説明

パターン化位相差フィルムの欠陥検査装置及び方法並びに製造方法

【課題】パターン化位相差フィルムの欠陥を精度よく検出する。
【解決手段】投光機11と撮影装置12との間に、第1及び第2偏光板13,15を配置する。第1及び第2偏光板13,15の間に、検査対象のパターン化位相差フィルム20を配置する。撮影装置12側でフィルム20と第2偏光板15との間にλ/4波長板14を配置する。第2偏光板15を回転させて、第1偏光板13の透過軸をフィルム20の光学軸に対し45°傾けた状態で、第2偏光板15の透過軸を前記λ/4波長板14の光学軸に対して+45度にした第1状態で撮影装置12により第1画像を撮影する。第2偏光板15の透過軸をλ/4波長板14の光学軸に対して−45度にした第2状態で撮影装置12により第2画像を撮影する。第1画像と第2画像とを第1及び第2位相差領域が一致する位置で重ね合わせて合成する。得られた合成画像に基づき欠陥を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン化位相差フィルムの欠陥検査装置及び方法並びに製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市場が拡大されてきた3次元(3D)テレビの表示方法の一つに空間分割方式がある。空間分割方式では、表示パネルの表面に、パターン化された位相差フィルムを配置し、右目には奇数列の映像光だけが、左目には偶数列の映像光だけが届くようにする。パターン化位相差フィルムの代表的なものとしては、1/4波長板機能(λ/4波長板)を有するものがある。このフィルムは、微細な幅で交互に並んだλ/4波長板の光学軸を互いに直交させ、一方のパターンには奇数列の映像光を表示させ、他方のパターンには偶数列の映像光を表示させる。表示パネルから出射する映像光の偏光方向に対して、λ/4波長板の光学軸が±45°で、表示パネルのLCDの画素パターンと同じパターンピッチにしたパターン化位相差フィルムを、表示パネルの画素パターンの位置を合せて貼ると、片方のパターンからは右回り円偏光光が、他方からは左回り円偏光光が出射される。円偏光メガネはλ/4波長板と偏光板で構成されている。λ/4波長板は円偏光を直線偏光に変換し、偏光板はλ/4波長板の光学軸(進相軸もしくは遅相軸)に対して±45°の角度(左右用で逆方向)に配置されることで、円偏光メガネを通してみると、右目には一方の列の映像だけが見え、左目には他方の列の映像だけが見える。こうして、左右両眼へ異なる映像情報を届けることが可能になり、結果として3D映像となる。
【0003】
空間分割方式は、2010年までに主流として用いられてきた時分割(アクティブ・シャッター)方式に比べて、パターン化位相差フィルムのコストが高く、視野角や画質性能に一定の制限がある一方で、3Dメガネが非常に安価で安全性・互換性の面で有利であるという特徴がある。
【0004】
パターン化位相差フィルムは、その用途から、表示パネルと貼り合せた状態で、目視で確認できる異物、キズはもとより配光ムラ(偏光特性の局所的な乱れ)が欠陥として定義され、その存在位置を把握すること、除去すること、欠陥の発生を防止することなどが望まれる。このため、空間分割方式で用いるパターン化位相差フィルムの製造工程は厳格な管理化におかれている。しかし、製造工程での各種要因によって、異物の混入、配光ムラ、キズなどによる欠陥を完全になくすことは困難である。
【0005】
したがって、何らかの検査を実施し、上記のような欠陥が発生した場合に、そのフィルム上の欠陥位置を把握し、場合によっては欠陥原因を取り除く処置をする必要がある。また、欠陥が発見されたパターン化位相差フィルムを製造に用いる場合には、欠陥の程度に応じてその部位を使用するか否か判定し、使用不可と判定したときには、この部位を特定し、この部位を使用することがないようにして、3D液晶表示ディスプレイなどの製造を行う。
【0006】
パターン化位相差フィルムを対象とした欠陥検査/品質評価として公知化された技術は現在のところ提案されていない。なお、透明フィルムや位相差フィルムという観点では、特許文献1及び2のような欠陥検査装置がある。例えば特許文献1には、被検査物を2枚の偏光板で挟んだ透過方式のフィルム・シート類の透明欠陥検出方法が記載されている。また、特許文献2には、位相差フィルムを2枚の偏光板で挟んだ透過検査方式で、受光機の垂直受光角度θ1を0°<θ1<90°、かつ、平行受光角度θ2を0°<θ2<90°とした位相差フィルム検査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−148095号公報
【特許文献2】特開2008−267991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、検査物が均質の場合には、どの場所においても同じ受光輝度が得られるが、パターン化された光学特性を持つパターン化位相差フィルムに対しては、各パターンの場所により輝度が異なるため、上記技術をそのまま利用することはできない。
