説明

バッテリの車両搭載構造

【課題】バッテリ交換時に、バッテリおよび車両本体間の電気的な接点部が損傷することを防止するバッテリの車両搭載構造、を提供する。
【解決手段】バッテリの車両搭載構造は、システムメインリレー70と、バッテリを車両本体に固定するロックピン61と、作動部材75と、システムメインリレー70および作動部材75に電力を供給するための補機バッテリ63と、スイッチ64とを備える。システムメインリレー70は、通電時にバッテリおよびモータ間を電気的に接続し、非通電時にバッテリおよびモータ間を電気的に遮断する。作動部材75は、非通電時にバッテリを固定し、通電時にバッテリの固定を解除するように、ロックピン61を作動させる。スイッチ64は、補機バッテリ63およびシステムメインリレー70間を電気的に接続する状態と、補機バッテリ63および作動部材75間を電気的に接続する状態とを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、バッテリの車両搭載構造に関し、より特定的には、動力源としてのモータに電力を供給するためのバッテリの車両搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバッテリの車両搭載構造に関して、たとえば、特開2002−140398号公報には、サービスステーションにおけるバッテリ交換により、速やかに走行を再開でき、かつ走行距離を十分に延長可能とすることを目的とした自動車の給電サービスシステムが開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された自動車の給電サービスシステムにおいては、給電サービス手段が、電気自動車に搭載されたバッテリを給電済みの別のバッテリに交換するサービスを行なう。
【0003】
また、特開2007−106343号公報には、電池交換の作業性を高めることを目的とした自転車用照明装置が開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示された自転車用照明装置においては、光源、反射鏡、レンズおよび電池ボックスが一体化された機能部が、本体部の内側に収容されている。本体部の下方には、機能部が不用意に外れることがないように、ロックレバーが設けられている。
【0004】
また、特開平6−48184号公報には、簡単かつ迅速に充電することを目的とした電気自動車へのエネルギ供給装置が開示されている(特許文献3)。また、特開平10−86678号公報には、2次電池を収容した電力供給移動車の電気自動車本体への着脱を容易にし、電力供給移動車の交換を可能とすることを目的とした電気自動車が開示されている(特許文献4)。また、特開2001−57711号公報には、電気車両に対して、従来のガソリン車なみの便利さでエネルギを供給することが可能な電気車両用エネルギ供給システムが開示されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−140398号公報
【特許文献2】特開2007−106343号公報
【特許文献3】特開平6−48184号公報
【特許文献4】特開平10−86678号公報
【特許文献5】特開2001−57711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示されるように、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されるバッテリを、充電済みの新たなバッテリに交換するサービスが考えられている。このようなサービスが実現されれば、バッテリの充電はサービス提供者によって実施されるため、ユーザは、バッテリ交換に要するだけの短時間で車両の走行を再開させることができる。しかしながら、バッテリおよび車両本体間が通電された状態でバッテリが交換されると、両者間の電気的な接点部が損傷するおそれがある。
【0007】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、バッテリ交換時に、バッテリおよび車両本体間の電気的な接点部が損傷することを防止するバッテリの車両搭載構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の1つの局面に従ったバッテリの車両搭載構造は、動力源としてのモータに電力を供給するためのバッテリの車両搭載構造である。バッテリの車両搭載構造は、リレーと、バッテリを車両本体に対して固定するためのロック機構と、作動部材と、リレーおよび作動部材に電力を供給するための電源と、スイッチとを備える。リレーは、通電時にバッテリおよびモータ間を電気的に接続し、非通電時にバッテリおよびモータ間を電気的に遮断する。作動部材は、非通電時にバッテリを固定し、通電時にバッテリの固定を解除するように、ロック機構を作動させる。スイッチは、電源およびリレー間を電気的に接続する第1接続状態と、電源および作動部材間を電気的に接続する第2接続状態とを切り替える。
【0009】
