わされる材料の最少架橋温度を超える温度で揮発する。好ましくは、劣化または分解したポロゲンは、約50℃〜約450℃の温度で揮発する。
【0091】
線状ポリマー、星状ポリマー、架橋ポリマーナノ球体、ブロックコポリマーおよび超分岐ポリマー等の知られているポロゲンは、無機ベース化合物および材料と一緒に、検討対象の実施形態において使用されてもよい。適当な線状ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)等のポリエーテル;ポリ(メチルメタクリレート)等のポリアクリレート;ポリ(プロピレンカーボネート)およびポリ(エチレンカーボネート)等の脂肪族ポリカーボネート;ポリエステル;ポリスルホン;ポリスチレン(ハロゲン化スチレンおよびヒドロキシ置換スチレンから選択されるモノマー単位を含む);ポリ(α−メチルスチレン);およびその他のビニルベースポリマーである。有用なポリエステルポロゲンとしては、ポリカプロラクトン;ポリエチレンテレフタレート;ポリ(オキシアジポイルオキシ−1,4−フェニレン);ポリ(オキシテレフタロイルオキシ−1,4−フェニレン);ポリ(オキシアジポイルオキシ−1,6−ヘキサメチレン);ポリグリコリド;ポリラクチド(ポリ乳酸);ポリラクチド−グリコリド、ポリピルビン酸、約500〜約2500の分子量を有するポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール等のポリカーボネート;および約300〜約6500の分子量を有するポリ(ビスフェノールA−コ−エピクロロヒドリン)等のポリエーテルである。適当な架橋、不溶性ナノ球体(ナノエマルションとして調製される)は、ポリスチレンまたはポリ(メチルメタクリレート)から適当に構成される。適当なブロックコポリマーは、ポリグリコリド、ポリ酢酸、ポリ(スチレン−コ−α−メチルスチレン)、ポリ(スチレン−エチレンオキシド)、ポリ(エーテルラクトン)、ポリ(エステルカーボネート)およびポリ(ラクトンラクチド)である。適当な超分岐ポリマーは、超分岐ポリエステル、例えば、超分岐ポリ(カプロラクトン)、およびポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド等のポリエーテルである。その他の有用なポロゲンは、エチレングリコール−ポリ(カプロラクトン)である。有用なポリマーブロックとしては、ポリビニルピリジン、水素化ポリビニル芳香族、ポロアクリロニトリル、ポリシロキサン、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリブタジエンおよびポリイソプレン等のポリジエン、塩化ポリビニル、ポリアセタールおよびアミンキャップアルキレンオキシドが挙げられる。その他の有用な熱可塑性材料としては、ポリイソプレン、ポリテトラヒドロフランおよびポリエチルオキサゾリンが挙げられる。
【0092】
検討対象の実施形態において使用に適したその他の適当なポロゲンとしては、ポリマー、好ましくは、ヒドロキシルまたはアミノ等の、1つまたは複数の反応性基を含むポリマーが挙げられる。これらの一般的なパラメーターの内で、本明細書において開示される組成物および方法における使用にとって適当なポリマーポロゲンは、例えば、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンオキシドのモノエーテル、ポリアルキレンオキシドのジエーテル、ポリアルキレンオキシドのビスエーテル、脂肪族ポリエステル、アクリルポリマー、アセタールポリマー、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルブチラール)および/またはそれらの組合せである。ポロゲンがポリアルキレンオキシドモノエーテルである時は、1つの特定実施形態は、酸素原子間のC〜約Cアルキル鎖およびC〜約Cアルキルエーテル部分であり、アルキル鎖が置換または非置換の、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、またはポリプロピレングリコールモノメチルエーテルである。
【0093】
少なくとも2つの縮合芳香族環を含むポロゲンであって、縮合芳香族環のそれぞれが、環上に少なくとも1つのアルキル置換基を有し、1つの結合が、隣接する芳香族環上のアルキル置換基の少なくとも2つの間に存在するポロゲンは、検討対象の実施形態において使用されてもよい。好ましいポロゲンとしては、非官能化ポリアセナフチレンホモポリマー、官能化ポリアセナフチレンホモポリマー、以下に記載されるポリアセナフチレンコポリマー、ポリ(2−ビニルナフタレン)およびビニルアントラセンならびに互いのブレンドが挙げられる。その他の有用なポロゲンとしては、アダマンタン、ジアダマンタン、フラーレンおよびポリノルボルネンが挙げられる。これらのポロゲンのそれぞれは、上に列挙されたものも含めて、互いにまたはその他のポロゲン材料、例えば、ポリカプロラクトン、ポリスチレンおよびポリエステル等とブレンドされてもよい。有用なブレンドとしては、非官能化ポリアセナフチレンホモポリマーおよびポリカプロラクトンが挙げられる。更に好ましいポロゲンは、非官能化ポリアセナフチレンホモポリマー、官能化ポリアセナフチレンホモポリマー、ポリアセナフチレンコポリマーおよびポリノルボルネンである。
【0094】
有用なポリアセナフチレンホモポリマーは、好ましくは、約300〜約20,000、更に好ましくは、約300〜約10,000、最も好ましくは、約1000〜約7000の範囲の重量平均分子量を有してもよく、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN);ジ−t−ブチルアゾジカルボキシレート;ジ−フェニルアゾジカルボキシレート;1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル);過酸化ベンゾイル(BPO);t−ブチルペルオキシド;および三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート等の異なる開始剤を使用して、アセナフチレンから重合されてもよい。ポリアセナフチレンホモポリマーは、鎖末端に三重結合または二重結合等の官能性末端基を有してもよく、またはカチオン重合は、アリルアルコール、プロパギルアルコール、ブチノール、ブテノール等の二重または三重結合アルコールあるいはヒドロキシエチルメタクリレートを伴って急冷されてもよい。
【0095】
有用なポリアセナフチレンコポリマーは、線状ポリマー、星状ポリマーまたは超分岐ポリマーであってもよい。コモノマーは、ポリアセナフチレンホモポリマーに類似のコポリマー構造をもたらす嵩高な側鎖基、またはポリアセナフチレンホモポリマーとは異なるコポリマー構造をもたらす非嵩高な側鎖基を有してもよい。嵩高な側鎖基を有するコモノマーとしては、ビニルピバレート;t−ブチルアクリレート;スチレン;α−メチルスチレン;t−ブチルスチレン;2−ビニルナフタレン;5−ビニル−2−ノルボルネン;ビニルシクロヘキサン;ビニルシクロペンタン;9−ビニルアントラセン;4−ビニルビフェニル;テトラフェニルブタジエン;スチルベン;t−ブチルスチルベン;およびインデンが挙げられ、好ましくは、ビニルピバレートである。ヒドリドポリカーボシランは、追加のコモノマーとして、またはアセナフチレンおよび先のコモノマーの少なくとも1つとのコポリマー成分として使用されてもよい。有用なヒドリドポリカーボシランの例は、10%または75%のアリル基を有する。非嵩高な側鎖基を有するコモノマーとしては、酢酸ビニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、およびビニルエーテルが挙げられ、好ましくは、酢酸ビニルが挙げられる。