【0009】
特許文献2では、位相差フィルムの欠陥検出において、被検査物を2枚の偏光板が互いに軸が直交するいわゆるクロスニコルに配置して、フィルムの位相差特性が崩れている欠陥部を輝点(光が漏れて明るくなる)として検出している。しかし、パターン化位相差フィルムは、互いに位相差特性が異なるラインを交互に配してあるため、単純なクロスニコル光学系では両パターンの輝度が均一にならない。したがって、上記特許文献1,2に記載の技術をそのまま用いても、欠陥を精度良く検出することができない。
【0010】
本発明は、パターン化位相差フィルムの欠陥を精度よく検出することができるパターン化位相差フィルムの欠陥検出装置及び方法並びに製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明では、光学軸が互いに直交するそれぞれ帯状の第1及び第2位相差領域が交互に複数並べて配列されたパターン化位相差フィルムの欠陥部を検出するパターン化位相差フィルムの欠陥検出装置において、前記パターン化位相差フィルムを挟むように配置される第1及び第2の偏光板と、前記第1偏光板を介して前記パターン化位相差フィルムに照明光を照射する照明光源と、前記パターン化位相差フィルムと前記第2偏光板との間に配置されるλ/4波長板と、前記第1偏光板の透過軸を前記パターン化位相差フィルムの光学軸に対し45°傾けた状態で、前記第2偏光板の透過軸を、前記λ/4波長板の光学軸に対して+45度にした第1状態と、前記第2偏光板の透過軸を、λ/4波長板の光学軸に対して−45度にした第2状態とに選択的にセットする撮影条件変更部と、前記撮影条件変更部による前記第1状態及び前記第2状態で、前記λ/4波長板及び前記第2偏光板を介して前記パターン化位相差フィルムを撮影し、第1画像及び第2画像を得る撮影装置と、前記第1画像と前記第2画像との前記第1及び第2位相差領域を一致させて、第1画像及び第2画像を重ね合わせて合成する画像合成部と、前記画像合成部からの合成画像信号に基づき前記欠陥を検出する欠陥検出部とを有することを特徴とする。
【0012】
前記合成画像部は、画像合成に際して、前記第1及び第2位相差領域の境界線と直交する方向における第1画像と第2画像の相対位置を変えて重ね合せ、重ね合わせた後の合成画像の平均輝度が最小になる前記相対位置で前記合成画像を作成することが好ましい。また、前記第1画像と前記第2画像における前記第1及び第2位相差領域に対する明部輝度を前記画像合成部のダイナミックレンジと前記撮像装置のダイナミックレンジのうちのレンジの狭い方のダイナミックレンジの略半分の輝度にして撮影することが好ましい。前記画像合成部は、前記第1画像と前記第2画像に対して2値化信号を生成し、一方の2値化信号の明暗を反転して反転2値信号とし、この反転2値信号と他方の2値化信号との排他的論理和を取ることが好ましい。
【0013】
前記パターン化位相差フィルムは、第1及び第2位相差領域の列方向に搬送されるウェブであり、前記撮影装置は、前記第1画像を取得する第1撮影装置本体と、前記第2画像を取得する第2撮影装置本体を有し、前記ウェブの搬送に同期して前記ウェブを撮影することが好ましい。また、前記画像合成部による2値化合成画像において前記第1及び第2位相差領域の境界に基づくパターン境界部を消去するパターン境界消去部を有することが好ましい。前記パターン境界消去部は、前記第1及び第2位相差領域の境界幅が含まれる画素領域をノイズとして縮小処理することが好ましい。
【0014】
また、本発明は、光学軸が互いに直交するそれぞれ帯状の第1及び第2位相差領域が交互に複数並べて配列されたパターン化位相差フィルムの欠陥部を検出するパターン化位相差フィルムの欠陥検出方法において、前記パターン化位相差フィルムを挟むように第1及び第2の偏光板を配し、照明光源により、前記第1偏光板を介して前記パターン化位相差フィルムに照明光を照射し、前記パターン化位相差フィルムと前記第2偏光板との間にλ/4波長板を配し、前記第1偏光板の透過軸を前記パターン化位相差フィルムの光学軸に対し45°傾けた状態で、前記第2偏光板の透過軸を、前記λ/4波長板の光学軸に対して+45度にした第1状態と、前記第2偏光板の透過軸を、λ/4波長板の光学軸に対して−45度にした第2状態とにセットし、撮影装置により、前記λ/4波長板及び前記第2偏光板を介して、前記第1状態で撮影して第1画像を取得し、前記第2状態で撮影して第2画像を取得し、画像合成部により、前記第1画像と前記第2画像の前記第1及び第2位相差領域を一致させて重ね合わせて合成画像を作成し、前記合成画像に基づき前記欠陥を検出することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、光学軸が互いに直交するそれぞれ帯状の第1及び第2位相差領域が交互に複数並べて配列されたパターン化位相差フィルムを製造する製造工程と、前記製造工程を経たパターン化位相差フィルムの欠陥部を検出するパターン化位相差フィルムの欠陥検出工程とを有するパターン化位相差フィルムの製造方法において、前記パターン化位相差フィルムを挟むように第1及び第2の偏光板を配し、照明光源により、前記第1偏光板を介して前記パターン化位相差フィルムに照明光を照射し、前記パターン化位相差フィルムと前記第2偏光板との間にλ/4波長板を配し、前記第1偏光板の透過軸を前記パターン化位相差フィルムの光学軸に対し45°傾けた状態で、前記第2偏光板の透過軸を、前記λ/4波長板の光学軸に対して+45度にした第1状態と、前記第2偏光板の透過軸を、λ/4波長板の光学軸に対して−45度にした第2状態とに選択的にセットし、撮影装置により、前記λ/4波長板及び前記第2偏光板を介して、前記第1状態で撮影して第1画像を取得し、前記第2状態で撮影して第2画像を取得し、画像合成部により、前記第1画像と前記第2画像の前記第1及び第2位相差領域を一致させて重ね合わせて合成画像を作成し、前記合成画像に基づき前記欠陥を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1偏光板の透過軸をパターン化位相差フィルムの光学軸に対し45°傾けた状態で、第2偏光板の透過軸を、前記λ/4波長板の光学軸に対して+45度にした第1状態と、第2偏光板の透過軸を、前記λ/4波長板の光学軸に対して−45度にした第2状態とに選択的にセットして、第1状態及び前記第2状態で、λ/4波長板及び第2偏光板を介してパターン化位相差フィルムを撮影し、第1画像及び第2画像を得て、第1画像と第2画像との第1及び第2位相差領域を一致させて、第1画像及び第2画像を重ね合わせて合成することにより、光学軸が互いに直交するそれぞれ帯状の第1及び第2位相差領域が交互に複数並べて配列されたパターン化位相差フィルムに対し、一般的な位相差フィルムと同じように、欠陥を検出することができる。しかも、使用用途の原理に沿った光学条件で撮像するので、実用上問題となる欠陥を的確に精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】パターン化位相差フィルムの欠陥検出装置を示す斜視図である。
【図2】第1画像及び第2画像に基づき欠陥を抽出する方法を示す説明図である。
【図3】欠陥検出の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】画像合成時のX方向位置合せの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】ウェブ状のパターン化位相差フィルムの欠陥検出装置を示す斜視図である。
【図6】第1画像及び第2画像信号に基づき欠陥を抽出する方法を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1に示すように、パターン化位相差フィルムの欠陥検出装置10は、投光機11、撮影装置12、第1偏光板13、λ/4波長板14、第2偏光板15、コントローラ16を備えている。投光機11、撮影装置12の間には、投光機11側から順に、第1偏光板13、λ/4波長板14、第2偏光板15が配置される。第1偏光板13とλ/4波長板14との間で、第1偏光板13に近接させて、検査対象フィルムであるパターン化位相差フィルム20が位置される。撮影装置12からの撮影信号はコントローラ16内の画像処理部17に送られて、画像処理部17にて各種欠陥が検出される。
【0019】
パターン化位相差フィルム20は、位相差フィルム形成工程を経た後、使用するディスプレイに対応したサイズでシート状にカットされており、図示しないフィルム供給装置により検査位置に位置決めされる。パターン化位相差フィルム20は、支持体である透明なTACフィルム上に、異なる光学軸を持ちλ/4板特性を有する位相差層が交互に並んだパターン20A,20Bを有している。各パターン20A,20Bは、例えば270μm幅でストライプ状に形成される。隣接するストライプ状パターンの一方20Aは、パターンの長手方向(列方向)であるY方向を基準0°とした場合に、この基準0°に対してλ/4波長板特性としての光学軸が+45°であり、他方のパターン20Bは−45°である。また、パターン20A,20Bの長手方向(Y方向)に直交する方向を、パターン20A,20Bを並べるパターン配列方向(X方向)という。
【0020】
このパターン化位相差フィルム20を用いる最終製品として3Dテレビを考えた場合に、テレビ鑑賞者が通常の観察をすることを想定すると、例えば直径が約100μm程度の光モレ(輝点)や異物、汚れを検出して、欠陥として下流へ流さないようにする。テレビ鑑賞者には100μm以下のサイズのものは欠陥として識別されることがないので、実用上は問題がない。
【0021】
投光機11は、検査対象のカットシートサイズよりも大きな投光面11Aを有し、ハロゲンランプなどの光源を内蔵し、検査対象フィルムに均一な散乱光を照射する。なお、図示は省略したが、投光機11は光量調整部を備えており、光源の近傍に設置されたセンサで検出した光量検出信号に基づき光量が一定になるようにハロゲンランプが制御される。これにより、光量が均一な光をフィルム20に対して照射することができ、常に同じ感度で欠陥検出が可能になる。なお、光源としては、メタルハライドランプなどの他のランプや、LEDを用いてもよい。