このように構成されたバッテリの車両搭載構造によれば、第1接続状態では、リレーへの電力供給によりバッテリおよびモータ間を電気的に接続する一方、ロック機構によってバッテリを車両本体に固定し、第2接続状態では、バッテリおよびモータ間を電気的に遮断する一方、作動部材への電力供給によってロック機構によるバッテリの固定を解除する。このため、バッテリおよびモータ間が電気的に接続しているタイミングでバッテリを車両本体から取り外すことができず、バッテリおよびモータ間が電気的に遮断しているタイミングでバッテリを車両本体から取り外すことが可能となる。これにより、バッテリ交換時に、バッテリおよび車両本体間の電気的な接点部が損傷することを防止できる。
【0010】
この発明の別の局面に従ったバッテリの車両搭載構造は、動力源としてのモータに電力を供給するためのバッテリの車両搭載構造である。バッテリの車両搭載構造は、リレーと、バッテリを車両本体に対して固定するためのロック機構と、作動部材と、リレーおよび作動部材に電力を供給するための電源とを備える。リレーは、通電時にバッテリおよびモータ間を電気的に接続し、非通電時にバッテリおよびモータ間を電気的に遮断する。作動部材は、通電時にバッテリを固定し、非通電時にバッテリの固定を解除するように、ロック機構を作動させる。リレーおよび作動部材は、電源から電力供給されるドライブ回路上に電気的に直列に配置される。
【0011】
このように構成されたバッテリの車両搭載構造によれば、ドライブ回路への通電時、すなわちリレーおよび作動部材の通電時、バッテリおよびモータ間を電気的に接続する一方、ロック機構によってバッテリを車両本体に固定し、ドライブ回路への非通電時、すなわちリレーおよび作動部材の非通電時、バッテリおよびモータ間を電気的に遮断する一方、作動部材への電力供給によってロック機構によるバッテリの固定を解除する。このため、バッテリおよびモータ間が電気的に接続しているタイミングでバッテリを車両本体から取り外すことができず、バッテリおよびモータ間が電気的に遮断しているタイミングでバッテリを車両本体から取り外すことが可能となる。これにより、バッテリ交換時に、バッテリおよび車両本体間の電気的な接点部が損傷することを防止できる。
【0012】
また好ましくは、作動部材は、ソレノイドを含む。このように構成されたバッテリの車両搭載構造によれば、ソレノイドへの通電、非通電を通じてロック機構を作動させることにより、バッテリを車両本体に固定したり、バッテリの固定を解除したりする。
【0013】
また好ましくは、バッテリの車両搭載構造は、車両のアンダーフロアに設けられ、バッテリを収容するバッテリ収容部をさらに備える。ロック機構は、バッテリ収容部に収容されたバッテリを車両本体に対して固定可能なように設けられる。このように構成されたバッテリの車両搭載構造によれば、バッテリ収容部が車両のアンダーフロアに設けられるため、バッテリが大重量の場合であっても容易にバッテリ交換することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように、この発明に従えば、バッテリ交換時に、バッテリおよび車両本体間の電気的な接点部が損傷することを防止するバッテリの車両搭載構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ハイブリッド自動車のモータジェネレータ制御に関する構成を示す回路図である。
【図2】バッテリ交換時におけるハイブリッド自動車を示す断面図である。
【図3】バッテリ交換時におけるハイブリッド自動車を示す別の断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1におけるバッテリの車両搭載構造において、ロックピンの駆動機構(ロック時)を模式的に示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1におけるバッテリの車両搭載構造において、ロックピンの駆動機構(ロック解除時)を模式的に示す図である。
【図6】図4および図5中に示すロックピンの駆動機構の作動状態を示す表である。
【図7】この発明の実施の形態2におけるバッテリの車両搭載構造において、ロックピンの駆動機構(ロック時)を模式的に示す図である。
【図8】この発明の実施の形態2におけるバッテリの車両搭載構造において、ロックピンの駆動機構(ロック解除時)を模式的に示す図である。
【図9】図7および図8中に示すロックピンの駆動機構の作動状態を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、ハイブリッド自動車のモータジェネレータ制御に関する構成を示す回路図である。ハイブリッド自動車は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関と、充放電可能な2次電池(バッテリ)から電力供給されるモータとを動力源とする。
【0018】
図1を参照して、まず、本実施の形態におけるバッテリの車両搭載構造が適用されるハイブリッド自動車について説明する。ハイブリッド自動車は、バッテリユニット40と、車両用駆動装置20と、図示しないエンジンとを含む。
【0019】
車両用駆動装置20は、電動機および発電機として機能するモータジェネレータMG1,MG2と、図示しないエンジンおよびモータジェネレータMG1,MG2の間で動力を分配する動力分割機構26と、モータジェネレータMG1,MG2の制御を行なうパワー制御ユニット(PCU:Power Control Unit)21とを含む。
