説明

バイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントおよび骨材加熱乾燥方法

【課題】 バイオマス発電施設にて発電を行う際に発生する高温の燃焼ガスが有する高い保有熱量を有効利用するとともに、アスファルトプラントでのCO2 の排出量の削減を図ることにある。
【解決手段】 バイオマスをガス化炉にて熱分解して生成した可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスを利用して発電を行うバイオマス発電施設1と、骨材を予備的に加熱して供給する骨材加熱予備設備27を設けたアスファルト混合物を製造するアスファルトプラント28とを併設し、アスファルトプラント28の稼働時にはバイオマス発電施設1にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントの骨材加熱予備設備27のドライヤ47に供給して骨材を予備的に加熱乾燥するようにしている。高温となった清浄空気を前記アスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33にも供給するようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス発電分野やアスファルトプラント分野におけるバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントおよび骨材加熱乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、廃木材や間伐材などの木質系のバイオマスを適当なサイズに破砕・粉砕した後、これを例えば、間接加熱式のガス化炉にて無酸素或いは低酸素状態で熱分解することで水素やメタンなどを含んだ可燃性ガスと炭化物を生成し、生成した可燃性ガスを燃焼させ、その際に生じる高温の燃焼ガスを発電用ボイラに供給することで蒸気タービンを駆動させて発電を行うようにしたバイオマス発電施設が実用化されつつあり、特開2004−339360号公報のようにバイオマス発電施設で発生するエネルギを有効利用することが提案されている。
【0003】
また、アスファルトプラントにおいても、アスファルトプラントのCO2 排出量はアスファルト混合物生産量の原単位から概算すると、燃料で約25kg−CO2 /トン、電力で約5kg−CO2 /トンであり、燃料によるCO2 排出量が大部分を占め、地球温暖化防止のためのCO2 の排出量抑制が命題となっている。
【0004】
そこで、本発明者らは、特開2007−321520号公報のようにバイオマス発電施設から発生する高温の燃焼ガスを利用してアスファルトプラントのバーナの燃焼用空気を加熱し、バーナの燃料使用量を減らしてCO2 の削減を図るようにしたバイオマス発電施設にて発生する熱利用方法を提案している。
【特許文献1】特開2004−339360号公報
【特許文献2】特開2007−321520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、バイオマス発電施設にて発電を行う際に発生する高温の燃焼ガスが有する高い保有熱量をさらに有効利用するとともに、アスファルトプラントでのCO2 の排出量の削減を図ることが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、上記の課題を解決するために、請求項1に記載のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントは、バイオマス発電施設にて発生する熱バイオマスをガス化炉にて熱分解して生成した可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスを利用して発電を行うバイオマス発電施設と、骨材を予備的に加熱乾燥する骨材加熱予備設備を設けたアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントを併設し、バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントの骨材加熱予備設備のドライヤに供給して骨材を予備的に加熱乾燥するように構成したことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントは、バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントのドライヤのバーナへも燃焼用空気として供給するように配管接続したことを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に記載のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントの骨材加熱乾燥方法は、バイオマスをガス化炉にて熱分解して生成した可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスを利用して発電を