説明

バッテリー電圧変化パターンにより推定された開回路電圧に基づいたバッテリーの抵抗特性推定装置及び方法

本発明は、バッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置及び方法を開示する。本発明によるバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置は、抵抗特性推定時点ごとにバッテリーと結合された電圧センシング部、電流センシング部及び温度センシング部から測定されたバッテリー電圧、電流及び温度データを獲得して貯蔵するデータ貯蔵部;現在と過去に測定されたバッテリーの電圧挙動からバッテリー開放電圧を計算する開放電圧計算部;前記バッテリー開放電圧とバッテリー電圧との差及びバッテリー電流からバッテリー抵抗パラメータを計算し、現在と以前に計算されたバッテリー抵抗パラメータから加重平均抵抗を計算する加重平均抵抗計算部;前記加重平均抵抗を初期条件とする加重平均数列の繰り返し計算によって加重平均抵抗収束値を計算する加重平均抵抗収束値計算部;及び前記加重平均抵抗収束値からバッテリー抵抗を推定する抵抗特性推定部;を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの抵抗特性を推定する装置及び方法に関するものであって、より詳しくは、バッテリーの開放電圧を用いてバッテリーの抵抗特性を推定する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、大気汚染が深刻になり化石燃料が枯渇されるに伴ってバッテリーを使用して駆動が可能な電気自動車(例えば、ハイブリッド自動車)が注目されている。バッテリーは使用時間が増加すればするほど容量が徐々に減少する。その理由は、バッテリーの電気化学的反応が非可逆性を有するからである。携帯電話のようなポータブル装置に使われるバッテリーは容量が減少しても機器の動作時間が減少するという点以外には特に問題がない。しかし、電気自動車に使われるバッテリーは容量が限界以下になれば、バッテリーの寿命が尽きて自動車がいきなり停止する恐れがある。また、バッテリー容量が限界以下になった状態で容量を超えた過充電や過放電が繰り返されれば、バッテリーの安全性に深刻な問題(例えば、爆発)をもたらす恐れがある。
【0003】
これによって、バッテリー関連業界ではバッテリーの使用によるエージング効果を定量的に評価するための研究が活発に行われている。バッテリーのエージング効果を定量的に評価するためには、バッテリーの使用時間によって物性が変化される電気化学的パラメータが必要であり、そのうちの一つとしてバッテリーの抵抗が挙げられる。バッテリーの抵抗はバッテリーの使用時間によって増加する傾向があるので、バッテリーの抵抗を測定してバッテリー出荷時の初期抵抗と比較することで、バッテリーのエージング効果を定量的に評価することができる。
【0004】
ところで、バッテリー抵抗は充放電がなされている間には直接的な測定が不可能である。従って、従来にはバッテリーの電圧と充放電電流とを測定してオームの法則に従ってバッテリー抵抗を間接的に計算した。しかし、バッテリーの電圧はIRドロップ効果により実際電圧と誤差を示し、バッテリーの電流も測定誤差を有するので、ただ単にオームの法則に従って計算された抵抗は実際抵抗と相当な誤差を示すようになる。
【0005】
参考として、IRドロップ現象とは、バッテリーが負荷に連結されて放電が始まるか外部電源からバッテリーの充電が始まるとき、電圧が急激に変わる現象を言う。すなわち、放電が始まるときにはバッテリー電圧が急激に低下し、充電が始まるときには電圧が急激に上昇する。
【0006】
従って、本発明が属する技術分野においては、バッテリー抵抗をより正確に測定することができる方法に対する研究が活発に行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決するために創案されたものであって、正確度が高いバッテリー抵抗特性推定装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を達成するために、本発明によるバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置は、抵抗特性推定時点ごとにバッテリーと結合された電圧センシング部、電流センシング部及び温度センシング部から測定されたバッテリー電圧、電流及び温度データを獲得して貯蔵するデータ貯蔵部;現在と過去に測定されたバッテリーの電圧挙動からバッテリー開放電圧を計算する開放電圧計算部;前記バッテリー開放電圧とバッテリー電圧との差及びバッテリー電流からバッテリー抵抗パラメータを計算し、現在と以前に計算されたバッテリー抵抗パラメータから加重平均抵抗を計算する加重平均抵抗計算部;前記加重平均抵抗を初期条件とする加重平均数列の繰り返し計算によって加重平均抵抗収束値を計算する加重平均抵抗収束値計算部;及び前記加重平均抵抗収束値からバッテリー抵抗を推定する抵抗特性推定部;を含む。
【0009】
本発明の一側面によれば、前記抵抗特性推定部は、加重平均抵抗収束値をバッテリー抵抗として推定する。
【0010】
本発明の他の側面によれば、前記抵抗特性推定部は、加重平均抵抗収束値ごとにバッテリー抵抗を定義したルックアップテーブルから前記計算された加重平均抵抗収束値に対応するバッテリー抵抗をマッピングしてバッテリー抵抗を推定する。
【0011】
本発明のまた他の側面によれば、前記抵抗特性推定部は、加重平均抵抗収束値とバッテリー抵抗とをそれぞれ入力パラメータ及び出力パラメータとする関数に前記計算された加重平均抵抗収束値を代入してバッテリー抵抗を推定する。
【0012】
本発明のさらに他の側面によれば、前記抵抗特性推定部は、バッテリー出荷抵抗に対応する加重平均抵抗収束値と前記計算された加重平均抵抗収束値とを相対的に対比してバッテリー抵抗を推定する。
【0013】
望ましくは、前記抵抗特性推定部は、許容可能最大抵抗を基準にしてバッテリー出荷抵抗に対する前記推定されたバッテリー抵抗の相対的比率をバッテリー抵抗退化を示すパラメータとして推定する。
【0014】
本発明において、前記開放電圧計算部は、バッテリーの電圧挙動と開放電圧変化量との相関関係を定義した数学的モデルを適用して前記貯蔵された現在及び過去に測定されたバッテリー電圧の変化パターンから開放電圧変化量を計算し、バッテリー温度に対応する補正ファクターを前記計算された開放電圧変化量に反映して現在ステップの開放電圧変化量を推定する開放電圧変化量計算部;及び直前ステップで推定されたバッテリー開放電圧に前記推定された開放電圧変化量を反映して現在ステップのバッテリー開放電圧を推定する開放電圧推定部;を含む。
【0015】
望ましくは、前記開放電圧推定部は、現在及び過去のバッテリー電圧に対する加重平均(測定時点が早いバッテリー電圧であるほど大きい加重値を与える)と直前ステップの開放電圧との差分を、前記推定された現在ステップの開放電圧に加算して開放電圧を補正する。このような場合、前記過去のバッテリー電圧は直前ステップのバッテリー電圧であり得る。
【0016】
望ましくは、前記推定された開放電圧変化量は、前記計算された開放電圧変化量に前記温度による補正ファクターを掛けて算出する。
【0017】
本発明によれば、前記バッテリーの電圧挙動を構成するバッテリー電圧は、少なくとも現在ステップ、以前ステップ及び前前ステップで測定されたバッテリー電圧V、Vn−1及びVn−2を含む。
【0018】
望ましくは、前記数学的モデルは、現在ステップと過去ステップとの間のバッテリー電圧変化量とバッテリー電圧変化パターンを構成する各電圧によって定義されるパターン関数の数学的演算によって定義される。そして、前記補正ファクターは、バッテリー温度Tを入力変数としバッテリー開放電圧変化量の補正ファクターを出力変数とする数学的モデルにバッテリーの温度を代入して算出する。
