説明

パチンコ機

【課題】電磁波検知センサと制御処理部の間の断線を電磁波の検知と同等の異常として扱うことに伴う遊技者の不利益の発生を防止できるパチンコ機の提供。
【解決手段】手段150は遊技球検知センサ101〜104,105A〜105Eの入力判定値を一定周期でオン判定値またはオフ判定値の形で更新して記憶し、手段160はその入力判定値のオフ判定値からオン判定値への更新をオンエッジとして検出し、手段182は判定手段181による電磁波検知センサ180の状態の判定結果がオン状態からオフ状態に変化した後、遊技球検知センサ101〜104,105A〜105Eのいずれかの入力判定値の更新状況が所定の周期数を超えて連続してオン判定値に更新されることを異常として検知し、手段183はその異常が検知された遊技球検知センサに限り入力判定値を常に前回の入力判定値に常に更新することによって、手段160によるオンエッジの検出を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波の照射により誤作動を生じさせて不正に賞球を獲得しようとする行為に対処するパチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ機の遊技領域には、遊技球が通過可能な特定領域として始動入賞口、一般入賞口、スルーチャッカが設けられている。これらの特定領域のそれぞれには、遊技球検知センサ(磁気センサ)である始動入賞口センサ、一般入賞口センサ、スルーチャッカセンサのそれぞれが設けられている。これらの遊技球検知センサは、遊技球を検知したときに遊技球検知信号を出力するオン状態となり、遊技球を検知しないときにその遊技球検知信号を出力しないオフ状態となる。遊技球検知信号は制御処理部に入力され、この制御処理部は、その遊技球検知信号に基づき遊技に関する処理を行う。
【0003】
具体的には、始動入賞口に遊技球が入賞した場合、制御処理部は始動入賞口センサからの遊技球検知信号の入力に基づき始動入賞口センサのオンエッジを検出し、特別図柄に係る電子抽選を行うとともに始動入賞口に予め対応付けられた個数の賞球の払出しを、賞球払出装置に行わせるための払出コマンドを出力する。一般入賞口に遊技球が入賞した場合、制御処理部は一般入賞口センサからの遊技球検知信号の入力に基づき一般入賞口センサのオンエッジを検出し、一般入賞口に予め対応付けられた個数の賞球の払出コマンドを出力する。また、スルーチャッカを遊技球が通過した場合、制御処理部はスルーチャッカセンサからの遊技球検知信号の入力に基づきスルーチャッカセンサのオンエッジを検出し、普通図柄に係る電子抽選を行う。
【0004】
ところで、制御処理部はマイクロコンピュータにより処理を行うものであるため、電気的ノイズにより誤作動する。このことを悪用し、パチンコ機の外部から特定波長域の電磁波を照射して制御処理部に誤作動させることによって、賞球を獲得しようとする不正行為を行う者がいる。最近では大玉ゴトと称される不正行為(ゴト行為)が横行し、遊技場が被害を被っている。大玉ゴトとは、正規の遊技球よりも径がやや大きな特殊な玉(いわゆる大玉)を特定領域に詰まらせた後、特定波長の電磁波を断続的に制御処理部に照射する不正行為である。
【0005】
特定領域に大玉が詰まった状態において、その特定領域に設けられた遊技球検知センサはオン状態に維持され、遊技球検知信号を出力し続ける。このため、制御処理部は、遊技球検知センサの状態をオン状態と判定し続ける状態となる。この状態の制御処理部に対して特定波長域の電磁波が照射されると、制御処理部は誤作動して、遊技球検知センサの状態を実際とは逆のオフ状態と誤認する。そして、特定波長域の電磁波の照射が止むと主制御処理部は正常に戻り、遊技球検知センサから出力され続けている遊技球検知信号を新たに入力したものして扱うため、遊技球検知センサのオンエッジを誤検出する。この結果、実際には特定領域を遊技球が通過していないにも関わらず、賞球の払出しの指令、特別図柄に係る電子抽選、普通図柄に係る電子抽選が行われてしまうのである。
【0006】
電磁波を用いた不正行為に対処する従来の技術としては、特許文献1に開示されたものがある。この従来の技術は、遊技を制御する制御手段(制御処理部)と、この制御手段に誤作動を起こさせる電磁波を検出する電磁波検出手段(電磁波検知センサ)とを備え、電磁波検出手段により電磁波が検出された場合に、制御手段は特定領域の全て関し、遊技球が通過したことの検知を、電磁波による誤作動に起因することであるとして無効とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−52152号公報(段落0050,0051等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、電磁波検知センサには、特定波長域の電磁波を照射されたときにオフ状態となり、その電磁波を照射されないときにオン状態となって非検知信号を出力するものがある。この電磁波検知センサが前述の特許文献1に開示の技術における電磁波検知手段として採用された場合、制御手段(制御処理部)は、電磁波検知センサが電磁波を検知した状態か否か、すなわちオフ状態であるかオン状態であるかの判定を、電磁波検知センサの非検知信号を入力したか否かに基づいて行うことになる。電磁検知センサからの非検知信号が制御処理部に入力されなくなる現象は、電磁波検知センサの状態が電磁波を検知してオフ状態となった場合に起こるだけでなく、電磁波検知センサと制御処理部の間が断線して非検知信号が途絶えた場合にも起こる。このため、電磁波センサと制御処理部の間の断線時、全ての特定領域に関する遊技球の入賞または通過の検知は、実際には電磁波が用いられていない状態であるにも関わらず、電磁波による主制御処理部の誤作動に起因する検知であると扱われ、無効になってしまう。
【0009】
電磁波検知センサと主制御処理部の間の断線は、電磁波を用いた不正行為が発見されないようにすることを目的とした作為によって生じたことである場合が考えられるが、そうでない単なる故障である場合も考えられる。後者の場合、遊技者は電磁波を用いた不正行為を行おうとしていないにも関わらず、全ての特定領域に関して正規の遊技球の入賞または通過が無効にされ、これによって、賞球が払い出されないこと、特別図柄に係る電子抽選が行われないこと、普通図柄に係る電子抽選が行われないこと等の不利益を被る。
【0010】
本発明は前述の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線を電磁波の検知と同等の異常として扱うことに伴う遊技者の不利益の発生を防止できるパチンコ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するために本発明は次のように構成されている。
【0012】
〔1〕 本発明に係るパチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域と、この遊技領域に遊技球が通過可能に設けられた特定領域と、この特定領域に設けられ、遊技球を検知したときに遊技球検知信号を出力するオン状態となり、遊技球を検知しないときにその遊技球検知信号を出力しないオフ状態となる遊技球検知センサと、前記遊技球検知センサのオンエッジに基づいて遊技に関する処理を行う制御処理部と、特定波長域の電磁波を照射されるとオフ状態となり、その電磁波を照射されないと非検知信号を出力するオン状態となる電磁波検知センサとを備えるパチンコ機において、前記制御処理部は、前記遊技球検知センサの状態がオン状態であるかオフ状態であるかの判定を一定周期で、前記遊技球検知センサの遊技球検知信号を前記制御処理部が入力したか否かに基づいて行う遊技球検知センサ用状態判定手段と、この遊技球検知センサ用状態判定手段による判定の結果に基づいて前記遊技球検知センサのオンエッジを検出するオンエッジ検出処理手段と、前記電磁波検知センサの非検知信号を前記制御処理部が入力しているか否かに基づき前記電磁波検知センサの状態がオン状態であるかオフ状態であるかを判定する電磁波検知センサ用状態判定手段と、前記電磁波検知センサ用状態判定手段による前記電磁波検知センサの状態の判定の結果がオン状態からオフ状態に変化した後、前記遊技球検知センサ用状態判定手段による前記遊技球検知センサの状態の判定の結果が所定の周期数を超えて連続してオン状態になったことを、前記遊技球検知センサの状態の異常として検知する遊技球検知センサ用異常検知手段と、この遊技球検知センサ用異常検知手段により異常が検知された場合に、前記オンエッジ検出処理手段によるオンエッジの検出を禁止するオンエッジ検出禁止処理手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
