説明

バルブアクチュエータ

【課題】バルブアクチュエータのコイルばねの折損を抑制し、かつ、バルブアクチュエータを小型化する。
【解決手段】バルブアクチュエータは、第1ばね座部14と第2ばね座部32とが互いに接離移動することによってバルブを開閉する。バルブアクチュエータは、第1コイルばね51、第2コイルばね52、および、中間ばね受体60を備えている。中間ばね受体60は、第2コイルばね52が挿通した開口が形成されて、第1コイルばね51を第1ばね座部14との間で狭持した第1ばね受部62、第1コイルばね51の内側に位置して、第2コイルばね52を第2ばね座部32との間で狭持した第2ばね受部64、および、第1コイルばね51と第2コイルばね52との間に位置して、第1ばね受部62と第2ばね受部64とを一体に連結した連結部66を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブを開閉するバルブアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスプリング式のバルブアクチュエータについて、図10を用いて説明する。図10は、バルブアクチュエータのバルブ閉栓状態における概略断面図である。図10に示したバルブアクチュエータは、例えば、ボールバルブやバタフライバルブを回転させて開閉するアクチュエータである。バルブアクチュエータは、筐体10、2個のピストン体30、2本のコイルばね150、シャフト70、および、コンプレッサ80などを有している。
【0003】
筐体10は、略円筒状に形成されていて、両端が塞がれている。2個のピストン体30は、筐体10内に配置されていて、筐体10内の空間を筐体10の軸方向に3つの略円筒状の空間22〜24に仕切っている。2個のピストン体30は、筐体10内の空間を筐体10の軸方向に摺動可能に配設されている。
【0004】
2本のコイルばね150は、筐体10内の両端に位置する2つの空間(ばね収納空間)22に筐体10と同軸的に設けられている。2個のピストン体30は、2本のコイルばね150によって、互いに近づく向きに付勢されている。
【0005】
シャフト70は、筐体10およびコイルばね150の軸に垂直に延びている。シャフト70は、筐体10の略中央を貫通して、筐体10内の中央に位置する空間(ガス給排空間)24を通過している。バルブ(図示しない。)は、筐体10の外部において、シャフト70の一端に固定されている。
【0006】
シャフト70の筐体10内の外周には、ピニオン部72が設けられている。一方、ピストン体30には、ガス給排空間24側に突出したラック部34が形成されている。2個のピストン体30のラック部34は、シャフト70のピニオン部72に噛み合っている。ラック部34およびピニオン部72は、ピストン体30の摺動をシャフト70の回転に変換する。
【0007】
コンプレッサ80は、筐体10の外部に設けられていて、筐体10内のガス給排空間24に圧縮空気を供給する。
【0008】
このバルブアクチュエータの動作について説明する。図10は、例えば、バルブが閉栓した状態のバルブアクチュエータを示している。この状態から、コンプレッサ80によりガス給排空間24に圧縮空気を供給して、ガス給排空間24の内圧を上げると、2個のピストン体30は、2本のコイルばね150の弾性力に反して、互いに離れる方向に摺動する。この摺動に伴って、シャフト70およびバルブが回転して、バルブが開栓される。
【0009】
ここで、バルブが開栓した状態において停電が起こった場合には、コンプレッサ80による空気の供給が停止されて、ガス給排空間24の内圧が下がる。そうすると、2本のコイルばね150の弾性力によって、2個のピストン体30が互いに近づく方向に摺動して、バルブが回転し閉栓される。このように、スプリング式のバルブアクチュエータは、モータの動力によりバルブを開閉する電動式のバルブアクチュエータに比べて、安全性・信頼性が高い(特許文献1および2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−285404号公報
【特許文献2】特開平9−100940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、コイルばね150は、軸方向の長さが長いほど、折損しやすくなる。上述したバルブアクチュエータのように、1本のコイルばね150により所定のばね特性を得ようとすると、コイルばね150を長くせざるを得ないことがある。
【0012】
ここで、コイルばね150の折損を抑制するために、図11に示したように、同径の2本のコイルばね150を軸方向に直列に並べて配設することも考えられる。しかし、2本のコイルばね150間に配設したばね受板160の厚さの分だけ、バルブアクチュエータが大型化してしまう。さらに、2本のコイルばね150は、その両端部の巻きだけ巻き角度を変えて隣接する巻きにばね線の端末を付ける処理がされている(いわゆるクローズドエンド)。そのため、クローズドエンドの増加分だけ、バルブアクチュエータが大型化してしまう。
