説明

パチンコ機

【課題】停電中に遊技球が特定入賞口に入賞したことも簡便に検出できる入球センサを備えた遊技機を提案する。
【解決手段】特定入賞口の入賞の検出センサを遊技球との接触により一方向に所定角度ずつ回転する回転体と、前記回転体の回転を伝達する軸体と、前記軸体に前記所定角度の回転を検出する検出部から構成したので、停電中であっても機械的な回転が記憶されるため、復電処理後に回転角度の記憶を読み出すことが可能となる。そのため、いわゆる2種タイプのパチンコ機において、羽根入賞のセンサと組み合わせることで、停電中の特定入賞口への入球判定を正確に行うことができ、遊技者とのトラブルの発生や不正行為を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停電中の入賞球を検知するようにしたパチンコ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現行のパチンコ機では、制御装置が、機内に設けられたセンサ(例えば、賞球検出手段、入賞球検出手段)の検出信号を定期的に監視しつつ、機内に設けられた被制御機器(例えば、入賞装置、表示装置、排出ユニット等)の動作を制御して、遊技を進行させる構成になっている。そのため停電が生じた場合には、電源電圧の検知装置から割込み信号を発生させ、CPU等の制御装置(5V)にデータを保存させる時間や各種スイッチ(12V)の作動を確保するようにしている。 この時間は停電後に各電源に設けられたコンデンサーに蓄えられた電荷の放電時間に依存し、最低で0.1秒ほど確保されている(特許文献1参照)。 しかし、例えば2種パチンコ機(いわゆる羽根物パチンコ)では、停電直後に、羽根役物に入球し、その後にV入賞口(特定入賞口)に入賞した場合に、羽根役物に入球してからV入賞口に入賞するまで時間が掛るため、停電後の羽根入球はセンサで検出できるもののV入賞口の入球まではセンサで検出することができず、遊技者には大きな損失となる。そのような不都合を回避するためには、コンデンサーの容量を増やすことも考えられるが、コンデンサーが大きくなったり、復電後も立ち上がりに時間が掛ったりして好ましくないという欠点が生じる。
【0003】
一方、停電中のV入賞口の入球の検知として、停電直後にV入賞口のセンサ検出口の前に閉鎖停留部材をソレノイドで変位させて、センサ検出口の前で入賞球を停留させ、復電後に閉鎖停留部材を開放して、V入賞口の入球を検知する発明が開示されている(特許文献2)。 しかしながら、閉鎖停留部材とソレノイドの機構がセンサ以外に必要であり、またこのような可動部品を増やすことは、故障の原因にもなりかねないという欠点が生ずる。
【特許文献1】特開2001−259129号公報
【特許文献2】特開2002−119707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記欠点に鑑み、V入賞口の検出センサを工夫することで、停電中に遊技球がV入賞したことも簡便に検出できる入球センサを備えた遊技機を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のパチンコ機は、入賞すると大当たり特典が与えられる特定入賞口の球流路に設けられた入球を検出するセンサを備えたパチンコ機において、前記センサは、遊技球との接触により一方向に所定角度ずつ回転する回転体と、前記回転体の回転を伝達する軸体と、前記軸体に前記所定角度の回転を検出する検出部から構成されてなることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、特定入賞口の球流路に設けられた入球を検出するセンサが、遊技球との接触により一方向に所定角度ずつ回転する回転体と、前記回転体の回転を伝達する軸体と、前記軸体に前記所定角度の回転を検出する検出部から構成されているため、停電後に入球があった場合にも、遊技球との接触により回転体は機械的に所定角度回転し、軸体の検出部も機械的に回転するため、その回転が機械的に記憶される。復電後に記憶されている回転を検出することにより、停電後の特定入賞口の入球を検出することが可能となる。もちろん停電でない場合でも、入球の検出は可能である。
【0007】
