説明

バージョンアップ方法及びプログラム

【課題】バージョンアップを短時間で効率的に行って、装置のダウンタイムを短くすることができる技術を提供する。
【解決手段】レチクルのパターンを基板に投影して前記基板を露光する露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ方法であって、前記露光装置で発生したエラーのエラーコードを取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得したエラーコードに基づいて、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索する検索ステップと、前記検索ステップで検索されたソフトウエアの情報を前記露光装置に提供する提供ステップと、を有することを特徴とするバージョンアップ方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バージョンアップ方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー技術を用いて半導体メモリや論理回路などの微細な半導体デバイスを製造する際に、露光装置が使用されている。近年では、露光装置に対して更なる精度の向上やスループットの向上が要求されており、かかる要求を満足するために露光装置を制御するソフトウエアが大規模化している。そのため、ソフトウエアのバージョンアップ(又はインストール)による装置のダウンタイムが長くなってきてきており、ソフトウエアのバージョンアップ(又はインストール)を効率よく実行する技術が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、ハードウエアリソースの残容量とソフトウエアのインストールに必要な容量とを比較して、バージョンアップが可能か否かを判定している。
【特許文献1】特開平11−296352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
露光装置へのソフトウエハのバージョンアップでは、一般に、記録媒体に格納された機能追加分及び不具合修正分のプログラム、新規のパラメータデータやツール等の全てを装置にインストールしている。しかしながら、記録媒体に格納された全てを装置にインストールすると、装置によっては不要なプログラムや使用しないツールもインストールされてしまうため、バージョンアップ作業が長くなり、装置のダウンタイムもより長くなってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、このような従来技術の課題に鑑みて、バージョンアップを短時間で効率的に行って、装置のダウンタイムを短くすることができる技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面としてのバージョンアップ方法は、レチクルのパターンを基板に投影して前記基板を露光する露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ方法であって、前記露光装置で発生したエラーのエラーコードを取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得したエラーコードに基づいて、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索する検索ステップと、前記検索ステップで検索されたソフトウエアの情報を前記露光装置に提供する提供ステップと、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明の第2の側面としてのバージョンアップ方法は、レチクルのパターンを基板に投影して前記基板を露光する露光装置と、前記露光装置を管理する管理装置とを含むシステムにおける前記露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ方法であって、前記露光装置が、前記露光装置で発生したエラーのエラーコードを取得する取得ステップと、前記露光装置が、前記取得ステップで取得したエラーコードを前記管理装置に送信する送信ステップと、前記管理装置が、前記露光装置から送信されたエラーコードに基づいて、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索する検索ステップと、前記管理装置が、前記検索ステップで検索されたソフトウエアを前記露光装置に提供する提供ステップと、前記露光装置が、前記提供ステップで提供されたソフトウエアを前記露光装置にインストールするインストールステップと、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の第3の側面としてのバージョンアップ方法は、レチクルのパターンを基板に投影して前記基板を露光する露光装置と、前記露光装置を管理する管理装置とを含むシステムにおける前記露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ方法であって、前記露光装置が、前記露光装置で発生したエラーのエラーコードを取得する取得ステップと、前記露光装置が、前記取得ステップで取得したエラーコードを前記管理装置に送信する送信ステップと、前記管理装置が、前記露光装置から送信されたエラーコードに基づいて、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索する検索ステップと、前記管理装置が、前記検索ステップで検索されたソフトウエアのリストを前記露光装置に送信する送信ステップと、前記露光装置が、前記送信ステップで送信されたソフトウエアのリストに従って、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを前記露光装置にインストールするインストールステップと、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の第4の側面としてのプログラムは、レチクルのパターンを基板に投影して前記基板を露光する露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記露光装置で発生したエラーのエラーコードを取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得したエラーコードに基づいて、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索する検索ステップと、前記検索ステップで検索されたソフトウエアの情報を前記露光装置に提供する提供ステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、バージョンアップを短時間で効率的に行って、装置のダウンタイムを短くする技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置1の外観を示す概略斜視図である。露光装置1は、レチクル(又はマスク)のパターンを基板(ウエハ等)に投影し、かかる基板を露光する投影露光装置である。
【0013】
露光装置1は、図1に示すように、チャンバ101と、ワークステーション(WS)102と、第1の表示部103と、第2の表示部104と、操作部105と、入力部106とを備える。なお、露光装置1において、第1の表示部103、第2の表示部104、操作部105及び入力部106は、コンソールユニットを構成する。
【0014】
チャンバ101は、露光装置本体を収納すると共に、温度制御された内部環境を維持する。
【0015】
WS102は、露光装置本体を制御するための処理に特化したコンピュータで構成される。
【0016】
第1の表示部103は、ワークステーション(WS)用の表示部であって、所定の情報を表示する。第1の表示部103は、例えば、EL(Electro−luminescence)、プラズマ、液晶等の薄型フラットパネルで構成され、チャンバ101の前面に配置される。また、第1の表示部103は、通信ケーブルCCを介して、WS102に接続する。
【0017】
第2の表示部104は、第1の表示部103と同様にチャンバ101の前面に配置され、露光装置本体において撮像部を介して得られる画像情報を表示する。
【0018】
操作部105は、チャンバ101の前面に配置され、露光装置1に対して所定の操作(指示の入力など)を行うための操作パネル、ON−OFFスイッチや非常停止スイッチなどの各種スイッチなどを含む。
【0019】
入力部106は、チャンバ101の全面に配置され、ワークステーション(WS)用のキーボードやマウスなどを含む。
【0020】
図2は、露光装置1の内部構成を示す概略図である。図2に示すように、チャンバ101に収納される露光装置本体は、本実施形態では、ステップ・アンド・リピート方式でレチクル203のパターンをウエハ205に転写するが、ステップ・アンド・スキャン方式やその他の露光方式も適用することができる。
【0021】
光源部201から射出した光束は、照明光学系202によってレチクル203を照明する。レチクル203を通過してパターンを反映する光束は、投影光学系204によってウエハ205に結像される。なお、レチクル203はレチクル203を移動可能に保持するレチクルステージ206に保持された状態で、ウエハ205はウエハチャック207に真空中着された状態で露光される。また、ウエハステージ208は、ウエハチャック207を各軸方向に移動可能に支持する。
【0022】
レチクル検出系209は、レチクル203の上方に配置され、レチクル203の位置ずれを検出する。オフアクシス検出系210は、ウエハステージ208の上方に、且つ、投影光学系204に隣接して配置され、基準マークとウエハ205の上のアライメントマークとの相対位置を検出する。
【0023】
また、レチクルライブラリ211やウエハキャリアエレベータ212が露光装置本体に隣接して配置され、必要なレチクル203やウエハ205がレチクル搬送系213及びウエハ搬送系214を介して露光装置本体に搬送される。
【0024】
チャンバ101は、空気の温度を調整する空調室221と、微小な異物を除去(ろ過)して清浄な空気の均一な流れを形成するフィルタボックス222と、内部環境と外部とを遮断するブース223とで構成されている。
【0025】
チャンバ101の内部では、空調室221に配置された冷却器224及びヒータ225で温度を調整された空気が、送風機226及びエアフィルタ227を介して、ブース223に供給される。ブース223に供給された空気は、リターン口228を介して、空調室221に取り込まれ、チャンバ101の内部を循環する。但し、チャンバ101は、厳密には、完全な循環系ではなく、ブース223の内部を常に陽圧に維持するために、空調室221に設けられた外気導入口229を介して、外部の空気(循環させる空気量の1割程度)を導入している。なお、リターン口228及び外気導入口229には、空気に含まれている化学物質を除去するための化学吸着フィルタ230が配置されている。
【0026】
また、光源部201には、超高圧水銀ランプを冷却するためや異常時に発生する有毒ガスを排気するために、吸気口231及び排気口232が設けられている。従って、ブース223の内部の空気の一部は、光源部201を経由して、空調室221に設けられた排気ファンを介して外部(工場設備など)に強制的に排気される。
