説明

バイオマス燃焼装置

【課題】火力調整と温度管理の双方が容易で、かつ高い燃焼効率が得られ、必要に応じて燃焼継続、消火の全般にわたり自動化が可能になり、多方面において安全な利用が低廉なコストでなし得るバイオマス燃焼装置を実現する。
【解決手段】複数の燃焼室を有する燃焼炉本体と、貯湯タンク、空気取り入れ口等を有して燃焼炉本体の上部に設けられる釜本体と、燃焼炉本体の下部に設けた燃料の焚き付け口と、燃焼炉本体に連通され排気ガスを吸引して外部に排気する排気装置と、燃焼室への燃料供給手段と、前記燃料室へ燃焼炉本体外部から空気を供給する常温空気供給装置と、前記排気装置の吸引動作により前記燃料室へ加熱空気を供給する加熱空気供給装置と、前記燃料供給手段の供給動作、常温空気量、加熱空気量、貯湯タンクの湯温などの制御手段と、を具えたバイオマス燃焼装置を提供して、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、バイオマス材の燃焼装置に関し、詳しくは、薪、製材破片、木材チップ、木材ペレット、竹材、竹材チップ、落ち葉、おがくず、小枝、豆ガラ、稲・麦のわら材、稲・麦のもみ穀、各種植物の剪定材などを自動的に炉床に供給して所定の設定値にしたがって作動させうるバイオマス燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薪その他、植物由来の燃料が日本の社会からその実用的地位を失ったのは安くて便利な石油や石炭等の化石燃料による利便性の高い暖房機や給湯器や炊飯調理器具が普及したためである。
しかしながらそれら化石燃料消費に伴う多量の炭酸ガス排出が地球環境の破壊を招きつつある現在、早急に再生可能なバイオマス燃料の活用とそれによる化石燃料の消費削減が要請されている。ましてや日本は国土の75%が森林で覆われていてその持続可能な再生産木材資源の活用は早晩の急務である。
さりながら、人件費の高い日本の現在社会においては従来の薪などの燃料の対熱量比値段が如何に安くても薪で暖房したり薪で炊飯調理したりは出来ない相談である。また近代の日本の住宅事情もそれを許す状態ではなく、狭くゆとりが全く無いのが実情である。
【0003】
しかしながら目を地方に向ければそうでもなく十分なスベースがありかつゆとりすら感じられる所が多々ある。そしてその薪の原料の森林も地方都市には手近に多く存在するのである。しかもハウス農業用や地方の工場 又学校、病院等にいたっては最も適した条件の使用者が十分存在するのである。
【0004】
さてその対象とする使用者に共通して必要なことは便利さと安全性の提供である。値段が安く、便利で、安全で地球環境に良いとなれば、それは薪資源、薪燃料の復活であり、森林資源の活用につながる利点がある。
【0005】
従来、薪などの燃料を燃焼させる薪ストーブ装置としては、例えば、特開2000−46334号公報、特開2004−77060号公報その他に開示されたものが知られている。薪ストーブ装置は、薪である燃料を投入して燃焼させる例えば筒状の炉体の上部開口部に開閉蓋体が設けられている。しかも、前記炉体内の下部には炉体の底面よりやや浮上した位置にロストルが配設されており、ロストルの下方には炉体内へ外部から空気を供給するための空気供給室が設けられている。また、炉体には燃焼した排煙や排ガスを建物の外部へ排出するための煙突が連結されている。そして、上記の燃料を効率よく燃焼させるための種々の工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−285660
【特許文献2】特開2007−170730
【特許文献3】特開2007−132588
【特許文献4】特開2004−191010
【特許文献5】特開2004−077060
