説明

パケット送信装置、パケット送信方法及びプログラム

【課題】リアルタイムパケットが送信される時刻によらずに、ゆらぎを低減する。
【解決手段】パケット送信装置10は、パケットを受信して、該パケットを転送する受信ユニット40と、QoS類別部61と、送信制御部64とを備える。QoS類別部61は、受信ユニット40から転送されたパケットを、リアルタイムパケットと非リアルタイムパケットとに類別する。送信制御部64は、受信ユニット40によりリアルタイムパケットが転送された時刻に基づく第1時刻に、このリアルタイムパケットを第2伝送路30へ送信する。また、送信制御部64は、非リアルタイムパケットの第2伝送路30への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求める。そして、送信制御部64は、第2時刻が第1時刻の後である場合には、非リアルタイムパケットの送信を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット送信装置、パケット送信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IP(Internet Protocol)電話や動画のストリーミング配信に代表される通信サービスでは、リアルタイムにパケットが送受信される必要がある。しかし、一般的にパケットは種々の機器を介して伝送されるため、この伝送にともなう遅延が発生する。そして、この遅延時間は、トラフィックの状況によって長くなったり短くなったりする。このように遅延時間の長さが変動することを、以下では単にゆらぎ(ジッタ)という。
【0003】
ゆらぎは、トラフィックが集中する伝送路インタフェースで発生することが多い。伝送路インタフェースでは、例えば、1個のパケットの送信が完了した後に、別のパケットが送信される。したがって、先に送信されるパケットのサイズが大きい場合には、後に送信されるパケットが比較的長い時間だけ待機することになる。このため、リアルタイム性を有する通信サービスにより送信されるパケット(以下、リアルタイムパケットという)が、先に送信されるパケットの影響を受け、結果としてゆらぎが発生する。
【0004】
一般的に、リアルタイムパケットのゆらぎは小さい方が望ましい。このため、ゆらぎの発生を抑える技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された装置は、リアルタイム性を有しない通信サービスにより送信されるパケット(以下、非リアルタイムパケットという)を、リアルタイムパケットが送信される時刻に影響を及ぼさないサイズにあらかじめ分割する。これにより、リアルタイムパケットが所定の時刻に送信されるため、ゆらぎを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−016637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゆらぎの低減について、通信サービスによって異なる点が重視されることがある。例えばIP電話においては、ゆらぎや遅延の発生をある程度抑えながら、周期的にリアルタイムパケットを送信することが重視される。また、例えばPTP(Precision Time Protocol)においては、ある程度の遅延が許容される一方で、ゆらぎの発生を極力抑えることが重視される。なお、PTPは、端末間の伝送遅延をサブマイクロ秒オーダで精確に求めるためのプロトコルであって、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)1588に規定されている。
【0007】
特許文献1に開示された装置は、1個のリアルタイムパケットが送信された時刻に基づいて、次のリアルタイムパケットが送信される時刻を求めていた。これにより、リアルタイムパケットが周期的に送信された。しかし、PTP等の通信サービスによってリアルタイムパケットが必ずしも周期的に送信されない場合、リアルタイムパケットのゆらぎを低減することが困難であった。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、リアルタイムパケットが送信される時刻によらずに、ゆらぎを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るパケット送信装置は、
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信手段と、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別手段と、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって転送された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信手段と、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止手段と、
を備える。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係るパケット送信装置は、
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信手段と、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別手段と、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって受信された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信手段と、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止手段と、
を備える。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係るパケット送信方法は、
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信ステップと、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別ステップと、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信ステップにおいて転送された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信ステップと、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止ステップと、