【0020】
バッテリユニット40には端子41,42が設けられている。PCU21にはDC端子43,44が設けられている。端子41とDC端子43との間および端子42とDC端子44との間は、それぞれケーブル6およびケーブル8によって電気的に接続されている。
【0021】
バッテリユニット40は、バッテリ50と、バッテリ50の正極および端子41の間に接続されるシステムメインリレーSMR2と、バッテリ50の負極および端子42の間に接続されるシステムメインリレーSMR3と、バッテリ50の正極および端子41の間に直列に接続され、システムメインリレーSMR2に対して並列に接続される、システムメインリレーSMR1および制限抵抗Rとを含む。システムメインリレーSMR1〜SMR3は、後述の制御装置30から与えられる制御信号SEに応じて通電/非通電状態が制御される。
【0022】
バッテリユニット40は、バッテリ50の端子間の電圧VBを測定する電圧センサ10と、バッテリ50に流れる電流IBを検知する電流センサ11とを含む。バッテリ50としては、ニッケル水素、リチウムイオン等の2次電池や、燃料電池などを用いることができる。バッテリ50に代わる蓄電装置として、電気二重層コンデンサ等の大容量キャパシタを用いることもできる。
【0023】
PCU21は、モータジェネレータMG1,MG2にそれぞれ対応して設けられるインバータ22,14と、インバータ22,14に共通して設けられる昇圧コンバータ12と、制御装置30とを含む。
【0024】
昇圧コンバータ12は、DC端子43,44間の電圧を昇圧する。昇圧コンバータ12は、一方端がDC端子43に接続されるリアクトル32と、昇圧用IPM(Intelligent Power Module)13と、平滑用コンデンサ33とを含む。昇圧用IPM13は、昇圧後の電圧VHを出力する昇圧コンバータ12の出力端子間に直列に接続されるIGBT素子Q1,Q2と、IGBT素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2とを含む。平滑用コンデンサ33は、昇圧コンバータ12によって昇圧された電圧を平滑化する。
【0025】
リアクトル32の他方端は、IGBT素子Q1のエミッタおよびIGBT素子Q2のコレクタに接続されている。ダイオードD1のカソードは、IGBT素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードは、IGBT素子Q1のエミッタと接続されている。ダイオードD2のカソードは、IGBT素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードは、IGBT素子Q2のエミッタと接続されている。
【0026】
インバータ14は、車輪を駆動するモータジェネレータMG2に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。インバータ14は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき、昇圧コンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
【0027】
インバータ14は、走行用IPM18を構成するU相アーム15、V相アーム16およびW相アーム17を含む。U相アーム15,V相アーム16およびW相アーム17は、昇圧コンバータ12の出力ライン間に並列に接続されている。
【0028】
U相アーム15は、直列接続されたIGBT素子Q3,Q4と、IGBT素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードは、IGBT素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードは、IGBT素子Q3のエミッタと接続されている。ダイオードD4のカソードは、IGBT素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードは、IGBT素子Q4のエミッタと接続されている。
【0029】
V相アーム16は、直列接続されたIGBT素子Q5,Q6と、IGBT素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードは、IGBT素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードは、IGBT素子Q5のエミッタと接続されている。ダイオードD6のカソードは、IGBT素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードは、IGBT素子Q6のエミッタと接続されている。
【0030】
W相アーム17は、直列接続されたIGBT素子Q7,Q8と、IGBT素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードは、IGBT素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードは、IGBT素子Q7のエミッタと接続されている。ダイオードD8のカソードは、IGBT素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードは、IGBT素子Q8のエミッタと接続されている。