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薪そのものの燃料としての性質は人類が今まで手にした燃料のなかで最も制御し易い燃料の一つであるが、最も面倒な燃料の一つでもあるわけで手間と暇がかかる欠点を有している。 すなわち、薪などの植物性燃料は固体であり、不定形であり、水分の含み具合や、個々で火力に違いがあり、さらには燃えカスの灰までが発生し清掃と整備が必然的に使用者側の手を煩わすのである。少しの灰でも、今日ではごみの分別回収対象でありその少しの灰の処理も自己責任になり使用者側負担となって更に手を煩わせる事となる。
また、今日、熱源ボイラーとして薪などのバイオマス燃料を利用しようとすれば火力調整と温度管理、つまり燃え方と燃やし方の双方を自動化しかつ緊急時に自己消火する手段が必要になる。 従来の薪ストーブ等は、以上のような不都合を回避することはできなかったのが実情である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、薪その他のバイオマス素材を燃焼するための燃焼装置であって、複数の燃焼室を有する燃焼炉本体と、貯湯タンク、空気取り入れ口等を有して燃焼炉本体の上部に設けられる釜本体と、燃焼炉本体の下部に設けた燃料の焚き付け口と、燃焼炉本体に連通され排気ガスを吸引して外部に排気する排気装置と、燃焼室への燃料供給手段と、前記燃料室へ燃焼炉本体外部から空気を供給する常温空気供給装置と、前記排気装置の吸引動作により前記燃料室へ加熱空気を供給する加熱空気供給装置と、前記燃料供給手段の供給動作、排気装置の動作とこれに基づく常温空気量および加熱空気量の調節、貯湯タンクの湯温、燃焼室火力の強弱、燃焼時間などを制御する制御手段と、を具えたバイオマス燃焼装置を提供して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0009】
また、上記のバイオマス燃焼装置において、燃焼室は常温空気供給装置から常温外部空気としての第1次空気を供給しつつバイオマス素材を燃焼させる第1燃焼室と、この第1燃焼室の上部に位置し第1燃焼室からの燃焼ガスに加熱空気供給装置からの加熱空気としての第2次空気を供給し前記燃焼ガスを高温化する第2燃焼室と、この第2燃焼室の上部に位置し第2燃焼室からの燃焼ガスに加熱空気供給装置からの加熱空気としての第3次空気を供給し前記燃焼ガスをさらに高温化する第3燃焼室とを有する構成となすことがある。
【0010】
さらに、上記段落0008または0009いずれか記載のバイオマス燃焼装置において、前記常温空気供給装置は制御手段により駆動制御される空気口開閉弁を具え、前記加熱空気供給装置は空気取り入れ口に連通する第1流路とこの第1流路に連通し前記燃焼炉本体の内壁に設けられる第2流路と、この第2流路に形成され第2および第3燃焼室に臨む第2次空気出口ならびに第3次空気出口を具える構成となすことがある。
【0011】
また、上記段落0008ないし段落0010いずれか記載のバイオマス燃焼装置において、前記第1流路は燃焼室から排気装置へ流通する燃焼排気ガスにより加熱され、第2流路は燃焼室により加熱される構成を具えることがある。
【0012】
さらにまた、上記段落0008ないし0011いずれか記載のバイオマス燃焼装置において、前記排気装置は、吸引手段と排気管を具え、前記排気管は一端が前記燃焼炉本体に連結される第1排気管と、前記第1排気管の他端に一端が連結され第1および第2の二つの分岐管を有する第2排気管と、第2排気管の前記第1分岐管に連結されて排気口を有する第3排気管とを具え、前記吸引手段は回転羽根部と回転羽根部の冷却ファンとを具えて、回転羽根部の吸引口は前記第2排気管の第2分岐管に連結され、回転羽根部の排出口は前記第3排気管に連結される構成を具えることがある。
【0013】
