説明

パチンコ玉デジタル化による総合管理システム

【課題】従来のセンサーによる管理システムに比べ少ない量でのパチンコ玉の移動を可能にし、より早く各島の玉数の均等化を達成し、営業上の玉切れの防止,パチンコ玉のロスの減少をはかる。
【解決手段】ホールコンピューターで行なわれている貸玉,賞玉,ジェットカウンター(JC)等の玉数のデータと、各島1〜5の島上タンク部1′〜5′に設置された玉計数機11によりデータを加えて数値化し、各島の現在の玉数の増減を把握すると共に、該数値化データを一定の時間毎に取り出し、隣接した島との差により玉の移動を行うパチンコ玉デジタル化による総合管理システムを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は隣接した島間の玉の補給移動をセンサーによることなく現在ホールコンピューターで行なわれている数値化データと、島上タンク部に設置された玉計数機のデータを利用して制御するパチンコ玉デジタル化による総合管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在パチンコ店においてはホールコンピューターで行なわれている貸球,賞球,アウト玉,JC(ジェットカウンター)の玉数等のデータで、経営管理等に利用されている。そして、玉補給にあたっては完全に独立した島の島内タンクと渡り樋によるものが一般的であるが、このうちの多くは島内タンクに一定数のセンサーを設置し、その検知により各島の量を比較し、所定数以下になれば隣接する島にパチンコ玉の移動を行って各島間のパチンコ玉の量の均等化を図っている。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開平9−173605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記センサー検出によりパチンコ玉の移動を行うときはパチンコ玉の数が所定の水準まで変動することが必要であり、少ない量での状況把握が不充分とならざるを得ない。そこで、本発明は現状の島内タンクと渡り樋による補給が行なわれている時のパチンコ玉の移動数を数値化しデジタル化することによってセンサーによる管理システムに比べ少ない量でのパチンコ玉の移動を可能にし、より早く各島の玉数の均等化を達成し、営業中の玉切れの防止、パチンコ玉のロス(死に玉)の減少を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
即ち、上記目的に適合する本発明の特徴は、ホールコンピューターで行なわれている貸玉,賞球,アウト玉,ジェットカウンター(JC)等の玉数のデータと、各島の島上タンク部に設置された玉計数機によるデータを加えて数値化し、各島の現在の玉数の増減を把握すると共に、該数値化データを一定の時間毎に取り出し隣接した島との差により玉の移動を行うデジタル化による管理システムにある。
【発明の効果】
【0005】
本発明システムにより現在行なわれている貸玉,賞球,アウト玉がデジタル管理される経営管理システムと組み合わせることによって、店内全てのパチンコ玉の流れがデジタル化により把握できる経営管理システムと補給管理システムの一元化が可能となり、その新しいソフトにより一つのコンピューターシステムで稼働すれば、初期投資の減少に繋がる効果がある。
【0006】
殊にパチンコ玉移動をデジタル化することによって、今までのセンサーによる管理システムに比べ少ない量でのパチンコ玉移動が可能になり、より早く各島の玉数の均等化が計られる。このことは営業中においての玉切れの防止,パチンコ玉のロス(死に玉)の減少にもなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、更に添付図面に基づいて本発明の具体的な態様を説明する。
【0008】
図1は本発明システムにおける貸玉,賞球,アウト玉がデジタル管理される管理システムであり、図において1〜5は各島を示し、これら各島における島内タンクで、パチンコ台,サンド(玉貸機),賞球,JC(玉計数機)のデータより売り上げ,景品等のデータを出し、経営管理を行う一方、各島1〜5の島内タンク上部の島上タンク1′〜5′の入口シャッター部分に玉計数機11が設置されパチンコ玉の全部がデータ化され、補給管理が可能となっている。
【0009】
今、各島を1〜5とすると、図1のように全ての玉の増減をカウントすることによりデジタル補給管理が可能となる。即ち、
(a)島上タンク樋より隣接した島へ入る玉数
(b)パチンコ台より打ち出された玉数
