説明

バイオ材料由来グリコールの製造方法及びそれから得られるポリエステルの製造方法

【課題】 本発明は光透過性に優れたバイオ材料由来グリコールの製造方法及びそれから得られるポリエステルを提供すること。
【解決手段】 バイオ材料から製造されたグリコールにおいて、該グリコールを加熱し、続いて活性炭を利用した濾過工程にて得られた製品の300〜350nm波長範囲内での光透過率を50%以上とすることを特徴とする光透過性に優れたバイオ材料由来グリコールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオ材料由来グリコールの製造方法に関する。さらに詳しくは、バイオ材料から製造されたグリコールにおいて、該グリコールを加熱し、続いて活性炭を利用した濾過工程にて得られた製品の300〜350nm波長範囲内での光透過率が50%以上であることを特徴とする光透過性に優れたバイオ材料由来グリコールの製造方法及びそれから得られるポリエステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年来の人類の生活環境の悪化に伴い、人々は再生原材料を使うこと及び環境に友好な材料に注目している。石油は非再生資源として最も重要な化学工業の原料であるが、使用過程中及び廃棄時に大量の二酸化炭素を排出するため、地球規模での温暖化など一連の問題を招いており、直接的に人類の生存を脅かしている。従って、どのような原材料が石油に取って代わるかは重要な研究問題と言える。
【0003】
人々は再生可能な生物資源を使い、各種の新型ポリエステルを開発している。例えばDuPont社はとうもろこしを発酵して、生物工学と化学工学の工程を通じて、1,3−PDO(1,3−プロパンジオール)を得、36%が非石油由来のバイオ材料を含有するポリプロピレンテレフタレート(PPT)を開発した(特許文献1)。同様に、Natureworks社は農作物を原料にして、生物工学と化学工学の工程を通じて、純粋に生物から生分解可能なポリ乳酸(PLA)を生産している(特許文献2)。
【0004】
ポリエステルの工業発展に従って、中国ではエチレングリコールの需要が急速に増大している。例えば、2006年の中国のエチレングリコールの生産量は1560kt、消費量が5620kt、輸入量が4061.3kt、輸入割合は72.26%に達している。現在中国のエチレングリコールはポリエステル、不凍液、粘着剤、ポリエステル用の多価アルコールなどの生産に使用されている。その中でポリエステルは中国のエチレングリコールの主要な消費用途であり、その消費量は中国のエチレングリコールの消費総量の94.0%を占めており、その他の方面の消費は6.0%程度である。
【0005】
以上のことから、上記のPPTやPLA以外のポリエステル原料においても、石油由来以外の原料からポリエステルを得ることは注目に値すると言える。農作物は再生可能資源であり、光合成を作用して空気中の二酸化炭素を各種のでんぷん、炭水化物、セルロース、リグニンなどに転化して農作物の果実及びわらの中で貯蓄することができる。本発明に用いるバイオ材料由来のグリコールは生物材料からの発酵工程及び/または化学工学の加工によって得られる。よって、生産過程の中で二酸化炭素の排出量を減らすことができ、環境に対して重要な意義がある。
【0006】
このような課題に対し、中国の長春大成集団はでんぷん→グルコース→ソルビトール→各種のグリコールの生産方法で多種のグリコールを生産している。そして年生産量22万トンの生産ラインを建てており、生産するエチレングリコールの純度は98%程度を達成しており、ポリエステル重合に使用可能な要求には達しているものの、得られるポリエステルチップの色調b値は石油原料から得られたエチレングリコールを使用して生産されるポリエステルチップの色調b値より高い。この原因はバイオ材料由来エチレングリコールがポリエステルの生産過程で、ある一部分の物質と加熱により有色物質を生成し易いためであると考えている。長春大成集団製のバイオ材料由来エチレングリコールを加熱しない場合には少し黄色の液体で特殊なにおいがある程度だが、該バイオ材料由来エチレングリコールを加熱すると黄色の液体になり、同時に特殊なにおいも強くなる。従って、ポリエステル生産過程が高温の重合なため、バイオ材料由来エチレングリコール中の黄色物質がポリエステル中に移動して、ポリエステルの色調を黄色にし、ポリエステル製品の使用範囲に影響すると考えている。そのためバイオ材料由来エチレングリコールを処理して、石油から得られたエチレングリコールを使って生産するポリエステルと同等の効果を得ることは急務である。
【0007】
