説明

バッテリ交換システムおよびバッテリ交換方法

【課題】低コストのバッテリ交換システムおよびバッテリ交換方法を提供する。
【解決手段】所定の位置に停車した車輌の下方より車体収納部に第1側面および前記第1側面から所定の角度で延びる第2側面を有する外形状を備えるバッテリユニットを脱着する車輌のバッテリ交換システムにおいて、前記車体収納部から装脱された前記バッテリユニットの下面を支持可能な第1載置台と、前記第1載置台を昇降可能な昇降手段と、前記バッテリユニットの相対位置を前記第1側面内の所定の一箇所および前記第2側面内で所定の間隔を置いた所定の二箇所に当接することで検出し、これと標準位置の間で前記バッテリユニットを移動することができる押し込み手段と、これを制御する制御手段と、装脱された前記バッテリユニットを取り出し、交換用の前記バッテリユニットを載置する移載手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌のバッテリ交換に関し、特に車体の下側からバッテリを取り外し、再びバッテリの装着を行う車輌のバッテリ交換システムおよびバッテリ交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車等の車輌のバッテリを交換するものとしては、車体の下側からバッテリを取り外し、再び同じ車体の下側からバッテリの装着を行うバッテリ交換装置がある(特許文献1参照)。また、電気自動車のバッテリを交換可能にするガソリンスタンドのようなバッテリ交換ステーションが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3530870号公報
【特許文献2】特開2001−057711号公報
【0004】
しかしながら、特許文献1のバッテリ交換装置においては、充電済みのバッテリを装着する前に交換対象となる車輌のバッテリ装着位置を車体の下方からレーザ変位センサーによりレーザを照射しながら車体の下面の装着位置を走査し、その走査して取得したデータを基に装着位置の算出を行って、載置台に載置されたバッテリの位置を合せ、その後車体にバッテリの装着を行うものである([0037]〜[0039]参照)。レーザ変位センサーは、主にレーザを検出対象に反射させてデータを検出し測定するものであるため、車輌の底部(車体下面)の状態(汚れ具合、光沢具合、色など)により検出結果に不具合(データ誤差)が発生する場合がある。
【0005】
また、特許文献1の装置や本発明のシステムにおいては、特許文献2のようなガソリンスタンド形式の「バッテリ交換ステーション(スタンド)」に採用することも考えられる。この場合、運転者が車輌に乗車したままであったり、もしくは、運転者がバッテリ交換のために車輌に乗り降りしたりするため、車体が揺れ動く可能性があることが考えられる。このように、検出時に車体が揺れ動くと誤ったデータを検出することになり、誤ったデータを基にバッテリの位置合わせをして車体へのバッテリ装着動作を行うと、バッテリ装着不良になる可能性がある。また、車輌のバッテリ装着位置を検出する専用の検出手段を設けるため、検出のための検出動作が必要となり全体の作業時間が増加すると共に、装置が複雑になり装置コストが増加することになる。そして、このようなバッテリ交換ステーションでは、バッテリの充電量が少なくなった電気自動車が到着し、装着中の使用したバッテリと充電済みバッテリとを交換する際に、まず、装着中の使用したバッテリが車体から取り外される。そして、充電可能なバッテリ保管庫から充電済みバッテリが取り出されて移動され、車体に取り付けられる。そして、取り外された使用したバッテリは、充電を行うために保管庫に移動され、保管される。このとき、保管庫でバッテリの保管をしつつ充電をするためには、所定の保管位置で保管庫に保管することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置コストを抑えると共に装置構造を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、上記課題に鑑みて、レーザ変位センサーを用いることなく、車輌(車体)に対するバッテリ等の脱着を容易に行うことができ、装脱されたバッテリの保管を行いつつ充電が容易に行い得るバッテリ交換システムおよびバッテリ交換方法を考案した。
【0008】
より具体的には、以下のようなものを提供することができる。
(1)所定の位置に停車した車輌の下方より、車体下面に設けられたバッテリ収納部に対して、第1側面および前記第1側面から所定の角度で延びる第2側面を有する外形状を備えるバッテリユニットを脱着する車輌のバッテリ交換システムにおいて、前記車体収納部から装脱された前記バッテリユニットの下面を支持可能な第1載置台と、前記第1載置台を昇降可能な昇降手段と、前記バッテリ収納部から装脱され、前記第1載置台に載置されたバッテリユニットにおける前記第1側面内の所定の一箇所および前記第2側面内で所定の間隔を置いた所定の二箇所に当接するよう配置され、前記バッテリユニットの位置を変更自在な位置変更手段と、前記第1載置台に載置された前記バッテリユニットの初期位置を記憶する記憶部を備え、前記位置変更手段による前記バッテリユニットの位置の変更を制御する制御手段と、車体から装脱され、前記第1載置台に載置された前記バッテリユニットを第1載置台上から取り出し、充電済みの前記バッテリユニットを第1載置台に載置する移載手段と、を含む、車輌のバッテリ交換システムを提供することができる。
【0009】
車輌は、少なくとも1つのタイヤの位置を特定することにより所定の位置に停車できる。車体収納部は、下方向に開口可能なもの、走行時に落下しないようにロック機構を備えるものが好ましい。バッテリユニットの第1および第2の側面は、バッテリユニットの下面に対して垂直若しくは実質的に垂直であることが好ましい。例えば、バッテリユニットの下面近傍が直方体であってもよい。上記第1側面は、上記バッテリユニットの下面の平面形状(下面に平行な面への正射影に相当)において、短辺に対応する側面であってもよい。上記第2側面は、該平面形状の長辺に対応する側面であってもよい。また、第1及び第2側面により形成される上記所定の角度は、直角または実質的に直角であってもよい。該平面形状が長方形であってもよい。上記所定の間隔とは、上記位置変更手段がそれぞれ安定的に上記バッテリユニットに機能することができる間隔であってもよい。特に、この所定の間隔内に、上記バッテリユニットの重心の第2側面への正射影があってもよい。
【0010】
(2)前記バッテリユニットは、上面視矩形状を呈し、前記第1および第2側面に対向する第1および第2対向側面を備え、前記位置変更手段は、前記第1対向側面内の所定の一箇所および前記第2対向側面内で所定の間隔を置いた所定の二箇所に当接可能に構成することを特徴とする上記(1)に記載のバッテリ交換システムを提供することができる。
【0011】
第1載置台は、第1載置面を備え、該第1載置面はバッテリユニットを支持する。第1載置面上のバッテリユニットの相対位置は、例えば第1載置面をX−Yの直交座標系で表現し、バッテリユニットの下面の所定の距離隔てた2点の座標を特定することにより求めることができる。より具体的には、バッテリユニットの下面が長方形(第1長方形)であるとき、4つの角の内2つの角の座標を特定することで、相対位置が得られる。また、バッテリユニットの重心から垂線を下ろして下面と交わる点を下面重心とすると、この下面重心の座標と、下面重心を通って第1長方形の長辺(長い方の辺)に平行な直線が第1載置面のX又はY軸となす角(以下「傾き角」という)を特定することにより、バッテリユニットの相対位置を求めることができる。尚、長方形は正方形を含んでよい。
【0012】
車体収納部から第1載置台の第1載置面に降ろされたバッテリユニットの第1載置面上の相対位置は、そのまま上げれば車体収納部に入れることができる位置(以下「初期位置」という)である。常に一定の位置関係を保持して車輌をピットに対して停止させることは難しいので、この初期位置は変動する。また、棚部屋にて保管/メンテナンス/充電等がされている交換用のバッテリユニットは、棚部屋から取出されて第1載置面上の予め定められた所定の相対位置(以下「標準位置」という)に載置されてから、車体収納部に取付られる。初期位置と標準位置が異なり得ることは言うまでもないが、初期位置が変動するため、標準位置を一定としても、両者の関係は一定となるとは限らない。そのため、充電済みのバッテリユニットを第1載置台から同車体収納部に取り付ける場合、第1載置台に載置されたバッテリユニットと車体収納部との相対位置合わせを行う。第1載置台は、ピットに対する一定の相対位置を確保できるので、バッテリユニットの第1載置面上の相対位置を初期位置にできれば、かかる相対位置合わせは必ずしも必要ではない。
【0013】
