説明

バスシステム、及びこのバスシステムを用いるPLC

【課題】バスシステム、及びこのバスシステムを用いるPLCにおいて、高速なデータ転送を可能にする。
【解決手段】バスシステムは、プログラムを実行するCPUユニットと、1つ以上のIOユニットと、データ転送を行うバスとを備える。CPUユニットは、バスアクセスタイム設定用レジスタを有する。バスアクセスタイム設定用レジスタは、バスに接続されたIOユニットの接続台数に応じたバスアクセスタイム(データ転送速度)を格納している。CPUユニットは、バスアクセスタイムに固定バスアクセスタイムを設定した後(S1)、バスに接続されている接続IOユニット数を検出する(S2〜S5)。そして、CPUユニット11は、接続IOユニット数の検出値に応じたバスアクセスタイムの値をバスアクセスタイム設定用レジスタから読出し(S6)、バスアクセスタイムを読出した値に変更する(S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスシステム、及びバスシステムを用いるPLC(Programmable Logic Controller)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バスを介して接続されたCPUユニットとIOユニットとの間のデータ転送速度(以下、バスアクセスタイムという)が、バスに接続可能な最大のIOユニット数(以下、最大IOユニット数という)に応じたバスアクセスタイム(以下、固定バスアクセスタイムという)に固定されているものが知られている。すなわち、固定バスアクセスタイムは、最大IOユニット数だけIOユニットをバスに接続した場合に、CPUユニットとIOユニットとの間にデータ転送の遅延等が生じない設計値であり、常に一定の値である。従って、CPUユニットとIOユニットとの間は、実際には固定バスアクセスタイムよりも高速にデータ転送が可能である場合であっても、バスアクセスタイムが制限されるため、高速なデータ転送が行えなかった。
【0003】
上記具体例としては、バスの最大IOユニット数が16台であり、このときの固定バスアクセスタイムが150nsであるバスシステムがあるものとする。このバスシステムにおいて、IOユニットが4台だけ接続されている場合に、実現可能なバスアクセスタイムが70nsであったとすると、固定バスアクセスタイム(150ns)でデータ転送を行うことになる。従って、80ns(150ns−70ns)もバスアクセスタイムが遅くなってしまう。
【0004】
ところで、IOユニットの中には、データの転送準備ができていないことをCPUユニットに通知するための信号(以下、Wait信号という)を送信する機能を有していないIOユニット(以下、IOユニットAという)がある。従来、この種のIOユニットAがバスに接続された場合には、バス全体のバスアクセスタイムを、CPUユニットとIOユニットAとの間でデータ転送に確実に遅延等が生じないバスアクセスタイム(以下、制限バスアクセスタイム)に制限している。
【0005】
例えば、CPUユニットとIOユニットAとの間の制限バスアクセスタイムが300nsである場合、IOユニットAがバスに接続されたバスシステムでは、IOユニットの接続台数に係わらず、バス全体におけるバスアクセスタイムが300nsとなる。従って、バスに接続されるIOユニットの数が少ない場合であっても、IOユニットとCPUユニットとの間のバスアクセスタイムが制限バスアクセスタイムに制限されてしまう。また、Wait信号を送信できるIOユニットとCPUユニットとの間のバスアクセスタイムも、制限バスアクセスタイムに制限されてしまうため、高速なデータ転送が行えない。
【0006】
これに対して、特許文献1には、複数のローカルIOモジュールを収納したIOユニットをマルチドロップで一つのシリアルバスに接続し、同じシリアルバスにリモートIOモジュールを接続するPLCシステムが開示されている。このPLCシステムでは、IOユニットにそれぞれに設けられているIFモジュールが順次次段のIOユニットにデータを中継することで、一つのシリアルバスによりローカルIOモジュールとリモートIOモジュールとを一元管理することができる。しかしながら、このPLCシステムでは、上記問題を解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−114704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、高速なデータ転送が可能なバスシステム、及びこのバスシステムを用いるPLCを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、スタッキング接続用コネクタを有し、プログラムを実行するCPUユニットと、スタッキング接続用コネクタを有し、外部機器に対して信号の入出力を行う1つ以上の入出力ユニットと、前記CPUユニットのスタッキング接続用コネクタと前記1つ以上の入出力ユニットのスタッキング接続用コネクタとを互いに接続することにより形成されたデータ転送用のバスとを備え、前記CPUユニットと前記1つ以上の入出力ユニットとが前記バスを介してデータ転送を行うバスシステムにおいて、前記CPUユニットは、前記バスに接続された前記入出力ユニットの台数に応じて、該CPUユニットと該入出力ユニットとの間のデータ転送速度を変更するものである。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のバスシステムにおいて、前記1つ以上の入出力ユニットは、該入出力ユニットがデータの転送準備ができていないことを前記CPUユニットに通知するための信号を送信する機能を有していないタイプの入出力ユニットを含み、前記CPUユニットは、前記1つ以上の入出力ユニットのうちの全ての入出力ユニットについて、これらの入出力ユニットの各々によって送受信可能である最高速度のデータ転送速度の情報を格納した転送速度情報格納手段を有し、前記CPUユニットは、該CPUユニットと前記1つ以上の入出力ユニットとの間のデータ転送速度を、前記転送速度情報格納手段に格納されたデータ転送速度の情報に基づいて算出するものである。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載のバスシステムにおいて、前記1つ以上の入出力ユニットは、該入出力ユニットがデータの転送準備ができていないことを前記CPUユニットに通知するための信号を送信する機能を有していないタイプの入出力ユニットを含み、前記1つ以上の入出力ユニットの各々は、該入出力ユニットによって送受信可能である最高速度のデータ転送速度の情報を格納した入出力ユニット側転送速度情報格納手段を有し、前記CPUユニットは、該CPUユニットと前記1つ以上の入出力ユニットとの間のデータ転送速度を、前記入出力ユニット側転送速度情報格納手段に格納されたデータ転送速度の情報に基づいて算出するものである。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のバスシステムを用いるPLC(Programmable Logic Controller)である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バスに接続された入出力ユニットの台数に応じて、CPUユニットと入出力ユニットとの間のデータ転送速度を変更できるため、従来と異なり、CPUユニットと入出力ユニットとの間のデータ転送速度が、バスに接続可能な最大の入出力ユニット数に応じた転送速度に固定されない。従って、バスに接続されている入出力ユニット数が、上記の最大の入出力ユニット数未満である場合には、従来よりも高速なデータ転送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバスシステムを備えるPLCの概略構成を示すブロック図。
【図2】上記バスシステムの一例を示す概略構成図。
【図3】上記PLCにおけるバスアクセスタイム変更処理の手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るバスシステムを備えるPLCの概略構成を示すブロック図。
【図5】上記PLCにおけるバスアクセスタイム変更処理の手順を示すフローチャート。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るバスシステムを備えるPLCの概略構成を示すブロック図。
【図7】上記バスシステムの一例を示す概略構成図。
【図8】上記PLCにおけるバスアクセスタイム変更処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施形態に係るバスシステム、及びこのバスシステムを備えるPLC(Programmable Logic Controller)について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、バスシステム1aを備えるPLC1の概略構成のブロック図を示し、図2は、バスシステム1aの概略構成の一例を示す。
【0016】
PLC1は、ラダーシーケンスプログラムを実行するCPUユニット11、及び複数のIOユニット21〜24を有するバスシステム1aと、入出力装置(外部機器)101、102と、データ転送を行うためのバス31とを備える。入出力装置101、102は、バスシステム1aのIOユニット21、22を介して接続された、例えば、映像やメッセージを表示可能なモニタ装置や、ユーザによって操作されるキーボード等である。
【0017】
バス31は、CPUユニット11に設けられたスタッキング接続用コネクタ11aと、複数のIOユニット21〜24のそれぞれに設けられたスタッキング接続用コネクタ21a〜24aとが連結して形成されている。
【0018】
CPUユニット11は、スタッキング接続用コネクタ11aに加えて、CPU11bと、RAM(Random Access Memory)11cと、ROM(Read Only Memory)11dと、バスアクセスタイム設定用レジスタ11eとを有する。
【0019】