【0027】
チャンバ101は、上述した構成によって、露光装置本体を収納する内部環境を一定に維持し、且つ、空気を清浄に維持することを可能としている。
【0028】
図3は、露光装置1における制御関係を示す概略ブロック図である。図3において、301は、WS102に内蔵されたCPUであって、マイクロコンピュータ又はミニコンピュータ等の中央演算装置で構成される。CPU301は、ウエハステージ208を含むウエハステージ駆動系302、レチクル検出系209やオフアクシス検出系210を含むアライメント検出系303、レチクルステージ206を含むレチクルステージ駆動系304を制御する。また、CPU301は、光源部201や照明光学系202を含む照明系305、シャッタ駆動系306、フォーカス検出系307、Z駆動系308、レチクル搬送系213やウエハ搬送系214を含む搬送系309を制御する。
【0029】
第1の表示部103、第2の表示部104、操作部105、入力部106、コンソールCPU311、外部メモリ312などを含むコンソールユニットは、CPU301に露光装置1の動作に関する各種コマンドやパラメータを与えるためのものである。換言すれば、コンソールユニットは、ユーザとの間で情報の授受を行うためのものである。
【0030】
コンソールCPU311は、マイクロコンピュータ又はミニコンピュータ等の中央演算装置で構成され、第1の表示部103、第2の表示部104、操作部105、入力部106、外部メモリ312を制御する。また、外部メモリ312は、例えば、ハードディスクであって、内部にデータベースが構築されており、各種パラメータ、管理データ及びユーザのグループなどを記録している。
【0031】
図4は、露光装置1を制御するためのソフトウエア(プログラム)のバージョンアップ処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、バージョンアップ処理を実行するためのプログラムは、媒体インターフェース(不図示)に接続された記録媒体からインストールされ、コンソールCPU311を介して外部メモリ312に格納されているものとする。また、露光装置1の機能を追加するためのプログラム(「機能追加プログラム」とする)や露光装置1でエラーが発生しないように修正するためのプログラム(「修正プログラム」とする)を格納した記録媒体は、媒体インターフェースに接続されているものとする。
【0032】
図4に示すバージョンアップ処理は、本実施形態では、コンソールCPU311が露光装置1の各部を統括的に制御することによって実行される。但し、図4に示すバージョンアップ処理は、WS102のCPU301が実行してもよいし、コンソールCPU311とCPU301とが共同して実行してもよい。
【0033】
ステップS1002では、コンソールCPU311は、現在の露光装置1の装置状態を取得する。
【0034】
具体的には、図5に示すように、コンソールCPU311は、ステップS2002において、露光装置1で発生したエラーのエラー履歴から、エラーコードを取得する。露光装置1でエラーが発生した場合には、図6に示すように、エラー履歴ファイルに、発生日時、エラー種別(Error、Warning、Message)、エラーコード、エラーの重要度を示す情報、エラーのタイトルが記録される。コンソールCPU311は、図6に示すようなエラー履歴ファイルを参照することで、露光装置1で発生したエラーのエラーコードを取得することができる。また、コンソールCPU311は、所定の期間(例えば、1ヶ月)に発生したエラーを抽出して同一のエラーコードをカウントすることで、エラーごと(即ち、エラーコード別)の発生頻度を取得することもできる。換言すれば、コンソールCPU311は、露光装置1で発生したエラーのうち所定の回数以上発生しているエラーのエラーコードを取得することができる。ここで、図5は、ステップS1002の装置状態の取得の詳細なフローチャートである。また、図6は、露光装置1で発生したエラーを記録するエラー履歴ファイルの一例を示す図である。
【0035】
また、コンソールCPU311は、ステップS2004において、露光装置1の稼働率を算出する。露光装置は、Init(初期化中)、Idle(待機中)、Run(露光中)、MA(マニュアルアシスト待ち)の4つの装置ステータスを有する。かかる装置ステータスが変化した際には、図7に示すように、装置ステータスが変化した時刻と装置ステータスとがステータスファイルに記録される。従って、コンソールCPU311は、図7に示すようなステータスファイルから装置ステータスが変化した時刻と装置ステータスとを読み出し、装置ステータスがRunになっている間の時間を集計することで露光装置1の稼働率を算出することができる。但し、露光装置1の稼働率の算出処理(ステップS2004)は、必ずしも必要な処理ではなく、後述するように、露光装置1の稼働率に応じて、修正プログラムをインストールする処理を実行するか否かを判定する際に必要となる処理である。ここで、図7は、露光装置1の装置ステータスの変化を記録するステータスファイルの一例を示す図である。
【0036】
図4に戻って、ステップS1004では、コンソールCPU311は、媒体インターフェース(不図示)に接続された記録媒体から機能追加プログラム(ソフトウエア)を露光装置1にインストールする。換言すれば、ステップS1004では、機能追加プログラム(ソフトウエア)の情報が露光装置1に提供される。
【0037】
ステップS1006では、コンソールCPU311は、媒体インターフェース(不図示)に接続された記録媒体から修正プログラム(ソフトウエア)を露光装置1にインストールする。
【0038】