(3)更に、前記第1載置台の下方に、第1載置台に載置された前記バッテリユニットを掬い上げ、支持する複数の転動体を有する第2載置台を備えることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のバッテリ交換システムを提供することができる。
【0014】
ここで、第2載置台は、複数の転動体を上面に備えることもできる。それぞれの転動体の頂部は、ほぼ同じ高さで並んでおり、バッテリユニットの下面を載せると、複数の転動体の頂部で支持することにより、バッテリユニットを移動および/または回動を容易にすることができる。第1載置台は、これらの転動体の配置に応じた位置に、それぞれの転動体の頂部が第1載置台の載置面を超えて出没することができるように開口が設けられる。第1載置台および第2載置台の間の距離は、アクチュエータやエアシリンダ等を含む昇降手段によって調整され、バッテリユニットの下面を転動体の頂部が支持する状態および支持が解除される状態を作ることができる。第1載置台及び第2載置台を組合せたものを載置台と総称してもよい。
【0015】
(4)前記位置変更手段は、押し抵抗に応じて前記バッテリユニットの初期位置を検出する、上記(1)から(3)のいずれかに記載のバッテリ交換システムを提供することができる。
【0016】
位置変更手段は、接触子、伸縮ロッド、およびサーボモータをそれぞれ備える複数の押し込み装置を含んでよい。これらの押し込み装置は、第1載置台の昇降を妨げない待機位置に設置される。例えば、それぞれの伸縮ロッドが伸びて第1側面および第2側面にそれぞれ当接して位置を検出し、当接しながら更に伸びてバッテリユニットを移動させる。しかるに、伸縮ロッドが縮む際には第1側面および第2側面の当接が解除され、力は働かなくなる。例えば、フリーの伸縮ロッドがバッテリユニットに当接すると押抵抗が生じ、押し込み装置を駆動するサーボモータの電流により位置検出ができる。各押し込み装置のそれぞれの伸縮量を記録することができる。
【0017】
(5)前記押し抵抗は、前記位置変更手段を駆動するモータの電流値の変化により測定する、上記(4)に記載のバッテリ交換システムを提供することができる。
【0018】
(6)前記位置変更手段が前記バッテリユニットの対向するそれぞれの側面に当接するまで、それぞれの前記位置変更手段が動作する際の電流値上限となるそれぞれの第1設定値と、前記位置変更手段が前記バッテリユニットに当接後前記所定の標準位置まで、それぞれの前記位置変更手段が動作する際の電流値上限となるそれぞれの第2設定値とをそれぞれの位置変更手段毎に記憶する記憶手段を更に備え、前記制御手段は、それぞれの前記第1設定値および前記第2設定値に基づいて、前記位置変更手段の動作を制御する、上記(5)に記載のバッテリ交換システムを提供することができる。
【0019】
(7)前記記憶手段は、位置変更手段毎に応じて予め定められた標準位置と、それぞれの前記位置変更手段により検出された前記バッテリユニットの前記初期位置を位置変更手段毎に記憶する。前記制御手段は、位置変更手段毎の前記初期位置をそれぞれ記憶後、前記所定の標準位置へと前記バッテリユニットを移動させるように、それぞれの前記位置変更手段を制御する、上記(6)に記載のバッテリ交換システムを提供することができる。
【0020】
第1設定値よりも第2設定値は大きく、別々に検出可能である。バッテリユニットの相対位置は、第1載置面と一定の位置関係を持つ位置に配置される複数の押し込み装置からの当接時の伸縮ロッドの長さデータ(伸縮量)から算出可能である。
【0021】
(8)前記制御手段は、前記所定の標準位置に載置された前記バッテリユニットを、検出時に記憶された前記初期位置に基づき、前記初期位置へ移動させるように、前記位置変更手段を制御する、上記(7)に記載のバッテリ交換システムを提供することができる。
【0022】
(9)所定の位置に停車した車輌の下方より車体収納部に第1側面および前記第1側面から所定の角度で延びる第2側面を有する外形状を備えるバッテリユニットを脱着する車輌のバッテリ交換方法において、前記バッテリユニットが収納される前記車輌の車体収納部の直下に載置台を移送(昇降)手段により移送させ、前記車体収納部に収納された水平面における位置のまま前記バッテリユニットを装脱し、前記載置台に載せる第1の移載工程と、前記バッテリユニットの前記載置台における前記水平面における位置を前記位置変更手段により検出し、そのデータを記憶手段に記憶させる検出工程と、該検出工程後、前記バッテリユニットを前記水平面における位置から前記載置台上の所定の標準位置へと前記位置変更手段により動かす第1の動作工程と、動かされた前記バッテリユニットを移載手段により前記載置台上から取り出し、充電済みのバッテリユニットを前記所定の標準位置で前記移載手段により前記載置台上に載置する第2の移載工程と、記憶された前記データに基づき、前記位置変更手段が作用可能な位置において、前記所定の標準位置から前記水平面における位置に、前記載置台上に載置された充電済みの前記バッテリユニットを前記位置変更手段により動かす第2の動作工程と、前記車体収納部の直下に前記載置台を前記移送手段により移送させ、前記水平面における位置にある充電済みの前記バッテリユニットを前記車体収納部に装着、収納させる第3の移載工程と、を含むバッテリ交換方法を提供することができる。
【0023】
(10)前記検出工程と前記第1の動作工程の間、および前記第2の移載工程と前記第2の動作工程との間に、前記載置台の平面状の第1載置部に載置された前記バッテリユニットを、複数の転動体を表面に有する第2載置部に載せ替える第1の載せ替え工程、および第2の載せ替え工程、を更に含むことを特徴とする上記(9)に記載のバッテリ交換方法を提供することができる。
【0024】
(11)前記第1の動作工程後、前記第2載置部に載せられた前記バッテリユニットを、再び前記第1載置部に載せ替える第3の載せ替え工程と、前記第2の動作工程後、前記第2載置部に載せられた前記バッテリユニットを、再び前記第1載置部に載せ替える第4の載せ替え工程と、を更に含むことを特徴とする上記(10)に記載のバッテリ交換方法を提供することができる。
【0025】
(12)前記検出工程において、前記位置変更手段が前記バッテリユニットの何れかの側面に当接するまで、動作する際の電流値上限となる第1設定値に基づいて、前記バッテリユニットの前記載置台における前記水平面における位置を前記位置変更手段により検出し、前記第1の動作工程および/または第2の動作工程において、前記位置変更手段が前記バッテリユニットに当接後前記所定の標準位置まで、動作する際の電流値上限となる第2設定値に基づいて、前記所定の標準位置と、前記水平面における位置との間で、前記載置台上に載置された前記バッテリユニットを前記位置変更手段により動かすことを特徴とする上記(9)から(11)のいずれかに記載のバッテリ交換方法を提供することができる。
【0026】
(13)前記バッテリユニットの第1側面および第2側面にそれぞれ対向する第1対向側面および第2対向側面に対応して、前記位置変更手段に含まれる、それぞれ第1位置変更要素および第1対向位置変更要素、並びに、第1位置変更要素AとBおよび第1対向位置変更要素AとBが備えられ、それぞれの位置変更要素毎に設定されたそれぞれの第1設定値に基づき、それぞれの位置変更要素が対応するそれぞれの側面に当接することを検知して、前記バッテリユニットの前記載置台における前記水平面における位置を前記検出工程において検出し、前記位置変更手段に含まれるそれぞれの位置変更要素毎に、前記バッテリユニットの対応するそれぞれの側面に当接後、前記所定の標準位置まで、動作する際の電流値上限となる第2設定値に基づいて、前記所定の標準位置と、前記水平面における位置との間で、前記載置台上に載置された前記バッテリユニットを、前記第1の動作工程および/または第2の動作工程において、前記位置変更手段のそれぞれの位置変更要素により動かすことを特徴とする上記(12)に記載のバッテリ交換方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明のバッテリ交換システムによれば、車体から取り外したバッテリユニットの取り付け位置を正確に把握でき、また、充電済みのバッテリユニットを車体に取り付ける際、元の取り付け位置へ正確に位置の再現をすることができ、容易に、かつ、精度よくバッテリユニットを脱着できる。つまり、使用済みバッテリユニットと、充電済みバッテリユニットとの交換をする際の位置の再現を正確に容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に関し、バッテリ交換システムの概略を模式的に示す図である。
【図2】図1のバッテリ交換システムの機能(初期)を説明する図である。
【図3】バッテリ交換システムの全体設備を模式的に示す斜視図である。
【図4】バッテリ交換システムの全体設備を模式的に示す壁を全て透明にした斜視図である。
【図5】図1のバッテリ交換システムの機能を説明する図である(車停止)。
【図6】バッテリユニットおよび車体収納部をより詳しく説明する図である。