を含む。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第4の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信手段、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別手段、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって転送された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信手段、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定の通信サービスにより第1伝送路へ送信されたパケットが、所定の第1時刻に第2伝送路へ送信される。また、非リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信が終了する第2時刻が、第1時刻より後の場合には、非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信が停止される。これにより、リアルタイムパケットが送信される時刻によらずに、ゆらぎを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係るパケット送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】パラメータ設定部により実行される処理を示すフロー図である。
【図3】(A)は、受信ユニットによりパケットが転送される時刻を示す図である。(B)及び(C)は、送信制御部がパケットを受信する時刻を示す図である。
【図4】(A)は、受信ユニットによりパケットが転送される時刻を示す図である。(B)及び(C)は、送信制御部がパケットを受信する時刻を示す図である。
【図5】送信制御部により実行される処理を示すフロー図である。
【図6】パケットが優先度順に送信される処理を示すフロー図である。
【図7】リアルタイムパケットの送信が開始される時刻と、非リアルタイムパケットの送信が終了する時刻との関係を示す図である。
【図8】リアルタイムパケットの送信が開始される時刻と、非リアルタイムパケットの送信が終了する時刻との関係を示す図である。
【図9】(A)は、受信ユニットによりパケットが転送される時刻を示す図である。(B)及び(C)は、送信制御部によりパケットが送信される時刻を示す図である。
【図10】送信制御部によりパケットが送信される時刻を示す図である。
【図11】パケットのサイズ、伝送速度、及び送信時間の対応関係を示す図である。
【図12】パケット送信装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
本実施形態に係るパケット送信装置10は、図1に示されるように、第1伝送路20からEtherパケットを受信して、第2伝送路30へ送信するインタフェース装置である。第1伝送路20は、例えばLAN(Local Area Network)を構成する伝送路である。また、第2伝送路30は、例えばWAN(Wide Area Network)を構成する伝送路である。パケット送信装置10は、受信ユニット40、スイッチ部50、パケット処理ユニット60、送信IF(Interface)部70、時刻管理部80、及びパラメータ設定部90を有している。
【0017】
受信ユニット40は、第1受信部41〜第N受信部43を有している。第1受信部41〜第N受信部43は、第1伝送路20からパケットを受信する。例えば、第1受信部41〜第N受信部43それぞれは、第1伝送路20に接続された複数の端末それぞれからパケットを受信する。そして、第1受信部41〜第N受信部43は、このパケットをスイッチ部50へ転送する。
【0018】
また、第1受信部41〜第N受信部43は、リアルタイムパケット判別回路を備えている。リアルタイムパケット判別回路は、リアルタイムパケットであることを示すデータがパケットに含まれる場合に、ハイレベルとなる信号を出力する。リアルタイムパケットであることを示すデータは、例えば、Etherパケットに含まれるIPパケットのTOS(Type of Service)フィールドの値である。受信ユニット40は、リアルタイムパケット判別回路から出力された信号及び時刻管理部80から通知された現在時刻に基づいて、リアルタイムパケットを識別するためのインデクスと、このリアルタイムパケットが第1受信部41〜第N受信部43から転送された時刻とを、パラメータ設定部90へ通知する。
【0019】
スイッチ部50は、第1受信部41〜第N受信部43から転送されたパケットをルーティングする。例えば、スイッチ部50は、パケットのヘッダに含まれる宛先MAC(Media Access Control)アドレスを書き換える。そして、スイッチ部50は、パケット処理ユニット60へパケットを送信する。
【0020】
パケット処理ユニット60は、スイッチ部50からパケットを受信して、このパケットをQoS(Quality of Service)に応じて類別したり分割したりする。本実施形態におけるQoSは、パケットを送信した通信サービスの優先度の高さである。例えば、リアルタイムパケットを送信する通信サービスの優先度はあらかじめ高く設定される。パケット処理ユニット60は、QoS類別部61、バッファユニット62、分割ユニット63、及び送信制御部64を有している。
【0021】
QoS類別部61は、スイッチ部50から送信されたパケットのデータを読み込み、このパケットを送信した通信サービスを判別する。そして、QoS類別部61は、この通信サービスの優先度に基づいて、パケットを複数のクラスに類別する。本実施形態に係るQoS類別部61は、リアルタイムパケットを第1クラスに類別し、非リアルタイムパケットを第2〜第4クラスに類別する。また、非リアルタイムパケットは、さらに第2、第3及び第4クラスに類別される。なお、非リアルタイムパケットのうち優先度の高い通信サービスにより送信されたものが第2クラスに、優先度の低い通信サービスにより送信されたものが第4クラスにそれぞれ類別される。
【0022】
例えば、QoS類別部61は、パケットのTOSフィールド等を読み込む。そして、QoS類別部61は、PTPやVoIP(Voice over Internet Protocol)により送信されたパケットを第1クラスに、Telnetにより送信されたパケットを第2クラスに、FTP(File Transfer Protocol)により送信されたパケットを第3クラスに、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)により送信されたパケットを第4クラスに、それぞれ類別する。
【0023】
そして、QoS類別部61は、第1〜第4クラスのパケットをバッファユニット62へ送信する。
【0024】
バッファユニット62は、第1バッファ621、第2バッファ622、第3バッファ623、及び第4バッファ624を有している。第1バッファ621〜第4バッファ624それぞれは、図1に示されるように、QoS類別部61から送信された第1〜第4クラスそれぞれのパケットを格納する。第1バッファ621〜第4バッファ624それぞれは、この格納されたパケットを分割ユニット63へ送信する。
【0025】
また、バッファユニット62は、第1バッファ621〜第4バッファ624それぞれに格納されているパケットの状態を、パラメータ設定部90へ通知する。例えば、バッファユニット62は、第1バッファ621〜第4バッファ624それぞれにパケットが格納されているか否かを判別して、この判別の結果をパラメータ設定部90へ通知する。
【0026】