図8は、ステップS1006の修正プログラムのインストールの詳細なフローチャートである。コンソールCPU311は、ステップS3002において、ステップS1002(ステップS2002)で取得したエラーコードのうち1つのエラーコードを選択する。この際、ステップS1002(ステップS2002)で取得した全てのエラーコードを選択対象とするのではなく、例えば、発生頻度が高い(即ち、所定の回数以上発生している)エラーのエラーコードのみを選択対象としてもよい。また、露光装置1で発生したエラーの重要度を示す情報が設定値以上であるエラーコードのみを選択対象としてもよい。
【0039】
ステップS3004において、コンソールCPU311は、記録媒体から、ステップS3002で選択されたエラーコードに基づいて、かかるエラーコードのエラーが発生しないように修正する修正プログラムを検索する。換言すれば、記録媒体などに格納された複数のプラグラム(ソフトウエア)から、ステップS1002(ステップS2002)で取得したエラーコードのエラーが露光装置1で発生しないように修正するための修正プログラムを検索する。
【0040】
ステップS3006において、コンソールCPU311は、ステップS3004で修正プログラムが検索されたか否かを判定する。
【0041】
修正プログラムが検索されたと判定された場合には、ステップS3008において、コンソールCPU311は、ステップS3004で検索された修正プログラムを露光装置1にインストールする。換言すれば、ステップS3008では、修正プログラム(ソフトウエア)の情報が露光装置1に提供される。
【0042】
一方、修正プログラムが検索されなかったと判定された場合には、ステップS3010に進む。
【0043】
ステップS3010において、コンソールCPU311は、ステップS3002において、ステップS1002(ステップS2002)で取得した全てのエラーコードを選択したか否かを判定する。なお、発生頻度が高いエラーコードのみを選択対象としている場合には、発生頻度が高いエラーコードの全てを選択したか否かを判定すればよい。また、また、露光装置1で発生したエラーの重要度を示す情報が設定値以上であるエラーコードのみを選択対象としている場合には、エラーの重要度を示す情報が設定値以上であるエラーコードの全てを選択したか否かを判定すればよい。
【0044】
ステップS1002(ステップS2002)で取得した全てのエラーコードを選択していないと判定された場合には、ステップS3002に戻って、ステップS3002以降の処理を繰り返す。
【0045】
一方、ステップS1002(ステップS2002)で取得した全てのエラーコードを選択したと判定された場合には、処理を終了する。
【0046】
本実施形態では、露光装置1で発生したエラー(又は発生頻度の高いエラーや重要度が設定値以上のエラー)のエラーコードに基づいて、かかるエラーが発生しないように修正する修正プログラムのみを露光装置1にインストールすることができる。換言すれば、記録媒体に格納された全ての修正プログラムをインストールするのではなく、露光装置1の装置状態に応じて、必要なソフトウエアのみを露光装置1にインストールすることができる。従って、本実施形態では、バージョンアップを短時間で効率的に行って、装置のダウンタイムを短くすることができる。
【0047】
また、図9に示すように、露光装置1の稼働率に応じて、修正プログラムをインストールする処理を実行するか否かを判定することもできる。具体的には、コンソールCPU311は、機能追加プログラムを露光装置1にインストールした後(ステップS1004)、ステップS1005において、ステップS2004で算出した露光装置1の稼働率が規定値以下であるか否かを判定する。露光装置1の稼働率が規定値以下でないと判定された場合には、修正プログラムを露光装置1にインストールすることなく、処理を終了する。一方、露光装置1の稼働率が規定値以下であると判定された場合には、コンソールCPU311は、修正プログラムを露光装置1にインストールする(ステップS1006)。この場合、露光装置1の稼働率が規定値以下である場合にのみ、必要なソフトウエア(修正プログラム)をインストールすることができるため、装置のダウンタイムをより短くすることができる。ここで、図9は、露光装置1を制御するためのソフトウエア(プログラム)のバージョンアップ処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0048】
また、上述したバージョンアップ処理は、図10に示すように、露光装置1と、管理装置2とを含むシステム(リモートサポートサービスシステム)にも適用することが可能である。管理装置2は、ネットワークNWを介して露光装置1と接続し、露光装置1をリモートで管理する(露光装置1にサービスを提供する)管理装置である。管理装置2は、サーバー(server)としてのコンピュータを含む構成としうる。また、管理装置2には、図11に示す修正プログラム管理データベースを含む種々のデータベースが構築されている。図11に示す修正プログラム管理データベースは、露光装置1でエラーが発生しないように修正するための修正プログラムごとに、対応機種、プログラム名、リリース日、概要、対応エラーコード等の情報が管理されている。なお、本実施形態では、セキュリティを考慮して、露光装置1と管理装置2との間で情報の授受を直接行うのではなく、オフツールサーバ901を介して、露光装置1と管理装置2との間で情報の授受を行う。ここで、図10は、本発明の実施形態にかかるシステムの構成を示す概略図である。また、図11は、管理装置2に構築される修正プログラム管理データベースの一例を示す図である。
【0049】