前述のように大玉ゴトは、大玉を特定領域に詰まらせた状態で電磁波を断続的に制御処理部に照射することである。この大玉ゴト中において電磁波の照射が途切れている間に大玉が遊技球検知センサにより検知され続ける期間は、特定領域を正規の遊技球が通過する際に遊技球検知センサにより遊技球が検知され続ける期間よりも長くなる場合があると考えられる。言い換えると、特定領域に大玉が詰まった状態で電磁波の照射が途切れている期間に遊技球検知センサの状態が連続してオン状態と判定される周期数と、正規の遊技球が遊技球検知センサを通過する際に遊技球検知センサの状態が連続してオン状態と判定される周期数とでは、前者の方が後者よりも多くなる場合があると考えられる。そこで、「〔1〕」に記載のパチンコ機において、遊技球検知センサのオン状態を異常として扱うための基準となる所定の周期数は、正規の遊技球が遊技球検知センサを通過する際に遊技球検知センサの状態の判定結果が連続する周期数よりも多く設定される。つまり、遊技球検知センサ用異常検知手段は、大玉ゴト中において電磁波の照射が途切れている期間が、所定の周期数に相応する所定時間以上となったことを、特定領域に大玉が詰まっている異常として検知するようになっている。
【0014】
「〔1〕」に記載のパチンコ機において、遊技球検知センサ用状態判定手段は、遊技球検知センサの状態の判定を一定周期で行う。大玉ゴトが行われていない状態において、オンエッジ検出処理手段は、遊技球検知センサ用状態判定手段による判定の結果に基づいてオンエッジを検出する。オンエッジが検出されると、制御処理部は遊技に関する処理(賞球の払出しの指令、特別図柄に係る電子抽選、普通図柄に係る電子抽選など)を行う。
【0015】
大玉ゴトが行われた場合、特定領域に大玉が詰まった状態で制御処理部に特定波長域の電磁波が断続的に照射される。その電磁波を電磁波検知センサが検知してオフ状態となる。このとき、電磁波検知センサから主制御処理部への非検知信号の入力がなくなるため、電磁波検知センサ用状態判定手段は、電磁波検知センサの状態をオフ状態と判定する。すると、遊技球検知センサ用異常検知手段は、遊技球検知センサの状態が所定の周期数を超えて連続してオン状態と判定される異常があるか否かの、すなわち、特定領域に大玉が詰まっている異常があるか否かの監視を開始する。そして、電磁波の照射が途切れた期間内で、遊技球検知センサ用異常検知手段が特定領域に大玉が詰まっている異常を検知すると、オンエッジ検出禁止処理手段はオンエッジ検出処理手段によるオンエッジの検出を禁止する。
【0016】
この結果、大玉ゴトによる遊技球検知センサのオンエッジの偽装が防止される。したがって、大玉ゴトが行われた場合に、賞球の払出しの指令、特別図柄に係る電子抽選、普通図柄に係る電子抽選など処理が繰り返し行われてしまうことを防止でき、遊技場の被害を抑えることができる。
【0017】
また、「〔1〕」に記載のパチンコ機において、電磁波検知センサ用状態判定手段は、電磁波検知センサからの非検出信号を制御処理部が入力しない状態であることに基づいて、電磁波検知センサの状態をオフ状態であると判定するため、電磁波検知センサが電磁波を検知してオフ状態になった場合だけでなく、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線に起因して電磁波検知センサから制御処理部への非検知信号が途絶えた場合にも、電磁波検知センサ用状態判定手段は電磁波検知センサの状態をオフ状態と判定する。つまり、電磁波検知センサ用状態判定手段は、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線を、電磁波検知センサにより電磁波が検知されたことと同等に扱う。したがって、遊技球検知センサ用異常検知手段は、電磁波検知センサと制御処理部の間が断線した場合にも、特定領域に大玉が詰まっているか否かを監視することになる。そして、特定領域に大玉が詰まっていることが遊技球検知センサ用異常検知手段により検知された場合に、オンエッジ禁止処理手段は、オンエッジ処理手段によるオンエッジの検出を禁止する。一方、特定領域に大玉が詰まっていることが遊技球検知センサ用異常検知手段により検知されない場合に、オンエッジ禁止処理手段は、遊技球検知センサのオンエッジを検出できる状態を維持する。
【0018】
つまり、「〔1〕」に記載のパチンコ機は、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線を、電磁波検知センサにより電磁波が検知されたことと同等の異常として扱うものの、実際に大玉が特定領域に詰まっていることを検知しない場合には、遊技球検知センサのオンエッジを検出できる状態を維持する。したがって、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線を電磁波の検知と同等の異常として扱うことに伴う遊技者の不利益の発生を防止できる。
【0019】
〔2〕 本発明に係るパチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域と、この遊技領域に遊技球が通過可能に設けられた複数の特定領域と、これらの特定領域のそれぞれに設けられ、遊技球を検知したときに遊技球検知信号を出力するオン状態となり、遊技球を検知しないときにその遊技球検知信号を出力しないオフ状態となる遊技球検知センサと、前記遊技球検知センサのオンエッジに基づいて遊技に関する処理を行う制御処理部と、特定波長域の電磁波を照射されるとオフ状態となり、その電磁波を照射されないと非検知信号を出力するオン状態となる電磁波検知センサとを備えるパチンコ機において、前記制御処理部は、前記複数の遊技球検知センサのそれぞれの状態がオン状態であるかオフ状態であるかを、それらの遊技球検知センサのそれぞれについて個別に、その遊技球検知センサの遊技球検知信号を前記制御処理部が入力したか否かに基づいて判定する遊技球検知センサ用状態判定手段と、この遊技球検知センサ用状態判定手段による判定の結果に基づいて前記複数の遊技球検知センサのそれぞれのオンエッジを検出するオンエッジ検出処理手段と、前記電磁波検知センサの非検知信号を前記制御処理部が入力しているか否かに基づき前記電磁波検知センサの状態がオン状態であるかオフ状態であるかを判定する電磁波検知センサ用状態判定手段と、前記複数の遊技球検知センサの状態の異常を個別に検知する遊技球検知センサ用異常検知手段と、この遊技球検知センサ用異常検知手段により異常が検知された場合に、その異常が検知された前記遊技球検知センサに限って前記オンエッジ検出処理手段によるオンエッジの検出を禁止するオンエッジ検出禁止処理手段とを備え、前記遊技球検知センサ用状態判定手段は、前記遊技球検知センサの状態の判定を一定周期で行い、この判定の結果を、前記遊技球検知センサのオン状態に対応付けられた入力判定値であるオン判定値、または、前記遊技球検知信号センサのオフ状態に対応付けられた入力判定値であるオフ判定値の形で、更新して記憶するものであり、前記オンエッジ検出処理手段は、前記遊技球検知センサ用状態判定手段により入力判定値がオフ判定値からオン判定値に更新されたことを、前記オンエッジとして検出するものであり、前記遊技球検知センサ用異常検知手段は、前記電磁波検知センサ用状態判定手段による前記電磁波検知センサの状態の判定の結果がオン状態からオフ状態に変化した後、前記複数の遊技球検知センサのいずれかの入力判定値の更新状況が、所定の周期数を超えて連続して前記オン判定値に更新されることを異常として検知するものであり、前記オンエッジ検出禁止処理手段は、前記遊技球検知センサ用異常検知手段により異常が検知された場合に、その異常が検知された遊技球検知センサに限り、その遊技球検知センサの入力判定値を常に前回の入力判定値に更新することによって、前記オンエッジ検出処理手段によるオンエッジの検出を禁止するものであることを特徴とする。
【0020】
前述のように大玉ゴトは、大玉を特定領域に詰まらせた状態で電磁波を断続的に制御処理部に照射することである。この大玉ゴト中において電磁波の照射が途切れている間に大玉が遊技球検知センサにより検知され続ける期間は、特定領域を正規の遊技球が通過する際に遊技球検知センサにより遊技球が検知され続ける期間よりも長くなる場合があると考えられる。言い換えると、特定領域に大玉が詰まった状態で電磁波の照射が途切れている期間に遊技球検知センサの入力判定値がオン判定値に更新され続ける周期数と、正規の遊技球が遊技球検知センサを通過する際に遊技球検知センサの入力判定値がオン判定値に連続で更新され続ける周期数とでは、前者の方が後者よりも多くなる場合があると考えられる。そこで、「〔2〕」に記載のパチンコ機において、オン判定値の更新状況を異常として扱うための基準となる所定の周期数は、正規の遊技球が遊技球検知センサを通過する際に遊技球検知センサの入力判定値がオン判定値に連続で更新され続ける周期数よりも多く設定される。つまり、遊技球検知センサ用異常検知手段は、大玉ゴト中において電磁波の照射が途切れている期間が、所定の周期数に相応する所定時間以上となったことを、複数の特定領域のいずれかに大玉が詰まっている異常として検知するようになっている。
【0021】
「〔2〕」に記載のパチンコ機において、遊技球検知センサ用状態判定手段は、遊技球検知センサの状態の判定を一定周期で行い、この判定の結果を、遊技球検知センサのオン状態に対応付けられた入力判定値であるオン判定値、または、遊技球検知信号センサのオフ状態に対応付けられた入力判定値であるオフ判定値の形で、更新して記憶する。大玉ゴトが行われていない状態において、オンエッジ検出処理手段は、複数の遊技球検知センサのそれぞれについて個別に、遊技球検知センサ用状態判定手段により入力判定値がオフ判定値からオン判定値に更新されたことを、オンエッジとして検出する。オンエッジが検出されると、制御処理部は遊技に関する処理(賞球の払出しの指令、特別図柄に係る電子抽選、普通図柄に係る電子抽選など)を行う。