なお、着色したグリコール成分を除去する方法として、ポリエチレンテレフタレートの製造で形成された使用済みグリコールからエチレングリコールを回収する方法において、該使用済みグリコールを約50℃〜160℃の温度で活性炭に通して着色形成不純物を除去する方法(特許文献3)や、ポリエステルのエチレングリコール分解生成溶液から着色物質を除去する方法(特許文献4〜5)が提案されている。しかしながら、特許文献3記載の着色剤とは石油由来のエチレングリコールを使用しポリエチレンテレフタレートを製造する工程にて発生する物であり、使用済みグリコールを約50℃〜160℃の温度で活性炭に通して着色形成不純物を除去すれば十分であったと言える。一方、特許文献4〜5については着色剤とは着色ボトルに使用されている黄色染料等の着色剤のことであり、いずれもバイオ材料であるセルロースの分解物である種々複雑な有機化合物が引き起こすグリコールの着色に関する問題を解決した訳ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2007−502325号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特表2007−530319号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特表平8−508011号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2004−123570号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2004−346229号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記した問題点を解消し、良好な色調と光透過性に優れたバイオ材料由来グリコールの製造方法及びそれから得られるポリエステルの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の本発明の目的は、バイオ材料から製造されたグリコールを加熱し、続いて活性炭を利用した濾過工程にて得られた製品の300〜350nm波長範囲内での光透過率が50%以上であることを特徴とする光透過性に優れたバイオ材料由来グリコールの製造方法及びそれから得られるポリエステルの製造方法により達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来品のバイオ材料から製造されたグリコールに比べて良好な色調と光透過性に優れたグリコールを得ることができる。そして、本発明の製造方法により得られるバイオ材料由来グリコールは、良好な色調と優れた光透過性を同時に達成するため、それから得られるポリエステルに好適に用いることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
光透過性に優れたバイオ材料由来グリコールの製造方法において、バイオ材料から製造するグリコールを加熱し、つぎに活性炭を利用して濾過して製品を得る。この時の300〜350nm波長範囲内で製品の光透過率は50%以上である。好ましくは70%以上であり、更に好ましくは75%以上である。
【0013】
バイオ材料はとうもろこし、砂糖きび、小麦または農作物の茎が好ましい。その中でもとうもろこし及び小麦の種及び/または茎が原材料の供給安定性があり好ましい。
【0014】
本発明に使用される、例えばバイオ材料由来エチレングリコールはとうもろこし、砂糖きび、小麦または農作物の茎などの生物材料から得られるが、生物材料はまずでんぷんに転化され、でんぷんは水と酵素でグルコースに転化され、グルコースは一定の温度と圧力で触媒存在下、水素添加反応にてソルビトールに転化され、ソルビトールは引続き一定の温度と圧力で触媒存在下、水素添加反応にて各種のグリコールの混合物となり、各種のグリコールの混合物を分離、脱水と精留により各種のグリコールに単離される。その中、エチレングルコール含有量は約22%、1,2−プロパンジオールの含有量約52%、各種ブタンジオールの含有量約10%、レジノール質量含有量約13%である。分離して得られるエチレングルコールを分析してエチレングリコールの含有量は95〜99.9%である。その中に少量の他のグリコールを含有している。石油からのエチレングルコールと比べて、バイオ材料由来エチレングリコールの色調は少し黄色く、特殊なにおいがある。
【0015】
本発明のバイオ材料由来グリコールが有色物質を生成し易い成分の原因はポリエステル生産の過程中に加熱のために有色物質を生成して、製品の色調に対して影響があると考えており、製品の使用範囲に制限を受ける。処理方法はまずバイオ材料由来グリコールを加熱して、有色物質を生成し易い成分を全て有色物質に転化させた後、活性炭で吸着させる。有色物質を生成し易い成分を全て有色物質に転化させるために、バイオ材料由来グリコールの加熱時間は2〜10時間、温度は150〜200℃が好ましい。もし加熱時間が短いか処理温度が低い場合、有色物質を生成し易い成分を全て有色物質に転化することができない。より好ましくは、165℃以上である。加熱後のバイオ材料由来グリコールを冷却後、活性炭と接触させる。活性炭は粒状活性炭であり、バイオ材料由来グリコールと接触方法は浸透濾過法であることが好ましい。また、接触時間を十分に満足するために、活性炭の濾過層の厚さは40〜150cmが好ましい。より好ましくは50〜150cmである。バイオ材料由来グリコールを活性炭濾過層に流す場合、活性炭濾過層両側の圧力差は1大気圧が好ましい。
【0016】
本発明に用いる活性炭を再利用することができる。使用した活性炭を高圧の炉内に入れて加熱し、吸着された物質を拡散させることができる。加熱温度は600〜900℃が好ましい。加熱過程の中で水蒸気を通して、これによって活性炭中の拡散物質を除くことができる。吸着物質を拡散した後の活性炭を乾燥して再利用ができる。回収利用された活性炭の吸着能力は65〜78%である。
【0017】
また、本発明に使用されるバイオ材料由来グリコールはグリコールの生成量からエチレングリコールまたは1,2−プロパンジオールが好ましい。1,2−プロパンジオールに関しても、1,2−プロパンジオール中の1,2−プロパンジオールの質量含有量は95〜99.9%であり、300〜350nm波長範囲内で製品の光透過率は50%以上であることが好ましい。
【0018】
本発明に用いられる1,2−プロパンジオール中には他のグリコールとして例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール,2,3−ブタンジオールなどを含有することができる。
【0019】
本発明のポリエステルはジカルボン酸とグリコールを反応して得られる。その中でジカルボン酸はテレフタル酸及びそのエステル化後の誘導体であり、例えばテレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチルなどが好ましい。
【0020】
本発明のポリエステルに用いられるジカルボン酸は、テレフタル酸及びそのエステル化後の誘導体として、例えばテレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸、イソフタル酸−5−スルホン酸塩、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ビスフェノールジカルボン酸など芳香族ジカルボン酸及びエステル類誘導物及び琥珀酸、アジピン酸、ピメリン酸、スべリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸など脂肪族ジカルボン酸及びエステル類の誘導物及びシクロへキサンジカルボン酸、シクロヘキサン−m−フタル酸、シクロヘキサン−n−フタル酸など脂肪族ジカルボン酸及びエステル類の誘導体も含有することができる。述べた誘導物は低級アルキルエステル、無水化合物、アシル塩化物などである。これらジカルボン酸は単独あるいは2種類以上を組み合わせで使用することも可能である。
【0021】
本発明のポリエステル中には石油由来のジカルボン酸とグリコールを共重合成分として含んでも良い。グリコール成分としてヘキサンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオールなど炭素数2〜30の飽和及び不飽和、ポリエチレングリコール、ポリプロパンジオール、ポリブタンジオールなど高分子量のグリコールを挙げることができる。
【0022】
本発明のポリエステルは現有の通常のポリエステルの製造設備を用いることができ、まず直接エステル法あるいはエステル交換法を用いて、この工程中で公知の触媒、例えばチタン酸テトラブチル、チタン酸テトライソプロピル、モノブチルスズオキシド、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸マグネシウム中の一種類あるいは数種類の混合物を用いることができる。エステル化あるいはエステル交換の反応率が95%あるいは95%以上の後、移行して重合する。重縮合時に使用する触媒は公知のアンチモン化合物、アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物やチタン化合物でも良いが、重金属を含まない観点からアルミニウム化合物やチタン化合物が好ましい。チタン化合物としては、具体的にはチタン酸テトラブチル、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラプロピル、チタン酸テトラプロペニルが挙げられる。
【0023】
本発明に用いられる安定剤であるリン化合物としては、3価あるいは5価の有機あるいは無機化合物が好ましく、例えばリン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニルあるいは市販の3価や5価のリン系酸化防止剤である例えばPEP36、AP1500、AX−71等を用いても良い。
【0024】
ポリエステルの特性粘度は0.50〜0.95が好ましい。なお1,2−プロパンジオールをグリコール成分として用いる場合は、反応温度が200℃〜280℃で重合反応を行い、真空度を徐々に200Paあるいはそれ以下まで下げ、グリコールを留出させる。ポリマーの粘度が0.50〜0.95のとき、反応を終了することで該当する1,2−プロパンジオールとテレフタル酸またはそのエステル化誘導体とから得られるポリトリメチレンテレフタレートを得られる。
【0025】
本発明にて得られるポリエステルはバッチ重合、半連続重合、連続重合で生産することができる。