そしてさらに、上記段落0008ないし段落0012いずれか記載のバイオマス燃焼装置において、前記薪供給手段は回転するバイオマス燃料ストッカーと、燃料投入筒と、バイオマス燃料ストッカーを順次回転させる駆動装置を有し、前記バイオマス燃料ストッカーは内周壁にバイオマス燃料捕捉フックが設けられ、前記燃料投入筒は一方の開口端は燃焼室に臨み、他方の開口端には燃料受け部が形成されてバイオマス燃料ストッカー内部空間に臨み、バイオマス燃料ストッカーの回転とともにバイオマス燃料捕捉フックに捕捉されたバイオマス燃料が前記燃料受け部に落下収納された後、燃焼室に臨む燃料投入筒の開口端から順次燃料室内に滑落するように構成することがある。
【発明の効果】
【0014】
本願発明は、上記構成により火力調整と温度管理の双方が容易で、かつ高い燃焼効率が得られ、必要に応じて燃焼温度張設、燃焼継続、消火の全般にわたり自動化が可能になり、多方面において安全な利用が低廉なコストで可能になる。また、燃料も再生可能な植物性素材を余すところなく広く有効利用でき、農林業の適正な育成・保全にも資するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願発明の1実施例に係るバイオマス燃焼装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本願発明の1実施例に係るバイオマス燃焼装置の斜視図である。
【図3】図2に示すバイオマス燃焼装置のA−A線断面図である。
【図4】図2に示すバイオマス燃焼装置のB−B線方向からの釜本体の要部説明図である。
【図5】釜本体上部における貯湯タンクの関連構成を示す断面図である。
【図6】図2に示すバイオマス燃焼装置の上部における横断面図である。
【図7】排気装置の1実施例を示す一部断面説明図である。
【図8】燃焼室と燃料供給手段の関連構成を示す説明図である。
【図9】燃料供給手段の1実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本願発明に係るバイオマス燃焼装置において、燃焼用空気の流れは、燃焼炉本体の下部に連通する常温空気供給装置(第1次空気供給装置)から燃焼室を経て排気装置にいたる経路ならびにバイオマス燃焼装置の上部の取り入れ口から入り加熱されながら燃焼室を経て排気装置にいたる経路、すなわち加熱空気供給装置による加熱空気(第2,3次空気)の流れの2系統を有している。
【0017】
前記の各空気流の量の供給と燃料供給手段による燃料供給を設定値に基づいて自動的に制御して、貯湯タンクの湯温、燃焼室火力の強弱、燃焼時間、消火などを適正に実行する機能を有している。したがって、燃焼室の温度センサー、貯湯タンクの湯温センサー、燃料残量センサーのデータにより、制御手段としてのマイクロコンピュータが各種の制御をなすことになる。
【実施例】
【0018】
図面に基づいて、本願発明の一実施例を説明する。
図1は本願発明の1実施例に係るバイオマス燃焼装置の概略構成を示すブロック図、図2は前記バイオマス燃焼装置1の外観斜視図である。 図において、1はバイオマス燃焼装置であり、耐火材で構築されて複数の燃焼室を有する燃焼炉本体2を具え、この燃焼炉本体2の上部には、後述の貯湯タンク、第2次、3次空気取り入れ口等を有する釜本体3が設置されている。
【0019】
燃焼炉本体2の下部には、燃料の焚き付け口4が開口している。 また、燃焼炉本体2には燃焼炉本体2の燃料室へ外部から空気を供給する常温空気供給装置5が連結されている。 ここで、常温空気とは外部常温空気を意味しており、外部空気の取り入れは後述の排気装置の吸入作用によりなされるようになっている。
【0020】
また、燃焼炉本体2の上部は排気装置6と連通しており、これにより燃焼炉本体2において発生する燃焼ガス、廃熱などが外部に放散される。
【0021】
