説明

バイオマス有機液状化物の製造装置及び製造方法、並びに高分子複合材料の製造装置及び製造方法

【課題】バイオマスを高度に微細化、均一化させて有機溶媒又は合成高分子に分散させるとともに、残留水分を低減させて品質の優れるバイオマスの有機液状化物、及び高分子複合材料を製造する技術を提供する。
【解決手段】バイオマス有機液状化物の製造装置において、バイオマスを粉砕させたものに有機溶媒を混入した懸濁体を投入する第1投入手段(20)と、投入された懸濁体を密閉状態で設定温度にて混練しバイオマスが均質に分散した混練体にする混練手段(30)と、混練体を設定温度(Tz)における飽和蒸気圧(Pz)よりも低圧に設定した雰囲気に晒し含まれる水分を揮発させる揮発手段(40)と、脱水された混練体を取り出す取出手段(60)とを、備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスを有機溶媒中に微細に分散させた懸濁体、及びバイオマスを合成高分子に微細に分散させた複合体に関連する技術分野に属し、特にそのような材料の製造装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここで、バイオマス(生物資源)とは、太陽のエネルギーによって、成長する動物や植物のうち再生可能な有機性資源を指す。
具体的には、リグノセルロース又はセルロースを主成分とする草木質系バイオマス(木材工業およびパルプ工業等の廃棄物である間伐材・建築解体材等、農業廃棄物である稲ワラ・さやガラ・籾ガラ等)、アミロース又はアミロペクチンを主成分とするデンプン質系バイオマス(米、小麦、とうもろこし、馬鈴薯、甘藷、タピオカ等)、甲殻類動物に由来するキチン(又はキトサン)質系バイオマス(蟹ガラ、蝦ガラ等)が挙げられる。
さらには、食品加工の過程で排出される、酒かす、コーヒーかす、ジュースの搾りかす等のたんぱく質成分を多く含む食品廃棄物も挙げられる。
【0003】
現在、これらバイオマスに由来する成分と合成高分子とを複合化させることにより、化石資源から生産される合成高分子の使用量を低減させ地球環境の保全に貢献したり、従来にない新機能を発現したりする高分子複合材料を創出する研究が進められている。そのような高分子複合材料にあっては、合成高分子の母相にバイオマスの成分をいかにして微細にかつ均一に分散させるかが重要な検討課題となっている。
また、嵩高くかつ腐敗が進行しやすいバイオマスを微細化して溶媒に懸濁させることにより、減容しかつ安定して長期保存する技術の検討がなされている。
【0004】
しかし、バイオマスは、分子間の強固な水素結合に基づく高い結晶性を有するとともに三次元架橋等の高次構造を有している。また機械的に粉砕された場合であってもバイオマスの粉末は凝集しやすい性質を有している。このため、バイオマスを合成高分子の固相中や有機溶媒中に微細にかつ均一に分散させることは一般に容易でない。
【0005】
前記した課題に対する従来技術として、前記デンプン質系バイオマスにあっては、これに含水処理を行った後に、合成高分子の主剤とともに加熱混練することにより、デンプン質を糊化(α化)させ合成高分子の固相中に微細に均一に分散させる技術が公知となっている(例えば、特許文献1)。
また、草木質系バイオマスやキチン質系バイオマスにあっては、高圧ホモゲナイザー等を用いて、これらバイオマスを水溶媒中で微細化し均質な懸濁液を作製する技術が知られている。そして、この懸濁液を、合成高分子の主剤とともに加熱混練することにより、バイオマスを合成高分子の固相中に微細に均一に分散させる技術が公知となっている(例えば、特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開2006−21502号公報
【特許文献2】特開2006−289164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、以上述べた従来技術では、バイオマスを合成高分子と共に混練して微細化及び均一分散させた後、混練体から水分を揮発させる脱水工程を経ても、脱水が不十分となり品質が低下する問題があった。このために、極力この残留水分を少なくしたバイオマスの懸濁体及び複合体の創生が望まれるが、バイオマスの構成物質は一般に親水性が高く、脱水度を向上させることは困難である。
また作成したバイオマスの懸濁体は、成分の腐敗が水溶媒中において進行し易く、保存安定性に欠く問題があった。
【0008】
本発明は、前記した問題を解決することを課題とし、バイオマスを高度に微細化、均一化させて有機溶媒又は合成高分子に分散させるとともに、残留水分を低減させて品質の優れるバイオマス有機液状化物、及び高分子複合材料を製造する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明は、バイオマス有機液状化物の製造装置において、バイオマスの粉砕物及び有機溶媒を投入する第1投入手段と、投入された前記粉砕物及び有機溶媒を密閉状態で設定温度にて混練しバイオマスが微細に分散した混練体にする混練手段と、前記混練体を前記設定温度における飽和蒸気圧よりも低圧に設定した雰囲気に晒し含まれる水分を揮発させる揮発手段と、脱水されて前記バイオマスが均質に微細に分散した状態の前記混練体を取り出す取出手段とを、備えることを特徴とする。
【0010】
このような手段から構成される本発明は、公知の方法で予め粉砕されたバイオマスを出発原料として用いることとなる。そして、密閉空間においてバイオマスの粉砕物、この粉砕物に含まれる水分、及び有機溶媒が混練されることによりバイオマスの微細化が進むとミクロレベルでの均一化が進行し流動性も向上する。この過程において、有機溶媒がバイオマスの分子構造に取り込まれると、吸着していた水分が離脱して溶媒中に取り込まれ、揮発手段における水分の揮発が促進される。これにより、バイオマス成分は再凝集することが抑制され、均質に微細に分散したバイオマス有機液状化物の状態が安定的に維持される。
【0011】
さらに本発明の高分子複合材料の製造装置は、本発明の製造装置において、合成高分子の単体又は前駆体を投入する第2投入手段を設け、前記混練手段は、投入された前記合成高分子を、蒸気圧が水よりも高く任意の割合で水に可溶する前記有機溶媒及び前記粉砕物とともに混練し、前記揮発手段は、前記混練体から前記水分とともに前記有機溶媒も揮発させ、取出手段は、脱水されて前記バイオマスが前記合成高分子に均質に微細に分散した状態の前記混練体を取り出すことを特徴とする。
【0012】
このような手段から本発明が構成されることにより、まず合成高分子とバイオマスの粉砕物と、有機溶媒とがマクロレベルで均一に混合するとともに、設定温度により合成高分子が流動化するとミクロレベルでの均一化が進行する。この過程において、バイオマスが固有に含む水分は有機溶媒に溶解することになる。そして、前記した性質を有する有機溶媒と水との混合液の蒸気圧は一般に水単体の蒸気圧よりも高くなるために、バイオマスに含まれる水分は有機溶媒とともに高効率で揮発手段において除去されることになる。これにより、再凝集することなくバイオマス成分は微細に分散し、品質の優れた高分子複合材料が得られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、バイオマスを高度に微細化、均一化させて有機溶媒又は合成高分子の固相に分散させるとともに、残留水分を低減させて安定で品質の優れるバイオマス有機液状化物、及び高分子複合材料を製造する技術が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
(バイオマス有機液状化物の製造装置の説明)
図1(a)は本発明に係るバイオマス有機液状化物の製造装置10A(以下、単に「有機液状化装置10A」という)の実施形態を示す縦断面図である。
この有機液状化装置10Aは、水溶媒中でバイオマスを粉砕させた粉砕物に有機溶媒を混入した懸濁体を投入する第1投入手段20と、投入された前記懸濁体を密閉状態で設定温度にて混練しバイオマスが微細に分散した混練体にする混練手段30A(30)と、混練体を設定温度Tz(図4(a)参照)における飽和蒸気圧Pzよりも低圧(Pa又はPb)に設定した雰囲気に晒し含まれる水分を揮発させる揮発手段40と、脱水されて前記バイオマスが均質に微細に分散した状態の前記混練体を取り出す取出手段60と、から構成されている。
このような有機液状化装置10Aは、原料の投入工程、混練工程、混練体の取出工程がそれぞれ順繰りに繰り返され断続的にバイオマス有機液状化物を製造するバッチ式の製造装置である。
【0015】
ここで、水溶媒中でバイオマスを粉砕させる方法としては、前記した特許文献2に挙げられるような高圧ホモゲナイザーを用いてバイオマスを水中で物理的に粉砕させる場合の他、化学的な処理、微生物による処理を行うことにより形成させる方法もとり得る。
このように、水溶媒中でバイオマスを機械的、化学的又は微生物的に粉砕又は微細化させた後に有機溶媒を混入した懸濁体を液溜23に貯蔵する。なお、有機溶媒の混入をする前に、濾過法や遠心分離法などの公知の方法で、予め大雑把に水分を除去してから有機溶媒を混入(に置換)してもよい。
【0016】
また、バイオマスの粉砕物は、第1投入手段20に投入される前のいずれかの時点において、アルカリ水溶液への浸漬、アルカリ金属塩の添加又は急速凍結の中から選ばれる一以上の膨潤処理がなされることが望ましい。これにより、混練段階におけるバイオマスの微細化が促進されることになる。
【0017】
混入する有機溶媒としては、特に限定はないが、リグノセルロース又はセルロースを主成分とする草木質系バイオマスに対しては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類が好適であり、アルコール炭素鎖数の増加に伴い可溶化が促進されることが知られている。特に、触媒を用いることにより、その可溶化が促進される。
また有機液状化装置10Aに用いられる有機溶媒は、後記する高分子複合材料の製造装置10Bに用いられる有機溶媒とは異なり、蒸気圧が水よりも高い場合に限定されず、蒸気圧の低い難揮発性のものであってもよい。またこの有機溶媒は、任意の割合で水に可溶な性質を有する場合に限定されず、不溶な性質を有するものであってもよい。
【0018】
バイオマスが有機溶媒に可溶化したバイオマス有機液状化物は、有機溶媒が一価アルコールを主とする場合、さらに、イソシアネートと反応させることにより、ウレタン様樹脂を得ることができ、発泡体、接着剤として好適に用いることができる。
また、バイオマスがリグニンを含有し、有機溶媒がフェノール類である場合、このバイオマス有機液状化物は、酸触媒を添加した時にはノボラック様樹脂を得ることができ、さらに、セルロース系バイオマスと硬化剤を混合することにより耐熱性に優れた成形材料として用いることができる。アルカリ触媒を添加した時には、レゾール様樹脂を得ることができ、シェルモールド用に好適に用いることができる。
さらに、バイオマスが草本類又は/及び藻類であって、メタノール又は/及びエタノールが有機溶媒である場合、このバイオマス有機液状化物は、液体燃料に好適に用いることができる。この時、界面活性剤を添加すると、さらに好適に用いることができる。また、これら液体燃料には、バイオマスの割合を証明する手段を付与して流通させると、二酸化炭素の排出削減量の換算にも用いることができる。
【0019】
第1投入手段20は、バイオマスの粉砕物、水及び有機溶媒が混合した懸濁液が充填されている液溜23と、この液溜23から懸濁液を混練手段30に向けて注入する駆動力を与えるモータ22と、この注入される懸濁液の逆流を防止する逆止弁24と、シリンダ31に注入される懸濁液の注入量を調節する絞り弁25とから構成されている。
この第1投入手段20が懸濁液を投入する時点は、有機液状化装置10Aが混練動作を開始する最初の時点に限定されず、混練動作の途中ですることも可能である。
また第1投入手段20の構成は、バイオマスの粉砕物及び前記有機溶媒が予め混合されている前記したような懸濁液を投入する構成に限定されず、この粉砕物及び有機溶媒をそれぞれ別々に投入する構成をとることも可能である。また、バイオマスの粉砕物は、前記したような水溶媒や他の溶媒で前記バイオマスを湿式粉砕させたものに限定されず、公知の乾式粉砕を採用して得ることもできる。
【0020】
混練手段30A(30)は、駆動手段(図示せず)と、内部に密閉空間を有するケーシング31と、この密閉空間において回転するロータ32とを含んだ構成である。また図1(a)〜(c)に示される断面は、ロータ32の回転軸に直交する断面であって、その長手方向に沿って異なる(それぞれ第1投入手段20、揮発手段40、取出手段60を含む)混練手段30Aの断面図を示している。
混練手段30Aは、第1投入手段20から投入された懸濁液(バイオマスの粉砕物、水及び有機溶媒の混合物)を、設定した混練温度で撹拌して混練するものである。このように混練手段30A(30)は、バイオマスの粉砕物、水及び有機溶媒が混合した懸濁液を混練し、さらに微細化しかつ均一化させて、揮発手段40で混練体から水分を選択的(優先的)に除去してから取出手段60を開いて取り出す。
【0021】
ロータ32は、密閉空間にされ混練温度に設定されたケーシング31の密閉空間Wで回転し懸濁体を混練するものである。このロータ32は、図3中、互いに回転方向が逆方向である二つの回転体が、第1投入手段20からの投入物を巻き込むようにかつ取出手段60へ混練体を押し出すように回転するものが例示されているが、このような実施形態に限定されるものでなく公知のものを適用することができる。
【0022】
揮発手段40は、図1(b)に示されるように、絞り弁41と、濾過板42と、外装室43と、圧力計44とから構成されている。そして、揮発手段40は、ケーシング31に穿設された密閉空間Wの開口に設けられ、密閉空間Wの圧力を調節し、この調節された圧力により混練体の脱水を実行するものである。
【0023】
濾過板42は、ケーシング31の密閉空間W及び外部を隔てるとともに混練体に含まれる溶質成分の通過を遮断して溶媒成分を選択的に濾過するものである。このような濾過板42の構成としては、板面に多数の孔を設けられ、その板面がケーシング31の内壁面に沿って固定されるものが挙げられる。
外装室43は、濾過板42を介して密閉空間Wに連通する気化空間Vが形成されるとともに絞り弁41が設けられている。この外装室43は、有底の容体がその開口とケーシング31に設けた開口とを略一致するように、濾過板42を当接しながらケーシング31に固定されている。この外装室43は、気化空間Vを大気から遮断するとともに、濾過板42により濾過された水分をこの気化空間Vにおいて気化させるものである。
【0024】
絞り弁41は、圧力計44の計測値を参照しつつ気化空間Vの気圧を調節し、連通する密閉空間Wの圧力を設定するものである。この絞り弁41を完全に閉塞すれば気化空間Vの気圧は、設定温度における飽和蒸気圧に設定され、絞り弁41を完全に開放すれば大気圧に設定されることになる。そして絞り弁41の開度を調整することにより、気化空間Vから大気に放出される蒸気に流動抵抗を可変して付与し、気化空間Vの圧力を大気圧よりも高く設定温度の飽和蒸気圧よりも低い任意の圧力に設定するものである。さらに引圧手段51(図2(a)参照)に接続して気化空間Vの気圧を大気圧以下に設定することができる。