分割ユニット63は、第1分割部631、第2分割部632、第3分割部633、及び第4分割部634を有している。第1分割部631〜第4分割部634それぞれは、第1バッファ621〜第4バッファ624それぞれに格納されたパケットを受信する。
【0027】
また、分割ユニット63は、分割に関する指示をパラメータ設定部90から取得する。分割に関する指示は、例えば、第1分割部631〜第4分割部634それぞれによる分割後のパケットのサイズ(以下、フラグメントサイズという)である。例えば分割ユニット63は、第1分割部631のフラグメントサイズを9600バイトとする指示を取得する。フラグメントサイズは、あらかじめ規定される最小のサイズ以上、かつMTU(Maximum Transmission Unit)を超えない値である。
【0028】
第1分割部631〜第4分割部634それぞれは、このフラグメントサイズよりも大きいサイズのパケットを分割して、複数のパケットを生成する。一方、第1分割部631〜第4分割部634それぞれは、フラグメントサイズ以下のサイズのパケットを分割しない。
【0029】
そして、第1分割部631〜第4分割部634それぞれは、パケットが分割された場合には、この分割により生成された複数のパケット(フラグメント)を送信制御部64へ送信する。また、第1分割部631〜第4分割部634それぞれは、パケットが分割されない場合には、パケットを送信制御部64へ送信する。
【0030】
送信制御部64は、パケットを一時的に格納する第1キュー641、第2キュー642、第3キュー643、及び第4キュー644を有している。第1キュー641〜第4キュー644それぞれには、第1分割部631〜第4分割部634それぞれから送信されたパケットが格納される。
【0031】
また、送信制御部64は、現在時刻を時刻管理部80から取得するとともに、リアルタイムパケットが送信される時刻に関する情報を、パラメータ設定部90から取得する。この情報は、例えば、リアルタイムパケットを識別するためのインデクス、このインデクスに対応するリアルタイムパケットが受信ユニット40から転送された時刻、及び固定時間Dcを含む。固定時間Dcは、リアルタイムパケットが受信ユニット40により転送されてから、送信制御部64により送信されるまでの時間であって、例えば1マイクロ秒である。送信制御部64は、この情報に基づいて、第1キュー641に格納されたパケットのうちインデクスに対応するパケットを、所定の時刻に送信IF部70へ送信する。
【0032】
また、送信制御部64は、第2伝送路30の伝送速度を送信IF部70から取得する。送信制御部64は、この伝送速度に基づいて、第2キュー642〜第4キュー644に格納されたパケットを送信IF部70へ送信する。この送信の際に、送信制御部64は、第2キュー642に格納されたパケットを優先し、第3キュー643に格納されたパケットを次に優先する。
【0033】
送信IF部70は、送信制御部64から送信されたパケットを順に第2伝送路30へ送信するインタフェース回路である。また、送信IF部70は、第2伝送路30の伝送速度を送信制御部64へ通知する。第2伝送路30の伝送速度は、例えば、1000Mbpsである。
【0034】
時刻管理部80は、受信ユニット40、パラメータ設定部90、及び送信制御部64へ現在時刻を通知する。
【0035】
パラメータ設定部90は、第1バッファ621〜第4バッファ624に格納されているパケットの状態を、バッファユニット62から取得する。パラメータ設定部90は、この状態に基づいて、分割に関する指示を分割ユニット63へ通知する。
【0036】
また、パラメータ設定部90は、第1受信部41〜第N受信部43がリアルタイムパケットを転送した時刻と、このリアルタイムパケットのインデクスとを、受信ユニット40から取得する。また、パラメータ設定部90は、あらかじめ固定時間Dcを記憶している。パラメータ設定部90は、これらのインデクス、時刻、及び固定時間Dcを含む情報を送信制御部64へ通知する。
【0037】
続いて、以上の構成要素を有するパケット送信装置10の動作について説明する。
【0038】
まず、バッファユニット62に格納されているパケットの状態に基づいて、分割に関する指示を分割ユニット63へ通知するパラメータ設定部90の動作について、図2を用いて説明する。
【0039】
パラメータ設定部90は、第1バッファ621にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS101)。
【0040】
第1バッファ621にパケットが格納されていると判定された場合(ステップS101;Yes)、パラメータ設定部90は、第2分割部632〜第4分割部634のフラグメントサイズを所定の小さな値に設定する(ステップS102)。この値は、例えば64バイトである。
【0041】
パラメータ設定部90は、設定されたフラグメントサイズを分割ユニット63へ通知する(ステップS103)。
【0042】
この通知を受けた分割ユニット63による分割について、図3に示される例を用いて説明する。図3(A)に示されるように、第1クラスのパケットP11が、受信ユニット40により時刻T1に転送される。また、第2クラスのパケットP20が時刻T2に、第1クラスのパケットP12が時刻T4に、それぞれ転送される。
【0043】
分割ユニット63による分割が実行されない場合において、送信制御部64がこれら3個のパケットを受信する時刻は、図3(B)に示される。具体的には、パケットP11は、時刻T1から遅延時間D1だけ後の時刻T2に受信される。遅延時間D1は、スイッチ部50によるルーティングや、QoS類別部61による類別にかかる時間である。また、パケットP20は、時刻Taに受信される。パケットP12は、時刻T4から遅延時間D1及びゆらぎ量J1だけ後の時刻Tcに受信される。
【0044】
分割ユニット63によりパケットP20が分割される場合において、送信制御部64がパケットを受信する時刻は、図3(C)に示される。具体的には、パケットP12は、時刻T4から遅延時間D1及びゆらぎ量J2だけ後の時刻Tbに受信される。このゆらぎ量J2は、ゆらぎ量J1よりも短い時間である。
【0045】
図2に戻り、パラメータ設定部90は、ステップS103の後にステップS101へ戻り、処理を繰り返す。
【0046】
第1バッファ621にパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS101;No)、パラメータ設定部90は、第2バッファ622にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS104)。
【0047】
第2バッファ622にパケットが格納されていると判定された場合(ステップS104;Yes)、パラメータ設定部90は、第3分割部633及び第4分割部634のフラグメントサイズを所定の小さな値に設定する(ステップS105)。この値は、例えば64バイトである。
【0048】
次に、パラメータ設定部90は、第2分割部632のフラグメントサイズを所定の大きな値に設定する(ステップS106)。この値は、例えば9600バイトである。そして、パラメータ設定部90は、ステップS103へ処理を移行する。
【0049】