【0022】
撮影装置12はCCDエリアセンサを有しており、画素分解能はパターン化位相差フィルム20に対して10μm/bitのものを用いている。撮影装置12は、フィルム20のパターン化された位相差層の表面にフォーカスして撮影を行う。
【0023】
コントローラ16は例えばパソコンから構成されており、アプリケーションをインストールすることにより、撮影信号に基づき欠陥信号を検出する画像処理部17と、撮影条件を変更する撮影条件変更部21と、検出信号に基づき検出された欠陥とその部位を特定する欠陥データ記憶部23とがコントローラ16内に構築される。
【0024】
第1偏光板13の透過軸角度は、基準0°に設定されている。これにより、パターン化位相差フィルム20を通過した光は、各パターン20A,20Bにより回転方向の異なる円偏光とされる。この円偏光された透過光をλ/4波長板14と第2偏光板15とを介して撮影する。λ/4波長板14と第2偏光板15は3D観察時の円偏光メガネとして機能する。このため、円偏光メガネと同様に、受光光学系は、λ/4波長板14の光学軸に対して、第2偏光板の透過軸を±45°(一方が+45°なら、他方が−45°)にした条件で、第1画像25及び第2画像26の2種の画像を取得する。第1画像25は例えば3D映像を目視する場合には右目用映像であり、第2画像26は左目用映像である。
【0025】
具体的な受光光学系としては、図1に示すように、取り付け位置が固定されるλ/4波長板14に対して、第2偏光板15の透過軸を+45°と−45°とする2種である。このため、第2偏光板15は回転機構24により、透過軸が+45°と−45°とになるように、90°の角度範囲で回転する。透過軸が+45°にセットされた状態を第1状態とし、透過軸が−45°にセットされた状態を第2状態という。回転機構24は、コントローラ16内の撮影条件変更部21によって制御される。そして、コントローラ16は、第2偏光板15を第1状態にして第1画像25の取得後に、回転機構24を駆動して第2偏光板15を90°回転させて第2状態にして第2画像26を取得する。第2画像26の取得後は、コントローラ16は、第2偏光板15を第1状態に戻す。
【0026】
なお、λ/4波長板14を固定する代わりに、第2偏光板15を固定してもよく、この場合には、λ/4波長板14の光学軸(進相軸または遅相軸のどちらか一方)を+45°と−45°とするように、図示しない回転機構により、90°の角度範囲で回転させる。このように、λ/4波長板14または偏光板15のいずれか一方を90°の範囲で回転変位させて、異なる2条件での第1画像25及び第2画像26を得る。
【0027】
第1画像25及び第2画像26の取得方法は、図1に示すように、回転機構24を制御して異なる光学条件に再設定し、一つの撮影装置12で撮影する方法と、図5に示すように、二つの撮影ユニット42,43を用い、それぞれの専用の光学系で撮影し、第1画像25及び第2画像26を取得してもよい。なお、λ/4波長板14や第2偏光板15を回転変位させることで、撮影条件を変更し、第1画像25及び第2画像26を取得しているが、λ/4波長板14の光学軸を+45°にしたものと、−45°にしたものを隣合せに設け、いずれか一方を撮影光軸にセットすることにより、撮影条件を変更してもよい。同様に、第2偏光板15の回転変位に代えて、透過軸を+45°及び−45°にした第2偏光板15を隣合せに設け、いずれか一方を撮影光軸にセットして撮影条件を変更してもよい。
【0028】
本第1実施形態では、先ず、互いに直交する直線偏光光は第2偏光板15を介して撮影装置12にて受光される。このとき、回転機構24を駆動して第2偏光板15の透過軸角度を+45°にして撮影し第1画像25を得る。また、回転機構24を駆動して第2偏光板15の透過軸角度を−45°にして撮影し第2画像26を得る。
【0029】
図2(A),(B)に示すように、第1画像25と第2画像26では、パターン20A,20B(図1参照)により、互いに各パターンに対応する部分の明暗が反転した画像が得られる。このとき、両画像25,26とも正常な部分のパターンの明部は、その輝度が画像処理装置における輝度のダイナミックレンジと前記撮像装置のダイナミックレンジのうちのレンジの狭い方のダイナミックレンジの中間濃度になるように、投光機11の光量制御や、撮影装置12の絞りなどで調整する。具体的には、輝度レベルが256階調であれば、中間の輝度レベルである128階調になるようにする。一方でパターン20A,20Bによる暗部は極低光量であるため、輝度レベルはほぼ「0」になる。ここで、パターンの暗部画像部分に輝点(光モレ)が存在すれば、(A),(B)に示すように、高輝度輝点(明欠陥)BP1,BP2のように現れる。また、パターンの明部画像部分に異物や汚れなど遮光性の欠陥が存在すれば、低輝度輝点(暗欠陥)BP3,BP4のように現れる。
