説明

バッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システム

【課題】未到着ロットの当初計画に対する遅れやトラブルがあってもバッチ効率の低下を抑制することのできる、高い生産能力を有したバッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムを提供する。
【解決手段】ワークを搭載したキャリアよりなる複数のロットを処理設備でまとめて処理するバッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムであって、バッチ組候補グループ管理装置40において、まとめて処理可能な同じ処理条件のバッチ組候補グループを、処理設備で待ち状態にあるロットと未到着のロットの中から、各ロットに付与されている優先度に従って選択して、所定の時間間隔で繰り返し作成し、仕掛り指示管理装置50が、処理設備が処理可能となった時、最終的に作成されているバッチ組候補グループを基にしたバッチ組グループに、仕掛り指示を行うバッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システム100とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造過程にある半導体ウエハ等の複数のロットを処理設備でまとめて処理する、バッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造過程にある複数のロットを処理設備でまとめて処理する、バッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムが、例えば、特開平9−7912号公報(特許文献1)と特開2003−173204号公報(特許文献2)に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている生産制御装置は、第1処理装置(例えば洗浄装置)の処理終了時刻から第2処理装置(例えば拡散装置)の処理開始時刻までの放置時間が制限以下となることが各処理ロット毎に要求されている半導体基板の生産制御装置であって、第1処理装置から第2処理装置への第2搬送の所要時間および第2処理装置の処理の所要時間に基づき、各処理ロットの放置時間が制限以下となるように、第1処理装置の処理開始予定時刻および処理終了予定時刻と、第2処理装置の処理開始予定時刻および処理終了予定時刻とを搬入予定ロット毎に演算し、予約情報として記憶する。そして、該予約情報に基づいて、第1収納ステーション(ストア)から第1処理装置への第1搬送を許可する搬送動作を制御するものである。これによって、加工工程間に放置時間制限が要求されているロットが混在している生産システムにおいても、品質を低下させることなく製造効率を向上させることができる。
【0004】
また、特許文献2に開示されている処理装置への割り付け方法は、複数のロットについて、これらのロットを処理する処理装置に割り付ける処理装置への割り付け方法において、設定した待ち許容時間内に到着するロットと到着済みのロットについて、各ロットサイズと優先度を掛け合わせた評価値を算出し、算出した評価値の大きいロットから選択するものである。これによって、これらのロットを処理する処理装置に、効率よく割り付けることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−7912号公報
【特許文献2】特開2003−173204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている生産制御装置は、連続する第1収納ステーション(ストア)、第1処理装置(例えば洗浄装置)および第2処理装置(例えば拡散装置)の間の搬送制御を対象としている。該生産制御装置による前述した制御方法は、言い換えれば、ストアで待機しているロットで放置時間制限を考慮したバッチ組グループを作り、次の洗浄装置と拡散装置で予約を取って処理を進める方法である。しかしながら、第1収納ステーションへ搬入予定のロットは、必ずしも計画通り搬入されるとは限らず、到着が遅くなったり、品質異常などのトラブルが発生して到着しなかったりする場合がある。このような場合には、バッチ組グループを構成するロットの数が少なくなり、バッチ効率が低下して、生産能力が低下してしまう。
【0007】
一方、特許文献2に開示されている処理装置への割り付け方法は、処理装置へ到着済みのロットだけでなく、設定した待ち許容時間内に到着するロットについても、バッチ組グループの構成対象としている。しかしながら、該到着予定のロットについても、必ずしも計画通り搬入されるとは限らず、到着が遅くなったり、品質異常などのトラブルが発生して到着しなかったりする場合がある。特許文献2の割り付け方法では待ち許容時間が設定されているが、ロットの到着が待ち許容時間より遅くなると、やはりバッチ効率が低下して、生産能力が低下してしまう。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、従来に代わる新規なバッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムであって、処理設備へ到着済みのロットだけでなく未到着ロットもバッチ組グループの構成対象とし、未到着ロットの当初計画に対する遅れやトラブルがあってもバッチ効率の低下を抑制することのできる、高い生産能力を有したバッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、一以上のワークを搭載したキャリアよりなる複数のロットを処理設備でまとめて処理するバッチ処理制御方法であって、前記処理設備でまとめて処理可能な同じ処理条件のバッチ組候補グループを、該処理設備で待ち状態にあるロットと該処理設備に未到着のロットの中から、各ロットに付与されている所定の優先度に従って選択して、所定の時間間隔で繰り返し作成し、前記処理設備が処理可能となった時、最終的に作成されている前記バッチ組候補グループを基にしたバッチ組グループに、仕掛り指示を行うことを特徴としている。
【0010】
上記バッチ処理制御方法は、製造過程においてキャリアに搭載されて次々に流動してくる半導体ウエハ等の複数ロットを拡散設備等でまとめて処理する(バッチ処理)、バッチ処理を行うにあたってのロットの制御方法である。
【0011】
上記バッチ処理制御方法は、処理設備においてまとめて処理する複数のロットのバッチ組グループを構成するにあたり、処理設備に到着済みで待ち状態にあるロットだけでなく、処理設備に未到着のロットもその構成対象としている。すなわち、上記バッチ処理制御方法においては、処理設備でまとめて処理可能な同じ処理条件のバッチ組候補グループを、処理設備で待ち状態にあるロットと該処理設備に未到着のロットの中から、各ロットに付与されている所定の優先度に従って選択して、処理設備における処理時間より短い所定の時間間隔で繰り返し作成する。そして、処理設備が処理可能となった時、最終的に作成されているバッチ組候補グループを、バッチ組グループとして仕掛り指示を行う。
【0012】
従って、上記バッチ組候補グループは、所定の時間間隔で次々に更新されている。このため、処理設備に未到着のロットが途中のトラブルで到着しなかったり遅くなったりすることがあっても、バッチ組候補グループは、所定の時間間隔で繰り返す作成タイミングで、最新のロット構成に更新される。そして、処理設備が処理可能となった時、その最新のバッチ組候補グループに対して、バッチ組グループとして仕掛り指示がなされる。