【0022】
大玉ゴトが行われた場合、複数の特定領域にいずれかに大玉が詰まった状態で制御処理部に特定波長域の電磁波が断続的に照射される。その電磁波を電磁波検知センサが検知してオフ状態となる。このとき、電磁波検知センサから主制御処理部への非検知信号の入力がなくなるため、電磁波検知センサ用状態判定手段は、電磁波検知センサの状態をオフ状態と判定する。すると、遊技球検知センサ用異常検知手段は、複数の遊技球検知センサのいずれかの入力判定値の更新状況に、所定の周期数を超えて連続してオン判定値に更新される異常があるか否かの、すなわち、複数の特定領域のいずれかに大玉が詰まっている異常があるか否かの監視を開始する。そして、電磁波の照射が途切れた期間内で、遊技球検知センサ用異常検知手段が複数の特定領域のいずれかに大玉が詰まっている異常を検知すると、オンエッジ検出禁止処理手段は、その異常が検知された遊技球検知センサに限り、入力判定値を常に前回の入力判定値に更新することによって、オンエッジ検出処理手段によるオンエッジの検出を禁止する。
【0023】
つまり、電磁波の照射が途切れている期間において、異常が検知された遊技球検知センサ、すなわち大玉を検知した状態の遊技球検知センサの入力判定値はオン判定値であるから、その異常が検知された後はオン判定値が前回の入力判定値として常に強制的に更新され続けるようになり、これによって、オンエッジ検出処理手段によるオンエッジの検出が禁止される。この結果、大玉ゴトによる遊技球検知センサのオンエッジの偽装が防止される。したがって、大玉ゴトが行われた場合に、賞球の払出しの指令、特別図柄に係る電子抽選、普通図柄に係る電子抽選など処理が繰り返し行われてしまうことを防止でき、遊技場の被害を抑えることができる。
【0024】
また、「〔2〕」に記載のパチンコ機において、電磁波検知センサ用状態判定手段は、電磁波検知センサからの非検出信号を制御処理部が入力しない状態であることに基づいて、電磁波検知センサの状態をオフ状態であると判定するため、電磁波検知センサが電磁波を検知してオフ状態になった場合だけでなく、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線に起因して電磁波検知センサから制御処理部への非検知信号が途絶えた場合にも、電磁波検知センサ用状態判定手段は電磁波検知センサの状態をオフ状態と判定する。つまり、電磁波検知センサ用状態判定手段は、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線を、電磁波検知センサにより電磁波が検知されたことと同等に扱う。したがって、遊技球検知センサ用異常検知手段は、電磁波検知センサと制御処理部の間が断線した場合にも、複数の特定領域のいずれかに大玉が詰まっているか否かを監視することになる。そして、複数の特定領域のいずれかに大玉が詰まっていることが遊技球検知センサ用異常検知手段により検知された場合に、オンエッジ禁止処理手段は、オンエッジ処理手段によるオンエッジの検出を禁止する。一方、複数の特定領域のいずれかに大玉が詰まっていることが遊技球検知センサ用異常検知手段により検知されない場合に、オンエッジ禁止処理手段は、遊技球検知センサのオンエッジを検出できる状態を維持する。
【0025】
つまり、「〔2〕」に記載のパチンコ機は、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線を、電磁波検知センサにより電磁波が検知されたことと同等の異常として扱うものの、実際に大玉が特定領域に詰まっていることを検知しない場合には、遊技球検知センサのオンエッジを検出できる状態を維持する。したがって、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線を電磁波の検知と同等の異常として扱うことに伴う遊技者の不利益の発生を防止できる。
【0026】
〔3〕 本発明に係るパチンコ機は、「〔2〕」に記載のパチンコ機において、前記遊技球検知センサ用状態判定手段による判定の周期をTで表し、前記所定の周期数をZで表し、前記複数の遊技球検知センサのそれぞれを遊技球が通過するのに要する時間のうちの最長時間をHで表した場合に、ZはT,Hとの間で「H/T<Z」という関係式を満たすよう設定されたことを特徴とする。
【0027】
この「〔3〕」に記載のパチンコ機は、複数の遊技球検知センサのそれぞれの入力判定値の更新状況の異常を個別に判定するための周期数の基準を、複数の遊技球検知センサに対して1種類で済ませることができ、これによって、それらの入力判定値の更新状況の異常を判定するための制御プログラムが複雑になることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るパチンコ機は、前述のように、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線を、電磁波検知センサにより電磁波が検知されたことと同等の異常として扱うものの、特定領域に大玉が実際に詰まっていることを検知しない場合には、遊技球検知センサのオンエッジを検出できる状態を維持する。この結果、電磁波検知センサと制御処理部の間の断線を電磁波の検知と同等の異常として扱うことに伴う遊技者の不利益の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の本実施形態に係るパチンコ機の外観斜視図である。
【図2】図1に示したパチンコ機のガラス扉および前面ボードが開けられた状態の外観斜視図である。
【図3】図2に示した遊技盤の盤面の構成を示す図である。
【図4】図1に示したパチンコ機の背面図である。
【図5】図1に示したパチンコ機の制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示したオンエッジ検出処理手段により行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図5に示した電磁波検知センサ用状態判定手段、遊技球検知センサ用異常検知手段、オンエッジ検出禁止処理手段および異常報知制御手段が関わるパチンコ機の動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】大玉ゴトが行われてない正常な状態において、正規の遊技球が特定領域に入賞する場合の、遊技球検知センサの状態と、遊技球検知センサの入力判定値と、電磁波検知センサの入力判定値と、オンエッジの検出結果との時系列的な関係の一例を示すタイムチャートである。
【図9】大玉ゴト中に遊技球検知センサのオンエッジの検出を禁止しない場合の、遊技球検知センサの状態と、遊技球検知センサの入力判定値と、電磁波検知センサの状態の入力判定値と、オンエッジの検出結果との時系列的な関係の一例を示すタイムチャートである。
【図10】図9の場合と同じ大玉ゴト中に遊技球検知センサのオンエッジの検出を禁止する場合の、遊技球検知センサの状態と、遊技球検知センサの入力判定値と、電磁波検知センサの入力判定値と、オンエッジの検出結果との時系列的な関係の一例を示すタイムチャートである。
【図11】電磁波検知センサと主制御処理部の間を断線させた後の大玉ゴト中に、遊技球検知センサのオンエッジの検出を禁止する場合の、遊技球検知センサの状態と、遊技球検知センサの入力判定値と、電磁波検知センサの入力判定値と、オンエッジの検出結果との時系列的な関係の一例を示すタイムチャートである。
【図12】電磁波検知センサと主制御処理部の間が断線した状態において、正規の遊技球が特定領域に入賞する場合の、遊技球検知センサの状態と、遊技球検知センサの入力判定値と、電磁波検知センサの入力判定値と、オンエッジの検出結果との時系列的な関係の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態に係るパチンコ機について図1〜図12を用いて説明する。以下の説明において各部の左右方向はパチンコ機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。
【0031】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るパチンコ機1は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠2と、この機枠2に開き戸状に開閉自在に取り付けられた本体枠3と、この本体枠3の前面に開き戸状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きなガラス窓4aが形成されたガラス扉4と、本体枠3の下部に開き戸状に開閉自在に設けられ、遊技球を収容する受皿6を有する前面ボード5と、この前面ボード5から前方に突出して設けられたハンドル7とを備える。ガラス扉4の左右両縁部には電飾70が設けられている。また、ガラス扉4の上部および本体枠5の左下部にはスピーカ71が設けられている。
【0032】
図2に示すように、本体枠3の内側には、遊技盤30が収容されている。この遊技盤30の前面には、遊技領域31が形成されている。この遊技領域31は遊技球を滑走させる外レール32と内レール33によって略円形に区画形成されている。遊技領域31全体は前述のガラス窓4aを通じて見ることができるようになっている。
