説明

パッキン部材

【課題】防水性が確保され、かつ、電磁波を遮断できるパッキン部材を提供する。
【解決手段】パッキン部材は、第1の部材11と、第1の部材11の表面の少なくとも一部を覆う第2の部材12とを有する。第1の部材11は、第2の部材12より弾性変形量の大きな材料からなる。第2の部材12は、導電性物質を含む複合材料からなり、第1の部材11が設置される基体20の表面に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ノートパソコン等の筐体の開口を閉塞する蓋体に用いられるパッキン部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ノートパソコンのようなモバイル型電子機器の筐体には、PCカードスロット等の開口が設けられている。当該開口は、開閉自在な蓋体等によって閉塞される。
【0003】
上述のモバイル型電子機器は、屋外で使用されることがあるため、風雨に晒される場合が想定される。従って、当該モバイル型電子機器には、筐体内部に水が入り込まないような防水性能が求められる。そのため、例えば、一方面にパッキンを設けた蓋体を筐体の外面に押し当てて、パッキンを蓋体と筐体とで挟み込む構造が採用されている。パッキンは、例えば、柔軟性及び弾力性を有するゴム材で構成されている。この結果、蓋体と筐体との隙間がパッキンによってシールされ、防水性能が確保される。
【0004】
上述したモバイル型電子機器には、モバイル電子機器内部及び外部への電磁波の透過を遮断する性能が求められる。しかしながら、上記したパッキンに用いられるゴム材は導電性を備えていないため、蓋体及び筐体の隙間のシール部分において、電磁波を遮断することができない。
【0005】
一方、それぞれ少なくとも表面に導電性物質を有する蓋体と筐体との間に導電性材料を挟むことで、電磁波を遮断することができる。導電性材料には、例えば、金属フィラーを含有するゴム材が用いられる。しかしながら、金属フィラーを含有するゴム材は、上記したパッキンを構成するゴム材に比べて、ゴム硬度が高い。この結果、導電性材料を蓋体と筐体とで挟み込んだ際に、導電性材料と筐体外面との密着性が不十分となり、防水性が低くなってしまう。
【0006】
ここで、特許文献1には、防水性及び電磁波の遮断を実現するために、防水パッキンと、当該防水パッキンに併設した金属性の爪からなる導電部材とを併用する構成が開示されている。しかしながら、金属製の爪と導電性の筐体とが圧着導通する構成により電磁波を遮断する構成であって、導通が不充分となり易く、しかも、別途導電部材を設けるため、部品点数及び製造工程の増加によって製造工程が高くなってしまう。
【0007】
また、特許文献2には、防水性能及び電磁波の遮断性能を兼ね備えたシールド兼防水部材が開示されている。シールド兼防水部材は、導電性を有するシールド部材と、パッキン部材とが、蓋体上に並列に設けられたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−317589号公報
【特許文献2】特開平10−256770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2では、シールド部材とパッキン部材との力学的柔軟性を一致させなければ、シールド兼防水部材に対して箱本体が当接する位置の変形量が異なる。上述したように、防水パッキンの方が力学的に柔軟性を有するため、シールド部材とパッキン部材とを並列に配置した構成では、シールド兼防水部材におけるパッキン部材の変形量が大きくなり、シールド部材の変形量の追従性に欠け、シールド性能に劣る課題がある。この結果、シールド兼防水部材と筐体との接触面において、均一な防水性及び電磁波の遮断が困難となる。
【0010】
それ故に、本発明では、防水性が確保され、かつ、電磁波を遮断できるパッキン部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電磁波を遮断するパッキン部材に関する。パッキン部材は、第1の部材と、第1の部材の表面の少なくとも一部を覆う第2の部材とを有する。第1の部材は、前記第2の部材より弾性変形量の大きな材料からなる。第2の部材は、導電性物質を含む複合材料からなる。第1の部材が設置される基体の表面に電気的に接続される。
【0012】
上記のパッキン部材において、第1の部材及び第2の部材は、基体に設けられる凹部に埋設されても良い。
【0013】
第1の部材と、第2の部材とは、基体に第1の部材を設置する方向に積層されても良い。
【0014】
また、本発明は、電子機器の筐体の開口を開閉する蓋体に関する。蓋体は、上記のパッキン部材を備える。第2の部材には、導電性を有する前記筐体が当接する。
