説明

バルブアセンブリ

一次バルブを開いた状態に保持するために、強磁性部材、および当該バルブ部材が自身のバルブシートから間隔を空けられている場合に当該強磁性部材を介して磁束を誘導するべく適合された磁気回路を備えるバルブ部材を含む電子的に起動可能なバルブアセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体作動機械のマニホルドと作動室の間における流体連通を調整するための電子的に起動されるバルブアセンブリの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
流体作動機械には、ポンプ、モーター、および異なる動作モードでポンプまたはモーターのいずれかとして機能できる機械等の流体駆動および/または流体作動機械が含まれる。本発明は、当該流体が一般に非圧縮性の油圧液体のような液体であるアプリケーションに関して例示しているが、当該流体は代替的に気体であってよい。
【0003】
流体作動機械がポンプとして動作する場合、低圧マニホルドは通常、流体の正味ソースとして機能し、高圧マニホルドは通常、流体の正味シンクとして機能する。流体作動機械がモーターとして動作する場合、高圧マニホルドは通常、流体の正味ソースとして機能し、低圧マニホルドは通常、流体の正味シンクとして機能する。本明細書の記述および添付の請求項の範囲内で、用語「高圧マニホルド」および「低圧マニホルド」は、互いに相手よりも高いかまたは低い圧力を有するマニホルドを指す。高/低圧マニホルドにおける圧力差、および高/低圧マニホルドにおける圧力の絶対値はアプリケーションに依存する。例えば、高出力アプリケーションに最適化されたポンプの場合における圧力差は、流体の正味排出量を正確に決定すべく最適化されていて高/低圧マニホルドの間における圧力差が最小限であるポンプ、例えば流体(例:液体燃料)の計測された量を排出するポンプの場合よりも高くてもよい。流体作動機械は、複数の低圧力マニホルドを有していてよい。
【0004】
容積が周期的に変動する複数の作動室を含み、作動室による流体の排出が電子的に制御可能なバルブにより1周期毎且つ作動室容量の周期と同相関係に調整されて、機械内を通る流体の正味スループットを決定する流体作動機械が公知である。例えば、欧州特許第EP0361927号は、電子的に制御可能なポペットバルブを作動室容量の周期と同相関係に開くおよび/または閉じることにより、多室ポンプを通る流体の正味スループットを制御して、ポンプ個々の作動室と低圧マニホルドの間の流体連通を調整する方法を開示している。その結果、個々の室は、予め定められた一定量の流体を排出するか、または流体の排出を行わない休止期間を過ごすかのいずれかをコントローラにより1周期毎に選択可能であるため、ポンプの正味スループットを需要に動的に合わせることが可能になる。欧州特許第EP0494236号はこの原理を発展させて、個々の作動室と高圧マニホルドの間の流体連通を調整する電子的に制御可能なポペットバルブを含めることにより、代替的な動作モードのポンプまたはモーターのいずれかとして機能する流体作動機械の提供を可能にした。欧州特許第EP1537333号は、部分周期の可能性を導入することにより、個々の作動室の個々の周期が、需要により合致すべく様々に異なる量の流体を適宜排出できるようにしている。
【0005】
この種の流体作動機械は、低圧マニホルドから、またいくつかの実施形態において高圧マニホルドから、作動室を出入りする流体の流れを調整可能であって、高速に開閉動作する電子的に制御可能なバルブを必要とする。本発明のいくつかの態様は、この種の流体作動機械の作動室を出入りする流体の流れの調整に適した改良されたバルブアセンブリを提供することを目的としている。しかし、本発明のバルブアセンブリは、他の種類の流体作動機械にも適用可能である。
【0006】
流体作動機械の作動室への流体の供給を調整する電子的に起動可能な座面バルブ(例:ポペットバルブ)を含むバルブアセンブリに生じ得る技術的な問題は、流体がバルブを通って流れる間、座面バルブを開いた状態に保持する要件に関する。ベルヌーイ効果(運動エネルギー関連の圧力低下)および座面バルブ要素(例:ポペットヘッド)を通る流体の流れに起因する表面摩擦は座面バルブ要素に対してかなり強い力を作用させることができる。従って、座面バルブを開いた状態に保持するには電磁石にかなり強い力を加え続ける必要があり、さもなければ当該効果によりバルブを通る最大流率が制約される恐れがある。従って、本発明は、流体がバルブを通って流体作動機械の低または高圧マニホルドから作動室へ、またはその逆向きに流れる間、電子的に機動可能な座面バルブを開いた状態に保持する問題に対処する。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態はまた、圧力差分に対してポペットバルブ等の座面バルブを開いて、流体作動機械の高圧マニホルドから作動室への流体の供給を調整する課題に対処する。これは、座面バルブにおいて、流体の圧力が座面領域全体にかかって強い閉止力を生じるため、技術的に困難である。従って、圧力差が大きくても開放でき、且つエネルギー消費を最小限に抑えながら素早く(理想的に2、3ミリ秒以内)開くことができる流体作動機械の高圧マニホルドから作動室への流体の供給を調整する座面バルブを提供することは困難である。
【0008】
英国特許第GB2,430,246号(Stein)は、流体作動機械の高圧マニホルドから作動室への流体の供給の調整に適したバルブアセンブリを開示している。当該バルブアセンブリは、一次バルブ、二次バルブ、電磁石、および電機子(可動ポールと呼ぶ)を含んでいる。一次バルブは座面一次バルブ部材および一次バルブシートを含んでいる。二次バルブは、一次バルブと一体化され、密封位置と開放位置の間を移動可能な二次バルブ部材を含んでいて、開放位置では一次バルブ部材両端の圧力差を減らすべく一次バルブ部材の対向面の間を流体が流れるように二次バルブを通る経路が用意される。従って、二次バルブは、表面積が一次バルブよりも極めて小さく、一次バルブ部材の両端で大きい圧力差があっても開くことができる。作動室は実質的に閉じた空間であり、従って流体は一次バルブ部材両端の圧力を均等化すべく二次バルブを通って流れることができるため、一次バルブを容易に開くことができる。
【0009】
英国特許第GB2,430,246号に開示されたバルブアセンブリにおいて、座面バルブはばねにより開いた状態に保持される。実際には、このばねがベルヌーイおよび表面摩擦力に抗してバルブを開いた状態に保持するのに充分な力を作用させることは極めて困難である。従って、本発明のいくつかの実施形態は、かなり強いベルヌーイおよび表面摩擦力が作用しても開いた状態に保持できるだけでなく、エネルギー消費を最小限に抑えながら、圧力差が大きくても素早く開くことができるバルブアセンブリを提供することを目的としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様によれば、流体作動機械の流体マニホルドから作動室への流体の供給を調整するバルブアセンブリであって、一次バルブ、電磁石、および電機子を含み、一次バルブは座面一次バルブ部材および一次バルブシートを含んでいて、一次バルブ部材が一次バルブシートから間隔を空けられた開放位置と、一次バルブ部材が一次バルブシートと密封接触している密封位置を有し、電機子が第一の位置と第二の位置の間を延びる経路に沿ってスライド可能であり、電機子が第一の位置にある場合に一次バルブ部材は密封位置の方へ付勢され、電機子が第二の位置にある場合に一次バルブ部材は開放位置の方へ付勢されるバルブアセンブリにおいて、一次バルブ部材は強磁性部材を含み、バルブは更に、一次バルブが開いている場合に強磁性部材を介して磁束を誘導することにより、一次バルブ部材を開放位置に保持すべく適合された磁気回路を含んでいることを特徴とするバルブアセンブリが提供される。