【0013】
以上のように、上記バッチ処理制御方法によれば、バッチ組候補グループの更新(ロット構成の組み替え)を処理設備での仕掛かり直前まで行い、処理設備が処理可能となった時点において最適なロット構成のバッチ組候補グループに対して、仕掛り指示がなされる。このため、上記バッチ処理制御方法によれば、到着予定ロットの途中トラブルによるバッチ効率の低下を抑制することができる。従って、上記バッチ処理制御方法は、従来の処理設備に到着したロットだけでバッチ組グループを構成するバッチ処理制御方法や、処理設備に未到着のロットをバッチ組グループに組み入れていてもロット構成の更新を行っていない従来のバッチ処理制御方法に較べて、高い生産能力を有している。
【0014】
尚、上記バッチ処理制御方法は、バッチ組候補グループを予め検索して準備しておくため、処理設備が処理可能となった時点においてバッチ組グループを検索する従来のバッチ処理制御方法に較べて、仕掛り指示時の制御負荷も低減することができる。言い換えれば、バッチ組候補グループを予め検索する機能が無い従来のバッチ処理制御方法では、仕掛り指示を行うバッチ組グループの決定に時間が掛かり、不要な待ち時間が発生してしまう可能性がある。上記バッチ処理制御方法によれば、このような待ち時間の発生を無くすことができる。
【0015】
以上のようにして、上記したバッチ処理制御方法は、従来に代わる新規なバッチ処理制御方法であって、処理設備へ到着済みのロットだけでなく未到着ロットもバッチ組グループの構成対象とし、未到着ロットの当初計画に対する遅れやトラブルがあってもバッチ効率の低下を抑制することのできる、高い生産能力を有したバッチ処理制御方法とすることができる。
【0016】
上記バッチ処理制御方法における前記バッチ組候補グループの作成は、請求項2に記載のように、前記処理設備で待ち状態にあるロットを検索し、得られたロットを基準ロットとして決定する基準ロットの検索ステップと、前記基準ロットの中から、前記優先度の最も高いロットを優先基準ロットとして決定する優先基準ロットの決定ステップと、前記基準ロットの中から、前記優先基準ロットと処理条件が同じでバッチ組できるロットを検索し、得られたロットをバッチ組基準ロットとして決定するバッチ組基準ロットの決定ステップと、前記未到着のロットの中から、前記優先基準ロットと処理条件が同じでバッチ組できるロットを検索し、得られたロットをバッチ組候補ロットとして決定するバッチ組候補ロットの検索ステップと、前記バッチ組基準ロットを前記優先度に従って前記優先基準ロットと共にグループ化し、該グループ化で前記処理設備におけるワークの最大処理可能数に満たない場合には、前記バッチ組候補ロットを所定の組み入れ規則に従って前記グループに組み入れて、バッチ組候補グループを決定するバッチ組候補グループの決定ステップとを有してなる構成とすることが好ましい。
【0017】
上記構成は、バッチ組候補グループを作成するにあたって、処理設備へ到着済みの基準ロットの中で優先度の最も高い優先基準ロットを中心として、バッチ組候補グループを組み立てるものである。
【0018】
優先基準ロットが決まると、その処理条件が決まるため、処理設備へ到着済みの基準ロットの中から、優先基準ロットと処理条件が同じでバッチ組できるロットとして、バッチ組基準ロットをリストアップすることができる。また、処理設備へ未到着のロットの中からも、優先基準ロットと処理条件が同じでバッチ組できるロットとして、バッチ組候補ロットをリストアップすることができる。このバッチ組基準ロットとバッチ組候補ロットのリストアップは、処理設備におけるワークの最大処理可能数以上であってよい。そして、バッチ組基準ロットを、先に、前記優先度に従って優先基準ロットと共にグループ化し、該グループ化で処理設備におけるワークの最大処理可能数に達する場合には、それをバッチ組候補グループとして決定する。また、該グループ化で処理設備におけるワークの最大処理可能数に満たない場合には、未到着のバッチ組候補ロットを所定の組み入れ規則に従ってグループに組み入れて、バッチ組候補グループを決定する。
【0019】
上記バッチ組候補ロットの組み入れ規則として、処理設備へ到着済みのバッチ組基準ロットと同様に、前記優先度に従って組み入れるようにしてもよい。しかしながら、未到着のバッチ組候補ロットについては、途中で当初計画に対する遅れやトラブルが発生する可能性もある。
【0020】
上記可能性を考慮すると、請求項3に記載のように、前記組み入れ規則は、前記バッチ組候補ロットについて、前記処理設備に到着するまでの予定所要時間と所定の基準時間とを比較して、前記処理設備に対する遠近を判定し、前記予定所要時間が前記基準時間より小さい前記バッチ組候補ロットを、前記優先度に従って前記グループに組み入れる第1規則と、前記予定所要時間が前記基準時間以上の前記バッチ組候補ロットを、予定所要時間が小さい順に前記グループに組み入れる第2規則とを有してなる構成とすることが好ましい。
【0021】
これによれば、到着するまでの予定所要時間が所定の基準時間より小さい処理設備の近くにあるバッチ組候補ロットについては、途中で遅れやトラブルが発生する確率が小さいため、前記優先度に従って先に前記グループに組み入れられる。また、到着するまでの予定所要時間が所定の基準時間より大きい処理設備の遠くにあるバッチ組候補ロットについては、途中で遅れやトラブルが発生する確率が大きくなるため、予定所要時間が小さく処理設備に近い順に前記グループに組み入れられる。
【0022】
上記バッチ処理制御方法における前記未到着のロットについては、処理設備へ到着するまで特別な流動制御を行わず、当初計画線に従ってそのまま流動することもできる。
【0023】
しかしながら、上記バッチ処理制御方法においては、請求項4に記載のように、前記処理設備より前の設備において待ち状態にある時間を削除した臨時計画線を作成し、前記未到着のロットを、前記臨時計画線に従って流動することが、より好ましい。
【0024】
これによれば、未到着のロットの当初計画線を一時的に変更し、未到着のロットを処理設備より前の設備において待ち時間の無い臨時計画線に従って流動して、未到着のロットを当初計画線より早く処理設備まで引き込むことができる。
【0025】
前記臨時計画線は、未到着のロットの全てについて作成するのは効率的でなく、ロットの流動も複雑化する。
【0026】
従って、前記臨時計画線は、請求項5に記載のように、前記バッチ組候補グループを基にした前記バッチ組グループを予約して仮押えし、該バッチ組グループに属する仮押えロットについて、前記処理設備で待ち状態にあるロットを到着仮押えロット、前記処理設備に未到着のロットを未到着仮押えロットとしたとき、前記未到着仮押えロットについて作成することが好ましい。
【0027】
すなわち、バッチ組候補グループを基にして次にバッチ組グループとして仕掛り指示する予定の仮押えした未到着仮押えロットについてだけ臨時計画線を作成し、その臨時計画線に従って流動して、処理設備まで早く引き込むようにする。これにより、未到着仮押えロットを、処理設備の処理開始時刻までにより確実に到着するように制御する。
【0028】
また、この場合、請求項6に記載のように、前記臨時計画線より、前記未到着仮押えロットが現在位置する設備の臨時払出日時と前記処理設備より一つ前の設備の臨時払出日時との差である臨時リードタイムを計算し、前記未到着仮押えロットの当初計画線に対する遅れまたは進みを中間進度としたとき、前記中間進度から前記臨時リードタイムを差し引いた臨時中間進度により、前記未到着仮押えロットの前記処理設備へ到着するまでの前作業の設備での仕掛順を決定することが好ましい。