図12は、図10に示すシステムにおけるバージョンアップ処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0050】
ステップS4002では、露光装置1は、ステップS2002と同様に、露光装置1で発生したエラーのエラーコードを取得する。
【0051】
ステップS4004では、露光装置1は、オフツールサーバ901及びネットワークNWを介して、ステップS3002で取得したエラーコードを管理装置2に送信する。
【0052】
ステップS4006では、管理装置2は、ネットワークNWを介して、露光装置1から送信されたエラーコードを受信する。
【0053】
ステップS4008では、管理装置2は、図11に示す修正プログラム管理データベースを参照し、露光装置1から受信したエラーコードに基づいて、露光装置1でエラーが発生しないように修正するための修正プログラムを検索する。
【0054】
ステップS4010では、管理装置2は、ステップS4008で修正プログラムが検索されたか否かを判定する。
【0055】
修正プログラムが検索されなかったと判定された場合には、ステップS4012において、管理装置2は、修正プログラムがない(即ち、露光装置1から受信したエラーコードのエラーを修正するための修正プログラムがリリースされていない)旨を通知する。
【0056】
一方、修正プログラムが検索されたと判定された場合には、ステップS4014において、管理装置2は、ステップS4008で検索された修正プログラムのリストを生成する。
【0057】
ステップS4016では、管理装置2は、ネットワークNWを介して、ステップS4014で生成した修正プログラムのリストを露光装置1に送信する。
【0058】
ステップS4018では、露光装置1は、ネットワークNW及びオフツールサーバ901を介して、管理装置2から送信された修正プログラムのリストを受信する。
【0059】
ステップS4020では、露光装置1は、ステップS4018で受信した修正プログラムのリストに従って、ステップS1006と同様に、媒体インターフェース(不図示)に接続された記録媒体から修正プログラムをインストールする。なお、管理装置2から受信した修正プログラムのリストに示された修正プログラムが記録媒体に格納されていない場合には、かかる修正プログラムを提供するように管理装置2に要求することも可能である。
【0060】
このように、図10に示すようなシステムにおいても、必要なソフトウエア(修正プログラム)を露光装置1にインストールすることができるため、バージョンアップを短時間で効率的に行って、装置のダウンタイムを短くすることができる。
【0061】
また、管理装置2は、ステップS4014及びS4016で修正プログラムのリストを生成して露光装置1に送信するのではなく、ステップS4008で検索された修正プログラムそのものを露光装置1に送信(提供)することも可能である。この場合、露光装置1は、管理装置2から提供された修正プログラムをインストールすればよい。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態にかかる露光装置の外観を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す露光装置の内部構成を示す概略図である。
【図3】図1に示す露光装置における制御関係を示す概略ブロック図である。
【図4】図1に示す露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4に示すステップS1002の装置状態の取得の詳細なフローチャートである。
【図6】図1に示す露光装置で発生したエラーを記録するエラー履歴ファイルの一例を示す図である。
【図7】図1に示す露光装置の装置ステータスの変化を記録するステータスファイルの一例を示す図である。
【図8】図7に示すステップS1006の修正プログラムのインストールの詳細なフローチャートである。
【図9】図1に示す露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態にかかるシステムの構成を示す概略図である。
【図11】図10に示す管理装置に構築される修正プログラム管理データベースの一例を示す図である。
【図12】図10に示すシステムにおけるバージョンアップ処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 露光装置
101 チャンバ
102 ワークステーション
103 第1の表示部
104 第2の表示部
105 操作部
106 入力部
201 光源部
202 照明光学系
203 レチクル
204 投影光学系
205 ウエハ
206 レチクルステージ
207 ウエハチャック
208 ウエハステージ
209 レチクル検出系
210 オフアクシス検出系
211 レチクルライブラリ
212 ウエハキャリアエレベータ
213 レチクル搬送系
214 ウエハ搬送系
221 空調室
222 フィルタボックス
223 ブース
224 冷却器
225 ヒータ
226 送風機
227 エアフィルタ
228 リターン口
229 外気導入口
230 化学吸着フィルタ
231 吸気口
232 排気口
301 CPU
302 ウエハステージ駆動系
303 アライメント検出系
304 レチクルステージ駆動系
305 照明系
306 シャッタ駆動系
307 フォーカス検出系
308 Z駆動系
309 搬送系
311 コンソールCPU
312 外部メモリ
2 管理装置
901 オフツールサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチクルのパターンを基板に投影して前記基板を露光する露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ方法であって、
