説明

バンパー用包装材

【課題】バンパーを包装した際に、できるだけ体積を小さくすることができ、かつ、リサイクル性に優れたバンパーの包装材を提供する。
【解決手段】車両バンパー20を内部に収納可能であり、一面側に開口部13が設けられた袋体10からなる車両バンパー用包装材において、袋体10を合成樹脂製気泡シート100から構成する。開口部13を、互いに対向する第1端部11と第2端部12とが重なり合うように構成し、第1端部11を第2端部12より外側に位置させる。第1端部11には、第1端部11を第2端部12に貼付するための貼付部14を設ける。貼付部14の粘着面は保護部材で覆われており、第1端部11には、貼付部14を横切るようにミシン目15を設ける。開口部11から袋体10に車両バンパー20を収納し、貼付部14から保護部材を剥がした後、ミシン目15を切り開き、貼付部14により第1端部11を第2端部12に貼付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バンパーを包装するバンパー用包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製の車両用バンパーは、例えば補修部品として輸送されることが多い。また、近年ではノックダウン生産のためにバンパーが他国に輸送されるケースも増加している。バンパーの輸送時には、バンパーを保護するために何らかの包装をする必要がある。このようなバンパー用包装材として段ボールを用いた包装箱が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−192017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらバンパーは形状が複雑であるため、これを収納するための段ボール箱の容積が大きくなる。このため大きな収納スペースが必要となる上に積層し難く、保管時の収納効率や輸送時の積載効率が低いなどの問題がある。また、バンパー用包装材は使用後に廃棄されることが多いが、段ボール製の包装材はリサイクル性の面で好ましくない。
【0004】
そこで本発明は、バンパーを包装した際に、できるだけ体積を小さくすることができ、かつ、リサイクル性に優れたバンパーの包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発明は、車両バンパー(20)を内部に収納可能であり、一面側に開口部(13)が設けられた袋体(10)からなる車両バンパー用包装材であって、前記袋体(10)は、少なくとも凹凸シート(101)と平坦シート(102、103)とが接合され、気体が密閉された多数の気泡部(104)が形成されている合成樹脂製気泡シート(100)から構成されており、前記開口部(13)は、互いに対向する第1端部(11)と第2端部(12)との間に形成され、前記第1端部(11)と前記第2端部(12)は、前記第1端部(11)が前記第2端部(12)の外側に位置するように重なり合っており、前記第1端部(11)には、前記第1端部(11)を前記第2端部(12)に貼付するための貼付部(14)が設けられており、前記貼付部(14)の粘着面は保護部材で覆われており、前記第1端部(11)には、前記貼付部(14)を横切るようにミシン目(15)が設けられていることを特徴としている。
【0006】
合成樹脂製気泡シート(100)は柔軟性を有するので、車両用バンパーの形状に応じて変形することができ、包装された状態の車両バンパーをコンパクトにすることができるとともに、積層しやすい。このため、包装された状態の車両バンパーの収納スペースを削減することができる。また、合成樹脂製気泡シート(100)は、リサイクル性に優れている。
【0007】
また、本発明の車両バンパー用包装材では、袋体(10)に車両バンパー(20)を収納した後で、貼付部(14)から保護部材を剥がし、ミシン目(15)を切り離して、貼付部(14)により第1端部(11)を第2端部(12)に貼り付けて開口部(11)を閉鎖状態にするという簡易な作業で車両バンパー(20)を包装することができる。このため、短時間で効率よく車両バンパーを包装することができ、作業性に優れている。さらに、ミシン目(15)で第1端部(11)を複数に分離できるので、車両バンパー(20)の複雑な形状に対応させやすいという利点がある。
【0008】