【0011】
従って、一次バルブが開いていて、電磁石に電流が供給されている場合、一次バルブ部材は磁気ポテンシャルエネルギーが最小限の位置にあって、バルブシートを通過して一次バルブ部材を通る流体の流れに起因して一次バルブ部材に作用するベルヌーイおよび表面摩擦力に抵抗している。バルブアセンブリは従って、特に使用時に比較的早い流体の流れが予想される流体作動機械において有用である。バルブアセンブリは、例えば、流体作動モーター(単にモーターあるいは他の動作モードのポンプまたはモーターとして機能する流体作動機械等)の高圧流体マニホルドから作動室への流体の供給の調整に用いてもよい。にもかかわらず、バルブアセンブリはまた、流体作動モーターの低圧マニホルドから作動室への流体の供給の調整に有用な場合もある。
【0012】
一次バルブ部材は、強磁性部材および1個以上の非強磁性バルブ部材の部分を含んでいてよい。しかし、一次バルブ部材は、強磁性部材だけで作られていてもよい。
【0013】
電機子が第二の位置にある場合に一次バルブ部材が開放位置の方へ付勢されるため、一次バルブ部材は、好適には1個以上の弾性部材により全開状態になって、自身が閉止位置の方へ付勢されている場合よりもバルブを通る流れに対する抵抗が小さくなる。
【0014】
好適には、電機子が第一の位置にある場合に一次バルブ部材が密封位置の方へ付勢されていて、電機子が1個以上の弾性部材により第二の位置にある場合に一次バルブ部材は閉止位置の方へ付勢される。電機子は通常、一次バルブ部材に対して移動可能である。従って、一次バルブが開いている場合に強磁性部材を介して磁束を誘導することにより、流体の流れから一次バルブ部材に作用する力に起因して、電機子の移動を伴うことなく、一次バルブ部材の閉止が回避できる。
【0015】
好適には、一次バルブ部材は、一次バルブシートと密封接触する密封領域を含んでいて、磁気回路は一次バルブが開いている場合に密封領域を通る磁束を誘導するように構成されている。従って、保持力は最も必要とされる位置に集中される。
【0016】
電磁石は通常、一次バルブを開くために使用中の電機子を引き寄せるべく動作可能である。通常、第二の位置は第一の位置よりも電磁石に近い。磁気回路は好適には、一次バルブが開放位置にある場合に前記電磁石から強磁性部材を介して磁束を誘導することにより、電磁石が係合している間、一次バルブ部材を保持する。従って、電磁石に電流が供給されている場合、一次バルブを開くと共に一次バルブ部材を開放位置の保持する役割を果たす。あるいは、磁気回路内に第二の電磁石を配置して一次バルブ部材を保持する磁場を提供することができる。
【0017】
好適には、当該磁気回路は、一次バルブ部材が開放位置にある場合、および一次バルブ部材が密封位置にある場合の両方に置いて強磁性部材を介して磁束を誘導するように適合されており、当該磁気回路は、一次バルブ部材が開放位置にある場合に強磁性部材を通してより高い密度の磁束を誘導するように適合されている。従って、磁気回路は、電磁石と電機子の間の引力を強めて一次バルブを開くと共に、一次バルブ部材を開放位置に保持する磁気ポテンシャルエネルギーの井戸を提供する役割を果たすことができる。
【0018】
好適には、磁気回路は、磁束を平行に伝導させるべく配置された第一および第二の磁気回路部を含んでいて、第一の磁気回路部は、少なくとも一次バルブが密封位置にあって電機子が第一の位置にある場合に、電機子を介して磁束を伝導させるべく構成されていて、第二の磁気回路部は、少なくとも一次バルブが開放位置にあって電機子が第二の位置にある場合に、強磁性部材を介して磁束を伝導させるべく構成されている。好適には、第一の磁気回路部は、電機子が第一の位置にあり、且つ電機子が第二の位置にある場合に電機子を介して磁束を伝導させるべく構成されている。第二の磁気回路部は、一次バルブ部材が開放位置にあり、且つ一次バルブ部材が密封位置にある場合に強磁性部材を介して磁束を伝導させるべく構成されていてよい。
【0019】
第一の磁気回路部は好適には、少なくとも電機子が第一の位置にあって通常は電機子が第二の位置にある場合にも、電機子を介して磁束を誘導するべく配置された磁束ブリッジを含んでいる。通常、電機子は第一と第二の位置の間である軸に沿ってスライドすべく適合されている。磁束ブリッジは、例えば、電機子を介して磁束を誘導するべく前記軸のほぼ法線方向に配置された複数の半径方向内側に延びる磁気回路部材を含んでいてよい。電機子は、磁束ブリッジの近くに、透磁性の材料で作られた周辺フランジを含んでいて、電機子が第一の位置、第二の位置、または第一と第二の位置間にある場合に、これを通して磁気回路を形成することができる。
【0020】
通常、磁気回路は強磁性体部分を含んでいて、電機子は第一の位置にある強磁性体部分から間隔を空けて第二の位置にある強磁性体部分と接触する。
【0021】
好適には、第二の磁気回路部は、一次バルブ部材が開放位置にある場合、強磁性部材と強磁性体部分の間を強磁性材料の連続体が直接延びるように配置される。開放位置において、電機子が強磁性体部分と接触している間に強磁性部材が電機子と接触することがあってよい。開放位置において、強磁性部材が本体部に直接接触することがあってよい。強磁性部材は、一次バルブ部材が開放位置にある場合、本体部の方へ延びて本体部と接触する突起を含んでいてよい。本体部は、一次バルブ部材が開放位置にある場合、強磁性部材の方へ延びて一次バルブ部材と接触する突起を含んでいてよい。
【0022】
好適には、磁気回路は、電機子が第一の位置にあり、且つ一次バルブ部材が密封位置にある場合よりも、電機子が第二の位置にあり、且つ一次バルブ部材が開放位置にある場合の方が第一の磁気回路部のリラクタンスの第二の磁気回路部のリラクタンスに対する比率が高くなるように形成および配置されている。好適には、磁束ブリッジと電機子の間の接点のリラクタンス(スライド接触または僅かな間隙であってもよい)は、電機子が第二の位置にある場合の方が高い。例えば、電機子が第二の位置にある時よりも電機子が第一の位置にある場合の方が、磁束ブリッジと電機子はより大きい重なり面積で重なり合う場合がある。これは、一次バルブ部材が開いている場合に、一次バルブ部材を開いた状態に保持しながら一次バルブ部材を介して誘導される磁束の比率を増す。いくつかの実施形態において、この構成は強磁性部材と電機子または本体部との間に引力を作用させることにより、一次バルブ部材を開くかまたは開いた状態にすることが容易になる。
【0023】
好適には、第一の磁気回路部および電機子は、電機子が第一の位置にある場合よりも第二の位置にある場合の方が第一の磁気回路部のリラクタンスが大きくなるように構成されていることにより、電機子が第二の位置にあり、且つ一次バルブ部材が開放位置にある場合に、強磁性部材を介して誘導される磁束が増大する。
【0024】
第二の磁気回路部は、一次バルブ部材が開放位置にある場合、および一次バルブ部材が密封位置にある場合の両方に置いて、強磁性部材を介して磁束を伝導させるべく構成することができる。強磁性部材は、電機子が第一の位置にあり、且つ一次バルブ部材が密封位置にある場合に電機子と接触してよい。この構成により、磁束は好適には強磁性部材を通してではなく磁束ブリッジおよび電機子を介して誘導され、一次バルブ部材を直ちに移動させることなく電機子を第一の位置から容易に移動させることができる。
【0025】
通常、一次バルブ部材と電機子は同軸である。好適には、バルブアセンブリは、一次バルブ部材を一次バルブシートから離れる方向の方へ付勢すべく配置された弾性部材と、電機子を一次バルブ部材に接触させるべく付勢して、その結果生じた力が一次バルブを密封位置の方へ付勢すべく配置された弾性部材を含んでいる。
【0026】
