説明

パイプ連結用コネクタ

【課題】パイプとの連結状態を強固に保持することを可能とするパイプ連結用コネクタを提供する。
【解決手段】パイプ連結用コネクタ1において、パイプ2が挿脱されるコネクタ本体3と、パイプを係止するパイプ係止部23を有し、当該パイプ係止部が前記パイプを係止するロック位置と、当該係止を解除するロック解除位置との間を移動可能なようにコネクタ本体に保持されるロック部材4と、ロック部材をロック位置側に付勢する付勢手段33,41とを備え、パイプ係止部は、ロック部材がロック位置にある場合に、付勢手段の付勢力によってパイプを係止する方向に付勢される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプを連結対象に連結するパイプ連結用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパイプ連結用コネクタとして、パイプが挿脱されるコネクタ本体と、このコネクタ本体にスライド自在に保持され、挿入されたパイプを固定するロック部材とを備え、当該ロック部材には、コネクタ本体の周面に開口する孔内に保持されると共に、コネクタの径方向に変位可能なフックを有する保持アームが形成され、当該フックは、その先端の半径方向外側に傾斜面を有し、ロック部材がパイプを固定する方向に移動すると、パイプのバルジ部と係合して当該パイプを固定すると共に、その傾斜面がコネクタ本体の孔の周縁に押圧されることにより、その半径方向への移動が規制されるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、この従来のコネクタでは、保持アームの後端側に接続された解除アームが押圧されると、ロック部材がパイプの固定を解除する方向に移動し、これにより、フックの傾斜面に対する押圧が解除されてフックは径方向外側(パイプの連結を解除可能な方向)に移動可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3107085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術では、コネクタに連結されたパイプに引き抜き方向の力が作用すると、ロック部材がパイプを固定する方向に移動してフックの傾斜面に対する押圧力が増大するため、パイプは安定的に固定される。しかしながら、ロック部材に対してパイプの固定を解除する方向の力が作用すると、使用者による通常の解除操作とは無関係に、パイプのバルジ部に対するフックの係合が解除されてしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、パイプとの連結状態を強固に保持することを可能としたパイプ連結用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の第1の側面によれば、パイプ(2)を連結対象に連結するためのパイプ連結用コネクタ(1)であって、前記パイプが挿脱されるコネクタ本体(3)と、前記パイプを係止するパイプ係止部(23)を有し、当該パイプ係止部が前記パイプを係止するロック位置と、当該係止を解除するロック解除位置との間を移動可能に前記コネクタ本体に対して保持されるロック部材(4)と、前記ロック部材を前記ロック位置側に付勢する付勢手段(33,41)とを備え、前記パイプ係止部は、前記ロック部材が前記ロック位置にある場合に、前記付勢手段の付勢力によって前記パイプを係止する方向に付勢されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2の側面によれば、上記第1の側面に関し、前記コネクタ本体と前記ロック部材とは、一方にガイド面(28b,57a)が形成されると共に、他方に前記ロック部材の移動の際に前記ガイド面に摺接する摺接部(26a,51)が形成され、前記パイプ係止部は、前記付勢手段の付勢力によって前記摺接部が前記ガイド面上を移動することにより、前記パイプを係止する方向にガイドされることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第3の側面によれば、上記第2の側面に関し、前記付勢手段は、前記コネクタ本体と前記ロック部材との一方に設けられ、その他方に当接することによって弾性変形して前記付勢力を生じさせる弾性付勢片(33)からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第4の側面によれば、上記第2の側面に関し、前記コネクタ本体との係合により弾性変形可能に設けられ、前記摺接部(26a)または前記ガイド面(28b)の一方が当該パイプ係止部に設けられたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第5の側面によれば、上記第3の側面に関し、前記摺接部(51)は、前記弾性付勢片に形成されたことを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明の第1の側面によれば、パイプ係止部は、ロック部材がロック位置にある場合にパイプの係止方向に付勢されるため、パイプとの連結状態を強固に保持することが可能となる。
また、上記本発明の第2の側面によれば、ロック部材に対する付勢手段の付勢力を、パイプの係止方向にパイプ係止部を変位させる力に容易に変換することが可能となり、簡易かつコンパクトな構成でありながら、パイプとの連結状態を強固に保持することが可能となる。
また、上記本発明の第3の側面によれば、部品点数の少ない簡易な構成でありながら、ロック部材に対する付勢力を利用してパイプとの連結状態を強固に保持することが可能となる。
また、上記本発明の第4および第5の側面によれば、簡易かつコンパクトな構成でありながら、ロック部材に対する付勢力を利用してパイプとの連結状態を安定的に保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係るパイプ連結用コネクタの斜視図である。
【図2】図1のパイプ連結用コネクタの分解斜視図である。
【図3】図1のパイプ連結用コネクタの連結動作における一状態(連結前)を示す一部破断斜視図である。
【図4】図1のパイプ連結用コネクタの連結動作における一状態(連結途中)を示す一部破断斜視図である。
【図5】図1のパイプ連結用コネクタの連結動作における一状態(連結完了後)を示す一部破断斜視図である。
【図6】図5中のVI部を拡大して示す図である。
【図7】図1のパイプ連結用コネクタの連結解除動作を示す一部破断斜視図である。
【図8】第1実施形態に係るパイプ連結用コネクタの変形例を示す一部破断斜視図である。
【図9】第2実施形態に係るパイプ連結用コネクタの分解斜視図である。
【図10】図9のパイプ連結用コネクタの連結動作における一状態(連結前)を示す斜視図である。
【図11】図10のパイプ連結用コネクタの要部縦断面図である。
【図12】図9のパイプ連結用コネクタの連結動作における一状態(連結完了後)を示す斜視図である。
【図13】図12のパイプ連結用コネクタの要部縦断面図である。
【図14】第3実施形態に係るパイプ連結用コネクタの斜視図である。
【図15】図14のパイプ連結用コネクタの分解斜視図である。
【図16】図14のパイプ連結用コネクタの連結動作における一状態(連結前)を示す一部破断斜視図である。
【図17】図14のパイプ連結用コネクタの連結動作における一状態(連結完了後)を示す一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図1〜図8を参照しながら本発明の第1実施形態に係るパイプ連結用コネクタについて説明する。以下では、特に断り書きのない限り、パイプ連結用コネクタ及びパイプに関する方向は、図1中の矢印で示す方向に従って定めるものとする。
【0015】
図1に示すように、パイプ連結用コネクタ(以下、単にコネクタという。)1は、流体輸送用のパイプ2を連結対象(ここでは、図示しない流体輸送用のホース)に連結するために用いられるものであり、パイプ2が挿脱されるコネクタ本体3と、このコネクタ本体3に前後方向に移動自在に保持され、その前後移動に応じてパイプ2の固定およびその解除を行うロック部材4とから主として構成される。
【0016】
コネクタ本体3は、合成樹脂材料からなり、図2に示すように、ロック部材4が外周に取り付けられる筒状のパイプ挿入部11と、このパイプ挿入部11の前端から下方に向けて延設されたホース接続部12とを備える。ホース接続部12には、パイプ2の連結対象となる流体輸送用のホースが接続される。パイプ挿入部11は、上下・左右に対称な形状を有しており、パイプ2が挿入される挿入孔13内には、流路を密封するための2つのOリング14,15、スペーサ16及びブッシュ17が取り付けられる。