【0033】
遊技盤30の下方には、打撃槌(図示していない)により遊技球を打撃して発射する発射装置10が設けられている。この発射装置10には受皿6から遊技球が1個ずつ供給されるようになっている。発射装置10に遊技球が供給された状態でハンドル7(図1参照)が回動操作されると、発射装置10はハンドル7の回動量に応じた発射強度で遊技球を外レール32に向かって打ち出し、これにより遊技球は外レール32に沿って遊技領域31に導かれる。なお、図2においては、遊技領域31内の構成の図示を省略した。
【0034】
図3に示すように、遊技領域31内には、特別図柄表示装置40、普通図柄表示装置41、視認窓50a、ステージ51、第1始動入賞口61、第2始動入賞口62、アタッカ装置63、スルーチャッカ64、一般入賞口65A〜65E、アウト口66が設けられている。これらの他に、遊技領域31内には遊技釘および風車など、遊技球の流れを変化させる部材が設けられているが、それらの図示を省略した。なお、第1始動入賞口61、第2始動入賞口62、スルーチャッカ64、一般入賞口65A〜65Eは、本発明の特定領域である。
【0035】
第1始動入賞口61および第2始動入賞口62は遊技球が通過可能に形成された入賞口であって、第1始動入賞口61、第2始動入賞口62の順番で上下に並んで位置する。これら第1始動入賞口61および第2始動入賞口62に遊技球が入賞すると、特別図柄に係る電子抽選の契機が生じるとともに、賞球が発生する。また、第2始動入賞口62は開閉自在な1対の羽根部材から成る電動チューリップ62aの中央に位置する。電動チューリップ62aはソレノイドにより駆動されることによって、図3に示す閉じた状態から開くようになっている。本実施形態においては、第1始動入賞口61を形成している部材に対して、閉じた状態の電動チューリップ62aの先端が近接して位置するため、電動チューリップ62aが開いた状態でなければ遊技球は第2始動入賞口62に入賞しない。
【0036】
特別図柄表示装置40は、特別図柄を変動させた後に停止させるという態様で表示するよう制御されるものである。特別図柄は、第1始動入賞口61への遊技球の入賞に基づいて行われた電子抽選の結果、または、第2始動入賞口62への遊技球の入賞に基づいて行われた電子抽選の結果を、変動を停止したときに示すものである。
【0037】
アタッカ装置63は、複数個の遊技球が一度に入賞可能な大入賞口63aを、フラップ状の蓋体部材により開閉するものであり、第1始動入賞口61への遊技球の入賞に基づいて行われた電子抽選で当りに当選した場合、または、第2始動入賞口62への遊技球の入賞に基づいて行われた電子抽選で当りに当選した場合に、大入賞口63aを所定回数だけ開放するよう制御されるものである。
【0038】
スルーチャッカ64は遊技球が通過可能なゲートである。このスルーチャッカ64を遊技球が通過すると、普通図柄に係る電子抽選の契機が生じる。普通図柄表示装置41は、普通図柄を変動させた後に停止させるという態様で表示するよう制御されるものである。普通図柄は、遊技球がスルーチャッカ64を通過したことに基づいて行われた電子抽選の結果を、変動を停止したときに示すものである。普通図柄に係る電子抽選で当りに当選した場合に、前述の電動チューリップ62aが開くよう制御される。
【0039】
一般入賞口65A〜65Eは遊技球が通過可能に形成された入賞口である。これらの一般入賞口65A〜65Eのそれぞれに遊技球が入賞すると、賞球が発生する。
【0040】
視認窓50aは遊技盤30の略中央部に設けられている。この視認窓50aの後方には演出表示装置50が設けられている。本実施形態において演出表示装置50は液晶表示装置であり、特別図柄に係る電子抽選を演出する映像を表示するよう制御されるものである。その映像を遊技者は視認窓50aを通じて見ることができる。その映像にはダミー図柄が含まれ、このダミー図柄は変動した後に停止するという態様で表示される。ダミー図柄の表示の態様は、特別図柄の変動と停止に同期するよう制御される。なお、前述の特別図柄表示装置40は演出表示装置50の視認窓50aから離れて遊技領域31の左下部に設けられていることにより、視認窓50aから見える映像と特別図柄表示装置40に表示される特別図柄とが同時に遊技者の視界に入らないようになっている。
【0041】
ステージ51は視認窓50aの下方に広がっている。このステージ51は、これに載った遊技球が転動しながら一時的に滞在するよう形成された構造物である。ステージ51の中央には溝51aが形成されていて、この溝51aの真下には、前述の第1始動入賞口61が設けられている。つまり、ステージ51の溝51aと第1始動入賞口61の配置は、溝51aから落下した遊技球が高い確率で第1始動入賞口61に入賞するよう設定されている。
【0042】
図4に示すように、パチンコ機1の背面側には、主制御処理部110と、副制御処理部である特別図柄制御処理部200、普通図柄制御処理部201、演出制御処理部202、電飾制御処理部203、音声制御処理部204および払出制御処理部600とが設けられている。これらの制御処理部110,200〜204,600はいずれも、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、CPUにより行われる情報処理作業の記憶領域としてのRAM(Random Access Memory)とを備えたマイクロコンピュータであり、これらによってパチンコ機1の種々の制御が行われる。また、パチンコ機1の背面側には遊技球を受皿6に払い出す賞球払出装置601も設けられている。
【0043】
前述の第1始動入賞口61、第2始動入賞口62、大入賞口63a、スルーチャッカ64、一般入賞口65A〜65Eのそれぞれには、図5に示すように、遊技球を検知する遊技球検知センサ(磁気センサ)である第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、大入賞口センサ103、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれが設けられている。これらセンサ101〜104,105A〜105Eは、遊技球を検知したときに遊技球検知信号を出力するオン状態となり、遊技球を検知しないときにその遊技球検知信号を出力しないオフ状態となる。
【0044】
第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、大入賞口センサ103、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれの遊技球検知信号は全て主制御処理部110に入力されるようになっている。主制御処理部110は、遊技球検知信号の入力に基づき遊技に関する処理を行う。
【0045】
主制御処理部110は、制御プログラムにより設定された手段である遊技球検知センサ用状態判定手段150とオンエッジ検出処理手段160とを備える。
【0046】
遊技球検知センサ用状態判定手段150は、遊技球検知センサである第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれの状態がオン状態であるかオフ状態であるかを、それらの遊技球検知センサのそれぞれについて個別に、その遊技球検知センサの遊技球検知信号を制御処理部が入力したか否かに基づいて判定するものである。具体的には、遊技球検知センサである第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、大入賞口センサ103、スルーチャッカセンサ104および一般入賞口センサ105のそれぞれの状態の判定を、主制御処理部110のCPUのクロック周波数に基づき一定周期(4ミリ秒の周期)で行い、この判定の結果を、遊技球検知センサのオン状態に対応付けられた入力判定値であるオン判定値、または、遊技球検知信号センサのオフ状態に対応付けられた入力判定値であるオフ判定値の形で更新して主制御処理部110のRAMに記憶するようになっている。本実施形態においてオン判定値は「1」であり、オフ判定値は「0」である。
【0047】
オンエッジ検出処理手段160は、遊技球検知センサ用状態判定手段150による判定の結果に基づいて、第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、大入賞口センサ103、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105のそれぞれのオンエッジを検出するものである。
【0048】
このオンエッジ検出処理手段160は具体的には図6に示すオンエッジ検出処理を行うようになっている。このオンエッジ検出処理においては、はじめに、遊技球検知センサ用状態判定手段150により主制御処理部110のRAMに記憶された前回の入力判定値をロードする(ステップS11)。次に、前回の入力判定値をビット反転させる(ステップS12)。次に、ビット反転させた前回の入力判定値と、今回の入力判定値との論理積を計算してオンエッジを検出する(ステップS13)。
【0049】