(c)玉計数機(ジェットカウンター)より入る玉数
上記の(a),(b),(c)を(+)とカウントする。
(d)島上タンク樋より隣接した島へ出る玉数
(e)パチンコ台より賞球として出された玉数
(f)玉貸機より出された貸玉の数
上記の(d),(e),(f)を(−)とカウントする。
【0010】
かくて以上の(+),(−)より1〜5の島夫々の島内タンクの玉数の増減がリアルタイムに把握され表示されることになり、その数字を一定の時間毎、例えば3分毎に取り出し、互いに隣接した島との差により玉の移動を行う。これを基本とする。
【0011】
即ち、設定された玉の数が入っている各島1〜5の島内タンクそれぞれに前記(a)〜(f)のデータを入れ、今現在各島1〜5の島内タンクにある玉数を計算する。その玉数を(あ)〜(を)として隣接する島との差を夫々、図2に示す如く(A)〜(D)とすると、(A)が(+)なら玉は島1→島2へ、一方、(−)なら島2→島1へ移動する。
【0012】
しかして、本発明システムは上記基本にもとづいて管理されるが、この方法には玉の総数による管理と、玉の増減による管理の2つの方法がある。どちらの方法も(A)〜(D)の数値は同じとなる。そして、この(A)〜(D)の数値によって移動の方向と移動したい玉数(A〜Dそれぞれの1/2の数)(ア),(イ),(ウ),(エ)が判定される。その(ア)〜(エ)の数値を比較し多い順に優先順位をつける。
【0013】
順位1位より実行の命令を出し、次に2位の実行の命令を出す。この時すでに1位の実行により、玉の移動に関連している島の島内タンク間の玉の移動はこれを実行しない。そして、3位,4位と順に同様に行う。また、同数の場合に対応する為には先に優先順位を決めておく。即ち、(ア)=(イ)なら(イ)、(イ)=(ウ)なら(ウ)、(ウ)=(エ)なら(エ)のように設定をする。(ア)〜(エ)のうち実行されなかったものの数値は0とする。そして、実行されているものは数を上部の島上タンクに設置してある計数機11で数えられる。そのデータは各島1〜5の島内タンクより計算される。以上の動作を、例えば3分間(自由に設定できる)ごとにデータを取り出し各島間の玉の移動を行っていく。以下、総数による管理と玉の増減による管理の夫々について説明する。
【0014】
先ず、総数による管理は図3において、
(イ)島1〜5の各島に設定された玉数(同数)を入れる。玉数は夫々の島のパチンコ台数、島内タンクの設置状態により投入する。
(ロ)計算された数値を(あ)〜(お)とする。
(ハ)隣接する島との差を計算し、その数値を(A)〜(D)とする。
【0015】
以上より(A)が(+)なら島1→島2へ、(−)なら島2→島1へ、同様に(B)が(+)なら玉は島2→島3へ、一方、(−)なら玉は島3→島2へ移動する。また、(c)が(+)なら島3→島4へ、逆に(c)が(−)なら島4→島3へ移動し、(D)が(+)なら島4→島5へ、逆に(D)が(−)なら島5→島4へ玉は移動する、このとき玉の移動する数は(A)〜(D)夫々の1/2とする(但し端数切り捨て)。そこで、(A)〜(D)夫々の1/2の玉数を上部の島上タンク入口の開閉機を開け、パチンコ玉を計数機11でカウントしながら移動する。
【0016】
次に玉数の増減による管理については図4において、
(イ)島1〜5は0とする。玉数は夫々の島のパチンコ台数,島内タンクの設置状態により投入する。
(ロ)島1〜5それぞれに(a)〜(f)のデータを入れ計算する。
(ハ)計算された数値を(あ)〜(お)とする。
(ニ)隣接する島との差を計算し、その数値を(A)〜(D)とする。
【0017】
以上の数値より(A)が(+)なら島1→島2へ、(−)なら島2→島1へ、そして(B)が(+)なら島2→島3へ、(−)なら島3→島2へ、また、(c)が(+)なら島3→島4へ、逆に(c)が(−)なら島4→島3へ、また(D)が(+)なら島4→島5へ、一方、(−)なら島5→島4へ、(A)〜(D)夫々の1/2の玉数(端数は切り捨て)は上部の島上タンク入口の開閉機を開け、移動するパチンコ玉を計数機11でカウントしながら移動する。
【0018】
図3は上記総数による管理の場合の具体例であり、図4は玉数の増減による場合の具体例を示す。
【0019】
上述のように玉の移動が(A)〜(D)の数値によって決まり、移動の方向((+)又は(−)による)及び玉数が判定される。その玉数を夫々(ア),(イ),(ウ),(エ)を比較し、多い値より優先順位をつけ、先ず順位1位より実行の命令を出すようにする。そして、順位2位の実行の命令を出す時、既に1位の実行により移動に関連のある島の島内タンクの移動は図3,図4に示す如くこれを実行しない。次いで、以下同様にして順位3位,4位と行う。