【0019】
前記技術的課題を達成するために、本発明によるバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法は、抵抗特性推定時点ごとにバッテリーと結合された電圧センシング部、電流センシング部及び温度センシング部から測定されたバッテリー電圧、電流及び温度データを獲得して貯蔵するステップ;現在と過去に測定されたバッテリーの電圧挙動からバッテリー開放電圧を計算するステップ;前記バッテリー開放電圧とバッテリー電圧との差及びバッテリー電流からバッテリー抵抗パラメータを計算し、現在と以前に計算されたバッテリー抵抗パラメータから加重平均抵抗を計算するステップ;前記加重平均抵抗を初期条件とする加重平均数列の繰り返し計算によって加重平均抵抗収束値を計算するステップ;及び前記加重平均抵抗収束値からバッテリー抵抗を推定するステップ;を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書に添付される下記の図面は本発明の望ましい実施例を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはいけない。
【図1】本発明の実施例によるバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置の構成図である。
【図2】本発明の実施例によるバッテリー抵抗特性推定プログラムのブロック構成図である。
【図3】本発明においてバッテリーの電圧挙動を用いて開放電圧を推定する開放電圧計算部のブロック構成図である。
【図4】本発明の実施例によるバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法のフローチャートである。
【図5】本発明の実施例によるバッテリーの電圧挙動を用いた開放電圧推定方法のフローチャートである。
【図6】充放電試験を行う過程で直接測定したバッテリー電圧と本発明によって推定された開放電圧とがIRドロップ現象により差を見せる様子を示すグラフである。
【図7】本発明によって計算される加重平均抵抗が初期条件に関係なく時間が経つにつれて実際抵抗値に収束する様子を示すグラフである。
【図8】12個の実験対象バッテリーのそれぞれに対する実際抵抗、推定抵抗、そして実際抵抗を基準にした推定抵抗の誤差を計算して示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照しながら本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立って、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはいけず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに解釈されなければならない。従って、本明細書に記載された実施例は本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想の全てを代弁するものではないため、本出願時点においてこれらに代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0022】
図1は、本発明の実施例によるバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置の構成を示すブロック構成図である。
【0023】
図1を参照すれば、本発明によるバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置は、バッテリー100と負荷107との間に連結され、電圧センシング部101、温度センシング部102、電流センシング部103、メモリ部104及びマイクロコントローラー105を含む。
【0024】
前記電圧センシング部101は、抵抗特性推定時点ごとにマイクロコントローラー105の制御によってバッテリー電圧を測定しマイクロコントローラー105に出力する。前記測定されたバッテリー電圧はIRドロップ効果によりバッテリーの実際電圧と差を有する。
【0025】
前記温度センシング部102は、抵抗特性推定時点ごとにマイクロコントローラー105の制御によってバッテリー温度を測定しマイクロコントローラー105に出力する。
【0026】
前記電流センシング部103は、抵抗特性推定時点ごとにマイクロコントローラー105の制御によって電流センシング抵抗108を通じて流れるバッテリー電流を測定しマイクロコントローラー105に出力する。
【0027】
前記メモリ部104は、バッテリーの抵抗特性を推定するバッテリー抵抗特性推定プログラム、前記バッテリー抵抗特性推定プログラムがバッテリー抵抗と抵抗退化推定のために事前に必要な各種データ、前記電圧センシング部101、温度センシング部102及び電流センシング部103によって測定されたバッテリー電圧、温度及び電流データ、及び前記バッテリー抵抗特性推定プログラムがバッテリー抵抗と抵抗退化とを推定する過程で発生される各種の計算値を貯蔵する。
【0028】
前記マイクロコントローラー105は、バッテリー100の抵抗特性推定時点ごとに電圧センシング部101、温度センシング部102及び電流センシング部103からバッテリー電圧、温度及び電流データの入力を受けて前記メモリ部104に貯蔵し、前記バッテリー抵抗特性推定プログラムをメモリ部104からリードして実行し、バッテリー抵抗と抵抗退化とを推定してメモリ部104に貯蔵し、必要に応じては、推定された抵抗と抵抗退化とを表示部106を通じて外部に出力する。
【0029】
前記バッテリー100の種類は特に限定されず、再充電が可能であって充電状態を考慮すべきのリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などで構成することができる。
【0030】
前記負荷107の種類は特に限定されず、ビデオカメラ、携帯電話、ポータブルPC、PMP、MP3プレーヤーなどのような携帯用電子機器、電気自動車やハイブリッド自動車のモーター、DC to DCコンバータなどで構成することができる。
【0031】
図2は、本発明の実施例によるバッテリー抵抗特性推定プログラムの構成を示すブロック構成図である。
【0032】
図2を参照すれば、本発明によるバッテリー抵抗特性推定プログラム200は、マイクロコントローラー105により実行されるものであって、データ貯蔵部201、開放電圧計算部202、加重平均抵抗計算部203、加重平均抵抗収束値計算部204及び抵抗特性推定部205を含む。
【0033】
前記データ貯蔵部201は、図1に示した電圧センシング部101、温度センシング部102及び電流センシング部103から抵抗特性推定時点ごとにバッテリー電圧V、温度T及び電流Iの入力を受けてメモリ部104に貯蔵する。ここで、nは、電圧、温度及び電流の測定次数であって抵抗特性推定次数と同一である。
【0034】
前記開放電圧計算部202は、バッテリーの電圧挙動を用いてバッテリーの開放電圧変化量△OCVを計算し、温度による補正ファクターを適用して前記計算されたバッテリー開放電圧変化量を補正し、補正されたバッテリー開放電圧変化量を以前に算出した開放電圧OCVn−1に反映して現ステップのバッテリー開放電圧OCVを算出する。前記開放電圧変化量△OCVを算出する過程と、温度によって開放電圧変化量△OCVを補正する過程とは後術する。前記開放電圧計算部202は、算出したOCVをメモリ部104に貯蔵する。
【0035】
前記加重平均抵抗計算部203は、下記数学式1を用いて加重平均抵抗Rmeanを計算する。
【0036】