【0029】
上記臨時中間進度は、従来の当初計画線に対する遅れまたは進みを示す中間進度に代えて、未到着仮押えロットの遅れまたは進みを示す指標である。そして、上記のように未到着仮押えロットの前作業の設備での仕掛順を臨時中間進度により決定し、例えば未到着仮押えロットが臨時計画線に対して遅れている場合、前作業の設備での仕掛順を早める。これにより、未到着仮押えロットを、処理設備の処理開始時刻までにより確実に到着するように制御することができる。
【0030】
請求項7に記載のように、前記予約したバッチ組グループは、最新のバッチ組候補グループに基づいたものとするため、所定のタイミングで見直されることが好ましい。
【0031】
また、請求項8に記載のように、前記未到着仮押えロットについて、前記処理設備に到着済みの前記キャリアの数に応じた仮押え待ち時間が設定されてなり、前記未到着仮押えロットが前記仮押え待ち時間を過ぎても前記処理設備に到着不可能となった場合には、該未到着仮押えロットを解除して、前記到着仮押えロットだけで構成される前記バッチ組グループに、仕掛り指示を行うことが好ましい。
【0032】
処理設備に到着することが確実でない未到着仮押えロットについて、上記仮押え待ち時間を設定することにより、未到着仮押えロットが最終的に処理設備に到着しなかった場合の到着仮押えロットの無駄な待ち時間を抑制することができる。
【0033】
上記バッチ処理制御方法における前記ワークは、例えば請求項9に記載のように、半導体ウエハであってよい。
【0034】
また、上記バッチ処理制御方法においては、例えば請求項10に記載のように、前記処理設備が、連続する第1処理設備と第2処理設備からなり、前記第1処理設備の処理と前記第2処理設備の処理を連続処理として設定することで、上記したバッチ処理制御方法を同じように適用可能である。
【0035】
例えば請求項11に記載のように、前記第1処理設備が、洗浄設備であり、前記第2処理設備が、拡散設備である場合である。
【0036】
尚、言うまでもなく、上記バッチ処理制御方法は、3連続以上のバッチ処理が続く場合にも同じように適用可能である。
【0037】
半導体基板の製造において、一般的に、拡散処理を実施する前には、半導体基板の洗浄処理を実施する。このような場合には、洗浄設備での処理と拡散設備での処理を連続処理として設定し、洗浄処理の前段階において、上記バッチ処理制御方法におけるバッチ組候補グループの作成やバッチ組グループの予約を行う。これによれば、洗浄処理と拡散処理の間における半導体基板の停滞期限切れも排除することができる。
【0038】
以上のようにして、上記したバッチ処理制御方法は、従来に代わる新規なバッチ処理制御方法であって、処理設備へ到着済みのロットだけでなく未到着ロットもバッチ組グループの構成対象とし、未到着ロットの当初計画に対する遅れやトラブルがあってもバッチ効率の低下を抑制することのできる、高い生産能力を有したバッチ処理制御方法となっている。
【0039】
請求項12と13に記載の発明は、上記したバッチ処理制御方法を実施する、バッチ処理制御システムに関する。
【0040】
請求項12に記載の発明は、一以上のワークを搭載したキャリアよりなる複数のロットを処理設備でまとめて処理するバッチ処理制御システムであって、前記処理設備でまとめて処理可能な同じ処理条件のバッチ組候補グループを、該処理設備で待ち状態にあるロットと該処理設備に未到着のロットの中から所定の優先度に従って選択して、所定の時間間隔で繰り返し作成するバッチ組候補グループ管理装置と、前記処理設備が処理可能となった時、最終的に作成されている前記バッチ組候補グループを基にしたバッチ組グループに、仕掛り指示を行う仕掛り指示管理装置とを有してなることを特徴としている。
【0041】
これにより、請求項1に記載のバッチ処理制御方法を実施することができる。
【0042】
また、請求項13に記載の発明は、前記仕掛り指示管理装置が、前記未到着のロットについて、前記処理設備より前の設備において待ち状態にある時間を削除した臨時計画線を作成し、前記未到着のロットを、前記臨時計画線に従って流動することを特徴としている。
【0043】
これにより、請求項4に記載のバッチ処理制御方法を実施することができる。
【0044】
尚、請求項12と13に記載のバッチ処理制御システムによって得られる効果については、上記バッチ処理制御方法において説明したとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】バッチ処理制御方法の概要について、半導体ウエハの製造過程における拡散処理を例にして説明する図である。(a)は、拡散設備において処理中の第1バッチ組グループと、次に処理する予約中の第2バッチ組グループの各ロットを示した図であり、(b)は、第1バッチ組グループと第2バッチ組グループのタイムチャートを示した図である。
【図2】本発明に係るバッチ処理制御方法を実施する、バッチ処理制御システム100の構成を示した図である。
【図3】図2のバッチ組候補グループ管理装置40が実施する、バッチ組候補グループ作成サブルーチンの一例を示した図である。
【図4】バッチ組候補グループの作成例を示した図である。
【図5】図2の仕掛り指示管理装置50が行う、臨時計画線の作成と臨時中間進度の計算の手順を示したフロー図である。
【図6】臨時計画線の作成および臨時中間進度による未到着仮押えロットの流動管理を説明する図で、未到着仮押えロットが当初計画線に対して遅れている場合を示す図である。
【図7】臨時計画線の作成および臨時中間進度による未到着仮押えロットの流動管理を説明する図で、未到着仮押えロットが当初計画線に対して進んでいる場合を示す図である。
【図8】図2の仕掛り指示管理装置50が行うタスクフローを示した図である。
【図9】拡散設備での仮押え待ち時間の一例である。
【図10】図10は、本発明の機能を有していない従来のバッチ処理制御方法と本発明によるバッチ処理制御方法とで、バッチ効率を比較した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、製造過程にある半導体ウエハ等の複数のロットを処理設備でまとめて処理する、バッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムに関する。以下、本発明を実施するための形態を、図に基づいて説明する。
【0047】
図1は、バッチ処理制御方法の概要について、半導体ウエハの製造過程における拡散処理を例にして説明する図である。図1(a)は、拡散設備において処理中の第1バッチ組グループと、次に処理する予約中の第2バッチ組グループの各ロットを示した図であり、図1(b)は、第1バッチ組グループと第2バッチ組グループのタイムチャートを示した図である。
【0048】
また、図2は、本発明に係るバッチ処理制御方法を実施する、バッチ処理制御システム100の構成を示した図である。
【0049】
図1(a)では、第1バッチ組グループとして、キャリアから降ろされ、拡散設備でまとめて処理中の半導体ウエハが示されている。また、拡散設備において次に処理する予約中の第2バッチ組グループとして、ストアに到着済みの半導体ウエハを搭載したロット1〜3のキャリアと、バッチ処理作業を行う前の設備A〜Cにあるロット4〜6のキャリアとが、実線で示されている。ストアにまだ到着していないロット4〜6は、図1(b)に示すように、第1バッチ組グループの半導体ウエハの拡散処理が終了する前の所定の時間までにストアに到着するように流動して、第1バッチ組グループの処理が終了して拡散設備が空いた後、すぐに第2バッチ組グループの処理に入れるようにする。
