説明

パケットモード移動体通信ネットワークにおけるサービス品質の差別化方法

本発明は、パケットモード移動体通信ネットワークにおけるサービス品質の管理方法に関し、特に、ネットワーク加入者がサービスを利用するためにネットワークリソースにアクセスする際にネットワークに過負荷が生じた場合、各ネットワークノードが、サービスの種類に対応する少なくとも一つのサービス品質パラメータと、加入者の優先度に対応する少なくとも一つのサービス品質パラメータとの組み合わせにより定義される、上記リソースへのアクセスの総合優先度を決定するステップと、決定された上記総合優先度に基づき、上記サービスに対応するデータストリームに対し、少なくとも1つの所定のサービス品質処理を行うステップとを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、電気通信の分野に関し、特に、パケット交換を用いる移動体通信ネットワークにおけるサービス品質を差別化する方法に関する。
【0002】
ここで、サービス品質(QoS)とは、移動体通信ネットワークオペレータの提供するサービスが、特にネットワークリソースの最適化という点においてサービス加入者を十分満足させるための条件を満たしている度合いを意味する。
【0003】
本発明の方法は、3GPP標準の枠内で規格化された、GPRSやUMTS技術を用いた移動体ネットワークに適用できる。なお、記載が冗長になることを避けるために、以下の説明では、頭文字を用いて用語を表記する。各用語の意味については、末尾の用語集を参照のこと。
【0004】
GPRSは、GSMによるパケットモードデータ転送を行うための新しいサービスを規定する規格であり、移動体オペレータサービスの加入者によるIPベースのサービス(たとえば電子メッセージの送受、ファイルのダウンロード、ウェブサイトの閲覧、WAPによるインターネットアクセスなど)の利用を可能にする。したがって、携帯電話と、GPRSネットワーク外のネットワーク(通常はインターネット)に属するサーバとの間で、(IPパケットで送信される)データを交換することが可能である。
【0005】
この目的のために、携帯電話と無線アクセスネットワークとが無線チャンネルによって結ばれており、データストリームはコアネットワークを介して送られる。すなわち、GPRSネットワークは、図1Aに示すように、コアネットワークRCとアクセスネットワークRAという2つの主要部分を備えている。コアネットワークRCは、パケットの経路指定に関係するネットワーク構成要素をグループ化する部分であり、アクセスネットワークRAは、携帯電話MSとの無線接続を確立する部分である。
【0006】
アクセスネットワークRAは、基地トランシーバ局BTSと基地局コントローラBSCとをグループ化する。このグループは、基地局サブシステムBSSと呼ばれるシステムであり、基地トランシーバ局と基地局コントローラとを用いて、GSM型携帯電話ネットワークの無線リソースを管理する。BSSの役割は、特に、携帯電話MSとの間における無線チャンネルの確立を管理し、携帯電話からのデータ転送要求に対して提供されるサービス品質に関するデータを記録することである。
【0007】
また、コアネットワークRCは、以下の構成要素により構成されている。
【0008】
−ネットワーク加入者全員の加入者情報が記録されたデータベースであり、携帯電話サービス加入者を管理するために用いられるHLR。HLRには、とりわけ、加入者およびサービスについてのサービス品質に関するデータが記録されている。
【0009】
−アクセスネットワークとの間の通信リンクを確実に管理するネットワークサービスノードであるSGSN。SGSNは、加入者情報を記録しており、加入者の要求に応じてネットワークリソースを制御する。
【0010】
−外部ネットワーク(典型的にはインターネット)との相互接続を確実に行うためのゲートウェイとなるネットワークサービスノードであるGGSN。
【0011】
上記のように、コアネットワークGPRSは、ゲートウェイであるサービスノードGGSNを経由して外部と相互接続している。サービスノードGGSNには、セキュリティを確実にすると共に携帯電話を外部ネットワーク(特にインターネット)と通信可能にする経路指定データが記録されている。また、GGSNは、携帯電話にデータを送信するためにサービスノードSGSNを用いる。SGSNは、携帯電話の移動を管理しており、特に認証、暗号化、携帯電話の追跡等を行う。上述したネットワーク構成要素は、IPルータ機能を有しており、IPネットワーク型ネットワークを構成する。
【0012】
携帯電話の規格であるUMTSは、上述したGPRSネットワークの延長として捉えることができ、特にマルチメディア通信(インターネットアクセス、テレビ会議、テレビゲーム、マルチメディアフォーラム型即時通信)における経路指定の処理速度の点で、より大きな満足を提供できるように設計されている。現在のところ、UMTSにもGPRSにも、異なるバージョンが存在する。そのうち、特にリリース99と呼ばれるバージョンについては、後述する。
【0013】
図1Bを参照すると、アクセスネットワークの部分(UMTSではUTRANと呼ばれる)において、ノードBと呼ばれるトランシーバ基地局が、GPRSにおけるBTSの代わりに用いられ、RNCと呼ばれるより容量の大きな基地局コントローラが、GPRSにおけるBSCの代わりに用いられる。
【0014】
UMTSにおけるコアネットワークRCは、実際上GPRSを構成する各構成要素を備えており、一方で、SGSNとGGSNサービスノードとは、アップグレードされている。また、HLRも、新たなユーザ情報を導入することによりアップグレードされている。
【0015】
リリース99では、すべてのサービスが、「会話」、「ストリーミング」、「インタラクティブ」、「バックグラウンド」という4つの規格化されたトラフィッククラスに分類される。
【0016】
「会話」クラスおよび「ストリーミング」クラスは、いずれも音声や映像といった情報をリアルタイムに伝送するように設計されている。しかしながら、ユーザによるリアルタイムの映像・音声の視聴に対応する「ストリーミング」クラスは、「会話」クラスよりもデータ転送時間に対する制限が少ない。
【0017】
「インタラクティブ」クラスおよび「バックグラウンド」クラスは、非リアルタイムサービスに対応しており、ナビゲーション、Eメール、FTPアプリケーションといった従来型のインターネットアプリケーションの枠内で用いられるように設計されている。「インタラクティブ」クラスおよび「バックグラウンド」クラスは、リアルタイムではないので、再伝送と符号化手順とによって、誤り率を劇的に改善している。
【0018】
以上、本発明が、GPRSネットワークまたはUMTSネットワークにおけるサービス品質(QoS)の管理という分野に関連することを説明してきた。そこで、次に、主なQoSパラメータについて述べる。