[数学式1]
mean=(Rn−1×加重値+R)÷(加重値+1)
n−1=|Vn−1−OCVn−1|÷|In−1|
=|V−OCV|÷|I|

前記数学式1において、
とRn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に計算したバッテリー抵抗パラメータであり、
とVn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に測定したバッテリー電圧であり、
OCVとOCVn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に推定したバッテリー開放電圧であり、
とIn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に測定したバッテリー電流であり、
nは、2以上の整数であり、
加重値は、十分大きい値であって、例えば、5000以上の値を有する。
【0037】
前記加重平均抵抗Rmeanは、時間が経つにつれてバッテリーの実際抵抗値に収束する特性がある。以下、これに対して具体的に説明する。
【0038】
図6は、バッテリーを一定のパターンで充放電させながら周期的に測定したVと、バッテリーの電圧挙動を用いて周期的に推定したOCVの変化様相を示したグラフである。
【0039】
図面を参照すれば、測定されたバッテリー電圧Vは推定されたOCVに比べて急激な変化を示すことが分かる。これは、バッテリー電圧測定時発生するIRドロップ現象によるものであるので、測定電圧Vと推定電圧OCVとの絶対差はバッテリー電流Iとバッテリー抵抗Rとの積に該当する。従って、バッテリー抵抗パラメータRは、Vを測定した時点でのバッテリーの抵抗特性を現わすとみられる。
【0040】
図7は、抵抗を既に知っているバッテリーに対して充放電試験を行いながら抵抗パラメータの初期条件Rに対して三つの相異なる値を設定した状態で周期的に加重平均抵抗Rmean、Rmean、Rmean、Rmean、Rmean…を計算し、時間による加重平均抵抗の変化様相を抵抗パラメータRの条件ごとに示したグラフである。
【0041】
図面において、グラフAは、抵抗パラメータRをバッテリーの実際抵抗として設定した場合であり、グラフBは、抵抗パラメータRをバッテリーの実際抵抗より高く設定した場合であり、グラフCは、抵抗パラメータRをバッテリーの実際抵抗より低く設定した場合である。
【0042】
図面を参照すれば、加重平均抵抗の入力パラメータであるRの初期値 Rを異ならせて設定しても時間が経つにつれて加重平均抵抗は実際抵抗値に収束していくことが分かる。従って、加重平均抵抗の収束値はバッテリー抵抗を推定することができるパラメータとして使用可能である。
【0043】
一方、加重平均抵抗の収束値は長期間に渡った充放電実験を通じて得ることができる。しかし、バッテリーの実際使用環境では特定の時点で加重平均抵抗を得たとき、その加重平均抵抗がこれからどの値に収束するかわからない。従って、本発明は、任意の時点で抵抗パラメータRn−1とRとによって加重平均抵抗を得たとき、前記得られた加重平均抵抗を初期条件とする加重平均数列を用いて加重平均抵抗の収束値を推定する。
【0044】
より具体的に、前記加重平均抵抗収束値計算部204は、下記数学式2を用いて前記加重平均抵抗計算部203が算出した加重平均抵抗Rmeanを初期条件とする加重平均数列によって加重平均抵抗の計算過程を十分大きい回数pほど繰り返して計算することで加重平均抵抗の収束値Rmeanを求めてメモリ部104に貯蔵する。ここで、Rmeanは、Rmeanが収束された値であることを意味する。
[数学式2]
加重平均数列
meank+1=(Rmeank−1×加重値+Rmean)/(加重値+1)
加重平均数列の初期条件
mean=(Rn−1×加重値+R)÷(加重値+1)
【0045】
前記数学式において、kは、1以上の整数である。加重平均数列の計算回数は数千以上の大きい数に設定する。加重平均抵抗の初期収束値Rmeanは、バッテリーの出荷時予めその値を設定してメモリ部104に貯蔵し参照することができる。
【0046】
前記加重平均抵抗Rmeanは、図7のように、抵抗パラメータの初期条件Rに依存せずに実際抵抗値に収束する特性がある。従って、前記数学式2による加重平均数列においてk=1であるときの数列初期値Rmeanを任意に設定することもできるが、そのような場合加重平均抵抗が一定の値に収束されるときまでの計算回数が過度に増加するので、加重平均抵抗の数列初期値Rmeanは以前ステップで求めた加重平均抵抗の収束値Rmeann−1またはバッテリー出荷時のバッテリー抵抗値で設定することが望ましい。このような場合、加重平均抵抗が実際抵抗値に収束するときまでの数列計算回数を減らすことができるので、加重平均抵抗を実際抵抗値に早く収束させることができる。
【0047】
前記抵抗特性推定部205は、メモリ部104から加重平均抵抗収束値Rmeanをリードした後