【0030】
図1に示すように、撮影装置12からの第1画像25と第2画像26の信号は、画像処理部17に送られる。画像処理部17では、図3及び図4に示す処理手順により欠陥を抽出する。先ず、第1画像及び第2画像の撮影(ST1〜ST4)後に、画像合成部30により、パターン化位相差フィルム20の各パターン20A,20Bに対する明部輝度が画像処理部17のダイナミックレンジと前記撮像装置のダイナミックレンジのうちのレンジの狭い方のダイナミックレンジの略中間輝度になるようにし、第1画像25と第2画像26を加算する(ST5)。この加算による画像合成に際して、図4のST6〜ST9に示すように、各パターンの境界部28と直交するX方向に相対位置を少しずつ変えて、各相対位置で第1画像25と第2画像26とを重ね合せた時の平均輝度を算出する。これを一定範囲内で行い、最小平均輝度となる相対位置で第1画像25と第2画像26とを重ね合せる。これにより、簡単な構成により、図2(C)に示すように、第1画像25と第2画像26とを前記第1及び第2位相差領域が一致する位置で重ね合わされた合成画像27が得られる。したがって、高度な画像処理方法を用いることなく、簡単にパターン化位相差フィルム20の各パターンの位置を精度よく位置合せした状態で第1画像25及び第2画像26を合成することができる。しかも、境界部分を積極的に利用してこの境界部分を基準にして両者を重ね合わせることにより、位置ずれもなく、簡単にX方向での位置合せが行える。
【0031】
第1画像25及び第2画像26は平均的な輝度レベルが128階調(階調レベルを256階調としたときの中間階調)とされた状態で画像合成されるため、合成画像27は各パターンにおいて、略均一な濃度画像となる。そして、第1及び第2の画像25,26は、パターン化位相差フィルム20の各パターンと同一位置で明暗が反転しており、両者の明欠陥BP1,BP2、暗欠陥BP3,BP4はともにその周辺の輝度レベルとの輝度差を保持した状態の合成画像27が得られる。
【0032】
合成画像27は、その後に所定のしきい値を用いて2値化される(ST10)。この2値化合成画像31,32により、欠陥候補が抽出される。2値化処理のしきい値は中間輝度(128階調レベル)に対して高輝度側しきい値と低輝度側しきい値との両方を用いて行う。これにより、例えば、図2(D)に示すように、中間輝度よりも高い高輝度側しきい値を用いた2値化合成画像31からは光洩れ欠陥(明欠陥)BP1,BP2が、図2(E)に示すように、中間輝度よりも低い低輝度側しきい値を用いた2値化合成画像32からは異物、汚れによる遮光性欠陥(暗欠陥)BP3,BP4が抽出される。
【0033】
図2(D),(E)に示すように、明欠陥抽出、暗欠陥抽出の2値化を行っても、2値化合成画像31,32には、パターン境界部分が異常部29として残ることがある。そこで、それぞれの2値化合成画像31,32に対して、90°方向(画像では幅方向(X方向))に予め定めた境界幅よりもやや大きい画素分だけ(本実施形態の条件では3画素前後)ノイズに対する周知の縮小処理を行う(ST11)。この収縮処理は、異常部29としてパターン境界部分が残ったときに、この境界部分を消去し得るだけの回数、境界部分の幅(Y方向の画素数)に応じた回数だけ行われる。
【0034】
例えば、「1画素収縮」と言えば、「上下左右に1画素ずつ痩せさせる」ということであり、X方向に3画素収縮の場合には、「左もしくは右に3画素収縮」=「左もしくは右に1画素収縮を3回行う」ことである。図2(D)に対しては、明部が欠陥なので明部基準で収縮し(F)のように境界部分が消去される。また、(E)に対しては暗部が欠陥なので暗部基準で収縮し、(G)のように境界部分が消去される。このように境界部分を消去することにより、境界の影響をなくして欠陥を精度よく検出することができる。
【0035】
縮小処理により、パターン境界部分に起因する異常部29は縮小画素より幅が小さいので、図2(F),(G)の縮小処理画像33,34に示すように、これらの異常部29は完全に消去される一方で、検出すべき輝点や異物の大きさは100μm程度なので、幅方向に少なくとも10画素近くのサイズであり、上記の縮小処理で消去されてしまうことがない。次に、所定サイズよりも大きい明欠陥BP1,BP2及び暗欠陥BP3,BP4のみを抽出する。本実施形態では100μm未満のものは、実用上は問題のない欠陥として扱い、100μm以上のものを明欠陥及び暗欠陥として抽出する(ST12)。これら抽出した明欠陥BP1,BP2及び暗欠陥BP3,BP4は周知の方法により例えば画面位置で特定し、この位置データを欠陥情報とともに、欠陥データ記憶部23に記憶する(ST13)。
【0036】
なお、画素縮小のノイズ除去方法による境界線部分の消去に代えて、画像の縦方向のスジを除去することにより、境界線部分を消去してもよい。また、画像の横方向に一定ピッチで現れる筋欠陥は境界部と判断して消去してもよい。このようにして、境界部分によるノイズが除去されることで、明欠陥BP1,BP2と、暗欠陥BP3,BP4のみを抽出することができ、輝度欠陥や異物欠陥を精度よく特定することができる。
【0037】
次に、図5及び図6を参照して、シート状にカットされたパターン化位相差フィルム20に代えて、ウェブ状に連続したパターン化位相差フィルム40の欠陥検査装置41について説明する。この第2実施形態において、第1実施形態と異なる点は、走行するウェブ状のパターン化位相差フィルム40に対して連続的に画像を取得するために、撮影装置としてCCDラインイメージセンサを用い、ウェブの撮影画像を連続的に取得する点である。このため、第1画像専用の撮影ユニット42と、第2画像専用の撮影ユニット43と、コントローラ44とを備え、連続的に画像を取得する。これら撮影ユニット42,43は、基本的には第1実施形態のものと同じ構成となっており、第1及び第2画像用の撮影条件は、第1実施形態と同じである。ただし、第2実施形態では、第1及び第2画像専用にそれぞれ撮影ユニット42,43を備えているため、第1実施形態の回転機構24や撮影条件変更部21などは不要となる。
【0038】
第1画像撮影ユニット42は、投光機51、撮影装置52、第1偏光板53、λ/4波長板54、第2偏光板55を備える。投光機51と撮影装置52の間には、投光機51側から順に、第1偏光板53、λ/4波長板54、第2偏光板55が配置される。第1偏光板53とλ/4波長板54との間に、パターン化位相差フィルム40が位置される。また、第2画像撮影ユニット43も、第1画像撮影ユニット42と同様に構成されており、投光機61、撮影装置62、第1偏光板63、λ/4波長板64、第2偏光板65を備える。
【0039】
コントローラ44は、画像処理部56及び欠陥データ記憶部57を有する。撮影装置52,62からの撮影信号は、コントローラ44の画像処理部56に送られて、画像処理部56にて各種欠陥が検出される。
【0040】
画像処理部56は、2値化回路66、画像反転回路67、排他的論理和演算回路68及びノイズ除去回路69を有する。まず、図6(A),(B)に示すように、ラインセンサから得られた各ラインの画像信号を取得する。各撮影ユニット42,43は、ウェブ走行方向に離間して配置されているため、この離間分を考慮して、ウェブ走行方向における同一ラインの画素同士を特定する。そして、(C),(D)に示すように、これら同一ラインの第1画像信号及び第2画像信号に対して第1実施形態と同じように、2値化回路66を用いて、高輝度側しきい値及び低輝度側しきい値に基づき2値化する。
【0041】
次に、(E)に示すように、第2画像の2値化データを画像反転回路67で反転する。次に、(F)に示すように、この反転した信号と第1画像の2値化信号とを排他的論理和演算回路68で演算し、排他的論理和として出力する。これにより、明欠陥及び暗欠陥がある部分が「1」として特定された出力信号が得られる。なお、排他的論理和演算回路68では第1画像と第2画像との同一位置に欠陥がある場合には「0」を出力するが、欠陥画像の性質上、同一個所で明画像での暗欠陥及び暗画像での明欠陥が同時に発生することはあり得ないので、特に「0」出力となっても問題はない。例えば、第1画像の正常な部分のパターンの明部で異物など光を遮蔽して暗欠陥となるものは、第2画像においては暗部に存在し、もとより光を遮蔽するので欠陥とはならない。稀に、異物がフィルムにめり込むなどして異物周辺の偏光特性を損ねることがあるが、その場合でも欠陥の核となっている異物自身は暗欠陥のみであり、異物周辺の偏光特性異常は明欠陥(輝点)としてのみ認識され、これらの暗欠陥と明欠陥(輝点)の発生位置は、近接しているが必ず異なる。このように、一方の画像信号に対し、他方の画像信号の反転出力信号を排他的論理和演算することにより、簡単な構成により、明欠陥と暗欠陥とを同一画面上に顕在化させて表示することができる。なお、図6において(A)の第1画像データと(B)の第2画像データとのX方向における位置合せに際しては、図4に示すように、第1画像データと第2画像データとの合成時の平均輝度が最小となる相対位置を求め、この相対位置を基準にして、両画像データの位置合せを行うとよい。
【0042】
なお、各パターン20A,20Bの境界部分で光が洩れることによってノイズが出る場合には、ノイズ除去回路69によって、第1実施形態と同じように、ノイズを除去する。このように、連続走行するパターン化位相差フィルムに対しても精度よく明欠陥及び暗欠陥を検出することができる。
【0043】
第2実施形態では、画像処理の初期段階で画像信号を2値化するので、扱う画像データを大幅に少なくすることができ、高速に欠陥検査が可能になる。したがって、高速で且つ高価な画像処理装置を用いなくとも、走行するウェブの欠陥をリアルタイムで全面検査することができる。なお、上記第2実施形態では、各撮影ユニット42,43に個別に投光機51,61を設けたが、これは一つの投光機の投光エリアを広くして、一つの投光機により投光してもよい。
【0044】
