パターン化導電アレイ及びセルフレベリングエポキシ
【課題】圧電インクジェットプリントヘッドの噴射密度を高めるため、従来のアセンブリより製造が容易な電気相互接続層を有するプリントヘッドの組立て方法を提供する。
【解決手段】インクジェットプリントヘッドを形成するための方法は、複数の圧電素子20をダイヤフラム36へ付着することと、前記ダイヤフラムを覆って侵入型層50を計量分配することと、複数の導電素子62を複数の圧電素子へ電気結合することと、侵入型層を硬化することと、を含むことができる。侵入型層内の複数の電気絶縁される導電粒子54は、複数の導電素子を複数の圧電素子へ電気結合する。導電粒子は、侵入型層誘電体全体に渡って一様に分散されることができ、または各圧電素子の頂面上へ局在化されかつ複数の圧電素子と複数の導電素子との間に挿入されることができる。導電素子は、フレックス回路マニホールドプリント基板60の一部であってもよい。
【解決手段】インクジェットプリントヘッドを形成するための方法は、複数の圧電素子20をダイヤフラム36へ付着することと、前記ダイヤフラムを覆って侵入型層50を計量分配することと、複数の導電素子62を複数の圧電素子へ電気結合することと、侵入型層を硬化することと、を含むことができる。侵入型層内の複数の電気絶縁される導電粒子54は、複数の導電素子を複数の圧電素子へ電気結合する。導電粒子は、侵入型層誘電体全体に渡って一様に分散されることができ、または各圧電素子の頂面上へ局在化されかつ複数の圧電素子と複数の導電素子との間に挿入されることができる。導電素子は、フレックス回路マニホールドプリント基板60の一部であってもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドロップ・オン・デマンド方式のインクジェット技術は、印刷産業において広く用いられている。ドロップ・オン・デマンド方式のインクジェット技術を用いるプリンタは、サーマルインクジェット技術、または圧電技術の何れかを用いる可能性がある。圧電インクジェット機器はサーマルインクジェット機器より製造費用が高いが、圧電インクジェットは一般的に、より広範なインクを使用できるという理由で好まれる。
【0002】
圧電インクジェットのプリントヘッドは、典型的には、軟質のダイヤフラムと、ダイヤフラムへ付着される圧電素子とを含む。圧電素子へ電圧波形が、典型的には電圧源へ電気結合される電極との電気接続を介して印加されると、圧電素子は振動してダイヤフラムを振動させる。結果的に、これにより、チャンバから一定量のインクがノズルを介して放出される。この振動はさらに、主インクリザーバから開口を介してチャンバへインクを引き込み、放出されたインクが置換される。
【0003】
圧電インクジェット技術を採用するインクジェットプリンタの印刷解像度を上げることは、設計エンジニアの目標である。圧電インクジェットのプリントヘッドの噴射密度を高めれば、印刷解像度を上げることができる。噴射密度を高める1つの方法は、ジェットスタック内部のマニホールドをなくすることである。この設計の場合、ジェットごとにジェットスタックの背面を介する単一のポートを有することが好ましい。このポートは、インクがリザーバから各ジェットチャンバへ移送されるための通路として機能する。高密度プリントヘッドには多数のジェットが存在することから、インク注入口はダイヤフラムを介して圧電素子間を垂直に通っていなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部マニホールドを有する高密度インクジェットプリントヘッドアセンブリの製造は、新しい処理方法を必要としてきた。外部マニホールドを有する圧電インクジェットプリントヘッドは、インク注入口がプリントヘッドアセンブリの電子部分を通過することを必要とする。よって、従来のアセンブリより製造が容易な電気相互接続層を有するプリントヘッドの組立て方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本教示の一実施形態は、インクジェットプリントヘッドを形成するための方法を含むことが可能であり、この方法は、複数の圧電素子をダイヤフラムへ付着することと、誘電体を備える侵入型層を複数の圧電素子を封入しかつダイヤフラムに接触させるために計量分配することと、複数の導電素子を侵入型層の頂面へ付着することであって、侵入型層誘電体内の複数の導電粒子は複数の導電素子を複数の圧電素子へ電気結合することと、侵入型層を硬化することを含む。
【0006】
別の実施形態では、インクジェットプリントヘッドは、貫通する複数の開口を備えるダイヤフラムと、ダイヤフラムへダイヤフラム付着材で付着されるボディプレートと、ダイヤフラムへ付着される複数の圧電素子と、複数の圧電素子を封入する侵入型層とを含むことが可能である。インクジェットプリントヘッドはさらに、複数の導電素子と、各導電素子と各圧電素子との間に挿入される複数の導電粒子とを含むことが可能であって、複数の導電粒子は侵入型層内に分散され、互いから電気絶縁されかつ複数の圧電素子を複数の導電素子へ電気結合する。
【0007】
本教示の一実施形態は、さらに、インクジェットプリントヘッドを有するプリンタを含むことが可能であって、インクジェットプリントヘッドは、貫通する複数の開口を備えるダイヤフラムと、ダイヤフラムへダイヤフラム付着材で付着されるボディプレートと、ダイヤフラムへ付着される複数の圧電素子と、複数の圧電素子を封入する侵入型層と、複数の導電素子を備えるフレックス回路とを含む。プリンタはさらに、各導電素子と各圧電素子との間に挿入される複数の導電粒子であって、侵入型層内に分散され、互いから電気絶縁されかつ複数の圧電素子を複数の導電素子へ電気結合する複数の導電粒子と、フレックス回路へ付着されるマニホールドと、マニホールドの表面及びフレックス回路の表面によって形成されるインクリザーバとを含むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本教示の一実施形態による、製造過程の機器の中間圧電素子を示す斜視図である。
【図2】本教示の一実施形態による、製造過程の機器の中間圧電素子を示す斜視図である。
【図3】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図4】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図5】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図6】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図7】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図8】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図9】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図10】図9のジェットスタックを含むプリントヘッドを示す断面図である。
【図11】本教示の一実施形態によるプリントヘッドを含む印刷機器を示す図である。
【図12】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図13】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図14】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図15】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図16】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図17】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図18】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
これらの図面が示す詳細の中には、厳密な構造上の精度、ディテール及び縮尺を保持するというよりは発明的実施形態の理解を容易にするために単純化されて描かれたものがある点は留意されたい。
【0010】
本明細書において、「プリンタ」という用語は、任意の目的で印刷出力機能を実行する、デジタルコピー機、製本機械、ファックス機、多機能機械、他等の任意の装置を包含する。「ポリマ」という用語は、熱硬化性ポリイミド、熱プラスチック、樹脂、ポリカーボネート、エポキシ及び技術上既知である関連化合物を含む、長鎖分子から形成される広範な炭素ベース化合物のうちの任意のものを包含する。
【0011】