【0015】
上記の蓋体は、第1の部材及び第2の部材が埋設される凹部を更に備えても良い。
【0016】
第2の部材に当接する部分の筐体は凸部形状であっても良い。
【0017】
第1の部材と、第2の部材とは、第2の部材に筐体が当接する方向に積層されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のパッキン部材を用いて、蓋体と筐体とをシールすると、防水性が確保され、かつ、電磁波を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るパッキン部材によってシールされた筐体及び蓋体の斜視図
【図2】蓋体を開いた状態における筐体の図1のA部の拡大図
【図3A】パッキン部材の一例を示す断面図
【図3B】パッキン部材の他の一例を示す断面図
【図4A】図1に示す蓋体のX−Xラインに沿った断面図
【図4B】蓋体を全閉した状態における図4Aに相当する部分の断面図
【図5】他の変形例に係る蓋体の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るパッキン部材によってシールされた筐体及び蓋体の斜視図であり、図2は、蓋体を開いた状態における筐体の図1のA部の拡大図である。
【0021】
本実施形態に係るパッキン部材10は、一例として、筐体30の開口32を開閉する蓋体20に設けられている。蓋体20は、ヒンジを介して筐体30に開閉自在に連結されており、全閉位置において、筐体30にロックされる(図1の状態)。
【0022】
図3Aは、パッキン部材の一例を示す断面図である。
【0023】
図3Aを用いて、パッキン部材10の一例について説明する。パッキン部材10は、蓋体20と筐体30(不図示)とが当接することで防水、及び、第1の部材11と、第1の部材11の表面を部分的に覆う第2の部材12とを有しており、表面の導電性を呈する第2の部材12を介して基体20と筐体30とを電気的に接続することで電磁波シールドに用いられる。尚、本明細書において、パッキンとは、運動部分を密封することで防水するシール、及び、静止部分を密封することで防水するシールの両方をいう。
【0024】
第1の部材11は、基体(本実施形態では蓋体に相当する)20上に設けられ、パッキン部材10に柔軟性を与える役割を有する。そのため、第1の部材11には、第2の部材12より弾性変形量が大きな材料が選択され、蓋体(基体20)が開口32を全閉した時には復元性を備える構成が好ましく、一例として、ウレタンゴムが好適に用いられる。
【0025】
第2の部材12は、第1の部材11上に、パッキン部材10に平坦面が当接する方向(図3Aの上下方向)に積層されている。第2の部材12は、基体20に密着している。また、第2の部材12は、その一部が基体20から突出するように、第1の部材11に積層されている。これによって、基体20全閉時にパッキン部材10が筐体30(不図示)に対して確実に密着することができる。尚、第2の部材12には、一例として、シリコーンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム等に導電性物質を複合させたものが好適に用いられる。この中でも、シリコーンゴムは、耐熱、耐水及び繰り返し特性の点において他より優れるため、特に好ましい。
【0026】
ここで、基体20全閉時にパッキン部材10が圧縮された場合、第1の部材11の弾性変形に追従するように、第2の部材12の厚さは、第1の部材11の厚さより薄く設計されている。
【0027】
一例として、本実施形態では、第1の部材11の厚さを約1.0mm、第2の部材32の厚さを約0.5mm、第1の部材11及び第2の部材12の幅をそれぞれ2.5mmに設計している。尚、第1の部材11及び第2の部材12の厚みは、各部材を構成する材料の硬度や凹部21の形状及び寸法によって、適宜、最適な値に調整することが可能である。
【0028】
第2の部材12は、パッキン部材10の表面に導電性を与える役割を有し、導電性物質を含む複合材料からなる。また、第2の部材12は、その一方端(図3Aの右側に位置する端部)が導電性を有する基体20の表面に接触することで、第2の部材12と基体20とが電気的に接続されている。尚、基体20は、導電性部材(金属等)から形成されるか、或いは、非導電性部材(樹脂成形品等)の表面に金属薄膜を施して形成される。
【0029】
第1の部材11及び第2の部材は、基体20に第1の部材を設置する方向(図3Aの上下方向)に積層される。
【0030】