ここで、ステップS105、S106にて設定されたフラグメントサイズを通知された分割ユニット63の分割について、図4に示される例を用いて説明する。図4(A)に示されるように、第3クラスのパケットP30が、受信ユニット40により時刻Tdに転送される。また、第2クラスのパケットP20が時刻Tfに転送される。
【0050】
分割ユニット63による分割が実行されない場合において、送信制御部64がこれら2個のパケットを受信する時刻は、図3(B)に示される。具体的には、パケットP30は、時刻Tdから遅延時間D1だけ後の時刻Teに受信される。また、パケットP20は、時刻Tfから遅延時間D2だけ後の時刻Thに受信される。
【0051】
分割ユニット63によりパケットP30が分割される場合において、送信制御部64がパケットを受信する時刻は、図3(C)に示される。具体的には、パケットP20は、時刻Tfから遅延時間D3だけ後の時刻Tgに受信される。この遅延時間D3は、遅延時間D2よりも短い時間である。
【0052】
図2に戻り、第2バッファ622にパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS104;No)、パラメータ設定部90は、第3バッファ623にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS107)。
【0053】
第3バッファ623にパケットが格納されていると判定された場合(ステップS107;Yes)、パラメータ設定部90は、第4分割部634のフラグメントサイズを所定の小さな値に設定する(ステップS108)。この値は、例えば64バイトである。
【0054】
次に、パラメータ設定部90は、第3分割部633のフラグメントサイズを所定の大きな値に設定する(ステップS109)。この値は、例えば9600バイトである。そして、パラメータ設定部90は、ステップS103へ処理を移行する。
【0055】
第3バッファ623にパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS107;No)、パラメータ設定部90は、第4バッファ624にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS110)。
【0056】
第4バッファ624にパケットが格納されていると判定された場合(ステップS110;Yes)、パラメータ設定部90は、第4分割部634のフラグメントサイズを所定の大きな値に設定する(ステップS111)。この値は、例えば9600バイトである。そして、パラメータ設定部90は、ステップS103へ処理を移行する。
【0057】
第4バッファ624にパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS110;No)、パラメータ設定部90は、ステップS101に戻り、処理を繰り返す。
【0058】
続いて、第1受信部41〜第N受信部43によりリアルタイムパケットが転送された時刻に基づいて、送信制御部64がパケットを所定の時刻に送信する処理について、図5を用いて説明する。
【0059】
まず、送信制御部64は、第1キュー641にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS201)。第1キュー641にパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS201;No)、送信制御部64は、優先度順に送信処理を実行する(ステップS202)。この処理について、図6を用いて説明する。
【0060】
まず、送信制御部64は、第2キュー642にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS301)。第2キュー642にパケットが格納されていると判定された場合(ステップS301;Yes)、送信制御部64は、第2キュー642に格納されているパケットを送信する(ステップS302)。その後、送信制御部64は、処理を終了する。
【0061】
第2キュー642にパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS301;No)、送信制御部64は、第3キュー643にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS303)。第3キュー643にパケットが格納されていると判定された場合(ステップS303;Yes)、送信制御部64は、第3キューに格納されているパケットを送信する(ステップS304)。その後、送信制御部64は、処理を終了する。
【0062】
第3キュー643にパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS303;No)、送信制御部64は、第4キュー644にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS305)。第4キュー644にパケットが格納されていると判定された場合(ステップS305;Yes)、送信制御部64は、第4キュー644に格納されているパケットを送信する(ステップS306)。その後、送信制御部64は、処理を終了する。
【0063】
第4キュー644にパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS305;No)、送信制御部64は、処理を終了する。
【0064】
図5に戻り、優先度順に送信処理を完了した送信制御部64は、ステップS201に戻り、処理を繰り返す。
【0065】
ステップS201にて第1キューにパケットが格納されていると判定された場合(ステップS201;Yes)、送信制御部64は、第1キューに格納されているリアルタイムパケットが送信される時刻Tzを算出する(ステップS203)。具体的には、時刻Tzは、このリアルタイムパケットが受信ユニット40により転送された時刻Tyと、あらかじめ設定された固定時間Dcの和として算出される。
【0066】
次に、送信制御部64は、第2キュー642にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS204)。第2キュー642にパケットが格納されていると判定された場合(ステップS204;Yes)、送信制御部64は、第2キュー642に格納されているパケットを現在の時刻Tnから送信したときにかかる送信時間の終了時刻を算出する。そして、送信制御部64は、時刻Tzがこの終了時刻の前であるか否かを判定する(ステップS205)。
【0067】
ステップS205の判定について、図7及び図8に示される例を用いて説明する。図7及び図8に示される時刻Tnは、ステップS205の判定が実行される時刻である。また、パケットP1は、第1キュー641に格納されているパケットであり、パケットP2は、第2キュー642に格納されているパケットである。時刻Tzは、パケットP1の送信の開始が予定されている時刻である。
【0068】
送信制御部64は、パケットP2が時刻Tnから送信された場合に、図7に示されるように時刻Tzよりも前にこの送信が終了するか、又は、図8に示されるように時刻Tzよりも後にこの送信が終了するかを判定する。具体的には、送信制御部64は、パケットP2のサイズS2、及び第2伝送路30の伝送速度Veに基づいて、式Tn+S2/Veを用いて算出される時刻と、時刻Tzとを比較する。