このステップS13における処理を、遊技球が一般入賞口65Aに入賞した場合を例に挙げて説明すると、一般入賞口センサ105Aの前回の入力判定値は、一般入賞口65Aに遊技球が入賞する前の入力判定値、すなわち「0」(オフ判定値)である。そして、遊技球が一般入賞口65Aに入賞したときに、一般入賞口センサ105Aの今回の入力判定値「1」(オン判定値)が得られる。前回の入力判定値「0」をビット反転させると「1」となり、この「1」と今回の入力判定値「1」との論理積は「1」となって、オンエッジが検出される。つまり、オンエッジ検出処理手段160は、遊技球検知センサ用状態判定手段150により入力判定値がオフ判定値「0」からオン判定値「1」に更新されたことを、オンエッジとして検出するようになっている。これ以外の場合、ビット反転させた前回の入力判定値と今回の入力判定値との論理積は「0」になるため、オンエッジは検出されない。
【0050】
ステップS13の次に、オンエッジ検出処理手段160は、今回の入力判定値をオンエッジ検出マスクデータを用いて変換し、すなわち今回の入力判定値のマスクデータ変換を行い(ステップS14)、次に、マスクデータ変換した今回の入力判定値をオンエッジ検出フラグデータとともにセーブして(ステップS15)、すなわち、次回のオンエッジ検出処理における前回の入力判定値として保存して、オンエッジ検出処理は終了する。
【0051】
主制御処理部110はさらに、制御プログラムにより設定された手段である特別図柄用電子抽選手段120を備える。特別図柄用電子抽選手段120は、オンエッジ検出処理手段160により第1始動入賞口センサ101または第2始動入賞口センサ102のオンエッジが検出された場合に、特別図柄に係る電子抽選を行うものである。主制御処理部110は特別図柄に係る電子抽選の結果に基づき、特別図柄の変動開始を特別図柄制御処理部200に指令する。特別図柄制御処理部200は主制御処理部110からの指令に基づき、特別図柄が変動した後に停止するよう特別図柄表示装置40を制御する。
【0052】
なお、主制御処理部110から演出制御処理部202、電飾制御処理部203および音声制御処理部204に対しても、特別図柄制御処理部200に対する指令と同様の指令が与えられるようになっている。それら演出制御処理部202、電飾制御処理部203および音声制御処理部204のそれぞれは、その指令に基づいて演出表示装置50、電飾70およびスピーカ71のそれぞれを制御し、特別図柄に係る電子抽選を演出する。
【0053】
主制御処理部110はさらに、制御プログラムにより設定された手段であるアタッカ制御手段121を備える。このアタッカ制御手段121は、特別図柄に係る電子抽選で当りに当選した場合、特別図柄表示装置40において特別図柄の変動が停止した後に、アタッカ装置63に大入賞口63aを所定回数だけ開放させるものである。
【0054】
主制御処理部110はさらに、制御プログラムにより設定された手段である普通図柄用電子抽選手段130を備える。この普通図柄用電子抽選手段130は、オンエッジ検出処理手段160によりスルーチャッカ64のオンエッジが検出された場合に、普通図柄に係る電子抽選を行うものである。主制御処理部110は普通図柄に係る電子抽選の結果に基づき普通図柄の変動開始を指令する。普通図柄制御処理部201は主制御処理部110からの指令に基づき、普通図柄が変動した後に停止するよう普通図柄表示装置41を制御する。
【0055】
主制御処理部110はさらに、制御プログラムにより設定された手段である電動チューリップ制御手段131を備える。この電動チューリップ制御手段131は、普通図柄に係る電子抽選で当りに当選した場合、普通図柄表示装置41において普通図柄の変動が停止した後に、電動チューリップ62aを所定回数だけ開放させるものである。
【0056】
主制御処理部110はさらに、制御プログラムにより設定された手段である賞球払出指令手段170を備える。この賞球払出指令手段170は、前述のオンエッジ検出処理手段160によって第1始動入賞口センサ101のオンエッジが検出された場合、第2始動入賞口センサ102のオンエッジが検出された場合、大入賞口センサ103のオンエッジが検出された場合、および、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれのオンエッジが検出された場合に、オンエッジが検出された遊技球検知センサに予め対応付けられた個数の賞球の払出しを、払出制御処理部600に指令するものである。払出制御処理部600は賞球払出指令手段170からの指令に基づき、賞球が受皿6に払い出されるよう賞球払出装置601を制御する。
【0057】
前述のステージ51には、電磁波検知センサ180が設けられている。この電磁波検知センサ180は、特定波長域の電磁波を照射されるとオフ状態となり、その電磁波を照射されないと非検知信号を出力するオン状態となるものである。つまり、電磁波検知センサ180のオフ状態は、電磁波検知センサ180が特定波長域の電磁波を検知した状態であり、電磁波検知センサ180のオン状態は、電磁波検知センサ180が特定波長域の電磁波を検知していない状態である。電磁波検知センサ180の非検知信号は主制御処理部110に入力されるようになっている。
【0058】
主制御処理部110は、制御プログラムにより設定された手段である電磁波検知センサ用状態判定手段181と、遊技球検知センサ用異常検知手段182と、オンエッジ検出禁止処理手段183と、異常報知制御手段184とを備える。
【0059】
電磁波検知センサ用状態判定手段181は、主制御処理部110が電磁波検知センサ180の非検知信号を入力しているか否かに基づき、電磁波検知センサ180の状態がオフ状態であるかオフ状態であるかの判定を一定周期(4ミリ秒の周期)で行い、この判定の結果を、電磁波検知センサ180のオン状態(非検知状態)に対応付けられた入力判定値であるオン判定値、または、電磁波検知センサ180のオフ状態(検知状態)に対応付けられた入力判定値であるオフ判定値の形で更新して主制御処理部110のRAMに記憶するようになっている。
【0060】
主制御処理部110に電磁波検知センサ180の非検知信号が入力されていないことに基づき、電磁波検知センサ用状態判定手段181は電磁波検知センサ180の状態をオフ状態と判定する。このため、電磁波検知センサ180が特定波長域の電磁波を検知してオフした場合と、電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間が断線して電磁波検知センサ180から主制御処理部110への非検知信号が途絶えた場合とに、電磁波検知センサ180の状態は、電磁波検知センサ用状態判定手段181によってオフ状態と判定されることになる。つまり、電磁波検知センサ用状態判定手段181は、電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間の断線を、特定波長域の電磁波を検知したことと同等に扱うようになっている。
【0061】
遊技球検知センサ用異常検知手段182は、特定領域に設けられた特定の遊技球検知センサ、すなわち、第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれの状態の異常を個別に検知するものである。具体的には、電磁波検知センサ用状態判定手段181による電磁波検知センサ180の状態の判定結果がオン状態からオフ状態に変化した後、特定領域に設けられた遊技球検知センサのいずれか、すなわち、第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのいずれかの入力判定値の更新状況が、所定の周期数を超えて連続してオン判定値に更新されることを、遊技球検知センサ用異常検知手段182は異常として検知するようになっている。
【0062】
ところで、第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれを正規の遊技球が通過するのに要する時間のうち、一般入賞口センサ105Aを遊技球が通過するのに要する時間が最も長い。この時間を以下では最長時間を呼ぶ。第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eはいずれも、遊技球に最長時間以下の時間で通過されるため、その最長時間以下の時間しかオン状態を維持しない。これに対し、大玉が第1始動入賞口61、第2始動入賞口62、スルーチャッカ64、一般入賞口65A〜65Eのいずれかの特定領域に詰まった場合には、その特定領域に設けられた遊技球検知センサは最長時間よりも長い時間、オン状態を維持することになる。そして、大玉ゴト中において電磁波の照射が途切れている期間が最長時間よりも長くなった場合には、その最長時間よりも長い時間、遊技球検知センサ用異常検知手段182は、入力判定値をオン判定値に更新し続けることになる。
【0063】
そこで、本実施形態に係るパチンコ機1においては、遊技球検知センサ用状態判定手段150による判定の周期をTで表し、前述の所定の周期数をZで表し、最長時間をHで表した場合に、ZはT,Hとの間で「H/T<Z」という関係式を満たすよう設定されている。つまり、遊技球検知センサ用異常検知手段182は、大玉ゴト中において電磁波の照射が途切れている期間内に、第1始動入賞口61、第2始動入賞口62、スルーチャッカ64、一般入賞口65A〜65Eいずれかの特定領域に大玉が詰まった状態である異常を、それらの特定領域に設けられた遊技球検知センサのいずれかの入力判定値の更新状況が、所定の周期数Zを超えて連続してオン判定値に更新されることに基づき検知するようになっている。