第2の部材12の他方端(図3Aの左側に位置する端部)は蓋体20と接触していない為、蓋体(基体)が全閉され、パッキン部材10に対して図3Aの上下方向の圧縮が加えられた際には、第1の部材11が、第2の部材12の他方端と基体20との隙間に入り込むように変形させることができるため、第1の部材11の変形量を吸収できる。尚、パッキン部材10には、図3Bに示すように、第2の部材12の両端が基体20の表面に接触する構成を採用しても良い。
【0031】
基体20を閉じると、筐体30の平坦部(不図示)が、基体20に配置されたパッキン部材10に当接する。
【0032】
基体20に対して、筐体30の平坦部を押圧することで、平坦部30が第2の部材12を圧縮変形する。この結果、平坦部30と第2の部材12との接触面積が増大し、電磁波遮断効果を高めることができる。
【0033】
このとき、第1の部材11は、平坦部の圧縮変形量を吸収できるように、例えば図3Aに示した第2の部材12と基体20とが離隔している間隙に第1の部材11の変形量が突出、または図3Bに示すようにパッキン部材10が平坦部に沿って圧縮変形する。第2の部材12は、平坦部の押圧による押し込み量に追従するように引き延ばされる。換言すると、パッキン部材10は、平坦部の押し込みに追従する第1の部材11の弾性変形性と、第1の部材11の弾性変形量に追従する第2の部材12の引っ張り変形性とを備える。
【0034】
そのため、本実施形態では、上述したように、第2の部材の厚みを第1の部材の厚みより薄く設計している。一例として、第1の部材11を構成する材料には、ゴム硬度が35のものを選択し、第2の部材12を構成する材料には、ゴム硬度が53〜60(好ましくは55)のものを選択している。
【0035】
また、本実施形態では、パッキン部材を凹部に埋設する構成も採用できる。
【0036】
図4Aは、図2に示す蓋体のX−Xラインに沿った断面図である。
【0037】
上述したように、本実施形態に係るパッキン部材10は、一例として、蓋体20上に設けられている。蓋体20の全閉時には、パッキン部材10に筐体30が当接する。より特定的には、図4Aに示すように、筐体30が凸部31を有し、当該凸部31がパッキン部材10を押圧する。
【0038】
ここで、蓋体20と筐体30との防水性や防滴性(いわゆる密閉性)を確保するため、パッキン部材10が蓋体20から容易に脱離しない構成が好ましい。そのため、パッキン部材10は、凹部21の内壁と密着するように、当該凹部21に埋設されている。
【0039】
凹部21には、導電性を有する部材や、非導電性部材の表面に金属薄膜を施したもので形成されている。凹部21は、蓋体20における、筐体30の開口32に対向する側の対向面22(図4Aの上端面)の内側外周近傍に設けられる。
【0040】
より詳細には、蓋体20の対向面22には、当該対向面22から突出する一対の側壁23が設けられており、一対の側壁23と、当該一対の側壁23に挟まれた部分の対向面22とによって凹部21が形成されている。また、凹部21は、筐体30の開口32の外周部に設けられる凸部31に対応するように、対向面22と平行な横断面形状が四角環状となるように形成されている。
【0041】
尚、蓋体20及び筐体30は、電磁波を吸収または反射するように、例えば、導電性部材(例えば金属)で構成されたり、導電性を要する部分の表面に金属薄膜を形成した非導電性部材(樹脂部材等)で構成されたりする。また、筐体30の開口32の内部には、カードスロット、コネクタ、またはアンテナ回路等(図示は省略する)が、単独または複合して設けられている。
【0042】
第1の部材11は、第2の部材12に対して凹部21の底側に備えられ、凹部21の内壁に密着している。また、詳細は後述するが、本実施形態では、第1の部材11は、凹部21に塗布することで形成され、パッキン部材10に柔軟性を与える役割を有する。そのため、第1の部材11には、第2の部材12より弾性変形量が大きな材料が選択される。また、第1の部材11は、蓋体20が開口32を全閉した時に復元性を備える構成が好ましい。そのため、第1の部材11には、一例として、ウレタンゴムが好適に用いられる。
【0043】
第2の部材12は、第1の部材11上に、パッキン部材10に凸部41が当接する方向(図4Aの上下方向)に積層されている。第2の部材12は、凹部21の内壁に密着している。また、第2の部材12は、その一部が凹部21から突出するように、第1の部材11に積層されている。これによって、蓋体20全閉時にシール材30が筐体30に対して確実に密着することができる。尚、第2の部材12には、一例として、シリコーンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム等に導電性物質を複合させたものが好適に用いられる。この中でも、シリコーンゴムは、耐熱、耐水及び繰り返し特性の点において他より優れるため、特に好ましい。