を推定してメモリ部104に貯蔵する。ここで、

は、n番目抵抗推定時点で推定されたバッテリー抵抗を意味する。
【0048】
一例として、前記抵抗特性推定部205は、加重平均抵抗収束値Rmean

としてそのまま推定することができる。
【0049】
他の例として、前記抵抗特性推定部205は、加重平均抵抗収束値とバッテリー抵抗との相関関係を用いて加重平均抵抗収束値Rmeanに対応する

を推定することができる。
【0050】
前記相関関係は、加重平均抵抗収束値ごとにバッテリー抵抗を定義したルックアップテーブルであり得る。代案として、前記相関関係は、加重平均抵抗収束値とバッテリー抵抗とをそれぞれ入力パラメータ及び出力パラメータとする関数であり得る。
【0051】
前記相関関係は、バッテリーに対する充放電試験を通じて得られる。すなわち、多様な範囲で実際抵抗を知っている十分多くのバッテリーに長時間同一の条件の充放電実験を行いながら加重平均抵抗収束値を計算する。それから、実験結果として得られた加重平均抵抗収束値に対応するバッテリー抵抗をルックアップテーブルとして構成することができる。または、実験結果として得られた加重平均抵抗収束値とバッテリー抵抗とをそれぞれ入力パラメータ及び出力パラメータとする数値解釈を通じて加重平均抵抗の収束値とバッテリー抵抗との関数関係を求めることができる。
【0052】
さらに他の代案として、前記抵抗特性推定部205は、メモリ部104に貯蔵されたバッテリー出荷時の抵抗と加重平均抵抗収束値とを基準にして前記加重平均抵抗収束値計算部204が算出した加重平均抵抗収束値Rmeanを相対的に比較して

