説明

バイオマーカーとして有用なクマリン

【課題】本発明は、新規バイオマーカーを提供することを目的とする。詳細には、本発明は、アルツハイマー病の早期診断および予防ならびにアルツハイマー病の治療的処置の有効性をモニターするのに有用なバイオマーカーを提供することを目的とする。
【解決手段】


〔式中、R、R、R、RおよびRは、本明細書において定義したとおりである。〕
で示される新規クマリン誘導体、それらの製造、マーカーとしてのそれらの使用およびそれらを含む組成物を提供することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規クマリン誘導体、それらの製造、マーカーとしてのそれらの使用およびそれらを含む組成物に関する。
【発明の開示】
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、マーカーとして使用するための、遊離塩基または酸付加塩の形態の式I
【化1】

〔式中、
およびRは、ともに水素であり、そしてRおよびRは、独立して、H、CH11CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、(CHFまたは(CH18Fであり、nは2、3または4であるか、あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素原子と一体となって、式
【化2】

[式中、RはH、(CHI、(CH123I、(CHOH、CH11CH、(CHFまたは(CH18Fであり、nは上で定義したとおりである。]
で示される基を形成するか、または、
およびRの一方は水素であり、そして他方はRと一体となって、−(CH−架橋を形成し、mは2または3であり、そしてRはH、CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、11CH、(CHFまたは(CH18Fであり、そして
Rは、式
【化3】

[式中、XはO、SまたはNRであり、RはH、CH11CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、(CHFまたは(CH18F(nは上で定義したとおりである。)であり、YはCHまたはNであり、そしてRおよびRは、独立して、H、NO、F、18F、O(CHF、O(CH18F、Cl、CN、11CN、OCH、O11CH、I、123I、O(CHIまたはO(CH123I(nは上で定義したとおりである。)である。]
で示される基である。〕
で示される化合物を提供する。
【0003】
以下の化合物:
7−ジメチルアミノ−3−(1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−クロメン−2−オン
3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−7−ジメチルアミノ−クロメン−2−オン
3−(6−クロロ−ベンゾチアゾール−2−イル)−7−ジメチルアミノ−クロメン−2−オン
3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−ジメチルアミノ−クロメン−2−オン
3−ベンゾオキサゾール−2−イル−7−ジメチルアミノ−クロメン−2−オン
3−ベンゾオキサゾール−2−イル−7−メチルアミノ−クロメン−2−オン
3−(5−クロロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−ジメチルアミノ−クロメン−2−オン
を除く式Iの化合物は、文献で開示されたことはなく、そして本発明の一部である。
【0004】
さらなる態様において、本発明は、式Iの化合物およびそれらの塩の製造方法であって、
a)R、R、R、R、RおよびR11CH、(CH18F、(CH123I、18F、O(CH18F、11CN、O11CH123IおよびO(CH123Iでない式Iの化合物の製造のために、式IIの化合物を、式IIIの化合物と反応させる工程
【化4】