【図7】図1のバッテリ交換システムの機能(装脱)を説明する図である。
【図8】図1のバッテリ交換システムの機能(位置移動1)を説明する図である。
【図9】バッテリ交換システムの制御を示すブロック図である。
【図10】バッテリユニットの位置移動の具体例を説明する概略模式図である。
【図11A】バッテリユニットの位置移動の別の具体例を説明する部分上面図である。
【図11B】バッテリユニットの位置移動の更に別の具体例を説明する部分上面図である。
【図12】バッテリ交換システムの第1及び第2載置台、昇降装置、搬送レール(部分)を示す斜視図である。
【図13】バッテリ交換システムの第1及び第2載置台をより詳しく説明する一部を切断した斜視図である。
【図14】図13の第1及び第2載置台を側面から見た図である。
【図15】図13の第1及び第2載置台であって別の面で切断したものを側面から見た図である。
【図16】バッテリ交換システムの所定位置に停車された車輌およびシステムの一部を一部透明にして示した斜視図である。
【図17】図16のバッテリ交換システムをほぼ側面から見た図である。
【図18】図1のバッテリ交換システムの機能(搬送移動)を説明する図である。
【図19】図1のバッテリ交換システムの機能(移載1)を説明する図である。
【図20】図1のバッテリ交換システムの機能(保管1)を説明する図である。
【図21】図1のバッテリ交換システムの機能(移載2)を説明する図である。
【図22】図1のバッテリ交換システムの機能(移載3)を説明する図である。
【図23】図1のバッテリ交換システムの機能(移載4)を説明する図である。
【図24】図1のバッテリ交換システムの機能(位置移動2)を説明する図である。
【図25】図1のバッテリ交換システムの機能(装着)を説明する図である。
【図26】バッテリユニットの受取り工程を示すフローチャートである。
【図27】バッテリユニットの移載・保管工程を示すフローチャートである。
【図28】バッテリユニットの装着工程を示すフローチャートである。
【図29】バッテリユニットの相対位置検出工程を示すフローチャートである。
【図30】バッテリユニットの相対位置再現工程を示すフローチャートである。
【図31】第1及び第2載置台の調整工程を示すフローチャートである。
【図32】第1及び第2載置台の戻し工程を示すフローチャートである。
【図33】バッテリユニットの相対位置の検出におけるモータの動きおよび電流を示すグラフである。
【図34】バッテリユニットの相対位置の再現におけるモータの動きおよび電流を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。また、以下の説明では、本発明に係る実施の態様の例を示したに過ぎず、当業者の技術常識に基づき、本発明の範囲を超えることなく、適宜変更可能である。従って、本発明の範囲はこれらの具体例に限定されるものではない。また、これらの図面は、説明のために強調されて記載されており、実際の寸法とは異なる場合がある。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の第1実施例に関し、バッテリ交換システムの概略を模式的に示す。バッテリ交換システム10は、主に交換部50、移載部90、保管・充電部120から構成される。交換部50は、床面12を基準に、コンベヤからなるタイヤ支持部14が車輌18の位置決め用に配置され、そこに車輌18が停車したことを検知することができる。車輌18にはバッテリユニットを収納保持する車体収納部があり、バッテリユニット20が装着されている。この車体収納部の直下には、ピットが開口しており、車体収納部による保持が解除されたバッテリユニット20を載置する載置台52が支持ベース54に支持されて床面12と同じ高さでピットの開口を塞ぐように待機している。支持ベース54は、昇降手段である昇降機構としてXリンク型の昇降装置56により昇降される。これら載置台52、支持ベース54、昇降装置56を含む交換装置は所定の軌道を移動する移動部材58a、58bによって走行レール60上を水平方向に移動可能にガイドされる。走行レール60は、基準土台16に支持されている。ピットの開口の下で交換装置の両側(実際にはバッテリユニットの周囲(4辺))には、位置検出・補正を行う機能を有する位置変更手段として押し込み装置62a、62b(詳細は後述する)が配置されている。
【0031】
図中左側には、移載部90が設けられ、移載手段として機能するスタッカークレーン92が配置され、主軸94に沿って上下する支持移動部材96に固定されたアーム基台98が第1アーム100およびより先端の第2アーム102をスライド拡張可能に構成されている。この支持移動部材96は、図中破線で示すように上昇し、移載部90と交換部50との間に配置された保管・充電部120の保管棚122の棚高さに合わせた位置に停止し、使用済みバッテリユニットを所定の保管棚へ移載を行うことができる。保管・充電部120には、複数の棚部屋に分かれた保管棚122が配置され、各棚部屋にはそれぞれ充電手段となる充電器124、126と、バッテリユニットの受電部に接触して通電を行う接触部材128、130が配置され、各棚部屋に保管されたバッテリユニットへと電力を供給して充電を行う。本実施例では、保管棚122を移載部90と交換部50との間に配置したが、移載部90を挟んだ反対側に配置してもよい。
【0032】
図2から図25は、図1のバッテリ交換システムの作用について手順と共に説明する。図2は、バッテリ交換システムの初期状態で、床面12には車輌がなく、交換装置は、ピット開口が載置台52により塞がれたスタンバイの状態である。載置台52の高さは、床面12と面一の高さとされる。保管・充電部120の上の保管棚122には、交換用のバッテリユニット22が保管され、充電器124からの電力が接触部材128によりバッテリユニット22に供給されて充電済みの状態で保管されている。
【0033】
図3は、模式的に示してきたバッテリ交換システムの全体設備を示す一部の壁を透明にした斜視図であり、図4は、壁や床を透明にした斜視図である。バッテリ交換システム10は、全体を図中左右に分ける仕切り壁34の右側(図3中では手前側)の交換部50と、左側(図3中では奥側)の保管・充電部120側から構成され、交換部50は、更に床面12で上下に分けられ、上部には床面12に設けられた開口13の位置に車体格納部を合わせるように車輌を停車する空間が広がる。一方、下部には、上述した載置台52およびその他の部材がそれぞれ配置されている。保管・充電部120側には、移載部90が設けられ、バッテリユニットの保管・充電のための移載手段として機能するスタッカークレーン92が備えられている。保管棚122は、上下方向のみならず、横方向にも配置され、スタッカークレーン92を横方向にも移動可能とするべく、保管棚122と平行にレール123が敷かれている。
【0034】
図5では、床面12にバッテリユニット20の交換のために、車輌18が、そのタイヤを交換部50のタイヤ支持部14に載せた状態で、所定の位置に停車される。車輌18は床面12上にほぼ水平にタイヤ支持部14に所定の車輪を支持させることにより車輌18の床面上の車輌位置(バッテリ受取位置)が固定される。車輪の位置から車種毎に予め決められた位置に車体収納部があるので、車種毎にタイヤ支持部14の位置を変えてもよい。以下、このような車種毎の調整ができたものとして説明を続ける。昇降装置56により、載置台52が上に持ち上げられ所定の位置(高さ)で停止し、車体収納部に収納保持されているバッテリユニット20を載置・支持する。例えば、載置台52がバッテリユニット20の下面に接触するもしくは、接触する直前の位置(高さ)まで持ち上げられ、車体収納部の図示しないロック機構の解除により、バッテリユニット20は、その保持が解除され、載置台52に載置・支持される。このとき、バッテリユニット20は図6に示すように水平方向に動き難い様式で脱着可能に収納される。従って、装脱時に車体収納部に取り付けられていたままで載置台52に載置される。また、載置台52は、昇降可能でありつつ、ピット開口に対して水平方向において一定の位置関係を維持する。例えば、車輌18が、タイヤをタイヤ支持部14に支持させつつも、ピット開口の一辺に対して若干傾いて(ある角度で)停車された場合、車体収納部も同様に傾くので、そこに収納されたバッテリユニット20も同様に傾いており、この傾きを維持しつつ、載置台52の載置面上に載置される。また、車輌18が前後に若干ずれて停車された場合も同様である。このときのバッテリユニット20の載置台52の載置面上の受取位置(いわゆる傾きを含む)を初期位置という。
【0035】
