説明

パターンの形成方法及び半導体装置の製造方法

【課題】現在の露光光源の露光限界(解像限界)を超えるパターンサイズのパターンを被加工面に形成することができるパターンの形成方法及び半導体装置の製造方法の提供。
【解決手段】第1のレジストパターンを形成する第1のレジストパターン形成工程と、前記第1のレジストパターンの表面を覆うように、被覆材料による被覆層を形成する被覆層形成工程と、第2のレジストパターンを形成する第2のレジストパターン形成工程とを含むパターンの形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光光源の露光限界(解像限界)を超える微細パターンを形成するパターンの形成方法及びこれを用いた半導体装置の製造方法、並びにレジストパターンの被覆層の形成材料に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(半導体集積回路)等の半導体装置においては、集積度の向上に伴い、微細パターンの形成が要求されており、現在、最小パターンサイズが45nmにも達している。
【0003】
こうした半導体装置における微細パターンの形成は、100nm以下の微細パターンを形成可能な電子線を用いた露光技術により実現できるが、この電子線を用いた露光技術は、スループットが低く、低コストでの量産に適さないという問題がある。そこで、電子線を用いない露光技術において、露光装置における光源の短波長化を図ること(例えば、波長13.5nmの軟X線を光源とするEUV(極端紫外線)露光法)が検討されている。しかしながら、前記露光装置における光源の短波長化のためには、露光装置の更新が必要となり、莫大なコストを要するという問題がある。また、微細パターンの形成のためには、前記露光装置における光源の特性に応じた高解像度を有するレジスト材料の改良も必要となるが、レジスト材料の改良には限界があり、必要性能を満たすことが極めて困難となっている。よって、露光装置の更新やレジスト材料の改良を行うことなく、均一かつ微細なレジストパターンを高精度に形成可能な技術を、全く別の視点から検討することが必要とされている。
【0004】
既存の露光装置を用いながら、露光光源の露光限界(解像限界)を超える微細パターンの形成を可能とする微細なレジストパターンを形成する方法として、液浸法と呼ばれる方法がある。この液浸法は、レジストと最終投影レンズの間に空気よりも屈折率の高い液体を満たすことによって高解像度を得る手法である。しかしながら、この液浸法では、レジストの解像度が不十分であるため、次世代のhp(ハーフピッチ)32nmの微細加工を行うことが困難であるという問題がある。
【0005】
このような現状において、最近、次世代のhp(ハーフピッチ)32nmの微細加工を可能にする技術として、ダブルパターニング法が大きな注目を集めている(例えば、非特許文献1参照)。このダブルパターニング法は、第1のレジストパターンを形成し、隣接する第1のレジストパターンの間に第2のレジストパターンを形成して、レジストパターンのパターン間隔を小さくする方法である。このダブルパターニング法の中でも、特に、第1のレジスト膜の現像後にエッチングを行わずに、第2のレジスト膜の現像を行うLLE(Litho Litho Etch)と呼ばれる手法がコスト的に有利とされている。このLLEは、例えば、図1A〜Dに示すように、第1のレジスト膜1を所定のマスクパターンを用いて露光し、現像することにより(図1A)、100nmライン(L)/300nmスペース(S)(1:3)の第1のレジストパターン2を形成し(図1B)、第1のレジストパターン2上に第2のレジスト3を塗布し、第1のレジストパターン2のラインパターンから200nmずらして同じマスクパターンで露光及び現像を行うことにより(図1C)、第1のレジストパターン2を露出させると共に、第2のレジストパターン4を形成し、100nmライン(L)/100nmスペース(S)(1:1)のレジストパターンを形成するものである(図1D)。このダブルパターニング法においては、第1のレジストパターン2を溶解させずに第2のレジスト3を塗布するために、何らかの手法で第1のレジストパターン2を不活性化する「レジストフリージング」と呼ばれる技術が必要である。
前記レジストフリージング技術としては、例えば、波長172nmの短波長紫外線を照射する技術が知られている(例えば、非特許文献2参照)。しかし、この技術においては、通常のレジスト露光とは異なる特殊な工程が必要となるため、TAT(Turn Around Time)が長くなり、現実的でなく、低コストでの製造に適さないという問題がある。
また、前記レジストフリージング技術として、高温加熱を行う技術が知られている(例えば、非特許文献3参照)。しかし、この技術においては、高温加熱に対応可能なレジスト材料(特に、樹脂)に限定されてしまうため、レジスト材料の選択肢が乏しく、低コストでの製造に適さないという問題がある。
また、前記レジストフリージング技術として、架橋剤を含有するフリージング剤を活用する技術が知られている(例えば、非特許文献4参照)。しかし、この技術においては、Logic LSIのようにレジストパターンの粗密差が大きかったり、異なる形状のレジストパターンが混在する場合に、レジストパターンの被覆が均一でなくなるため、微細パターンの形成が難しいという問題がある。
また、前記レジストフリージング技術として、アミン系ガスでの処理を行う技術が知られている(例えば、非特許文献5参照)。しかし、この技術においては、第2のレジストを汚染(レジストポイゾニング)して、感度低下や残渣が生じてしまうという問題がある。
また、前記レジストフリージング技術として、水溶性樹脂及び水溶性架橋剤を含有するフリージング剤を活用する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この技術においては、形成される被覆層は、波長193nmのArFエキシマレーザ光に対する透過性が高いため、第1のレジストパターンが再露光されて現像液に溶解するという問題がある。
さらに、前記レジストフリージング技術として、金属化合物を含有するフリージング剤を活用する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この技術においては、被覆層が形成された第1のレジストパターンと第2のレジストパターンとの間で、エッチング耐性に大きな差が生じるため、加工マージンの確保が難しいという問題がある。
以上のように、従来のレジストフリージング技術を用いたダブルパターニング法によっては、高スループット且つ低コストで、微細パターンの形成を可能にする微細なレジストパターンを形成することが難しいという問題がある。
【0006】
なお、ArFエキシマレーザー光を利用でき、そのサイズ依存性なく厚肉化可能で、露光限界を超えて微細なレジスト抜けパターン等を低コストで簡便に効率よく形成可能なレジストパターン厚肉化材料が既に開示されている(例えば、特許文献3〜5参照)。しかし、これらは、ダブルパターニング法に用いることを想定していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−83537号公報
【特許文献2】特開2008−33174号公報
【特許文献3】特開2006−259692号公報
【特許文献4】特開2007−148272号公報
【特許文献5】特開2008−107788号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Optical Microlithography XXI, Proc. SPIE, 6924, 6924−8(2008)
【非特許文献2】Advances in Resist Materials and Processing Technology XXV, Proc. SPIE, 6923, 6923−79(2008)
【非特許文献3】Advances in Resist Materials and Processing Technology XXV, Proc. SPIE, 6923, 6923−16(2008)
【非特許文献4】Advances in Resist Materials and Processing Technology XXV, Proc. SPIE, 6923, 6923−17(2008)
【非特許文献5】J. Photopolym. Sci. Tecnol., 21(5), 655−663(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、第1のレジストパターンの表面に形成された被覆層が、該第1のレジストパターンが第2のレジスト組成物に溶解されるのを防ぐことにより、第1のレジストパターン上への第2のレジスト組成物の重ね塗りを可能にし、前記第2のレジスト組成物による第2のレジスト膜に照射された露光光を吸収して、第1のレジストパターンが再露光されることを防ぐことにより、第1のレジストパターンを変形することなく、第1のレジストパターンが形成されていない被加工面上に第2のレジストパターンを形成することができ、もって、現在の露光光源の露光限界(解像限界)を超えるパターンサイズのパターンを被加工面に形成することができるパターンの形成方法及び半導体装置の製造方法、並びにレジストパターンの被覆層の形成材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のパターンの形成方法は、被加工面上に第1のレジスト組成物による第1のレジストパターンを形成する第1のレジストパターン形成工程と、前記第1のレジストパターンの表面を覆うように、被覆材料による被覆層を形成する被覆層形成工程と、前記被覆層が形成された第1のレジストパターン上に、該第1のレジストパターンを溶解させないように第2のレジスト組成物を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、前記第2のレジスト膜に選択的に露光光を照射し、現像することにより、前記第1のレジストパターンを露出させると共に、前記第1のレジストパターンが形成されていない被加工面上に第2のレジストパターンを形成する第2のレジストパターン形成工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、被加工面上に第1のレジスト組成物による第1のレジストパターンを形成する第1のレジストパターン形成工程と、前記第1のレジストパターンの表面を覆うように、被覆材料による被覆層を形成する被覆層形成工程と、前記被覆層が形成された第1のレジストパターン上に、該第1のレジストパターンを溶解させないように第2のレジスト組成物を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、前記第2のレジスト膜に選択的に露光光を照射し、現像することにより、前記第1のレジストパターンを露出させると共に、前記第1のレジストパターンが形成されていない被加工面上に第2のレジストパターンを形成する第2のレジストパターン形成工程を含むことを特徴とする。
【0012】
該半導体装置の製造方法では、前記第1のレジストパターン形成工程において、被加工面上に第1のレジスト組成物による第1のレジストパターンが形成される。前記被覆層形成工程において、前記第1のレジストパターンの表面を覆うように、被覆材料による被覆層が形成される。前記第2のレジストパターン形成工程において、前記被覆層が形成された第1のレジストパターン上に、該第1のレジストパターンを溶解させないように第2のレジスト組成物が塗布されて、第2のレジスト膜が形成され、前記第2のレジスト膜に選択的に露光光が照射され、現像されることにより、前記第1のレジストパターンが露出されると共に、前記第1のレジストパターンが形成されていない被加工面上に第2のレジストパターンが形成される。ここで、前記被覆材料による被覆層が前記露光光を吸収し、その結果、第2のレジスト組成物による第2のレジスト膜に照射された露光光を吸収して、第1のレジストパターンが再露光されることを防ぐことができる。
【0013】
本発明の被覆層の形成材料は、フェノール系樹脂及びポリビニルピロリドンの少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物とを少なくとも含有する被覆層の形成材料であって、前記被覆層が、第1のレジストパターンの表面に形成され、該被覆層が形成された第1のレジストパターン上に、該第1のレジストパターンを溶解させないように第2のレジスト組成物を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、前記第2のレジスト膜に選択的に露光光を照射し、現像することにより、前記第1のレジストパターンを露出させると共に、前記第1のレジストパターンが形成されていない被加工面上に第2のレジストパターンを形成するのに用いられることを特徴とする。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、Xは、下記構造式(1)で表される官能基を表す。Yは、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。mは、1以上の整数を表し、nは、0〜3の整数を表す。mが2以上の場合、Xは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。nが2〜3の場合、Yは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【化2】