「一次バルブ」、「一次バルブ部材」および関連用語における形容詞「一次」は、明確さのためのラベルとして用いられ、二次バルブの存在を示唆することは意図していない。にもかかわらず、いくつかの実施形態においてバルブアセンブリは電機子に結合された二次バルブを更に含み、二次バルブは、密封位置と開放位置の間を移動可能な二次バルブ部材を含んでいて、電機子が第一の位置にある場合二次バルブは密封位置の方へ付勢されていて、電機子が第二の位置にある場合二次バルブは開放位置の方へ付勢される。
【0027】
この場合、電機子と二次バルブの間の結合は好適には、二次バルブ部材の追随的移動を伴わずに電機子が第一の位置から第二の位置へ移動できるようにするが、電機子が前記経路に沿って第一の位置と第二の位置との間の位置にある場合、電機子と二次バルブ部材の間の結合を通る力を作用させて二次バルブ部材を移動させることにより二次バルブを開くように構成されている。二次バルブ部材は、開放位置にある一次バルブ部材の対向面の間を流体が流れる経路を提供すべく配置されていることにより、使用時に、一次バルブ部材を一次バルブシートとの密封接触に保持する力を作用させる一次バルブ部材の両端で圧力差がある場合、二次バルブ部材の開放により一次バルブ部材の両側で圧力を均等化して一次バルブ部材の開放を容易にすることができる。
【0028】
従って、当該バルブアセンブリは、流体作動機械の高圧マニホルドから作動室への流体の供給を調整するバルブアセンブリであってよく、バルブアセンブリは更に二次バルブを含み、二次バルブは、密封位置と開放位置の間を移動可能な二次バルブ部材を含んでいて、一次バルブ部材両端の圧力差を減らすべく一次バルブ部材の対向面の間を流体が流れるように二次バルブを通る経路が二次バルブ部材内に設けられており、電機子は二次バルブ部材に結合されていて、第二の位置は第一の位置よりも電磁石に近く、第一の位置において二次バルブが密封位置の方へ付勢され、第二の位置において二次バルブが開放位置の方へ付勢されており、電機子と二次バルブ部材の間の結合は、二次バルブ部材の追随的移動を伴わずに電機子が第一の位置から第二の位置へ移動することを可能にするが、電機子が前記経路に沿って第一の位置と第二の位置との間の位置にある場合、電機子と二次バルブ部材の間の結合を通る力を作用させて二次バルブ部材を移動させることにより二次バルブを開くように構成されていることを特徴とする。
【0029】
英国特許第GB2,430,246号に開示されたバルブ構成とは対照的に、電機子は第一の位置から第二の位置への経路の途中にあるため電磁石の方により近く、電機子と二次バルブ部材の間の結合を通る力により二次バルブ部材が移動することにより二次バルブが開く。電機子が電磁石の方へ移動するにつれて、電磁石により電機子に作用する引力が強まる筈である。従って、電機子と二次バルブ部材の間の結合を介して電機子により二次バルブ部材に作用できる力は、二次バルブ部材が移動し始めた時点で電機子が電磁石から最も遠い位置にある英国特許第GB2,430,246号に開示されたバルブの場合よりも強い。これにより、電機子が二次バルブ部材に固定的に結合されている場合よりも、一次バルブをより素早く、より確実に、より高圧で、またはより少ない電力消費で開くことができるようになる。従って、比較的強い開放力を二次バルブ部材に作用させ、一次バルブ部材を開放位置に保持するために比較的強い力を作用させることが可能なバルブアセンブリを提供する。
【0030】
好適には、二次バルブ部材は座面バルブであって、二次バルブは二次バルブ部材と密封可能に協働すべく二次バルブシートを更に含んでいる。二次バルブは通常、一次バルブと同じ方向を向いているため、一次バルブ部材を一次バルブシートと密封接触した状態に保持する力を作用させる流体圧力差があるように、流体作動機械においてバルブアセンブリを使用する場合、同様の力が二次バルブ部材を二次バルブシートと密封接触した状態に保持する。本発明は、圧力差に抗して座面二次バルブを開くためにかなり強い力が必要とされるため、二次バルブが座面バルブである場合に特に有利である。好適には、二次バルブシートの断面は、一次バルブシートの断面の10%未満、より好適には5%未満であるため、入口と出口における圧力差に起因して二次バルブを閉じた状態に保持する力は、一次バルブを閉じた状態に保持する力よりかなり弱い。
【0031】
好適には、一次バルブ部材の対向面の間における圧力差を減らすべく二次バルブが開放位置にある場合、二次バルブは、流体が一次バルブ要素を通って流れるように一次バルブ要素を貫通して延びている。従って、二次バルブシートは一次バルブ要素と一体化されていてよい。一次バルブ要素および二次バルブ要素は同軸であってよく、好適には使用中の同軸経路に沿って移動する。
【0032】
好適には、電機子と二次バルブ部材の間の結合は、電機子が経路に沿って第一の位置から第二の位置へ移動するにつれて、弾性エネルギーを保存すべく動作可能な弾性部材(二次弾性部材)を含んでいる。これにより、二次バルブ部材が移動し始めることなく電機子が第一の位置から移動することを可能にすると共に、利用している圧力差に抗して二次バルブ部材を開くために必要な力を上回るまで二次バルブ部材に作用する力を増大させることを可能にする機構が得られる。
【0033】
好適には、結合を介して二次バルブ部材に作用する力は、電機子が第一の位置から第二の位置へ移動するにつれて、少なくとも二次バルブ部材が移動し始めるまで単調に増大する。電機子は、直接電磁石の方へ、第一の位置から第二の位置へ直線状に移動することができる。
【0034】
電機子と二次バルブ部材の間の結合は、二次バルブ部材の電機子と密封部分の間の最大距離を制限することにより第一の位置と第二の位置の間の経路の一部に沿った電機子の移動を二次バルブの移動に結合すべく係合可能な距離制限機構を含んでいてよい(またはこれにより構成されていてよい)。この場合、二次バルブ部材の移動を伴わずに電機子が第一の位置から第二の位置へ移動できるが、電機子は距離制限機構が係合する第一の位置と第二の位置の間の位置に到達して、電機子の更なる動きは二次バルブ部材の付随する移動に結合されなければならない。電機子と二次バルブ部材の間の結合は前記距離制限機構と前記二次弾性部材の一方または両方を含んでいてよい。
【0035】
好適には、バルブアセンブリは、使用中の作動室寄りに位置する電機子の第一側の二次バルブ部材に固定的に結合された電機子内の開口部を貫通して延びて電機子の対向する第二の側の弾性部材により電機子に結合された実質的に剛性の軸を含んでいて、電機子は自身が第一の位置からの経路に沿って移動するにつれて使用中の実質的に剛性の軸の周辺へ延びて当該軸に沿ってスライドする。好適には、実質的に剛性の軸は更に、電機子が第一の位置と第二の位置の間の前記位置で二次バルブを引きずって開くように、第一の位置と第二の位置の間の前記位置で電機子と係合する当該電機子の第二の側の構造を含んでいる。この場合、前記構造および前記構造と係合する電機子の表面は共に距離制限機構を形成することができる。
【0036】
電機子と一次バルブ部材は、電機子と一次バルブ部材の間の最大距離を制限することにより電機子の移動を第一の位置と第二の位置の間の経路の一部に沿って一次バルブ部材の移動に結合すべく係合可能である距離制限機構により結合されていてよい。例えば、電機子は自身が第一の位置と第二の位置の間にある場合に、一次バルブと係合してこれを開く一次バルブ部材係合構造を含んでいてよい。
【0037】
電機子は、バルブが開く際に当該電機子が第一の位置から第二の位置へ移動するにつれて最初に二次バルブと、次いで一次バルブ部材と係合して一次バルブ部材が移動し始める前に二次バルブを引いて開き、次いで一次バルブ部材を一次バルブシートから外すべく動作可能であってよい。
【0038】