行うバイオマス発電施設と、骨材を予備的に加熱乾燥する骨材加熱予備設備を設けたアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントを併設し、バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントの骨材加熱予備設備のドライヤに供給して骨材を予備的に加熱乾燥してアスファルトプラントのドライヤに供給することを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項4に記載のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントの骨材加熱乾燥方法は、アスファルトプラントの稼働時に、ガス化炉にて生成される炭化物を燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスをガス化炉にて生成される可燃性ガスの燃焼により生じる燃焼ガスと合流させて燃焼ガスの保有熱量を高め、この燃焼ガスを清浄空気とを熱交換させ、高温となった清浄空気を利用して骨材を予備的に加熱乾燥するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る請求項1に記載のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントは、バイオマス発電施設にて発生する熱バイオマスをガス化炉にて熱分解して生成した可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスを利用して発電を行うバイオマス発電施設と、骨材を予備的に加熱して供給する骨材加熱予備設備を設けたアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントを併設し、バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントの骨材加熱予備設備のドライヤに供給して骨材を予備的に加熱乾燥するように構成したことによって、バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスを利用してアスファルトプラントの骨材加熱予備設備のドライヤにて骨材を予備的に加熱乾燥させることができ、骨材加熱の燃料使用量を減らせてCO2 の削減を図ることができる。
【0011】
また、請求項2に記載のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントは、バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントのドライヤのバーナへも燃焼用空気として供給するように配管接続したことによって、アスファルトプラントの骨材加熱予備設備のドライヤにての骨材の予備的な加熱乾燥だけでなく、アスファルトプラントのドライヤのバーナへ高温となった燃焼用空気を供給することでバーナの燃料使用量を減らせてCO2 の削減を図ることができる。なお、アスファルトプラントの稼働時には、高温となった清浄空気をバーナの燃焼用空気として利用するか、或いは骨材加熱予備設備のドライヤにての骨材の予備的な加熱乾燥として利用するかのいずれかを選択することも可能である。更に、アスファルトプラントの稼働停止時には、バーナは稼働しないので、高温の清浄空気を骨材加熱予備設備のドライヤのみに供給して骨材を予備的に加熱乾燥し、この加熱骨材を骨材貯留サイロに一旦貯蔵しておき、次回のアスファルトプラントの稼働時に使用することでアスファルトプラントの稼働停止時でもバイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスの保有熱を有効活用することもできる。
【0012】
また、請求項3に記載のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントの骨材加熱乾燥方法は、バイオマス発電施設にて発生する熱バイオマスをガス化炉にて熱分解して生成した可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスを利用して発電を行うバイオマス発電施設と、骨材を予備的に加熱して供給する骨材加熱予備設備を設けたアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントを併設し、バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントの骨材加熱予備設備のドライヤに供給して骨材を予備的に加熱乾燥してアスファルトプラントのドライヤに供給することによって、バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスを利用してアスファルトプラントの骨材加熱予備設備のドライヤにて骨材を予備的に加熱乾燥することができ、骨材加熱の燃料使用量を減らせてCO2 の削減を図ることができる。また、アスファルトプラントの稼働停止時でも骨材を予備的に加熱乾燥して骨材貯留サイロに貯蔵しておくことで、アスファルトプラントの稼働停止時でもバイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスの保有熱を有効活用できる。