【0013】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、バルブアクチュエータのコイルばねの折損を抑制し、かつ、バルブアクチュエータを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明に係るバルブアクチュエータは、第1のばね座部と第2のばね座部とが互いに接離移動することによってバルブを開閉するバルブアクチュエータであって、一端が前記第1のばね座部に当接して配設されて、前記第2のばね座部に向かって延びた第1のコイルばねと、一端が前記第2のばね座部に当接して配設されて、前記第1のばね座部に向かって前記第1のコイルばねと同軸的に延びて、他端が前記第1のコイルばねの内側に位置した第2のコイルばねと、前記第2のコイルばねが挿通した開口が形成されて、前記第1のばね座部と前記第2のばね座部との間に配置されて、前記第1のコイルばねを前記第1のばね座部との間で狭持した第1のばね受部、前記第1のコイルばねの内側に位置して、前記第1のばね座部と前記第2のばね座部との間に配置されて、前記第2のコイルばねを前記第2のばね座部との間で狭持した第2のばね受部、および、前記第1のコイルばねと前記第2のコイルばねとの間に位置して、前記第1のばね受部と前記第2のばね受部とを一体に連結した連結部を有し、前記第1のばね座部と前記第2のばね座部との間を移動可能に配設された中間ばね受体と、を具備して、前記第1のコイルばねおよび前記第2のコイルばねは、前記第1のばね座部と前記第2のばね座部とを互いに離れる方向に付勢していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、バルブアクチュエータのコイルばねの折損を抑制し、かつ、バルブアクチュエータを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバルブアクチュエータのバルブ閉栓状態における概略断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るバルブアクチュエータのバルブ閉栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るバルブアクチュエータのバルブ開栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略部分断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るバルブアクチュエータのバルブ閉栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略部分断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るバルブアクチュエータのバルブ閉栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略部分断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るバルブアクチュエータのバルブ閉栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略部分断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係るバルブアクチュエータのバルブ閉栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略部分断面図である。
【図8】本発明の第6の実施形態に係るバルブアクチュエータのバルブ閉栓状態における概略断面図である。
【図9】本発明の第7の実施形態に係るバルブアクチュエータのバルブ閉栓状態における概略断面図である。
【図10】従来のバルブアクチュエータのバルブ閉栓状態における概略断面図である。
【図11】バルブアクチュエータのバルブ閉栓状態における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るバルブアクチュエータについて、図1ないし図3を用いて説明する。図1は、バルブアクチュエータのバルブ閉栓状態における概略断面図である。図2は、バルブアクチュエータのバルブ閉栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略断面図である。図3は、バルブアクチュエータのバルブ開栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略断面図である。なお、上述した従来のバルブアクチュエータと同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0018】
まず、本実施形態に係るバルブアクチュエータの構造について説明する。
【0019】
本実施形態に係るバルブアクチュエータは、筐体10、2個のピストン体30、2組のスプリングユニット50、シャフト70、および、コンプレッサ80などを備えている。
【0020】
筐体10は、シリンダ部12、および、2個の第1ばね座部14を有している。シリンダ部12は、その内部空間が円筒状に形成されている。2個の第1ばね座部14は、シリンダ部12の両端に固定されて、シリンダ部12の両端を塞いでいる。第1ばね座部14の内面には、後述する第1コイルばね51の一端を支持するための環状の突起部14aが形成されている。なお、第1ばね座部14には、ばね収納空間22と筐体10の外部空間とを連通する通気孔(図示しない。)が形成されている。
【0021】
各ピストン体30は、第2ばね座部32およびラック部34を有している。各ピストン体30は、シリンダ部12の軸(以下、「第1軸」という。)方向に摺動可能に設けられている。
【0022】
第2ばね座部32は、その外径がシリンダ部12の内径と略同一の円板状に形成されている。第2ばね座部32は、筐体10内に第1軸中心に配置されていて、筐体10の内部空間を第1軸方向に3つの円筒状の空間22,24に仕切っている。第2ばね座部32の外周縁とシリンダ部12の内周面との間には、環状の樹脂材(図示しない。)が設けられていて、筐体10内の中央の空間(ガス給排空間)24と筐体10内の両端の2つの空間(ばね収納空間)22とは、シールされている。第2ばね座部32のばね収納空間22側の面には、後述する第2コイルばね52の一端を支持するための環状の突起部32aが形成されている。