請求項2記載のパチンコ機は、請求項1のパチンコ機を更に限定し、前記センサの前記検出部が電極対の導通により前記所定角度の回転を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明によれば、検出部が電極対の導通により前記所定角度の回転を検出するように構成されているので、電気のON、OFFの検出により簡便な機構で所定角度の回転を検出することができる。
【0009】
請求項3記載のパチンコ機は、請求項1と請求項2のパチンコ機の構成に加え、前記センサの回転角度に関する値を記憶する記憶手段と、停電処理時の前記記憶手段の回転角度に関する値の記憶値と復電処理後の前記記憶手段の回転角度に関する値の記憶値の差異に基づいて、停電中に特定入賞口への入球があったことの判定を行う判定手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明によれば、センサの回転角度に関する値を記憶する記憶手段と、停電処理時の前記記憶手段の回転角度に関する値の記憶値と復電処理後の前記記憶手段の回転角度に関する値の記憶値の差異に基づいて、停電中に特定入賞口への入球があったことの判定を行うことができる。ここで停電処理時とは、実際の停電時と言う意味でなく、停電検出部が停電による電圧降下を検出して、NMI信号を送信し、それを受信したCPU等の制御装置が、NMI処理を開始してレジスタ情報及びスタックポインタ情報をRAMの所定領域に記憶する処理等を行い、RAMを書き込み禁止にする状態の時を意味する概念である。また復電処理とは、停電が回復して、CPU等の制御装置が、RAMに記憶していたスタックポインタ情報及びレジスタ情報を復帰させて、NMI処理前の状態に復帰することを意味する概念である。
【0011】
請求項4記載のパチンコ機は、遊技盤に備えるチャッカーへの入球により所定時間入口を拡開する可動部材を入賞空間の受入部に設け、遊技盤から受入れた遊技球を大当たり特典が与えられる特定入賞口と大当たり特典が与えられない普通入賞口に振り分ける振分け装置と、前記入賞空間の受入部に設けられた入球センサと、特定入賞口と普通入賞口の球流路に設けられた入球を検出するセンサを備えたパチンコ機において、少なくとも前記特定入賞口の球流路に設けられた入球を検出するセンサは、遊技球との接触により一方向に所定角度ずつ回転する回転体と、前記回転体の回転を伝達する軸体と、前記軸体に前記所定角度の回転を検出する検出部から構成され、前記入賞空間の受入部に設けられた入球センサの入球を記憶する記憶手段と前記特定入賞口の前記センサの回転角度に関する値を記憶する記憶手段を備え、停電処理時に前記可動部材の受入部の入球センサの記憶があり、かつ停電処理時の前記特定入賞口の回転角度に関する値の記憶値と復電処理後の回転角度に関する値の記憶値の差異に基づいて、停電中に前記特定入賞口への入球があったことの判定を行う判定手段を備えている。
【0012】
請求項4の発明によれば、いわゆる2種タイプのパチンコ機において、入賞空間の受入部に設けられた入球センサと、特定入賞口と普通入賞口の球流路に設けられた入球を検出するセンサを備えたパチンコ機において、少なくとも前記特定入賞口の球流路に設けられた入球を検出するセンサは、遊技球との接触により一方向に所定角度ずつ回転する回転体と、前記回転体の回転を伝達する軸体と、前記軸体に前記所定角度の回転を検出する検出部から構成され、前記入賞空間の受入部に設けられた入球センサの入球を記憶する記憶手段と前記特定入賞口の前記センサの回転角度に関する値を記憶する記憶手段を備え、停電処理時に前記可動部材の受入部の入球センサの記憶があり、かつ停電処理時の前記特定入賞口の回転角度に関する値の記憶値と復電処理後の回転角度に関する値の記憶値の差異に基づいて、停電中に前記特定入賞口への入球があったことの判定を行う判定手段を備えているため、入賞空間の受入部に設けられた入球センサは、停電処理時に入球を更新記憶したが、前記特定入賞口の前記センサの回転角度に関する値を記憶する記憶手段は、停電処理時に遊技球が到達せず入球を更新記憶できない場合でも、停電中に前記特定入賞口に入球した場合には、前記センサの回転角度が所定角度回転していることが機械的に記録され、復電処理後の回転角度に関する値の記憶値と停電処理時の回転角度に関する値の記憶値に基づいて、停電中に少なくとも特定入賞口に入球したことが判断できる。これにより遊技者は、従来、停電の際は特定入賞口への入球を検出することができず救済されなかった大当たり特典を享受することができる。