【0069】
図5に戻り、ステップS205の判定が否定された場合(ステップS205;No)、送信制御部64は、第2キュー642に格納されているパケットを送信する(ステップS206)。その後、送信制御部64は、ステップS203へ戻り、処理を繰り返す。
【0070】
ステップS205の判定が肯定された場合(ステップS205;Yes)、送信制御部64は、パケットの送信を時刻Tzまで停止して待機状態になる(ステップS207)。そして、第1キュー641に格納されているパケットを時刻Tzに送信する(ステップS208)。その後、送信制御部64は、ステップS201に戻り、処理を繰り返す。
【0071】
第2キュー642にパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS204;No)、送信制御部64は、第3キュー643にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS209)。第3キュー643にパケットが格納されていると判定された場合(ステップS209;Yes)、送信制御部64は、第3キュー643に格納されているパケットを現在の時刻Tnから送信したときにかかる送信時間の終了時刻を算出する。そして、送信制御部64は、時刻Tzがこの終了時刻の前であるか否かを判定する(ステップS210)。
【0072】
ステップS210の判定が否定された場合(ステップS210;No)、送信制御部64は、第3キュー643に格納されているパケットを送信する(ステップS211)。その後、送信制御部64は、ステップS203へ戻り、処理を繰り返す。
【0073】
ステップS210の判定が肯定された場合(ステップS210;Yes)、送信制御部64は、ステップS207へ移行する。
【0074】
第3キューにパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS209;No)、送信制御部64は、第4キュー644にパケットが格納されているか否かを判定する(ステップS212)。第4キュー644にパケットが格納されていると判定された場合(ステップS212;Yes)、送信制御部64は、第4キュー644に格納されているパケットを現在の時刻Tnから送信したときにかかる送信時間の終了時刻を算出する。そして、送信制御部64は、時刻Tzがこの終了時刻の前であるか否かを判定する(ステップS213)。
【0075】
ステップS213の判定が否定された場合(ステップS213;No)、送信制御部64は、第4キュー644に格納されているパケットを送信する(ステップS214)。その後、送信制御部64は、ステップS203へ戻り、処理を繰り返す。
【0076】
ステップS213の判定が肯定された場合(ステップS213;Yes)、送信制御部64は、ステップS207へ移行する。
【0077】
第4キュー644にパケットが格納されていないと判定された場合(ステップS212;No)、送信制御部64は、ステップS201に戻り、処理を繰り返す。
【0078】
以上の処理を実行する送信制御部64によって、リアルタイムパケットが繰り返し送信される例について、図9を用いて説明する。
【0079】
図9(A)に示されるように、第1クラスのパケットP11が受信ユニット40により時刻T1に転送される。また、第1クラスのパケットP12が時刻T4に、第1クラスのパケットP13が時刻T7に、それぞれ転送される。また、第2クラスのパケットP21、第3クラスのパケットP31、P32、及び第4クラスのパケットP41が図9(A)に示される時刻に転送される。
【0080】
図9(B)は、分割ユニット63による分割が実行されず、かつ、送信制御部64がリアルタイムパケットの送信される時刻を制御しない場合において、各パケットが送信制御部64から送信される時刻を示す。このとき、パケットP11は、時刻T1から遅延時間D1だけ後の時刻に送信される。パケットP12は、時刻T4から遅延時間D1及びゆらぎ量J3だけ後の時刻Tiに送信される。パケットP13は、時刻T7から遅延時間D1及びゆらぎ量J4だけ後の時刻T9に送信される。
【0081】
図9(C)は、分割ユニット63による分割が実行され、送信制御部64がリアルタイムパケットの送信される時刻を制御する場合において、各パケットが送信制御部64から送信される時刻を示す。このとき、パケットP11は、時刻T1から固定時間Dcだけ後の時刻T3に送信される。パケットP12は時刻T4から固定時間Dcだけ後の時刻T6に送信される。パケットP13は、時刻T7から固定時間Dcだけ後の時刻T9に送信される。すなわち、パケットP11、P12、P13はいずれも、受信ユニット40により転送された時刻Tyから固定時間Dcだけ後の時刻Tzに送信される。
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係る送信制御部64は、第1受信部41〜第N受信部43によりリアルタイムパケットが転送された時刻Tyに基づく所定の時刻Tzに、このリアルタイムパケットを送信する。また、この所定の時刻Tzが非リアルタイムパケットの送信の終了前である場合に、送信制御部64は非リアルタイムパケットの送信を停止する。これにより、リアルタイムパケットを受信した時刻によらず、リアルタイムパケットが所定の時刻に送信される。ひいては、ゆらぎの発生を抑えることができる。
【0083】
また、送信制御部64は、第1受信部41〜第N受信部43によりリアルタイムパケットが転送された時刻Tyよりも固定時間Dcだけ後の時刻Tzにリアルタイムパケットを送信する。これにより、スイッチ部50及びパケット処理ユニット60による処理にかかる時間とは独立に、リアルタイムパケットが所定の時刻に送信される。
【0084】
また、送信制御部64は、第2伝送路30の伝送速度とリアルタイムパケットのサイズとに基づいて、非リアルタイムパケットが送信される時間をあらかじめ算出する。これにより、パケット送信装置10は、ゆらぎを抑えながら種々の伝送速度を有する伝送路へパケットを送信することができる。
【0085】
また、送信制御部64は、優先度が設定された第2〜第4クラスの非リアルタイムパケットのうち、優先度の高い第2クラスに属するパケットから順に送信する。すなわち、パケット送信装置10は、所定の通信サービスにより送信されたパケットを優先的に第2伝送路へ送信する。例えば、パケット送信装置10は、HTTP等の即応性が低い通信サービスよりも、Telnet等の即応性が高い通信サービスのパケットを優先して送信することができる。これにより、パケット送信装置10は、種々の通信サービスの品質を向上させることができる。
【0086】
また、第1分割部631〜第4分割部634は、パラメータ設定部90から通知されたフラグメントサイズに基づいて、パケットを分割した。これにより、サイズの大きいパケットが送信されることにより発生する不都合を解消し、伝送効率が低下することを防ぐことができる。
【0087】