【0017】
ロック部材4は、合成樹脂材料からなる略筒状の部材であり、上下・左右に対称な形状を有する。ロック部材4の左右には、その後端から前方に向けて延設された上下のスリット21,22によって画成された弾性係止片23がそれぞれ設けられている。弾性係止片23の自由端には、ロック部材4の径方向内側に向けて係止爪25が突設されている。また、弾性係止片23は、前方の基端部23aを支点として、係止爪25をロック部材4の径方向に変位させるように左右方向に弾性変形可能である。
【0018】
係止爪25は、コネクタ本体3の左右の係止開口26に外側から挿入されることにより、パイプ2に対して係合可能となっている。詳細は後述するが、パイプ2の外周には、その周方向に沿って鍔状のバルジ部27(図5参照)が突設されており、このバルジ部27は、パイプ2がコネクタ1に連結された際に係止爪25によって係止される。また、係止爪25は、径方向内側に突設されたその本体部25aから後方に突設された略三角形状の断面をなす突部28を有している。
【0019】
また、ロック部材4の上下には、その前端から後方に向けて延設された左右のスリット31,32によって画成された弾性付勢片33がそれぞれ設けられている。弾性付勢片33は、後方の基端部33aを支点として、自由端部33bをロック部材4の径方向に変位させるように上下方向に弾性変形可能である。詳細は後述するが、コネクタ本体3のパイプ挿入部11前端には、弾性付勢片33に対応する位置に径方向に突出する突片34が設けられている。
【0020】
次に、図3〜図7を参照して、上記構成のコネクタ1とパイプ2との連結動作について説明する。
【0021】
図3に示すように、パイプ2が連結される前のコネクタ1では、ロック部材4は初期位置にあり、また、弾性係止片23は変形していない初期状態にある。このとき、弾性付勢片33は、その自由端部33bがコネクタ本体3の突片34の傾斜した後面34a(図2参照)に乗り上げることにより、径方向外側に弾性変形した状態にある。ロック部材4は、弾性付勢片33の弾性復元力(付勢力)により、後方に付勢された状態にある。また、弾性係止片23は、その係止爪25がコネクタ本体3の係止開口の後縁26aに当接し、当該後縁26aに突部28が係止されることにより、径方向外側への変位が規制されている。
【0022】
次に、使用者がコネクタ本体3の挿入孔13にパイプ2を所定位置まで挿入すると、図4に示すように、バルジ部27が係止爪25に当接する。そして、使用者がパイプ2を更に前方に押し込むことにより、ロック部材4が弾性付勢片33の付勢力に抗して前方に移動する。これにより、係止爪25は係止開口26の後縁26aから離れ、突部28の係止も解除される。このとき、パイプ2のバルジ部27が、突部28の内側の傾斜面28a(図6参照)に摺接した状態で前方に移動することにより、係止爪25は、径方向外側に変位しながらバルジ部27を乗り越えてその後方に移動する。
【0023】
これにより、図5に示すように、ロック部材4はロック位置(上述の初期位置と同じ位置)に戻り、パイプ2のバルジ部27が係止爪25によって係止されてパイプ2のコネクタ1に対する連結が完了する。このとき、図6に示すように、係止開口26の後縁26aは、その内側の角部が突部28の外側の傾斜面28bに摺接した状態にある。傾斜面28bは、より後方にいくにつれて径方向外側から径方向内側に向かうように、パイプ2の挿入方向(前後方向)に対して傾斜している。これにより、ロック部材4を後方に移動させるように作用する弾性付勢片33の付勢力は、係止爪25を矢印Aで示す径方向内側(すなわち、パイプ2を係止する方向)に変位させる力に変換される。その結果、係止爪25は、その突部28が係止開口26の後縁26aの前方内側に入り込むように付勢され、すなわち、バルジ部27に対する係止爪25の係止が強固に保持される。
【0024】
なお、弾性付勢片33の付勢力を、パイプ2を係止する方向に係止爪25を変位させる力に変換するための構成は、上述の構成に限定されず、例えば、傾斜面28bと同様に機能する傾斜面をコネクタ本体3側に設け、係止開口26の後縁26aと同様に機能する部位を弾性係止片23側に設けてもよい。
【0025】
一方、コネクタ1に対するパイプ2の連結状態を解除する際には、使用者は、ロック部材4の上下に形成された把持部4aを指で摘むようにして、図7に示すように、ロック位置にあるロック部材4を前方のロック解除位置まで移動させる。このとき、弾性係止片23の内側に形成された傾斜面23bに対し、コネクタ本体3の係止開口26の前縁26bが摺接することにより、弾性係止片23が径方向外側に弾性変形する。これにより、パイプ2の挿入時と同様に、係止開口26の後縁26aに対する突部28の係止が解除され、更に、係止爪25は、外側に変位することによりバルジ部27に対する係止が解除される。なお、傾斜面23bは、傾斜面28bと同様にパイプ2の挿入方向に対して傾斜しており、また、上述のパイプ2の連結時にも同様に機能する。
【0026】
このように、上記コネクタ1では、弾性係止片23は、ロック部材4がロック位置にある場合にパイプ2の係止方向に付勢されるため、パイプ2との連結状態を強固に保持することが可能となる。この場合、使用者の操作とは無関係に、ロック部材4に対して作用するパイプ2の固定を解除する方向の力(すなわち、ロック部材4を前方に移動させる力)の影響を受け難いという利点もある。
【0027】
なお、ロック部材4をロック位置側に付勢する付勢手段としては、上述のような弾性付勢片33と突片34とを用いるものに限らず、種々の変更が可能である。例えば、図8に示すように、コネクタ本体3とロック部材4との間に介装された圧縮ばね41を付勢手段として用いることが可能である。この場合、コネクタ本体3のパイプ挿入部11には、圧縮ばね41の前端側を支持する円環状のばね支持部42が突片34の代わりに設けられ、また、ロック部材4の前端側には、圧縮ばね41の後端側を支持すると共に、その保持スペースを画成する段部43が設けられている。
【0028】
<第2実施形態>
次に、図9〜図13を参照しながら第2実施形態に係るパイプ連結用コネクタについて説明する。図9〜図13では、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号が付されている。また、第2実施形態では、第1の実施形態と同様の事項については、以下で特に言及する事項を除いて詳細な説明を省略する。
【0029】
図9に示すように、ロック部材4は、上部中央からそれぞれ左右下方に延びる一対の湾曲アーム状の弾性付勢片33と、これら弾性付勢片33の間に配置され、上部中央から下方に延設された一対の脚状の係止片23とを有する。弾性付勢片33の自由端には、係合爪51がそれぞれ形成されている。第2実施形態では、係止片23は、弾性変形し難い構造を有する。また、ロック部材4は、コネクタ本体3に上下方向に移動自在に保持され、その上下移動に応じてパイプ2の固定およびその解除を行う。
【0030】
また、コネクタ本体3には、ロック部材4の前後を挟み込むようにしてその上下移動をガイドする一対のガイド片53,54が設けられている。これらガイド片53,54によってロック部材4の取付部57が画成されている。取付部57の左右には、係合凹部52がそれぞれ形成されている。ここでは図示しないが、パイプ2が挿脱される挿入孔13には、第1実施形態の場合と同様に流路を密封するためのOリング等が取り付けられている。
【0031】
次に、図10〜図13を参照して、上記構成のコネクタ1とパイプ2との連結動作について説明する。
【0032】
図10および図11に示すように、パイプ2が連結される前のコネクタ1では、ロック部材4は、コネクタ本体3から上方に突出したロック解除位置(初期位置)にある。このとき、弾性付勢片33は、その先端の係合爪51がコネクタ本体3の係合凹部52にそれぞれ嵌合した状態にある。また、この状態において、弾性付勢片33は、その基端部33aを支点として僅かに外側に弾性変形し、その弾性復元力により取付部57を挟持している。また、係止片23は、その先端部が、取付部57の上部に形成された一対の係止開口26に挿入されている。
【0033】
次に、使用者は、コネクタ本体3の挿入孔13に対して図10中の矢印Bで示す方向にパイプ2を挿入した後、図12および図13に示すように、ロック部材4を下方のロック位置まで下方に押し下げる。このとき、係止片23は、パイプ2のバルジ部27の後方に移動し、その下端内側に設けられた円弧部23cがパイプ2の上部外周面に当接する。また、両係止片23の間に形成された取付溝55に対し、係止開口26の間の取付バー56が嵌入する。これにより、パイプ2のバルジ部27が係止片23によって係止され、パイプ2のコネクタ1に対する連結が完了する。
【0034】
また、このとき、弾性付勢片33の係合爪51は、コネクタ本体3の係合凹部52から外れて、取付部57の下側外周面57aに摺接した状態で下方に移動する。ここで、弾性付勢片33は、図10および図11の状態から更に外側に拡開するように弾性変形し、その係合爪51が取付部57の下側外周面57aの左右に摺接した状態となる。下側外周面57aは、取付部57の下部中央に向けて内側に傾斜しているため、弾性付勢片33の弾性復元力(付勢力)は、ロック部材4(係止片23)を下方(すなわち、パイプ2を係止する方向)に変位させる力に変換される。
【0035】
その結果、係止片23は、円弧部23cがパイプ2の上部外周面を押圧するように付勢され、コネクタ1に対するパイプ2の連結状態(すなわち、バルジ部27に対する係止片23の係止)が強固に保持される。この連結状態において、係合爪51の上側に位置する取付部57は、左右側壁には肉厚部57bが設けられており、これにより、連結状態がより安定的に保持される。
【0036】
<第3実施形態>
次に、図14〜図17を参照しながら第3実施形態に係るパイプ連結用コネクタについて説明する。図14〜図17では、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号が付されている。また、第3実施形態では、第1の実施形態と同様の事項については、以下で特に言及する事項を除いて詳細な説明を省略する。
【0037】
図14及び図15に示すように、ロック部材4は、上下・左右に対称な形状を有し、その前端側の環状部4bから後方に向けて左右一対の弾性係止片23が突設されている。弾性係止片23は、第1実施形態の場合と同様に、環状部4bに連なる前方の基端部23aを支点として係止爪25をロック部材4の径方向(左右方向)に変位させるように弾性変形可能である。また、ロック部材4は、環状部4bから後方に向けて上下一対の弾性付勢片33が突設されている。弾性付勢片33は、環状部4bに連なる前方の基端部33aを支点として、自由端部33bをロック部材4の径方向(上下方向)に変位させるように弾性変形可能である。
【0038】
詳細は後述するが、図16に示すように、弾性付勢片33は、その自由端部33bから径方向内側(パイプ挿入部11側)に向けて突部33cが突設されている。図15に示すように、パイプ挿入部11の上下の外周面は段差を有しており、後側外周面11aが前側外周面11bに比べて小さな外径を有している。後側外周面11aには突片61が設けられており、当該突片61は、その前面が弾性付勢片33の自由端部33bに当接することにより、当該弾性付勢片33の後方への移動を規制することが可能である。また、突片61の前方には、前側外周面11bから後側外周面11aに連なる傾斜面62aを有する傾斜台部62が設けられている。
【0039】
次に、図16及び図17を参照して、上記構成のコネクタ1とパイプ2との連結動作について説明する。
【0040】
図16に示すように、パイプ2が連結される前のコネクタ1では、ロック部材4は初期位置にある。このとき、弾性付勢片33は、自由端部33bが径方向外側に弾性変形すると共に、突部33cが傾斜面62aに摺接した状態にある。これにより、ロック部材4は、弾性付勢片33の弾性復元力(付勢力)により、後方に付勢されている。また、弾性係止片23は、その係止爪25がコネクタ本体3の係止開口の後縁26aに当接し、当該後縁26aに突部28が係止されることにより、径方向外側への変位が規制されている。
【0041】
次に、上述の図4の場合と同様に、使用者がパイプ2をコネクタ本体3に対して挿入することにより、ロック部材4が弾性付勢片33の付勢力に抗して前方に移動する。これにより、係止爪25は係止開口26の後縁26aから離れて突部28の係止が解除され、係止爪25は、径方向外側に変位しながらバルジ部27を乗り越えてその後方に移動する。
【0042】
その後、図17に示すように、ロック部材4はロック位置(上述の初期位置と同じ位置)に戻り、パイプ2のバルジ部27が係止爪25によって係止されてパイプ2のコネクタ1に対する連結が完了する。このとき、弾性付勢片33の弾性復元力(付勢力)は、第1実施形態の場合と同様に、ロック部材4(係止片23)を下方(すなわち、パイプ2を係止する方向)に変位させる力に変換される。その結果、図6に関して上述したのと同様に、係止爪25は、その突部28が係止開口26の後縁26aの前方内側に入り込むように付勢され、すなわち、バルジ部27に対する係止爪25の係止が強固に保持される。
【0043】
また、図7に関して上述したのと同様に、コネクタ1に対するパイプ2の連結状態を解除する際には、使用者は、ロック部材4の上下に形成された把持部4aを指で摘むようにして、ロック位置にあるロック部材4を前方のロック解除位置まで移動させる。これにより、係止開口26の後縁26aに対する突部28の係止が解除され、更に、バルジ部27に対する係止爪25の係止が解除される。
【0044】
このように、第2実施形態に係るコネクタ1においても、弾性係止片23は、ロック部材4がロック位置にある場合にパイプ2の係止方向に付勢されるため、パイプ2との連結状態を強固に保持することが可能となる。
【0045】
本発明を特定の実施形態に基づいて詳細に説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。例えば、パイプの連結対象は、上記のようなホース接続部に接続されるホースに限らず、場合によっては、ホース接続部を設けずに、パイプの連結対象となり得る機器のハウジング等の一部としてコネクタ本体を設けてもよい。また、上記実施形態に示した本発明に係るパイプ連結用コネクタの各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて選択的に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 パイプ連結用コネクタ
2 パイプ
3 コネクタ本体
4 ロック部材
23 (弾性)係止片(パイプ係止部)
25 係止爪
26a 後縁(摺接部)
26b 前縁
27 バルジ部
28 突部
28b 傾斜面(ガイド面)
33 弾性付勢片(付勢手段)
34 突片
41 圧縮ばね(付勢手段)
51 係合爪(摺接部)
52 係合凹部
53 ガイド片
57 取付部
57a 下側外周面(ガイド面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプを連結対象に連結するためのパイプ連結用コネクタであって、
前記パイプが挿脱されるコネクタ本体と、
前記パイプを係止するパイプ係止部を有し、当該パイプ係止部が前記パイプを係止するロック位置と、当該係止を解除するロック解除位置との間を移動可能に前記コネクタ本体に対して保持されるロック部材と、
前記ロック部材を前記ロック位置側に付勢する付勢手段と
を備え、
前記パイプ係止部は、前記ロック部材が前記ロック位置にある場合に、前記付勢手段の付勢力によって前記パイプを係止する方向に付勢されることを特徴とするパイプ連結用コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタ本体と前記ロック部材とは、一方にガイド面が形成されると共に、他方に前記ロック部材の移動の際に前記ガイド面に摺接する摺接部が形成され、
前記パイプ係止部は、前記付勢手段の付勢力によって前記摺接部が前記ガイド面上を移動することにより、前記パイプを係止する方向にガイドされることを特徴とする請求項1に記載のパイプ連結用コネクタ。
【請求項3】
前記付勢手段は、前記コネクタ本体と前記ロック部材との一方に設けられ、その他方に当接することによって弾性変形して前記付勢力を生じさせる弾性付勢片からなることを特徴とする請求項2に記載のパイプ連結用コネクタ。
【請求項4】
前記パイプ係止部は、前記コネクタ本体との係合により弾性変形可能に設けられ、前記摺接部または前記ガイド面の一方が当該パイプ係止部に設けられたことを特徴とする請求項2に記載のパイプ連結用コネクタ。
【請求項5】
前記摺接部は、前記弾性付勢片に形成されたことを有することを特徴とする請求項3に記載のパイプ連結用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−7704(P2012−7704A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145947(P2010−145947)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】