【0050】
尚、図1(a)に示す洗浄設備と拡散設備は連続しており、洗浄設備におけるウエハの洗浄処理と拡散設備におけるのウエハの拡散処理とが、一つのバッチ組グループに対する連続処理として設定されている。言い換えれば、図1(a)におけるストア、洗浄設備、および拡散設備における一連の作業が、一つのバッチ処理作業として取り扱われる。また、図1(a)に示す拡散設備は、一般的に、最大バッチ数が異なる複数のバッチ処理設備で構成されている。
【0051】
本発明に係るバッチ処理制御方法は、バッチ処理設備において次に処理する複数のロットを、バッチ組グループ(図1の第2バッチ組グループ)として効率よく構成し、バッチ処理設備におけるバッチ効率(ワークの充填効率)の低下を抑制するための方法である。
【0052】
本発明に係るバッチ処理制御方法は、一以上のワークを搭載したキャリアよりなる複数のロットを処理設備(図1の拡散設備)でまとめて処理するバッチ処理制御方法であって、処理設備でまとめて処理可能な同じ処理条件のバッチ組候補グループを、該処理設備で待ち状態にあるロット(図1のロット1〜3)と該処理設備に未到着のロット(図1のロット4〜6)の中から、各ロットに付与されている所定の優先度に従って選択して、所定の時間間隔で繰り返し作成し、前記処理設備が処理可能となった時、最終的に作成されている前記バッチ組候補グループを基にしたバッチ組グループに、仕掛り指示を行うことを特徴としている。
【0053】
上記バッチ処理制御方法は、図1に示すように、製造過程においてキャリアに搭載されて次々に流動してくる半導体ウエハ等の複数ロットを拡散設備等のバッチ処理設備でまとめて処理する(バッチ処理)、バッチ処理を行うにあたってのロットの制御方法である。
【0054】
上記バッチ処理制御方法は、処理設備においてまとめて処理する複数のロットのバッチ組グループを構成するにあたり、処理設備(ストア)に到着済みで待ち状態にあるロットだけでなく、処理設備に未到着のロットもその構成対象としている。すなわち、上記バッチ処理制御方法においては、処理設備でまとめて処理可能な同じ処理条件のバッチ組候補グループを、処理設備で待ち状態にあるロットと該処理設備に未到着のロットの中から、各ロットに付与されている所定の優先度に従って選択して、処理設備における処理時間より短い所定の時間間隔で繰り返し作成する。そして、処理設備が処理可能となった時、最終的に作成されているバッチ組候補グループを、バッチ組グループとして仕掛り指示を行う。
【0055】
上記バッチ組候補グループは、後述する図2のバッチ処理制御システム100のバッチ組候補グループ管理装置40において作成され、所定の時間間隔で次々に更新されている。このため、処理設備に未到着のロットが途中のトラブルで到着しなかったり遅くなったりすることがあっても、バッチ組候補グループは、所定の時間間隔で繰り返す作成タイミングで、最新のロット構成に更新される。そして、処理設備が処理可能となった時、その最新のバッチ組候補グループに対して、後述する図2のバッチ処理制御システム100の仕掛り指示管理装置50により、バッチ組グループとして仕掛り指示がなされる。
【0056】
以上のように、上記バッチ処理制御方法によれば、バッチ組候補グループの更新(ロット構成の組み替え)を処理設備での仕掛かり直前まで行い、処理設備が処理可能となった時点において最適なロット構成のバッチ組候補グループに対して、仕掛り指示がなされる。このため、上記バッチ処理制御方法によれば、到着予定ロットの途中トラブルによるバッチ効率の低下を抑制することができる。従って、上記バッチ処理制御方法は、従来の処理設備に到着したロットだけでバッチ組グループを構成するバッチ処理制御方法や、処理設備に未到着のロットをバッチ組グループに組み入れていてもロット構成の更新を行っていない従来のバッチ処理制御方法に較べて、高い生産能力を有している。
【0057】
尚、上記バッチ処理制御方法は、バッチ組候補グループを予め検索して準備しておくため、処理設備が処理可能となった時点においてバッチ組グループを検索する従来のバッチ処理制御方法に較べて、仕掛り指示時の制御負荷も低減することができる。言い換えれば、バッチ組候補グループを予め検索する機能が無い従来のバッチ処理制御方法では、仕掛り指示を行うバッチ組グループの決定に時間が掛かり、不要な待ち時間が発生してしまう可能性がある。上記バッチ処理制御方法によれば、このような待ち時間の発生を無くすことができる。
【0058】
以上のようにして、上記したバッチ処理制御方法は、従来に代わる新規なバッチ処理制御方法であって、処理設備へ到着済みのロットだけでなく未到着ロットもバッチ組グループの構成対象とし、未到着ロットの当初計画に対する遅れやトラブルがあってもバッチ効率の低下を抑制することのできる、高い生産能力を有したバッチ処理制御方法とすることができる。
【0059】
図2に示すバッチ処理制御システム100は、上記バッチ処理制御方法を実施するための制御システムである。図2のバッチ処理制御システム100は、製造工程フロー管理装置10、ロット管理装置20、中間進度管理装置30、バッチ組候補グループ管理装置40、および仕掛り指示管理装置50からなる5つの管理装置で構成されている。各管理装置10〜50は、それぞれコンピュータ(サーバ)と各管理情報を収納するデータベース(DB)を備えており、互いに通信可能に構成されている。尚、図2のバッチ処理制御システム100では、システム全体の機能が、各機能別に設けられた5つの管理装置10〜50に大別して構成されている。しかしながら、図2の構成に限らず、例えば同じ一つの管理装置内に、図2に示す2つ以上の管理装置の機能が盛り込まれていてもよい。
【0060】
図2のバッチ処理制御システム100において、製造工程フロー管理装置10は、製造工程における各設備の状態および該設備での作業状況等、製造工程フローの各設備に係わる事項を管理する装置である。ロット管理装置20は、各ロットについての製造工程における作業条件や流動の計画線等、各ロットについての製造計画に係わる事項を管理する装置である。中間進度管理装置30は、流動中の各ロットについて、計画線に対する遅れや進みを管理する装置である。
【0061】
バッチ組候補グループ管理装置40は、従来のバッチ処理制御システムが有していない、上記したバッチ処理制御方法を実施するための図2のバッチ処理制御システム100に特有の管理装置である。バッチ組候補グループ管理装置40は、バッチ処理設備でまとめて処理可能な同じ処理条件のバッチ組候補グループを、該処理設備で待ち状態にあるロットと該処理設備に未到着のロットの中から所定の優先度に従って選択して、所定の時間間隔で繰り返し作成する。また、仕掛り指示管理装置50は、従来のバッチ処理制御システムにおける仕掛り指示管理装置と異なり、バッチ処理設備が処理可能となった時、バッチ組候補グループ管理装置40において最終的に作成されている前記バッチ組候補グループを基にしたバッチ組グループに、仕掛り指示を行う。さらに、仕掛り指示管理装置50は、バッチ組グループに対する仕掛り指示だけでなく、後述するように、バッチ処理設備に未到着のロットについて、処理設備より前の設備において待ち状態にある時間を削除した臨時計画線を作成する。また、該臨時計画線に従って流動するように、未到着のロットの流動を管理する。
【0062】
次に、上記したバッチ処理制御方法の細部について、好ましい形態を説明する。
【0063】
図3は、図2のバッチ組候補グループ管理装置40が実施する、バッチ組候補グループ作成サブルーチンの一例を示した図である。
【0064】
また、図4は、バッチ組候補グループの作成例を示した図である。