【0019】
GPRSネットワークまたはUMTSネットワークにおけるサービスのQoSパラメータは、UMTSネットワークがサービスのユーザに提供するサービスを差別化するためのものである。一連のQoSパラメータからなるQoS情報によって、このサービスを特定することができる。したがって、規格化されたこれらのパラメータによって、ネットワーク上のデータの流れの主な特徴(特に、処理速度、トラフィックタイプ、優先度など)を定義することができる。これらのQoSパラメータは、加入者が加入しているストリームの種類と関係がある。複数の異なるストリームに加入している加入者に対しては、複数のQoS情報が存在することになる。このデータは、加入者情報としてHLRに記憶され、異なる手順によって、SGSN、GGSN、およびBSS/RNCに送信される。
【0020】
加入者のQoS情報は、加入者が要求する特定の値が許可される上限に対応する。また、QoS情報は、オペレータが設定する初期情報に対応することもできる。
【0021】
QoS情報に含まれるQoSパラメータとしては、特に次のものが挙げられる。
【0022】
−「割り当て維持優先度(ARP)」:このパラメータは、加入者の優先度を示すものであり、高優先度を示す1から低優先度を示す3までの値を持つことができる。割り当て維持優先度は、加入者が加入する各PDPコンテクストのHLRに記録されており、無線リソースの割り当て・維持における優先度として定義される。
【0023】
GPRのサービスでは、このパラメータはBSSに送信されない。したがって、SGSNまたはGGSNのサービスノードのみがこのパラメータを取得できる。
【0024】
一方、UMTSのサービスでは、このパラメータは、SGSN、GGSNおよびUTRANのRNCにおいて、とりわけPDPコンテクストのアクティブ化を優先させるために用いられる。RNCにおいては、ARPは、「優先度」、「強制排除能力」、「強制排除脆弱性」および「キューイング許可」の4つのサブパラメータを含む。HLRからARPを受信してこれらのサブパラメータに値を与えるのは、SGSNである。したがって、加入者の優先度を示すのは「優先度」サブパラメータである。
【0025】
−「優先クラス」:このQoSパラメータは、リリース97によって最初に定義されたパラメータであり、使用時における加入者のプライオリティを示す。優先クラスは、割り当て維持優先度(ARP)と同じ値を持つことができる。
【0026】
したがって、上述した「優先クラス」と「割り当て維持優先度」(またはそのサブパラメータ「優先度」)とは加入者の優先度に対応するデータ構成要素に同等に関係する。
【0027】
−「トラフィッククラス」:このQoSパラメータは、サービスの種類に関する優先度を示す。上述したように、リリース99では、すべてのサービスが、4つのトラフィッククラスに分類される。さらに、このQoSパラメータは、「会話」(このリアルタイム要求は非常に重要なので、優先度は高い)、「ストリーミング」、「インタラクティブ」、および「バックグラウンド」(低優先度)の値を持つことができる。
【0028】
−「トラフィック操作優先度」(THP):このQoSパラメータは、「インタラクティブ」トラフィッククラスの優先度を規定するためのパラメータである。
【0029】
QoSパラメータのうち、下記のものは本発明では用いられないが、参考までに説明しておく。
【0030】
−「転送遅延」:このQoSパラメータはパケット転送中の遅延の上限を示すものであり、優先サービスの場合にのみ用いられる。
【0031】
−「保証ビットレート」:このQoSパラメータは、パケット転送の処理速度を示すものであり、リアルタイムサービスの場合にのみ用いられる。
【0032】
−「最大ビットレート」:このQoSパラメータは、処理速度の上限を示す。
【0033】
上記の各QoSパラメータは、3GPP電気通信規格により定義されているが、その使用は標準化されていない。
【0034】
以下、GPRSサービスにアクセスするために実行する主な手順について、図2および図3を参照して説明する。以下に述べる手順によれば、携帯電話をネットワークと接続し、コアネットワークのリソースを確保し、構成要素間においてQoSパラメータを交換し、無線チャンネルを確立することができる。上記の手順を全て実行すれば、加入者は、GPRネットワークを通してデータを送受信できる。
【0035】
このように、GPRネットワークにアクセスするためには、携帯端末MSは、まず図2を参照して説明するネットワーク接続方法を用いてネットワークに接続しなければならない。この方法は、例えば加入者が携帯端末の電源をONにしたときなど、加入者がGPRSネットワークの範囲に入ったときに実行される。この方法によれば、携帯端末MSとSGSNサービスノードとの間に論理接続を確立できる。
【0036】
まず、第1のステップでは、携帯端末MSが、GPRネットワークへの接続要求を行う。この要求は、BSSとローカルSGSNとを介して行われ、IMSIナンバー等の、端末の位置を特定するデータを含んでいる。
【0037】
次に、第2のステップでは、SGSNとHLRとの間において、MAPプロトコルと呼ばれる交換プロトコルを用いた通信が行われる。特に、SGSNは、携帯端末MSの位置情報の更新情報を、HLRに送信する。
【0038】
これを受けて、第3のステップでは、HLRが、受信した位置情報の更新情報に基づいて、加入者が利用権を有するサービスを記述する加入者データを、SGSNに送信する。このとき、加入者が加入しているサービスの(複数ある場合はそれぞれのサービスの)QoSとARPとを、加入者データと共に送信する。
【0039】
第4・第5のステップでは、SGSNとHLRとが、互いに応答を送信する。これにより、端末MSをネットワークに接続するためにSGSNとHLRとの間において行われていた、データ交換プロトコルを用いた通信が終了する。
【0040】
最後に、SGSNは、BSSを介して端末MSに接続許可通知を送信する。
【0041】
ここで、図3を参照しながら、パケットセッションの開始を含む、PDPコンテクストをアクティブ化するための手順について説明する。この手順によれば、携帯端末は、SGSNおよびGGSNへのPDPコンテクストの記録を要求することができ、加入者が所望するサービスを利用するために、コアネットワーク中のリソースを確保できる。PDPコンテクストとは、ベース送信サービスを特徴づける一連のデータ要素である。また、PDPコンテクストは、加入者が特定のプロトコルを用いて特定のサービス品質情報(処理速度、遅延、優先度など)に基づき、指定されたPDPアドレスと通信できるようにするためのパラメータを含んでいる。
【0042】