さらに、燃焼炉本体2には加熱空気供給装置7が設けられていて、燃焼炉本体2の上部から取り入れられる空気(第2次、3次空気)を加熱し燃焼室へ供給して、燃焼室内の燃焼を促進させるようになっている。
【0022】
そして、燃焼炉本体2の燃料室には燃料供給手段8から燃料、例えば薪、木材チップ、雑木裁断片などが後述の制御手段への設定入力にしたがってほぼ自動的になされる。ここで、ほぼ自動的と言うのは、燃料供給手段8への燃料補給はマニュアルによるからである。
【0023】
そして、バイオマス燃焼装置1はその動作制御のためにマイクロコンピュータ、各種センサー(燃焼室内温度センサー、貯湯タンク内温度センサー)からなる制御手段9を具えていて、前記燃料供給手段8の供給動作、常温空気供給装置5による常温空気(外部常温空気)量、加熱空気供給装置7により燃焼室へ供給される加熱空気量、釜本体3内部の貯湯タンクの湯温、燃焼室における火力の強弱の調節、燃焼時間、消火動作などを制御することになる。 なお、制御手段9としてのマイクロコンピュータはコントローラーに内蔵されており、例えば、待機、着火、燃焼継続、消火などの動作を入力して制御手段9に指示できるようになっている。
【0024】
図3は、図2に示すバイオマス燃焼装置のA−A線断面図であり、主として燃焼炉本体2、常温空気供給装置5、加熱空気供給装置7等の関連構成を示している。燃焼炉本体2には、下部から順に第1燃焼室2a、第2燃焼室2b、第3燃焼室2cが形成されているが、第1燃焼室2aを除く他の燃焼室は特に明確な隔壁で区画されているわけではなく、後述のように加熱空気供給装置7による第2次空気、第3次空気が吹き込まれる近傍を指している。
【0025】
バイオマス燃焼装置1の上面の通気口7a、7aからの外気は流路7b、7bを通って第2排出口7c、7cおよび第3排出口7d、7dに至り各排出口から燃焼室内に供給される。 前記流路7bは第1と第2の流路からなり、第1流路の一端は通気口7aにまた他端は第2流路の一端に連結され、第2流路の他端は第2排出口7cに至り、また第2流路の途中には前記第3排出口7dが設けられている。 かくして、第2排出口7c、7cから前記第2燃焼室2bに流入する空気を第2次空気、また、第3排出口7d、7dから前記第3燃焼室2cに流入する空気を第3次空気として、燃焼室内にあらたに酸素を供給することになり高温燃焼が生起され発生熱量が増大し、第1燃焼室で発生した煤等も燃焼され排煙がクリアーなものになる。
なお、前記第2次空気および第3次空気は、燃焼炉本体2を囲繞する流路7b、7bを通過する間に燃焼室、排気ガスなどにより加熱されるから(第1流路は主として隣接する通路を上方に流れる燃焼ガスにより、第2流路は隣接する燃焼室により)、燃焼室への流入により燃焼室の温度低下を招くことはない。 上記のように、通気口7a、流路7b、第2排出口7c、第3排出口7dにより加熱空気供給装置7が構成されている。
【0026】
第2次空気、第3次空気は、図3で白抜き矢符のように流通して燃焼室に至り燃料を燃焼させた後は黒塗り矢符のように流路7bの内側に位置する燃焼ガス通路Gを流動して、図外の前記排気装置6に連通する排気パイプPに排出される。 なお、第2次空気、第3次空気の外気からの取り入れ、その流通は排気装置6の吸引作用により第2燃焼室、第3燃焼室内を負圧に形成することによりなされる。
【0027】
さらに、図3において、5は燃焼炉本体2の第1燃料室2aへ外部から常温空気(第1次空気)を供給する常温空気供給装置である。この常温空気供給装置5は通気口(不図示)とここに設けた空気口開閉弁としての電動開閉弁(不図示)と前記第1燃焼室2aの下部に設置されたロストルLの下方に通じる空気通路(不図示)とから構成されている。
【0028】