【0096】
細孔生成を検討する際の「劣化」と言う用語は、共有結合の破壊を意味する。その様な結合の破壊は、不均一な、および均一な破壊を含む多数の方法で起り得る。結合の破壊は完全である必要はなく、即ち、全ての破壊可能な結合が開裂されなければならないものではない。更に、結合の破壊は、他よりも速く幾つかの結合において起ってもよい。エステル結合は、例えば、一般に、アミド結合よりも不安定であり、従って、速い速度で開裂する。また、結合の破壊は、劣化部分の化学組成によって、互いに異なる小部分の放出をもたらしてもよい。
【0097】
熱劣化性ポロゲンを用いる細孔生成方法の好ましい実施形態においては、熱エネルギーが、ポロゲンをその出発成分またはモノマーに実質的に劣化または分解するように、ポロゲン含有材料に適用される。本明細書において使用される「実質的に劣化」とは、ポロゲンの少なくとも約40重量%が劣化または分解することを意味する。更に好ましい実施形態においては、ポロゲンの少なくとも約50重量%が劣化または分解し、最も好ましい実施形態においては、ポロゲンの少なくとも約80重量%が劣化または分解する。その他の実施形態においては、ポロゲンは、方法の別々の処理段階において、または、写真平版現像中またはポロゲン含有材料の実際の湿潤ストリッピング中等のその他の段階との組合せにおいて溶解される。
【0098】
一つの検討対象の実施形態に対しては、熱エネルギーはまた、実質的に劣化または分解されたポロゲンを無機化合物マトリックスの外へ揮発させるために適用される。好ましくは、同じ熱エネルギーが、劣化および揮発工程の両方のために使用される。揮発され劣化されたポロゲンの量が増加するにつれて、材料、コーティングおよび/またはフィルムで得られる空隙率は増加する。
【0099】
任意の適当な手順または条件は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、本発明の譲受入に譲渡された特許出願第PCT/US96/08678号および米国特許第6042994号;第6080526号;第6177143号;および第6235353号により教示される様な、加熱、溶媒における溶解、優先的エッチング、放射線暴露、紫外線、x−線、レーザーまたは赤外放射等の電磁放射;音波処理または物理的加圧等の機械的エネルギー;または、ガンマー線、α粒子、中性子ビームまたは電子ビームを含めて、少なくとも1つのポロゲンを除去または少なくとも部分的に除去するために使用されてもよい。
【0100】
溶媒
少なくとも1つの高沸点溶媒は、吸収材料、コーティングおよび/またはフィルムに添加されてもよい。如何なる特定の理論にも捕らわれることなく、高沸点溶媒の添加は、空隙形成を防ぎ、フィルムを「低速乾燥」フィルムとすることによって平坦化を改善するものと理解される。本明細書において使用される「高沸点溶媒」と言う用語は、溶媒が、材料、コーティングおよび/またはフィルムの乾燥および/または硬化温度近辺でおよび/または好ましくは僅かに上の温度で揮発することを意味する。好ましい高沸点溶媒としては、グリセロール、ジブチルエーテル、エチルラクテートジブチルグリセロール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−ピロリドン(NMP)、ジ−メチル−アセトアミド(DMAc)、高沸点芳香族ベース溶媒、石油エーテル、一群のカービトール、および一群のグリコールエーテルが挙げられる。また、高沸点溶媒は、ジプロピレングリコール、ポリ(エチレン)オキシドまたはエチルラクテート等のようにポロゲンとして作用することもできる。
【0101】
上記の検討対象の実施形態を更に述べれば、溶媒は、二重の目的または複数の目的に役立ってもよい。溶媒は、コーティング組成物の成分とブレンドまたは溶媒和するために溶媒に必要とされる特性以外に、極性および/または官能基に基づいて、特定のコーティング組成物に対して特別に選択されてもよい。溶媒が組成物に導入されると、溶媒は、溶媒間の極性における相違を利用して、または溶媒における官能基を利用して、ストリッピングおよび/またはエッチング溶液を溶媒へ引き付ける「磁石」として効果的に作用する。溶媒によるこの引き付け効果は、幾つかの方法で起こすことができる。例えば、それは、溶媒が、室温において吸収組成物および/またはコーティング材料に導入される時に生起する発熱反応であってもよく、溶媒を「活性化」するために加えられるべき必要な外部エネルギーおよび/または熱であってもよく、または、溶媒を「活性化」する、吸収組成物および/またはコーティング材料に適用される差圧であってもよい。然しながら、この実施形態においては、溶媒が添加された後は、エネルギーを付加してもしなくとも、溶媒はリソグラフィー工程が完了するまで、溶媒が最早存在しない点まで、加熱も活性化もされないことが理解されるべきである。リソグラフィー工程が完了したら、溶媒を含む吸収組成物および/またはコーティング材料は、溶媒が蒸発できる様に更に加熱されてもよい。この時点で、コーティングまたはフィルムは、先の実施形態において記載された様に、更に処理することができる。
【0102】
一般的な溶媒は、コーティング組成物および材料として使用されるために、本明細書において検討対象のモノマーおよびポリマーを溶媒和することのできる溶媒である。検討対象の溶媒としては、所望の温度で揮発する、有機、有機金属または無機分子の任意の適当な純粋物または混合物が挙げられる。また、溶媒は、極性および非極性化合物の任意の適当な純粋物または混合物を含んでもよい。好ましい実施形態においては、溶媒は、水、エタノール、プロパノール、アセトン、トルエン、エーテル、シクロヘキサノン、ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン、ポリエチレングリコールメチルエーテル、メシチレン、エチルラクテート、PGMEA、アニソール、およびカービトール等の一群のポリエーテル溶媒(ヒドロキシ、アルコキシまたはカルボキシ基でキャップされた一群のエチレングリコールエーテルを構成する)および類似のプロピレングリコールエーテルを含む。
【0103】
キャッピング剤
少なくとも1つのキャッピング剤は、材料変性剤としてコーティング組成物に添加されてもよい。本明細書において使用される「キャッピング剤」と言う用語は、ポリマーの末端を「キャッピングすること」により、特定のポリマーの分子量を有効に調節する末端化モノマーを意味する。検討対象の実施形態においては、キャッピング剤は、エトキシ反応性基等の1つだけの反応性基を伴い、モノマーの残りの部分がメチル基であるシランモノマーを含む。更に、シランモノマーは、無機組成物を形成する親反応において遅れて添加される。任意の適当な末端化モノマーは、TMEOS等のシラン組成物を含めて、この出願において使用されてもよい。