本教示による実施形態は、プリンタの一部として用いられることが可能なプリントヘッドのジェットスタックの製造を単純化することができる。本教示は、z軸では導電体、x軸及びy軸では不導体という物質である異方性導電エポキシの使用を含むことが可能である。他の実施形態は、局所化されたz軸導体の使用を含むことが可能である。先行プロセスによっては、隣接する圧電素子(即ち、トランスデューサ)間に形成される非導電性の侵入型層は、複数の圧電素子の頂面上に形成され、よって、プリント基板(PCB)電極との電気連通を促進するために、圧電素子の頂面から取り外されなければならなかった。上に横たわる侵入型層の取外しは、エッチマスク及びエッチングプロセスの使用を必要とする。提案プロセスの一実施形態において、侵入型層は、大面積接着を提供するためのスタンドオフ層、及びPCB電極及び圧電素子への電気接続の双方として機能する。別の実施形態では、圧電素子頂面上の侵入型層エポキシは、各圧電素子の頂面を覆って選択的に置かれる導電素子を有する。これは、後に取り外されるステンシルまたはマスクを用いて達成されることが可能である。
【0012】
本教示は、圧電素子の頂面を覆う侵入型層のパターン化されたエッチングを必要とすることなく、かつ電子界面へ大面積接着を提供するためのパターン化されたスタンドオフ層を形成することなく、侵入型層を形成することができる。
【0013】
本教示の一実施形態は、ジェットスタック、プリントヘッド及び前記プリントヘッドを含むプリンタの形成を包含することができる。図1の斜視図では、圧電素子層10は接着材14によって転写キャリア12へ分離可能式に接着されている。圧電素子層10は、内部誘電体として機能するための例えばジルコン酸チタン酸鉛層を、例えば約25μm〜約150μmの間の厚さで含むことができる。圧電素子層10は、誘電PZTの各側面に導電層を設けるために、両側を例えば無電解メッキ処理を用いてニッケルでメッキされることが可能である。ニッケルメッキされたPZTは、本質的には、内部PZT材料に渡って電位差を発生させる平行板キャパシタとして機能する。キャリア12は、金属シート、プラスチックシートまたは別の転写キャリアを含むことが可能である。圧電素子層10を転写キャリア12へ付着する接着層14は、ダイシングテープ、熱プラスチックまたは別の接着材を含むことが可能である。別の実施形態では、転写キャリア12は、別の接着層14が不要であるように、粘着性熱プラスチック層等の物質であることが可能である。
【0014】
図1の構造体の形成後、図2に描かれているように、圧電素子層10はダイシングされ、複数の個々の圧電素子20が形成される。図2は4x3アレイの圧電素子を描いているが、より大きいアレイが形成される可能性もあることは認識されるであろう。例えば、現行のプリントヘッドは、344x20アレイの圧電素子を有することも可能である。ダイシングは、ウェーハダイシングソー等のソーのような機械技術を用いて、ドライエッチングプロセスを用いて、レーザカットプロセス、他を用いて実行されてもよい。隣接する各圧電素子20の完全な分離を保証するために、ダイシングプロセスは、接着材14の一部を除去して転写キャリア12上で停止した後に、または接着材14を通過してキャリア12内までダイシングした後に終了することができる。
【0015】
個々の圧電素子20を形成した後、図2のアセンブリは、図3の断面図に描かれているように、ジェット・スタック・サブアセンブリ30へ付着されることが可能である。図3の断面図は、図2の構造体のディテールをより良く示すために拡大されたものであり、1つの部分的な圧電素子20及び2つの完全な圧電素子20の断面を描いている。ジェット・スタック・サブアセンブリ30は、既知の技術を用いて製造されることが可能である。ジェット・スタック・サブアセンブリ30は、例えば、インレット/アウトレットプレート32と、ボディプレート34と、接着性ダイヤフラムの付着材38を用いてボディプレート34へ付着されるダイヤフラム36とを含むことが可能である。ダイヤフラム36は、後述するように、完成した機器においてインクを通すための複数の開口40を含むことが可能である。図3の構造体は、さらに、プロセスにおけるこの時点で周囲空気を充填されることが可能な複数のボイド42も含む。ダイヤフラムの付着材38は、ダイヤフラム36を介する開口40が覆われるように、単一のポリマシート等の材料の固体シートであってもよい。
【0016】
一実施形態では、図2の構造体は、ダイヤフラム36と圧電素子20との間の接着材を用いてジェット・スタック・サブアセンブリ30へ付着されることが可能である。例えば、測定された一定量の接着材(個々には描かれていない)が圧電素子20の上面上、ダイヤフラム36上または双方の上の何れかへ分配される、スクリーン印刷される、ローラで延ばされる、等々が可能である。一実施形態では、ダイヤフラム上へ、圧電素子20ごとに一滴の接着材が置かれてもよい。接着材を付した後、ジェット・スタック・サブアセンブリ30及び圧電素子20は互いに位置合わせされ、次いで圧電素子20が接着材でダイヤフラム36へ機械的に接続される。接着材は、その接着材が図3の構造体をもたらすことに適する技術によって硬化される。
【0017】
続いて、図3の構造体から転写キャリア12及び接着材14が除去され、図4の構造体がもたらされる。
【0018】
次に、図5に描かれているように、各圧電素子20間及び各圧電素子20の頂面を覆って侵入型層50を供給するように、図4の構造体上へ侵入型充填材が計量分配される。この実施形態において、侵入型充填材は、z軸に導体を提供しかつx軸及びy軸に絶縁体を提供する誘電体内に導電ボールまたは導電粒子を含むことが可能である。十分に機能すると思われる材料は、Creative Materials,Inc.(Tyngsboro,MA)から入手可能な125−22異方性導電エポキシ接着剤である。導体充填液、ペースト及びエポキシ等の他の材料も十分に機能すると思われ、よって、本教示の実施形態の侵入型層50として使用することに適するこのような材料を、本明細書では異方性導電充填材と称する。異方性導電充填材は、図5に描かれているように、ダイヤフラム36の上面52の露出された部分を覆いかつ圧電素子20を封入するに足る量で計量分配されることが可能である。異方性導電充填材は、さらに、図示されているようにダイヤフラム36内の開口40を満たすことができる。ダイヤフラム36内の開口40を覆うダイヤフラムの付着材38は、異方性導電充填材が開口40を通過することを防止する。異方性導電充填材50は、エポキシ媒体(即ち、及びエポキシベースまたはキャリア)と、侵入型層50全体に渡って分散されかつ一実施形態では侵入型層50全体に渡って均等に分散される複数の導電粒子54とを含むことが可能である。導電粒子は、後述するようにz軸導体を形成するが、ベース内の導電粒子の密度は、x軸及びy軸における導電には不十分である。導電粒子は、金属等の導体で被覆される誘電体球(例えば、セラミック、プラスチック、ポリマ、他)であってもよく、金属等の固体導体であってもよい。また、導電粒子は金属フレークである可能性も、一方向マイクロワイヤである可能性もある。複数の導電粒子54は互いから電気絶縁され、かつ約1.0マイクロメートル(μm)〜約5.0μmの平均直径を有することが可能である。未硬化の侵入型層50は、図5に描かれているように、セルフレベリングの結果として比較的平坦な上面を有してもよく、またはこの処理段階では不均一であってもよい。
【0019】
異方性導電充填材50の計量分配に続いて、複数の導電素子(即ち、電極)62を有するフレキシブルプリント回路(即ち、「フレックス回路」)60が侵入型層50の露出された表面へ付着される。導電素子62は圧電素子20と位置合わせされ、かつフレックス回路60と侵入型層50との間に物理的接触が行われる。導電粒子54の中には圧電素子20及び導電素子62の双方に接触するものがあることを保証するために、フレックス回路60が侵入型層50へ付着される間にフレックス回路60の上面64へ十分な下向きの力が加えられる。一実施形態において、下向きの力は、図6に描かれているように、圧電素子20と導電素子62との間に挿入される複数の粒子54を変形させるに足るものであってもよく、これにより、導電素子62及び圧電素子20から導電粒子54を介する電気接触が達成される。別の実施形態において、下向きの力は、導電素子62、導電粒子54及び圧電素子20の間に電気接触を確立するに足るものであるが、粒子がそのもとの形状を保持するように粒子54を変形するには不十分である。技術上既知であるように、フレックス回路60は、圧電素子20へ電気信号をルーティングするために各導電素子62へ電気接続する内部トレース(個々には示さず)を含む。この内部ルーティングを介して、電圧は、各圧電素子20を他の導電素子62及び圧電素子20とは独立して起動するように各導電素子62へ選択的に印加されることが可能である。各導電素子62と圧電素子20との間には、異方性導電充填材50内の導電粒子54を介して電気経路が確立される。詳細には、先に述べたように、各圧電素子20は、頂面及び底面の双方を覆うニッケル層等の導体を含んでもよく、かつ各導電素子62と圧電素子20の頂面上の導体との間の電気接触は、異方性導電充填材50内の導電粒子54を介して提供される。ニッケル層は、導電素子62と導電素子62へ付着される圧電素子20との間で導電粒子54が1つしかトラップされなくても、電圧が圧電素子20の頂面全体へ、導電素子62から導電粒子54へ、かつ圧電素子20への電気経路を介して印加され得ることを保証する。別の実施形態において、フレックス回路60はプリント基板(PCB)であってもよい。