CPU11bは、各種制御や演算処理等を行う中央演算処理装置である。RAM11cは、CPU11bによる演算処理の結果等を格納する。ROM11dは、ラダーシーケンスプログラム等を格納している。バスアクセスタイム設定用レジスタ11eは、バス31に接続されたIOユニット21〜24の接続台数に応じたバスアクセスタイム(データ転送速度)を格納している。また、バスアクセスタイム設定用レジスタ11eは、接続可能な最大数のIOユニットがバス31に接続された場合に、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のデータ転送に遅延を生じないバスアクセスタイム(以下、固定バスアクセスタイムという)も格納している。
【0020】
CPUユニット11は、PLC1の電源投入時に、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のバスアクセスタイムを、バス31に接続されたIOユニット21〜24の台数に応じた値に変更(設定)する処理(以下、バスアクセスタイム変更処理という)を行う。CPUユニット11は、バスアクセスタイム変更処理を行った後に、バス31を介してIOユニット21〜24から転送された入力信号に基づいて演算を実行したり、実行結果をIOユニット21〜24に出力したりするシーケンス制御処理を行う。
【0021】
複数のIOユニット21〜24のそれぞれは、入出力装置101、102等に対して制御信号やデータの入出力を行うものであり、スタッキング接続用コネクタ21a〜24aに加えて、ステータスデータ21b〜24bを有する。ステータスデータ21b〜24bには、自IOユニット21〜24のステータス状態を示す値が格納されている。具体的には例えば、ステータスデータ21b〜24bには、入出力装置として出力装置が接続されていることを示す値や、入出力装置として入力装置が接続されていることを示す値が格納される。また、スタッキング接続用コネクタ21a〜24aに次段のIOユニット21〜24が接続されていないことを示す値(例えば「FFh」)が格納される。
【0022】
次に、上記バスアクセスタイム変更処理について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。まず、CPUユニット11は、バスアクセスタイム設定用レジスタ11eから上記の固定バスアクセスタイムを読出して、この固定バスアクセスタイムをバスアクセスタイムに設定する(S1)。そして、CPUユニット11は、バス31に接続されているIOユニット数(以下、接続IOユニット数という)の検出値を初期化する(S2)。すなわち、ここで検出値を「0」にする。
【0023】
そして、CPUユニット11は、バス31に接続されているIOユニット21〜24のステータスデータ21b〜24bを順に読出し(S3)、読出したステータスデータが「FFh」でない場合(S4でNO)、接続IOユニット数の検出値を+1(検出値+1=検出値)する(S5)。一方、読出したステータスデータ21b〜24bが「FFh」である場合(S4でYES)、CPUユニット11は、接続IOユニット数の検出値に応じたバスアクセスタイムの値をバスアクセスタイム設定用レジスタ11eから読出す(S6)。そして、CPUユニット11は、バス31のバスアクセスタイムを、上記S6で読出したバスアクセスタイムの値に変更する(S7)。
【0024】
具体的には例えば、バスアクセスタイムの単位が「10ns」であり、バス31の接続IOユニット数が「4台」である場合、バスアクセスタイム設定用レジスタ11eから「7」の値が読出されたとする(上記S6に相当)。その場合、7×10ns=70nsであるから、CPUユニット1は、バスアクセスタイムを「70ns」に変更する(上記S7に相当)。
【0025】
上述したように、本実施形態に係るバスシステム1a、及びバスシステム1aを備えるPLC1においては、バス31に接続されたIOユニット21〜24の台数に応じて、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のバスアクセスタイムを変更できる。そのため、従来と異なり、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のバスアクセスタイムが最大IOユニット数を接続した場合のバスアクセスタイム(固定バスアクセスタイム)に固定されないので、従来よりも高速なデータ転送を行うことができる。従って、処理を迅速に行うことができる。なお、上記実施形態においては、バスアクセスタイム設定用レジスタ11eを、CPUユニット11内のCPU11aが管理する、例えばRAM11cやROM11d等のメモリ内に設けてもよい。また、バスアクセスタイム設定用レジスタ11eは、CPUユニット11とバス31との間の通信を制御する回路部(図示せず)内に設けてもよい。
【0026】
次に、本発明の第2の実施形態に係るバスシステム、及びこのバスシステムを備えるPLCについて、図4を参照して説明する。本実施形態に係るバスシステム1a、及びバスシステム1aを備えるPLC1は、CPUユニット11が全IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ(転送速度情報格納手段)11fをさらに有すること以外は、前出の図1に示した構成と同様である。また、バスシステム1aの概略構成の一例は、前出の図2と同様である。バス31に接続されるIOユニット21〜24のいずれかは、データの転送準備ができていないことをCPUユニット11に通知するための信号(Wait信号)を送信する機能を有していないタイプのものである。