ここで、バッテリユニット20および車輌18の車体収納部19について図6を参照しつつ説明する。バッテリユニットの下面部を形成するベース24に、Y方向に延びる中心線である第1基準線SCL1およびX方向に延びる中心線である第2基準線SCL2をとる(ベース24の詳細は省略して表示)。ベース24は、上面視の図形(平面図形)若しくは下面が実質的に長方形になっている。上記第1基準線SCL1は、この長方形の短辺側に垂直に交わり、上記第2基準線SCL2は、この長方形の長辺側に垂直に交わる。例えば、上記バッテリユニットの第1基準線SCL1に直交する側面を第1側面としてもよく、第2基準線SCL2に直交する側面を第2側面としてもよい。位置決めピン26および28は、ベース24上に車輌右側のY方向に第2基準線SCL2に対して対称に配置される。位置決めピン26および28に対応する車体の位置決め受け部27および29が車輌に備えられ、位置決め受け部に形成されたガイドにより位置決めピンをガイドしてバッテリユニットを確実、正確に車体収納部19へ取り付けることができる。また、ベース24上には、セル32およびセル制御装置30が備えられている。
【0036】
図7に示すように、昇降装置56により、載置台52を下降させ、複数の押し込み装置62a、62bが位置する高さ、すなわち、載置台52に載置されるバッテリユニット20の所定の位置(測定位置または当接位置)に押し込み装置62a、62bが当接可能な高さ位置で、載置台52を停止可能とする。各押し込み装置62a、62bは待機位置で待機する。
【0037】
図9は、バッテリ交換システムの制御ブロック図である。システム全体の制御手段200は、押し込み装置の伸縮ロッドの駆動を含むサーボモータ21のサーボ制御手段202、および、主制御手段204を備える。主制御手段204は、位置決め制御手段206、プロセッサ(CPU)208、および記憶手段210を備える。制御手段200はバッテリ交換システムの主な機能や動作を制御するために、各機能手段や動作手段と無線および/または有線で接続されている。制御手段200には、キーボードや検出センサ等を含む入力機器の入出力手段212が接続され、必要なデータや信号が入力される。載置台等の昇降を行う昇降手段230、検出手段(兼:押手段)224やサーボモータ21のような動力源を含む押し込み装置等の位置変更手段220、載置台や昇降手段230を載せて水平に走行レール上を移動する水平移動手段250、そして、スタッカークレーン92やアーム等の移載手段260は、それぞれ、制御手段200に接続され、統一的な制御がなされる。また、載置台に転動体が適用される場合は、第1及び第2載置台を近接または離間動作をさせるアクチュエータ70(図13等参照)等の昇降手段240も制御される。
【0038】
各押し込み装置62a、62bの伸縮ロッドの、収縮時先端位置は、載置台52の昇降に支障をきたすことのない待機位置に維持される。図10は、載置台52が各押し込み装置の伸縮ロッドにより載置面上に載置されたバッテリユニットの所定の位置に当接可能な位置に位置した状態を簡略上面視して示し、載置台52の載置面に載置されたバッテリユニットの載置位置(受け取り位置)を基準として載置面上のバッテリユニットのベース24を押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bにより載置台52の載置面上における標準位置への移動に関して説明する。図10(a)はバッテリユニットの受取り時、図10(b)は初期位置(受け取り位置(絶対基準位置))である載置面上の相対位置の検出時、図10(c)は標準位置への移動時、図10(d)は相対位置の再現時についてそれぞれ図解する。図10(a)において、載置面における直交する基準線を、Y方向の載置第1基準線SL1及びX方向の載置第2基準線SL2とし、ベース24の長辺及び短辺に平行な線をY方向の第1基準線SCL1及びX方向の第2基準線SCL2とする。ここで、載置第1基準線SL1及び載置第2基準線SL2の交点と第1基準線SCL1及び第2基準線SCL2の交点とを合致させると、載置第1基準線SL1及び載置第2基準線SL2に対して、第1基準線SCL1及び第2基準線SCL2は、任意の傾き角で傾いており、これが載置面上におけるバッテリユニットのベース24の傾きに相当する。標準位置にあるバッテリユニット(図10(c))においては、載置第1基準線SL1及び載置第2基準線SL2に対して第1基準線SCL1及び第2基準線SCL2がそれぞれ重なる(一致する)こととなる。押し込み装置63a、63bは、載置面における載置第1基準線SL1に沿って、ベース24を挟んで対向して備えられ、載置第2基準線SL2に対して線対称に配置されている。また、押し込み装置62a及び62b並びに押し込み装置62c及び62dは、ベース24を挟んで対向して備えられ、それぞれ載置第1基準線SL1に対して線対称に配置されている。対称の対となる押し込み装置62a及び62b、並びに、押し込み装置62c及び62dは、それぞれ、載置第2基準線SL2に平行な線で結ぶことができる。また、これらの対となる押し込み装置62a及び62b、並びに、押し込み装置62c及び62dは、載置第2基準線SL2に対して線対称に配置されている。各押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bはそれぞれの各伸縮ロッドにより初期位置にあるバッテリユニット20のベース24の所定の位置に対して伸長した際に当接(接触)可能な位置に配置され、収縮した状態で待機する(図10(a))。ここからそれぞれの押込み装置のそれぞれのサーボモータを各々駆動し、各伸縮ロッドを所定の一定速度で第1の位置となる伸縮ロッドが伸長した位置に向かって移動させ、ベース24の各側面に当接させる。それぞれの押し込み装置には、エンコーダが構成され、伸縮ロッドの動作位置は、エンコーダによりパルスカウントが行われることで位置データとして管理されている(図10(b))。また、伸縮ロッドは、動作する際に使用される電流値の監視が行われている。そして、各伸縮ロッドの先端部がベースの側面に当接すると、各サーボモータの電流が予め設定された第1設定値(非当接時の設定時)に到達し、または、超えることで当接位置の信号が検出され(図33参照)、その信号を基にそれぞれの累積パルスカウント(位置データ)が記憶手段210(図9参照)に各々記憶される。これにより、各サーボモータのパルスカウントからなるバッテリユニット20の初期位置(の位置データ)が記憶手段210(又は記憶部)に記憶される。次に、予め設定(記憶)されていた標準位置の位置データを読み出し、各サーボモータに設定する。図10(b)及び(c)からわかるように、図10(c)の標準位置にバッテリユニットを移動させるためには、図10(b)において、押し込み装置62a及び62dの伸縮ロッドを伸ばし(そして若干ではあるが、押し込み装置63a及び63bの伸縮ロッドを動作し)、それぞれに対向する押し込み装置62b及び62cの伸縮ロッドを縮める必要がある。このときに、図10(b)と(c)を比べると、押し込み装置63a及び63bの伸縮ロッドの各先端の間の距離は、図10(b)においてベース24が傾いている分だけ、より長くなる。従って、図10(c)では押し込み装置63a及び63bの伸縮ロッドを僅かに伸ばして、短くなった距離を詰めることになる。また、少なくとも当接した伸縮ロッドを伸長する(バッテリを押して移動させる)場合は、サーボモータの電流設定値を当接時後の設定値(当接後の設定値)に変更する。このようにして、各伸縮ロッドの伸縮量を定量化し、それだけのパルスカウント(位置データ)を各サーボモータに送信することにより、載置面上の初期位置に載置されたバッテリユニット20を記憶手段に記憶させておいた載置面上の標準位置に移動させることができる。この標準位置は、後述する移載手段により移載を行う際のバッテリユニットの載置面上における基準とされるものである。そして、載置台52における標準位置にバッテリユニット20の位置が変更された後、各押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bの各伸縮ロッドは全て待機位置まで、縮められる。以上のような各押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bの制御は、制御手段200(図9)によって行われる。
【0039】