【0020】
加えて、フレックス回路60の上面64への力の印加は、未硬化の侵入型層50の上面をレベリングする。下向きの力の印加後、侵入型層は、異方性導電充填材に適する技術を用いて硬化される。典型的には、これは、侵入型層50内の揮発性溶剤を除去するために熱の印加を介して材料を硬化することを含んでもよい。別の実施形態において、侵入型層50は、紫外線放射への暴露を用いて硬化されてもよい。従って、侵入型層50は、フレックス回路60をジェット・スタック・サブアセンブリ30へ物理的に付着するための接着剤として機能し、かつ侵入型層50内に分散される導電粒子54は、圧電素子20を導電素子62へ電気結合するためのz軸導体として機能する。
【0021】
次に、ダイヤフラム36を介する開口40は、インクがダイヤフラム36を介して通過できるように清浄化されることが可能である。開口40の清浄化は、接着性ダイヤフラムの付着材38、侵入型層50及び開口40を覆うフレックス回路60の一部を除去することを含む。様々な実施形態では、化学的または機械的な除去技術が用いられてもよい。一実施形態において、特にインレット/アウトレットプレート32、ボディプレート34及びダイヤフラム36が金属製である場合、セルフアライン式の除去プロセスは、図7に描かれているように、レーザビーム72を出力するレーザ70の使用を包含することが可能である。インレット/アウトレットプレート32、ボディプレート34及び設計に依存して、場合によりダイヤフラム36は、セルフアライン式のレーザ・アブレーション・プロセスのためにレーザビーム72をマスキングすることができる。この実施形態では、CO2レーザ、エキシマレーザ、固体レーザ、銅蒸気レーザ及びファイバレーザ等のレーザを用いることができる。CO2レーザ及びエキシマレーザは、典型的には、エポキシを含むポリマをアブレートすることができる。CO2レーザは、低い動作コスト及び高い製造スループットを有することが可能である。図7には2つのレーザ70が描かれているが、単一のレーザビームが1つ以上のレーザパルスを用いて各ホールを順々に開いてもよい。別の実施形態では、単一の動作において2つ以上の開口が生成されることも可能である。例えば、エキシマレーザの像平面に挿入されるマスクは、単一の幅広レーザビームからの1つ以上のパルスを用いて2つ以上の開口または全ての開口を開放する可能性もある。インレット/アウトレットプレート32、ボディプレート34及び恐らくはダイヤフラム36によって形成されるマスクをオーバーフィルし得るCO2レーザビームは、順次各開口40を照射し、図7に描かれているように、ダイヤフラムの付着材38、侵入型層50及びフレックス回路60を介して延長された開口を形成することも可能であり、最終的に図8の構造体が得られる。
【0022】
続いて、図9に描かれているように、インレット/アウトレットプレート32へ有孔プレート90を接着材(個々には描かれていない)で付着することができる。有孔プレート90は、印刷中にインクが通って放出されるノズル92を含む。有孔プレート92が付着されると、ジェットスタック94は完成する。
【0023】
続いて、例えば接着材等の流体密封シール式接続部102を用いて、フレックス回路60へマニホールド100が接着されることが可能であって、結果的に図10に描かれているようなインクジェットプリントヘッド104が生じる。インクジェットプリントヘッド104は、マニホールド100の表面及びフレックス回路60によって形成される、一定量のインクを貯蔵するためのリザーバ106を含むことが可能である。リザーバ106からのインクは、ジェットスタック94内のポート108を介して送出される。図10は単純化された図であり、図の左右に追加的な構造体を有してもよいことは理解されるであろう。例えば、図10は2つのポート108を描いているが、ある典型的なジェットスタックは、例えば344x20アレイのポートを有することが可能である。
【0024】
使用に際して、プリントヘッド104のマニホールド100内のリザーバ106は、一定量のインクを含む。プリントヘッドの最初のプライミングは、インクをリザーバ106からジェットスタック94内のポート108を介してジェットスタック94内のチャンバ110へと流れ込ませるために使用されることが可能である。各導電素子62上へ印加される電圧112に反応して、各PZT圧電素子20は、デジタル信号に応答する適切な時間に振動する。圧電素子20の振動はダイヤフラム36を屈曲させ、これによりチャンバ110内に圧力パルスが生じ、インクの一滴がノズル94から放出される。
【0025】
これにより、上述の方法及び構造体は、インクジェットプリンタのためのジェットスタック94を形成する。一実施形態では、ジェットスタック94は、図10に描かれているようなインクジェットプリントヘッド104の一部として使用されることが可能である。
【0026】
図11は、本教示の一実施形態による、1つ以上のプリントヘッド104及び1つ以上のノズル92から噴出されるインク116を含むプリンタ114を描いたものである。各プリントヘッド104は、用紙、プラスチック、他等の印刷媒体118上へ所望される画像を生成するために、デジタル命令に従って動作される。各プリントヘッド104は、スワス毎に印刷画像を生成するために、走査動作において印刷媒体118に対して前後に移動してもよい。或いは、プリントヘッド104が固定して保持されかつ印刷媒体118がそれと相対的に移動されて、単一の通過でプリントヘッド104と同じ幅の画像が生成されてもよい。さらに、印刷は、プリントヘッド104を用いてドラム等の中間被加熱構造体(単純化のために個々には描かれていない)上にインクパターン116を形成することと、このドラムを用いて画像を印刷媒体118上へ転写(転写定着)することを含んでもよい。プリントヘッド104は、印刷媒体118より狭い、またはこれと同幅であることが可能である。
【0027】
このように、上述の実施形態は、プリンタに使用されることが可能なインクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックを提供することができる。ジェットスタックを形成するこの方法及び完成されたジェットスタックは、ポリマ充填侵入型層への大面積接着及び電気相互接続を提供するスタンドオフ層の使用を必要としない。さらに、本方法では、各圧電素子の頂部から侵入型層を除去する必要がない。この実施形態において、侵入型層50は、各導電素子60を圧電素子20へ電気結合する導電粒子54を含む。さらに、侵入型層50は、機器の使用中に各圧電素子20の頂部上に留まる。
【0028】
図7及び図8に描かれているように、ダイヤフラム付着材38、侵入型層50及びフレックス回路60のレーザアブレーションは、ダイヤフラム36を介して開口40を清浄化するために実行されることが可能である。結果的にレーザアブレーションの間に生成される残留物は、レーザアブレーションの間に気化され得ない導電粒子54を含む可能性がある。諸実施形態において、このレーザアブレーションの結果として生じる破壊屑または残留物は問題ではなく、または、例えば残留物を取り除くための洗浄液または空気ブラストを用いてジェットスタックから除去されてもよい。
【0029】
以下、図12〜図15を参照して、レーザアブレーションから自由な導電粒子54が生じない本教示の別の実施形態について説明する。
【0030】
この実施形態は、これまでに述べた方法を用いた図4に描かれているものに類似する構造体の形成を含むことが可能である。図4の構造体の形成後、図12に描かれているように、各圧電素子20間及び各圧電素子20の頂面を覆って侵入型層120を供給するように、図4の構造体上へ侵入型充填材が計量分配される。この実施形態において、侵入型充填材は、Miller−Stephenson Chemical Co,.(Danbury,CT)から市販されているEpon(商標)828エポキシ樹脂(重量で100部)とHexion Specialty Chemicals(Columbus,OH.)から市販されているEpikure(商標)3277硬化剤(重量で49部)との組み合わせ等の誘電体エポキシまたは他のポリマを含んでもよい。一実施形態において、圧電素子20の頂部を覆う侵入型層120は約5.0μm〜約10.0μmの厚さを有してもよい。
【0031】