【0064】
オンエッジ検出禁止処理手段183は、遊技球検知センサ用異常検知手段182により異常が検知された場合に、第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのうち、異常が検知された遊技球検知センサに限ってオンエッジ検出処理手段160によるオンエッジの検出を禁止するものである。具体的には、遊技球検知センサ用異常検知手段182により異常が検知された遊技球検知センサに限って、その遊技球検知センサの入力判定値を常に前回の入力判定値に更新することにより、オンエッジ検出処理手段160によるオンエッジの検出を禁止するようになっている。
【0065】
異常報知制御手段184は、電磁波検知センサ180からの非検知信号を主制御処理部110が入力しなくなったこと、すなわち、電磁波検知センサ180がオフ状態となったことに基づく指令を、電飾制御処理部203および音声制御処理部204に与えるものである。電飾制御処理部203は異常報知制御手段184からの指令に基づき、この指令に予め対応付けられた色で電飾70が点灯した状態が維持されるよう電飾70を制御し、音声制御処理部204は同じく異常報知制御手段184からの指令に基づき、この指令に予め対応付けられた警報音が出力されるようスピーカ71を制御するようになっている。この結果、電磁波検知センサ180がオフ状態になったこと、すなわち、電磁波検知センサ180が電磁波を検知したことが、電飾70とスピーカ71により報知される。
【0066】
電磁波検知センサ用状態判定手段181、遊技球検知センサ用異常検知手段182、オンエッジ検出禁止処理手段183、異常報知制御手段184が関わる主制御処理部110の動作は、図7に示すルーチンで行われる。
【0067】
はじめに、異常報知制御手段184と遊技球検知センサ用異常検知手段182は、電磁波検知センサ用状態判定手段181により判定された直近の電磁波検知センサ180の状態、すなわち、電磁波検知センサ180の直近の入力判定値がオフ判定値である否かの確認を行う(ステップS21)。この確認の結果、電磁波検知センサ180の直近の入力判定値がオフ判定値であった場合(ステップS21でYES)、異常報知制御手段184は、その確認の結果に基づく指令を電飾制御処理部203および音声制御処理部204に与える。電飾制御処理部203は異常報知制御手段184からの指令に基づき、電飾70を、その指令に予め対応付けられた色で点灯させた状態を維持する。また、音声制御処理部204は同じく異常報知制御手段184からの指令に基づき、その指令に予め対応付けられた警報音をスピーカ71から出力させる。つまり、電磁波検知センサ180のオフ状態を、電飾70とスピーカ71によって報知する(ステップS22)。なお、電磁波検知センサ用状態判定手段181は、電磁波検知センサ180が実際に電磁波を検出してオフ状態となったために主制御処理部110が電磁波検知センサ180の非検知信号を入力しなくなったのか、電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間の断線によって電磁波検知センサ180からの非検知信号が途絶えたのかは識別できないため、このステップS22においては、どちらも区別なく電飾70とスピーカ71により報知されることになる。
【0068】
また、遊技球検知センサ用異常検知手段182は、電磁波検知センサ180の直近の入力判定値がオフ判定値であることを確認した場合(ステップS21でYES)、各特定領域の遊技球検知センサ、すなわち第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれの入力判定値の更新状況を監視する(ステップS23)。次に、遊技球検知センサ用異常検知手段182は、監視中の遊技球検知センサのいずれかの入力判定値が、所定の周期数Zを超えて連続する異常はあったか否かの判定を行う(ステップS24)。この判定の結果、監視中の遊技球検知センサのいずれかの入力判定値が所定の周期数Zを超えて連続する異常があった場合に、すなわち、特定領域のいずれかに大玉が詰まっていた場合に、オンエッジ検出禁止処理手段183は、第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのうち、その異常が検知された遊技球検知センサに限って遊技球検知センサ用状態判定手段150による入力判定値を常に前回の入力判定値に更新する状態に移行し(ステップS25)、ルーチンは終了する。これにより、異常が検知された遊技球検知センサに限って入力判定値が変化しなくなり、オンエッジ検出処理手段160によるオンエッジの検出が禁止される。
【0069】
なお、図7中のステップS21において、電磁波検知センサ用状態判定手段181による判定の結果、電磁波検知センサ180の直近の入力判定値がオフ判定値でなかった場合(ステップS21でNO)、すなわち、電磁波検知センサ180が特定波長域の電磁波を検知してない状態であり、電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間が断線していない状態である場合、オンエッジ検出処理手段160によりオンエッジが検出される状態は維持される。
【0070】
図7に示すルーチン「S21→S23→S24→S25」が行われることによって、第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれの状態と、その遊技球検知センサの入力判定値と、電磁波検知センサ180の入力判定値と、オンエッジの検出結果との時系列的な関係は、例えば図10または図11に示すタイムチャートのようになり、この結果、大玉ゴトによる賞球の払出しが繰り返されることが防止される。それら図10,図11に示すタイムチャートについては後に説明するが、その説明を分かりやすくするために、先に、大玉ゴトによらない正常な賞球の払出しが行われる場合について図8を用いて説明し、また、大玉ゴト中に図7に示すルーチン「S21→S23→S24→S25」が行われなかったために賞球の払出しが繰り返される場合について図9を用いて説明する。
【0071】
まず、大玉ゴトによらない正常な賞球の払出しが行われる場合について、一般入賞口65Aへの遊技球の入賞を例に挙げ、図8を用いて説明する。なお、一般入賞口センサ105Aを遊技球が通過するのに要する時間は、前述のように、第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれを遊技球が通過するのに要する時間のうちで最も長い最長時間Hである。
【0072】
今回は電磁波が用いられないので、図8(c)に示すように、電磁波検知センサ180の状態はオン状態、すなわち電磁波の非検知状態に維持されている。図8(a)に示すように、一般入賞口65Aに遊技球が入賞した時点W1で、一般入賞口センサ105A(遊技球検知センサ)の状態はオフ状態(非検知状態)からオン状態(検知状態)に変化する。このとき、主制御処理部110の遊技球検知センサ用状態判定手段150は、図8(b)に示すように、一般入賞口センサ105Aの入力判定値をオフ判定値からオン判定値に更新する。この更新に基づきオンエッジ検出処理手段160は図8(d)に示すようにオンエッジを検出し、この結果、賞球の払出しが行われる。遊技球が一般入賞口センサ105Aを、最長時間Hを掛けて通過し終えると、図8(a)に示すように、一般入賞口センサ105Aの状態はオン状態からオフ状態に変化する。このとき、主制御処理部110の遊技球検知センサ用状態判定手段150は、図8(b)に示すように、一般入賞口センサ105Aの入力判定値をオン判定値からオフ判定値に更新する。ここで説明したことは、遊技球が一般入賞口65Aに入賞する度に行われる(時点W2〜W4の参照)。
【0073】
次に、大玉ゴト中に図7に示すルーチン「S21→S23→S24→S25」が行われなかったために賞球の払出しが繰り返されてしまった場合について、一般入賞口65Aに大玉が詰まった場合を例に挙げ、図9を用いて説明する。
【0074】
図9(a)に示すように、大玉が一般入賞口65Aに詰まった時点Cで、一般入賞口センサ105Aの状態はオフ状態からオン状態に変化する。このとき、遊技球検知センサ用状態判定手段150は、図9(b)に示すように、一般入賞口センサ105Aの入力判定値を、オフ判定値からオン判定値に更新する。この更新に基づき主制御処理部110のオンエッジ検出処理手段160は図9(d)に示すようにオンエッジを検出する。この結果、賞球の払出しが行われる。つまり、大玉が一般入賞口65Aに詰まったとこが、その一般入賞口65Aへの正規の遊技球の入賞と同等に扱われて賞球の払出しが行われる。
【0075】
大玉が一般入賞口65Aに詰まった状態において、一般入賞口センサ105Aの状態はオン状態に維持されるので、遊技球検知センサ用状態判定手段150は、一般入賞口センサ105Aの入力判定値をオン判定値に維持するはずである。しかし、大玉が一般入賞口65Aに詰まった状態で電磁波が断続的に主制御処理部110に照射された場合、遊技球検知センサ用状態判定手段150は電磁波の照射されている期間中に、一般入賞口センサ105Aの入力判定値をオフ判定値に維持する誤作動を起こす。具体的には、図9(b)に示すように、時点I1から時点S1までの期間、時点I2から時点S2までの期間、時点I3から時点S3までの期間に電磁波が照射された場合、それら3つの期間のそれぞれにおいて主制御処理部110の遊技球検知センサ用状態判定手段150は誤作動を起こし、一般入賞口センサ105Aの入力判定値をオフ判定値に維持してしまう。