また入賞空間の入球センサの入球記憶があったことを条件に判断を行うので、停電中に特定入賞口に入球させて、回転角度に関する値を変化させるような不正行為を行っても、入賞空間の入球センサが入球の記憶を行わないので、復電後に特定入賞口への入球があったことの判定は、否定され、不正行為も防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、特定入賞口の入賞の検出センサを遊技球との接触により一方向に所定角度ずつ回転する回転体と、前記回転体の回転を伝達する軸体と、前記軸体に前記所定角度の回転を検出する検出部から構成したので、停電中であっても機械的な回転が記憶されるため、復電処理後に回転角度の記憶を読み出すことが可能となる。また所定角度の回転の検出を電極対の導通により行う構成にすると簡便な機構で検出が可能となる。更に回転角度に関する値の記憶手段
を設けることにより、特に停電時における入賞口への入球の検出も可能となる。またいわゆる2種タイプのパチンコ機において、羽根入賞のセンサと組み合わせることで、停電中の特定入賞口への入球判定を正確に行うことができ、遊技者とのトラブルの発生や不正行為を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1はパチンコ機1の筐体斜視図である。パチンコ機1は、ベース枠(外枠)2に開閉自在に取り付けられた正面扉3を有している。正面扉3には、その上部を開口する略円形の窓4が形成されている。窓4には、例えばガラス板等の透明板が嵌め込まれており、この透明板を介して、その奥側に設けられた遊技盤5を視認することができる。遊技盤5の周囲には演出効果を盛り上げるランプ類L1が設置されている。また、遊技盤の左右下部方向には音で演出効果を盛り上げるスピーカ11,12が設置されている。
【0015】
正面扉3の下部には、遊技媒体である遊技球を貯留するための球受容器(球受け皿)6が配置されている。球受容器6に貯留された遊技球は、パチンコ遊技機1の内部に設けられた発射装置(図示せず)に1球ずつ供給される。球受容器6の右側には発射ハンドル7が設けられており、遊技者がこの発射ハンドル7を握って、軸線回りに回転させることにより、発射装置から遊技盤5に向かって遊技球が1球ずつ発射される。
また遊技盤5の下部には操作手段として作動する押しボタン8,9,10が配置されている。これらの押しボタン8,9,10は遊技者が遊技に参加する時に使用される。
【0016】
図2は遊技盤5を示したものである。遊技盤5には、次の1)〜4)の遊技部品が備えられている。1)センターユニット20このユニット20は、軸f1,f2回りに開閉する左右の羽根型可動部材F1,F2の開動作により遊技盤5から遊技球Pを受入れる入賞空間21、ルーフ部材22、ベース部材23を備える。左右の羽根型可動部材F1,F2から入賞空間への遊技球Pの入球を検出するための左右入球センサC1,C2は支持部24〜27を介して支持されている。受入れられた遊技球Pは、球受板28を転動して下方の球ステージ29に案内され、大当たり特典が与えられる1個の特定入賞口30と大当たり特典が与えられない2個の普通入賞口31(図5参照)を有する振り分け装置32に解放される。特定入賞口30と普通入賞口31の入球一個につき所定数例えば10個の賞球が払い出される。
【0017】
2)左右チャッカーL,R遊技球Pの入球により所定数例えば5個の賞球が払い出されると共に、可動部材F1,F2を所定時間例えば0.35秒間にわたり1回だけ開く羽根開遊技をさせる。3)中チャッカーM遊技球Pの入球により所定数例えば5個の賞球が払い出されると共に、可動部材F1,F2を所定時間例えば0.65秒間にわたり、インターバル1秒で2回連続で開く羽根開遊技をさせる。4)その他遊技球Pの入球により所定数例えば10個の賞球が払い出される一般入賞口33〜36、略円形の遊技領域を区画し且つ発射ハンドル7により打出す球を導くレール37,38、アウト口39を備える。図示は省略したが遊技領域には独特のゲージに従い、多数の遊技釘が打たれている。
【0018】
尚、特定入賞口30へ入球すると、いわゆる大当たりとなり、1ラウンドについて、可動部材F1,F2を0.65秒間開く動作を最大例えば18回か最大例えば10球入賞を限度に行わせ、その間に特定入賞口30への再入球により最大例えば15ラウンドを上限に繰り返す大きな遊技者利益が提供される。
【0019】