【0026】
本発明にて得られるバイオ材料由来グリコールを使って生産されたポリエステルチップの色調b値は石油から得られるグリコールを使って生産されるポリエステルチップと同等レベルに達成する。また、バイオ材料由来グリコールを使って生産されるポリエステルチップの熱性能、紡糸評価、染色性は石油から得られるグリコールを使って生産されるポリエステルチップと同等レベルに達する。
【0027】
本発明にて得られるバイオ材料由来グリコールを使って生産されるポリエステルチップは通常のポリエステルの加工方法で加工することができる。製品はポリエステル、フィルムと繊維などの領域に用いることができ、各種の最終製品に製造することができる。またそれ以外の用途でも石油から得られるグリコールの他の使用方法と同様に処理後バイオ材料由来グリコールを使うことができる。
【0028】
なお、本発明にて1,2−プロパンジオールとテレフタル酸またはそのエステル化誘導体とから得られるポリトリメチレンテレフタレートは現在ポリエステル工業に用いられているPOY紡糸設備、DTY設備、製織設備及び染色設備で、高速紡糸、仮撚り、製織と染色を行うことができる。また該ポリトリメチレンテレフタレートを上記の繊維用途以外にも樹脂及びフィルムなどの領域の各種最終製品に製造することができ、通常のポリエチレンテレフタレートと比べて、染色性能と流動性に優れている特徴を有している。
【実施例】
【0029】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。用いた原料は以下のとおり。
バイオ材料由来エチレングリコール:長春大成集団製。原料はとうもろこしからなり、純度は97%。
バイオ材料由来1,2−プロパンジオール(1,2−PDO):長春大成集団製。原料はとうもろこしからなり、純度は97%。
石油由来エチレングリコール:BASF製。原料は石油からなり、純度は99%以上。
石油由来1,2−PDO:上海冠戈実業有限会社製。分析純度。
活性炭:唐山華能科学技術炭業有限会社製。商品番号HN−Y13。
テレフタル酸(PTA):中国揚子石化製。重合級。
テレフタル酸ジメチル(DMT):イランFiber Intermediate Products Co.製。
なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
【0030】
(1)光透過率測定方法
島津社製UV−3150PC紫外可視分光光度計を使って、光路長10mmの角型セルにグリコール溶液を入れ、室温で300〜350nmの波長範囲内で光透過率を測定した。
【0031】
(2)融点(Tm)
DSC装置を用い、まず40℃から280℃まで16℃/分の昇温速度で昇温後3分温度を維持して、熱履歴を取り除いた後、16℃/分の降温速度で40℃まで降温後3分温度を維持した。最後に16℃/分の昇温速度で280℃まで昇温し、第2回の昇温過程中に得られた融解温度をTmとした。
【0032】
(3)ポリマーの色調b値
中国標準GB/Tの14190−1993にて測定した。
【0033】
(4)ポリマーの固有粘度(IV)
ポリエステル測定方法には中国標準GB/Tの14190−1993にて測定した。
【0034】
参考例1
入手した20kgバイオ材料由来エチレングリコールを設定温度190℃の加熱釜中で5時間加熱して、加熱後バイオ材料由来エチレングリコールを冷却する。
【0035】
まず活性炭を軟水で洗浄後乾燥し、乾燥後の活性炭を活性炭処理設備中に充填する。活性炭層の厚さは50cmであり、活性炭濾過層両側は1大気圧の圧力差であり、加熱後冷却したバイオ材料由来エチレングリコールを活性炭層中に流し、バイオ材料由来エチレングリコールを収集して、処理後のバイオ材料由来エチレングリコールを得た。活性炭については加熱して再生、循環利用することができる。活性炭の加熱再生温度は600〜900℃で、再生された活性炭の吸着能力は新しい活性炭吸着能力の65〜78%である。
【0036】
参考例2〜13
表1記載の設定加熱温度、加熱時間、活性炭層の厚さとする以外は参考例1と同様な方法で処理した。
【0037】
【表1】

【0038】
比較例1
攪拌機及び精留塔を有する重合装置内に石油から得られるエチレングリコール5.6kgとテレフタル酸13.0kgの混合スラリーを入れ、徐々に昇温して240〜250℃の範囲内でエステル化反応させて、副生成物である水を収集して、エステル化反応率95%以上の時、エステル化反応を終了する。触媒としてリン酸0.825g、酢酸コバルト0.9g、三酸化二アンチモン4.125g、酸化チタン粒子含有量13%の酸化チタンのエチレングリコールスラリー346gを順番に添加し、255〜290℃の範囲内で重縮合反応を行い、設定ポリマー粘度IV=0.65到達後にポリマーを吐出して、チップを得た。
【0039】
比較例2
比較例1と同様に、石油から得られるエチレングリコールを未処理のバイオ材料由来エチレングリコールに変更する以外は、他の実施方法と添加の触媒は比較例1と同条件で重合を行った。
【0040】
実施例1〜13