【0031】
各相アームの中間点は、モータジェネレータMG2の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、モータジェネレータMG2は、三相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中性点に共に接続されている。U相コイルの他方端は、IGBT素子Q3,Q4の接続ノードに接続されている。V相コイルの他方端は、IGBT素子Q5,Q6の接続ノードに接続されている。W相コイルの他方端は、IGBT素子Q7,Q8の接続ノードに接続されている。
【0032】
電流センサ25は、モータジェネレータMG1に流れる電流をモータ電流値MCRT1として検出し、モータ電流値MCRT1を制御装置30に出力する。電流センサ24は、モータジェネレータMG2に流れる電流をモータ電流値MCRT2として検出し、モータ電流値MCRT2を制御装置30に出力する。
【0033】
インバータ22は、昇圧コンバータ12に対してインバータ14と並列的に接続される。インバータ22は、モータジェネレータMG1に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。インバータ22は、昇圧コンバータ12から昇圧された電圧を受けてたとえばエンジンを始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。
【0034】
また、インバータ22は、エンジンのクランクシャフトから伝達される回転トルクによってモータジェネレータMG1で発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき、昇圧コンバータ12は降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。なお、インバータ22の内部の構成はインバータ14と同様であるため、詳細な説明は繰返さない。
【0035】
制御装置30は、トルク指令値TR1,TR2、モータ回転数MRN1,MRN2、電圧VB,VL,VH、電流IBの各値、モータ電流値MCRT1,MCRT2および起動信号IGONを受ける。
【0036】
ここで、トルク指令値TR1,モータ回転数MRN1およびモータ電流値MCRT1は、モータジェネレータMG1に関するものであり、トルク指令値TR2,モータ回転数MRN2およびモータ電流値MCRT2は、モータジェネレータMG2に関するものである。電圧VBは、バッテリ50の電圧であり、電流IBは、バッテリ50に流れる電流である。電圧VLは、昇圧コンバータ12の昇圧前電圧であり、電圧VHは、昇圧コンバータ12の昇圧後電圧である。
【0037】
制御装置30は、昇圧コンバータ12に対して昇圧指示を行なう制御信号PWU,降圧指示を行なう制御信号PWDおよび動作禁止を指示する信号CSDNを出力する。
【0038】
制御装置30は、インバータ14に対して昇圧コンバータ12の出力である直流電圧をモータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI2と、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC2とを出力する。制御装置30は、インバータ22に対して直流電圧をモータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI1と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC1とを出力する。
【0039】
続いて、上記のハイブリッド自動車に適用される、本実施の形態におけるバッテリの車両搭載構造について説明する。
【0040】
図2および図3は、バッテリ交換時におけるハイブリッド自動車を示す断面図である。図2および図3を参照して、ハイブリッド自動車は、アンダーフロア58を有する。アンダーフロア58は、ハイブリッド自動車の底部に配置される外装ボディである。ハイブリッド自動車には、バッテリ50を収容するためのバッテリ収容部56が設けられている。バッテリ収容部56は、アンダーフロア58に設けられている。
【0041】
ハイブリッド自動車に搭載され、容量が低下したバッテリを、充電済みの新たなバッテリに交換するサービスが想定される。このようなサービスを提供するサービスステーションは、地面が掘り下げられたサービスエリア46を備える。ハイブリッド自動車は、バッテリ交換を行なうサービスステーションにおいて、サービスエリア46の直上にバッテリ収容部56が位置決めされるように停車する。
【0042】
バッテリ50は、バッテリ収容部56に対してアンダーフロア58の下方、すなわちサービスエリア46から取り外し、取り付け可能なように設けられている。ハイブリッド自動車の車両本体側およびバッテリ50には、それぞれ、コネクタ52およびコネクタ54が設けられている。コネクタ52とコネクタ54とが互いに接続されることによって、車両本体側のPCU21およびモータジェネレータMG1,MG2と、バッテリ50とが、電気的に接続される。
【0043】