侵入型層120は、溶着後、例えば図12の構造体を約30゜C〜約100゜Cの温度まで、約1分から約60分間までの持続時間に渡って加熱することによって部分的に硬化されることが可能である。一実施形態において、侵入型層120は、紫外光をその材料を完全に硬化させるには不十分な持続時間に渡って当てることにより部分的に硬化されてもよい。別の実施形態では、プロセスのこの時点で侵入型層120を部分的に硬化することは不要である。侵入型層120は、材料のセルフレベリングの結果として比較的平坦な上面を有する場合もあれば、不均一な上面を有する場合もある。
【0032】
次に、図13に描かれているように、図12の構造体の表面を覆ってパターン化されたマスク130が形成される。パターン化されたマスク130は、図示されているように、各圧電素子20の頂面を露出させる開口132を含む。パターン化されたマスク130は、ステンレスシルクスクリーン、予め形成されたポリイミドマスク、予め形成された金属マスク、他を用いて形成されてもよい。侵入型層120の上面が比較的一様であれば、パターン化されたマスク130は、光フォトリソグラフィを用いて形成されるパターン化されたフォトレジスト層であってもよい。
【0033】
パターン化されたマスクの付着後、図14に描かれているように、図13の表面へ導電粒子140が付着される。導電粒子140は、噴霧され、撒き散らされ、スパッタリングされ、または別の適切な技術を用いて付着される遊離した粒子であってもよい。粒子は、約1.0μm〜約10.0μmの間、または約3.0μm〜約10.0μmの間、または約5.0μm〜約10.0μmの間の平均直径を有してもよい。一実施形態において、パターン化されたマスク130の頂面は接着性であってもよく、または、接着剤が遊離した粒子を包含するように遊離した粒子が接着するマスクの頂面へ付着される接着層(個々には示さず)を含んでもよい。導電粒子140の付着に続いて、パターン化されたマスク130が除去され、図15に描かれているものに類似する構造体が形成される。
【0034】
次には、図16に描かれているように、複数の導電素子162を有するフレックス回路160が図15の構造体の頂面へ付着されることが可能である。付着は、圧電素子20の頂部を覆う侵入型層120内へ導電粒子140を埋め込むに足る下向きの力を用いることを含んでもよい。この実施形態において、導電粒子は、各圧電素子20の頂面を覆う侵入型層120内に局在化される。各圧電素子20の頂面上以外のロケーションでは、侵入型層120に導電粒子140は存在しない。また、この下向きの力は、導電粒子140と圧電素子20との間、及び導電粒子140とフレックス回路160の導電素子162との間の物理的及び電気的接触を促進するためにも十分である。このように、複数の導電素子162と複数の圧電素子20との間の電気経路は、複数の導電粒子140との接触を介して確立される。レベリングが、例えばセルフレベリングによって事前に確立されていなければ、下向きの力はさらに、侵入型層160の上面をレベリングしかつ平坦化するためにも十分である。侵入型層120はさらに、フレックス回路160をジェット・スタック・サブアセンブリ30へ物理的に接続するための接着剤としても機能し、かつ導電粒子140は、圧電素子20をフレックス回路160の導電素子162へ電気結合する。先に論じたように、フレックス回路160はさらに、導電素子162へ電気接続を提供する導電ルーティング(個々には示さず)も含む。
【0035】
図16の構造体の形成後、侵入型層120は、その材料に適する技法を用いて硬化される。典型的には、これは、侵入型層120内の揮発性溶剤を除去するために熱の印加を介して材料を硬化することを含んでもよい。別の実施形態において、侵入型層120は、紫外線放射への暴露を用いて硬化される。
【0036】
続いて、開口40を覆うダイヤフラム付着材38、侵入型層120及びフレックス回路160を除去するために、ダイヤフラム36内の開口40は清浄化されることが可能である。この材料は、湿式または乾式の化学的エッチング、ドリリング使用等の機械的技術を用いて、または図17に描かれているようなレーザビーム72を出力する先に説明した方法に類似するレーザ70を用いて清浄化されてもよい。ダイヤフラム36内の開口40を清浄化した後は、図18に描かれているものに類似する構造体が残る。処理は、図9から図11を参照して先に描かれかつ説明されたものに類似する方法を用いて継続可能である。
【0037】
この実施形態では、図17におけるレーザアブレーションは、ダイヤフラム付着材38、侵入型層120及びフレックス回路160を除去する。レーザビーム72によってアブレートされる侵入型層120は導電粒子140を含まず、よって、侵入型層120から遊離性導電粒子は放たれない。
【0038】
この例示的な方法は、一連の行動またはイベントとして示されかつ記述されているが、本発明がこのような行動またはイベントの例示された順序に限定されないことを認識されたい。例えば、幾つかの行動は、本教示に従って、本明細書に例示されかつ/または記述されている順序とは異なる順序で、かつ/または他の行動またはイベントと同時に発生する場合もある。さらに、本教示による方法論を実装する際には、例示されている全てのステップが必要とされなくてもよい。明細書の本文及び図面を参照すれば、一般的な当業者には他の実施形態も明らかとなるであろう。
【技術分野】
【0001】
ドロップ・オン・デマンド方式のインクジェット技術は、印刷産業において広く用いられている。ドロップ・オン・デマンド方式のインクジェット技術を用いるプリンタは、サーマルインクジェット技術、または圧電技術の何れかを用いる可能性がある。圧電インクジェット機器はサーマルインクジェット機器より製造費用が高いが、圧電インクジェットは一般的に、より広範なインクを使用できるという理由で好まれる。
【0002】
圧電インクジェットのプリントヘッドは、典型的には、軟質のダイヤフラムと、ダイヤフラムへ付着される圧電素子とを含む。圧電素子へ電圧波形が、典型的には電圧源へ電気結合される電極との電気接続を介して印加されると、圧電素子は振動してダイヤフラムを振動させる。結果的に、これにより、チャンバから一定量のインクがノズルを介して放出される。この振動はさらに、主インクリザーバから開口を介してチャンバへインクを引き込み、放出されたインクが置換される。
【0003】
圧電インクジェット技術を採用するインクジェットプリンタの印刷解像度を上げることは、設計エンジニアの目標である。圧電インクジェットのプリントヘッドの噴射密度を高めれば、印刷解像度を上げることができる。噴射密度を高める1つの方法は、ジェットスタック内部のマニホールドをなくすることである。この設計の場合、ジェットごとにジェットスタックの背面を介する単一のポートを有することが好ましい。このポートは、インクがリザーバから各ジェットチャンバへ移送されるための通路として機能する。高密度プリントヘッドには多数のジェットが存在することから、インク注入口はダイヤフラムを介して圧電素子間を垂直に通っていなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部マニホールドを有する高密度インクジェットプリントヘッドアセンブリの製造は、新しい処理方法を必要としてきた。外部マニホールドを有する圧電インクジェットプリントヘッドは、インク注入口がプリントヘッドアセンブリの電子部分を通過することを必要とする。よって、従来のアセンブリより製造が容易な電気相互接続層を有するプリントヘッドの組立て方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本教示の一実施形態は、インクジェットプリントヘッドを形成するための方法を含むことが可能であり、この方法は、複数の圧電素子をダイヤフラムへ付着することと、誘電体を備える侵入型層を複数の圧電素子を封入しかつダイヤフラムに接触させるために計量分配することと、複数の導電素子を侵入型層の頂面へ付着することであって、侵入型層誘電体内の複数の導電粒子は複数の導電素子を複数の圧電素子へ電気結合することと、侵入型層を硬化することを含む。
【0006】
別の実施形態では、インクジェットプリントヘッドは、貫通する複数の開口を備えるダイヤフラムと、ダイヤフラムへダイヤフラム付着材で付着されるボディプレートと、ダイヤフラムへ付着される複数の圧電素子と、複数の圧電素子を封入する侵入型層とを含むことが可能である。インクジェットプリントヘッドはさらに、複数の導電素子と、各導電素子と各圧電素子との間に挿入される複数の導電粒子とを含むことが可能であって、複数の導電粒子は侵入型層内に分散され、互いから電気絶縁されかつ複数の圧電素子を複数の導電素子へ電気結合する。
【0007】
本教示の一実施形態は、さらに、インクジェットプリントヘッドを有するプリンタを含むことが可能であって、インクジェットプリントヘッドは、貫通する複数の開口を備えるダイヤフラムと、ダイヤフラムへダイヤフラム付着材で付着されるボディプレートと、ダイヤフラムへ付着される複数の圧電素子と、複数の圧電素子を封入する侵入型層と、複数の導電素子を備えるフレックス回路とを含む。プリンタはさらに、各導電素子と各圧電素子との間に挿入される複数の導電粒子であって、侵入型層内に分散され、互いから電気絶縁されかつ複数の圧電素子を複数の導電素子へ電気結合する複数の導電粒子と、フレックス回路へ付着されるマニホールドと、マニホールドの表面及びフレックス回路の表面によって形成されるインクリザーバとを含むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本教示の一実施形態による、製造過程の機器の中間圧電素子を示す斜視図である。