【0104】
(製造方法)
本明細書において開示された主題のその他の態様によれば、本明細書に記載された吸収組成物を合成する方法が提供される。吸収材料は、例えば、トリエトキシシラン(HTEOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS)、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、トリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン(TMEOS)、フェニルトリエトキシシラン(PTEOS)、フェニルトリメトキシシラン(PTMOS)、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラアセトキシシラン(TAS)、メチルトリアセトキシシラン(MTAS)、フェニルトリアセトキシシラン(PTAS)、ジメチルジアセトキシシラン、およびジフェニルジアセトキシシランを含む様々なシラン反応体から一般に合成される。然しながら、ガリウム、砒素、ゲルマニウム、ホウ素および類似の原子ならびに材料も、吸収材料を製造するために、ケイ素原子と組み合わせて、または単独原子材料として使用されてもよい。
【0105】
トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、ジクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、クロロトリエトキシシラン、クロロトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロエチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロエチルトリメトキシシラン、およびクロロフェニルトリメトキシシラン等のクロロシランを含むハロシランも、シラン反応体とし使用される。
【0106】
一般に、吸収組成物を製造するためには、吸収化合物1〜41等の吸収化合物またはそれらの組合せは、吸収材料の合成中にシラン反応体と一緒にされる。少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つのpH調節剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの触媒および/または少なくとも1つのキャッピング剤、および/またはそれらの組合せ等の材料変性剤は、少なくとも1つのキャッピング剤の場合と同様に、吸収組成物の合成中に、または、合成が完了したら、シラン反応体と一緒にされてもよい。
【0107】
吸収組成物を製造するための1つの検討対象の方法は、少なくとも1つの無機ベース組成物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つのpH調節剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの触媒および/または少なくとも1つのキャッピング剤、および/またはそれらの組合せ等の少なくとも1つの材料変性剤、硝酸/水混合物等の酸/水混合物、および少なくとも1つの溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程、および反応混合物を約40℃または40℃を超える温度に加熱または還流して、吸収組成物を形成する工程を含む。形成された吸収組成物は、次いで、様々な厚さのフィルムを生成するコーティング溶液を用意するために、少なくとも1つの溶媒で希釈される。少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つのpH調節剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの触媒および/または少なくとも1つのキャッピング剤、および/またはそれらの組合せ等の材料変性剤も添加されてもよく、還流工程中にまたは還流/加熱工程後のどちらかで添加されてもよい。
【0108】
吸収組成物を製造するためのその他の検討対象の方法においては、少なくとも1つの無機ベース組成物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つのpH調節剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの触媒および/または少なくとも1つのキャッピング剤、および/またはそれらの組合せ等の材料変性剤、および少なくとも1つの追加溶媒は、反応混合物を形成するために組み合わせることができる。反応混合物は、次いで、約40℃または40℃を超える温度まで加熱または還流されて、吸収組成物を形成する。形成された吸収組成物は、様々な厚さのフィルムを生成するコーティング溶液を用意するために、少なくとも1つの溶媒で希釈される。この方法におけるpH調節剤は、異なる酸が添加されてもよく、少ない酸が添加されてもよく、または多目の水が添加されてもよい、通常の酸/水混合物の変体であってもよい。然しながら、選択されるpH調節剤に関わりなく、基本的主部は依然として残る−つまり、pHは、pH調節剤によって影響を受けるだけでなく、ARCの化学的、機械的および物理的性質もまた、更に相溶性のレジスト/ARCカップルをもたらす様に影響を受ける。
【0109】
更に詳しく言えば、シラン反応体、例えば、HTEOSまたはTEOSおよびMTEOS、TMEOSまたはTMOSおよびMTMOS;または、それに代わる、テトラクロロシランおよびメチルトリクロロシラン、吸収化合物1〜41等の少なくとも1つの吸収化合物;少なくとも1つのpH調節剤;溶媒または溶媒の組合せ;および酸/水混合物を含む反応混合物は、反応容器において形成される。適当な溶媒としては、アセトン、2−プロパノール、および1−プロパノール、MIBK、プロポキシプロパノールおよびプロピルアセテート等のその他の単純なアルコール、ケトンおよびエステルが挙げられる。酸/水混合物は、例えば硝酸と水である。酢酸、乳酸、シュウ酸、蟻酸、リン酸、塩酸または無水酢酸等のその他のプロトン酸または酸無水物は、酸混合物において選択的に使用される。得られた混合物は、吸収溶液を製造するために、約1〜24時間、約40℃または40℃を超える温度で加熱されまたは還流される。先に述べた通り、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つのpH調節剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの触媒および/または少なくとも1つのキャッピング剤、および/またはそれらの組合せ等の材料変性剤は、選択されるレジスト材料によって、加熱/還流中またはその後に添加されてもよい。また、先に述べた通り、酸/水混合物における酸濃度および/または強度ならびに水濃度は、特定の積層材料、電子部品または半導体部品用途のために選択されるレジスト材料によって、pH調節剤となる様に変動されてもよい。
【0110】