【0013】
またさらに、請求項4に記載のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントの骨材加熱乾燥方法は、ガス化炉にて生成される炭化物を燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスをガス化炉にて生成される可燃性ガスの燃焼により生じる燃焼ガスと合流させて燃焼ガスの保有熱量を高め、この燃焼ガスを清浄空気とを熱交換させ、高温となった清浄空気を利用して骨材を予備的に加熱乾燥するようにしたことによって、バイオマス発電施設における発電効率を低下させることなく骨材を余裕を持って安定して加熱することができ、骨材加熱の燃料使用量を減らせてCO2 の削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントおよび骨材加熱乾燥方法は、バイオマス発電施設にて発生する熱バイオマスをガス化炉にて熱分解して生成した可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスを利用して発電を行うバイオマス発電施設と、骨材を予備的に加熱する骨材加熱予備設備を設けたアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントを併設し、バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントの骨材加熱予備設備のドライヤに供給して骨材を予備的に加熱乾燥するようにしたことを特徴としている。
【0015】
バイオマスを利用して発電を行うバイオマス発電施設1は、図1のように、例えば、廃木材や間伐材などの木質系のバイオマスを回収して一時的に貯留しておくためのバイオマス貯留ホッパ2を配設し、該バイオマス貯留ホッパ2の下流にこのバイオマスを取り扱いやすいチップ状に破砕処理する破砕機3を配設し、前記破砕機3の下流にチップ状に破砕処理したバイオマスを無酸素または低酸素状態で熱分解処理して可燃性ガスと炭化物とを生成するガス化炉4を配設している。前記ガス化炉4は間接加熱式のキルン構造とし、外筒5と該外筒5内に貫通させた円筒状の内筒6とから成る。前記外筒5は基台7に固定し、内筒6は基台7に回転自在に傾斜支持し、駆動装置(図示せず)にて所定の速度で回転させるようにしている。
【0016】
外筒5内には、後述するガス燃焼室10にて発生させた約1100℃前後の高温の熱風を送り込むようにし、前記破砕機3より払い出してスクリュコンベヤ8を介して内筒6内に順次投入するバイオマスを無酸素または低酸素状態で間接的に加熱し、熱分解させて水素やメタン、一酸化炭素などを豊富に含んだ可燃性ガスと炭化物とを生成する。
【0017】
ガス化炉4にて生成した可燃性ガス中に含まれる粉塵はサイクロン9で除塵処理し、該サイクロン9の下流に除塵処理した可燃性ガスを燃焼させて約1100℃前後の高温の燃焼ガスを発生させるガス燃焼室10を配設している。ガス化炉4にて生成した炭化物は粉砕機11で粉砕処理し、該粉砕機11の下流に粉砕処理した炭化物を貯留しておく炭化物貯留ホッパ12を配設し、該炭化物貯留ホッパ12の下流に炭化物貯留ホッパ12から払い出して供給する粉粒状の炭化物を燃焼させ、前記可燃性ガスを燃焼させた場合と同程度の約1100℃前後の高温の燃焼ガスを発生させる炭化物燃焼室13を配設している。
【0018】
そして、図1のように発電用ボイラ14に前記ガス燃焼室10と炭化物燃焼室13にて発生させた高温の燃焼ガスを燃焼ガス供給ダクト15を介して一旦合流させてから供給し、燃焼ガスが有する保有熱を利用して高温の蒸気を発生させ、この高温の蒸気にて駆動させて発電を行う蒸気タービン16を備えている。
【0019】
前記発電用ボイラ14から排出される排ガスは排気ダクト17で導出して、その途中には排ガス温度を低下させる減温塔18や、排ガス中の粉塵を除塵処理するバグフィルタ19、排ガスに対して散水を行って排ガス中の灰分やタール分などのダストを除去処理する洗煙塔20、及び排ガスに対してアンモニアを噴霧して排ガス中の窒素酸化物を除去処理する脱硝反応塔21などの各種排ガス処理装置を介在させ、排気ダクト17の終端側に備えた排風機22にて排ガスを吸引して前記各種排ガス処理装置を経由させて清浄化してから煙突23より大気中に放出するようにしている。
【0020】
また、前記発電用ボイラ14へ燃焼ガスを供給する燃焼ガス供給ダクト15の途中には、図1のように燃焼ガス供給ダクト15内を流下する燃焼ガスの一部を分流させて前記ガス化炉4の外筒5内に熱源として供給すると共に、外筒5から排気される燃焼ガスをガス燃焼室10へ再び戻して循環させる燃焼ガス循環ダクト24を配管接続し、発電用の高温の燃焼ガスの一部をガス化炉4におけるバイオマスの熱分解用の熱源として無駄なく利用するようにしている。