例えば、パケットが分割されずに、送信制御部64がリアルタイムパケットの送信時刻を制御する場合において、各パケットが送信制御部64から送信される時刻は、図10に示される。図10に示されるように、サイズの大きいパケットP41及びパケットP32の送信が停止されるため、パケットが送信されない時間E5、E6が発生する。図9(C)に示されるように、パケットが分割される場合にも、パケットが送信されない時間E3、E4が発生する。この時間E3、E4は、時間E5、E6よりも短い。すなわち、パケットの分割により伝送効率を向上することができる。
【0088】
なお、分割により生成される複数のパケットそれぞれには、新しくヘッダが付加されるため、分割後のデータ容量は、分割前のデータ容量よりも大きい。このため、分割が不要な場合における過度の分割は、一般的に伝送効率を低下させる。しかし、パラメータ設定部90は、第1バッファ621〜第4バッファ624に格納されているパケットの状況に応じてフラグメントサイズを調整した。これにより、パケット送信装置10は、過度の分割によって伝送効率が低下することを防ぐことができる。
【0089】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0090】
例えば、上記実施形態に係る受信ユニット40は、第1受信部41〜第N受信部43がリアルタイムパケットを転送した時刻を、パラメータ設定部90へ通知した。これに限られず、受信ユニット40は、第1受信部41〜第N受信部43がリアルタイムパケットを受信した時刻を、パラメータ設定部90へ通知してもよい。この場合、受信ユニット40による処理にかかる時間とは独立に、リアルタイムパケットが所定の時刻に第2伝送路30へ送信される。
【0091】
また、上記実施形態に係る受信ユニット40は、リアルタイムパケットのインデクスをパラメータ設定部90へ通知したが、このインデクスを通知しない構成としてもよい。この場合、送信制御部64は、リアルタイムパケットを識別することなく、パラメータ設定部90から通知された情報に基づいて、第1キュー641に格納されているパケットを順次送信する。
【0092】
また、上記実施形態に係るQoS類別部61は、リアルタイムパケットが属する第1クラスと非リアルタイムパケットが属する第2〜第4クラスにパケットを類別したが、これには限られない。例えば、リアルタイムパケットが属する複数のクラスと、非リアルタイムパケットが属する4以上のクラスにパケットが類別されてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では一例として、PTP及びVoIPのパケットが第1クラスに、Telnetのパケットが第2クラスに、FTPのパケットが第3クラスに、HTTPのパケットが第4クラスにそれぞれ類別されたが、これには限られない。例えば、FTPのパケットを第4クラスに類別させるように、QoS類別部61を構成してもよい。
【0094】
また、上記実施形態に係るQoS類別部61は、通信サービスに基づいてパケットを類別したが、これには限られない。例えば、アプリケーション、プロセス、ユーザ、又はIPアドレスを含む端末のID等に基づいてパケットを類別してもよい。
【0095】
また、上記実施形態に係る送信制御部64は、ステップS205、ステップS210及びステップS213における判定が実行される現在時刻Tnに基づいて、非リアルタイムパケットの送信が終了する時刻を算出した。これに限られず、これらの判定の開始から非リアルタイムパケットが送信されるまでにかかる時間が考慮された現在時刻Tnを用いてもよい。
【0096】
また、上記実施形態に係る送信制御部64は、リアルタイムパケットが受信ユニット40により転送された時刻Tyよりも固定時間Dcだけ後の時刻Tzに、このリアルタイムパケットを送信した。これに限られず、送信制御部64は、時刻Tyとリアルタイムパケットが送信される時刻Tzとの間の時間Ddを適応的に変更してもよい。
【0097】
例えば、室温や気温により伝送路の伝送速度が変動する場合がある。この場合、送信制御部64は、室温等により長さが変わる時間Ddを算出し、時刻Tyよりもこの時間Ddだけ後の時刻にリアルタイムパケットを送信してもよい。
【0098】
また、パケット送信装置10へパケットを送信する複数の端末のうち、一部の端末から送信されるパケットの伝送遅延が、著しく大きい又は小さい場合がある。この場合には、リアルタイムパケットを送信した端末に基づいて時間Ddを調整し、端末間における伝送遅延の不均衡を解消してもよい。
【0099】
また、上記実施形態に係るパラメータ設定部90は、ステップS102、ステップS105、ステップS106、ステップS108、ステップS109、及びステップS111において、フラグメントサイズを所定の値に設定した。この値は、パケット送信装置10の管理者が任意に変更することができる構成としてもよい。
【0100】
また、上記実施形態に係るパケット送信装置10は、第1伝送路から第2伝送路へ送信されるパケットの中継装置として機能したが、これには限られない。例えば、パケット送信装置10は、無線基地局装置を構成してもよい。また、ネットワークインタフェースとして他のネットワーク装置を構成してもよい。
【0101】
また、上記実施形態に係る送信制御部64は、第2伝送路30の伝送速度Veと非リアルタイムパケットのサイズS2に基づいて、この非リアルタイムパケットが送信される時間を算出したが、これには限られない。例えば、パケット送信装置10が備える記憶装置から伝送速度、パケットのサイズ、及び送信時間の関係を表すテーブルを読み込み、このテーブルに基づいて送信時間を見積もってもよい。
【0102】
例えば、第2伝送路30の伝送速度が1000Mbpsであり、パケットのサイズが256バイトである場合に、送信制御部64は、図11に示されるテーブルに基づいて、送信時間として2208nsを求めてもよい。なお、図11に示される時間は、12バイト相当の送信間隔、並びに8バイト相当の送信プリアンブル及びSFD(Start Frame Delimiter)の送信時間を含む。
【0103】
また、上記実施形態に係る送信制御部64は、第2キュー642〜第4キュー644に格納されているパケットのうち、優先度が高いクラスに属するパケットから順に送信した。このような、いわゆるPQ(Priority Queuing)に限らず、送信制御部64は、CQ(Custom Queuing)やWFQ(Weighted Fair Queuing)による優先制御を実行してもよい。
【0104】
図12は、上記実施形態に係るパケット送信装置10をコンピュータに実装する場合のハードウェア構成例を示すブロック図である。パケット送信装置10は、一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成によって実現することができる。パケット送信装置10は、プロセッサH1、主記憶部H2、補助記憶部H3、出力部H4、入力部H5及び送受信部H6を備える。主記憶部H2、補助記憶部H3、出力部H4、入力部H5及び送受信部H6はいずれも内部バスH7を介してプロセッサH1に接続されている。
【0105】
プロセッサH1は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、補助記憶部H3に記憶されるプログラムH8に従って、上記実施形態に係る送信制御部64及びパラメータ設定部90の処理を実行する。