吸収材料は、様々な厚さのフィルムを生成するコーティング溶液を得るために、適当な溶媒で希釈することができる。適当な希釈溶媒としては、アセトン、2−プロパノール、エタノール、ブタノール、メタノール、プロピルアセテート、エチルラクテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、および市場ではPropasol−Pと言われるプロピレングリコールプロピルエーテルが挙げられる。エチルラクテートおよびプロピレングリコールプロピルエーテル等の高沸点を伴う希釈溶媒は、有益であることが分かっている。高沸点溶媒は、泡状フィルム欠陥の形成の可能性を減少するものと考えられる。反対に、低沸点溶媒は、フィルムの架橋表面層の下に取り込まれて、その後、焼成処理工程中に追い出される時に、空隙を生成する可能性がある。本発明において有用な更なる溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル、別名グリム、アニソール、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよびペンタノールが挙げられる。場合によっては、界面活性剤が利用でき、これらの任意の界面活性剤に対するデータ/観察が、実施例項において以下で提供される。然しながら、これらのデータおよび観察は、行われた検討の全てではなく、テストされた界面活性剤の全てを表すものはない。例えば、次のクラスの界面活性剤がテストされた:ポリアクリレート(イオン性および非イオン性の両方)(BYKブランドの界面活性剤、特に、BYK 306、307、308、380および381)、官能性ポリジメチルシロキサン(Tagoprenブランド界面活性剤)、シリコーン、フッ素化アルキルエステル(3M(Minneapolis、MN)から提供される、FCブランド界面活性剤、特に、FC4430、FC430またはFC4432)、ポリエーテルおよび脂肪族炭化水素鎖界面活性剤(Brij 界面活性剤)、Megaface R08製品(DIC(日本)により提供される)、または、一般に、フルオロカーボン界面活性剤のクラスも、コーティング溶液に添加される。更に、BYK 410およびBYK 420等の幾つかの粘度調整剤は、コーティング溶液の粘度を変えるために添加されてもよい。コーティング溶液は、約0.5〜20重量%のポリマーが一般的である。使用前に、コーティング溶液は、標準濾過方法により濾過される。
【0111】
吸収材料を製造する第二の方法によれば、少なくとも1つのシラン反応体、吸収化合物1〜41等の少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つのpH調節剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの触媒および/または少なくとも1つのキャッピング剤、および/またはそれらの組合せを含む少なくとも1つの材料変性剤、および更なる溶媒または溶媒の組合せが、反応容器において形成される。反応混合物は、約40℃または40℃を超える温度で加熱され、所望の温度で、約1〜24時間保持される。シラン反応体および溶媒は、上記の第一の方法において記載されたものと同じである。酸/水混合物は、上記で記載された通り、攪拌しながら反応混合物に添加される。得られた混合物は、吸収材料を製造するために、約40℃または40℃を超える温度で加熱され、所望の温度で、約1〜24時間保持される。吸収材料は、コーティング溶液を形成するために、上述の様に希釈され、濾過される。再度、先に述べられた通り、少なくとも1つの材料変性剤は、第一加熱工程中またはその後に添加されてもよい。
【0112】
吸収有機ヒドリドシロキサン材料の製造方法は、非極性溶媒および極性溶媒の両方を含む二重相溶媒ならびに相転移触媒の混合物を形成する工程;少なくとも1つのオルガノトリハロシラン、ヒドリドトリハロシランを添加する工程;二重相反応混合物を用意するために、少なくとも1つの材料変性剤および吸収化合物1〜41等の少なくとも1つの吸収化合物を添加する工程;および吸収有機ヒドリドシロキサンポリマーを製造するために、二重相反応混合物を、1〜24時間反応させる工程を含む。相転移触媒としては、これらに限らないが、テトラブチルアンモニウムクロライドおよびベンジルトリメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。非極性溶媒の例としては、これらに限らないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素等のハロゲン化溶媒およびそれらの混合物が挙げられる。有用な極性溶媒としては、水、アルコール、ならびにアルコールおよび水混合物が挙げられる。吸収ポリマー溶液は、コーティング溶液を形成するために、上述の通り、希釈され、濾過される。
【0113】
その他の実施形態においては、触媒は、その表面において進む重合を伴い、固体相で存在してもよい。担持材料としては、スルホン酸等の結合酸基、または、使用される溶媒条件において不溶性である任意のその他の酸含有ポリマー(ポリラクチド、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸等)を有する、一般的なシリカベースイオン交換樹脂が挙げられてもよい。
【0114】
その他の実施形態においては、吸収コーティング組成物の合成および/または調製の途中およびその後の組成物の水含有量は、ポリマーの分子量成長を調節するために調節することができる。水含有量の調節は、ポリマーの分子量成長に対するキャッピング剤と同じ効果を有する。
【0115】
それに代わる、吸収組成物を製造するなおその他の方法は、重合反応が、「段階的シラン添加」方法において開始された後に添加される、少なくとも1つの無機ベースモノマーを必要とする。任意の残りのシランモノマー、約375nm未満の波長で光を吸収する、導入可能な吸収化合物、および少なくとも1つの材料変性剤が、次いで、反応混合物に添加される。
【0116】
(用途)
本明細書において開示されたコーティング材料および溶液は、一般には、通常のスピンオン堆積方法、蒸着または化学蒸着による特定の製造方法によって、犠牲的なバイアフィル層、積層材料、半導体加工において使用される層、または電子部品において使用される層を形成するために、様々な基体および/または表面に適用されてもよい。これらの方法は、無機コーティングを生成するために、分配スピン、膜厚スピン、および熱焼成工程を含む。一般的な方法は、それぞれ、約20秒間の1000〜4000rpmの膜厚スピンオンおよび約1分間、80℃〜300℃の温度での1から3つの焼成工程を含む。本発明による無機コーティングは、約1.3〜約2.0の屈折率および約0.07を超える減衰係数を示す。
【0117】