前記露光装置で発生したエラーのエラーコードを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得したエラーコードに基づいて、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索する検索ステップと、
前記検索ステップで検索されたソフトウエアの情報を前記露光装置に提供する提供ステップと、
を有することを特徴とするバージョンアップ方法。
【請求項2】
前記提供ステップは、前記検索ステップで検索されたソフトウエアを前記露光装置にインストールするインストールステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のバージョンアップ方法。
【請求項3】
前記取得ステップでは、前記露光装置で発生したエラーのうち所定の回数以上発生しているエラーのエラーコードを取得することを特徴とする請求項1に記載のバージョンアップ方法。
【請求項4】
前記検索ステップでは、前記露光装置でエラーが発生しないように修正するための複数のソフトウエアから、前記取得ステップで取得したエラーコードのエラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索することを特徴とする請求項1に記載のバージョンアップ方法。
【請求項5】
前記エラーコードは、前記露光装置で発生したエラーの重要度を示す情報を含み、
前記検索ステップでは、前記重要度が設定値以上であるエラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索することを特徴とする請求項1に記載のバージョンアップ方法。
【請求項6】
前記露光装置の装置状態を取得して前記露光装置の稼働率を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された前記露光装置の稼働率が規定値以下であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記露光装置の稼働率が規定値以下であると判定された場合にのみ、前記検索ステップ及び前記提供ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載のバージョンアップ方法。
【請求項7】
レチクルのパターンを基板に投影して前記基板を露光する露光装置と、前記露光装置を管理する管理装置とを含むシステムにおける前記露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ方法であって、
前記露光装置が、前記露光装置で発生したエラーのエラーコードを取得する取得ステップと、
前記露光装置が、前記取得ステップで取得したエラーコードを前記管理装置に送信する送信ステップと、
前記管理装置が、前記露光装置から送信されたエラーコードに基づいて、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索する検索ステップと、
前記管理装置が、前記検索ステップで検索されたソフトウエアを前記露光装置に提供する提供ステップと、
前記露光装置が、前記提供ステップで提供されたソフトウエアを前記露光装置にインストールするインストールステップと、
を有することを特徴とするバージョンアップ方法。
【請求項8】
レチクルのパターンを基板に投影して前記基板を露光する露光装置と、前記露光装置を管理する管理装置とを含むシステムにおける前記露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ方法であって、
前記露光装置が、前記露光装置で発生したエラーのエラーコードを取得する取得ステップと、
前記露光装置が、前記取得ステップで取得したエラーコードを前記管理装置に送信する送信ステップと、
前記管理装置が、前記露光装置から送信されたエラーコードに基づいて、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索する検索ステップと、
前記管理装置が、前記検索ステップで検索されたソフトウエアのリストを前記露光装置に送信する送信ステップと、
前記露光装置が、前記送信ステップで送信されたソフトウエアのリストに従って、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを前記露光装置にインストールするインストールステップと、
を有することを特徴とするバージョンアップ方法。
【請求項9】
レチクルのパターンを基板に投影して前記基板を露光する露光装置を制御するためのソフトウエアのバージョンアップ方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記露光装置で発生したエラーのエラーコードを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得したエラーコードに基づいて、前記エラーが前記露光装置で発生しないように修正するためのソフトウエアを検索する検索ステップと、
前記検索ステップで検索されたソフトウエアの情報を前記露光装置に提供する提供ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−117866(P2010−117866A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290324(P2008−290324)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】