また、第1端部(11)が予め分離されている構成の場合には、第1端部(11)から保護部材を剥がす動作を複数回行う必要となるが、本発明のように第1端部(11)にミシン目(15)を設けることで、保護部材を剥がしてから第1端部(11)を分離することができ、保護部材を剥がす動作を1回行うだけでよい。これにより、車両バンパー包装材で車両バンパー(20)を包装する際の作業性を向上させることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、前記袋体(10)は、端部にマチが設けられたガゼット袋として構成されていることを特徴としている。これにより、袋体(10)の容量を大きくすることができ、体積の大きい車両バンパー(20)を収納可能となる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、前記袋体(10)は前記車両バンパー(20)より充分に長くなっており、前記袋体(10)に前記車両バンパー(20)を収納した後で、前記車両バンパー(20)の端部に対応する部位で前記袋体(10)の端部が折曲げられるとともに、折曲げられた前記袋体(10)の端部が固定手段により前記袋体(10)の他の部位に固定されることを特徴としている。これにより、衝撃に弱い車両バンパー(20)の両端部分を適切に保護することができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明では、前記袋体(10)の内壁面における前記車両バンパー(20)と接触する部位に、前記合成樹脂製気泡シート(100)と同一の合成樹脂材料からなる不織布が貼合されていることを特徴としている。これにより、車両バンパー(20)を車両バンパー用包装材で包装した際に、車両バンパー(20)における袋体(10)の内壁面に気泡シート(100)の気泡部(104)の配置パターンが転写されることを防止できる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明では、前記合成樹脂製気泡シート(100)は、スーパーランダムポリプロピレンからなることを特徴としている。これにより、耐摩耗製を確保しつつ柔軟性も確保することができる。
【0013】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。
【0015】
図1は本実施形態のバンパー用包装材の構成を示しており、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。図1(a)に示すように、バンパー用包装材は袋体10から構成されている。
【0016】
袋体10は、合成樹脂製気泡シート100から構成されている。図2(a)は合成樹脂製気泡シート100の斜視図であり、図2(b)は合成樹脂製気泡シート100を分解した状態を示す斜視図である。
【0017】
図2(a)、(b)に示すように、気泡シート100は合成樹脂製中空部材として構成されている。気泡シート100は、凹凸シート101と、凹凸シート101の両面に接合された2枚の平坦シート102、103とからなる3層構造となっている。凹凸シート101には複数の中空状(例えば円柱状)の突起部101aがエンボス加工されており、凹凸シート101の突起部先端側(図1の上側)に第1平坦シート102が接合されている。また、凹凸シート101の突起部開口側(図1の下側)には第2平坦シート103が接合され、これにより空気が封入された気泡部104が形成される。気泡シート100は、柔軟性を有しており、気泡部104により緩衝効果に優れるので、包装材料として好適に用いることができる。
【0018】
本実施形態では、気泡シート100を構成する合成樹脂として、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂を用いている。気泡シート100は、本実施形態のように柔軟性が必要とされる場合には単位面積当り重量(目付重量)を30〜300グラム/m2とすることが望ましい。車両バンパー用包装材は、大きな部材ゆえに車両バンパー20を収納した状態で作業者が床を引きずるような状況も考えられる。この点が従来段ボールから気泡シート100への切り替えを困難にしていたのも事実である。このため、気泡シート100は、ポリエチレンより耐摩耗性にすぐれたポリプロピレンを重量比で60%以上含有していることが望ましく、さらに目付重量を100〜150グラム/m2とすることが望ましい。また、ポリプロピレンの中で、柔軟性が高いスーパーランダムポリプロピレンを用いることで、耐摩耗製を確保しつつ柔軟性も確保することができる。
【0019】
図1に戻り、袋体10は長方形状の平袋として構成されている。袋体10は、被包装物である車両用バンパーを収納可能な大きさであればよく、具体的寸法は車種に応じて適宜選択すればよい。袋体10の対向する一対の長辺(図1(a)の手前側と奥側の辺)は半折り又は熱融着され、対向する一対の短辺(図1(a)の左右側の辺)は熱融着により2枚のシートが接合されている。
【0020】
袋体10の一方の面には、第1端部11と第2端部12との間に開口部13が形成されている。第1端部11と第2端部12は、袋体10の長辺と平行で、かつ、袋体10の長辺と同じ長さとなっている。第1端部11と第2端部12は、互いに反対方向に向かうように対向して設けられている。第1端部11と第2端部12は、第1端部11が第2端部12の外側に位置するように重なり合っている。開口部13は、袋体10の一方の面において、中心から一方の長辺側(図1(a)の手前側、図1(b)の左側)にずれた位置に設けられている。
【0021】