図3は、遊技を制御する制御装置CNのブロック図である。CPU、ROM、RAMを各備える主制御部MC、中継基板CBを介してCPU、ROM、RAMを各備えるサブ制御部SCを備える。主制御部MCには、I/Oポート1を介して、左右可動部材入球センサC1,C2、各チャッカーL,R,Mの入球センサLs,Rs,Ms、特定入賞口入球センサ30s、普通入賞口入球センサ31s、一般入賞口33〜36の入球センサ33s〜36sの出力が入力されている。主制御部MCからサブ制御部SCへは中継基板CBを介して一方通行的にコマンドが送信される。主制御部MCのROMには、大当たり抽選処理等の遊技の主制御を担う遊技プログラムが格納されており、RAMはそのワーク領域として取得乱数の一時保存やフラグ変数の保存場所として使用される。
【0020】
主制御部MCは、ドライバ回路Dr0を介して、左右可動部材F1,F2の開閉ソレノイドSL1,SL2を制御している。サブ制御部SCは、ドライバ回路Dr1を介して、スピーカ11,12及びランプ類L1を制御している。サブ制御部SCのROMには、ランプ類L1の表示制御プログラム及び表示制御データやスピーカ11,12の音声データ等が記憶されており、同RAMには、主制御部MCから送信されるコマンドの記憶エリア等を確保している。本実施の形態では、画像表示装置が省略されているが、画像表示装置がある場合には、画像表示用の専用のサブ制御部と専用のドライバ回路を別途設けても良い。
【0021】
また制御装置CNのI/Oポート2には電源装置の停電検出部が停電による電圧降下を検出して、出力するNMI信号と、NMI信号の後に出力されるリセット信号と復電後に出力されるリセット解除信号が接続されている。これらの信号は、主制御部MCのCPUとサブ制御部SCのCPUのNMI端子とリセット端子に入力される。本実施の形態では、NMI信号もリセット信号も同時に主制御部MCのCPUとサブ制御部SCのCPUに入力されるようになっているが、例えば復電後に出力されるリセット解除信号については、主制御部MCのCPUの立ち上がりに必要な時間分だけ遅延させてサブ制御部SCのCPUに送信するような形態を採用しても良い。主制御部MCのCPUとサブ制御部SCのCPUは、電源装置の停電検出部からのNMI信号を受信するとNMI処理を開始して各CPUのレジスタ情報及びスタックポインタ情報をRAMの所定領域に記憶する処理等を行い、RAMを書き込み禁止にして、電源装置の停電検出部からのリセット信号を受信して作動が停止する。レジスタ情報及びスタックポインタ情報を記憶するRAMにはリフレッシュ動作の必要のないSRAMが用いられ、このRAMは、バックアップ用のコンデンサーの電荷により、所定電圧が供給され停電中もデータが所定時間保持されるようになっている。
【0022】
パチンコ機1の遊技フローについて図4に記載する。遊技者がパチンコ機1の前面下部の発射ハンドル7を操作して遊技盤5に遊技球を打ち出すと、遊技球は遊技盤5を流下しながら、一般入賞口33〜36、チャッカーL,R,Mに入賞するものもあるが多くは入賞を逃しアウト口39より排出される。ここで一般入賞口33〜36に入賞したものは、入球センサ33s〜36sによって検出され、所定数例えば10個の賞球が払い出される。チャッカーL,R,Mに入賞したものは(S1)、入球センサLs,Rs,Msによって検出され、所定数例えば5個の賞球が払い出される。チャッカーMに入賞したか否かの判定がされ(S2)、判定がYESであれば、羽根の可動部材F1,F2を0.65秒間にわたりインターバル1秒で2回連続で開く羽根開遊技を行う(S4)。判定がNOであれば、チャッカーL,Rに入賞したものであるとして、羽根の可動部材F1,F2を0.35秒間にわたり1回開く羽根開遊技を行う(S3)。同時に大当たりのラウンド数の抽選を前もって実行する(S5)。ラウンド数の抽選は1,7,15ラウンドを1/3づつ振り分ける抽選を行っているが、適宜抽選の確率を変更しても良い。羽根の可動部材F1,F2の開遊技により、入賞空間21に入球したか否かが左右の入球センサC1,C2で判定される(S6)。入球がなければ、チャッカー入賞による羽根開遊技のフローは終了する。入球があった場合には、更に振分け装置32の特定入賞口30に入球したか、普通入賞口31に入球したかの判定が行われ(S7)、特定入賞口30に入球した場合には、10個の賞球を払い出して、大当たり遊技実行に移行する(S8)。大当たり遊技は、1ラウンドについて、羽根の可動部材F1,F2を0.65秒間開く動作をインターバル1秒で最大18回又は最大10球の入賞を限度に実行でき、その間に特定入賞口30へ再入球した場合にはラウンドが継続され、抽選されたラウンド数の上限をもって終了する。普通入賞口31に入球した場合には(S7でNO)、10個の賞球を払い出して遊技フローは終了する。