を推定することもできる。
【0053】
前記抵抗特性推定部205は、

を推定した後下記数学式3によってバッテリーの出荷抵抗Rinitialを基準にして前記推定された

の相対的比率を計算し、計算された結果をバッテリーの抵抗退化を示すパラメータであるSOHとしてメモリ部104に貯蔵することができる。
【数1】

【0054】
前記数学式3において、
SOH:n番目に推定されたバッテリーの抵抗退化であり、

initial:バッテリーの出荷抵抗であり、
limit:バッテリーが使われ得る許容可能最大抵抗である。
【0055】
前記SOHは、バッテリーの出荷抵抗を基準にして現在のバッテリー抵抗を相対的比率で示す。バッテリー抵抗はバッテリーの使用時間が増加するほど増加する傾向があるので、SOHはバッテリーの初期使用時を基準にしてバッテリーの寿命がどれくらい残っているかを判断することができるパラメータになる。また、前記SOHは、バッテリーの充放電容量を調節するのに活用可能である。例えば、前記SOHが減少すれば、これと連動してバッテリーの充電容量と放電容量とを減少させることができる。このような場合、バッテリーの抵抗に合わせて充電と放電とを行うことでバッテリーが過充電されるか過放電される現象を有効に防止することができる。
【0056】
前記抵抗特性推定部205は、推定されたSOHを表示部106に出力することができる。このような場合、前記表示部106はインターフェースを通じてマイクロコントローラー105と結合される。そして、前記抵抗特性推定部205はインターフェースを通じて表示部106にSOHを出力する。そうすれば、表示部106はバッテリー使用者が認識できるようにSOHを視覚的に表出する。SOHは文字で直接表示されることもでき、グラフ形態で表示されることもできる。
【0057】
図3は、本発明でバッテリーの電圧挙動を用いてバッテリー開放電圧を推定する開放電圧計算部202の構成をより具体的に示すブロック構成図である。
【0058】
図3を参照すれば、前記開放電圧計算部202は、開放電圧変化量計算部2031及び開放電圧推定部2032を含む。
【0059】
前記開放電圧変化量計算部2031は、現在のバッテリー開放電圧を計算するためにバッテリーの電圧挙動を用いて以前ステップの開放電圧を基準にして開放電圧変化量を計算する。すなわち、前記開放電圧変化量計算部2031は、以前ステップの開放電圧を基準にして現在ステップのバッテリー開放電圧がどれくらい変化したかを計算する。
【0060】
具体的に、前記開放電圧変化量計算部2031は、前記メモリ部104から現在の抵抗特性推定時点で測定されたバッテリー電圧V、以前抵抗特性推定時点で測定されたバッテリー電圧Vn−1、そして、現在抵抗特定推定時点で測定されたバッテリー温度Tをメモリ部104からリードする。それから、下記数学式4に従って開放電圧変化量△OCVを推定する。
[数学式4]
△OCV=OCV−OCVn−1=G(V)×F(T)
【0061】
前記数学式において、G(V)は、バッテリー電圧変化量「V−Vn−1」を開放電圧変化量△OCVでマッピングする開放電圧変化量演算関数であり、F(T)は、温度による開放電圧変動効果を反映してバッテリー温度によって開放電圧変化量△OCVを補正する開放電圧補正関数である。
【0062】
前記G(V)は、バッテリー電圧の変化量を開放電圧変化量にそのまま換算せずに、IRドロップ現象によるバッテリー電圧の誤差(測定電圧と実際電圧との差)を補正して換算する関数である。すなわち、G(V)は、バッテリー電圧変化量が以前より大きくなる傾向があれば、バッテリー電圧の変化量を減殺させてバッテリー開放電圧変化量として出力し、バッテリー電圧変化量が以前と同一に維持される傾向があれば、バッテリー電圧の変化量をそのままバッテリー開放電圧変化量として出力し、バッテリー電圧の変化量が以前より減少する傾向があれば、バッテリー電圧の変化量を少し増幅させてバッテリー開放電圧変化量として出力する。
【0063】
G(V)は、特定の温度条件でバッテリーの電圧挙動とこれに対応する開放電圧変化量との相関関係を数学的にモデリングして得ることができる。一実施例として、前記数学的モデリング関数は、バッテリー電圧とバッテリー開放電圧とが測定可能な実験室条件でバッテリー電圧V、Vn−1及びVn−2の変化パターンとこれに対応する開放電圧変化量△OCVとの間に存在する相関関係を分析して算出することができる。もちろん、バッテリー電圧の変化パターンを構成するバッテリー電圧の数は4個以上に拡張可能である。
【0064】
前記G(V)は、下記数学式5のように一般化して定義することができる。
[数学式5]
G(V)=(V−Vn−1)×g(V, Vn−1, Vn−2, …)
【0065】
ここで、g(V, Vn−1, Vn−2, …)は、各抵抗推定時点で測定されたバッテリー電圧の変化挙動を定義するパターン関数である。前記「…」 記号は、現在時点で測定されたバッテリー電圧を含んで3個以上のバッテリー電圧によってパターン関数が定義され得るということを意味する。前記パターン関数は、実験的に得られた多数のバッテリー電圧変化量とバッテリー開放電圧変化量との相関関係を分析して定義する。一例として、関数gは、現在ステップの電圧変化量を基準にして以前ステップの電圧変化量の相対的比率として定義することができる。もちろん、本発明は、パターン関数の具体的な数式によって限定されないのは言うまでもない。
【0066】