【0076】
このように遊技球検知センサ用状態判定手段150が誤作動を起こすと、一般入賞口センサ105Aの状態が、大玉が一般入賞口65に詰まった当初(時点C)にオフ状態からオン状態に変化したときだけでなく、電磁波の照射が停止される度に、すなわち時点S1〜S3のそれぞれの度に、遊技球検知センサ用状態判定手段150は一般入賞口センサ105Aの入力判定値をオフ判定値からオン判定値に更新する。そして、オンエッジ検出処理手段160はそれらの時点S1〜S3のそれぞれの度にオンエッジを検出し、この結果、3回の賞球の払出しが行われる。つまり、大玉ゴトによってオンエッジが偽装された回数だけ、賞球の払出しが行われてしまう。
【0077】
大玉ゴト中に、図7に示すルーチン「S21→S23→S24→S25→S25」が行われると、図10(a),(b),(d)に示すように、大玉が一般入賞口65Aに詰まった時点Cと、1回目の電磁波の照射が停止された時点S1とに賞球が払い出されてしまうことは前述の図9の場合と同じであるが、1回目の電磁波の照射が停止された時点S1から2回目の電磁波の照射が開始される時点I2までの期間が最長時間Hよりも長い場合には、その後の大玉ゴトによる賞球の払出しが防止される。
【0078】
つまり、図10(c)に示すように、時点I1からS1までの期間に1回目の電磁波の照射が行われ、その電磁波が電磁波検知センサ180により検知されると、この直前まで主制御処理部110に入力されていた電磁波検知センサ180の非検知信号が途絶える。このことに基づき、主制御処理部110の電磁波検知センサ用状態判定手段181は、電磁波検知センサ180の入力判定値をオン判定値からオフ判定値に更新する。
【0079】
そして、電磁波の照射が停止された時点S1から、主制御処理部110の遊技球検知センサ用異常検知手段182は、各特定領域の遊技球検知センサ、すなわち第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれの入力判定値の更新状況の監視を開始し、この監視中に、一般入賞口センサ105Aの入力判定値が、所定の周期数Zを超えて連続してオン判定値に更新される異常を検知した場合、すなわち、図10(b)に示すように一般入賞口センサ105Aの入力判定値が最長時間Hを超えて連続してオン判定値に更新される異常を検知した場合、さらに言い換えると、大玉が一般入賞口65Aに詰まっていることを検知した場合、オンエッジ検出禁止処理手段183は、その異常が検知された一般入賞口センサ105Aに限って入力判定値を常に前回の入力判定値に更新する状態に移行する。
【0080】
この状態に移行した後は、2回目の電磁波の照射が開始された時点I2において、一般入賞口センサ105Aの今回の入力判定値は、図9(b)に示すようにオフ判定値に更新されるのではなく、図10(b)に示すように前回の入力判定値であるオン判定値に強制的に書き換えられて更新される。その後も、一般入賞口センサ105Aの入力判定値は常に前回の入力判定値に強制的に書き換えられて更新されるため、一般入賞口65Aから大玉が取り除かれて図10(a)に示すように一般入賞口センサ105Aがオフ状態(非検知状態)となるまでは、電磁波が照射されているか否かに関係なく、図10(b)に太い破線で示すように一般入賞口センサ105Aの入力判定値は常にオン判定値に更新される。この間、一般入賞口センサ105Aの入力判定値はオフ判定値からオン判定値に更新されなることがないため、オンエッジ検出処理手段160はオンエッジを検出しない。この結果、2回目の電磁波の照射が停止された時点S2の後は、電磁波の断続的な照射に伴う賞球の払出しは行われない。
【0081】
大玉ゴトの際には電磁波の使用を発見されないようにすることを目的として電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間が断線される場合が考えられる。電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間が断線した状態においては、電磁波検知センサ180から主制御処理部110への非検知信号が途絶えるため、電磁波検知センサ用状態判定手段181は、電磁波検知センサ180の入力判定値を、図11(c)に示すようにオフ判定値に維持する、つまり、電磁波検知センサ用状態判定手段181は、電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間の断線を、電磁波検知センサ180が電磁波を検知した状態と同等に扱う。
【0082】
したがって今回は、大玉が一般入賞口65Aに詰まる前であって電磁波の照射が開始される時点I1よりも前の、電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間が断線した段階で、主制御処理部110の遊技球検知センサ用異常検知手段182は、各特定領域の遊技球検知センサ、すなわち第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれの入力判定値の更新状況の監視を開始する。その後、図11(a)に示すように、一般入賞口65Aに大玉が詰まった時点Cで一般入賞口センサ105Aの状態はオフ状態からオン状態となり、これに伴って遊技球検知センサ用状態判定手段150は、図11(b)に示すように、一般入賞口センサ105Aの入力判定値をオフ判定値からオン判定値に更新する。このとき、オンエッジ検出処理手段160はオンエッジを検出し、この結果、賞球の払出しが行われる。つまり、大玉が特定領域に詰まったとこが、その特定領域への正規の遊技球の入賞を同等に扱われて賞球の払出しが行われる。
【0083】
その後、一般入賞口65Aに大玉が詰まった時点Cから1回目の電磁波の照射が開始される時点I1までの時間が最長時間Hよりも長かった場合、すなわち、一般入賞口65Aに遊技球が詰まった状態で電磁波が照射されない状態が最長時間Hよりも長かった場合、一般入賞口センサ105Aの入力判定値は、所定の周期数Zを超えて連続してオン判定値に更新される。このことを遊技球検知センサ用異常検知手段182は、一般入賞口65Aに大玉が詰まった異常として検知し、これに基づき、その異常が検知された一般入賞口センサ105Aに限って入力判定値を常に前回の入力判定値に更新する状態に移行する。
【0084】
この結果、一般入賞口65Aに大玉が詰まった時点Cから最長時間Hが経過した後、一般入賞口65Aから大玉が取り除かれて図11(a)に示すように一般入賞口センサ105Aがオフ状態(非検知状態)となるまでの期間内において、時点I1から時点S1までの期間、時点I2から時点S2までの期間、時点I3から時点S3までの期間に、電磁波の照射が行われることに関係なく、一般入賞口センサ105Aの入力判定値は図11(b)に太い破線で示すように常に強制的にオン判定値に更新される。この間、一般入賞口センサ105Aの入力判定値はオフ判定値からオン判定値に更新されることがないため、オンエッジ検出処理手段160はオンエッジを検出することがない。この結果、電磁波の断続的な照射に伴う賞球の払出しは防止される。
【0085】
電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間の断線は、電磁波を用いる不正行為と関係なく生じる場合もあると考えられる。この場合も、電磁波検知センサ用状態判定手段181は、図12(c)に示すように、電磁波検知センサ180の入力判定値をオフ判定値に維持する、つまり、電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間の断線を、電磁波検知センサ180が電磁波を検知した状態と同等に扱う。
【0086】
したがって今回も、電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間が断線した時点から、主制御処理部110の遊技球検知センサ用異常検知手段182は、各特定領域の遊技球検知センサ、すなわち第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれの入力判定値の更新状況の監視を開始する。この監視中、正規の遊技球が一般入賞口65Aに入賞した場合、その遊技球が一般入賞口センサ105Aに検知され続ける時間は最長時間Hであるため、図12(b)に示すように一般入賞口センサ105Aの入力判定値は最長時間Hだけオン判定値に維持され、その最長時間Hを超えて維持されることはない。したがって、遊技球検知センサ用異常検知手段182が一般入賞口センサ105Aの入力判定値の更新状況の異常を検知することはなく、図8に示したタイムチャートと同じく、遊技球が一般入賞口65Aに入賞する度に賞球の払出しが行われる。
【0087】