したがって、この手順は、加入者が、加入しているサービスを利用してGPRSネットワークを介してデータを送受信したいと望むときに用いられる。携帯電話サービスの加入者が上記手順を開始すると、GPRS加入者が要求する、外部ネットワークとの相互接続を行うGGSNサービスノードは、加入者の端末を認識する。このPDPコンテクストアクティブ化手順が終了すると、さまざまなネットワークノード間がQoS情報を互いに交換し、加入者の要求するサービスに対応した、GPRネットワークと外部ネットワークとの間のデータ伝送が可能になる。
【0043】
この手順は、特にGDPプロトコルを用いて行われる。まず、第1のステップでは、携帯端末MSは、データ送信に用いるGTPトンネルをコアネットワークに作成すること要求する。この要求の間、携帯端末MSは、このトンネルに対して要求するサービス品質を指定する。
【0044】
次に、SGSNは、許可のチェックを行う。その際、SGSNは、加入者が所望するQoSと、携帯端末がネットワークへ接続したときに受信した、加入者が加入している1つまたは複数のサービスのQoSとを比較する。加入者の要求するQoSが、加入しているサービスのQoSを上回る場合、SGSNは、要求されているリソースはSGSNレベルで利用可能かどうかを決めるチェックをし、その結果に応じてトンネルの作成要求を拒否したり、修正したりできる。
【0045】
第3のステップでは、SGSNは、自身が行ったチェックの結果に基づくQoSパラメータと共に、トンネル作成要求をGGSNに送信する。このとき送信されるQoSを、交渉済QoSと称する。このステップでは、ARPも、SGSNからGGSNに送信される。
【0046】
第4のステップでは、GGSNが許可チェックを行う。このチェックでは、要求されているリソースがGGSNレベルで利用可能かどうかを、交渉済QoSの値に基づいて決定する。要求されているリソースがGGSNレベルで利用可能である場合、許可機能によってリソースが確保され、GGSNは、携帯端末による要求に応答する。
【0047】
第5のステップでは、SGSNは、携帯端末からの要求を許可して、最終的なQoS、PFIパラメータ、およびRPLパラメータを携帯端末に送る。
【0048】
このPDコンテクストアクティブ化手順の最後に、加入者との交渉により得られたQoSパラメータを考慮して、GPRSトンネルがSGSNとGGSNとの間に作成される。
【0049】
それゆえ「パケットフローコンテクスト」と呼ばれる処理は、SGSNからBSSへのデータ送信に関連するQoSパラメータを送信するステップを含んでいる。BSSに記録されているデータは「パケットフローコンテクスト」またはPFCという名前で標準化されており、BSSとの間で交換されるさまざまなメッセージのPFIによって識別される。
【0050】
PFCは、とりわけ「優先クラス」、「トラフィッククラス」、「トラフィック操作優先度」、「保証ビットレート」、および「最大ビットレート」というQoSパラメータを含んでいる。一方、ARPパラメータは、BSSには記録されない。
【0051】
最後に、加入者がデータを送受信するために必要な無線チャンネルを確立するために、TBF作成と呼ばれる特別な処理を実行する。TBF作成のための処理は、端末MSまたはBSSがデータを無線送信する必要があり、かつ、携帯端末とBSSとの間にチャンネルが存在しないときに行われる。携帯端末からネットワークに送信されるデータを上りTBFと称し、ネットワークから携帯端末に送信されるデータを下りTBFと称する。無線チャンネルの特徴は、加入者と、データストリームに対応するサービスとに関連するQoSパラメータによって決まる。
【0052】
ここで、UMTSのサービスにおけるPDPコンテクストのアクティブ化手順を説明する。
【0053】
GPRSの場合と同様に、PDPコンテクストがアクティブ化されると、UMTSネットワークのさまざまなノードが、要求されたPDPコンテクストと、HLRに記録された加入者データ(加入者がアクセス可能なサービスを記述するデータ)とによって定義される、サービス品質データを受信する。このサービス品質データには、特に、加入者が加入しているサービスのQoSと、ARPパラメータとが含まれている。 加入者の優先度に対応するデータ(すなわち、加入者が加入しているPDPコンテクストを定義するデータに含まれるARPパラメータ)は、加入者の位置情報が更新されると、SGSNに送信される。この情報は、加入者がPDPコンテクストをアクティブ化するとGGSNに送信され、その後RNCに送信される。
【0054】
この処理について、図4を参照して詳しく説明する。
【0055】
まず、第1のステップでは、携帯端末MSは、所望のQoSを指定して、接続SGSNに対し、PDPコンテクストのアクティブ化を要求する。SGSNは、加入者情報に基づいて、要求されたQoSを修正することができる。このときSGSNから送信されるQoSを、交渉済QoSと称する。
【0056】
第2・第3のステップでは、SGSNは、要求を交渉済QoSと共にGGSNに送る。これを受けてGGSNは、QoSを修正したり拒絶したりできる。その後、GGSNによる交渉を経たQoSは、SGSNに返される。
【0057】
第4・第5のステップでは、SGSNは、RABパラメータ形式でQoSを記述することにより、必要なリソースを配分するよう、RNCに対して要求する。このパラメータは、特に、トラフィッククラスとARPパラメータとを含む。なお、RNCは、要求されたRABを許可することも拒否することもできる。
【0058】
最後に、第6のステップでは、ネットワークを介して交渉済QoSを送ることにより、携帯端末MSの要求を許可する。
【0059】
以上の手順によってもなお、データを作成し転送する間に、GPRS/UMTSネットワークにおいて障害が起こる可能性がある。これは、特にSGSN、GGSN、およびBSS/UTRANに関係がある。これらがそれぞれ有するリソースは、達成可能な処理速度、メモリ容量、またはプロセッサ負荷の点で限定されたリソースをそれぞれ持っている。しかしながら、この種のネットワークを介したデータ転送を制限する本質的な要因は、無線アクセス(BSS/UTRAN)である。
【0060】
したがって、通過帯域もサービス品質に対する要望もまったく異なる様々な種類のトラフィックに適切に対応できるような無線ネットワークの範囲を定めるに当たって、コスト削減という点を考慮に入れるならば、ネットワークリソースと、特に無線の最適化とが、非常に重要な要因となる。特に、すでに述べたように、インターネットトラフィックの導入によって、リアルタイムであれ非リアルタイムであれ、音声とデータとの双方のトラフィックに対応したネットワークを提供することが必要となっている。
【0061】
以上の理由から、移動体ネットワークの制限を考慮し、その有用性を高めるために、サービス品質の管理をよりよく行うことが重要な課題となっている。また、サービス品質に対する認識は加入者の満足度を大きく左右するので、サービス品質の管理を適切に行う能力が、数あるGPRS/UMTSオペレータの中で差別化を図るための重要な要素となるだろう。