【0023】
図5は、振分け装置と入賞通路とその入球センサの配置の本発明実施の形態の概念図である。なお入球センサ30sを支えるセンサボックス等は概念の明確化のために本図からは省略してある。大当たり遊技の特典が与えられる特定入賞口30と大当たり遊技の特典が与えられない普通入賞口31に振り分ける振分け装置32には、2つの普通入賞口31と1つの特定入賞口30が設けられ、振分け装置32の下部で2つの普通入賞口31の普通入賞通路40は、1つに合体して、裏機構盤(図示せず)に繋がっている。1つの特定入賞口30は、特定入賞通路41に入球を検知する入球センサ30sを設け、裏機構盤(図示せず)に繋がっている。普通入賞通路40と特定入賞通路41は、前方から奥側に向かって緩やかな傾斜がつけられており、遊技球Pは、入賞通路に滞留することなく、入球センサ30sに接触した後も転動して裏機構盤に導かれる。本発明の実施の形態では、入球センサ30sは、大当たり遊技の特典が与えられる特定入賞口30に繋がる特定入賞通路41にしか設けていないが、普通入賞口31に繋がる普通入賞通路40にも入球センサ31sを設けても良い。入球センサC1,C2により、入賞空間21に入球した遊技球の数は検出できるので、少なくとも特定入賞口30に繋がる特定入賞通路41に入球センサ30sを設けておけば、普通入賞口31に入球した遊技球の数は時間的な誤差はあっても最終的には検出できるからである。
【0024】
図6は、本発明の特徴である入球センサ30sの斜視図であり、図6(a)は、検出部側からの斜視図、図6(b)は検出部と反対側からの斜視図である。この入球センサ30sは後述するように入賞通路の上方に回転軸を支持する機構とともに設けられ、入賞通路を転動する遊技球Pとの接触によって、機械的に回転するようになっている。入球センサ30sの主要部は、遊技球Pと接触して回転する回転体43と回転体43の回転を伝達する軸体44と軸体44の一部に設けられた検出部45から構成されている(図6(a)参照)。本実施の形態では、所定角度の回転を90度に設定しているため、回転体43は四隅が、遊技球Pと接するように削られている。この削られた部分の曲率半径は遊技球Pの曲率半径(5.5mm)よりは若干大きくしておくと遊技球Pとの十分な接触を確保することが可能となる。また回転体43の一方向への回転のみを可能とするとともに戻りを防止するため、回転体43又は軸体44に固定された円盤に90度ずつのノッチを設け、徐徐にノッチが解消するように形成されたノッチを持つ円盤46と、一軸で支持され円盤46の円周上に接して上下するプレート47の構成が付加されている。この円盤46とプレート47で一方向に回転を規制する手段が構成されている。
【0025】
また、検出部と反対側の斜視図に示すように、1球の遊技球Pの通過で所定角度である90度ずつの回転が確保されるように、バネ付勢部材49と回転体43又は軸体44に固定された四隅に切り込みのある円盤48で所定角度回転設定手段が構成されている。バネ付勢部材49は、上部バネ押さえ部50と支軸53に固定された下部バネ押さえ部52とその間に挟まれるバネ51と支軸53の先端に設けられた回転ローラ54から構成されている。回転ローラ54が周面に接する円盤48は、90度の回転でバネ51が最も伸び、45度の回転でバネ51が最も縮むよう周面が形成されており、45度を過ぎるとバネ51が押す力が回転ローラ54と円盤48が接する面に斜め方向の力を生じさせ、回転のモーメントを生じさせるようになっている。そのため、遊技球Pと接触する回転体43が、45度以上回転するとバネに蓄えられたエネルギーを利用して、回転体43は、自動的に90度回転することになり、その位置で安定することになる。
【0026】