バイオマス燃焼装置1は、スイッチオンすると制御手段9によりバイオマス燃焼装置1がスタンバイ状態となる。 燃料供給手段8が動作して燃料、例えば薪、木材チップ、雑木裁断片などバイオマス燃料が前記第1燃焼室2aに供給される。次いで、炊きつけ口4において燃料に着火する。 燃料が燃焼を始めると、燃焼室内の温度センサーが温度上昇を検知して、その結果が制御手段9のマイクロコンピュータに送られ、燃焼開始が判断される。燃焼開始により、制御手段9からの制御信号により常温空気供給装置5の電動開閉弁が所定開度に開くのに併せて、排気装置6も動作を開始して燃焼室内からの吸引がスタートする。
【0029】
排気装置6が動作を始めると前記のように燃焼室内が負圧となるから、外部空気が常温空気供給装置5、加熱空気供給装置7を介して燃焼室に流入する。 第1燃焼室2aに供給された第1空気は第1燃焼室2aにおける燃料を燃焼させる。 第1燃焼室2aで発生した燃焼ガスは上昇して、前述のように第2燃焼室2bで流入する第2次空気と混合して高温化する。 この高温化した燃焼ガスはさらに前記第3燃焼室まで上昇してさらに流入してくる前記第3次空気と今後してなおも高温化する。 このように高温化した燃焼ガスは燃焼炉本体2、釜本体3、通路7b内部の第2次、3次空気などと熱交換した後、排気装置6から外部に放散される。
【0030】
燃焼室での燃焼が開始されると以後の燃料供給は、燃焼室の温度センサーからの信号に
基づいて制御手段9が燃料供給手段8の駆動を制御することによりなされる。 すなわち、入力された設定値に基づいて燃焼室の温度を検知し、検知結果に対応して燃料供給量の増減調節すなわち、単位時間内の燃料供給回数の調整がなされることになる。
【0031】
バイオマス燃焼装置1の消火は、燃焼炉本体2内への外部空気の供給停止により実行される。 すわち、排気装置6の吸引動作を停止することにより、燃焼炉本体2への酸素供給を遮断することに燃焼を停止させる。
【0032】
図4は、図2に示すバイオマス燃焼装置のB−B線方向から見る釜本体の要部説明図である。 図において、10は1対の脚部10a、10aを有して前記燃焼炉本体2内に立設された釜本体である。この釜本体10の周囲には図3に示すように燃焼ガスの通路G、流路7bが形成されている。なお、前述した常温空気供給装置5は通気口(不図示)とここに設けた電動開閉弁(不図示)と前記第1燃焼室2aの下部に設置されたロストルLの下方に通じる空気通路5aとから構成されている。
【0033】
図5は、前記釜本体10の上部に形成される貯湯タンクの関連構成を示す断面図である。
図において、10bは貯湯タンク(ボイラー)本体であり、低温室11と高温室12を具え、低温室11は高温室12内の上部一隅に上面を高温室12の上面と同レベルにして沈下状態に設けられている。 そして、低温室11には水補給パイプ11a、戻り水パイプ11bが連結されている。戻り水パイプ11bは、熱交換を終了した熱水などを再加熱のために貯湯タンク(ボイラー)10bに還流するためのパイプである。 また、高温室12には熱交換に供する高熱水の送出パイプ12が連結されている。
【0034】
低温室11の低温水は下部に連結された11cを流れて燃焼室に臨む脚部10aに至り、この10a内を上下に流通する間に高温に加熱され、高温室12に還流するようになっている。
【0035】
図6は、図2に示すバイオマス燃焼装置1の上部における要部横断面図であり、釜本体10の外周は燃焼ガスの通路Gにより囲繞され、下方の燃焼室から溝部Kを上昇した燃焼ガスは矢符に示すように通路Gを流れて、図外の前記排気装置6に連通する排気パイプPに排出される。また、第2次空気、第3次空気は、前述したように流路7bを流れる間に通路Gにより加熱され、第2燃焼室2b、第3燃焼室2c内に流入した後、燃焼ガスとともに通路Gを流れ、終には排気パイプPに至る経路を辿る。
【0036】
図7は、前記排気装置6の1実施例を示す一部断面説明図である。この排気装置6は、吸引手段としての回転ブロワー61と排気管62とを具えている。