【0062】
ネットワーク設備の一つに過負荷が生じた場合にサービス品質を管理する簡単な仕組みとして、「早い者順」という手法が考えられる。しかし、この手法は、加入者情報や要求されるサービスの種類を考慮していないため、移動体オペレータにとっては満足のいくものではない。したがって、上述したようなQoSパラメータの使用が期待される。
【0063】
しかし、GPRSネットワークまたはUMTSネットワークにおいて現在行われている、QoSパラメータに基づいたサービス品質の管理は、満足のいくものではない。とりわけ、QoSパラメータ自体は標準化されているが、それらの使用は標準化されていない。結局のところ、上述したようなQoSパラメータをネットワークにおいて使用するかどうかは、SGSN、GGSN、BSC/RNC等のネットワーク構成要素の製造者の選択によって決まる。
【0064】
その結果、ネットワーク構成要素のうちGPRS/UMTSには、上記に挙げたようなQoSパラメータを用いるものもあるが、そのようなGPRS/UMTSは、上記QoSパラメータのうち一部のみに基づいた処理を行っている。製造者は、加入者が要求するサービスに関するQoSパラメータの使用を選択し、ネットワークに過負荷が生じた場合には、QoSの点でより制約の大きいリソースやアプリケーション(典型的にはリアルタイムまたはマルチメディアアプリケーション)へのアクセスを優先させることができる。このような差別化は、主に、サービス関連のQoSパラメータである「トラフィッククラス」および「トラフィック操作優先度」を用いて行われる。これらのパラメータは、GPRS/UMTSネットワークでは、PDPコンテクストがアクティブ化された際に、SGSN、GGSN、およびBSS/RNCにおいて利用できる。
【0065】
ネットワークに過負荷が生じた場合に、特定の加入者によるリソースへのアクセスを優先させることも、公知技術である。この差別化は、加入者の優先度に応じたQoSパラメータを用いて行われる。この差別化は、GPRSネットワークでは、例えばSGSNおよびGGSNではARPパラメータを用い、BSSでは「優先クラス」パラメータを用いて行うことができる。一方、UMTSネットワークでは、この差別化は、例えばSGSNおよびGGSNではARPパラメータを用い、では一連のARPパラメータ(「優先度」、「強制排除能力」、「強制排除脆弱性」および「キューイング許可」)を用いて行うことができる。
【0066】
上述したいずれの場合も、QoSパラメータに関連する処理は線形に、つまり次々に行われる。その結果、GPRS/UMTSネットワークの各ノードの考慮するQoSパラメータが主にサービス関連のパラメータである場合は、サービスに応じたサービス品質の管理となり、GPRS/UMTSネットワークの各ノードの考慮するQoSパラメータが主に加入者関連のパラメータである場合は、加入者に応じたサービス品質の管理となる。
【0067】
現在行われている、GPRS/UMTSネットワークにおけるサービス品質の管理には、重要な限界がある。なぜなら、例えば、優先加入者のために非リアルタイムアプリケーションリソースを確保しつつ、リアルタイムアプリケーションによるリソースへのアクセスを優先させることはできないからである。
【0068】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、サービスや加入者に応じてネットワーク上でのリソース配分を管理する必要性を考慮することにより、GPRS/UMTSネットワーク等のパケット交換移動体通信ネットワークにおけるサービス品質を適切に管理する方法を提供することを目的としている。
【0069】
この目的を達成するために、ネットワークに過負荷が生じた場合に、サービスの種類に関連するQoSパラメータと、加入者に関連するQoSパラメータとの双方を考慮して、ネットワークを介して提供されるサービス品質を差別化することができるサービス品質の管理方法が用いられる。
【0070】
したがって、本発明は、パケットモード移動体通信ネットワークにおけるサービス品質の管理方法であって、データストリームに対応するサービスをネットワーク加入者が利用できるように、加入者の優先度に対応する少なくとも一つのサービス品質パラメータと、サービスの種類に対応する少なくとも一つのサービス品質パラメータとに基づいて、上記データストリームに関する総合優先度(NPG)を決定するステップを含むことを特徴とするサービス品質の管理方法に関する。
【0071】
本発明の方法は、上記データストリームに適用される少なくとも一つのサービス品質処理を、上記総合優先度(NPG)に基づいて決定するステップを含むことが好ましい。
【0072】
また、本発明の方法は、ネットワークに過負荷が生じた場合に、上記データストリームに関する総合優先度と、ネットワーク上の他の加入者に対応するデータストリームに関する総合優先度とを考慮して、上記データストリームに上記サービス品質処理を適用するステップを含むことが好ましい。
【0073】
また、本発明の一実施形態では、データストリームに関する上記総合優先度は、加入者の優先度に対応するサービス品質パラメータと、サービスの種類に対応するサービス品質パラメータとの各組み合わせに対する総合優先度の値を規定するテーブルに基づいて決定される。
【0074】
また、上記ネットワークはオペレータによって管理され、該ネットワークオペレータによって上記総合優先度が設定されることが好ましい。
【0075】
また、上記移動体ネットワークは、コアネットワーク(RC)およびアクセスネットワーク(RA、UTRAN)を含み、アクセスネットワークとの間の通信回線を管理するコアネットワークのサービスノード(SGSN)と、外部ネットワークとの相互接続を行うコアネットワークのサービスノード(GGSN)と、アクセスネットワーク無線リソースの管理ノード(BSS/RNC)とのうちの少なくとも1つを備えていることが好ましい。
【0076】
また、上記総合優先度を決定するために用いられる、加入者の優先度に対応するサービス品質パラメータが、3GPP電気通信規格の定義による、「割り当て維持優先度」というサービス品質パラメータと、「優先度」という、上記「割り当て維持優先度」のサブパラメータと、「優先クラス」というサービス品質パラメータとのうちの1つを含んでいることが好ましい。
【0077】
また、上記総合優先度(NPG)を決定するために用いられる、サービスの種類に関するサービス品質パラメータが、3GPP電気通信規格の定義による「トラフィッククラス」というサービス品質パラメータを含むことが好ましい。
【0078】