図7は、遊技球Pが入球センサ30sの回転体に接触して、進行して行く状態を表した図である。図7(a)は接触直前の図、図7(b)は接触途中の図、図7(c)は、接触が解除される直前の図である。1球の遊技球Pとの接触で、バネ付勢部材49に起因しない回転体43の物理的な角度の回転は、回転体43の半径r、回転体43の回転方向の厚みに該当する角度α、回転体43の中心の特定入賞通路41からの距離L、遊技球Pの半径d(通常5.5mm)から計算することができる。回転体43の半径r=6mm、角度α=7度、L=15mmとすると、接触開始から接触解除までの接触点の回転θは、cosθ=(L-2d)/rで求められ、回転体43の物理的な角度の回転(θ+α)は約55度と求まる。この角度は45度を十分上回っており、回転体43は遊技球Pとの接触が解除された後もバネ付勢部材49と円盤48によって更に回転を続け、所定角度の90度まで自動的に回転して、そこで停止する。
【0027】
図8に入球センサ30sを特定入賞通路41に配置した図を示す。特定入賞通路41の上部の一部は入球センサ30sの回転体43の一部が入賞通路上に侵入するための開口部60を有している。またその開口部60を覆い入球センサ30sの軸体44を支持するセンサボックスから構成されている。センサボックスの側面は、
軸体44を支持する側面61,62から成り、上面は上壁63で構成され、バネ付勢部材49の上部が突出可能で、上部バネ押さえ部50は突出不可能な小孔を設けることで、上部バネ押さえ部50を押さえてバネ51の付勢を生じさせている。また側面61からはプレート47を一軸で支える支軸64が延びている。センサボックスの遊技球の転動する方向の側面はあっても無くても良い。また入球センサ30sの軸体44の側面61,62の内面側に軸体44の軸方向のぶれを防止する軸安定リング部材55,56を備えている。
【0028】
図9に入球センサ30sの検出部45の拡大斜視図を示す。検出部45は軸体44の一部に設けられ、本実施の形態では、軸体44の円周上が90度ずつに区切られて必要な部位に導電体70,71が貼り付けられて、電極対72,73と電極対74,75の導通のON、OFFにより上位ビットと下位ビットの2ビットを検出して90度ずつの回転に該当する4つのカウント値を検出することができるようになっている。電極対72,73と電極対74,75は、先端部が軸体44に軽く接触するように曲げられており、導電体70,71が電極対72,73と電極対74,75の間に回転してきたときに導通が検出される。例えば、図10に示すように、カウント値が0の場合は、電極対72,73と電極対74,75の部位に導電体70、71がないため、導通がなく上位ビットも下位ビットも検出される電圧は0VのLレベルとなる。カウント値が1の場合は電極対72,73の部位には導電体71がないが、電極対74,75の部位には導電体70があるため、上位ビットは導通がなく電圧は0VのLレベルとなり、下位ビットは導通があるため電圧はVccのHレベルが検出される。カウント値が2の場合は電極対72,73の部位には導電体71があり、電極対74,75の部位には導電体70がないため、上位ビットは導通があるため電圧はVccのHレベルとなり、下位ビットは導通がないため電圧は0VのLレベルが検出される。カウント値が3の場合は電極対72,73の部位には導電体71があり、電極対74,75の部位には導電体70があるため、上位ビットも下位ビットも導通があり、検出される電圧は上位ビットも下位ビットもVccのHレベルとなる。このようにして90度ずつの回転を簡易な装置で検出することができる。
【0029】
なお、本実施の形態では、90度ずつの回転を検出するため、4つのカウント値が検出されるが、カウント値を増やすために、回転の角度を小さくしても良い。例えば6つのカウント値を検出するためには、60度ずつの回転の検出で良い。但し角度が小さくなると、遊技球Pと接触する回転体43を大きくする必要が生じるため好ましくない。また軸体44に検出部45が直接設けられているが、回転体43と軸体44との間に、又は軸体44と検出部45との間に、ギアボックスを設けて、検出部45での回転角度を適宜大きくしたり、小さくしたりしてそれを検出することも可能である。また電気の導通で回転を検出するのではなく、検出部45として、磁気を利用したロータリーエンコーダ等を用いて、回転体44の回転を検出することも可能である。
【0030】