通常、前記二次弾性部材を含む少なくとも1個の弾性部材が共に電機子に付勢力を作用させて電機子を第一の位置の方へ付勢する。また好適には、前記付勢力は電機子が第一の位置から第二の位置へ移動するにつれて増大するが、距離に伴う付勢力の増大は、少なくとも第一の位置と二次バルブ部材が移動し始める位置の間における電機子の位置において電磁石と電機子との距離が短縮されるため、使用中の電機子に対し電磁石のより作用できる力の増大よりは小さい。
【0039】
バルブアセンブリは、一次バルブシートと密封接触すべく一次バルブ部材を付勢する一次弾性部材を含んでいてよい。好適には、一次弾性部材は電機子を第一の位置の方へ付勢し、電機子は自身が第一の位置にある場合に一次バルブ部材と係合するため、一次弾性部材は、第一の位置において、一次バルブ部材と接触すべく電機子を付勢することにより、一次バルブ部材を付勢して一次バルブシートと密封接触させる。
【0040】
弾性部材(例:前記一次弾性部材)が電機子に直接作用して(例:バルブ本体および電機子に関連付けられて)電機子が一次バルブ部材と係合するよう、且つ一次バルブ部材が一次バルブシートと密封接触するよう付勢するバルブアセンブリが有利なのは、当該バルブアセンブリが直ちに閉じ始めて電機子がもはや電磁石により第二の位置に保持されないためである。従って、バルブアセンブリを素早く閉じることができる。当該バルブアセンブリはまた、弾性部材に保存されていて開放動作中に直接電機子に作用するエネルギーが閉止動作にも用いられるため、エネルギー効率も良い。
【0041】
バルブアセンブリが、電機子と二次バルブ部材に関連付けられた(例えば、二次バルブ部材と一体化されているかまたは取り付けられていて、電機子の開口部を貫通して延びる実質的に剛性の軸に関連付けられた)二次弾性部材、およびバルブ本体と電機子に関連付けられた一次弾性部材を含んでいる場合、一次および二次弾性部材は、一次弾性部材が二次弾性部材の周辺に延びている同心ばねであってよい。この構成により、小型のバルブアセンブリの提供を容易にして、バルブの軸長を最小限に抑えることができる。
【0042】
好適には、二次バルブは、例えば弾性部材により閉止位置の方へ付勢される。従って、二次バルブが座面バルブである場合、例えば弾性部材により二次バルブ部材を二次バルブシートと密封接触すべく付勢することができる。
【0043】
好適には、一次バルブシートから離れるように一次バルブ部材を付勢すべく弾性部材が提供される。前記弾性部材は、例えばバルブアセンブリの電機子または本体に関連付けられていてよい。好適には、前記弾性部材は、二次バルブが開いたならば前記弾性部材により作用する力が増大するように配置されている。しかし、前記弾性部材は、電機子が第一の位置にある場合に一次バルブ部材に作用する正味付勢力が一次バルブ部材を一次バルブシートと密封接触すべく付勢するように、電機子が第一の位置にある場合に作用させる付勢力は一次弾性部材より弱くなければならない。
【0044】
二次バルブ部材に固定された第一端部、および一次バルブ部材に固定された第二端部を有する第三の弾性部材を提供することができる。従って、第三の弾性部材は、二次バルブを密封位置の方へ付勢して、一次バルブシートから離れるように一次バルブ部材を付勢すべく機能できる。第三の弾性部材は、電機子が第一の位置にあり、且つ二次バルブが閉じている場合に一次バルブ部材に作用する正味付勢力が一次バルブ部材を一次バルブシートと密封接触すべく付勢するように、電機子が第一の位置にある場合に作用させる付勢力は一次弾性部材より弱くなければならない。第三の弾性部材は通常、圧縮されているか、または二次バルブが最初に開くことにより一次バルブ部材を一次バルブシートから離れるように付勢する追加的な力を作用させる際に更に圧縮される。
【0045】
好適には、二次バルブ部材、例えば前記第三の弾性部材に関連付けられた弾性部材は、一次バルブ部材内の凹部、例えば二次バルブを通る前記経路の一部を画定するボア孔内に配置されていてよい。従って、前記弾性部材は一次バルブ部材により、流体の速い流れから保護することができる。弾性部材は、電機子が一次バルブ部材と接触している場合、一次バルブ部材の凹部内に完全に収納されていてよい。好適には、前記弾性部材は、少なくとも二次バルブが開放位置にある場合に、一次バルブ部材を一次バルブシートから外すよう付勢すべく動作可能である。
【0046】
電機子は、自身と二次バルブの間の結合を介して、例えば二次弾性部材および第三の弾性部材を介して、一次バルブに結合されていてよい。
【0047】
一次バルブは、一次バルブ部材と二次バルブ部材の間に関連付けられた弾性部材により主にまたは単独で付勢されて開くことができる。あるいは、一次バルブが、バルブ本体と一次バルブ部材の間に関連付けられた弾性部材により付勢されて開いたならば、閉止動作の間に抗すべき力が生じ、バルブの閉止が遅くなって閉止弾性部材があれは必要になる力が増大することにより、前記閉止弾性部材を開放時に圧縮するために消費されるエネルギーが増大する。
【0048】
好適には、電機子と二次バルブ部材の間の結合により二次バルブ部材を移動させるべく動作可能な電機子の位置は、第一の位置から第二の位置へとの距離の50%、より好適には75%を超える。
【0049】
好適には、二次バルブ部材が移動し始めたならば、第一の位置から第二の位置への経路に沿った電機子の残りの移動距離より長い距離を移動する。
【0050】
通常、電機子が第二の位置にある場合、二次バルブは特に一次バルブが開いている場合に閉じているかまたは閉じることができる。通常、二次バルブが開いて一次バルブが開けるようになる筈であるが、一次バルブが開いたならば二次バルブが開いたままである必要はない。
【0051】
好適には、バルブアセンブリの内部は、油圧流体を排出する要求のために第一の位置から電機子の移動に対する制約を最小限に抑えるべく構成されている。好適には、電機子の移動は、スロットル(例:使用中の開口部の両側で大きい圧力差を生じさせる大きさを有する開口部)を通る油圧流体の流れにはあまり制約されない。これにより電機子の移動を制約する力が弱まり、バルブの開放および/または閉止が遅くなる。
【0052】
二次バルブ部材は通常、二次バルブが密封位置から開放位置へ移動する際に二次バルブ部材収容空間内へ移動する。二次バルブ部材収容空間は通常、二次バルブ部材の移動により排出される使用中の油圧流体で満たされている。圧力バランスバルブとは対照的に、第一の位置からの電機子の移動は通常、二次バルブ部材収容空間内の油圧流体に対して影響を及ぼさないかまたはその圧力を増大させない。これは、二次バルブ部材収容空間内の圧力低下が電機子の移動に依存することでバルブの開放動作を遅めることができ、特に閉止動作が遅くなる点で有利である。好適には、二次バルブ部材収容空間を出入りする油圧流体の流れは調整されない。従って、バルブは、二次バルブ部材収容空間に入る油圧流体の流れを遅くする調整された流れがなくても素早く閉じることができる。
【0053】
本発明は第二の態様において、容積が周期的に変動する作動室、高圧マニホルドおよび低圧マニホルド、並びに高圧マニホルドまたは低圧マニホルドから作動室への流体の供給を調整する本発明の第一の態様によるバルブアセンブリを含む、流体作動機械に拡張される。
【0054】
二次バルブが開く際に、流体は二次バルブを通って各マニホルドから作動室へ流れることができる。作動室は閉室(周期的に変動する容積の一つであるが)であるため、作動室内の圧力は各マニホルド内の圧力と平衡状態になって一次バルブ部材両端の圧力差を減らして一次バルブが開くことができるようにする。好適には、一次バルブ部材両端の圧力差は基本的に、一次バルブ部材が一次バルブシートから外れる前に、二次バルブ部材が開放位置へ移動した後で、流体が二次バルブを通って流れる結果、各マニホルド内の圧力との平衡状態へ向かって変化している作動室内の圧力に減少する。好適には、一次バルブ部材両端の圧力差は、主に一次バルブ部材と連通してバルブアセンブリ内に室を用意することでは減少せず、内部の圧力を各マニホルド内の圧力以下に下げて一次バルブ部材を開放できるようにする。