【0027】
全IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ11fは、IOユニット21〜24のそれぞれについて、CPUユニット11とデータの送受信が可能である最高速度のデータ転送速度(バスアクセスタイム)の情報を格納している。Wait信号を送信できないIOユニットについては、Wait信号が送信可能であるIOユニットよりも遅いバスアクセスタイムの情報が格納されている。
【0028】
CPUユニット11は、バスアクセスタイム設定用レジスタ11e及び全IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ11fの情報に基づいて、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のバスアクセスタイムを変更するためのバスアクセスタイム変更処理を行う。
【0029】
次に、バスアクセスタイム変更処理について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。まず、CPUユニット11は、バス31に接続されているIOユニット数に応じたバスアクセスタイムをバスアクセスタイム設定用レジスタ11eから読出す処理を行う(S11)。この処理は、前出の図3に示したS1〜S6に相当する処理であるため、その説明を省略する。
【0030】
そして、CPUユニット11は、全IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ11fからIOユニット21〜24のそれぞれに対応するバスアクセスタイムの情報を読出す(S12)。そして、CPUユニット11は、バス31に接続されているすべてのIOユニット21〜24に対応したバスアクセスタイムの情報を読出す(S13でYES)。そして、CPUユニット11は、読出した全てのIOユニット21〜24に対応した各バスアクセスタイムの情報と、上記S11で読出したIOユニット数に応じたバスアクセスタイムとに基づいて、実際に使用するバスアクセスタイムを算出する(S14)。CPUユニット11は、バス31のバスアクセスタイムを、上記S14で算出したバスアクセスタイムの値に変更する(S15)。
【0031】
具体的には例えば、バスアクセスタイムの単位が「10ns」であり、バスアクセスタイム設定用レジスタ11eから読み出された値が「7」であるとする(上記S11に相当)。そして、全IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ11fからの読み出し値の最大値が「5」(上記S12に相当)であるとき、CPUユニット11は、バスアクセスタイムとして(7×10ns)+(5×10ns)=120nsを算出する(上記S14に相当)。そして、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のバスアクセスタイムを120nsに変更する(上記S15に相当)。
【0032】
なお、上記バスアクセスタイム変更処理では、CPUユニット11とIOユニット21〜24のそれぞれとの間の個別のバスアクセスタイムを変更してもよい。具体的には例えば、バス31に接続されたIOユニット21〜24の台数が4台であるときに、バスアクセスタイム設定用レジスタ11eから読み出された値が「7」であるとする(上記S11に相当)。そして、バスアクセスタイムの単位が「10ns」であり、IOユニット21に対応する全IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ11fの値として「3」を読み出したものとする(上記S12に相当)。この場合、CPUユニット11は、バスアクセスタイムとして(7×10ns)+(3×10ns)=100nsを算出し(上記S14に相当)、CPUユニット11とIOユニット21との間のバスアクセスタイムについては、上記の120nsではなく、100nsに変更する(上記S15に相当)。
【0033】
上述したように、本実施形態に係るバスシステム1a、及びバスシステム1aを備えるPLC1においては、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のバスアクセスタイムを、バスアクセスタイム設定用レジスタ11e及び全IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ11fの情報に基づいて算出する。そして、バスアクセスタイムを、算出した値に変更する。そのため、バス31に接続されたIOユニット21〜24の台数に応じた、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のバスアクセスタイムに基づいて、Wait信号を送信できないIOユニットを含むIOユニット21〜24とCPUユニット11との間のバスアクセスタイムを変更できる。従って、CPUユニット11とIOユニット21〜24とは、従来よりも高速なデータ転送を行うことができるので、処理を迅速に行うことができる。
【0034】