このよう特定入賞口30の特定入賞通路41に設けられた入球センサ30sで検出された電圧は、ノイズ等の影響を取り除くため、シュミットトリガー回路を経由してカウンタICに入力され、そのカウント値は制御装置CNのI/Oポート1を経由して主制御部MCのCPUに送られる。主制御部MCのCPUは、ソフトウェア割込みにより、所定時間毎にカウント値をRAM等の記憶手段に記憶し、前回のカウント値と今回のカウント値に変化があるか否かを判断し、変化がある場合には、特定入賞口30に1個の入球があったと判断して、この後、10個の賞球を払い出して、大当たり遊技の実行を指示する。
【0031】
本発明の利点である停電中の特定入賞口30への入球検出について以下に記載する。停電中の入球を検知するには、停電処理時の入球センサ30sの回転角度又はカウント値が記憶されている必要がある。前述したように主制御部MCのCPUのRAMは、バックアップ用のコンデンサーにより停電処理時の入球センサ30sの回転角度に関する値の記憶値を停電中も記憶保持している。従って、主制御部MCのCPUが停電で停止中に特定入賞口30に1個の入球があると、遊技球Pにより回転体44が90度回転し、入球センサ30sの回転角度が、停電処理時の入球センサ30sの回転角度より90度増加することになる。この後、停電が復電して、復電処理が行われると主制御部MCのCPUは、RAMに保存した停電処理時の入球センサ30sの回転角度又はカウント値を復帰させ、復電後の入球センサ30sの回転角度又はカウント値を読み込む。停電中の入球により、停電処理時の記憶手段の回転角度の記憶値と復電処理後の記憶手段の回転角度では記憶値が90度又は記憶手段のカウント値では1異なっているので、記憶手段の回転角度に関する記憶値の差異に基づいて停電中に特定入賞口30に1個の入球があったことを判定することができる。本実施の態様では、停電中の3個の入球までは、判定することができる。停電中に4個の入球があることは、殆どありえないが、そのような場合には、電極対を2つから3つにすることにより、7個までの入球を検出することができる。
【0032】
図11は、更に羽根入賞のセンサと組み合わせることで、停電中の特定入賞口への入球判定を正確に行うことができ、遊技者とのトラブルの発生や不正行為を防止することができる特定入賞の復電処理を示す図である。停電が復電すると電源装置の停電検出部からのリセット解除信号が主制御部MCのCPUのリセット端子に送られ、CPUは特定入賞の復電処理を実行する。CPUは、バックアップRAMに保存されている情報のパリティチェックを実行し(S20)、パリティが正常か否かを判断する(S21)。正常でなければ、記憶保存された情報に誤りがあるため、情報の消去を行うため、初期化を行う(S22)。パリティが正常であれば、記憶保存された情報は正しいとして、情報を復活させる。ここでは、羽根の可動部材F1,F2の左右の入球センサC1,C2のセンサ値をバックアップRAMから復帰させる(S23)。入球センサC1,C2のセンサ値により、停電処理前に入球センサC1,C2に入球がある場合には(S24でYES)、停電処理前の特定入賞口30の入球センサ30sのカウント値(Vo)をバックアップRAMから復帰させ(S25)、復電処理後の特定入賞口30の入球センサ30sのカウント値(Vp)を読み込む(S26)。S24でNOの場合は、特定入賞口に停電中に入球することはないから、特定入賞の復電処理を終了する。復電処理後の特定入賞口30の入球センサ30sのカウント値(Vp)と停電処理前の特定入賞口30の入球センサ30sのカウント値(Vo)が異なる場合には、S27の判断がYESとなって、停電中に特定入賞口30に入球したと判断し、賞球払出しフラグをONにして(S28)、大当たり遊技フラグをONにして(S29)、特定入賞の復電処理を終了する。復電処理後の特定入賞口30の入球センサ30sのカウント値(Vp)と停電処理前の特定入賞口30の入球センサ30sのカウント値(Vo)が同じ場合には、入賞空間21に入球した遊技球は、特定入賞口30には入球せず、普通入賞口31に入球したと判断して、大当たり遊技フラグは変化させないで、復電処理を終了する。この場合にも普通入賞口31に入球しているのであるから、賞球払出しフラグをONにして復電処理を終了しても良い。
【0033】
なお、普通入賞口31に繋がる普通入賞通路40にも入球センサ31sを設けている場合には、復電処理後の普通入賞口31の入球センサ31sのカウント値と停電処理前の普通入賞口31の入球センサ31sのカウント値が異なる場合には、停電中に普通入賞口31に入球したと判断し、賞球の払出しフラグをONにして普通入賞の復電処理を終了することができる。
【0034】