〔式中、RおよびR、ならびにRおよびR中のR;R中のRおよびR;ならびにX中のR11CH、(CH18F、(CH123I、18F、O(CH18F、11CN、O11CH123IおよびO(CH123Iではなく、そしてAlkは(C1−4)アルキルである。〕、
あるいは
b)RおよびRの少なくとも1つがO11CHである式Iの化合物の製造のために、RおよびRの少なくとも1つがOHである式Iの化合物をI11CHおよび塩基と反応させる工程、
あるいは
c)RおよびRの少なくとも1つがO(CH18FまたはO(CH123Iである式Iの化合物の製造のために、RおよびRの少なくとも1つがO(CHOTsまたはO(CHOMsである式Iの化合物を、18または123と反応させる工程、
あるいは
d)RおよびRの少なくとも1つが18Fである式Iの化合物の製造のために、RおよびRの少なくとも1つがNOまたはハロゲンである式Iの化合物を、18と反応させる工程、
あるいは
e)RおよびRの少なくとも1つが123Iである式Iの化合物の製造のために、RおよびRの少なくとも1つがBuSnである式Iの化合物を、123Iおよび過酸化水素と反応させる工程、
あるいは
f)RおよびRの少なくとも1つが11CNである式Iの化合物の製造のために、RおよびRの少なくとも1つがOSOCFである式Iの化合物を、[11C]シアン化物と反応させる工程、
あるいは
g)R、R、RおよびRの少なくとも1つが11CHである式Iの化合物の製造のために、R、R、RおよびRの少なくとも1つが水素である式Iの化合物を、11CHIと反応させる工程、
あるいは
h)R、R、RおよびRの少なくとも1つが(CH18Fまたは(CH123Iである式Iの化合物の製造のために、R、R、RおよびRの少なくとも1つが(CHOTsまたは(CHOMsである式Iの化合物を、18またはIと反応させる工程、
ならびに得られる式Iの化合物を、遊離塩基の形態または酸付加塩の形態で回収する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0005】
該反応は、既知の反応にしたがって、たとえば実施例において記載されたように実施され得る。
【0006】
反応混合物の後処理およびかくして得られた化合物の精製は、既知の手順にしたがって行われ得る。
【0007】
酸付加塩は遊離塩基から既知の方法で製造され得、そしてその逆もあり得る。
【0008】
遊離塩基または酸付加塩の形態の式Iの化合物(以後、本明細書において「本発明の剤」と呼ぶ)は、組織病理学的染色剤、イメージング剤および/またはバイオマーカー(以後、これらを本明細書において「マーカー」と呼ぶ)として価値の高い性質を示す。
【0009】
さらに特に、本発明の剤は、たとえばアルツハイマー病を有する患者の脳における神経細胞内の神経原線維変化および細胞外のβ−アミロイド斑のような病的構造を標識するためのマーカーとして有用である(実施例5参照)。
【0010】
したがって、本発明の剤は、アルツハイマー病の早期診断および予防のために、そしてアルツハイマー病の治療的処置の有効性をモニターするのに有用である。
【0011】
これらの構造を標識できるマーカーを用いてインビボで、かつ非侵襲的にアミロイドおよび神経原線維沈積(neurofibril deposition)を評価することの利点は、たとえばWO 00/10614において報告されている。
【0012】
上記にしたがって、本発明は、本発明の剤を含んでなる組織病理学的構造をインビボまたはインビトロで標識するための組成物を提供する。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、組織病理学的構造をインビトロまたはインビボで標識する方法であって、脳組織を本発明の剤と接触させることを含んでなる方法を提供する。
【0014】
当該脳組織は、たとえばβ−アミロイド斑および/または神経原線維変化を含む。
【0015】
脳組織を本発明の剤と接触させることは、たとえば、本発明の剤を患者、たとえばアルツハイマー病を有する患者に投与することにより実施される。
【0016】
本発明の方法は、さらに、本発明の剤が標的構造を標識したか否かを決定することを目的とする工程を含み得る。
【0017】
本発明の剤が非放射性の式Iの化合物である場合、当該さらなる工程は、蛍光顕微鏡検査法を用いて、標的構造を観察することにより実施され得る。
【0018】
本発明の剤が放射性の式Iの化合物である場合、当該さらなる工程は、陽電子放射型断層撮影法(PET)または単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)を用いて、標的構造を観察することにより行われ得る。
【0019】
インビトロでの組織病理学的構造の標識は、たとえばアルツハイマー病の組織病理学的特徴を検出するために実施される。
【0020】
インビボでの組織病理学的構造の標識は、たとえば、患者におけるアルツハイマー病の診断のために、またはアルツハイマー病の治療的処置の有効性をモニターするために、実施される。
【0021】
下記の実施例は本発明を説明する。
【実施例】
【0022】
実施例1:3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−クロメン−2−オン
【0023】
200mg(0.793mmol)の4−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドおよび164mg(1当量)のベンゾチアゾール−2−イル−酢酸 メチルエステルを、5mLのベンゼンおよび2.5mLのアセトニトリル中で、0.157mLの(2当量)ピペリジンの存在下で3時間加熱還流する。反応混合物を室温にし、そして沈澱を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして高度の真空下で乾燥すると、黄色の粉末として90mg(55%)の所望の生成物を得る(融点:246℃)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ = 8.95 (s, 1H); 8.03, 7.97 (2d, 2H); 7.53 (D, 1H); 7.50, 7.39 (2t, 2H); 6.88 (dd, 1H); 6.78 (d, 1H); 4.62 (dt, 2H); 3.45 (t, 4H); 2.78 (dt, 2H); 2.70 (t, 4H)。
【0024】
出発物質を以下に記載のように製造する。
【0025】
3−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−フェノール
1g(5.61mmol)の3−ピペラジン−1−イル−フェノールおよび0.5mL(1.25当量)の1−ブロモ−2−フルオロエタンを、5mLのDMF中で60℃にて20時間撹拌し、反応混合物を室温にし、そして蒸発させ、そして残渣をカラムクロマトグラフ(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル 9:1)にかけると、褐色のオイルとして600mg(48%)の所望の生成物を得る。
【0026】
4−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド
600mg(2.675mmol)の3−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−フェノールを、8mLのDMFに溶かし、そして0℃に冷却する。0.27mL(1.1当量)のPOClを2分以内に滴下し、そして反応混合物をさらに5分間撹拌し、その後、室温にし、次いで加熱し、そして90℃にて3時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、そして残渣を水および酢酸エチルで抽出する。有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させる。残渣をカラムクロマトグラフ(シリカゲル、酢酸エチル、続いて酢酸エチル/MeOH 85:15)にかけると、黄色がかったオイルとして所望の生成物を得る。
【0027】
ベンゾチアゾール−2−イル−酢酸 メチルエステル
3.2mL(30mmol)の2−アミノ−チオフェノールを100mLのジエチルエーテルに溶かし、そして4.17mL(1当量)のトリエチルアミンで処理すると、懸濁液を得、これに10mLのジエチルエーテル中の3.21mL(1当量)のクロロカルボニル−酢酸メチルエステルを20分以内に滴下する。得られる懸濁液を撹拌し、そしてさらに室温にて2時間撹拌し、そして沈澱を濾過により除去する。濾液を蒸発させ、そしてカラムクロマトグラフ(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル 1:2)にかけると、黄色がかった液体として所望の生成物を得る(5.1g、82%)。
【0028】
また、3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−クロメン−2−オンは、以下のように製造され得る:
【0029】
10mg(0.025mmol)の3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−クロメン−2−オンを、2.5mg(0.8当量)の4−ジメチルアミノピリジンおよび0.013mL(3当量)のジイソプロピルエチルアミンの入った3mLのジクロロメタンに溶かし、そして0℃に冷却する。5.7mg(1.2当量)のトシルクロライドを添加し、そして反応混合物を1時間撹拌し、その後、室温にする。さらに2時間撹拌した後、反応混合物を蒸発させ、残渣をテトラヒドロフランに溶かし、そして0.2mLのフッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M)で処理する。30分間撹拌後、溶液を蒸発させると、黄色の粉末として所望の生成物を得る。