なお揮発手段40は、図1(b)に示されるような濾過板42及び外装室43を設けずに、密閉空間Wの一部を気化空間Vとみなしてケーシング31に直接絞り弁41を設ける構成も取り得る。
【0025】
ここで、図4の各温度における飽和蒸気圧のグラフを参照して、有機溶媒として難揮発溶媒を用いた場合における、第1揮発手段40の動作説明をする。この難揮発溶媒の飽和蒸気圧はグラフにおいて破線で示されており、水は太線で示されている。
そして、混練温度Tzに設定されており、圧力計44が圧力値Pbを示すように絞り弁41が調整されているとする。すると、この温度Tzにおける気化空間Vの圧力値Pbは、水の蒸気圧よりも小さく、難揮発溶媒の蒸気圧よりも高いことになる。よって、第1揮発手段40からは、難揮発溶媒よりも水分のほうが選択的に揮発していくこととなり、混練体の脱水が促進されることとなる。
【0026】
次に、有機溶媒として易揮発溶媒を用いた場合における、第1揮発手段40の動作説明をする。ここで、図5は、易揮発溶媒の代表をエタノールとして、水/エタノールの気液平衡状態を示すグラフである。このグラフに示されるように、エタノール濃度の小さい水/エタノール溶液では、エタノールが優先的に揮発してしまう。しかし、エタノール濃度が大きくなるに従い、蒸気の組成は混合液の組成に近づくとともに、共沸点(エタノール濃度90mol%)を超えたところで、逆転して水分の方が優先的に揮発することになる。
よって、有機溶媒として易揮発溶媒を用いる場合は、最終的な有機溶媒の組成よりも多く有機溶剤を配合するとともに、混練途中においても適宜、有機溶媒を追加投入する必要がある場合がある。望ましくは、共沸点を超える液体組成となるように有機溶媒を配合させるとよい。
また、バイオマスが可溶化した後に、過剰な水分と有機溶媒を揮発させ、回収することができる。
【0027】
(高分子複合材料の製造装置の説明)
次に図2に示す断面図を参照して、本発明に係る高分子複合材料の製造装置10B(以下、単に「複合材製造装置10B」という)の実施形態を説明する。この複合材製造装置10Bは、図1に例示されるバッチ式装置とは異なり、原料の投入工程、混練工程、混練体の取出工程がそれぞれ寸断されることなく同時に進行し連続的に高分子複合材料を製造する連続式装置である。
【0028】
この複合材製造装置10Bは、第1投入手段20と、第2投入手段21と、混練手段30B(30)と、第1揮発手段40と、第2揮発手段50と、取出手段60と、搾液手段70と、第1凝縮手段80と、第2凝縮手段90とから構成されている。
このように製造装置10が構成されることにより、第1投入手段20及び第2投入手段21により水分及び有機溶媒を含む高分子複合材料の原料(合成高分子、バイオマス)が投入されると、これらは、シリンダ31の内部で軸回転するスクリュー32により混練されるとともに、搾液手段70、第1揮発手段40及び第2揮発手段50により脱水処理されて、溶融した高分子複合材料中に微細化したバイオマスが均一に分散した混練体が取出手段60から取り出されることになる。
【0029】
この複合材製造装置10Bにより、バイオマスがセルロースであって、高圧ホモゲナイザーで微粉砕した場合、ミクロフィブリル化したセルロースと合成高分子のナノコンポジットを得ることができる。
また、合成高分子の前駆体を投入する場合は、適宜、重合開始剤を添加することなどにより、微細化したセルロースに前記前駆体がグラフト重合し、さらに、そこから高分子化する。これにより、合成高分子にミクロフィブリル化したセルロースがグラフトしたナノコンポジットを得ることができる。
なお、セルロース系バイオマスの発酵残渣を用いた場合も、容易にナノコンポジットを得ることができる。
さらに、バイオマスが解繊された繊維状である場合、剛性が高く衝撃強度に優れたバイオマス繊維強化複合材料を好適に得ることができる。
【0030】
このような複合材製造装置10Bにより、合成高分子及びバイオマスを複合化させた高分子複合材料を連続的に生産することができる。
以下において、図1においてすでに説明した構成と機能が共通する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
ここで、第1投入手段20は、バイオマスの粉砕物、水及び有機溶媒の混合物からなる懸濁液を混練手段30Bに投入するものである。
複合材製造装置10Bに使用される有機溶媒は、前記した有機液状化装置10Aの場合と異なり、蒸気圧が水よりも高く任意の割合で水に可溶な性質を有するものに限定され、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールをあげることができる。
【0032】