本発明の変形例では、上記総合優先度(NPG)を決定するために用いられる、サービスの種類に関するサービス品質パラメータが、さらに、上記ネットワーク上のデータストリームがインタラクティブ型サービスに対応する場合に上記データストリームを優先度と関連付けるために、3GPP電気通信規格の定義による「トラフィック操作優先度」というサービス品質パラメータを含む。
【0079】
また、本発明は、データストリームに対応するサービスをネットワーク加入者が利用できるように、加入者の優先度に対応する少なくとも一つのサービス品質パラメータと、サービスの種類に対応する少なくとも一つのサービス品質パラメータとに基づいて、上記データストリームに関する総合優先度(NPG)を決定するように構成された、本発明の方法を利用するための装置に関する。
【0080】
上記装置は、データストリームに関する上記総合優先度(NPG)に基づいて、上記データストリームに適用される少なくとも一つのサービス品質処理を決定することが好ましい。
【0081】
また、上記装置は、上記データストリームに関する総合優先度と、ネットワーク上の他の加入者に対応するデータストリームに関する総合優先度とを考慮して、上記データストリームにサービス品質処理を適用することが好ましい。
【0082】
本発明の一実施例では、上記装置は、加入者の優先度に対応するサービス品質パラメータと、サービスの種類に対応するサービス品質パラメータとの各組み合わせに対する総合優先度の値を規定する動作テーブルに関連付けられている。
【0083】
また、上記総合優先度がネットワークオペレータによって設定されることが好ましい。
【0084】
また、本発明は、上記の装置であって、アクセスネットワークとの間の通信回線を管理する、コアネットワーク(RC)のサービスノードに関する。
【0085】
また、本発明は、上記の装置であって、外部ネットワークとの相互接続を行う、コアネットワークのサービスノードに関する。
【0086】
最後に、本発明は、上記の装置である、アクセスネットワークの無線リソース管理ノードに関する。
【0087】
添付の図面を参照しつつ以下の説明を読むことによって、本発明はよりよく理解され、他の特徴および利点が明らかになるだろう。なお、以下の説明は本発明の具体例を示すものであるが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0088】
以下の説明では、まず、GPRS型移動体通信ネットワークについて述べる。UMTSネットワークの場合は構成に一定の相違があるので、この点について次に述べる。しかし、本発明の原則は、上記のいずれの型のネットワークに対しても、同様に適用できる。
【0089】
本発明の方法では、サービスの優先度と加入者の優先度との双方に基づいて、データストリームの処理における優先順位を決定する。優先順位を決定する上で、加入者とサービスの種類との双方を考慮するので、処理速度および遅延の点で必要条件の異なるサービスを提供しつつ、一定の加入者を他の加入者よりも優先させることができる。したがって、移動体通信ネットワークのオペレータは、加入者に提示する選択肢を、きわめて柔軟に作成することが可能となる。
【0090】
このために、GPRS移動体通信ネットワークにおいて、アクティブ化されたPDPコンテクストに対応するサービスを実行するためのリソースへのアクセス要求が行われた際にネットワークに過負荷が生じている場合に、本発明のサービス品質の管理方法では、少なくとも下記のQoSパラメータを用いる。
【0091】
−コアネットワークのSGSNおよびGGSNサービスノードレベルで用いる「割り当て維持優先度」、「トラフィッククラス」、および、場合によっては「トラフィック操作優先度」、
−アクセスネットワークのBSS無線リソース管理ノードレベルで用いる「優先クラス」、「トラフィッククラス」、および、場合によっては「トラフィック操作優先度」
このように、GPRSネットワークのBSS、SGSN、およびGGSNノードそれぞれのレベルにおいて、本発明のサービス品質の管理方法では、サービスの種類に関するQoSパラメータ(特に「トラフィッククラス」、および、場合によっては「トラフィック操作優先度」)と、加入者の優先度に対応するQoSパラメータ(特にSGSNおよびGGSNサービスノードレベルで用いる「割り当て維持優先度」およびBSSノードで用いる「優先クラス」)とを少なくとも含むサービス品質パラメータを用いる。
【0092】
上述したように、GPRSネットワークでは、PDPコンテクストをアクティブ化するためにGSNからBSSへデータストリームに関するQoSパラメータを転送するPFC方法を実行する間は、「割り当て維持優先度」パラメータはBSSに送信されない。さらに、本発明の一実施形態では、「優先クラス」パラメータは、PFC方法を実行する間にSGSNからBSSに送信され、BSSレベルで使用される。このパラメータは「割り当て維持優先度」パラメータと同じ値を持ち、同様に加入者の優先度を定義する。
【0093】
「トラフィッククラス」パラメータと「トラフィック操作優先度」パラメータとは、密接に関連している。「トラフィック操作優先度」パラメータは、サービスの種類が「インタラクティブ」であるときに、データストリームの優先度を示すためにのみ用いられる。したがって、「トラフィック操作優先度」パラメータは、「トラフィッククラス」パラメータが「インタラクティブ」の値を有する場合にのみ用いられる。
【0094】
上記のQoSパラメータの組み合わせに基づく本発明のサービス品質の管理方法では、ネットワークに過負荷が生じた場合にネットワーク上の異なるデータストリームを処理するための優先度を、複数設定することが可能である。これらの優先度は、ネットワークオペレータによって設定されることが好ましい。
【0095】
本発明では、ネットワークに過負荷が生じた場合にリソースへのアクセスを差別化するために、上記設定可能な優先度のそれぞれが、各ネットワークノード(BSS、SGSN、GGSN)において実行可能な少なくとも一つの所定のQoS処理と関連付けられている。
【0096】
上記所定のQoS処理としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0097】
−そのネットワークのノードレベルにおいて呼び出しを行うためのリソースが利用可能か否かをチェックする、許可制御処理。許可制御処理では、ネットワークに過負荷が生じた場合に、本発明において設定したデータフローの優先度に応じて、要求を許可すべきか否かを決定する。
【0098】
−他の無線アクセスサービス(RAB)のリソースを強制的に排除する、強制排除処理。強制排除処理では、ノードレベルにおいてネットワークに過負荷が生じた場合に、本発明のQoSパラメータの組み合わせによって決まる優先度に基づいて優先度の低い加入者を決定し、その加入者をネットワークから強制的に排除する。
【0099】