【0044】
ここで、蓋体20全閉時にパッキン部材10が圧縮された場合、第1の部材11の弾性変形に追従するように、第2の部材12の厚さT2は、第1の部材11の厚さT1より薄く設計されている。
【0045】
一例として、本実施形態では、第1の部材11の厚さT1を約1.0mm、第2の部材32の厚さT2を約0.5mm、第1の部材11及び第2の部材12の幅をそれぞれ2.5mmに設計している。尚、第1の部材11及び第2の部材12の厚みは、各部材を構成する材料の硬度や凹部21の形状及び寸法によって、適宜最適な値に調整することが可能である。
【0046】
また、先述したように、ディスペンサーによって、第1の部材及び第2の部材が凹部21に順に注入された後、加熱硬化されてパッキン部材が形成される。この結果、注入された直後の低粘度の材料が、意図せずに広がってしまうことが防止される。
【0047】
また、硬化前の低粘度の状態である第1の部材11及び第2の部材12は、凹部21の内壁の表面に隙間なく沿うことができる。この状態で第1の部材11及び第2の部材12が硬化するので、当該第1の部材11及び第2の部材12は、凹部21の内壁に対して強く密着する。尚、例えば、シリコーン樹脂等の粘弾性を有する接着層を介して、第1の部材と第2の部材とを積層したシートを打ち抜いてパッキン部材を形成し、当該打ち抜いたパッキン部材を凹部21に嵌め込んでも良い。
【0048】
また、蓋体20を閉じる際には、凸部31が凹部21に押し込まれることで、筐体30と蓋体20との位置合わせを容易にすることができる。また、蓋体20全閉時において、凸部31が凹部21に嵌合することで、蓋体20と筐体30との嵌合部分が堅牢となる。この結果、凸部31と凹部21とが嵌合する方向に対して横からの外力が、蓋体20及び筐体30に加わった場合でも、凹部21から凸部31が外れることがない。尚、凸部31は、蓋体20全閉時に、凹部21に対向するように、筐体30の開口32の外周部分に沿った全周に設けられている。
【0049】
図4Bは、蓋体を全閉した状態における図4Aに相当する部分の断面図である。
【0050】
蓋体20を閉じると、筐体30の凸部31が、凹部21に埋設されたパッキン部材10に当接する。凸部31の突出部の幅は、凹部21の凹所の幅より若干小さく形成されているため、凸部31と凹部21とに間隙が存在する。
【0051】
蓋体21に対して、図4Bの矢印方向に押圧を加えることで、凸部31が凹部21の内側まで入り込むと共に、凸部31と凹部21との間隙に第2の部材12が押し込まれる。この結果、凸部31と第2の部材12との接触面積が増大し、電磁波遮断効果を高めることができる。尚、本実施形態では、一例として、凸部31の先端と、凹部21の底面との間隔が1.0〜1.1mmとなるまで、凸部31が凹部21に押し込まれる。
【0052】
このとき、第1の部材11は、凸部31の押し込み量を吸収できるように、凹部21の底から凸部31の先端までの長さが変化し、かつ、第2の部材12は、凸部31の押し込み量に追従するように引き延ばされる。換言すると、パッキン部材10は、凸部31の押し込みに追従する第1の部材11の弾性変形性と、第1の部材11の弾性変形量に追従する第2の部材12の引っ張り変形性とを備える。
【0053】
そのため、本実施形態では、上述したように、第2の部材の厚みを第1の部材の厚みより薄く設計した。その一例として、第1の部材11を構成する材料には、ゴム硬度が35のものを選択し、第2の部材12を構成する材料には、ゴム硬度が53〜60(好ましくは55)のものを選択している。
【0054】
このように、筐体30の平坦面または凸部31の先端のいずれかとパッキン部材10とが密着した状態で、蓋体20が閉じられる。上述したように、本実施形態では、基体20または凹部21において、第1の部材11と第2の部材12とが、パッキン部材10に凸部31が当接する方向に積層されている。そのため、筐体30の平坦面を基体20に押圧、または凸部31を凹部21に押し込めると、凸部31と第2の部材12との接触面積が増大する。この結果、優れた防水性能及び電磁波遮断性能が実現される。
【0055】
また、上述したように、パッキン部材10は、ディスペンサーで第1の部材及び第2の部材を塗布した後に、硬化して形成される。これによって、パッキン部材10は、基体20の平坦面または凹部21の内壁に密着し、かつ、第1の部材11と第2の部材12とが密着している。これによって、蓋体20を繰り返し開閉しても、パッキン部材10が基体20の平坦面凹部21から外れることがなく、かつ、第1の部材11と第2の部材12とが接合界面から剥離することがない。