この第1投入手段20は、それよりも上流に位置する第2投入手段21から投入された合成高分子が加圧状態となっているので、バイオマスの粉砕物がむらなく一定比率で混練体に投入されるために懸濁体を加圧して投入する。そして、有機溶媒は、懸濁体に含まれる水分、つまりバイオマスの粉砕の際に人為的に加えられたものの他、元来バイオマスそのものに固有に含まれる水分とともに、最終的に取り除かれることになる。
【0033】
第2投入手段21は、合成高分子の単体又は前駆体をシリンダ31の内部に投入するものである。ここで投入される合成高分子としては、加熱により溶融する熱可塑性樹脂や、加熱により硬化する熱硬化性樹脂のいずれも採用することができる。
なお、採用される熱硬化性高分子において、投入時点(重合反応前)における単量体は、低分子量化合物であるために、液体、固体、半固体の性状を取り得る。
また、投入される合成高分子は、製造される高分子複合材料を構成する樹脂単体に限定されるものでなく、この樹脂単体の化学合成前段階の前駆体である場合も含まれる。
なお、合成高分子の単体又は前駆体は、水溶性の性質を具備していると、合成高分子の母相中に分散するバイオマスの均質性向上に寄与する。
【0034】
混練手段30(30B)は、シリンダ31と、スクリュー32とから構成され、密閉状態で合成高分子及び懸濁体(バイオマスの粉砕物、水及び有機溶媒の混合物)を設定温度にて混練し混練体にするものである。
【0035】
スクリュー32は、回転駆動手段34に一端が接続して、その軸周りに螺旋状のフライト33が形成されており、シリンダ31の内部で軸回転するとこのフライト33が圧力を付与して混練体を上流側から下流側に押し出すものである。
なお図2においてスクリュー32は、一本のみ表示されているが、製造装置10は、このような一軸のものに限定されるものではなく、二本以上のスクリュー32が並列して構成される多軸のものである場合も含まれる。
【0036】
多軸のスクリュー32の配置例としては、これらスクリューが配置される密閉空間を断面視で円筒形状とし、この円筒形状の厚さに直径を略一致させた複数のスクリューを密閉空間に、周回するように断面視で数珠繋りに配置したものが挙げられる。
このような多軸のスクリュー32が、数珠繋りに配置した構成によれば、揮発手段40,50をこのスクリュー32の群の周囲に複数設けることができ、混練体を気化空間Vに効率よく晒すことにより脱水性能が向上する。
【0037】
シリンダ31は、上流側から、第2投入手段21が設けられる合成高分子投入区間A2と、第1投入手段20が設けられる懸濁液投入区間A1と、搾液手段70が設けられる搾液区間Bと、合成高分子及び懸濁液を加熱混練する加熱混練区間Cと、第1揮発手段40が設けられる第1揮発区間D1と、第2揮発手段50が設けられる第2揮発区間D2と、脱水された混練体を再加圧する再加圧区間Eと、最下流に設けられる取出手段60とから構成されている。
【0038】
懸濁液投入区間A1は、水分及び有機溶剤の液体成分を多く含む流動性の高い状態で、投入された合成高分子の錠剤、バイオマスの粉砕物、水分、有機溶剤を、大雑把に均一化させる。この過程において、バイオマスが固有に含む水分は、有機溶媒と可溶化することになる。
【0039】
搾液区間Bは、図2(a)に示されるように、スクリュー32の軸径が上流から下流にいくに従って太くなるように形成されている。このような構成をスクリュー32がとることにより、混練体は上流から下流に進むに従い加圧されることとなり、搾液手段70により液体成分(可溶化した水分及び有機溶媒)が除去される。そして、この液体成分が取り除かれて混練体の容積が減少しても、この混練体に付与される圧力は維持されることになる。
また、搾液区間Bは、図2(b)に示されるように、スクリュー32のフライト33のピッチが上流から下流にいくに従って狭くなるように形成されてもよい。フライト33のピッチが狭く変化すると混練体に付与される圧力は増大し、逆にピッチが広く変化すると混練体に付与される圧力は減少することになる。このような構成をスクリュー32がとることにより、軸径を変化させた場合と同様の効果が得られる。
【0040】
ここで、搾液手段70は、図3(a)に示されるように、液溜空間Uに溜まった液体を外部に放出する開閉弁71と、シリンダ31の内部と外部とを隔てるとともに混練体に含まれる水分及び有機溶媒を板面に設けられる多数の孔により選択的に濾過する濾過板72と、液溜空間Uを形成する外装室73と、濾過板72に設けられている孔の開度を調整して水分及び有機溶媒の通過量の調整を行う開口調節手段75と、から構成されている。
【0041】
このように構成される搾液手段70は、軸径又はフライト33のピッチが変化するスクリュー32によって、混練体を加圧して含まれる有機溶媒及び水分を搾り出すものである。そして搾液手段70は、開口調節手段75を適宜調節して搾り出す有機溶媒及び水分を調整し、下流の加熱混練区間Cに送られる混練体の粘性を最適化し、バイオマスの微細化及び均一分散を促進させる。