−チャンネル確立要求が行われている間にネットワークに過負荷が生じた場合に、そのネットワークの各ノードに対して、本発明のQoSパラメータの組み合わせによって決まる優先度を考慮して、この優先度に比例した処理速度となるようにリソースを配分する、リソース配分差別化処理。
【0100】
下記のテーブルは、本発明のサービス品質の管理方法における、GPRSネットワークのBBSの各動作の一例を示している。この例では、9段階の総合優先度レベルが規定されており、各段階に対して、BSSの実行するサービス品質処理が示されている。したがって、この動作テーブルから、サービスの種類に関するQoSパラメータ(「トラフィッククラス」および「トラフィック操作優先度」)と、加入者の優先度に関するQoSパラメータ(「優先クラス」)との双方に基づいて決定された、ネットワークリソースへのアクセスに関する総合優先度レベルに対して、BSSの実行すべきQoS処理を特定することができる。
【0101】
BSSは、上りまたは下り無線チャンネル作成要求を受けた場合に、これらの処理を行うことができる。
【0102】
【表1】

【0103】
この例では、サービスがリアルタイムに提供される場合(トラフィッククラスが「会話」または「ストリーミング」である場合)と、非リアルタイムに提供される場合(トラフィッククラスが「インタラクティブ」または「バックグラウンド」である場合)とを区別しつつ、「プレミアム」加入者クラスを設定することを目的としている。
【0104】
図5は、上記のテーブルに規定されたBSSの動作を示している。この例では、要求されたリソースへのアクセスは、BSSレベルに記録されているQoS情報に応じて行われる。このQoS情報は、PFIパラメータによって特定され、「2」の値を持つ「優先クラス」パラメータを含んでいる。一方、「トラフィッククラス」の値は「インタラクティブ」であり、「トラフィック操作優先度」(THP)の値は「1」である。本発明では、加入者の優先度およびサービスの種類に関する優先度、というQoSパラメータの組み合わせから、総合優先度(NPG)を決定している。図5の例では、総合優先度は5である。
【0105】
総合優先度が5である場合、BSSは、次のQoS処理を実行することになる。
【0106】
−リソース配分差別化処理、
−総合優先度7〜9に対する強制排除処理、および
−許可制御処理。
【0107】
下記のテーブルは、本発明のサービス品質の管理方法における、SGSNおよびGGSNのサービスノードレベルでの動作の一例を示している。このテーブルでは、5段階の総合優先度が規定されている。このテーブルから、サービスの種類に関するQoSパラメータ(「トラフィッククラス」および「トラフィック操作優先度」)と、加入者の優先度に関するQoSパラメータ(「優先クラス」)との双方に基づいて決定された総合優先度レベルに対して、SGSNおよびGGSNが行うべき処理を特定できる。これらのノードでは、加入者の優先度に対応するQoSパラメータは「割り当て維持優先度」(ARP)であって、BSSの場合のような「優先」パラメータではない。
【0108】
SGSNおよびGGSNは、総合優先度に応じて、このテーブルに規定された処理を行うことになる。SGSNは、PDPコンテクストをアクティブ化する間に、これらの処理を行うことができる。
【0109】
【表2】

【0110】
この例では、優先度の高い加入者を優先させることを目的としている。したがって、ARPパラメータが1である加入者は、自身がリアルタイムサービス(トラフィッククラスが「会話」または「ストリーミング」であるサービス)を利用するために、他の加入者を強制的に排除できる。
【0111】
図6は、上記のテーブルに規定されたSGSN/GGSNの動作を示している。この例では、要求されたリソースへのアクセスは、SGSN/GGSNに記録されたQoS情報に応じて行われる。ここでは、QoS情報におけるARPパラメータの値は「1」である。「トラフィッククラス」パラメータの値は「ストリーミング」であり、「トラフィック操作優先度」(THP)パラメータは使用されない。本発明では、加入者の優先度およびサービスの種類に関する優先度、というQoSパラメータの組み合わせから、総合優先度(NPG)を決定している。図6の例では、総合優先度は1である。
【0112】
総合優先度が1である場合、SGSN/GGSNは、次のQoS処理を実行することになる。
【0113】
−リソース配分差別化処理、
−総合優先度9以下すべてに対する強制排除処理、および
−許可制御処理。
【0114】
ネットワークにおけるBSS、SGSN、およびGGSNの各ネットワークノードは、例として挙げた上記テーブルのデータを利用して、サービス品質差別化アルゴリズムを用いることにより、上記所定のサービス品質処理を行う。したがって、このアルゴリズムへの入力は、上述したサービスの種類に関するQoSパラメータおよび加入者に関するQoSパラメータの値であり、このアルゴリズムからの出力は、上記QoSパラメータの組み合わせに対してそのノードが行うべきQoS処理である。
【0115】
なお、図5および図6における、サービスの種類に関する優先度に対応するQoSパラメータおよび利用者の優先度に対応するQoSパラメータという特定の組み合わせから決定される総合優先度、および、結果として実行されるQoS処理は、実施の形態を説明するために用いているにすぎない。したがって、本発明の枠組みから逸脱することなく、ネットワークオペレータが選択するサービス品質の管理戦略に応じて他の構成を採用することも、もちろん可能である。
【0116】
ここで、UMTS型移動体通信ネットワークへの本発明の適用について述べる。UMTSネットワークにおいて、アクティブ化されたPDPコンテクストに対応するサービスを実行するためのリソースへのアクセス要求が行われた際にネットワークに過負荷が生じている場合に、本発明のサービス品質の管理方法では、少なくとも下記のQoSパラメータを用いる。
【0117】
−コアネットワークのSGSNおよびGGSNサービスノードレベルで用いる「割り当て維持優先度」、「トラフィッククラス」、および、場合によっては「トラフィック操作優先度」、
−アクセスネットワークのRNC無線リソース管理ノードレベルで用いる「優先度」、「強制排除能力」、「強制排除脆弱性」、「キューイング許可」、「トラフィッククラス」、および、場合によっては「トラフィック操作優先度」
このように、UMTSネットワークのRNC、SGSN、およびGGSNノードそれぞれのレベルにおいて、本発明のサービス品質の管理方法では、サービスの種類に関するQoSパラメータ(特に「トラフィッククラス」、および、場合によっては「トラフィック操作優先度」)と、加入者の優先度に対応するQoSパラメータ(特にSGSNおよびGGSNサービスノードレベルで用いる「割り当て維持優先度」、とりわけ、RNCノードで用いる「割り当て維持」パラメータのサブパラメータである「優先度」)とを少なくとも含むサービス品質パラメータを用いる。