MS(EI+):410 (M+1)。
【0030】
出発物質の製造を、実施例3に記載する。
【0031】
実施例2:3−(6−クロロ−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−8−(2−フルオロ−エチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−オキサ−8−アザ−アントラセン−2−オン
6mLのベンゼンおよび3mLのアセトニトリル中の200mg(0.896mmol)の1−(2−フルオロ−エチル)−7−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−6−カルボアルデヒドおよび201mg(1当量)の(6−クロロ−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−酢酸 メチルエステルを、0.177mL(2当量)のピペリジンで処理し、そして18時間加熱還流する。反応混合物を室温にし、そして沈澱を濾過し、アセトニトリルで洗浄し、そして高度の真空下で乾燥すると、黄色の粉末として240mg(67%)の所望の生成物を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ = 8.59, 8.44, 8.16 (3s, 3H); 7.51, 7.15 (2d, 2H); 7.13 (s, 1H); 4.68, 3.68 (2dt, 2CH2); 3.50, 2.82 (2dt, 2CH2); 1.99 (m, CH2)。
MS(EI+):398 (M+1)。
融点=290℃ (分解)。
【0032】
出発物質は、本明細書において後記したように製造される。
【0033】
1−(2−フルオロ−エチル)−7−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−6−カルボアルデヒド
290mg(1.48mmol)の1−(2−フルオロ−エチル)−7−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−7−オールを5mLのDMFに溶かす。0.15mLのPOClを0℃にて滴下する。反応混合物を50℃にまでゆっくりと加熱し、この温度でさらに3時間加熱し、次いで室温まで冷却し、そして酢酸エチルおよび炭酸水素ナトリウムの水性飽和溶液で抽出する。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させる。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル 1:2)にかけると、褐色の固体として200mg(60%)の所望の生成物を得る。
【0034】
1−(2−フルオロ−エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−7−オール
500mg(3.35mmol)の1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−7−オールを8mLのDMFに溶かし、そして60℃にて0.325mL(1.3当量)1−ブロモ−2−フルオロエタンとともに、0.63mL(1.1当量)のジイソプロピルエチルアミンの存在下で一晩撹拌する。反応混合物を、0.1N水性HClおよび酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、酢酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させる。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル 1:2から1:1)にかけると、褐色のオイルとして290mg(44%)の所望の生成物を得る。
【0035】
(6−クロロ−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−酢酸 メチルエステル
1.28g(10mmol)の2−アミノ−5−クロロピリジンおよび1.18mL(1当量)の4−クロロ−3−オキソ−酪酸 メチルエステルを、15mLのトルエン中にて115℃で18時間加熱する。得られる褐色の懸濁液を蒸発させ、そして高度の真空下で90℃にて1時間加熱し、次いで室温にまで冷却し、そして100mLのジクロロメタン、10mLの飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液および40mLの水中で0℃にて1時間撹拌する。次いで、有機相を分離し、そして蒸発させると、褐色がかった固体を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル 4:1)にかけると、ベージュ色の粉末として700mg(31%)の所望の生成物を得る。
MS(EI+):225−227 (M+1)。
【0036】
実施例3:3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−クロメン−2−オン
10mLのDMF中の240mgの粗製3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−ピペラジン−1−イル−クロメン−2−オンを、室温にて、858mg(少なくとも4当量)の炭酸セシウムおよび0.103mL(少なくとも2当量)の2−ヨードエタノールの存在下で72時間撹拌する。反応混合物を酢酸エチルおよび炭酸ナトリウムの飽和溶液で抽出し、そしてブラインで洗浄する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させる。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 95:5+1%濃NHOH)にかけると、オレンジ色の固体として70mg(26%)の所望の生成物を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ = 8.97 (s, 1H); 8.03, 7.97 (2d, 2H); 7.56 (1d, 1H); 7.50, 7.39 (2t, 2H); 6.89 (d, 1H); 8.78 (s, 1H); 3.70 (m, CH2); 3.47, 2.72 (2m, 2x2CH2); 2.64 (m, CH2)。
MS(EI+):408 (M+1)。
【0037】
出発物質は、本明細書において後記したように製造される。
【0038】
3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−ピペラジン−1−イル−クロメン−2−オン
890mg(5mmol)の3−ピペラジン−1−イル−フェノールを100mLのEtOH中に懸濁させ、そして0.42mL(1当量)の12N HClで10℃以下の温度にて処理する。懸濁液を1時間撹拌し、そしてゆっくりと蒸発させる。残ったベージュ色の粉末を高度の真空下で乾燥し、次いで60mLのDMFに溶かす。溶液をアルゴン下で5℃に冷却し、0.503mL(1.1当量)のPOClを滴下し、そして反応混合物を室温で1時間、次いで80℃にて30分間撹拌し、そして最後に室温まで冷却し、これに、2g(3当量)の固体の炭酸カリウムを添加する。懸濁液を室温にて30分間撹拌し、次いで蒸発させ、そして残渣を再懸濁し、そしてジクロロメタンおよびイソプロパノールの1:1混合液中で撹拌する。懸濁液を濾過し、濾液を蒸発させ、そして乾燥すると、600mgの粗製2−ヒドロキシ−4−ピペラジン−1−イル−ベンズアルデヒドを得る。この物質をベンゼンおよびアセトニトリルの1:1混合液40mLに溶かし、2.5mL(5当量)のピペリジンおよび683mg(0.66当量)のベンゾチアゾール−2−イル−酢酸 メチルエステルをアルゴン下で添加し、そして反応混合物を1時間加熱還流する。生成物をジクロロメタンおよびブラインで0℃にて抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして蒸発させ、次いでジイソプロピルエーテルとともに磨砕すると、800mgの所望の生成物(粗製)を得る。
【0039】
実施例4:3−(6−クロロ−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−7−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−クロメン−2−オン
253mg(1mmol)の4−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドおよび450mg(2当量)の(6−クロロ−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)−酢酸 メチルエステルを、0.395mL(4当量)のピペリジンの存在下で15mLのベンゼンおよび7.5mLのアセトニトリル中で21時間加熱還流する。反応混合物を0℃に冷却し、そして沈澱した物質を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして高度の真空下で乾燥すると、黄色の固体として100mg(23%)の所望の生成物を得る。
融点=265℃(分解)。
【0040】
実施例5:3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−クロメン−2−オン