本明細書における検討対象の基体は、任意の望ましい実質的に固体の材料を含む。特に望ましい基体層は、フィルム、ガラス、セラミック、プラスチック、金属または被覆金属、あるいは複合材料を含む。好ましい実施形態においては、基体は、ケイ素またはゲルマニウムヒ化物ダイまたはウエハー表面、銅、銀、ニッケルまたは金メッキリードフレームにおいて見出される様な包装表面、回路板またはパッケージ相互連結トレース、バイアウォールまたは補強材界面(「銅」は、裸の銅およびその酸化物を検討材料として含む)、ポリイミドベースの柔軟なパッケージにおいて見出されるポリマーベースパッケージまたはボード界面、リードまたはその他の合金はんだ屑表面、ガラスおよびポリイミド等のポリマーを含む。更に好ましい実施形態においては、基体は、パッケージおよび回路板工業において一般的な材料、例えば、ケイ素、銅、ガラスおよびその他のポリマーを含む。
【0118】
検討対象のコーティング材料、コーティング溶液およびフィルムは、様々な電子装置、マイクロ電子装置、特に、半導体集積回路、ならびにハードマスク層、誘電層、エッチング停止層および埋設エッチング停止層を含めた、電子および半導体部品用の様々な積層材料の製造において有用である。これらのコーティング材料、コーティング溶液およびフィルムは、アダマンタンベース化合物、ジアダマンタンベース化合物、ケイ素−中心化合物、有機誘電体、およびナノ多孔性誘電体等の積層材料および装置のために使用されてもよいその他の材料と完全に相当性である。本明細書における検討対象のコーティング材料、コーティング溶液およびフィルムと相当に相溶性である化合物は、その全体が参照として本明細書に全て組み込まれる、PCT出願第PCT/US01/32569号(2001年10月17日出願);PCT出願第PCT/US01/50812号(2001年12月31日出願);米国特許出願第09/538276号;米国特許出願第09/544504号;米国特許出願第09/587851号;米国特許第6214746号;米国特許第6171687号;米国特許第6172128号;米国特許第6156812号;米国特許出願第60/350187号(2002年1月15日出願);および米国特許出願第60/347195号(2002年1月8日出願)において開示されている。
【0119】
本明細書において記載される化合物、コーティング、フィルム、材料等は、電子部品および/または半導体部品の一部形態または形態の一部と成るように使用されてもよい。本明細書において使用される「電子部品」と言う用語は、何らかの所望の電気的作動を得るための回路において使用することのできる任意の装置または部品を意味する。本明細書における検討対象の電子部品は、動的部品および受動的部品への分類を含めて、多くの異なる方法で分類されてもよい。動的部品は、通常、その操作のために動力源を必要とする、増幅、振動、シグナル調節等の幾つかの動的機能を果たすことのできる電子部品である。その例には、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタおよび集積回路がある。受動的部品は、操作が静的である、即ち、普通は、増幅または振動することができず、通常、その特徴的操作のための動力を必要としない電子部品である。その例には、通常の抵抗器、蓄電器、誘導器、ダイオード、整流器およびヒューズがある。
【0120】
本明細書における検討対象の電子部品は、導体、半導体および絶縁体として分類されてもよい。ここで、導体とは、帯電粒子(電子など)が、電流におけるごとく、原子の中を容易に移動できる部品である。導体部品の例は、回路トレースおよび金属を含むバイアスである。絶縁体は、機能が、その他の部品を電気的に分離するために使用される材料等の、電流の伝導に極端に抵抗する材料の能力に実質的に関連する部品であり、一方、半導体は、導体および絶縁体の間の中間の抵抗性を伴って電流を伝導する材料の能力に実質的に関連する機能を有する部品である。半導体部品の例は、トランジスタ、ダイオード、幾つかのレーザー、整流器、サイリスタおよび光センサーである。
【0121】
本明細書における検討対象の電子部品は、動力源または動力消費体として分類されてもよい。動力源部品は、その他の部品の動力を供給するために一般に使用され、バッテリー、蓄電器、コイルおよび燃料電池が挙げられる。動力消費部品としては、抵抗器、トランジスタ、集積回路(IC)、センサー等が挙げられる。
【0122】
尚更に、本明細書における検討対象の電子部品は、個別のものまたは集積されたものとして分類されてもよい。個別部品は、回路において一箇所に集中される1つの特定の電気的性質を与える装置である。その例には、抵抗器、蓄電器、ダイオード、およびトランジスタがある。集積部品は、回路において一箇所で複数の電気的性質を与えることのできる部品の組合せである。その例には、集積回路があり、そこにおいては、複数の部品および連結トレースが、ロジック等の複数のまたは複雑な機能を実行するために組み合わされる。
【0123】
(実施例)
(分析テスト方法)
屈折率:屈折率(n)測定は、n&kアナライザー分光光度計を使用して厚さ測定と一緒に行われる。
【0124】
吸収係数:吸収係数(k)測定は、n&kアナライザー分光光度計を使用して厚さ測定と一緒に行われる。
【0125】
分子量:分子量(Mw)測定は、気相クロマトグラフィーを使用して行われる。
【0126】
%バイアフィル:%バイアフィル測定は、走査電子顕微鏡と共にバイアフィルウエハーを使用して行われる。
【0127】
湿潤ストリップ速度(BOE、TMAH、NE−89またはその他の湿潤化学品において):ウエハーは、種々の温度、例えば、室温、50℃、75℃等において、種々の時間、例えば、15秒、30秒、1分、2分、5分または10分間、検討対象の湿潤化学品中に、フィルムを伴って浸漬被覆される。浸漬前および浸漬後にフィルム厚さを測定する。湿潤ストリップ速度は、単位時間当たりのフィルム厚さ変化により計算される。
【0128】
等温重量分析(ITGA)重量損失:全重量損失は、TAインスツルメント熱分析コントローラーおよび付随のソフトウエアと一緒に使用されるTAインスツルメント2950熱重量分析計(TGA)で決定された。プラチネルII(Platinel II)熱電対ならびに約25℃〜約1000℃の温度範囲および約0.1℃〜約100℃/分の加熱速度を伴う標準炉が使用された。少量のサンプル(約7〜約12mg)が、TGAバランスで秤量され(分解能:約0.1g;精度:+約0.1%まで)、白金パンで加熱された。サンプルは、約100ml/分(炉に向けては約60ml/分、バランスに向けては約40ml/分)のパージ速度を伴い窒素下で加熱された。サンプルは、窒素下で、約20℃で、約20分間平衡化され、次いで、温度が、約10℃/分の速度で約130℃まで上げられ、約130℃で約1分間保持された。次いで、温度は、約10℃/分の速度で約250℃まで上げられ、約250℃で約3分間保持された。約250℃で約90秒間での重量損失が計算された。
【0129】
FTIR分析:FTIRスペクトルは、透過方式において、ニコレットマグナ(Nicolet Magna)550FTIR分光計を使用して測定された。基体背景スペクトルは、未被覆基体上で測定された。フィルムスペクトルは、基体を背景として使用して測定した。次いで、フィルムスペクトルは、ピーク位置および強度における変化に対して分析された。任意の検討対象の組成物または溶液のFTIRを測定する方法は、その全体において本明細書に組み込まれる、本発明の譲受入に譲渡された米国特許出願第US20030151031号(2003年8月14日出願)において見出されてもよい。
【0130】