一方、バッテリー抵抗は温度によって変化する。バッテリーの抵抗が変われば、充電または放電条件が同一であってもバッテリーの電圧挙動とバッテリー開放電圧変化量とが変わるようになる。このような点を勘案して、前記F(T)は、G(V)によって計算された開放電圧変化量を温度条件によって補正する。言い換えれば、F(T)は、バッテリーの温度がG(V)の算出条件として設定した温度と差がある場合、G(V)によって計算された開放電圧変化量を補正する関数である。前記F(T)は、温度を一定の間隔で変化させながらバッテリー電圧の挙動変化とバッテリー開放電圧変化量との相関関係を分析して算出することができる。すなわち、F(T)は、一定の間隔、例えば、1℃間隔で設定したそれぞれの測定温度でバッテリー電圧の挙動変化が同一になるように実験条件を設定した状態で標準温度を基準にしてバッテリーの開放電圧変化量△OCVの変化幅を定量的に測定し温度Tと△OCVとの変化幅をそれぞれ入力変数と出力変数とする数学的モデリングを通じて求めることができる。このように得られたF(T)は、バッテリーの温度Tを入力変数としてバッテリー開放電圧変化量の補正ファクターを出力する関数になる。計算の単純化のために、各T値による補正ファクターはルックアップテーブルとして構成してメモリ部104に収録しバッテリー開放電圧変化量を計算するとき前記ルックアップテーブルに収録された温度ごとの補正ファクターを参照することができる。
【0067】
前記開放電圧推定部2032は、前記メモリ部104から以前の抵抗特性推定時点で計算した開放電圧OCVn−1をリードした後、OCVn−1に前記開放電圧変化量推定部2031で計算した開放電圧変化量△OCVを加算して開放電圧OCVを計算しメモリ部104に貯蔵する。
【0068】
望ましくは、前記開放電圧推定部2032は、バッテリー電圧Vと以前ステップで測定されたバッテリー電圧との加重平均V(meanvalue)を下記数学式6を通じて算出する。
[数学式6]
(meanvalue)=(A*V+A*V+…+An−1*Vn−1+A*V)/Atotal
total=A+A+A+…+A
【0069】
前記数学式において、Aは、k値が増加するほど減少する。例えば、n=100である場合、A値は100から1ずつ減少する値を有し得る。代案として、前記数学式6において、A*V+A*V+…+Ak−2*Vk−2(3≦k≦n)は省略しても良い。このような場合にもA値の傾向性は前記と同一に維持される。例えば、k=nである場合、A*V+A*V+…+An−2*Vn−2は0とみなし、AよりAn−1に相対的に大きい値を与えることができる。例えば、An−1及びAにそれぞれ90及び10の値を与えることができる。
【0070】
前記開放電圧推定部2032は、前記算出された加重平均V(meanvalue)と開放電圧OCVn−1との差分を、前記計算された開放電圧OCVに加算して追加的な補正を行って開放電圧値をもう一度補正することができる。加重平均V(meanvalue)を算出して開放電圧に追加的な補正を行えば、バッテリー100から出力される電圧が急激に変化しても開放電圧の計算誤差を減らすことができる。前記開放電圧推定部2032は、加重平均V(meanvalue)による開放電圧の補正が完了すれば、補正された開放電圧OCVをメモリ部104に貯蔵する。
【0071】
前記開放電圧推定部2032がメモリ部140に貯蔵する開放電圧OCVは、加重平均抵抗の入力パラメータであるRの計算時参照されることは自明である。
【0072】
以下、前述の構成を土台にしてバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性の推定方法を具体的に説明する。
【0073】
図4は、本発明によるバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法の流れを示すフローチャートである。図4において、各ステップの遂行主体は図1に示したマイクロコントローラー105である。
【0074】
ステップS10において、バッテリーの抵抗特性推定要請があるかを判断する。抵抗特性推定要請は、外部から入力されることもでき、バッテリー抵抗特性推定プログラムによって自動発生されることもできる。
【0075】
ステップS10の判断結果、バッテリーの抵抗特性推定要請があれば、バッテリー抵抗特性を推定するためのルチンを開始する。逆に、ステップS10の判断結果、バッテリーの抵抗特性推定要請がなければ、プロセスを終了する。
【0076】
ステップS20において、メモリ部に収録された以前抵抗特性推定時点で求めたバッテリー抵抗パラメータRn−1と加重平均抵抗収束値Rmeann−1とをリードする。
【0077】
次いで、ステップS30において、電圧センシング部、温度センシング部、電流センシング部を用いてV、T及びIを測定する。
【0078】
次いで、ステップS40において、バッテリーの電圧挙動によってバッテリー開放電圧OCVを推定し、V、I及びOCVからバッテリー抵抗パラメータRを算出する。
【0079】
次いで、ステップS50において、Rn−1とRとから加重平均数列の初期条件Rmeanを求める。Rmeanの計算時には数学式2を利用する。
【0080】
その後、ステップS60において、初期数列値RmeanとRmeann−1とを用いて加重平均数列を十分な回数ほど繰り返して計算することで加重平均抵抗の収束値Rmeanを求める。Rmeanの計算時には数学式2を利用する。前記Rmeann−1は予め設定したRmeanに代替可能である。ここで、Rmeanは、バッテリー出荷抵抗として設定できる。
【0081】
それから、ステップS70において、加重平均抵抗の収束値Rmeanから