第1端部11には、第1端部11を第2端部12に貼付するための貼付部14が設けられている。本実施形態の貼付部14は両面テープ(粘着テープ)から構成されている。貼付部14は、第1端部11における第2端部12に対向する位置に、第1端部11の縁に沿って設けられている。使用前の貼付部14は、粘着面に保護紙(保護部材)が貼付されている。
【0022】
第1端部11には、縁部に直交するようにミシン目15が設けられており、ミシン目15は貼付部14を横切るように設けられている。ミシン目15を切り離すことで、第1端部11を複数の部位に分離することができる。本実施形態では4つのミシン目15が設けられており、第1端部11を5つの部位に分離することができる。
【0023】
次に、本実施形態の車両バンパー包装材による車両バンパーの包装方法について説明する。図3は、車両バンパーの包装方法の手順を示す工程図である。
【0024】
まず、車両バンパー用包装材を用意し、開口部13から車両バンパー20を袋体10に挿入する(図3(a)(b))。
【0025】
次に、貼付部14の粘着面から保護紙を剥がす。このとき、第1端部11は分離されておらず、保護紙は1枚の紙となっており、1回の動作で保護紙を剥がすことができる。これにより、貼付部14の粘着面が露出する。
【0026】
次に、ミシン目15を切り離す(図3(c))。これにより、第1端部11を複数の部位に分離することができる。そして、第1端部11を車両バンパー20に密着させ、貼付部14で第2端部12に貼り付け、開口部13を閉鎖状態にする。このとき、第1端部11が複数の部位に分離されているので、車両バンパー20の複雑な形状に対応させやすいという利点がある。さらに、必要に応じて図示しないテープなどを用いて第1端部11を第2端部12に固定することで、より確実に車両バンパー20を包装することができる。
【0027】
以上説明した車両バンパー用包装材は、柔軟性を有する気泡シート100から構成されているので、車両用バンパーの形状に応じて変形するので嵩張らず、包装された状態の車両バンパーの大きさが包装前より大幅に大きくなることがない。このため、本実施形態の車両バンパー包装材は、段ボール製包装材に比較して、包装された状態の車両バンパーをコンパクトにすることができるとともに、積層しやすい。このため、包装された状態の車両バンパーの収納スペースを削減することができる。また、本実施形態の車両バンパー包装材を構成する気泡シート100は、段ボールに比べて滑りにくいので、安定的に積層することが可能となる。さらに、本実施形態の車両バンパー包装材を構成する気泡シート100は、容易にリサイクルすることができ、環境面でも好ましい。
【0028】
また、本実施形態の車両バンパー包装材は、開口部13から車両バンパー20を袋体10の内部に収納し、貼付部14の粘着面から保護紙を剥がし、ミシン目15を切り離して、貼付部14により第1端部11を第2端部12に貼り付けて開口部11を閉鎖状態にするという簡易な作業で車両バンパー20を包装することができる。このため、短時間で効率よく車両バンパーを包装することができ、作業性に優れている。
【0029】
また、第1端部11が予め分離されている構成の場合には、第1端部11から保護紙を剥がす動作を複数回行う必要となるが、本実施形態のように第1端部11にミシン目15を設けることで、保護紙を剥がしてから第1端部11を分離することができ、保護紙を剥がす動作を1回行うだけでよい。これにより、車両バンパー包装材で車両バンパー20を包装する際の作業性を向上させることができる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0031】
図4は、本実施形態の車両バンパー包装材の斜視図である。図4に示すように、本実施形態の袋体10は、長辺にマチ16が設けられたガゼット袋として構成されている。これにより、袋体10の容量を大きくすることができ、体積の大きい車両バンパー20を収納可能となる。
【0032】
また、本実施形態の袋体10は、車両バンパー20より充分に長くなるように構成されている。さらに袋体10の両端より若干内側には、短辺に沿って折曲げ部17が設けられている。折曲げ部17は、袋体10に車両バンパー20を収納した状態において、車両バンパー20の端部に対応する位置に設ける。折曲げ部17は、熱融着よりシールされており、袋体10を折曲げやすくなっている。
【0033】
図5は、本実施形態の車両バンパー包装材で車両バンパー20を収納する状態を示している。図5(a)に示すように、袋体10に車両バンパー20を収納したときに、袋体10の両端部分(折曲げ部17より外側に位置する部分)が車両バンパー20の両端部分よりはみ出る。このため、図5(b)に示すように、袋体10の両端部分をそれぞれ車両バンパー20の両端部分で折り返してテープなどの図示しない固定手段で固定する。これにより、車両バンパー用包装材の両端で折曲げられた部分が二重になり、衝撃に弱い車両バンパー20の両端部分を適切に保護することができる。本実施形態の袋体10には、両端近傍に折曲げ部17が設けられているので、袋体10の折曲げ作業を容易に行うことができる。