【0056】
更に、蓋体20を全閉した際には、パッキン部材10における第2の部材12が、基体20または蓋体20の凹部21、及び、筐体30または筐体30の凸部31の両方に接触している。これによって、蓋体20と筐体30とが、第2の部材12を介して導通され、当該パッキン部材10において、電磁波が遮断される。尚、蓋体20と筐体30とが導通するには、例えば、筐体30における蓋体20に対向する側に導電処理を施し、かつ、凹部21における第2の部材12が接触する側に導電処理を施しても良いし、蓋体20における筐体30に対向する面に導電処理を施し、かつ、凸部31における第2の部材12が接触する面に導電処理を施しても良い。
【0057】
以上のように、本実施形態のパッキン部材10を用いて、蓋体20と筐体30とをシールすると、防水性が確保され、かつ、電磁波を遮断することができる。
【0058】
尚、本発明の実施形態に係る蓋体の凹部は、図5に示すように、本体内面に設けられた溝によって構成しても良い。このような構成にすると、蓋体の対向面に一対の側壁を設ける必要がなくなる。
【0059】
尚、本実施形態では、蓋体に凹部及びパッキン部材を設け、筐体に凸部を設けているが、これに限定されず、筐体に凹部及びパッキン部材を設け、蓋体に凸部を設けても良い。
【0060】
また、本実施形態では、筐体に凸部を設けているが、凸部は必ずしも設ける必要はない。例えば、パッキン部材が、その一部が凹部から突出するように、当該凹部に埋設される構成を採用した上で、パッキン部材に接触する側の筐体の外面を平面にしても良い。
【0061】
更に、本実施形態では、パッキン部材の一部が突出するように、凹部に埋設されているが、これに限定されない。例えば、パッキン部材を、凹部の内部に収まる大きさに形成し、これに対応するように、凸部において、凹部に当接する方向の寸法を長く設計しても良い。
【0062】
更に、本実施形態では、パッキン部材の用途を、筐体と蓋体との嵌合に用いているが、特にこれに限定されない。例えば、筐体が複数のパーツを組み合わせて構成されている場合、当該複数のパーツの嵌め合わせ界面に、本実施形態に係るパッキン部材を用いても良い。
【0063】
更に、本実施形態では、パッキン部材を、ノートパソコンの筐体に用いているが、特にこれに限定されず、例えば、他にも、携帯電話のような様々な電子機器の筐体に用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、例えば、電子機器の筐体と、当該筐体に設けられる開口を開閉する蓋体とを嵌合するためのパッキン部材として用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 パッキン部材
11 第1の部材
12 第2の部材
20 蓋体
21 凹部
22 対向面
23 側壁
30 筐体
31 凸部
32 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と、
前記第1の部材の表面の少なくとも一部を覆う第2の部材とを有し、
前記第1の部材は、前記第2の部材より弾性変形量の大きな材料からなり、
前記第2の部材は、導電性物質を含む複合材料からなり、前記第1の部材が設置される基体の表面に電気的に接続される、パッキン部材。
【請求項2】
前記第1の部材及び前記第2の部材は、前記基体に設けられる凹部に埋設される、請求項1に記載のパッキン部材。
【請求項3】
前記第1の部材と、前記第2の部材とは、前記基体に前記第1の部材を設置する方向に積層される、請求項1または2に記載のパッキン部材。
【請求項4】
電子機器の筐体の開口を開閉する蓋体であって、
請求項1に記載のパッキン部材を備え、
前記第2の部材には、導電性を有する前記筐体が当接する、蓋体。
【請求項5】
前記第1の部材及び前記第2の部材が埋設される凹部を更に備える、請求項4に記載の蓋体。
【請求項6】
前記第2の部材に当接する部分の前記筐体は凸形状である、請求項5に記載の蓋体。
【請求項7】
前記第1の部材と、前記第2の部材とは、前記第2の部材に前記筐体が当接する方向に積層される、請求項4〜6のいずれかに記載の蓋体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−182227(P2012−182227A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42897(P2011−42897)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】