を推定する。一例として、

は、加重平均抵抗の収束値Rmeanと同一の値として推定することができる。他の例として、加重平均抵抗の収束値とバッテリー抵抗との相関関係を用いて加重平均抵抗の収束値Rmeanに対応する

を推定することができる。前記相関関係は、加重平均抵抗の収束値ごとにバッテリー抵抗を定義したルックアップテーブルまたは加重平均抵抗の収束値とバッテリー抵抗とをそれぞれ入力パラメータと出力パラメータとする関数であり得る。また他の例として、バッテリー出荷抵抗に対応する加重平均抵抗の収束値とS60ステップで算出した加重平均収束値Rmeanとを相対的に比較することでバッテリー出荷抵抗を基準にしてバッテリー抵抗を推定することができる。すなわち、加重平均収束値が増加した比率分バッテリー出荷抵抗を増加させ、増加された値をバッテリー抵抗として推定することができる。
【0082】
それから、S80ステップにおいて、バッテリー出荷抵抗Rinitialを基準にして前記推定された

の相対的増加比率を計算し、計算された相対的増加比率によってSOHとして推定してメモリ部104に貯蔵するか表示部106に出力する。このとき、数学式3に従って許容可能な最大抵抗Rlimitを基準にして相対的増加比率を算出することが望ましい。
【0083】
前記のような各ステップの進行が完了すれば、バッテリーの抵抗特性を推定するための手続きがすべて終了する。
【0084】
図5は、図4のS40ステップにおいてバッテリーの電圧挙動を用いて開放電圧OCVを推定する過程を示すフローチャートである。図5において、各ステップの遂行主体は図1に示したマイクロコントローラー105である。
【0085】
図5を参照すれば、まず、ステップP10において、バッテリー開放電圧OCVに対する推定要請があるかを判断する。前記推定要請は外部から入力されることもでき、プログラムアルゴリズムによって自動発生されることもできる。
【0086】
もし、ステップP10において、OCVに対する推定要請があれば開放電圧推定ステップに移行し、OCVに対する推定要請がなければプロセスを終了する。
【0087】
ステップP20において、メモリ部に貯蔵されたバッテリーの電圧挙動をリードする。バッテリーの電圧挙動は少なくともV、Vn−1及びVn−2を含む。その後、ステップP30において、バッテリーの電圧挙動とバッテリー温度とによって開放電圧変化量△OCVを計算する。ここで、開放電圧変化量△OCVの計算方法は前述済みである。
【0088】
一方、本発明において、V及びVとOCV及びOCVはバッテリーが負荷に連結される直前に測定した無負荷状態のバッテリー電圧に初期化させる。例えば、バッテリーが電気駆動自動車に使われる場合、自動車キーを使用して自動車を始動させるとき測定されたバッテリー電圧としてV及びVとOCV及びOCVを設定する。
【0089】
次いで、ステップP40において、以前開放電圧OCVn−1に開放電圧変化量△OCVを加算して現在の開放電圧OCVを計算する。
【0090】
次いで、ステップP50は、選択的に行うことができるステップであって、現在バッテリー電圧Vと以前バッテリー電圧Vn−1との加重平均を算出し、算出された加重平均と以前開放電圧OCVn−1との差分を現在開放電圧OCVに加算して開放電圧OCVを追加的に補正する。加重平均の計算方法は前述済みである。
【0091】
最後に、ステップP60において、推定された開放電圧OCVをメモリ部に貯蔵する。
【0092】
<実験例>
以下、実験例によって本発明の効果を説明する。しかし、下記実験例は一例示に過ぎず、本発明の範囲が実験例によって限定されるのではない。
【0093】
本実験においては、まず、実際抵抗を知っている12個のバッテリーを用意した。12個のバッテリーの中で5番目バッテリーは初期出荷時の抵抗を有している。次いで、各バッテリーを同一の充放電条件で充放電試験を行いながら充放電試験が始まってから1時間が経過した時点で本発明によって加重平均抵抗の収束値を求め、加重平均抵抗の収束値をバッテリー抵抗として推定した。
【0094】
図8は、12個のバッテリーのそれぞれに対する実際抵抗、加重平均収束値によって推定されたバッテリー抵抗、実際抵抗と推定抵抗との誤差を示した表である。
【0095】
図8を参照すれば、本発明によって推定されたバッテリー抵抗は実際抵抗と対比して3%以内の誤差を見せた。従って、本発明は高い正確度でバッテリー抵抗を推定することができ、バッテリー抵抗から計算されるパラメータであるバッテリー抵抗退化も正確に推定できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、複雑な計算をしなくてもバッテリーの抵抗特性を正確に推定することができる。また、正確なバッテリー抵抗の推定によりバッテリー交換時期の推定など多様な応用が可能である。ひいては、抵抗の退化を正確に推定してバッテリーの充放電容量を調節することで過充電や過放電を防止してバッテリーの安全性をより向上させることができる。
【0097】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面とによって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者により本発明の技術思想と特許請求範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能なのは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗特性推定時点ごとにバッテリーと結合された電圧センシング部、電流センシング部及び温度センシング部から測定されたバッテリー電圧、電流及び温度データを獲得して貯蔵するデータ貯蔵部;
現在と過去に測定されたバッテリーの電圧挙動からバッテリー開放電圧を計算する開放電圧計算部;
前記バッテリー開放電圧とバッテリー電圧との差及びバッテリー電流からバッテリー抵抗パラメータを計算し、現在と以前に計算されたバッテリー抵抗パラメータから加重平均抵抗を計算する加重平均抵抗計算部;
前記加重平均抵抗を初期条件とする加重平均数列の繰り返し計算によって加重平均抵抗収束値を計算する加重平均抵抗収束値計算部;及び
前記加重平均抵抗収束値からバッテリー抵抗を推定する抵抗特性推定部;を含むことを特徴とするバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項2】
前記抵抗特性推定部は、加重平均抵抗収束値をバッテリー抵抗として推定することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項3】
前記抵抗特性推定部は、加重平均抵抗収束値ごとにバッテリー抵抗を定義したルックアップテーブルから前記計算された加重平均抵抗収束値に対応するバッテリー抵抗をマッピングしてバッテリー抵抗を推定することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項4】
前記抵抗特性推定部は、加重平均抵抗収束値とバッテリー抵抗とをそれぞれ入力パラメータ及び出力パラメータとする関数に前記計算された加重平均抵抗収束値を代入してバッテリー抵抗を推定することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項5】
前記抵抗特性推定部は、バッテリー出荷抵抗に対応する加重平均抵抗収束値と前記計算された加重平均抵抗収束値とを相対的に対比してバッテリー抵抗を推定することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項6】
前記加重平均抵抗計算部は、
mean=(Rn−1×加重値+R)÷(加重値+1)
n−1=|Vn−1−OCVn−1|÷|In−1|
=|V−OCV|÷|I|
(ここで、RとRn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に計算したバッテリー抵抗パラメータであり、VとVn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に測定したバッテリー電圧であり、OCVとOCVn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に推定したバッテリー開放電圧であり、IとIn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に測定したバッテリー電流である)
によって加重平均抵抗Rmeanを計算することを特徴とする請求項1に記載のバッテリー開放電圧を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項7】
前記加重平均抵抗収束値計算部は、下記加重平均数列(kは、1以上)、
meank+1=(Rmeank−1×加重値+Rmean)/(加重値+1)
によって加重平均抵抗収束値Rmeanを計算し、
前記加重平均数列の初期値Rmeanは下記条件、
mean=(Rn−1×加重値+R)÷(加重値+1)
によって設定し、
meanは、以前ステップの加重平均抵抗収束値またはバッテリー出荷抵抗値として設定することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項8】
前記抵抗特性推定部は、許容可能最大抵抗を基準にしてバッテリー出荷抵抗に対する前記推定されたバッテリー抵抗の相対的比率をバッテリー抵抗退化を示すパラメータとして推定することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項9】
前記開放電圧計算部は、バッテリーの電圧挙動と開放電圧変化量との相関関係を定義した数学的モデルを適用して前記貯蔵された現在及び過去に測定されたバッテリー電圧の変化パターンから開放電圧変化量を計算し、バッテリー温度に対応する補正ファクターを前記計算された開放電圧変化量に反映して現在ステップの開放電圧変化量を推定する開放電圧変化量計算部;及び