図11Aは、より詳しくこの移動について説明する上面図である。交換部50の基準土台16上に設置された枠フレーム59を構成する水平フレーム部59bの所定の位置に、各押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bがそれぞれ固定される。昇降装置56の上に載った載置台52は、水平フレーム部59bと一定の位置関係を維持するので、各押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bおよびそれぞれの伸縮ロッド64a、64b、64c、64d、65a、65bとも一定の位置関係を維持する。バッテリユニット20の位置検出および移動可能な高さ位置(測定位置または当接位置)に載置台52が停止されるまで、伸縮ロッド64a、64b、64c、64d、65a、65bは、それぞれの基底部が点線で表す待機位置Aにて、待機する。載置台52には、初期位置に載置されたバッテリユニット20がある。そして、載置台52が測定位置に位置されると、待機位置Aから伸びる各伸縮ロッド64a、64b、64c、64d、65a、65bが、ベース24の各側面に向かって伸長され、ベース24の各側面に当接する(当接位置64a1、64b1、64c1、64d1、65a1、65b1)ことで、伸長が停止される。位置の記録等は図10の場合と同様である。次に、バッテリユニット20をそれぞれの伸縮ロッド64a、64b、64c、64d、65a、65bを操作して標準位置(ベース24’として点線で示す位置)に移動する。このとき、伸縮ロッド65bは位置65b2まで縮み、伸縮ロッド65aはそれに合わせて位置65a2まで伸びることにより、バッテリユニット20が図中右方向(Y方向)に移動する。一方、伸縮ロッド64bおよび64dは位置64b2および64d2まで縮み、伸縮ロッド64aおよび64cはそれに合わせて位置64a2および64c2まで伸びることにより、バッテリユニット20が図中下方向(X方向)に移動する。これにより、バッテリユニット20の載置台52に対する回転(または傾き)を含んだ相対位置を変更することができる。
【0040】
図11Bは、別の移動について説明する主な構成のみを描いた上面模式図である。載置台の上面が大きく横長の長四角に描かれている。また、各押し込み装置64a、64b、64c、64d、65a、65bがそれぞれ、この載置台に対して、相対的な位置が固定される。ここでは、各押し込み装置64a、64b、64c、64d、65a、65bのそれぞれの軸方向の移動を分かり易く描くために、横にずらして表示している。即ち、第1段階では、実線で描いたバッテリユニット及び各押し込み装置が存在する。第2段階では、押し込み装置64a、64b、64c、64dを軸方向に図11Bにおいて上下(Y方向)に動かし、バッテリユニットを破線の位置に移動させる。本図では、押し込み装置64a、64b、64c、64dが破線で内側にずらして描かれている。そして、第3段階で、押し込み装置65a、65bを軸方向に図11Bにおいて左右(X方向)に動かし、バッテリユニットを二点鎖線の位置に移動させる。バッテリユニットは、第1段階では、その重心の位置が黒丸(x0、y0)である。第2段階では、重心の回りに反時計回りに回転させるだけであるので、重心の位置は変わらない。しかし、第3段階では、重心の位置が左方向に移動する。この移動を、押し込み装置65a、65bのみで行うと、バッテリユニットの重心を通る線上の1点でバッテリユニットを押すわけではないので、バッテリユニットには回転モーメントが働くことになる。しかしながら、本実施例においては、破線で描いた押し込み装置64a、64b、64c、64dにより図中上下方向の自由度を押さえ込むので、回転モーメントは相殺され、バッテリユニットは回転することなく左方向に移動可能である。このようにバッテリユニットの上面視で短辺側の押し込み装置を左右の1対にできるので、経済的に有利である。また、特に短辺側の押し込み装置の数を減らすのは、基準となる長さが短く、モーメントを大きくする重心からの距離が比較的短くなるからである。
【0041】
図12は、バッテリ交換システムの第2実施例となる交換部の第1及び第2載置台、昇降装置、搬送レール等を示す斜視図である。第1載置台52には、円形に形成された複数の開口51が設けられており、第1載置台52の下に備えられた第2載置台66に支持される転動体67が第1載置台52に形成された各開口51に対応する位置に配置される。第1載置台52は、後述する昇降手段により、転動体67が各開口51からその頂部を出没するように、第2載置台66に近接(下降)し、離隔(上昇)する。第1載置台52および第2載置台66の周りには、図11Aと同様に複数の押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bが第1載置台52および第2載置台66を囲うようにほぼ水平面内に配置される(図11A参照)。これらの押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bは、交換部50の基準土台16上に設置された枠フレーム59を構成する水平フレーム部59bの所定の位置にそれぞれ固定される。第1載置台52等の昇降体は、Xリンク機構を含む昇降装置56により昇降されるが、これらは、基準土台16上に設置された走行レール60上を移動する移動部材58a、58b、58c、58dにより移動可能に支持される。同様に、第1載置台52と押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bとの相対位置が予め設定された関係を維持する。平行に延びる走行レール60の中央には、ガイド帯61が配置され、移動方向に延びる歯切りをしたラックを備えるガイド帯61と図示しないピニオンギアを備える昇降装置56とは、ラック&ピニオン機構による駆動可能となっている。昇降装置56は、この図示しないピニオンギアを図示しないサーボモータにより数値制御して移動させることができるため、昇降装置56をガイド帯61における所望の位置へ移動させ、また、停止させることができる。ここでは、ラック&ピニオン機構が用いられているが、ボールネジ機構等の他の機構も用いることができる。
【0042】
図13は、バッテリユニット20を載置した状態で、第1載置台52近傍を詳細に説明する斜視図であり、特に、第1載置台52を昇降手段として機能する装置(アクチュエータ)が手前側に見えるように部分的に切断した部分切断斜視図である。切断面は、このアクチュエータが露出する面(側面に平行な平面)で切ったものである。図14は、この部分的に切断された第1載置台52等について、切断面の側からみた図である。図15は転動体67、第2載置台66、および第1載置台52の関係を説明するための別の切断面を見せる側面図である。第1載置台52の載置面には、ゴムシートのような摩擦が大きい部材52aが配置され、バッテリユニット20のベース24を安定して載置することができる。この摩擦が大きい部材においても、複数の開口51と連通する複数の開口(孔)が対応した位置に形成されており、第2載置台66に転動可能に支持される転動体67の頂部が、開口51から出没可能に構成される。これは、第1載置台52および第2載置台66を支持する支持ベース54の四隅部にそれぞれ形成された開口に4つの昇降手段として機能するアクチュエータ(例えば、エアシリンダ)70を第2載置台66の下面にそれぞれ取り付け固定しそれぞれの昇降手段の動作を協調して動作することにより行うことができる。アクチュエータ70のロッド72は、第2載置台66の対応する部分(本実施例では、四隅部)に設けられた開口に移動可能に挿通され、第1載置台52の下面に取り付け固定される。このアクチュエータ70は、昇降装置56および押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bと連携して動作可能である。例えば、バッテリユニット20の相対位置を検出する際には、アクチュエータ70により、第2載置台66から第1載置台52を離隔させ、バッテリユニット20が動き難い状態とし、バッテリユニット20の相対位置を初期位置と標準位置との間で動かす際には、第2載置台66と第1載置台52を近接させ、転動体67によるバッテリユニット20の支持を行うようにする。すると、摩擦抵抗も少なく、押込み装置によりスムーズにバッテリユニット20を動かすことができ、第1載置台52上におけるバッテリユニット20をより正確に位置決めすることが可能となる。
【0043】
図16及び17は、車輌18の横方向から見た一部透過の概略側面図である。上述する実施例と異なり、昇降手段として単純なリフト型の昇降装置57を用いている。
【0044】
次に本発明において、取り外されたバッテリユニット20の入替を行う動作について、説明する。
図18の破線で示したように、バッテリユニット20を載せた載置台52は、昇降装置56によって、水平に移動可能な位置まで下降され、移動部材58a、58bが走行レール60に案内されて、図示しない移動機構により移載部90に向かって移動する。
【0045】
図19のように、移載部90の所定の位置に停止した載置台52上のバッテリユニット20に向かって、アーム基台98から第1アーム100および第2アーム102が伸張される。このとき、バッテリユニット20は、載置台52上において標準位置で載置されているので、バッテリユニット20に設けられたアーム受入穴(図示せず)に容易に第2アーム102を挿入させることができる。そして、スタッカークレーン92により、載置台52からバッテリユニット20を持ち上げた後、第1アーム100および第2アーム102を収縮させることで、載置台52から支持移動部材96のアーム基台98にバッテリユニット20が移載される。その結果、アーム基台98の所定の位置(標準位置に相当する相対位置)にバッテリユニット20が位置される。その後、スタッカークレーン92により、アーム基台98の所定の位置で載置されたバッテリユニット20は持ち上げられ(図20)、保管・充電部120における空の保管棚122(下の棚部屋に移載される(図21)。