【0065】
上記したバッチ処理制御方法におけるバッチ組候補グループの作成は、図3のバッチ組候補グループ作成サブルーチンに示すように、以下の各ステップを有してなる構成とすることが好ましい。すなわち、処理設備で待ち状態にあるロット(例えば図1のロット1〜3)を検索し、得られたロットを基準ロットとして決定する基準ロットの検索ステップS41と、基準ロットの中から、予め定められた優先度の最も高いロットを優先基準ロットとして決定する優先基準ロットの決定ステップS42と、基準ロットの中から、優先基準ロットと処理条件が同じでバッチ組できるロットを検索し、得られたロットをバッチ組基準ロットとして決定するバッチ組基準ロットの検索ステップS43と、処理設備に未到着のロット(例えば図1のロット4〜6)の中から、優先基準ロットと処理条件が同じでバッチ組できるロットを検索し、得られたロットをバッチ組候補ロットとして決定するバッチ組候補ロットの検索ステップS44と、バッチ組基準ロットを前記優先度に従って優先基準ロットと共にグループ化し、該グループ化で処理設備におけるワークの最大処理可能数に満たない場合には、バッチ組候補ロットを所定の組み入れ規則に従ってグループに組み入れて、バッチ組候補グループを決定するバッチ組候補グループの決定ステップS45とからなる構成である。
【0066】
尚、上記構成において、最初に行う基準ロットの検索ステップS41で、既に他のバッチ組候補グループに属しているロットについては、基準ロットから除外する。また、バッチ組候補ロットの検索ステップS44において、以下の条件に当てはまるロットについては、バッチ組候補ロットから除外する。すなわち、既に他のバッチ組候補グループに属しているロット、バッチ処理作業までに停止予定のロット、バッチ処理設備の限定等により同一のバッチ処理設備で処理できないロット、一時的に流動停止している保留中のロット等である。
【0067】
上記構成によるバッチ組候補グループの作成は、図2のバッチ組候補グループ管理装置40において、バッチ組候補グループ作成タスクにより、図3のバッチ組候補グループ作成サブルーチンを用いて、一定時間間隔で繰り返し行われ、作成されたバッチ組候補グループの情報は、データベースに保存される。
【0068】
上記構成は、バッチ組候補グループを作成するにあたって、処理設備へ到着済みの基準ロットの中で優先度の最も高い優先基準ロットを中心として、バッチ組候補グループを組み立てるものである。
【0069】
優先基準ロットが決まると、その処理条件が決まるため、処理設備へ到着済みの基準ロットの中から、優先基準ロットと処理条件が同じでバッチ組できるロットとして、バッチ組基準ロットをリストアップすることができる。また、処理設備へ未到着のロットの中からも、優先基準ロットと処理条件が同じでバッチ組できるロットとして、バッチ組候補ロットをリストアップすることができる。このバッチ組基準ロットとバッチ組候補ロットのリストアップは、処理設備におけるワークの最大処理可能数以上であってよい。そして、バッチ組基準ロットを、先に、前記優先度に従って優先基準ロットと共にグループ化し、該グループ化で処理設備におけるワークの最大処理可能数に達する場合には、それをバッチ組候補グループとして決定する。また、該グループ化で処理設備におけるワークの最大処理可能数に満たない場合には、未到着のバッチ組候補ロットを所定の組み入れ規則に従ってグループに組み入れて、バッチ組候補グループを決定する。
【0070】
上記バッチ組候補ロットの組み入れ規則として、処理設備へ到着済みのバッチ組基準ロットと同様に、前記優先度に従って組み入れるようにしてもよい。しかしながら、未到着のバッチ組候補ロットについては、途中で当初計画に対する遅れやトラブルが発生する可能性もある。
【0071】
上記可能性を考慮すると、前記組み入れ規則は、バッチ組候補ロットについて、処理設備に到着するまでの予定所要時間と所定の基準時間とを比較して、処理設備に対する遠近を判定し、予定所要時間が前記基準時間より小さいバッチ組候補ロットを、前記優先度に従ってグループに組み入れる第1規則と、予定所要時間が前記基準時間以上のバッチ組候補ロットを、予定所要時間が小さい順にグループに組み入れる第2規則とを有してなる構成とすることが好ましい。
【0072】
すなわち、バッチ組候補ロットの組み入れに際しては、以下に示すように、バッチ組候補ロットの処理設備に対する「遠い」、「近い」を判定した後、組み入れ規則に従ってグループへ組み入れる。
1.バッチ処理設備に対する「遠い」、「近い」の判定は、バッチ組候補ロットの到着可能時間範囲内で予め設定された基準時間Rと予定所要時間A=(到着予定日時−現在日)を比較して、以下の様に判定する。予定所要時間A≧基準時間Rの場合、「遠い」と判定し、予定所要時間A<基準時間Rの場合、「近い」と判定する。
2.バッチ組候補ロットの組み入れ規則として、以下の規則を設定する。第1規則として、処理設備に対して「近い」ロットについては、優先度順に組み入れる。第2規則として、処理設備に対して「遠い」ロットについては、到着予定日時の早い順に組み入れる。尚、到着予定日時が同じ場合は、優先度順とする。
【0073】
これによれば、到着するまでの予定所要時間が所定の基準時間より小さい処理設備の近くにあるバッチ組候補ロットについては、途中で遅れやトラブルが発生する確率が小さいため、前記優先度に従って先にグループに組み入れられる。また、到着するまでの予定所要時間が所定の基準時間より大きい処理設備の遠くにあるバッチ組候補ロットについては、途中で遅れやトラブルが発生する確率が大きくなるため、予定所要時間が小さく処理設備に近い順にグループに組み入れられる。
【0074】
図4のバッチ組候補グループの作成例に示すように、上記した図3のサブルーチンで作成されるバッチ組候補グループは、バッチ処理設備において処理条件が同じロットで構成され、バッチ処理設備のストアに到着済みのバッチ組基準ロットが優先される。また、バッチ組基準ロットの中では、仕掛り条件等の各クラスを所定の規則で数値化した優先度に従って、各ロットの優先順位を決める。また、バッチ処理設備のストアに未到着のバッチ組候補ロットについては、上記した第1規則と第2規則が適用される。尚、図4のバッチ組候補グループの作成例にある中間進度は、当初計画線に対する遅れまたは進みを示す指標である。
【0075】
上記バッチ処理制御方法における未到着のロットについては、処理設備へ到着するまで特別な流動制御を行わず、当初計画線に従ってそのまま流動することもできる。
【0076】
しかしながら、上記バッチ処理制御方法においては、処理設備より前の設備において待ち状態にある時間を削除した臨時計画線を作成し、未到着のロットを、該臨時計画線に従って流動することが、より好ましい。
【0077】
これによれば、未到着のロットの当初計画線を一時的に変更し、未到着のロットを処理設備より前の設備において待ち時間の無い臨時計画線に従って流動して、未到着のロットを当初計画線より早く処理設備まで引き込むことができる。
【0078】
前記臨時計画線は、処理設備に未到着のロットの全てについて作成するのは効率的でなく、ロットの流動も複雑化する。
【0079】
従って、臨時計画線は、図2のバッチ組候補グループ管理装置40において作成するバッチ組候補グループを基にしたバッチ組グループを予約して仮押えし、該バッチ組グループに属する仮押えロットについて、処理設備で待ち状態にあるロットを到着仮押えロット、処理設備に未到着のロットを未到着仮押えロットとしたとき、未到着仮押えロットについて作成することが好ましい。
【0080】
すなわち、図2の仕掛り指示管理装置50が、図2のバッチ組候補グループ管理装置40において作成するバッチ組候補グループを基にして次にバッチ組グループとして仕掛り指示する予定の仮押えした未到着仮押えロットについてだけ、臨時計画線を作成する。そして、その臨時計画線に従って該未到着仮押えロットを流動して、処理設備まで早く引き込むようにする。これにより、該未到着仮押えロットを、処理設備の処理開始時刻までにより確実に到着するように制御する。
【0081】
また、この場合、臨時計画線より、未到着仮押えロットが現在位置する設備の臨時払出日時と処理設備より一つ前の設備の臨時払出日時との差である臨時リードタイムを計算し、未到着仮押えロットの当初計画線に対する遅れまたは進みを中間進度としたとき、中間進度から臨時リードタイムを差し引いた臨時中間進度により、未到着仮押えロットの前記処理設備へ到着するまでの前作業の設備での仕掛順を決定することが好ましい。
【0082】
上記臨時中間進度は、従来の当初計画線に対する遅れまたは進みを示す中間進度に代えて、未到着仮押えロットの遅れまたは進みを示す指標である。そして、上記のように未到着仮押えロットの前作業の設備での仕掛順を臨時中間進度により決定し、例えば未到着仮押えロットが臨時計画線に対して遅れている場合、前作業の設備での仕掛順を早める。これにより、未到着仮押えロットを、処理設備の処理開始時刻までにより確実に到着するように制御することができる。
【0083】
図5は、図2の仕掛り指示管理装置50が行う、上記した臨時計画線の作成と臨時中間進度の計算の手順を示したフロー図である。
【0084】
また、図6と図7は、臨時計画線の作成および臨時中間進度による未到着仮押えロットの流動管理を説明する図である。図6は、未到着仮押えロットが当初計画線に対して遅れている場合を示す図であり、図6は、未到着仮押えロットが当初計画線に対して進んでいる場合を示す図である。
【0085】
上記した臨時計画線の作成および臨時中間進度による未到着仮押えロットの流動管理について、図2と図5〜図7を用いて、より具体的に説明する。
【0086】
図2のバッチ処理制御システムにおける仕掛り指示(ディスパッチ)管理装置50は、予約実行タスクにより、所定のタイミングでバッチ組候補グループ管理装置40に問い合わせを行い、バッチ組候補グループ管理装置40にて作成されたバッチ組候補グループを基にして、バッチ組グループを予約する。この予約したバッチ組グループに属するロットは、仮押えロットとなる。バッチ処理設備(ストア)で待ち状態にある仮押えロットを到着仮押えロット、バッチ処理設備(ストア)に未到着の仮押えロットを未到着仮押えロットと呼ぶ。
【0087】
バッチ組候補グループ管理装置40にて作成するバッチ組候補グループを基にした仕掛り指示管理装置50の予約機能により、仕掛り指示管理装置50が仕掛り指示を行う時、バッチ組可能なロットの検索やバッチ組が可能であるかどうかの判定を行う必要がなくなり、仕掛り指示管理装置50における作業負荷や計算のための待ち時間を抑えることができる。
【0088】
仕掛り指示管理装置50が予約するバッチ組グループに未到着仮押えロットが存在する場合、バッチ処理設備での処理開始時刻に間に合うように、未到着仮押えロットをできるだけ早くバッチ処理設備に集めるため、仕掛り指示管理装置50は、予約実行タスクにより、図6と図7に例示するような未到着仮押えロットの臨時計画線を作成する。
【0089】
通常の場合、各作業についての作業リードタイムLは、搬送時間M、待ち時間W、処理時間Dからなり、[作業リードタイムL=搬送時間M+待ち時間W+処理時間D]の式で与えられる。一方、未到着仮押えロットの臨時計画線を作成する場合には、待ち時間Wが無いものとし、[臨時作業リードタイムQL=搬送時間M+処理時間D]として、臨時計画線を作成する。次に、作成された臨時計画線より、未到着仮押えロットの現在位置(現作業)の臨時払出日時を算出し、第1前作業(バッチ処理作業の前の作業)の臨時払出日時との差を計算して、その結果を臨時リードタイムQとする。
【0090】
上記した臨時計画線の作成と臨時リードタイムの計算手順を、図5のフロー図を用いて、より詳細に説明する。
【0091】
最初に、ステップSR1において、予約したバッチ処理作業について、先頭処理(図6と図7における第1作業の処理)の「仕掛予定日時」を取得する。
【0092】
次に、ステップSR2において、予約したバッチ処理作業の第1前作業から前記先頭処理までの搬送時間を図2の製造工程フロー管理装置10の搬送時間DBより取得し、ステップSR3において、前記仕掛予定日時から前記搬送時間を差し引いて、第1前作業の「臨時払出日時」を求める。
【0093】
次に、ステップSR4において、第1前作業の「臨時払出日時」から未到着仮押えロットの現作業までの各作業の処理時間を、図2の製造工程フロー管理装置10の処理時間DBより取得する。
【0094】
次に、ステップSR5において、第1前作業の「臨時払出日時」から未到着仮押えロットの現作業までの各作業の搬送時間を、図2の製造工程フロー管理装置10の搬送時間DBより取得する。
【0095】
次に、ステップSR6において、未到着仮押えロットの現作業までの上記各処理時間と搬送時間を用いて現作業まで遡り、現作業の「臨時払出日時」を算出する。
【0096】
これにより、図6と図7において破線で示した、未到着仮押えロットの臨時計画線を作成することができる。
【0097】
次に、上記で作成した臨時計画線に対する未到着仮押えロットの遅れまたは進みを示す指標として、臨時中間進度RSを計算する。
【0098】
最初に、ステップSR7において、各未到着仮押えロットの臨時リードタイムQを算出する。臨時リードタイムQは、図6と図7に示すように、現作業の「臨時払出日時」と第1前作業の「臨時払出日時」の差である。
【0099】
次に、ステップSR8において、各未到着仮押えロットの臨時中間進度RSを算出する。
【0100】
流動されるロットの当初計画線に対する遅れまたは進みは、従来から、図2の中間進度管理装置30において中間進度Sとして算出されており、この中間進度Sは、各設備での仕掛順を決定する際に用いられる。未到着仮押えロットの遅れまたは進みの管理については、従来の当初計画線に対する遅れまたは進みを示す中間進度Sからさらに臨時リードタイムQを引いた、「臨時中間進度RS=中間進度S−臨時リードタイムQ」を管理指標として用いる。この臨時中間進度RSを用いて、未到着仮押えロットの各設備での仕掛順を決定する。これにより、未到着仮押えロットのバッチ処理設備作業までの仕掛優先度を高めることができ、バッチ処理予定の未到着仮押えロットが全て到着するまでの待ち時間を、可能な限り発生させないようにする。
【0101】
尚、バッチ処理設備での処理が終了した後、未到着仮押えロットは、当初計画線に戻して以降の流動を管理する。また、以降の工程のバッチ処理設備について再び未到着仮押えロットとなった場合には、再び新たな臨時計画線が作成される。
【0102】
図8は、図2の仕掛り指示管理装置50が行うタスクフローを示した図である。
【0103】
未到着仮押えロットがバッチ処理設備に到着するまでに、図2の仕掛り指示管理装置50が予約したバッチ組グループ内のロットの優先順位が変化したり、バッチ処理設備に新たな待ち状態のロットが加わったりして、各ロットの位置や情報は、刻々と変化している。従って、仕掛り指示管理装置50が予約したバッチ組グループは、バッチ組候補グループ管理装置40が繰り返し作成している最新のバッチ組候補グループに基づいたものとする必要がある。このため、仕掛り指示管理装置50は所定のタイミングでバッチ組候補グループ管理装置40に問い合わせを行い、図8のステップS51にあるように、所定のタイミングで見直されることが好ましい。