ただし、前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素又は置換基を表す。Zは、水酸基及びアルコキシ基のいずれかを表す。
【0014】
本発明の被覆層の形成材料は、水溶性樹脂と、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物とを含有する被覆層の形成材料であって、前記被覆層が、第1のレジストパターンの表面に形成され、該被覆層が形成された第1のレジストパターン上に、該第1のレジストパターンを溶解させないように第2のレジスト組成物を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、前記第2のレジスト膜に選択的に露光光を照射し、現像することにより、前記第1のレジストパターンを露出させると共に、前記第1のレジストパターンが形成されていない被加工面上に第2のレジストパターンを形成するのに用いられることを特徴とする。
【化3】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Aは、カルボキシル基を含む一価の有機基を表す。Bは、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、及びアルコキシカルボニル基のいずれかを表す。oは、1以上の整数を表し、pは、0〜3の整数を表す。oが2以上の場合、Aは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。pが2〜3の場合、Bは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【化4】

ただし、前記一般式(3)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Cは、下記構造式(1)で表される官能基を表す。Dは、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。rは、1以上の整数を表し、sは、0〜3の整数を表す。rが2以上の場合、Cは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。sが2〜3の場合、Dは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【化5】

ただし、前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素又は置換基を表す。Zは、水酸基及びアルコキシ基のいずれかを表す。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、第1のレジストパターンの表面に形成された被覆層が、該第1のレジストパターンが第2のレジスト組成物に溶解されるのを防ぐことにより、第1のレジストパターン上への第2のレジスト組成物の重ね塗りを可能にすると共に、前記第2のレジスト組成物による第2のレジスト膜に照射された露光光を吸収して、第1のレジストパターンが再露光されることを防ぐことにより、第1のレジストパターンを変形することなく、第1のレジストパターンが形成されていない被加工面上に第2のレジストパターンを形成することができ、もって、現在の露光光源の露光限界(解像限界)を超えるパターンサイズのパターンを被加工面に形成することができるパターンの形成方法及び半導体装置の製造方法、並びに、レジストパターンの被覆層の形成材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、従来のダブルパターニング方法の一例を説明するための概略図であり、第1のレジストを露光した状態を表す。
【図1B】図1Bは、従来のダブルパターニング方法の一例を説明するための概略図であり、第1のレジストパターンを形成した状態を表す。
【図1C】図1Cは、従来のダブルパターニング方法の一例を説明するための概略図であり、第2のレジストを露光した状態を表す。
【図1D】図1Dは、従来のダブルパターニング方法の一例を説明するための概略図であり、第2のレジストパターンを形成した状態を表す。
【図2A】図2Aは、本発明の半導体装置の製造方法における第1のレジストパターン形成工程の一例を説明するための概略図であり、第1のレジスト膜を露光した状態を表す。
【図2B】図2Bは、本発明の半導体装置の製造方法における第1のレジストパターン形成工程の一例を説明するための概略図であり、第1のレジストパターンを形成した状態を表す。
【図2C】図2Cは、本発明の半導体装置の製造方法における被覆層形成工程の一例を説明するための概略図であり、被覆材料を塗布した状態である。
【図2D】図2Dは、本発明の半導体装置の製造方法における被覆層形成工程の一例を説明するための概略図であり、被覆層を形成した状態である。
【図2E】図2Eは、本発明の半導体装置の製造方法における第2のレジストパターン形成工程の一例を説明するための概略図であり、第2のレジスト膜を露光した状態を表す。
【図2F】図2Fは、本発明の半導体装置の製造方法における第2のレジストパターン形成工程の一例を説明するための概略図であり、第2のレジストパターンを形成した状態を表す。
【図3】図3は、比較例1及び2で形成されたレジストパターンを説明するための概略図である。
【図4A】図4Aは、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、シリコン基板上に層間絶縁膜を形成した状態を表す。
【図4B】図4Bは、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、図4Aに示す層間絶縁膜上にチタン膜を形成した状態を表す。
【図4C】図4Cは、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、チタン膜上にレジスト膜を形成し、チタン層にホールパターンを形成した状態を表す。
【図4D】図4Dは、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、ホールパターンを層間絶縁膜にも形成した状態を表す。
【図4E】図4Eは、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、ホールパターンを形成した層間絶縁膜上にCu膜を形成した状態を表す。
【図4F】図4Fは、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、ホールパターン上以外の層間絶縁膜上に堆積されたCuを除去した状態を表す。
【図4G】図4Gは、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、ホールパターン内に形成されたCuプラグ上及び層間絶縁膜上に層間絶縁膜を形成した状態を表す。
【図4H】図4Hは、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、表層としての層間絶縁膜にホールパターンを形成し、Cuプラグを形成した状態を表す。
【図4I】図4Iは、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、三層構造の配線を形成した状態を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(半導体装置の製造方法)
本発明の半導体装置の製造方法は、第1のレジストパターン形成工程と、被覆層形成工程と、第2のレジストパターン形成工程とを少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程とを含んでなる。
【0018】
−第1のレジストパターン形成工程−
前記第1のレジストパターン形成工程は、被加工面上に第1のレジスト組成物による第1のレジストパターンを形成する工程である。
【0019】
前記第1のレジストパターンは、公知の方法(露光法、ナノインプリント法など)に従って形成することができる。
【0020】
前記第1のレジスト組成物としては、特に制限はなく、公知のレジスト材料の中から目的に応じて適宜選択することができ、ネガ型、ポジ型のいずれであってもよく、例えば、ArFエキシマレーザーでパターニング可能なArFレジストが好適に挙げられる。これらは、化学増幅型であってもよいし、非化学増幅型であってもよい。
【0021】
前記第1のレジスト組成物の具体例としては、アダマンチル基を側鎖に有するアクリル系レジスト、シクロオレフィン−マレイン酸無水物系(COMA系)レジスト、シクロオレフィン系レジスト、ハイブリッド系(脂環族アクリル系−COMA系共重合体)レジスト、などの脂環族系ArFエキシマレーザ露光対応レジストが挙げられる。これらは、フッ素修飾等されていてもよい。
なお、液浸露光を行うために、前記第1のレジスト組成物による第1のレジスト膜の上にトップコートを塗布してもよく、また、液浸露光対応ArFレジストを用いてもよい。
【0022】
前記第1のレジストパターンの形成方法、大きさ、厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、特に厚みについては、加工対象である被加工面、エッチング条件等により適宜決定することができるが、一般に、100nm〜700nm程度である。
【0023】
前記第1のレジストパターンは、被加工面(基材)上に形成することができ、該被加工面(基材)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該レジストパターンが半導体装置等の電子デバイスに形成される場合には、該被加工面(基材)としては、半導体基材表面が挙げられ、前記レジストパターンが磁気ヘッド等の製造に利用される場合は合金基板表面が挙げられ、具体的には、シリコンウエハ、AlTiCウエハなどの基板、各種酸化膜等が好適に挙げられる。
【0024】
−被覆層形成工程−
前記被覆層形成工程は、第1のレジストパターンの表面を覆うように、被覆材料による被覆層を形成する工程である。
【0025】
前記被覆材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、(i)樹脂成分と、下記一般式(1)で表される化合物とを少なくとも含む第1の被覆材料、(ii)樹脂成分と、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物とを少なくとも含む第2の被覆材料などが好ましい。
【0026】
【化6】