【図2】本教示の一実施形態による、製造過程の機器の中間圧電素子を示す斜視図である。
【図3】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図4】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図5】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図6】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図7】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図8】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図9】インクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックの形成を描いた断面図である。
【図10】図9のジェットスタックを含むプリントヘッドを示す断面図である。
【図11】本教示の一実施形態によるプリントヘッドを含む印刷機器を示す図である。
【図12】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図13】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図14】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図15】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図16】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図17】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【図18】本教示の別の実施形態によるジェットスタックを含むインクジェットプリントヘッドの形成を描いた製造過程の構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
これらの図面が示す詳細の中には、厳密な構造上の精度、ディテール及び縮尺を保持するというよりは発明的実施形態の理解を容易にするために単純化されて描かれたものがある点は留意されたい。
【0010】
本明細書において、「プリンタ」という用語は、任意の目的で印刷出力機能を実行する、デジタルコピー機、製本機械、ファックス機、多機能機械、他等の任意の装置を包含する。「ポリマ」という用語は、熱硬化性ポリイミド、熱プラスチック、樹脂、ポリカーボネート、エポキシ及び技術上既知である関連化合物を含む、長鎖分子から形成される広範な炭素ベース化合物のうちの任意のものを包含する。
【0011】
本教示による実施形態は、プリンタの一部として用いられることが可能なプリントヘッドのジェットスタックの製造を単純化することができる。本教示は、z軸では導電体、x軸及びy軸では不導体という物質である異方性導電エポキシの使用を含むことが可能である。他の実施形態は、局所化されたz軸導体の使用を含むことが可能である。先行プロセスによっては、隣接する圧電素子(即ち、トランスデューサ)間に形成される非導電性の侵入型層は、複数の圧電素子の頂面上に形成され、よって、プリント基板(PCB)電極との電気連通を促進するために、圧電素子の頂面から取り外されなければならなかった。上に横たわる侵入型層の取外しは、エッチマスク及びエッチングプロセスの使用を必要とする。提案プロセスの一実施形態において、侵入型層は、大面積接着を提供するためのスタンドオフ層、及びPCB電極及び圧電素子への電気接続の双方として機能する。別の実施形態では、圧電素子頂面上の侵入型層エポキシは、各圧電素子の頂面を覆って選択的に置かれる導電素子を有する。これは、後に取り外されるステンシルまたはマスクを用いて達成されることが可能である。
【0012】
本教示は、圧電素子の頂面を覆う侵入型層のパターン化されたエッチングを必要とすることなく、かつ電子界面へ大面積接着を提供するためのパターン化されたスタンドオフ層を形成することなく、侵入型層を形成することができる。
【0013】
本教示の一実施形態は、ジェットスタック、プリントヘッド及び前記プリントヘッドを含むプリンタの形成を包含することができる。図1の斜視図では、圧電素子層10は接着材14によって転写キャリア12へ分離可能式に接着されている。圧電素子層10は、内部誘電体として機能するための例えばジルコン酸チタン酸鉛層を、例えば約25μm〜約150μmの間の厚さで含むことができる。圧電素子層10は、誘電PZTの各側面に導電層を設けるために、両側を例えば無電解メッキ処理を用いてニッケルでメッキされることが可能である。ニッケルメッキされたPZTは、本質的には、内部PZT材料に渡って電位差を発生させる平行板キャパシタとして機能する。キャリア12は、金属シート、プラスチックシートまたは別の転写キャリアを含むことが可能である。圧電素子層10を転写キャリア12へ付着する接着層14は、ダイシングテープ、熱プラスチックまたは別の接着材を含むことが可能である。別の実施形態では、転写キャリア12は、別の接着層14が不要であるように、粘着性熱プラスチック層等の物質であることが可能である。
【0014】
図1の構造体の形成後、図2に描かれているように、圧電素子層10はダイシングされ、複数の個々の圧電素子20が形成される。図2は4x3アレイの圧電素子を描いているが、より大きいアレイが形成される可能性もあることは認識されるであろう。例えば、現行のプリントヘッドは、344x20アレイの圧電素子を有することも可能である。ダイシングは、ウェーハダイシングソー等のソーのような機械技術を用いて、ドライエッチングプロセスを用いて、レーザカットプロセス、他を用いて実行されてもよい。隣接する各圧電素子20の完全な分離を保証するために、ダイシングプロセスは、接着材14の一部を除去して転写キャリア12上で停止した後に、または接着材14を通過してキャリア12内までダイシングした後に終了することができる。
【0015】
個々の圧電素子20を形成した後、図2のアセンブリは、図3の断面図に描かれているように、ジェット・スタック・サブアセンブリ30へ付着されることが可能である。図3の断面図は、図2の構造体のディテールをより良く示すために拡大されたものであり、1つの部分的な圧電素子20及び2つの完全な圧電素子20の断面を描いている。ジェット・スタック・サブアセンブリ30は、既知の技術を用いて製造されることが可能である。ジェット・スタック・サブアセンブリ30は、例えば、インレット/アウトレットプレート32と、ボディプレート34と、接着性ダイヤフラムの付着材38を用いてボディプレート34へ付着されるダイヤフラム36とを含むことが可能である。ダイヤフラム36は、後述するように、完成した機器においてインクを通すための複数の開口40を含むことが可能である。図3の構造体は、さらに、プロセスにおけるこの時点で周囲空気を充填されることが可能な複数のボイド42も含む。ダイヤフラムの付着材38は、ダイヤフラム36を介する開口40が覆われるように、単一のポリマシート等の材料の固体シートであってもよい。
【0016】
一実施形態では、図2の構造体は、ダイヤフラム36と圧電素子20との間の接着材を用いてジェット・スタック・サブアセンブリ30へ付着されることが可能である。例えば、測定された一定量の接着材(個々には描かれていない)が圧電素子20の上面上、ダイヤフラム36上または双方の上の何れかへ分配される、スクリーン印刷される、ローラで延ばされる、等々が可能である。一実施形態では、ダイヤフラム上へ、圧電素子20ごとに一滴の接着材が置かれてもよい。接着材を付した後、ジェット・スタック・サブアセンブリ30及び圧電素子20は互いに位置合わせされ、次いで圧電素子20が接着材でダイヤフラム36へ機械的に接続される。接着材は、その接着材が図3の構造体をもたらすことに適する技術によって硬化される。
【0017】
続いて、図3の構造体から転写キャリア12及び接着材14が除去され、図4の構造体がもたらされる。
【0018】