接触角:任意の検討対象の組成物または溶液の接触角を測定する方法は、本発明の譲受入に譲渡されたPCT出願第PCT/US02/36327号において見出されてもよい。
【0131】
pH測定:任意の検討対象の組成物または溶液のpHを測定する方法は、その全体を本明細書に組み込まれる、同一の譲受人に譲渡されたPCT出願第PCT/US01/45306号において見出すことができる。
【0132】
(記号および略称)
AC/Absorb.Comp=吸収組成物
POR=多孔性
ER=エッチング速度
Pre=フィルム平均厚さÅの予備浸漬SOG
WER=湿潤エッチング速度
Rev A=pH1.5における有機シロキサンポリマー
Rev C=pH1.5における、Rev Aおよび600ppmの酸性化TMAAの成分
TMAH=テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
TMAA=テトラメチルアンモニウムアセテート
DPG=ジプロピレングリコール
BOE=緩衝化酸化物エッチング液
193=193nm
248=248nm
【0133】
本明細書において記載された吸収組成物および/またはコーティング材料を合成する方法の幾つかが、以下の実施例において例示される。以下の実施例において調製される溶液およびコーティングは、157nm、193nm、248nm、および375nm近辺を吸収するものを含めて、幾つかのフォトレジスト材料と相溶性である様に調節および/または調製される。193nmレジスト材料の実施例は、アクリレートレジスト材料である。
【実施例1】
【0134】
表3〜9は、幾つかの検討対象の吸収組成物および湿潤ストリピング剤として使用された種々の濃度のTMAH水溶液を使用して展開された温度マトリックスを示す。表は、焼成順序、%水性TMAH、エッチング速度(ER)およびpHを示す。表において、「Rev A」は、pH1.5における有機シロキサンポリマーを示す。表において、「Rev C」は、pH1.5におけるRev Aおよび600ppmの酸性化TMAAを含む。
【実施例2】
【0135】
図2〜5は、250℃の焼成板上で90秒後のTMAA(図2)、TMAN(図3)、APTEOSトリフレート(図4)、およびアンモニウムトリフレート(図5)に対するTGAデータを示す。
【実施例3】
【0136】
図6は、検討対象の吸収組成物および/またはコーティング材料の湿潤エッチング速度についてのエッチング経路の効果を示す。APTEOS−トシレートおよびTMAH−トシレート/TMAH−トリフレートを使用して、検討対象の吸収組成物および/またはコーティング材料の湿潤エッチング速度(WER)の決定により作成された生データは、表10および11において示される。
【実施例4】
【0137】
表12は、材料変性剤、特に、「N」含有接着促進剤を含む、検討対象の吸収組成物の窒素含有量を示す。表13および図7〜15は、表11の組成物に対する湿潤エッチング速度データおよびフィルム性データを示す。
【実施例5】
【0138】
2つの検討対象の吸収組成物に対する溶液熟成検討は、この実施例において提示され、結果は、表14および図16〜25において示される。溶液熟成条件は次の通りである:
5日間、40℃貯蔵
1カ月間、室温貯蔵
6カ月間、0℃貯蔵
6カ月間、−20℃貯蔵
応答テストは次の通りであった:
GPC(Mn、Mw、Mp、Mz、Mz+1、多分散性)
90秒間、130/240℃焼成でのフィルム厚さ
193nmでの反射、屈折率および減衰係数
TMAH抵抗
500:1のBOEストリップ速度
接触角(水およびエチレングリコール)
【実施例6】
【0139】
2つの検討対象の吸収組成物に対するフィルム熟成検討は、この実施例において提示され、結果は、表15〜16において示される。室温貯蔵に対するフィルム熟成条件は、次の通りである:
1時間
3時間
8時間
24時間
48時間
応答テストは次の通りであった:
TMAH抵抗
500:1のBOEストリップ速度
【実施例7】
【0140】
表17〜19は、pH1.5において有機シロキサンポリマーを含む「Rev A」組成物と比較した、3つの異なる吸収組成物についての湿潤エッチング速度検討を示す。表17は、pH1.5において、1070ppmのAPTEOSトリフレートと一緒に、「Rev A」の成分を含む吸収組成物を示す。表18は、pH1.5において、1070ppmのAPTEOSトリフレートおよび1.5%DPGと一緒に、「Rev A」の成分を含む吸収組成物を示す。表19は、pH1.5において、1070ppmのAPTEOS MSAおよび1.5%DPGと一緒に、「Rev A」の成分を含む吸収組成物を示す。表20は、分子量成長および熟成に関する、上述の同じ組成物を示す。
【実施例8】
【0141】
表21は、pH1.5および5.5において、有機シロキサンポリマーを含む「Rev A」組成物と比較した、異なる吸収組成物についての湿潤エッチング速度検討を示す。実験組成物は、1070ppmのAPTEOSナイトレートおよび4つの異なる濃度のDPGと、「Rev A」組成物からなる。
【実施例9】
【0142】
図26および表22〜23は、pH1.5における有機シロキサンポリマー+種々の濃度のAPTEOSトリフレートの水接触角、n&kおよび分子量を示す。図27は、APTEOSトリフレートの種々の負荷と有機シロキサンポリマーに対するFTIRデータを示す。表24は、APTEOSトリフレートの高負荷を有する有機シロキサンポリマー組成物の1つの湿潤エッチング速度を示す。
【0143】
この様に、少なくとも1つの無機化合物、少なくとも1つの吸収化合物または材料、および少なくとも1つの材料変性剤、例えば、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つのpH調節剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの触媒および/または少なくとも1つのキャッピング剤、および/またはそれらの組合せ等を含む組成物の特定の実施形態および用途ならびに、吸収組成物、コーティング材料、スピンオン材料、スピンオン無機材料およびスピンオンガラス材料を製造するための方法が開示された。然しながら、既に記載されたものに加えて、多くの更なる変更が、本明細書における発明の概念から逸脱することなく可能であることは、当業者にとって明白である。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神内であることを除いて限定されるべきではない。更に、本明細書および特許請求の範囲の解釈において、全ての用語は、その文脈と一致する最も広い可能な方法において解釈されるべきである。特に、「含む」および「含んでいる」と言う用語は、言及される要素、成分、または工程が存在していてもよく、または、利用されてもよく、あるいは、明確には言及されていないその他の要素、成分、または工程と組み合わされてもよいことを示す、非排他的な方法において、要素、成分、または工程に言及しているものであると解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物、および少なくとも1つの材料変性剤を含む吸収組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの材料変性剤が、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つのキャッピング剤、少なくとも1つのpH調節剤またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の吸収組成物。