【0023】
ラック部34は、第2ばね座部32のガス給排空間24側の面から突出している。ラック部34には、歯切り面が形成されている。2個のピストン体30のラック部34の歯切り面は、後述するシャフト70を挟んで、互いに対向している。
【0024】
シャフト70は、第1軸方向に垂直にシリンダ部12の略中央を貫通して延びている。シャフト70は、ガス給排空間24を通過していて、2個のラック部34の歯切り面の間を延びている。シャフト70の筐体10内の外周には、環状のピニオン部72が固定されている。ピニオン部72の外周面は、歯切りされている。2個のラック部34とピニオン部72とは、噛み合っていて、ピストン体30の摺動をシャフト70の回転に変換する変換手段としての役割を果たしている。
【0025】
2組のスプリングユニット50は、ばね収納空間22に配設されている。各スプリングユニット50は、第1コイルばね51、第2コイルばね52、および、中間ばね受体60を有している。
【0026】
第1コイルばね51の一端は、第1ばね座部14に当接していて、環状の突起部14aに嵌合している。第1コイルばね51は、第2ばね座部32に向かって第1軸と同軸的に延びている。
【0027】
第2コイルばね52は、その外径が第1コイルばね51の内径より小さく形成されている。第2コイルばね52の一端は、第2ばね座部32に当接していて、環状の突起部32aに嵌合している。第2コイルばね52は、第1ばね座部14に向かって第1軸と同軸的に延びている。第1コイルばね51と第2コイルばね52とは、部分的に重なって配置されていて、第2コイルばね52の他端は、第1コイルばね51の内側に位置している。
【0028】
中間ばね受体60は、第1ばね受部62、第2ばね受部64、および、連結部66を有している。本実施形態では、第1ばね受部62、第2ばね受部64、および、連結部66は、一体成型されている。中間ばね受体60は、第1ばね座部14と第2ばね座部32との間を移動可能に配設されている。
【0029】
第1ばね受部62は、例えば中心に開口を備えた環板状に形成されている。第1ばね受部62は、第1ばね座部14と第2ばね座部32との間に第1軸中心に配置されている。第1ばね受部62の開口には、第2コイルばね52が挿通している。第1ばね受部62は、第1コイルばね51を第1ばね座部14との間で狭持している。すなわち、第1コイルばね51は、第1ばね座部14および第1ばね受部62によって圧縮されている。
【0030】
第2ばね受部64は、例えば、その外径が第1コイルばね51の内径より小さい円板状に形成されている。第2ばね受部64は、第1コイルばね51の内側に位置して、第1ばね座部14と第2ばね座部32との間に第1軸中心に配置されている。第2ばね受部64は、第2コイルばね52を第2ばね座部32との間で狭持している。すなわち、第2コイルばね52は、第2ばね座部32および第2ばね受部64によって圧縮されている。
【0031】
連結部66は、例えば、その外径が第1コイルばね51の内径より小さく、その内径が第2コイルばね52の外径より大きい円筒状に形成されている。連結部66は、第1コイルばね51と第2コイルばね52との間に位置して、第1ばね受部62の内縁から第2ばね受部64の外縁まで第1軸と同軸的に延びている。連結部66は、第1ばね受部62と第2ばね受部64とを一体に連結している。なお、連結部66には、ばね収納空間22の内圧を均一にするための通気孔(図示しない。)が形成されている。
【0032】
上述のとおり、第1コイルばね51および第2コイルばね52は、中間ばね受体60を介して、直列に配置されていて、第1ばね座部14と第2ばね座部32とを互いに離れる方向に付勢している。すなわち、2組のスプリングユニット50は、2組のピストン体30を互いに近づく向きに付勢している。
【0033】
コンプレッサ80は、筐体10の外部に設けられていて、筐体10内のガス給排空間24に圧縮空気を供給する。コンプレッサ80は、第2ばね座部32を第1ばね座部14に近づく方向に摺動させる駆動手段としての役割を果たしている。
【0034】
次に、本実施形態に係るバルブアクチュエータの動作について説明する。
【0035】
本実施形態では、図2に示したバルブ閉栓状態は、バルブが完全に閉じた状態であって、第1ばね座部14と第2ばね座部32とが最も離れている。この状態では、中間ばね受体60は、第1ばね座部14および第2ばね座部32に対して間隔を空けて配置されていて、第1ばね座部14および第2ばね座部32に当接していない。
【0036】
バルブを開栓する場合には、コンプレッサ80によって、ガス給排空間24に圧縮空気を供給して、ガス給排空間24の内圧を上げる。そうすると、第2ばね座部32は、スプリングユニット50の弾性力に反して、中間ばね受体60と第1ばね座部14および第2ばね座部32とが当接した状態(図3に示したバルブ開栓状態)まで、第1ばね座部14に近づく方向に摺動する。それに伴って、シャフト70が回転して、バルブが完全に開かれる。
【0037】
停電などにより、コンプレッサ80による空気の供給が停止した場合には、ガス給排空間24の内圧が下がり、スプリングユニット50の弾性力によって、第2ばね座部32が第1ばね座部14から離れる方向に摺動して、バルブが閉じられる。
【0038】
次に、本実施形態に係るバルブアクチュエータの効果について説明する。
【0039】
本実施形態では、各スプリングユニット50は、直列に配置された2本のコイルばね51,52により構成されている。したがって、本実施形態によれば、同等のばね特性を備えた1本のコイルばねにより構成した場合に比べて、各コイルばね51,52の長さを短く設計できるため、各コイルばね51,52が折損しにくい。