【0046】
図21に示すように、保管棚122(下の棚部屋)に移載されたバッテリユニット20は、棚部屋の所定の位置に置かれる。その結果、図22に示すように、接触部材130を上方からバッテリユニット20の充電部に接触させることで充電が容易にでき、充電器126からの電力がバッテリユニット20に供給される。そして、空となったスタッカークレーン92は、上昇し、上の棚部屋に載置された交換用(充電済み)のバッテリユニット22を取りに行く。その際に、交換に供されるバッテリユニット22から接触部材128が上方に移動することで充電部から離れ、バッテリユニット20の充電部への給電が解除される。そして伸張された第1アーム100および第2アーム102により、交換用のバッテリユニット22を上の棚部屋から支持移動部材96のアーム基台98へと移載される。この交換用のバッテリユニット22は、スタッカークレーン92により上の棚部屋の所定の位置に載置されているものであるから、結果として、アーム基台98の所定の位置に移載・載置される。
【0047】
図23に示すように、アーム基台98の所定の位置に移載・載置された交換用のバッテリユニット22を、スタッカークレーン92により、載置台52の標準位置に移載される。そして、交換用のバッテリユニット22は載置台52および昇降装置56と共に右側の交換部50へと水平に移動し、所定の位置で停止する。
【0048】
図24に示すように、載置台52の標準位置に載置された交換用のバッテリユニット22は、昇降装置56により、複数の押し込み装置62a、62bが載置台52に載置されるバッテリユニット22の所定の位置(測定位置または当接位置)に当接可能な高さまで持ち上げられ、停止して待機される。そして、制御手段は、記憶手段に記憶された押し込み装置毎の初期位置に関する位置データを読み出す。その後、標準位置に載置されるバッテリユニット22のベース24(図6参照)の4つの側面に向って各押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bの各伸縮ロッドが伸び、読み出した位置データのそれぞれの位置に移動して停止する。各伸縮ロッドは、このようにして、初期位置を検出した際に記憶した初期位置データを基に各縮ロッドの伸縮量を設定し、その設定値に応じたパルスカウントを各サーボモータに送信することにより、標準位置で載置されたバッテリユニット22を記憶手段に記憶させておいた初期位置に移動させることができる。このように、載置台52における初期位置にバッテリユニット22の位置が変更された後、各押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bの各伸縮ロッドは全て待機位置まで、縮められる。以上のような各押し込み装置62a、62b、62c、62d、63a、63bの制御は、制御手段200(図9)によって行われる。
【0049】
図25に示すように、その後、交換用(充電済み)のバッテリユニット22については、取り出したバッテリユニット20で検出された相対位置が再現されている。このため、交換用(充電済み)のバッテリユニット22を昇降装置56によりそのまま上昇させるだけで、車体収納部へ収納させることが可能となっている。そして、載置台52を更に上昇させ、車輌18の車体収納部に交換用(充電済み)のバッテリユニット22を位置付け、図示しないロック機構により、バッテリユニット22が車体収納部へ装着される。
【0050】
すなわち、全く新たに取り付けられるバッテリユニットにもかかわらず、実際に車体収納部に収納されていた使用済みのバッテリユニットが取り出されたときと同じ若しくは実質的に同じ相対位置である初期位置となるように位置決めすることができるので、収納時の微調整が必ずしも必要ではなく、車体収納部の予め決められた位置への取り付けおよび収納が極めて容易となる。また、収納時の微調整のための装置がなくてもよいので、システムを簡素化することができる。また、本発明のバッテリ交換システムは、バッテリユニットの相対位置を検出するための光学的なセンサーを使用しない。そのため、同システムによるバッテリユニットの相対位置等の検出工程においてバッテリユニットの相対位置等の検出の正確性や精度は、対象物となるバッテリユニットの表面の汚れ等の影響を受けることがない。そして、本発明のバッテリ交換システムにおいて、車体収納部から取り出されたバッテリユニットの相対位置である初期位置等の検出とバッテリユニットの標準位置への移動(補正)を同じ押し込み装置により行うことができる。また、標準位置で載置されたバッテリユニットの相対位置等の検出とバッテリユニットの取り出し時の相対位置である初期位置等への移動(補正)を同じ押し込み装置により行うことができる。つまり、押し込み装置の先端に検出器を一体に設けることで検出と移動が可能となる。そのため、検出器と押し込み装置とのマッチングを行う必要がなく、システムの簡素化に寄与する。
【0051】
図26は、本バッテリ交換システムを用いたバッテリユニットの受け取り工程を説明するフローチャートである。先ず、車輌が図16に示すように所定位置に停止しているかを確認し、停止していない場合は(S50、No)、停止するまで待機する。停止している場合は(S50、Yes)、昇降手段が上昇を開始し、載置台が車輌格納部に向かって上昇する(S51)。そして、載置台が車輌格納部の底面(即ち、車輌底面)に当接するか(受け取り可能位置で待機しているか)をチェックし、当接していない場合は(S52、No)、上昇を続け、当接したら上昇を停止し、バッテリユニットを受け取ることができるという受取許可信号が制御手段により車輌に発信される(S53)。車輌のバッテリ保持の解除(例えば、ロック機構の開放)が行われると(S54)、載置台にバッテリユニットが載置される(S55)。このとき、バッテリユニットの相対位置である初期位置は維持される。次に、昇降手段が下降を開始し(S56)、載置台上に載置されるバッテリユニットの相対位置(初期位置)を検出可能な位置である高さ(位置変更手段が機能し得る高さ)に到達するまで下降を続ける。そして、後述する相対位置の検出工程により相対位置を検出し、その位置データを記録すると共に、バッテリユニットを初期位置から、標準位置へと動かす(S58)。次に、昇降手段は下降を開始し、所定の高さ(水平移動可能な位置)まで下降される(S59、S60)。
【0052】
図27は、バッテリユニットの受取工程が終了後、自動的に或いはスイッチの動作に応じて、開始されるバッテリユニットの移載・保管工程を説明するフローチャートである。載置台が移動可能位置まで下降を完了すると、昇降装置の走行レール上を交換装置の駆動機構が動作することで保管部へのバッテリユニットの移動が開始される(S70)。そして、この移動は、交換装置が保管部の所定位置に到達するまで続けられ、到達後、交換装置の移動が停止される(S71、S72)。次に、載置台に載置されたバッテリユニットが保管部の移載手段(例えばスタッカークレーン)により移載されて取り出され、保管棚における空の棚部屋へこのバッテリユニット20が、移載されて、充電が開始される(S73)。その後、移載手段は、充電済みのバッテリユニット22が保管される棚部屋へ移動され、その交換用のバッテリユニット22が保管棚から移載手段により移載されて取り出される(S74)。次に、移載手段は、下降し初期位置に戻り、何も載っていない載置台の標準位置にこの交換用のバッテリユニット22を移載し(S75)、載置されたバッテリユニットと共に交換装置は移動され(S76)、交換部に到達後、交換装置の移動が停止される(S77、S78)。ここでは、充電済みのバッテリユニット22として、車体から取り外したバッテリユニット20とは別の新たなバッテリユニット22を用いる例を挙げたが、これに限定するものではない。例えば、バッテリユニット20の交換に要する時間は長くなるものの、車体から取り外した要充電のバッテリユニット20を保管棚に移載して充電を行い、その充電を行ったバッテリユニット20を、充電済みのバッテリユニット22として再び車体に取り付けるようにしてもよい。
【0053】
