説明

パスワード作成変換表およびその使用方法

【課題】類推困難なパスワードの作成と安全な保管を実現する変換表とその使用方法を提供すること。
【解決手段】記憶可能な一つのパスワードから変換表を用いていくつもの類推困難なパスワードを作成する。異なる変換表を用意するだけで別の新たなパスワードをいくつでも作成できる。変換は目視で入力しながら行うことができるため、作成されるパスワードの痕跡を残すことがない。したがって、変換表の紛失や盗難時にもパスワードが流出することがない。記憶メディアに記録しないことで、コンピューターウイルス、ハッキング等によるパスワードの流出を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパスワードの作成、管理方法に関し、変換表を使用することで、処理装置を用いずに、類推されにくく、いくつもの異なるパスワードを作成し、安全に保管する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでのパスワードの作成、管理には、頭で記憶できるパスワードの数、類推されにくいパスワードの作成、パスワード漏洩の危険性、記憶装置の破損による消失の問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パスワードに求められる条件として以下のようなことがあげられる。
1.少ない文字数だと組み合わせの数が少なくなるため、できるだけ多い文字数を使用する。
2.誕生日、名前等の個人情報や単語など類推されやすい文字を使用しない。
3.定期的に変更する。
4.同じパスワードを使い回してしまうと、一つのパスワードの流出で利用中のあらゆるサービスが危険にさらされてしまうため、サービスごとに異なるパスワードを使用する必要がある。
5.記憶メディアに記憶した場合、コンピューターウイルス、ファイル共有ソフト、ハッキング等によるパスワードの流出の危険がある。また、記憶メディアの破損によりパスワードが消失してしまう可能性がある。
6.紙に書き出した場合、覗き見、紛失、盗難によりパスワードが知られてしまう。
【0004】
しかし、パスワードを必要とする機会が増え、実際にはいくつもの異なる類推困難なパスワードを頭の記憶だけで保持し、且つ、定期的に変更することは困難になっています。
本発明は、処理装置やソフトウェアで解決困難なパスワード管理に関する問題に、変換表を使用して目視でのパスワード変換行程を加えることで、以上のような欠点をなくすためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
変換表を用いて、頭で記憶可能な一つのパスワードから、パスワードに使用可能なランダムな文字で構成されるパスワードの変換表を使用して新たなパスワードを作成する。必要なパスワードごとに異なる変換表を用いることで異なるパスワードを作成できる。
【発明の効果】
【0006】
変換表を必要なパスワードごとに適用することで、頭で記憶可能な一つのパスワードからいくつでもランダムなパスワードを作成可能になる。
【0007】
変換されたパスワードはランダムな文字列になるので、類推が困難なパスワードとなる。
【0008】
定期的にパスワードを変更するのも変換表の交換のみで簡単に行うことができる。
【0009】
変換表を印刷したものを使用することで、パスワードの作成、保持にパソコン等の処理装置やソフトウェアが必要なくなる。これにより、手帳やメモ帳等、印刷可能なものであれば何でも、パスワードの作成、保持が可能になる。
【0010】
紙等に記録した場合の欠点である、紛失、覗き見、盗難によるパスワードの漏洩に対しても、記録されているのは変換表であるため、パスワードが漏洩することはない。
【0011】
変換表を紙等に印刷したものを使用することで、記憶メディアに記録した場合の欠点である、コンピューターウイルス、ファイル共有ソフト、ハッキング、によるパスワードの漏洩、また、記憶メディアの破損によるパスワードの消失、パスワード管理ソフトウェアの必要性の問題をクリアすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を印刷物で利用の場合の形態について説明する。
【0013】
図1は本発明に係る変換表の一例を示しており、(1)はキー、(2)はコードである。
【0014】
キーに使用する文字種を決定する。ここで文字種とは、例えば、数字、アルファベットの小文字や大文字、カタカナ、漢字等のことをいう。キーに使用する文字種は、変換前のパスワードに使用されている文字を含む文字種を使用する。例えば、変換前のパスワードが「ab12」の場合、文字種は数字とアルファベットの小文字が必要である。図1ではキーに数字とアルファベットの小文字を使用している。
【0015】
一つのコードに対応するキーの文字数を決定する。一つのコードに対応するキーの文字数が増えると、変換後のパスワードから類推できる変換前のパスワードが増えるため、変換前のパスワードを知られにくくすることができる。パスワード入力欄の文字がそのまま表示され、周囲の人からみられてしまう可能性がある場合や、IDの変換を行いたい場合に有効である。また、別の効果として、一つのコードに対応するキーの文字数を増やすほど変換表を小さくすることが可能である。図1では一つのコードに一つのキーを対応させている。
【0016】
キーは目視ですぐに確認でき、また、コードと区別できるよう配列、文字のサイズ、文字色、背景色、背後の図形等の見た目の違いを強調する。図1ではキーの配列を昇順にしてキーを見つけやすくし、キーの背景色を濃いグレーにして文字色を白くすることでキーを目立たせている。図1は一つの例であって、見つけやすく表示してあればどのような配色や形状でも表示可能である。
【0017】