次に、図5に描かれているように、各圧電素子20間及び各圧電素子20の頂面を覆って侵入型層50を供給するように、図4の構造体上へ侵入型充填材が計量分配される。この実施形態において、侵入型充填材は、z軸に導体を提供しかつx軸及びy軸に絶縁体を提供する誘電体内に導電ボールまたは導電粒子を含むことが可能である。十分に機能すると思われる材料は、Creative Materials,Inc.(Tyngsboro,MA)から入手可能な125−22異方性導電エポキシ接着剤である。導体充填液、ペースト及びエポキシ等の他の材料も十分に機能すると思われ、よって、本教示の実施形態の侵入型層50として使用することに適するこのような材料を、本明細書では異方性導電充填材と称する。異方性導電充填材は、図5に描かれているように、ダイヤフラム36の上面52の露出された部分を覆いかつ圧電素子20を封入するに足る量で計量分配されることが可能である。異方性導電充填材は、さらに、図示されているようにダイヤフラム36内の開口40を満たすことができる。ダイヤフラム36内の開口40を覆うダイヤフラムの付着材38は、異方性導電充填材が開口40を通過することを防止する。異方性導電充填材50は、エポキシ媒体(即ち、及びエポキシベースまたはキャリア)と、侵入型層50全体に渡って分散されかつ一実施形態では侵入型層50全体に渡って均等に分散される複数の導電粒子54とを含むことが可能である。導電粒子は、後述するようにz軸導体を形成するが、ベース内の導電粒子の密度は、x軸及びy軸における導電には不十分である。導電粒子は、金属等の導体で被覆される誘電体球(例えば、セラミック、プラスチック、ポリマ、他)であってもよく、金属等の固体導体であってもよい。また、導電粒子は金属フレークである可能性も、一方向マイクロワイヤである可能性もある。複数の導電粒子54は互いから電気絶縁され、かつ約1.0マイクロメートル(μm)〜約5.0μmの平均直径を有することが可能である。未硬化の侵入型層50は、図5に描かれているように、セルフレベリングの結果として比較的平坦な上面を有してもよく、またはこの処理段階では不均一であってもよい。
【0019】
異方性導電充填材50の計量分配に続いて、複数の導電素子(即ち、電極)62を有するフレキシブルプリント回路(即ち、「フレックス回路」)60が侵入型層50の露出された表面へ付着される。導電素子62は圧電素子20と位置合わせされ、かつフレックス回路60と侵入型層50との間に物理的接触が行われる。導電粒子54の中には圧電素子20及び導電素子62の双方に接触するものがあることを保証するために、フレックス回路60が侵入型層50へ付着される間にフレックス回路60の上面64へ十分な下向きの力が加えられる。一実施形態において、下向きの力は、図6に描かれているように、圧電素子20と導電素子62との間に挿入される複数の粒子54を変形させるに足るものであってもよく、これにより、導電素子62及び圧電素子20から導電粒子54を介する電気接触が達成される。別の実施形態において、下向きの力は、導電素子62、導電粒子54及び圧電素子20の間に電気接触を確立するに足るものであるが、粒子がそのもとの形状を保持するように粒子54を変形するには不十分である。技術上既知であるように、フレックス回路60は、圧電素子20へ電気信号をルーティングするために各導電素子62へ電気接続する内部トレース(個々には示さず)を含む。この内部ルーティングを介して、電圧は、各圧電素子20を他の導電素子62及び圧電素子20とは独立して起動するように各導電素子62へ選択的に印加されることが可能である。各導電素子62と圧電素子20との間には、異方性導電充填材50内の導電粒子54を介して電気経路が確立される。詳細には、先に述べたように、各圧電素子20は、頂面及び底面の双方を覆うニッケル層等の導体を含んでもよく、かつ各導電素子62と圧電素子20の頂面上の導体との間の電気接触は、異方性導電充填材50内の導電粒子54を介して提供される。ニッケル層は、導電素子62と導電素子62へ付着される圧電素子20との間で導電粒子54が1つしかトラップされなくても、電圧が圧電素子20の頂面全体へ、導電素子62から導電粒子54へ、かつ圧電素子20への電気経路を介して印加され得ることを保証する。別の実施形態において、フレックス回路60はプリント基板(PCB)であってもよい。
【0020】
加えて、フレックス回路60の上面64への力の印加は、未硬化の侵入型層50の上面をレベリングする。下向きの力の印加後、侵入型層は、異方性導電充填材に適する技術を用いて硬化される。典型的には、これは、侵入型層50内の揮発性溶剤を除去するために熱の印加を介して材料を硬化することを含んでもよい。別の実施形態において、侵入型層50は、紫外線放射への暴露を用いて硬化されてもよい。従って、侵入型層50は、フレックス回路60をジェット・スタック・サブアセンブリ30へ物理的に付着するための接着剤として機能し、かつ侵入型層50内に分散される導電粒子54は、圧電素子20を導電素子62へ電気結合するためのz軸導体として機能する。
【0021】
次に、ダイヤフラム36を介する開口40は、インクがダイヤフラム36を介して通過できるように清浄化されることが可能である。開口40の清浄化は、接着性ダイヤフラムの付着材38、侵入型層50及び開口40を覆うフレックス回路60の一部を除去することを含む。様々な実施形態では、化学的または機械的な除去技術が用いられてもよい。一実施形態において、特にインレット/アウトレットプレート32、ボディプレート34及びダイヤフラム36が金属製である場合、セルフアライン式の除去プロセスは、図7に描かれているように、レーザビーム72を出力するレーザ70の使用を包含することが可能である。インレット/アウトレットプレート32、ボディプレート34及び設計に依存して、場合によりダイヤフラム36は、セルフアライン式のレーザ・アブレーション・プロセスのためにレーザビーム72をマスキングすることができる。この実施形態では、CO2レーザ、エキシマレーザ、固体レーザ、銅蒸気レーザ及びファイバレーザ等のレーザを用いることができる。CO2レーザ及びエキシマレーザは、典型的には、エポキシを含むポリマをアブレートすることができる。CO2レーザは、低い動作コスト及び高い製造スループットを有することが可能である。図7には2つのレーザ70が描かれているが、単一のレーザビームが1つ以上のレーザパルスを用いて各ホールを順々に開いてもよい。別の実施形態では、単一の動作において2つ以上の開口が生成されることも可能である。例えば、エキシマレーザの像平面に挿入されるマスクは、単一の幅広レーザビームからの1つ以上のパルスを用いて2つ以上の開口または全ての開口を開放する可能性もある。インレット/アウトレットプレート32、ボディプレート34及び恐らくはダイヤフラム36によって形成されるマスクをオーバーフィルし得るCO2レーザビームは、順次各開口40を照射し、図7に描かれているように、ダイヤフラムの付着材38、侵入型層50及びフレックス回路60を介して延長された開口を形成することも可能であり、最終的に図8の構造体が得られる。
【0022】
続いて、図9に描かれているように、インレット/アウトレットプレート32へ有孔プレート90を接着材(個々には描かれていない)で付着することができる。有孔プレート90は、印刷中にインクが通って放出されるノズル92を含む。有孔プレート92が付着されると、ジェットスタック94は完成する。
【0023】
続いて、例えば接着材等の流体密封シール式接続部102を用いて、フレックス回路60へマニホールド100が接着されることが可能であって、結果的に図10に描かれているようなインクジェットプリントヘッド104が生じる。インクジェットプリントヘッド104は、マニホールド100の表面及びフレックス回路60によって形成される、一定量のインクを貯蔵するためのリザーバ106を含むことが可能である。リザーバ106からのインクは、ジェットスタック94内のポート108を介して送出される。図10は単純化された図であり、図の左右に追加的な構造体を有してもよいことは理解されるであろう。例えば、図10は2つのポート108を描いているが、ある典型的なジェットスタックは、例えば344x20アレイのポートを有することが可能である。
【0024】
使用に際して、プリントヘッド104のマニホールド100内のリザーバ106は、一定量のインクを含む。プリントヘッドの最初のプライミングは、インクをリザーバ106からジェットスタック94内のポート108を介してジェットスタック94内のチャンバ110へと流れ込ませるために使用されることが可能である。各導電素子62上へ印加される電圧112に反応して、各PZT圧電素子20は、デジタル信号に応答する適切な時間に振動する。圧電素子20の振動はダイヤフラム36を屈曲させ、これによりチャンバ110内に圧力パルスが生じ、インクの一滴がノズル94から放出される。
【0025】
これにより、上述の方法及び構造体は、インクジェットプリンタのためのジェットスタック94を形成する。一実施形態では、ジェットスタック94は、図10に描かれているようなインクジェットプリントヘッド104の一部として使用されることが可能である。
【0026】