【0104】
上記予約したバッチ組グループの見直しタイミングとして、例えば、以下のタイミングが好適である。
1.新たなロットが、バッチ処理設備に到着した時
2.後述する所定の仮押え待ち時間内にバッチ組グループが揃わず、未到着仮押えロットを解除して、到着仮押えロットだけでバッチ処理設備の仕掛りを開始する時
3.バッチ処理設備の状態が、次のバッチ組グループを処理可能な状態になった時
次に、仕掛り指示管理装置50は、予約したバッチ組グループについて、図8のステップS52において、処理設備のストアに到着済みの到着仮押えロットがあるかどうかを判定する。そして、処理設備のストアに到着仮押えロットがある場合には、次のステップS53に進み、未到着仮押えロットがあるかどうかの判定を行う。また、処理設備のストアに到着仮押えロットがない場合には、ステップS51に戻り、所定のタイミングを待ってバッチ組グループの見直しを行う。
【0105】
次のステップS53において、仕掛り指示管理装置50は、予約したバッチ組グループについて、処理設備のストアにまだ到着していない未到着仮押えロットがあるかどうかを判定する。そして、未到着仮押えロットがない場合には、予約したバッチ組グループの仮押えロットは全て到着済みであるため、これに対して仕掛り指示を行い、バッチ処理設備での処理を開始する。一方、未到着仮押えロットがある場合には、次のステップS54に進み、未到着仮押えロットのそれぞれについて臨時計画線を作成する。さらに、次のステップS55においては、各未到着仮押えロットについて臨時中間進度を算出し、各未到着仮押えロットの流動の遅れまたは進みを管理する。
【0106】
未到着仮押えロットに何らかのトラブル(品質異常など)が発生すると、未到着仮押えロットの流動が停止していまい、予約したバッチ組グループの処理を開始することができなくなってしまう。これを回避するため、処理設備のストアに到着済みのキャリア数に応じた仮押え待ち時間Tを定義し、図8のステップS56においては、到着仮押えロットが仮押え待ち時間Tを超えているかどうかを判定するようにしている。
【0107】
図9は、拡散設備での仮押え待ち時間の一例である。
【0108】
図8のステップS56において、到着仮押えロットが仮押え待ち時間Tを超えていない場合には、未到着仮押えロットを待ちながら、ステップS51に戻り、所定のタイミングでバッチ組グループの見直しを行う。一方、仮押え待ち時間Tを過ぎても未到着仮押えロットがストアに到着しない場合は、次のステップS57において、未到着仮押えロットの解除を行って該未到着仮押えロットを予約したバッチ組グループから除外し、到着仮押えロットだけからなるバッチ組グループの構成で、バッチ処理設備での処理を開始する。
【0109】
未到着仮押えロットの解除処理は、具体的に、以下のような手順で行う。
1.バッチ組グループの予約を行った時に、未到着仮押えロットを含む場合は、現在時刻(予約時刻)を保持すると共に、到着済みのキャリア数に応じた仮押え待ち時間(T1)を保持する。
2.バッチ組グループの見直しタイミングが発生した場合、見直し後の到着済みのキャリア数に応じた仮押え待ち時間(T2)と、先に保持している仮押え待ち時間(T1)とを比較して、値の小さな方を仮押え待ち時間(T3)として保持する。
3.現在時刻が〔1.で保持した予約時刻+仮押え待ち時間(T3)〕の時刻を過ぎたタイミングで、未到着仮押えロットを予約したバッチ組グループから解除し、到着仮押えロットだけでバッチ処理設備での処理を開始する。
【0110】
以上のように、上記したバッチ処理制御方法においては、未到着仮押えロットについて、処理設備に到着済みのキャリアの数に応じた仮押え待ち時間が設定されてなり、未到着仮押えロットが前記仮押え待ち時間を過ぎても処理設備に到着不可能となった場合には、該未到着仮押えロットを解除して、到着仮押えロットだけで構成されるバッチ組グループに、仕掛り指示を行うことが好ましい。
【0111】
処理設備に到着することが確実でない未到着仮押えロットについて、上記仮押え待ち時間を設定することにより、未到着仮押えロットが最終的に処理設備に到着しなかった場合の到着仮押えロットの無駄な待ち時間を抑制することができる。
【0112】
上記バッチ処理制御方法におけるワークは、半導体ウエハが代表的であり、上記バッチ処理制御方法は、半導体製造における拡散設備等のバッチ処理におけるロット管理に好適である。しかしながら、これに限らず、上記バッチ処理制御方法は、例えば熱処理設備等でバッチ処理を行う、他の材料や部品のロット管理にも適用可能である。このように、上記バッチ処理制御方法は、半導体(ウエハ)等のデバイスを製造(試作を含む)する場合に限定されるものではなく、様々な製造業の生産工場において、バッチ処理作業を行う任意の製造工程に有効である。
【0113】
また、上記バッチ処理制御方法における前記処理設備は、例えば熱処理設備のように、前後の工程とは関係が薄く、一つの独立したバッチ処理を行う設備であってよい。しかしながらこれに限らず、上記バッチ処理制御方法は、前記処理設備が連続する第1処理設備と第2処理設備からなり、前記第1処理設備の処理と前記第2処理設備の処理を連続処理として設定することで、上記したバッチ処理制御方法を同じように適用可能である。例えば、図1で例示したように、前記第1処理設備が、洗浄設備であり、前記第2処理設備が、拡散設備である場合である。
【0114】
半導体基板の製造において、一般的に、拡散処理を実施する前には、半導体基板の洗浄処理を実施する。このような場合には、洗浄設備での処理と拡散設備での処理を連続処理として設定し、洗浄処理の前段階において、上記バッチ処理制御方法におけるバッチ組候補グループの作成やバッチ組グループの予約を行う。これによれば、洗浄処理と拡散処理の間における半導体基板の停滞期限切れも排除することができる。
【0115】
尚、言うまでもなく、上記バッチ処理制御方法は、3連続以上のバッチ処理が続く場合にも、同じように適用可能である。
【0116】
図10は、図1(a)の拡散設備を構成している最大バッチ数が異なった15台の拡散設備について、上記した本発明の機能を有していない従来のバッチ処理制御方法と本発明によるバッチ処理制御方法とで、バッチ効率を比較した結果である。
【0117】
図10から明らかなように、上記した本発明のバッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムを導入することで、拡散設備のバッチ効率を1〜4割程度高めることができる。また、バッチ効率の増大により、拡散設備の稼働率も向上することができる。
【0118】
以上のように、本発明のバッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムによれば、バッチ処理を行う前のストアでの待ち時間(リードタイム)を増大することなく、バッチ効率の向上が可能である。具体的には、バッチ処理設備のストアに到着しているロットだけでなく、未到着のロットまでバッチ組グループの構成範囲に広げ、バッチ組候補グループを所定の時間間隔で繰り返し作成する(図3、図4)。また、未到着のロットは、バッチ処理設備の処理開始時刻に間に合うようにスケジューリングして流動させる。該スケジューリングに際しては、未到着仮押えロットの臨時計画線の作成と臨時中間進度の計算(図5〜図7)、バッチ組グループの見直しと仮押え待ち時間による未到着仮押えロットの解除(図8、図9)等の各機能を使うことで、バッチ処理を行う前のストアでの待ち時間(リードタイム)の増大が起きないようにすることができる。これにより、バッチ効率の向上が可能となる。