【請求項3】
吸収化合物が有機ベース化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
吸収化合物が、375nm未満の波長において、少なくとも約0.5nm幅の波長範囲にわたって光を強力に吸収する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
吸収化合物が、375nm未満の波長において、少なくとも約10nm幅の波長範囲にわたって光を強力に吸収する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
範囲が約260nm未満の波長を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
吸収化合物が、少なくとも1つのベンゼン環ならびにヒドロキシル基、アミン基、カルボン酸基および置換されたシリル基を含むグループから選択される反応基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
吸収化合物が2個以上のベンゼン環を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
2個以上のベンゼン環が縮合されている、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
有機吸収化合物が、アントラフラビン酸、9−アントラセンカルボン酸、9−アントラセンメタノール、アリザリン、キニザリン、プリムリン、2−ヒドロキシ−4(3−トリエトキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン、ロゾール酸、トリエトキシシリルプロピル−1,8−ナフタルイミド、9−アントラセンカルボキシ−アルキルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、10−フェナントレンカルボキシ−メチルトリエトキシシラン、4−フェニルアゾフェノール、4−エトキシフェニルアゾベンゼン−4−カルボキシ−メチルトリエトキシシラン、4−メトキシフェニルアゾベンゼン−4−カルボキシ−メチルトリエトキシシランまたはそれらの混合物を含む吸収化合物を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
無機ベース化合物がケイ素ベース化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ケイ素ベース化合物がポリマーを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ポリマーが、メチルシロキサン、メチルシルセスキオキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、アクリルシロキサンポリマー、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、シリケートポリマー、シラザンポリマーまたはそれらの混合物等の有機シロキサン化合物を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ポリマーが、水素シロキサン、水素シルセスキオキサン、有機ヒドリドシロキサン、シルセスキオキサンをベースとした化合物、ケイ酸の誘導体および有機ヒドリドシルセスキオキサンポリマー;水素シルセスキオキサンと、アルコキシヒドリドシロキサン、ヒドロキシヒドリドシロキサン、ケイ酸の誘導体またはそれらの混合物とのコポリマーを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
ポリマーが、(H0〜1.0SiO1.5〜2.0(xは、約4よりも大きい)および(H0〜1.0SiO1.5〜2.0(R0〜1.0SiO1.5〜2.0(mは、0よりも大きく、nおよびmの合計は、約4から約5000であり、Rは、C〜C20アルキル基またはC〜C12アリール基である)を含む一般式を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1つの接着促進剤が塩基を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの接着促進剤が窒素を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの接着促進剤がリンを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの接着促進剤がアミン塩基を含む、請求項16または17の一項に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの接着促進剤が、アンモニウム、ピリジン、アニリン、TMAH、CTAH、TBAH、APTEOSまたはそれらの組合せを含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの接着促進剤が少なくとも1つのアミン塩を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1つのアミン塩が、弱酸/弱塩基、弱酸/強塩基または強酸/強塩基を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つの接着促進剤が、TMAA、TMANまたはそれらの組合せを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも1つのアミン塩が強酸/弱塩基を含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも1つの接着促進剤が、APTEOSトリフレート、APTEOSメタンスルホネート、APTEOSナイトレート、APTEOSnfbs、アンモニウムトリフレート、アンモニウムnfbs、アンモニウムメタンスルホネート、アンモニウムナイトレート、TMAHトリフレート、TMAHnfbs、TMAHメタンスルホネート、TMAHナイトレートまたはそれらの組合せを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの接着促進剤が酸を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1つの接着促進剤が中性化合物を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項28】
少なくとも1つの触媒が弱酸を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項29】