【0021】
また、前記燃焼ガス供給ダクト15の途中に燃焼ガス分岐ダクト25を連結し、該燃焼ガス分岐ダクト25の途中に燃焼ガス分岐ダクト25側へ流下した高温の燃焼ガスと常温の清浄空気(外気)とを熱交換させる熱交換器26を配設して清浄空気を加熱昇温させるようにしているとともに、前記燃焼ガス分岐ダクト25の他端部を発電用ボイラ14下流側の排気ダクト17に連結し、熱交換によって温度の低下した燃焼ガスを発電用ボイラ14から排出される排ガスと合流して処理するようにしている。
【0022】
上記バイオマス発電施設1の近傍には、骨材加熱予備設備27を備えたアスファルト混合物を製造するアスファルトプラント28を併設している。アスファルトプラント28には、供給される骨材を加熱するドライヤ29を設置し、内周部に多数の掻き上げ羽根(図示せず)を周設した円筒状のドラム30を基台31上に回転自在に傾斜支持し、駆動装置(図示せず)により所定の速度で回転させるようにし、ドラム30の一端部のホットホッパ32に配設したバーナ33よりドラム30内に熱風を送り込む一方、他端部のコールドホッパ34に連結した図外の排気煙道の末端に配設した排風機にて排ガスを吸引してドラム30内を通過する高温ガス流を維持すると共に、集塵機を経由させて清浄化した排ガスを煙突より大気中へ放出している。
【0023】
そして、粒度別に骨材を貯蔵している骨材ホッパ群35から骨材を所定量ずつ払い出し、払い出した骨材をベルトコンベヤ36を介してドラム30内に送り込み、掻き上げ羽根で掻き上げながらドラム30内を転動流下させる間に高温ガス流と接触させ、所望温度まで昇温させてホットホッパ32に配設した排出部から排出するようにしている。
【0024】
ドラム30より排出された加熱骨材は、垂直搬送装置であるバケットエレベータ37によってプラント本体38上部まで持ち上げ、排出シュートを滑り落ちて振動篩39に流し込み、粒度別に篩い分けられて骨材貯蔵ビン40の各区画室に貯蔵される。骨材貯蔵ビン40の各区画室の下端にはそれぞれ骨材排出用の排出ゲートを備えており、その下位に重量検出器にて支持する骨材計量槽41を配設すると共に、石粉貯蔵ビン42のスクリューフィーダ43にて供給される石粉を計量する石粉計量槽44、アスファルトを計量するアスファルト計量槽45を配設し、更にその下位にはミキサ46を配設し、所定量の各材料を上記各計量槽にて計量し、ミキサ46にて混合調整して所望のアスファルト混合物を製造してトラック等で搬送するようにしている。
【0025】
一方、骨材加熱予備設備27は、図1のようにアスファルトプラント28の骨材を加熱するドライヤ29の骨材投入前付近に設置して予備加熱乾燥するもので、予備加熱乾燥用ドライヤ47、骨材貯留サイロ48等の設備を備えている。予備加熱乾燥用ドライヤ47は前記したドライヤ29とほぼ同様の構造で、回転自在に傾斜支持して駆動装置(図示せず)により所定の速度で回転させており、該予備加熱乾燥用ドライヤ47の一端側から後述する高温の清浄空気を供給する一方、予備加熱乾燥用ドライヤ47の他端側に設置したベルトコンベヤ50を介して骨材ホッパ51に貯蔵する骨材をドラム52内に供給し、骨材がドラム52内を通過する間に加熱乾燥して適宜温度まで予備的に加熱するようにしている。前記骨材ホッパ51には、骨材中の比較的含水比が高い砂を貯留し、この砂分をドライヤ47にて予備加熱乾燥するようにすると効率が良く、またこの加熱した砂分をアスファルトプラント28のドライヤ29にて他の骨材に混入して160℃前後の所定温度まで加熱するとき、砂分を予め加熱していることによって骨材を目的温度に精度良く安定して加熱昇温できて好ましい。
【0026】
予備加熱乾燥用ドライヤ47にて加熱された骨材は、バケットエレベータ53によって持ち上げられて骨材貯留サイロ48に一旦貯留される。この骨材貯留サイロ48は必要に応じて加熱保温構造とする。骨材貯留サイロ48から払い出される骨材はコンベヤ等の搬送装置54によって任意の量をアスファルトプラント28のドライヤ29に供給するようにしている。
【0027】
このようにバイオマス発電施設1に隣接した骨材加熱予備設備27のドライヤ47とアスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33に、図1のようにバイオマス発電施設1の熱交換器26に配設した高温空気供給ダクト55の端部を二又状に分岐して予備加熱用熱風ダクト56とアスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ用熱風ダクト57を配管接続し、前記熱交換器26を介して高温となった清浄空気を供給し、骨材加熱予備設備27のドライヤ47にて骨材を予備的に加熱乾燥したり、アスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33の燃焼用空気として使用するようにしている。高温空気供給ダクト55には、空気供給用ファン58にて外部から取り込んだ常温の清浄空気(外気)と燃焼ガス分岐ダクト25内を流下する約1100℃前後の高温の燃焼ガスとを熱交換器26により熱交換させ、清浄空気を約500〜600℃程度まで昇温させて供給するようにしている。
