説明

バスバモジュール構造体

【課題】構造の複雑化を抑制しつつ、電圧検出線とパワーケーブルの接続端子との接触を回避すること。
【解決手段】直列接続される複数の電池の隣接する電池間の正極と負極との間を接続する複数の第1バスバ13と、複数の電池の総正極及び総負極にそれぞれ接続される第2バスバ15を保持する樹脂製のバスバモジュール17と、このバスバモジュールに沿って形成され、第1バスバにそれぞれ接続された電圧検出線21を収容する配線路33と、第2バスバに接続されるパワーケーブル25の接続端子23が収容される端子収容部49を備え、各電圧検出線の配線路と少なくとも一方のパワーケーブルの接続端子とが交差する構造を有するバスバモジュール構造体であり、バスバモジュールと一体形成され、ヒンジ45を介して折り返されたときに配線路と交差するカバー部材43を備え、カバー部材が折り返されたときに配線路と対向する側の面の裏側の面に端子収容部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池を直列に接続するバスバモジュール構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数の電池を直列に接続した電池モジュールを、電気自動車やハイブリッドカーなどの電源として用いる技術が開示されている。この電池モジュールには、隣接する電池間の正極と負極を接続する複数の第1バスバと電池モジュールの総正極と総負極にそれぞれ接続される第2バスバをそれぞれ保持して形成された樹脂製のバスバモジュールが取り付けられている。
【0003】
図11に、特許文献1のバスバモジュールの構造体51を示す。この構造体51は、隣り合う図示しない電池の正極と負極を接続する複数の第1バスバ53と、電池モジュールの総正極と総負極にそれぞれ接続される第2バスバ55(一方のみ表示)と、複数の第1バスバ53及び第2バスバ55にそれぞれ接続される図示しない複数の電圧検出線を収容する配線路57と、第2バスバ55と接続端子59を介して接続されるパワーケーブル61と、樹脂製のバスバモジュール63を備えている。配線路57は、バスバモジュール63の長手方向に沿って形成される。
【0004】
第1バスバ53は、ヒンジ65を介して互いに連なる複数の第1囲い壁67の内側にそれぞれ嵌め込まれて係止され、第2バスバ55は、バスバモジュール51の一端と他端に設けられた第2囲い壁69(一方のみ表示)の内側にそれぞれ接続端子59とともに嵌め込まれて係止されている。ヒンジ65と第1囲い壁65及び第2囲い壁67は、いずれもバスバモジュール63と一体形成されている。電圧検出線は、配線路57に収納されて配索され、パワーケーブル61は、複数のフック71に支持されて配索されている。つまり、パワーケーブル61と電圧検出線は、バスバモジュール51の長手方向の同じ方向(図11の右側)に向かって配索される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−98295号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなバスバモジュールの構造体には、特許文献1のように、パワーケーブル61と電圧検出線が同じ方向に向けて配索される構造に限らず、パワーケーブルと電圧検出線が互いに反対方向に向けて配索される構造も考えられる。このような場合、例えば、バスバモジュールの長手方向の両端側にそれぞれ設置されたパワーケーブルの接続端子のうち少なくとも一方の接続端子と電圧検出線とが交差する構造が生じ得る。
【0007】
このように接続端子と電圧検出線が交差する場合、電圧検出線と接続端子が接触する状態で外部から振動が伝わると、電圧検出線の被覆が摩耗して導体が露出するおそれがある。このような事態を避けるため、例えば、接続端子を収容する収容部分(図11の第2囲い壁69に相当)を電圧検出線の配線路を跨ぐように延在させて形成することも考えられるが、構造が複雑になることから、射出成形などで一体的に形成することが難しくなる。また、仮にそのような構造を成形できたとしても、バスバモジュールが大型化するという問題がある。
【0008】
本発明は、構造の複雑化を抑制しつつ、圧検出線とパワーケーブルの接続端子との接触を回避することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、直列接続される複数の電池の隣接する電池間の正極と負極との間をそれぞれ接続する複数の第1導体と、複数の電池からなる電池モジュールの総正極及び総負極とにそれぞれ接続される2つの第2導体とを電池の配列に合わせて保持して形成された樹脂製のバスバモジュールと、このバスバモジュールに沿って一体形成され、複数の第1導体にそれぞれ接続された複数の電圧検出線を収容する配線路と、バスバモジュールと一体形成され、2つの第2導体にそれぞれ接続されるパワーケーブルの接続端子が収容される端子収容部とを備えてなり、複数の電圧検出線の配線路と少なくとも一方のパワーケーブルの接続端子とが交差する構造を有するバスバモジュール構造体であって、バスバモジュールと一体形成され、ヒンジを介して折り返されたときに配線路と交差するカバー部材を備え、このカバー部材が折り返されたときに配線路と対向する側の面の裏側の面に端子収容部が形成されてなることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、折り返したカバー部材の端子収容部に接続端子を設けることにより、接続端子と電圧検出線との間にカバー部材を介在させることができるため、接続端子と電圧検出線との接触を回避して、電圧検出線の被覆の摩耗を防ぐことができる。また、カバー部材をバスバモジュールの平面方向に延在させて設けることにより、バスバモジュールの構造の複雑化を抑えることができるため、成形によってバスバモジュールと一体的に形成することが可能になる。さらに、折り返したカバー部材は、その配線路と対向する側の面を配線路に押し付けて配置したとしても、電圧検出線の被覆の摩耗は生じないため、折り返したカバー部材とバスバモジュールとの間に不要な隙間を形成する必要がなく、バスバモジュールの大型化を抑制することができる。
【0011】
この場合において、配線路には、電圧検出線を案内するリブが設けられてなることを特徴とする。
【0012】
これによれば、配線路内に収容される電圧検出線をリブによって所定方向、例えば、配線路の側縁から配線路の内側に電圧検出線を寄せることができるため、カバー部材を折り消すときに、配線路の側縁とカバー部材との間に電圧検出線を噛み込むのを防ぐことができる。
【0013】
また、配線路のヒンジと反対側の側縁部には、配線路と連通する溝が設けられ、カバー部材を折り返したときの配線路と対向する側の面には、この溝に挿入されて係止される突起が設けられ、この突起の配線路に面する側面には係止突起の基端側に向かって広がる傾斜面が形成されてなるものとする。
【0014】
これによれば、カバー部材の係止突起を溝に挿入する際に、溝の近傍に位置する電圧検出線を係止突起の傾斜面に沿って溝から離れる方向に移動させることができるため、係止突起による電圧検出線の噛み込みを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、構造の複雑化を抑制しつつ、圧検出線とパワーケーブルの接続端子との接触を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用してなるバスバモジュール構造体において、パワーケーブルを配索した状態を示す図である。
【図2】本発明を適用してなるバスバモジュール構造体において、パワーケーブルを配索する前の状態を示す図である。
【図3】本発明を適用してなるバスバモジュール構造体のカバー部材の拡大図である。
【図4】図3のカバー部材の裏側に形成される端子収容部を示す図である。
【図5】図3のカバー部材を折り返した状態で接続端子を取り付ける動作を説明する図である。
【図6】配線路に収容された電圧検出線がカバー部材によって噛み込まれる様子を説明する断面図である。
【図7】配線路に収容された電圧検出線がリブによって規制される様子を説明する図である。
【図8】カバー部材に形成されるロックピンの拡大図である。
【図9】カバー部材のロックピンによって電圧検出線が移動する様子を説明する断面図である。
【図10】本発明を適用してなるバスバモジュールが取り付けられる電池モジュールの概略図である。
【図11】従来のバスバモジュール構造体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用してなるバスバモジュール構造体の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
始めに、本発明のバスバモジュール構造体の説明を容易にするため、バスバモジュール構造体が取り付けられる電池モジュールの構成について、図10を参照しながら説明する。
【0019】
電池モジュール1は、直方体に形成された複数の電池3の対向する2つの電極面5をそれぞれ同じ方向に揃えて構成される。各電池3の電極面5には円柱状の正極7と負極9が突出して設けられ、隣り合う電池3との間で正極7と負極9が交互に配列されている。電池モジュール1は、直列に接続された複数の電池3の両端に位置する電池3の電極が総電極となり、例えば、偶数個の電池3が直列に接続される場合は、一端の電池3の正極が総正極、他端の電池の負極が総負極となる。本実施形態では、偶数個の電池3が直列に接続される電池モジュール1を例に説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、バスバモジュール構造体11は、電池モジュール1の隣接する電池3間の正極7と負極9との間をそれぞれ接続する複数の第1バスバ13と、電池モジュール1の両端の電池3の総正極及び総負極にそれぞれ接続される2つの第2バスバ15と、第1バスバ13及び第2バスバ15を保持する樹脂製のバスバモジュール17と、すべての第1バスバ13及び第2バスバ15にそれぞれ電圧検出用端子19を介して接続される複数の電圧検出線21と、第2バスバ15とそれぞれ接続端子23(LA端子:丸型板端子)を介して接続されるパワーケーブル25を備えている。
【0021】
第1バスバ13は、連結部27を介して互いに接続された複数の第1囲い壁29の内側にそれぞれ嵌め込まれて係止され、第2バスバ15は、バスバモジュール17の両端にそれぞれ設けられた第2囲い壁31の内側に嵌め込まれて係止されている。連結部27と第1囲い壁29及び第2囲い壁31は、いずれもバスバモジュール17と一体形成されている。なお、第2囲い壁31は一方のみ図示しているが、他方の第2囲い壁31も同様の構造をなしているため説明を省略する。
【0022】
電圧検出線21は、バスバモジュール17の長手方向に沿って形成される配線路33に収納されて配索される。パワーケーブル25は、バスバモジュール17に形成された複数のフック35に支持されてバスバモジュール17の長手方向に配索される。
【0023】
各バスバは、導電体、例えば、銅製の板状部材であり、第1バスバ13には、正極と負極がそれぞれ通される2つの孔が設けられ、第2バスバ15には、総正極又は総負極が通される1つの孔が設けられている。第1バスバ13の一方の孔、及び、第2バスバ15の孔には、導電体、例えば、銅製の板状部材からなる電圧検出用端子19の孔がそれぞれ重ね合わせて配置される。電圧検出用端子19には、圧着部37(図7)が設けられ、絶縁被覆を剥いで芯線を露出させた電圧検出線21が接続されている。電圧検出線21は、図示しない電圧検出器と接続されて各電池3の電圧を検出するようになっている。
【0024】
バスバモジュール17は、複数の第1囲い壁29にそれぞれ電池モジュール1の各電池3の正極7及び負極9が挿入される2つの孔が設けられるとともに、両端の第2囲い壁31にそれぞれ電池モジュール1の総正極又は総負極が挿入される1つの孔が設けられ、全体として、電池モジュール1の電極面5に対応する大きさに形成されている。
【0025】
このようにして構成されるバスバモジュール構造体11が電池モジュール1に取り付けられると、第1囲い壁29の2つの孔に挿入された電池3の正極7と負極9は、第1バスバ13の2つの孔に挿通され、そのうち一方の電極は電圧検出用端子19の1つの孔に挿通された状態で、例えばナットにより締結される。一方、第2囲い壁31の孔に挿入された総正極又は総負極は、第2バスバ15と電圧検出用端子19と接続端子23の孔にそれぞれ挿通された状態で、例えばナットにより締結される。
【0026】
バスバモジュール17の配線路33は、バスバモジュール17の短手方向(図1の上下方向)に延在する蓋39を折り返すことにより筒状に形成される。図2に示すように、蓋39の先端には、蓋39を折り返した状態でバスバモジュール17に係止される突起41が設けられている。配線路33に電圧検出線21が収容された状態で、蓋39を折り返し、突起41を図示しない係止溝に挿入して係止させることにより、電圧検出線21は配線路33内で保護された状態となる。配線路33を挟んで、第1囲い壁29及び第2囲い壁31と反対側には、パワーケーブル25が配索されている。
【0027】
ところで、本実施形態では、配線路33に収容された電圧検出線21をバスバモジュール17の長手方向の一方(図1の右側)に向かって配索しているのに対し、パワーケーブル25は、バスバモジュール17の長手方向の他方(図1の左側)に向かって配索している。つまり、電圧検出線21とパワーケーブル25は互いに逆向きに配索されている。したがって、パワーケーブル25の端末を、電圧検出線21を挟んで反対側に位置する第2囲い壁31に取り付けられた第2バスバ15に接続するためには、パワーケーブル25の端末に接続された接続端子23を配線路33と交差するように配置しなければならなくなる。この場合、配線路33に収容された電圧検出線21と接続端子23が接した状態で外部から振動が伝わることにより、電圧検出線21の被覆が摩耗して導体が露出するおそれがある。このように接続端子23が配線路33と交差する構造は、バスバモジュール構造体11において、少なくとも1箇所(図1の例では1箇所)で生じ得るが、電池モジュール1の構造によっては、2箇所で生じることもある。
【0028】
ここで、本実施形態の特徴構成について図3乃至図5を参照して説明する。
【0029】
図3に示すように、本実施形態では、バスバモジュール17の短手方向、つまり、第2囲い壁31を配線路33と交差する方向にカバー部材43を延在させて設けている。このカバー部材43は、バスバモジュール17と一体形成され、ヒンジ45を介して矢印の方向に折り曲げ可能になっている。カバー部材43は、ヒンジ45を介して折り返したときに、配線路33の一部を覆いながら配線路33と交差するようになっている。すなわち、折り返されたカバー部材43は、配線路33を形成する2枚の側壁47の端面に当接した状態となる。
【0030】
図4は、図3のカバー部材43の裏側を示す。この裏側の面は、カバー部材43が折り返されたときに、配線路33と対向する側の面の反対側に位置することになり、接続端子23が収容される端子収容部49をなしている。端子収容部49は、2枚の側壁51,53が所定間隔でL字状に対向して設けられ、この側壁51,53の内側にL字状の溝空間55が形成されている。また、図3に示すように、端子収容部49の裏側には、第2囲い壁31の内側に設けられた図示しない溝に挿入される2本のロックピン57が立設して設けられている。このロックピン57は、溝内に挿入されて係止されるようになっている。
【0031】
次に、このようにして構成されるバスバモジュール構造体11を組み立てる動作について説明する。
【0032】
まず、バスバモジュール17の第1囲い壁29、第2囲い壁31にそれぞれ第1バスバ13、第2バスバ15を収容して固定する。ここで、第1バスバ13及び第2バスバ15はバスバモジュール17と一体成形することも可能である。続いて、予め電圧検出線21が圧着された電圧検出用端子19をそれぞれのバスバに重ねて第1囲い壁29及び第2囲い壁31に収容する。そして、各電圧検出用端子19に接続された電圧検出線21を配線路33に収容しながら配索し、配線路33の引出部からバスバモジュール17の外側に引き出す。電圧検出線21を外側に引き出した後、蓋39を折り返して固定する。
【0033】
次に、カバー部材43を、ヒンジ45を介して折り返し、2本のロックピン57をそれぞれ対応する溝に挿入して係止することによりカバー部材43を固定する。続いて、図5に示すように、予めパワーケーブル25の端末が圧着されたL字状の接続端子23を端子収容部49の溝空間55に取り付ける。ここで、接続端子23は、溝空間55に収容されることで、先端側に形成された孔59と、既に第2囲い壁31に収容されている第2バスバ15及び電圧検出用端子19の孔とが重ねられる。接続端子23は2枚の側壁51,53の内壁にそれぞれ形成される突起61に両側から押し付けられることで端子収容部49に位置決めされた状態で固定される。続いてパワーケーブル25を複数のフック35に固定して配索方向に支持する。
【0034】
本実施形態の接続端子23は、図5に示すように、L字状に形成されるとともに、孔59が形成された先端側に向かって例えば鉤型に折れ曲がって形成される。すなわち、接続端子23は、その一端側が第2囲い壁31で電池3の総電極と接続される一方、他端側が配線路33の2枚の側壁47を覆って配置される端子収容部49の溝空間55に収容された状態となる。
【0035】
このように、折り返したカバー部材43に形成される端子収容部49の溝空間55に接続端子23を収容して保持することにより、接続端子23と電圧検出線21との間にはカバー部材43が介在することになるため、互いに交差する接続端子23と電圧検出線21との接触を確実に回避して電圧検出線21の被覆の摩耗を防ぐことができる。また、カバー部材43は、バスバモジュール17の厚み方向ではなく平面方向、つまり短手方向に延在させて設けられるため、バスバモジュール17の複雑化と大型化を抑制することができ、しかも、バスバモジュール17と一体成形することが可能になる。
【0036】
次に、電圧検出線21が収容される配線路33内の具体的な構造の一例について図6、7を参照しながら説明する。
【0037】
図6に示すように、配線路33には複数の電圧検出線21が高い電線占有率で収容されている。このため、一部の電圧検出線21aが配線路33の開口する側縁近傍に飛び出した状態でカバー部材43が折り返されると、配線路33の側壁47aとカバー部材43との間で、電圧検出線21を噛み込むおそれがある(図6のA部)。この場合、電圧検出線21を傷めるだけでなく、その都度、電圧検出線21を配線路33内に押し込まなければならず、組み付け作業の負担が大きくなる。
【0038】
これに対し、本実施形態では、図7に示すように、配線路33の底面又は側壁47の少なくとも一方に電圧検出線21を所望の位置に案内するリブ63を設けるようにしている。このリブ63は、電圧検出線21の噛み込みが発生しやすい配線路33の側壁47aの近傍から電圧検出線21を遠ざけることができるものであれば、特に設置位置や形状及び設置数について制限されるものではない。
【0039】
図7では、配線路33とカバー部材43が交差する位置で、カバー部材43のヒンジ45寄りの側壁47aの近傍(図7のB部)から電圧検出線21が離れて配索されるように、このヒンジ45寄りの側壁47aの近傍の位置に、配線路33を開口側からみたときV字状とU字状に形成される2つのリブ63a,63bをそれぞれ配線路33の底面から立設させている。これによれば、配線路33に収容される電圧検出線21は、配線路33のカバー部材43と交差する領域に差し掛かる前に、最初のリブ63aによって側壁47aから遠ざかる方向に誘導され、続いて配線路33のカバー部材43と交差する領域で二番目のリブ63bに案内されて側壁47aと一定の間隔をあけた状態で配索される。このため、カバー部材43が折り消されたときに、配線路33の側壁47aとカバー部材43との間で電圧検出線21が噛み込まれるのを確実に防ぐことができる。
【0040】
一方、配線路33とカバー部材43が交差する位置でヒンジ45寄りの側壁47aと対向する側壁47bの近傍(図7のC部)には、カバー部材43のロックピン57が挿入される溝65が配線路33と連通して設けられており(図6)、この溝65にロックピン57が挿入される際に、配線路33から飛び出した電圧検出線21がロックピン57と溝65との間に噛み込まれるおそれがある。
【0041】
これに対し、本実施形態では、図6に示すように、カバー部材43を折り曲げたときのロックピン57の配線路33と面する側面に傾斜面67を設けるようにしている。この傾斜面67は、図8に示すように、ロックピン57の基端側に向かって、ロックピン57の挿入方向と直交する断面が大きくなる方向、つまりロックピン57が溝65に挿入されるときに基端側が配線路33に向かって広がるように形成されている。このような構成によれば、図9に示すように、カバー部材43を折り返してロックピン57を溝65に挿入するときに、溝65近傍に飛び出した電圧検出線21bを傾斜面67に沿って配線路33内に向けて押し戻すことができるため、ロックピン57と溝65の間で電圧検出線21bが噛み込まれるのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 電池モジュール
3 電池
5 電極面
7 正極
9 負極
11 バスバモジュール構造体
13 第1バスバ
15 第2バスバ
17 バスバモジュール
19 電圧検出用端子
21 電圧検出線
23 接続端子
25 パワーケーブル
29 第1囲い壁
31 第2囲い壁
33 配線路
43 カバー部材
45 ヒンジ
47,51,53 側壁
49 端子収容部
55 溝空間
57 ロックピン
63 リブ
67 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続される複数の電池の隣接する電池間の正極と負極との間をそれぞれ接続する複数の第1導体と、前記複数の電池からなる電池モジュールの総正極及び総負極とにそれぞれ接続される2つの第2導体とを前記電池の配列に合わせて保持して形成された樹脂製のバスバモジュールと、
前記バスバモジュールに沿って一体形成され、前記複数の第1導体にそれぞれ接続された複数の電圧検出線を収容する配線路と、
前記バスバモジュールと一体形成され、前記2つの第2導体にそれぞれ接続されるパワーケーブルの接続端子が収容される端子収容部とを備えてなり、
前記複数の電圧検出線の配線路と少なくとも一方の前記パワーケーブルの接続端子とが交差する構造を有するバスバモジュール構造体であって、
前記バスバモジュールと一体形成され、ヒンジを介して折り返されたときに前記配線路と交差するカバー部材を備え、前記カバー部材が折り返されたときに前記配線路と対向する側の面の裏側の面に前記端子収容部が形成されてなるバスバモジュール構造体。
【請求項2】
前記配線路には、前記電圧検出線を案内するリブが設けられてなる請求項1に記載のバスバモジュール構造体。
【請求項3】
前記配線路の前記ヒンジと反対側の側縁部には、前記配線路と連通する溝が設けられ、前記カバー部材を折り返したときの前記配線路と対向する側の面には、前記溝に挿入されて係止される突起が設けられ、
前記突起の前記配線路に面する側面には、該係止突起の基端側に向かって広がる傾斜面が形成されてなる請求項1又は2のいずれかに記載のバスバモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−4501(P2013−4501A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138188(P2011−138188)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】