比較例1と同様に、表2記載の参考例の活性炭で処理したバイオ材料由来エチレングリコールに変更する以外は、他の原料と触媒及び添加量は比較例1と同条件で重合を行った。比較例1と同じ温度範囲内でエステル反応と重縮合反応が完結し、ポリエステルを得た。
【0041】
【表2】

【0042】
参考例14〜26
参考例1と同様に、バイオ材料由来のグリコール成分として1,2−プロパンジオール(1,2−PDO)を用いた以外は、表3記載の加熱温度、加熱時間、活性炭層の厚さにて加熱処理を行った。
【0043】
【表3】

【0044】
実施例14
エステル反応は攪拌機を設置した4Lフラスコ内に2kgのテレフタル酸と1053gのバイオ材料由来1,2−PDOの混合スラリーを入れて、1.12gモノブチルスズオキシドと1.20gチタン酸テトラブチルを添加して、200〜250℃まで昇温して、撹拌速度200rpmでエステル化反応を行い、副生成物である水を収集し、反応率が95%以上のとき、反応を終了して、生産物を吐出してステンレストレイに置いた。続いて、重合反応は317gのエステル化反応後の生成物を直径80mmの試験管に入れて、230〜270℃まで昇温して、撹拌速度77rpmで、0.064gのリン酸と0.135gのチタン酸テトラブチルを添加後、真空下にて反応を行い、所定のトルクに達成した後に反応を終了して、ポリマーを吐出し、チップを得た。
【0045】
比較例3
実施例14と同様に、石油から得られた1,2−PDOに変更する以外は、他の原料と触媒及び添加量は実施例14と同条件で重合を行った。実施例14と同じ温度範囲内でエステル化反応と重縮合反応が完結し、ポリエステルを得た。
【0046】
比較例4
実施例14と同様に、未処理のバイオ材料由来1,2−PDOを変更する以外は、他の原料と触媒及び添加量は実施例14と同条件で重合を行った。実施例14と同じ温度範囲内でエステル化反応と重縮合反応が完結し、ポリエステルを得た。
【0047】
実施例15
エステル反応は攪拌機を設置した2Lの四つ口フラスコ内に558gバイオ材料由来の1,2−PDOと748gのDMTを入れ、0.28gの酢酸マグネシウムを添加後、160℃まで昇温して、DMTを溶解後に徐々に昇温を行う。最終温度である250℃まで反応を行い、1,2−PDOを留出させないようメタノールを留出させ、留出が完了後に反応を停止する。続いて、重合反応は実施例14と同様に行った。
【0048】
実施例16〜27
実施例14と同様に、表4記載の参考例の活性炭で処理したバイオ材料由来1,2−PDOに変更する以外は、他の原料と触媒及び添加量は実施例14と同条件で重合を行った。実施例14と同じ温度範囲内でエステル化反応と重縮合反応が完結し、ポリエステルを得た。
【0049】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ材料から製造されたグリコールを加熱し、続いて活性炭を利用した濾過工程にて得られた製品の300〜350nm波長範囲内での光透過率が50%以上とすることを特徴とする光透過性に優れたバイオ材料由来グリコールの製造方法。
【請求項2】
グリコール製品中のグリコール成分の含有量が95%〜99.9%であることを特徴とする請求項1記載のバイオ材料由来グリコールの製造方法。
【請求項3】
グリコールの加熱温度が150〜200℃、加熱時間が2〜10時間であることを特徴とする請求項1または2記載のバイオ材料由来グリコールの製造方法。
【請求項4】
活性炭が粒状活性炭であり、濾過工程が浸透濾過法であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のバイオ材料由来グリコールの製造方法。
【請求項5】
グリコールと接触活性炭の濾過層の厚さが40〜150cmであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のバイオ材料由来グリコールの製造方法。
【請求項6】
グリコールがエチレングリコールまたは1、2−プロパンジオールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオ材料由来グリコールの製造方法。
【請求項7】
芳香族ジカルボン酸またはその誘導体とグリコールとを反応させてポリエステルを得るに際して、グリコールが請求項1〜6のいずれか1項記載のバイオ材料由来グリコールであることを特徴とするポリエステルの製造方法。
【請求項8】
反応させる共重合成分が石油原料由来のジカルボン酸とジオールの共重合成分からなることを特徴とする請求項7記載のポリエステルの製造方法。
【請求項9】
ポリエステルの固有粘度が0.50〜0.95であることを特徴とする請求項7または8記載のポリエステルの製造方法。

【公開番号】特開2009−209145(P2009−209145A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48452(P2009−48452)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】