前記排気管62は一端が前記燃焼炉本体2に連結される第1排気管62aと、前記第1排気管62aの他端に一端が連結されて、第1および第2の二つの分岐管62b1と62b2を有する第2排気管62bと、この第2排気管62bの前記第1分岐管62b1に連結されて排気口を有する第3排気管62cとを具えている。 図外の煙突に連通する第3排気管62cは、第1分岐管62c1と第2分岐管62c2とを有していて、第1分岐管62c1は第2排気管62bの前記第1分岐管62b1に連結され、第2分岐管62c2は回転ブロワー61の排出口に連結されている。 第2分岐管62c2の内側面には、第1分岐管62c1方向から流れる排気流(燃焼ガス)の流れを促進するために、断面ほぼ半円の丘状部63が形成されている。
【0037】
内部に回転羽根部を有する前記回転ブロワー61の吸入口は前記分岐管62b2に連結され、一方、回転ブロワー61の排気口は前記分岐管62c2に連結されている。
そして、前記吸入口61aと分岐管62b2の連結部には外気導入のためのスライド式の調整ダンパー61aが設けられていて、回転ブロワー61に吸入される燃焼ガスの温度を低下させる。 すなわち、燃焼室から排出される燃焼ガスの温度は、摂氏500度から1500度に達するが、この高温に耐えるには回転ブロワー61において回転羽根部を高価なチタンやセラミックで形成する必要があり、燃焼装置全体のトータルコストを押し上げる。このため、チタンやセラミック以外の鋼材などの通常素材による回転羽根部が耐えられる摂氏300度程度に調整するため、前述のように調整ダンパーによる外気導入が有効となる。
【0038】
また、図7において、64は、回転ブロワー61と同軸の回転羽根部の冷却ファンであり、駆動モータ65により回転して、回転軸なども併せて冷却するようになっている。
なお、駆動モータ65の動作も制御手段9としてのマイクロコンピュータにより、始動、停止、回転数などの動作制御がなされるようになっている。
【0039】
回転ブロワー61が作動すると、燃焼ガスが前記第1排気管62aに吸引誘導され、その一部は前記第2排気管62bの第1分岐管62b1、第3排気管62cを経て外部に排出されるが、燃焼ガスの他の一部は前記第2排気管62bの第2分岐管62b2を通る過程で調整ダンパー61aにより外気が混入されて温度が低下した後、回転ブロワー61に入り回転羽根部により前記分岐管62c2に排出される。 排出された燃焼ガスは分岐管62c2の内周面に突出形成された前記丘状部63と内周面との狭窄部に達するがここを抜けると狭窄状態が解消され燃焼ガスは急速に拡散し、狭窄部分を抜けた近傍では圧力が低下する。 換言すれば、丘状部63表面に沿って通過する燃焼ガスは平滑な内周面の対向部を通過する燃焼ガスより同一時間内に長い距離を異動するからその速度は速くなり、したがって、丘状部63周囲近傍、すなわち図7では第1分岐管62c1と第2分岐管62c2の合流点近傍は圧力が低下する。 このため、第3排気管62cの第1分岐管62c1からの燃焼ガスの流れが促進されることになる。
【0040】
図8は、燃焼室と燃料供給手段の関連構成を示す説明図である。
図示のように、薪供給手段8は、回転可能な円筒状のバイオマス燃料ストッカー81と、燃料投入筒82と、バイオマス燃料ストッカー81を順次回転させる駆動装置(不図示)を具えている。 燃料投入筒82の一方開口端は燃焼装置1内部に突出して第1燃焼室2aの上方に臨み、他方の開口端には燃料受け部82aが形成されてバイオマス燃料ストッカー内部空間に臨むように位置している。 また、バイオマス燃料ストッカー81は燃料投入筒82とともに、燃料が燃料投入筒82において自走滑落できるように所定の傾斜角度、この実施例では45度の傾斜角度で設置されている。
【0041】
図9は図8に示す燃料供給手段8の構成概略図で、図9(a)は燃料供給手段8の縦断面図、図9(b)は図9(a)におけるC−C線断面図である。
燃料投入筒82に形成される前記燃料受け部82aは開口部近傍を斜めにカットして形成されており、この燃料受け部82aに後述の燃料捕捉フックに把持されたバイオマス燃料が落下収納されることになる。 すなわち、図9(a)において、81a、81a…はバイオマス燃料ストッカー81の内周壁に等間隔で設けられたバイオマス燃料捕捉フックであり、これらバイオマス燃料捕捉フック81aは図9(b)に示すように、半径線に対して所定の角度すなわち内周壁との間で燃料を保持できるに好ましい角度をもって取り付けられている。 そして、燃料捕捉フック81aはここから落下する燃料が前記燃料受け部82aで受納できる位置に設けられている。すなわち、燃料捕捉フック81aが燃料受け部82aのほぼ真上にきた際に、それまで内周壁との間で挟持されていた燃料は燃料受け部82aに落下する。そして、燃焼室に臨む燃料投入筒82の先端開口部から順次第1燃料室2a内に供給されることになる。
【0042】
また、図9(a)において、83は燃料積載検知手段で、燃料受け部82aに所定量の燃料が搭載されたか否かを検知し、その検知信号は制御手段9において処理され、これに基づきバイオマス燃料ストッカー81の回転がコントロールされることになる。このような燃料積載検知手段に替えて、重量で動作する簡単な電流スイッチを使うこともできる。燃料受け部82aにおける重量が所定値に達するとスイッチオフとなりバイオマス燃料ストッカー81の回転が停止して待機状態となり、燃料の供給は中断する。
【0043】
上記の実施例に係るバイオマス燃焼装置1の着火から消火までの動作は概ね以下のようになる。
イ:制御手段9のコントローラーにおいて、待機を選択すると装置電源がオンとなり、まず燃料供給手段8が動作して第1燃焼室に燃料が供給される。
ロ: 燃料供給に併せて、常温空気供給装置5の前記電動開閉弁が所定の開度となり、同時に排気装置6において回転ブロワーがスタートするから、常温空気供給装置5および加熱空気供給装置7と排気装置6との間に空気流が形成される。
ハ: 上記ロ過程で、空気流が形成された状態で焚き付け口4において燃料に着火すると、空気流により十分な酸素が供給されているから、バイオマス燃料は容易に燃え上がり燃焼が開始される。
ニ: 燃焼中は、予め選択入力した強火、中火、弱火等に対応した燃焼室内の温度を測定検知し、このデータに基づいて制御手段9の指示により燃料供給手段8、常温空気供給装置5、排気装置6が相互に調和のとれた動作がなされ、所定の入力に対応する燃焼が実行される。 なお、貯湯タンクの湯温検知により、選択した湯温の高低により前記と同様に燃料供給手段8、常温空気供給装置5、排気装置6が必要は動作をなす。
ホ: 消火が入力されると、常温空気供給装置5の電動開閉弁が閉じ、同時に排気装置6の回転ブロワーもストップし、燃焼室への酸素の供給が遮断され燃焼は停止する。また、停電などの際も、制御手段により自動的に消火が選択され前記と同様の手順がなされ燃焼は停止する。なお、排気装置6の回転ブロワーが停止しても、図7に示すように分岐管62b1、62c1による排気経路は常時開いているから燃焼室内の燃焼ガスは自然放散される。
【符号の説明】
【0044】
1.........バイオマス燃焼装置
2.........燃焼炉本体
3.........釜本体
4.........焚き付け口
5.........常温空気供給装置
6.........排気装置
7.........加熱空気供給装置
8.........燃料供給装置
9.........制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薪その他のバイオマス素材を燃焼するための燃焼装置であって、複数の燃焼室を有する燃焼炉本体と、貯湯タンク、空気取り入れ口等を有して燃焼炉本体の上部に設けられる釜本体と、燃焼炉本体の下部に設けた燃料の焚き付け口と、燃焼炉本体に連通され排気ガスを吸引して外部に排気する排気装置と、燃焼室への燃料供給手段と、前記燃料室へ燃焼炉本体外部から空気を供給する常温空気供給装置と、前記排気装置の吸引動作により前記燃料室へ加熱空気を供給する加熱空気供給装置と、前記燃料供給手段の供給動作、排気装置の動作およびこれに基づく常温空気量と加熱空気量の調節、貯湯タンクの湯温などを制御する制御手段と、を具えてなることを特徴とするバイオマス燃焼装置。
【請求項2】
請求項1記載の燃焼装置において、燃焼室は常温空気供給装置から常温外部空気としての第1次空気を供給しつつバイオマス素材を燃焼させる第1燃焼室と、この第1燃焼室の上部に位置し第1燃焼室からの燃焼ガスに加熱空気供給装置からの加熱空気としての第2次空気を供給し前記燃焼ガスを高温化する第2燃焼室と、この第2燃焼室の上部に位置し第2燃焼室からの燃焼ガスに加熱空気供給装置からの加熱空気としての第3次空気を供給し前記燃焼ガスをさらに高温化する第3燃焼室とを有することを特徴とするバイオマス燃焼装置。
【請求項3】
請求項2記載の燃焼装置において、前記常温空気供給装置は制御手段により駆動制御される空気口開閉弁を具え、前記加熱空気供給装置は空気取り入れ口に連通する第1流路とこの第1流路に連通し前記燃焼炉本体の内壁に設けられる第2流路と、この第2流路に形成され第2および第3燃焼室に臨む第2次空気出口ならびに第3次空気出口を具えてなることを特徴とするバイオマス燃焼装置。
【請求項4】
請求項3記載の燃焼装置において、前記第1流路は燃焼室から排気装置へ流通する燃焼排気ガスにより加熱され、第2流路は燃焼室により加熱される構成を具えたことを特徴とするバイオマス燃焼装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載のバイオマス燃焼装置において、前記排気装置は、吸引手段と排気管を具え、前記排気管は一端が前記燃焼炉本体に連結される第1排気管と、前記第1排気管の他端に一端が連結され第1および第2の二つの分岐管を有する第2排気管と、第2排気管の前記第1分岐管に連結されて排気口を有する第3排気管とを具え、前記吸引手段は回転羽根部と回転羽根部の冷却ファンとを具えて、回転羽根部の吸引口は前記第2排気管の第2分岐管に連結され、回転羽根部の排出口は前記第3排気管に連結されてなることを特徴とするバイオマス燃焼装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか記載のバイオマス燃焼装置において、前記薪供給手段は回転するバイオマス燃料ストッカーと、燃料投入筒と、バイオマス燃料ストッカーを順次回転させる駆動装置を有し、前記バイオマス燃料ストッカーは内周壁にバイオマス燃料捕捉フックが設けられ、前記燃料投入筒は一方の開口端は燃焼室に臨み、他方の開口端には燃料受け部が形成されてバイオマス燃料ストッカー内部空間に臨み、バイオマス燃料ストッカーの回転とともにバイオマス燃料捕捉フックに捕捉されたバイオマス燃料が前記燃料受け部に落下収納された後、燃焼室に臨む燃料投入筒の開口端から順次燃料室内に滑落するように構成されたことを特徴とするバイオマス燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−255971(P2010−255971A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108785(P2009−108785)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(591183544)
【Fターム(参考)】