【0106】
主記憶部H2は、RAM(Random-Access Memory)等から構成され、補助記憶部H3に記憶されるプログラムH8をロードし、プロセッサH1の作業領域として用いられる。
【0107】
補助記憶部H3は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、上述の処理をプロセッサH1に実行させるためのプログラムH8や通信内容のデータ等を記憶する。また、補助記憶部H3は、プロセッサH1の指示に従って、プログラムH8が記憶するデータをプロセッサH1に供給し、プロセッサH1から供給されたデータを記憶する。
【0108】
出力部H4は、LCD(Liquid Crystal Display)等から構成される表示装置、スピーカ等から構成される音響装置又は印刷装置等を有し、種々の情報をユーザに提供する。例えば、出力部H4は、トラフィックの状況をパケット送信装置10の管理者に表示する。
【0109】
入力部H5は、キーボード及びマウス等のポインティングデバイス等と、キーボード及びポインティングデバイス等を内部バスH7に接続するインタフェース装置等から構成される。例えば、パケット送信装置10の使用者は、入力部H5を介して、フラグメントサイズ、類別される通信サービス、固定時間Dc等を設定する。
【0110】
送受信部H6は、モデム又は網終端装置、及びそれらと接続するシリアルインタフェース又はLANインタフェース等から構成される。送受信部H6は、受信ユニット40及び送信IF部70を物理的に実現する。
【0111】
図1に示されるパケット送信装置10の受信ユニット40、スイッチ部50、QoS類別部61、バッファユニット62、分割ユニット63、送信制御部64、時刻管理部80、及びパラメータ設定部90が実行する処理は、プログラムH8が、プロセッサH1、主記憶部H2、補助記憶部H3、出力部H4、入力部H5、送受信部H6等を資源として用いて処理することによって実行される。
【0112】
上述の実施形態に係るパケット送信装置10の機能は、専用のハードウェアによっても、また、通常のコンピュータシステムによっても実現することができる。
【0113】
例えば、補助記憶部H3に記憶されているプログラムH8を、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムH8をコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する装置を構成することができる。
【0114】
また、プログラムH8をインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するようにしても良い。
【0115】
また、通信ネットワークを介してプログラムH8を転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0116】
更に、プログラムH8の全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムH8を実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0117】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロード等しても良い。
【0118】
上述の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0119】
(付記1)
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信手段と、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別手段と、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって転送された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信手段と、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止手段と、
を備えるパケット送信装置。
【0120】
(付記2)
前記第1時刻は、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって転送された時刻より所定の時間だけ後の時刻である、
付記1に記載のパケット送信装置。
【0121】
(付記3)
前記停止手段は、
現在の時刻、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットのサイズ、及び前記第2伝送路の伝送速度に基づいて前記第2時刻を求める、
付記1又は2に記載のパケット送信装置。
【0122】
(付記4)
前記第1送信手段とは別の第2送信手段を備え、
前記類別手段は、
前記リアルタイムクラスと、優先度が設定された複数の前記非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別し、
前記第2送信手段は、
優先度が高い前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットを、優先的に前記第2伝送路へ送信する、
付記1乃至3のいずれか1つに記載のパケット送信装置。
【0123】
(付記5)
前記複数の非リアルタイムクラスそれぞれに類別されたパケットを格納する複数の格納手段と、
前記複数の格納手段それぞれに格納されたパケットを分割する複数の分割手段と、
前記複数の格納手段それぞれに格納されたパケットの状態に基づいて、分割により生成されるパケットのサイズを、前記複数の分割手段それぞれに通知する通知手段と、
を備え、
前記第2送信手段は、
優先度が高い前記非リアルタイムクラスに対応する前記分割手段から出力されたパケットを優先的に前記第2伝送路へ送信する、
付記4に記載のパケット送信装置。
【0124】
(付記6)
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信手段と、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別手段と、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって受信された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信手段と、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止手段と、
を備えるパケット送信装置。
【0125】
(付記7)
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信ステップと、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別ステップと、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信ステップにおいて転送された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信ステップと、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止ステップと、