【0034】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、貼付部14を両面テープから構成したが、第1端部11を第2端部12に貼付することができるとともに、粘着面が保護部材で覆われていればよく、両面テープ以外の粘着手段を用いてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、袋状部材10、11、シート状部材12を構成する気泡シート100を凹凸シート101の両面に2枚の平坦シート102、103を接合した3層品を用いたが、1枚の平坦シート102が凹凸シート101における突起部101aの開口部側に接合された2層品を用いてもよい。
【0036】
また、上記実施形態の車両バンパー用包装材で塗装済みの車両バンパー20を包装する場合には、車両バンパー20における袋体10の内壁面と接触する部位に、気泡シート100の気泡部104の配置パターンが転写されることがある。このため、上記実施形態の構成において、袋体10の内壁面における車両バンパー20と接触する部位に、不織布を貼合することが望ましい。この場合、合成樹脂製気泡シート100と同一の合成樹脂材料からなる不織布を用いることで、リサイクルの際に分離する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)は第1実施形態のバンパー用包装材の斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】(a)は合成樹脂製気泡シートの斜視図であり、(b)は合成樹脂製気泡シートを分解した状態を示す斜視図である。
【図3】車両バンパーの包装方法の手順を示す工程図である。
【図4】第2実施形態のバンパー用包装材の斜視図である。
【図5】第2実施形態の車両バンパー包装材で車両バンパーを収納する状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
10…袋体、11…第1端部、12…第2端部、13…開口部、14…貼付部、15…ミシン目、16…マチ、17…折曲げ部、100…合成樹脂製気泡シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両バンパー(20)を内部に収納可能であり、一面側に開口部(13)が設けられた袋体(10)からなる車両バンパー用包装材であって、
前記袋体(10)は、少なくとも凹凸シート(101)と平坦シート(102、103)とが接合され、気体が密閉された多数の気泡部(104)が形成されている合成樹脂製気泡シート(100)から構成されており、
前記開口部(13)は、互いに対向する第1端部(11)と第2端部(12)との間に形成され、
前記第1端部(11)と前記第2端部(12)は、前記第1端部(11)が前記第2端部(12)の外側に位置するように重なり合っており、
前記第1端部(11)には、前記第1端部(11)を前記第2端部(12)に貼付するための貼付部(14)が設けられており、
前記貼付部(14)の粘着面は保護部材で覆われており、
前記第1端部(11)には、前記貼付部(14)を横切るようにミシン目(15)が設けられていることを特徴とする車両バンパー用包装材。
【請求項2】
前記袋体(10)は、端部にマチが設けられたガゼット袋として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両バンパー包装材。
【請求項3】
前記袋体(10)は前記車両バンパー(20)より充分に長くなっており、前記袋体(10)に前記車両バンパー(20)を収納した後で、前記車両バンパー(20)の端部に対応する部位で前記袋体(10)の端部が折曲げられるとともに、折曲げられた前記袋体(10)の端部が固定手段により前記袋体(10)の他の部位に固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両バンパー包装材。
【請求項4】
前記袋体(10)の内壁面における前記車両バンパー(20)と接触する部位に、前記合成樹脂製気泡シート(100)と同一の合成樹脂材料からなる不織布が貼合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両バンパー包装材。
【請求項5】
前記合成樹脂製気泡シート(100)は、スーパーランダムポリプロピレンからなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両バンパー包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−280262(P2009−280262A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135646(P2008−135646)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】