【0118】
UTRANでは、「割り当て維持優先度」(ARP)パラメータは、「優先度」、「強制排除能力」、「強制排除脆弱性」および「キューイング許可」の4つのサブパラメータを含んでいる。HLRからARPパラメータを受信し、各サブパラメータに値を割り振るのは、SGSNである。ARPは、PDPコンテクストアクティブ化処理が行われている間に、GGSNに送られる。一方、サブパラメータはRNCに送られるものであり、特に、UTRANにおけるRNCは、加入者に対して優先度を割り振るために、「優先度」サブパラメータを用いる。
【0119】
このように、構成上のわずかな違いはあるが、本発明を適用する原理は、上記実施の形態において説明したGPR型ネットワークの場合と異なるものではない。
【0120】
ここで、UMTSネットワークにおいて3種類の加入者カテゴリを設けた例を挙げる。
−カテゴリ1:HLRにおいて ARP=1
−カテゴリ2:HLRにおいて ARP=2
−カテゴリ3:HLRにおいて ARP=3
このネットワークでは、ネットワークに過負荷が生じた場合、カテゴリ1に属する加入者の非リアルタイムサービスによって、カテゴリ3に属する加入者の非リアルタイムサービスが強制排除されるような、所定のQoS処理が行われる結果となることが好ましい。したがって、各ノードでは、強制排除処理を行うために、次のようなサービス品質差別化アルゴリズムが用いられる。
【0121】
IF (“Traffic Class”=Interactive OR “Traffic Class”=Background) AND (ARP=1)
THEN PRE-EMPTION (“Traffic Class”=Interactive OR “Traffic Class”=Background) AND (ARP=3)
ここで、ARPは、SGSNおよびGGSNノードの場合は「割り当て維持優先度」パラメータであり、RNCノードの場合は「優先度」サブパラメータである。
【0122】
したがって、このアルゴリズムの入力は、サービスの種類に関するQoSパラメータ(「トラフィッククラス」)および加入者に関するQoSパラメータ(ARP)の値であり、出力は、上記のQoSパラメータの組み合わせに応じてそのノードが実行すべきQoS処理である。
【0123】
また、UMTSネットワークオペレータが選んだサービス品質の管理戦略に応じて、他の所定のQoS処理を実行することもできる。
【0124】
また、QoS処理は、例えば、ネットワークに過負荷が生じた場合、リソースが既に「ゴールド」加入者に配分されていない限りリアルタイムサービスによって非リアルタイムサービスが強制排除されるような処理であってもよい。
【0125】
この場合、各ノードでは、このQoS処理を実行するために、次のようなサービス品質差別化アルゴリズムが用いられる。
【0126】
IF (“Traffic Class”=Streaming OR “Traffic Class”=Conversational)
THEN PRE-EMPTION (“Traffic Class”=Interactive OR “Traffic Class”=Background) AND (ARP=3 OR ARP=2)
本発明によれば、サービスに応じて他の加入者のニーズも尊重しつつ、いわゆる優先加入者に対して十分なサービスを提供するように、必要なリソースを配分することができる。したがって、本発明によれば、各ノードにおいてリソースを配分する際に、サービスの種類に関する優先度に対応するQoSパラメータと、加入者の優先度に対応するQoSパラメータとを合わせて考慮することにより、ネットワークに過負荷が生じた場合に、サービス品質の管理をより適切に行うことができる。
【0127】
〔用語集〕
この用語集は、本願明細書において使用した英語の頭字語の一覧を提供する。これらの頭字語は、3GPP電気通信規格の定義によるものである。
【0128】
3GPP Third-Generation Partnership Project (of ETSI)
ETSI European Telecommunications Standards Institute
GPRS General Packet Radio Service
GSN Global System for Mobile Communication
UMTS Universal Mobile Telecommunication System
IP Internet Protocol
BTS Base Transceiver Station
BSC Base Station Controller
BSS Base Station Subsystem
HLR Home Location Register
SGSN Serving GPRS Support Node
GGSN Gateway GPRS Support Node
UTRAN UMTS Terrestrial Radio Access Network
RNC Radio Network Controller
QoS Quality of Service
FTP File Transfer Protocol
ARP Allocation Retention Priority
PDP Packet Data Protocol
THP Traffic Handling Priority
IMSI International Mobile Subscriber Identity
PFC Packet Flow Context
PFI Packet Flow Identifier
RPL Radio Priority Level
TBF Temporary Block Flow
RAB Radio Access Bearer
GTP GPRS Tunneling Protocol
MAP Mobile Application Part
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1A】GPRネットワークの構成を説明する図である。
【図1B】UMTSネットワークの構成を説明する図である。
【図2】携帯端末をGPRS型ネットワークに接続するための方法の主要なステップを説明する図である。
【図3】GPRS型ネットワークにおいてPDPコンテクストをアクティブ化するための方法の主要なステップを説明する図である。
【図4】UMTS型ネットワークにおいてPDPコンテクストをアクティブ化するための方法の主要ステップを説明する図である。
【図5】GPRS型ネットワークにおける、本発明によって決定される総合優先度に従った無線リソース管理ノードBSSの動作例を説明する図である。