100mg(0.28mmol)の3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−ピペラジン−1−イル−クロメン−2−オンを15mLのDMFに溶かし、そしてアルゴン下にて183mg(2当量)の炭酸セシウムで処理し、5℃に冷却し、そして1当量(0.018ml)のMeIで処理した。4時間撹拌後、反応混合物を100mLのジクロロメタンで希釈し、そして氷水で2回洗浄する。有機相を蒸発させ、そして残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/EtOH 9:1)にかける。メタノール/ジクロロメタンから再結晶すると、オレンジ色の粉末として50mg(47%)の所望の生成物を得る。
MS(EI+):378 (M+1)。
【0041】
実施例6:3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−[(2−フルオロ−エチル)−メチル−アミノ]−クロメン−2−オン
130mg(約0.65mmol)の粗製4−[(2−フルオロ−エチル)−メチル−アミノ]−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドおよび202mg(1.5当量)のベンゾチアゾール−2−イル−酢酸 メチルエステルを3mLのアセトニトリルおよび6mLのベンゼンに溶かし、0.14mL(2当量)のピペリジンで処理し、そして45分間加熱還流する。室温まで冷却後、粗生成物をAcOEt/イソプロパノール 9:1および生理食塩水で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させる。粗生成物を20mLのメタノールに溶かし、そして10mLまで50℃にてゆっくりと濃縮する。オレンジ色の結晶を濾過し、そして高度の真空下で乾燥すると、110mg(48%)の所望の生成物を得る。
融点=231〜233℃。
【0042】
出発物質は、本明細書において後記したように製造される。
【0043】
4−[(2−フルオロ−エチル)−メチル−アミノ]−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド
169mg(1mmol)の3−[(2−フルオロ−エチル)−メチル−アミノ]−フェノールを、4mLのDMFに溶かし、そして10℃以下に冷却する。0.101mL(1.1当量)のPOClを1分かけて滴下し、反応混合物を室温にて10分間撹拌し、次いで90℃にて30分間撹拌する。反応混合物を30℃にまで冷却し、そして8mLの飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液のゆっくりとした添加で注意深く処理する。所望の生成物を酢酸エチルおよび生理食塩水で抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させると、やや褐色がかったオイルとして130mg(66%)の粗生成物を得る。この化合物は、さらなる精製なしに使用される。
MS(EI+):198 (M+1)。
【0044】
3−[(2−フルオロ−エチル)−メチル−アミノ]−フェノール
450mg(2.46mmol)の(2−フルオロ−エチル)−(3−メトキシ−フェニル)−メチル−アミンを1mLの酢酸に溶かし、そして酢酸中HBr33%溶液5mLで100℃にて20時間処理する。室温まで冷却し、反応混合物を氷に注ぎ、8mLの4N水性NaOH溶液で処理し、そして酢酸エチルで抽出する。有機相を生理食塩水および炭酸水素ナトリウムの水性溶液で洗浄し、次いで蒸発させると、400mgの褐色がかったオイルを得る。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル 1:4)にかけると、褐色がかった樹脂として320mg(77%)の所望の生成物を得る。
MS(EI+):170 (M+1)。
【0045】
(2−フルオロ−エチル)−(3−メトキシ−フェニル)−メチル−アミン
350mg(約1mmol)の粗製トルエン−4−スルホン酸 2−[(3−メトキシ−フェニル)−メチル−アミノ]−エチルエステルをアルゴン下で10mLのTHFに溶かし、そしてTHF中の4mL(4当量)の1Nフッ化n−テトラブチルアンモニウムの溶液で70℃にて2時間処理する。反応混合物を室温まで冷却し、そして氷の上に注ぎ、次いでTBMEで抽出する。有機相を生理食塩水および炭酸水素ナトリウムの水性溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させると、褐色がかったオイルとして180mg(99%)の所望の生成物を得る。この化合物は、さらなる精製なしに使用される。
MS(EI+):184 (M+1)。
【0046】
トルエン−4−スルホン酸 2−[(3−メトキシ−フェニル)−メチル−アミノ]−エチルエステル
181mg(1mmol)の2−[(3−メトキシ−フェニル)−メチル−アミノ]−エタノールを、8mLのジクロロメタンに溶かし、そして0.2mL(2.5当量)のピリジン添加後、5℃以下に冷却する。4mLのジクロロメタン中の489mg(1.5当量)のp−トルエンスルホン酸無水物を滴下し、そして反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後、氷および100mLのTBME、続いて、70mLの炭酸水素ナトリウム冷水性溶液を添加する。有機相を分離し、生理食塩水で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させる。残渣をトルエンに溶かし、そして蒸発させると、褐色がかったオイルとして350mg(定量的)の所望の粗生成物を得るこの化合物は、さらなる精製なしに使用される。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ = 7.70, 7.25 (2d, 2x2H); 7.04 (t, H); 6.24, 6.19 (2d, 2H); 6.11 (br. S, H); 6.89 (d, 1H); 4.17 (t, CH2); 3.78 (s, Me); 3.59 (t, CH2); 2.86, 2.41 (2s, 2Me)。
【0047】
実施例7:7−[(2−フルオロ−エチル)−メチル−アミノ]−3−(5−チオフェン−2−イル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−クロメン−2−オン
40mg(約0.2mmol)の粗製4−[(2−フルオロ−エチル)−メチル−アミノ]−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドおよび30mg(0.13mmol)の(5−チオフェン−2−イル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−酢酸 メチルエステルをアルゴン下で4mLのベンゼンおよび2mLのアセトニトリルに溶かし、0.03mL(2当量)のピペリジンで処理し、そして1時間加熱還流する。反応混合物を室温にし、蒸発させ、そして残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt/石油エーテル 1:1)にかける。蛍光性の、黄色の生成物をジイソプロピルエーテル中で磨砕し、次いで、高度の真空下で乾燥すると、黄色の粉末として9mg(19%)の所望の生成物を得る。
MS(EI+):372 (M+1)。
【0048】
出発物質(5−チオフェン−2−イル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−酢酸 メチルエステルを、既知の(5−チオフェン−2−イル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−酢酸 エチルエステルと同様の方法で製造する(Heterocycl Commun 2001 7(5): 411-416)。
【0049】
実施例8:3−(4−ブタ−1,3−ジエニル−5−メチル−チアゾール−2−イル)−7−[4−(3−フルオロ−プロピル)−ピペラジン−1−イル]−クロメン−2−オン
50mg(0.087mmol)のトルエン−4−スルホン酸 3−[4−(3−ベンゾチアゾール−2−イル−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル)−ピペラジン−1−イル]−プロピルエステルを10mLの無水THFに溶かし、THF中のフッ化n−テトラブチルアンモニウムの1N溶液0.18mLで処理し、そして60℃で2時間加熱する。反応混合物を氷の上に注ぎ、そして2mLの水性炭酸水素ナトリウム溶液の添加後にジクロロメタンで抽出する。有機相を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/EtOH 98:2)にかけると、蒸発および高度の真空下での乾燥後に、明褐色がかった粉末として9mg(26%)の所望の生成物を得る。
【0050】
出発物質は、本明細書において後記したように製造される。
【0051】
トルエン−4−スルホン酸 3−[4−(3−ベンゾチアゾール−2−イル−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル)−ピペラジン−1−イル]−プロピルエステル