直前ステップで推定されたバッテリー開放電圧に前記推定された開放電圧変化量を反映して現在ステップのバッテリー開放電圧を推定する開放電圧推定部;を含むことを特徴とする請求項1に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項10】
前記開放電圧推定部は、現在及び過去のバッテリー電圧に対する加重平均(測定時点が早いバッテリー電圧であるほど大きい加重値を与える)と直前ステップの開放電圧との差分を、前記推定された現在ステップの開放電圧に加算して開放電圧を補正することを特徴とする請求項9に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項11】
前記過去のバッテリー電圧は、直前ステップのバッテリー電圧であることを特徴とする請求項10に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗退化推定装置。
【請求項12】
前記推定された開放電圧変化量は、前記計算された開放電圧変化量に前記温度による補正ファクターを掛けて算出することを特徴とする請求項9に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗退化推定装置。
【請求項13】
前記バッテリーの電圧挙動を構成するバッテリー電圧は、少なくとも現在ステップ、以前ステップ及び前前ステップで測定されたバッテリー電圧V、Vn−1及びVn−2を含むことを特徴とする請求項9に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項14】
前記数学的モデルは、現在ステップと過去ステップとの間のバッテリー電圧変化量と、バッテリー電圧変化パターンを構成する各電圧によって定義されるパターン関数の数学的演算によって定義されることを特徴とする請求項9に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項15】
前記補正ファクターは、バッテリー温度Tを入力変数としバッテリー開放電圧変化量の補正ファクターを出力変数とする数学的モデルにバッテリーの温度を代入して算出することを特徴とする請求項9に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定装置。
【請求項16】
(a)抵抗特性推定時点ごとにバッテリーと結合された電圧センシング部、電流センシング部及び温度センシング部から測定されたバッテリー電圧、電流及び温度データを獲得して貯蔵するステップ;
(b)現在と過去に測定されたバッテリーの電圧挙動からバッテリー開放電圧を計算するステップ;
(c)前記バッテリー開放電圧とバッテリー電圧との差及びバッテリー電流からバッテリー抵抗パラメータを計算し、現在と以前に計算されたバッテリー抵抗パラメータから加重平均抵抗を計算するステップ;
(d)前記加重平均抵抗を初期条件とする加重平均数列の繰り返し計算によって加重平均抵抗収束値を計算するステップ;及び
(e)前記加重平均抵抗収束値からバッテリー抵抗を推定するステップ;を含むことを特徴とするバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項17】
前記(e)ステップは、加重平均抵抗収束値をバッテリー抵抗として推定するステップであることを特徴とする請求項16に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項18】
前記(e)ステップは、加重平均抵抗収束値ごとにバッテリー抵抗を定義したルックアップテーブルから前記計算された加重平均抵抗収束値に対応するバッテリー抵抗をマッピングしてバッテリー抵抗を推定するステップであることを特徴とする請求項16に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項19】
前記(e)ステップは、加重平均抵抗収束値とバッテリー抵抗とをそれぞれ入力パラメータ及び出力パラメータとする関数に前記計算された加重平均抵抗収束値を代入してバッテリー抵抗を推定するステップであることを特徴とする請求項16に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項20】
前記(e) ステップは、バッテリー出荷抵抗に対応する加重平均抵抗収束値と前記計算された加重平均抵抗収束値とを相対的に対比してバッテリー抵抗を推定するステップであることを特徴とする請求項16に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項21】
前記(c)ステップは、下記数学式;
mean=(Rn−1×加重値+R)÷(加重値+1)
n−1=|Vn−1−OCVn−1|÷|In−1|
=|V−OCV|÷|I|
(ここで、RとRn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に計算したバッテリー抵抗パラメータであり、VとVn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に測定したバッテリー電圧であり、OCVとOCVn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に推定したバッテリー開放電圧であり、IとIn−1とは、それぞれn番目及びn−1番目に測定したバッテリー電流である)
によって加重平均抵抗Rmeanを計算するステップであることを特徴とする請求項16に記載のバッテリー開放電圧を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項22】
前記(d)ステップは、下記加重平均数列(kは、1以上);
meank+1=(Rmeank−1×加重値+Rmean)/(加重値+1)
によって加重平均抵抗収束値Rmeanを計算するステップであり、
前記加重平均数列の初期値Rmeanは下記条件、
mean=(Rn−1×加重値+R)÷(加重値+1)
によって設定し、
meanは、以前ステップの加重平均抵抗収束値またはバッテリー出荷抵抗値として設定することを特徴とする請求項16に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項23】
許容可能最大抵抗を基準にしてバッテリー出荷抵抗に対する前記推定されたバッテリー抵抗の相対的比率をバッテリー抵抗退化を示すパラメータとして推定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項24】
前記(b)ステップは、バッテリーの電圧挙動と開放電圧変化量との相関関係を定義した数学的モデルを適用して前記貯蔵された現在及び過去に測定されたバッテリー電圧の変化パターンから開放電圧変化量を計算し、バッテリー温度に対応する補正ファクターを前記計算された開放電圧変化量に反映して補正された開放電圧変化量を計算するステップ;及び
直前ステップで推定されたバッテリー開放電圧に前記推定された開放電圧変化量を反映して現在ステップのバッテリー開放電圧を推定するステップ;を含むことを特徴とする請求項16に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項25】
現在及び過去のバッテリー電圧に対する加重平均(測定時点が早いバッテリー電圧であるほど大きい加重値を与える)と直前ステップの開放電圧との差分を、前記推定された現在ステップの開放電圧に加算して開放電圧を補正するステップをさらに含むことを特徴とする請求項24に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項26】
前記過去のバッテリー電圧は、直前ステップのバッテリー電圧であることを特徴とする請求項25に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗退化推定方法。
【請求項27】
前記補正された開放電圧変化量は、前記計算された開放電圧変化量に前記温度による補正ファクターを掛けて算出することを特徴とする請求項24に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗退化推定方法。
【請求項28】
前記バッテリーの電圧挙動を構成するバッテリー電圧は、少なくとも現在ステップ、以前ステップ及び前前ステップで測定されたバッテリー電圧V、Vn−1及びVn−2を含むことを特徴とする請求項24に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項29】
前記数学的モデルは、現在ステップと過去ステップとの間のバッテリー電圧変化量と、バッテリー電圧変化パターンを構成する各電圧によって定義されるパターン関数の数学的演算によって定義されることを特徴とする請求項24に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。
【請求項30】
前記補正ファクターは、バッテリー温度Tを入力変数としバッテリー開放電圧変化量の補正ファクターを出力変数とする数学的モデルにバッテリーの温度を代入して算出することを特徴とする請求項24に記載のバッテリーの電圧挙動を用いたバッテリー抵抗特性推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−530709(P2011−530709A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522891(P2011−522891)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002629
【国際公開番号】WO2010/018919
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】