【0027】
【化7】

【0028】
【化8】

【0029】
−−第1の被覆材料−−
前記第1の被覆材料は、樹脂成分と、前記一般式(1)で表される化合物とを少なくとも含有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、界面活性剤、有機溶剤、その他の成分などを含有してなる。
前記樹脂成分は、前記被覆材料の基材となり得る樹脂のことであり、以降、基材樹脂と称することがある。
【0030】
−−−基材樹脂−−−
前記基材樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、ポリパラヒドロキシスチレン及びノボラック樹脂等のフェノール系樹脂、ポリビニルピロリドン、スチレン−マレイン酸共重合体、アルキッド樹脂、これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、被覆層形成する際に、より広い範囲の溶剤乃至試薬と組み合わせることができる点で、ポリパラヒドロキシスチレンが好ましい。
【0031】
−−−一般式(1)で表される化合物−−−
前記一般式(1)で表される化合物としては、芳香族環を構造の一部に有し、下記一般式(1)で表される限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。該芳香族環を有することにより、前記樹脂が環状構造を一部に有していない場合にも、後述する第2のレジスト組成物による第2のレジスト膜に照射される露光光(例えば、ArF光)を吸収できる点で有利である。
【0032】
【化9】

ただし、前記一般式(1)中、Xは、下記構造式(1)で表される官能基を表す。
Yは、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、 ブトキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシ基が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基などの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシカルボニル基が挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。
mは、1以上の整数を表し、mが2以上の場合、Xは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
nは、0〜3の整数を表し、nが2〜3の場合、Yは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0033】
【化10】

ただし、前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素又は置換基を表す。Zは、水酸基及びアルコキシ基のいずれかを表す。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、 ブトキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシ基が挙げられる。
【0034】
前記構造式(1)中、R及びRは、水素であるのが好ましい。該R及びRが水素であると、水溶性の面で有利であることが多い。
前記構造式(1)中、R及びRが前記置換基である場合、該置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン(アルキルカルボニル)基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、などが挙げられる。
【0035】
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、ベンジルアルコール構造を有する化合物、などが好適に挙げられる。
前記ベンジルアルコール構造を有する化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシベンジルアルコール(サリチルアルコール)、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2,4−ジヒドロキシベンジルアルコール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、4−メトキシメチルフェノール、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
一方、ベンジルアルコール構造と類似する構造を有するベンジルアミン誘導体は、被覆層形成には問題ないものの、第2のレジストパターン形成時に、レジストポイゾニングとして知られるレジスト中の酸による脱保護反応を阻害する可能性が高く、こうした阻害反応を起こさない程度の含有量に抑えるなど、使用に際しては注意が必要となる。
前記一般式(1)で表される化合物の含有量としては、基材樹脂、その他成分の種類、含有量、などに応じて適宜決定することができるが、基材樹脂100質量部に対して、12.5質量部以上であることが好ましい。含有量が12.5質量部より少ない場合には、第2のレジストを塗布する際に、形成された第1のレジストパターンを溶解させてしまう場合がある。
【0037】
−−−界面活性剤−−−
前記界面活性剤は、被覆材料の塗布性を向上させたい場合、被覆材料とレジストパターンとの馴染みを改善したい場合、被覆材料とレジストパターンとの界面における被覆効果の面内均一性を向上させたい場合、消泡性が必要な場合、などに添加すると、これらの要求を実現することができる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、より具体的には、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン縮合系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレン誘導体系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤、第1級アルコールエトキシレート系界面活性剤、フェノールエトキシレート系界面活性剤、ノニルフェノールエトキシレート系界面活性剤、オクチルフェノールエトキシレート系界面活性剤、ラウリルアルコールエトキシレート系界面活性剤、オレイルアルコールエトキシレート系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤、アミド系界面活性剤、天然アルコール系界面活性剤、エチレンジアミン系界面活性剤、第2級アルコールエトキシレート系界面活性剤、アルキルカチオン系界面活性剤、アミド型4級カチオン系界面活性剤、エステル型4級カチオン系界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ナトリウム塩、カリウム塩などの金属イオンを含有しない点で非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0038】
前記非イオン性界面活性剤としては、アルコキシレート系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤、アミド系界面活性剤、アルコール系界面活性剤、エチレンジアミン系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤から選択されるものが好適に挙げられる。なお、これらの具体例としては、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物化合物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレン誘導体化合物、ソルビタン脂肪酸エステル化合物、グリセリン脂肪酸エステル化合物、第1級アルコールエトキシレート化合物、フェノールエトキシレート化合物、などが好適に挙げられる。
また、イオン性界面活性剤であっても、非金属塩系であればここに列挙した以外の種類のものであっても良く、それらに代替しても基本的効果は、同様に得られると考えられる。
【0039】
前記界面活性剤の前記被覆材料における含有量としては、特に制限はなく、前記樹脂、前記一般式(1)で表される化合物等の種類や含有量などに応じて適宜選択することができるが、例えば、前記被覆材料100質量部に対し、0.005質量部以上であるのが好ましく、反応量と面内均一性とに優れる点で、0.05質量部〜2質量部がより好ましく、0.08質量部〜0.25質量部が更に好ましい。
前記含有量が0.005質量部未満であると、塗布性の向上には効果があるものの、レジストパターンとの反応量については、界面活性剤を入れない場合と大差がないことが多い。
【0040】
−−−有機溶剤−−−
前記有機溶剤としては、基材樹脂及び一般式(1)で表される化合物を溶解するものの、第1のレジストパターンを溶解しない溶剤であれば、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数2以上のグリコール系溶剤などが好ましい。前記炭素数4以上のアルコール系溶剤としては、イソブタノール、n−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノールなどが挙げられ、前記炭素数2以上のグリコール系溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。また、塗布時の急速な乾燥も抑えられ、塗布に好適である点で、80℃〜200℃程度の沸点を有する有機溶剤が好ましい。
【0041】
−−−その他の成分−−−
前記その他の成分としては、本発明の効果を害しない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の各種添加剤、例えば、相間移動触媒、芳香族化合物、芳香族化合物を一部に有してなる樹脂、熱酸発生剤、アミン系、アミド系、等に代表されるクエンチャーなどが挙げられる。
前記その他の成分の前記被覆材料における含有量としては、前記基材樹脂、前記一般式(1)で表される化合物、前記界面活性剤等の種類や含有量などに応じて適宜決定することができる。
【0042】
−−第2の被覆材料−−
前記第2の被覆材料は、樹脂成分と、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物とを少なくとも含有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、界面活性剤、溶剤、その他の成分などを含有してなる。
前記樹脂成分は、前記被覆材料の基材となり得る樹脂のことであり、以降、基材樹脂と称することがある。
【0043】
−−−基材樹脂−−−
前記基材樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、例えば、ポリビニルルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、セルロース、タンニン等の水溶性樹脂、これらの混合物などが挙げられる。
【0044】
−−−一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物−−−
前記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物としては、芳香族炭化水素化合物を構造の一部に有し、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。該芳香族炭化水素化合物を有することにより、後述する第2のレジスト組成物による第2のレジスト膜に照射される露光光(例えば、ArF光)を吸収できる点で有利である。
【0045】
【化11】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Aは、カルボキシル基を含む一価の有機基を表す。Bは、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、及びアルコキシカルボニル基のいずれかを表す。
oは、1以上の整数を表し、架橋反応の発生を抑制して反応を容易に制御することができる点で1であるのが好ましい。なお、oが2以上の場合、Aは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
pは、0〜3の整数を表し、水溶性の点で0〜2が好ましい。なお、pが2〜3の場合、Bは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0046】
前記一般式(2)中、Rとしては、芳香族炭化水素化合物を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記芳香族炭化水素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、芳香族環を含んでいるのが好ましく、該芳香環としては、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、などが挙げられる。
【0047】
前記一般式(2)中、Aとしては、カルボキシル基を含む一価の有機基である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水溶性の点で、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、カルボニル基、及びアルコキシカルボニル基から選択される2種以上を同時に含むものが好ましく、これらの中でも、水酸基を同時に含むものがより好ましい。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、 ブトキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシ基が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基などの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0048】
前記一般式(2)中、Bとしては、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、及びアルコキシカルボニル基の少なくともいずれかであることが必要であり、これらの中でも、水溶性の点で、水酸基であることが好ましい。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、 ブトキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシ基が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n− プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基などの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0049】
前記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、マンデル酸、フェニル乳酸、ヒドロキシフェニルピルビン酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシジメチルフェニルプロピオン酸、フェニルグルタリン酸、フェニレンジプロピオン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
【化12】