70mg(0.16mmol)の3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−[4−(3−ヒドロキシ−プロピル)−ピペラジン−1−イル]−クロメン−2−オンを、アルゴン下で15mLのジクロロメタンに溶かす。0.083mLのヒューニッヒ塩基(Huenig base)および10mgのDMAPを、当該撹拌溶液に添加し、次いで46mg(1.5当量)のトシルクロライドを添加する。反応混合物を室温にて20時間撹拌し、氷の上に注ぎ、2mLの水性炭酸水素ナトリウム溶液で処理し、そして抽出(ジクロロメタン、生理食塩水)する。有機相を蒸発させ、そして残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/EtOH 98:2)にかけると、蒸発および高度の真空下での乾燥後に、明褐色がかった粉末として73mg(78%)の所望の生成物を得る。
MS(EI+):576 (M+1)。
【0052】
3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−[4−(3−ヒドロキシ−プロピル)−ピペラジン−1−イル]−クロメン−2−オン
320mg(1mmol)の3−{4−[3−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロピル]−ピペラジン−1−イル}−フェノールを、10mLのDMFに溶かし、そして10℃以下の温度にて0.1mLのPOClで処理する。反応混合物を室温にて6時間撹拌し、次いで蒸発させ、そして粗生成物を10mLのアセトニトリルに溶かし、そして0.6mL(6当量)のピペリジンで処理する。10mLのトルエン中の207mgのベンゾチアゾール−2−イル−酢酸 メチルエステルを添加し、そして反応混合物を90℃にて30分間撹拌し、その後、蒸発させる。残渣を20mLの無水THFに溶かし、1mLの6N水性HCl溶液の存在下で2時間撹拌し、そして蒸発させる。残渣をジクロロメタンに溶かし、そして水性炭酸水素ナトリウムおよび生理食塩水で洗浄する。有機相を蒸発させ、そして残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/EtOH/水性NH 90:9.9:0.1)にかけると、黄橙色の粉末として70mg(17%)の所望の生成物を得る。
MS(EI+):422 (M+1)。
【0053】
3−{4−[3−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロピル]−ピペラジン−1−イル}−フェノール
712mg(4mmol)の3−ピペラジン−1−イル−フェノールをアルゴン下で30mLのDMFに溶かし、そして5℃以下に冷却する。1.38g(2.5当量)のKCO、166mg(0.25当量)のKIおよび888mg(1当量)の2−(3−ブロモ−プロポキシ)−テトラヒドロ−ピランの添加後、懸濁液を室温にて20時間撹拌し、次いで生理食塩水での希釈後にAcOEtで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させ、そして残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt/EtOH 95:5)にかけると、明黄色がかった樹脂として630mg(48%)の所望の生成物を得る。
MS(EI−):319 (M−1)。
【0054】
実施例9:3−ベンゾオキサゾール−2−イル−7−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−クロメン−2−オン
240mg(0.79mmol)の7−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−2H−クロメン−3−カルボン酸を12mLのMeOHに溶かし、そしてMeOH/水 9:1中の2.36mLのKOHの存在下で50℃にて3時間加熱する。室温まで冷却後、反応混合物を6N水性HCL溶液でpH2にまで酸性化し、蒸発させ、そして高度の真空下で乾燥すると、黄色の粉末を得る。この生成物を10mLのジグリム(diglyme)および10mLのアセトニトリルに溶かした後に、さらなる精製なしに、0.115mL(2当量)の塩化チオニルおよび0.1mLのDMFで処理する。反応混合物を70℃にて90分間加熱し、室温まで冷却し、10mLの容積まで濃縮し、そして105mg(1.2当量)の2−アミノ−フェノールおよび400mgのポリリン酸で処理し、その後、170℃にて2時間撹拌する。冷却した反応混合物を、炭酸ナトリウムの水性溶液の存在下にてジクロロメタンで抽出し、そして有機相を蒸発させると、粗生成物としてアミドを得る。この化合物を10mLのDMFに溶かし、0.1mLのPOClで処理し、そして60℃で3時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却し、炭酸水素ナトリウムの水性溶液で処理し、そしてジクロロメタンで抽出する。有機相を蒸発させ、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/EtOH/水性アンモニア 90:9.9:0.1)にかける。生成物をジクロロメタン/メタノールから再結晶し、そして高度の真空下で乾燥すると、黄橙色の結晶として20mgの所望の生成物を得る(総計7%)。
MS(EI+):362 (M+1)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ= 8.63 (s, 1H), 7.81, 7.59, 7.48, 7.36, 6.84 (5m, 6H); 6.73 (s, 1H); 3.43, 2.58 (2m, 2x2CH2); 2.38 (s, Me)。
【0055】
出発物質は、本明細書において後記したように製造される。
【0056】
7−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−2H−クロメン−3−カルボン酸
546mg(2mmol)の3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェノール 臭化水素を15mLのDMFに溶かし、そして0.2mL(1.1当量)のPOClで5℃以下の温度にて処理する。50℃に加熱し、そして20時間撹拌後、反応混合物を室温まで冷却し、そして水で処理する。さらに2時間撹拌し、生成物を、炭酸水素ナトリウムの水溶液の存在下にて酢酸エチルで抽出し、そして有機相を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させると、580mgの明褐色樹脂を得、これはさらなる精製なしにさらに使用される。
【0057】
中間生成物を10mLのMeOHに溶かし、0.23mL(1当量)のマロン酸ジメチルエステルおよび0.02mLのピペリジンで処理し、1時間還流し、室温まで冷却し、そして蒸発させる。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/EtOH/水性アンモニア 90:9.9:0.1)にかけると、黄色の固体として240mg(総計39%)の所望の生成物を得る。
MS(EI+):303 (M+1)。
【0058】
実施例10:
本発明の剤またはチオフラビンS(Thioflabine S)を用いるAPP23マウスおよびヒトアルツハイマー病(AD)脳切片の染色
【0059】
26月齢のAPP23マウスからの4μm厚のパラフィン切片を、キシレン中で脱パラフィン化し、そして再び水和する。10mgの化合物を、1mlのDMSOに溶かし、そして脱イオン水で1:10に希釈する。この染色溶液を、切片に約20分間適用する。切片のバックグラウンドを95%エタノールで洗浄することによりきれいにする。最終的に、切片を99%エタノールで脱水和し、キシレン中できれいにし、そしてVectashield tmでマウントする。切片を、下記のフィルターの組合せで蛍光顕微鏡検査法を用いて調べる:励起450〜490nm、発光510nm。AD大脳皮質からの12μm厚クリオトーム(cryotom)切片を風乾し、そして5分間4%PFA中で固定する。水道水で洗浄後、切片をチオフラビンSまたは本発明の化合物のいずれかで5分間染色し、そして上で記載したようにさらに加工する。化合物をDMSOに溶かし、そして50%エタノールで0.01%の最終濃度にまで希釈する。チオフラビンSを50%エタノールに溶かし、最終濃度を0.01%とする。
【0060】
本発明の剤でのAPP23マウスのAβのインビボ標識
注射溶液を、9.8mlの滅菌水で希釈された0.2mLのDMSO中の10mgの化合物を溶かすことにより新たに調製する。より低い濃度を、水でさらに希釈することにより調製する。21月齢の4匹の雌性APP23マウスに、該化合物を単回注射する(注入容積:1ml/100g体重)。1時間後、処置動物を断頭により屠殺する。脳を取り出し、そしてドライアイスで冷凍する。14μm厚の切片をクリオトーム中で切り、解凍マウント(thawmount)し、そして風乾する。染色を上に記載したように行う。切片を、慣用的蛍光顕微鏡検査法および共焦点顕微鏡を用いて分析する。
【0061】
結果:
1) (アミロイド沈着を含むが神経原線維変化を含まない)APP23マウス脳切片の染色:
本発明の剤は、強力に、APP23マウスの脳切片におけるアミロイド斑および血管アミロイド沈着を染色する。
2) (アミロイド沈着および神経原線維変化の両方を含む)ヒトAD脳切片の染色:
AD患者の前頭皮質から得た脳切片を本発明の剤で染色し、そしてその結果をチオフラビンSと比較する。本発明の剤は、強くかつ選択的に、アミロイド沈着および神経原線維変化を染色する。
3) APP23マウスにおけるエクスビボ(ex vivo)染色:
APP23マウスにおける本発明の剤の静脈内投与は、エクスビボで分析される、アミロイド沈着の選択的かつ強力な染色をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーカーとして使用するための、遊離塩基または酸付加塩の形態の式I
【化1】