図11は、本教示の一実施形態による、1つ以上のプリントヘッド104及び1つ以上のノズル92から噴出されるインク116を含むプリンタ114を描いたものである。各プリントヘッド104は、用紙、プラスチック、他等の印刷媒体118上へ所望される画像を生成するために、デジタル命令に従って動作される。各プリントヘッド104は、スワス毎に印刷画像を生成するために、走査動作において印刷媒体118に対して前後に移動してもよい。或いは、プリントヘッド104が固定して保持されかつ印刷媒体118がそれと相対的に移動されて、単一の通過でプリントヘッド104と同じ幅の画像が生成されてもよい。さらに、印刷は、プリントヘッド104を用いてドラム等の中間被加熱構造体(単純化のために個々には描かれていない)上にインクパターン116を形成することと、このドラムを用いて画像を印刷媒体118上へ転写(転写定着)することを含んでもよい。プリントヘッド104は、印刷媒体118より狭い、またはこれと同幅であることが可能である。
【0027】
このように、上述の実施形態は、プリンタに使用されることが可能なインクジェットプリントヘッドのためのジェットスタックを提供することができる。ジェットスタックを形成するこの方法及び完成されたジェットスタックは、ポリマ充填侵入型層への大面積接着及び電気相互接続を提供するスタンドオフ層の使用を必要としない。さらに、本方法では、各圧電素子の頂部から侵入型層を除去する必要がない。この実施形態において、侵入型層50は、各導電素子60を圧電素子20へ電気結合する導電粒子54を含む。さらに、侵入型層50は、機器の使用中に各圧電素子20の頂部上に留まる。
【0028】
図7及び図8に描かれているように、ダイヤフラム付着材38、侵入型層50及びフレックス回路60のレーザアブレーションは、ダイヤフラム36を介して開口40を清浄化するために実行されることが可能である。結果的にレーザアブレーションの間に生成される残留物は、レーザアブレーションの間に気化され得ない導電粒子54を含む可能性がある。諸実施形態において、このレーザアブレーションの結果として生じる破壊屑または残留物は問題ではなく、または、例えば残留物を取り除くための洗浄液または空気ブラストを用いてジェットスタックから除去されてもよい。
【0029】
以下、図12〜図15を参照して、レーザアブレーションから自由な導電粒子54が生じない本教示の別の実施形態について説明する。
【0030】
この実施形態は、これまでに述べた方法を用いた図4に描かれているものに類似する構造体の形成を含むことが可能である。図4の構造体の形成後、図12に描かれているように、各圧電素子20間及び各圧電素子20の頂面を覆って侵入型層120を供給するように、図4の構造体上へ侵入型充填材が計量分配される。この実施形態において、侵入型充填材は、Miller−Stephenson Chemical Co,.(Danbury,CT)から市販されているEpon(商標)828エポキシ樹脂(重量で100部)とHexion Specialty Chemicals(Columbus,OH.)から市販されているEpikure(商標)3277硬化剤(重量で49部)との組み合わせ等の誘電体エポキシまたは他のポリマを含んでもよい。一実施形態において、圧電素子20の頂部を覆う侵入型層120は約5.0μm〜約10.0μmの厚さを有してもよい。
【0031】
侵入型層120は、溶着後、例えば図12の構造体を約30゜C〜約100゜Cの温度まで、約1分から約60分間までの持続時間に渡って加熱することによって部分的に硬化されることが可能である。一実施形態において、侵入型層120は、紫外光をその材料を完全に硬化させるには不十分な持続時間に渡って当てることにより部分的に硬化されてもよい。別の実施形態では、プロセスのこの時点で侵入型層120を部分的に硬化することは不要である。侵入型層120は、材料のセルフレベリングの結果として比較的平坦な上面を有する場合もあれば、不均一な上面を有する場合もある。
【0032】
次に、図13に描かれているように、図12の構造体の表面を覆ってパターン化されたマスク130が形成される。パターン化されたマスク130は、図示されているように、各圧電素子20の頂面を露出させる開口132を含む。パターン化されたマスク130は、ステンレスシルクスクリーン、予め形成されたポリイミドマスク、予め形成された金属マスク、他を用いて形成されてもよい。侵入型層120の上面が比較的一様であれば、パターン化されたマスク130は、光フォトリソグラフィを用いて形成されるパターン化されたフォトレジスト層であってもよい。
【0033】
パターン化されたマスクの付着後、図14に描かれているように、図13の表面へ導電粒子140が付着される。導電粒子140は、噴霧され、撒き散らされ、スパッタリングされ、または別の適切な技術を用いて付着される遊離した粒子であってもよい。粒子は、約1.0μm〜約10.0μmの間、または約3.0μm〜約10.0μmの間、または約5.0μm〜約10.0μmの間の平均直径を有してもよい。一実施形態において、パターン化されたマスク130の頂面は接着性であってもよく、または、接着剤が遊離した粒子を包含するように遊離した粒子が接着するマスクの頂面へ付着される接着層(個々には示さず)を含んでもよい。導電粒子140の付着に続いて、パターン化されたマスク130が除去され、図15に描かれているものに類似する構造体が形成される。
【0034】
次には、図16に描かれているように、複数の導電素子162を有するフレックス回路160が図15の構造体の頂面へ付着されることが可能である。付着は、圧電素子20の頂部を覆う侵入型層120内へ導電粒子140を埋め込むに足る下向きの力を用いることを含んでもよい。この実施形態において、導電粒子は、各圧電素子20の頂面を覆う侵入型層120内に局在化される。各圧電素子20の頂面上以外のロケーションでは、侵入型層120に導電粒子140は存在しない。また、この下向きの力は、導電粒子140と圧電素子20との間、及び導電粒子140とフレックス回路160の導電素子162との間の物理的及び電気的接触を促進するためにも十分である。このように、複数の導電素子162と複数の圧電素子20との間の電気経路は、複数の導電粒子140との接触を介して確立される。レベリングが、例えばセルフレベリングによって事前に確立されていなければ、下向きの力はさらに、侵入型層160の上面をレベリングしかつ平坦化するためにも十分である。侵入型層120はさらに、フレックス回路160をジェット・スタック・サブアセンブリ30へ物理的に接続するための接着剤としても機能し、かつ導電粒子140は、圧電素子20をフレックス回路160の導電素子162へ電気結合する。先に論じたように、フレックス回路160はさらに、導電素子162へ電気接続を提供する導電ルーティング(個々には示さず)も含む。
【0035】
図16の構造体の形成後、侵入型層120は、その材料に適する技法を用いて硬化される。典型的には、これは、侵入型層120内の揮発性溶剤を除去するために熱の印加を介して材料を硬化することを含んでもよい。別の実施形態において、侵入型層120は、紫外線放射への暴露を用いて硬化される。
【0036】
続いて、開口40を覆うダイヤフラム付着材38、侵入型層120及びフレックス回路160を除去するために、ダイヤフラム36内の開口40は清浄化されることが可能である。この材料は、湿式または乾式の化学的エッチング、ドリリング使用等の機械的技術を用いて、または図17に描かれているようなレーザビーム72を出力する先に説明した方法に類似するレーザ70を用いて清浄化されてもよい。ダイヤフラム36内の開口40を清浄化した後は、図18に描かれているものに類似する構造体が残る。処理は、図9から図11を参照して先に描かれかつ説明されたものに類似する方法を用いて継続可能である。
【0037】
この実施形態では、図17におけるレーザアブレーションは、ダイヤフラム付着材38、侵入型層120及びフレックス回路160を除去する。レーザビーム72によってアブレートされる侵入型層120は導電粒子140を含まず、よって、侵入型層120から遊離性導電粒子は放たれない。
【0038】
この例示的な方法は、一連の行動またはイベントとして示されかつ記述されているが、本発明がこのような行動またはイベントの例示された順序に限定されないことを認識されたい。例えば、幾つかの行動は、本教示に従って、本明細書に例示されかつ/または記述されている順序とは異なる順序で、かつ/または他の行動またはイベントと同時に発生する場合もある。さらに、本教示による方法論を実装する際には、例示されている全てのステップが必要とされなくてもよい。明細書の本文及び図面を参照すれば、一般的な当業者には他の実施形態も明らかとなるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリントヘッドを形成するための方法であって、
複数の圧電素子をダイヤフラムへ付着することと、
誘電体を備える侵入型層を前記複数の圧電素子を封入しかつ前記ダイヤフラムに接触させるために計量分配することと、
複数の導電素子を前記侵入型層の頂面へ付着することであって、前記侵入型層誘電体内の複数の導電粒子は前記複数の導電素子を前記複数の圧電素子へ電気結合することと、