なお、図8〜図12に示すタイムチャートは、遊技球検知センサが一般入賞口センサ105Aである場合の例であるが、遊技球検知センサが第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105B〜105Eのいずれか1に替わった場合も同様である。ただし、第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102に替わった場合には、オンエッジが検出されたときに賞球の払出しだけでなく、特別図柄に係る電子抽選の契機が発生し、スルーチャッカセンサ104に替わった場合には、オンエッジが検出されたときに賞球の払出しに替わって普通図柄柄に係る電子抽選の契機が発生する。
【0088】
本実施形態に係るパチンコ機1によれば次の効果を得られる。
【0089】
本実施形態に係るパチンコ機1は、電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間の断線を、電磁波検知センサ180により電磁波が検知されたことと同等の異常として扱うものの、第1始動入賞口61、第2始動入賞口62、スルーチャッカ64、一般入賞口65A〜65Eの特定領域いずれかに実際に大玉が詰まっていることを検知しない場合には、それら特定領域のそれぞれに設けられた遊技球検知センサのオンエッジを検出できる状態を維持する。つまり、電磁波検知センサ180と主制御処理部110の間の断線を、電磁波検知センサ180による電磁波の検知と同等の異常として扱うことに伴う遊技者の不利益の発生を防止できる。
【0090】
本実施形態に係るパチンコ機1において、所定の周期数Zは、遊技球検知センサ用状態判定手段150による判定の周期Tと、複数の遊技球検知センサ(第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105E)のそれぞれを正規の遊技球が通過するのに要する時間のうちの最長時間Hとの間で「H/T<Z」という関係式を満たすよう設定されている。これにより、第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105Eのそれぞれの入力判定値の更新状況の異常を判定するための周期数の基準を1種類で済ませることができ、したがって、それらの入力判定値の更新状況の異常を判定するための制御プログラムの構成が複雑になることを抑えることができる。
【0091】
なお、前述の実施形態に係るパチンコ機1においては、複数の遊技球検知センサ(第1始動入賞口センサ101、第2始動入賞口センサ102、スルーチャッカセンサ104、一般入賞口センサ105A〜105E)のそれぞれの入力判定値の更新状況の異常を判定するための周期数の基準を1種類で済ませることにより、それらの入力判定値の更新状況の異常を判定するための制御プログラムの構成が複雑になることを抑えているが、その制御プログラムが複雑になってもよい場合には、複数の遊技球検知センサのそれぞれについて個別に、入力判定値の更新状況の異常を判定するための周期数の基準が、その遊技球検知センサを正規の遊技球が通過するのに要する時間に基づいて設定されていてもよい。これにより、複数の特定領域のいずれかに遊技球が詰まった状態において、その特定領域に設けられた遊技球検知センサを正規の遊技球が通過するのに要する時間が最長時間Hよりも短い時間である場合に、最長時間Hよりも短い時間しか電磁波の照射が途切れなかったとしても、その特定領域に大玉が詰まっていることを検知できる。
【符号の説明】
【0092】
1 パチンコ
31 遊技領域
61 第1始動入賞口
62 第2始動入賞口
101 第1始動入賞口センサ
102 第2始動入賞口センサ
104 スルーチャッカセンサ
105 一般入賞口センサ
110 主制御処理部
150 遊技球検知センサ用状態判定手段
160 オンエッジ検出処理手段
180 電磁波検知センサ
181 遊技球検知センサ用異常検知手段
182 オンエッジ検出禁止処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域と、
この遊技領域に遊技球が通過可能に設けられた特定領域と、
この特定領域に設けられ、遊技球を検知したときに遊技球検知信号を出力するオン状態となり、遊技球を検知しないときにその遊技球検知信号を出力しないオフ状態となる遊技球検知センサと、
前記遊技球検知センサのオンエッジに基づいて遊技に関する処理を行う制御処理部と、
特定波長域の電磁波を照射されるとオフ状態となり、その電磁波を照射されないと非検知信号を出力するオン状態となる電磁波検知センサとを備えるパチンコ機において、
前記制御処理部は、
前記遊技球検知センサの状態がオン状態であるかオフ状態であるかの判定を一定周期で、前記遊技球検知センサの遊技球検知信号を前記制御処理部が入力したか否かに基づいて行う遊技球検知センサ用状態判定手段と、
この遊技球検知センサ用状態判定手段による判定の結果に基づいて前記遊技球検知センサのオンエッジを検出するオンエッジ検出処理手段と、
前記電磁波検知センサの非検知信号を前記制御処理部が入力しているか否かに基づき前記電磁波検知センサの状態がオン状態であるかオフ状態であるかを判定する電磁波検知センサ用状態判定手段と、
前記電磁波検知センサ用状態判定手段による前記電磁波検知センサの状態の判定の結果がオン状態からオフ状態に変化した後、前記遊技球検知センサ用状態判定手段による前記遊技球検知センサの状態の判定の結果が所定の周期数を超えて連続してオン状態になったことを、前記遊技球検知センサの状態の異常として検知する遊技球検知センサ用異常検知手段と、
この遊技球検知センサ用異常検知手段により異常が検知された場合に、前記オンエッジ検出処理手段によるオンエッジの検出を禁止するオンエッジ検出禁止処理手段と
を備える
ことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
遊技球が流下する遊技領域と、
この遊技領域に遊技球が通過可能に設けられた複数の特定領域と、
これらの特定領域のそれぞれに設けられ、遊技球を検知したときに遊技球検知信号を出力するオン状態となり、遊技球を検知しないときにその遊技球検知信号を出力しないオフ状態となる遊技球検知センサと、
前記遊技球検知センサのオンエッジに基づいて遊技に関する処理を行う制御処理部と、
特定波長域の電磁波を照射されるとオフ状態となり、その電磁波を照射されないと非検知信号を出力するオン状態となる電磁波検知センサとを備えるパチンコ機において、
前記制御処理部は、
前記複数の遊技球検知センサのそれぞれの状態がオン状態であるかオフ状態であるかを、それらの遊技球検知センサのそれぞれについて個別に、その遊技球検知センサの遊技球検知信号を前記制御処理部が入力したか否かに基づいて判定する遊技球検知センサ用状態判定手段と、
この遊技球検知センサ用状態判定手段による判定の結果に基づいて前記複数の遊技球検知センサのそれぞれのオンエッジを検出するオンエッジ検出処理手段と、
前記電磁波検知センサの非検知信号を前記制御処理部が入力しているか否かに基づき前記電磁波検知センサの状態がオン状態であるかオフ状態であるかを判定する電磁波検知センサ用状態判定手段と、
前記複数の遊技球検知センサの状態の異常を個別に検知する遊技球検知センサ用異常検知手段と、
この遊技球検知センサ用異常検知手段により異常が検知された場合に、その異常が検知された前記遊技球検知センサに限って前記オンエッジ検出処理手段によるオンエッジの検出を禁止するオンエッジ検出禁止処理手段と
を備え、
前記遊技球検知センサ用状態判定手段は、前記遊技球検知センサの状態の判定を一定周期で行い、この判定の結果を、前記遊技球検知センサのオン状態に対応付けられた入力判定値であるオン判定値、または、前記遊技球検知信号センサのオフ状態に対応付けられた入力判定値であるオフ判定値の形で、更新して記憶するものであり、
前記オンエッジ検出処理手段は、前記遊技球検知センサ用状態判定手段により入力判定値がオフ判定値からオン判定値に更新されたことを、前記オンエッジとして検出するものであり、
前記遊技球検知センサ用異常検知手段は、前記電磁波検知センサ用状態判定手段による前記電磁波検知センサの状態の判定の結果がオン状態からオフ状態に変化した後、前記複数の遊技球検知センサのいずれかの入力判定値の更新状況が、所定の周期数を超えて連続して前記オン判定値に更新されることを異常として検知するものであり、
前記オンエッジ検出禁止処理手段は、前記遊技球検知センサ用異常検知手段により異常が検知された場合に、その異常が検知された遊技球検知センサに限り、その遊技球検知センサの入力判定値を常に前回の入力判定値に更新することによって、前記オンエッジ検出処理手段によるオンエッジの検出を禁止するものである
ことを特徴とするパチンコ機。
【請求項3】
請求項2に記載のパチンコ機において、
前記遊技球検知センサ用状態判定手段による判定の周期をTで表し、前記所定の周期数をZで表し、前記複数の遊技球検知センサのそれぞれを遊技球が通過するのに要する時間のうちの最長時間をHで表した場合に、ZはT,Hとの間で「H/T<Z」という関係式を満たすよう設定された
ことを特徴とするパチンコ機。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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