〔式中、
およびRは、ともに水素であり、そしてRおよびRは、独立して、H、CH11CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、(CHFまたは(CH18Fであり、nは2、3または4であるか、あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素原子と一体となって、式
【化2】

[式中、RはH、(CHI、(CH123I、(CHOH、CH11CH、(CHFまたは(CH18Fであり、nは上で定義したとおりである。]
で示される基を形成するか、または、
およびRの一方は水素であり、そして他方はRと一体となって、−(CH−架橋を形成し、mは2または3であり、そしてRはH、CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、11CH、(CHFまたは(CH18Fであり、そして
Rは、式
【化3】

[式中、XはO、SまたはNRであり、RはH、CH11CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、(CHFまたは(CH18F(nは上で定義したとおりである。)であり、YはCHまたはNであり、そしてRおよびRは、独立して、H、NO、F、18F、O(CHF、O(CH18F、Cl、CN、11CN、OCH、O11CH、I、123I、O(CHIまたはO(CH123I(nは上で定義したとおりである。)である。]
で示される基である。〕
で示される化合物。
【請求項2】
請求項1において定義された式Iの化合物、またはその塩の製造方法であって、
a)R、R、R、R、RおよびR11CH、(CH18F、(CH123I、18F、O(CH18F、11CN、O11CH123IおよびO(CH123Iでない式Iの化合物の製造のために、式IIの化合物を、式IIIの化合物と反応させる工程
【化4】