ハイブリッド自動車は、バッテリ50を車両本体に対して固定するためのロックピン61を有する。バッテリ50には、ピン孔51が形成されている。ピン孔51は、バッテリ50がバッテリ収容部56に収容された状態においてロックピン61の軸上で開口するように形成されている。ロックピン61は、後述する駆動機構により、その軸方向にスライド可能に設けられている。ピン孔51にロックピン61が挿入されることによって、バッテリ50が車両本体に対して固定され(ロック時)、ピン孔51からロックピン61が抜けることによって、車両本体に対するバッテリ50の固定が解除される(ロック解除時)。
【0044】
図4は、この発明の実施の形態1におけるバッテリの車両搭載構造において、ロックピンの駆動機構(ロック時)を模式的に示す図である。図5は、この発明の実施の形態1におけるバッテリの車両搭載構造において、ロックピンの駆動機構(ロック解除時)を模式的に示す図である。
【0045】
図4および図5を参照して、ハイブリッド自動車は、補機バッテリ63を有する。補機バッテリ63は、車両上に搭載された各種の補機に電力供給するために設けられており、本実施の形態では、システムメインリレー70(図1中のシステムメインリレーSMR1〜SMR3)および後述するソレノイド76に電力供給が可能なように設けられている。
【0046】
補機バッテリ63からの電力供給を受けて、システムメインリレー70が通電状態に制御された時、バッテリ50とモータジェネレータMG1,MG2との間が電気的に接続される。補機バッテリ63からの電力供給が停止し、システムメインリレー70が非通電状態に制御された時、バッテリ50とモータジェネレータMG1,MG2との間が電気的に遮断される。
【0047】
ハイブリッド自動車は、ロックピン61を作動させるための作動部材75を有する。本実施の形態では、作動部材75が、ソレノイド76と、弾性部材としてのコイルばね77とから構成されている。コイルばね77は、ロックピン61をロック位置(ロックピン61が図2中のピン孔51に挿入される位置)に保持するように、ロックピン61に対して弾性力を付与する。
【0048】
ソレノイド76は、補機バッテリ63からの電力供給を受け、通電状態に制御された時、ロックピン61をロック解除位置(ロックピン61が図2中のピン孔51から抜ける位置)に保持するように設けられている。より具体的には、ソレノイド76が非通電状態から通電状態に移行すると、ソレノイド76に生じる磁束によりロックピン61を引き寄せる吸引力が発生する。ロックピン61は、コイルばね77の弾性力に抗しながらロックピン61をその軸方向にスライド移動させ、ロック解除位置に保持する。
【0049】
なお、本実施の形態では、作動部材75がソレノイド76およびコイルばね77から構成される場合を説明したが、本発明はこれに限られず、たとえば、作動部材75が、補機バッテリ63から電力供給を受けるモータと、モータの回転運動をロックピン61の直線運動に変換する回転−直動変換機構とを含んで構成されてもよい。
【0050】
ハイブリッド自動車は、スイッチ64を有する。システムメインリレー70およびソレノイド76は、補機バッテリ63に対して互いに並列に設けられている。スイッチ64は、補機バッテリ63およびシステムメインリレー70の間を電気的に接続する状態と、補機バッテリ63およびソレノイド76の間を電気的に接続する状態とを選択的に切り替え可能なように設けられている。より具体的には、システムメインリレー70およびソレノイド76は、それぞれ、補機バッテリ63からの電力供給が可能なドライブ回路71およびドライブ回路72上に設けられている。スイッチ64は、ドライブ回路71に接続されるSW1と、ドライブ回路72に接続されるSW2との間で切り替えられる。
【0051】
図6は、図4および図5中に示すロックピンの駆動機構の作動状態を示す表である。図4および図6を参照して、スイッチ64が位置SW1に切り替えられた時、補機バッテリ63からシステムメインリレー70への電力供給によりバッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間が電気的に接続される一方、ロックピン61によってバッテリ50が車両本体に固定される。図5および図6を参照して、スイッチ64が位置SW2に切り替えられた時、バッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間が電気的に遮断される一方、補機バッテリ63からソレノイド76への電力供給によってロックピン61によるバッテリ50の固定が解除される。
【0052】
このような構成によれば、バッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間が電気的に接続しているタイミングでバッテリ50を車両本体から取り外すことができず、バッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間が電気的に遮断しているタイミングでバッテリ50を車両本体から取り外すことが可能となる。
【0053】
なお、スイッチ64は、さらに、補機バッテリ63からシステムメインリレー70およびソレノイド76のいずれにも電力供給されない位置に切り替えが可能なように設けられてもよい。
【0054】