を含むパケット送信方法。
【0126】
(付記8)
コンピュータを、
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信手段、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別手段、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって転送された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信手段、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0127】
10 パケット送信装置
20 第1伝送路
30 第2伝送路
40 受信ユニット
41 第1受信部
42 第2受信部
43 第N受信部
50 スイッチ部
60 パケット処理ユニット
61 QoS類別部
62 バッファユニット
621 第1バッファ
622 第2バッファ
623 第3バッファ
624 第4バッファ
63 分割ユニット
631 第1分割部
632 第2分割部
633 第3分割部
634 第4分割部
64 送信制御部
641 第1キュー
642 第2キュー
643 第3キュー
644 第4キュー
70 送信IF部
80 時刻管理部
90 パラメータ設定部
P1、P2、P11、P12、P13、P20、P21、P30、P31、P32、P41 パケット
S2 サイズ
T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、Ta、Tb、Tc、Td、Te、Tf、Tg、Th、Ti、Tj、Tn、Ty、Tz 時刻
Ve 伝送速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信手段と、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別手段と、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって転送された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信手段と、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止手段と、
を備えるパケット送信装置。
【請求項2】
前記第1時刻は、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって転送された時刻より所定の時間だけ後の時刻である、
請求項1に記載のパケット送信装置。
【請求項3】
前記停止手段は、
現在の時刻、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットのサイズ、及び前記第2伝送路の伝送速度に基づいて前記第2時刻を求める、
請求項1又は2に記載のパケット送信装置。
【請求項4】
前記第1送信手段とは別の第2送信手段を備え、
前記類別手段は、
前記リアルタイムクラスと、優先度が設定された複数の前記非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別し、
前記第2送信手段は、
優先度が高い前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットを、優先的に前記第2伝送路へ送信する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパケット送信装置。
【請求項5】
前記複数の非リアルタイムクラスそれぞれに類別されたパケットを格納する複数の格納手段と、
前記複数の格納手段それぞれに格納されたパケットを分割する複数の分割手段と、
前記複数の格納手段それぞれに格納されたパケットの状態に基づいて、分割により生成されるパケットのサイズを、前記複数の分割手段それぞれに通知する通知手段と、
を備え、
前記第2送信手段は、
優先度が高い前記非リアルタイムクラスに対応する前記分割手段から出力されたパケットを優先的に前記第2伝送路へ送信する、
請求項4に記載のパケット送信装置。
【請求項6】
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信手段と、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別手段と、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって受信された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信手段と、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止手段と、
を備えるパケット送信装置。
【請求項7】
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信ステップと、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別ステップと、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信ステップにおいて転送された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信ステップと、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止ステップと、
を含むパケット送信方法。
【請求項8】
コンピュータを、
第1伝送路からパケットを受信して、該受信されたパケットを転送する受信手段、
所定の通信サービスにより前記第1伝送路へ送信されたパケットが属するリアルタイムクラスと、該リアルタイムクラス以外の非リアルタイムクラスとに、前記転送されたパケットを類別する類別手段、
前記リアルタイムクラスに属するパケットが前記受信手段によって転送された時刻に基づく第1時刻に、前記リアルタイムクラスに類別されたパケットの第2伝送路への送信を開始する第1送信手段、
前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの前記第2伝送路への送信が終了する第2時刻をあらかじめ求め、前記第2時刻が前記第1時刻より後の場合には、前記非リアルタイムクラスに類別されたパケットの送信を停止する停止手段、
として機能させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−46389(P2013−46389A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185213(P2011−185213)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】