また、図5に示したバスアクセスタイム変更処理では、CPUユニット11と各IOユニット21〜24との間の個別のバスアクセスタイムを変化させることができる。そのため、Wait信号を送信できるIOユニットとCPUユニットとの間のバスアクセスタイムは、Wait信号を送信できないIOユニットとCPUユニットとの間のバスアクセスタイムよりも、短くできる。つまり、より高速なデータ転送を行うことができる。
【0035】
なお、上記実施形態においては、全IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ11fの情報を、CPUユニット11内のCPU11aが管理する、例えばRAM11cやROM11d等のメモリ内に設けてもよい。また、全IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ11fは、CPUユニット11とバス31との間の通信を制御する回路部(図示せず)内に設けてもよい。
【0036】
次に、本発明の第3の実施形態に係るバスシステム、及びこのバスシステムを備えるPLCについて、図6及び図7を参照して説明する。本実施形態に係るバスシステム1a、及びバスシステム1aを備えるPLC1は、IOユニット21〜24のそれぞれが、個別IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ(入出力ユニット側転送速度情報格納手段)21c〜24cをさらに有すること以外は、前出の図1及び図2に示した構成と同様である。
【0037】
個別IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ21c〜24cは、それぞれのIOユニット21〜24によって送受信可能である最高速度のデータ転送速度(バスアクセスタイム)の情報を格納している。Wait信号を送信できないIOユニットについては、Wait信号が送信可能なIOユニットよりも遅い。
【0038】
CPUユニット11は、バスアクセスタイム設定用レジスタ11e、及び個別IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ21c〜24cの情報に基づいて、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のバスアクセスタイムを変更するためのバスアクセスタイム変更処理を行う。
【0039】
次に、バスアクセスタイム変更処理について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。まず、CPUユニット11は、バス31に接続されているIOユニット数に応じたバスアクセスタイムをバスアクセスタイム設定用レジスタ11eから読出す処理を行う(S21)。この処理は、前出の図3に示したS1〜S6に相当する処理であるため、その説明を省略する。
【0040】
そして、CPUユニット11は、IOユニット21〜24のそれぞれから個別IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ21c〜24cに格納されている情報を読出す(S22)。そして、CPUユニット11は、バス31に接続されているすべてのIOユニット21〜24の個別IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ21c〜24cから、各IOユニット21〜24に対応したバスアクセスタイムの情報を読出した場合がある(S23でYES)。その場合、CPUユニット11は、読出した各バスアクセスタイムの情報と、上記S21で読出したIOユニット数に応じたバスアクセスタイムの情報とに基づいて、実際に使用するバスアクセスタイムを算出する(S24)。そして、CPUユニット11は、バス31のバスアクセスタイムを、上記S24で算出したバスアクセスタイムの値に変更する(S25)。
【0041】
具体的には例えば、バスアクセスタイムの単位が「10ns」であり、バスアクセスタイム設定用レジスタ11eから読み出された値が「7」であるとする(上記S21に相当)。そして、個別IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ21c〜24cからの読み出し値の最大値が「5」(上記S22に相当)であるとき、CPUユニット11は、バスアクセスタイムとして(7×10ns)+(5×10ns)=120nsを算出する(上記S24に相当)。そして、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のバスアクセスタイムを120nsに変更する(上記S25に相当)。
【0042】
なお、上記バスアクセスタイム変更処理では、CPUユニット11とIOユニット21〜24のそれぞれとの間の個別のバスアクセスタイムを変更してもよい。具体的には例えば、バス31に接続されたIOユニット21〜24の台数が4台であるときに、バスアクセスタイム設定用レジスタ11eから読み出された値が「7」であるとする(上記S21に相当)。そして、バスアクセスタイムの単位が「10ns」であり、IOユニット21の個別IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ21cから「1」を読み出したものとする(上記S22に相当)。この場合、CPUユニット11は、バスアクセスタイムとして(7×10ns)+(1×10ns)=80nsを算出し(上記S24に相当)、CPUユニット11とIOユニット21との間のバスアクセスタイムについては、上記の120nsではなく、80nsに変更する(上記S25に相当)。