【0119】
以上のようにして、上記したバッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムは、従来に代わる新規なバッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムであって、処理設備へ到着済みのロットだけでなく未到着ロットもバッチ組グループの構成対象とし、未到着ロットの当初計画に対する遅れやトラブルがあってもバッチ効率の低下を抑制することのできる、高い生産能力を有したバッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムとなっている。
【0120】
また、上記バッチ処理制御方法およびバッチ処理制御システムによるバッチ効率の向上によって、設備の使用効率が向上するため、二酸化炭素(CO)の発生を相対的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0121】
100 バッチ処理制御システム
10 製造工程フロー管理装置
20 ロット管理装置
30 中間進度管理装置
40 バッチ組候補グループ管理装置
50 仕掛り指示管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上のワークを搭載したキャリアよりなる複数のロットを処理設備でまとめて処理するバッチ処理制御方法であって、
前記処理設備でまとめて処理可能な同じ処理条件のバッチ組候補グループを、該処理設備で待ち状態にあるロットと該処理設備に未到着のロットの中から、各ロットに付与されている所定の優先度に従って選択して、所定の時間間隔で繰り返し作成し、
前記処理設備が処理可能となった時、最終的に作成されている前記バッチ組候補グループを基にしたバッチ組グループに、仕掛り指示を行うことを特徴とするバッチ処理制御方法。
【請求項2】
前記バッチ組候補グループの作成は、
前記処理設備で待ち状態にあるロットを検索し、得られたロットを基準ロットとして決定する基準ロットの検索ステップと、
前記基準ロットの中から、前記優先度の最も高いロットを優先基準ロットとして決定する優先基準ロットの決定ステップと、
前記基準ロットの中から、前記優先基準ロットと処理条件が同じでバッチ組できるロットを検索し、得られたロットをバッチ組基準ロットとして決定するバッチ組基準ロットの検索ステップと、
前記未到着のロットの中から、前記優先基準ロットと処理条件が同じでバッチ組できるロットを検索し、得られたロットをバッチ組候補ロットとして決定するバッチ組候補ロットの検索ステップと、
前記バッチ組基準ロットを前記優先度に従って前記優先基準ロットと共にグループ化し、
該グループ化で前記処理設備におけるワークの最大処理可能数に満たない場合には、前記バッチ組候補ロットを所定の組み入れ規則に従って前記グループに組み入れて、バッチ組候補グループを決定するバッチ組候補グループの決定ステップとを有してなることを特徴とする請求項1に記載のバッチ処理制御方法。
【請求項3】
前記組み入れ規則は、
前記バッチ組候補ロットについて、前記処理設備に到着するまでの予定所要時間と所定の基準時間とを比較して、前記処理設備に対する遠近を判定し、
前記予定所要時間が前記基準時間より小さい前記バッチ組候補ロットを、前記優先度に従って前記グループに組み入れる第1規則と、
前記予定所要時間が前記基準時間以上の前記バッチ組候補ロットを、予定所要時間が小さい順に前記グループに組み入れる第2規則とを有してなることを特徴とする請求項2に記載のバッチ処理制御方法。
【請求項4】
前記未到着のロットについて、前記処理設備より前の設備において待ち状態にある時間を削除した臨時計画線を作成し、
前記未到着のロットを、前記臨時計画線に従って流動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバッチ処理制御方法。
【請求項5】
前記臨時計画線は、
前記バッチ組候補グループを基にした前記バッチ組グループを予約して仮押えし、該バッチ組グループに属する仮押えロットについて、前記処理設備で待ち状態にあるロットを到着仮押えロット、前記処理設備に未到着のロットを未到着仮押えロットとしたとき、前記未到着仮押えロットについて作成することを特徴とする請求項4に記載のバッチ処理制御方法。
【請求項6】
前記臨時計画線より、前記未到着仮押えロットが現在位置する設備の臨時払出日時と前記処理設備より一つ前の設備の
臨時払出日時との差である臨時リードタイムを計算し、
前記未到着仮押えロットの当初計画線に対する遅れまたは進みを中間進度としたとき、前記中間進度から前記臨時リードタイムを差し引いた臨時中間進度により、前記未到着仮押えロットの前記処理設備へ到着するまでの前作業の設備での仕掛順を決定することを特徴とする請求項5に記載のバッチ処理制御方法。
【請求項7】
前記予約したバッチ組グループは、所定のタイミングで見直されることを特徴とする請求項5または6に記載のバッチ処理制御方法。
【請求項8】
前記未到着仮押えロットについて、前記処理設備に到着済みの前記キャリアの数に応じた仮押え待ち時間が設定されてなり、
前記未到着仮押えロットが前記仮押え待ち時間を過ぎても前記処理設備に到着不可能となった場合には、該未到着仮押えロットを解除して、前記到着仮押えロットだけで構成される前記バッチ組グループに、仕掛り指示を行うことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のバッチ処理制御方法。
【請求項9】
前記ワークが、半導体ウエハであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のバッチ処理制御方法。
【請求項10】
前記処理設備が、連続する第1処理設備と第2処理設備からなり、
前記第1処理設備の処理と前記第2処理設備の処理を連続処理として設定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のバッチ処理制御方法。
【請求項11】
前記第1処理設備が、洗浄設備であり、前記第2処理設備が、拡散設備であることを特徴とする請求項10に記載のバッチ処理制御方法。
【請求項12】
一以上のワークを搭載したキャリアよりなる複数のロットを処理設備でまとめて処理するバッチ処理制御システムであって、
前記処理設備でまとめて処理可能な同じ処理条件のバッチ組候補グループを、該処理設備で待ち状態にあるロットと該処理設備に未到着のロットの中から所定の優先度に従って選択して、所定の時間間隔で繰り返し作成するバッチ組候補グループ管理装置と、
前記処理設備が処理可能となった時、最終的に作成されている前記バッチ組候補グループを基にしたバッチ組グループに、仕掛り指示を行う仕掛り指示管理装置とを有してなることを特徴とするバッチ処理制御システム。
【請求項13】
前記仕掛り指示管理装置が、
前記未到着のロットについて、前記処理設備より前の設備において待ち状態にある時間を削除した臨時計画線を作成し、
前記未到着のロットを、前記臨時計画線に従って流動することを特徴とする請求項12に記載のバッチ処理制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−115255(P2013−115255A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260588(P2011−260588)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】