以上に説明した、この発明の実施の形態1におけるバッテリの車両搭載構造の基本的な構成についてまとめて説明すると、本実施の形態におけるバッテリの車両搭載構造は、リレーとしてのシステムメインリレー70と、バッテリ50を車両本体に対して固定するためのロック機構としてのロックピン61と、作動部材75と、システムメインリレー70および作動部材75に電力を供給するための電源としての補機バッテリ63と、スイッチ64とを備える。システムメインリレー70は、通電時にバッテリ50およびモータとしてのモータジェネレータMG1,MG2間を電気的に接続し、非通電時にバッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間を電気的に遮断する。作動部材75は、非通電時にバッテリ50を固定し、通電時にバッテリ50の固定を解除するように、ロックピン61を作動させる。スイッチ64は、補機バッテリ63およびシステムメインリレー70間を電気的に接続する第1接続状態と、補機バッテリ63および作動部材75間を電気的に接続する第2接続状態とを切り替える。
【0055】
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるバッテリの車両搭載構造によれば、ハイブリッド自動車に搭載されたバッテリ50を充電済みの新たなバッテリ50に交換する際、システムメインリレー70がオフの状態でしかバッテリ50を車両本体から取り外すことができない。これにより、バッテリ交換時に、車両本体側のコネクタ52とバッテリ50側のコネクタ54との間でアークが発生することを防止できる。また、本実施の形態では、ソレノイド76への通電が常時オフであり、バッテリ50を外す時だけソレノイド76に通電するため、ソレノイド76で消費される電力を小さく抑えることができる。
【0056】
なお、本発明を、燃料電池とバッテリ(2次電池)とを駆動源とする燃料電池ハイブリッド車両(FCHV:Fuel Cell Hybrid Vehicle)または電気自動車(EV:Electric Vehicle)に適用することもできる。本実施の形態におけるハイブリッド自動車では、燃費最適動作点で内燃機関を駆動するのに対して、燃料電池ハイブリッド自動車では、発電効率最適動作点で燃料電池を駆動する。また、バッテリの使用に関しては、両方のハイブリッド自動車で基本的に変わらない。
【0057】
(実施の形態2)
図7は、この発明の実施の形態2におけるバッテリの車両搭載構造において、ロックピンの駆動機構(ロック時)を模式的に示す図である。図8は、この発明の実施の形態2におけるバッテリの車両搭載構造において、ロックピンの駆動機構(ロック解除時)を模式的に示す図である。
【0058】
本実施の形態におけるバッテリの車両搭載構造は、実施の形態1におけるバッテリの車両搭載構造と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造についてはその説明を繰り返さない。
【0059】
図7および図8を参照して、本実施の形態においては、コイルばね77が、ロックピン61をロック解除位置(ロックピン61が図2中のピン孔51から抜ける位置)に保持するように、ロックピン61に対して弾性力を付与する。
【0060】
ソレノイド76は、補機バッテリ63からの電力供給を受け、通電状態に制御された時、ロックピン61をロック位置(ロックピン61が図2中のピン孔51に挿入される位置)に保持するように設けられている。より具体的には、ソレノイド76が非通電状態から通電状態に移行すると、ソレノイド76に生じる磁束によりロックピン61を引き寄せる吸引力が発生する。ロックピン61は、コイルばね77の弾性力に抗しながらロックピン61をその軸方向にスライド移動させ、ロック位置に保持する。
【0061】
ハイブリッド自動車は、スイッチ81を有する。システムメインリレー70およびソレノイド76は、補機バッテリ63に対して互いに直列に設けられている。スイッチ81は、補機バッテリ63と、システムメインリレー70およびソレノイド76との間を電気的に接続する状態と、補機バッテリ63と、システムメインリレー70およびソレノイド76との間を電気的に遮断する状態とを選択的に切り替え可能なように設けられている。より具体的には、システムメインリレー70およびソレノイド76は、それぞれ、補機バッテリ63からの電力供給が可能なドライブ回路84に設けられている。スイッチ81は、ドライブ回路84の経路上であって、補機バッテリ63と、システムメインリレー70およびソレノイド76との間に配置されている。
【0062】
図9は、図7および図8中に示すロックピンの駆動機構の作動状態を示す表である。図7および図9を参照して、スイッチ81がオン位置に切り替えられた時、補機バッテリ63からシステムメインリレー70およびソレノイド76への電力供給によって、バッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間が電気的に接続される一方、ロックピン61によってバッテリ50が車両本体に固定される。図8および図9を参照して、スイッチ64がオフ位置に切り替えられた時、バッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間が電気的に遮断される一方、ロックピン61によるバッテリ50の固定が解除される。
【0063】
このような構成によれば、バッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間が電気的に接続しているタイミングでバッテリ50を車両本体から取り外すことができず、バッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間が電気的に遮断しているタイミングでバッテリ50を車両本体から取り外すことが可能となる。
【0064】
以上に説明した、この発明の実施の形態2におけるバッテリの車両搭載構造の基本的な構成についてまとめて説明すると、本実施の形態におけるバッテリの車両搭載構造は、リレーとしてのシステムメインリレー70と、バッテリ50を車両本体に対して固定するためのロック機構としてのロックピン61と、作動部材75と、システムメインリレー70および作動部材75に電力を供給するための電源としての補機バッテリ63とを備える。システムメインリレー70は、通電時にバッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間を電気的に接続し、非通電時にバッテリ50およびモータジェネレータMG1,MG2間を電気的に遮断する。作動部材75は、通電時にバッテリ50を固定し、非通電時にバッテリ50の固定を解除するように、ロックピン61を作動させる。システムメインリレー70および作動部材75は、補機バッテリ63から電力供給されるドライブ回路84上に電気的に直列に配置される。
【0065】
このように構成された、この発明の実施の形態2におけるバッテリの車両搭載構造によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に得ることができる。
【0066】
なお、実施の形態1に記載の各種の変形例を、実施の形態2におけるバッテリの車両搭載構造に適用してもよい。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明は、主に、バッテリから電力供給されるモータを動力源として備える車両に利用される。
【符号の説明】
【0069】
10 電圧センサ、11,24,25 電流センサ、12 昇圧コンバータ、14,22 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、20 車両用駆動装置、26 動力分割機構、30 制御装置、32 リアクトル、33 平滑用コンデンサ、40 バッテリユニット、41,42 端子、43,44 DC端子、46 サービスエリア、50 バッテリ、51 ピン孔、52,54 コネクタ、56 バッテリ収容部、58 アンダーフロア、61 ロックピン、63 補機バッテリ、64,81 スイッチ、70 システムメインリレー、71,72,84 ドライブ回路、75 作動部材、76 ソレノイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源としてのモータに電力を供給するためのバッテリの車両搭載構造であって、
通電時にバッテリおよびモータ間を電気的に接続し、非通電時にバッテリおよびモータ間を電気的に遮断するリレーと、
バッテリを車両本体に対して固定するためのロック機構と、
非通電時にバッテリを固定し、通電時にバッテリの固定を解除するように、前記ロック機構を作動させる作動部材と、
前記リレーおよび前記作動部材に電力を供給するための電源と、
前記電源および前記リレー間を電気的に接続する第1接続状態と、前記電源および前記作動部材間を電気的に接続する第2接続状態とを切り替えるスイッチとを備える、バッテリの車両搭載構造。
【請求項2】
動力源としてのモータに電力を供給するためのバッテリの車両搭載構造であって、
通電時にバッテリおよびモータ間を電気的に接続し、非通電時にバッテリおよびモータ間を電気的に遮断するリレーと、
バッテリを車両本体に対して固定するためのロック機構と、
通電時にバッテリを固定し、非通電時にバッテリの固定を解除するように、前記ロック機構を作動させる作動部材と、
前記リレーおよび前記作動部材に電力を供給するための電源とを備え、
前記リレーおよび前記作動部材は、前記電源から電力供給されるドライブ回路上に電気的に直列に配置される、バッテリの車両搭載構造。
【請求項3】
前記作動部材は、ソレノイドを含む、請求項1または2に記載のバッテリの車両搭載構造。
【請求項4】
車両のアンダーフロアに設けられ、バッテリを収容するバッテリ収容部をさらに備え、
前記ロック機構は、前記バッテリ収容部に収容されたバッテリを車両本体に対して固定可能なように設けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリの車両搭載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−131805(P2011−131805A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294449(P2009−294449)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】