また混練体に含まれる有機溶媒及び水の全てを下流の揮発手段40,50で除去しようとすると、混合液を気化させるのにエネルギーを多く消費することになる。しかし、搾液手段70で事前に混合液を液体のまま除去できればエネルギーの消費を低減することができる。
【0042】
加熱混練区間Cは、合成高分子及びバイオマス等を、合成高分子が流動化する温度で混練する区間である。これによりバイオマスは、混練体中で微細化するとともに、溶融した合成高分子のマトリックス中に均一に分散することになる。
【0043】
第1揮発区間D1は、第1揮発手段40(図1(b)適宜参照)が設けられており、スクリュー32から付与される圧力により混練体は、濾過板42に押し付けられて、含まれる水分及び有機溶媒が選択的にこの濾過板42を通過して気化空間Vに溜まる。
この気化空間Vに溜まった水分及び有機溶媒の温度は混練温度Tzと同じであるところ(図4(a)参照)、その飽和蒸気圧Pzより低い圧力Paに設定されている気化空間Vにおいて、この溜まった混合液は揮発することになる。この揮発した混合液(蒸気)は絞り弁41を通過して大気に放出されることになる。
【0044】
上流側の第1揮発手段40aでは、設定温度Tzにおける蒸気圧Pzと設定圧力Paとの差圧が小さいために、混練体の揮発が急激にすすむことはなく、含水量が低減した状態となって混練されながら下流側の第1揮発手段40bに押し出される。
次の第1揮発手段40bにおいても、同様に、飽和蒸気圧Pzより低い圧力Pbに設定されている気化空間Vにおいて溜まった水分は気化して大気に放出されることになる。
これにより、沸点よりも高い設定温度において、水と有機溶媒の混合液が急激に揮発することが抑制されるために、分散したバイオマスの再凝集を防止することができる。
【0045】
ここで、図4(a)は、各温度における水の飽和蒸気圧を太線で、この水に対して任意の割合で相溶し蒸気圧が高い有機溶媒の代表としてエタノールの飽和蒸気圧を細線で示している。
そして図4(b)は、大気圧P0における水−エタノールの各組成における沸点を示している。このように、水よりも蒸気圧が高く(沸点が低く)任意の割合で水に可溶な有機溶媒を、水に相溶させた混合液は、図4(a)の一点鎖線で示されるように水よりも蒸気圧が高く(沸点が低く)なるのが一般的である。よって、このような有機溶媒が媒介することにより、バイオマスに含まれる水分は、有機溶媒とともに系外に排出することが容易になる。
【0046】
ところで、図5の各組成における水−エタノールの気液平衡曲線に示されるように、共沸点以下のエタノール濃度の混合液においては、含まれるエタノールが優先的に揮発することになる。このために、図2に示すように、複数(図では二つ)の第1揮発手段40を軸に沿って配列した場合、下流に行くに従って、エタノール濃度が低下していくことになる。つまり、エタノール濃度の低下に従って、混合液の飽和蒸気圧も下降していくことになるので、第1揮発手段40の設定圧力も下流に行くに従って小さく設定する必要がある。
【0047】
このような設定圧力Pa,Pbで脱水処理されることにより、混練体は、含水量を急激ではなく徐々に低減させながら、さらに混練されることになる。これにより、混練体中で微細化して分散したバイオマスは、再凝集することが抑制されつつさらに、微細化、分散化が進行することとなる。
【0048】
第1凝縮手段80は、図6(a)に示されるように第1揮発手段40に繋がる導入路82が設けられている容体81と、図6(b)に示されるようにこの容体81と同心状に配置され導入路82から導入された蒸気がこの容体81の内側面に沿って旋回するように案内する内円筒83と、この内円筒83の内側に中心軸にそった流路を区画する内区画壁84と、容体81の底部に溜まった液体を外部に排出する取出口88とを備えている。このように構成されることにより第1凝縮手段80は、導入した蒸気が、容体81の内側面に沿って旋回した後にその中心軸に沿って流動するように流路が構成されるために、有機溶媒及び水の混合液の蒸気を流動させて冷却させる流路を長くとれて高効率で液体に凝縮することが可能で、低圧損でかつ低容積に構成されることになる。
【0049】
さらに第1凝縮手段80は、容体81の端部には排出路85が設けられ、この容体81の内部で凝縮されなかった蒸気を通過させる。そして、この排出路85は、その外周が冷却管86を通過する冷媒により冷却されている。また排出路85は、その流路が繰り返しくびれ形状を有していることにより、通過する蒸気が圧縮・膨張を繰り返すことにより冷却されて液滴に変化し、排出路85の内壁に付着するか最終的にはフィルタ87により捕捉されることになる。これにより、揮発した有機溶媒が大気中に飛散して環境を汚染することが防止されるとともに、揮発した有機溶媒を回収して懸濁体の製造に再利用できる。
なお図示略とするが、内円筒83及び内区画壁84には、これを冷却するための冷媒が流れる流路が設けられている場合がある。
【0050】
図2に戻って説明を続ける。
第2揮発区間D2は、引圧手段51が接続される第2揮発手段50が設けられており、大気圧よりも低圧に設定した雰囲気に混練体を晒して含まれる水を有機溶媒とともに揮発させるものである。