また、第2実施形態ではラインセンサによる画像信号に基づき欠陥を1ラインずつ検出したが、イメージエリアセンサを用いて、複数ラインの画像信号を一度に取得し、複数ラインごとの画像信号に基づき欠陥を検出してもよい。また、第1実施形態において、シート状のパターン化位相差フィルム20に代えて、ウェブ状のパターン化位相差フィルム40を検査位置に配置し、撮影範囲分を超える長さのウェブを一時的に貯留するウェブリザーバを設け、間欠的にウェブ状フィルムを進行させて、一定区間毎に欠陥検出することにより、ウェブ状フィルムの全面を連続的に欠陥検出することができる。
【符号の説明】
【0045】
11,51,61 投光機
12,52,62 撮影装置
13,53,63 第1偏光板
14,54,64 λ/4波長板
15,55,65 第2偏光板
16,44 コントローラ
24 回転機構
25 第1画像
26 第2画像
27 合成画像
28 境界部
29 異常部
31,32 2値化画像
40 パターン化位相差フィルム
41 第1画像専用の撮影ユニット
42 第2画像専用の撮影ユニット
66 2値化回路
67 画像反転回路
68 排他的論理和演算回路
69 ノイズ除去回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学軸が互いに直交するそれぞれ帯状の第1及び第2位相差領域が交互に複数並べて配列されたパターン化位相差フィルムの欠陥部を検出するパターン化位相差フィルムの欠陥検出装置において、
前記パターン化位相差フィルムを挟むように配置される第1及び第2の偏光板と、
前記第1偏光板を介して前記パターン化位相差フィルムに照明光を照射する照明光源と、
前記パターン化位相差フィルムと前記第2偏光板との間に配置されるλ/4波長板と、
前記第1偏光板の透過軸を前記パターン化位相差フィルムの光学軸に対し45°傾けた状態で、前記第2偏光板の透過軸を、前記λ/4波長板の光学軸に対して+45度にした第1状態と、前記第2偏光板の透過軸を、λ/4波長板の光学軸に対して−45度にした第2状態とに選択的にセットする撮影条件変更部と、
前記撮影条件変更部による前記第1状態及び前記第2状態で、前記λ/4波長板及び前記第2偏光板を介して前記パターン化位相差フィルムを撮影し、第1画像及び第2画像を得る撮影装置と、
前記第1画像と前記第2画像との前記第1及び第2位相差領域を一致させて、第1画像及び第2画像を重ね合わせて合成する画像合成部と、
前記画像合成部からの合成画像信号に基づき前記欠陥を検出する欠陥検出部と
を有することを特徴とするパターン化位相差フィルムの欠陥検査装置。
【請求項2】
前記合成画像部は、画像合成に際して、前記第1及び第2位相差領域の境界線と直交する方向における第1画像と第2画像の相対位置を変えて重ね合せ、重ね合わせた後の合成画像の平均輝度が最小になる前記相対位置で前記合成画像を作成することを特徴とする請求項1記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査装置。
【請求項3】
前記第1画像と前記第2画像における前記第1及び第2位相差領域に対する明部輝度を前記合成画像部のダイナミックレンジと前記撮像装置のダイナミックレンジのうちのレンジの狭い方のダイナミックレンジの略半分の輝度にして撮影することを特徴とする請求項1または2記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査装置。
【請求項4】
前記画像合成部は、前記第1画像と前記第2画像に対して2値化信号を生成し、一方の2値化信号の明暗を反転して反転2値信号とし、この反転2値信号と他方の2値化信号との排他的論理和を取ることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査装置。
【請求項5】
前記パターン化位相差フィルムは、第1及び第2位相差領域の列方向に搬送されるウェブであり、
前記撮影装置は、前記第1画像を取得する第1撮影装置本体と、前記第2画像を取得する第2撮影装置本体を有し、前記ウェブの搬送に同期して前記ウェブを撮影することを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査装置。
【請求項6】
前記画像合成部による2値化合成画像において前記第1及び第2位相差領域の境界に基づくパターン境界部を消去するパターン境界消去部を有することを特徴とする特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査装置。
【請求項7】
前記パターン境界消去部は、前記第1及び第2位相差領域の境界幅が含まれる画素領域をノイズとして縮小処理することを特徴とする請求項6記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査装置。
【請求項8】
光学軸が互いに直交するそれぞれ帯状の第1及び第2位相差領域が交互に複数並べて配列されたパターン化位相差フィルムの欠陥部を検出するパターン化位相差フィルムの欠陥検出方法において、