【0055】
流体作動機械は更に、前記バルブアセンブリを能動的に制御すべく動作可能なコントローラと、場合により作動室容量の周期と同相関係にある1個以上の他のバルブとを含んでいて、当該または各作動室により1周期毎に流体の正味排出量を決定し、それにより時間平均化された流体の正味排出量を作動機械または前記作動室の1個以上のグループにより決定することができる。
【0056】
好適には、高圧マニホルドと低圧マニホルドの圧力差、およびバルブアセンブリを通る流体のスループットは、一次バルブ部材が強磁性部材を含んでいなければ流体作動機械が正しく機能しないようになっている。これは、少なくともいくつかの動作条件において、一次バルブヘッドを通過して流れる流体に起因するベルヌーイ効果および/または表面摩擦のために一次バルブが閉じるのは早過ぎるためである。
【0057】
流体作動モーターは、専らモーターとして、または専らポンプとして機能できる。あるいは、流体作動モーターは、代替的な動作モードのモーターまたはポンプとして機能できる。
【0058】
本発明の例示的な実施形態について以下の図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1A】バルブが閉じている間、且つ電磁石に電流が通される前の対称型バルブアセンブリの部分断面図である。
【図1B】電流が電磁石を通されることにより生成された磁場に応答して電機子が第一の位置から第二の位置へ移動した後の、図1Aのバルブアセンブリの部分断面図である。
【図1C】二次バルブ部材が自身のバルブシートから移動して二次バルブを開いた後の、図1Aのバルブアセンブリの部分断面図である。
【図1D】一次バルブ部材が一次バルブシートから移動して一次バルブを開いて、電機子が第二の位置に到達した後の、図1Aのバルブアセンブリの部分断面図である。
【図2】図1Aのバルブアセンブリ内において(内部方向に作用する力が正値である)、電機子の位置に対する剛性の軸および二次バルブ部材に作用する力の変動を示すグラフである。
【図3】図1Aのバルブアセンブリを組み込んだ流体作動機械の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1A〜1Dを参照するに、本発明によるバルブアセンブリ1は、同様に透磁性の材料から作られた本体部4を包含する透磁性の材料から作られた環状バルブ筐体2を有している。高リラクタンス材料30の環がバルブ筐体を本体部から分離している。バルブ筐体内で電磁石6が本体部周辺に形成されている。環状ポペットケージ8がバルブ筐体から延びて、一次バルブ部材として機能する一次ポペットバルブヘッド10を包含している。環状ポペットケージは透磁性の材料から作られ、一次ポペットバルブヘッドは鋼鉄等の強磁性材料から作られていて、強磁性部材として機能する。ポペットケージの内部および周辺に延びる斜行部によりバルブシート12(一次バルブシートとして機能する)が形成されている。閉止位置において、一次ポペットバルブヘッドは、一次バルブシートと嵌合して密封を形成する。電機子と一次ポペットバルブは、例えば電磁石に電流が通される前にバルブが閉じている場合に2個の部分間に力を作用させるために、電機子の外面62が一次ポペットバルブヘッドの内面64と接触できるように構成されている。
【0061】
一次ポペットバルブヘッドは、一次ポペットバルブヘッドの中心軸に位置する開口部14を含んでいる。開口部は、同様にバルブシート(二次バルブシート)として機能する一次ポペットバルブヘッドの本体内のバルブヘッド室18内に位置する更なる斜行部16を含んでいて、バルブアセンブリが完全に閉じている場合、当該バルブシートに対して二次バルブ部材20が閉止を形成すべく付勢されている。開口部は、バルブヘッド室、および1個以上の流体経路24により、環状ポペットケージ内にある内室22と連通している。流体通路は、流体の流れを大幅に制限することを避けるべく充分な断面積を有している。従って、二次バルブ部材は二次バルブシートと密封接触しておらず、流体がバルブの出口26と内室22の間を流れるように経路が設けられている。しかしこの経路は、二次バルブ部材が二次バルブシートと密封接触している場合は分離される。
【0062】
内室は、ポペットケージを貫通して延びてバルブアセンブリへの入口として機能する1個以上の半径方向通路28と流体連通している。半径方向通路は、一次ポペットバルブが開いている場合の一次ポペットバルブヘッドの周辺上の位置と、一次ポペットバルブヘッドが一次ポペットバルブと密封接触している場合の一次ポペットバルブヘッドの周辺上の位置の中間位置で内室内へ延びている。従って、二次バルブが開いているか否かにかかわらず、一次ポペットバルブが開いている場合に流体が直接入口から出口へ流れる経路が設けられている。しかし、一次ポペットバルブが閉じている場合は、一次ポペットバルブヘッドの周辺で流体が直接入口から出口へ流れる経路は設けられない。
【0063】
磁気回路は部分的に、本体部の周辺に位置する高リラクタンス材料30の環により形成されている。磁気回路はまた、バルブ筐体から半径方向内側に延びて図1Aに示す第一の位置から図1Bに示す第二の位置までスライド可能電機子34と接触する磁束ブリッジ32を含んでいる。電機子は、電機子の中心部より厚く、且つ磁束ブリッジとスライド接触し、周辺フランジ36を有し、電機子が第一の位置と第二の位置の間の任意の位置にある場合、磁束ブリッジと接触した状態に(または代替的に極めて近くに保持される)ように構成されている。磁束ブリッジは、電機子が第一と第二の位置の間を移動可能にすべく流体が流れることができる1個以上の貫通ボア38を含んでいる。環状バルブ筐体、本体部、および磁束ブリッジは共に第一の磁気回路部を形成する。環状バルブ筐体、本体部、および同様に鋼鉄等の透磁性の材料から作られていて磁束ブリッジと接触している環状ポペットケージにより第二の磁気回路部が形成される。
【0064】
電機子は、自身を貫通する中央開口部40を有している。電機子の中央開口部および一次ポペットバルブヘッド内の室を通って剛性軸42が延びている。剛性軸は、バルブ本体部内の凹部46内に位置する、二次バルブ部材20を形成する第一端部および対向する第二端部44を有している。
【0065】
バルブアセンブリは3個のばねを含んでいる。主ばね48(一次弾性部材として機能する)が剛性軸の周辺を本体部凹部内の移行部50から電機子の内面52へ延びて、動作中は圧縮されている。荷重ばね54(二次弾性部材として機能する)が剛性軸の周辺を電機子の内面から延びて、剛性軸の第二端部で周辺フランジ56に配置されている。周辺フランジはまた、電機子の内面が反作用できる外面66を有していることにより、電機子の内面および周辺フランジの外面が距離制限機構を形成する。パイロットばね58(第三の弾性部材として機能する)が剛性軸の第一端部に向かって配置されて半径方向外向きに延びる周辺フランジ60と、一次ポペットバルブヘッド内に室の内部の周辺を半径方向内側に延びるフランジとの間を延びている。パイロットばねは、バルブアセンブリが図1Aに示す完全に閉じた状態にある場合は比較的弛緩しているが、図1Cに示すように二次バルブは開いているが一次バルブが開いていないときは圧縮されている。
【0066】
一次バルブ部材、二次バルブ部材、剛性軸、並びに主、チャージ、およびパイロットばねは同軸である。主ばねは同心であって荷重ばね周辺に延びている。
【0067】
一適用例において、バルブアセンブリは流体作動機械内に配置されていて、入口が高圧マニホルドに結合し、出口は周期的に変動する容積の作動室に取り付けられている。電磁石は、必要な場合に電流を電磁石に供給可能にすべくコントローラの制御下で切り替え可能な電流源に結合されている。
【0068】
電磁石に電流が供給されない場合、バルブは図1Aに示す閉止位置にある。主ばねは外向き方向の付勢力を加え、これにより電機子が外向き方向に付勢されて、一次ポペットバルブを押圧して外面62と内面64を貫く接触を介して一次バルブシートと密封接触させる。荷重ばねは、弛緩して、そのように内部方向(すなわち図1Aの最上部の方へ)の剛性軸上の弱い力だけ与える。パイロットばねは、剛性軸に対し外向き方向に逆向き且つ通常はより高い力を作用させる。例えば、荷重ばねは10Nの予荷重を有し、パイロットばねは15Nの予荷重を有していてよい。従って、荷重ばねおよびパイロットばね内の予荷重に起因する剛性軸に対する正味の力は剛性軸を付勢し、従って二次バルブ部材を外向きに付勢して二次バルブシートと密封接触させる。一次バルブおよび二次バルブはまた、バルブアセンブリの内室と出口における圧力差により閉止位置に保持されている。従って、図1Aに示す閉止位置でバルブアセンブリは閉じられ、流体が高圧バルブから入口を通って出口へ、そして作動室内へ流れ込むための経路は存在しない。
【0069】
電磁石に電流が供給された場合、磁気回路が形成されて電機子を介して磁束を誘導する。電磁石は電機子に対して引力を作用させ、電機子に作用する力が電機子を第一の位置から第二の位置まで動かすのに充分であるように電磁石を流れる電流が選択される。典型的なアプリケーションにおいて、電機子が二次バルブ部材に固定的に結合されている場合、引力は電機子を動かすには不充分だろう。しかし、本発明によれば、弾性結合により最初は二次バルブ部材の移動を伴わずに電機子が移動できる。従って、以前必要であったよりも低い初期引力を用いて不必要な力の使用を回避することができる。電機子が第一の位置から第二の位置まで移動するにつれて、電機子と本体部の間隙が減少して電機子に作用する力が増大する。
【0070】
図2は、電機子がある経路に沿って第一の位置100から、第一の位置より電磁石に近い第二の位置102へ移動する間における関連する力の変化を示すグラフである。当該経路は第一の位置から直接第二の位置まで、ドーナツ型電磁石の中心軸の方へまっすぐに延びている。パイロットばね104からの力(一次ポペットバルブヘッドに対し内向きに、且つ剛性軸および一体化二次バルブ部材に対し外向き(グラフでは負の方向)に作用する)は、電機子が移動し始めて一次バルブと二次バルブが閉じた状態に、付勢力および圧力差により所定の位置に保持されている間、一定である。剛性軸の動きを伴わずに電機子が移動し始める間、荷重ばねが圧縮されるため、荷重ばね106からの力(電機子に対し外向きに、且つ剛性軸従って二次バルブ部材に対し内向き(グラフでは正方向)に作用する)は単調に増大する。主ばね108からの力(電機子に対し外向きに作用する)もまた、電機子が第一の位置から第二の位置まで移動する間、単調に増大する。二次バルブが閉じた状態である間、バルブアセンブリの入り口と出口における圧力差は一定であり、その結果外向きの一定な力110が二次バルブ部材(従ってグラフでは負方向の剛性軸に)に作用する。
【0071】
その結果生じる二次バルブに作用する合力を線分112で示し、これが最初は第一の位置100において電磁石により逆向き(内向きの開いた)方に作用できる合力114よりもかなり強いことが分かる。しかし合力114は、荷重ばね54がもたらす開放力106およびパイロットばね58がもたらすパイロット力104から電機子に作用する正味の力より強いため、電機子が第一の位置100から移動できる。電機子が第一の位置から開放位置へ移動するにつれて、荷重ばねにより電機子に作用する開放力は線形に増大するが、電磁石により電機子に作用する合力は二次オーダーで増大し、電機子が第一と第二の位置の間にある開放位置101に到達した際に二次バルブ部材を開くために必要な合力を上回る。開放位置の位置は、入口と出口における圧力差に応じて異なる。電機子が開放位置に到達した際のバルブアセンブリの構成を図1Bに示す。
【0072】
図2の例において、荷重およびパイロットばねの組合せにより生成された、剛性軸に作用する正味の力は、それ自体では一次バルブ部材両端の圧力差から生じる流動力110に抗して剛性軸を移動させるほど強くない。圧力差が低い場合、正味の力が充分に強く、図1Cに示すように、剛性軸が内側へ移動し、二次バルブ部材を二次バルブシートとの密封接触から外して二次バルブを開く可能性はある。しかし、圧力差が充分に高いアプリケーションの場合、電機子の内面52は開放位置101において周辺フランジ26の外面66と接触する。従って、電機子と二次バルブ部材の最大距離が制限され、電機子により剛性軸に加えられる開放力106の急上昇116が生じる。ここで剛性軸に作用する力が剛性軸を内側へ移動させるのに充分であって、図1Cに示すように、二次バルブ部材を二次バルブシートとの密封接触から外して二次バルブを開く。荷重ばねにより加えられる力が、電機子および周辺フランジの各々の接触している内面および外面と相まって、電機子が開放位置100に与えることができる力よりも極めて強いことが分かる。しかし、電機子が図2に示す例のほぼ閉止位置へ移動したため、他の場合よりも極めて高い開放力が利用できる。
【0073】
二次バルブが開いたならば、流体がバルブアセンブリの内室から、二次バルブシートおよび一次ポペットバルブヘッドの中央開口部を貫通して出口へ流れる、断面積が比較的小さい経路を提供する。出口は、開放プロセスが余りに素早く生じて作動室容量内でどのような変化が生じても無視できるため、実質的には閉空間である作動室に結合している。従って、高圧流体が二次バルブを通って作動室に供給される際に、出口における圧力が増大するため、入口と出口の圧力が平衡状態になり始める。剛性軸を移動させるのに必要な合力は、圧力差が低下118するにつれて低下し始める。荷重ばね内の力は、剛性軸が一次ポペットバルブヘッドに相対的に移動し始めるにつれて低下116し始め、剛性軸が一次ポペットバルブヘッドに相対的に移動するにつれてパイロットばね内の力は増大120し始めるため、パイロットばねの長さが短くなる。剛性軸は、パイロットばねからの力と荷重ばねからの力が等しい位置で安定する。
【0074】
二次バルブが開いたならば、一次ポペットバルブ部材両端の圧力差が急速に低下し、一次バルブ部材は容易に一次バルブシートから外れて、剛性軸およびパイロットばねを介して伝導される力により、図1Dに示す位置に変移させることができる。従って、流体が自由に入口から出口へ流れることができる。バルブアセンブリが開放位置にある場合、二次バルブは通常開いた状態であるが、これは必須ではない。現在パイロットばねにより作用する正味の力が荷重ばねにより作用する正味の力を上回っているため、電機子が第二の位置に保持されることにより、本来一次バルブを閉じるように作用する主ばねの力を逃がしている限り、一次バルブが付勢されて開く。電磁石内を通って流れる電流が遮断されたならば、主ばねの動作により一次バルブは再び閉じ、荷重ばねに作用するパイロットばねのより強い予荷重力により二次バルブは再び閉じる。主ばねが、一次バルブ部材を直接圧迫する電機子に直接作用するため、電磁石を通って流れる電流が遮断されたならば、一次ポペットバルブヘッドが一次バルブシートの方へ素早く移動し始める。一次バルブを開くパイロットばねは、付随して動く二次バルブに関連付けられているため、閉止している間は顕著に圧縮されず、主ばねの全ての力を閉止動作の加速に利用できることが保証される。
【0075】
図示するバルブ構造において、磁気回路は、磁束ブリッジおよび電機子を通って延びる第一の磁気回路部と、ポペットケージおよび一次ポペットバルブヘッドを通って延びる第二の磁気回路部を含んで形成されている。第一および第二の磁気回路部は並列である。
【0076】
バルブアセンブリが図1Aに示す位置にあって、電流が最初に電磁石に供給される場合、磁束は、主に環状バルブ筐体、磁束ブリッジ、および電機子を介して、電機子と本体部の間隙を越えて伝導される。ポペットケージおよび一次ポペットバルブヘッドを通る磁束密度は、第一の磁気回路部のリラクタンスが第二の磁気回路部のリラクタンスより大幅に低いため、比較的低い。
【0077】
電機子は本体部に引き寄せられて本体部の方へ移動し始める。電機子周辺の周辺フランジは、電機子が第一の位置にある場合だけでなく電機子の移動の第一部分を通して磁束ブリッジが磁束ブリッジの断面全体にわたり電機子とほぼ接触するように配置されている。最初は移動できない一次ポペットバルブヘッドから電機子が移動し、第二の磁気回路部のリラクタンスが更に増大する。
【0078】
電機子が第二の位置に到達したならば、二次バルブが開き始めた後で、電流が電磁石を通って流れ続ける間、電機子は本体部と接触して本体部に対して所定の位置に保持される。しかし、周辺フランジは、第二の位置において、周辺フランジと磁束ブリッジとの重なり合う部分が磁束ブリッジの断面全体よりかなり小さくなるように配置されている。これにより、磁束ブリッジと電機子の接合のリラクタンスが増す。
【0079】
短い時間が経過した後、二次バルブ部材は、自身は本体部と接触状態にある電機子と接触する。電磁石を通って電流が供給され続ける間、電磁石、ポペットケージ、一次ポペットバルブヘッド、および電機子を通る磁気回路が完成している。
【0080】
従って、開放位置において、一次ポペットバルブヘッドは電機子へ磁気的に引き寄せられ、入口から一次ポペットバルブヘッドの周辺を通過して出口へ、次いで圧力勾配を下って作動室へ急速に流れる流体により生じた力であって一次ポペットバルブヘッドに作用するベルヌーイ力に抗する力に従う。従って、一次ポペットバルブヘッドは、磁気回路により開いた状態に保持される。
【0081】
この機構は、ポペットバルブケージおよび一次ポペットバルブヘッド(第二の磁気回路部として機能する)を介して磁束を誘導する、磁束ブリッジと電機子の接合の増大したリラクタンスにより実現される。たとえ電機子が第一の位置にある場合よりも第二の位置にある場合の方が、電機子が本体部と直接接触してあるために磁束ブリッジおよび電機子を通る本体部への経路の全体的なリラクタンスが低くても、磁束ブリッジおよび電機子を通る本体部への経路のリラクタンスと、一次バルブポペットヘッドを通る経路のリラクタンスの比率、電機子が第二の位置にあって一次バルブポペットヘッドが開いた状態に保持されている場合の方が高い。従って、そうでない場合よりも大きい割合の磁束が一次バルブポペットヘッドを介して誘導され、利用できる保持力が増大する。
【0082】
電磁石への電流が遮断されたならば、磁場が減衰して一次ポペットバルブヘッドは外向きに移動して一次バルブシートと密封接触する。
【0083】
代替的な実施形態において、一次バルブポペットヘッドは、開放位置において本体部と直接接触してもよい。この直接接触を容易にすべく、一次バルブポペットヘッドまたは本体部は突起を含んでいてよい。
【0084】
代替的な実施形態において、対応する磁気回路を用いて、二次バルブを含まないバルブアセンブリのバルブ部材を開いた状態に保持することができる。
【0085】
この例示的な実施形態では一次バルブポペットヘッド全体が強磁性材料から作られているが、当業者には一次バルブ部材が強磁性領域および非強磁性領域を含んでいてよい点が理解されよう。
【0086】
本明細書に開示するバルブ構造は英国特許第GB2,430,246号のバルブ構造に比べて大幅な優位性がある。二次バルブが開く前に二次バルブに対し最大限の開放力を加えられるように電機子が電磁石の近くへ移動できるが、二次バルブが一旦移動し始めた際には以前と同じ移動距離だけ進むことが可能であり、従って作動室内の圧力が平衡化するにつれて流体圧から受ける力が弱まって、圧縮された二次ばねの動作により完全に開く。また、電磁石は、延びているために弱い保持力しか与えられないばねの働きだけに頼るのではなく、引力として作用する磁力を一次バルブに直接加えて一次バルブを開いた状態に保持することができる。これらの利点により、電力消費量が少なく、且つより大きい圧力差に抗して開くことができるバルブを提供することができる。
【0087】
図3は、一般的に200で示す流体作動機械の模式図であって、高圧バルブとして図示するバルブアセンブリ202が組み込まれていて、高圧マニホルド204と作動室206の間における油圧流体の流れを調整する。作動室は、シリンダ208の内部および、適当な機械的接続214によりクランクシャフト212の回転と機械的に接続されていて作動室の容積を周期的に変化させるべくシリンダ内で往復運動するピストン210により画定される。低圧バルブ216が低圧マニホルド218と作動室の間における油圧流体の流れを制御する。例示的な流体作動機械は複数の作動室を含んでいて、同一クランクシャフトの回転と適当な位相差で機械的に接続されている。軸位置および速度センサ220が、回転の瞬間的な角位置および軸の回転速度を決定して軸位置および速度信号をコントローラ222に送信して、コントローラが個々の作動室の周期の瞬間的な位相を決定できるようにする。コントローラは通常、使用中の内蔵プログラムを実行するマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラである。低圧バルブは電子的に起動可能であって、高/低圧バルブの開放および/または閉止はコントローラの有効な制御下にある。
【0088】
例示的な流体作動機械は、代替的な動作モードのポンプまたはモーターのいずれかとして機能すべく動作可能である。ポンプとして動作する場合、低圧マニホルドから低圧流体が取り込まれて、高圧バルブを通って高圧マニホルドへ排出される。従って軸動力が流動力に変換される。ポンプとして動作する場合、高圧マニホルドから高圧流体が取り込まれて、低圧バルブを通って低圧マニホルドへ排出される。従って流動力が軸動力に変換される。
【0089】
コントローラは、低/高圧バルブの開放および/または閉止を調整して、作動室容量の周期と同相関係で1周期毎に各作動室を通る流体の排出量を決定して、当該機械を通る流体の正味スループットを決定する。従って、当該流体作動機械は、欧州特許第EP0361927号、欧州特許第EP0494236号、および欧州特許第EP1537333号に開示された原理に従い動作するものであり、その内容を本明細書に引用している。
【0090】
本発明のバルブアセンブリは、過剰なエネルギー消費なしに、圧力差に抗して素早く(2、3ミリ秒以内で)開くことができるため、この種の流体作動機械との関連において特に利点を有している。更に、バルブアセンブリが磁気回路装置により開いた状態に保持されることができるため、バルブアセンブリを閉じることなくバルブアセンブリを介して短期間に大量の流体を流すことができる。当該バルブアセンブリは、低または高圧バルブとして有用である。
【0091】
更なる変更や変型を本明細書に開示する本発明の範囲内で実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体作動機械の流体マニホルドから作動室への流体の供給を調整するバルブアセンブリであって、一次バルブ、電磁石、および電機子を含み、前記一次バルブが座面一次バルブ部材および一次バルブシートを含んでいて、前記一次バルブ部材が前記一次バルブシートから間隔を空けられた開放位置と、前記一次バルブ部材が前記一次バルブシートと密封接触している密封位置を有し、前記電機子が第一の位置と第二の位置の間を延びる経路に沿ってスライド可能であり、前記電機子が前記第一の位置にある場合に前記一次バルブ部材が前記密封位置の方へ付勢され、前記電機子が前記第二の位置にある場合に前記一次バルブ部材が前記開放位置の方へ付勢されるバルブアセンブリにおいて、前記一次バルブ部材が強磁性部材を含み、前記バルブが更に、前記一次バルブが開いている場合に前記強磁性部材を介して磁束を誘導することにより、前記一次バルブ部材を前記開放位置に保持すべく適合された磁気回路を含むことを特徴とするバルブアセンブリ。
【請求項2】
前記磁気回路が、前記一次バルブ部材が前記開放位置にある場合、および前記一次バルブ部材が前記密封位置にある場合の両方において前記強磁性部材を介して磁束を誘導するように適合されており、前記磁気回路が、前記一次バルブ部材が前記開放位置にある場合に前記強磁性部材を通してより高い密度の磁束を誘導するように適合されている、請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項3】
前記磁気回路が、前記電磁石から磁束を平行に伝導させるべく配置された第一および第二の磁気回路部を含んでいて、前記第一の磁気回路部が、少なくとも前記一次バルブが前記密封位置にあって前記電機子が前記第一の位置にある場合に、前記電機子を介して磁束を伝導させるべく構成されていて、前記第二の磁気回路部が、少なくとも前記一次バルブが前記開放位置にあって前記電機子が前記第二の位置にある場合に、前記強磁性部材を介して磁束を伝導させるべく構成されている、請求項1または2に記載のバルブアセンブリ。
【請求項4】
前記第一の磁気回路部および電機子が、前記電機子が前記第一の位置にあり、且つ前記一次バルブ部材が前記密封位置にある場合よりも、前記電機子が前記第二の位置にあり、且つ前記一次バルブ部材が前記開放位置にある場合の方が前記第一の磁気回路部のリラクタンスの前記第二の磁気回路部のリラクタンスに対する比率が高くなるように構成されていることにより、前記電機子が前記第二の位置にあり、且つ前記一次バルブ部材が前記開放位置にある場合に前記一次バルブ部材を介して誘導される磁束が増大する、請求項3に記載のバルブアセンブリ。
【請求項5】
前記第一の磁気回路が、前記電機子が前記第一の位置にある場合に前記電機子を介して磁束を誘導するべく配置された磁束ブリッジを含んでいて、前記電機子が前記第一の位置にある場合よりも前記電機子が前記第二の位置にある場合の方が前記磁束ブリッジと前記電機子との界面のリラクタンスがより高い、請求項4に記載のバルブアセンブリ。
【請求項6】
前記電機子が前記磁束ブリッジと重なり合い、前記電機子が前記第一の位置より前記第二の位置にある方が重なり合う表面積が小さいことにより、前記電機子が前記第二の位置にある場合の前記磁束ブリッジと前記電機子の界面のリラクタンスが増大する、請求項5に記載のバルブアセンブリ。
【請求項7】
前記電機子が前記第一の位置から前記第二の位置へ軸に沿ってスライドすべく適合されていて、前記磁束ブリッジが複数の半径方向内側に延びる磁気回路部材を含む、請求項5または6に記載のバルブアセンブリ。
【請求項8】
前記第二の磁気回路部が、前記一次バルブ部材が前記開放位置にある場合、および前記一次バルブ部材が前記密封位置にある場合の両方において、前記強磁性部材を介して磁束を伝導させるべく構成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項9】
前記一次バルブ部材を前記一次バルブシートから離れる方向へ付勢すべく配置された弾性部材と、前記電機子を前記一次バルブ部材に接触させるべく付勢して、その結果生じた力が前記一次バルブを密封位置の方へ付勢すべく配置された弾性部材を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項10】
前記電機子に結合されていて、密封位置と開放位置の間を移動可能な二次バルブ部材を含む二次バルブを更に含み、前記電機子が前記第一の位置にある場合に前記二次バルブが前記密封位置にある、請求項1〜9のいずれか一項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項11】
前記電機子と前記二次バルブの間の結合が、前記二次バルブ部材の追随的移動を伴わずに前記電機子が前記第一の位置から前記第二の位置へ移動できるようにするが、前記電機子が前記経路に沿って前記第一の位置と前記第二の位置との間の位置にある場合、前記電機子と前記二次バルブ部材の間の結合を通る力を作用させて前記二次バルブ部材を移動させることにより前記二次バルブを開くように構成されている、請求項10に記載のバルブアセンブリ。
【請求項12】
前記二次バルブ部材が、前記開放位置にある前記一次バルブ部材の対向面の間を流体が流れる経路を提供すべく配置されていることにより、使用時に、前記一次バルブ部材を前記一次バルブシートとの密封接触に保持する力を作用させる前記一次バルブ部材の両端で圧力差がある場合、前記二次バルブ部材の開放により前記一次バルブ部材の両側で圧力を均等化して前記一次バルブ部材の開放を容易にすることができる、請求項10または11に記載のバルブアセンブリ。
【請求項13】
前記バルブアセンブリが、流体作動機械の高圧マニホルドから作動室への流体の供給を調整するバルブアセンブリであって、更に二次バルブを含み、前記二次バルブが密封位置と開放位置の間を移動可能な二次バルブ部材を含んでいて、前記一次バルブ部材両端の圧力差を減らすべく前記一次バルブ部材の対向面の間を流体が流れるように前記二次バルブを通る経路が前記二次バルブ部材内に設けられており、前記電機子が前記二次バルブ部材に結合されていて、前記第二の位置が前記第一の位置よりも前記電磁石に近く、前記第一の位置において、前記二次バルブが前記密封位置の方へ付勢され、前記第二の位置において、前記二次バルブが前記開放位置の方へ付勢されており、前記電機子と前記二次バルブ部材の間の結合が、前記二次バルブ部材の追随的移動を伴わずに前記電機子が前記第一の位置から前記第二の位置へ移動することを可能にするが、前記電機子が前記経路に沿って前記第一の位置と前記第二の位置との間の位置にある場合、前記電機子と前記二次バルブ部材の間の結合を通る力を作用させて前記二次バルブ部材を移動させることにより前記二次バルブを開くように構成されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のバルブアセンブリ。
【請求項14】
容積が周期的に変動する作動室、高圧マニホルドおよび低圧マニホルド、並びに前記高圧マニホルドまたは前記低圧マニホルドから前記作動室への流体の供給を調整する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のバルブアセンブリを含む流体作動機械。
【請求項15】
前記バルブアセンブリを能動的に制御すべく動作可能なコントローラと、場合により作動室容量の周期と同相関係にある1個以上の他のバルブとを含んでいて、前記作動室により1周期毎に前記流体の正味排出量を決定する、請求項14に記載の流体作動機械。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−502234(P2012−502234A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525633(P2011−525633)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051155
【国際公開番号】WO2010/029359
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(509066031)アルテミス インテリジェント パワー リミティド (25)
【氏名又は名称原語表記】ARTEMIS INTELLIGENT POWER LIMITED
【Fターム(参考)】