侵入型層を硬化することと、を含む方法。
【請求項2】
前記侵入型層を前記ダイヤフラム上へ、かつ前記複数の圧電素子上へ計量分配することであって、前記計量分配の間、前記複数の導電粒子は前記侵入型層全体に渡って一様に分散されることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記侵入型層誘電体を前記ダイヤフラム上へ、かつ前記複数の圧電素子上へ計量分配することと、
パターン化されたマスクを前記侵入型層誘電体の上面へ付着することであって、前記パターン化されたマスクは内部に、各圧電素子の上面を露出させる開口を備えることと、
前記複数の導電粒子を前記パターン化されたマスク内の前記開口を介して付着することと、
前記複数の導電素子を前記侵入型層の前記頂面へ付着する前に、前記導電粒子が前記侵入型層誘電体内で各圧電素子の頂面上に局在化されるように、前記パターン化されたマスクを除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の導電粒子を前記パターン化されたマスク内の前記開口を介して付着する前に、前記マスクの前記頂面へ接着剤を付着することであって、遊離した粒子は前記接着剤へ、前記接着剤が遊離した粒子を包含するように接着することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
インクジェットプリントヘッドであって、
貫通する複数の開口を備えるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムへダイヤフラム付着材によって付着されるボディプレートと、
前記ダイヤフラムへ付着される複数の圧電素子と、
前記複数の圧電素子を封入する侵入型層と、
複数の導電素子と、
各導電素子と各圧電素子との間に挿入される複数の導電粒子とを備え、前記複数の導電粒子は前記侵入型層内に分散され、互いから電気絶縁されかつ前記複数の圧電素子を前記複数の導電素子へ電気接続するインクジェットプリントヘッド。
【請求項6】
前記侵入型層全体に渡って一様に分散される複数の導電粒子をさらに備える、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項7】
前記複数の導電粒子は前記侵入型層内で各圧電素子の前記頂面上に局在化されることをさらに含む、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項8】
前記複数の導電素子を備えるフレックス回路と、
インクが通過していくための少なくとも1つのポートと、をさらに備え、前記ポートは前記フレックス回路内の開口、前記侵入型層内の開口、前記ダイヤフラム付着材内の開口及び前記ダイヤフラム内の開口を介して延びる、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項9】
プリンタであって、
インクジェットプリントヘッドを備え、前記インクジェットプリントヘッドは、
貫通する複数の開口を備えるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムへダイヤフラム付着材によって付着されるボディプレートと、
前記ダイヤフラムへ付着される複数の圧電素子と、
前記複数の圧電素子を封入する侵入型層と、
複数の導電素子を備えるフレックス回路と、
各導電素子と各圧電素子との間に挿入される複数の導電粒子であって、前記複数の導電粒子は前記侵入型層内に分散され、互いから電気絶縁されかつ前記複数の圧電素子を前記複数の導電素子へ電気接続する複数の導電粒子と、
前記フレックス回路へ付着されるマニホールドと、
前記マニホールドの表面及び前記フレックス回路の表面によって形成されるインクリザーバと、を備えるプリンタ。
【請求項10】
前記複数の導電粒子は前記侵入型層内で各圧電素子の前記頂面上に局在化されることをさらに含む、請求項9に記載のプリンタ。
【請求項1】
インクジェットプリントヘッドを形成するための方法であって、
複数の圧電素子をダイヤフラムへ付着することと、
誘電体を備える侵入型層を前記複数の圧電素子を封入しかつ前記ダイヤフラムに接触させるために計量分配することと、
複数の導電素子を前記侵入型層の頂面へ付着することであって、前記侵入型層誘電体内の複数の導電粒子は前記複数の導電素子を前記複数の圧電素子へ電気結合することと、
侵入型層を硬化することと、を含む方法。
【請求項2】
前記侵入型層を前記ダイヤフラム上へ、かつ前記複数の圧電素子上へ計量分配することであって、前記計量分配の間、前記複数の導電粒子は前記侵入型層全体に渡って一様に分散されることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記侵入型層誘電体を前記ダイヤフラム上へ、かつ前記複数の圧電素子上へ計量分配することと、
パターン化されたマスクを前記侵入型層誘電体の上面へ付着することであって、前記パターン化されたマスクは内部に、各圧電素子の上面を露出させる開口を備えることと、
前記複数の導電粒子を前記パターン化されたマスク内の前記開口を介して付着することと、
前記複数の導電素子を前記侵入型層の前記頂面へ付着する前に、前記導電粒子が前記侵入型層誘電体内で各圧電素子の頂面上に局在化されるように、前記パターン化されたマスクを除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の導電粒子を前記パターン化されたマスク内の前記開口を介して付着する前に、前記マスクの前記頂面へ接着剤を付着することであって、遊離した粒子は前記接着剤へ、前記接着剤が遊離した粒子を包含するように接着することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
インクジェットプリントヘッドであって、
貫通する複数の開口を備えるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムへダイヤフラム付着材によって付着されるボディプレートと、
前記ダイヤフラムへ付着される複数の圧電素子と、
前記複数の圧電素子を封入する侵入型層と、
複数の導電素子と、
各導電素子と各圧電素子との間に挿入される複数の導電粒子とを備え、前記複数の導電粒子は前記侵入型層内に分散され、互いから電気絶縁されかつ前記複数の圧電素子を前記複数の導電素子へ電気接続するインクジェットプリントヘッド。
【請求項6】
前記侵入型層全体に渡って一様に分散される複数の導電粒子をさらに備える、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項7】
前記複数の導電粒子は前記侵入型層内で各圧電素子の前記頂面上に局在化されることをさらに含む、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項8】
前記複数の導電素子を備えるフレックス回路と、
インクが通過していくための少なくとも1つのポートと、をさらに備え、前記ポートは前記フレックス回路内の開口、前記侵入型層内の開口、前記ダイヤフラム付着材内の開口及び前記ダイヤフラム内の開口を介して延びる、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項9】
プリンタであって、
インクジェットプリントヘッドを備え、前記インクジェットプリントヘッドは、
貫通する複数の開口を備えるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムへダイヤフラム付着材によって付着されるボディプレートと、
前記ダイヤフラムへ付着される複数の圧電素子と、
前記複数の圧電素子を封入する侵入型層と、
複数の導電素子を備えるフレックス回路と、
各導電素子と各圧電素子との間に挿入される複数の導電粒子であって、前記複数の導電粒子は前記侵入型層内に分散され、互いから電気絶縁されかつ前記複数の圧電素子を前記複数の導電素子へ電気接続する複数の導電粒子と、
前記フレックス回路へ付着されるマニホールドと、
前記マニホールドの表面及び前記フレックス回路の表面によって形成されるインクリザーバと、を備えるプリンタ。
【請求項10】
前記複数の導電粒子は前記侵入型層内で各圧電素子の前記頂面上に局在化されることをさらに含む、請求項9に記載のプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−218438(P2012−218438A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−63647(P2012−63647)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
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