図28は、交換用のバッテリユニット22が交換部の所定位置まで運ばれてくると、自動的に或いはスイッチの動作に応じて、開始されるバッテリユニット22の装着のフローチャートを示す。交換装置が昇降の所定位置にあることを確認し(S80)、昇降装置56が載置台52の上昇を開始させる(S81)。載置台52は、押込み手段がバッテリユニット22を標準位置から初期位置に移動可能となる高さに到達するまで、上昇が続けられ(S82)、到達後、昇降装置56は停止され、その位置で載置台52を待機させる(S83)。尚、載置台52のこの高さは、相対位置等を検出可能な高さに相当する。そして、詳細は後述するが、標準位置で載置されているバッテリユニット22を、バッテリ受け取り時の相対位置である初期位置へと位置調整される(S84)。位置調整後、昇降装置56による載置台52の上昇が再開され(S85)、載置台52が車輌の収納部のバッテリユニット装着位置に達するまで上昇が続けられる(S86)。そして、載置台52がバッテリユニット装着位置に達すると、車輌18に保持開始をさせるための保持開始信号が制御手段により車輌側へ出力される(S87)。保持開始信号を基に車輌18はバッテリユニット22の保持を開始し(S88)、保持が完了すると(S89)、車輌18から昇降手段へ保持完了信号が発信され、昇降装置56の下降が開始され(S90)、載置台52が待機位置(載置台の上面と床面とが略同じ高さ)になるまで下降を続ける(S91)。そして、待機位置に到達後、昇降装置56が停止され、バッテリユニット22の車輌18への装着が完了する。これによりピットストップは終了となり、車輌18が交換部の床から発進される。
【0054】
図29は、図26の相対位置(初期位置)検出工程を示すフローチャートである。まず、バッテリユニット(を載置した載置台)が図17に示すように検出位置に待機しているかをチェックする(S10)。次に、後述するように、載置台52が転動体67を用いた摩擦力調整可能なものであるかどうかをチェックする(S11)。調整可能なものであれば、後述する載置台52の調整工程(S200)を行う。調整不能なものである場合は、そのまま次の工程に進み、予め記憶手段210に記憶する第1設定値となる電流値を設定し、サーボモータ21を始動し、パルスカウントを開始すると共に、モータ電流のモニターを開始する(S12)。尚、上記載置台52が摩擦力調整可能なものでない場合は、調整可能か否かの判断工程(S11)を削除してもよく、具体的には、図29においてS10工程後にS12工程が直ちに行われてもよい。また、載置台52が摩擦力調整可能なものである場合であっても、調整可能か否かの判断工程(S11)を削除してもよく、具体的には、S10工程後にS200工程が無条件で行われ、続いてS12工程が行われてもよい。そして、各押し込み装置の各伸縮ロッドの拡張(伸展)を行い接触子の前進をさせる(S13)。この前進中に電流モニターによりサーボモータに流れる電流が第1設定値を超えるかどうかを調べる(監視する)。このときのモデル電流グラフを図33に示す。このグラフでS1停止から、S2動作となった段階がこの工程である。ここではまだ接触子が非接触状態のため基本的に無負荷の状態でモータは正転をしており、モータの電流値が第1設定値を超えない範囲で推移(接触子が前進)する。接触子がバッテリユニットの側面に当接すると、負荷状態となりモータの電流値が上昇し、第1設定値に到達する(若しくは超える)(S14・S15、図33のS3停止)。このとき、パルスカウントの値が記憶され(S16・S17)る。その後、予め記憶手段210に記憶する第1設定値よりも大きい値の電流値となる第2設定値が設定される(S18、S19)。次に、第2設定電流値となる電流値を設定し、サーボモータ21を始動し、パルスカウントを開始すると共に、モータ電流のモニターを開始する。このとき、バッテリユニットに接触子を接触させた状態でバッテリユニットを押しながら移動する伸縮ロッドにおいては、サーボモータ21の電流値が上昇することになる。そして、バッテリユニットを移動すると供に、パルスカウントおよび電流モニターの監視が継続され、バッテリユニットの移動を行う(S20、S21、図33のS4動作)。なお、押し込み装置のうち対向する一方が押し込み方向に動く場合は、他方は引き方向に動くため、引き方向に回転するサーボモータの電流は、それほど大きくならない。そして、目標とするパルスカウント分だけ回転すると、バッテリユニットは目標位置(標準位置)に到達するので(S22、S25)、サーボモータ21を停止する(S25、図33のS5停止)。仮に第2設定値を超えた場合は機械的に動作不能な異常な状態であるので、非常停止(または、異常を発信して自動で停止)する(S23、S24)。載置台の調整を行った場合は、載置台の戻し工程(S250)を行ってバッテリユニットを載置台の載置面に載置するが、そうでない場合は、そのまま、押し込み装置を待機位置まで戻す(S27、S28、図33のS6動作)。以上により検出工程が終了し、プログラムを返す(S29)。
【0055】
図30は、図28のバッテリユニットの装着のフローチャートの相対位置再現工程を図解するフローチャートである。まず、バッテリユニット(を載置する載置台)が検出位置に待機しているかをチェックする(S30)。次に、後述するように、載置台52が転動体67を用いた摩擦力調整可能なものであるかどうかをチェックする(S31)。そうであれば、後述する載置台52の調整工程(S200)を行う。そうでない場合は、そのまま次の工程に進み、相対位置検出フローで取得し記憶しておいた検出した相対位置に関するデータを記憶手段210から読み出して取得する(S32)。ここでも上述したのと同様に、調整可能か否かの判断工程(S31)を削除してもよく、装置に応じて、S30工程後にS32工程が、若しくは、S30工程後にS200工程が無条件で行われ続いてS32工程が行われてもよい。次に、サーボモータ21を始動し、パルスカウントを開始すると共に、モータ電流のモニターを開始する(S33)。そして、各押し込み装置の各伸縮ロッドの拡張(伸展)を行い接触子の前進をさせる(S34)。そして、押込み装置の電流モニターによりサーボモータに流れる電流が第1設定値を超えるかどうかを調べる(監視する)。このときのモデル電流グラフを図34に示す。このグラフでRS1停止から、RS2動作となった段階がこの工程である。ここではまだ接触子が非接触状態のため基本的に無負荷の状態でモータは正転をしており、モータの電流値が第1設定値を超えない範囲で推移(接触子が進行)する。接触子がバッテリユニットの側面に当接すると、負荷状態となりモータ電流値が上昇し、第1設定値に到達する(若しくは超える)(S35、図34のRS3停止)。その後、記憶手段から読み出された相対位置(初期位置)データを基にサーボモータを再度駆動し、伸縮ロッドを移動してバッテリユニットの移動を行う(S36)。このとき、接触子をバッテリユニットに接触させた状態で押し続ける伸縮ロッドについては、サーボモータ21の電流が更に上昇するので、第2設定値となる電流値が設定される(S38、S39)。そして、引き続きパルスカウントのカウントが行われる(S40、S41、図34のRS4動作)。押し込み装置の各伸縮ロッドのサーボモータが目標とするパルスカウント分だけ回転すると、バッテリユニットは目標位置(相対位置=初期位置)に到達するので(S42、S45)、サーボモータを停止する(S45、図34のRS5停止)。仮に第2設定値を超えた場合は異常であるので、非常停止(または、異常を発信して自動で停止)する(S43、S44)。載置台の調整を行った場合は、載置台の戻し工程(S250)を行ってバッテリユニットを載置台の載置面に載置するが、そうでない場合は、そのまま、押し込み装置を待機位置まで戻す(S47、S48、図34のRS6動作)。以上により検出工程が終了し、プログラムを返す(S49)。
【0056】
図31は、図29および30で述べた第1載置台52および第2載置台66の調整工程のフローチャートである。第1載置台52は、支持台に固定されるアクチュエータのロッド(突出状態)により支持されているので、第2載置台66に支持された転動体67が載置面より下方にある。アクチュエータの下降が開始されると(S201)、第1および第2載置台52および66が近接し、転動体の頂部が載置面より上方に突出する(S202)。すると、載置されたバッテリユニットの下面は転動体により支持されるので、アクチュエータを停止し、その位置を保持する(S203)。この様にして、バッテリユニットの下面を転動体で支持することでバッテリユニットの移動時における摩擦力を減少させることでバッテリユニットの容易な移動が可能となる。
【0057】
図32は、図29および30で述べた載置台の戻し工程のフローチャートである。第1載置台52は、支持台に固定されるアクチュエータのロッドにより調整されて、第2載置台66に支持された転動体67が載置面より上方に位置するようになっている。アクチュエータの上昇が開始されると(S251)、第1および第2載置台52および66が離隔し、転動体67の頂部が載置面より下方に後退する(S252)。すると、支持されたバッテリユニット20または22の下面は第1載置台52の載置面により載置され、その後、アクチュエータが停止される(S253)。この様にして、バッテリユニット20または22の下面を直接第1載置台52の載置面で載置することができる。これにより、安定した位置の確保が可能となる。
【符号の説明】
【0058】
10 バッテリ交換システム 12 床面 13 開口
14 タイヤ支持部 16 基準土台 18 車輌
19 車体収納部 20、22 バッテリユニット
24 ベース 30 セル制御装置 32 セル 50 交換部
51 開口 52 載置台(第1載置台) 52a 摩擦が大きい部材