【0028】
前記二又状に分岐して予備加熱用熱風ダクト56とバーナ用熱風ダクト57には、図1のようにダンパー59、60、送風機61、62をそれぞれ配設し、ダンパー59のみを適宜開放して高温の清浄空気を骨材加熱予備設備27のドライヤ47にだけ供給したり、ダンパー60のみを適宜開放してアスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33にだけ供給したり、また、ダンパー59、60の両方を適宜開放して骨材加熱予備設備27とアスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33の両方に供給することもできる。なお、温度センサー63、64を配置して高温の清浄空気温度を測定し、ダンパー59、60の開度量を調節して骨材加熱予備設備27のドライヤ47やアスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33に導く高温の清浄空気温度をある程度コントロールすることもできる。
【0029】
アスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33では、供給されてくる高温の清浄空気を燃焼用空気として用いることにより、燃料使用量を通常時よりも抑えた状態で燃焼を行えるようにできる。このときバーナ33では空気比を通常時よりも若干高めて、例えば、通常1.3程度としている空気比を1.7〜1.8程度(より好ましくは1.77)まで高めて燃焼を行うように制御すれば、高温の燃焼用空気が有する保有熱量を有効に利用でき、バーナ33の燃料使用量をより一層抑えることができる。
【0030】
また、バーナ用熱風ダクト57には、外気をダクト内に導入させるための外気導入口65を開閉可能として備えており、例えば、バイオマス発電施設1側が運転停止時に開放したり、運転開始直後などで十分な量の燃焼用空気を送ることができないような場合など、外気導入口65よりダクト内に外気を適宜導入させ、アスファルトプラント27のバーナ32へ供給する燃焼用空気量を安定して確保できるように対処している。
【0031】
66はバーナ用熱風ダクト57内を流下する燃焼用空気を外部へ緊急放出するための緊急放出口であって、遮断ダンパー67によって開閉自在としている。そして、通常時は閉鎖している一方、例えば、燃焼用空気供給中にアスファルトプラント28の稼動が止まってバーナ33の燃焼を停止したような場合には、行き場を失った燃焼用空気の圧によって発電用ボイラ14に負荷が掛かりかねないため、このようなときには前記遮断ダンパー67を開放させてダクト内の燃焼用空気を緊急放出できるようにしている。
【0032】
このようにしてバイオマス発電施設1にて発生する熱バイオマスをガス化炉4にて熱分解して生成した可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラント28の骨材加熱予備設備27のドライヤ47に供給して骨材を予備的に加熱乾燥することによって、骨材を加熱するための燃料使用量を減らせてCO2 の削減を図ることができる。
【0033】
また、バイオマス発電施設1にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱して高温となった清浄空気をアスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33へも燃焼用空気として供給することによって、骨材加熱予備設備27のドライヤ47の骨材の予備的な加熱乾燥だけでなく、バーナ33の燃焼用空気として使用することで、骨材加熱のための燃料使用量をさらに減らせてCO2 の削減を図ることができる。
【実施例】
【0034】
図1は、本発明の実施例を示すものである。上記したようにバイオマスを利用して発電を行うバイオマス発電施設1は、図1のように廃木材や間伐材などの木質系のバイオマス貯留ホッパ2を配設してその下流に破砕処理する破砕機3を配設し、チップ状に破砕処理したバイオマスを無酸素または低酸素状態で熱分解処理し、可燃性ガスと炭化物とを生成する間接加熱式のキルン構造のガス化炉4を配設して順次投入するバイオマスを無酸素または低酸素状態で間接的に加熱していき、熱分解させて水素やメタン、一酸化炭素などを豊富に含んだ可燃性ガスと炭化物とを生成するようにしている。
【0035】
ガス化炉4にて生成した可燃性ガス中に含まれる粉塵はサイクロン9で除塵処理し、該サイクロン9の下流に除塵処理した可燃性ガスをガス燃焼室10で燃焼させて約1100℃前後の高温の燃焼ガスを発生させると共に、ガス化炉4にて生成した炭化物を粉砕機9で粉砕処理して該粉砕機11の下流に粉砕処理した炭化物を貯留しておく炭化物貯留ホッパ12を配設し、該炭化物貯留ホッパ12の下流には炭化物貯留ホッパ12から払い出して供給する粉粒状の炭化物を燃焼させ、前記可燃性ガスを燃焼させた場合と同程度の約1100℃前後の高温の燃焼ガスを炭化物燃焼室13で発生させるようにしている。
【0036】
また、図1のように発電用ボイラ14に前記ガス燃焼室10と炭化物燃焼室13にて発生させた高温の燃焼ガスを燃焼ガス供給ダクト15を介して一旦合流させてから供給し、燃焼ガスが有する保有熱を利用して高温の蒸気を発生させてこの高温の蒸気にて蒸気タービン16を駆動させて発電を行い、前記発電用ボイラ14へ燃焼ガスを供給する燃焼ガス供給ダクト15の途中に図1のように燃焼ガス供給ダクト15内を流下する燃焼ガスの一部を分流させて前記ガス化炉4の外筒5内に熱源として供給すると共に、外筒5から排気される燃焼ガスをガス燃焼室10へ再び戻して循環させる燃焼ガス循環ダクト24を配管接続し、発電用の高温の燃焼ガスの一部をガス化炉4におけるバイオマスの熱分解用の熱源として無駄なく利用するようにしている。
【0037】
そして、前記燃焼ガス供給ダクト15の途中に燃焼ガス分岐ダクト25を連結して、該燃焼ガス分岐ダクト25の途中に燃焼ガス分岐ダクト25側へ流下した高温の燃焼ガスと常温の清浄空気(外気)とを熱交換させる熱交換器26を配設して清浄空気を加熱昇温させるようにし、図1のように熱交換器26に配設した高温空気供給ダクト55の端部を二又状に分岐して予備加熱用熱風ダクト56とバーナ用熱風ダクト57を配管接続し、該予備加熱用熱風ダクト56とバーナ用熱風ダクト57を介して骨材加熱予備設備27のドライヤ47及びアスファルトプラント28のドライヤ29をバーナ33に高温の清浄空気を供給し、骨材加熱予備設備27のドライヤ47にて骨材を加熱したり、アスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33にて燃焼用空気として使用している。
【0038】
高温空気供給ダクト55には、空気供給用ファン58にて外部から取り込んだ常温の清浄空気(外気)と燃焼ガス分岐ダクト25内を流下する約1100℃前後の高温の燃焼ガスとを熱交換器26により熱交換させ、清浄空気を約500〜600℃程度まで昇温させてから予備乾燥用熱風ダクト56、バーナ用熱風ダクト57に供給するようにしている。バーナ33では供給されてくる高温の清浄空気を燃焼用空気として用いることにより、燃料使用量を通常時よりも抑えた状態で燃焼を行えるようにできる。このときバーナ33では空気比を通常時よりも若干高めて、例えば、通常1.3程度としている空気比を1.7〜1.8程度
(より好ましくは1.77)まで高めて燃焼を行うように制御すれば、高温の燃焼用空気が有する保有熱量を有効に利用できてバーナ33の燃料使用量をより一層抑えることができる。
【0039】
したがって、アスファルトプラント28が非稼働状態のときは、バイオマス発電施設1のガス化炉4でのバイオマスを無酸素、或いは低酸素状態にて間接加熱して熱分解させて水素やメタンなどを豊富に含んだ可燃性ガスと炭化物を生成して、生成した可燃性ガスはガス燃焼室10にて燃焼させ、その際に生じる高温の燃焼ガスを全て発電用ボイラ14へ供給し、発生する高温の蒸気にて蒸気タービン16を駆動して発電を行い、生成した炭化物は粉砕機11にて逐次粉砕処理した後、燃焼させることなく炭化物貯留ホッパ12へ貯留していく。
【0040】
そして、アスファルトプラント28が稼動状態となると、それまで炭化物貯留ホッパ12に貯留してきた炭化物を炭化物燃焼室13へ定量供給して燃焼させ、その際に生じる高温の燃焼ガスを可燃性ガスを燃焼させて生じる燃焼ガスに合流させることにより、燃焼ガスの総量を増大させて燃焼ガスが有する保有熱量を十分に高め、ガス量の増大した燃焼ガスのうち、可燃性ガスの燃焼により生じる燃焼ガス量相当分、即ち発電に必要とされる燃焼ガス量分は発電用ボイラ14に供給して安定して発電に利用する一方、炭化物の燃焼により生じる燃焼ガス量相当分、即ち発電には余剰な燃焼ガス量分は燃焼ガス分岐ダクト25側へ導き、この高温の燃焼ガスと常温の清浄空気(外気)とを熱交換器26にて熱交換させて清浄空気を加熱昇温し、この高温の清浄空気を高温空気供給ダクト55、及び予備加熱用熱風ダクト56(ダンパー61は開、ダンパー60は閉状態)を経由させて骨材加熱予備設備27のドライヤ47に供給して骨材を予備的に加熱する。この加熱した骨材を骨材貯留サイロ48に一旦貯蔵した後、搬送装置54によって任意の量をアスファルトプラント28のドライヤ29に供給すると同時に、骨材不足分を骨材ホッパ群35から適宜量ずつ払い出してベルトコンベヤ36を介してドライヤ29に供給し、予備的に加熱した骨材を含めて約160℃前後の所定温度まで加熱する。
【0041】
また、必要により、バイオマス発電施設1の熱交換させて清浄空気を加熱して高温となった清浄空気をダンパー60の開放によってバーナ用熱風ダクト57を介してアスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33へも供給して燃焼用空気として使用する。これによって、骨材加熱予備設備27のドライヤ47の骨材の予備的な加熱乾燥だけでなく、アスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33の燃焼用空気と使用することで、バーナ33の燃料使用量を減らせてCO2 の削減を図ることができる。
【0042】
なお、アスファルトプラント28が非稼働状態のときでも、骨材加熱予備設備27のドライヤ47に高温の清浄空気を供給して骨材を予備的に加熱乾燥して骨材貯留サイロ48に一旦貯蔵しておき、次回のアスファルトプラント28の稼働時に、骨材貯留サイロ48から骨材を払い出してアスファルトプラント28のドライヤ29に供給することもできる。
【0043】
このようにしてバイオマス発電施設1にて発生する熱バイオマスをガス化炉4にて熱分解して生成した可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスを利用して、アスファルトプラント28の骨材加熱予備設備27のドライヤ47に供給して骨材を予備的に加熱乾燥させることができ、骨材加熱に要する燃料使用量を減らせてCO2 の削減を図ることができる。
【0044】
また、実施例では、高温の清浄空気を予備加熱用熱風ダクト56とバーナ用熱風ダクト57を介して骨材加熱予備設備27のドライヤ47と、アスファルトプラント28のドライヤ29のバーナ33との双方に供給できる構成としたが、バーナ用熱風ダクト57を配設せず、予備加熱用熱風ダクト56のみを配設し、高温の清浄空気を骨材加熱予備設備27のドライヤ47にのみ供給する構成とできることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施例を示す概要説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1…バイオマス発電施設 4…ガス化炉 10…ガス燃焼室 26…熱交換器
27…骨材加熱予備設備 28…アスファルトプラント 29…ドライヤ
33…バーナ 55…高温空気供給ダクト 56…予備加熱用熱風ダクト
57…バーナ用熱風ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスをガス化炉にて熱分解して生成した可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスを利用して発電を行うバイオマス発電施設と、骨材を予備的に加熱して供給する骨材加熱予備設備を設けたアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントを併設し、
バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントの骨材加熱予備設備のドライヤに供給して骨材を予備的に加熱乾燥するように構成したことを特徴とするバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラント。
【請求項2】
バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントのドライヤのバーナへも燃焼用空気として供給するように配管接続したことを特徴とする請求項1に記載のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラント。
【請求項3】
バイオマスをガス化炉にて熱分解して生成した可燃性ガスを燃焼させて生じる高温の燃焼ガスを利用して発電を行うバイオマス発電施設と、骨材を予備的に加熱乾燥する骨材加熱予備設備を設けたアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントを併設し、
バイオマス発電施設にて発生する高温の燃焼ガスと清浄空気とを熱交換させて清浄空気を加熱し、高温となった清浄空気を前記アスファルトプラントの骨材加熱予備設備のドライヤに供給して骨材を予備的に加熱乾燥してアスファルトプラントのドライヤに供給することを特徴とするバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントの骨材加熱乾燥方法。
【請求項4】
ガス化炉にて生成される炭化物を燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスをガス化炉にて生成される可燃性ガスの燃焼により生じる燃焼ガスと合流させて燃焼ガスの保有熱量を高め、この燃焼ガスを清浄空気とを熱交換させ、高温となった清浄空気を利用して骨材を予備的に加熱乾燥するようにしたことを特徴とすると請求項3に記載のバイオマス発電施設にて発生する熱を利用したアスファルトプラントの骨材加熱乾燥方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−116672(P2010−116672A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288519(P2008−288519)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000201515)前田道路株式会社 (61)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】