この第2揮発手段50の構成は、第1揮発手段40と同じ構成で、絞り弁41の出口が引圧手段51に開放されているか大気開放されているかの違いである。
このような大気圧よりも低い設定圧力Pc(図4(a)参照)で脱水処理されることにより、混練体に含まれる水分の除去が促進されるとともに、取出手段60から取り出され大気圧に晒された直後に残留水分が気化して混練体の内部に気泡を形成するのを防止できる。
【0051】
第2凝縮手段90は、図7に示されるように、第2揮発手段50からの排気が導入される導入路92と、この導入路92を冷却して排気中に含まれる蒸気を凝縮させる冷媒が通過する冷却管93と、引圧手段51により大気圧よりも低圧に保持されるとともに凝縮液を誘導して蓄積させる液溜槽94と、この液溜槽94を冷却する冷却槽95とから構成されている。
このように構成される第1凝縮手段80は、第2揮発手段50で揮発させた成分を、液化した後に取出口96から回収し、大気放出せずに再利用することを可能にするものである。
【0052】
図2に戻って説明を続ける。
再加圧区間Eは、脱水処理の終了した混練体を継続して混練するとともに、再加圧して取出手段60から取り出されるに必要な圧力を付与する部位である。
つまりスクリュー32は、再加圧区間Dにおいて、その軸径が太径になるかフライト33のピッチを狭くするかして脱水された混練体を再加圧されて取出手段60から取り出せるようにする。
これにより、バイオマスが微細に分散している高分子複合材料の溶融体が取出手段60から取り出されることになる。
なお、この高分子複合材料の混練体は、取出手段60に設けられ小さな穴が十数ヶ所空いているダイ(図示略)を通って、束状に放出される。さらに、冷却バスを通過して凝固した後にペレタイザー(図示略)に引込まれ米粒状のペレットにカットされる。
【0053】
以上の説明において、バイオマス有機液状化物の製造装置10Aとして、バッチ式の製造装置を示し、高分子複合材料の製造装置10Bとして連続式の製造装置を例示した。しかし、これらに限定されるものではなく、前記したバッチ式の製造装置10Aに合成高分子を投入する第2投入手段21を設けて高分子複合材料の製造装置とすることも、前記した連続式の製造装置10Bから第2投入手段21を外してバイオマス有機液状化物の製造装置とすることもできる。
また、既存の装置を用いて、必要な工程を適宜分担し、組み合わせることにより、バイオマス有機液状化物、合成高分子とバイオマスとを複合化させた高分子複合材料といったバイオマス含有組成物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るバイオマスの有機液状化装置の実施形態を示す断面図であり、(a)(b)(c)はそれぞれ異なる断面を示している。
【図2】(a)は本発明に係る高分子複合材料の製造装置の実施形態を示す縦断面図であり、(b)はこの実施形態の変形例を示す縦断面図である。
【図3】(a)は本発明に適用される搾液手段の実施形態を示す縦断面図であり、(b)は開口調節手段の動作を説明する部分拡大図である。
【図4】(a)は温度に対する水、エタノール、エタノール水溶液、及び難揮発性溶液の飽和蒸気圧を示すグラフであり、(b)は1気圧におけるエタノール水溶液の任意組成に対する沸点を示すグラフである。
【図5】エタノール水溶液の気液平衡曲線を示すグラフである。
【図6】(a)は本発明に適用される第1凝縮手段の縦断面図であり、(b)は水平断面図である。
【図7】本発明に適用される第2凝縮手段の縦断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10A 有機液状化装置(バイオマス有機液状化物の製造装置(製造装置))
10B 複合材製造装置(高分子複合材料の製造装置(製造装置))
20 第1投入手段
21 第2投入手段
25,24 絞り弁
30,30A,30B 混練手段
33 フライト
40,40a,40b 第1揮発手段
42,72 濾過板
43,73 外装室
44 圧力計
50 第2揮発手段
51 引圧手段
60 取出手段
70 搾液手段
75 開口調節手段
80 第1凝縮手段
81 容体
90 第2凝縮手段
U 液溜空間
V 気化空間
W 密閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスの粉砕物及び有機溶媒を投入する第1投入手段と、
投入された前記粉砕物及び有機溶媒を密閉状態で設定温度にて混練し前記バイオマスが微細に分散した混練体にする混練手段と、
前記混練体を前記設定温度における飽和蒸気圧よりも低圧に設定した雰囲気に晒し含まれる水分を揮発させる揮発手段と、
脱水されて前記バイオマスが均質に微細に分散した状態の前記混練体を取り出す取出手段とを、備えることを特徴とするバイオマス有機液状化物の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製造装置において、
合成高分子の単体又は前駆体を投入する第2投入手段を設け、