前記パターン化位相差フィルムを挟むように第1及び第2の偏光板を配し、
照明光源により、前記第1偏光板を介して前記パターン化位相差フィルムに照明光を照射し、
前記パターン化位相差フィルムと前記第2偏光板との間にλ/4波長板を配し、
前記第1偏光板の透過軸を前記パターン化位相差フィルムの光学軸に対し45°傾けた状態で、前記第2偏光板の透過軸を、前記λ/4波長板の光学軸に対して+45度にした第1状態と、前記第2偏光板の透過軸を、前記λ/4波長板の光学軸に対して−45度にした第2状態とにセットし、
撮影装置により、前記λ/4波長板及び前記第2偏光板を介して、前記第1状態で撮影して第1画像を取得し、前記第2状態で撮影して第2画像を取得し、
画像合成部により、前記第1画像と前記第2画像の前記第1及び第2位相差領域を一致させて重ね合わせて合成画像を作成し、
前記合成画像に基づき前記欠陥を検出することを特徴とするパターン化位相差フィルムの欠陥検査方法。
【請求項9】
前記合成画像の作成に際して、前記第1及び第2位相差領域の境界線と直交する方向における第1画像と第2画像の相対位置を変えて重ね合せ、重ね合わせた後の合成画像の平均輝度が最小になる前記相対位置で前記合成画像を作成することを特徴とする請求項8記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査方法。
【請求項10】
前記第1画像と前記第2画像における前記第1及び第2位相差領域に対する明部輝度を前記画像合成部のダイナミックレンジと前記撮像装置のダイナミックレンジのうちのレンジの狭い方のダイナミックレンジの略半分の輝度にして撮影することを特徴とする請求項8または9記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査方法。
【請求項11】
前記画像合成部は、前記第1画像と前記第2画像に対して2値化信号を生成し、一方の2値化信号の明暗を反転して反転2値信号とし、この反転2値信号と他方の2値化信号との排他的論理和を取ることを特徴とする請求項8から10いずれか1項記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査方法。
【請求項12】
前記パターン化位相差フィルムは、第1及び第2位相差領域の配列方向に直交する方向に搬送されるウェブであり、
前記撮影装置は、前記第1画像を取得する第1撮影装置本体と、前記第2画像を取得する第2撮影装置本体とを有し、前記ウェブの搬送に同期して前記ウェブを撮影することを特徴とする請求項8から11いずれか1項記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査方法。
【請求項13】
前記画像合成部による2値化合成画像において前記第1及び第2位相差領域の境界に基づくパターン境界部を消去することを特徴とする特徴とする請求項8から12いずれか1項記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査方法。
【請求項14】
前記第1及び第2位相差領域の境界幅が含まれる画素領域をノイズとして縮小処理し、前記パターン境界部を消去することを特徴とする請求項13記載のパターン化位相差フィルムの欠陥検査方法。
【請求項15】
光学軸が互いに直交するそれぞれ帯状の第1及び第2位相差領域が交互に複数並べて配列されたパターン化位相差フィルムを製造する製造工程と、
前記製造工程を経たパターン化位相差フィルムの欠陥部を検出するパターン化位相差フィルムの欠陥検出工程とを有するパターン化位相差フィルムの製造方法において、
前記パターン化位相差フィルムを挟むように第1及び第2の偏光板を配し、
照明光源により、前記第1偏光板を介して前記パターン化位相差フィルムに照明光を照射し、
前記パターン化位相差フィルムと前記第2偏光板との間にλ/4波長板を配し、
前記第1偏光板の透過軸を前記パターン化位相差フィルムの光学軸に対し45°傾けた状態で、前記第2偏光板の透過軸を、前記λ/4波長板の光学軸に対して+45度にした第1状態と、前記第2偏光板の透過軸を、λ/4波長板の光学軸に対して−45度にした第2状態とに選択的にセットし、
撮影装置により、前記λ/4波長板及び前記第2偏光板を介して、前記第1状態で撮影して第1画像を取得し、前記第2状態で撮影して第2画像を取得し、
前記第1画像と前記第2画像の前記第1及び第2位相差領域を一致させて重ね合わせて合成画像を作成し、
前記合成画像に基づき前記欠陥を検出することを特徴とするパターン化位相差フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−50381(P2013−50381A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188469(P2011−188469)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】