【図6】GPRS型ネットワークにおける、本発明によって決定される総合優先度に従ったSGSN/GGSNサービスノードの動作例を説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットモード移動体通信ネットワークにおけるサービス品質の管理方法であって、データストリームに対応するサービスをネットワーク加入者が利用できるように、加入者の優先度に対応する少なくとも一つのサービス品質パラメータと、サービスの種類に対応する少なくとも一つのサービス品質パラメータとに基づいて、上記データストリームに関する総合優先度(NPG)を決定するステップを含むことを特徴とするサービス品質の管理方法。
【請求項2】
上記データストリームに適用される少なくとも一つのサービス品質処理を、上記総合優先度(NPG)に基づいて決定するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載のサービス品質の管理方法。
【請求項3】
ネットワークに過負荷が生じた場合に、上記データストリームに関する総合優先度と、ネットワーク上の他の加入者に対応するデータストリームに関する総合優先度とを考慮して、上記データストリームに上記サービス品質処理を適用するステップを含むことを特徴とする、請求項2に記載のサービス品質の管理方法。
【請求項4】
データストリームに関する上記総合優先度は、加入者の優先度に対応するサービス品質パラメータと、サービスの種類に対応するサービス品質パラメータとの各組み合わせに対する総合優先度の値を規定するテーブルに基づいて決定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のサービス品質の管理方法。
【請求項5】
上記ネットワークはオペレータによって管理され、該ネットワークオペレータによって上記総合優先度が設定されることを特徴とする、請求項4に記載のサービス品質の管理方法。
【請求項6】
上記移動体ネットワークは、コアネットワーク(RC)およびアクセスネットワーク(RA、UTRAN)とを含み、アクセスネットワークとの間の通信回線を管理するコアネットワークのサービスノード(SGSN)と、外部ネットワークとの相互接続を行うコアネットワークのサービスノード(GGSN)と、アクセスネットワーク無線リソースの管理ノード(BSS/RNC)とのうちの複数のノードを備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のサービス品質の管理方法。
【請求項7】
上記総合優先度を決定するために用いられる、加入者の優先度に対応するサービス品質パラメータが、3GPP電気通信規格の定義による、
「割り当て維持優先度」というサービス品質パラメータと、
「優先度」という、上記「割り当て維持優先度」のサブパラメータと、
「優先クラス」というサービス品質パラメータとを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のサービス品質の管理方法。
【請求項8】
上記総合優先度(NPG)を決定するために用いられる、サービスの種類に関するサービス品質パラメータが、3GPP電気通信規格の定義による「トラフィッククラス」というサービス品質パラメータを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のサービス品質の管理方法。
【請求項9】
上記総合優先度(NPG)を決定するために用いられる、サービスの種類に関するサービス品質パラメータが、さらに、上記ネットワーク上のデータストリームがインタラクティブ型サービスに対応する場合に上記データストリームを優先度と関連付けるために、3GPP電気通信規格の定義による「トラフィック操作優先度」というサービス品質パラメータを含むことを特徴とする、請求項8に記載のサービス品質の管理方法。
【請求項10】
データストリームに対応するサービスをネットワーク加入者が利用できるように、加入者の優先度に対応する少なくとも一つのサービス品質パラメータと、サービスの種類に対応する少なくとも一つのサービス品質パラメータとに基づいて、上記データストリームに関する総合優先度(NPG)を決定するように構成された、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を使用するための装置。
【請求項11】
データストリームに関する上記総合優先度(NPG)に基づいて、上記データストリームに適用される少なくとも一つのサービス品質処理を決定することを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ネットワークに過負荷が生じた場合に、上記データストリームに関する総合優先度と、ネットワーク上の他の加入者に対応するデータストリームに関する総合優先度とを考慮して、上記データストリームにサービス品質処理を適用することを特徴とする、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
加入者の優先度に対応するサービス品質パラメータと、サービスの種類に対応するサービス品質パラメータとの各組み合わせに対する総合優先度の値を規定する動作テーブルに関連付けられていることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
上記総合優先度がネットワークオペレータによって設定されることを特徴とする、請求項10〜13に記載の装置。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか一項に記載の装置であって、アクセスネットワーク(RA、UTRAN)との間の通信回線を管理する、コアネットワーク(RC)のサービスノード(SGSN)。
【請求項16】
請求項10〜14のいずれか一項に記載の装置であって、外部ネットワークとの相互接続を行う、コアネットワーク(RC)のサービスノード。
【請求項17】
請求項10〜14のいずれか一項に記載の装置である、アクセスネットワークの無線リソース管理ノード(BSS/RNC)。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−514510(P2006−514510A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518272(P2005−518272)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002095
【国際公開番号】WO2005/029787
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(591034154)フランス・テレコム (290)
【Fターム(参考)】