ただし、前記一般式(3)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Cは、下記構造式(1)で表される官能基を表す。Dは、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。
rは、1以上の整数を表す。なお、rが2以上の場合、Cは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
sは、0〜3の整数を表す。なお、sが2〜3の場合、Dは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0051】
前記一般式(3)中、Rとしては、芳香族炭化水素化合物である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記芳香族炭化水素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、芳香族環を含んでいるのが好ましく、該芳香環としては、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。
【0052】
前記一般式(3)中、Cとしては、下記構造式(1)で表される官能基である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0053】
【化13】

ただし、前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素又は置換基を表す。Zは、水酸基及びアルコキシ基のいずれかを表す。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、 ブトキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシ基が挙げられる。
前記構造式(1)中、R及びRは、水素であるのが好ましい。該R及びRが水素であると、水溶性の面で有利であることが多い。
前記構造式(1)中、R及びRが前記置換基である場合、該置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン(アルキルカルボニル)基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、などが挙げられる。
【0054】
前記一般式(3)中、Dとしては、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基の少なくともいずれかであることが必要であり、これらの中でも、水溶性の点で、水酸基であることが好ましい。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、 ブトキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシ基が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n− プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基などの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルコキシカルボニル基が挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。
【0055】
前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシベンジルアルコール(サリチルアルコール)、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2,4−ジヒドロキシベンジルアルコール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、4−メトキシメチルフェノール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一方、ベンジルアルコール構造と類似する構造を有するベンジルアミン誘導体の場合は、被覆膜形成には問題ないものの、第2のレジストパターン形成時に、レジストポイゾニングとして知られるレジスト中の酸による脱保護反応を阻害する可能性が高く、微細パターン形成のためには、使用を避けた方が無難であると考えられる。
【0056】
前記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物の含有量としては、基材樹脂及びその他成分の種類及び含有量などに応じて適宜決定することができるが、基材樹脂1質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。含有量が0.01質量部より少ない場合には、被覆層の形成によるレジストの重ね塗りには支障がないが、形成された被覆層中の芳香族化合物成分が少ないために、後述する第2のレジスト組成物による第2のレジスト膜に照射される露光光(例えば、ArF光)に対する吸収が不足し、該露光光(例えば、ArF光)を吸収して、第1のレジストパターンが再露光されることを防止できなくなる。また、含有量が10質量部より多い場合には、露光光(例えば、ArF光)の吸収に支障はないが、被覆性が劣化し、微細なレジストパターンの形成が難しくなる。
【0057】
−−−界面活性剤−−−
前記界面活性剤は、上述した通りであり、第1の被覆材料における界面活性剤と同様である。
【0058】
−−−溶剤−−−
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水が挙げられる。該水としては、純水(脱イオン水)などが好適に挙げられる。
また、被覆材料のレジストパターンへの塗布性向上、前記基材樹脂、前記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物、その他の添加成分等の溶解を補助する目的で、少量の有機溶剤を添加することもできる。
【0059】
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール系有機溶剤、鎖状エステル系有機溶剤、環状エステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、鎖状エーテル系有機溶剤、環状エーテル系有機溶剤、などが挙げられる。
前記アルコール系有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、などが挙げられる。
前記鎖状エステル系有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、などが挙げられる。
前記環状エステル系有機溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン系有機溶剤、などが挙げられる。
前記ケトン系有機溶剤としては、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、ヘプタノン等のケトン系有機溶剤、などが挙げられる。
前記鎖状エーテル系有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、などが挙げられる。
前記環状エーテル系有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、などが挙げられる。
これらの有機溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、被覆層を精細に形成可能な点で、80〜200℃程度の沸点を有するものが好ましい。
前記有機溶剤の含有量としては、前記基材樹脂、前記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物、前記界面活性剤、及びその他成分の種類や含有量などに応じて適宜決定することができるが、溶媒の主成分である水100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。前記有機溶剤の含有量が、水100質量部に対して、10質量部を超えると、有機溶剤の種類によっては、第1のレジストパターンを溶解してしまうことがある。
【0060】
−−−その他の成分−−−
前記その他の成分としては、本発明の効果を害しない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の各種添加剤、例えば、相間移動触媒、芳香族化合物、芳香族化合物を一部に有してなる樹脂、熱酸発生剤、アミン系、アミド系、等に代表されるクエンチャーなどが挙げられる。
前記その他の成分の前記被覆材料における含有量としては、前記基材樹脂、前記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物、前記界面活性剤等の種類や含有量などに応じて適宜決定することができる。
【0061】
−−被覆層−−
前記被覆層は、前記被覆材料により形成されたものであり、例えば、前記第1のレジストパターンの表面を覆うように、前記被覆材料を塗布することにより形成される。
【0062】
前記被覆材料の塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の塗布方法の中から適宜選択することができ、例えば、スピンコート法等が好適に挙げられる。該スピンコート法の場合、その条件としては、例えば、回転数が100〜10,000rpm程度であり、800〜5,000rpmが好ましく、時間が1秒間〜10分間程度であり、1秒間〜90秒間が好ましい。
前記塗布の際の塗布厚みとしては、通常、10nm〜1,000nm程度であり、100nm〜500nm程度が好ましい。
なお、前記塗布の際、前記界面活性剤については、前記被覆材料に含有させずに、該被覆材料を塗布する前に別途に塗布してもよい。
【0063】
前記塗布の際乃至その後で、塗布した前記被覆材料を加熱(プリベーク:加温及び乾燥)するのが好ましい。この場合、前記第1のレジストパターンと前記被覆材料との界面において該被覆材料の該第1のレジストパターンへのミキシング(含浸)を効率よく生じさせることができる。
なお、前記プリベーク(加温及び乾燥)の条件、方法等としては、第1のレジストパターンを軟化させない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、その回数としては、1回であってもよいし、2回以上であってもよい。2回以上の場合、各回におけるプリベークの温度は、一定であってもよいし、異なっていてもよく、前記一定である場合、40〜150℃程度が好ましく、70℃〜120℃がより好ましく、また、その時間としては、10秒間〜5分間程度が好ましく、40秒間〜100秒間がより好ましい。
【0064】
また、必要に応じて、前記プリベーク(加温及び乾燥)の後で、更に加熱し、塗布した前記被覆材料の反応を促進する反応ベークを行うことも、前記レジストパターンと被覆材料との界面において前記ミキシング(含浸)した部分の反応を効率的に進行させることもできる等の点で好ましい。
なお、前記反応ベークの条件、方法等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記プリベーク(加温及び乾燥)よりも通常高い温度条件が採用される。前記反応ベークの条件としては、例えば、温度が70℃〜150℃程度であり、90℃〜130℃が好ましく、時間が10秒間〜5分間程度であり、40秒間〜100秒間が好ましい。
【0065】
更に、前記反応ベークの後で、塗布した前記被覆材料に対し、現像(未反応部の除去)処理を行うのが好ましい。この場合、塗布した被覆材料の内、前記第1のレジストパターンと相互作用(ミキシング)及び反応していない部分乃至相互作用(ミキシング)が弱い部分(アルカリ可溶性乃至水溶性の高い部分)を溶解除去し、被覆層が形成された第1のレジストパターンを現像する(得る)ことができる点で好ましい。
前記現像処理に用いる現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ現像液、水(純水)が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、併用してもよい。これらによる現像処理では、新たな薬液ラインの設置が不要であり、レジスト現像カップを共用することができ、装置コストの低減を図ることができる。
前記アルカリ現像液としては、例えば、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液が好適に挙げられる。
【0066】
−−−第1の被覆材料による被覆層−−−
前記第1の被覆材料による被覆層は、例えば、基材樹脂としてのフェノール性樹脂及びポリビニルピロリドンの少なくともいずれかと、反応を制御しやすい(架橋反応を起こさない)ベンジルアルコール系化合物と、を有機溶剤に溶解させた被覆材料を、第1のレジストパターンに塗布することにより形成される。前記第1の被覆材料による被覆層は、レジストの重ね塗りによる第1のレジストパターンと第2のレジスト組成物との相互作用(ミキシング)を防ぐことができると共に、後述する第2のレジスト組成物による第2のレジスト膜に照射される露光光(例えば、ArF光)を吸収して、第1のレジストパターンが再露光されることを防ぐことができる。
【0067】
前記第1の被覆材料による被覆層の具体例を以下に説明する。
ArFレジストによる第1のレジストパターン(例えば、32nmライン(L)/96nmスペース(S))を形成後、基材樹脂としてのポリパラヒドロキシスチレンと、添加剤としての2−ヒドロキシベンジルアルコール及びイソブタノールとを混合して調製した被覆材料を塗布し、ベークして、第1のレジストパターン上に被覆層を形成する。この時、第1のレジストパターンと被覆材料との界面では、ミキシングが起こり、該ミキシングした部分で2−ヒドロキシベンジルアルコールが近傍のポリパラヒドロキシスチレンと反応する。この後、弱いアルカリ水溶液で現像することによって、反応が弱くアルカリ可溶性の高い部分が溶解し、被覆層が形成された第1のレジストパターンが形成される。この被覆材料が染み込んで反応した部分には、ポリパラヒドロキシスチレン及び2−ヒドロキシベンジルアルコールによる芳香族環が含まれるため、ArF光の透過率が低くなると同時に、被覆材料と第2のレジスト組成物とがミキシングすることがないため、重ね塗りが可能となる。
【0068】
−−−第2の被覆材料による被覆層−−−
前記第2の被覆材料による被覆層は、基材樹脂としてのポリビニルアルコール等の水溶性樹脂と、反応を制御しやすい(架橋反応を起こさない)ベンジルアルコール系化合物、カルボン酸を含むフェニル乳酸などの芳香族炭化水素化合物を有する水溶性化合物とを、主溶剤である水に溶解させた被覆材料を第1のレジストパターンに塗布することにより形成される。前記第2の被覆材料による被覆層は、レジストの重ね塗りによる第1のレジストパターンと第2のレジスト組成物との相互作用(ミキシング)を防ぐことができると共に、後述する第2のレジスト組成物による第2のレジスト膜に照射される露光光(例えば、ArF光)を吸収して、第1のレジストパターンが再露光されることを防ぐことができる。
【0069】
前記第2の被覆材料による被覆層の具体例を以下に説明する。
ArFレジストによる第1のレジストパターン(例えば、32nmライン(L)/96nmスペース(S))を形成後、基材樹脂としてのポリビニルアルコールと、添加剤としてのヒドロキシベンジルアルコールとを水に溶解し調製した被覆材料を塗布し、ベークして、第1のレジストパターン上に被覆層を形成する。この時、第1のレジストパターンと被覆材料との界面では、ミキシングが起こり、該ミキシングした部分でヒドロキシベンジルアルコールが近傍のポリビニルアルコールと反応する。この後、水で現像することによって、反応が弱く水溶性の高い部分が溶解し、被覆層が形成された第1のレジストパターンが形成される。この被覆材料が染み込んで反応した部分には、ヒドロキシベンジルアルコールによる芳香族環が含まれるため、ArF光の透過率が低くなると同時に、被覆材料と第2のレジスト組成物とがミキシングすることがないため、重ね塗りが可能となる。
【0070】
−第2のレジストパターン形成工程−
前記第2のレジストパターン形成工程は、前記被覆層が形成された第1のレジストパターン上に、該第1のレジストパターンを溶解させないように第2のレジスト組成物を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、前記第2のレジスト膜に選択的に露光光を照射し、現像することにより、前記第1のレジストパターンを露出させると共に、前記第1のレジストパターンが形成されていない被加工面上に第2のレジストパターンを形成する工程である。
【0071】
前記第2のレジストパターンは、公知の方法で、第2のレジスト組成物を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、前記第2のレジスト膜に選択的に露光光を照射し、現像することにより形成することができる。
【0072】
前記第2のレジスト組成物としては、特に制限はなく、公知のレジスト材料の中から目的に応じて適宜選択することができ、前記第1のレジスト組成物の例として挙げたものを用いることができる。また、第2のレジスト組成物は、第1のレジスト組成物と同じであっても異なっていてもよい。
【0073】
前記第2のレジストパターンの形成方法、大きさ、厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、特に厚みについては、加工対象である被加工面、エッチング条件等により適宜決定することができるが、一般に、100nm〜700nm程度である。
【0074】
前記第2のレジストパターン形成工程において、例えば、被覆層が形成された第1のレジストパターンの上に、第2のレジスト膜を形成し、第1のレジストパターンに対して64nmずらしたマスク(32nmライン(L)/96nmスペース(S))を用い、アライメントを調整し、露光、露光後ベーク(PEB)、及び現像を行って、第2のレジストパターンを第1のレジストパターンが形成されていない部分(第1のレジストパターンの抜き部分)に形成する。その結果、現状では形成不可能な32nmライン(L)/32nmスペース(S)の微細なレジストパターンを形成することができる。
【0075】
−その他の工程−
前記その他の工程としては、例えば、パターニング工程、界面活性剤塗布工程などが好適に挙げられる。
前記パターニング工程は、前記第1及び第2のレジストパターンをマスクとして(マスクパターン等として用いて)、前記被加工面をエッチングによりパターニングする工程である。
前記エッチングの方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ドライエッチングが好適に挙げられる。該エッチングの条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記界面活性剤塗布工程は、前記被覆層形成工程の前に、前記第1のレジストパターンの表面に前記界面活性剤を塗布する工程である。
【0076】
前記界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、上述したものが好適に挙げられ、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物化合物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレン誘導体化合物、ソルビタン脂肪酸エステル化合物、グリセリン脂肪酸エステル化合物、第1級アルコールエトキシレート化合物、フェノールエトキシレート化合物、ノニルフェノールエトキシレート化合物、オクチルフェノールエトキシレート化合物、ラウリルアルコールエトキシレート化合物、オレイルアルコールエトキシレート化合物、脂肪酸エステル系、アミド系、天然アルコール系、エチレンジアミン系、第2級アルコールエトキシレート系、アルキルカチオン系、アミド型4級カチオン系、エステル型4級カチオン系、アミンオキサイド系、ベタイン系、シリコーン系、などが挙げられる。
【0077】
ここで、本発明の半導体装置の製造方法について以下に図面を参照しながら説明する。
図2A〜図2Fに示すように、基板20の被加工面上に形成されたレジスト膜21に露光及び現像を行って(図2A)、第1のレジストパターン22を形成し(図2B)、被覆材料23を塗布し(図2C)、ベーク及び現像を行って第1のレジストパターン22上に被覆層25を形成する(図2D)。
被覆層25の上に、第2のレジスト組成物を塗布して、第2のレジスト膜26を形成し、第1のレジストパターン25が形成されていない基板20の被加工面(第1のレジストパターン25の抜き部分)上に第2のレジストパターンが形成されるようにずらしたマスクを用い、アライメントを調整して、露光、露光後ベーク(PEB)、及び現像を行って(図2E)、第2のレジストパターン27を第1のレジストパターン25の抜き部分に形成する(図2F)。これにより、微細なレジストパターンが形成され、現状では形成不可能な微細パターンを被加工面に形成することができる。
【0078】
また、後述する実施例においては、半導体デバイスの製造方法を取り上げたが、本発明の効果は、微細パターンを有する以下のそれぞれに対しても適用して同様の作用によって得られる。例として、マスクパターン、レチクルパターン、磁気ヘッド、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、SAWフィルタ(弾性表面波フィルタ)等の機能部品、光配線の接続に利用される光部品、マイクロアクチュエータ等の微細部品などが挙げられる。
本発明の半導体装置の製造方法によると、例えば、フラッシュメモリ、ロジックデバイス、DRAM、FRAM、などを初めとする各種半導体装置を効率的に製造することができる。
【0079】
(被覆層の形成材料)
本発明の被覆層の形成材料の第1の態様は、本発明の半導体装置の製造方法に用いられる被覆層の形成材料であって、基材樹脂としてのフェノール系樹脂及びポリビニルピロリドンの少なくともいずれかと、下記一般式(1)で表される化合物とを少なくとも含有する被覆層の形成材料である。
【0080】
【化14】

ただし、前記一般式(1)中、Xは、下記構造式(1)で表される官能基を表す。Yは、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。mは、1以上の整数を表し、nは、0〜3の整数を表す。mが2以上の場合、Xは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。nが2〜3の場合、Yは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0081】
【化15】

ただし、前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素又は置換基を表す。Zは、水酸基及びアルコキシ基のいずれかを表す。
なお、基材樹脂、前記一般式(1)で表される化合物については、上述した通りである。
【0082】
本発明の被覆層の形成材料の第2の態様は、本発明の半導体装置の製造方法に用いられる被覆層の形成材料であって、基材樹脂としての水溶性樹脂と、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物とを含有する被覆層の形成材料である。
【0083】
【化16】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Aは、カルボキシル基を含む一価の有機基を表す。Bは、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、及びアルコキシカルボニル基のいずれかを表す。oは、1以上の整数を表し、pは、0〜3の整数を表す。oが2以上の場合、Aは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。pが2〜3の場合、Bは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0084】
【化17】

ただし、前記一般式(3)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Cは、下記構造式(1)で表される官能基を表す。Dは、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。rは、1以上の整数を表し、sは、0〜3の整数を表す。rが2以上の場合、Cは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。sが2〜3の場合、Dは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0085】
【化18】

ただし、前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素又は置換基を表す。Zは、水酸基及びアルコキシ基のいずれかを表す。
なお、基材樹脂、前記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物については、上述した通りである。
【実施例】
【0086】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0087】
(実施例1)
−被覆材料1の調整−
表1に示す組成を有する、非水系であり、架橋剤を含まない被覆材料A〜Lを調製した。
なお、表1において、「A」〜「L」は、被覆材料A〜Lに対応している。前記被覆材料A〜Lの内、前記被覆材料Aは、比較例に相当し、前記被覆材料B〜Lは、実施例(本発明)に相当する。表1のカッコ内の数値の単位は、「質量部」を表す。
前記被覆材料B〜Lの「一般式(1)で表される化合物」の欄における、ベンジルアルコールの誘導体は、下記一般式(1)で表される化合物であり、「2−ヒドロキシベンジルアルコール」、「4−ヒドロキシベンジルアルコール」及び「2,4−ジヒドロキシベンジルアルコール」は、関東化学社製である。
【0088】
【化19】

ただし、前記一般式(1)中、Xは、下記構造式(1)で表される官能基を表す。Yは、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。mは、1以上の整数を表し、nは、0〜3の整数を表す。mが2以上の場合、Xは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。nが2〜3の場合、Yは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0089】
【化20】

ただし、前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素又は置換基を表す。Zは、水酸基及びアルコキシ基のいずれかを表す。
【0090】
また、「樹脂」の欄における「PHS」は、ポリパラヒドロキシスチレン樹脂(「マルカリンカー」;丸善石油化学製)を表し、「PVPd」は、ポリビニルピロリドン樹脂(「PVPd K=30」;関東化学製)を表す。「poly(HS90−Pd10)」は、ヒドロキシスチレン−ビニルピロリドン共重合体(分子量=6,800)を表し、定法に従ってAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)をラジカル開始剤とした重合反応により合成した。「ノボラック樹脂」は、日本ゼオン製である。
「溶剤」の欄における、「イソブタノール」は、東京化成製であり、「エチレングリコール」は、関東化学製であり、「ジイソペンチルエーテル」は、東京化成製であり、「3−メチル−3−ペンタノール」は、東京化成製である。
「界面活性剤」の欄における、「KP−341」は、シリコーン系非イオン性界面活性剤(信越化学工業製)を表し、「PC−6」は、非イオン性界面活性剤(ADEKA製、多核フェノール系界面活性剤)を表す。
【0091】
【表1】

【0092】
(実施例2)
−被覆層1の形成−
実施例1で調整した被覆材料A〜Lを、表2に示す脂環族ArFレジストa〜cにより形成されたレジストパターン(150nmライン(L)/150nmスペース(S))上に、スピンコート法により、初めに1,000rpm/5sの条件で、次に3,500rpm/40sの条件で塗布した後、110℃/60sの条件でベークを行った。
次いで、被覆材料A〜E及びI〜L(樹脂としてPHS又はノボラック樹脂を用いた被覆材料)については、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)アルカリ現像液で60秒リンスした後、純水で60秒間リンスし、それぞれ相互作用(ミキシング)していない未反応部を除去した。また、被覆材料F〜H(樹脂としてPVPdを用いた被覆材料)については、純水で60秒間リンスを行うか、又は2.38%TMAHで60秒間リンスを行った後、純水で60秒間リンスし、それぞれ相互作用(ミキシング)していない未反応部を除去した。
なお、表2において、「脂環族ArFレジスト」の欄における「a」は、FJ25(東京応化工業社製)を表し、「b」は、GAR−8109D05(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を表し、「c」は、XP−7089D(ロームアンドハース社製)を表す。
その後、レジスト溶剤として汎用されるプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を、被覆層が形成されたレジストパターンの全面を覆うように滴下し、スピンオフ後、110℃/60sの条件でベークし、レジストパターンが溶解していないかを判定した。表2中、レジストパターンが溶解した場合を×、溶解しなかった場合を○、一部パターンの変形が見られた(一部溶解した)場合を△とした。
【0093】
【表2】

【0094】
以上のように、本発明の被覆材料B〜Lを使用することによって、レジストパターン上にレジスト溶剤に溶解しない被覆層の形成が確認できた。
【0095】
(実施例3)
−レジストパターン1の形成−
ARC29(日産化学工業社製)が下層反射防止膜として塗布されたSiウエハ上に、膜厚200nmになるように、レジストaをスピンコートし、ベークした。次に、ArF露光装置を用いて、130nmライン(L)/470nmスペース(S)の第1のレジストパターンを形成し、実施例1で調製した被覆材料Cを第1のレジストパターンのライン部分(レジスト部分)上に一様に塗布して、被覆層を形成した。次に、測長SEM(日立S−6100S)を用いて第1のレジストパターンのライン部分の幅を計測したところ、150nmであり、スペース部分の幅は、450nmであった。
続いて、再度、レジストaを先と同じ条件でスピンコートし、ベークした後、形成済みの第1のレジストパターンに対して300nmずらしたマスク(150nmライン(L)/450nmスペース(S))を用い、露光、ベーク及び現像を行って、150nmライン(L)/450nmスペース(S)の第2のレジストパターンを形成した。その結果、150nmライン(L)/150nmスペース(S)のレジストパターン1を形成することができた。
【0096】
(実施例4)
−レジストパターン2の形成−
ARC29(日産化学工業社製)が下層反射防止膜として塗布されたSiウエハ上に、膜厚200nmになるように、レジストbをスピンコートし、ベークした。次に、ArF露光装置を用いて、140nmライン(L)/460nmスペース(S)の第1のレジストパターンを形成し、実施例1で調製した被覆材料Gを第1のレジストパターンのライン部分(レジスト部分)上に一様に塗布して、被覆層を形成した。次に、測長SEM(日立S−6100S)を用いて第1のレジストパターンのライン部分の幅を計測したところ、150nmであり、スペース部分は、450nmであった。
続いて、再度、レジストbを先と同じ条件でスピンコートし、ベークした後、形成済みの第1のレジストパターンに対して300nmずらしたマスク(150nmライン(L)/450nmスペース(S))を用い、露光、ベーク及び現像を行って、150nmライン(L)/450nmスペース(S)の第2のレジストパターンを形成した。その結果、150nmライン(L)/150nmスペース(S)のレジストパターン2を形成することができた。
【0097】
(実施例5)
−レジストパターン3の形成−
ARC29(日産化学工業社製)が下層反射防止膜として塗布されたSiウエハ上に、膜厚200nmになるように、レジストcをスピンコートし、ベークした。次に、ArF露光装置を用いて、140nmライン(L)/460nmスペース(S)の第1のレジストパターンを形成し、実施例1で調製した被覆材料Iを第1のレジストパターンのライン部分(レジスト部分)上に一様に塗布して、被覆層を形成した。次に、測長SEM(日立S−6100S)を用いて第1のレジストパターンのライン部分の幅を計測したところ、150nmであり、スペース部分は、450nmであった。
続いて、再度、レジストcを先と同じ条件でスピンコートし、ベークした後、形成済みの第1のレジストパターンに対して300nmずらしたマスク(150nmライン(L)/450nmスペース(S))を用い、露光、ベーク及び現像を行って、150nmライン(L)/450nmスペース(S)の第2のレジストパターンを形成した。その結果、150nmライン(L)/150nmスペース(S)のレジストパターン3を形成することができた。
【0098】
(実施例6)
−レジストパターン4の形成−
ARC29(日産化学工業社製)が下層反射防止膜として塗布されたSiウエハ上に、膜厚200nmになるように、レジストaをスピンコートし、ベークした。次に、ArF露光装置を用いて、145nmライン(L)/455nmスペース(S)の第1のレジストパターンを形成し、実施例1で調製した被覆材料Kを第1のレジストパターンのライン部分(レジスト部分)上に一様に塗布して、被覆層を形成した。次に、測長SEM(日立S−6100S)を用いて第1のレジストパターンのライン部分の幅を計測したところ、150nmであり、スペース部分は、450nmであった。
続いて、再度、レジストaを先と同じ条件でスピンコートし、ベークした後、形成済みの第1のレジストパターンに対して300nmずらしたマスク(150nmライン(L)/450nmスペース(S))を用い、露光、ベーク及び現像を行って、150nmライン(L)/450nmスペース(S)の第2のレジストパターンを形成した。その結果、第1のレジストパターンが一部スリミングしたり、消失しているものの、150nmライン(L)/150nmスペース(S)のレジストパターン4を部分的に形成することができた。
【0099】
(比較例1)
−比較レジストパターン1の形成−
ARC29(日産化学工業社製)が下層反射防止膜として塗布されたSiウエハ上に、膜厚200nmになるように、レジストaをスピンコートし、ベークした。次に、ArF露光装置を用いて、150nmライン(L)/450nmスペース(S)の第1のレジストパターンを形成し、実施例1で調製した被覆材料Aを第1のレジストパターンにおけるライン部分(レジスト部分)上に一様に塗布して、被覆層を形成した。
続いて、再度、レジストaを先と同じ条件でスピンコートし、ベークしたところ、図3に示すように、第1のレジストパターンが溶解して変形しており(消失する部分が生じており)、重ね塗りができないことが分かった。図3は、Si基板30上に形成された第1のレジストパターン31が、第2のレジスト膜32の形成により、溶解して消失した状態を示す。
【0100】
(実施例7)
−被覆材料2の調整−
表3に示す組成を有する、水系であり、架橋剤を含まない被覆材料を調製した。
なお、表3において、「I」〜「X」は、被覆材料I〜Xに対応している。前記被覆材料I〜Xの内、前記被覆材料Iは、比較例に相当し、前記被覆材料II〜Xは、実施例(本発明)に相当する。表3のカッコ内の数値の単位は、「質量部」を表す。
前記被覆材料II〜Xの「一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物」の欄における2
−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、及びフェニル乳酸は、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物であり、「2−ヒドロキシベンジルアルコール」及び「4−ヒドロキシベンジルアルコール」は、関東化学社製であり、「フェニル乳酸」は、アクロス製である。
【0101】
【化21】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Aは、カルボキシル基を含む一価の有機基を表す。Bは、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、及びアルコキシカルボニル基のいずれかを表す。oは、1以上の整数を表し、pは、0〜3の整数を表す。oが2以上の場合、Aは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。pが2〜3の場合、Bは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0102】
【化22】

ただし、前記一般式(3)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Cは、下記構造式(1)で表される官能基を表す。Dは、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。rは、1以上の整数を表し、sは、0〜3の整数を表す。rが2以上の場合、Cは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。sが2〜3の場合、Dは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0103】
【化23】

ただし、前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素又は置換基を表す。Zは、水酸基及びアルコキシ基のいずれかを表す。
【0104】
また、「樹脂」の欄における「PVA」は、ポリビニルアルコール樹脂(「PVA−205C」、クラレ製)を表し、「PVAc」は、ポリビニルアセタール樹脂(「KW−3」、積水化学製)を表し、「PVPd」は、ポリビニルピロリドン樹脂(「PVPd K=30」;関東化学製)を表す。
「界面活性剤」の欄における、「TN−80」は、非イオン性界面活性剤(ADEKA製、第1級アルコールエトキシレート系界面活性剤)を表し、「PC−6」は、非イオン性界面活性剤(ADEKA製、多核フェノール系界面活性剤)を表す。
溶媒は、純水(100質量部)を基本とし、有機溶剤を添加した場合に溶媒種と添加量(質量部)を「溶媒」の欄に記載した。「溶媒」の欄における、「イソプロピルアルコール」は、和光純薬製である。
【0105】
【表3】

【0106】
(実施例8)
−被覆層2の形成−
実施例7で調整した被覆材料I〜Xを、脂環族ArFレジストFJ25(東京応化工業社製)により形成されたレジストパターン(150nmライン(L)/150nmスペース(S))上に、スピンコート法により、初めに850rpm/5sの条件で、次に3,000rpm/20sの条件で塗布した後、110℃/60sの条件でベークを行い、純水で60秒間リンスし、相互作用(ミキシング)していない未反応部を除去した。
その後、レジスト溶剤として汎用されるプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を、被覆層が形成されたレジストパターンの全面を覆うように滴下し、スピンオフ後、110℃/60sの条件でベークし、レジストパターンが溶解していないかを判定した。表4中、レジストパターンが溶解した場合を×、溶解しなかった場合を○、一部パターンの変形が見られた(一部溶解した)場合を△とした。
【0107】
【表4】