【0020】
また、同数の場合に対応するためには、島の順位を決めておく。例えば(ア)=(イ)の場合は(イ)、(イ)=(ウ)の場合は(ウ)、(ウ)=(エ)の場合は(エ)のように設定する。そして、以上の動作を所定時間、例えば自由設定で、例えば3分間毎にデータを取り出し玉の移動をする。このとき、(ア)〜(エ)のうち実行されなかったものの数値を0とする。一方、実行されているものは数を島上タンク部に設置してある計数機でカウントされると、各データは各島の島内タンク1〜5に夫々入る。これを図示すると図3,図4の如くである。図中、数字は玉数を示す。そして、時間の経過と共に、各島の玉数の数値が設定数になれば入口の開閉機のシャッターは閉じる。なお、優先されたデータは玉が移動中であっても、所定時間後、例えば3分後のデータは加算、減算されてゆき、その時移動している途中であっても積算が0以下になったときは移動を停止する。また、島2より島3へ移動中であるとき、所定の3分後のデータが(イ)より(ア)のデータが多い場合は(ア)を優先し、島2→島3を停止し、島1と島2の島内タンク間の玉移動を行う。以上の作動を島間の玉の移動の基本とする。
【0021】
次にバランスリフト使用時には、図5における各列の島1〜5と島6〜10の夫々の合計を比較し、設定された時間毎に相互の玉移動を行うようにする。これも前述の島間の移動と同様、データの差の1/2の玉数を移動し、均等化する。
【0022】
また、閉店時など、JC(ジェットカウンター)より短時間に大量の玉の移動が行なわれる場合では図6の如く島2に対し200,000個,島4に対して176,000個投入されると、図における(A)により島2→島1に(ア)個移動,(B)により島2→島3に(イ)個移動,(c)により島4→島3に(ウ)個移動,(D)により島4→島5に(エ)個移動となり、そのときの(ア)〜(エ)の数値がある一定の数(自由設定)に達するとき、優先順位の制御を外しすべて実行する。これはいち早くジェットカウンターのある島の玉数が減少される効果があるためである。
【0023】
更に、閉店時、ジェットカウンターが全て終了した後はバランスリフトのデータを優先して実行する。そして以後、図7に示す実行によって移動を行い島3が300,000個になると入玉を止める。その後、設定されている順序、ここでは島内タンク5,4,3,2,1の順に隣接の島より300,000になるよう島4→島5に5,500,島3→島4に11,000,島2→島3に11,000移動され、全ての島が300,000になれば玉の移動を止める。
【0024】
かくして以上のように島内のタンクと渡り樋による補給が行なわれているときのパチンコ玉の移動数を数値化することにより1つのコンビユーターシステムの稼働でセンサーを設置することなく隣接する島との間のパチンコ玉の移送を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】パチンコ店における島内タンクと島上タンクの配置態様を示す概要図である。
【図2】各島の管理システムの1例を示す概要図である。
【図3】総数によって優先順位をつけ移動の実行命令を出す管理システムの態様を示す図である。
【図4】玉の増減によって優先順位をつけ移動の実行命令を出す管理システムの態様を示す図である。
【図5】バランスリフト使用時の移動状態を示す説明図である。
【図6】ジェットカウンターより玉を移動させた場合の移動状況を示す説明図である。
【図7】閉店時における玉の移動状況を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1〜5:島
1′〜5′:島上タンク
6〜10:島
11:島上タンクの計数機
12:渡り樋の計数機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホールコンピューターで行なわれている貸玉,賞球,アウト玉,ジェットカウンター(JC)等の玉数のデータと、各島の島上タンク部に設置された玉計数機によりデータを加えて数値化し、各島の現在の玉数の増減を把握すると共に、該数値化データを一定の時間毎に取り出し、隣接した島との差により玉の移動を行うことを特徴とするパチンコ玉デジタル化による総合管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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