どのキーがどのコードに対応するのかを分かりやすくするために、文字のサイズ、文字色、背景色、背後の図形等に変化を付ける。図1ではキーとコードを四角く罫線で囲むことで対応関係を分かりやすく表示している。図1は一つの例であって、四角に限らず、対応関係が分かりやすく表示できれば、どのような形状でも表示可能である。
【0018】
コードの文字数を決定する。少ない文字数の場合、変換表が小さくなり、入力も容易になるが、文字数を多くするほど変換後のパスワードの文字数を増やすことができる。また、コードごとの文字数に変化を付けることで、変換後のパスワードの桁数から変換前のパスワードの桁数の類推を困難にすることが可能である。図1では2〜3文字をランダムに選んでいる。
【0019】
コードに使用する文字種を決定する。文字種は多いほど類推されにくいパスワードにすることができる。パスワードに使用できる文字種に制限がある場合、使用可能な文字種のみを使用する。例えば、設定できるパスワードが数字のみの場合にはコードに数字を使用する。また、入力のしやすさを優先したい場合には文字種を限定することで入力を容易にすることが可能である。図1ではコードに数字、アルファベットの小文字と大文字を使用している。
【0020】
コードに使用する文字種の中から上記決定の文字数でランダムに選んでコードを作成する。作成するコードは単語として意味をなさないもの、同じ文字が連続しないもの、数の前後にあたらないもの、アルファベットの並びの前後にあたらないもの、キーボード上で連続しないものが望ましい。
【0021】
コードは、よみがなを表示したり、文字スタイルを変えたり、色分けすることにより文字を判別しやすくする。特に、複数の文字種を使用する場合、混同をさけるための策が必要である。例えば、文字種に数字とアルファベットの小文字を使用した場合、判別しにくい文字として、数字の「1」とアルファベット子文字の「l(エル)」等がある。図1ではよみがなをコードの下に表示して、アルファベットの小文字の下にアンダーラインを表示している。
【0022】
変換表には備考を記入できる欄をもうけるのが望ましい。
【0023】
以下、変換表の使用方法について説明する。
【0024】
変換表は変換表ごとに異なるコードで作成して印刷することで、いつでも、異なるパスワードを作成することができる。印刷して使用する物の一例として、手帳、メモ帳、カード、付箋等があるが、印刷可能なものであれば何でも利用可能である。
【0025】
新しいパスワードが必要なときに、頭で記憶しているパスワードを用いて、そのパスワードのキーに対応するコードを目で拾いながら、キーボード等の入力装置で入力する。
【0026】
備考を変換表に記録しておき、パスワード入力が必要な時に同じ手順でパスワードを変換しながら入力する。
【0027】
備考に記入する内容はID、サービス名、URL等があるが、記入内容はヒントにとどめておくとより安全である。
【実施例】
【0028】
キーの文字種に数字とアルファベットの子文字、キーの文字数は1文字、コードの文字種に数字とアルファベットの大文字、小文字、文字数は2〜4文字を使用して作成した変換表(図1)を使用した場合。
変換前パスワードを「abcd」とした場合、「a」は「j3」、「b」は「UrG」、「c」は「tRv」、「d」は「5K」になり、結果「j3UrGtRv5K」というパスワードが作成された。
【0029】
パスワードとして入力可能な文字種に制限がある場合、コードに使用する文字をパスワードとして入力可能な文字種に限定することで対応可能である。例えば、数字のパスワードのみ設定可能な場合には(図2)の様な変換表を用いる。キーの文字種に数字とアルファベットの子文字、キーの文字数は1文字、コードの文字種に数字、文字数は2〜4文字を使用した場合。
変換前パスワードを「abcd」とした場合、「a」は「393」、「b」は「738」、「c」は「471」、「d」は「927」になり、結果「393738471927」というパスワードが作成された。
【0030】
キーに数字のみを使用することで変換表を小さくすることが可能である。(図3)
【0031】
複数のキーに同じコードを割り当てることで、変換後のパスワードから変換前のパスワードを類推されにくくすることが可能である。
変換前パスワードを「abcd」とした場合、変換後のパスワードは「5fQ5fQwIqwIq」.となった。「5fQ5fQwIqwIq」になり得る変換前のパスワードは256通りあるため変換前のパスワードを推測されにくい。(図4)
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】変換表の例
【図2】コードに数字のみを使用した変換表の例
【図3】キーに数字のみを使用した変換表の例
【図4】複数のキーに同じコードを割り当てた変換表の例
【符号の説明】
【0033】
1 キー
2 コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字を変換するための表であって、変換前の文字に対応するキー(1)の表示部と、キーに対応するランダムな文字からなるコード(2)の表示部からなることを特徴とする印刷物。
【請求項2】
請求項1を使用して、ある文字列から新たな文字列に目視で変換しながら入力することを特徴とするパスワードの管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−146539(P2010−146539A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336179(P2008−336179)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(509023702)株式会社クリエイティブ・ウェブ・システムズ (1)
【Fターム(参考)】