54 支持ベース 56 昇降装置 57 リフト機構
58a、58b、58c、58d 車輪(移動部材) 59 枠フレーム
60 走行レール
62a、62b、62c、62d、63a、63b 押し込み装置
66 第2載置台 67 転動体 70 アクチュエータ
72 ロッド 90 移載部 92 スタッカークレーン
94 主軸 96 支持移動部材 98 アーム基台
100、102 アーム 120 保管・充電部 122 保管棚
124、126 充電器 128、130 接触部材
200 制御手段 202 サーボ制御手段 204 主制御手段
210 記憶手段 212 入出力手段 220 位置変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に停車した車輌の下方より、車体下面に設けられたバッテリ収納部に対して、第1側面および前記第1側面から所定の角度で延びる第2側面を有する外形状を備えるバッテリユニットを脱着する車輌のバッテリ交換システムにおいて、
前記バッテリユニットの下面を支持可能な第1載置台と、
前記第1載置台を昇降可能な昇降手段と、
前記バッテリ収納部から装脱され、前記第1載置台に載置されたバッテリユニットにおける前記第1側面内の所定の一箇所および前記第2側面内で所定の間隔を置いた所定の二箇所に当接するよう配置され、前記バッテリユニットの位置を変更自在な位置変更手段と、
前記第1載置台に載置された前記バッテリユニットの初期位置を記憶する記憶部を備え、前記位置変更手段による前記バッテリユニットの位置の変更を制御する制御手段と、
車体から装脱され、前記第1載置台に載置された前記バッテリユニットを第1載置台上から取り出し、充電済みの前記バッテリユニットを第1載置台に載置する移載手段と、
を含む、車輌のバッテリ交換システム。
【請求項2】
前記バッテリユニットは、上面視矩形状を呈し、
前記第1および第2側面に対向する第1および第2対向側面を備え、
前記位置変更手段は、前記第1対向側面内の所定の一箇所および前記第2対向側面内で所定の間隔を置いた所定の二箇所に当接可能に構成することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ交換システム。
【請求項3】
更に、前記第1載置台の下方に、第1載置台に載置された前記バッテリユニットを掬い上げ、支持する複数の転動体を有する第2載置台を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリ交換システム。
【請求項4】
前記位置変更手段は、押し抵抗の変化に応じて前記バッテリユニットの初期位置を検出する、請求項1から3のいずれかに記載のバッテリ交換システム。
【請求項5】
前記押し抵抗の変化は、前記位置変更手段を駆動するモータの電流値の変化により検出する、請求項4に記載のバッテリ交換システム。
【請求項6】
前記位置変更手段が前記バッテリユニットの対向するそれぞれの側面にそれぞれ配置され、それぞれの側面に当接するまで、それぞれの前記位置変更手段が動作する際の電流値上限となるそれぞれの第1設定値と、前記位置変更手段が前記バッテリユニットに当接後前記所定の標準位置まで、それぞれの前記位置変更手段が動作する際の電流値上限となるそれぞれの第2設定値とをそれぞれの位置変更手段毎に記憶する記憶手段を更に備え、
前記制御手段は、それぞれの前記第1設定値および前記第2設定値に基づいて、前記位置変更手段の動作をそれぞれ制御する、請求項5に記載のバッテリ交換システム。
【請求項7】
前記記憶手段は、位置変更手段毎に応じて予め定められた標準位置と、それぞれの前記位置変更手段により検出された前記バッテリユニットの前記初期位置を位置変更手段毎に記憶し、
前記制御手段は、位置変更手段毎に応じた前記初期位置をそれぞれ記憶後、前記所定の標準位置へ前記バッテリユニットを移動させるように、それぞれの前記位置変更手段を制御する、請求項6に記載のバッテリ交換システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記所定の標準位置に載置された前記バッテリユニットを、検出時に記憶された前記初期位置に基づき、前記初期位置へ移動させるように、前記位置変更手段を制御する、請求項7に記載のバッテリ交換システム。
【請求項9】
所定の位置に停車した車輌の下方より車体収納部に第1側面および前記第1側面から所定の角度で延びる第2側面を有する外形状を備えるバッテリユニットを脱着する車輌のバッテリ交換方法において、
前記バッテリユニットが収納される前記車輌の車体収納部の直下に載置台を移送(昇降)手段により移送(上昇)させ、前記車体収納部に収納された水平面における位置のまま前記バッテリユニットを装脱し、前記載置台に載せる第1の移載工程と、
前記バッテリユニットの前記載置台における前記水平面における位置を前記位置変更手段により検出し、そのデータを記憶手段に記憶させる検出工程と、
該検出工程後、前記バッテリユニットを前記水平面における位置から前記載置台上の所定の標準位置へと前記位置変更手段により動かす第1の動作工程と、
動かされた前記バッテリユニットを移載手段により前記載置台上から取り出し、充電済みのバッテリユニットを前記所定の標準位置で前記移載手段により前記載置台上に載置する第2の移載工程と、
記憶された前記データに基づき、前記位置変更手段が作用可能な位置において、前記所定の標準位置から前記水平面における位置に、前記載置台上に載置された充電済みの前記バッテリユニットを前記位置変更手段により動かす第2の動作工程と、
前記車体収納部の直下に前記載置台を前記移送(昇降)手段により移送(上昇)させ、前記水平面における位置にある充電済みの前記バッテリユニットを前記車体収納部に装着、収納させる第3の移載工程と、を含むバッテリ交換方法。
【請求項10】
前記検出工程と前記第1の動作工程の間、および前記第2の移載工程と前記第2の動作工程との間に、前記載置台の平面状の第1載置部に載置された前記バッテリユニットを、複数の転動体を表面に有する第2載置部に載せ替える第1の載せ替え工程、および第2の載せ替え工程、を更に含むことを特徴とする請求項9に記載のバッテリ交換方法。
【請求項11】
前記第1の動作工程後、前記第2載置部に載せられた前記バッテリユニットを、再び前記第1載置部に載せ替える第3の載せ替え工程と、
前記第2の動作工程後、前記第2載置部に載せられた前記バッテリユニットを、再び前記第1載置部に載せ替える第4の載せ替え工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項10に記載のバッテリ交換方法。
【請求項12】
前記検出工程において、前記位置変更手段が前記バッテリユニットの何れかの側面に当接するまで、動作する際の電流値上限となる第1設定値に基づいて、前記バッテリユニットの前記載置台における前記水平面における位置を前記位置変更手段により検出し、
前記第1の動作工程および/または第2の動作工程において、前記位置変更手段が前記バッテリユニットに当接後、前記所定の標準位置まで、動作する際の電流値上限となる第2設定値に基づいて、前記所定の標準位置と、前記水平面における位置との間で、前記載置台上に載置された前記バッテリユニットを前記位置変更手段により動かすことを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載のバッテリ交換方法。
【請求項13】
前記バッテリユニットの第1側面および第2側面にそれぞれ対向する第1対向側面および第2対向側面に対応して、前記位置変更手段に含まれる、それぞれ第1位置変更要素および第1対向位置変更要素、並びに、第1位置変更要素AとBおよび第1対向位置変更要素AとBが備えられ、
それぞれの位置変更要素毎に設定されたそれぞれの第1設定値に基づき、それぞれの位置変更要素が対応するそれぞれの側面に当接することを検知して、前記バッテリユニットの前記載置台における前記水平面における位置を前記検出工程において検出し、
前記位置変更手段に含まれるそれぞれの位置変更要素毎に、前記バッテリユニットの対応するそれぞれの側面に当接後、前記所定の標準位置まで、動作する際の電流値上限となる第2設定値に基づいて、前記所定の標準位置と、前記水平面における位置との間で、前記載置台上に載置された前記バッテリユニットを、前記第1の動作工程および/または第2の動作工程において、前記位置変更手段のそれぞれの位置変更要素により動かすことを特徴とする請求項12に記載のバッテリ交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−6498(P2012−6498A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144542(P2010−144542)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【Fターム(参考)】