〔式中、RおよびR、ならびにRおよびR中のR;R中のRおよびR;ならびにX中のR11CH、(CH18F、(CH123I、18F、O(CH18F、11CN、O11CH123IおよびO(CH123Iではなく、そしてAlkは(C1−4)アルキルである。〕、
あるいは
b)RおよびRの少なくとも1つがO11CHである式Iの化合物の製造のために、RおよびRの少なくとも1つがOHである式Iの化合物をI11CHおよび塩基と反応させる工程、
あるいは
c)RおよびRの少なくとも1つがO(CH18FまたはO(CH123Iである式Iの化合物の製造のために、RおよびRの少なくとも1つがO(CHOTsまたはO(CHOMsである式Iの化合物を、18または123と反応させる工程、
あるいは
d)RおよびRの少なくとも1つが18Fである式Iの化合物の製造のために、RおよびRの少なくとも1つがNOまたはハロゲンである式Iの化合物を、18と反応させる工程、
あるいは
e)RおよびRの少なくとも1つが123Iである式Iの化合物の製造のために、RおよびRの少なくとも1つがBuSnである式Iの化合物を、123Iおよび過酸化水素と反応させる工程、
あるいは
f)RおよびRの少なくとも1つが11CNである式Iの化合物の製造のために、RおよびRの少なくとも1つがOSOCFである式Iの化合物を、[11C]シアン化物と反応させる工程、
あるいは
g)R、R、RおよびRの少なくとも1つが11CHである式Iの化合物の製造のために、R、R、RおよびRの少なくとも1つが水素である式Iの化合物を、11CHIと反応させる工程、
あるいは
h)R、R、RおよびRの少なくとも1つが(CH18Fまたは(CH123Iである式Iの化合物の製造のために、R、R、RおよびRの少なくとも1つが(CHOTsまたは(CHOMsである式Iの化合物を、18またはIと反応させる工程、
ならびに得られる式Iの化合物を、遊離塩基の形態または酸付加塩の形態で回収する工程
を含んでなる方法。
【請求項3】
遊離塩基または酸付加塩の形態の、式I
【化5】