また、本願の構成は、検出コイルのインピーダンスの変化を検出して入球を検出する近接スイッチに対して強力な電磁波発生装置により誤作動を起こさせる不正行為、いわゆる電波ゴトに対しても有効である。本願は入球を検出するセンサが、遊技球との接触により一方向に所定角度ずつ回転する回転体と、前記回転体の回転を伝達する軸体と、前記軸体に前記所定角度の回転を検出する検出部から構成されているため、遊技球が実際に存在することが必須であり、入球センサを遊技球なしで誤動作させるこのような電磁ゴトを防止できるからである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のパチンコ機の斜視図である。
【図2】本発明の遊技盤の正面図である。
【図3】制御装置のブロック図である。
【図4】パチンコ機の遊技フロー図である。
【図5】振分け装置と入賞通路とその入球センサの関係を示す概念図である。
【図6】入球センサの主要部の斜視図であり、(a)は、検出部側の斜視図、(b)は反対側からの斜視図である。
【図7】遊技球が入球センサの回転体に接触して、進行して行く状態を表した図である。(a)は接触直前の図、(b)は接触途中の図、(c)は、接触が解除される直前の図である。
【図8】入球センサを入賞通路に配置した図である。
【図9】入球センサの検出部の拡大斜視図である。
【図10】カウント値と電圧の関係の図である。
【図11】特定入賞の復電処理を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1;パチンコ機
5;遊技盤
20;センターユニット
30;特定入賞口
30s;入球センサ
31;普通入賞口
40;普通入賞通路
41;特定入賞通路
43;回転体
44;軸体
45;検出部
70,71;導電体
72,73;電極対
74,75;電極対
C1,C2;羽根入球センサ
F1,F2;羽根可動部材
L;左チャッカー
M;中チャッカー
R;右チャッカー
P;遊技球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入賞すると大当たり特典が与えられる特定入賞口の球流路に設けられた入球を検出するセンサを備えたパチンコ機において、前記センサは、遊技球との接触により一方向に所定角度ずつ回転する回転体と、前記回転体の回転を伝達する軸体と、前記軸体に前記所定角度の回転を検出する検出部から構成されてなることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
前記センサの前記検出部が電極対の導通により前記所定角度の回転を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
【請求項3】
前記センサの回転角度に関する値を記憶する記憶手段と、停電処理時の前記記憶手段の回転角度に関する値の記憶値と復電処理後の前記記憶手段の回転角度に関する値の記憶値の差異に基づいて、停電中に特定入賞口への入球があったことの判定を行う判定手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のパチンコ機。
【請求項4】
遊技盤に備えるチャッカーへの入球により所定時間入口を拡開する可動部材を入賞空間の受入部に設け、遊技盤から受入れた遊技球を大当たり特典が与えられる特定入賞口と大当たり特典が与えられない普通入賞口に振り分ける振分け装置と、前記入賞空間の受入部に設けられた入球センサと、特定入賞口と普通入賞口の球流路に設けられた入球を検出するセンサを備えたパチンコ機において、少なくとも前記特定入賞口の球流路に設けられた入球を検出するセンサは、遊技球との接触により一方向に所定角度ずつ回転する回転体と、前記回転体の回転を伝達する軸体と、前記軸体に前記所定角度の回転を検出する検出部から構成され、前記入賞空間の受入部に設けられた入球センサの入球を記憶する記憶手段と前記特定入賞口の前記センサの回転角度に関する値を記憶する記憶手段を備え、停電処理時に前記可動部材の受入部の入球センサの記憶があり、かつ停電処理時の前記特定入賞口の回転角度に関する値の記憶値と復電処理後の回転角度に関する値の記憶値の差異に基づいて、停電中に前記特定入賞口への入球があったことの判定を行う判定手段を備えたパチンコ機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate