説明

パウチ

【課題】本発明は、香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行っても、内容物の香辛料クミンシード成分の影響により赤ないし紅系の顔料によるインキの退色を防止したガスバリア性に優れる透明性を有するパウチを提供することを目的とする。
【解決手段】香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行うことができる、少なくとも、表面側から基材層、印刷インキ層、シーラント層が順次積層された積層材料からなるパウチであって、前記印刷インキ層の赤ないし紅系の顔料が、不溶性アゾ顔料の縮合アゾ系顔料であることを特徴とするパウチである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト加熱殺菌処理の際に、内容物の香辛料クミンシード成分の影響によりパウチに設けた印刷インキ層の赤ないし紅系の顔料によるインキの退色を防止したガスバリア性に優れる透明性を有するパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の食品包装技法が提案されているが、その一つにレトルト包装技法が知られている。これは、プラスチックフィルムもしくは金属箔またはこれらを多層に合わせたものを袋状またはその他の形状に成形した容器に、調整した食品を詰め、熱溶融により密封し、加熱加圧殺菌する包装技法である。当初、カレ−を詰めて殺菌したものからスタ−トしたが、近年、食品加工産業、包装産業等の発展に伴い、詰める内容物が豊富になり、また、耐熱容器等の包装技術も開発され、レトルト食品という新しい加工食品分野を形成しているものである。
【0003】
ところで、上記のようなレトルト食品は、通常、香辛料など調味液等を一体にして充填包装されているものであり、このような場合、100℃以上の高温でのレトルト加熱殺菌処理の際に、香辛料など調味液がパウチに浸透し、印刷インキ層のインキが退色する等してレトルト包装製品の外観が損なわれると言った問題点があった。
【0004】
具体的には、エジプトなどを原産とするセリ科の一年草の種子からなる香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行うと、上記の香辛料クミンシード成分がパウチに設けた印刷インキ層に浸透し、赤ないし紅系の顔料として用いた溶性アゾ顔料、ナフトール系不溶性アゾ顔料によるインキの退色する問題があった。
【0005】
そこで、香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行っても、赤ないし紅系の顔料によるインキの退色を防止したガスバリア性に優れる透明性を有するパウチの開発が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行っても、内容物の香辛料クミンシード成分の影響により赤ないし紅系の顔料によるインキの退色を防止したガスバリア性に優れる透明性を有するパウチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、すなわち、
請求項1に係る発明は、
香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行うことができる、少なくとも、表面側から基材層、印刷インキ層、シーラント層が順次積層された積層材料からなるパウチであって、
前記印刷インキ層の赤ないし紅系の顔料が、不溶性アゾ顔料の縮合アゾ系顔料であることを特徴とするパウチである。
【0008】
請求項2に係る発明は、
前記基材層を構成する基材が、透明蒸着フィルムであることを特徴とする請求項1記載のパウチである。
【0009】
請求項3に係る発明は、
前記透明蒸着フィルムが、透明プラスチック材料からなるフィルム基材の少なくとも片面に、透明プライマー層、無機酸化物からなる蒸着薄膜層、ガスバリア被覆層を順次積層してなる透明蒸着フィルムであることを特徴とする請求項2記載のパウチである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行うことができる、少なくとも、基材層、印刷インキ層、シーラント層が順次積層された積層材料からなるパウチの上記印刷インキ層の赤ないし紅系の顔料に、不溶性アゾ系顔料の縮合アゾ系顔料を用いた構成であるから、香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行っても、赤ないし紅系の顔料によるインキの退色を防止したガスバリア性に優れる透明性を有するパウチを提供することができる。したがって、レトルト加熱殺菌処理後であってもパウチに設けられた印刷が鮮明でパウチの外観を損ねることがなく、レトルト包装製品として商品価値の高いパウチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例としての実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明のパウチの一例を示したもので、同図(a)はその平面図である。また、同図(b)は(a)に示したパウチのX−Y方向断面図である。図2は、本発明のパウチを構成する積層材料の一例を示す断面図である。図3は、本発明のパウチを構成する積層材料の他の例を示す断面図である。図4は、本発明における積層材料を構成する透明蒸着フィルムの一例を示す断面図である。
【0012】
本発明のパウチを構成する積層材料を用いて、図1に示すように、積層材料を折り重ねるか、あるいはその2枚を重ね合わせ、積層材料(2(1),2(2))の最内層のシーラントフィルム(7)の面を対向させて、3方の外周の周辺端部をヒートシールしてシール部(3,3,3)を形成し、残りの1方辺に開口部(4)を設けた3方シ−ル型のパウチ(1)を例示したものである。
【0013】
本発明のパウチを構成する積層材料の一例として、図2に示すように、表面側から基材層(5)、印刷インキ層(6)、シーラント層(7)が接着剤層(ad)を介して順次積層された構成の積層材料(2)である。そして、印刷インキ層(2)の赤ないし紅系の顔料に不溶性アゾ顔料の縮合アゾ系顔料を用いた構成であるから、内容物として香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行っても、内容物の香辛料クミンシード成分によって赤ないし紅系の顔料によるインキの退色を防止可能としたものである。
【0014】
また、本発明のパウチを構成する積層材料の他の例として、図3に示すように、表面側から基材層(15)、印刷インキ層(16)、例えば2軸延伸ナイロンフィルムなどの中間基材層(18)、シーラント層(17)が接着剤層(ad)を介して順次積層された構成の積層材料(10)である。そして、印刷インキ層(2)の赤ないし紅系の顔料に不溶性アゾ顔料の縮合アゾ系顔料を用いた構成であるから、内容物として香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行っても、同様に内容物の香辛料クミンシード成分によって赤ないし紅系の顔料によるインキの退色を防止可能としたものである。また、上記の中間基材層(18)
は、パウチを構成する積層材料の補助素材として必要に応じて設けることができる。上記の中間基材としては、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有し、その強度に優れ、さらに、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、透明性等に優れた樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。上記で例示した2軸延伸ナイロンフィルムは、もちろん、これに限定されるものではなく目的によって適宜選定されるもである。
【0015】
本発明における基材層(5,15)を構成する基材としては、ガスバリア性を有し、レトルト耐性のある透明性基材であれば特に限定されないが、透明蒸着フィルムを用いるのが望ましい。
【0016】
上記の透明蒸着フィルムとしては、例えば、図4に示すように、透明プラスチック材料からなる基材(20a)の少なくとも片面に、透明プライマー層(20b)、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(20c)、ガスバリア被覆層(20d)を順次積層してなる構成のレトルト耐性を有するガスバリア性に優れる透明蒸着フィルム(20)が使用でき、特開2002−36419号公報に記載の技術を適用することができる。
【0017】
上記の透明プラスチック材料からなるフィルム基材(20a)としては、蒸着薄膜層の透明性を生かすために透明プラスチックフィルムを用いる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられ、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。上記透明プラスチック材料をフィルム状に加工して用いられる。特に、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましく用いられる。また、この基材に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤など添加することもできる。更に、薄膜との接着性を高めるために、基材の表面にコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理等の前処理を施すこともできる。あるいは、薬品処理、溶剤処理等を施してもよい。
【0018】
透明プライマー層(20b)としては、シランカップリング剤あるいはそのシランカップリング剤の加水分解物と、ポリオールおよびイソシアネート化合物との複合物からなる層であり、上記のシランカップリング剤が、ポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基の少なくともどちらかと反応する官能基を含む層からなる。
【0019】
透明プライマー層(20b)の形成方法としては、複合物の被膜を形成するためのプライマー溶液の調液法としては、シランカップリング剤、ポリオール、イソシアネート化合物を任意の濃度で混合した複合溶液を調整し、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用い基材の上にコーティングし、その後コーティング膜を乾燥乾燥し溶媒等を除去し硬化させることによって透明プライマー層を得ることができる。厚さが、0.01〜2μmの範囲が好ましい。
【0020】
無機酸化物からなる蒸着薄膜層(20c)は、無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物からなるのが特に好ましい。また、無機酸化物からなる蒸着薄膜層の厚さが、厚さ5〜300nmの範囲が好ましい。薄膜層の厚さは、用いられる無機化合物の種類、構成等により最適条件が異なるが、その値は適宜選択される。膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜
後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。10〜150nmの範囲内であることが特に好ましい。
【0021】
上記の無機酸化物からなる蒸着薄膜層(20c)を透明プライマー層(20b)上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。ただし、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式が好ましく、薄膜と基材の密着成及び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行ってもよい。
【0022】
ガスバリア被覆層(20d)としては、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドおよび加水分解物、または、塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤からなる。水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を無機化酸化物薄膜層(20b)にコーティング、加熱乾燥し形成したものである。
【0023】
上記のコーティング剤に用いられる水溶性高分子はポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(PVA)をコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVAまでを含み、特に限定されない。
【0024】
また、塩化錫は塩化第一錫(SnCl2)、塩化第二錫(SnCl4)、あるいはそれらの混合物であってもよく、無水物でも水和物でも用いることができる。
【0025】
さらに、金属アルコキシドは、テトラエトキシシラン〔Si(OC254〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C373〕などの一般式、M(OR)n
(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3,C25等のアルキル基)で表せるものである。中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0026】
本発明における印刷インキ層(6、16)は、通常、上記の透明蒸着フィルムの蒸着薄膜層側の上に、例えば、文字、図形、記号、絵柄等からなる所望の印刷模様を印刷して、パウチとして実用的に用いる際の印刷模様層を形成するものである。具体的には、インキ用バインダーを主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤を任意に添加し、さらに、顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整し、次いで、そのインキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷等の印刷方式を使用し、文字、図形、記号、絵柄等からなる所望の印刷模様からなる印刷インキ層を形成することができるものである。
【0027】
本発明において使用される上記の着色剤の赤ないし紅系の顔料としては、赤ないし紅系の不溶性アゾ顔料の縮合アゾ系顔料を使用する。縮合アゾ系顔料を使用することにより、香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行っても、内容物の香辛料クミンシード成分が印刷イン
キ層に浸透して赤ないし紅系の顔料によるインキの退色を防止することが可能であることを見い出したものである。上記の縮合アゾ系顔料として、具体的には、東洋インキ製造株式会社製の「LPスーパー」170紅、515朱、180紅、181紅、183紅等の縮合アゾ系顔料が好適に使用できる。
【0028】
また、上記のインキ用バインダーとしては、レトルト適正を有するインキバインダーとして、イソシアネートと高分子量の活性水素含有化合物との重付加によるポリウレタン系樹脂組成物から得られるポリマーが多く用いられている。一般に、ポリウレタン系樹脂組成物から得られるポリマーをバインダーにする印刷インキは、ポリエステルおよびポリナイロンフィルムに対しては単独で優れた接着力を有するが、汎用であるポリエチレンおよびポリプロピレンに対する接着力は不十分であるため、ポリエチレンおよびポリプロピレンフィルムに印刷する場合には、接着力を補うためにポリウレタンにポリイソシアネート化合物を配合せしめた2液反応型ウレタン系バインダーを用いて2液反応型インキとするのが望ましい。
【0029】
印刷インキ層(6、16)の厚さは、特に制限されないが、一般には0.5〜10μmの範囲であるが、好ましくは、1〜6μm程度である。
【0030】
本発明におけるシーラント層(7,17)としては、レトルト加熱処理に耐え、さらに、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂等の樹脂フィルムないしシ−トを使用することができる。
【0031】
上記の樹脂フィルムないしシ−トの厚さとしては、5μm〜300μm位、好ましくは、10μm〜110μm位が望ましい。さらに、本発明において、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、レトルト処理包装製品の製袋時において、バリア性基材を構成する無機酸化物の蒸着膜に、擦り傷、あるいは、クラック等を発生するすることを防止するために、比較的に、その膜厚を厚くすることが好ましく、具体的には、40μm〜110μm位、望ましくは、50μm〜100μm位であることが好ましいものである。本発明においては、上記のような樹脂フィルムないしシ−トの中でも、特に、厚さ50μm〜100μm位の無延伸ポリプロピレンフィルムを使用することが好ましい。
【0032】
さらに、本発明においては、パウチを構成する積層基材の補助素材としての中間基材層を必要に応じて設けることもできる。上記の中間基材としては、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有し、その強度に優れ、さらに、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、透明性等に優れた樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等について必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等が
低下して好ましくないものである。本発明においては、上記のような理由から、約10μmないし100μm位、好ましくは、約12μmないし50μm位が最も望ましい。而して、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、特に、厚さ15μm〜30μm位の2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム(2軸延伸ナイロンフィルム)を使用することが好ましいものである。
【0033】
上記の積層材料を構成する各種材料を使用して、本発明のパウチを構成する袋状容器本体を形成する積層材料を製造する方法としては、通常の包装材料を製造するときに使用する積層方法等で行うことができるが、特にドライラミネ−ション法で行うのが望ましい。本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、その積層する基材の表面に、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理等の前処理を任意に施すことができる。
【0034】
本発明における接着剤層(ad)のドライラミネ−ション用の接着剤としては、2液反応硬化型ウレタン系接着剤を用いるのが好ましい。具体的には、ポリエステル−ポリウレタンジオール樹脂を主剤として、トリメチルオールプロパンの3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンイソシアネートの付加物またはトリメチルオールプロパンの1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼンの付加物からなる硬化剤を用いる。特にレトルト加熱処理等が必要な包装分野に好適に用いられるもので、レトルト加熱処理等の後のデラミネーションの発生や、酸素バリア性の低下があってはならない。上記組成物からなる接着剤は、デラミネーションの発生や、酸素バリア性の低下を緩和するものである。接着剤の主剤に用いられるポリエステルポリウレタンジオールは、多塩基酸と多価アルコールおよび3−イソシアネートメチル-3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネートの混合物によって作られるものであり、また硬化剤に用いられるトリメチルオールプロパンの3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンイソシアネートの付加物またはトリメチルオールプロパンの1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼンの付加物からなる硬化剤を用いることができる。
【0035】
上記の接着剤は、例えば、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ルコ−ト法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、そのコ−ティング量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)位が望ましい。
【0036】
次に、本発明のパウチを構成する積層材料を用いて、これを製袋してなるパウチについて、図1(a)を参照して説明すると、積層材料を折り重ねるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、積層材料(2(1),2(2))の最内層のヒ−トシ−ル性を有するシーラントフィルムの面を対向させて、3方の外周の周辺端部をヒートシールしてシール部(3,3,3)を形成し、残りの1方辺に開口部(4)を設けた3方シ−ル型のパウチ(1)を製造することができる。上記のパウチは、一例を示したものであって、本発明はこれによって限定されるものではないことは言うまでもないことである。
【0037】
そして、本発明においては、図示しないが、上記で製造した3方シ−ル型のパウチ(1)を使用し、その開口部(4)から、香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などの内容物を充填包装し、次いで、その開口部(4)の端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成してレトルト包装体を製造し、しかる後、包装体に、例えば、120℃、30分間のレトルト加熱殺菌処理等を施して、レトルト包装製品を製造することができるものである。
【0038】
その製袋方法としては、パウチを構成する積層材料のその内層のシーラントフィルム内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその2枚を重ね合わせ、さらにその外周の周辺端部を、図示しないが、例えば、2方シ−ル型、4方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、ガ
ゼット型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態によりヒ−トシ−ルして、上端部に開口部を有する種々の形態からなるパウチ本体を製造することができる。その他、パウチ本体としては、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
【0039】
上記で得られる本発明のパウチは、香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行うことができる、少なくとも、基材層、印刷インキ層、シーラント層が順次積層された積層材料からなるパウチの上記印刷インキ層の赤ないし紅系の顔料に、不溶性アゾ系顔料の縮合アゾ系顔料を用いた構成であるから、香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行っても、赤ないし紅系の顔料によるインキの退色を防止したガスバリア性に優れる透明性を有するパウチを提供することができる。したがって、レトルト加熱殺菌処理後であってもパウチに設けられた印刷が鮮明でパウチの外観を損ねることがなく、レトルト包装製品として商品価値の高いパウチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のパウチの一例を示したもので、(a)は、そのパウチの平面図である。(b)は、(a)に示したパウチのX−Y方向断面図である。
【図2】本発明のパウチを構成する積層材料の一例を示す断面図である。
【図3】本発明のパウチを構成する積層材料の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明における積層材料を構成する透明蒸着フィルムの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・パウチ
2、10・・・積層材料
3・・・ヒートシール部
4・・・開口部
5、15・・・基材層
6・・・印刷インキ層
7、17・・・シーラント層
18・・・中間基材層
20・・・透明蒸着フィルム
20a・・・透明プラスチック材料からなるフィルム基材
20b・・・プライマー層
20c・・・蒸着薄膜層
20d・・・ガスバリア被覆層
ad・・・接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香辛料クミンシードもしくはクミンシードを含有する調理食品などを充填・収納して密封したままレトルト加熱殺菌処理を行うことができる、少なくとも、表面側から基材層、印刷インキ層、シーラント層が順次積層された積層材料からなるパウチであって、
前記印刷インキ層の赤ないし紅系の顔料が、不溶性アゾ顔料の縮合アゾ系顔料であることを特徴とするパウチ。
【請求項2】
前記基材層を構成する基材が、透明蒸着フィルムであることを特徴とする請求項1記載のパウチ。
【請求項3】
前記透明蒸着フィルムが、透明プラスチック材料からなるフィルム基材の少なくとも片面に、透明プライマー層、無機酸化物からなる蒸着薄膜層、ガスバリア被膜層を順次積層してなる透明蒸着フィルムであることを特徴とする請求項2記載のパウチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−91237(P2007−91237A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279605(P2005−279605)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】