〔式中、
およびRは、ともに水素であり、そしてRおよびRは独立して、H、CH11CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、(CHFまたは(CH18Fであり、nは2、3または4であるか、またはRおよびRはそれらが結合している窒素原子と一体となって、式
【化6】

[式中、RはH、(CHI、(CH123I、(CHOH、CH11CH、(CHFまたは(CH18Fであり、nは上で定義したとおりである。]
で示される基を形成するか、または、
およびRの一方は水素であり、そして他方はRと一体となって、−(CH−架橋を形成し、mは2または3であり、そしてRはH、CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、11CH、(CHFまたは(CH18Fであり、そして
Rは、式
【化7】

[式中、XはO、SまたはNRであり、RはH、CH11CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、(CHFまたは(CH18F(nは上で定義したとおりである。)であり、YはCHまたはNであり、そしてRおよびRは、独立して、H、NO、F、18F、O(CHF、O(CH18F、Cl、CN、11CN、OCH、O11CH、I、123I、O(CHIまたはO(CH123I(nは上で定義したとおりである。)である。]
で示される基である。〕
で示される化合物、
ただし、
7−ジメチルアミノ−3−(1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−クロメン−2−オン
3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−7−ジメチルアミノ−クロメン−2−オン
3−(6−クロロ−ベンゾチアゾール−2−イル)−7−ジメチルアミノ−クロメン−2−オン
3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−ジメチルアミノ−クロメン−2−オン
3−ベンゾオキサゾール−2−イル−7−ジメチルアミノ−クロメン−2−オン
3−ベンゾオキサゾール−2−イル−7−メチルアミノ−クロメン−2−オン
3−(5−クロロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−ジメチルアミノ−クロメン−2−オン
を除くものとする。
【請求項4】
遊離塩基または酸付加塩の形態の、3−ベンゾチアゾール−2−イル−7−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−クロメン−2−オンである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
組織病理学的構造をインビトロまたはインビボで標識するための組成物であって、式I
【化8】

〔式中、
およびRは、ともに水素であり、そしてRおよびRは、独立して、H、CH11CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、(CHFまたは(CH18Fであり、nは2、3または4であるか、あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素原子と一体となって、式
【化9】

[式中、RはH、(CHI、(CH123I、(CHOH、CH11CH、(CHFまたは(CH18Fであり、nは上で定義したとおりである。]
で示される基を形成するか、または、
およびRの一方は水素であり、そして他方はRと一体となって、−(CH−架橋を形成し、mは2または3であり、そしてRはH、CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、11CH、(CHFまたは(CH18Fであり、そして
Rは、式
【化10】

[式中、XはO、SまたはNRであり、RはH、CH11CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、(CHFまたは(CH18F(nは上で定義したとおりである。)であり、YはCHまたはNであり、そしてRおよびRは、独立して、H、NO、F、18F、O(CHF、O(CH18F、Cl、CN、11CN、OCH、O11CH、I、123I、O(CHIまたはO(CH123I(nは上で定義したとおりである。)である。]
で示される基である。〕
で示される化合物を含んでなる組成物。
【請求項6】
組織病理学的構造をインビトロまたはインビボで標識する方法であって、脳組織を、遊離塩基または酸付加塩の形態の式I
【化11】

〔式中、
およびRは、ともに水素であり、そしてRおよびRは、独立して、H、CH11CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、(CHFまたは(CH18Fであり、nは2、3または4であるか、あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素原子と一体となって、式
【化12】

[式中、RはH、(CHI、(CH123I、(CHOH、CH11CH、(CHFまたは(CH18Fであり、nは上で定義したとおりである。]
で示される基を形成するか、または、
およびRの一方は水素であり、そして他方はRと一体となって、−(CH−架橋を形成し、mは2または3であり、そしてRはH、CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、11CH、(CHFまたは(CH18Fであり、そして
Rは、式
【化13】

[式中、XはO、SまたはNRであり、RはH、CH11CH、(CHI、(CH123I、(CHOH、(CHFまたは(CH18F(nは上で定義したとおりである。)であり、YはCHまたはNであり、そしてRおよびRは、独立して、H、NO、F、18F、O(CHF、O(CH18F、Cl、CN、11CN、OCH、O11CH、I、123I、O(CHIまたはO(CH123I(nは上で定義したとおりである。)である。]
で示される基である。〕
で示される化合物と接触させることを含んでなる方法。
【請求項7】
β−アミロイド斑および神経原線維変化を標識するための、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式Iの化合物を患者に投与することを含んでなる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
式Iの化合物が標的構造を標識したか否かを決定する工程をさらに含んでなる、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
蛍光顕微鏡検査法を用いて、非放射性の式Iの化合物で標識された標的構造を観察することを含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
陽電子放射型断層撮影法(PET)を用いて、非放射性の式Iの化合物で標識された標識構造を観察することを含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)を用いて、非放射性の式Iの化合物で標識された標識構造を観察することを含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
アルツハイマー病を診断するための、請求項6〜9、11および12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
アルツハイマー病の治療的処置の有効性をモニターするための、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アルツハイマー病の組織病理学的特徴を検出するための、請求項6、7、9および10のいずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2009−102322(P2009−102322A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302570(P2008−302570)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【分割の表示】特願2003−572987(P2003−572987)の分割
【原出願日】平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】