【0043】
上述したように、本実施形態に係るバスシステム1a、及びバスシステム1aを備えるPLC1においては、CPUユニット11内に各IOユニット21〜24についての個別のバスアクセスタイムの情報を格納することなしに、バスアクセスタイムを適切な値に変更する。すなわち、CPUユニット11は、バスアクセスタイム設定用レジスタ11e、及びIOユニット21〜24がそれぞれ有する個別IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ21c〜24cの情報に基づいて、CPUユニット11とIOユニット21〜24との間のバスアクセスタイムを変更する。そのため、新たなIOユニットがバス31に接続された場合や、バス31に接続されたIOユニットの送受信可能なバスアクセスタイムが変更された場合であっても、CPUユニット11に格納される値の再設定等を行う必要がない。従って、バス31に接続されるIOユニットを容易に追加・変更できるため、ユーザにとって使い勝手がよい。
【0044】
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態において、バス31に接続されるIOユニット21〜24が4つである例を示したが、1つ以上であればよい。
【符号の説明】
【0045】
1 PLC
11 CPUユニット
21〜24 IOユニット(入出力ユニット)
側転送速度情報格納手段)
31 バス
101、102 入出力装置(外部機器)
1a バスシステム
11a、21a〜24a スタッキング接続用コネクタ
11f IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ(転送速度情報格納手段)
21c〜24c 個別IOユニットアクセスタイム設定用レジスタ(入出力ユニット側転送速度情報格納手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタッキング接続用コネクタを有し、プログラムを実行するCPUユニットと、
スタッキング接続用コネクタを有し、外部機器に対して信号の入出力を行う1つ以上の入出力ユニットと、
前記CPUユニットのスタッキング接続用コネクタと前記1つ以上の入出力ユニットのスタッキング接続用コネクタとを互いに接続することにより形成されたデータ転送用のバスとを備え、
前記CPUユニットと前記1つ以上の入出力ユニットとが前記バスを介してデータ転送を行うバスシステムにおいて、
前記CPUユニットは、前記バスに接続された前記入出力ユニットの台数に応じて、該CPUユニットと該入出力ユニットとの間のデータ転送速度を変更することを特徴とするバスシステム。
【請求項2】
前記1つ以上の入出力ユニットは、該入出力ユニットがデータの転送準備ができていないことを前記CPUユニットに通知するための信号を送信する機能を有していないタイプの入出力ユニットを含み、
前記CPUユニットは、前記1つ以上の入出力ユニットのうちの全ての入出力ユニットについて、これらの入出力ユニットの各々によって送受信可能である最高速度のデータ転送速度の情報を格納した転送速度情報格納手段を有し、
前記CPUユニットは、該CPUユニットと前記1つ以上の入出力ユニットとの間のデータ転送速度を、前記転送速度情報格納手段に格納されたデータ転送速度の情報に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載のバスシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の入出力ユニットは、該入出力ユニットがデータの転送準備ができていないことを前記CPUユニットに通知するための信号を送信する機能を有していないタイプの入出力ユニットを含み、
前記1つ以上の入出力ユニットの各々は、該入出力ユニットによって送受信可能である最高速度のデータ転送速度の情報を格納した入出力ユニット側転送速度情報格納手段を有し、
前記CPUユニットは、該CPUユニットと前記1つ以上の入出力ユニットとの間のデータ転送速度を、前記入出力ユニット側転送速度情報格納手段に格納されたデータ転送速度の情報に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載のバスシステム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のバスシステムを用いるPLC(Programmable Logic Controller)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−227822(P2011−227822A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98967(P2010−98967)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】