【0040】
また、本実施形態では、各スプリングユニット50を構成する2本のコイルばね51,52は、中間ばね受体60により、部分的に重なって配置されている。そのため、本実施形態によれば、同等のばね特性を備えた1本のコイルばねにより構成した場合に比べて、バルブアクチュエータを小型化できる。
【0041】
さらに、本実施形態では、中間ばね受体60が第1ばね座部14および第2ばね座部32に当接することによって、第1ばね座部14の第1軸方向の摺動が制限される。そのため、ラック部34とピニオン部72との噛み合わせが外れることを防止するストッパが不要となる。その結果、バルブアクチュエータを小型化でき、かつ、安価に製造できる。
【0042】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るバルブアクチュエータについて、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態に係るバルブアクチュエータのバルブ閉栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略断面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0043】
本実施形態では、スプリングユニット50は、第1の実施形態とは逆向きに筐体10内に配設されている。
【0044】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るバルブアクチュエータについて、図5を用いて説明する。図5は、バルブアクチュエータのバルブ閉栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略断面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0045】
本実施形態では、連結部66は、複数本のスタッドボルトおよび複数個のナットである。スタッドボルトは、第1コイルばね51と第2コイルばね52との間に位置して、第1ばね受部62から第2ばね受部64まで第1軸に沿って延びている。複数本のスタッドボルトおよび複数個のナットは、第1ばね受部62と第2ばね受部64とを一体に締結している。
【0046】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係るバルブアクチュエータについて、図6を用いて説明する。図6は、バルブアクチュエータのバルブ閉栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略断面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0047】
本実施形態では、第1ばね座部14は、摺動量調節部16を有している。摺動量調節部16は、例えば六角ボルトであって、第1ばね座部14の略中央に形成されたねじ孔に螺合されていて、ばね収納空間22に向かって第1軸に沿って延びている。
【0048】
また、本実施形態では、第2ばね座部32は、摺動量調節部36を有している。摺動量調節部36は、例えば六角ボルトであって、第2ばね座部32の外周部に形成されたねじ孔に螺合されていて、ばね収納空間22に向かって第1軸に沿って延びている。
【0049】
本実施形態では、バルブ開栓状態において、中間ばね受体60は、摺動量調節部16および摺動量調節部36の先端に当接して、その摺動が制限される。摺動量調節部16および摺動量調節部36によって、中間ばね受体60の摺動量を容易に調節できる。
【0050】
なお、このような摺動量調節部は、例えば第2ばね座部64やシリンダ部12に設けられていても良い。
【0051】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係るバルブアクチュエータについて、図7を用いて説明する。図7は、バルブアクチュエータのバルブ閉栓状態におけるスプリングユニットの周辺の概略断面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0052】
本実施形態では、各ばね収納空間22には、例えば4組のスプリングユニット50が互いに並列に配置されている。図7には、2組のスプリングユニット50のみが示されているが、紙面上にも2組のスプリングユニット50が存在する。4組のスプリングユニット50は、第1ばね座部14と第2ばね座部32とを互いに離れる方向に付勢している。
【0053】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態に係るバルブアクチュエータについて、図8を用いて説明する。図8は、バルブアクチュエータのバルブ閉栓状態における概略断面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0054】
上記の実施形態に係るバルブアクチュエータは、筐体10内に2個のピストン体30を備えていたが、本実施形態に係るバルブアクチュエータは、筐体10内に1個のピストン体30を備えている。
【0055】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態に係るバルブアクチュエータについて、図9を用いて説明する。図9は、バルブアクチュエータのバルブ閉栓状態における概略断面図である。なお、本実施形態は、第6の実施形態の変形例であって、第6の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0056】
第6の実施形態に係るバルブアクチュエータは、ピストン体30のラック部34とシャフト70のピニオン部72とが噛み合って、ピストン体30の摺動をシャフト70の回転に変換している。一方、本実施形態では、ピストン体30のロッド部38に固定されたピン38aがシャフト70に固定されたスコッチヨーク74を回転させることによって、ピストン体30の摺動をシャフト70の回転に変換している。
【0057】
本実施形態においても、中間ばね受体60が第1ばね座部14および第2ばね座部32に当接することによって、第1ばね座部14の摺動が制限される。そのため、ピン38aがスコッチヨーク74から外れることを防止するストッパが不要となる。
【0058】
[他の実施形態]
上記の実施形態は、単なる例示であって、本発明は、これらに限定されることはない。例えば、上記の実施形態では、ピストン体30の摺動をシャフト70の回転に変換する変換手段として、ラック・ピニオンやスコッチヨークを用いたが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0059】
また、上記の実施形態では、空気圧によってピストン体30を摺動させているが、油圧によってピストン体30を摺動させても良い。さらに、上記の実施形態では、圧縮空気によりピストン体30を摺動させると、バルブが開栓されたが、逆に、バルブが閉栓されても良い。
【符号の説明】
【0060】
10…筐体、12…シリンダ部、14…第1ばね座部、14a…第1ばね座部に形成された環状の突起部、16…摺動量調節部、22…ばね収納空間、24…ガス給排空間、30…ピストン体、32…第2ばね座部、32a…第2ばね座部に形成された環状の突起部、34…ラック部、36…摺動量調節部、38…ロッド部、38a…ロッド部に固定されたピン、50…スプリングユニット、51…第1コイルばね、52…第2コイルばね、60…中間ばね受体、62…第1ばね受部、64…第2ばね受部、66…連結部、70…シャフト、72…ピニオン部、74…スコッチヨーク、80…コンプレッサ、150…コイルばね、160…ばね受板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のばね座部と第2のばね座部とが互いに接離移動することによってバルブを開閉するバルブアクチュエータであって、
一端が前記第1のばね座部に当接して配設されて、前記第2のばね座部に向かって延びた第1のコイルばねと、
一端が前記第2のばね座部に当接して配設されて、前記第1のばね座部に向かって前記第1のコイルばねと同軸的に延びて、他端が前記第1のコイルばねの内側に位置した第2のコイルばねと、
前記第2のコイルばねが挿通した開口が形成されて、前記第1のばね座部と前記第2のばね座部との間に配置されて、前記第1のコイルばねを前記第1のばね座部との間で狭持した第1のばね受部、前記第1のコイルばねの内側に位置して、前記第1のばね座部と前記第2のばね座部との間に配置されて、前記第2のコイルばねを前記第2のばね座部との間で狭持した第2のばね受部、および、前記第1のコイルばねと前記第2のコイルばねとの間に位置して、前記第1のばね受部と前記第2のばね受部とを一体に連結した連結部を有し、前記第1のばね座部と前記第2のばね座部との間を移動可能に配設された中間ばね受体と、
を具備して、前記第1のコイルばねおよび前記第2のコイルばねは、前記第1のばね座部と前記第2のばね座部とを互いに離れる方向に付勢していることを特徴とするバルブアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1のばね座部と前記第2のばね座部とが前記中間ばね受体に当接することによって、前記第1のばね座部と前記第2のばね座部との近接移動が制限されることを特徴とする請求項1に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1のばね受部は環板状に形成されていて、前記第2のばね受部は円板状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項4】
前記連結部は、前記第1のばね受部の内縁から前記第2のばね受部の外縁まで延びた円筒状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項5】
前記連結部は、前記第1のばね受部と前記第2のばね受部とを締結したボルトであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項6】
空気圧または油圧によって前記第1のばね座部と前記第2のばね座部とを互いに近づける駆動手段を具備したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項7】
前記バルブに固定されて、前記バルブとともに回転するシャフトと、
前記第1のばね座部と前記第2のばね座部との接離移動を前記シャフトの回転に変換する変換手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項8】
前記変換手段は、ラック・ピニオンを備えたことを特徴とする請求項7に記載のバルブアクチュエータ。
【請求項9】
前記変換手段は、スコッチヨークを備えたことを特徴とする請求項7に記載のバルブアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−231869(P2011−231869A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103219(P2010−103219)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】