前記混練手段は、投入された前記合成高分子を、蒸気圧が水よりも高く任意の割合で水に可溶する前記有機溶媒及び前記粉砕物とともに混練し、
前記揮発手段は、前記混練体から前記水分とともに前記有機溶媒も揮発させ、
取出手段は、脱水されて前記バイオマスが前記合成高分子に均質に微細に分散した状態の前記混練体を取り出すことを特徴とする高分子複合材料の製造装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の製造装置において、
前記粉砕物は、水溶媒中で前記バイオマスを粉砕させたものであることを特徴とする製造装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製造装置において、
前記粉砕物及び前記有機溶媒は予め混合され懸濁体の状態で前記第1投入手段に投入されることを特徴とする製造装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製造装置において、
単数又は複数設けられている前記揮発手段のうち少なくとも1つは、
前記雰囲気を、前記設定温度における飽和蒸気圧よりも低圧でかつ大気圧よりも高圧に設定する絞り弁を有する第1揮発手段であることを特徴とする製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載の製造装置において、
複数設けられている前記揮発手段のうち少なくとも1つは、
前記雰囲気を、大気圧よりも低圧に設定する引圧手段を有する第2揮発手段であることを特徴とする製造装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の製造装置において、
前記混練手段は、
前記第1投入手段が上流側に設けられ前記取出手段が下流側に設けられているシリンダと、
前記シリンダの内部で軸回転し前記混練体を前記上流側から前記下流側に押し出すスクリューとを、有することを特徴とする製造装置。
【請求項8】
請求項7に記載の製造装置において、
前記揮発手段で処理される前の前記混練体を加圧して前記有機溶媒及び水分を搾り出す搾液手段を有することを特徴とする製造装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の製造装置において、
前記揮発手段は、揮発させた前記有機溶媒及び水の蒸気を液体に凝縮させる凝縮手段に接続していることを特徴とする製造装置。
【請求項10】
バイオマスの粉砕物及び有機溶媒を投入する第1投入段階と、
投入された前記粉砕物及び有機溶媒を密閉状態で設定温度にて混練し前記バイオマスが微細に分散した混練体にする混練段階と、
前記混練体を前記設定温度における飽和蒸気圧よりも低圧に設定した雰囲気に晒し含まれる水分を揮発させる揮発段階と、
脱水されて前記バイオマスが均質に微細に分散した状態の前記混練体を取り出す取出段階とを、備えることを特徴とするバイオマス有機液状化物の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法において、
前記混練段階よりも前に合成高分子の単体又は前駆体を投入する第2投入段階を含め、
前記混練段階は、投入された前記合成高分子を、蒸気圧が水よりも高く任意の割合で水に可溶する前記有機溶媒及び前記粉砕物とともに混練し、
前記揮発段階は、前記混練体から前記水分とともに前記有機溶媒も揮発させ、
取出段階は、脱水されて前記バイオマスが前記合成高分子に均質に分散した状態の前記混練体を取り出すことを特徴とする高分子複合材料の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の製造方法において、
前記第1投入段階よりも前に、水溶媒中で前記バイオマスを粉砕し前記粉砕物とする粉砕化工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項13】
請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記第1投入段階よりも前に、前記粉砕物及び前記有機溶媒を予め混合し懸濁体にする懸濁化工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項14】
請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の製造方法により得られるバイオマスが微細に分散したバイオマス含有組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−12384(P2010−12384A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172917(P2008−172917)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(504004647)アグリフューチャー・じょうえつ株式会社 (24)
【Fターム(参考)】