少なくとも1つの接着促進剤が樹脂ベース材料を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項30】
樹脂ベース材料が、フェノール系含有樹脂、ノボラック樹脂、有機アクリレート樹脂またはスチレン樹脂の少なくとも1つを含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
接着促進剤が、ポリジメチルシロキサンをベースとした材料、アルコキシまたはヒドロキシ含有シランモノマー、ビニル含有シランモノマー、アクリレート化シランモノマーまたはシリルヒドリド化合物を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項32】
少なくとも1つのキャッピング剤が末端化モノマーを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項33】
末端化モノマーがシラン化合物を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
少なくとも1つのポロゲンが有機化合物を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項35】
有機化合物がポリマーを含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
ポリマーがポリ(エチレンオキシド)を含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
少なくとも1つのポロゲンが触媒を更に含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項38】
触媒がアミン塩を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
アミン塩が弱酸/弱塩基または弱酸/強塩基の塩を含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
触媒が、TMAA、TMAN、TBAA、TBAN、CTAA、CTANまたはそれらの組合せを含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
請求項1または請求項2の一項に記載の組成物および追加溶媒または溶媒混合物を含むコーティング溶液。
【請求項42】
溶液が約0.5重量%から約20重量%の間の吸収材料である、請求項41に記載のコーティング溶液。
【請求項43】
少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの材料変性剤、酸/水混合物、および1つまたは複数の溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程、および
前記反応混合物を、室温において吸収組成物に形成する工程
を含む吸収組成物の製造方法。
【請求項44】
少なくとも1つの材料変性剤が、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つのキャッピング剤、少なくとも1つのpH調節剤またはそれらの組合せを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの材料変性剤、酸/水混合物、および1つまたは複数の溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程、および
前記反応混合物を加熱して、吸収組成物を形成する工程
を含む吸収組成物の製造方法。
【請求項46】
少なくとも1つの材料変性剤が、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つのキャッピング剤、少なくとも1つのpH調節剤またはそれらの組合せを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの材料変性剤、および1つまたは複数の溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程であって、前記少なくとも1つの材料変性剤が、少なくとも1つの酸および水を含む工程、および
前記反応混合物を加熱して、吸収材料、コーティングまたはフィルムを形成する工程
を含む吸収組成物の製造方法。
【請求項48】
少なくとも1つの材料変性剤が、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つのキャッピング剤、少なくとも1つのpH調節剤またはそれらの組合せを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも1つの無機ベース化合物、少なくとも1つの吸収化合物、少なくとも1つの材料変性剤、および1つまたは複数の溶媒を組み合わせて反応混合物を形成する工程であって、前記少なくとも1つの材料変性剤が、少なくとも1つの酸および水を含む工程、および
前記反応混合物を、吸収材料、コーティングまたはフィルムに形成する工程
を含む吸収組成物の製造方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの材料変性剤が、少なくとも1つの接着促進剤、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つのポロゲン、少なくとも1つの高沸点溶媒、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つのキャッピング剤、少なくとも1つのpH調節剤またはそれらの組合せを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
レジスト材料に結合した、請求項1または2の一項に記載の吸収組成物を含む積層材料。
【請求項52】
請求項1または2の一項に記載の吸収組成物を含む半導体部品。
【請求項53】
請求項1または2のいずれかに記載の吸収組成物を含むフィルム。
【請求項54】
請求項1または2のいずれかに記載の吸収組成物を含む電子部品。
【請求項55】
吸収組成物が、少なくとも部分的に除去されるように設計されている、請求項1または2の一項に記載の組成物。
【請求項56】
レジスト材料が、157nm、193nm、248nmおよび365nmを含む波長範囲にわたって光を吸収する、請求項51に記載の組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2012−25957(P2012−25957A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−177138(P2011−177138)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【分割の表示】特願2006−541340(P2006−541340)の分割
【原出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(501228624)ハネウエル・インターナシヨナル・インコーポレーテツド (24)
【Fターム(参考)】