【0108】
以上のように、本発明の被覆材料II〜Xを使用することによって、レジストパターン上にレジスト溶剤に溶解しない被覆層の形成が確認できた。
【0109】
(実施例9)
−レジストパターン5の形成−
ARC29(日産化学工業社製)が下層反射防止膜として塗布されたSiウエハ上に、膜厚200nmになるように、レジストFJ25(東京応化工業社製)をスピンコートし、ベークした。次に、ArF露光装置を用いて、140nmライン(L)/460nmスペース(S)の第1のレジストパターンを形成し、実施例7で調整した被覆材料Vを第1のレジストパターンのライン部分(レジスト部分)上に一様に塗布して、被覆層を形成した。次に、測長SEM(日立S−6100S)を用いて第1のレジストパターンのライン部分の幅を計測したところ、150nmであり、スペース部分の幅は、450nmであった。
続いて、再度、レジストFJ25を先と同じ条件でスピンコートし、ベークした後、形成済みの第1のレジストパターンに対して300nmずらしたマスク(150nmライン(L)/450nmスペース(S))を用い、露光、ベーク、現像を行って、150nmライン(L)/450nmスペース(S)の第2のレジストパターンを形成した。その結果、150nmライン(L)/150nmスペース(S)のレジストパターン5を形成することができた。
【0110】
(実施例10)
−レジストパターン6の形成−
ARC29(日産化学工業社製)を下層反射防止膜として塗布されたSiウエハ上に、膜厚200nmになるように、レジストFJ25(東京応化工業社製)をスピンコートし、ベークした。次に、ArF露光装置を用いて、130nmライン(L)/470nmスペース(S)の第1のレジストパターンを形成し、実施例7で調整した被覆材料VIIを第1のレジストパターンのライン(レジスト部分)上に一様に塗布して、被覆層を形成した。次に、測長SEM(日立S−6100S)を用いて第1のレジストパターンのライン部分の幅を計測したところ、150nmであり、スペース部分の幅は、450nmであった。
続いて、再度、レジストFJ25を先と同じ条件でスピンコートし、ベークした後、形成済みの第1のレジストパターンに対して300nmずらしたマスク(150nmライン(L)/450nmスペース(S))を用い、露光、ベーク及び現像を行って、150nmライン(L)/450nmスペース(S)の第2のレジストパターンを形成した。その結果、150nmライン(L)/150nmスペース(S)のレジストパターン6を形成することができた。
【0111】
(実施例11)
−レジストパターン7の形成−
ARC29(日産化学工業社製)が下層反射防止膜として塗布されたSiウエハ上に、膜厚200nmになるように、レジストFJ25(東京応化工業社製)をスピンコートし、ベークした。次に、ArF露光装置を用いて140nmライン(L)/460nmスペース(S)のレジストパターンを形成し、実施例7で調製した被覆材料Xを第1のレジストパターンのライン部分(レジスト部分)上に一様に塗布して、被覆層を形成した。次に、測長SEM(日立S−6100S)を用いて第1のレジストパターンのライン部分の幅を計測したところ、150nmであり、スペース部分は、450nmであった。
続いて、再度、レジストFJ25を先と同じ条件でスピンコートし、ベークした後、形成済みの第1のレジストパターンに対して300nmずらしたマスク(150nmライン(L)/450nmスペース(S))を用い、露光、ベーク及び現像を行って、150nmライン(L)/450nmスペース(S)の第2のレジストパターンを形成した。その結果、150nmライン(L)/150nmスペース(S)のレジストパターン7を形成することができた。
【0112】
(実施例12)
−レジストパターン8の形成−
ARC29(日産化学工業社製)が下層反射防止膜として塗布されたSiウエハ上に、膜厚200nmになるように、レジストFJ25(東京応化工業社製)をスピンコートし、ベークした。次に、ArF露光装置を用いて145nmライン(L)/455nmスペース(S)のレジストパターンを形成し、実施例7で調製した被覆材料IIを第1のレジストパターンのライン部分(レジスト部分)上に一様に塗布して、被覆層を形成した。次に、測長SEM(日立S−6100S)を用いて第1のレジストパターンのライン部分の幅を計測したところ、150nmであり、スペース部分は、450nmであった。
続いて、再度、レジストFJ25を先と同じ条件でスピンコートし、ベークした後、形成済みの第1のレジストパターンに対して300nmずらしたマスク(150nmライン(L)/450nmスペース(S))を用い、露光、ベーク及び現像を行って、150nmライン(L)/450nmスペース(S)の第2のレジストパターンを形成した。その結果、第1のレジストパターンが一部スリミングしたり、消失しているものの、150nmライン(L)/150nmスペース(S)のレジストパターン8を形成することができた。
【0113】
(比較例2)
−比較レジストパターン2の形成−
ARC29(日産化学工業社製)が下層反射防止膜として塗布されたSiウエハ上に、膜厚200nmになるようにレジストFJ25(東京応化工業社製)をスピンコートし、ベークした。次に、ArF露光装置を用いて、150nmライン(L)/450nmスペース(S)の第1のレジストパターンを形成し、実施例7で調製した被覆材料Iを第1のレジストパターンにおけるライン部分(レジスト部分)上に一様に塗布して、被覆層を形成した。
続いて、再度、レジストFJ25を先と同じ条件でスピンコートし、ベークしたところ、図3に示すように、第1のレジストパターンが溶解して変形しており(消失する部分が生じており)、重ね塗りができないことが分かった。
【0114】
(実施例13)
−半導体装置の作製−
図4Aに示すように、シリコン基板11上に層間絶縁膜12を形成し、図4Bに示すように、層間絶縁膜12上にスパッタリング法によりチタン膜13を形成した。次に、図4Cに示すように、本発明のダブルパターニング法によりレジストパターン14を形成し、これをマスクとして用い、反応性イオンエッチングによりチタン膜13をパターニングして開口部15aを形成した。引き続き、反応性イオンエッチングによりレジストパターン14を除去するととともに、図4Dに示すように、チタン膜13をマスクにして層間絶縁膜12に開口部15bを形成した。 次に、チタン膜13をウェット処理により除去し、図4Eに示すように層間絶縁膜12上にTiN膜16をスパッタリング法により形成し、続いて、TiN膜16上にCu膜17を電解めっき法で成膜した。次いで、図4Fに示すように、CMPにて開口部15b(図4D)に相当する溝部のみにバリアメタルとCu膜(第一の金属膜)を残して平坦化し、第一層の配線17aを形成した。 次いで、図4Gに示すように、第一層の配線17aの上に層間絶縁膜18を形成した後、図4A〜図4Fと同様にして、図4Hに示すように、第一層の配線17aを、後に形成する上層配線と接続するCuプラグ(第二の金属膜)19及びTiN膜16aを形成した。 上述の各工程を繰り返すことにより、図4Iに示すように、シリコン基板11上に第一層の配線17a、第二層の配線20a、及び第三層の配線21aを含む多層配線構造を備えた半導体装置を製造した。なお、図4Iにおいては、各層の配線の下層に形成したバリアメタル層は、図示を省略した。 この実施例では、レジストパターン14が、本発明の実施例3〜6及び9〜12のレジストと被覆材料の組み合わせを用いて製造したレジストパターンである。また層間絶縁膜12が誘電率2.7以下の低誘電率材料であり、例えば多孔質シリカ膜(セラメート NCS、触媒化成工業製、誘電率2.25)、あるいは、例えばC、C混合ガス、もしくはCガスをソースとして用いたRFCVD法(パワー400W)によって堆積されたフルオロカーボン膜(誘電率2.4)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工面上に第1のレジスト組成物による第1のレジストパターンを形成する第1のレジストパターン形成工程と、
前記第1のレジストパターンの表面を覆うように、被覆材料による被覆層を形成する被覆層形成工程と、
前記被覆層が形成された第1のレジストパターン上に、該第1のレジストパターンを溶解させないように第2のレジスト組成物を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、前記第2のレジスト膜に選択的に露光光を照射し、現像することにより、前記第1のレジストパターンを露出させると共に、前記第1のレジストパターンが形成されていない被加工面上に第2のレジストパターンを形成する第2のレジストパターン形成工程とを含み、
前記被覆材料が、水溶性樹脂と、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【化1】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Aは、カルボキシル基を含む一価の有機基を表す。Bは、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、及びアルコキシカルボニル基のいずれかを表す。oは、1以上の整数を表し、pは、0〜3の整数を表す。oが2以上の場合、Aは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。pが2〜3の場合、Bは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【化2】

ただし、前記一般式(3)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Cは、下記構造式(1)で表される官能基を表す。Dは、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。rは、1以上の整数を表し、sは、0〜3の整数を表す。rが2以上の場合、Cは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。sが2〜3の場合、Dは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【化3】

ただし、前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素又は置換基を表す。Zは、水酸基及びアルコキシ基のいずれかを表す。
【請求項2】
前記被覆材料が、水をさらに含む請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、セルロース、及びタンニンから選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物の含有量が、樹脂成分1質量部に対して、0.01質量部〜10質量部である請求項1から3のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項5】
被加工面上に第1のレジスト組成物による第1のレジストパターンを形成する第1のレジストパターン形成工程と、
前記第1のレジストパターンの表面を覆うように、被覆材料による被覆層を形成する被覆層形成工程と、
前記被覆層が形成された第1のレジストパターン上に、該第1のレジストパターンを溶解させないように第2のレジスト組成物を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、前記第2のレジスト膜に選択的に露光光を照射し、現像することにより、前記第1のレジストパターンを露出させると共に、前記第1のレジストパターンが形成されていない被加工面上に第2のレジストパターンを形成する第2のレジストパターン形成工程とを含み、
前記被覆材料が、水溶性樹脂と、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【化4】

ただし、前記一般式(2)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Aは、カルボキシル基を含む一価の有機基を表す。Bは、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、及びアルコキシカルボニル基のいずれかを表す。oは、1以上の整数を表し、pは、0〜3の整数を表す。oが2以上の場合、Aは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。pが2〜3の場合、Bは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【化5】

ただし、前記一般式(3)中、Rは、芳香族炭化水素化合物を表す。Cは、下記構造式(1)で表される官能基を表す。Dは、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアルキル基のいずれかを表す。rは、1以上の整数を表し、sは、0〜3の整数を表す。rが2以上の場合、Cは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。sが2〜3の場合、Dは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【化6】

ただし、前記構造式(1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、水素又は置換基を表す。Zは、水酸基及びアルコキシ基のいずれかを表す。



【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【公開番号】特開2013−92797(P2013−92797A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−486(P2013−486)
【出願日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【分割の表示】特願2010−543722(P2010−543722)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】